説明

免疫活性化組成物

本発明は免疫活性化組成物を提供する。一般的に、免疫活性化組成物は1つの抗原ペプチドと共有結合する少なくとも1つのIRM部分を包含する少なくとも部分的に精製された複合体を包含する。ある実施形態において、免疫活性化組成物はモノマー複合体を含有してよい。他の実施形態において、免疫活性化組成物は複合体及び少なくとも1つの他の抗原ペプチドの凝集体(例えば、他の複合体及び/または非複合体ペプチド)を包含する。本発明はまた、かかる免疫活性化組成物の使用方法を提供する。ある実施形態において、この方法は免疫活性化組成物を免疫細胞に接触させることによる免疫反応の誘導を包含する。他の実施形態において、本方法は、病状における少なくとも1つの症状又は臨床的徴候を改善するのに有効な量で被験者に免疫活性化組成物を投与することによる病状の治療を包含する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
免疫系における特定の重要な態様を刺激し、並びに特定の他の態様を抑制することで作用する新規の薬剤化合物の開発に対して、近年、著しい成果と共に大きな努力がなされて来た(例えば米国特許第6,039,969号及び第6,200,592号を参照)。これらの化合物は、本明細書において免疫反応修飾物質(IRM)と表されるが、トール様受容体(TLR)として既知の基本的な免疫系メカニズムにおいて特定のサイトカインの生合成、共刺激分子の誘導、及び抗原提示能力の向上を誘導するように働くと思われる。それらは多岐にわたる疾患及び病状の治療に有用であり得る。例えば、特定のIRMがウイルス性疾患(例えば、ヒトパピローマ・ウイルス、肝炎、ヘルペス)、腫瘍形成(例えば、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、光線角化症、黒色腫)、及びTH2−媒介疾患(例えば、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎)、自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症)の治療に有用であり得、ワクチン補助剤としても有用である。
IRM化合物の多くが有機小分子イミダゾキノリンアミン誘導体(例えば米国特許第4,689,338号を参照)であるが、他の多くの化合物の分類が知られており(例えば、米国特許第5,446,153号、同第6,194,425号、及び同第6,110,929号を参照)、さらに発見されている。CpGを包含するオリゴヌクレオチドのような他のIRMは高分子量を有する(例えば、米国特許第6,194,388号を参照)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
IRMにおける優れた治療的可能性を考慮すると、既に重要な功績が果たされているにもかかわらず、その使用と治療的利益を拡大する必要性は実質的に継続している。
【課題を解決するための手段】
【0003】
抗原ペプチドへのIRMの複合は1つ以上の免疫反応性画分を生成し、その各々は、単なるIRMと抗原ペプチドの混合物よりも免疫反応を生成する能力の高い物質を含有することが分かっている。さらに、免疫反応性画分は分離可能であり、免疫活性化組成物を製造するために、その画分を少なくとも部分的に精製し、1つ以上の精製された画分を使用する可能性を提供する。
【0004】
したがって、本発明は免疫活性化組成物を提供する。一般的に、免疫活性化組成物はIRM/抗原複合体を形成するのにIRM部分に共有結合する少なくとも1つの抗原ペプチドを包含する少なくとも部分的に精製された抗原複合体を包含する。
【0005】
ある実施形態において、免疫活性化組成物はIRM部分及び少なくとも2つの抗原ペプチドを包含し、そのうちの少なくとも1つの抗原ペプチドは前記IRM部分と共有結合する、少なくとも部分的に精製された抗原凝集体を包含してよい。他の実施形態において、免疫活性化組成物は抗原ペプチドに共有結合する少なくとも1つのIRM部分を包含する少なくとも部分的に精製されたモノマー複合体を包含してよい。ある実施形態において、免疫活性化組成物は少なくとも部分的に精製された抗原凝集体及び少なくとも部分的に精製されたモノマー複合体の混合物を包含してよい。ある実施形態において、免疫活性化組成物はワクチンであってよい。
