説明

免疫及び自己免疫の調節因子としてのセラミド誘導体

NK T細胞を調節するα−ガラクトシルセラミド及びグリコシルセラミド(「セラミド様糖脂質」)。セラミド様糖脂質は、NK T細胞において誘導されたサイトカインを変化させ、NK T細胞に化合物を効率的に提示することができる抗原提示細胞に変化させる。セラミド様糖脂質の医薬組成物が提供され、同様に樹状細胞と共にセラミド様糖脂質の医薬組成物が提供される。NK T細胞を活性化し、免疫系を刺激し、そして、哺乳動物を治療するためにワクチンにセラミド様糖脂質を利用する方法もまた提供される。本発明はまた、CD1dタンパク質を発現する細胞の存在下で、NK T細胞を活性する化合物の能力についてその化合物を評価する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年8月27日に出願された米国仮出願シリアル第60/605,362号の利益を主張し、その内容は全体として本明細書中に援用される。
【0002】
政府権利
本研究の一部は、国立衛生研究所からの助成金によって支援された。米国政府は本発明における一定の権利を有することが可能である。
【0003】
発明の分野
本発明は、概して、免疫細胞の活性化に関する。より具体的には、本発明は、NK T細胞を調節する化合物の同定に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
関連技術の説明
引用した文献:
【0005】
【化1】

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【化6】

【0011】
PCT特許公報WO93/05055
米国特許第5,679,347号
米国特許第5,780,441号
米国特許第5,853,737号
米国特許第5,936,076号
米国特許第6,162,609号
米国特許第6,238,676号
【0012】
NK T細胞
「ナチュラルキラーT細胞」(NK T細胞)と称されるTリンパ球の新規な系統が、最近同定され、多くの重要な点で慣習的なαβT細胞と区別されることが示された(Bendelacら、1997;Bendelac 1998)。NK T細胞は、初めにマウスにおいて同定されたが(Bendelacら、1997)、最近の研究は、ヒトにおける表現型及び機能の点で非常に保存されていることを示している(Exleyら、1997;Spadaら、1998;Davodeauら、1997)。これらのT細胞は、NK系統のマーカーNK1.1(NKR−P1C)とαβT細胞受容体の同時発現のために、異なる集団として初めに認識された。それらは、CD4又はCD4(「二重ネガティブ」又はDN)のいずれかであることが見出され、現在、低又は中程度のT細胞受容体(TCR)レベル(TCRint)、及びいわゆるNK遺伝子座によってコードされた種々のC型レクチン受容体(例えば、NK1.1、CD69、CD94、及び種々のLy−49ファミリーメンバー)の発現を含む多くの独特な表現型の特徴を有することが認められている。さらに、正常な基底状態でさえ、活性化した表現型(CD44hi、CD62Llo、IL−2Rβhi)を指標とするマーカーを発現する。NK T細胞は、胸腺及び胸腺外発生の経路に由来し、それらの正常な代謝回転は、骨髄に存在する寿命の長い集団によって補われているようである(Eberlら、1998)。それらは、正常な肝臓で高レベルまで蓄積され、30%の常駐の肝臓T細胞と同程度に含み、同時に腎臓及び骨髄の相当な画分のT細胞を構成し、そして、他のリンパ様組織においてより低いが検出可能な数で見出される。
【0013】
多くのNK T細胞の主要な性質は、非常に制限された多様性を持ったTCRの発現である。正常な動物における大多数のマウスのNK1.1T細胞のTCRα鎖は、完全に同定され、結合多様性を含まないで生殖細胞系列のVα14及びJα281遺伝子セグメントの正確な再配列によって形成される(Kosekiら、1991;Lantzら、1994)。この不変のTCRα鎖は、典型的には、半不変的なTCRβ鎖をもって対をなし、ちょうど数種の生殖細胞系列のVβ遺伝子(通常、マウスにおけるVβ遺伝子使用、同時に顕著に表されたVβ2及びVβ7)に対して高度に歪められたVβ遺伝子使用を示す。このTCR構造はまた、ホモロガスな不変のTCRα鎖(Vα24−JαQ)を発現するヒトNK T細胞に見られ、Vβ遺伝子使用(通常、Vβ11)を制限し、つまり、NK T細胞は保存された非多形リガンドを認識するに違いない(Porecelliら、1993;Exleyら、1997;Lantzら、1994)。
【0014】
現在、不変のTCRα鎖を発現する大多数のNK T細胞は、CD1d分子、即ち、ヒト、マウス及び可能な全ての哺乳動物の間で保存されている非多型のMHCクラスI様細胞表面糖タンパク質の認識によって選別される(Bendelacら、1995;Exleyら、1997;また米国特許第5,679,347号;第5,853,737号;及び第6,238,676号を参照されたい)。ヒトでは、CD1ファミリーは、染色体1上に位置付けられる5個の非多型遺伝子から成る。これらは、5個の区別されるが、密接に関連した細胞表面糖タンパク質(CD1a、CD1b、CD1c、CD1d、及びCD1eとして称される)をコードし、MHCクラスI抗原提示分子に顕著な構造類似性を有する(Zengら、1997;Porcelli、1995)。実質的に大部分のデータは、いくつかのヒトCD1タンパク質(CD1a、CD1b及びCD1c−集合的にはグループ1CD1として言及される)は、マイコバクテリア及び他の細菌性病原体の細胞壁に見られる特異的なリガンド及び糖脂質に応答する一組のT細胞に対する抗原提示分子として機能する(Porcelliら、1998;Porcelliら、1999)。この役割を実行するCD1タンパク質の能力は、脂質結合タンパク質として作用するそれらの能力に最も起因しており、そのタンパク質の2つの膜の先端ドメインによって形成する深い疎水性ポケット内に疎水性アルキル鎖を捕捉する(Moodyら、1999)。これは、その疎水性又は極性頭部基が特異的なCD1を制限したT細胞のTCRとの直接的な相互作用に接近可能であるように提示されている抗原性脂質へと導く(図1)。
【0015】
ヒトのグループ1CD1分子の脂質抗原提示機能の発見は、類似の機能もげっ歯類において保存されたこのファミリーの唯一のメンバーであるCD1dタンパク質について存在することを示した。この可能性は、培養細胞から単離したCD1d分子がグリコシルホスファチジルイノシトールと非共有的に関連し、CD1dの疎水性ポケットにおくて結合した自己の糖脂質リガンドを表すことができた(Joyceら、1998)。おそらく、さらにより顕著なのは、セラミド様糖脂質のファミリー(即ち、α−ガラクトシルセラミド(αGalCer)及び関連したα−グリコシルセラミド)は、マウスのNK T細胞による強力なCD1d制限応答を刺激することができた(Kawanoら、1997)。これらの化合物は、α−アノマーヘキソース糖(NK T細胞認識に対して活性なガラクトース又はグルコース)を含有し、通常、β−アノマー糖のみを含有する哺乳動物組織で起こるセラミドとは区別される。著しく、これらの化合物は、現在、最初に単離された供給源である海綿にのみ天然に発生することで知られ、αGalCerは、腫瘍を有するマウスに注入した場合、免疫活性化の結果として、劇的な腫瘍拒絶を誘導したことが示されたときに免疫学者の関心の対象となった(Kobayashi,1995)。その後、この活性は、CD1d依存の機構を介してNK T細胞を急速に活性化するαGalCerの能力に結びついた。現在、αGalCerがCD1dに結合すること、つまり、NK T細胞のTCRに対する測定可能なアフィニティーを有する分子複合体を生み出すことは決定的には示されていない(Naidenkoら、1999;Matsudaら、2000;Benlaghaら、2000)。このように、αGalCerは、インビトロ及びインビボの両方において大部分のNK T細胞の活性化を可能にする有力な試薬を提供する。
【0016】
最も広く研究されているNK T細胞を活性化するαGalCerは、文献的にはKRN7000と呼ばれ、げっ歯類においてそれらの抗癌活性に基づいて海綿から最初は単離されたαGalCerの天然の形態に類似した構造を有する合成分子である(Kawanoら、1997;Kobayashiら、1995;Iijimaら、1998;Inoueら、1997;Kobayashiら、1996a、1996b;Hakagawaら、2000;Uchimuraら、1997a;Uchimuraら、1997b;Motokiら、1996a;Motokiら、1995;Nakagawaら、1998;Yamaguchiら、1996;Moritaら、1995;Motokiら、1996b)。KRN7000の構造を図1に示す。
【0017】
KRN7000の強力な活性、及び哺乳動物における癌、感染症及び自己免疫疾患の見込みのある治療効果が与えられると、より大きい強力であるか又は異なった活性を有する構造的な類似体を開発する可能性は、明白な関心の領域である。この点について、以前の1つの報告は、実験的なアレルギー性脊髄炎(EAE)のマウスモデルにおける自己免疫性を抑制する能力の増加を示した一部切断されたスフィンゴシン塩基を有するKRN7000の合成類似体を記載した(Miyamoyoら、2001)。この化合物の構造は、それを報告した研究者らによって「OCH」と称され、図3に示される。αGalCerスフィンゴシン塩基で変化した他の変形体は、米国特許第5,936,076号に同定される。対照的に、脂肪酸鎖の修飾に関するほんの僅かな以前の研究がある。脂肪酸長の変形は、Kawanoら(1997)によって研究されたが、この分析は、非常に制限され、任意の調査している性質を明らかにしない。
【0018】
1997年11月から現在までに日付された大部分の文献は、KRN7000が哺乳動物の免疫系を活性化する機構を研究している(Kawanoら、1997;Benlaghaら、2000;Burdinら、1999;Croweら、2003;Naidenkoら、1999;Sidobreら、2002;Godfreyら、2000;Smyth及びGodfrey,2000)。これらの研究は、KRN7000の効果に関する最も近い機構が、大部分の造血細胞、並びにいくつかの上皮及び他の細胞系統に発現されるCD1dタンパク質へのこの化合物の結合であることを一様に示す。KRN7000のCD1dへの結合は、ナチュラルキラーT細胞(NK T細胞)と呼ばれる一組のTリンパ球のT脂肪抗原受容体(TCR)による高アフィニティーを用いて認識される分子複合体を生み出す。KRN7000/CD1d複合体の認識は、肝臓、腎臓及び他のリンパ様臓器に常駐し、潜在的に任意の組織に行き来する可能性を有するNK T細胞の急速な活性化へと導く。活性化したNK T細胞は、幅広いケモカイン及び他のサイトカインを急速に分泌し、同時に、樹状細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞のような他の細胞型を活性化する能力を有する。KRN7000/CD1d複合体によるNK T細胞の活性化に続く一連の出来事は、免疫系に関する多くの可能性のある下流の効果を有することを示している。例えば、ある型の感染において、これは、感染に対する免疫性を高め、治癒を促進するアジュバント効果に導くことができる。あるいは、ある型の自己免疫疾患において、KRN7000によるNK T細胞の活性化は、組織の破壊を抑制し、疾患を改善する方法において自己免疫応答の進行を変えることができる。後者の効果は、自然発生のI型真性糖尿病のマウスモデル(即ち、NODマウス血統、図2)において本質的に強力であることを実証している(Sharifら、2001;Sharifら、2002;Hongら、2001;Wangら、2001)。
【0019】
NK Tリンパ球の機能は、完全には解決されないままであるが、様々な研究は、免疫応答の制御におけるこれらのT細胞について重要な役割を指摘する。NK T細胞の顕著な特徴は、それらのαβTCRを介した刺激に基づく大量のIL−4及びIFN−γの急速な産生である(Exleyら、1997;Yoshimotoら、1994;Yoshimotoら、1995a;Yoshimotoら、1995b)。実際に、それらの同定、恐らくは免疫活性化の間のIL−4の初期産生の原因となる主要な細胞は、それらは、分極している2型(Th2)T細胞応答における重要な役割を果たすかもしれないことを示唆した。この点では、NK T細胞が、マウスにおける異なった種々の病原菌を用いた感染の結果を決定するのに重要な役割を果たすために同定されていることは当然である。さらに、NK T細胞の主要な免疫制御の役割は、ヒト及びNODマウスモデルの両方における自己免疫のI型真性糖尿病において提案されている。ヒト患者において、病気にかかりやすい患者における明白な真性糖尿病に対する進行は、循環しているNK T細胞の数の減少、及びそれらがIFNγの産生を保持しているIL−4を産生するこれらの細胞の能力の欠如と関連する(Wilsonら、1998)。これらの発見は、NODマウスにおける実質的に同一の観察によって強く支持される。最も重要なことには、多くの研究は、NODモデルにおける真性糖尿病の開始が、養子免疫伝達を介した利用可能なIL−4を産生するNK T細胞の数の増加、又はVα14−Jα281 TCRαトランス遺伝子の発現によって、遅延され、又は妨げられさえすることができる(Hanmmondら、1998;Lalouxら、2001)。最近、インビボにおいてαGalCer(KRN7000)を用いたNODマウスの治療が明白な真性糖尿病の開始を変化し、遅延し、又は妨げられさえすることができ(Hongら、2001;Sharifら、2001)、自己免疫障害の調節に関する薬理学的な試薬としてこの化合物及び関連する類似体の開発に対する強力な先例を提供する。
