説明

免疫反応性試薬およびサポニンを含有する組成物、およびその使用方法

【課題】本発明は、感染性疾患、原発性または転移性新生物疾患(すなわち、癌)、神経変性若しくはアミロイド疾患、またはその疾患の治療が免疫応答の増強により改善されるような他の疾患の予防および治療に有用な医薬組成物、および該組成物を製剤化する方法を提供する
【解決手段】本発明の組成物は免疫反応性試薬(すなわち、抗原結合領域および抗体依存免疫プロセスを仲介する抗体の領域(1つ以上)を含む抗原結合タンパク質)およびサポニンを含有する。本発明はまた、本発明の組成物を、感染性疾患、原発性および転移性新生物疾患(すなわち、癌)、神経変性若しくはアミロイド疾患、またはその疾患の治療が免疫応答の増強により改善されるような他の疾患の予防および/または治療に用いる方法でもある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1. 発明の技術分野
本発明は、感染性疾患、原発性および転移性新生物疾患(すなわち、癌)、神経変性若しくはアミロイド疾患、またはその疾患の治療が免疫応答の増強により改善されるような他の疾患の予防および治療に有用である医薬組成物、および上記組成物を製剤化する方法に関する。上記組成物は、免疫反応性試薬(すなわち、抗原結合領域および抗体依存免疫プロセスを仲介する抗体の領域(1つ以上)を含む抗原結合タンパク質)およびサポニンを含有する。このような抗体依存プロセスには、抗体依存性の細胞性の細胞障害および食作用が含まれるが、これらに限定されない。本発明はまた、本発明の組成物を感染性疾患、原発性および転移性新生物疾患(すなわち、癌)、神経変性若しくはアミロイド疾患、またはその疾患の治療が免疫応答の増強により改善されるような他の疾患の治療に用いる方法に関する。このような方法には、受動免疫療法(すなわち、抗体のような免疫反応性試薬による受動免疫感作)が含まれる。このような受動免疫療法はいずれも、サポニン、好ましくはQS-21の共投与により増強される可能性がある。
【背景技術】
【0002】
2. 発明の背景技術
2.1. 受動免疫療法
受動免疫療法(受動免疫感作とも呼ぶ)は、たとえば、病原体、腫瘍または病原性タンパク質上のエピトープに対する抗原結合領域、およびFc受容体結合領域を含む免疫反応性試薬(すなわち、抗体)を患者に直接投与することを指す。免疫反応性試薬は、たとえば感染を阻害するために予防的に、または、感染を軽減もしくは排除するために、癌細胞を減少もしくは排除するために、または病原性タンパク質、たとえば神経変性および/若しくはアミロイド生成性疾患で生じるようなタンパク質凝集体または堆積物を解消または除去するために治療的に、与えることができる。これは、タンパク質によりin vivoで患者の免疫応答を誘導して抗体を生産する患者の免疫感作とは区別される。上記のような投与は、好ましくは、抗体または免疫反応性試薬のFc部分(すなわちFc受容体結合領域)と相互作用することができるFc受容体を有するエフェクター細胞を刺激し、その結果、抗体依存細胞の細胞障害(たとえば、ADCC)または抗体仲介オプソニン作用のような細胞免疫機能および/または細胞、病原体もしくは免疫反応性試薬により認識されるエピトープを有するタンパク質に対する食作用をもたらす。受動免疫療法のサポニンに仲介される増強は、エフェクター細胞の刺激、すなわち、上記の細胞内のFc受容体の誘導および/または活性化により生じる。FcRエフェクター細胞の機能に依存する抗体仲介腫瘍療法の有効性は、特定のサイトカインの使用により変更することができる。Kelerら、2000, J. Immunol. 164:5746-5752。
【0003】
2.2. サポニン
キラヤ皮サポニンはキラヤ(Quillaja saponaria)の木の樹皮から抽出されるトリテルペングリコシドの混合物である。これらは昔からワクチンのアジュバントとして使用することができる免疫刺激剤として認められており(CampbellおよびPeerbaye, 1992, Res. Immunol. 143(5):526-530)、多くの市販の複合サポニン抽出物がアジュバントとして利用されてきた。粗サポニンは足および口の病気に対する獣医学ワクチンのアジュバントとして、およびマラリア、Trypanosoma cruziプラスモディウムのような原虫の寄生に対する実験的ワクチンにより与えられる保護的免疫、およびヒツジ赤血球(SRBC)に対する体液性応答を増幅する際のアジュバントとして広く使用されてきた(Bomford, 1982, Int. Arch. Allerg. Appl. Immun. 67:127)。
【0004】
最初の市販されたキラヤ皮サポニンアジュバントは、その変化し易さのために、獣医学での診療、またはヒトのための医薬組成物における使用には望ましくない粗抽出物であった。キラヤ皮サポニンアジュバントを精製する初期の試みは、Dalsgaard (1974, Archiv fuer die gesamte Virusforschung 44:243)によりなされた。Dalsgaardは、バラ科キラヤ(Quillaja saponaria Molina)から得たサポニンアジュバント材料の水性抽出物を部分的に精製した。Dalsgaardの調製物、“Quil-A”はそれ以前に市販されていたサポニンと比べて確実な改善であったものの、それはまだかなりの不均質性を示していた。
【0005】
それに続く高速液体クロマトグラフィーによる分析により、QuiAは実際は構造的に関連するトリテルペングリコシドの不均一な混合物であることが明らかになった(米国特許第5,057,540号;Kerstenら、1988, Infect. Immun. 56:432-438; Kensilら、1991, J. Immunol. 146:431-437; Kensilら、1991, J. Am. Vet. Med. Assoc. 199:1423-1427)。けれども、これらのサポニンのすべてがアジュバントとして活性であったわけではない。
【0006】
4つの最も有力な精製されたキラヤ皮サポニンは、QS-7、QS-17、QS-18およびQS-21である(あるいは、QA-7、QA-17、QA-18およびQA-21として同定される)。これらのサポニンはHPLCおよび低圧シリカクロマトグラフィーにより精製され、アジュバントとして活性であるが、マウスにおける溶血性および毒性のような生物活性が異なっていることが見いだされた。特に、QS-21およびQS-7がマウスにおける毒性が最も低いことが見いだされた(Kensilら、1991, J. Immunol. 146:431-437)。
【0007】
アジュバント活性の強さおよび毒性の低さから、QS-21(「Stimulon(登録商標)」アジュバントとして市販されている)が有用な免疫アジュバントとして同定された(Kensilら、1995, 「ワクチンデザイン:サブユニットおよびアジュバントアプローチ」(Vaccine Design: The Subunit and Adjuvant Approach)中の「ワクチンアジュバントQS-21の構造的および免疫学的解析」(Structual and Immunological Caracterization of the Vaccine Adjuvant QS-21)、PowellおよびNewman編、Plenum Press, New York)。QS-21はキライック(quillaic)酸の複合トリテルペングリコシドである。QS-21はトリテルペン炭素3、トリテルペン炭素28、および脂肪酸ドメイン中の第2脂肪アシルユニットの炭素5でグリコシル化されている。
【0008】
より最近では、QS-21は親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)を用いてさらに精製されて、2つのピーク、QS-21-V1およびQS-21-V2に分けられ、これらは化学的に異なる化合物であることが示された。オボアルブミンおよび、QS-21、QS-21-V1、またはQS-21-V2のいずれかからなるワクチンにより免疫感作されたC57BL/6マウスにおいて、個々の成分QS-21-V1およびQS-21-V2の両方が、IgGサブクラスのIgG1、IgG2bおよびIgG2、ならびに総IgG力価を追加免疫刺激する際に、元のQS-21ピーク(QS-21-V1およびQS-21-V2の3:2の混合物を含む)と同等のアジュバント効果を示した(米国特許第5,583,112号、その全内容を参照により本明細書に組み入れる)。
【0009】
キラヤ皮サポニンは他の植物種に由来するサポニンとは構造的に区別される。キラヤサポニンを他の植物種由来のサポニンと区別する2つの構造的特徴は、脂肪酸ドメインおよびトリテルペンの炭素4におけるトリテルペンアルデヒドである(Kensilら、1995, 「ワクチンデザイン:サブユニットおよびアジュバントアプローチ」(Vaccine Design: The Subunit and Adjuvant Approach)中の「ワクチンアジュバントQS-21の構造的および免疫学的解析」(Structual and Immunological Caracterization of the Vaccine Adjuvant QS-21)、PowellおよびNewman編、Plenum Press, New York)。トリテルペン上のアルデヒドを修飾することにより、この官能基がアジュバントメカニズムに関与している可能性があることが示された(Soltysikら、1995, Vaccine 13(15):1403-1410)。
【0010】
キラヤ皮サポニン、特にQS-7、QS-17、QS-18およびQS-21は、免疫原性が低く、免疫応答を最大化するためには強力なアジュバントを必要とする可溶性T-依存タンパク質抗原、「サブユニット抗原」に対する抗体反応の優れた刺激剤であることが見いだされた。サポニンアジュバントがマウスにおけるIgG反応を増大するような、精製されたサブユニット抗原の例には、キーホールリンペット(keyhole limpet)ヘモシアニン(KLH)、HIV-1 gp120 (Bomfordら、1992, AIDS Res. Hum. Retroviruses 8:1765)、およびインフルエンザ核タンパク質(Brettら、1993, Immunology 80:306)が含まれる。QS-7、QS-17、QS-18およびQS-21はまた、マウスにおける、抗原ウシ血清アルブミンおよびシトクロムb5に対する強力な抗体反応を刺激することが示されている(Kensilら、1991、J. Immunol. 146:431)。これらの精製されたサポニンにより誘導される抗体反応のレベルは、他の広く使用されるアジュバント、たとえば、完全フロイントアジュバントと同等であり、水酸化アルミニウムよりも優れていた。
【0011】
QS-21はまた、非コンジュゲート細菌多糖を含むT-非依存抗原に対する抗体反応を増大させることが示されている(Whiteら、1991, 「タンパク質およびペプチドの免疫生物学」(Immunobiology of Proteins and Peptides)第4巻中の、「精製されたサポニンはT-非依存抗原のアジュバントとして作用する」(A purified saponin acts as an adjuvant for a T-independent antigen)、Atassi編、Plenum Press, New York, pp.207-210)。ワクチンの免疫原性は、多糖にジフテリア毒素をコンジュゲートすることによりさらに増加した。QS-21は、IgG2a、IgG2bおよびIgG3応答を含む、多糖および担体に対する抗体反応を増強した(Coughlinら、1995, Vaccine 13(1):17-21)。
【0012】
Igサブクラスの切り替えの促進により、抗原に対する抗体反応のイソタイプ分布およびIgGサブクラス分布をモジュレートするアジュバントの能力は、多くの細菌およびウイルスワクチンに対する免疫に重要な影響を及ぼす。QS-7、QS-17、QS-18およびQS-21は、20μgのサポニン用量で投与した後に、シトクロムb5に対するIgG2a応答を刺激する(Kensilら、1991, J. Immunol 146:431)。この点に関して、QS-21は、優勢なIgG1応答を有意のIgG2bおよびIgG2a応答を含むプロファイルに変化させる。たとえば、QS-21は、Borrelia burgdorferi外表面タンパク質OspAおよびOspB (Maら、1994, Vaccine 12(10):925)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)エンベロープgp70 (Kensilら、1991、J. Am. Vet. Med. Assoc. 10:1423)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)エンベロープタンパク質gB (Brittら、1995, J. Infect. Dis. 171:18)、RSウイルス(RSV)精製融合タンパク質(Hancockら、1995, Vaccine 13(4):391)、および破傷風毒素(Coughlinら、1995, Vaccine 13(1):17)を含む、多くの抗原に対する抗原特異的IgG2aを刺激することが示されている。QS-21はまた、追加抗原刺激が可能な抗体反応を誘導することが示されている(Brittら、1995, J. Infect. Dis. 171:18-25; Hellingら、1995, Cancer Res. 55:2783-2788)。
【0013】
QS-21アジュバントの、可溶性タンパク質による免疫感作後にクラスI主要組織適合性複合体(MHC)抗原-限定細胞障害T-リンパ球反応(CTL)を誘導する能力は、サポニンアジュバントの特徴である。多くの研究により、QS-21の、オボアルブミン(Wuら、1994, Cell. Immunol. 154:394-406; Newmanら、1992, J. Immunol. 148(8):2357-2362)、組換えHIV-1 gp160タンパク質(Wuら、1992, J. Immunol. 148:1519)、RSウイルス(“RSV”)精製融合タンパク質(Hancockら、1995, Vaccine 13(4):391)、およびサブユニットSIVmac251gagおよびenv (Newmanら、1994, AIDS Res. Hum. Retroviruses 10(7):853)を含むさまざまな抗原に対する強力な細胞障害T-リンパ球(CTL)応答を誘導する能力が示された。
【0014】
ほとんどのサポニンアジュバントの研究は、マウスを用いて実施されてきた。けれども、サポニンのアジュバント活性はマウスに限られない。これは、ヒト、ネコ、イヌ、モルモット、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、およびヒト以外の霊長類においても証明されている(Kensilら、1995, 「ワクチンデザイン:サブユニットおよびアジュバントアプローチ」(Vaccine Design: The Subunit and Adjuvant Approach)中の「ワクチンアジュバントQS-21の構造的および免疫学的解析」(Structual and Immunological Caracterization of the Vaccine Adjuvant QS-21)、Powell, M.F.およびNewman, M.J. 編、Plenum Press, New York)。
【0015】
GM2ガングリオシド-キーホールリンペットヘモシアニンコンジュゲートワクチンを用いるQS-21のヒトにおけるフェーズI試験が、悪性黒色腫の患者により実施された(Livingstonら、1994, Vaccine 12:1275-1280)。QS-21アジュバントを投与した後に、免疫原性の増加が観察された(Hellingら、1995, Cancer Res. 55:2783-2788)。別の臨床試験では、QS-21は、マウス抗イディオタイプ抗体MELIMMUNE-1に対する黒色腫の患者の血清応答を顕著に増加させる、強力な免疫学的アジュバントであることが見いだされた(Livingstonら、1995, Vaccine Res. 4(2):87)。
【0016】
サポニンの免疫アジュバント効果は用量に依存する。抗原および種に依存して、最適な応答には、QS-21の最小用量レベルが要求される(Kensilら、1991, J. Immunol. 146(2): 431-7; Kensilら、1993, Ann N Y Acad Sci. 690: 392-5; Newmanら、1992, J.Immunol.148(5): 1519-25; Livingstonら、1994, Vaccne 12(14):1275-80)。この最小容量以下では、免疫アジュバント効果は不十分である(低いレベルである、または存在しない)。QS-7もまた、用量反応曲線を有する(Kensilら、1991, J. Immunol. 146(2): 431-7)。
【0017】
サポニンはまた、いかなる特定の抗原にも依存しない先天性免疫応答を引き出すことが発見されている。先天性免疫がサポニンにより刺激されると、免疫攻撃に対して増強された方式で応答することが可能な効力の高い免疫系となる。たとえば、サポニンは、マクロファージ細胞中でのTNF-α、IL-6およびMIP-1-αの生産を増大させることができる。骨髄由来樹状細胞において、サポニンは、MIP-1-αおよびIL-1の生産を増大し、Il-12およびMIP-1-βの生産を減少させる。このサポニンの効果は国際特許公開WO01/51083に記載されており、この文献全体を本明細書に組み入れる。このサポニンの性質は、アジュバント効果がアジュバントが共に投与された特定の抗原に対して特異的であるのに対して、先天性免疫刺激効果は免疫系およびその攻撃に用いられた特定の抗体と無関係の攻撃に反応する能力の全般的な増強をもたらす点で、そのアジュバント効果とは異なる。先天性免疫の測定、およびその増強の測定方法は当業者に公知であり、国際特許公開WO01/51083に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、感染性疾患、原発性および転移性新生物疾患(すなわち、癌)、神経変性もしくはアミロイド疾患、またはその疾患の治療が免疫応答の増強により改善されるような他のすべての疾患の予防および治療に有用な医薬組成物、および上記組成物を製剤化する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の組成物は免疫反応性試薬(すなわち、抗原結合領域および1つ以上の抗体依存免疫プロセスを仲介する領域を含む抗原結合タンパク質)およびサポニンを含有する。上記の組成物はさらに免疫刺激性オリゴヌクレオチドを含んでいてもよい。
