説明

免疫寛容の誘導による、線維性疾患の処置の方法

本発明は、経口投与されたI型コラーゲン(CI)が、全身性硬化症(SSc)に罹患している患者において、CIに対する免疫寛容を誘導し、そしてその疾患の臨床的な症状発現を改善することを、初めて実証した。よって、本発明は、線維化をうけている組織に由来する組織タンパク質(例えば、コラーゲン)の経口投与により、線維性疾患を処置する方法を提供する。本発明に従って処置され得る繊維性疾患としては、強皮症(SSc)、皮膚の線維症、肝硬変、腎臓の線維症、肺線維症、心臓の線維症、胃腸管の線維症、および脈管の線維症が挙げられるが、それらに限定されない。ひとつの実施形態において、本方法は、線維性疾患に少なくとも3年間罹患している患者、好ましくは、少なくとも5年間罹患している患者を処置するのに用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般的に、線維性疾患の処置に関する。特に、本発明は、免疫寛容の誘導による、線維性疾患の処置に関係する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ヒトにおける後天性線維性疾患は、いくつかの共通の特徴を有する。組織の線維化は、正常組織への傷害、および/または正常組織の炎症が先行する。T細胞および単球による組織の浸潤が、線維症進行の初期の段階に存在する。
【0003】
全身性硬化症(SSc、強皮症)は、基本型の全身性の線維性疾患であり、I型コラーゲン、III型コラーゲン、IV型コラーゲン、VI型コラーゲン、VII型コラーゲン、XVI型コラーゲン、およびXVIII型コラーゲンの蓄積の増加と関連している。I型コラーゲン、III型コラーゲン、およびIV型コラーゲンに対する、細胞性免疫および/または体液性免疫が、SScの患者で記述されている。その疾患は、最も特徴的には、肥厚して、そして基礎をなす構造に固く結合した皮膚を伴う。一般に関係する内部器官は、胃腸管、肺、腎臓、および心臓である。
【0004】
Tリンパ球は、異なるタイプのサイトカインの合成を介して、線維芽細胞および単球/マクロファージ、ならびに種々の他の標的細胞の機能を調節し得る。線維症に関しては、T細胞による線維形成誘導性のサイトカイン(例えば、IL−4、TGF−β1およびTGF−β2)の産生が、培養中の線維芽細胞によるコラーゲンの合成を直接的に刺激し得る。T細胞は、インターフェロン(IFN)ガンマの分泌により、マクロファージを活性化し得る。マクロファージは次いで、いくつかの線維形成誘導性のサイトカイン(血小板由来増殖因子、TGF−β1およびTGF−β2が挙げられる)を合成し得る。それらのサイトカインは、次いで、線維芽細胞を刺激し得、コラーゲンの合成を増大させ得る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、線維性疾患を処置するための方法を提供する。その方法は、線維化をうけている組織に由来する組織タンパク質の経口投与による。
【0006】
本発明に従って処置され得る繊維性疾患としては、強皮症(SSc)、皮膚の線維症、肝硬変、腎臓の線維症、肺線維症、心臓の線維症、胃腸管の線維症、および脈管の線維症が挙げられるが、それらに限定されない。
【0007】
ひとつの実施形態において、本方法は、線維性疾患に少なくとも3年間罹患している患者、好ましくは、少なくとも5年間罹患している患者を処置するのに用いられる。
【0008】
別の実施形態において、線維性疾患は、線維化をうけている組織に由来するコラーゲンの経口投与により処置される。組織の型に依存して、異なる型のコラーゲンが、この処置で用いられ得る。コラーゲンは、ヒト患者において線維化をうけている組織から、あるいは動物(例えば、鳥類の種または哺乳動物)における対応する組織から調製され得る。あるいは、化学的に合成されたコラーゲンまたは遺伝子組換えにより産生されたコラーゲンが、用いられ得る。コラーゲンのフラグメント、またはコラーゲンのフラグメントの混合物もまた、本発明に用いられ得る。
【0009】
好ましい実施形態において、コラーゲンまたはコラーゲンのフラグメントが、約500μg/日の経口投与により約12ヶ月間、患者に提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明は、全身性硬化症(SSc)に罹患した患者において、経口投与されたI型コラーゲン(CI)が、CIに対する免疫寛容を誘導し、その疾患の臨床的な症状の発現を改善したことを、初めて実証した。