【0020】
自己免疫疾患
自己免疫疾患は、患者自身の細胞及び組織を攻撃する自己の免疫系の結果である。これは、多発性硬化症、重症筋無力症、アジゾン病、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、ベーチェット病、クローン病及び潰瘍性大腸炎、グッドパスチャー症候群、尋常性天疱瘡、原発性胆汁性肝硬変、リウマチ熱、サルコイドーシス、脈管炎、白斑、ヴェグナー肉芽腫症、移植片対宿主病、メニエール病、関節リウマチ、真性糖尿病、全身性紅班性狼瘡(SLE)、乾癬、強皮症、特発性血小板減少性紫班病、炎症性腸疾患、糸球体腎炎、及びシェーグレン病を含む広範囲な疾患に帰着し得る。大部分に関して、自己免疫病の病因は理解が不十分であり、全身性紅班性狼瘡のような自己免疫疾患に対するいくつかの治療があるが、全て重大な欠点を有する。つまり、自己免疫疾患に対するより安全でしかもより効果的な治療が必要である。
【0021】
全身性紅班性狼瘡(SLE)は、複数の重要臓器を損傷する一般的な自己免疫疾患であり、最良の利用可能な現在の治療が適用される場合でさえもかなりの死亡率及び致死率を引き起こす(Kotzin、1996;Pisetskyら、1997)。
【0022】
SLEの発症についても最新のモデルは、Bリンパ球の自己反応性、及び種々の自己抗体の産生に焦点を合わせている。疫学の研究及び動物モデルの多量なデータは、二本鎖DNA(dsDNA)及び特異的な核酸/タンパク質複合体に対する抗体のようなヒトにおけるSLEと関連したある種の自己抗体が、疾患の病因に直接的な役割を果たすという見解を支持する(Hahn、1998)。つまり、SLEの原因及び効果的な治療の研究の主要な目的は、B細胞コンパートメントに耐性を維持し、B細胞の自己活性化を制御する機構を同定することである。このような機構は、SLEの改善された治療及び予防の開発に対する最も効果的な目的を提供するかもしれない。
【0023】
ここ数年、SLEのマウスモデルは、この障害に導く基本的な機構の本出願人の理解に大いに貢献している(Datta、1988;Silveira及びBaxter、2001)。ヒト疾病の強く似ている多くの側面に一般的に許容されるSLEの遺伝的なマウスモデルは、ニュージーランドブラック雌性マウス及びニュージーランドホワイト雄性マウスとの間のF1交配に発生するものである(NZB/W F1マウス)。これらのマウスは、IgM及び二本鎖DNA(dsDNA)抗体の分泌を伴って、若年齢でB細胞の自己反応性の兆候を発生する。約6月齢で、NZB/W F1マウスは、IgMからIgGまでの自己抗体分泌の移行を示し、これは、病原性であるカチオン性IgG抗dsDNA抗体の産生と関連し、免疫複合性糸球体腎炎の原因となる(Zengら、2000)。類似の方法で、lpr突然変異を有するマウスは、年齢依存性の自然発生のSLE様疾患の発症を提示し、また、ヒトにおけるSLEに特徴的であるdsDNA及び他の標的抗原に対するIgG抗体の高い力価の発生と関連する。これらのSLEの自然発生のモデルは、B細胞の自己反応性及びSLEの発症を妨げるのにどんな役割を果たすことができるかを決定するための免疫制御及び寛容の種々の機構を調べる優れたモデル系を提供する。
【0024】
マウスにおける自然発生のSLEのこれらの遺伝的モデルに加えて、自己免疫にかかりやすくない遺伝的背景におけるSLEの誘導に導くかもしれない過程を研究するために種々のモデルが考案されている。これらのモデルは、自己活性のリンパ球を存続させ、活性化されるようにする正常な免疫寛容の崩壊に導くかもしれない機構を測定する手助けに有用であった。このようなモデルは、一般的に、現実の疾患の正確なシミュレーションを提供しない。SLEに特有なものと類似する自己抗体産生に導く誘導可能なB細胞の自己免疫性の2つのモデルは、R4A重鎖のトランスジェニックマウスモデル及び自己免疫性マウスモデルを誘導したMAPペプチドである。
【0025】
B細胞の自己免疫性のR4Aトランスジェニックマウスモデルは、B細胞の寛容の機構に関する非常に多くの情報を与える研究の主題であった(Bynoeら、2000;Kuoら、1999;Bynoeら、1999)。これらのマウスは、R4Aと呼ばれるモノクローナル抗dsDNA抗体の再配列したIgG2b重鎖をコードするトランス遺伝子を発現する。初代のR4A抗体は、dsDNAに対して中程度のアフィニティーを有し、腎糸球体に堆積物を形成する傾向があるために、BALB/cマウスにおける病原性抗体として分類される。R4Aはまた、α−アクチニンであるとして最近同定された、メサンギウム細胞に発現したタンパク質抗原に高アフィニティーで結合することを示す。R4Aトランス遺伝子(R4A Tg)マウスにおいて、再配列したIgG2b重鎖は、dsDNAに対する変化するアフィニティー、並びに推定上の非常に多くの非自己免疫特異性を有する抗体を生じる無数の内因性の軽鎖と関連する。
【0026】
血清の自己抗体の力価は、R4A Tgマウスにおいてごく僅かであるが、マウスは、抗dsDNA B細胞の少なくとも3つの別個の集団を提供する(Spatzら、1997)。正常に削除されたR4A Tgマウスの高アフィニティーな抗dsDNA B細胞はまた、エストラジオールを用いてこれらのマウスの治療により救出され得る(Bynoeら、2000)。このトランスジェニックマウスモデルは、抗dsDNAの認知に対して強力な固有の歪みを有するB細胞の選別と生存を制御する因子を研究する感度の良い環境を提供する。
【0027】
MAPペプチドを誘導したモデルでは、非自己免疫BALB/cマウスは、多量体化した形態の合成ペプチド(DWEYSVWLSN)を用いて免疫化に続く狼瘡様自己免疫性を発症することを誘導することが可能である(Gaynorら、1997;Puttermanら、1998;Puttermanら、2000)。抗原ペプチドは、dsDNAのミメトープ(mimetope)として機能するコア配列(DWEYS)を含有する。ペプチドミメトープDWEYSVWLSNの免疫原性を増加するには、8つに分岐したポリリジン骨格に結合させ、完全フロインドアジュバントに乳化させることである。この多重抗原ペプチド(MAP)結合体を用いて免疫したマウスは、IgM及びIgGアイソタイプの抗dsDNA抗体を生じ、また、SLEに固有の種々の他の自己抗原に対する抗体、及び腎糸球体におけるIgM及びIgG堆積物を生じる。MAPペプチドで免疫したBALB/cマウスから単離した抗dsDNA抗体は、NZB/W F1のような自然発生の遺伝的なマウスのSLEモデルから単離した自己抗体にいくつかの顕著な類似性を示す。このモデルは、寛容を崩壊する能力を有する所定の免疫化する刺激の調節された適用に続く正常動物において発症する自己免疫性の調節を評価する機会を提供する。
【0028】
多くの研究は、自己免疫性真性糖尿病の発症と関連したものと類似したNK T細胞における異常はまたSLEに存在することを強く示唆する。例えば、Takeda及びDennertは、はじめに、C57BL/6lpr/lprマウスにおける自己免疫の発症がNK1.1細胞の消失と相関することを報告し、インビボにおけるこれらの細胞の欠失が疾患を加速させ、一方、NK1.1細胞の養子免疫伝達が疾患の開始を遅延させることを示した(Takedaら、1993)。この研究は、インビボの分析においてNK細胞とNK T細胞との間の区別をしなかったが、インビトロにおいて、CD3NK1.1集団が抗DNA自己抗体産生の直接的な阻害を仲介することを示した。その後、Miezaらは、MRL lpr/lpr、C3H gld/gld及びNZB/W F1マウスを含む、狼瘡になりやすいマウスにおける疾患の発症と同時に不変のVα14−Jα281再配列を発現するNK T細胞の顕著な減少及び結果として生じる消失の発生を示している(Miezaら、1996)。これらの研究者らはまた、Vα14トランスジェニックMRL lpr/lprマウスは、Vα14NK T細胞のレベルを上方制御するが、リンパ球増殖性疾患の有意な抑制を示し、Vα14 NK T細胞はこのSLEの動物モデルにける疾患の開始及び進行において有意な制御的役割を果たすかもしれないことを確実にした。
【0029】
重要なことに、SLEを用いたヒトにおける最近の調査結果は、マウスのSLEモデルにおいて発見されたNK T細胞の欠損と密接に匹敵するものを含むCD1−反応性T細胞の変化を示している。例えば、Sielingらは、SLEを有するヒト患者は、循環のリンパ球プールにおいてCD1を制御するCD4T細胞の数を増加させ、これらの異常なT細胞が抗体を産生させ、アイソタイプのスイッチを被ることを報告した(Sielingら、2000)。これらの細胞は、CD1dと一緒に、B細胞によって強力に発現していることで知られる2つのヒトCD1アイソフォームの1つであるヒトCD1cタンパク質を認識することが見出された。さらにより顕著なのは、Oishiらによって報告された結果であり、不変のTCRα鎖を発現するNK T細胞が、活性なSLEを患っているヒト患者の循環に本質的に存在しないことを示した。コルチコステロイド誘導の緩和に続いて、NK T細胞が再度検出することができ、これらの制御性T細胞の存在と疾患活性のレベルとの間の興味ある逆相関を確認した(Oishiら、2001)。別の最近の研究は、ヒトのSLEにおける多くのこれらの調査結果を確認し(Kojoら、2001)、全身性硬化症、即ち、核抗原に対する突出した自己抗体産生を含むSLEを有するいくつかの特徴を共有する全身性自己免疫疾患を患っている患者における研究について、非常に類似した調査結果がSumidaらによって報告された(Sumidaら、1995)。これらの結果は、マウスモデルで報告された異常性とヒトにおける真のSLEと他の関連した自己免疫疾患との間の強力な相関関係を指示した。CD4CD8NK T細胞の数を増加させることによる自己免疫疾患を治療する方法を開示する米国特許第6,162,609号も参照されたい。開示されたこれらの細胞を増加させる方法は、それらをCD1d又はその断片に晒すことである。
【0030】
他の自己免疫疾患は、自己抗体によって少なくとも部分的に仲介される病因を有する点においてSLEと類似しているようだ。これに含まれるものは、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、ギラン・バレー症候群、抗リン脂質症候群、グッドパスチャー症候群、移植片対宿主疾患、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、強皮症、脈管炎、白斑、ヴェグナー肉芽腫症、関節リウマチ、糸球体腎炎、特発性血小板減少性紫班病、及びシェーグレン病である。
【0031】
ワクチン
T非依存性抗原及びT依存性抗原の両方に対するワクチンが開発され、及び開発中である。T非依存性免疫応答は、一般的に、効果的なワクチンを生産するために必要な記憶成分を有していないため、T非依存性抗原に対するワクチンは、しばしば、通常、T非依存性応答を誘導する病原体の成分、例えば特徴的な多糖を採取し、そして、T依存性応答を誘導することができる担体分子に成分を結合することによって開発される。したがって、この成分は、願わくば、T非依存性病原体の成分に対するT依存性免疫反応(及び記憶B細胞産生)を引き起こすT依存性抗原の部分となる。しかしながら、これらのワクチンは、T依存性抗原に対する多くのワクチンと同様に、しばしば、ワクチン化した動物が病原体によるその後のチャレンジを効果的に撃退することができるだけの十分なT依存性免疫応答を誘導することができない。KRN7000は、T細胞を活性化し、T依存性応答を改善する能力により、ワクチンに対する効果的なアジュバントであることが示されている(PCT特許公報WO93/05055)。
【0032】
受動免疫
癌治療の増加している重要な手段は、乳癌を患っている患者の一部において、非ホジキンズリンパ腫(NHL)又はHer2/neuのCD20のような特異的腫瘍標的分子に対するヒト抗体の投与である。NHLの治療のための抗CD20抗体の効能は、部分的には、ナチュラルキラー(NK)細胞の主要な機能である抗体依存性細胞障害(ADCC)によって仲介されることが示されている。腫瘍抗原に指向されたこのような受動的に転移された抗体治療の効果を増加するための潜在的に重要な戦略は、NK細胞の活性化及び増殖を促進するアジュバントの同時投与によってNK活性を増大させることであろう。NK T細胞がIFNγを産生するNK細胞の活性化において果たす重要な役割のために、NK T細胞のNKを刺激する活性をさらに増加する本明細書中に記載した分子は、抗体治療のための価値あるアジュバントであるかもしれない。
哺乳動物の免疫におけるNK T細胞の重要性により、NK T細胞の追加の調節因子の同定及び特徴付けが必要である。本発明はその必要性に取り組む。
【0033】
発明の概要
したがって、本発明者らは、多くのαGalCerの変形体がNK T細胞を活性化できること、これらの変形体は、化合物を効果的に提示する細胞型において異なること、そして、NK T細胞を活性化するために使用される場合、これらの変形体は多様なサイトカインプロフィールを誘導することを発見した。
【0034】
したがって、ある態様では、本発明は、式I:
【化7】