【0020】
本発明はまた、本発明の組成物を、感染性疾患、原発性および転移性新生物疾患(すなわち、癌)、神経変性若しくはアミロイド疾患の治療、または免疫応答の増強により改善されるような他のすべての疾患の治療に用いる方法に関する。上記の方法には受動免疫療法が含まれる。このような受動免疫療法はいずれも、サポニン、好ましくはQS-21の共投与により増強される可能性がある。サポニンは免疫反応性試薬と同時に投与されてもよいし、免疫反応性試薬の投与の前または後のいずれかの短時間のうちに投与されてもよい。短時間とは、1、15若しくは30分、1、6若しくは12時間、または1若しくは2日を含むが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、サポニンはQS-7、QS-17、QS-18、QS-21、QS-21-V1またはQS-21-V2である。
【0021】
本発明の組成物は、治療上有効な量の免疫反応性試薬およびサポニンを個体に投与することにより、神経変性若しくはアミロイド疾患、癌または感染性疾患の媒体と関連するエピトープ、または上記の疾患に関連するエピトープを有する細胞若しくは分子に対する免疫応答を引き起こすために用いることができる。あるタイプの癌に対する免疫応答が望まれる場合、その型の癌の抗原、すなわち、腫瘍関連抗原に特異的に結合する(または「認識する」)免疫反応性試薬が用いられる。感染性疾患の媒体に対する免疫応答を引き出すことが望まれる場合には、感染性疾患の媒体の抗原または病原性タンパク質(すなわち、毒素)に特異的に結合する免疫反応性試薬が用いられる。他の実施形態において、あるタイプの癌の抗原に特異的に結合する免疫反応性試薬を含有する本発明の組成物を、そのタイプの癌を治療または予防するために用いる。また、感染性疾患の媒体に特異的に結合する免疫反応性試薬を含有する本発明の組成物を、感染性疾患を治療または予防するために用いる。他の実施形態において、神経変性疾患またはアミロイド疾患に関連する抗原性分子に特異的に結合する免疫反応性試薬を含有する本発明の組成物を、上記の神経変性またはアミロイド疾患を治療または予防するために用いる。
予防および治療のための投与計画およびキットもまた、本発明により提供される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、感染性疾患、原発性および転移性新生物疾患(すなわち、癌)、神経変性若しくはアミロイド疾患、またはその疾患の治療が免疫応答の増強により改善されるような他のすべての疾患の予防および治療に有用な医薬組成物、および上記組成物を製剤化する方法に関する。ある実施形態において、免疫応答を引き出した結果は予防または治療である。本発明の組成物は、個体に治療上有効な量の免疫反応性試薬およびサポニンを投与することにより、癌若しくは感染性疾患の媒体、または神経変性/アミロイド疾患、または受動免疫療法により治療することができる他の疾患若しくは病的状態に対する、改善された受動免疫療法を提供するために使用することができる。
本発明の方法により治療される癌には、白血病(たとえば、急性リンパ性白血病および急性骨髄性白血病のような急性白血病)、新生物、腫瘍(たとえば、非ホジキンリンパ腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、軟骨腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢包腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ヴィルムス腫、頚癌、睾丸腫瘍、肺癌、小細胞肺癌膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、および網膜芽腫)、H鎖病(B-細胞リンパ腫)、転移、または制御されない細胞増殖を特徴とするすべての疾患または障害が含まれるが、これらに限定されない。腫瘍抗原または腫瘍関連抗原には、癌生殖細胞(CG)抗原(MAGE、NY-ESO-1)、突然変異抗原(MUM-1、p53、CDK-4)、過発現された自己抗原(p53、HER2/NEU)、ウイルス抗原(乳頭腫ウイルス、エプスタイン-バーウイルス由来)、非一次オープンリーディングフレームmRNA配列由来の腫瘍タンパク質(NY-ESO1、LAGE1)、Melan A、MART-1、MAGE-1、MAGE-3、BAGE、GAGE-1、GAGE-2、チロシナーゼ、gp100、gp75、HER-2/neu、c-erb-B2、CEA、PSA、MUC-1、CA-125、Stn、TAG-72、KSA(17-1A)、PSMA、p53(点突然変異および/または過発現した)、RAS(点突然変異した)、EGF-R、VEGF、GD2、GM2、GD3、抗-Id、CD20、CD19、CD22、CD36、異常な(Aberrant)クラスII、B1、CD25(IL-2R)(抗-TAC)またはHPVが含まれる。
【0023】
本発明により治療することができる感染性媒体には、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザ、水痘、アデノウイルス、I型単純ヘルペス(HSV-I)、II型単純ヘルペス(HSV-II)、牛疫、ライノウイルス、ECHOウイルス(echovirus)、ロタウイルス、RSウイルス、乳頭腫ウイルス、パポバウイルス、サイトメガロウイルス、エキノウイルス(echinovirus)、アルボウイルス、ハンタウイルス(huntavirus)、コクサッキーウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、痘瘡、エプスタイン-バーウイルス、I型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-I)、II型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-II)のようなウイルス、およびウイルス性髄膜炎(miningitis)、脳炎、デング熱または痘瘡のようなウイルス性疾患の媒体;ミコバクテリアリケッチア(mycobacteria rickettsia)、マイコプラズマ、ナイセリア、S. pneumonia、Borrelia burgdorferi(ライム病)、Bacillus antracis(炭疽)、破傷風、連鎖球菌、ぶどう球菌、ミコバクテリア、破傷風、百日咳(pertissus)、コレラ、ペスト、ジフテリア、クラミジア、S. aureusおよびレジオネラ(legionella)のような細菌;およびリーシュマニア、コクシジア、トリパノソーマまたはマラリアのような原生動物による疾患の媒体が含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
神経変性またはアミロイド疾患の特徴を示す細胞または構造の中または上の抗原分子、たとえば、ペプチドおよび/またはタンパク質原線維を含む細胞外堆積物またはプラークに特異的に結合する免疫反応性試薬もまた利用することができる。神経変性またはアミロイド疾患を治療または予防することが望まれる場合、好ましくは原線維ペプチドまたはタンパク質を含むがこれらに限定されない、神経変性疾患に関連する抗原分子のエピトープ、またはアミロイド疾患に関連する抗原分子のエピトープを含む分子に特異的に結合する免疫反応性試薬を用いる。このような神経変性疾患関連抗原分子は、アルツハイマー病、加齢に関係する認識機能の喪失、老年痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化、ウィルソン病、脳性麻痺、進行性核上性麻痺、グアム病、レーヴィ体痴呆、プリオン病、海綿状脳障害、クロイツフェルト-ヤコブ病、ポリグルタミン病、ハンティングトン病、筋緊張性ジストロフィー、フリートライヒ運動失調、運動失調、ジル・ド・ラ・ツレット症候群、発作障害、てんかん、慢性発作障害、発作、脳外傷、脊髄外傷、エイズ痴呆、アルコール中毒、自閉症、網膜虚血、緑内障、自律神経機能障害、高血圧、神経精神障害、統合失調症、または統合失調性感情障害に関連する分子であってよい。このような抗原分子の例は、米国特許出願第09/489,216号に開示されており(この文献全体を参照により本明細書に組み入れる)、β-アミロイドまたはその断片、オリゴマーAβ複合体またはその断片、ApoE4-Aβ複合体、タウタンパク質またはその断片、アミロイド前駆体タンパク質またはその断片、突然変異体アミロイド前駆体タンパク質またはその断片、プレセニリンまたはその断片、プレセニリンの突然変異体またはその断片、α-シヌクレインまたはその断片、またはプリオンタンパク質またはその断片、および上記のタンパク質またはその断片のいずれかの抗原性誘導体を含むが、これらに限定されない。アミロイド疾患関連抗原分子は、II型糖尿病、および慢性の炎症または感染性疾患状態を伴うアミロイド症および悪性新生物、たとえば、骨髄腫を含むが、これらに限定されない、アミロイド堆積物またはプラークを形成するタンパク質および/またはペプチド原線維の細胞外堆積を特徴とする疾患に関連する分子である。アルツハイマー病およびプリオン病、たとえば、クロイツフェルト-ヤコブ病のような、ある種のアミロイド疾患は神経変性疾患である。
【0025】
免疫療法により治療することができる他の疾患または病的状態の治療もまた本発明の範囲に含まれる。このような治療には、アンギオテンシン2と結合する免疫反応性試薬による心血管疾患の治療、および、IL-10、腫瘍壊死因子、または他の免疫調節分子と結合する免疫反応性試薬による、関節炎のような自己免疫関連疾患の治療が含まれる。
【0026】
組成物は、免疫反応性試薬(すなわち、抗原結合領域および1つ以上の抗体依存免疫プロセスを仲介する領域、たとえば、Fc受容体結合領域を含む抗原結合タンパク質)およびサポニンを含有する。ある実施形態において、本発明の組成物は、さらに免疫刺激性オリゴヌクレオチドを含む。
【0027】
本発明はまた、本発明の組成物を、感染性疾患、原発性または転移性新生物疾患(すなわち、癌)、神経変性若しくはアミロイド疾患の治療、または免疫応答の増強により改善されるような他の疾患の治療のために使用する方法に関する。このような方法には受動免疫が含まれる。このような受動免疫はすべて、サポニン、好ましくはQS-21の共投与により増強される可能性がある。サポニンは、免疫反応性試薬と同時に、または免疫反応性試薬の投与の前または後のいずれかの短時間のうちに投与される。短時間とは、1、15若しくは30分、1、6、12、18若しくは36時間、または1若しくは2日を含むが、これらに限定されない。
【0028】
好ましい実施形態において、サポニンはQS-7、QS-21、QS-21-V1、またはQS-21-V2である。別の実施形態において、サポニンは活性な誘導体、たとえば、GPI-100のような半合成誘導体、ならびに他の免疫刺激性(たとえばアジュバント活性)サポニンまたはサポニン含有組成物である。個々のサポニンのアジュバント、溶血、および先天性免疫刺激活性について、当分野で広く研究されてきた(Lacaille-DuboisおよびWagner, 1996, 「サポニンの生物および薬理活性の概説」(A review of the biological and pharmacological activities of saponins), Phytomedicine 第2巻、pp363-386、この文献全体を参照により本明細書に組み入れる)。このような活性なサポニンには、Quil Aおよびその画分、ISCOMS、カスミソウ(Gypsophila)およびSaponariaのような他の植物種由来のサポニンが含まれる(Bomfordら、1992, Vaccine 10(9): 572-577, この文献全体を参照により本明細書に組み入れる)。また、Chenopodium quinoaサポニンは、鼻腔内および胃内の両方のワクチンにおいて用いられてきた(Estradaら、1998, Comp. Immunol. Microbiol. Infect. Dis. 21(3):225-36、この文献全体を参照により本明細書に組み入れる)。
【0029】
組成物は、たとえば、家族の病歴の結果としてかかりやすい傾向を有する個体において、または環境因子のために癌に対するリスクが増している個体においてさまざまな癌を予防するために、たとえば、感染性疾患の媒体に曝される危険の高い個体において感染性疾患を予防するために、および、たとえば、神経変性またはアミロイド疾患にかかりやすい遺伝的傾向を有する個体において神経変性またはアミロイド疾患を予防するために利用することができる。
【0030】
本発明はまた、1つ以上の本発明の医薬組成物の成分と共に1つ以上の容器を含むキットを提供する。必要に応じて、上記のキット(1個以上)に、医薬品または生物製品の製造、使用または販売を監督する政府機関により定められた形式による、製造、使用または販売を監督する官庁によるヒトへの投与の認可を示す注意書きを添付することができる。1つの実施形態において、キットは必要に応じてさらに、あらかじめ決定された量の免疫反応性試薬(すなわち、抗原結合領域および1つ以上の抗体依存免疫プロセスを仲介する領域、たとえばFc受容体結合領域を含む抗原結合タンパク質)およびサポニンを含む。好ましい実施形態において、キットは、別の容器に入った免疫反応性試薬およびサポニンを含む。
【0031】
4.1. 免疫反応性試薬
本発明の免疫反応性試薬は、1) 抗原結合領域および、必要に応じて、2) 1つ以上の抗体依存免疫プロセスを仲介する領域を含むペプチドである。抗原結合領域は、抗体の抗原結合領域を含むか、これから構成されていてよい。抗原結合領域は、目的の抗原と特異的に相互作用するペプチドまたはドメインを含むことができる。たとえば、抗原結合領域は、目的の抗原のリガンドもしくは他の特異的結合パートナーであってよく、またはそのようなリガンドもしくは結合パートナーの断片であってよく、またはそのようなリガンドもしくは結合パートナーに由来するものであってよい。
【0032】
1つ以上の抗体依存免疫プロセスを仲介する領域は、Fc受容体と結合することができる領域、たとえば、Fc受容体と結合する抗体の一部、または補体と結合する領域、たとえば、抗体の補体結合領域を含むか、これらから構成されてよい。この領域はまた、Fc受容体または補体と結合する抗体の抗原結合ドメインであってもよい。
【0033】
免疫反応性試薬は、抗体、FabおよびF(ab’)2断片、抗体の抗原結合部分を含むように工学処理された分子またはタンパク質、抗体依存免疫応答を仲介する抗原結合ドメインを含むように工学処理された分子またはタンパク質、目的の抗原と特異的に相互作用するペプチドまたはドメイン、または目的の抗原/エピトープと相互作用する抗原結合ドメイン、および抗体依存免疫エフェクター細胞の応答またはプロセスを仲介する抗体の定常領域のドメインを含む。上記のような本発明に用いることができるAb定常領域内のドメインまたは領域の例には、Reddyら、2000, J. Immunol. 164(4):1925-33; Colomaら、1997, Nat Biotechnol. 15(2):159-63; Carayannopoulosら、1994, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91(18):8348-52; Morrison, 1992, Annu Recombinant expression vector Immunol. 10:239-65; Trauneckerら、1992, Int. J. Cancer Suppl., 7:51-2; Gilliesら、1990, Hum. Antibodies Hybridomas, 1(1):47-54に開示されるものが含まれる。これらの文献全体を参照により本明細書に組み入れる。
【0034】
このような抗体依存プロセスには、抗体依存細胞性細胞障害、補体の活性化、オプソニン作用および食作用が含まれるが、これらに限定されない。ある種の抗体依存プロセスを仲介するエフェクター細胞には、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、および多形核細胞が含まれる。特定のメカニズムに束縛されないが、サポニンは抗体依存応答の仲介に関与するエフェクター細胞上の受容体を増加させることができると考えられる。これらの受容体には、FcαおよびFcγ受容体、それらのイソ型、またはそれらの組合せが含まれる。そこで、特定の実施形態において、1つ以上の抗体依存免疫プロセスを仲介する免疫反応性試薬の領域は、Fc受容体、好ましくはFcα受容体またはFcγ受容体、またはその両方のリガンドである領域を含むか、これにより構成される。別の実施形態において、1つ以上の抗体依存免疫プロセスを仲介する免疫反応性試薬の領域は、免疫エフェクター細胞、好ましくは、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、多形核細胞、または上記細胞の2つ以上の組合せの機能を、予防および/または治療効果が達成されるように刺激する領域を含むか、これにより構成される。
【0035】
好ましい実施形態において、免疫反応性試薬は抗体、または血清のような抗体を含む組成物である。特定の実施形態において、免疫反応性試薬は、IgA、IgGまたはIgM抗体であるか、これらの断片を含む。特に好ましい実施形態において、免疫反応性試薬はモノクローナル抗体であるか、モノクローナル抗体の断片を含む。免疫反応性試薬はまた、B型肝炎の治療のためのヒト免疫グロブリン;RSVの治療のためのRespigam;SandogloblinまたはImmuneGlobulinIV (IGIV)を含むか、これらから構成されてもよい。別の実施形態において、免疫反応性試薬は、単一のエピトープを標的とせず、エピトープの集団に結合する1つ以上の分子の混合物を含む。このような免疫反応性試薬の例は、血清、または血清もしくは血漿から濃縮された抗体である。このような血清または血漿は特定の抗原に対して免疫感作された被験体由来のものであってもよいし、そのような免疫感作を受けていない被験体由来のものであってもよい。
【0036】
