説明

免疫学的作用を有するプラスミド

真核細胞および原核細胞のトランスフェクションに用いることができる組換えプラスミドを記載する。そのようなプラスミドは、7から12kbの長さを有し、免疫グロブリンの重鎖をコードする配列を含む。特に、これらのプラスミドは、予防的または治療的な免疫応答を誘発するための、高等動物に接種することができる原核細胞または真核細胞のトランスフェクション過程(エクスビボ)において、また、予防的または治療的な免疫応答を引き起こすための、遺伝子免疫化法における高等生物への直接的な接種のプロトコール(インビボ)において用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、7から12kbの長さを有し、免疫グロブリンの重鎖をコードする配列を含む、真核細胞および原核細胞のトランスフェクションに使用可能な組換えプラスミドにより代表されるものである。本発明のさらなる目的は、ヒトまたは動物において免疫応答を誘発するための、製剤またはワクチンもしくは治療薬(therapeutic treatment)の調製のための前記プラスミドの使用である。
【0002】
特に、本明細書および特許請求の範囲に記載するものは、
− (特に、配列番号1の配列を有するプラスミド1による)予防的または治療的な免疫応答を誘発するための、高等生物に接種することができる原核細胞または真核細胞のトランスフェクション過程(エクスビボ)、
− (特に、配列番号2の配列を有するプラスミド2による)予防的または治療的な免疫応答を引き起こすための、遺伝子免疫化法における高等生物への直接的な接種の手順(インビボ)
において使用することができるプラスミドの構築に用いる塩基配列である。
【0003】
さらに、記載のプラスミドを用いて治療することができる病変のプロファイルも明細書に記載する。
【背景技術】
【0004】
プラスミド由来のDNAは、既知の方法を介した原核細胞および真核細胞のトランスフェクションに用いることができる。この目的のために構築されるプラスミドは、通常、独自の生物活性を有することができるかまたは有することができない特定のタンパク質をコードする遺伝物質単位が挿入された骨格により構成される。
【0005】
プラスミドは、既に知られ用いられている構造的な構築物内に特異性を担う部分が導入されている市販のものであるか、または、自律的に生じたものであることができ、それはすなわち、プラスミドを導入する対象である生物で再構築されるべき特定のプロファイルに基づいて選択した遺伝物質の断片を集合させることによるものである。
【0006】
プラスミドの合成は、所望の細胞特性を得るために根本的に重要な操作である。プラスミドは、トランスフェクションの効率およびトランスジェニックタンパク質の合成の効率を決定し、また、トランスフェクションの安全性も決定し、さらに、最終分析において、トランスフェクト細胞のタンパク質発現の結果的な効率を決定する。
【0007】
プラスミドは、宿主細胞の細胞周期に、さらにこれらのトランスフェクト細胞を有する生物の生活環に影響を与える遺伝情報のベクターである。プラスミドに導入される情報が多いほど、トランスフェクションの過程における危険性が増す。
【0008】
プラスミドは、含まれる情報の特異性により特徴付けられる。前記情報が複雑でないほどプラスミドの合成が容易であり、その使用が安全である。
【0009】
プラスミドは、トランスフェクションを実施する細胞のタイプと、接触/インキュベーションの実験条件とに依存して、多少なりとも自然に細胞集団にトランスフェクトする能力を発揮する。特定の細胞集団についてプラスミドがより選択的であるほど、安全な条件下でのその使用がより可能になる。
【0010】
トランスフェクションを実施する条件は、トランスフェクションの成功の決め手となる。トランスフェクトされる細胞の均質性および濃度、インキュベーションの時間および条件、特定のおよび選択的な方法を用いての現象のモニタリングの可能性が、作業の成功のために非常に重要なものであると当然に考えられるものである。
【0011】
患者にインビボで注射するための細胞へのトランスフェクションにプラスミドを用いる特定の場合では、そのような細胞を患者に再挿入すべきであり、かつ危険で致命的な付随的現象の危険性を生じさせてはならないため、前記細胞は、細心の注意を払って操作する。必要な操作が少ないほど、その方法の安全性が増し、結果の再現性が高まる。
【0012】
上述のことから、必然的に、サイズの小さいプラスミドの使用が、特に操作が限られている方法と組み合わせた場合には、予防目的および治療目的で用いるトランスフェクションにおいて好ましい条件である。
【0013】
自己トランスフェクション方法における、免疫原性エピトープをコードするプラスミドの使用は、選択された細胞もしくは細胞系のアポトーシス過程の変化を伴う、感染物質の存在または自然なもしくは誘発された細胞突然変異(発癌)により特徴付けられるいくつかの病変における特異的な免疫応答を誘発するために用いることができる系の1つである。
【0014】
特許文献1は、免疫グロブリンの可変領域または結合ドメインにおいて所定のペプチドエピトープを発現するように遺伝子操作された免疫グロブリンを記載している。
【0015】
特許文献2は、テロメア症に対するT細胞、さらに腫瘍自体に対するT細胞が介在する応答を生じさせるために用いることができる、テロメア症に由来する腫瘍抗原を記載している。
【0016】
特許文献3は、ヒトγ1定常領域をコードする配列を含むpNγ1プラスミド内にマウスVH62遺伝子をサブクローニングすることにより得られる、免疫グロブリンのキメラ重鎖をコードするプラスミド、すなわちpNγ1H62プラスミドを記載している。このプラスミドは、可変領域の任意の相補性決定領域内に異種エピトープを導入することにより修飾することができる。したがって、免疫応答を誘発するための方法における前記プラスミドの使用が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】国際公開第90/09804号パンフレット
【特許文献2】国際公開第00/61766号パンフレット
【特許文献3】国際公開第00/64488号パンフレット
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Zanetti et al. J. Immunol., 1983, 131: 2452
【非特許文献2】Sollazzo, et. al., Eur. J. Immunol., 1989
【非特許文献3】Gerloni et al Nature Biotechnology 1997
【非特許文献4】Tang et al., Nature 1992
【非特許文献5】Ulmer et al., Science 1993
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかし、pNγ1H62プラスミドは、このプラスミドをヒトに注射した場合に有害となる部分を含む。さらに、このプラスミドのサイズで得られるトランスフェクションの収量は非常に少ない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明者らは、ヒトまたは動物においてインビボまたはエクスビボで免疫応答を誘発するために用いた場合にpNγ1H62プラスミドの欠点を示さない、免疫グロブリンの重鎖をコードする配列を含むプラスミドを開発した。特に、開発されたプラスミドはより良好な安全性を有し、細胞内にトランスフェクトした際の収量の増大を示す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】プラスミド1の地図を示す図である。
【図2】プラスミド2の地図を示す図である。
【図3】プラスミドのCDRへのエピトープ挿入のモデルを表す図である.