[式中、
R1は、少なくとも1個のC=C結合を有する直線状又は分岐したC1−C27アルケンであるが、−(CH27CH=CH(CH27CH3でなく、又はR1は、C(OH)−R3(ここで、R3は、少なくとも1個のC=C結合を有する直線状又は分岐したC1−C26アルケンである)であり;そして、
R2は、下記(a)−(e):
(a)−CH2(CH2xCH3
(b)−CH(OH)(CH2xCH3
(c)−CH(OH)(CH2xCH(CH32
(d)−CH=CH(CH2xCH3
(e)−CH(OH)(CH2xCH(CH3)CH2CH3
{式中、Xは、5〜17の範囲の整数である}
の1つである]
を含むα−ガラクトシルセラミドに関する。
別の態様では、本発明は、式I:
【化8】

[式中、
R1は、分岐したC1−C27アルカンであり、又は
R1は、C(OH)−R3(ここで、R3は、直線状又は分岐したC1−C26アルケンである)であり;そして、
R2は、下記(a)−(e):
(a)−CH2(CH2xCH3
(b)−CH(OH)(CH2xCH3
(c)−CH(OH)(CH2xCH(CH32
(d)−CH=CH(CH2xCH3
(e)−CH(OH)(CH2xCH(CH3)CH2CH3
{式中、Xは、5〜17の範囲の整数である}
の1つである]
を含むα−ガラクトシルセラミドに関する。
追加の態様では、本発明は、式I:
【化9】

[式中、
R1は、C6−C27アルカン又はアルケン(ここで、(i)C6−C27アルカン又はアルケンは、C5−C15シクロアルカン、C5−C15シクロアルケン、ヘテロ環又は芳香族環で置換され、あるいは(ii)C6−C27アルカン又はアルケンは、C6−C27アルキル又はアルケニル鎖内に、C5−C15シクロアルカン、C5−C15シクロアルケン、ヘテロ環又は芳香族環を含む)であり;そして、
R2は、下記(a)−(e):
(a)−CH2(CH2xCH3
(b)−CH(OH)(CH2xCH3
(c)−CH(OH)(CH2xCH(CH32
(d)−CH=CH(CH2xCH3
(e)−CH(OH)(CH2xCH(CH3)CH2CH3
{式中、Xは、5〜17の範囲の整数である}
の1つである]
を含むα−ガラクトシルセラミドに関する。
本発明は、追加的に、式I:
【化10】

