説明

免疫応答におけるB細胞および免疫グロブリンの刺激および阻害における、BAFF、関連するブロック剤およびそれらの使用

【課題】TNFファミリーのメンバーであって、それにより疾患の制御および免疫系の操作のさらなる手段を提供するさらなる分子を、同定し、特徴付けること。
【解決手段】本発明により、免疫抑制疾患の処置のための薬学的組成物の調製のための、可溶性BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントの、使用ガ提供される。本発明により、患者におけるB細胞増殖を刺激することによって免疫抑制疾患を処置するための薬学的組成物の調製のための、可溶性BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントの、使用もまた提供される。本発明により、患者における免疫グロブリンの産生を刺激することによって免疫抑制疾患を処置するための薬学的組成物の調製のための、可溶性BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントの、使用もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、B細胞および免疫グロブリンの発現を刺激するか、または阻害するための、腫瘍壊死ファミリーに属する、リガンド、BAFF、β細胞活性化因子およびそのブッロク剤の使用に関する。このタンパク質およびそのレセプターは、抗癌適用および/または免疫調節適用ならびに免疫抑制障害(例えば、HIV)の処置への使用を有する。詳細には、このリガンドおよびそのブロック剤は、高血圧およびその関連障害の発達において役割を果たし得る。さらに、このリガンドの遺伝子でトランスフェクトされた細胞は、腫瘍、自己免疫疾患またはB細胞が関与する遺伝的遺伝子障害を処置するための遺伝子治療において使用され得る。ブロック剤(例えば、リガンドまたはそのレセプターに特異的な組換え改変体または抗体)は、免疫調節適用も有し得る。免疫抑制疾患のためのB細胞刺激物質としてのBAFFの使用(例えば、器官移植(すなわち骨髄移植)を受ける患者ならびにB細胞の産生を刺激する癌処置から回復する患者のための使用を含む)が、企図される。B細胞レベルを通常に近いレベルまで高める(boast)または戻すためのアジュバントおよび/または同時刺激物質としての、BAFFの使用もまた企図される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
腫瘍壊死因子(TNF)関連サイトカインは、宿主の防衛調節および免疫調節の媒体である。このファミリーのメンバーは、膜に固定された形態で存在し、細胞間接触により局所的に作用し、またはより遠くの標的まで拡散し得る分泌タンパク質として作用する。対応するレセプターのファミリーは、これらの分子の存在のシグナルを出し、標的組織において細胞死または細胞の増殖および分化の開始を導く。現在、リガンドおよびレセプターのTNFファミリーは、少なくとも11の認識されたレセプター−リガンド対を有し、以下を含む:TNF:TNF−R;LT−α:TNF−R;LT−α/β:LT−β−R;FasL:Fas;CD40L:CD40;CD30L:CD30;CD27L:CD27;OX40L:OX40および4−1BBL:4−1BB。これらのリガンドをコードするDNA配列は、最も関連した場合においてさえわずか約25%〜約30%の同一性を有するが、アミノ酸関連性は、約50%である。
【0003】
このファミリーのサイトカインレセプターの明確な特徴は、2つの別々なTNFレセプターの分子クローニングにより最初に明らかにされた、システイン富化細胞外ドメインにおいて見出された。このファミリーの遺伝子は、細胞機能の活性化に関与する細胞外リガンド結合ドメイン、単一膜スパン(spanning)領域および細胞質領域を有する、I型膜貫通タンパク質に特徴的な糖タンパク質をコードする。システイン富化リガンド結合領域は、隙間無く密着したジスルフィド結合コアドメインを示し、これは、特定のファミリーメンバーに依存して、何度も反復される。大部分のレセプターは、4つのドメインを有するが、わずかに3つ、または6つものドメインを有するレセプターも存在し得る。
【0004】
TNFファミリーのリガンドのタンパク質は、通常短い親水性アミノ酸の短いN末端範囲により特徴付けられ、しばしば膜透過停止配列として作用すると考えられるいくつかのリジン残基またはアルギニン残基を含む。次に、長さが可変の膜貫通領域および細胞外領域が続き、これにより、C末端レセプター結合ドメインが膜から離される。この領域は、「軸(stalk)」といわれることがある。C末端結合領域は、タンパク質の大部分を含み、そしてしばしば(常ではない)、グリコシル化部位を含む。これらの遺伝子は、I型膜タンパク質に特徴的な典型的シグナル配列が欠けており、II型膜タンパク質は、細胞の外側に存在するC末端を有し、そして短いN末端ドメインは、細胞質内に存在する。いくつかの場合(例えば、TNFおよびLT−α)軸領域における開裂が、タンパク質プロセシングの初期に起こり得、次いでリガンドは、主に分泌形態で見出される。しかし、大部分のリガンドは、膜形態で存在し、局在化シグナル伝達を媒介する。
【0005】
これらのリガンドの構造は、TNF、LT−α、およびCD40Lの結晶学的分析により明確にされている。TNFおよびリンホトキシン−α(LT−α)は、両方とも、「ゼリーロール」またはギリシアの鍵(Greek key)のトポロジーで、2つの逆平行βプリーツシートのサンドイッチの構造である。Cα残基とβ残基との間の根平均2乗偏差は、0.61Cであり、それらの分子トポロジーにおいて高度な類似性を示唆する。CD40L、TNF、およびLT−αの分子研究から明らかになる構造的特徴は、オリゴマー複合体に集合する傾向である。多価リガンドを形成する隣接するサブユニットの間の接合点におけるレセプター結合部位の形成は、オリゴマー構造に固有である。TNF、CD40L、およびLT−αの4次構造は、それらの結晶構造の分析により、トリマーとして存在することが示されてきた。異なるリガンドの間に保存されるアミノ酸の多くは、骨格βシートの範囲内にある。これらの骨格配列の部分は、種々のファミリーメンバーにわたって保存されるので、基本のサンドイッチ構造は、おそらくこれらの分子全てにおいて保存されている。この4次構造はまた、サブユニットのコンホメーションが同様なままでありそうなので、維持され得る。
【0006】
TNFファミリーメンバーは、免疫系において細胞の生存および分化の両方を制御するマスタースイッチとして最も良く記述され得る。他のTNFファミリーの主に膜固定メンバーと対照的に、TNFおよびLTαのみが、分泌サイトカインとして現在認識される。TNFの膜形態は、良く特徴付けられており、そして独特の生物学的役割を有するようであるが、分泌TNFは、誘因事象の部位からより遠い細胞に対する、一般的な警報シグナル伝達として機能する。従って、TNF分泌は、脈管構造の内層(lining)および細胞の炎症状態における、よく説明されている変化を導く事象を増幅し得る。対照的に、このファミリーの膜結合メンバーは、TNF型レセプターを介して、直接接触している細胞に対してのみシグナルを送る。例えばT細胞は、CD40媒介「ヘルプ」を、同種TCR相互作用を介して、直接接触にもたらされたそれらのB細胞に対してのみ与える。細胞死を誘発する能力における、同様の細胞−細胞接触制限は、良く研究されているFas系に適用する。
【0007】
細胞死を誘発する能力に基づいて、TNFリガンドを3つのグループに分離し得ること考えられる。第1に、TNF、FasリガンドおよびTRAILは、効率的に多くの系統において細胞死を誘発し、そしてそれらのレセプターは主に、おそらく有効な標準的死(canonical death)ドメインを有する。おそらくDR−3に対するリガンド(TRAMP/WSL−1)はまた、この部類に入る。次に、わずかな細胞型に限られる、より弱い死シグナルを誘発するリガンドが存在し、TWEAK、CD30リガンドおよびLTalb2は、このクラスの例である。このグループが、標準死ドメインの非存在下で、どのように細胞死を誘発し得るかは、興味深い問題であり、そして別々のより弱い細胞死シグナル伝達機構が存在することを示唆する。最後に、効率的に死シグナルを伝達し得ないメンバーが存在する。おそらく、全てのグループは、結果的に細胞分化を誘導するいくつかの細胞型(例えば、CD40)に対して抗増殖効果を有し得る。Funakoshiら、(1994)。
【0008】
TNFファミリーは、近年劇的に、免疫系の調節を含む少なくとも11の異なるシグナル伝達経路を包含するようになった。TWEAKおよびTRAILの広範な発現パターンは、このファミリーに包含されない、さらにより機能的な種類が存在することを示す。この局面は、ラウス肉腫ウイルスおよび単純疱疹ウイルスの複製する能力に影響を与える2つのレセプターの発見、ならびにTNFが、抗ウイルス活性を有し、そしてポックスウイルスが、デコイTNFレセプターをコードするという歴史的な観察において、近年特に強調されてきた。Brojatschら、(1996);非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3。
【0009】
TNFは、敗血症性ショックおよび悪液質の媒介物であり、そして造血細胞発生の調節に関与する。細菌性感染、ウイルス感染および寄生生物感染に対する炎症および防御の媒介物として主要な役割を果たし、ならびに抗腫瘍活性を有することが、明かである。TNFはまた、種々の自己免疫疾患に関与する。TNFは、いくつかの型の細胞(マクロファージ、線維芽細胞、T細胞およびナチュラルキラー細胞を含む)により産生され得る。TNFは、2つの異なるレセプターに結合し、各々特異的細胞内シグナル伝達分子を介して作用し、従ってTNFの異なる効果を生じる。TNFは、膜結合形態または可溶性分泌サイトカインのいずれかとして存在し得る。
【0010】
LT−αは、多くの活性をTNFと共有する(すなわち、TNFレセプターに結合する)が、TNFと異なり、主に活性化T細胞により、そしていくつかのβリンパ芽球性腫瘍により分泌されると考えられる。LT−αおよびLT−βのヘテロマー複合体は、LT−βレセプターに結合する膜結合複合体である。LT−βの遺伝子破壊は、脾臓におけるT細胞およびB細胞の解体ならびにリンパ節の欠如を生じるので、LT系(LTおよびLT−R)は、末梢リンパ器官の発達に関与すると思われる。LT−β系はまた、いくつかの腺癌細胞株の細胞死に関与する。
【0011】
Fas−L(TNFファミリーの別のメンバー)は、主に活性化T細胞上で発現される。これは、プログラム細胞死またはアポトーシスとして公知の機構によりそのレセプターを保有する細胞(腫瘍細胞およびHIV感染細胞を含む)の死を含む。さらに、FasまたはFas−Lのいずれかにおける欠乏は、リンパ増殖障害を生じ、これは、免疫応答の調節におけるFas系の役割を確認する。このFas系はまた、肝炎慢性感染から生じる肝臓損傷、およびHIV感染患者における自己免疫に関与する。Fas系はまた、HIV患者におけるT細胞破壊に関与する。TRAIL(このファミリーの別のメンバー)はまた、別種起源の広範に種々の形質転換細胞株の死に関与するようである。
CD40−L(TNFファミリーの別のメンバー)は、T細胞上で発現され、そしてCD40保有B細胞の調節を誘導する。さらに、CD40−L遺伝子における改変は、X−連鎖過剰IgM症候群として公知の疾患を生じる。CD40システムはまた、異なる自己免疫疾患に関与し、CD40−Lは、抗ウイルス特性を有することが公知である。CD40系は、アポトーシスB細胞の救出に関与し、非免疫細胞においては、アポトーシスを誘導する。TNFファミリーの多くのさらなるリンパ球メンバーはまた、同時刺激に関与する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Montgomeryら、(1996)
【非特許文献2】Smithら、(1994),76 Cell 959−962
【非特許文献3】Vassalliら、(1992),10 immunol.411−452
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
一般に、TNFファミリーのメンバーは、免疫系の制御および急性の宿主防御系の活性化における基礎的な調節の役割を有する。治療的利益のためのTNFファミリーのメンバーの操作における現在の進歩を仮定すると、このファミリーのメンバーは、疾患を制御するための独特の手段を提供するようである。このファミリーのいくつかのリガンド(例えば、LT、TNF、FasリガンドおよびTRAIL)は、多くの形質転換された細胞アポトーシス死を直接誘導し得る。Nagata(1997)88 Cell 355−365。FasそしてあるいはTNFおよびCD30のレセプター活性化は、免疫調節機能の役割を果たし得る非形質転換リンパ球における細胞死を誘導し得る。Amakawaら、(1996)84 Cell 551−562;Nagata(1997)88 Cell 355−365;Sytwuら、(1996);Zhengら、(1995)377 Nature 348−351。一般に、TNFレセプターの細胞質側に存在する死ドメインの凝集に続いて、死が誘発される。この死ドメインは、カスパーゼカスケードの活性化を生じる種々のシグナル伝達成分の集合を組織化する。Nagata(1997)88 Cell 355−365。いくつかのレセプターは、標準的死ドメインを欠いて(例えば、LTbレセプターおよびCD30(Browningら、(1996);Leeら、(1996))、たとえより弱くても、なお細胞死を誘導し得る。これらのレセプターは、主に細胞分化を誘導するように機能し、そして死はいくつかの形質転換された細胞株においては異常な結果であるようであるが、CD30ヌルマウスでの研究は、胸腺におけるネガティブ選択において死の役割を示唆するので、この状況は不明である。Amakawaら、(1996)84 Cell 551−562。逆に、CD40のような他の経路によるシグナル伝達が、細胞の生存を維持するために必要とされる。従って、TNFファミリーのメンバーであって、それにより疾患の制御および免疫系の操作のさらなる手段を提供するさらなる分子を、同定し、特徴付ける必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書で、本発明者らは、TNFサイトカインファミリーの新規なリガンドの機能的特性を特徴付ける。BAFF(TNFファミリーに属するB細胞活性化因子)と称される新しいリガンドは、B細胞同時刺激の目的のためにT細胞および樹状細胞により発現されると考えられ、従ってB細胞機能の制御において重要な役割を果たし得る。さらに、本発明者らは、肝臓特異的プロモーターの制御下で、BAFF過剰発現トランスジェニックマウスを作製した。これらのマウスは過剰な数の成熟B細胞、自発的な胚中心反応、分泌自己抗体を有し、そして2次リンパ器官における多くの形質細胞数および腎臓におけるIg沈着を有する。
【0015】
(発明の要旨)
従って、本発明は、B細胞の増殖および免疫グロブリンの分泌を刺激するかまたは阻害する、BAFFリガンド、ブロック剤およびリガンドの抗体に関する。以下でより詳細に考察されるように、本願発明は、数多くの疾患および障害における治療的適用のために使用され得、ならびに、免疫系およびそのプロセスに関する情報を得、そして操作する。さらに、本発明は、B細胞の増殖および免疫グロブリンの分泌を、刺激または阻害する方法として使用され得る。本発明により記載されるように、BAFF関連分子はまた、自己免疫疾患、B細胞増殖および成熟に関する障害、BAFFリガンド調節ならびに炎症の処置において、有用性を有し得る。本発明は、高血圧ならびに高血圧に関連する腎臓および心臓血管の組織障害の調節または予防に関与し得る。