別の実施形態において、免疫反応性試薬は、異なる特異性の2つの抗原結合領域を有する、すなわち、一方は標的細胞またはタンパク質上のエピトープを認識し、他方はエフェクター細胞のエピトープ、たとえば、FcRのエピトープを認識する二特異性分子である。別の実施形態において、免疫反応性試薬は、標的細胞/タンパク質上の異なるエピトープに対する2つの抗原結合ドメイン、および抗体依存免疫応答を仲介するドメインを有する二特異性分子である。癌細胞または病原体を標的とするそのような二特異性分子およびそれらの治療効果については、in vivoおよびin vitroの両方で試験されてきた(たとえば、Wallaceら、2001, J. Immunol. Methods 248(1-2):167-82; Sundarapandiyanら、2001, J. Immunol. Methods 248(1-2):113-23; Honeychurchら、2000, Blood 96(10):3544-52; Negriら、1995, Br J Cancer 72(4):928-33; Wangら、1994, Zhonghua Zhong Liu Za Zhi 16(2):83-7, 中国語)(これらの文献全体を参照により本明細書に組み入れる)。
【0037】
好ましい実施形態において、免疫反応性試薬は精製される。本明細書においてある種のペプチド、抗体、分子、タンパク質、抗原、サポニン等について述べる場合に用いられる「精製された」という用語は、分子、タンパク質、抗原等の1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、または99%以上が、天然の正常な状態では上記ペプチド、抗体、分子、タンパク質、抗原、サポニン等と会合しているタンパク質、多糖、および/または脂質から分離されている状態を指す。単離される分子、タンパク質、抗原、サポニン等が合成される場合には、これらに混入する分子、タンパク質、抗原、サポニン等を合成するために用いた化学前駆体または合成試薬は、50%、40%、30%、20%、10%、5%、1%または0.1%未満である。好ましい実施形態において、ペプチド、抗体、分子タンパク質、抗原、サポニン等は、少なくとも1%純粋、5%純粋、10%純粋、20%純粋、30%純粋、40%純粋、50%純粋、60%純粋、70%純粋、80%純粋、90%純粋、95%純粋、99%純粋、または100%純粋である。本明細書において、「%純粋」という用語は、目的の分子が存在する組成物全体における重量によるパーセンテージを示す。したがって、50gの目的の分子を含む100gの組成物は、目的の分子に関して50%純粋である。
【0038】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレー技術、またはそれらの組合せの使用を含むさまざまな公知の技術を用いて調製することができる。たとえば、モノクローナル抗体は、当業者に公知であり、たとえば、Harlowら、「抗体:実験室マニュアル」(Antibodies: A Laboratory Manual), (Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988);Hammerlingら、「モノクローナル抗体およびT-細胞ハイブリドーマ」(Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas), pp. 563-681 (Elsevier, N.Y., 1981)(両方の文献全体を参照により本明細書に組み入れる)に記載されるものを含むハイブリドーマ技術を用いて製造することができる。本明細書において、「モノクローナル抗体」という用語は、ハイブリドーマ技術により生産された抗体に限定されない。「モノクローナル抗体」という用語は、すべての真核、原核、またはファージクローンを含む単一のクローンに由来する抗体を指し、それが製造された方法を指さない。
【0039】
ハイブリドーマ技術を用いて特定の抗体を製造およびスクリーニングする方法は、通常おこなわれるものであり、当分野で公知である。限定的でない例において、マウスを目的の抗原またはそのような抗原を発現する細胞により免疫感作することができる。免疫反応が検出された後、たとえば、マウス血清中にその抗原に特異的な抗体が検出された後、マウスの脾臓を採取して脾臓細胞を単離する。次いで、脾臓細胞を公知の技術により適当な骨髄腫細胞と融合させる。ハイブリドーマを選択し、限界希釈によりクローン化する。次いで、公知の方法により、抗原に結合することのできる抗体を分泌する細胞についてハイブリドーマクローンをアッセイする。陽性のハイブリドーマクローンをマウスに腹腔内接種することにより、全般的に高いレベルの抗体を含む腹水を作ることができる。
【0040】
特定のエピトープを認識する抗体断片を公知の技術により作ることができる。たとえば、FabおよびF(ab’)2断片は、パパイン(Fab断片の製造)またはペプシン(F(ab’)2断片の製造)のような酵素を用いた、タンパク質分解による免疫グロブリン分子の開裂により製造することができる。F(ab’)2断片は完全な軽鎖、および重鎖の可変領域、CH1領域およびヒンジ領域を含む。
【0041】
たとえば、抗体は、当分野で公知のさまざまなファージディスプレー法を用いて作ることもできる。ファージディスプレー法において、機能的抗体ドメインを、それらをコードするポリヌクレオチド配列を有するファージ粒子の表面にディスプレーする。特定の実施形態において、このようなファージを、全範囲または組合せ抗体ライブラリー(たとえば、ヒトまたはマウス)から発現された、FabおよびFvまたはジスルフィド結合安定化Fvのような抗原結合ドメインをディスプレーするために利用する。目的の抗原に結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、たとえば、標識された抗原、または固体の表面もしくはビーズに結合もしくは補足された抗原を用いて、抗原により選択または同定することができる。これらの方法に用いられるファージは、典型的には、fdおよびM13を含む繊維状ファージである。抗原結合ドメインは、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIタンパク質のいずれかに組換えにより融合されたタンパク質として発現される。本発明の免疫グロブリンまたはその断片を作るために用いることができるファージディスプレイ法の例には、Brinkmanら、1995, J. Immunol. Methods 182:41-50; Amesら、1995, J. Immunol. Methods 184:177-186; Kettleboroughら、1994, Eur. J. Immunol., 24:952-958; Persicら、1997, Gene 187:9-18; Burtonら、1994, Advances in Immunology 57:191-280; PCT出願PCT/GB91/01134; PCT公開WO90/02809; WO91/10737; WO92/01047; WO92/18619; WO93/11236; WO95/15982; WO95/20401; および米国特許第5,698,426; 5,223,409; 5,403,484; 5,580,717; 5,427,908; 5,750,753; 5,821,047; 5,571,698; 5,427,908; 5,516,637; 5,780,225; 5,658,727; 5,733,743および5,969,108号に開示されるものが含まれる。これらの文献全体を参照により本明細書に組み入れる。
【0042】
上記の参照文献に記載されるように、ファージの選択の後、ファージから抗体コード領域を単離して、ヒト抗体を含む抗体全体、または他の所望の断片を作るために使用し、哺乳類細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌を含む所望の宿主に、たとえば下に詳細に記載する方法で、発現することができる。たとえば、PCT公開WO92/22324; Mullinaxら、1992, BioTechniques 12(6):864-869; およびSawaiら、1995, AJRI 34:26-34; およびBetterら、1988, Science 240:1041-1043(これらの文献全体を参照により本明細書に組み入れる)に開示されるもののような当業者に公知の方法を用いて、組換え的にFab、Fab’およびF(ab’)2断片を製造する技術を採用することができる。単鎖Fvsおよびこれを含む抗体を製造するために用いることができる技術の例には、米国特許第4,946,778および5,258,498号;Hustonら、1991, Metods in Enzymology 203:46-88; Shuら、1993, PNAS 90:7995-7999; およびSkerraら、1988, Science 240:1038-1040に記載されるものが含まれる。
【0043】
ヒトにおける抗体のin vivoの使用を含むいくつかの使用には、キメラ、ヒト化、またはヒト抗体を用いることが好ましい。キメラ抗体は、マウスモノクローナル抗体由来の可変領域およびヒト免疫グロブリン由来の定常領域を有する抗体のような、分子中で抗体の異なる部分が異なる動物種に由来する分子である。キメラ抗体を製造する方法は当分野で公知である。たとえば、Morrison, 1985, Science 229:1202; Oiら、1986, Bio Techniques 4:214; Gilliesら、1989, J. Immunol. Methods125:191-202; 米国特許第5,807,715; 4,816,567; および4,816,397号を参照されたい。これらの文献全体を参照により本明細書に組み入れる。ヒト化された抗体は、非ヒト種からの1つ以上の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域を有する、所望の抗原に結合する非ヒト種からの抗体分子である。ヒトフレームワーク領域のフレームワーク残基は、しばしば、抗原結合を変更、好ましくは改善するために、CDR供与体抗体からの相当する残基により置換される。これらのフレームワーク置換は、当業者に公知の方法により、たとえば、抗原の結合に重要なフレームワーク残基を同定するためのCDRとフレームワーク残基の相互作用のモデル化、および特定の位置の普通でないフレームワーク残基を同定するための配列の比較により同定される。たとえば、Queenら、米国特許第5,585,089号;Reichmannら、1988, Nature 332:323を参照されたい。これらの文献全体を参照により本明細書に組み入れる。抗体は当業者に公知のさまざまな技術、たとえば、CDR移植EP239,400; PCT公開WO91/09967; 米国特許第5,225,539; 5,530,101および5,585,089号)、貼り合わせまたはリサーフェイス(resurfacing)(EP 592,106; EP 519, 596; Padlan, 1991, Molecular Immunology 28(4/5):489-498; Studnickaら、1994, Protein Engineering 7(6):805-814; Roguskaら、1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:969-973)、および鎖の入れ替え(chain shuffling)(米国特許第5,565,332号)を含む技術を用いてヒト化することができる。これらの文献全体を参照により本明細書に組み入れる。
【0044】
完全ヒト抗体は、ヒトの患者の治療に特に望ましい。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを用いる上記のファージディスプレー法を含む、当業者に公知のさまざまな方法により作ることができる。米国特許第4,444,887および4,716,111号;およびPCT公開WO98/46645; WO98/50433; WO98/24893; WO98/16654; WO96/34096; WO96/33735; およびWO91/10741を参照されたい。これらの文献全体を参照により本明細書に組み入れる。
【0045】
ヒト抗体はまた、機能的内因性免疫グロブリンを発現することはできないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを用いて生産することもできる。ヒト抗体を生産するためのこの技術の概観のためには、LonbergおよびHuszar, 1995, Int. Rev. Immunol. 13:65-93を参照されたい。このヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体の製造技術についての詳細な考察およびこのような抗体を製造するためのプロトコールに関しては、たとえば、PCT公開WO98/24893; WO92/01047; WO96/34096; WO96/33735; 欧州特許第0 598 877号; 米国特許第5,413,923; 5,625,126; 5,633,425; 5,569,825; 5,661,016; 5,545,806; 5,814,318; 5,885,793; 5,916,771; および5,939,598号を参照されたい。これらの文献全体を参照により本明細書に組み入れる。さらに、Abgenix Inc. (Freemont, CA)、Medarex (NJ)およびGenpharm (San Jose, CA)のような会社が、上記のものと同様の技術を用いる選択された抗原に対するヒト抗体の供給に携わっている。
【0046】
選択されたエピトープを認識する完全ヒト抗体は、「ガイド選択」と呼ばれる技術を用いて作ることができる。このアプローチにおいて、選択された非ヒトモノクローナル抗体、たとえば、マウス抗体が、同じエピトープを認識する完全ヒト抗体の選択をガイドするために用いられる(Jespersら、1988, Bio/technology 12:899-903)。
【0047】
好ましい実施形態において、抗体はin vivoの治療および/または予防のための使用法を有する。治療および予防のための抗体の例には、RSV感染の患者を治療するためのヒト化された抗RSウイルス(RSV)モノクローナル抗体であるSYNAGIS(登録商標) (MedImmune, MD);転移性乳癌の患者を治療するためのヒト化された抗HER2モノクローナル抗体であるHERCEPTIN(登録商標) (Trastuzumab) (Genentech, CA);クローン病の患者を治療するためのキメラ抗TNFαモノクローナル抗体であるREMICADE(登録商標) (infliximab) (Centocor, PA);血餅形成の予防のための血漿板上の抗糖タンパク質IIb/IIIa受容体であるREOPRO(登録商標) (abciximab) (Centocor);急性腎同種移植片拒絶の予防のための免疫抑制性のヒト化された抗CD25モノクローナル抗体であるZENAPAX(登録商標) (daclizumab) (Roche Pharmaceuticals, Switzerland)が含まれるが、これらに限定されない。他の例は、ヒト化された抗CD18F(ab’)2 (Genentech);ヒト化された抗CD18F(ab’)2であるCDP860 (Celltech, UK);CD4と融合された抗HIV gp120抗体であるPRO542 (Progenics/Genzyme Transgenics);ヒト抗B型肝炎抗体であるOstavir(Protein Design Lab/Novartis);ヒト化された抗CMV IgG1抗体であるPROTOVIR(商標) (Protein Design Lab/Novartis);マウス抗TNF-αF(ab’)2であるMAK-195 (SEGARD) (Knoll Pharma/BASF);抗CD14抗体であるIC14 (ICOS Pharm);ヒト化された抗VEGF IgG1抗体(Genentech);マウス抗CA 125抗体であるOVAREX(商標) (Altarex);マウス抗17-1A細胞表面抗原IgG2a抗体であるPANOREX(商標) (Glaxo Wellcome/Centocor);マウス抗イディオタイプ(CD3エピトープ)IgG抗体であるBEC2 (ImClone System);キメラ抗EGFR IgG抗体であるIMC-C225 (ImClone System);ヒト化された抗αVβ3インテグリン抗体であるVITAXIN(商標) (Applied Molecular Evolution/MedImmune);ヒト化された抗CD52 IgG1抗体であるCampath 1H/LDP-03 (Leukosite);ヒト化された抗CD33 IgG抗体であるSmart M195 (Protein Design Lab/Kanebo);キメラ抗CD20 IgG1抗体であるRITUXAN(商標) (IDEC Parm/Genentech, Roche/Zettyaku);ヒト化された抗CD22 IgG抗体であるLYMPHOCIDE(商標) (Immunomedics);ヒト化された抗HLA抗体であるSmart ID10 (Protein Design Lab);放射線標識されたマウス抗HLA DIAGNOSTIC REAGENT抗体であるONCOLYM(商標) (Lym-1) (Techniclone);ヒト抗IL8抗体であるABX-IL8 (Abgenix);ヒト化されたIgG1抗体である抗CD11 (Genentech/Xoma);ヒト化された抗ICAM3抗体であるICM3 (ICOS Pharm);霊長類化された抗CD80抗体であるIDEC-114 (IDEC Pharm/Mitsubishi);放射線標識されたマウス抗CD20抗体であるZEVALIN(商標) (IDEC/Schering AG);ヒト化された抗CD40L抗体であるIDEC-131 (IDEC/Eisai);霊長類化された抗CD4抗体であるIDEC-151 (IDEC);霊長類化された抗CD23抗体であるIDEC-152 (IDEC/Seikagaku);ヒト化された抗CD3 IgGであるSMART 抗CD3 (Protein Design Lab);ヒト化された抗補体因子5(C5)抗体である5G1.1 (Alexion Pharm);ヒト化された抗TNF-α抗体であるD2E7 (CAT/BASF);ヒト化された抗TNF-αFab断片であるCDP870 (Celltech);霊長類化された抗CD4 IgG1抗体であるIDEC-151 (IDEC Pharm/SmithKline Beecham);ヒト抗CD4 IgG抗体であるMDX-CD4 (Medarex/Eisai/Genmab);ヒト化された抗TNF-α IgG4抗体であるCDP571 (Celltech);ヒト化された抗α4β7抗体であるLDP-02 (LeukoSite/Genentech);ヒト化された抗CD4 IgG抗体であるOrthoClone OKT4A (Ortho Biotech);ヒト化された抗CD40L IgG抗体であるANTOVA(商標) (Biogen);ヒト化された抗VLA-4 IgG抗体であるANTEGREN(商標) (Elan);ヒト抗CD64(FcγR)抗体であるMDX-33 (Medarex/Centeon);ヒト化された抗IL-5 IgG4抗体であるSCH55700 (Celltech/Schering);それぞれヒト化された抗IL-5およびIL-4抗体であるSB-240563およびSB-240683 (SmithKline Beecham);ヒト化された抗IgE IgG1抗体であるrhuMab-E25 (Genentech/Norvartis/Tanox Biosystems);マウス抗CD147 IgM抗体であるABX-CBL (Abgenix);ラット抗CD2 IgG抗体であるBTI-322 (Medimmune/BioTransplant);マウス抗CD3 IgG2a抗体であるOrthoclone/OKT3 (ortho Biotech);キメラ抗CD25 IgG1抗体であるSIMULECT(商標) (Novartis Pharm);ヒト化された抗β2-インテグリンIgG抗体であるLDP-01 (LeukoSite);マウス抗CD18 F(ab’)2である抗LFA-1 (Pasteur-Merieux/Immunotech);ヒト抗TGF-β2抗体であるCAT-152 (Cambridge Ab Tech);およびキメラ抗VII因子抗体であるCorsevin M (Centocor)である。上記免疫反応性試薬、並びに他の任意の免疫反応性試薬は、免疫反応性試薬の供給者によって推奨される投与計画を含む、当業者に公知の任意の投与計画に従って投与することができる。