[式中、
R1は、−C(=O)OCH2CH3、−(CH26CH3、−(CH24Cl、−(CH216CH3、−(CH25CH3、−(CH22CH3、−(CH24CH3、−(CH28CH3、−C(CH210CH3、−C(CH212CH3から成る群から選択され;そして、
R2は、下記(a)−(e):
(a)−CH2(CH2xCH3
(b)−CH(OH)(CH2xCH3
(c)−CH(OH)(CH2xCH(CH32
(d)−CH=CH(CH2xCH3
(e)−CH(OH)(CH2xCH(CH3)CH2CH3
{式中、Xは、5〜17の範囲の整数である}
の1つである]
を含むα−ガラクトシルセラミドに関する。
更なる態様では、本発明は、式II:
【化11】

[式中、
R1は、直線状若しくは分岐したC1−C27アルカン又はアルケンであり、又は、
R1は、C(OH)−R3(ここで、R3は、少なくとも1個のC=C結合を有する直線状若しくは分岐したC1−C26である)であり、
あるいは、R1は、C6−C27アルカン又はアルケン(ここで、(i)C6−C27アルカン又はアルケンは、C5−C15シクロアルカン、C5−C15シクロアルケン、ヘテロ環又は芳香族環で置換され、あるいは(ii)C6−C27アルカン又はアルケンは、C6−C27アルキル又はアルケニル鎖内に、C5−C15シクロアルカン、C5−C15シクロアルケン、ヘテロ環又は芳香族環を含む)であり;
R2は、下記(a)−(e):
(a)−CH2(CH2xCH3
(b)−CH(OH)(CH2xCH3
(c)−CH(OH)(CH2xCH(CH32
(d)−CH=CH(CH2xCH3
(e)−CH(OH)(CH2xCH(CH3)CH2CH3
{式中、Xは、5〜17の範囲の整数である}
の1つであり;
R4は、α−ガラクトシル及びβ結合の単糖以外のα結合の単糖である]
を含むグリコシルセラミドに関する。
【0035】
本発明はまた、上述した任意のα−ガラクトシルセラミド又はグルコシルセラミドを含む医薬組成物に関する。
更なる態様では、本発明は、上述した任意のα−ガラクトシルセラミド又はグルコシルセラミド及び樹状細胞を含む組成物に関する。
【0036】
本発明はまた、哺乳動物にワクチンを投与する方法に関する。この方法は、任意の上記のα−ガラクトシルセラミド又はグリコシルセラミドを併用してワクチンを投与することを含む。
【0037】
追加の態様では、本発明は、NK T細胞を活性化する方法に関する。この方法は、NK T細胞を上述した任意のα−ガラクトシルセラミド又はグリコシルセラミドと接触させることを含む。
【0038】
本発明は、追加的に、哺乳動物における免疫系を刺激する方法に関する。この方法は、有効量の上記の医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む。
本発明は、さらに、樹状細胞を上記の医薬組成物と接触させ、この樹状細胞を哺乳動物に注入することによって哺乳動物の免疫系を刺激する方法を含む。
【0039】
更なる態様では、本発明は、CD1dタンパク質を発現する細胞の存在下で、NK T細胞を活性化する化合物の能力に関してその化合物を評価する方法に関する。この方法は、CD1dタンパク質を発現する1より多くの細胞型の存在下で、化合物をNK T細胞と組み合わせ、NK T細胞が活性化するかどうかを評価することを含む。
本発明はまた、哺乳動物における自己免疫疾患、癌又は感染症を治療又は予防する方法に関する。この方法は、上述した医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む。
【0040】
発明の詳細な説明
本発明は、種々のセラミド様糖脂質、即ち、α−ガラクトシルセラミド又は他のα−グリコシルセラミド(「セラミド様糖脂質」)、具体的には、KRN7000における部分の変形体が、NK T細胞を調節することができるという発見に基づく。本発明はまた、セラミド様糖脂質が、それらを効果的に提示する細胞型で相違し、それらがNK T細胞を活性化するために使用される場合に様々なサイトカインを誘導することができるという発見に基づく。
【0041】
一態様において、セラミド様糖脂質は、NK T細胞によるサイトカイン産生を活性化する。別の態様において、セラミド様糖脂質は、NK T細胞によるサイトカイン産生を抑制する。さらに別の態様では、セラミド様糖脂質は、NK T細胞によって産生されるサイトカインの比率を変化する。
【0042】
定義:
語句「化合物を提示する」は、本明細書中で使用されるとき、細胞が、NK T細胞の調節を引き起こす複合体を提供するために細胞表面に化合物を結合することを意味する。
【0043】
語句「化合物を効果的に提示する」は、本明細書中で使用されるとき、化合物が約1μM未満の濃度で存在する場合、細胞が、NK T細胞の調節を引き起こす複合体を提供する細胞表面の化合物に結合するであろうことを意味する。
【0044】
用語「調節する」、「調節」等は、本明細書中で使用されるとき、所定の機能が変化されたことを意味する。例えば、語句「複合体がNK T細胞の活性又は活性化を調節する」とは、複合体が、NK T細胞の活性、例えばサイトカイン産生を、複合体がない場合になされたであろうものとは異なるように引き起こすことを意味する。活性における変更は、例えば、複合体がない場合に産生されたサイトカイン量と比較して複合体の存在下で産生されたサイトカイン量の増加(NK T細胞の活性化又は誘導)であり、又は、複合体がない場合に産生されたサイトカイン量と比較して複合体の存在下で産生されたサイトカイン量の減少(NK T細胞の抑制)、あるいは、NK T細胞によって産生される異なるサイトカインの比率の変化であり得る。
【0045】
語句「C6−C27アルカン」は、本明細書中で使用されるとき、6〜27個の炭素原子を有する直鎖又は分岐した非環状炭化水素を意味する。代表的な直鎖C6−C27アルカンは、−メチル、−エチル、−n−プロピル、−n−ブチル、−n−ペンチル、−n−ヘキシル、−n−ヘプチル、−n−オクチル、−n−ノニル、及び−n−デシルを含む。代表的な分岐したC6−C27アルカンは、−イソプロピル、−sec−ブチル、−イソブチル、−tert−ブチル、−イソペンチル、−ネオペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、3−エチルブチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル、1,2−ジメチルペンチル、1,3−ジメチルペンチル、1,2−ジメチルヘキシル、1,3−ジメチルヘキシル、3,3−ジメチルヘキシル、1,2−ジメチルヘプチル、1,3−ジメチルヘプチル、及び3,3−ジメチルヘプチルを含む。
【0046】
語句「C6−C27アルケン」は、本明細書中で使用されるとき、6〜27個の炭素原子を有し、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む直鎖又は分岐した非環状炭化水素を意味する。代表的な直鎖及び分岐したC6−C27アルケンは、−ビニル、−アリル、−1−ブテニル、−2−ブテニル、−イソブチレニル、−1−ペンテニル、−2−ペンテニル、−3−メチル−1−ブテニル、−2−メチル−2−ブテニル、−2,3−ジメチル−2−ブテニル、−1−ヘキセニル、−2−ヘキセニル、−3−ヘキセニル、−1−ヘプテニル、−2−ヘプテニル、−3−ヘプテニル、−1−オクテニル、−2−オクテニル、−3−オクテニル、−1−ノネニル、−2−ノネニル、−3−ノネニル、−1−デセニル、−2−デセニル、−3−デセニル等を含む。
【0047】
語句「C5−C15シクロアルカン」は、本明細書中で使用されるとき、5〜15個の炭素原子を有する飽和環状炭化水素を意味する。代表的なC5−C15シクロアルカンは、−シクロペンチル、−シクロヘキシル、−シクロヘプチル、−シクロオクチル、−シクロノニル及び−シクロデシルである。語句「C5−C15シクロアルカン」はまた、ビシクロアルカン及びトリシクロアルカンを包含する。用語「ビシクロアルカン」は、本明細書中に使用されるとき、8〜15個の炭素原子及び少なくとも1個の飽和環状アルキル環を有する二環式炭化水素環系を意味する。代表的なビシクロアルカンは、−インダニル、−1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、−5,6,7,8−テトラヒドロナフチル、−ペルヒドロナフチル等を含む。用語「トリシクロアルカン」は、本明細書中で使用されるとき、8〜15個の炭素原子及び少なくとも1個の飽和環を有する三環式炭化水素環系を意味する。代表的なトリシクロアルカンは、−ピレニル、−1,2,3,4−テトラヒドロアントラセニル、−ペルヒドロアントラセニル、−アセアントレネイル、−1,2,3,4−テトラヒドロペナントレニル、−5,6,7,8−テトラヒドロフェナントレニル、−ペルヒドロフェナントレニル等を含む。
【0048】
語句「C5−C15シクロアルケン」は、本明細書中で使用されるとき、環系において少なくとも1個の炭素−炭素二重結合及び5〜15個の炭素原子を有する単環式非芳香族炭化水素を意味する。代表的なC5−C15シクロアルケンは、−シクロペンテニル、−シクロペンタジエニル、−シクロヘキセニル、−シクロヘキサジエニル、−シクロヘプテニル、−シクロヘプタジエニル、−シクロヘプタトリエニル、−シクロオクテニル、−シクロオクタジエニル、−シクロオクタトリエニル、−シクロオクタテトラエニル、−シクロノネニル、−シクロノナジエニル、−シクロデセニル、−シクロデカジエニル等を含む。語句「C5−C15シクロアルケン」はまた、ビシクロアルケン及びトリシクロアルケンを包含する。用語「ビシクロアルケン」は、本明細書中で使用されるとき、環の1つに少なくとも1個の炭素−炭素二重結合及び8〜15個の炭素原子を有する二環式炭化水素環系を意味する。代表的なビシクロアルケンは、限定されないが、−インデニル、−ペンタレニル、−ナフタレニル、−アズレニル、−ヘプタレニル、−1,2,7,8−テトラヒドロナフタレニル等を含む。用語「トリシクロアルケン」は、本明細書中で使用されるとき、環の1つに少なくとも1個の炭素−炭素二重結合及び8〜15個の炭素原子を有する三環式炭化水素環系を意味する。代表的なビシクロアルケンは、限定されないが、−アントラセニル、−フェナントレニル、−フェナレニル、−アセナフタレニル、as−インダセニル、s−インダセニル等を含む。
【0049】
用語「ヘテロ環」は、本明細書中で使用されるとき、最大4個のヘテロ原子を含有する飽和、不飽和の非芳香族又は芳香族のいずれかである3〜10員の単環式又は二環式へテロ環状環を意味する。各々のヘテロ原子は、独立して、四級化し得る窒素;酸素;及び、硫黄(スルホキシド及びスルホンを含む)から選択される。ヘテロ環は、窒素、硫黄、又は炭素原子を介して結合され得る。代表的なヘテロ環は、ピリジル、フリル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリンジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、キノリニル、−イソキノリニル、−クロモニル、−クマリニル、−インドリル、−インドリジニル、−ベンゾ[b]フラニル、−ベンゾ[b]チオフェニル、−インダゾリル、−プリニル、−4H−キノリジニル、−イソキノリル、−キノリル、−フタルアジニル、−ナフチリジニル、−カルバゾリル、−β−カルボリニル等を含む。用語「ヘテロ環」はまた、ヘテロアリールを含む。用語「ヘテロアリール」は、本明細書中で使用されるとき、単環式及び二環式環系の両方を含む5〜10員の芳香族ヘテロ環を意味し、環の1つ又は両方の少なくとも1個の炭素原子が、窒素、酸素及び硫黄から独立に選択されるヘテロ原子で置換される。ヘテロアリール環の1つ又は両方は、少なくとも1個の炭素原子を含有する。代表的なヘテロアリールは、ピリジル、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、ピロリル、インドリル、オキサゾリル、ベンゾキサゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアジアゾリル、トリアジニル、シノリニル、フタラジニル、キナゾリニルを含む。
【0050】
語句「芳香族環」は、本明細書中で使用されるとき、単環式、二環式及び三環式環系の両方を含む5〜14員の芳香族炭素環式環を意味する。代表的な芳香族環は、フェニル、ナフチル、アントリル及びフェナントリルである。
【0051】
語句「オキソ」は、本明細書中で使用されるとき、酸素に対する二重結合を意味する。
語句「ハロ」及び「ハロゲン」は、本明細書中で使用されるとき、クロロ、ブロモ、ヨード、及びフルオロを意味する。
【0052】
用語「ワクチンに対するアジュバント」は、本明細書で使用されるとき、特異抗原の免疫性を非特異的に増加する任意の物質を意味する。
語句「〜の治療」及び「治療すること」は、疾患、障害又はその兆候の改善又は停止を含む。
語句「〜の予防」及び「予防すること」は、疾患、障害又はその兆候の開始の回避を含む。
【0053】
セラミド様糖脂質
一態様において、本発明は、式I:
【化12】