【0016】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の説明において記載され、そして部分的に説明から明らかになるか、または本発明の実施により知られ得る。本発明の目的および他の利点は、記載された説明およびその特許請求の範囲、ならびに添付の図面において特に指摘される方法により現実化され、そして達成される。
【0017】
従って、これらの利点および他の利点を達成するために、そして本発明の目的に従って、本明細書中に具体化されそして広範に記載されるように、本発明は、種々のBAFFリガンドおよび関連する分子の投与により、B細胞増殖および免疫グロブリンの分泌をもたらす方法を包含する。
【0018】
本発明はまた、BAFFリガンドまたはポリぺプチドの活性フラグメントの使用によるB細胞増殖の刺激を企図する。このポリぺプチドは、単独またはCD40リガンドもしくは抗マウス抗体とともに使用され得る。
【0019】
他の実施形態では、本発明は、BAFFリガンドまたはBAFFの活性フラグメントの使用による樹状細胞誘導B細胞増殖および成熟の刺激の方法に関する。また、このポリぺプチドは、単独でか、またはCD40リガンドもしくは抗μ抗体と共に使用され得る。
【0020】
他の実施形態では、BAFFのブロック剤およびBAFFレセプターを使用して、B細胞増殖および免疫グロブリン分泌を阻害した。これらの薬剤は、無効性組換えBAFF、BAFF特異的抗体、BAFFレセプター特異的抗体、または抗BAFFリガンド分子であり得る。
【0021】
なお他の実施形態では、本発明は、高血圧、高血圧関連疾患、免疫障害、自己免疫疾患、炎症およびB細胞リンパ増殖障害を処置するための、BAFF、BAFF関連分子、およびBAFFブロック剤の使用に関する。
【0022】
本発明は、B細胞の増殖および/または成熟ならびに免疫グロブリンの分泌をもたらすことによって、免疫応答をもたらす際の、アゴニストまたはアンタゴニストのいずれかとしての、BAFFおよびBAFF関連分子の使用を含む。
【0023】
本発明は、他の実施形態において、BAFF媒介薬学的事象を直接誘発するために使用され得るBAFFを含む可溶性構築物に関する。このような事象は、癌、腫瘍の処置または免疫学的疾患を処置するための免疫系の操作において、有用な治療的利益を有し得る。
【0024】
さらに、他の実施形態では、本願発明は、BAFFリガンドに対して指向される抗体に関し、この抗体は、例えば、癌の処置、および免疫学的疾患を処置するための免疫系の操作のために使用され得る。
【0025】
なお他の実施形態では、本発明は、BAFFについての遺伝子を使用する遺伝子治療の方法に関する。
【0026】
本発明の薬学的調製物は、必要に応じて、薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、充填剤またはほかの薬学的組成物を含み得、そして当該分野で公知の任意の多数の形態または経路で投与され得る。
【0027】
上記の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的および説明的であり、そして特許請求の範囲の発明のさらなる説明を提供することを意図されることが理解されるべきである。
添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために包含され、そして援用され、そして本明細書の一部を構成して、本発明のいくつかの実施形態を例示し、そして説明と共に本発明の本質を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】図1(A)は、ヒトBAFFおよびマウスBAFFの推定アミノ酸配列を示す。推定膜貫通ドメイン(TMD、破線)、潜在的N連結グリコシル化部位(星印)およびヒトBAFFの天然プロセシング部位(矢印)が、示される。hBAFFの上の二重線は、BAFFのプロセシングされた形態のエドマン分解により得られた配列を示す。
【図1B】図1(B)は、BAFFの細胞外タンパク質配列と、TNFリガンドファミリーのいくつかのメンバーとの比較を示す。同一な残基および相同な残基は、黒い枠および影の付いた枠でそれぞれ表される。
【図1C】図1(C)は、TNFファミリーリガンドの系統樹を示す。
【図2A】図2は、組換えBAFFの概略的特徴付けである。(A)組換えBAFF構築物の概略的表現。Leu83およびGln136で始まる可溶性組換えBAFFは、N末端Flagタグ、および6アミノ酸リンカーに融合されて発現される。この長い形態は、293T細胞において、Arg133およびAla134の間(矢印)で切断され、BAFFのプロセシングされた形態を生ずる。Asn124およびAsn242は、Nグリコシル化コンセンサス部位に属する。Asn124上に存在するN連結グリカンは、Yとして示される。YMD:膜貫通ドメイン。
【図2B】図2は、組換えBAFFの概略的特徴付けである。(B)組換えBAFFのペプチドNグリカナーゼF(PNGaseF)処理。示されるように、Flagタグ化BAFFおよびAPRILを含む濃縮された上清を、脱グリコシルし、そしてポリクローナル抗BAFF抗体または抗FlagM2を使用するウエスタンブロット法により分析した。プロセシングされたBAFFを除く全てのバンドがまた、抗FlagM2と反応した(データは示されていない)。
【図2C】図2は、組換えBAFFの概略的特徴付けである。(C)全長BAFFが、プロセシングされて可溶性形態になる。293T細胞を、全長BAFFで一時的にトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞およびそれらの濃縮された上清を、ポリクローナル抗BAFF抗体を使用するウエスタンブロット法により分析した。10倍量の細胞に対応する上清を、ゲル上にロードした。
【図2D】図2は、組換えBAFFの概略的特徴付けである。(D)Superdex−200上での可溶性BAFFのサイズ排除クロマトグラフィー。可溶性BAFF/短鎖を含む濃縮された上清を、Superdex−200カラム上で分画し、そして溶出された画分を抗FlagM2抗体を使用するウエスタンブロット法により分析した。分子量マーカー(kDa)の移動部分が、SDS−PAGEについて左手側上に、そしてサイズ排除クロマトグラフィーについて図の上部に示される。
【図3A】図3は、BAFFの発現を示す。(A)種々のヒト組織のノーザンブロット(1レーン当たり2μgポリA+RNA)を、BAFFアンチセンスmRNAを用いて証明した。
【図3B】図3は、BAFFの発現を示す。(B)PHA活性化の種々の時点における精製された血液T細胞、E−ロゼットテスト(rosetting)陰性血球(B細胞および単球)、インビトロ由来未熟樹状細胞、293細胞、および全長BAFFを用いて滅菌トランスフェクトされた293細胞(293−BAFF)のRNAに由来する、BAFF、IL−2レセプターα鎖およびアクチンの逆転写酵素増幅。コントロール増幅を、添加cDNAの非存在下で行なった。IL−2レセプターα鎖を、T細胞活性化のマーカーとして増幅した。
【図4A】図4は、成熟B細胞に結合するBAFFを示す。(A)可溶性BAFFの、BJABおよびJurkat細胞株、ならびに臍帯血の精製CD19+細胞への結合。細胞を、指示量(ng/50μlにおける)のFlag−BAFFで染色し、そしてフローサイトメトリーで分析した。
【図4B】図4は、成熟B細胞に結合するBAFFを示す。(B)可溶性BAFFのPBLへの結合。PBLを、抗CD8−FITCまたは抗CD19−FITCで染色し(横軸)、そしてFlag−BAFFおよびM2−ビオチンならびにアビジン−PEで染色した(縦軸)。Flag−BAFFを、コントロールにおいて省略した。
【図5A】図5は、B細胞増殖を同時刺激するBAFFを示す。(A)安定にトランスフェクトされた293細胞におけるBAFFの表面発現。293−BAFFおよび293野生型細胞を、抗BAFF mAb43.9で染色し、そしてフローサイトメトリーで分析した。
【図5B】図5は、B細胞増殖を同時刺激するBAFFを示す。(B)293−BAFF細胞によるPBLの同時刺激。PBL(105/ウェル)は、15.000のグルタルアルデヒド固定293細胞(293wtまたは293−BAFF)と共に、抗B細胞レセプター抗体(抗−μ)の存在下または非存在下で、インキュベートした。単独の固定293細胞は、100cpm取り込んだ。
【図5C】図5は、B細胞増殖を同時刺激するBAFFを示す。(C)抗−μの存在下での可溶性BAFFによるPBL増殖の用量依存性同時刺激。増殖を、インキュベーションの72時間後に、[3H]−チミジン取り込みによって決定した。コントロールは、抗−μの代わりに、BAFF単独、熱変性BAFFまたは無関係のアイソタイプ適合抗体で処理した細胞を含む。
【図5D】図5は、B細胞増殖を同時刺激するBAFFを示す。(D)PBL増殖に対するsCD40LおよびsBAFFの(同時)刺激効果の比較。実験を、パネルCの記載のように行った。
【図5E】図5は、B細胞増殖を同時刺激するBAFFを示す。(E)BAFFは、前活性化ヒトB細胞のIgの分泌を同時刺激する。精製CD19+B細胞を、EL−4T細胞および活性化T細胞上清で5〜6日間同時培養することによって活性化し、次いで、再単離し、そして培地のみ(−)、または5%の活性化T細胞上清(T−SUP)を含んで、あるいはサイトカイン(IL−2、IL−4、IL−10)のブレンドの存在下で、さらに7日間培養した。この柱は、1μg/mlのBAFFを含むか、または含まない培養物についてのIg濃度の平均を表す。「倍増加」に関する平均±SDは、培地のみに関しては1.23±0.11であり、T細胞上清を使用して2.06±0.18(4実験)、そしてIL−2、IL−4およびIL−10を使用すると1.45±0.06(2実験)であった。これらは、末梢血細胞(3実験)または臍帯血B細胞(1実験;T細胞上清を使用して2.3倍増加、IL−2、IL−4およびIL−10を使用して1.5倍増加)を使用して行った。
【図5F】図5は、B細胞増殖を同時刺激するBAFFを示す。(F)T細胞上清を含む培養物中のBAFFの効果についての用量応答曲線は、パネルD、3実験の平均値±SDで示される。
【図6】図6は、BAFFが、B細胞増殖の補因子として作用することを示す。ヒトPBLの増殖を、単独で(500cpm)、BAFFリガンド単独の存在下で、ヤギ抗マウス(mu)単独の存在下で、そしてBAFFリガンドおよび抗−muの両方を用いて測定した。抗−muおよびBAFFの両方の組合わせは、BAFFの濃度が増加するにつれてPBLの増殖を顕著に惹起し、これは、BAFFの補因子特性を示唆する。
【図7A】図7は、BAFF Tgマウスにおける増加したB細胞数を示す。(A)BAFF Tgマウスにおける増加したリンパ球数。このグラフは、12匹のコントロール同腹仔(左パネル)と12匹のBAFF Tgマウス(右パネル)を比較する。リンパ球数は丸で示され、そして顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球を含む)は菱形で示される。
【図7B】(B)BAFF Tgマウス由来のPBLにおけるB細胞の増大した比率。PBLを、FACS分析のために、抗B220−FITCおよび抗CD4−PEの両方で染色し、そして前方側散乱(forward side scatter)を使用して生きた細胞にゲートした。CD4およびB220陽性細胞の百分率が示される。1匹のコントロールマウス(左)および2匹のBAFF Tgマウス(右)が示され、そしてその結果は、各々のグループで分析される7匹の動物の代表である。
【図7C】(C)PBLにおけるB細胞のT細胞に対する比率のFACS分析。(A)および(C)におけるコントロール動物とBAFF Tgマウスとの間の差異は、統計的に有意であった(P<0.001)。
【図7D】(D)BAFF TgマウスPBL由来のB細胞上の増加したMHCクラスII発現。MHCクラスII発現を、FACSによって分析した。
【図7E】(E)BAFF TgマウスPBL由来のB細胞における増加したBcl−2発現。Bcl−2発現を、細胞質内の染色によって測定し、そして細胞を、FACSによって分析した。(D)および(E)の両方において、生きた細胞を、前方側散乱にゲートした。4匹のコントロール同腹仔(白棒)および4匹のBAFF Tgマウスが示され、そして各々のグループについて分析される少なくとも12匹の動物の代表である。MFI:蛍光強度の平均。コントロール動物とBAFF Tgマウスの間の差異は、統計的に有意であった(P<0.005)。
【図7F】(F)BAFF TgマウスにおけるエフェクターT細胞の増加した発現。PBLを、抗CD4−サイクローム(Cychrome)、抗CD44−FITCおよび抗Lセレクチン−PEで染色した。CD4+ゲート細胞が示される。CD44hi/L−セレクチンlo細胞の百分率が示される。1匹のコントロールマウス(左)および2匹のBAFF Tgマウス(右)が示され、その結果は、各々のグループで分析される8匹の動物の代表である。
【図8A】図8は、BAFF Tgマウスの脾臓中で増加するが、骨髄においては増加しないB細胞画分を示す。(A)脾臓(上パネル)、骨髄(中パネル)およびMLN(下パネル)における、抗IgM−FITCおよび抗B220−PEの両方を使用した、成熟B細胞に対するFACS染色。B220+/IgM+成熟B細胞の百分率が示される。
【図8B】(B)抗CD43−FITC、抗B220−Cy−クロムおよび抗IgM−PEを同時に使用する、骨髄におけるプレB細胞(B220+/CD43−)およびプロB細胞(B220+/CD43+)に対するFACS染色。IgM陰性集団上にゲートされる細胞が示される。プレB細胞(B220+/CD43−)およびプロB細胞(B220+/CD43+)の百分率が示される。全ての図(AおよびB)について、1匹のコントロールマウス(左)および2匹のBAFF Tgマウス(右)が示され、そして結果は、各々のグループで分析される7匹の動物の代表である。
【図9A】図9は、BAFF Tgマウスにおける、増加したIg、RFおよびCICのレベルを示す。(A)参照としての指示量の精製マウスIgGと並行する、2つのコントロール血清(−)および4つBAFF Tgマウス由来の血清(+)のSDS−PAGE。全てのレーンにおいて同様のアルブミンバンドの強度は、ゲル上にロードされた物質が、全てのサンプルに関して等価量であることを示す。
【図9B】図9は、BAFF Tgマウスにおける、増加したIg、RFおよびCICのレベルを示す。19匹のコントロール同腹子(白棒)および21匹のBAFF Tgマウス(黒棒)の血清中の、全マウスIg(B)、RF(C)ならびにCIC(D)のELISAベース分析。適切なRFコントロールがない場合において、RFの力価(logベース2)は、バックグラウンドのO.D.よりも3倍高いO.D.を与える血清の希釈度として規定される。CICの量は、試験される血清を用いて得られるO.D.と等価のO.D.を生成するために必要なPAPの量として、規定される。コントロール動物とBAFF Tgマウスとの間の差異は、統計的に有意であった((B)および(C)でP<0.001、(D)でP<0.003)。
【図9C】図9は、BAFF Tgマウスにおける、増加したIg、RFおよびCICのレベルを示す。19匹のコントロール同腹子(白棒)および21匹のBAFF Tgマウス(黒棒)の血清中の、全マウスIg(B)、RF(C)ならびにCIC(D)のELISAベース分析。適切なRFコントロールがない場合において、RFの力価(logベース2)は、バックグラウンドのO.D.よりも3倍高いO.D.を与える血清の希釈度として規定される。CICの量は、試験される血清を用いて得られるO.D.と等価のO.D.を生成するために必要なPAPの量として、規定される。コントロール動物とBAFF Tgマウスとの間の差異は、統計的に有意であった((B)および(C)でP<0.001、(D)でP<0.003)。