【0048】
4-1BB糖タンパク質または細胞障害Tリンパ球抗原-4 (CTLA-4)に結合する免疫反応性試薬、たとえば、4-1BBまたはCTLA-4に特異的な抗体も、それぞれ本発明に含まれるものとする。
【0049】
本発明の免疫反応性試薬は、抗体の合成に関する当分野で公知の方法により、特に、化学合成により、または好ましくは組換え発現技術により製造することができる。このような方法については、下で抗体免疫反応性試薬に関して記載するが、他の免疫反応性試薬の製造にも容易に適用することができる。
【0050】
抗体または他の免疫反応性試薬をコードするヌクレオチド配列は、当業者に利用可能ないかなる情報から(すなわち、Genbank、文献から、または通常のクローニングにより)得てもよい。特定の抗体もしくはそのエピトープ結合断片または他の免疫反応性試薬をコードする核酸を含むクローンが入手できないが、抗体分子もしくはそのエピトープ結合断片または他の免疫反応性試薬の配列が知られている場合には、免疫グロブリンまたは他の免疫反応性試薬をコードする核酸を化学的に合成するか、配列の3’および5’末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを用いるPCR増幅により、またはたとえば抗体をコードするcDNAライブラリーからのcDNAクローンを同定するための特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いるクローニングにより、適当な採取源(たとえば、抗体cDNAライブラリー、または、抗体を発現するように選択されたハイブリドーマ細胞のような、抗体を発現する組織または細胞から作られたcDNAライブラリー、または上記の組織または細胞から単離された核酸、好ましくはポリA+ RNA)から入手する。次に、PCRにより作られた増幅された核酸を、当業者に公知の方法を用いて複製可能なクローニングベクターにクローン化する。天然に存在しない免疫反応性試薬の場合には、免疫反応性試薬の異なる領域をコードする核酸を、以前から存在するライブラリーまたは公知の遺伝子から入手することができるし、あるいは合成することもできる。
【0051】
抗体または他の免疫反応性試薬のヌクレオチド配列を決定した後、抗体または他の免疫反応性試薬のヌクレオチド配列を、当業者に公知のヌクレオチド配列の操作の方法、たとえば、組換えDNA技術、部位標的突然変異誘発、PCR等(たとえば、Sambrookら、1990, 「分子クローニング、実験室マニュアル」(Molecular Cloning, A Laboratory Manual)、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY; およびAusubelら編、1998, 「分子生物学の最新プロトコール」(Current Protocols in Molecular Biology)、John Wiley & Sons, NYを参照されたい。両方の文献全体を参照により本明細書に組み入れる。)を用いて操作して、たとえば、抗体または他の免疫反応性試薬のエピトープ結合ドメイン領域中に、または抗体または他の免疫反応性試薬の免疫エフェクター細胞との相互作用に関与する定常領域(Fc)中に、アミノ酸置換、欠失および/または挿入を導入することにより、異なるアミノ酸配列を有する抗体または他の免疫反応性試薬を作ってもよい。
【0052】
抗体または他の免疫反応性試薬の組換え発現には、抗体または他の免疫反応性試薬をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターの構築が必要である。抗体分子または抗体の重鎖または軽鎖、またはその部分(重鎖または軽鎖の可変領域を含むことが好ましいが、必ずしも必要ではない)または他の免疫反応性試薬をコードする核酸配列を入手した後、抗体分子または他の免疫反応性試薬の製造のためのベクターを、当業者に公知の技術を用いる組換えDNA技術により作ることができる。そこで、抗体または他の免疫反応性試薬をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを発現することによりタンパク質を調製する方法について、本明細書に記載する。当業者に公知の方法を用いて、抗体または他の免疫反応性試薬をコードする配列および適切な転写および翻訳制御シグナルを含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、たとえば、in vitro組換え DNA技術、合成技術、およびin vivo遺伝子組換えが含まれる。抗体または他の免疫反応性試薬の重鎖可変領域または定常領域、軽鎖可変領域または定常領域、重鎖および軽鎖の両方の可変領域、重鎖および/または軽鎖可変領域のエピトープ結合断片、または1つ以上の相補性決定領域(CDR)をコードするヌクレオチド配列を、発現のために上記のようなベクターにクローン化することができる。発現ベクターを従来の技術により宿主細胞に転移し、次いでトランスフェクトされた細胞を従来の技術により培養する。
【0053】
さまざまな宿主-発現ベクター系を本発明の抗体分子または他の免疫反応性試薬を発現するために利用することができる。このような宿主-発現系は、目的のコード配列が生産され、次いで精製される媒体であるとともに、適切なヌクレオチドコード配列をトランスフォームまたはトランスフェクトされた場合に、in situで本発明の抗体分子または他の免疫反応性試薬を発現する細胞である。これらには、組換えバクテリオファージDNAをトランスフォームされた細菌(たとえば、E. coliおよびB. subtilis)のような微生物、抗体または他の免疫反応性試薬をコードする配列を含むプラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクター;抗体または他の免疫反応性試薬をコードする配列を含む組換え酵母発現ベクターをトランスフォームされた酵母(たとえば、SaccharomycesおよびPichia);抗体または他の免疫反応性試薬をコードする配列を含む組換えウイルス発現ベクター(たとえば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;抗体または他の免疫反応性試薬をコードする配列を含む組換えウイルス発現ベクター(たとえば、、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;およびタバコモザイクウイルス、TMV)に感染した、または組換えプラスミド発現ベクター(たとえば、Tiプラスミド)をトランスフォームされた植物細胞系;および哺乳類細胞のゲノムに由来するプロモーター(たとえば、メタロチオネインプロモーター)またはヒトウイルスに由来するプロモーター(たとえば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組換え発現構築物を付けた(harboring)哺乳類細胞系(たとえば、COS、CHO、BHK、293、3T3およびNSO細胞)が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、大腸菌(Escherichia coli)のような細菌細胞、より好ましくは、特に組換え抗体分子全体または他の免疫反応性試薬全体の発現のための真核細胞を、組換え抗体または他の免疫反応性試薬分子の発現に用いる。たとえば、ヒトサイトメガロウイルスからの主要中間体初期遺伝子プロモーター要素のようなベクターと組み合わせたチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)のような哺乳類細胞は、抗体の効果的な発現系である(Foeckingら、1986, Gene 45:101, およびCockettら、1990, Bio/Technology 8:2)。
【0054】
細菌系において、発現される抗体分子または他の免疫反応性試薬の意図される使用法に応じて、多くの発現ベクターが有利に選択される。たとえば、抗体分子の医薬組成物を製造するために上記のタンパク質を大量に生産しようとする場合、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を目的とするベクターが望ましい。そのようなベクターには、E. coli発現ベクターpUR278 (その中で抗体または他の免疫反応性試薬分子をコードする配列がLacZコード領域を有するフレームの中のベクター中に個々に結合されるので、融合タンパク質が生産される)(Rutherら、1983, EMBO 12:1791)、およびpINベクター(Inoue & Inoue, 1985, Nucleic Acids Res. 13:3101-3109, およびVan Heeke & Schuster, 1989, J.Biol. Chem. 24:5503-5509)が含まれるが、これらに限定されない。
【0055】
昆虫系において、外部からの遺伝子を発現するベクターとして、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)を用いる。ウイルスは、Spodoptera frugiperda細胞で増殖する。抗体または他の免疫反応性試薬をコードする配列を、ウイルスの非必須領域(たとえば、多角体遺伝子)中に個々にクローン化し、AcNPVプロモーター(たとえば、多角体プロモーター)の制御下に置く。
【0056】
哺乳類宿主細胞において、本発明の抗体分子または他の免疫反応性試薬を発現するために多くのウイルスを基本とした発現系を利用することができる。発現ベクターとしてアデノウイルスを用いる場合、目的の抗体または他の免疫反応性試薬分子をコードする配列を、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、たとえば、後期プロモーターおよび三部分リーダー配列に結合する。次に、このキメラ遺伝子を、in vitroまたはin vivoの組換えによりアデノウイルスゲノムに挿入する。ウイルスゲノムの非必須領域(たとえば、E1またはE3領域)への挿入により、可変で、感染した宿主において抗体分子または他の免疫反応性試薬を発現することができる組換えウイルスが得られる(たとえば、Logan & Shenk, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:355-359を参照されたい)。挿入された抗体または他の免疫反応性試薬をコードする配列の効率的な翻訳のためには、特異的開始シグナルも必要である。これらのシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接する配列が含まれる。さらに、開始コドンは、挿入物全体を確実に翻訳するために、望まれるコード配列のリーディングフレームを有する相になければならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成の両方を含むさまざまな由来のものであってよい。発現の効率は適当な転写エンハンサー要素、転写ターミネーター等を加えることにより増大する(たとえば、Bitterら、1987, Methods in Enzymol. 153:516-544を参照されたい)。
【0057】
さらに、抗体または他の免疫反応性試薬の配列の発現をモジュレートする、または望まれる特定の方式で抗体または他の免疫反応性試薬を修飾およびプロセシングするような宿主細胞株を選択してもよい。このようなタンパク質産物の修飾(たとえば、グリコシル化)およびプロセシング(たとえば、開裂)は、抗体または他の免疫反応性試薬の機能にとって重要である可能性がある。異なる宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび修飾に特徴的および特異的なメカニズムを有する。発現された抗体または他の免疫反応性試薬の正しい修飾およびプロセシングを確実におこなうために、適当な細胞系または宿主系を選択することができる。この目的のために、一次転写物の適正なプロセシング、グリコシル化、および遺伝子産物のリン酸化の細胞機構を有する真核宿主細胞を使用する。このような哺乳類宿主細胞には、CHO、VERY、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3、W138、および特に、NS0細胞のような骨髄腫細胞、および関連する細胞系が含まれるが、これらに限定されない。たとえば、Morrisonら、米国特許第5,807,715号を参照されたい。この文献全体を参照により本明細書に組み入れる。
【0058】
組換えによる抗体または他の免疫反応性試薬を長期間に渡り高収率で生産するために、安定した発現が好ましい。たとえば、抗体分子または他の免疫反応性試薬を安定に発現する細胞系を工学的に作ってもよい。ウイルスの複製起点を含む発現ベクターを用いるよりも、宿主細胞に適当な発現制御要素(たとえば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位等)により制御されるDNA、および選択マーカーをトランスフォームするのがよい。外部からのDNAの導入の後、工学処理された細胞を富化培地中で1〜2日増殖させ、次いで選択培地に切り替える。組換えプラスミド中の選択マーカーが選択に対する耐性を与え、細胞がその染色体中にプラスミドを安定に取り込み、増殖して細胞増殖巣を形成する。次にこの細胞増殖巣をクローン化して細胞系に拡大することができる。この方法を、抗体分子または他の免疫反応性試薬を発現する細胞系を工学的に作る際に用いると有利である。このように工学的に作られた細胞系は、抗体分子または他の免疫反応性試薬と直接的または間接的に相互作用する組成物をスクリーニングおよび評価するために特に有用である。
【0059】
単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら、1977, Cell 11:223)、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska & Szybalski, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48:202)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら、1980, Cell 22:8-17)を含むが、これらに限定されない多くの選択系を用いることができ、遺伝子は、それぞれ、tk-、hgprt-またはaprt-細胞中で用いられる。また、代謝拮抗物質耐性も、以下の遺伝子の選択の基礎として用いることができる。すなわち、メトトレキセートに対する耐性を与えるdhfr (Wiglerら、1980, Natl. Acad. Sci. USA 77:357, およびO’Hareら、1981, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:1527);菌類フェノール酸に対する耐性をを与えるgpt (Mulligan & Berg, 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2072);アミノグリコシドG-418に対する耐性を与えるneo (WuおよびWu、1991, Biotherapy 3:87-95; Tolstoshev, 1993, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 32:573-596; Mulligan, 1993, Science 260:926-932; およびMorganおよびAnderson, 1993, Ann. Rev. Biochem. 62:191-217; およびMay, 1993, TIB TECH 11(5):155-215);および、ヒグロマイシン(Hygromycin)に対する耐性を与えるhygro (Santerreら、1984, Gene 30:147)である。組換えDNA技術の分野で広く知られている方法を望まれる組換えクローンを選択するために適用することができる。このような方法は、たとえば、Ausubelら編、1993, 「分子生物学の最新プロトコール」(Current Protocols in Molecular Biology), John Wiley & Sons, NY; Kriegler, 1990, 「遺伝子転移および発現、実験室マニュアル」(Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual), Stockton Press, NY; Dracopoliら編、1994, 「ヒト遺伝学の最新プロトコール」(Current Protocols in Human Genetics)、第12および13章、John Wiley & Sons, NY; およびColberre-Garapinら、1981, J. Mol. Biol. 150:1に記載されている。これらの文献全体を参照により本明細書に組み入れる。