[式中、
R1は、少なくとも1個のC=C結合を有する直線状又は分岐したC1−C27アルケンであるが、−(CH27CH=CH(CH27CH3でなく、又はR1は、C(OH)−R3(ここで、R3は、少なくとも1個のC=C結合を有する直線状又は分岐したC1−C26アルケンである)であり;そして、
R2は、下記(a)−(e):
(a)−CH2(CH2xCH3
(b)−CH(OH)(CH2xCH3
(c)−CH(OH)(CH2xCH(CH32
(d)−CH=CH(CH2xCH3
(e)−CH(OH)(CH2xCH(CH3)CH2CH3
{式中、Xは、5〜17の範囲の整数である}
の1つである]
を含むα−ガラクトシルセラミドであるセラミド様糖脂質に関する。
【0054】
スフィンゴシン部分中の部分(a)−(e)を有するセラミド様糖脂質は、NK T細胞を活性することができることで知られている。米国特許第5,936,076号を参照されたい。しかしながら、この特許は、脂肪酸部分における変形体がNK T細胞を活性化できるであろうかどうかを評価しなかった。
【0055】
一態様において、スフィンゴシン部分(R2)は、CH(OH)(CH213CH3であり、KRN7000と同じである。それは、この化合物が広く評価されているからである。
【0056】
実施例で例証されるように、いくつかのセラミド様糖脂質は、NK T細胞を活性化する能力においてKRN7000と同じであるか、又はそれよりも強力である。これらのセラミド様糖脂質は、種々の脂肪酸長及び不飽和脂肪酸結合の数を有することができる。セラミド様糖脂質の例は、限定されないが、DB03−4(ここで、R1は(CH29CH=CH−CH2−CH=CH(CH24CH3である);DB03−5(ここで、R1は(CH22CH=CH−CH2−CH=CH−CH2−CH=CH−CH2−CH=CH−(CH24CH3である);DB03−6(ここで、R1は(CH23CH=CH−CH2−CH=CH−CH2−CH=CH−CH2−CH=CH−CH2−CH=CH−CH2−CH3である);そして、DB03−10(ここで、R1は(CH27CH=CH−CH2−CH=CH=(CH24−CH3である)を含む。
【0057】
一態様において、セラミド様糖脂質の二重結合は、シス配置を有する。
一態様において、セラミド様糖脂質のR2部分は、KRN7000と同じく、即ち、CH(OH)(CH213CH3である。
【0058】
一態様において、セラミド様糖脂質は、サイトカイン産生を誘導又は抑制することができる。一態様において、セラミド様糖脂質は、同濃度のKRN7000によって誘導されるのと同じか又はそれよりも大きいレベルで、NK T細胞によるサイトカイン産生を誘導する。セラミド様糖脂質はまた、それらが導き出すNK T免疫応答の点で異なる。例えば、NK T細胞によって産生される種々のサイトカインの比率は、実施例で例証されるように、異なるセラミド様糖脂質について相違し得る。
【0059】
サイトカイン産生を誘導又は抑制する任意のセラミド様糖脂質の能力は、NK T細胞によって産生される任意のサイトカインを測定することによって決定することができる。NK T細胞によるサイトカイン産生を測定する方法は、当業者に周知である。当業者に既知の任意の方法は、NK T細胞によるサイトカイン産生を測定するために使用することができ、限定されないが、本明細書中に開示したものを含む。一態様において、サイトカインは、IL−2、IL−4又はIFNγである。NK T細胞による産生が、セラミド様糖脂質を用いて調節することができる他のサイトカインは、限定されないが、TH2に関連したサイトカイン;サイトカインIL−13、IL−10、IL−5、RANTES、TNFα、及びリンホトキシンを含む。
【0060】
NK T細胞誘導の別の測定は、CD40L(CD154)の発現である。図11を参照されたい。つまり、NK T細胞を誘導する任意のセラミド様糖脂質の効果の測定はまた、CD40Lの発現を測定することによって決定することができる。CD40Lの発現を測定する方法は、当業者に周知である。当業者に既知の任意の方法は、CD40L発現を測定するために使用することができ、限定されないが、実施例に記載したものを含む。一態様において、CD40Lレベルは、蛍光標識した抗CD40L抗体で染色し、その後、当業者に周知な方法による細胞選別によって測定することができる。
【0061】
一態様において、サイトカイン又はNK T細胞のCD40Lのような細胞表面マーカーの調節は、CD1dを発現する抗原提示細胞(APC)株、例えば、RMA−S.mCD1dのようなリンパ球株、JAWS IIのような骨髄細胞系列の樹状APC株、又はHeLa.hCD1dのような上皮APC株を用いて本発明のセラミド様糖脂質を使用して達成される(実施例を参照されたい)。
【0062】
本発明はまた、式I:
【化13】

[式中、
R1は、分岐したC1−C27アルカンであり、又は
R1は、C(OH)−R3(ここで、R3は、直線状又は分岐したC1−C26アルケンである)であり;そして、
R2は、下記(a)−(e):
(a)−CH2(CH2xCH3
(b)−CH(OH)(CH2xCH3
(c)−CH(OH)(CH2xCH(CH32
(d)−CH=CH(CH2xCH3
(e)−CH(OH)(CH2xCH(CH3)CH2CH3
{式中、Xは、5〜17の範囲の整数である}
の1つである]
を含むα−ガラクトシルセラミドであるセラミド様糖脂質に関する。
【0063】
これらのα−ガラクトシルセラミドの一態様において、R2は、CH(OH)(CH213CH3、即ち、KRN7000と同じものである。
更なる態様では、本発明は、式I:
【化14】

[式中、
R1は、C6−C27アルカン又はアルケン(ここで、(i)C6−C27アルカン又はアルケンは、C5−C15シクロアルカン、C5−C15シクロアルケン、ヘテロ環又は芳香族環で置換され、あるいは(ii)C6−C27アルカン又はアルケンは、C6−C27アルキル又はアルケニル鎖内に、C5−C15シクロアルカン、C5−C15シクロアルケン、ヘテロ環又は芳香族環を含む)であり;そして、
R2は、下記(a)−(e):
(a)−CH2(CH2xCH3
(b)−CH(OH)(CH2xCH3
(c)−CH(OH)(CH2xCH(CH32
(d)−CH=CH(CH2xCH3
(e)−CH(OH)(CH2xCH(CH3)CH2CH3
{式中、Xは、5〜17の範囲の整数である}
の1つである]
を含むα−ガラクトシルセラミドであるセラミド様糖脂質に関する。
【0064】
これらの化合物の一態様において、R2は、CH(OH)(CH213CH3、即ち、KRN7000と同じものである。
ある態様において、R1は、オキソ;ヒドロキシ;ハロゲン;−OC(O)R5;−OR5;−C(O)R5;又はN(R52で置換され、ここで、R5は、独立して、水素、C1−C6アルキル、又はハロゲン、ヒドロキシ、ハロゲン、−OC(O)R6、−OR6、−C(O)R6、N(R62で場合により置換された芳香族環(ここで、各R6は、独立して、水素又はC1−C6アルキルである)である。
【0065】
一態様において、R1は、C6−C27アルカン又はアルケンであり、ここで、C6−C27アルカン又はアルケンは、C5−C15シクロアルカン、C5−C15シクロアルケン、ヘテロ環又は芳香族環で置換される。
【0066】
一態様において、R1は、C6−C27アルカン又はアルケンであり、ここで、C6−C27アルカン又はアルケンは、鎖内で、C5−C15シクロアルカン、C5−C15シクロアルケン、ヘテロ環又は芳香族環を含む。
【0067】
他の態様において、R1は、下記の部分:
【化15】

{式中、( )は、式Iの化合物に対するR1の結合点を表す}
の1つである。これらの化合物の例は、DB03−4、DB03−5、及びYTC03化合物4、6、11、15、17、18、24、25、27、29、30、31、33、34、35、36、38、39、40、41、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、56、58、59、60及び61である(実施例、図5及び表1を参照されたい)。特に効果的な化合物は、DB03−4及びYTC03化合物6、17、25、31、33、35、46、47、50、56、59及び60である。
これらのα−ガラクトシルセラミドの他の態様において、R2は、KRN7000のようなCH(OH)(CH213CH3である。
【0068】
追加の態様において、本発明は、式I:
【化16】

[式中、
R1は、−C(=O)OCH2CH3、−(CH26CH3、−(CH24Cl、−(CH216CH3、−(CH25CH3、−(CH22CH3、−(CH24CH3、−(CH28CH3、−C(CH210CH3、−C(CH212CH3から成る群から選択され;そして、
R2は、下記(a)−(e):
(a)−CH2(CH2xCH3
(b)−CH(OH)(CH2xCH3
(c)−CH(OH)(CH2xCH(CH32
(d)−CH=CH(CH2xCH3
(e)−CH(OH)(CH2xCH(CH3)CH2CH3
{式中、Xは、5〜17の範囲の整数である}
の1つである]
を含むα−ガラクトシルセラミドであるセラミド様糖脂質に関する。
【0069】
実施例に例証されるように、例えば、図5の化合物YTC03−4、6、11、15、25、27、31、34、35、及び36を参照されたい。
上述した他の実施例と同様に、R2は、KRN7000のようなCH(OH)(CH213CH3である。
【0070】
本発明者らはまた、αGalCerのガラクトース部分が、他のα結合の単糖で置換でき、得られたα−グリコシルセラミドはNK T細胞を活性化することができることを発見した。図5D及び11、並びに実施例を参照されたい。つまり、本発明はまた、式II:
【化17】

[式中、
R1は、直線状若しくは分岐したC1−C27アルカン又はアルケンであり、又は、
R1は、C(OH)−R3(ここで、R3は、少なくとも1個のC=C結合を有する直線状若しくは分岐したC1−C26アルケンである)であり;
あるいは、R1は、C6−C27アルカン又はアルケン(ここで、(i)C6−C27アルカン又はアルケンは、C5−C15シクロアルカン、C5−C15シクロアルケン、ヘテロ環又は芳香族環で置換され、あるいは(ii)C6−C27アルカン又はアルケンは、C6−C27アルキル又はアルケニル鎖内に、C5−C15シクロアルカン、C5−C15シクロアルケン、ヘテロ環又は芳香族環を含む)であり;
R2は、下記(a)−(e):
(a)−CH2(CH2xCH3
(b)−CH(OH)(CH2xCH3
(c)−CH(OH)(CH2xCH(CH32
(d)−CH=CH(CH2xCH3
(e)−CH(OH)(CH2xCH(CH3)CH2CH3
{式中、Xは、5〜17の範囲の整数である}
の1つであり;そして、
R4は、α−ガラクトシル及びβ結合の単糖以外のα結合の単糖である]
を含むグリコシルセラミドであるセラミド様糖脂質に関する。
【0071】
一態様において、R4は、α−ガラクトシル以外のα結合の単糖である。
一態様において、α結合の単糖はα−グルコシルである。
別の態様において、α結合の単糖はα−フコシルである。
一態様において、R4は、β結合の単糖である。
一態様において、β結合の単糖はβ−マンノシルである。
【0072】
これらの態様のメンバーの例は、DB03−8(図5B)(ここで、R4はフコースであり、R1は(CH222−CH3である)(実施例及び図11を参照)、及びDB02−1(ここで、R4はグルコースである)(実施例及び図5Dを参照)である。一態様において、R2は、CH(OH)−(CH213−CH3である。一態様において、R1は、(CH222−CH3であり、R2は、CH(OH)−(CH213−CH3である。しかしながら、上記で開示したα−ガラクトシルセラミドにおいて有効である任意のR1部分は、α−グリコシルセラミドに有用であることが期待されるであろう。これらの態様における単糖(R4位置で)の例は、グルコース、フコース、ガラクトース、及びマンノースである。
【0073】
R4がβ結合の単糖である代表的な例は、DB04−8及びDB04−9である。
【化18】

【0074】
本発明の代表的ないくつかのセラミド様糖脂質は、下記の表:
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【0077】
【表3】

【0078】
に提供される。
インビボ活性は、マウスにおける活性を意味する(実施例参照)。
インビトロ活性は、マウスの細胞アッセイ系における活性を意味する(実施例参照)。
【0079】
各々のDB03−3、DB03−4、DB03−5、DB03−7、DB03−8、DB03−9、DB03−10、及びYTC03−17は、マウスの細胞アッセイ系(実施例参照)を用いるサイトカインの調節でのインビトロアッセイを示し、いくつかの化合物については、活性はまた、インビトロのNK T細胞系において示されている。例えば、DB03−4及びDB03−5は、インビトロにおいてヒトのNK T細胞クローンの刺激において活性であり、文献で以前に確立した培養系を用いて評価した場合、増殖応答及びサイトカイン分泌を発揮する(例えば、Spada FM,Sugita M,Watts GFM,Koezuka Y,及びPorcelli SA.Low expression but potent antigen presenting function of CD1d on monocyte lineage cell,Eur.J.Immunol.,30:3468−3477(2000),及びSpada FM,Koezuka Y,Porelli SA,CD1d−restricted recognition of synthetic glycolipid antigens by human NK T cells.J Exp Med;188:1529−1534(1998)を参照されたい。また、Lee PTら,J Clin Invest.,2002 Sep;110(6):793−800も参照されたい)。さらに、これらの化合物は、正常な血液標本におけるヒトNT T細胞に強く結合する糖脂質ヒトCD1d四量体を作製するために使用することができ、これらの糖脂質が、ヒトCD1dによって提示された場合、ヒトNK T細胞のT細胞抗原受容体によって激しく認識される(NK T細胞を研究するためのCD1d四量体の生産と応用のための方法は、Yu KOA,Im JS,Molano A,Dutronc Y,Illarionov PA,Forester C,Fujiwara N,Arias I,Miyake S,Yamamura T,Chang Y−T,Besra GS,Porcelli SA,Modulation of CD1d−restricted NKT cell responses using N−acyl variants of α−galactosylceramides,Proc.Nat.Acad.Sci.(USA),102:3383−8(2005)に記載される)。
【0080】
これらの化合物のいくつかはまた、マウスにおいてサイトカインを調節する活性を示した(実施例を参照されたい)。DB03−4及びDB03−5の両方は、2型サイトカイン、即ち、抗炎症性効果を有し、鈍いIFNγ及びNK細胞のトランス活性化を用いたiNKT細胞におけるIL−4の強力な誘導因子であるサイトカインを誘導するバイアスを示した。DB03−3は、IL−4の良好な誘導因子であり、あるマウスの株では、インビトロにおいてIFNγの強力な誘導因子であった。高レベルのIFNγ産生は、しばしば、NK細胞活性化と関連する。DB03−9及びDB03−10は、IL−4の強力な誘導因子であり、IL−2の弱い誘導因子であり、インビトロにおいてIFNγの中程度の誘導因子である。YTC03−17は、インビトロの研究において強力なアゴニスト活性を示す。DB03−8は、インビトロにおいてiNKT細胞の弱いアゴニストであり、NZB/W−F1マウスにおけるSLEを悪化させる。DB03−8は、可能なアンタゴニスト/部分的なアゴニストであるかもしれないと信じられており、即ち、iNKTのアンタゴニストとして作用し、又は不成功な部分的活性を刺激するために、iNK Tの直接的又は間接的な活性を阻害する。
【0081】
用語「iNKT細胞」は、本明細書中で使用されるとき、マウスにおいてVα14−Jα18、及びヒトにおいてVα24−Jα18から成る不変のTCRα鎖の再配列を発現するCD1d依存性T細胞の特異的な小集団を意味する。これらの細胞は、CD1dによって提示されるα−ガラクトシルセラミドに一様に反応的である。これらの細胞はまた、「1型」NK T細胞として言及され、種々の型のNK T細胞間の区別やこれに関連した命名は、Godfreyらによる刊行物、Nat Rev Immunol.2004 Mar;4(3):231−7に概説される。強力又は弱いアゴニスト活性の測定のためのCD1dを提示する糖脂質に応答してiNKT細胞によるサイトカイン産出の測定方法は、Yu KOA,Im JS,Molano A,Dutronc Y,Illarionov PA,Forestier C,Fujiwara N,Arias I,Miyake S,Yamamura T,Chang Y−T,Besra GS,Porcelli SA,Modulation of CD1d−restricted NKT cell responses using N−acyl variants of α−galactosylceramides,Proc.Nat.Acad.Sci.(USA),102:3383−8(2005)に記載され、また、Godfrey DIら,Nat Rev Immunol.2004 Mar;4(3):231−7を参照されたい。
【0082】
YTC03−24及びYTC03−25は、NZB/W F1マウス由来の脾臓細胞を用いてインビトロでIFNγと比べてIL−4誘導の増加を示す。DB03−6は、IFNγと比べてIL−4の見せかけの増加、及び最小のIL−2誘導を伴う脾臓細胞の培養物中のアゴニストである。
【0083】
下記の合成スキームは、セラミド様糖脂質を作製するために使用される合成の方法論を描写する:
【化19】