【図9D】図9は、BAFF Tgマウスにおける、増加したIg、RFおよびCICのレベルを示す。19匹のコントロール同腹子(白棒)および21匹のBAFF Tgマウス(黒棒)の血清中の、全マウスIg(B)、RF(C)ならびにCIC(D)のELISAベース分析。適切なRFコントロールがない場合において、RFの力価(logベース2)は、バックグラウンドのO.D.よりも3倍高いO.D.を与える血清の希釈度として規定される。CICの量は、試験される血清を用いて得られるO.D.と等価のO.D.を生成するために必要なPAPの量として、規定される。コントロール動物とBAFF Tgマウスとの間の差異は、統計的に有意であった((B)および(C)でP<0.001、(D)でP<0.003)。
【図10A】図10は、いくつかのBAFF Tgマウス中の、抗ssDNAおよび抗dsDNA自己抗体の存在を示す。(A)19匹のコントロール同腹子(灰色棒)および21匹のBAFF Tgマウス(黒棒)中の抗ssDNA自己抗体の、ELISAによる分析。
【図10B】図10は、いくつかのBAFF Tgマウス中の、抗ssDNAおよび抗dsDNA自己抗体の存在を示す。(B)5匹のコントロール同腹子および(A)からの抗ssDNA自己抗体のレベルを示す5匹の動物における抗ssDNA自己抗体の、ELISAによる分析。
【図10C】図10は、いくつかのBAFF Tgマウス中の、抗ssDNAおよび抗dsDNA自己抗体の存在を示す。(C)コントロールマウス(左)およびBAFF Tgマウス(右)由来の腎臓の、ヤギ抗マウスIg−HRPで染色されたパラフィン切片。Igの析出は、褐色の染色によって示される。これらの写真は、分析された6匹のBAFF Tgマウスの代表である。
【図11】図11は、BAFF Tgマウスにおける拡大したパイアー斑を示す。コントロールマウス(左)およびBAFF Tgマウス(右)の小腸上のパイアー斑(矢印で示される)の写真。この写真は、各々のグループの、屠殺された少なくとも12匹のマウスの代表である。拡大率5×。
【図12】図12は、BAFF Tgマウスの脾臓における、破壊されたTおよびB細胞の組織、激しい胚中心反応、樹状細胞数の減少および血漿細胞数の増加を示す。コントロールマウスは、A、C、EおよびGに示され、そしてBAFF TgマウスはB、D、FおよびHに示される。B細胞は青であり、そしてT細胞は褐色である(AおよびB)。胚中心は矢印で示される(CおよびD)。コントロールマウス(C)において、わずかな残留胚中心が見られる。CD11c陽性樹状細胞は褐色であり、そしてT細胞区域、架橋チャネルおよび辺縁区域(E)に現れる。BAFF Tgマウス(F)にはほとんど存在しない。Syndecan−1陽性血漿細胞は、BAFF Tgマウス(H)の赤脾髄においてのみ検出可能であるが、コントロールマウス(G)では検出可能でない。これらの写真は、分析された少なくとも12匹のBAFF Tgマウスおよび12匹のコントロールマウスの代表である。拡大率50×であるCおよびDを除いて、全ての写真は拡大率100×である。B:B細胞小胞、T:PALS、WP:白脾髄、RP:赤脾髄。
【図13】図13は、BAFF TgマウスのMLNにおける、破壊されたTおよびB細胞の組織、激しい胚中心反応、および多数の血漿細胞を示す。コントロールマウスは、A、C、EおよびGに示され、そしてBAFF Tgマウスは、B、D、FおよびHに示される。免疫組織化学は、図6に記載のように行われた。TおよびB細胞の染色は、AおよびBに示され、胚中心はCおよびDに示され、樹状細胞はEおよびF、そして血漿細胞はGおよびHに示される。GC:胚中心。拡大率100×。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(発明の詳細な説明)
ここで、本発明の好ましい実施形態についての詳細な参照がなされる。本発明は、B細胞の増殖および成熟、ならびに免疫グロブリンの分泌をもたらすための、BAFF分子およびBAFF関連分子の使用に関する。本発明は、免疫関連障害により必要とされるような免疫系の応答をもたらすための、BAFF分子およびBAFF関連分子の使用に関する。さらに、本発明は、遺伝子治療方法を介してBAFFまたはBAFF関連遺伝子の使用による、癌および免疫障害の処置を包含する。
【0030】
本発明の配列で形質転換された宿主によって産生されるBAFFリガンドおよびそのホモログ、ならびに当該分野で公知のプロセスによって精製されたか、または既知のアミノ酸配列から産生されるネイティブBAFFは、抗癌、抗腫瘍および免疫調節性の適用についての種々の方法において有用である。これらはまた、他の疾患についての治療および方法においても有用である。
【0031】
本発明の別の局面は、BAFF−リガンドをコードする単離された核酸によってコードされるポリペプチドの「アンチセンス」治療における使用に関する。本明細書中で使用される場合、「アンチセンス」治療とは、コードされたタンパク質の発現を阻害(すなわち、転写および/または翻訳の阻害によって)するために、細胞条件下で、目的のリガンドをコードする細胞のmRNAおよび/またはDNAに特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドまたはそれらの誘導体の投与またはインサイチュの産生をいう。この結合は、従来の塩基対相補性によるものであり得るか、または、例えば、DNA二重鎖への結合の場合、二重らせんの主溝における、特異的相互作用を介するものであり得る。一般に、「アンチセンス」治療とは、当該分野で一般に使用される技術の範囲をいい、そしてオリゴヌクレオチド配列への特異的結合に依存する任意の治療を含む。
【0032】
本発明のアンチセンス構築物は、例えば、発現プラスミドとして誘導され得、これは、細胞内で転写される場合、Kayリガンドをコードする細胞のmRNAの少なくとも一部に相補的なRNAを産生する。あるいは、このアンチセンス構築物は、エキソビボで産生されるオリゴヌクレオチドプローブであり得る。このようなオリゴヌクレオチドプローブは、好ましくは、内因性ヌクレアーゼ耐性であり、従ってインビボで安定である、改変されたオリゴヌクレオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオチドとしての使用のための例示的核酸分子は、DNAの、ホスホルアミデート、ホスホチオエート、およびメチルホスホネートアナログである(例えば、米国特許第5,176,996号;米国特許第5,264,564号;および米国特許第5,256,775号を参照のこと)。さらに、アンチセンス治療において有用なオリゴマーを構築するための一般的アプローチは、例えば、Van Der Krolら、(1988)Biotechniques 6:958−976;およびSteinら、(1988)Cancer Res 48:2659−2668(詳細には、本明細書中に参考として援用される)によって総説されてきた。
【0033】
(C.BAFFリガンド)
上記で議論されたような、本発明のBAFFリガンドは、TNFファミリーのメンバーであり、そしてPCT出願番号PCT/US98/19037(WO99/12964)に記載され、そしてこれは本明細書中にその全体が援用される。タンパク質、フラグメントまたはそのホモログは、広範な治療的および診断的な適用を有する。
【0034】
BAFFリガンドは、主に脾臓および末梢血リンパ球中に存在し、免疫系における、調節の役割を強く示す。特許請求されたBAFFリガンド配列とヒトTNFファミリーの他のメンバーとの比較は、重要な構造的類似性を明らかにする。すべてのタンパク質は、細胞外ドメインにおいて、配列保存のいくつかの領域を共有する。
【0035】
特許請求されたリガンドの正確な三次元構造は公知でないが、TNFファミリーのメンバーのように、ファミリーの他のメンバーと、特定の構造的特性を共有し得ることが予想される。
【0036】
本発明の新規のポリペプチドは、レセプターと特異的に相互作用し、このレセプターは未だ同定されていない。しかし、本明細書中で開示されるペプチドおよび方法は、BAFFリガンドまたはそのフラグメントに特異的に相互作用するレセプターの同定を可能にする。
【0037】
特定の実施形態における特許請求された発明は、それらのレセプターと結合する能力を有するBAFFリガンド由来のペプチドを使用する方法を含む。BAFFリガンドのフラグメントは、いくつかの方法において(例えば、組換え的に、PCRによって、タンパク質分解性消化または化学合成によって)産生され得る。ポリペプチドの内部フラグメントまたは末端フラグメントは、ポリペプチドをコードする核酸の片方の末端または両末端から、1つ以上のヌクレオチドを除去することによって産生され得る。変異誘発されたDNAの発現は、ポリペプチドフラグメントを産生する。
【0038】
ポリペプチドフラグメントはまた、従来のMerrifield固相f−mocまたはt−boc化学のような、当該分野で公知の技術を使用して化学的に合成され得る。例えば、本発明のペプチドおよびDNA配列は、フラグメントの重複なく、所望の長さのフラグメントに恣意的に分割され得るか、または所望の長さの重複するフラグメントに分割される。このような方法は、以下により詳細に記載される。
【0039】
(可溶性形態のBAFFリガンドの産生)
可溶性形態のBAFFリガンドは、しばしば効率的にシグナル伝達し、そのため、現在では天然の膜形態を模倣する薬物として投与され得る。本明細書中で特許請求されたBAFFリガンドは、可溶性サイトカインとして元々で分泌され得るが、しかし、そうでない場合、分泌を強制するために遺伝子を再操作し得ることが可能である。BAFFリガンドの可溶性分泌形態を作製するために、DNAレベルで、N末端膜貫通領域および軸領域(stalk region)のいくつかの部分を除去し、そしてそれらを、選択された発現系において効率的なタンパク質分解性切断を可能にするI型リーダー配列あるいはII型リーダー配列で置換する。当業者は、レセプター結合特性および分泌効率の両方を最適化するために、分泌発現構築物に保持される軸領域の量を変化し得る。例えば、可能な全ての軸の長さ(すなわち、N末端切断)を含むこの構築物は、アミノ酸81〜139で開始するタンパク質が生じるように調製され得る。最適な長さの軸配列は、この型の分析から生じる。
【0040】
(E.BAFFリガンドに反応性の抗体の産生)
本発明はまた、特許請求されたBAFFリガンドまたはそのレセプターに特異的に反応性の抗体を含む。抗タンパク質/抗ペプチド抗血清またはモノクローナル抗体は、標準的なプロトコルによって作製され得る(例えば、Antibodies:A Laboratory Manual、HarlowおよびLane編(Cold Spring Harbor Press:1988)を参照のこと)。マウス、ハムスターまたはウサギのような哺乳動物は、ペプチドの免疫原性形態で免疫され得る。タンパク質またはペプチドに免疫原性を与えるための技術は、キャリアとの結合、または当該分野で周知の他の技術を含む。
【0041】
BAFFリガンドまたはそのレセプターの免疫原性部分は、アジュバントの存在下で投与され得る。免疫化の進行は、血漿または血清における抗体の力価を検出することによってモニターされ得る。標準的ELISAまたは他のイムノアッセイは、抗体のレベルを評価するための抗原としてその免疫原を用いて使用され得る。
【0042】
好ましい実施形態において、本発明の抗体は、BAFFリガンドまたはそのレセプターの抗原決定基(例えば、配列番号2のポリペプチドの抗原決定基であり、この配列はPCT出願番号PCT/US98/19037(WO99/12964)において記載され、これはその全体が本明細書中で援用される)、あるいは密接に関連するヒトまたは非ヒト哺乳動物のホモログ(例えば、70、80または90パーセントの相同性であり、より好ましくは少なくとも95パーセントの相同性である)に対して免疫特異的である。本発明のなおさらなる好ましい実施形態において、抗BAFFリガンド抗体または抗BAFFリガンドレセプター抗体は、例えば、配列番号2または6(これは、PCT出願番号PCT/US98/19037(WO99/12964)に記載の配列であり、その全体が本明細書中で援用される)に対して80パーセント未満相同なタンパク質;好ましくは配列番号2(これは、PCT出願番号PCT/US98/19037(WO99/12964)に記載の配列であり、その全体が本明細書中で援用される)に対して90パーセント未満相同なタンパク質;そして最も好ましくは配列番号2(これは、PCT出願番号PCT/US98/19037(WO99/12964)に記載の配列であり、その全体が本明細書中で援用される)に対して95パーセント未満相同なタンパク質と、実質的に交差反応(すなわち、特異的に反応)しない。「実質的に交差反応しない」ことによって、抗体が、配列番号2(これは、PCT出願番号PCT/US98/19037(WO99/12964)に記載の配列であり、その全体が本明細書中で援用される)のタンパク質に対して、10パーセント未満、より好ましくは5パーセント未満、そしてなおより好ましくは1パーセント未満の結合親和性である、非相同タンパク質に対する結合親和性を有する抗体が意味される。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語抗体は、そのフラグメント(これはまた、BAFFリガンドに、特異的反応性である)、またはそのレセプターを含むことが意図される。抗体は、従来の技術を使用してフラグメント化され、そしてこのフラグメントは、抗体全体についての上記と同じ様式で、有用性に関してスクリーニングされる。例えば、F(ab’)2フラグメントは、抗体をペプシンで処理することによって、産生され得る。得られた
F(ab’)2フラグメントは、Fab’フラグメントを産生するようにジスルフィド架
橋を減少するために処理され得る。本発明の抗体は、抗BAFFリガンド活性または抗BAFFリガンドレセプター活性を有する、生物特異的(biospecific)分子およびキメラ分子を含むことがさらに意図される。従って、BAFFリガンド、腫瘍リガンドおよびそれらのレセプターに対するモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体(Ab)の両方、ならびにFab’およびF(ab’)2のような抗体フラグメントは、リガ
ンドおよびそのそれぞれのレセプターの作用をブロックするために使用され得る。
【0044】
抗体の種々の形態はまた、標準的な組換えDNA技術を使用して作製され得る。WinterおよびMilstein(1991)Nature 349:293−299(本明細書中に参考として詳細に援用される)。例えば、キメラ抗体が構築され得、そこで、動物抗体由来の抗原結合ドメインが、ヒト定常ドメインに結合される(例えば、Cabillyら、米国特許第4,816,567号(本明細書中に参考として援用される))。キメラ抗体は、ヒトの臨床処置において使用される場合、動物の抗体によって誘発される、観察される免疫原性応答を減少する。
【0045】
さらに、BAFFリガンドまたはそのレセプターを認識する、組換え「ヒト化抗体」が、合成され得る。ヒト化抗体は、大部分はヒトIg配列を含み、特異的抗原結合を担う領域が挿入されたキメラである。動物は、所望の抗原で免疫化され、対応する抗体が単離され、そして特異的抗原結合を担う可変領域配列の部分が除去される。次いで、この動物由来の抗原結合領域は、抗原結合領域が欠失したヒト抗体遺伝子の適切な位置にクローンされる。ヒト化抗体は、ヒト抗体における異種(すなわち、種間の)配列の使用を最小化し、従って、処置された被験体における免疫応答をほとんど誘発しそうにない。
【0046】
組換え抗体の異なるクラスの構築はまた、免疫グロブリンの異なるクラスから単離された可変ドメインおよびヒト定常ドメイン(CH1、CH2、CH3)を含むキメラ抗体またはヒト化抗体を作製することによって達成され得る。例えば、増加した抗原結合部位結合価を有する抗体は、抗原結合部位の、ヒト:鎖定常領域を保持するベクターへのクローニングによって、組換え的に産生され得る。Arulanandamら、(1993)J.Exp.Med.、177:1439−1450(本明細書中に参考として援用される)。
【0047】