【0060】
抗体分子または他の免疫反応性試薬の発現レベルはベクター増幅により増加させることができる(概説に関しては、BebbingtonおよびHentschel, 1987, 「DNAクローニングにおける哺乳類細胞へのクローン化された遺伝子の発現のための遺伝子増幅に基づくベクターの使用」(The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning)、第3巻、Academic Press, New Torkを参照されたい)。抗体または他の免疫反応性試薬を発現するベクター系におけるマーカーが増幅可能な場合には、宿主細胞の培養物中に存在する阻害剤のレベルが増加すると、マーカー遺伝子の複製の数が増加する。増幅される領域は抗体または他の免疫反応性試薬の遺伝子に会合しているので、抗体または他の免疫反応性試薬の生産もまた増加する(Crouseら、1983, Mol. Cell. Biol. 3.257)。
【0061】
宿主細胞には、第1のベクターは重鎖由来ポリペプチドをコードし、第2のベクターは軽鎖由来のポリペプチドをコードする、本発明の2つの発現ベクターを共トランスフェクトしてもよい。2つのベクターは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの等しい発現を可能にする同一の選択マーカー、または両方のプラスミドの維持を確実にするための異なる選択マーカーを含む。あるいは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、発現することができる1つのベクターを用いる。このような場合には、有毒な遊離の重鎖の過剰を防ぐために、軽鎖を重鎖の前に置かなければならない(Proudfoot, 1986, Nature 322:52; およびKohler, 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:2 197)。重鎖および軽鎖のコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含む。
【0062】
本発明の抗体または他の免疫反応性試薬分子を組換え発現により製造した後、これを免疫グロブリン分子または他の免疫反応性試薬の精製のための当業者に公知の方法、たとえば、クロマトグラフィー(たとえば、イオン交換、アフィニティー、特にタンパク質A精製の後に特異的抗原のアフィニティークロマトグラフィー、およびサイジング(sizing)カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差溶解度(differential solubility)、またはタンパク質の精製のための他のすべての標準的技術により精製する。さらに、本発明の抗体または他の免疫反応性試薬またはその断片は、精製を促進するために、本明細書に記載される、または他の当業者に公知の異種ポリペプチド配列と融合してもよい。
【0063】
4.2. サポニンの供給源
当業者に公知のいかなるサポニンまたはサポニン調製物をも本発明の組成物および方法に用いることができる。本明細書において用いられる「サポニン」の用語は、水溶液で泡を作り、ほとんどの場合に溶血活性を有するグリコシド化トリテルペノイドを含む。本発明は、サポニンそれ自体、ならびにその天然のおよび製薬上許容される塩および製薬上許容される誘導体の使用を包含する。「サポニン」の用語はまた、その生物学的に活性な断片をも表す。また、「サポニン」の用語は、化学的に修飾したサポニン、たとえば、GPI-0100、および、たとえば、米国特許第6,080,725; 5,977,081; および5,443,829号(これらの文献全体を参照により本明細書に組み入れる)に記載されるような他の修飾されたサポニンをも包含する。米国特許第5,650,398; 5,443,829; および5,273,965号(これらの文献全体を参照により本明細書に組み入れる)に記載されるもののような、たとえば薬物送達の目的で修飾されたサポニンの使用もまた、本発明に含まれる。好ましくは、サポニンは単一のサポニンである。本発明の別の実施形態において、「サポニン」の用語は、サポニンの混合物を含む。好ましいサポニンには、QS-7、QS-17、QS-18、およびQS-21が含まれる。好ましくは、サポニンの混合物は2つ以上の実質的に純粋なサポニンからなる。より好ましくは、2つ以上の実質的に純粋なサポニンは、キラヤ由来のもので、混合しない場合の個々のサポニンでは不十分であるような用量である。特に好ましい実施形態において、サポニンの組合せは、基本的に2つの実質的に純粋なサポニンQS-7およびQS-21からなり、別の特に好ましい実施形態においては、米国特許第6.231.859号(この文献全体を参照により本明細書に組み入れる)に記載されるように、QS-7およびQS-21-V1またはQS-7およびQS-21-V2からなる。本明細書において、「実質的に純粋な」とは、その天然の状態では通常サポニンと会合している化合物が実質的に存在せず、一定で再現可能なクロマトグラフィーの反応、溶離プロファイル、および生物活性を示すことを意味する。「実質的に純粋な」という用語は、サポニンと他の化合物の人工または合成の混合物を除外することを意味しない。サポニンおよびそれらの調製方法の多くの例を下に記載するが、これらに限定されない。
【0064】
個体への使用に適したサポニンは、水溶液に可溶性で、凍結乾燥または乾燥されたサポニンから再構成することができるものである。本発明に有用な特定のサポニンには、デンマークのSuperfosにより販売されている“Quil-A”アジュバント調製物、および米国特許第5,057,540および5,583,112号に記載されるアジュバント活性を有するクロマトグラフィー分画、特に分画QS-21(上記特許の中ではQA-21とも呼ばれる)およびQS-7が含まれるが、これらに限定されない。
【0065】
また、本発明の方法および組成物において有用なのは、免疫刺激活性を保持する化学的に修飾されたサポニンである。Kensilら、米国特許第5,583,112号(その内容全体を参照により本明細書に組み入れる)によれば、バラ科キラヤ由来のサポニンのグルクロン酸のカルボキシル基は、タンパク質、ペプチド、または第1級アミンを含む小分子にコンジュゲートすることができる。Higuchiら、1987, Phytochemistry 26:229によれば、キラヤ由来のサポニンはアルカリ触媒加水分解により脱アシル化することができる。Marcianiら、米国特許第5,977,081号(その内容全体を参照により本明細書に組み入れる)によれば、アシル化されていない、または脱アシル化されたキラヤ由来のサポニンのグルクロン酸上のカルボキシル基は、脂質、脂肪酸、ポリエチレングリコールまたはテルペンにコンジュゲートしていてもよい。
【0066】
あるいは、Soltysikら、1995, Vaccine 13(15):1403-1410; Marcianiら、2000, Vaccine 18:3141-3151に記載されるもののような、断片または天然のサポニンの、活性断片または合成的に修飾した誘導体を利用してもよい。このような修飾には、サッカリド残基の除去または置換、サッカリド残基の付加、およびアシル鎖の除去、置換および/または付加が含まれるが、これらに限定されない。
【0067】
本発明の方法および組成物には、カスミソウ(Gypsophila)またはサボンソウ(Saponaria officinalis)のようなキラヤ以外の植物種から単離されたサポニン(Bomfordら、1992, Vaccine 10(9):572-577、この文献全体を参照により本明細書に組み入れる)、およびChenopodium quinoaサポニン(Estradaら、1998, Comp. Immunol. Microbiol. Infect. Dis. 21(3):225-36、この文献全体を参照により本明細書に組み入れる)をも用いることができる。
【0068】
本発明のある実施形態において、本発明の組成物は、添加物と組み合わせてサポニンを含む。好ましくは、サポニンはQS-21であり、添加物は非イオン性界面活性剤、ポリビニルピロリドン、ヒト血清アルブミン、およびさまざまな修飾されていないおよび誘導体化されたシクロデキストリンから選択される。より好ましくは、これらの実施形態において、非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、およびポリソルベート80から選択される。ポリビニルピロリドンは、好ましくは、医薬用等級のポリビニルピロリドンである、Plasdone C15である。好ましいシクロデキストリンは、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-γ-シクロデキストリン、メチル-β-シクロデキストリンである。好ましくは、シクロデキストリンはβ-シクロデキストリンである。添加物の例には、PCT/US98/17940(この文献全体を参照により本明細書に組み入れる)に記載されるものが含まれる。
【0069】
本発明の別の実施形態において、本発明の組成物は免疫刺激性ポリマーと組み合わせてサポニンを含む。好ましくは、サポニンはQS-21であり、免疫刺激性ポリマーは、サイトカイン、ムラミルジペプチドおよびトリペプチド誘導体、CpGジヌクレオチド、CpGオリゴヌクレオチド、モノホスホリル脂質A、およびポリホスファゼンから選択される。免疫刺激性ポリマーの例には、PCT/US00/23688に記載されるものが含まれる。
【0070】
バラ科キラヤの樹皮からサポニンを抽出および単離するために適用できる多数の技術が存在する。本発明のサポニンをバラ科キラヤの樹皮から精製するため、サポニンの免疫アジュバント活性を測定するため、および実質的に純粋なサポニンを解析するために適用できる方法は、米国特許第5,057,540および5,583,112号に記載されている。
【0071】
また、キラヤ樹皮の水性抽出物は市販されてもいる。これらは多くの化合物(タンニン、ポリフェノール類、サポニン)を含む濃褐色の泡状の抽出物で、逆相HPLCのような方法により分析することができる。
【0072】
サポニンの精製に適した典型的な樹皮抽出物の逆相HPLC分析の例が米国特許第6,231,859号(この文献全体を参照により本明細書に組み入れる)の図1に示されている。
【0073】
分子量10,000の膜を用いる、抽出物の水に対する透析または限外濾過により、サポニン分画の質を高め、タンニンおよびポリフェノール類の大部分を除去するための部分的精製をおこなうことができる。サポニン分画は保持される。
【0074】
あるいは、水性サポニン抽出物をポリビニルポリピロリドンで再処理して、高分子量のタンニンおよびポリフェノール類を、これらの化合物の吸収により除去することができる。
【0075】
次に、残ったタンニンおよびポリフェノール類を、水に対するダイアフィルトレーションによりサポニン分画から除去する。ミセルを形成するサポニン分画は、分子量10,000から30,000の限界孔径の限外濾過膜により保持される。これにより、大部分が多様なサポニンからなる、部分的に精製された抽出物が得られる。
【0076】
サポニンの分離は有機溶媒または有機溶媒/水混合物によるクロマトグラフィーにより達成することができる。シリカによるサポニンの分離については、米国特許第5,057,540号に記載されている。これにより、中程度の純度の(個々のサポニンは濃縮されているが、実質的に純粋とはいえない)サポニンが得られる。
【0077】
あるいは、サポニンの最初の分離をおこなうためにシリカゲル上での他の溶媒系または逆相クロマトグラフィーを用いることができる。この最初の精製の段階の後に、典型的には、逆相クロマトグラフィーまたは同様のHPLCの段階により、サポニンをほぼ均質にまで精製する。
【0078】
たとえば、サポニン抽出物をキラヤの木から抽出された新鮮な植物細胞材料から回収してもよい。抽出物を透析した後、イオン交換カラム、たとえば、DE-52型により精製し、次いで、Sephadex G50ゲル濾過をおこなう。ゲル濾過の代わりに限外濾過をおこなってもよい。次に、精製されたサポニン組成物を、VYDAC C4カラム上でRP-HPLC分析にかけ、0.15% TFA水溶液中の30~45%アセトニトリルにより溶離する。
【0079】
本発明に有用な実質的に純粋なサポニンは、WO95/09179に開示された、または先に記載された方法に従って、実質的に生きている細胞からなる新鮮な植物材料から単離することもできる。
【0080】
同じ方法を、組織培養または懸濁細胞培養により得られた植物細胞材料を用いて実施してもよい。たとえば、米国特許第5,716,848号を参照されたい。この文献全体を参照により本明細書に組み入れる。
【0081】
サポニン、Quil-AおよびQS-21の使用に関する一般的な指針は参照された特許文献に記載されている。薬学的に有効な組成物中に存在するサポニンの量は、約0.1から5,000μgまたはそれ以上のサポニンである。薬学的に有効な組成物中に存在するサポニンの量は、より好ましくは約1から1000μg、より好ましくは約5から500μg、最も好ましくは約10から100μgである。ある特定の実施形態において、本発明の医薬組成物中に存在するサポニンの量は、1、2、3、5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、110、125または150μgである。
【0082】
サポニンを含有する医薬組成物の製剤およびその製造工程は、参照により本明細書に組み入れた文献および米国特許に記載されている。参照されたサポニン製剤について、本明細書に非限定的な実施例として記載する。
【0083】
米国特許第5,583,112号の22段11-17行には、皮内投与用の薬学的に有効な組成物が、粗サポニン混合物である凍結乾燥“Quil A”をリン酸緩衝生理食塩水中に再構成し、10μgのウシ血清アルブミン(BSA)を含む溶液と混合して最終体積を200μlとすることにより、皮内注射用に作られたことが記載されている。有効量の“Quil A”は乾燥重量でおよそ30-77μgの“Quil A”であることが見いだされた。
【0084】
米国特許第5,583,112号の23段35-38行には、オバルブミンおよび10μgのQS-21の貯蔵生理食塩水溶液を混合することにより皮下投与用の薬学的に有効な組成物が作られたことが記載されている。
【0085】
また、米国特許第5,583,112号の23段35-38行には、皮下投与用の薬学的に有効な組成物が、上記の特許の実施例18に記載されるようにQS-21をリゾチームに化学的に架橋し、凍結乾燥したQS-21/リゾチームコンジュゲートを、最終濃度が10μgのリゾチームおよび1.6μgのQD-21となるように200μlのPBS (pH7)中に再懸濁することにより作られたことが記載されている。
【0086】
Wuらの論文(1994, Cellular Immunology 154:393-406)には、皮下または腹腔内投与用の薬学的に有効な組成物が、免疫感作用量あたり250μgのAl(OH)3に吸収された25μgのオバルブミンおよび20μgのQS-21を含むことが開示されている。
【0087】
Wuらによる別の論文(1994, J. Immun. 148(5):1519-1525)には、免疫感作用の薬学的に有効な組成物が、免疫感作用量あたり250μgのAl(OH)3に吸収された25μgの端を切り取った組換えHIV-1エンベロープタンパク質および10μgのQS-21を無菌の生理食塩水中に含むことが開示されている。
【0088】
最後の非限定的な例として、最近、皮内投与用量あたり500μlのPBS (pH7.4)中に5~500μgの合成非ペプチドおよび100μgのQS-21を含む、薬学的に有効なワクチンがヒト患者において試験された(Lewisら、2000, Int. J. Cancer 87(3):391-398)。
【0089】
本発明の特定の組成物に使用するための特定のサポニンの最適な量は変化し得る。ある組成物に対する特定のサポニンの量の最適化は、上に引用した例により示されるように、当業者に容易に理解し得る範囲である。
【0090】
4.3. 本発明の組成物およびその使用
本発明は、疾患、障害または感染に伴う症状を予防、治療または緩和するために、動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトに、免疫反応性試薬およびサポニンを投与することを含む療法を包含する。本発明の予防および治療に用いる化合物には、免疫反応性試薬およびサポニンが含まれるが、これらに限定されない。抗体のような免疫反応性試薬は、当業者に公知の、または本明細書に記載される、製薬上許容される組成物として提供される。本発明の組成物はまた、特定の疾患のための他の治療の形と組み合わせて用いることもできる。
【0091】
本発明の組成物は、疾患、障害または感染に伴う1つ以上の症状を治療、予防または緩和するために動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトに投与することができる。好ましい実施形態において、本発明の組成物は体の外側に存在する。好ましくは、本発明の免疫反応性試薬は、サポニンが存在しない場合にもいくらかの治療効果を有することが確立されており、疾患、障害または感染の原因または症状に関連する細胞または分子上のエピトープを認識する。
【0092】
たとえば、本発明の組成物および方法は、癌細胞の増殖または転移を予防、阻害または減少させるために用いることもできる。特定の実施形態において、抗体のような免疫反応性試薬およびサポニンを含有する組成物は、癌細胞の増殖または転移を、上記の組成物が存在しない場合の増殖または転移と比較して、99%以上、95%以上、90%以上、85%以上、80%以上、75%以上、70%以上、60%以上、50%以上、45%以上、40%以上、35%以上、30%以上、25%以上、20%以上、または10%以上阻害または減少させる。