【0084】
この合成法を用いて、アジドスフィンゴシン前駆体(化合物8)をD−リキソース(化合物1)とアセトン/H2SO4を約18時間室温で反応させることによってD−リキソースから調製し、化合物2を得る(工程a)。その後、化合物2は、室温で約16時間、CH2Cl2中でtert−ブチル ジ−プロピルシリル塩化物(TBDPSCl)及び4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)及びEt3Nと反応させ、化合物3を得る(工程b)。次いで、化合物3は、約0℃でテトラヒドロフラン(THF)中でトリフェニルホスフィン(Ph3P)、1−ブロモデカン、及びBuLiと反応させ、反応混合物を室温まで加温し、約18時間室温のままにし、化合物4を得る(工程c)。その後、化合物4は、約31℃で約24時間、CH2Cl2中で塩化メシル(MsCl)及びピリジンと反応させ、化合物5を得る(工程d)。次いで、化合物5は、約2時間室温でCH2Cl2/MeOH中のHClと反応させ、化合物5を得る(工程e)。化合物5は、約20時間室温でPd/BaSO4触媒を用いてH2と反応させ、化合物6を得る。化合物6は、約95℃で約4時間、ジメチルホルムアミド(DMF)中でNaN3と反応させ、化合物7を得る。その後、化合物7をテトラ−ブチルアンモニウムフロリド(TBAF)(80%)と反応させ、アジドスフィンゴシン前駆体(化合物8)を得る。
【0085】
次に、アジドスフィンゴシン前駆体(化合物8)の3,4−ジヒドロキシ基をイソプロピリデンアセタールとして保護し、2位でクロロ−ジメチルシリルエーテルを有するアセチルを保護したチオフェニルガラクトース(化合物9)にカップルさせ、グリコシル中間体(化合物10)を得る。α−ガラクトシルアジドスフィンゴシン中間体(化合物11)は、分子内アグリコン輸送戦略を用いて得られ、それにより、チオグリコシドは、D.Crich及びM.Smith(J.Am.Chem.Soc.,123:9015(2001))によって記載されるように、ベンゼンスルフィニルピペリジン(BSP)/トリフルオロメタンスルホン酸無水物(Tf2O)によって活性化される。次に、化合物11のアジド基は、酸塩化物として活性化させた適切な脂肪酸を用いてアミンに還元され、N−アクリル化され、化合物12を得る。次に、残存するヒドロキシル保護基は、酸性及び塩基性条件を用いて化合物12から除去し、セラミド様糖脂質(化合物13)を得る。また、K Yuら,PNAS,March 1,2005,102:(9),3383−3388を参照されたい。
【0086】
当業者に既知の他の方法は、セラミド様糖脂質を調製するために使用することができる。例えば、セラミド様糖脂質はまた、米国特許第5,936,076号に記載される方法論を用いて得られる。
【0087】
医薬組成物、投与法、及び使用法:
セラミド様糖脂質は、ワクチン、又は自己免疫疾患、種々の癌又は感染症のような障害に有用であると期待されるので、セラミド様糖脂質を含む医薬組成物はまた意図される。
【0088】
したがって、本発明は、さらに、セラミド様糖脂質及び医薬として許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
医薬組成物は、当業者に周知な方法を用いて作製することができる(例えば、Remington The Science and Practice of Pharmacy 20thed.(「Remington」)、A.Gennaro編集、Philadelphia College of Pharmacy and Science 2000(その内容は、参照により明確に本明細書中に援用される),p.858−856)。
【0089】
したがって、セラミド様糖脂質の組成物は、過度の実験をすることなく、当該技術分野において周知な手段を用いて、例えば、セラミド様糖脂質を不活性な希釈剤又は食用の担体と組み合わせることによって、経口、舌、舌下、口又は口内投与用に設計することができる。医薬組成物は、ゼラチンカプセルに封入し、又は錠剤に圧搾することができる。経口の治療用投与の目的では、本発明の医薬組成物は、錠剤、トローチ、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ、ウエハース、チューイングガム等の形態であってよい。
【0090】
錠剤、ピル、カプセル剤、トローチ等はまた、結合剤、受領剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、及び風味剤を含有してもよい。本発明の医薬組成物に使用することができる適した賦形剤は、当業者に周知である(Remingtonを参照されたい)。結合剤の例は、限定されないが、微結晶性セルロース、トラガカント又はゼラチンを含む。希釈剤の例は、限定されないが、スターチ又はラクトースを含む。崩壊剤の例は、限定されないが、アルギン酸、コーンスターチ等を含む。潤滑剤の例は、限定されないが、硫酸マグネシウム又はステアリン酸カリウムを含む。流動促進剤の例は、コロイド状二酸化ケイ素である。甘味剤の例は、限定されないが、スクロース、サッカリン等を含む。風味剤の例は、限定されないが、ペパーミント、メチル・サリチル酸、オレンジ香味料等を含む。これらの種々の組成物を調製するために使用される材料は、使用される量で医薬として純粋であり、非毒性であるべきである。
【0091】
本発明の医薬組成物は、非経口的に、例えば、静脈、筋内、髄腔内又は皮下注射によって容易に投与することができる。非経口投与は、本発明の組成物を溶液又は懸濁液に取り込むことによって達成することができる。このような溶液又は懸濁液はまた、注射用の水、塩類溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒のような無菌希釈剤を含む。非経口製剤はまた、ベンジルアルコール又はメチルパラベンのような抗菌剤、アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤、及びEDTAのようなキレート剤を含んでもよい。酢酸、クエン酸又はリン酸のような緩衝剤及び塩化ナトリウム又はデキストロースのような等張の調節のための試薬を添加してもよい。非経口調製剤は、ガラス又はプラスチックでできたアンプル、使い捨てのシリンジ又は複数回投与のバイアルに封入することができる。
【0092】
本発明の医薬組成物は、直腸内に容易に投与することができる。直腸投与は、医薬組成物を直腸又は大腸に投与することを含む。これは、坐薬又は浣腸を用いて達成することができる。坐薬製剤は、当該技術分野において既知の方法によって容易に作製することができる。例えば、坐薬製剤は、約120℃までグリセリンを加熱し、グリセリンにセラミド様糖脂質を溶解させ、加熱したグリセリンを混合し、その後、精製した水を添加してもよく、そして、坐薬の鋳型に熱い混合物を注ぐことによって調製することができる。
【0093】
本発明の医薬組成物は、容易に経皮的に投与することができる。経皮投与は、皮膚を通じて組成物の経皮的な吸収を含む。経皮製剤は、パッチ(例えば、周知なニコチンパッチ)、軟膏、クリーム、ゲル、軟膏(salve)等を含む。
【0094】
本発明は、治療的に有効量のセラミド様糖脂質を鼻に投与することを含む。本明細書中で使用されるとき、鼻に投与すること又は経鼻投与は、医薬組成物を患者の鼻孔又は鼻腔の粘膜に投与することを含む。組成物の経鼻投与のための医薬組成物は、治療的に有効量のセラミド様糖脂質及び賦形剤を含み、周知な方法によて調製され、例えば、鼻スプレイ、点鼻薬、懸濁液、ゲル、軟膏、クリーム又は粉末として経鼻的に投与されるように適用される。医薬組成物の投与はまた、鼻用タンポン又は鼻スポンジを用いて行ってもよい。
【0095】
セラミド様糖脂質はまた、樹状細胞のようなCD1dを有する抗原提示細胞と有用に組み合わせることができる。この混合物は、NK T細胞を活性化することが期待されるであろう。したがって、本発明は、セラミド様糖脂質及び樹状細胞のようなCD1dを有する抗原提示細胞を含む医薬組成物を含む。
【0096】
記憶T及びB細胞の誘導におけるNK T細胞の活性化の役割に基づいて、当業者は、セラミド様糖脂質が有用なワクチンアジュバントになると理解されるであろう。つまり、更なる態様において、本発明は、セラミド様糖脂質を含む医薬組成物に関し、ここで、医薬組成物はワクチン用のアジュバントとして使用に適している。
【0097】
本発明はまた、ワクチンを投与する方法に関する。この方法は、上述した任意のセラミド様糖脂質と併用してワクチンを投与することを含む。
NK T細胞の誘導におけるNK T細胞活性化の役割に基づいて、当業者は、セラミド様糖脂質が受動的に投与された抗体の効果を増加させるのに有用なアジュバントとなることを理解するであろう。つまり、更なる態様において、本発明は、セラミド様糖脂質を含む医薬組成物に関し、ここで、医薬組成物は受動的に投与される抗体用のアジュバントとしての使用に適している。
【0098】
本発明はまた、治療用抗体を投与する方法に関する。この方法は、上述した任意のセラミド様糖脂質を併用して抗体を投与することを含む。
一態様において、使用方法は、セラミド様糖脂質を哺乳動物に投与することを含む。
【0099】
加えて、本発明は、NK T細胞の活性を調節する方法に関する。この方法は、NK T細胞をセラミド様糖脂質と接触させることを含む。一態様において、NK T細胞は、セラミド様糖脂質との接触後に、サイトカイン産生の増加を提示する。一態様において、NK T細胞は、セラミド様糖脂質との接触後に、サイトカイン産生の減少を提示する。これらの態様におけるサイトカインは、IL−2、IL−4又はIFNγであることができる。NK T細胞の調節は、特徴的なサイトカイン、例えばIL−2、IL−4又はIFNγの産生、あるいはCD40L発現の増加によって測定することが可能である。
【0100】
一態様において、NK T細胞は、生きている哺乳動物内に存在する。一態様において、動物は、活性化したNK T細胞によって影響を受けた自己免疫疾患、癌又は感染症を患っているか又はその危険にある哺乳動物である。他の態様において、哺乳動物は、I型糖尿病のような自己免疫疾患を患っているか又はその危険にある。これらの態様において、セラミド様糖脂質は、直接的に該哺乳動物に投与することができ、あるいは、初めに生体外で樹状細胞に添加され、その後、セラミド様糖脂質を取り込んだ樹状細胞を哺乳動物に注入することができる。一態様において、これらの生体外の態様における樹状細胞は、同じ哺乳動物由来である。一態様において、哺乳動物はヒトである。α−ガラクトシルセラミドと樹状細胞とを生体外で組み合わせる方法は、当業者に周知である。α−ガラクトシルセラミドと樹状細胞を生体外で組み合わせるための当業者に既知の任意の方法は、セラミド様糖脂質と樹状細胞とを生体外で組み合わせるために本発明の方法に使用することができる。代表的な方法論は、限定されないが、D.H.Changら,Sustained expansion of NKT cells and antigen−specific T cells after injection of alpha−galactosyl−ceramide loaded mature dendritic cells in cancer patients,J Exp Med.,May 2,2005,201(9):1503−17;S.Fujiiら,Detection and activation of human Valpha24+ natural killer T cells using alpha−galactosyl ceramide−pulsed dendritic cells, J Immunol Methods.Jan 15,2003;272(1−2):147−59;及び、S.Fujiiら,Prolonged IFN−gamma−producing NKT response induced with alpha−galactosylceramide−loaded DCs,Nat Immunol.Sep.3,2002,(9):867−74に記載されるものを含む。
【0101】
本発明は、付加的に、哺乳動物における免疫系を刺激する方法に関する。この方法は、有効量のセラミド様糖脂質を哺乳動物に投与することを含む。一態様において、哺乳動物に対する有効量のセラミド様糖脂質は、医薬組成物として投与される。一態様において、哺乳動物は癌を患っている。他の態様において、哺乳動物はI型糖尿病を患っている。さらに他の態様において、哺乳動物は、関節リウマチのような炎症性疾患を患っている。
【0102】
関連した態様において、この方法は、樹状細胞をセラミド様糖脂質と接触させ、その後、この樹状細胞を哺乳動物に注入することを含む。一態様において、樹状細胞は、セラミド様糖脂質の医薬組成物と接触される。
【0103】
実施例に記載される実験に例証されるように、NK T細胞を活性化することができるセラミド様糖脂質は、使用される抗原提示細胞に依存して、NK T細胞誘導のプロフィールの点で異なる。例えば、あるセラミド様糖脂質は、ある抗原提示細胞の存在下で、あるサイトカインを誘導することができるが、他のものはそうではない。つまり、NK T細胞を誘導するためのα−ガラクトシルセラミド又は他のα−グリコシルセラミドのような化合物の能力は、1より多くの型の抗原提示細胞を用いることによって最良に測定される。つまり、本発明は、CD1dタンパク質を発現する細胞の存在下で、NK T細胞を活性化する化合物の能力についてその化合物を評価する方法に関する。この方法は、化合物をCD1dタンパク質を発現する1より多くの細胞型の存在下で、NK T細胞と組み合わせ、その後、NK T細胞が活性化されるかどうかを評価することを含む。この細胞型は、例えば、限定されずに、リンパ球様細胞又は上皮細胞であり得る。実施例を参照されたい。NK T細胞の活性化は、当業者に周知な方法を用いてサイトカイン産生の増加を測定することによって決定することができ、限定されないが、本明細書中に記載したものを含む(例えば、実施例並びに図5A及び6に報告したデータを参照されたい)。
【0104】
試験化合物は、CD1dに結合し、NK T細胞を活性又は抑制することを要求されるであろう任意の化合物であり得る。実施例は、リポタイコ酸、α−ガラクトシルセラミド、及び他のα−グリコシルセラミド、例えば、上述したセラミド様糖脂質を含む。
【0105】
本発明は、さらに、活性化したNK T細胞によって影響を受ける自己免疫疾患、癌、又は感染症を患っている又はそれを発症する危険性を有する哺乳動物を治療する方法に関する。本発明は、さらに、NK T細胞の活性を調節することによって影響を受ける哺乳動物における障害の治療又は予防のための方法に関する。代表的な障害は、限定されないが、自己免疫疾患、癌、慢性アレルギー性疾患又は感染症を含む。一態様において、哺乳動物における障害は、NK T細胞を活性化することによって治療され又は予防される。一例は、β膵島細胞の破壊を阻害するためのNK T細胞の活性化によるI型糖尿病の治療である。別の態様では、哺乳動物の障害は、NK T細胞の活性を抑制することによって治療又は予防される。一例は、O.Akbariら,Essential role of NKT cells producing IL−4 and IL−13 in the development of allergen−induced airway hyperreactivity,Nature Med,May 2003 9(5):582−588に記載されるようなNK T細胞を抑制することによるアレルギー性気道過反応、アレルギー喘息のモデルの治療である。
【0106】
さらに別の態様において、哺乳動物における障害は、2型又は1型サイトカイン産生を支持して応答を偏らせるために、NK T細胞によって産生されるサイトカインを変化することによって治療され又は予防される。この方法は、哺乳動物にセラミド様糖脂質を投与することを含む。一態様において、セラミド様糖脂質は、医薬組成物として投与される。一態様において、哺乳動物は、自己免疫疾患、例えば、I型糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、全身性紅班性狼瘡、ギラン・バレー症候群、抗リン脂質症候群、グッドパスチャー症候群、移植片対宿主疾患、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、強皮症、脈管炎、白斑、ヴェグナー肉芽腫症、関節リウマチ、糸球体腎炎、特発性血小板減少性紫班病、乾癬、及びシェーグレン病を患っているか又はその危険にある。一態様において、自己免疫疾患は、I型糖尿病である。一態様において、障害は、喘息又はアトピー性皮膚炎のような慢性アレルギー性皮膚炎である。上述した他の態様と同様に、医薬組成物は、上述した方法によって哺乳動物に直接的に投与してもよく、あるいは、初めに樹状細胞に生体外で添加し、その後、この樹状細胞を哺乳動物に注入してもよい。
【0107】
障害の治療又は予防に有効であるセラミド様糖脂質の量は、標準的な臨床技術によって決定することができる。加えて、インビトロ又はインビボアッセイは、場合によって、最適な投与量の範囲を同定する手助けに採用することができる。採用される正確な投与量はまた、投与経路、治療される障害の重症度に依存するであろうし、例えば、出版された臨床研究を考慮して医師の判断及び各々の患者の状況により決定されるべきである。しかしながら、適した効果的な投与量は、典型的には、毎週約1,000ミクログラム/キログラム体重又はそれ未満であるとはいえ、典型的には、毎週約1マイクログラム〜約10,000マイクログラム/キログラム体重の範囲である。一態様において、効果的な投与量は、毎週約10〜約5,000マイクログラム/キログラム体重の範囲である。別の態様において、効果的な投与量は、毎週約50〜約1,000マイクログラム/キログラム体重の範囲である。別の態様において、効果的な投与量は、毎週約75〜約500マイクログラム/キログラム体重の範囲である。本明細書中に記載される効果的な有効量は、投与される全量を意味し、即ち、1より多くのセラミド様糖脂質が投与される場合、効果的な投与量は、投与される全量に対応する。セラミド様糖脂質は、毎週1回又は分割した服用として投与することができる。
【0108】
セラミド様糖脂質は、ヒトに使用される前に、所望の治療的又は予防的活性についてインビトロ又はインビボでアッセイすることができる。動物のモデル系は、安全性及び有効性を実証するために使用することができる。
【0109】
本発明の態様は、下記の実施例に記載される。本明細書中の請求の範囲内の他の態様は、明細書又は本明細書中に開示される発明の実施を考慮して、当業者に明確となるであろう。明細書、並びに実施例は、実施例に追随する請求の範囲によって意図される発明の範囲及び精神を伴って、例示のみと考えられることが意図される。
【実施例】
【0110】
実施例
免疫及び自己免疫の調節因子としてのα−ガラクトシルセラミド及び他のα−グリコシルセラミドのアミノ置換した誘導体
【0111】
免疫調節活性を有するα−ガラクトシルセラミドの新規なアミノ置換形態の生産及び同定
OCH及び自己免疫組織の障害を妨げるその増加した性質の発見は、本出願人のグループに、KRN7000の構造に基づく大多数の類似体の評価を実行する強い刺激を与えた。本出願人が選択した戦略は、KRN7000のアミノ結合の脂肪酸鎖の修飾又は置換に基づく類似体の開発であった。この選択は、2つの思慮によって導かれた。まず第一に、ある研究がOCHの発見に伴って、他の研究者によってスフィンゴシン塩基の修飾をすでに開始していたため、この領域は全く新規でなかった。米国特許第5,936,076号も参照されたい。対照的に、ほんの僅かな従前の研究は、脂肪酸鎖の修飾に見られた。脂肪酸鎖の長さの変形体は、Kawanoら(1997)によって研究されたが、この分析は、非常に制限され、いかなる興味ある特性を示さなかった。また、これらの化合物を製造する効果的な方法が開発された。
【0112】
これらの方法を用いて、本出願人は、60個を超える新規なアミノ置換のKRN7000の類似体を製造した。これらは、CD1dを発現する種々の細胞型の存在下で、又は組織培養プレート表面に結合した組換えCD1dタンパク質の存在下で、NK T細胞ハイブリドーマを活性化する化合物の能力を評価する機能的なアッセイでスクリーニングした(図5)。
【0113】
図5Aに報告されるCD1dを発現する種々の型の細胞の存在下で、NK T細胞のハイブリドーマを活性化する化合物の能力は、マウスのNK T細胞のハイブリドーマの刺激アッセイを用いて測定した。CD1dをトランスフェクトしたRMA−S細胞を100マイクロリットルのセラミド様糖脂質の種々の濃度を含有する完全培地中で6時間37℃で平底の組織培養プレートに50,000細胞/ウェルで播種した。次に、プレートを遠心し(430g、3分)、細胞をPBSで3回洗浄した。その後、5,000個のNKTハイブリドーマ細胞(クローンDN3A4.1−2)を100マイクロリットルの培地に12時間刺激するために添加した。細胞不含の上清をインキュベーションの終わりに回収し、標準的な捕捉ELISAによってIL−2についてアッセイした。セラミド様糖脂質の相対的な潜在能力は、最大半分の応答での有効濃度の逆数(1/EC50)から計算され、KRN7000について観察された潜在能力に対して標準化によりユニットとして表した。セラミド様糖脂質の構造は、図5Bに示した。
【0114】
これらのスクリーニングアッセイの結果は、本出願人のコレクションの5〜10%の間の類似体が、KRN7000に等しいか又はそれよりも大きい潜在能力を有することを示した(潜在能力はNK T細胞の最大半分の応答を与えるために要求されるモル濃度によって決定される)。図5Aに示されるそれぞれのアッセイにおいて、7個の化合物は、KRN7000よりも実質的に大きな潜在能力を示した。加えて、潜在能力の増加を伴うこれら7個の化合物は、KRN7000と比較した場合、最大活性の増加を示した(試験した化合物の希釈の範囲でアッセイにおいて達成された最高レベルの応答として定義される;データ示さず)。
【0115】
表1は、化合物YTC03−42からYTC03−61の化合物についての増殖アッセイ、IL−4アッセイ、及びIFNγアッセイの結果を示し、増殖を誘導し、2つのサイトカインを誘導する能力、並びにIL−4からIFNγの比率の変化を示す。図5Cは、サイトカイン応答についての表1に報告した結果の代表的なグラフを示す。表1及び図5Cは、正常マウスの脾臓細胞によるサイトカイン産生がセラミド様糖脂質で刺激されることを示す。表1及び図5Cに報告されたサイトカイン応答は、次の手順によって測定した:C58BL/6由来のバルクな脾臓細胞は、200マイクロリットルの完全培地で500nMの濃度まで希釈したセラミド様糖脂質を一緒に96ウェルの平底組織培養プレートで300,000/ウェルで播種した。37℃で48時間後、150マイクロリットルの上清をサイトカイン測定のために取り出した。IL−4及びIFNγの上清レベルは、標準的な酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)により、捕捉及びビオチン化検出抗体対(それぞれ、クローン11B11/BVD6−24G2−ビオチン、及びR4−6A2/XMG1.2−ビオチン、BD Pharmingen,San Diego,California)を用いて測定した。サイトカインの含有量は、ストレプトアビジン−セイヨウワサビ・ペルオキシダーゼ(Zymed,South San Francisco,California)とTMB−Turbo基質(Pierce,Rockford,Illinois)、又はその代わりにストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ(Zymed)と4−ニトロフェニル二ナトリウム・6水和物基質(Sigma−Aldrich,St.Louis,Missouri)を用いて示され、それぞれ450又は405nmでマイクロプレートリーダー(Titertek,Huntsville,Alabama)上で読まれる。IL−4及びIFNγについての標準は、Peprotech(Rocky Hill,New Jersey)からである。
【0116】
表1は、化合物YTC03−42からYTC03−61によるCD1dに依存した増殖の刺激を示す。結果は、下記の手順に従って脾臓細胞の増殖アッセイを用いて得た:C57BL/6マウス由来のバルクな脾臓細胞は、示された濃度まで完全培地に希釈した指示したセラミド様糖脂質と共に96ウェルの平底組織培養プレートで300,000/ウェルで播種した。37℃で48時間後、プレートウェルは、50マイクロCi/mlの3H−チミジンを含有する20マイクロリットルの培地を添加され、さらに18時間インキュベートした。細胞増殖は、パルスした細胞を96ウェルのフィルターマット上にかき集め、1450 Microbeta Trilux機器(Wallac/Perkin Elmer,Boston,Massachusetts)上でシンチレーションカウントによって測定した。図5Dは、DB02−1(DB01−1のガラクトースをグルコースで置換した点を除いてDB01−1と同一のα−グルコシルセラミド)によるCD1dに依存した増殖の刺激を示す。図5Dに報告された結果は、表1に与えられた増殖に関するデータを得るために使用したのと同じ方法によって得た。
【0117】
表1.EC50は、3H−チミジンの取り込みによって測定した脾臓細胞培養の増殖における50%最大の応答を与える糖脂質の濃度ある。つまり、より高いEC50値は、NK T細胞の刺激に依存した増殖についてより低い能力を表す。各々の糖脂質の500nMで48時間刺激した脾臓細胞培養の培養上清におけるIL−4及びIFNγレベルは、ELISAにより測定した。サイトカインの濃度は、ng/mlである。NDは、アッセイによる検出のために信頼できるレベル以下を示す。カッコ内の値は、KRN7000様のDB01−1化合物に対するIL−4/IFNγの比率により割った各化合物のIL−4/IFNγの比率である。
【0118】
【表4】