【0011】
SScは、細胞外基質タンパク質(例えば、コラーゲン)の蓄積の増大と関連する、基本型の全身性の線維性疾患である。任意の特定の理論によって拘束されることを意図しないが、線維化をうけている組織部位(そこではT細胞が種々の刺激により活性化されている)に存在する組織タンパク質(例えば、コラーゲン)の経口投与が、T細胞をダウンレギュレートし得ると考えられている。その結果として、T細胞は、線維形成誘導性のサイトカインおよび単球/マクロファージを活性化するサイトカインの分泌を抑制される。それらのサイトカインは、さもなければ、その組織部位で線維芽細胞を刺激し、細胞外基質タンパク質(例えば、コラーゲン)を産生する。
【0012】
従って、本発明は、線維化をうけている組織に由来する組織タンパク質の経口投与により、線維性疾患を処置する方法を提供する。
【0013】
本方法で処置され得る線維性疾患としては、SSc、皮膚の線維症、肝硬変、腎臓の線維症、肺線維症、心臓の線維症(例えば、うっ血性心不全で生ずる)、胃腸管の線維症、およびアテローム性動脈硬化症で生ずる脈管の線維症が挙げられるが、それらに限定されない。本発明の方法は、疾患の原因にかかわらず、これらの線維性疾患を処置し得る。
【0014】
特定の実施形態において、本方法は、線維性疾患に少なくとも3年間罹患している患者、好ましくは、少なくとも5年間罹患している患者を処置するのに用いられる。
【0015】
本発明によって、線維性疾患は、線維化をうけている組織に由来するコラーゲンの経口投与により、処置され得る。例えば、SScは、I型コラーゲンの過剰な蓄積と関連することが知られており、それゆえにI型コラーゲンまたはI型コラーゲンのフラグメントが、SScを罹患している患者に経口投与される。肝硬変、肺線維症、および腸管の膠原病は、それぞれI型コラーゲン、III型コラーゲン、およびV型コラーゲンの蓄積の増大と関連している。それゆえに、I型コラーゲン、III型コラーゲン、およびV型コラーゲン、あるいはそれらのコラーゲンのフラグメントが、それぞれ肝硬変、肺線維症、および腸管の膠原病に罹患している患者に経口投与される。コラーゲン由来の小さな合成ペプチドが、鼻部を介して投与された場合(例えば、点鼻薬、鼻用スプレー、またはエーロゾル化による吸入による)もまた免疫寛容を誘導し得る。
【0016】
コラーゲンは、ヒト患者において線維化をうけている組織あるいは動物(例えば、鳥類の種(例えば、ニワトリ)または哺乳動物(例えば、ウシもしくはブタ))における対応する組織から調製され得、抽出され得る。あるいは、化学的に合成されたコラーゲンまたは遺伝子組換えにより産生されたコラーゲンが、用いられ得る。さらに、コラーゲンのフラグメント、またはコラーゲンのフラグメントの混合物もまた、本発明に従って用いられ得る。例えば、CNBrを用いたI型コラーゲンの分解により得たペプチドが、SScに罹患した患者の処置に用いられ得る。
【0017】
コラーゲンまたはコラーゲンのフラグメントは、約200〜1000μg/日、好ましくは約400〜600μg/日、そしてより好ましくは約500μg/日の経口投与により、患者に提供され得る。その処置は、少なくとも6ヶ月間、好ましくは12ヶ月間もしくはそれより長く、または、その疾患の臨床的な症状の発現が減少もしくは改善されるまで、続けられ得る。
【0018】
本発明は、以下の実施例により、さらに説明される。
【実施例】
【0019】
(実施例1)
500μg/日の投与量で経口投与されたウシのI型コラーゲン(CI)が、全身性硬化症(SSc)の臨床的な症状の発現を改善するか決定するため、多施設共同の二重盲検のプラシボコントロールをとった研究(multicenter double blind placebo−controlled study)を行った。
【0020】
患者を、以下の基準に基づいて、本研究に含めるためにスクリーニングした。
【0021】
−少なくとも18歳の男性または女性;
−3年以下(早期)(early phase)または4年と10年との間(後期)(late phase)のびまん型SScであると(ACR基準1980により)臨床的に診断されている;
−登録前6ヶ月間の病歴または診察により、安定な皮膚をともなう;および
−登録前1ヶ月の安定した改変Rodnanスキンスコア(modified Rodnan skin score)(MRSS):以下に示すような、スクリーニングにおける16以上の安定なMRSSおよび無作為化(基準線)における安定なMRSS:
【0022】
【化1】