【図4】プラスミド1および2によりコードされる抗原エピトープを有するタンパク質の仮説上の構造を示す図である。
【図5】プラスミド1および2の制限地図を示す図である。
【図6】エクスビボでトランスフェクトしたリンパ球から得たプラスミドのPCR試験による増幅を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
これらのプラスミドは、7から12kb、好ましくは8から12kb、さらに好ましくは9から11kb、またさらに好ましくは9から10kbの長さを有し、リンパ球内にトランスフェクトすると免疫グロブリンの重鎖を発現することができる。
【0023】
好ましい実施形態によると、これらのプラスミドは、マウス可変領域と、好ましくはIgγ1であるヒト定常領域とを好ましくは含む免疫グロブリンのキメラ重鎖を発現する。
【0024】
マウス可変領域は、好ましくは、成体の過剰免疫マウス(非特許文献1)の脾細胞に由来するハイブリドーマ62から得たVH領域であり、これを以降、VH62領域と呼ぶ。VH62ハイブリドーマ62は、抗サイログロブリン活性を有するモノクローナル抗体を分泌する。
【0025】
Igγ1領域の遺伝子は、好ましくは、ベクターpNγ1からクローニングする。
【0026】
プラスミドは、好ましくはおよそ50bpの、リンパ球細胞に特異的なプロモーター、または、ウイルス由来の、好ましくはCMVプロモーターもさらに含むことができる。
【0027】
本発明のプラスミドは、好ましくは、ポリアデニル化配列AATAAAも含む。
【0028】
本発明のプラスミドは、ベータラクタム系抗生物質に対する耐性、特にアンピシリンに対する耐性を示さず、かつ/またはSV40の複製起点を有さないことが好ましい。
【0029】
したがって、プラスミドは好ましくは、大腸菌(Escherichia coli)の、好ましくはPBR322の複製起点を含む。さらに、プラスミドは好ましくは、ネオマイシンに対する耐性を示す。
【0030】
本発明の好ましいプラスミドは、プラスミド1および2である。
【0031】
プラスミド1は9727bpの長さを有し(配列番号1および図1)、プラスミド2は10004bpの長さを有する(配列番号2および図2)。記載したプラスミドは双方ともに、免疫グロブリンのキメラ重鎖をコードする。
【0032】
2つのプラスミドの間の唯一の構造上の差異は特異的プロモーターにより決定され、このプロモーターは、プラスミド1の場合はリンパ球細胞の50bpの特異的プロモーターであり、プラスミド2の場合は742bpのサイズを有するウイルスプロモーターである。
【0033】
プラスミドの骨格は、pSV2neo、すなわち、ネオマイシンに対する耐性遺伝子およびPBR322の複製起点を含む細菌由来のDNAである。
【0034】
免疫グロブリンの重鎖をコードする遺伝子配列は、
− 抗サイログロブリン活性を有するモノクローナル抗体を分泌するマウスハイブリドーマ(ハイブリドーマ62)から最初にクローニングされた、およそ2.5kbのマウス可変領域(VH62)(非特許文献2)、
− pNγ1ベクターに由来する、ヒトIgγ1の定常領域(Hybritech Corporation、サンディエゴ、カリフォルニア州)
からなる。
【0035】
プラスミド1の免疫グロブリンプロモーターはVH62の不可欠な部分であるが、プラスミド2のウイルスプロモーターはプラスミドphMGFPに由来するものであった(Promega、ウィスコンシン州、アメリカ)。ネオマイシンに対する耐性遺伝子により、原核細胞における選択的成長のための、カナマイシンに対する耐性も付与される。
【0036】
ポリアデニル化配列はプラスミドの5178:5183位にあり、ヒト定常領域の後ろに存在する。その配列はAATAAAである。細菌の複製起点は大腸菌(Escherichia coli)のものであり、8324:9264位に位置する。
【0037】
本発明のプラスミドの特有の特徴は、抗原特性を有するエピトープ(5から25アミノ酸残基)を導入するために、コードされるタンパク質の相補性決定領域(CDR)に突然変異を生じさせることができることである(非特許文献3)。そのような特性により、自然にトランスフェクトされた細胞である接種材料を用いたエクスビボでのトランスフェクションによる、またはインビボでの直接的な接種(遺伝子免疫化)による、特異的免疫応答の誘発に、問題のプラスミドを使用することが可能になる。
【0038】
したがって、本発明の目的は、特にヒトまたは動物において免疫応答を誘発するための、DNAワクチン接種のための製剤を調製するための、本発明のプラスミドの使用である。さらに、本発明の別の目的は、前記請求項のいずれか一項に記載の少なくとも1つのプラスミドを、薬学的に許容できる賦形剤および/またはコアジュバントと共に含む製剤である。
【0039】
本発明の製剤は、予防目的または治療目的のために用いることができる。
【0040】
本発明の製剤は、以下のものに罹患しているかまたは罹患していたヒトまたは動物において特に用いることができる。