【0093】
本発明のそれぞれの組成物は、少なくとも1つの免疫反応性試薬(本明細書において定義された通りの、たとえば、抗体)およびサポニンを含んでいなければならず、さらに、サイトカイン、成長因子、免疫刺激性オリゴヌクレオチド等のような他の試薬からなっていてもよい。1つ以上の標的抗原に免疫特異的に結合する1つ以上の免疫反応性試薬は、治療薬として局所的に、または体の中で全身的に使用することができる。免疫反応性試薬はまた、モノクローナルまたはキメラ抗体のような他の試薬と、またはリンホカインまたは造血成長因子、たとえばIL-2、IL-3およびIL-7、または、たとえば免疫反応性試薬と共同して作用する免疫エフェクター細胞の数および/または活性を増加させる役割をする免疫反応修飾因子(IRM, 3M Pharmaceuticals, St. Paul, MN)と組み合わせて用いると有利である。さらに、免疫刺激性オリゴヌクレオチドをサポニンおよび免疫反応性試薬と組み合わせて使用してもよい。このようなオリゴヌクレオチドは免疫反応を増強することが知られている。Woolridgeら、1997, Blood 89:2994-2998。このようなオリゴヌクレオチドは国際特許公開WO01/22972、WO01/51083、WO98/40100およびWO99/61056(これらの文献全体を参照により本明細書に組み入れる)、および米国特許第6,207,646および6,194,388号(これらの文献全体を参照により本明細書に組み入れる)に記載されている。このような免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、メチル化されていないCpGモチーフからなってよい。YpG-およびCpR-モチーフを含むホスホロチオ酸オリゴデオキシヌクレオチドのような他の種類の免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、Kandimallaら、「オリゴヌクレオチドのCpG-モチーフ中のシトシンおよびグアニンの化学修飾の効果:構造-免疫刺激活性相関」(Effect of Chemical Modification of Cytosine and Guanine in a CpG-Motif of Oligonucleotides: Structure-Immunostimulatory Activity Relationships)、Bioorganic & Medicinal Chemistry 9:807-813 (2001)に記載されている。この文献全体を参照により本明細書に組み入れる。このようなオリゴヌクレオチドの活性を決定する方法は、上記の特許および文献に記載されるように実施することができる。さらに、免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、活性を変更するために、リン酸骨核、糖、核酸塩基およびヌクレオチド間結合の範囲で修飾することができる。このような修飾は当業者に公知である。
【0094】
また、本発明の免疫反応性試薬およびサポニンは、疾患、障害、または感染を治療するために用いられる1つ以上の薬物、たとえば、抗癌剤、抗炎症薬、または抗菌/真菌もしくは抗ウイルス薬と組み合わせて有益に利用することができる。抗癌剤の例には、シスプラチン、イフォスファミド(ifosfamide)、パクリタキセル、タキサン、トポイソメラーゼI阻害剤(たとえば、CPT-11、トポテカン(topotecan)、9-ANTIGENIC COMPOSITION、およびGG-211)、ゲムシタビン(gemcitabine)、ビノレルビン(vinorelbine)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、5-フルオロウラシル(5-FU)、ロイコボリン、ビノレルビン、テモダール(temodal)、およびタキソールが含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
特定の実施形態において、動物に投与される免疫反応性試薬は、種由来または上記動物と同じ種である種反応性のものである。したがって、好ましい実施形態において、ヒト患者に、治療または予防のためにヒト抗体またはヒト化された抗体を投与する。
【0096】
本発明は、被験体に有効量の免疫反応性試薬およびサポニン、または免疫反応性試薬およびサポニンを含有する医薬組成物を投与することによる、疾患、障害または感染に伴う1つ以上の症状を治療、予防または緩和する方法を提供する。好ましい態様において、免疫反応性試薬およびサポニンは実質的に精製されている(すなわち、その効果を制限する物質または望ましくない副作用を起こす物質が実質的に存在しない)。特定の実施形態において、被験体は、動物、好ましくは霊長類以外(たとえば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット等)および霊長類(たとえば、cynomolgous monkeyのようなサルおよびヒト)のような哺乳類である。好ましい実施形態において、被験体はヒトである。
【0097】
さまざまな送達システム、たとえば、リポソームへのカプセル化、微小粒子、マイクロカプセル、免疫反応性試薬を発現できる組換え細胞等が公知であり、免疫反応性試薬を投与するために使用することができる。免疫反応性試薬およびサポニンまたはこれらを含有する医薬組成物を投与する方法には、非経口投与(たとえば、皮内、筋内、腹腔内、静脈内および皮下)、硬膜外、および粘液(たとえば、鼻内および経口経路)が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、免疫反応性試薬は静脈内投与されるが、サポニンは静脈内投与されない。特定の実施形態において、免疫反応性試薬、たとえば抗体は、筋内、静脈内、または皮下投与される。組成物は便利な経路により、たとえば、注入またはボーラス注射により、上皮または粘膜皮膚内層(たとえば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜等)を通しての吸収により、投与することができ、また、他の生物活性薬と共に投与することもできる。投与は全身または局所投与である。さらに、たとえば、吸入器または噴霧器、およびエーロゾル薬の製剤を用いることにより、肺投与をおこなうこともできる。たとえば、米国特許第6,019,968; 5,985,320; 5,985,309; 5,934,272; 5,874,064; 5,855,913; 5,290,540; および4,880,078号、およびPCT公開WO92/19244; WO97/32572; WO97/44013; WO98/31346; およびWO99/66903を参照されたい。これらの文献全体を参照により本明細書に組み入れる。好ましい実施形態において、免疫反応性試薬は、Alkermes AIR(商標)肺薬物送達技術(Alkermes, Inc., Cambridge, MA)を用いて投与される。好ましくは、サポニンは肺投与によっては送達されない。
【0098】
本発明によれば、免疫反応性試薬およびサポニンを含有する本発明の組成物は、癌、感染性疾患、または神経変性もしくはアミロイド疾患のヒト被験体に治療として投与される。1つの実施形態において、「治療」または「治療する」とは、癌、感染性疾患、または神経変性もしくはアミロイド疾患、または少なくとも1つの認識できるその症状の緩和を指す。別の実施形態においては、「治療」または「治療する」とは、必ずしも被験体により認識されない、癌、感染性疾患、神経変性またはアミロイド疾患に関する少なくとも1つの測定可能な身体パラメーターの緩和を指す。さらに別の実施形態において、「治療」または「治療する」とは、身体的、たとえば、認識できる症状の安定化、生理的、たとえば、身体パラメーターの安定化、またはその両方のいずれかで、癌、感染性疾患、神経変性またはアミロイド疾患の進行を阻害することを指す。さらに別の実施形態において、「治療」または「治療する」とは、癌、神経変性またはアミロイド疾患の開始を遅らせることを指す。
【0099】
ある実施形態において、本発明の組成物は、上記のような癌、感染性疾患、神経変性またはアミロイド疾患に対する予防手段としてヒト被験体に投与される。本明細書において、「予防」または「予防する」とは、ある癌、感染性疾患、神経変性またはアミロイド疾患にかかるリスクの減少を指す。1つのの実施形態において、本発明の組成物は、癌、感染性疾患、神経変性またはアミロイド疾患に対する遺伝的素因を有するヒト患者に予防的手段として投与される。別の実施形態において、本発明の組成物は、癌に対する非遺伝的素因を有する被験体、または感染性疾患の媒体に曝される危険のある被験体に予防的手段として投与される。
【0100】
特定の実施形態において、本発明の医薬組成物を、治療または予防の必要がある領域に局所的に投与することが望ましい。1つの実施形態において、治療または予防は、たとえば、局所注入により、注射により、またはインプラントにより実施されるが、これらに限定されない。上記のインプラントは、シアラスティック(sialastic)膜のような膜または繊維を含む、多孔性、非多孔性、またはゼラチン状材料からなる。免疫反応性試薬が吸収されない材料には注意を払うことが好ましい。特定の実施形態において、免疫反応性試薬を、たとえば静脈注射により全身投与し、サポニンを治療または予防を必要とする領域に局所投与する。
【0101】
別の実施形態において、組成物を、ビヒクル、特にリポソームに入れて送達することができる(Langer, Science, 249:1527-1533, 1990; Treatら、「感染性疾患および癌の治療におけるリポソーム」(Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer), Lopez-BeresteinおよびFidler編、Liss, New York, pp.353-365 (1989); Lopez-Berestein, 同書、pp.317-327; 一般的に同書を参照されたい)。
【0102】
さらに別の実施形態において、本発明の組成物は、制御放出または徐放系により送達することができる。1つ以上の抗体、または1つ以上の融合タンパク質を含有する徐放性製剤を製造するために当業者に公知のいかなる技術を用いてもよい。たとえば、米国特許第4,526,938号、PCT公開WO91/05548; WO96/20698; Ningら、「徐放性ゲルを用いたヒト直腸癌異種移植片の腫瘍内放射線免疫療法」(Intratumoral Radioimmunotheraphy of a Human Colon Cancer Xenograft Using a Sustained-Release Gel), Radiotherapy & Oncology, 39:178-189, 1996; Songら、「長時間循環エマルションの抗体仲介肺ターゲッティング」(Antibody Mediated Lung Targeting of Long-Circulating Emulsions), PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology, 50:372-397, 1995; Cleekら、「心血管系への適用のためのbFGF抗体の生物分解性高分子担体」(Biodegradable Polymeric Carriers for a bFGF Antibody for Cardiovascular Application), Pro. Intl. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater., 24:853-854, 1997; およびLamら、「局所送達のための組換えヒト化モノクローナル抗体のマイクロカプセル化」(Microencapsulation of Recombinant Humanized Monoclonal Antibody For Local Delivery), Proc. Int’l. Symp. Control Rel. Bioact. Mater., 24:759-760, 1997を参照されたい。これらの文献全体を参照により本明細書に組み入れる。1つの実施形態において、制御放出系にポンプを用いる(Langer、上記;Sefton, 1987, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:20; Buchwaldら、1980, Surgery 88:507; およびSaudekら、1989, N. Engl. J. Med. 321:574を参照されたい)。別の実施形態において、免疫反応性試薬の制御放出を達成するために高分子材料を使用する(たとえば、「制御放出の医学的応用」(Medical Applications of Controlled Release), LangerおよびWise編、CRC Pres., Boca Raton, Florida (1974); 「制御薬物バイオアベイラビリティー、医薬製品デザインおよび性能」(Controlled Drug Bioanailability, Drug Product Design and Performance), SmolenおよびBall編、Wiley, New York (1984); RangerおよびPeppas, 1983, J., Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61を参照されたい。また、Levyら、1985, Science 228:190; Duringら、1989, Ann. Neurol. 25:351; Howardら、1989, J. Neurosurg. 71:105; 米国特許第5,679,377号;米国特許第5,916,597号;米国特許第5,912,015号;米国特許第5,989,463号;米国特許第5,128,326号;PCT公開WO99/15154; およびWO99/20253をも参照されたい)。さらに別の実施形態において、制御放出系は、治療の標的(たとえば、肺)に近接して置くことにより、必要な用量は全身投与の場合の一部分となる(たとえば、Goodson、「制御放出の医学的応用」、上記、第2巻、pp. 115-138 (1984)を参照されたい)。
【0103】
他の制御放出系については、Langer, 1990, Science 249:1517-1533の総説に論じられている。
【0104】
また、本発明は、免疫反応性試薬、たとえば抗体が、免疫反応性試薬の量を示したアンプルまたは小袋のような気密シールされた容器に包装されたものを提供する。1つの実施形態において、免疫反応性試薬およびサポニンは、乾燥、滅菌、凍結乾燥された粉末または水を含まない濃縮物として、1個以上の気密シールされた容器に入れて、一緒にまたは別に提供され、たとえば、水または生理食塩水を加えて、被験体に投与するのに適当な濃度に再構成することができる。それぞれの免疫反応性試薬の有効投与量は、まずin vitroのアッセイにより算出することができる。これは、標的の抗原、腫瘍中の抗原の密度、腫瘍の型、投与の方式にも依存し、当業者は過度の実験をしなくても最適化することができる。注射用の通常の有効投与量は、約0.1から5mg/kg/日、好ましくは、約1から4mg/kg/日、より好ましくは、2から4mg/kg/週の範囲である。好ましくは、免疫反応性試薬は、5mg以上、より好ましくは10mg以上、15mg以上、25mg以上、35mg以上、45mg以上、50mg以上、または75mg以上の1回投与量の、気密シールされた容器に入った、乾燥、滅菌、凍結乾燥された粉末として供給される。
【0105】
別の実施形態において、サポニンは、QS-7、QS-17、QS-18、QS-21、QS-21-V1またはQS-21-V2である。好ましくは、サポニンは、1μg以上、より好ましくは、10μg以上、15μg以上、25μg以上、35μg以上、45μg以上、50μg以上、または75μg以上の1回投与量で供給される。好ましい実施形態において、医薬組成物中のサポニンの量は、約0.1から約1000μgである。好ましい実施形態において、サポニンの量は、約1、2、3、5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、110、125、150、200、250、300または500μgである。特に好ましい実施形態において、サポニンの量は100μgである。
【0106】
特に好ましい実施形態において、サポニンはQS-21である。医薬組成物中のQS-21の量は好ましくは約1μg以上である。特に好ましい実施形態において、QS-21の量は、約10から約1000μgである。特に好ましい実施形態において、QS-21の量は約10から100μg、または20から50μg、好ましくは25または50μgである。凍結乾燥された免疫反応性試薬およびサポニンは、その元々の容器の中で2℃と8℃の間で貯蔵し、再構成された後、12時間以内、好ましくは6時間以内、5時間以内、3時間以内、または1時間以内に投与しなければならない。別の実施形態において、免疫反応性試薬およびサポニンは、サポニンおよび免疫反応性試薬の量および濃度を示した気密シールされた容器に入った液体の形で供給される。好ましくは、液体の形の免疫反応性試薬は、1mg/ml以上、より好ましくは2.5mg/ml以上、5mg/ml以上、8mg/ml以上、10mg/ml以上、15mg/ml以上、または25mg/ml以上で気密シールされた容器に入れて供給される。好ましくは、液体の形のサポニンは、1mg/ml以上、より好ましくは2.5mg/ml以上、5mg/ml以上、8mg/ml以上、10mg/ml以上、15mg/ml以上、または25mg/ml以上で気密シールされた容器に入れて供給される。
【0107】