前述の基準を満たす168人の患者を階層化および無作為化し、プラシボ[2mlの0.1Mの酢酸(HAc)]あるいは500μgのウシCIを、毎日、12ヶ月間与えた。MRSSを、基準線において、そして4ヶ月後、8ヶ月後、12ヶ月後、および15ヶ月後において変動する、第一の臨床上の結果として測定した。Scleroderma Health Assessment Questionnaire(SHAQ)、Short Form 36(SF−36) questionnaire、Physician’s Global Assessment、Patient’s Global Assessment、血圧、体重、および血清クレアチンを、第二の臨床上の結果の尺度として、基準線において、そして4ヶ月後、8ヶ月後、12ヶ月後、および15ヶ月後に決定した。患者は、第二の臨床上の結果のパラメーターとして、基準線前5週間以内および12ヶ月後に測定されたFVCおよびDLCOを有した。スクリーニング前の通院もまた、任意の排他的な薬物/処置を受けている患者ついて、必要とされた。
【0023】
図1は、基準線から4ヶ月(青色)、8ヶ月(赤色)、12ヶ月(緑色)、15ヶ月(オレンジ色)における、そして四つのサブグループに分解された、MRSSにおける変化を要約する。それぞれのボックスプロット(boxplot)は、それぞれのグループ、およびそれぞれの時点での、MRSSにおける変化の分布を描いており;その上端は75%パーセンタイルを;その下端は25%パーセンタイルを;そしてそのボックス内の線は、MRSSにおける中央値の変化を示す。値の広がりは、そのボックスからのウィスカー(whisker)で与えられる。
【0024】
その結果は、そのCI処置グループとそのプラシボグループの間には、12ヶ月では、その平均値の変化に統計的な差異がなかったことを示す。同様の結論が、他の臨床上のパラメーターおよび実験室のパラメーターにも、適用された(表1および表2を参照)。しかしながら、15ヶ月で、非常に顕著な変化がMRSSにおいて存在した:CIで処置された後期患者(“後期コラーゲン”(“late collagen”)グループ)での7.9、およびプラシボグループにおける後期患者(“後期プラシボ”)(“late placebo”)グループの2.9である。図1に示すように、15ヶ月では、コラーゲンで処置した後期患者グループのオレンジボックスの中央値は、他のオレンジボックスの中央値よりも明白に実質的に低く、そしてこの中央値はまた、実際に、全てのボックス中で最も低い。このことは、CIで処置した後期サブグループの患者は、MRSSにおいて最大の改善を経験したことを意味する。処置グループ間のMRSSにおける平均差のp値は、後期患者については、0.0063である;全ての他の試験は、p値が0.05のレベルであり、有意ではない。変数MRSSは、それ自身では正規分布しないが、基準線から12ヶ月あるいは15ヶ月でのMRSSにおける変化は、正規分布するということが注目される。従って、そのp値は、t検定より得られる。非パラメトリックな検定(すなわち、順位和検定(rank−sum test))もまた使用し、処置グループとプラシボグループとの間のMRSSにおける変化を確かめた。そのp値は類似していた。
【0025】
MRSSにおける変化を二つのグループに分け、そしてMRSSにおける皮膚の改善を有した患者のパーセンテージを決定して、二つのグラフを得た(図2および図3)。各グラフは、MRSSにおいて異なる程度の改善を経験した四つのサブグループの各々における、コホートのパーセンテージをプロットする。例えば、最初のプロットにおいて、後期コラーゲングループにおけるほぼ50%の患者が、12ヶ月でMRSSにおいて20%の減少を有した。対照的に、早期コラーゲングループでは、約19%だけが、類似の改善を経験した。両方のプロットは、他のサブグループと比較して、後期患者がコラーゲン処置から最も利益を得たことを明白に示す。コラーゲングループの中で、15ヶ月において、早期患者と比較して有意により高い割合の後期患者がMRSSにおいて少なくとも25%の改善を有したことを、χ検定によって確認した。
【0026】
要するに、上述の研究は、500μg/日で12ヶ月間経口投与されたウシCIが、4年以上10年までの疾患の期間をともなう患者において、その研究の15ヶ月目のMRSSを有意に減少させることを見出したことを示しており、皮膚の線維症に対する経口コラーゲン処置の、遅延した効果を示している。PFTまたはHAQに関しては、本研究における経口CIの目に見える効果はなく、そしてこのCI処置に帰し得る有害な事象もなかった。この経口コラーゲン処置の、遅延した効果は、いったんT細胞刺激が無効になると、線維芽細胞を「徐々に静める」には、いくらかの時間を要するという概念と一致する。これらの結果はまた、T細胞が後期患者においてのみ線維形成誘導性のシグナルの主要な供給源を提供していることを示唆する。
【0027】
(実施例2)
本実施例は、500μg/日での経口CI処置が、実施例1において記載した研究に登録された患者において、CIに対する免疫寛容を誘導するか否かを決定するために実施した実験を記載する。
【0028】