【0006】
他の態様において、本発明はIRM化合物及び抗原ペプチドの混合物を提供し;少なくとも1つのIRM部分を抗原ペプチドに共有結合させて少なくとも2つの免疫活性化画分を混合物から形成し;第2の免疫活性化画分の少なくとも一部から1つの免疫活性化画分の少なくとも一部を分離することを包含する免疫活性化組成物の作製方法も提供する。
【0007】
ある実施形態において、1つの免疫活性化画分は抗原凝集体を含有してよい。他の実施形態において、1つの免疫活性化画分はモノマー複合体を含有してよい。さらに他の実施形態において、免疫活性化画分はある抗原凝集体及びあるモノマー複合体を含有してよい。
【0008】
他の態様において、本発明は抗原特異的な免疫反応を誘導する方法であって、一般的に免疫細胞と、IRM部分に共有結合する少なくとも1つの抗原ペプチドを包含する少なくとも部分的に精製されたIRM/抗原複合体を包含する免疫活性化組成物との接触を包含する方法を提供する。ある実施形態において、IRM/抗原複合体はモノマー複合体であってよい。他の実施形態において、免疫活性化組成物は、遊離抗原ペプチド又は第2のIRM/抗原複合体の抗原ペプチド部分であってよい少なくとも1つの他の抗原ペプチドと非共有結合関係にあるIRM/抗原複合体を包含する抗原凝集体を包含してもよい。
【0009】
さらに他の態様において、本発明は病状を治療する方法であって、一般的に被験者に病状の予防的又は治療的な処置を提供するのに有効な量で少なくとも部分的に精製されたIRM/抗原複合体を包含する免疫活性化組成物の投与を包含する方法を提供する。ある実施形態において、IRM/抗原複合体はモノマー複合体であってよい。他の実施形態において、免疫活性化組成物は、遊離抗原ペプチド又は第2のIRM/抗原複合体の抗原ペプチド部分であってよい少なくとも1つの他の抗原ペプチドと非共有結合関係にあるIRM/抗原複合体を包含する抗原凝集体を包含してもよい。
【0010】
本発明の様々な他の特徴及び利点が、以下の詳細な説明、実施例、請求の範囲及び添付の図面とともに容易に明らかになるであろう。明細書を通して数箇所において、実施例を列挙することで指針が提供される。それぞれの事例において、列挙される一覧は代表的な群としてのみ与えられるのであって、限定的な一覧として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は一般的に、免疫反応を効果的に生成する製剤、及び場合によっては特定の病状を治療する方法を包含する免疫反応を生成する方法を提供する。一般的に、この製剤は抗原ペプチド及び免疫反応修飾物質(IRM)の複合体を包含する。いくつかの場合において、この製剤はモノマー性、つまり単一の抗原ペプチドを包含してよい。他の場合において、この製剤は抗原ペプチドの凝集体を包含することができる。
【0012】
いずれの場合においても、IRM/抗原複合体製剤は抗原単体、IRM単体、又はIRM及び抗原の混合物よりもより効果的に免疫反応を増加することができる。したがって、本発明の免疫活性化組成物はその一部である抗原ペプチドに対する免疫反応の増加をもたらし得る。免疫活性化組成物において抗原ペプチドの免疫原性を増加するのは、例えば、所望の結果を達成するための免疫活性化組成物の投与量の減少、免疫活性化組成物の有効性の向上又は達成、治療の迅速化又は完全化、免疫活性化組成物に関する副作用の軽減、又は低コスト化のような1つ以上の利点を提供することができる。
【0013】
例えば、特定のワクチンは複数の抗原ペプチドを包含し、その中のいくつか(例えばトキソイド)は、例えば、痛み、腫脹、圧痛等の望まない副作用を起こし得る。本発明を実施することで、所望のレベルの免疫反応を提供するのに特定の抗原ペプチドをさほど必要としないように、免疫活性化組成物の特定の抗原ペプチド(例えばワクチントキソイド)に対する免疫反応を十分に増加するので、それによって抗原ペプチドの望まない副作用が削減又は消滅される。