− 前立腺癌または膵臓癌、腎臓癌または肺癌による、癌腫ならびに/または腺腫ならびに/または肉腫ならびに/または脂肪腫ならびに/または充実性腫瘍および/もしくは腹水腫瘍のファミリーに属する腫瘍。好ましくは、この場合、前記ヒトまたは動物は、コード配列がプラスミドに含まれている少なくとも1つの抗原エピトープを表面に有する腫瘍細胞の存在により、罹患しているかまたは罹患していたものである。
− 細菌、ウイルス、真菌、および/または寄生虫の感染。
【0041】
本発明のさらなる目的は、ヒトまたは動物において免疫応答を誘発するための方法である。前記方法は、エクスビボで原核細胞および/または真核細胞にトランスフェクトし、次いで前記ヒトまたは動物に前記原核細胞および/または真核細胞を接種することを含むものであった。好ましくは、トランスフェクトする前記細胞は、リンパ球のファミリーに属するものであり、好ましくは前記ヒトまたは動物の末梢血管から採取したものである。あるいは、前記方法は、前記ヒトまたは動物にプラスミドをインビボで接種することを含む。
【0042】
前記ヒトまたは動物へのプラスミドまたは原核細胞および/もしくは真核細胞の接種は、好ましくは、注射による投与または経粘膜的な投与により実施する。
【0043】
全ての免疫グロブリンのような、本発明のプラスミドによりコードされるタンパク質は、3つのCDR、すなわち、ペプチド配列AfiIIIの挿入に用いることができる制限部位を有するCDR1、Ncol部位を有するCDR2、およびAcc65I部位を有するCDR3を有する。
【0044】
したがって、それらの中に、液性型(B細胞介在性)ならびに細胞介在型(T細胞のCD4およびCD8介在性)の両方の様々な免疫応答を引き起こすことができる様々なペプチド配列を挿入することが可能である。例えば、各CDRに少なくとも1種の配列を挿入すること、すなわち、様々な免疫応答を引き起こすことができる合計3つの配列を挿入することが可能である。さらに、場合により互いに融合している1つまたは複数の配列を各CDRに挿入することも可能である。
【0045】
CDRへの抗原エピトープの挿入の例を図3に示す。
【0046】
本発明の目的に好ましい抗原エピトープは、
− 例えばテロメア症の腫瘍抗原のような腫瘍抗原であり、さらに好ましくは、p540(ILAKFLHWL)、p572(RLFFYRKSV)、pY572(YLFFYRKSV)、およびp865(RLVDDFLLV)、
− 例えばインフルエンザ抗原のような、感染性微生物に由来する抗原であり、好ましくはエピトープpNP(ASNENMETM)
である。
【0047】
プラスミド1および2によりコードされるトランスジェニック産物は、およそ156000ダルトンの分子量を有するタンパク質である(図4)。コードされる重鎖領域は、実際は、ヒト部分(定常領域)とマウス部分(可変領域)とのキメラである。とは言え、マウス部分はヒト可変領域と80%相同な配列を含む。
【0048】
上記のプラスミドの重要な特徴は、アンピシリンに対する耐性遺伝子が存在しないこと、および、ベータラクタム系抗生物質に対する潜在的なアレルギーを有する患者におけるカナマイシンの安全な使用を可能にする、カナマイシンに対する耐性遺伝子が存在することである。別の有利な要素は、アンピシリンが37℃(プラスミドの培養条件)で3〜4時間しか安定でない一方で、カナマイシンは24〜48時間安定な抗生物質であることであり、その結果、より良好(より低価格の生産)でより安定なプラスミドの培養収量が可能になることである。
【0049】
上記のプラスミドはまた、宿主細胞のゲノムとの相同性の危険性を高める、さらに細胞自体への組み込みの危険性を高める、「無益な(useless)」配列(例えば配列SV40、またはゲノム材料の一部)を有さない。
【0050】
プラスミドの制限地図の分析
制限酵素での消化により得られた制限地図を、プラスミドの同一性を規定するために考慮する最初の基準とする。特に、図5に示す地図はプラスミド1および2のみを同定する。また、断片の正確なサイズを決定するための既知のサイズの標準(1Kbのラダー)と平行してアガロースゲル上を泳動する、消化後のプラスミド1の断片の画像も続けて示す。プラスミド1の配列は配列番号1に示し、プラスミド2の配列は配列番号2に示す。
【0051】
プラスミドの生物学的特徴
トランスフェクションの方法における、免疫原性エピトープをコードするプラスミドが、選択した細胞もしくは細胞系のアポトーシス過程の変化を伴う、感染物質の存在または自然なもしくは誘発された細胞突然変異(発癌)により特徴付けられるいくつかの病変における特異的な免疫応答を誘発するために用いることができる系の1つであるということが、これまでに示されている。
【0052】
そのようなプラスミドのさらなる使用は、外来タンパク質および病原性微生物に対する免疫応答を誘発するための、免疫適格生物へのインビボでの直接的な注射である(非特許文献4、非特許文献5、非特許文献3)。機能遺伝子の接種を伴うこの分野において、感染性病変および癌由来の病変の治療および予防において効果的な、液性応答(抗体介在性)および細胞介在性の応答(CD4およびCD8型Tリンパ球介在性)の誘発が実証された。
【0053】