血清およびPBMCを、12ヶ月間のウシCIの経口投与処置前および処置後、あるいは3ヶ月以上から11ヶ月以下までの脱落時に、患者より得た。そのPBMCは、ウシα1(I)鎖、ウシα2(I)鎖、ネイティブのウシCI、またはα1(I)もしくはα2(I)のCB(CNBr)ペプチドの存在下あるいは非存在下で培養した。CBペプチドは、ウシあるいはヒトのα1(I)およびα2(I)の、CNBrを用いた分解(図4および表3に図示した)により単離し、そしてイオン交換クロマトグラフィーにより精製した。α1(I)およびα2(I)の精製したCBペプチド、ならびにα1(I)およびα2(I)の非分離のCBペプチドを、CIあるいはプラシボ投与前の基準線および12ヶ月でのSSc患者由来のPBMCの培養に用いた。そのPBMCの上清を、0ヶ月および12ヶ月で、IFNγおよびIL−10についてELISAにより分析した。経口CI投与後、鎖により刺激されたPBMCによる、IFNγ産生の減少、あるいはIL−10産生の増加を、第一の免疫学的な結果の変数として決定した。その結果を、表4〜表9に要約した。
【0029】
表5〜表6に見られるように、12ヶ月間経口CIで処置した患者群全体および経口CIで処置した早期疾患患者群において、α1(I)CBペプチド混合物に対するPMBCおよびα1(I)CB7に対するPMBCによるIFNγ産生の有意な減少を観察した。加えて、ヒトα2(I)およびα1(I)CB7を用いて培養したPMBCによるIL−10産生の有意な増加を、CIで処置した患者群全体およびCIで処置した後期患者群において観察した(表7〜表8)。これらの結果は、経口ウシCIは、びまん型SScを4年以上継続している患者の処置において、見たところではTH1/TH2産生を調節することによって、潜在的に有効であることを示唆する。抗原特異的なIL−10産生のアップレギュレーションは、LD患者において免疫寛容がCIに対して誘導されたことを示唆する。
【0030】
SSc群全体について、疾患の期間とIL−10産生との間には、以下に示す負の相関があった:α1(I)CB3(p=−0.0059、N=153);α1(I)CB7(p=−0.0335、N=150);ヒトα1(I)(p=−0.0166、N=152);およびα2(I)CB混合物(p=−0.0032、N=154)。
【0031】
早期患者について、MRSSとIFNγ産生との間には、α2(I)CB2に関して、負の相関(p=−0.026、N=94)があった。
【0032】
SSc群全体について、SF−36とIFNγ産生との間には、α1(I)CB4に関して、負の相関(p=−0.0448、N=143)があった。後期患者について、α1(I)CB4に関して、SF−36とIFNγ産生との間、およびSF−36とPHAとの間には、負の相関(それぞれ、p=−0.0364、N=57;p=−0.028、N=58)があった。
【0033】
びまん型SSc群全体について、FVCと、α1(I)CB4およびヒトα2(I)とともに培養したPBMCによるIL−10産生との間には、正の相関(それぞれ、p=0.0122、N=152;p=0.0072、N=94)があった。
【0034】
早期患者について、FVCとIL−10産生との間には、ヒトα2(I)に関して、正の相関(p=0.0062、N=94)があった。
【0035】
早期患者について、FEV1とIL−10産生との間には、α2(I)CB4およびα1(I)CB混合物に関して、負の相関(それぞれp=−0.0067、N=92;p=−0.0041、N=94)があった。びまん型SSc群全体について、FEV1とIL−10産生との間には、α1(I)CB混合物に関して、負の相関(p=0.0241、N=154)があった。
【0036】
早期患者において、DLCOとIFNγ産生との間には、α1(I)CB7に関して、正の相関(p=0.0367、N=90)があった。後期患者において、DLCOとIFNγ産生との間には、α2(I)CB2に関して、正の相関(p=0.0383、N=59)があった。
【0037】
要するに、患者由来のPBMCをCIおよびCI由来ペプチドとともに培養することにより実施した本免疫応答研究は、一般に、培養PBMCによるIFNγおよびIL−10の、より多い産生は、早期疾患(4年より少ない期間)の患者で生じたことを示した。抗原であるC.albicansに対するIFNγの産生は、早期患者および後期患者の両方において存在せず、このことは、一般的な環境の抗原に対するTh1応答の欠陥を示唆している。ネイティブのウシCIが、早期患者および後期患者の両方においてIFNγ産生およびIL−10産生における顕著な増加を誘発した。後期患者におけるIFNγ産生またはIL−10産生を誘発できなかった特異的CI CBペプチドは、α1(I)CB2、α1(I)CB4、α1(I)CB5、およびα1(I)CB7ならびにα2(I)CB2、α2(I)CB3、およびα2(I)3〜5を含む。早期患者および後期患者の両方において、最も強い、一致したIFNγ応答およびIL−10応答は、α1(I)CB8、α1(I)CB6、およびα2(I)CB4で観察された。このことはα1(I)およびα2(I)のこれらの部分が、びまん型SScの患者の大部分において、その疾患の期間を通してT細胞応答を誘発するエピトープを含むことを示している。CIおよびCI由来ペプチドへの特異的なPBMC IFNγ応答、またはCIおよびCI由来ペプチドへの特異的なPBMC IL−10応答の間の相関は、患者のサブセット(そこでは特異的なCIエピトープへの特定のサイトカイン応答が、疾患の発現に影響し得る)が存在し得ることを、示唆する。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】
【表3】