【0014】
所望の免疫反応を達成する免疫活性化組成物の各抗原ペプチドをさほど必要としないということは、(a)例えば特定の抗原ペプチドを得る又は配合するのに費用がかかるような際に免疫活性化組成物の製造を低コスト化する、又は(b)例えば免疫活性化組成物の特定の抗原ペプチドが希少であるか又は極端に高価であるような際により広い免疫活性化組成物の分配を可能とする。
【0015】
また、抗原ペプチドを本発明の免疫活性化組成物に混合することで、病状の効果的な治療を提供する抗原ペプチドの有効性を向上するか又は達成を助けることができる。したがって、特定の病状を治療するのに有効であると見なされる十分な免疫反応を誘導できない他の免疫活性化組成物に混合した抗原ペプチドであっても本発明の免疫活性化組成物に混合することで、病状の治療における有効性を提供する十分な免疫反応が引き起こされる。
【0016】
部分的に精製されたモノマー複合体及び部分的に精製された凝集体の双方は、抗原及びIRMの非複合混合物より抗原特異性免疫反応においてより強力な誘導物質であるが、凝集体は一般的にモノマー複合体よりも強力である。したがって、自身に対する抗原特異的免疫反応の程度を調節できるものは、免疫活性化組成物中の凝集体及びモノマー複合体の相対量を調節することで増加する。
【0017】
したがって、1つの態様において、本発明は免疫活性化組成物を提供する。一般的に、免疫活性化組成物はIRM/抗原複合体を形成するのにIRM部分に共有結合する少なくとも1つの抗原ペプチドを包含する少なくとも部分的に精製された抗原複合体を包含する。ある実施形態において、免疫活性化組成物は1つの複合体分子につき単一の抗原ペプチドを有する実質的にはモノマー性である複合体を包含する。他の実施形態において、免疫活性化組成物は少なくとも1つの追加の抗原ペプチドと非共有結合関係にあるIRM/抗原複合体分子を含む凝集体を包含する。追加の抗原ペプチドは、他のIRM/複合体分子であるか、又は非複合体であって遊離抗原ペプチドである。ある実施形態において、免疫活性化組成物は、実質的に均質な抗原ペプチドの集合を包含し得るが、他の実施形態において免疫活性化組成物は少なくとも2つの異なる抗原ペプチドを包含し得る。ある実施形態において、免疫活性化組成物は少なくとも1つの部分的に精製されたモノマー複合体及び少なくとも1つの部分的に精製された抗原凝集体の混合物を包含してよい。
【0018】
他の態様において、本発明は免疫活性化組成物の作製方法を提供する。一般的に、この方法は、IRM分子と抗原ペプチド分子の混合物を提供し、抗原凝集体を形成させ、それによって混合物の非凝集部分も定め、混合物の非凝集部分の少なくとも一部から抗原凝集体の少なくとも一部を分離することを包含する。
【0019】
さらに他の態様において、本発明は免疫活性化組成物の使用方法を提供する。一般的に、この方法は、抗原特異的免疫反応、つまり免疫活性化組成物中に包含される抗原ペプチドに対する直接的な免疫反応を引き起こすための、少なくとも部分的に精製された凝集体又は少なくとも部分的に精製されたモノマーIRM/抗原複合体を包含する免疫活性化組成物の使用を包含する。ある実施形態において、特定の病状の型によって影響される細胞(例えば、腫瘍細胞又はウイルスに感染した細胞)に対する免疫反応の発生を可能とする。かかる免疫反応は、例えば、ガン、ウイルス感染、細菌感染等のような病状に対する免疫学的治療を提供できる。
【0020】
本明細書で使用する時、以下の用語は指示された意味を有する:
「改善する」は、特定の病状における症状又は臨床的徴候の特性において、程度、重症度、頻度及び/又は可能性における任意の削減を表す。
【0021】
「抗原」及びその変形は、免疫反応の標的となるのが可能な任意の物質を表す。例えば、抗原は被験者の有機体によって起こる細胞媒介及び/又は体液性免疫反応の標的であってよい。或いは、免疫細胞と接触する際、抗原は細胞免疫反応(例えば、免疫細胞成熟、サイトカイン製造、抗体製造等)の標的であってよい。
【0022】