その結果、遺伝子免疫化の概念は、今や、特異的かつ防御的な免疫応答を引き起こすために、細菌、ウイルス、および寄生虫に由来する抗原、ならびに様々なタイプの腫瘍に由来する抗原をコードするプラスミドを用いる世界中のワクチン学者により採用されている。HIV、ヘルペス、インフルエンザ、鳥インフルエンザ、SARS、B型およびC型肝炎、ならびに種々の癌腫の治療または予防のために、臨床研究が現在進行中である。
【0054】
インビボで用いるプラスミドの必須の構成要素は、目的の抗原(またはその一部)をコードする遺伝子、抗原の転写を導くプロモーター配列(通常はサイトメガロウイルス(CMV)に由来する)、抗原の翻訳を確実にするポリアデニル化領域である。
【0055】
さらに、細菌集団の選択を確実にし、培養中の汚染をなくすために、細菌細胞におけるプラスミドの増殖のための複製起点と共に、抗生物質耐性をコードする遺伝子もまた存在する。
【0056】
DNAワクチンの別の固有の特性は、細菌由来のプラスミドが、メチル化されていないシトシンとグアノシン残基との配列(CpG)を含むことである。これらのCpG単位は、プラスミド自体の免疫原能力を増大させる能力を有し、したがってアジュバントとして機能する。
【0057】
体細胞への核酸の直接的な接種は、自然感染により誘発される免疫に似たものであると考えられ、低価格で、容易に、かつ迅速にそのようなプラスミドを生産し試験する可能性を含む、様々な利点を提供する。さらに、プラスミドは従来のワクチンよりもはるかに安定であり、凍結乾燥物として保存することができる。
【0058】
プラスミドは通常、筋肉内経路または皮内経路によってインビボで接種するが、経口経路、経膣経路、静脈内経路、腹腔内経路、および皮下経路のような他の経路も利用可能である。プラスミドは、蒸留水、生理食塩水、もしくは糖溶液を含む様々な希釈剤、生理緩衝液、等張化化合物、防腐剤、または凍結乾燥過程が必須の場合の凍結防止剤内で投与する。
【0059】
免疫化の手順において用いるプラスミドの投与量は場合によって変化するが、原則として、3週間の間隔をあけた3回の投与/注射で、投与当たり25から200μgの量を用いる。
【0060】
したがって、本発明のさらなる目的は、配列番号1および配列番号2にそれぞれ対応する配列、または配列番号1および配列番号2に少なくとも90%相同な、好ましくは95%相同な配列により特徴付けられる、2つの組換えプラスミドにより構成される。これらのプラスミドはサイズが減少しているが、目的と、適切で、再現性があり、安全で、かつ効果的なトランスフェクション方法とに適している。
【0061】
そのようなプラスミドの使用は、以下の特有の特徴を有する。
− 測定された量のプラスミドは生産するのがより容易であり、規模が減少した場合に、より良好な生産収量をもたらすため、生産過程における収量が最適であること。
− 37℃で24〜48時間安定な抗生物質カナマイシン(アンピシリンが同じ温度で4〜6時間しか安定でないのに対し)に対する耐性遺伝子をプラスミドが含み、その結果、細菌培養の安定性が顕著に増大するため、細胞培養の安定性が最適であり、収量に関して明らかな利点を有すること。
− 自然なトランスフェクションの使用が想定される手順の場合には無視できない点である、抑えられた分子のサイズおよび小さい立体容積のため、自然なトランスフェクションの効率(細胞内への透過の可能性)が高いこと。
− アンピシリンに対する耐性遺伝子を有していないプラスミドはアンピシリンの存在下において成長しないため、アンピシリンに対するアレルギー反応の傾向がある場合に、治療される対象において誘発され得るアナフィラキシー反応の可能性が存在しないこと。
− トランスフェクションに用いる最低量のプラスミドにより生じる組み込みの危険性が実質的にごくわずかであるため、宿主細胞のゲノムへの組み込みの可能性がゼロではないにせよ低い(結果的に、宿主細胞への発癌性突然変異の導入の可能性が減少する)こと。
− 宿主細胞自体のゲノムと相同性を有することができかつ高い組み込みの危険性を示すことができる(SV40のような)外来配列をプラスミドが有さないため、宿主細胞のゲノムへの直接的な組み込みの可能性がゼロではないにせよ低いこと。
− 遺伝子免疫化手順におけるインビボでの直接的な注射に対しても、プラスミドの使用の柔軟性が高いこと。実際、ヌクレオチド配列において、B細胞に特異的なプロモーターを、より広範な発現を有するウイルスプロモーター(CMV)で置換することにより、プラスミドの使用は、エクスビボでの単純なトランスフェクションによって、高等生物における直接的な接種の使用まで拡大される。
【0062】
本発明のさらなる目的は、過程を容易にすることができるあらゆる物理的または化学的手段を使用しない、エクスビボでのトランスフェクション方法の使用によって構成される。そのような方法は、トランスフェクト細胞の機能性の乱れを誘発せず、遺伝子の形質転換自体も誘発しない。本方法は、トランスフェクトすべき特定の細胞物質を、通常の遠心分離法よりも少ない操作からなる過程で得ることができる、末梢血の残りの血球部分および液体部分から分離することに特徴を有する。アフェレーシスの使用により、患者にとって痛みが少なく実験の目的に非常に有用なやり方で、トランスフェクションを実施する対象である多くのリンパ球細胞を分離することが可能になる。実際、それは、