さらに、標準的なDNA組換え技術を使用して、抗原結合部位の近傍のアミノ酸残基を変更することによって抗原に対する組換え抗体の結合親和性を変更し得る。ヒト化抗体の抗原結合親和性は、分子モデリングに基づく変異原性によって、増加され得る。Queenら、(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.86:10029−33(本明細書中に参考として援用される)。
【0048】
(F.アナログの生成:変更されたDNAおよびペプチド配列の産生) BAFFリガンドのアナログは、天然に存在するBAFFリガンドとは、アミノ酸配列もしくは配列を含まない方法またはその両方において異なり得る。非配列改変は、BAFFリガンドのインビボまたはインビトロ化学誘導体化を含む。非配列改変としては、アセチル化、メチル化、リン酸化、カルボキシル化またはグリコシル化における変化が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
好ましいアナログは、生物学的に活性なそのBAFFリガンドフラグメントを含み、その配列は、PCT出願番号PCT/US98/19037(WO99/12964)に記載されるような配列番号2の上記配列における所定の配列とは異なり、一つ以上の保存的アミノ酸置換またはBAFFリガンドの活性を無効にしない一つ以上の非保存的アミノ酸置換、欠失もしくは挿入によって、その全体において本明細書中に組み込まれている。保存的置換は、代表的に、あるアミノ酸を、類似した特徴を有する別のアミノ酸と置換することを含み、例えば以下のグループ内での置換である;バリン、グリシン;グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸;アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リジン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン。
【0050】
(G.本発明の材料および方法)
抗Flag M2モノクローナル抗体、ビオチン化抗Flag M2抗体およびアガロースと結合した抗Flag M2抗体をSigmaより購入した。細胞培養試薬をLife Sciences(Basel、Switzerland)およびBiowhittaker(Walkersville、MD)から得た。Flagタグ化可溶性ヒトAPRIL(残基K110-250)を、記載されるように293細胞において産生した(10、
11)。FITC標識化抗CD4、抗CD8抗体および抗CD19抗体をPharmingen(San Diego、CA)より購入した。ヒトIgMのFc5μフラグメント
に対して特異的なヤギF(ab’)2を、Jackson ImmunoResearc
h(West Grove、PA)より購入した。二次抗体を、PharmingenまたはJackson ImmunoResearchのいずれかから購入し、推奨される希釈にて使用した。
【0051】
ヒト胚性腎臓293T(12)細胞および線維芽細胞株(表1)を、10%熱非働化ウシ胎仔血清(FCS)を含むDMEM中に維持した。ヒト胚性腎臓293細胞を、2%FCSを補充したDEME−栄養混合物F12(1:1)中に維持した。T細胞株、B細胞株およびマクロファージ細胞株(表1)を、10%FCSを補充したRPMI中で増殖させた。Molt−4細胞を、10%FCSを補充したIscove培地中で培養した。上皮細胞株を、10%FCS、0.5mM非必須アミノ酸、10mM Na−Hepesおよび1mM Naピルビン酸を含むMEM−α培地中で増殖させた。HUVECを、20%FCS、100μg/mlの上皮細胞増殖因子(Collaborative Research、Inotech、Dottikon、Switzerland)および100μg/mlのヘパリンナトリウム塩(Sigma)を補充したM199培地中に維持した。全ての培地は、ペニシリン抗生物質およびストレプトマイシン抗生物質を含んだ。末梢性血液白血球を、健康な成人ボランティアのヘパリン処理した血液から、Ficoll−Paque(Pharmacia、Uppsala、Sweden)勾配遠心分離法によって単離して、そしてRPM1、10%FCS中で培養した。
【0052】
T細胞を、ノイラミニダーゼ処理したヒツジ赤血球を用いてロゼッティング(rosetting)することにより、非接着性PBLから得、そしてFicoll−Paque勾配遠心分離法によって非ロゼッティング細胞(ほとんど、B細胞および単球)から分離した。精製されたT細胞を、フィトヘマグルチニン(Sigma)(1μg/ml)で24時間活性化させ、洗浄し、そしてRPMI、10%FCS、20U/mlのIL−2中で培養した。CD14+単球を、抗CD14抗体、ヤギ抗マウス被膜マイクロビーズおよ
びMinimacsTMデバイス(Miltenyi Biotech)を使用して磁気細胞ソーティング(sorting)によって精製し、そしてGM−CSF(800U/ml、Leucomax(登録商標)、Essex Chimie、Luzern、Switzerland)およびIL−4(20ng/ml、Lucerna Chem、Luzern、Switzerland)の存在下において5日間培養し、次いでGM−CSF、IL−4およびTNF□□(200U/ml、Bender、Vienna、Austria)を用いてさらに3日間培養して、CD83+、樹状細胞様集団を得た。ヒトB
細胞を>97%純度で、抗CD19磁気ビーズ(M450、Dynal、Oslo、Norway)を記載されるように使用して、末梢血液または臍帯血から単離した。
【0053】
(ノーザンブロット分析)
ノーザンブロット分析を、Human Multiple Tissue Northern Blots IおよびII(Clontech#7760−1および#7759−1)を使用して、実行した。膜を、ハイブリダイゼーション溶液中(50%ホルムアミド、2.5×デンハルト、0.2%SDS、10mM EDTA、2×SSC、50mM
NaH2PO4、pH6.5、200μg/mlの超音波処理したサケ精子DNA)で2時間、60℃でインキュベートした。hBAFFのアミノ酸136−285に対応するヌクレオチドを含むアンチセンスRNAプローブを、熱変性して、そして2×106cpm
/mlにて、新鮮なハイブリダイゼーション溶液中に加えた。この膜を、62℃で16時間ハイブリダイズさせ、2×SSC、0.05%SDS(25℃で30分間)で1度洗浄し、0.1×SSC、0.1%SDS(65℃で20分間)洗浄し、−70℃にてX線フィルムに曝露した。
【0054】
(BAFFcDNAの特徴付け)
ヒトBAFFcDNAの部分配列は、胎児の肝臓および脾臓ならびに卵巣癌ライブラリーに由来するいくつかのESTクローン(例えば、GenBank登録番号T87299およびAA166695)に含まれた。このcDNAの5’部分を、製造業者によって推奨されるような、ヒト白血球のプールに由来する、提供されたcDNAライブラリーをテンプレートとして使用して、オリゴヌクレオチドAP1およびJT1013(5’−ACTGTTTCTTCTGGACCCTGAACGGC−3’)を用いる5’−RACE−PCR(Marathon−Ready cDNA、Clonetech、Palo Alto、CA)増幅によって得た。生じたPCR産物を、PCR−0ブラント(Invitrogen、NY Leek、The Netherlands)内にクローン化し、そしてEcoRI/PstIフラグメントとして、ESTクローンT87299を含む、pT7T3Pacベクター(Pharmacia)内にサブクローン化した。従って、全長hBAFFcDNAを、BAFFの内部PstI部位を使用して5’フラグメントおよび3’フラグメントを結合することによって得た。配列を、Genbank登録番号AF116456に登録した。
【0055】
マウスBAFFの部分617bp配列は、2つの重複ESTクローン(AA422749およびAA254047)内に含まれた。この配列のヌクレオチド158〜391におよぶPCRフラグメントを、マウス脾臓cDNAライブラリー(Stratagene、La Jolla、CA)をスクリーニングためのプローブとして使用した。
【0056】
(組換えBAFFの発現)
全長hBAFFを、オリゴJT1069(5’−GACAAGCTTGCCACCATGGATGACTCCACA−3’)およびJT637(5’−ACTAGTCACAGCAGTTTCAATGC−3’)を使用して、増幅させた。PCR産物をPCR−0ブラントにクローン化して、そしてHindIII/EcoRIフラグメントとしてPCR−3哺乳動物発現ベクター内に再度サブクローン化した。可溶性BAFFの短バージョン(version)(アミノ酸Q136−L285)を、オリゴJT636(5’−CTGCAGGGTCCAGAAGAAACAG−3’)およびJT637を使用して増幅した。可溶性BAFF(アミノ酸L83−L285)の長バージョンを、内部PstI部位を使用して全長BAFFから得た。可溶性BAFFを、PstI/EcoRIフラグメントとして、改変されたPCR−3ベクターのヘマグルチニン(haemaglutinin)シグナルペプチドおよびFlag配列の後ろに再度サブクローン化し、そしてPstI/SpeIフラグメントとして、N−末端Flag配列(14)を有する、改変されたpQE16細菌発現ベクターにインフレーム(in frame)で再度サブクローン化した。構築物を、両方の鎖について配列決定した。短い可溶性形態または全長BAFFを発現する安定の293細胞株の樹立、および細菌および哺乳動物293細胞に由来する組換え可溶性BAFFの発現および精製を、記載されるように実施した(14、15)。
【0057】
(逆転写酵素PCR)
T細胞、B細胞、インビトロ誘導された未熟な樹状細胞、293wtおよび293−BAFF(全長)細胞から抽出された総RNAを、製造業者の指示に従って、Ready to Go system(Pharmacia)を使用して逆転写した。BAFFおよびβアクチンcDNAを、特定のオリゴヌクレオチド(BAFFについて、JT1322
5’−GGAGAAGGCAACTCCAGTCAGAAC−3’およびJT1323
5’−CAATTCATCCCCAAAGACATGGAC−3’;IL−2レセプターα鎖について、JT1368 5’−TCGGAACACAACGAAACAAGTC−3’およびJT1369 5’−CTTCTCCTTCACCTGGAAACTGACTG−3’;βアクチンについて、5’GGCATGGTGATGGACTCCG−3’および5’−GCTGGAAGGTGGACAGCGA−3’)を使用して、TaqDNAポリメラーゼを用いてPCR増幅(94℃、55℃および72℃をそれぞれ1分間ずつ30サイクルの工程)によって検出した。
【0058】
(ゲル浸透クロマトグラフィー)
293T細胞を、可溶性BAFFの短い形態を用いて一過的にトランスフェクトし、そして無血清Optimen培地中で7時間、増殖させた。馴化上清を20×に濃縮し、内部標準のカタラーゼおよびオボアルブミンと混合し、そしてSuperdex−200 HR10/30カラム上にロードした。タンパク質を、0.5ml/分にてPBS中で溶出させ、そして画分(0.25ml)をトリクロロ酢酸で沈殿させ、そして抗Flag M2抗体を使用してウエスタンブロッティングによって、分析した。カラムを標準タンパク質(フェリチン(440kDa)、カタラーゼ(232kDa)、アルドラーゼ(158kDa)ウシ血清アルブミン(67kDa)、オボアルブミン(43kDa)、キモトリプシノーゲンA(25kDa)およびリボヌクレアーゼA(13.7kDa)で較正した。
【0059】
(PNGアーゼF処理)
サンプルを、20μlの0.5%SDS、1%2メルカプトエタノール中で3分間、95℃にて加熱し、次いで冷却して10%Nonidet P−40(2μl)、0.5Mリン酸ナトリウム、pH7.5(2μl)およびペプチドNグリカナーゼF(125units/μl、1μlまたはコントロールにおいては酵素なし)を補充した。サンプルを、ウエスタンブロット法による分析の前に37℃で3時間インキュベートした。
【0060】
(EDMAN配列決定)
293T細胞を、一過的に、長い形態の可溶性BAFFを用いてトランスフェクトし、そして無血清Optimen培地中で7日間増殖させた。馴化上清を、20倍に濃縮して、SDS−PAGEによって分画し、これまでに記載されたようにポリビニリデンジフルオリド膜(BioRad Labs、Hercules、CA)上にブロットし(16)、次いで、フェニルチオヒダントインC18 2.1×250mmカラムを装備したアナライザー(ABI 120A、Perkin Elmer)と連結した気相シーケンサー(ABI 120A、Perkin Elmer、Foster City、CA)を使用して、配列決定した。データを、ソフトウェアABI610(Perkin Elmer)を使用して分析した。
【0061】
(抗体)
ポリクローナル抗体を、組換え可溶性BAFFを用いて免疫化したウサギ(Eurogentec、Seraing、Belgium)によって生成した。同じ抗原で免疫化したラットの脾臓を、x63Ag8.653マウスミエローマ細胞と融合させ、そしてハイブリドーマを、BAFF特異的IgGについてスクリーニングした。これらのモノクローナル抗体の一つ(43.9)が、hBAFFを特異的に認識するIgG2aである。
【0062】
細胞を、50ng(または指示される量)のFlagでタグ化された短い可溶性hBAFFを4℃で20分間、50μlのFACS緩衝液(PBS、10%FCS、0.02%NaN3)中で染色し、次に抗Flag M2(1μg)および二次抗体によって、染色
した。抗BAFF mAb43.9を40μg/mlにて使用した。2色FACS分析のために、末梢血リンパ球を、Flagタグ化可溶性BAFF/長(2μg/ml)で染色し、次にビオチン化された抗−FlagM2(1/400)およびPEで標識されたストレプトアビジン(1/100)によって染色し、次に、FITC標識された抗CD4、抗CD8または抗CD19のいずれかによって染色した。
【0063】
(PBL増殖アッセイ)
末梢血白血球を、2μg/mlのヤギ抗ヒトμ鎖抗体(Sigma)またはコントロールF(ab’)2の存在下または非存在下で72時間、96ウェルプレート(10%FC
Sを補充した100μlのRPMI中で105細胞/ウェル)において、示された濃度の
ネイティブまたは煮沸された可溶性BAFF/長とともにインキュベートした。細胞を、[3H]チミジン(1μCi/ウェル)を用いてさらに6時間パルスし、そして収集した。[3H]チミジンの取り込みを、液体シンチレーション計数によってモニターした。いくつかの実施形態において、組換え可溶性BAFFを、1%パラホルムアミド中、25℃で5分間固定された全長BAFF(またはコントロールとして293wt)で安定にトランスフェクトされた293細胞によって置換した。アッセイを、記載されるように実施した(17)。さらなる実験において、CD19+細胞を、磁気ビーズを用いてPBLから単離し
、そして残りのCD19-細胞を、CD19+細胞で再構築する前に、照射した(3000ラド)。次いでBAFFに対する増殖アッセイを上記のように実施した。
【0064】
(B細胞活性化アッセイ)
精製されたB細胞を、記載されるようにEL−4培養系において活性化した(13)。手短には、5×104個の照射されたマウスEL−4胸腺腫細胞(クローンB5)と混合
された104個のB細胞を、PHA(1μg/ml)およびPMA(1ng/ml)で4
8時間活性化されたヒトT細胞(106/ml)に由来する、5%v/vの培養上清を含
む200μl培地において5〜6日間培養した。次いでB細胞を、抗CD19ビーズを用いて再度単離して、さらに7日間(200μl中5×104個の細胞、平底96ウェルプ