「部分」及びその変形は、例えば特定の生物学的(例えば免疫修飾)又は化学的機能(例えば光反応性)のような特定の特性を示す化合物の一部分を表す。本発明による組成物に関して、用語「部分」は、その他の化合物又はそれらの一部分に結合する際に、結果として生じる結合された免疫活性化組成物の一部分となり得る非結合化合物又はそれらの一部分を表すのに使用され得る。
【0023】
「ペプチド」は配列の長さや自然発生であるか又は合成であるかに関わらず、アミノ酸残基配列を表す。したがって、用語「ペプチド」は少なくとも2つのアミノ酸を有する任意のアミノ酸配列を表し、全長タンパク質、場合によってはポリタンパク質を包含する。
【0024】
「治療」又はその変形は、病状に関連する症状又は徴候の任意の程度における削減、進行の制限、改善、又は解消を表す。
【0025】
本明細書で使用する時、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」は、同じ意味で使用される。したがって、例えば、「1つの(an)」抗原ペプチドを含むIRM/抗原ペプチドは、少なくとも1つの抗原ペプチドを包含するIRM/抗原ペプチド凝集体を意味すると解釈される。
【0026】
指示がない限り、化合物に関する参照には、任意の異性体(例えば、ジアステレオマー又はエナンチオマー)、塩、溶媒和物、多形体などを包含する任意の製薬上許容できる形態中の化合物を包含し得る。特に、化合物が光学活性である場合、化合物に関する参照は各化合物のエナンチオマー並びにエナンチオマーのラセミ混合物を包含する。
【0027】
また本明細書において、端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包含されるすべての数(例えば1から5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5、など)が包含される。
【0028】
上述のように、IRM化合物は特定のサイトカインの生合成を誘導し、共刺激分子を誘導し、抗原提示能を向上することが知られている。結果として、IRM化合物は多岐にわたる疾患及び病状を治療するのに有用であり得る。さらに、米国特許公報第US2004/0091491号に記載されるように、免疫反応を調節するIRM化合物の能力は、抗原提示細胞(APC)への抗原及びIRM化合物の共提示によって増加する。
【0029】
IRM及び抗原を共提示する1つの方法は、IRM抗原複合体を形成するために、まずIRMと抗原を共有結合する。実行可能である1つの方法は、紫外線に曝露された際に反応性を持つ光学活性部分を有するIRM化合物を使用する。溶液中で光学活性IRMとタンパク質を混合し、紫外線に曝露した際、結果として少なくとも1つのIRMと抗原タンパク質の共有結合が生じる。この技術は多くの異なるタンパク質を使用してIRM/抗原複合体を生成するのに使用されている。複合体がインビボで投与される際、IRM及び抗原が非複合混合物として一緒に投与される際よりも劇的に高いT細胞反応を産生することができる。
【0030】
先に記載されたような技術では2つ以上の免疫反応性画分を製造し、これらの各々は、単なるIRMと抗原の混合物よりも免疫反応を生成する能力の高い物質を含有することが分かっている。1画分には1つ以上のIRM部分と共有結合する単一タンパク質分子を包含し、本明細書中では「モノマー複合体」として表される。第2の画分には高分子量のタンパク種は、本明細書中で「抗原凝集体」又は単に「凝集体」と表される。
【0031】
抗原凝集体は追加のペプチド又はペプチド部分と非共有結合関係にある少なくとも1つのIRM/抗原複合体分子を包含する。したがって、凝集体は複数のIRM/抗原複合体及び/又は非複合抗原ペプチド(又は遊離)を包含する。しかしながら、全ての場合において凝集体は少なくとも1つのIRM/抗原複合体を包含し、必然的に抗原ペプチドと共有結合する少なくとも1つのIRM部分を包含する。単一IRM/抗原複合体が複数のIRM部分を包含し、凝集体は複数のIRM/抗原複合体を包含するので、凝集体は多くのIRM部分を包含し得る。
【0032】