− 重力によるショックまたは機械的なショックで細胞の機能性を妨害することがなく、
− 過程に用い、次の段階の治療モニタリングのための参照として保存し続けるための、多くの細胞の採取を可能にし、
− 患者の機能的および構造的資源または患者の凝固過程もしくは修復過程を悪化させず、
− 生体材料および/または患者の汚染の危険性を全く増やさない。
【0063】
本発明の目的は、以下の手順を採用した自然な過程によって、選択された細胞のエクスビボでのトランスフェクションを実施するための、上述のプラスミドの使用により構成される。
1.患者に由来する末梢血を、リンパ球ファミリーを残りの血球画分および血清から直接的に分離することが可能な機器内に移し(アフェレーシス過程)、
2.以下に記載する処理の適用に適した大量のリンパ球細胞を単離し、次に、単離したリンパ球を移し、PBS(Ca++およびMg++を含まない)で洗浄し、さらに遠心分離し、
3.トリパンブルーで1:1に希釈し、血球計および顕微鏡によってリンパ球を計数して、それらが少なくとも90%の生存率を維持していることを確認し、
4.PBS(Ca++およびMg++を含まない)におよそ20×106個細胞/mlの濃度でリンパ球を再懸濁し、アリコートをU型のウェルを有するプレートに再分配し、そこに、配列番号1で示す配列を有する25μgのプラスミドを加え、
5.インキュベーター内でプレートをトランスフェクションウェルと共に37℃かつ5%CO2で30〜90分間インキュベートし、
6.プラスミドで処理した細胞の適切なアリコートを適切な培地に移し、一晩インキュベートするために放置し、
7.細胞の生存率が、適切であると判断される限界値(典型的には70%)よりも高く保たれていることを確認し、患者に移す投与量を計算し、
8.患者に再投与するための投与量を含む適切な容量のトランスフェクト細胞(典型的には数千個から数千万個の細胞)を、静脈注射用バッグ内に移し、
9.プラスミドにエピトープが含まれているタンパク質を表面に発現する細胞に対する免疫応答を生じさせるための治療の範囲において、配列番号1で示す配列を有するプラスミドを用いて導入遺伝子化した、バッグに含まれている血液を患者に接種する。
【0064】
上述した方法に代わるものとして、遠心分離に基づいた従来の方法によって、トランスフェクトするリンパ球の単離も実施することができる。この場合、項目1および項目2において上述したアフェレーシス処理は、以下のことで置き換えることができる。
1.患者に由来する末梢血を試験管に移し、Ficollを含む緩衝液を加え、リンパ球がはっきりとしたバンドに階層化するまで遠心分離し、
2.単離したリンパ球を移し、PBS(Ca++およびMg++を含まない)で洗浄し、さらに遠心分離する。
【0065】
上述の、サイズの小さいプラスミドおよび選択した細胞集団の使用により、ヒトへの投与のための生体液の操作に必要な、血液およびそのリンパ球画分の操作の時間の短縮、インキュベーション時間の短縮、実質的に再現可能な歩留まり、過程における様々な段階への高度な自動化の適用の可能性、および、装置自体の外側の作動環境が無菌条件であることを必要としない、単離された装置内での直接的なトランスフェクション過程の実施の可能性といった、過程の利点を得ることが可能となる。
【0066】
本発明の目的は、治療を行う患者における、感染または突然変異の原因となる作用物質に対する免疫応答の誘発のための、記載したトランスフェクション条件での、トランスフェクトする物質を少ない操作で単離する方法を用いた、サイズが抑えられた、記載した配列により特徴付けられるプラスミドの使用により構成され、前記プラスミドの、配列レベルおよび立体構造レベルでの特異的な刷り込みは、プラスミド内に存在する遺伝物質に含まれる。
【0067】
本発明のさらなる目的は、所望の容積の細胞を収容するための空間、プラスミド溶液を堆積させるための針を挿入する際に通すポート、およびトランスフェクト細胞のサンプリングを実施する際に通す任意選択的な他のポートの存在により特徴付けられる、プラスミドと細胞とのインキュベーションを実施するための装置の使用により構成される。
【0068】
本発明の典型的な適用において、配列番号1で示す配列を有するプラスミドを、アフェレーシス法によって血液から分離したリンパ球細胞集団に対して用いる。生体液に用いる通常の条件下でインキュベートした後、これらのトランスフェクト細胞を患者に注射で戻し、免疫型の応答を誘発する。
【0069】
本発明のさらなる適用において、上述のように構築したプラスミドを、記載した条件下において、膵臓、もしくは前立腺、肺、腎臓、もしくは皮膚の腫瘍に罹患しているか、または、充実性もしくは腹水性の形の、いくつかの他のタイプの腺腫もしくは癌腫もしくは他の腫瘍形態に罹患している患者からアフェレーシスまたは遠心分離によって採取したリンパ球細胞集団のトランフェクションに用いて、プラスミドに含まれるタンパク質画分を見かけ上は発現する癌細胞のみに対する選択的な免疫応答を患者自体において誘発し、これらによって、APC(抗原を発現する細胞)として用いられるリンパ球を発現させた。
【0070】