レートにおける2連培養または3連培養)、培地単独または5%T細胞上清もしくは50ng/ml IL−2(先のGlaxo Institute for Molecular Biology、Genevaから恵与された)および各々10ng/mlのIL−4およびIL−10(Peprotech、London、UK)を補充した培地中で、sBAFFの存在下または非存在下において培養した。抗Flag M2抗体を、2μg/mlの濃度にて添加し、そして単独では効果がなかった。培養上清中のIgM、IgGおよびIgAを、記載されるように、ELISAアッセイによって定量した(13)。
【0065】
ヒトBAFFを、配列相同性によって、TNFリガンドファミリーの可能性のある新規メンバーとして同定したが、本発明者らは、改善されたプロファイル検索を使用して、公共のデータベースをスクリーニングした(18)。285アミノ酸(aa)の完全タンパク質をコードするcDNAを、ESTクローン(3’領域をカバーする)とPCRによって増幅されたフラグメント(5’領域)を結合することによって得た。シグナルペプチドの非存在は、BAFFが、II型膜タンパク質であり、この膜タンパク質はTNFリガンドファミリーの代表的なメンバーであることを示唆した。タンパク質は、46アミノ酸の予想細胞質ドメイン、疎水性膜貫通ドメイン、および2つの潜在的N−グリコシル化部位を含む218アミノ酸の細胞外ドメインを有する(図1A)。BAFFの細胞外ドメインの配列は、APRILと最も高い相同性(33%のアミノ酸同一性、48%の相同性)を示すが、このファミリーの他のメンバー(例えば、TNF、FasL、LTα、TRAILまたはRANKL)との同一性は、20%未満である(図1B、C)。脾臓ライブラリーから単離されたマウスBAFFcDNAクローンは、膜貫通領域と、すべてのTNFリガンドメンバーにおけるレセプター結合ドメインを構成する第1のいくつかのβ鎖との間の挿入に起因する、わずかに長いタンパク質(309アミノ酸)をコードした(19)。このβ鎖リッチの外部ドメインは、マウスBAFFおよびヒトBAFFとほとんど同一であり(86%の同一性、93%の相同性)、このことは、BAFF遺伝子が、進化の過程で高度に保存されてきたことを示している(図1A)。
【0066】
TNFファミリーメンバーは、膜挿入リガンドとして合成されるが、膜貫通ドメインとレセプター結合ドメインとの間のストーク(stalk)領域内の切断が、頻繁に観察される。例えば、TNFまたはFasLは、メタロプロテイナーゼによって、細胞表面から容易に切断される。293T細胞において組換えBAFFのいくつかの形態を産生する間、本発明者らは、レセプター結合ドメインに加えて、完全ストーク領域を含むBAFFの組換え可溶性32kDa形態(83〜285アミノ酸、sBAFF/長)およびN末端Flag−タグを、広範にプロセスして、より小さな18kDaのフラグメントにしたことに注目した(図2A、B)。このフラグメントが、抗Flag抗体ではなく、BAFFの完全レセプター相互作用ドメインに対して惹起された抗体でのみ検出可能であったということから、切断は、ストーク領域内に生じた(データは示さず)。18kDaの切断形態がこの処理に対して非感受性であったのに対して、PNGアーゼFを用いてN結合炭水化物の除去した際に、非プロセスsBAFF/長の分子量が32kDaから30kDaに減少したので、N124(ストーク内に位置する)だけでなく、N242(F−βシートの入口に位置する)もグリコシル化されることもまた、明らかにされた。この18kDaフラグメントのペプチド配列分析は、切断が、R133とA133との間に生じたことを確かに示した(図1A)。R133は、ポリ塩基性領域の末端に位置し、この領域はヒト(R−N−K−R)とマウス(R−N−R−R)との間で保存されている。切断が、可溶性非天然形態のBAFFを発現させるという、単なる人為的結果ではないか否かを試験するために、膜結合全長BAFFを、293T細胞(図2C)において発現させた。32kDaの完全BAFFおよびいくつかのより大きな分子量種(おそらく、非解離性二量体および非解離性三量体に対応する)は、細胞抽出物において容易に検出され得るが、上清から回収された95%より多くのBAFFは、プロセスされた18kDa形態に対応した。このことは、膜結合リガンドとして合成された場合、BAFFもまたプロセスされたことを示す。
【0067】
プロセシング部位の2アミノ酸下流から配列が始まる、可溶性BAFF(Q136−L285、sBAFF/短)を操作した(図1B)。予期されるように、この組換え分子のN末端に付着したFlag−タグが除去されず(データは示さず)、これはこの組換え分子の抗Flagアフィニティーカラムによる精製を可能にした。その正確な折り畳みを試験するために、精製されたsBAFF/短をゲルろ過によって分析し、このタンパク質は、見かけ上55kDaの分子量で溶出した(図2D)。sBAFF/短を、他のTNFファミリーメンバーの4次構造に一致するホモ三量体(3×20kDa)に正確に構築する(19)。最終的に、非プロセスsBAFF/長を、細菌において容易に発現させた。このことは、切断事象が真核生物細胞に特異的であったことを示している。
【0068】
BAFFのノーザンブロット分析は、2.5kbのBAFF mRNAが、脾臓よびPBL内に豊富に存在することを明らかにした。胸腺、心臓、胎盤、小腸および肺は、弱い発現を示した。この限定された分布は、リンパ組織内に存在する細胞が、BAFFの主要な供給源であったことを示唆した。PCR分析によって、本発明者らは、BAFF mRNAが、B細胞ではなく、T細胞および末梢血の単球から誘導される樹状細胞内に存在することを見出した(図3B)。未処理の場合においても、非刺激T細胞は、BAFF mRNAをいくらか発現させたようであった。
【0069】
配列タグ化部位(STS、SHGC−36171)を、ヒトBAFFが含まれるデータベースにおいて見出した。この部位は、ヒト染色体13内にマーカーD13S286とマーカーD13S1315との間の9cM間隔で、位置する。細胞発生マップにおいて、この間隔は、13q32−34に対応する。公知のTNFリガンドファミリーメンバーのうち、RANKL(Trance)のみが、BAFFとはかなり離れてはいるが、この染色体(22)に位置していた(13q14)。
【0070】
リガンドが、最大の生物学的効果を発揮するために、おそらく、BAFFレセプター(BAFF−R)は、リンパ組織内に存在する、同じ細胞か、または隣接する細胞上のいずれかで発現される。FACSによって、BAFF−Rの発現を特異的に決定するための道具として組換えsBAFFを使用して、本発明者らは、種々のB細胞株(例えば、バーキットリンパ腫ラージ細胞およびBJAB)における高いレベルのレセプター発現を実際に見出した(図4A、表1)。対照的に、T細胞起源、線維芽細胞起源、上皮起源および内皮起源の細胞株は、すべてネガティブであった。単球株THP−1に関する非常に弱い染色を観察したが、これはFcレセプター結合に起因し得る。従って、BAFF−Rの発現は、B細胞株に限定されるようである。試験されたこの2つのマウスB細胞株は、プローブとしてヒトBAFFを使用すると、ネガティブであったが、弱い結合がマウス脾細胞に対して観察された(データは示さず)。B細胞上のBAFF−Rの存在を、臍帯および末梢性血液リンパ球の分析によって実証した。CD8+およびCD4+T細胞は、BAFF−Rを欠失しているが(図4Bおよびデータは示さず)、大量の染色がCD19+B細胞上
に観察された(図4Aおよび4B)。このことは、BAFF−Rが、すべての血液のB細胞(ネイティブB細胞および記憶B細胞を含む)上に発現されたことを示す。
【0071】
BAFFは、血液由来のB細胞に結合しているので、実験を実施して、リガンドが、増殖刺激シグナルまたは阻害シグナルを送達し得るか否かを決定した。末梢血リンパ球(PBL)を、表面BAFFを安定に発現する固定293細胞とともに抗IgM(μ)抗体を用いて、刺激した(図5A)。抗−μ単独で誘導される[3H]チミジン取り込みのレベル
は、制御細胞の存在によっては変更されなかったが、BAFFをトランスフェクトした細胞の存在下においては、2倍に増加した(図5B)。PBLの用量依存性増殖はまた、BAFFをトランスフェクトした細胞を、精製したsBAFFによって置換した場合に得られる(図5C)。これは、BAFFが、その活性を発揮するために膜付着を必要としないことを示す。この実験的なセットアップにおいて、sCD40Lにより誘導される増殖は、1μg/mlを超える濃度を必要とするが、BAFFにより媒介される場合と比べると、抗μの存在にあまり依存しなかった。精製されたCD19+B細胞を、照射された自己
CD19-PBLで同時培養した場合、BAFFによる増殖の同時刺激は、影響を受けな
かった。このことは、[3H]チミジンの取り込みは、主にB細胞の増殖に起因しており、
別の細胞型の間接的な刺激に起因しないことを実証している(データは示さず)。BAFFに対する観察されたB細胞増殖応答は、全体的に抗μ抗体の存在に依存していた。これは、BAFFが、B細胞増殖の同時刺激因子として機能したことを示している。
【0072】
免疫グロブリン分泌に対するBAFFの可能な効果を研究するために、精製された末梢血B細胞または臍帯血B細胞を、PHA/PMA刺激T細胞の上清からのサイトカイン混合物の存在下でEL−4 T細胞と共に同時培養することにより事前に活性化した(23)。これらのB細胞を98%の純度まで再単離し、BAFFおよび活性化T細胞のサイトカインの存在下における二次培養の間に、サイトカイン単独と比較してIg分泌の二倍の増加を生じた。非常に控えめな効果が外因性サイトカインの非存在下で生じ、そして中程度(1.5倍)の効果が組換えサイトカイン(IL−2、IL−4およびIL−10)の存在下で観察された(図5E、図5F)。
【0073】
BAFFの生化学的分析はまた、TNFファミリーのメンバーの代表的なホモ三量体構造と一致する。このリガンドファミリーの中でも、BAFFは、本発明者らが種々の腫瘍細胞の増殖を刺激するリガンドとして最近特徴付けた、APRILと最も高いレベルの配列類似性を示す(11)。TNFおよびLTμ(等しく高い相同性(33%同一性)を有する2つのファミリーのメンバーであり、そしてこれらの遺伝子は、第6染色体に関連付けされる)と異なり、APRILおよびBAFFは、同じ染色体上にクラスター化されない。APRILは、第17染色体上に位置し(J.L.B.、未発表データ)、一方BAFFは、ヒト第13染色体の末端アーム(13q34)に位置する。この遺伝子座における異常は、myc遺伝子に関するIg遺伝子座への転座(25)の他に、二番目に最も頻繁な欠損としてバーキットリンパ腫において特徴付けられた(24)。分析される全てのバーキットリンパ腫細胞株でのBAFF−Rの高い発現レベル(表1を参照のこと)を考慮すると、このことは、いくらかのバーキットリンパ腫が、BAFF発現を調節解除したかもしれず、そのようにしてオートクライン様式で増殖を刺激したという興味深い可能性を生じる。
【0074】
免疫応答の異なる段階の間の抗原特異的Bリンパ球の役割は、ヘルパーT細胞および抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)からのシグナルおよび接触に非常に依存する(20)。Bリンパ球がリンパ様組織中のB細胞濾胞の端でT細胞と相互作用する場合、Bリンパ球は、免疫応答間の初期にこれらのシグナルを最初に受け、これらの増殖および低親和性抗体産生細胞への分化を誘導する(18)。同時に、いくつかの抗原特異的B細胞はまた、B細胞の濾胞へ遊走し、そして胚中心(B細胞増殖の別の部位であるが、また記憶B細胞および高親和性形質細胞の親和性成熟および生成の部位でもある)の形成に貢献する(19)。
【0075】
TNFスーパーファミリーの別のメンバー(CD40L)により誘発されるシグナルは、T細胞依存性免疫応答の複数の段階で、Bリンパ球の機能について重要であることが示された。しかし、いくつかの研究は、CD40L/CD40相互作用が、接触依存性のT
細胞によるB細胞の補助全てを説明するわけではないことを明確に示した。実際、ノックアウトマウスまたはX連鎖性過剰IgM症候群の患者のどちらかから単離したCD40L欠損T細胞が、B細胞の増殖およびその形質細胞への分化を首尾よく誘導することが示された。CD40Lに対する遮断抗体を使用した研究は、ヒト扁桃腺から単離された表面IgD陽性B細胞のサブセットが、CD40非依存性様式にて活性化T細胞に応答して増殖および分化することを示した。TNFファミリーの他のメンバー(例えば、膜結合TNFおよびCD30L)はまた、B細胞のCD40非依存性および表面Ig非依存性刺激に関与することが示された。BAFFに関する本発明者らの結果と同様に、表面Igレセプターが同時に誘発される限り、CD40欠損B細胞が、ヘルパーT細胞により刺激されて増殖し、そして形質細胞へと分化し得ることが示された。BAFFならびにCD30LおよびCD40Lは、T細胞により発現されるが、その独自性は、樹状細胞による発現ならびにB細胞上のそのレセプターの非常に特異的な位置にあり、これは、その発現が多くの異なる細胞について記載されたCD40、CD30およびTNFレセプターと対照的である。この観察は、B細胞における、独立かつ特異的なBAFFが誘導する機能を示唆する。
【0076】
T細胞およひ樹状細胞が誘導するB細胞の増殖および潜在的な成熟おけるBAFFについての役割を支持し、本発明者らは、BAFFがB細胞レセプターとの架橋と同時に、従って、CD40のシグナル伝達から独立して、血液由来B細胞の増殖を同時刺激することを見出した。さらに、前形質細胞/GC様B細胞(14)へとインビトロで分化したCD
19陽性B細胞を使用して、本発明者らは、活性化T細胞からの上清またはIL−2、IL−4およびIL−10の混合物の存在下でのこれらのB細胞によるIg分泌に対するBAFFの同時刺激の効果を観察した。興味深いことに、サイトカインの混合物と比較する場合、同時刺激の効果は、活性化T細胞の上清の存在下でより強く、BAFFと相乗作用し得る抗体産生に関与する活性化T細胞により分泌されるさらなる可溶性因子またはさらなるBAFF自体を示唆した。従って、BAFFがこれらのGC様B細胞の血漿への分化に能動的に寄与することが可能である。
【0077】
BAFFが、インビトロで、ナイーブB細胞ならびにGC関連B細胞の両方においてシグナル伝達し得ることは明らかである。この知見が正常な免疫応答の間に変換するか否かは、適切なインビボ実験により取り扱われなければならない。
【0078】
B細胞中でBAFFにより誘導される生物学的応答は、CD40Lの生物学的応答とは区別される。なぜなら、CD40Lにより誘発される増殖は抗μ同時刺激にほとんど依存しなかった(17)(および図5D)からである。さらに、CD40Lは、B細胞において、B細胞レセプターの作動後にアポトーシスシグナルを相殺し得(29)、一方Ramos細胞はBAFF−Rを発現するという事実(表1;F.M.およびJ.L.B.、未発表の知見)にも関わらず、BAFFは、抗μ媒介アポトーシスからB細胞株(Ramos)をレスキューし得なかった。従って、CD40LおよびBAFFは、異なる機能を果たすようである。この点に関して、BAFFが、CD40を含む試験されたTNFファミリーの16種類の組換えレセプターのいずれとも相互作用しなかったこと(P.SおよびJ.T、未発表の観察)は、注目すべきである。
【0079】
B細胞増殖は、膜貫通ドメインを欠く組換え可溶性BAFFで効率的に同時刺激された。この活性は、膜結合性リガンド(例えば、TRAIL、FasLおよびCD40L)としてのみ活性であるいくつかのTNFファミリーのメンバーと対照的である。これらのリガンドの可溶形態は、これらの架橋により増強され得る乏しい生物学的活性しか有さず、これにより、膜結合性リガンドを模倣する(15)。対照的に、抗Flag抗体とFlagタグ化sBAFFを架橋すること、または上皮細胞の表面上に発現された膜結合性BAFFの使用は、BAFFのマイトジェン活性をさらには増強せず、このことは、TNFが作用するのと同様に、BAFFが、分泌されたサイトカインとして全身的に作用し得ることを示唆した。このことは、BAFFの柄に存在するポリ塩基配列がプロテアーゼの基質として作用したという知見と一致する。同様のポリ塩基配列はまた、APRILおよびTWEAKの両方における対応する位置に存在し、これらの両方について、タンパク質分解性プロセシングの証拠が存在する(30)(N.H.およびJ.T、未発表の知見)。切断を担うプロテアーゼが決定されるべく残っているが、これは、その配列優先度が完全に異なるので、膜結合性TNFの放出を担うメタロプロテイナーゼではないようである(21)。BAFF(R−N−K−R)、APRIL(R−K−R−R)およびTweak(R−P−R−R)の複数塩基モチーフは、プロタンパク質コンバターゼファミリーのプロトタイプである、フューリン(R−X−K/R−R)に対する最小切断シグナル(31)を連想させる。