【0041】
【表4】

【0042】
【表5】

【0043】
【表6】

【0044】
【表7】

【0045】
【表8】

【0046】
【表9】

【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、異なるSSc患者のサブグループにおける、異なる時点でのMRSSの変化のボックスプロット(boxplots)を示す。
【図2】図2は、SSc患者のパーセンテージを、12ヶ月でのMRSSにおける改善のパーセンテージに対して相関させる。
【図3】図3は、SSc患者のパーセンテージを、15ヶ月でのMRSSにおける改善のパーセンテージに対して相関させる。
【図4】図4はCNBrを用いたα1(I)とα2(I)の分解を図示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者において線維性疾患を処置するための方法であって、該方法は、線維化をうけている組織由来の組織タンパク質を該患者に経口投与する工程を包含する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記線維性疾患は、強皮症(SSc)、皮膚の線維症、肝硬変、腎臓の線維症、肺線維症、心臓の線維症、胃腸管の線維症、および脈管の線維症からなる群より選択される、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記患者は、前記線維性疾患を少なくとも3年間罹患している患者である、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記組織タンパク質は、コラーゲンである、方法。
【請求項5】
請求項2に記載の方法であって、前記線維性疾患は、SScである、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記組織タンパク質は、1型コラーゲンまたはそのフラグメントである、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記コラーゲンは、ヒトまたはヒト以外の動物種に由来する、方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、前記コラーゲンまたはそのフラグメントは、前記患者に約500μg/日で経口投与される、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記患者は、約12ヶ月間処置される、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記組織タンパク質の前記経口投与は、前記患者において免疫寛容を誘導する、方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−515983(P2009−515983A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541308(P2008−541308)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/044344
【国際公開番号】WO2007/059211
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(507301165)ザ ユニバーシティー オブ テネシー リサーチ ファウンデーション (5)
【Fターム(参考)】