本発明のさらなる適用において、ウイルス由来のプロモーター(CMV)でリンパ球細胞のプロモーターを置換することにより、配列番号1で示すプラスミドを修飾する。そのような置換により、配列番号2で示す、わずかに大きなサイズ(300bp)のプラスミドが得られ、このプラスミドを、直接的な非経口(筋肉内、皮内、皮下、もしくは静脈内)投与または経粘膜投与(経鼻、経口、腸内、もしくは経膣粘膜)によって、生物において免疫応答を誘発するために用いる。
【0071】
記載したプラスミドを、以下のことについて評価した。
1.ヒトリンパ球を自然にトランスフェクトする能力。
2.エクスビボでトランスフェクト細胞を注射した際に実験用(laboratory)マウスにおいて免疫応答を誘発する能力。
3.遺伝子免疫化手順でプラスミド2を直接的に注射した際に実験用マウスにおいて免疫応答を誘発する能力。
【0072】
以下の実施例は、本発明を非限定的に例示するためのものにすぎない。
【0073】
プラスミド1を、以下の手順に従って構築した。
1.プラスミドPSV2neoの修飾
− プラスミドPSV2neoを制限酵素AhdIおよびXmnIで消化し、アンピシリンに対する耐性のセグメント(ampr)を除去する。
− PSV2neo(ampr陰性)をBsmBIおよびHindIIIで消化し、SV40の複製起点(SV40)を除去する。
− PSV2neo(amprおよびSV40陰性)をAatIIおよびBstBIで消化する。この過程の最後に、大腸菌(E.Coli)の複製起点およびネオマイシン/カナマイシンに対する耐性遺伝子を含む、2737塩基対の断片が得られた。この断片をアガロースゲルから単離し、カラムで精製し、次に用いるまで4℃に維持した。
2.プラスミドγ1Vh62の修飾
− プラスミドγ1VH62を制限酵素FselおよびBamHIで消化し、ヒトゲノムDNAをコードする4787塩基対のセグメントを除去した。
− こうして得られたプラスミド(DNAゲノム陰性)を、10721塩基対の新たなサイズを有する環状にした。それをAatIIおよびBstBIで消化し、可変領域および定常領域を含む断片を、次のライゲーション反応のために精製した。
3.最終的なプラスミド1の構築
− 第1節で得られたプラスミドPSV2neo(amprおよびSV40陰性)をAatIIおよびBstBIで消化した。
− 第2節で得られた修飾プラスミドγ1VH62(DNAゲノム陰性)をAatIIおよびBstBIで消化した。
− こうして消化された2つの修飾プラスミドを共に結合し、大腸菌(E.Coli)のコンピテント細胞のトランスフェクションに用いた。
− 次に、大腸菌(E.coli)細胞から抽出されたプラスミドDNAを、PCRによる同定試験、制限地図、および配列決定に用いた。
4.最終的なプラスミド2の構築
− プラスミド1をDraIIおよびBclIで消化し、そこに含まれる免疫グロブリンプロモーターを除去した。
− 同様の消化により、プラスミドphMGFPからウイルスプロモーターCMVを除去した。
− プロモーターを有さないプラスミド1に、PCRによってプロモーターCMVを付加し、プラスミド2を得た。
【0074】
以下の実施例は、本発明を非限定的に例示するためのものにすぎない。
【実施例1】
【0075】
抗凝固剤の適切なアリコートを加えた、患者から得た末梢血のおよそ50mlのアリコートを、50mlの試験管に移し、緩衝液で1:1に希釈し、20mlのFicoll−Paque(商標)を加え、2000rpmで20分間、遠心分離を実施する。
【0076】
遠心分離の後、界面のバンドに含まれるリンパ球を採取して新たな試験管に移し、PBS(Ca++およびMg++を含まない)内で3回洗浄し、遠心分離で回収する。
【0077】
リンパ球のアリコートをトリパンブルー内に1:1で希釈し、顕微鏡を用いて血球計において計数し、それらの生存率(少なくとも90%)を決定する。
【0078】
計数した後、リンパ球をml当たり20×106個細胞の濃度でPBS内に再懸濁し、底部がU型のウェルを有するプレート内に等分する。次に、そこへ、配列番号1で示す配列を有する25μgのプラスミドを加え、プレートを37℃かつ5%CO2で60〜90分間インキュベーター内に置く。
【0079】
次に細胞を、適切な培地内でml当たり1×106個細胞の濃度に希釈し、インキュベーター内のフラスコに入れ、37℃かつ5%CO2で一晩放置する。細胞の生存率が70%を超えることを確認した後、細胞を生理食塩水で2回洗浄し、次に、1万個から1億個の細胞数に相当する、接種する投与量を含む全細胞の数を計算し、次にそれを静脈内投与用バッグ内に再懸濁し、次にそれを患者への接種に用いる。
【0080】
トランスフェクトリンパ球のアリコートを、使用の前に、ネステッドPCR試験におけるDNAおよびmRNAの抽出により試験し、それにより、生じたリンパ球のトランスフェクションを評価し、例え概算であってもそれらの定量を行う。
【0081】
図6は、プラスミドDNAをトランスフェクトしたヒトリンパ球から得たDNAの、PCR試験での増幅を示す。ラダーは、増幅断片のサイズ決定のための基準である。数は、増幅した細胞の数についてのものであり、ナイーブはDNAをトランスフェクトされていないリンパ球を意味する(ネガティブコントロール)。トランスフェクションを行っていないリンパ球からは断片が全く増幅しないため、この図は、患者のリンパ球のトランスフェクションが起こっていることを実証し、特にその特異性を示す。