本発明はまた、医薬組成物を提供する。このような組成物は、予防または治療に有効な量の免疫反応性試薬およびサポニン、および製薬上許容される担体を含有する。特定の実施形態において、「製薬上許容される」という用語は、連邦または州政府の監督官庁により認可された、または米国薬局方または他の一般的に認められている薬局方に動物への使用、およびより具体的にはヒトへの使用ができるものとして挙げられていることを意味する。「担体」の用語は、治療薬と共に投与される希釈剤、アジュバント(たとえば、MPL、免疫刺激性オリゴヌクレオチド、完全もしくは不完全フロイントアジュバント、水酸化アルミニウムのような金属ゲル、リソレシチンのような界面活性物質、プルロニック(pluronic)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油エマルション、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、およびBCG(Bacille Calmette-Guerin)およびCorynebacterium parvumのようなヒトに有用な可能性のあるアジュバント)、添加物、またはビヒクルを指す。このような医薬品担体は、水または油のような無菌の液体であってよい。油には、石油、動物、植物または合成起源のもの、たとえば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱物油、ゴマ油等が含まれる。水は、医薬組成物を静脈投与する場合に好ましい担体である。生理食塩水およびデキストロース水溶液およびグリセリン溶液もまた、液体の担体として特に注射用溶液に用いられる。適当な医薬品添加物には、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセリン、プロピレングリコール、水、エタノール等が含まれる。組成物は、望まれるならば、少量の湿潤剤または乳化剤、またはpH緩衝剤を含んでいてもよい。これらの組成物は溶液、サスペンション、エマルション、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、徐放性製剤等の形をとることができる。経口製剤は、医薬品等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム等の標準的な担体を含んでいてよい。適当な医薬品担体の例は、E. W. Martinによる「Remingtonの薬学」(Remington’s Pharmaceutical Sciences)に記載されている。上記のような組成物は、予防または治療に有効な量の免疫反応性試薬およびサポニンを、好ましくは精製された形で、患者に適正に投与するための剤形を提供するのに適当な量の担体と共に含む。製剤は投与の方式に適したものでなければならない。
【0108】
好ましい実施形態において、組成物は、人間への静脈投与に適合した医薬組成物として、通常の方法により製剤される。典型的には、静脈投与用の組成物は、無菌の等張水性緩衝液である。必要ならば、組成物はさらに可溶化剤、および注射の部位の痛みを緩和するためのリグノカインのような局所麻酔薬を含んでいてもよい。好ましくは、サポニンは静脈投与しない。
【0109】
一般的に、本発明の組成物の材料は、一回服用量剤形の、別々の、または混合されたキット、たとえば、活性薬物の量を示したアンプルまたは小袋のような気密シールされた容器に入れた、乾燥した状態の凍結乾燥された粉末または水を含まない濃縮物として供給される。組成物が注入により投与される場合、これを無菌の医薬品等級の水または生理食塩水の入った注入ビンに調剤することができる。組成物が注射により投与される場合、注射用の無菌の水または生理食塩水のアンプルを用意し、材料を投与の前に混合してもよい。別の実施形態において、本発明のキットはさらに、好ましくは無菌の形で包装された、組成物を注射するための針またはシリンジ、および/または包装されたアルコールパッドを含む。必要に応じて、医師または患者が本発明の組成物を投与するための説明書を添付してもよい。
【0110】
本発明の組成物は中性または塩の形で製剤化することができる。製薬上許容される塩には、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸等に由来するアニオンと共に形成されるもの、および水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカイン等に由来するカチオンと共に形成されるものが含まれる。
【0111】
疾患、障害または感染に伴う1つ以上の症状を治療、予防または緩和するのに有効な、本発明の組成物の量は、標準的な臨床技術により決定することができる。製剤に用いられる正確な用量は、投与経路、被験者の年齢、および疾患、障害または感染の重篤さに依存し、医師の判断およびそれぞれの患者の環境に従って決定されなければならない。有効用量は、in vitroまたは動物モデル(たとえば、コトンラットまたはCynomolgous monkey)試験系から得られた用量-反応曲線から外挿してもよい。サポニンおよび抗体または他の免疫反応性試薬の効果を評価するためのモデルおよび方法は当業者に公知である(Wooldridgeら、Blood, 1997, 89(8):2994-2998、この文献全体を参照により本明細書に組み入れる)。
【0112】
抗体に関して、被験者に投与される治療または予防に有効な投与量は、典型的には被験者の体重に対して0.1mg/kgから200mg/kgである。好ましくは、被験者に投与される投与量は、被験者の体重に対して0.1mg/kgと20mg/kgの間であり、より好ましくは被験者に投与される投与量は、被験者の体重に対して1mg/kgと10mg/kgの間である。けれども、投与量は、分子の血清半減期が増加した程度に依存する。一般的に、外部からのポリペプチドに対する免疫反応のために、ヒトの体内ではヒト抗体は他の種由来の抗体よりも長い半減期を有する。したがって、しばしば、ヒト抗体をより少ない用量、より少ない頻度で投与することが可能である。さらに、免疫反応性試薬投与の投与量および頻度は、たとえば、脂質化のような、免疫反応性試薬の取り込みおよび組織への浸透(たとえば肺の中へ)の増大により減らすことができる。
【0113】
治療または予防に有効な量の免疫反応性試薬およびサポニンによる被験体の治療は、1回の治療であってもよいし、または好ましくは一連の複数回の治療であってもよい。好ましい例において、被験体は、約0.1から30mg/kg体重の範囲の免疫反応性試薬により、週1回で約1から10週間、好ましくは2から8週間、より好ましくは約3から7週間、さらに好ましくは約4、5または6週間治療される。好ましい実施形態において、被験体は約0.1から30mg/kg体重の間の範囲のサポニンにより、週1回で約1から10週間、好ましくは2から8週間、より好ましくは約3から7週間さらに好ましくは約4、5または6週間治療される。他の実施形態において、本発明の医薬組成物は1日1回、1日2回、または1日3回投与される。他の実施形態において、医薬組成物は週1回、週2回、2週間に1回、月1回、6週間に1回、2か月に1回、年2回、または年1回投与される。また、治療に用いられる免疫反応性試薬の有効投与量は特定の治療の経過の中で増加または減少してもよいことが理解されるであろう。免疫反応性試薬およびサポニンは、同時に投与することができる。好ましい実施形態において、サポニンと免疫反応性試薬は異なる時に投与される。1つの実施形態において、免疫反応性試薬はサポニンの前、たとえば、少なくとも7日、3日、2日、1日、16時間、12時間、8時間、4時間、2時間または1時間前に投与される。好ましい実施形態において、サポニンは免疫反応性試薬の前、たとえば、少なくとも7日、3日、2日、1日、16時間、12時間、8時間、4時間、2時間または1時間前に投与される。
【0114】
4.4. 免疫反応性試薬およびサポニンを含有する医薬組成物を作る方法
本発明はサポニンおよび免疫反応性試薬を含有する医薬組成物を作る方法を包含する。
【0115】
1つの実施形態において、サポニンを免疫反応性試薬と混合する。好ましい実施形態において、サポニンおよび免疫反応性試薬は別々に製剤され、キット内の別の容器に入れられる。このようなキットはさらに免疫反応性試薬およびサポニンの投与の説明書からなってもよい。
【0116】
本発明は本明細書に記載された特定の実施形態によりその範囲を限定されるべきではない。実際、上記の説明から、本明細書に記載されたものに加えてさまざまな発明の変更が当業者に明らかになるであろう。このような変更は添付された特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
本明細書にさまざまな文献を引用したが、それらの個々の開示全体を参照により本明細書に組み入れる。
【実施例1】
【0117】
5. 実施例
5.1. in vitroにおける抗体仲介溶菌の増大
マウス脾細胞(エフェクター細胞)を免疫感作していない生後6〜8週のマウスの脾臓から調製する。これらのエフェクター細胞を、1から10ug/mlのQS-21または適当な量の別の免疫調整作用を有するサポニンと共に24から72時間インキュベートする。インキュベーション時間の終わりに、標的細胞(E.G7-OVAまたはMO4)に51Crを取り込ませる。エフェクター細胞および標識した標的細胞を、SIINFEKL/クラスI MHC (1から10ug/ml)に対するモノクローナル抗体を存在させて、およびさせずに、決められたエフェクター:標的の比で、4℃で30から60分間インキュベートする。QS-21およびモノクローナルの存在下での溶解を、QS-21が存在しない、モノクローナルが存在しない、および両方存在しない対照と比較する。QS-21による溶解の増加がある(モノクローナル単独に対するQS-21/モノクローナルによる溶解の増加の倍率(fold-enhancement)により決定される)。
【0118】
5.2. 腫瘍攻撃モデルにおける保護の改良
C57B1/6マウスに、側腹部への皮下注射により、MO4腫瘍(1×105)またはEG7-OVA腫瘍を接種する。接種の24から48時間後に、マウスにSIINFEKL/クラスI MHCに対するモノクローナル抗体を腹腔内注射、またはQS-21 (10~20ug)を存在させてまたはさせずに局所皮下注射する。30から60日間にわたる腫瘍の増殖をモニターすることにより(カリパスによる測定)、QS-21/モノクローナル抗体処理の抗腫瘍効果をモノクローナル抗体処理のそれと比較する。生存率を決定し、Cox退縮分析を用いて死亡までの時間に関する有意性を評価した。また、マウスを、活動性、波打った被毛、下痢、および全般的な外観のレベルを含む毒性の徴候について毎日観察した。抗体およびQS-21により処理したものと比較して、有意の数のモノクローナル抗体単独で処理したマウスにおいて腫瘍が発達した。QS-21処理の利点は、腫瘍の進行が遅れることにより証明される。サポニンおよび抗体または他の免疫反応性試薬の効果の評価のためのモデルおよび方法は当分野で公知である。(Wooldridgeら、Blood, 1997, 89(8): 2994-2998、この文献全体を参照により本明細書に組み入れる。)
5.3. QS-21の使用による細菌のオプソニン作用の改善
サポニンによる細菌のオプソニン作用の改善は、オプソニン食作用アッセイのためにエフェクター細胞(HL-60)をQS-21と共にインキュベートすることによりin vitroで証明される。細胞を、これらが与えられた抗体力価(たとえば、それぞれS. pneumoniaまたはS. aureusに特異的なオプソニン活性を有するヒト血清サンプル)で、より効果的にS. pneumoniaまたはS. aureusに対するオプソニン作用を示すかどうかについて評価する。
【0119】
5.4. QS-21によるFc受容体のアップレギュレーション
単球、ナチュラルキラー細胞または多形核細胞をQS-21(たとえば、1-10μg/ml)を存在させて、またはさせずにインキュベートする。トリプシン処理された細胞を、FcαR、FcγR1、FcγRII、またはFcγRIIIに特異的なモノクローナル抗体と共に4℃で60分間インキュベートする。次いで、細胞を、抗マウスIgG FITCプローブと共にインキュベート、洗浄、パラホルムアルデヒド中で固定、およびFACScanにより分析する。これらの細胞上のFc受容体のアップレギュレーションが証明される。
【0120】
さらに、マクロファージ細胞におけるQS-21によるTNF-α、IL-6およびMIP-1-αのアップレギュレーションも証明された。骨髄由来の樹状突起細胞において、QS-21はMIP-1-αおよびIL-1の生産を増加させ、Il-12およびMIP-1-βの生産を減少させることが見いだされた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌の治療若しくは予防が望まれる個体における前記癌の治療若しくは予防のための、(i)予防または治療的効果量の前記癌の腫瘍関連抗原に特異的に結合する免疫反応試薬および(ii)サポニンとを組み合わせてなる医薬であって、前記免疫反応試薬および前記サポニンが異なる経路による投与用に製剤化されている、前記医薬。
【請求項2】
感染性疾患の治療若しくは予防が望まれる個体における前記感染性疾患の治療若しくは予防のための、(i)予防または治療的効果量の前記感染性疾患の媒体の抗原に特異的に結合する免疫反応試薬および(ii)サポニンとを組み合わせてなる医薬であって、前記免疫反応試薬および前記サポニンが異なる経路による投与用に製剤化されている、前記医薬。
【請求項3】
神経変性疾患またはアミロイド疾患の治療若しくは予防が望まれる個体における前記神経変性疾患またはアミロイド疾患の治療若しくは予防のための、(i)予防または治療的効果量の前記神経変性疾患またはアミロイド疾患の媒体の抗原に特異的に結合する免疫反応試薬および(ii)サポニンとを組み合わせてなる医薬であって、前記免疫反応試薬および前記サポニンが異なる経路による投与用に製剤化されている、前記医薬。
【請求項4】
標的の抗体依存性細胞傷害若しくは食作用の増大が望まれる個体における前記標的の抗体依存性細胞障害若しくは食作用を増大させるための、(i)前記標的の抗原に特異的結合する免疫反応試薬および(ii)サポニンを組合せてなる医薬であって、前記免疫反応試薬の量が前記標的の抗体依存性細胞障害若しくは食作用を増大させるために効果的な量でああって、前記免疫反応試薬および前記サポニンが異なる経路による投与用に製剤化されている、前記医薬。
【請求項5】
免疫反応性試薬が抗体である、請求項1〜4のいずれか1項記載の医薬。
【請求項6】
サポニンがQS-7、QS-17、QS-18、QS-21、QS-21-V1、またはQS-21-V2からなる群より選ばれる、請求項1〜4のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項7】
サポニンがQS-21である、請求項6記載の医薬。
【請求項8】
免疫反応性試薬が抗体である、請求項7記載の医薬。
【請求項9】
免疫反応性試薬およびサポニンが互いに異なる時点で投与される、請求項1〜4のいずれか1項記載の医薬。
【請求項10】
サポニンおよび免疫反応試薬が下記の何れかの態様で投与される、請求項9記載の医薬:
(i)免疫反応試薬の前にサポニンが投与される;
(ii)免疫反応試薬の1〜30分前にサポニンが投与される;
(iii)免疫反応試薬の1〜12時間前にサポニンが投与される;
(iv)免疫反応試薬の1〜2日前にサポニンが投与される;
(v)サポニンの前に免疫反応試薬が投与される;
(vi)サポニンの1〜30分前に免疫反応試薬が投与される;
(vii)サポニンの1〜12時間前に免疫反応試薬が投与される;または、
(viii)サポニンの1〜2日前に免疫反応試薬が投与される。
【請求項11】
免疫反応試薬が全身投与用に製剤化されている、請求項1〜4のいずれか1項記載の医薬。
【請求項12】
免疫反応試薬が静脈投与用に製剤化されている、請求項11記載の医薬。
【請求項13】
サポニンが、皮内投与、皮下投与および腹腔内投与からなる群より選ばれる経路用に製剤化されている、請求項1〜4のいずれか1項記載の医薬。
【請求項14】
免疫反応試薬が静脈内投与用に製剤化されている、請求項13記載の医薬。
【請求項15】
サポニンが以下からなる群より選ばれる量で存在する、請求項1〜4のいずれか1項記載の医薬:
(i)少なくとも1マイクログラム;
(ii)10から20マイクログラム;
(iii)20から100マイクログラム;および、
(iv)100から500マイクログラム。
【請求項16】
サポニンがISCOM中に含まれている、請求項1〜4のいずれか1項記載の医薬。
【請求項17】
腫瘍関連抗原が非ホジキンリンパ腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、軟骨腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢包腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ヴィルムス腫、頚癌、睾丸腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、網膜芽腫、白血病、真性赤血球増加、リンパ腫、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、およびH鎖病(B-細胞リンパ腫)からなる群より選ばれる癌と関連する抗原である、請求項1記載の医薬。
【請求項18】
腫瘍関連抗原が、Melan A、MART-1、MAGE-1、MAGE-3、BAGE、GAGE-1、GAGE-2、チロシナーゼ、gp100、gp75、HER-2/neu、c-erb-B2、CEA、PSA、MUC-1、CA-125、Stn、TAG-72、KSA (17-1A)、PSMA、p53、RAS、EGF-R、VEGF、GD2、GM2、GD3、抗-Id、CD20、CD19、CD22、CD36、異常な(Aberrant)クラスII、B1、CD25、およびHPVからなる群より選ばれる、請求項1記載の医薬。
【請求項19】
感染性疾患がウイルス性疾患である、請求項2記載の医薬。
【請求項20】
ウイルス性疾患がウイルス性髄膜炎、脳炎、デング熱または痘瘡であるか、または、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザ、水痘、アデノウイルス、I型単純ヘルペス(HSV-I)、II型単純ヘルペス(HSV-II)、牛疫、ライノウイルス、ECHOウイルス(echovirus)、ロタウイルス、RSウイルス、乳頭腫ウイルス、パポバウイルス、サイトメガロウイルス、エキノウイルス(echinovirus)、アルボウイルス、ハンタウイルス(huntavirus)、コクサッキーウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、痘瘡、I型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-I)、II型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-II) 、およびエプスタイン-バーウイルスからなる群より選ばれるウイルスにより引き起こされるウイルス性疾患である、請求項19記載の医薬。