【0080】
他のように記載されない限り、本発明の実施は、当該分野技能に含まれる、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、微生物学、組換えDNA、タンパク質化学および免疫学の従来技術を使用する。このような技術は、文献に記載される。例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(Sambrook、FritschおよびManiatis編)、Cold Spring Harbor
Laboratory Press、1989;DNA Cloning、第I巻および第II巻(D.N.Glover編)、1985;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait編)、1984;米国特許第4,683、195号(Mullisら);Nucleic Acid Hybridization(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編)、1984;Transcription and Translation(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編),1984;Culture of Animal Cells(R.I.Freshney編).Alan R.Liss,Inc.,1987;Immobilized Cells and Enzymes,IRL Press,1986;A Practical Guide to Molecular Cloning(B.Perbal),1984;Methods in Enzymology,第154巻および第155巻(Wuら編)、Academic Press,New York;Gene
Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.H.MillerおよびM.P.Calos編)、1987、Cold Spring Harbor Laboratory;Immunochemical Methods
in Cell and Molecular Biology(MayerおよびWalker編)、Academic Press、London、1987;Handbook of Experiment Immunology,第I巻〜第IV巻(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編)、1986;Manipulating the Mouse Embryo,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1986を参照のこと。
【0081】
以下の実施例は、本発明を図示するために提供され、そしてこれらは、本発明の限定として解釈されるべきではない。
【実施例】
【0082】
(実施例)
以下の実験手順を、実施例1〜6において使用した。
【0083】
(マウスBAFF Tgマウスの作製のためのDNA構築物)
ヒトcDNA配列およびマウスcDNA配列は、両方とも以前に記載されている(Schneiderら、1999)。全長マウスBAFFをコードするPCRフラグメントを、RT−PCRにより作製した。第1鎖cDNAを、製造者のプロトコール(GibcoBRL、Grand Island、NY)に従う、オリゴdTを使用して、マウス肺ポリA+(Clontech、Palo、Alto、CA)から合成した。このPCR反応物は、1×Pfu緩衝液(Stratagene,La Jola,CA),0.2mM
dNTP,10% DMSO,12.5pM プライマー,5ユニットのPfu酵素(Stratagene)およびNot1制限部位を有する以下のプライマー:5’−TAAGAATGCGGCCGCGGAATGGATGAGTCTGCAAA−3’および5’−TAAGAATGCGGCCGCGGGATCACGCACTCCAGCAA−3’を含んだ。鋳型を94℃1分間、54℃2分間および72℃3分間の30サイクル、続いて72℃で10分間の伸長の間に増幅した。この配列は、GenBankファイルAF119383のヌクレオチド214〜1171に対応する。このPCRフラグメントをNot1で消化し、次いで変形型pCEP4ベクター(Invitrogen、Carlsbad、CA)中にクローン化した。マウスBAFFを有するフラグメントを、SV40 ポリA付加部位の配列を含ませるためにXbaIで取り出した。このフラグメントをプロモーター配列を付加したpUCベースのベクター中にクローン化した。このプロモーター(ヒトApoEエンハンサーおよびAAT(α抗トリプシン)プロモーターを含む1Kbの平滑末端Bg12−Not1フラグメントを含む)を、プラスミドクローン540B(Katherine Parker Ponder博士(Washington University、St.Louis,MO)からの好意の提供)から精製した。EcoRV/Bgl2フラグメントを最終ベクターから精製し、そしてトランスジェニックマウスの作製に使用した。導入した結果である子孫C57BL/6J(雌性)×DBA/2J(雄性)F1(BDF1)マウスを、C57BL/6マウスと戻し交配した。マイクロインジェクションおよびトランスジェニックマウスの作製の技術は、以前に記載されている(Mcknightsら、1983)。
【0084】
(分析方法)
血清サンプルを、リニアーな(linear)12.5%ゲルを使用して還元型SDS−PAGE分析に供した。製造者の指針に従い、Promega(Madison、WI)製の単離キットを使用してマウス肝臓由来の総RNAを、調製し、そしてノーザンブロット分析のために処理した。BAFF導入遺伝子特異的mRNAを、その導入遺伝子構築物のSV40ポリAテールにまたがるプローブを使用して検出し、そしてXba1およびBamH1を用いて、改変型pCEP4ベクターの消化により得た。このプローブは、BAFF導入遺伝子由来のmRNAに対応する1.8〜2Kdのバンドを認識する。BAFF Tgマウス由来のテールDNAのPCR分析を、1×Taq ポリメラーゼ緩衝液(Stratagene)、0.2nMのdNTP、10% DMSOおよび5ユニットのTaqポリメラーゼ(Stratagene)を含む反応物中で、12.5pMの以下のプライマー:5’−GCAGTTTCACAGCGATGTCCT−3’および5’−GTCTCCGTTGCGTGAAATCTG−3’を使用して行った。719bpの導入遺伝子を、94℃にて30秒間、54℃にて1分間および72℃にて1.5分間の35サイクル、続いて72℃で10分間の伸長の間に増幅した。
【0085】
マウスの尿中のタンパク質の存在を、尿分析のためのMultistix 10 SG試薬ストリップ(Bayer Corporation,Diagnostics Division,Elkhart,IN)を使用して測定した。
【0086】
(細胞−ダイン(dyn)および細胞蛍光分析(FACS))
EDTAで抗凝固化された新鮮な全血の示差的なWBC計数を、Abbott Cell Dyne 3500装置(Chicago、IL)を用いて行った。FACS分析のために、フルオレセイン(FITC)標識したラット抗マウス抗体、Cy−クロム−標識したラット抗マウス抗体、およびフィコエリトリン(PE)標識したラット抗マウス抗体:抗B220、抗CD4、抗CD8、抗CD43、抗IgM、抗CD5、抗CD25、抗CD24、抗CD38、抗CD21、抗CD44、抗L−セレクチンおよびハムスター抗Bcl−2/コントロールハムスターIgキットをPharmingen(San Diego、CA)から購入した。組換えE.coliならびに哺乳動物細胞由来のヒトFlagタグ化BAFFおよびマウスFlagタグ化BAFFの生成は、以前に記載された(Schneiderら、1999)。全ての抗体を製造者の仕様書に従い使用した。PBLを以下のようにマウスの血液から精製した:マウスの血液をEDTAの入ったマイクロチューブに収集し、そしてPBSで1/2に希釈した。500μlの希釈した血液を4mlのガラス試験管中の1mlのフィコール(Celardane,Hornby,Ontario,Canada)の上にアプライし、勾配遠心を2000rpmで30分間室温にて行い、そしてリンパ球を含む界面を収集し、そしてFACS染色の前にPBS中で2回洗浄した。脾臓、骨髄および腸間膜リンパ節を粉砕して、RPMI培地(Life Technologies,Inc.、Grand Island、NY)中で単一細胞懸濁液にし、そしてFACS緩衝液(2%のウシ胎仔血清(JRH Biosciences、Lenexa、KS)を補充したPBS)中で洗浄した。最初に細胞をブロック試薬(10μg/mlのヒトIg(Sandoz、Basel、Switzerland)および10μg/mlの抗マウスFc遮断抗体(Pharmingen))を補充したFACS緩衝液に懸濁し、そして蛍光色素標識抗体で染色する前に氷上で30分間インキュベートした。全ての抗体を上記のブロック試薬を含むFACS緩衝液中に希釈した。サンプルを、FACScan細胞蛍光測定器(Becthon Dickinson)を使用して分析した。
【0087】
(ELISAアッセイによるマウス血清中の総マウスIgおよびリウマチ因子の検出)
ELISAプレート(Corning glass works、Corning,NY)を、50mMの炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH9.6)中の10μg/mlのヤギ抗総マウスIg(Soutern Biotechnology Associates,Inc.Birmingham,AL)の溶液を用いて一晩4℃にてコーティングした。プレートをPBS/0.1% Tweenで3回洗浄し、そしてPBS中で1%ゼラチンで一晩ブロックした。100μl/ウェルの血清段階希釈物または標準の希釈物を、30分間37℃にてプレートに添加した。マウスIgを、30分間37℃にて、アルカリホスファターゼ(AP)標識ヤギ抗総マウスIg(Southern Biothechnology Associates)の1μg/mlの溶液を100μl/ウェル使用して検出した。最終洗浄(PBS/0.1% Tweenの3回)後、酵素反応を、10%のジエタノールアミン中の10μg/mlのp−ニトロフェニルホスフェート(Boehringer Mannheim、Indianapolis、IN)の溶液を使用して発色させた。この反応を100μl 3N NaOH/ウェルを添加することにより停止した。光学密度(O.D.)を、Molecular Devices(Sunnyvale、CA)からの分光光度計を使用して405nmで測定した。標準曲線を、Southern Biothechnology Associatesから購入した精製されたマウスIgを使用して得た。リウマチ因子(RF)の検出の場合、このプレートを、ヤギ抗マウスIgの代わりに正常ヤギIg(Jackson ImmunoResearch laboratories,Inc.(West Grove、PA))を用いてコートし、マウスIgの検出を上記のように行った。RFアッセイにおけるマウスアイソタイプの検出を、AP標識ヤギ抗マウスIgA、IgM、IgG2a、IgG2bおよびIgG3を使用して行い、ならびに標準曲線のために精製マウスIgA、IgM、IgG2a、IgG2bおよびIgG3(Southern Biothecnology Associates Inc.)を使用して行った。全ての統計学的比較を分散分析により実行した。
【0088】
(マウス血清中の循環免疫複合体(CIC)の検出およびクリオグロブリンの沈降)
このアッセイを、以下の改変を伴って、以前に記載された(Juneら、1979;SinghおよびTingle、1982)ように実施した:ELISAプレート(Corning glass works)を、50mMの炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH9.6)中の5μg/mlのヒトClq(Quidel、San Diego、CA)を用いて4℃にて一晩コートした。このプレートをPBS/0.1% Tweenで3回洗浄した。50μl/ウェルの0.3M EDTAを、50μl/ウェルの血清の段階希釈物または既知濃度の標準の免疫複合体(DAKO(Carpinteria、CA)製のペルオキシダーゼ−マウス抗ペルオキシダーゼ(PAP))の溶液を加えたプレートに添加した。このプレートを30分間37℃にてインキュベートした。このプレートをPBS/0.1% Tweenで3回洗浄した。この免疫複合体中のマウスIgを、ELISAアッセイについて上記するように、100μl/ウェルの、Ap標識ヤギ抗マウスIg(Southern Biotechnology Associates,Inc.)の1μg/ml溶液を使用して検出した。クリオグロブリンを水で1/15に希釈したマウス血清を4℃で一晩インキュベートすることにより検出し、そして沈降物を視覚的に評価した。
【0089】
(抗二本鎖(ds)DNAアッセイおよび抗一本鎖(ss)DNAアッセイ)
抗ssDNAをNUNC−immuno Plate MaxiSorpプレート(NUNC A/S、Denmark)を使用して行った。初めに、プレートを100μg/mlのメチル化BSA(Calbochem Corp.、La Jolla、CA)を用いて、次いで50μg/mlのグレードI仔ウシ胸腺DNA(Sigma,St.Louis,MO)を用いて4℃にて一晩コートした。この仔ウシ胸腺DNAは、使用前に超音波処理により剪断され、次いでS1ヌクレアーゼで消化した。抗ssDNAアッセイのために、使用前にこのDNAを10分間ボイルし、そして氷上で冷却した。ブロッキング後、血清サンプルの段階希釈物を添加し、そして室温にて2時間インキュベートした。自己抗体をヤギ抗マウスIgG−AP(Sigma)を用いて検出し、そしてELISAアッセイについて上記に記載するように発色させた。標準曲線を既知量の抗DNA mAb
205を使用して得た。この抗DNA mAb 205は、ssDNAおよびdsDNAの両方に特異的である(Dattaら、1987)。
【0090】
(免疫組織化学)
脾臓およびリンパ節をO.T.C.包埋培地(Miles、Elkhart、IN)中で凍結し、そして低温槽切片化のために封入した。7〜10μm厚の切片を乾燥し、そしてアセトン中で固定した。全てのAb(10μg/ml)を、Tris−緩衝化生理食塩水A(TBS−A、0.05M Tris、0.15M NaCl、0.05% Tween−20(v/v)、0.25% BSA)に希釈した後、室温にて、1時間加湿ボックス中でインキュベーションし、TBS−B(0.05M Tris、0.15M NaCl、0.05% Tween−20)中でリンスし、そして酵素反応を誘発する前に、メタノール中で1分間固定した。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)活性およびアルカリホスファターゼ(AP)活性を、各々、ジアミノベンジジン(DAB)錠剤基質キット(Sigma)および5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート/ニトロブルーテトラゾリウム(BCIP/NBT、Pierce、Rockford、IL)を使用して発色させた。染色した組織切片を最終的に5分間メタノール中で固定し、そしてGiemsa(Fluka、Buchs、Switzerland)で対比染色した。ビオチン標識したラット抗B220抗体、抗CD11c抗体、抗syndecan−1抗体ならびに非標識のラット抗CD4抗体、抗CD8μ抗体および抗CD8μ抗体をPharmingenから購入した。ビオチン標識したピーナッツ凝縮素(PNA)をVector laboratories(Burlingame、CA)から得た。(HPR)標識マウス抗ラットIgおよび(HRP)−ストレプトアビジンをJackson ImmunoResearch laboratories,Inc.から、そしてAp標識ストレプトアビジンをSouthern Biotechnology Associates,Inc.から購入した。Ig沈着を検出するための腎組織についての免疫組織化学の場合、パラフィン切片を用い、パラフィンを取り除き、そしてVector(Burlingame、CA)からの希釈したウマ血清を使用してブロックし、その後Jackson Immunoresearch製のHPR−ヤギ抗マウスIgで染色した。上記のように検出を行った。