【実施例2】
【0082】
抗原配列をコードするDNAをトランスフェクトしたリンパ球を実験動物に接種した後に免疫応答が引き起こされ得るという仮定、および、配列番号1で示される本発明のプラスミドが、T細胞のCD4リンパ球の一部で細胞応答を引き起こすことができるエピトープをコードし、DNAをトランスフェクトしたリンパ球の生物学的活性を確認するという仮定から出発して、以下に記載するように、そのようなリンパ球のインビボでの免疫原性を確認するための実験を考案した。
− 本発明に含まれるプロトコールにおいて記載したプラスミドでトランスフェクトされた5000個のマウスリンパ球を、4匹のC57/B16マウスに接種した。接種は、尾静脈に静脈内投与した。
− 接種の14日後、マウスを屠殺し、脾臓細胞を、トランスフェクションに用いたプラスミドによりコードされるエピトープの存在下における増殖試験に用いた。
− 脾臓細胞を参照用のエピトープと共に72時間培養し、その後、そこに、トリチウム化したチミジン(細胞増殖を示すことができる放射性同位体)を加えた。
− 18時間後、細胞を採取し、放射能をベータカウンター機器で測定した。増殖は、特異的なエピトープの存在下における放射能値を無関係のエピトープの存在下における放射能値(非特異的な増殖)で割ることにより計算される、刺激指数(SI)として表した。通常は、SIが3を超える場合に陽性であると考える。
【0083】
【表1】

【0084】
上述の実験は、プラスミドDNAでトランスフェクトされたリンパ球で免疫化した場合にマウスにおいて誘発される、特異的な免疫応答を示し、インビボでの試験において用いた場合のそれらの明かな生物学的特性を示すものである。
【実施例3】
【0085】
− 配列番号2で示される配列を有するプラスミドを用いて、10匹のC57/B16マウスの大腿四頭筋に、100μlの生理食塩水に希釈した100μgのDNAを筋肉内接種した(A群)。免疫化のプロトコールは、3週間の間隔をあけた全3回の注射で構成されるものであった。ワクチン接種の特異性の対照として、別の群の10匹のC57/B16を、CDRに何も有さない(いずれのエピトープも有さない)同一のプラスミドを用いて同一の方法で免疫化した(B群)。
− 最後の接種の14日後、マウスを屠殺し、脾臓細胞を、トランスフェクションに用いたプラスミドによりコードされるエピトープ(NP)をパルスした(適用した:pulsed)細胞と比較する細胞傷害性の試験において用いた。特異的なエピトープは、インフルエンザウイルスA/PR8の核タンパク質の細胞傷害性配列である。
− 脾臓細胞を参照用のエピトープと5日間培養し、細胞傷害性の試験において効果的細胞として用いた。
− 細胞傷害性の試験は、免疫化したマウスから得られた効果的細胞により殺される、エピトープNPをパルスした細胞(EL−4)により放出される放射能(51Cr)を測定することにある。細胞傷害性は、効果的:標的(E:T)の一定の比率の溶解パーセンテージとして表され、前記比率は、ペプチドをパルスした細胞により放出される放射能の量を、パルスしていない細胞により放出される放射能の量で割ることにより計算される(特異的細胞傷害性)。
【0086】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
7から12kbの長さを有し、免疫グロブリンの重鎖をコードする配列を含むことを特徴とする組換えプラスミド。
【請求項2】
8から12kbの長さを有することを特徴とする請求項1に記載のプラスミド。
【請求項3】
9から11kbの長さを有し、好ましくは9から10kbの長さを有することを特徴とする請求項1に記載のプラスミド。
【請求項4】
前記免疫グロブリンの重鎖はキメラであることを特徴とする請求項1に記載のプラスミド。
【請求項5】
前記免疫グロブリンの重鎖はマウス可変領域およびヒト定常領域を含むことを特徴とする請求項4に記載のプラスミド。
【請求項6】
前記マウス可変領域はVH62であることを特徴とする請求項5に記載のプラスミド。
【請求項7】
前記マウス可変領域VH62は、抗サイログロブリン活性を有するモノクローナル抗体を分泌するマウスハイブリドーマからクローニングされることを特徴とする請求項6に記載のプラスミド。
【請求項8】
前記ヒト定常領域はIgγ1であることを特徴とする請求項5に記載のプラスミド。
【請求項9】
前記ヒト定常領域Igγ1はベクターpNγ1からクローニングされることを特徴とする請求項8に記載のプラスミド。
【請求項10】
好ましくはおよそ50bpである、リンパ球細胞のプロモーター、または好ましくはおよそ742bpであるウイルスプロモーターを含むことを特徴とする請求項1に記載のプラスミド。
【請求項11】
ポリアデニル化配列AATAAAを含むことを特徴とする請求項1に記載のプラスミド。
【請求項12】
大腸菌(Escherichia coli)の細菌性複製起点を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラスミド。
【請求項13】