【0119】
類似体の構造/活性の関係
スクリーニングアッセイから浮上した最も関心のある化合物は、2種の一般的なカテゴリーに主に分類される。それらは、様々な程度の不飽和度を持つ一部切断された脂肪アシル鎖を含有するα−ガラクトシルセラミドであるか、又はアミドの分岐した枝に芳香族を有するα−ガラクトシルセラミドのいずれかである。本出願人の結果は、KRN7000のアミノ置換におけるこれらの変更が、化合物の生物学的活性における少なくとも3つの可能な効果:1)有効性/活性の変化、2)効果的に化合物を提示する細胞型の変化、そして、3)産生されるサイトカインの型の点でNK T細胞活性の成果の変化を有することができることを指示する。これらの効果の例示は、追随する図によって提供される。
【0120】
図6は、様々な型の抗原提示細胞(APC)をNK T細胞活性化アッセイに使用する場合、様々な強力なセラミド様糖脂質の異なる提示を示す。選択された8個のセラミド様糖脂質に応答してNK TハイブリドーマDN32D3によるIL−2産生は、抗原提示細胞として3種の異なる細胞型を用いて測定した。RMA−S.mCD1dは、マウスのCD1dを発現するためにトランスフェクトされたマウスのリンパ腫株である。JAWS IIは、マウスCD1dを天然に発現するマウスの樹状細胞株である。HeLa.hCD1dは、ヒトCD1dを発現するようにトランスフェクトされたヒト子宮頸癌細胞株である。アッセイは、図5Aに記述した結果について上述したのと同じ方法で行われた。
【0121】
例えば、化合物がリンパ細胞株(RMA−S)に発現したCD1d分子によって提示される場合、YTC03−17はKRN7000よりも顕著に強力であることに気づかれたい。これら2つの化合物は、上皮腫瘍細胞株(HeLa)に発現したCD1d分子によっておおよそ等しく提示される。樹状細胞株(JAWS−II)を抗原提示細胞として使用する場合、YTC03−17に対してほんの僅かな応答であるか、又は全く応答がない。ビフェニル置換が活性化合物を生じることができることを実証することに加えて、これらの研究は、化合物が提示されるCD1dを有する細胞型に活性が顕著に依存することを示す。
【0122】
図6はまた、いくつかのアッセイにおいて、潜在性の増加を示す追加のフェニルを含有する類似体を示す。再度、結果は、使用される抗原提示細胞の型に全く依存する。例えば、YTC03−30は、HeLa細胞によって提示される場合、非常な有効性(KRN7000の少なくとも100倍)を有するが、RMA−S細胞によって提示された場合には、KRN7000と同じ有効性を有することに気づかれたい。
【0123】
図7は、脂肪酸鎖が完全に飽和である場合、N結合の脂肪酸の長さを変える効果を示す。この特別な系でC12の長さで起こる最適な活性を伴って、有効性における鎖長の明確な影響があるように見えることに気づかれたい。抗原提示細胞の性質を変えることによってこの効果がどのように影響を受けるかは、調査されることを残す。図8は、脂肪酸鎖がC20で一定に保持する場合、脂肪酸鎖に不飽和を導入する効果を示す。有効性における劇的な効果は、非常に増加した有効性を伴うジ不飽和類似体(DB03−4)で観察される。再度、抗原提示細胞の性質を変えることによってこの効果がどのように影響を受けるかについて調査されることを残す。各々の類似体の相対的な有効性は、図5Aに記載した結果についての上述したマウスNK T細胞のハイブリドーマDN3A4.1−2によるIL−2産生を測定することによって決定した。
【0124】
図8は、C20の脂肪酸セラミド様糖脂質の有効性における脂肪酸鎖の不飽和度の効果を示す。指示した鎖長及び指示した数の二重結合を有するセラミド様糖脂質は、図7に記載した結果についての上述のマウスNK T細胞のハイブリドーマDN3A4.1−2によるIL−2産生を測定することによってNK TハイブリドーマDN32.D3の刺激について試験した。
【0125】
KRN7000類似体の最も興味ある性質は、ある場合に、親化合物を用いた追随の刺激を発生するものとは量的に異なる免疫応答を発揮することができるということである。これは、Yamamura及び共同研究者らによって公表されたように、スフィンゴシンの鎖長の変形体であるOCHを用いた場合であることを示す(Miyamotoら、2001)。その場合、インビボでマウスに投与した場合、OCHは、インターロイキン−4(IL−4)の選択的産生を発揮し、KRN7000の注射後に観察されるインターフェロン−γ(IFNγ)の強力な産生を刺激しないことを示した。NK T細胞によるこのIL−4産生の選択的活性は、中枢神経系の自己免疫疾患のEAEモデルにおけるOCHの治療効果の増加に対して基礎となると提案された。本出願人は、本件のいくつかのセラミド様糖脂質を用いてNK T細胞応答の性質に同様のインビボ効果を観察した。図9に示すように、不飽和のC20脂肪酸(DB03−4及びDB03−5)を含有する2種のセラミド様糖脂質は、マウスへの注射後2時間、強力なIL−4応答を発揮する。これらの応答は、KRN7000に構造的にほとんど同一(C26の代わりにC24の脂肪酸、その他は同じ)である類似体のDB01−1について見られ応答と同じであり、見たところその活性の点で区別できない。しかしながら、DB01−1はまた注射後20時間で強力なIFNγ応答を引き出すが、IFNγのこの遅い波は、2種のC20のセラミド様糖脂質を用いた場合には見られない。この選択的IL−4誘導は、OCH類似体について報告されたのと実質的に同じであり、つまり、インビボでの質的に異なった免疫調節効果を誘導するKRN7000のアミノ置換した類似体に関する可能性を例証する。図9で報告された結果は、C57BL/6マウスにDB01−1、DB03−4又はDB03−5の1回注射を投与後、IL−4及びIFNγの血清レベルを測定することによって得た。C57BL/6マウス(11〜13週齢)に4.8ナノモルのセラミド様糖脂質又はPBS/ベヒクル対照の1回のi.p.注射を与えた。血清サイトカインレベルは、捕捉ELISAによって2及び20時間後に測定した。バーは、3匹のマウスの平均+標準誤差である。
【0126】
図11は、CD40L発現の刺激における種々のKRN7000類似体の種々の効果を示す。図11はまた、これらのセラミド様糖脂質のガラクトース部分が、なおもいくつかの活性を保持している場合、別の単糖で置換され得ることを示す。これは、DB03−8(ガラクトースに代えてフコースを有する)がCD40Lを誘導することができたためである。図11に報告したセラミド様糖脂質によるCD40Lの上方制御は、18時間、0.5μMのセラミド様糖脂質の存在下で、2:1の比でRMA−S/CD1dを用いてNK TハイブリドーマDN3A4.1−2をインキュベートすることによって得た。その後、細胞を再度懸濁させ、CD5及びCD40Lに特異的なmAbを用いて標識した。CD40Lのレベルは、CD5染色に対してゲートを設けた集団のFACS分析によって測定した。
【0127】
α−グルコシルセラミドDB02−1によるCD1dに依存した増殖の刺激を示す図5Dも参照されたい。DB02−1はまた、IFNγ及びIL−4の両方を含む有意なサイトカイン産生を刺激した。興味深いことに、インビトロで脾臓細胞培養におけるDB02−1に応答して産生させたIFNγレベルは、類似体の全ての濃度でDB01−1によって刺激したものよりも顕著に低かったが、IL−4レベルは、100μM又はそれより大きい投与量にほぼ等しかった。これは、DB02−1が、TH2を基礎としたサイトカイン応答を刺激する可能性を有するNK T細胞アゴニストであることを示唆する。
【0128】
IL−4産生の選択的増加が一連の多くの自己免疫疾患に保護的又は治療的であり得るという広く浸透した考え方が与えられたので、本出願人は、糖尿病傾向のNODマウスにおけるDB03−4及びDB03−5のような化合物の有効性を調査するために研究を開始した。この研究は、本件のセラミド様糖脂質がNODマウスの糖尿病の予防において、KRN7000とKRN7000に類似のDB01−1より優れていることを示す(図10)。図10は、I型糖尿病がセラミド様糖脂質で処置したNODマウスにおいて遅延し又は妨げられることを示す。図10で報告された結果は、3つの群(各々9〜12匹の雌性NODマウスからなる)を5週齢から開始して、セラミド様糖脂質で処置することによって得た。指示したセラミド様糖脂質(DB03−4、DB03−5又はKRN7000)は、200マイクログラム/kgの投与量で週に一度、i.p.で注射した。処置を11週齢で中断し、糖尿(上段)及び死亡(下段)について毎週監視した。
【0129】
セラミド様糖脂質を用いたマウスのインビボ処置に関わる実験について、セラミド様糖脂質は、0.2mlのPBS+0.025%のTween−20、又はベヒクル単独のi.p.若しくはi.v.注射によって投与させた。典型的な投与量は、動物当り1回投与で約4〜5ナノモルである。i.p.、i.v.又はp.o.経路によるマウスへのα−ガラクトシルセラミドの投与に関する代表的な参考文献は、S.Sharifら,Activation of natural killer T cells by alpha−galactosylceramide tratment prevents the onset and recurrence of autoimmune Type 1 diabetes,Nat Med.,Sep.7,2001,(9):1057−62及びK.Miyamotoら,A synthetic glycolipid prevents autoimmune encephalomyelitis by inducng TH2 bias of natural killer T cells,Nature.Oct.4,2001,413(6855):531−4である。
【0130】
これらの研究は、αGalCerの一団の新規な免疫学的に活性な類似体を同定した。これらの化合物は、以前に研究され、十分に立証されたこのファミリーの原型のKRN7000とは構造上有意に相違する。本出願人は、疾患の予防及び治療における様々な応用に関して優れた試薬とさせるであろうある種の類似体の多くの重要な特徴をすでに実証した。これらの化合物はまた、アレルギー疾患に対する免疫治療、及び癌の治療のためのワクチンに対する応答の刺激のためのアジュバントとして有用である。
【0131】
上記を考慮して、本発明のいくつかの利点が達成され、他の利点が実現することが見れれるであろう。
本発明の範囲から逸脱することなしに上記の方法及び組成物に様々な変形をなすことができるが、上記の記載に含有され及び添付の図面に示される全ての事項は、例示として解釈され、限定的な意味ではないであろうことが意図される。
【0132】
本明細書に引用した全ての参考文献は、参照により本明細書中に援用される。本明細書中の参考文献の検討は、著者によってなされた主張を単に要約したことを意図し、いかなる文献も先行技術を構成することを承認するものではない。本出願人は、引用した参考文献の正確さ及び適切さを問題にする権利を留保する。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】図1は、CD1d制御のNK T細胞の特異的な活性化因子であるαGalCer KRN7000の構造を示す。KRN7000は、((2S,3S,4R)−1−O−(α−D−ガラクトピラノシル)−N−ヘキサコサノイル−2−アミノ−1,3,4−オクタデカントリオール)である。それは、C18フィトスフィンゴシン塩基及びC26脂肪酸アシル基を含有する。米国特許第5,780,441号を参照されたい。
【図2】図2は、KRN7000がNODマウスにおけるI型糖尿病の発症を妨げるHongら(2001)のデータを示す。マウスは、4週齢から開始し、KRN7000の注射を週に2回受けた。上段のグラフは、75%から約5%まで糖尿病の発生率の減少を示す。下段のグラフは、この効果が、CD1に対するノックアウト遺伝子座を担持するNODマウスでは見られないことを示す。これらのマウスは、CD1制御のNK T細胞を有しておらず、KRN7000の既知の効果全てを要求する。
【図3】図3は、マウスEAEにおける自己免疫の炎症を抑制する増加した能力を有するαGalCerの類似体であるOCHの構造を示す。これは、短縮したC9スフィンゴシン塩基(C18スフィンゴシン塩基とは対照的に)を有する点で、KRN7000構造とは相違する。
【図4】図4は、コア構造、及び本発明で同定されたアミノ置換のセラミド様糖脂質の合成のためのカップリング反応を示す。
【図5A】図5のパネルAは、コンビナトリアル合成によって生産したセラミド様糖脂質の生物活性スクリーニングの実験結果を示す。NK TハイブリドーマDN32.D3は、マイクロタイタープレートのウェル中でCD1dをトランスフェクトしたRMA−S細胞と一緒に培養した。各セラミド様糖脂質は、0.5〜500nMの濃度範囲で判定され、上清はIL−2放出の測定のために24時間後に回収した。活性単位は、IL−2の最大半分の放出を与えるために要求されるセラミド様糖脂質の濃度の逆数として計算され、全ての値はKRN7000の活性に標準化した(1ユニットとして定義される)。点線は、KRN7000についての活性レベルを示す。KRN7000に比較して顕著な活性の増加がある2つのセラミド様糖脂質の構造が示される。
【図5B−1】パネルBは、パネルA及び表1に記載した実験で試験したセラミド様糖脂質の構造を示す。
【図5B−2】パネルBは、パネルA及び表1に記載した実験で試験したセラミド様糖脂質の構造を示す。
【図5B−3】パネルBは、パネルA及び表1に記載した実験で試験したセラミド様糖脂質の構造を示す。
【図5B−4】パネルBは、パネルA及び表1に記載した実験で試験したセラミド様糖脂質の構造を示す。
【図5B−5】パネルBは、パネルA及び表1に記載した実験で試験したセラミド様糖脂質の構造を示す。
【図5B−6】パネルBは、パネルA及び表1に記載した実験で試験したセラミド様糖脂質の構造を示す。
【図5B−7】パネルBは、パネルA及び表1に記載した実験で試験したセラミド様糖脂質の構造を示す。
【図5B−8】パネルBは、パネルA及び表1に記載した実験で試験したセラミド様糖脂質の構造を示す。
【図5B−9】パネルBは、パネルA及び表1に記載した実験で試験したセラミド様糖脂質の構造を示す。
【図5B−10】パネルBは、パネルA及び表1に記載した実験で試験したセラミド様糖脂質の構造を示す。
【図5B−11】パネルBは、パネルA及び表1に記載した実験で試験したセラミド様糖脂質の構造を示す。
【図5B−12】パネルBは、パネルA及び表1に記載した実験で試験したセラミド様糖脂質の構造を示す。
【図5B−13】パネルBは、パネルA及び表1に記載した実験で試験したセラミド様糖脂質の構造を示す。
【図5B−14】パネルBは、パネルA及び表1に記載した実験で試験したセラミド様糖脂質の構造を示す。
【図5B−15】パネルBは、パネルA及び表1に記載した実験で試験したセラミド様糖脂質の構造を示す。
【図5B−16】パネルBは、パネルA及び表1に記載した実験で試験したセラミド様糖脂質の構造を示す。
【図5C】パネルCは、表1の結果の代表的なグラフを示す。
【図5D】パネルDは、DB01−1のガラクトースをグルコースで置換している点を除いてDB01−1と同一のα−グルコシルセラミドであるDB02−1によるCD1d依存性増殖の刺激を示す。
【図6】図6は、種々の提示細胞型によるセラミド様糖脂質の差表示の実験結果を示す。8個の選択したセラミド様糖脂質に応答してNK TハイブリドーマDN32.D3によるIL−2産生は、抗原提示細胞(APC)として3種の異なる細胞型を用いて示される(上段)。この実験で使用したセラミド様糖脂質のそれぞれにおけるアミノを結合した側鎖の構造が下段に示される。
【図7】図7は、セラミド様糖脂質の有効性に関して脂肪酸の鎖長の効果を示す。指示された鎖長を有するセラミド様糖脂質は、抗原提示細胞(APC)としてRMA−S/CD1dを用いてNK TハイブリドーマDN32.D3の刺激に関して試験された。
【図8】図8は、C20FAのセラミド様糖脂質の有効性に関して脂肪酸鎖の不飽和度の効果を示す。指示された鎖長及び指示された二重結合を有するセラミド様糖脂質は、図7にあるようなNK TハイブリドーマDN32.D3の刺激に関して試験された。
【図9】図9は、セラミド様糖脂質DB03−4及びDB03−5によるマウスにおけるインビボでのIL−4産生の選択的刺激を示す。DB01−1、DB03−4又はDB03−5の1回の注射後のIL−4及びIFNγの血清レベルを示す。C57BL/6マウス(11〜13週齢)は、4.8ナノモルの化合物又はリン酸緩衝塩溶液(PBS)/ベヒクル対照の1回のi.p.注射を与えた。血清のサイトカインレベルは、2及び20時間後に捕捉ELISAによって測定した。バーは、3匹のマウスの平均プラス標準誤差を示す。DBO1−1は、KRN7000に近い同一の構造(C26に比べてC24脂肪酸)を有し、複数のバイオアッセイにおいてKRN7000とは区別できない活性を有することに気づかれたい。本出願人は、「KRN7000擬似体」としてDB01−1を使用する。これは、本出願人のグループによって合成されたものであり、本出願人の研究に容易に利用することができ、KRN7000がライセンス制限によて利用できなかったためである。
【図10】図10は、DB03−4及びD03−5がNODマウスにおける糖尿病を妨げることに関してKRN7000より優れていることを確かめた実験結果を示す。6〜8匹の雌性NODマウスの一群は、4〜5週齢から開始して、週に一度、プラセボ(ベヒクル)又はDB01−1(KRN7000として示される)、DB03−4又はDB03−5の注射で処置した。処置は、5回の注射(DB03−4)又は7回の注射(DB03−5)後に中止した。上段のグラフは、糖尿の指標を示し、下段のグラフは、各集団における生存を示す。
【図11】図11は、本発明の種々のセラミド様糖脂質がCD40L(CD154)の発現を刺激することができることを示す実験結果のグラフを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
R1は、少なくとも1個のC=C結合を有する直線状又は分岐したC1−C27アルケンであるが、−(CH27CH=CH(CH27CH3でなく、又はR1は、C(OH)−R3(ここで、R3は、少なくとも1個のC=C結合を有する直線状又は分岐したC1−C26アルケンである)であり;そして、
R2は、下記(a)−(e):
(a)−CH2(CH2xCH3
(b)−CH(OH)(CH2xCH3
(c)−CH(OH)(CH2xCH(CH32
(d)−CH=CH(CH2xCH3
(e)−CH(OH)(CH2xCH(CH3)CH2CH3
{式中、Xは、5〜17の範囲の整数である}
の1つである]
を含むα−ガラクトシルセラミド。
【請求項2】
R2が、CH(OH)(CH213CH3である、請求項1に記載のα−ガラクトシルセラミド。
【請求項3】
R1が、(CH29CH=CH−CH2−CH=CH(CH24CH3、(CH22CH=CH−CH2−CH=CH−CH2−CH=CH−CH2−CH=CH−(CH24CH3、(CH23CH=CH−CH2−CH=CH−CH2−CH=CH−CH2−CH=CH−CH2−CH=CH−(CH2)−CH3、及び(CH27CH=CH−CH2−CH=CH=(CH24−CH3から成る群から選択される、請求項1に記載のα−ガラクトシルセラミド。
【請求項4】
二重結合がシスである、請求項3に記載のα−ガラクトシルセラミド。
【請求項5】
R2が、CH(OH)(CH213CH3である、請求項3に記載のα−ガラクトシルセラミド。
【請求項6】
α−ガラクトシルセラミドの濃度が、同濃度のKRN7000によって誘導されるNK T細胞によるサイトカイン産生に等しいか又はそれより大きいレベルで、該産生を誘導することができる、請求項1に記載のα−ガラクトシルセラミド。
【請求項7】
サイトカインが、IL−2、IL−4及びIFNγから成る群から選択される、請求項6に記載のα−ガラクトシルセラミド。
【請求項8】
サイトカインが、リンパ球抗原提示細胞を用いて誘導される、請求項6に記載のα−ガラクトシルセラミド。
【請求項9】
サイトカインが、骨髄細胞系列の樹状抗原提示細胞を用いて誘導される、請求項6に記載のα−ガラクトシルセラミド。
【請求項10】
サイトカインが、上皮抗原提示細胞を用いて誘導される、請求項6に記載のα−ガラクトシルセラミド。
【請求項11】
α−ガラクトシルセラミドの濃度が、同濃度のKRN7000によって誘導されるNK T細胞によるCD40L発現に等しいか又はそれより大きいレベルで、該発現を誘導することができる、請求項1に記載のα−ガラクトシルセラミド。
【請求項12】
式I:
【化2】