【0091】
(実施例1:BAFFトランスジェニック(BAFF Tg)創始マウスは、異常な表現型を有する)
全長マウスBAFFを、APO Eエンハンサーを伴う肝臓特異的α-1抗トリプシン
プロモーターを使用して、トランスジェニックマウスにおいて発現させた。全長バージョンは、BAFFが切断されそして全身的に作用するか、または膜結合性形態で保たれるかのどちらかであり、膜結合形態で保たれる場合に局所的な肝臓特異的な異常が観察されて、おそらく機能的な端緒を提供するという予想のもと、選択した。本発明者らは、BAFF導入遺伝子について陽性である13匹の創始マウスを得た(表2)。これらのマウスのうちの4匹を若齢で屠殺した。慣用的な病理学をマウス811およびマウス816に対して行った(表2)。これらのマウスにおいて明らかな感染はなかったが;しかし心血管異常および腎臓異常が明確であり、そして重篤な高血圧症について記載される異常(Fu、1995)と類似していた(表2)。創始816のヘマトキシリンおよびエオシン(HおよびE)で染色された腎組織切片は、そのマウスにおける糸球体の形態が異常であり、一方腎組織の残りは、正常のようであったことを示した(データは示さず)。多くのBAFFトランスジェニック創始マウスは、タンパク尿を有した(表2)。マウス816からの脾臓凍結組織切片の免疫組織化学は、異常かつ広範なB細胞染色およびT細胞についての染色の減少を明らかにし、そしてこの観察は、その子孫において確認された(以下の図12を参照のこと)。
【0092】
2色のFACS分析を使用して、CD4陽性T細胞%に対するB220陽性B細胞%の割合を計算した。この割合は、コントロールの陰性BDF1マウスと比較した場合、BAFF Tg創始マウスにおいて2〜7倍高く(表2)、このことは、BAFF TgマウスにおけるB細胞集団の増加を示唆した。本発明者らは、これらの創始マウスのうちの9匹を選択し、表2において下線を引くような、本発明者らのトランスジェニックマウスの異なる系統を作製した。残りのBAFF Tg創始マウスまたはその由来する子孫は、創始969、700、811および816の早い死後数ヶ月、健康障害のいずれの徴候も示さず、このことはこれらの4匹のマウスが、これらの死を引き起こした高レベルのBAFFを発現したかもしれないことを示した。トランスジェニックマウスの肝臓におけるBAFFの過剰発現を、ノーザンブロット分析により確認した(データは示さず)。組織学的に試験された全てのBAFF−Tgマウスにおいて、その肝臓は、異常を示さず、このことは、BAFFの局所的な過剰発現は、いかなる免疫学的事象または病理学的事象をも誘導しないことを示した。マウスBAFFについてのELISAアッセイは、利用可能ではないが;しかし本発明者らは、コントロールマウス由来ではなくBAFF Tgマウス由来の2%の血清が、BJAB細胞への哺乳動物細胞由来マウス可溶性Flagタグ化BAFFの結合をブロックしたことを示した。さらに、コントロールマウス由来ではなくBAFF Tgマウス由来の5%血清が、抗μの存在下でPBL由来のヒトB細胞の増殖を増加した(データは示さず)。これらのデータは、相当量の可溶性BAFFがBAFF Tgの血液中に存在することを示唆する。
【0093】
(実施例2:BAFF Tgマウスにおける末梢リンパ球増加症は、増加したB細胞数が原因である)
コントロールのネガティブ同腹子と比較した場合、トランスジェニックマウス集団が血液中でより多くのリンパ球を有することを見出し、13000リンパ球/□l血液程度の高い値に達した(図7A)。対照的に、BAFF Tgマウスおよびコントロールマウスの両方において血液□lあたりの顆粒球の数は、通常の範囲内のままであった(図7A)。6匹の異なる創始マウスから生まれた18匹のBAFF Tgマウス由来の末梢血細胞(PBL)の抗CD4抗体および抗B220抗体を用いるFACS分析が、増加したB/T比を示したので(図7Bおよび7C)、上昇したリンパ球レベルは、増殖したB細胞部分集合に起因した。同様に、この方法を用いて、CD4循環T細胞の絶対数の計算は、コントロールマウスと比較した場合、BAFF Tgマウス中のこのT細胞部分集合の50%の減少を示し、そしてこの同様の観察が、CD8 T細胞部分集合についてなされた(データは示さず)。BAFF TgマウスのPBL由来の全てのB細胞を、コントロールマウス由来のB細胞と比較した場合、MHCクラスII発現およびBcl−2発現が増加し(それぞれ、図7Dおよび図7E)、BAFF TgマウスのPBLにおいていくらかのレベルのB細胞活性化を示した。BAFF Tgマウスの血液中のT細胞は、早期活性化マーカーCD69またはCD25を発現しなかった;しかし、40〜56%のCD4T細胞またはCD8T細胞は、コントロール同腹子のわずか8%〜12%のみに対して、CD44hi、L−セレクチンlo表現型を有する活性化エフェクターT細胞であった(図7F)。従って、BAFF Tgマウスは、明らかにT細胞改変とともにB細胞リンパ球増加症および全B細胞活性化の徴候を示す。
【0094】
(実施例3 増殖したB細胞画分は、成熟細胞からなる)
トランスジェニックマウスにおけるBAFFの過剰発現が、骨髄における中枢B細胞画分に、そして二次リンパ器官における末梢B細胞に影響するか否かを調査するために、本発明者らは、4匹の異なる創始マウス由来の全7匹のBAFF Tgマウスおよび7匹のコントロール同腹子由来の脾臓、骨髄および腸間膜リンパ節をFACSにより試験した。成熟B細胞画分を、抗B220抗体および抗IgM抗体の両方で染色することにより分析した。2匹の代表のBAFF Tgマウスおよび1匹の代表のコントロール同腹子を図8に示す。成熟B細胞画分(IgM+。B220+)は、脾臓および腸間膜リンパ節の両方において上昇した(図8A、それぞれ、上パネルおよび下パネル)。骨髄におけるB220+/IgM+B細胞(図7A、中パネル)画分またはプロB細胞(CD43+/B220+)画分およびプレB細胞(CD43−/B220+)画分の分析(図8)は、BAFF Tgマウスおよびコントロール同腹子が、類似であることを示した。これらのデータは、BAFFの過剰発現が、末梢における成熟B細胞の増殖に影響しているが、骨髄における前駆B細胞の増殖には影響していないことを示す。脾臓におけるB細胞部分集団のFACSによる分析は、コントロールマウスと比較した場合、BAFF Tgマウスにおける辺縁層(MZ)B細胞の上昇した割合を示した(表3)。新しく形成されたB細胞の画分が、BAFF Tgマウスにおいてわずかに減少するのに対して、小胞B細胞の集団は、BAFF Tgマウスおよびコントロールマウスの両方において釣り合ったままであった(表3)。この結果はまた、B220+脾臓B細胞において、抗CD38対抗CD24
抗体および抗IgM対抗IgD抗体を使用して、そして先に記載された(Oliverら、1997)ようにMZ B細胞集団についてCD38hi/CD24+およびIgMhi
IgDloのそれぞれで分析して確認した(データは示さず)。抗マウスIgM抗体を使用する免疫組織化学分析は、コントロールマウスと比較した場合、BAFF Tgマウスの脾臓におけるIgMブライト(bright)MZ B細胞領域の拡大を示した(データは示さず)。全てのBAFF Tg B220+脾臓B細胞はまた、コントロールマウス
由来の脾臓B細胞と比較して、より高レベルのMHCクラスII(表3)およびBcl−2(データは示さず)を発現し、このことは、脾臓B細胞およびPBL由来のB細胞は、活性化状態であることを示す。
【0095】
(実施例4 BAFF Tgマウスは、それらの血清中に高レベルの全免疫グロブリン、リウマチ因子および循環免疫複合体を有する)
BAFF Tgマウスにおける上昇したB細胞画分は、これらの動物の血液中の全Igのレベルをまた、上昇し得ることを示唆した。BAFF Tgマウスおよびコントロール同腹子由来の血清のSDS−PAGE分析は、重鎖IgGバンドおよび軽鎖IgGバンドが、コントロール血清と比較して、4匹のBAFF Tgマウスのうち3匹において、少なくとも10倍よりも多いことを示した(図9A)。同様に、BAFF Tgマウス由来の血清に対するELISA測定は、コントロールマウスのELISA測定と比較した場合、有意に高い全Igレベルを示す(図9B)。
【0096】
SDS−PAGEによって示される高レベルにもかかわらず、いくらかのマウス(例えば、697−5、816−8−3および823−20)におけるELISA測定により示される過度の高レベルのIgは、血清中のリウマチ因子(RF)、またはIgGのFcフラグメント上の抗原決定基に対する自己抗体の存在を推測することにつながる(Jefferis,1995)。これらの抗体は、ELISAプレートを被覆するために使用したヤギ抗マウスIgに結合し得、そして間違って高い値を与え得る。ELISAプレートを、通常の無関係のヤギIgで被覆して、そしてBAFF Tg Igの通常のヤギIgへの結合を測定した。図9Cは、ほとんどのBAFF Tgマウス由来の血清が、通常のヤギIgと反応するIgを含んでいたが、これに対して、19匹のコントロールマウスのうち2匹だけが、同様のアッセイにおいて反応性を示したことを示す。これらのRFは、主にIgMアイソタイプ、IgAアイソタイプおよびIgG2aアイソタイプのRFである(データは示さず)。
【0097】
RFの存在は、血液中の高レベルの循環免疫複合体(CIC)およびクリオグロブリンの存在と関連し得る(Jefferis,1995)。BAFF Tgマウスが、異常な血清レベルのCICを有するか否かを実証するために、Clqベース結合アッセイを使用して、上記の分析された21匹のBAFF TgマウスにおいてCICを検出した。5匹のBAFF Tgマウスのみが、コントロールマウスと比較した場合、有意に高いレベルのCICを示したが、それにも関わらず、これらのマウスは、最も高い全Igレベルおよびリウマチ因子レベルを有する動物と一致した(図9D)。本発明者らはまた、BAFF
Tgマウス血清を水で1/15に希釈した場合、沈殿形成を観察したが、コントロール血清では、観察されず、このことは、これらのBAFF Tgマウスにおけるクリオグロブリンの存在を示す(データは示さず)。従って、BAFF Tgマウスは、B細胞増殖に加えて、RFおよびCICに関連する重篤な高グロブリン血症を示す。
【0098】
(実施例5 何匹かのBAFF Tgマウスは、高レベルの抗一本鎖(ss)DNA自己抗体および抗二本鎖(ds)DNA自己抗体を有する)
最初に、本発明者らは、本発明者らの創始マウスのうち2匹において狼瘡様疾患の腎臓異常レミニッセントを観察した(表II)。抗DNA自己抗体の存在はまた、SLE患者またはSLC様(SWR×NZB)F1(SNF1)マウスにおいて、記載されている(Dattaら、1987)。抗ssDNA自己抗体レベルを、最も高いレベルの全血清Igを有することが先に示されたBAFF Tgマウスにおいて、検出した(図10A)。本発明者らは、5匹のコントロール同腹子と平行して、ssDNAに対する抗体に対して陰性の2匹のBAFF Tgマウス(697−5および816−1−1)および抗dsDNA抗体の存在に対して抗ssDNA抗体を分泌する3匹のトランスジェニックマウス(820−14、816−8−3および820−7)の血清を分析した。BAFF Tgマウスはまた、抗dsDNAを分泌したが、分泌のレベルは、抗ssDNA抗体の分泌のレベルと必ずしも相関していたわけではなかった。なぜなら、検出可能なレベルの抗ssDNA抗体を含まないBAFF Tgマウス697−5由来の血清が、抗dsDNAの存在に対して明らかに陽性であったからである(図10B)。従って、最も重篤な高グロブリン血症を示すBAFF Tgマウスは、病理学的レベルの抗DNA自己抗体を分泌する。さらに、そしてこれらのマウスにおける狼瘡様問題のレミニッセントもまた示し、本発明者らは、分析した6匹のBAFF Tgマウスの腎臓において、免疫グロブリン沈着を検出した(図10C)。これらのマウスのうち3匹は、検出可能なレベルの抗DNA抗体を分泌しなかった(データは示さず)。
【0099】
(実施例6 BAFF Tgマウスは、脾臓および腸間膜リンパ節(MLN)の両方において増大したB細胞小胞、多数の胚芽中心、減少した樹状細胞数そして上昇した血漿細胞数を有する) BAFF Tgマウスは、大きな脾臓、MNL(データは示さず)およびパイアー斑を有する(図11)。免疫組織化学は、BAFF Tgマウスにおいて増大したB細胞小胞および減少した末梢小動脈リンパシート(PALSまたはT細胞領域)の存在を示した(図12B)。興味深いことには、ごくわずかの胚芽中心を非免疫化コントロール同腹子において観察し(そして一般的にこのコロニーを代表する)、そしてこれらの存在は、免疫の非存在下で多数の胚芽中心を有するBAFF Tgマウス(図12D)に対して小さかった(図12C)。コントロールマウスのT細胞領域および辺縁層における樹状細胞に対する抗CD11cでの染色(図12E)は、BAFF Tgマウス(図12F)において、かなり減少した。Syndecan−1陽性形質細胞は、コントロール同腹子由来の脾臓においてほとんど検出可能ではなかったが(図12G)、BAFF Tgマウスの赤色脾髄は、なおsyndecan−1に対して強陽性であった(図12H)。非常によく似た観察が、MLNについてもなされた(図13)。BAFF TgマウスのMNLにおいて、B細胞領域は、正常の節と対照的に劇的に拡大した(図13B)。ここでB細胞小胞は、代表的な副皮質のT細胞領域を有する被膜の下の末梢の節で容易に認識可能であった(図13A)。BAFF Tgマウス由来のMLNの髄質は、おそらく形質細胞であるsyndecan−1陽性細胞で満たされた(図13H)。結論として、BAFF Tgマウスにおける二次リンパ器官の分析は、多細胞異常および強い免疫活性を示す増殖したB細胞表現型と一致した。
【0100】
(参考文献)
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【0101】
【表1】


【0102】
【表2】


【0103】
【表3】

【0104】
本発明により、例えば、以下が提供される:
(項目1) 動物においてB細胞増殖を刺激する方法であって、以下:
(a)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメント;
(b)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよび抗μ抗体;
(c)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよびCD40リガンド;ならびに
(d)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよび抗CD40リガンド分子、
からなる群より選択される、治療有効量の組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目2) 動物において免疫グロブリンの産生を刺激する方法であって、以下:
(a)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメント;
(b)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよび抗μ抗体;
(c)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよびCD40リガンド;
(d)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよび抗CD40リガンド分子、
からなる群より選択される、治療有効量の組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目3) 動物においてB細胞増殖および免疫グロブリン産生を同時刺激する方法であって、以下:
(a)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメント;
(b)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよび抗μ抗体;
(c)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよびCD40リガンド;ならびに
(d)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよび抗CD40リガンド分子、
からなる群より選択される、治療有効量の組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目4) 樹状細胞誘導性B細胞増殖および成熟を刺激する方法であって、以下:
(a)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメント;
(b)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよび抗μ抗体;
(c)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよびCD40リガンド;ならびに
(d)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよび抗CD40リガンド分子、
からなる群より選択される、治療有効量の組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目5) 前記BAFFリガンドが可溶性BAFFリガンドである、請求項1〜4に記載の方法。
(項目6) 前記可溶性BAFFリガンドが組換えBAFFリガンドである、項目5に記載の方法。
(項目7) 前記抗CD40分子がモノクローナル抗体である、項目1〜4に記載の方法。
(項目8) 前記動物が哺乳動物起源である、項目1〜4に記載の方法。
(項目9) 前記哺乳動物がヒトである、項目8に記載の方法。
(項目10) 動物においてB細胞増殖を阻害する方法であって、以下:
(a)抗BAFFリガンド分子またはその活性なフラグメント;
(b)組換え無効性BAFFリガンド分子またはその活性なフラグメント;
(c)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントに特異的な抗体;および
(d)BAFFリガンドレセプターまたはそのエピトープに特異的な抗体、
からなる群より選択される、治療有効量の組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目11) 動物において免疫グロブリン産生を阻害する方法であって、以下:
(a)抗BAFFリガンド分子またはその活性なフラグメント;
(b)組換え無効性BAFFリガンド分子またはその活性なフラグメント;
(c)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントに特異的な抗体;および
(d)BAFFリガンドレセプターまたはそのエピトープに特異的な抗体、
からなる群より選択される、治療有効量の組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目12) 動物においてB細胞増殖および免疫グロブリン産生を同時阻害する方法であって、以下:
(a)抗BAFFリガンド分子またはその活性なフラグメント;
(b)組換え無効性BAFFリガンド分子またはその活性なフラグメント;
(c)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントに特異的な抗体;および
(d)BAFFリガンドレセプターまたはそのエピトープに特異的な抗体、
からなる群より選択される、治療有効量の組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目13) 動物において樹状細胞誘導性B細胞増殖および成熟を阻害する方法であって、以下:
(a)抗BAFFリガンド分子またはその活性なフラグメント;
(b)組換え無効性BAFFリガンド分子またはその活性なフラグメント;
(c)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントに特異的な抗体;および
(d)BAFFリガンドレセプターまたはそのエピトープに特異的な抗体、
からなる群より選択される、治療有効量の組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目14) 前記抗BAFFリガンドが可溶性である、項目10〜13に記載の方法。
(項目15) 前記可溶性抗BAFFリガンドが組換え抗BAFFリガンドである、項目14に記載の方法。
(項目16) 前記抗BAFF抗体がモノクローナル抗体である、項目10〜13に記載の方法。
(項目17) 前記抗BAFFレセプター抗体がモノクローナル抗体である、項目10〜13に記載の方法。
(項目18) 自己免疫疾患を処置する方法であって、以下:
(a)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメント;
(b)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよび抗μ抗体;
(c)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよびCD40リガンド;
(d)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよび抗CD40リガンド分子;
(e)抗BAFFリガンド分子またはその活性なフラグメント;
(f)組換え無効性BAFFリガンド分子またはその活性なフラグメント;
(g)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントに特異的な抗体;ならびに
(h)BAFFリガンドレセプターまたはそのエピトープに特異的な抗体、
からなる群より選択される、治療有効量の組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目19) BAFFリガンドに関連する障害を処置する方法であって、以下:
(a)BAFF関連分子をコードする遺伝子を含む、治療有効量のベクターを、所望の細胞中に導入する工程;および
(b)該細胞中に該遺伝子を発現させる工程、
を包含する、方法。
(項目20) 項目19に記載の方法であって、前記BAFF関連分子が、以下:
(a)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメント;
(b)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよび抗μ抗体;
(c)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよびCD40リガンド;
(d)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよび抗CD40リガンド分子;
(e)抗BAFFリガンド分子またはその活性なフラグメント;
(f)組換え無効性BAFFリガンド分子またはその活性なフラグメント;
(g)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントに特異的な抗体;ならびに
(h)BAFFリガンドレセプターまたはそのエピトープに特異的な抗体、
からなる群より選択される、方法。
(項目21) 前記BAFFリガンドが可溶性BAFFリガンドである、項目18〜20に記載の方法。
(項目22) 前記可溶性BAFFリガンドが組換えBAFFリガンドである、項目21に記載の方法。
(項目23) 前記抗CD40分子がモノクローナル抗体である、項目18〜20に記載の方法。
(項目24) 前記抗BAFFリガンドが可溶性である、項目18〜20に記載の方法。
(項目25) 前記可溶性抗BAFFリガンドが組換え抗BAFFリガンドである、項目24に記載の方法。
(項目26) 前記抗BAFF抗体がモノクローナル抗体である、項目18〜20に記載の方法。
(項目27) 前記抗BAFFレセプター抗体がモノクローナル抗体である、項目18〜20に記載の方法。
(項目28) 細胞死を誘導する方法であって、レセプターに対するBAFFリガンドの結合を妨害し得る薬剤を投与する工程を包含する、方法。
(項目29) BAFFリガンドとそのレセプターとの間のシグナル伝達経路に関与する免疫応答を処置、抑制または変更する方法であって、該BAFFリガンドとそのレセプターとの間の結合を妨害し得る、有効量の薬剤を投与する
工程を包含する、方法。
(項目30) 炎症を阻害する方法であって、BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントに特異的な、治療有効量の抗体を投与する工程を包含する、方法。
(項目31) 炎症を阻害する方法であって、BAFFリガンドレセプターまたはそのエピトープに特異的な、治療有効量の抗体を投与する工程を包含する、方法。
(項目32) 造血細胞の発達を調節する方法であって、治療有効量のBAFFリガンドまたはその活性なフラグメントを投与する工程を包含する、方法。
(項目33) BAFFリガンドとそのレセプターとの間のシグナル伝達経路に関与する免疫応答を処置、抑制または変更する方法であって、該BAFFリガンドとそのレセプターとの間の結合を妨害し得る、有効量の薬剤を投与する工程を包含する、方法。
(項目34) 動物において高血圧を処置する方法であって、治療有効量のB細胞増殖インヒビターを投与する工程を包含する、方法。
(項目35) 項目34に記載の方法であって、前記B細胞増殖インヒビターが、以下:
(e)抗BAFFリガンド分子またはその活性なフラグメント;
(f)組換え無効性BAFFリガンド分子またはその活性なフラグメント;
(g)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントに特異的な抗体;および
(h)BAFFリガンドレセプターまたはそのエピトープに特異的な抗体、
からなる群より選択される、方法。
(項目36) 前記抗BAFFリガンドが可溶性である、項目35に記載の方法。
(項目37) 前記可溶性抗BAFFリガンドが組換え抗BAFFリガンドである、項目36に記載の方法。
(項目38) 前記抗BAFF抗体がモノクローナル抗体である、項目35に記載の方法。
(項目39) 前記抗BAFFレセプター抗体がモノクローナル抗体である、項目35に記載の方法。
(項目40) 前記動物が哺乳動物起源である、項目35に記載の方法。
(項目41) 前記哺乳動物がヒトである、項目40に記載の方法。
(項目42) 動物において高血圧を処置する方法であって、治療有効量の、B細胞増殖および免疫グロブリン分泌のコインヒビターを投与する工程を包含する、方法。
(項目43) 動物において心血管障害を処置する方法であって、治療有効量のB細胞増殖インヒビターを投与する工程を包含する、方法。
(項目44) 動物において心血管障害を処置する方法であって、治療有効量の、B細胞増殖および免疫グロブリン産生のコインヒビターを投与する工程
を包含する、方法。
(項目45) 動物において腎障害を処置する方法であって、治療有効量のB細胞増殖インヒビターを投与する工程を包含する、方法。
(項目46) 動物において腎障害を処置する方法であって、治療有効量の、B細胞増殖および免疫グロブリン産生のコインヒビターを投与する工程を包含する、方法。
(項目47) B細胞リンパ増殖性障害を処置する方法であって、治療有効量のB細胞増殖インヒビターを投与する工程を包含する、方法。
(項目48) 複数の免疫抑制疾患の処置においてB細胞産生を刺激する方法であって、以下:
(e)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメント;
(f)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよび抗μ抗体;
(g)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよびCD40リガンド;
(h)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよび抗CD40リガンド分子;
(i)抗BAFFリガンド分子またはその活性なフラグメント;
(j)組換え無効性BAFFリガンド分子またはその活性なフラグメント;
(k)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントに特異的な抗体;ならびに
(l)BAFFリガンドレセプターまたはそのエピトープに特異的な抗体、
からなる群より選択される、治療有効量の組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目49) 1つの免疫抑制疾患の処置においてB細胞産生を刺激する方法であって、
(i)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメント;
(j)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよび抗μ抗体;
(k)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよびCD40リガンド;
(l)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントおよび抗CD40リガンド分子;
(m)抗BAFFリガンド分子またはその活性なフラグメント;
(n)組換え無効性BAFFリガンド分子またはその活性なフラグメント;
(o)BAFFリガンドまたはその活性なフラグメントに特異的な抗体;ならびに
(p)BAFFリガンドレセプターまたはそのエピトープに特異的な抗体、
からなる群より選択される、治療有効量の組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目50) 前記免疫抑制疾患がHIVである、項目49に記載の方法。
(項目51) 前記免疫抑制疾患が器官移植と関連している、項目50に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−87145(P2012−87145A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−12379(P2012−12379)
【出願日】平成24年1月24日(2012.1.24)
【分割の表示】特願2008−303135(P2008−303135)の分割
【原出願日】平成12年1月25日(2000.1.25)
【出願人】(592221528)バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド (224)
【出願人】(501223984)
【Fターム(参考)】