【請求項21】
感染性疾患が細菌性疾患である、請求項2載の医薬。
【請求項22】
細菌性疾患が、ミコバクテリア、リケッチア、マイコプラズマ、ナイセリア、連鎖球菌、ぶどう球菌、破傷風、百日咳、炭疽、コレラ、ペスト、ジフテリア、およびクラミジアからなる群より選ばれる細菌の感染により引き起こされる、請求項21記載の医薬。
【請求項23】
感染性疾患が原生動物による疾患である、請求項2記載の医薬。
【請求項24】
原生動物による疾患が、マラリア並びにリーシュマニア、コクシジアおよびトリパノソーマからなる群から選ばれる原生動物によって引き起こされる疾患から選ばれる、請求項23記載の医薬。
【請求項25】
神経変性またはアミロイド疾患が、アルツハイマー病、加齢に関係する認知機能の喪失、老年痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化、ウィルソン病、脳性麻痺、進行性核上性麻痺、グアム病、レーヴィ体痴呆、プリオン病、海綿状脳障害、クロイツフェルト-ヤコブ病、ポリグルタミン病、ハンティングトン病、筋緊張性ジストロフィー、フリートライヒ運動失調、運動失調、ジル・ド・ラ・ツレット症候群、発作障害、てんかん、慢性発作障害、発作、脳外傷、脊髄外傷、エイズ痴呆、アルコール中毒、自閉症、網膜虚血、緑内障、自律神経機能障害、高血圧、神経精神障害、統合失調症、または統合失調性感情障害、II型糖尿病、慢性炎症性疾患に伴うアミロイド症、感染性疾患に伴うアミロイド症、および骨髄腫からなる群より選ばれる、請求項3記載の医薬。
【請求項26】
抗原が、β-アミロイド、オリゴマーAβ複合体、ApoE4-Aβ複合体、タウタンパク質、突然変異体アミロイド前駆体、プレセニリンの突然変異体、α-シヌクレイン、プリオンタンパク質、および片上記のタンパク質のいずれかの抗原性断片からなる群より選ばれる、請求項3記載の医薬。
【請求項27】
受動免疫療法の増強が望まれる個体における前記増強に使用する医薬の製造のためのサポニンの使用であって、前記免疫療法が、腫瘍関連抗原、感染性疾患の媒体の抗原、神経変性疾患関連抗原、およびアミロイド疾患関連抗原からなる群から選択される抗原に特異的に結合する免疫反応試薬を投与することを含み、さらに前記免疫療法が前記個体における受動免疫療法を増強するに効果的な量のサポニンを含む前記医薬を投与することを更に含み、前記免疫反応試薬および前記サポニンが異なる経路で投与され、および/または互いに異なる時点で投与される、前記使用。
【請求項28】
免疫反応性試薬が抗体である、請求項27記載の使用。
【請求項29】
サポニンが、QS-7、QS-17、QS-18、QS-21、QS-21-V1、およびQS-21-V2からなる群より選ばれる、請求項27記載の使用。
【請求項30】
サポニンがQS-21である、請求項27記載の使用。
【請求項31】
免疫反応試薬が抗体である、請求項30記載の使用。
【請求項32】
免疫反応性試薬およびサポニンが互いに異なる時点で投与される、請求項27記載の使用。
【請求項33】
サポニンおよび免疫反応試薬が異なる経路で投与される、請求項27記載の医薬。
【請求項34】
サポニンおよび免疫反応試薬が異なる経路で投与される、請求項32記載の医薬。
【請求項35】
サポニンおよび免疫反応試薬が下記の何れかの態様で投与される、請求項27記載の医薬:
(i)免疫反応試薬の前にサポニンが投与される;
(ii)免疫反応試薬の1〜30分前にサポニンが投与される;
(iii)免疫反応試薬の1〜12時間前にサポニンが投与される;
(iv)免疫反応試薬の1〜2日前にサポニンが投与される;
(v)サポニンの前に免疫反応試薬が投与される;
(vi)サポニンの1〜30分前に免疫反応試薬が投与される;
(vii)サポニンの1〜12時間前に免疫反応試薬が投与される;または、
(viii)サポニンの1〜2日前に免疫反応試薬が投与される。
【請求項36】
免疫反応試薬が全身投与用に製剤化されている、請求項27項記載の使用。
【請求項37】
免疫反応試薬が静脈投与用に製剤化されている、請求項36記載の使用。
【請求項38】
サポニンが、皮内投与、皮下投与および腹腔内投与からなる群より選ばれる経路用に製剤化されている、請求項27記載の使用。
【請求項39】
免疫反応試薬が静脈内投与用に製剤化されている、請求項38記載の使用。
【請求項40】
サポニンが以下からなる群より選ばれる量で存在する、請求項27記載の使用:
(i)少なくとも1マイクログラム;
(ii)10から20マイクログラム;
(iii)20から100マイクログラム;および、
(iv)100から500マイクログラム。
【請求項41】
サポニンがISCOM中に含まれている、請求項27記載の使用。
【請求項42】
免疫試薬が腫瘍関連抗原に特異的に結合する、請求項27記載の使用。
【請求項43】
腫瘍関連抗原が非ホジキンリンパ腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、軟骨腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢包腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ヴィルムス腫、頚癌、睾丸腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、網膜芽腫、白血病、真性赤血球増加、リンパ腫、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、およびH鎖病(B-細胞リンパ腫)からなる群より選ばれる癌と関連する抗原である、請求項42記載の使用。
【請求項44】
腫瘍関連抗原が、Melan A、MART-1、MAGE-1、MAGE-3、BAGE、GAGE-1、GAGE-2、チロシナーゼ、gp100、gp75、HER-2/neu、c-erb-B2、CEA、PSA、MUC-1、CA-125、Stn、TAG-72、KSA (17-1A)、PSMA、p53、RAS、EGF-R、VEGF、GD2、GM2、GD3、抗-Id、CD20、CD19、CD22、CD36、異常な(Aberrant)クラスII、B1、CD25、およびHPVからなる群より選ばれる、請求項42記載の使用。
【請求項45】
免疫反応試薬が感染性疾患の媒体の抗原に特異的に結合する、請求項27記載の使用。
【請求項46】
感染性疾患がウイルス性疾患である、請求項45記載の使用。
【請求項47】
ウイルス性疾患がウイルス性髄膜炎、脳炎、デング熱または痘瘡であるか、または、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザ、水痘、アデノウイルス、I型単純ヘルペス(HSV-I)、II型単純ヘルペス(HSV-II)、牛疫、ライノウイルス、ECHOウイルス(echovirus)、ロタウイルス、RSウイルス、乳頭腫ウイルス、パポバウイルス、サイトメガロウイルス、エキノウイルス(echinovirus)、アルボウイルス、ハンタウイルス(huntavirus)、コクサッキーウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、痘瘡、I型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-I)、II型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-II) 、およびエプスタイン-バーウイルスからなる群より選ばれるウイルスにより引き起こされるウイルス性疾患である、請求項46記載の使用。
【請求項48】
感染性疾患が細菌性疾患である、請求項45記載の使用。
【請求項49】
細菌性疾患が、ミコバクテリア、リケッチア、マイコプラズマ、ナイセリア、連鎖球菌、ぶどう球菌、破傷風、百日咳、炭疽、コレラ、ペスト、ジフテリア、およびクラミジアからなる群より選ばれる細菌の感染により引き起こされる、請求項48記載の使用。
【請求項50】
感染性疾患が原生動物による疾患である、請求項45記載の使用。
【請求項51】
原生動物による疾患が、マラリア並びにリーシュマニア、コクシジアおよびトリパノソーマからなる群から選ばれる原生動物によって引き起こされる疾患から選ばれる、請求項50記載の使用。
【請求項52】
免疫反応試薬が神経変性またはアミロイド疾患と関連する抗原に特異的に結合する、請求項27記載の使用。
【請求項53】
神経変性またはアミロイド疾患が、アルツハイマー病、加齢に関係する認知機能の喪失、老年痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化、ウィルソン病、脳性麻痺、進行性核上性麻痺、グアム病、レーヴィ体痴呆、プリオン病、海綿状脳障害、クロイツフェルト-ヤコブ病、ポリグルタミン病、ハンティングトン病、筋緊張性ジストロフィー、フリートライヒ運動失調、運動失調、ジル・ド・ラ・ツレット症候群、発作障害、てんかん、慢性発作障害、発作、脳外傷、脊髄外傷、エイズ痴呆、アルコール中毒、自閉症、網膜虚血、緑内障、自律神経機能障害、高血圧、神経精神障害、統合失調症、または統合失調性感情障害、II型糖尿病、慢性炎症性疾患に伴うアミロイド症、感染性疾患に伴うアミロイド症、および骨髄腫からなる群より選ばれる、請求項52記載の使用。
【請求項54】
抗原が、β-アミロイド、オリゴマーAβ複合体、ApoE4-Aβ複合体、タウタンパク質、突然変異体アミロイド前駆体、プレセニリンの突然変異体、α-シヌクレイン、プリオンタンパク質、および片上記のタンパク質のいずれかの抗原性断片からなる群より選ばれる、請求項52記載の使用。
【請求項55】
(i)第1の容器中のサポニン;および、
(ii)第2の容器中の、腫瘍関連抗原、感染性疾患の媒体の抗原、神経変性疾患関連抗原、およびアミロイド疾患関連抗原からなる群より選ばれる抗原に特異的に結合する免疫反応試薬、
を含むキットであって、
前記免疫反応試薬およびサポニンが異なる経路による投与用に製剤化されている、前記キット。
【請求項56】
免疫反応性試薬が抗体である、請求項55記載のキット。
【請求項57】
サポニンが、QS-7、QS-17、QS-18、QS-21、QS-21-V1、およびQS-21-V2からなる群より選ばれる、請求項55記載のキット。
【請求項58】
サポニンがQS-21である、請求項57記載のキット。
【請求項59】
免疫反応試薬が抗体である、請求項58記載のキット。
【請求項60】
サポニンおよび免疫反応試薬を互いに異なる時点で投与するための説明書を更に含む、請求項55記載のキット。
【請求項61】
説明書が、サポニンおよび免疫反応試薬が下記の何れかの態様で投与されるよう指示する、請求項60記載のキット:
(i)免疫反応試薬の前にサポニンを投与する;
(ii)免疫反応試薬の1〜30分前にサポニンを投与する;
(iii)免疫反応試薬の1〜12時間前にサポニンを投与する;
(iv)免疫反応試薬の1〜2日前にサポニンを投与する;
(v)サポニンの前に免疫反応試薬を投与する;
(vi)サポニンの1〜30分前に免疫反応試薬を投与する;
(vii)サポニンの1〜12時間前に免疫反応試薬を投与する;または、
(viii)サポニンの1〜2日前に免疫反応試薬を投与する。
【請求項62】
免疫反応試薬が全身投与用に製剤化されている、請求項55項記載のキット。
【請求項63】
免疫反応試薬が静脈投与用に製剤化されている、請求項62項記載のキット。
【請求項64】
サポニンが、皮内投与、皮下投与および腹腔内投与からなる群より選ばれる経路用に製剤化されている、請求項55記載のキット。
【請求項65】
免疫反応試薬が静脈内投与用に製剤化されている、請求項64記載のキット。
【請求項66】
サポニンが以下からなる群より選ばれる量で存在する、請求項55記載のキット:
(i)少なくとも1マイクログラム;
(ii)10から20マイクログラム;
(iii)20から100マイクログラム;および、
(iv)100から500マイクログラム。
【請求項67】
サポニンがISCOM中に含まれている、請求項55記載のキット。
【請求項68】
免疫試薬が腫瘍関連抗原に特異的に結合する、請求項55記載のキット。
【請求項69】
腫瘍関連抗原が非ホジキンリンパ腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、軟骨腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢包腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ヴィルムス腫、頚癌、睾丸腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、網膜芽腫、白血病、真性赤血球増加、リンパ腫、多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、およびH鎖病(B-細胞リンパ腫)からなる群より選ばれる癌と関連する抗原である、請求項68記載のキット。
【請求項70】
腫瘍関連抗原が、Melan A、MART-1、MAGE-1、MAGE-3、BAGE、GAGE-1、GAGE-2、チロシナーゼ、gp100、gp75、HER-2/neu、c-erb-B2、CEA、PSA、MUC-1、CA-125、Stn、TAG-72、KSA (17-1A)、PSMA、p53、RAS、EGF-R、VEGF、GD2、GM2、GD3、抗-Id、CD20、CD19、CD22、CD36、異常な(Aberrant)クラスII、B1、CD25、およびHPVからなる群より選ばれる、請求項68記載のキット。
【請求項71】
免疫反応試薬が感染性疾患の媒体の抗原に特異的に結合する、請求項55記載のキット。
【請求項72】
感染性疾患がウイルス性疾患である、請求項71記載のキット。
【請求項73】
ウイルス性疾患がウイルス性髄膜炎、脳炎、デング熱または痘瘡であるか、または、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザ、水痘、アデノウイルス、I型単純ヘルペス(HSV-I)、II型単純ヘルペス(HSV-II)、牛疫、ライノウイルス、ECHOウイルス(echovirus)、ロタウイルス、RSウイルス、乳頭腫ウイルス、パポバウイルス、サイトメガロウイルス、エキノウイルス(echinovirus)、アルボウイルス、ハンタウイルス(huntavirus)、コクサッキーウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、痘瘡、I型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-I)、II型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-II) 、およびエプスタイン-バーウイルスからなる群より選ばれるウイルスにより引き起こされるウイルス性疾患である、請求項72記載のキット。
【請求項74】
感染性疾患が細菌性疾患である、請求項71記載のキット。
【請求項75】
細菌性疾患が、ミコバクテリア、リケッチア、マイコプラズマ、ナイセリア、連鎖球菌、ぶどう球菌、破傷風、百日咳、炭疽、コレラ、ペスト、ジフテリア、およびクラミジアからなる群より選ばれる細菌の感染により引き起こされる、請求項74記載のキット。
【請求項76】
感染性疾患が原生動物による疾患である、請求項71記載のキット。
【請求項77】
原生動物による疾患が、マラリア並びにリーシュマニア、コクシジアおよびトリパノソーマからなる群から選ばれる原生動物によって引き起こされる疾患から選ばれる、請求項76記載のキット。
【請求項78】
免疫反応試薬が神経変性またはアミロイド疾患と関連する抗原に特異的に結合する、請求項55記載のキット。
【請求項79】
神経変性またはアミロイド疾患が、アルツハイマー病、加齢に関係する認知機能の喪失、老年痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化、ウィルソン病、脳性麻痺、進行性核上性麻痺、グアム病、レーヴィ体痴呆、プリオン病、海綿状脳障害、クロイツフェルト-ヤコブ病、ポリグルタミン病、ハンティングトン病、筋緊張性ジストロフィー、フリートライヒ運動失調、運動失調、ジル・ド・ラ・ツレット症候群、発作障害、てんかん、慢性発作障害、発作、脳外傷、脊髄外傷、エイズ痴呆、アルコール中毒、自閉症、網膜虚血、緑内障、自律神経機能障害、高血圧、神経精神障害、統合失調症、または統合失調性感情障害、II型糖尿病、慢性炎症性疾患に伴うアミロイド症、感染性疾患に伴うアミロイド症、および骨髄腫からなる群より選ばれる、請求項78記載のキット。
【請求項80】
抗原が、β-アミロイド、オリゴマーAβ複合体、ApoE4-Aβ複合体、タウタンパク質、突然変異体アミロイド前駆体、プレセニリンの突然変異体、α-シヌクレイン、プリオンタンパク質、および片上記のタンパク質のいずれかの抗原性断片からなる群より選ばれる、請求項78記載のキット。
【請求項81】
以下からなる群より選ばれる治療または予防法に従ってサポニン及び免疫反応試薬を投与するための説明書をさらに含む、請求項55記載のキット:
(i)癌の治療または予防を必要とする個体における前記癌の治療または予防方法;
(ii)感染性疾患の治療または予防を必要とする個体における前記感染性疾患の治療または予防方法;
(iii)神経変性またはアミロイド疾患の治療または予防を必要とする個体における前記神経変性またはアミロイド疾患の治療または予防方法;
(iv)標的の抗体依存性細胞傷害若しくは食作用の増大が望まれる個体における前記標的の抗体依存性細胞傷害若しくは食作用の増大方法;および、
(v)受動免疫療法の増強が望まれる個体における前記受動免疫療法の増強方法。

【公開番号】特開2010−159295(P2010−159295A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94810(P2010−94810)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【分割の表示】特願2003−556090(P2003−556090)の分割
【原出願日】平成14年12月20日(2002.12.20)
【出願人】(500021413)シーエスエル、リミテッド (28)
【Fターム(参考)】