[式中、
R1は、分岐したC1−C27アルカンであり、又は
R1は、C(OH)−R3(ここで、R3は、直線状又は分岐したC1−C26アルケンである)であり;そして、
R2は、下記(a)−(e):
(a)−CH2(CH2xCH3
(b)−CH(OH)(CH2xCH3
(c)−CH(OH)(CH2xCH(CH32
(d)−CH=CH(CH2xCH3
(e)−CH(OH)(CH2xCH(CH3)CH2CH3
{式中、Xは、5〜17の範囲の整数である}
の1つである]
を含むα−ガラクトシルセラミド。
【請求項13】
R2が、CH(OH)(CH213CH3である、請求項12に記載のα−ガラクトシルセラミド。
【請求項14】
式I:
【化3】

[式中、
R1は、C6−C27アルカン又はアルケン(ここで、(i)C6−C27アルカン又はアルケンは、C5−C15シクロアルカン、C5−C15シクロアルケン、ヘテロ環又は芳香族環で置換され、あるいは(ii)C6−C27アルカン又はアルケンは、C6−C27アルキル又はアルケニル鎖内に、C5−C15シクロアルカン、C5−C15シクロアルケン、ヘテロ環又は芳香族環を含む)であり;そして、
R2は、下記(a)−(e):
(a)−CH2(CH2xCH3
(b)−CH(OH)(CH2xCH3
(c)−CH(OH)(CH2xCH(CH32
(d)−CH=CH(CH2xCH3
(e)−CH(OH)(CH2xCH(CH3)CH2CH3
{式中、Xは、5〜17の範囲の整数である}
の1つである]
を含むα−ガラクトシルセラミド。
【請求項15】
R2が、CH(OH)(CH213CH3である、請求項14に記載のα−ガラクトシルセラミド。
【請求項16】
R1が、オキソ;ヒドロキシ;ハロゲン;−OC(O)R5;−OR5;−C(O)R5;又はN(R52(ここで、各R5は、独立して、水素、C1−C6アルキル、又は場合によりハロゲン、ヒドロキシ、ハロゲン、−OC(O)R6、−OR6、−C(O)R6、N(R62で置換された芳香族環であり;各R6は、独立して、水素又はC1−C6アルキルである)で置換される、請求項14に記載のα−ガラクトシルセラミド。
【請求項17】
R1は、下記:
【化4】

{式中、( )は、式Iの化合物に対するR1の結合点を表す}
から成る群から選択される、請求項14に記載のα−ガラクトシルセラミド。
【請求項18】
R2が、CH(OH)(CH213CH3である、請求項17に記載のα−ガラクトシルセラミド。
【請求項19】
式I:
【化5】

[式中、
R1は、−C(=O)OCH2CH3、−(CH26CH3、−(CH24Cl、−(CH216CH3、−(CH25CH3、−(CH22CH3、−(CH24CH3、−(CH28CH3、−C(CH210CH3、−C(CH212CH3から成る群から選択され;そして、
R2は、下記(a)−(e):
(a)−CH2(CH2xCH3
(b)−CH(OH)(CH2xCH3
(c)−CH(OH)(CH2xCH(CH32
(d)−CH=CH(CH2xCH3
(e)−CH(OH)(CH2xCH(CH3)CH2CH3
{式中、Xは、5〜17の範囲の整数である}
の1つである]
を含むα−ガラクトシルセラミド。
【請求項20】
R2が、CH(OH)(CH213CH3である、請求項19に記載のα−ガラクトシルセラミド。
【請求項21】
式II:
【化6】

[式中、
R1は、直線状若しくは分岐したC1−C27アルカン又はアルケンであり、又は、
R1は、C(OH)−R3(ここで、R3は、少なくとも1個のC=C結合を有する直線状若しくは分岐したC1−C26アルケンである)であり、
あるいは、R1は、C6−C27アルカン又はアルケン(ここで、(i)C6−C27アルカン又はアルケンは、C5−C15シクロアルカン、C5−C15シクロアルケン、ヘテロ環又は芳香族環で置換され、あるいは(ii)C6−C27アルカン又はアルケンは、C6−C27アルキル又はアルケニル鎖内に、C5−C15シクロアルカン、C5−C15シクロアルケン、ヘテロ環又は芳香族環を含む)であり;
R2は、下記(a)−(e):
(a)−CH2(CH2xCH3
(b)−CH(OH)(CH2xCH3
(c)−CH(OH)(CH2xCH(CH32
(d)−CH=CH(CH2xCH3
(e)−CH(OH)(CH2xCH(CH3)CH2CH3
{式中、Xは、5〜17の範囲の整数である}
の1つであり;
R4は、α−ガラクトシル及びβ結合の単糖以外のα結合の単糖である]
を含むグリコシルセラミド。
【請求項22】
R1が、(CH222−CH3である、請求項21に記載のグリコシルセラミド。
【請求項23】
R2が、CH(OH)−(CH213−CH3である、請求項21に記載のグリコシルセラミド。
【請求項24】
R1が、(CH222−CH3であり、及びR2が、CH(OH)−(CH213−CH3である、請求項21に記載のグリコシルセラミド。
【請求項25】
R4が、α−ガラクトシル以外のα結合の単糖である、請求項21に記載のグリコシルセラミド。
【請求項26】
R4が、フコース及びグルコースから成る群から選択される、請求項25に記載のグリコシルセラミド。
【請求項27】
R4が、フコースである、請求項25に記載のグリコシルセラミド。
【請求項28】
R4が、グルコースである、請求項25に記載のグリコシルセラミド。
【請求項29】
R4が、β結合の単糖である、請求項21に記載のグリコシルセラミド。
【請求項30】
R4が、β−マンノシルである、請求項29に記載のグリコシルセラミド。
【請求項31】
請求項1〜30のいずれか1項に記載のα−ガラクトシルセラミド又はグリコシルセラミド、及び医薬として許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項32】
樹状細胞をさらに含む、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
請求項1〜30のいずれか1項に記載のα−ガラクトシルセラミド又はグリコシルセラミドを併用してワクチンを投与することを含む、哺乳動物にワクチンを投与する方法。
【請求項34】
NK T細胞を請求項1〜30のいずれか1項に記載のα−ガラクトシルセラミド又はグリコシルセラミドと接触することを含む、NK T細胞を活性化する方法。
【請求項35】
NK T細胞が、α−ガラクトシルセラミド又はグリコシルセラミドと接触後、サイトカイン産生の増加を示す、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
サイトカインが、IL−2、IL−4及びIFNγから成る群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
NK T細胞が、α−ガラクトシルセラミド又はグリコシルセラミドと接触後、CD40L発現の増加を示す、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
NK T細胞が生きている哺乳動物に存在する、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
哺乳動物が、自己免疫疾患、癌又は感染症を患っている又はそれを発症する危険性を有する、請求項38の方法。
【請求項40】
哺乳動物が、I型糖尿病を患っている又はそれを発症する危険性を有する、請求項39の方法。
【請求項41】
α−ガラクトシルセラミド又はグリコシルセラミドをNK T細胞と接触させる前に、α−ガラクトシルセラミド又はグリコシルセラミドを樹状細胞と生体外で接触させ、次に樹状細胞を哺乳動物に注入することをさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
樹状細胞が、哺乳動物由来である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
有効量の請求項31に記載の医薬組成物を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物の免疫系を刺激する方法。
【請求項44】
哺乳動物が、癌である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
哺乳動物が、I型糖尿病である、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
樹状細胞と請求項31に記載の医薬組成物を接触させ、樹状細胞を哺乳動物に注入することを含む、哺乳動物の免疫系を刺激する方法。
【請求項47】
CD1dタンパク質を発現する細胞の存在下で、NK T細胞を活性する化合物の能力についてその化合物を評価する方法であって、(i)CD1dタンパク質を発現する1より多くの細胞型の存在下で前記化合物とNK T細胞とを一緒にし、そして、(ii)NK T細胞が活性化するかどうかを評価することを含む、前記方法。
【請求項48】
CD1dタンパク質を発現する細胞型が、リンパ球様細胞、樹状細胞及び上皮細胞から成る群から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
化合物が、α−ガラクトシルセラミド又はグルコシルセラミドである、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
α−ガラクトシルセラミド又はグルコシルセラミドが、請求項1〜28のいずれか1項に記載のα−ガラクトシルセラミド又はグルコシルセラミドである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
哺乳動物に請求項31に記載の医薬組成物を投与することを含む、哺乳動物における自己免疫疾患、癌又は感染症を治療又は予防する方法。
【請求項52】
自己免疫疾患が、I型糖尿病、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、全身性紅班性狼瘡、ギラン・バレー症候群、抗リン脂質症候群、グッドパスチャー症候群、移植片対宿主疾患、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、強皮症、脈管炎、白斑、ヴェグナー肉芽腫症、関節リウマチ、糸球体腎炎、特発性血小板減少性紫班病、乾癬、及びシェーグレン病から成る群から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
自己免疫疾患が、I型糖尿病である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
医薬組成物が、α−ガラクトシルセラミドと接触させた樹状細胞を含む、請求項51に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B−1】
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【図5B−2】
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【図5B−3】
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【図5B−4】
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【図5B−5】
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【図5B−6】
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【図5B−7】
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【図5B−8】
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【図5B−9】
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【図5B−10】
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【図5B−11】
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【図5B−12】
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【図5B−13】
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【図5B−14】
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【図5B−15】
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【図5B−16】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−511634(P2008−511634A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530141(P2007−530141)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/030330
【国際公開番号】WO2006/026389
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(500379417)アルバート アインシュタイン カレッジ オブ メディシン オブ イエシバ ユニバーシティ (10)
【Fターム(参考)】