ネオマイシンに対する耐性を示し、かつ/またはPBR322の複製起点を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラスミド。
【請求項14】
ベータラクタム系抗生物質に対する耐性を示さず、かつ/またはSV40の複製起点を含まないことを特徴とする請求項1に記載のプラスミド。
【請求項15】
配列番号1の配列、または配列番号1に少なくとも90%相同な、好ましくは少なくとも95%相同な配列を有することを特徴とする組換えプラスミド。
【請求項16】
配列番号2の配列、または配列番号2に少なくとも90%相同な、好ましくは少なくとも95%相同な配列を有することを特徴とする組換えプラスミド。
【請求項17】
抗原エピトープをコードする少なくとも1つの配列を含むことを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載のプラスミド。
【請求項18】
前記抗原エピトープは、p540(ILAKFLHWL)、p572(RLFFYRKSV)、pY572(YLFFYRKSV)、p865(RLVDDFLLV)、およびpNP(ASNENMETM)から選択されることを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載のプラスミド。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の少なくとも1つのプラスミドを、薬学的に許容できる賦形剤および/またはコアジュバントと共に含むことを特徴とする製剤。
【請求項20】
ヒトまたは動物において免疫応答を誘発するための製剤の調製のための請求項1から18のいずれか一項に記載のプラスミドの使用。
【請求項21】
前記ヒトまたは動物は、前立腺癌または膵臓癌、腎臓癌または肺癌による、癌腫ならびに/または腺腫ならびに/または肉腫ならびに/または脂肪腫ならびに/または充実性腫瘍および/もしくは腹水腫瘍のファミリーに属する腫瘍に罹患しているかまたは罹患していたものであることを特徴とする請求項20に記載の使用。
【請求項22】
前記ヒトまたは動物は、細菌、ウイルス、真菌、および/または寄生虫の感染に罹患しているかまたは罹患していたものであることを特徴とする請求項20に記載の使用。
【請求項23】
そのような製剤は予防目的のために使用可能であることを特徴とする請求項20に記載の使用。
【請求項24】
前記ヒトまたは動物は、そのコード配列が前記プラスミドに含まれている少なくとも1つの抗原エピトープを表面に有する腫瘍細胞の存在により、罹患しているかまたは罹患していたものであることを特徴とする請求項20に記載の使用。
【請求項25】
請求項1から18のいずれか一項に記載のプラスミドおよび/または請求項19に記載の製剤をエクスビボで原核細胞および/または真核細胞にトランスフェクトし、次いで前記ヒトまたは動物に前記原核細胞および/または真核細胞を接種することを含むことを特徴とするヒトまたは動物において免疫応答を誘発するための方法。
【請求項26】
トランスフェクトされる細胞はリンパ球のファミリーに属するものであることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記細胞は、前記ヒトまたは動物の末梢血管から採取したものであることを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記プラスミドは、配列番号1の配列、または配列番号1に少なくとも90%相同な、好ましくは少なくとも95%相同な配列を有することを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項29】
ヒトまたは動物に、請求項1から18に記載のプラスミドおよび/または請求項19に記載の製剤をインビボで接種することを含むことを特徴とする前記ヒトまたは動物において免疫応答を誘発する方法。
【請求項30】
前記プラスミドは、配列番号2の配列、または配列番号2に少なくとも90%相同な、好ましくは少なくとも95%相同な配列を有することを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ヒトまたは動物へのプラスミドまたは原核細胞および/もしくは真核細胞の接種を、注射による投与または経粘膜的な投与により実施することを特徴とする請求項25から30のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−500013(P2010−500013A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523230(P2009−523230)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057224
【国際公開番号】WO2008/017568
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(509040400)インターナショナル インベストメント アンド パテンツ ソシエテ アノニム (1)
【Fターム(参考)】