画分における複合反応生成物の化学的又は物理的特性における少なくとも1つの違いに基づいて、モノマー複合体を含有する画分を、凝集体を含有する画分から分離することができる。かかる分離の結果、少なくとも部分的に精製された一連の画分となる。本明細書で使用する時、「少なくとも部分的に精製された」は、非精製出発物質と比較して任意の程度で特定の構成成分(例えばモノマー複合体又はIRM/抗原ペプチド凝集体)の存在が富化されている免疫活性化製剤を表す。ある実施形態において、「少なくとも部分的に精製された」は、非精製出発物質の全タンパク質含有量(つまり光反応タンパク質+遊離タンパク質)に対して特徴付けられ得る。特定の実施形態において、「少なくとも部分的に精製された」は、非精製出発物質の光反応タンパク質含有量に対して特徴付けられ得る。
【0033】
1つの実施例において、IRMの抗原ペプチドへの複合化によって、抗原凝集体、モノマー複合体、及び遊離タンパク質の混合物を産生することができ、例えば、約10%のタンパク質が凝集体形態であり、85%のタンパク質がモノマー複合体形態であり、5%のタンパク質が遊離している。分離を実行することで、例えば凝集体の半分を含有する第1画分及び、例えば残りのタンパク質を含有する第2画分を作製することができる。本実施例において、画分における凝集体の相対量が出発物質の量よりも増加、つまり、約10%からほぼ均質にまでなっているので、第1の画分は凝集体の少なくとも部分的に精製された試料であると見なすことができる。除去された凝集体のいくらかが第1画分に入ることによってモノマー複合体が富化されるので、本実施例における第2画分はモノマー複合体の少なくとも部分的に精製された試料であると見なすことができる。
【0034】
複合体反応生成物は、例えば、分子量、電荷、寸法等の任意の好適な化学的又は物理的特性に基づいて分離され得る。かかる分離における技術としては、例えば、クロマトグラフィー(例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLCを包含する)、電気泳動及び透析が周知であり、挙げられる。本明細書で使用する時「非精製出発物質」は、物質が、例えば複合体反応混合物から未反応IRM、溶媒、又は他の非タンパク性構成成分を除くための透析のような分離技術を事前に行ったかどうかにかかわらず、記載されるような分離技術が適用される物質を表す。
【0035】
精製の程度は、例えば、製剤における精製成分の濃度の増加、第2成分と比較して精製成分の分子量比又は重量/重量比の増加等のような任意の好適な条件において記載され得る。
【0036】
画分が一旦分離(つまり、少なくとも部分的に精製される)されると、各画分は免疫反応を誘導する能力を向上することができる。図1は複合体反応生成物における様々な画分が免疫反応を誘導する能力を比較している。モノマーIRM/抗原複合体は、(a)IRM及び抗原の非複合混合物、又は(b)紫外線に曝露された抗原のどちらよりも優れた免疫反応を誘導する。凝集体はモノマー複合体以上の免疫反応を誘導する。
【0037】
特に記載がない限り、本明細書中で用語「免疫活性化組成物」は、少なくとも部分的に精製されたモノマーIRM/抗原複合体、少なくとも部分的に精製された抗原凝集体、又はその双方を包含する組成物を表す。特に記載がない限り、IRM化合物及び抗原はモノマー複合体又は抗原凝集体のどちらかを調製するのに有用であり得る本発明の免疫活性化組成物の調製に使用するのに好適であると特徴付けられる。
【0038】
ある実施形態において、免疫活性化組成物は少なくとも1つのIRM部分及び少なくとも2つの抗原ペプチドを包含し、そのうちの少なくとも1つの抗原ペプチドは前記IRM部分と共有結合する少なくとも部分的に精製された抗原凝集体を包含する。他の実施形態において、免疫活性化組成物は抗原ペプチドに共有結合する少なくとも1つのIRM部分を包含する少なくとも部分的に精製されたモノマーIRM/抗原複合体を包含する。さらに他の実施形態において、免疫活性化組成物は2つ以上の部分的に精製された抗原凝集体製剤、2つ以上の部分的に精製されたモノマー複合体製剤、又は少なくとも1つの部分的に精製された凝集体製剤及び少なくとも1つの部分的に精製されたモノマー複合体製剤の混合物を包含してよい。
【0039】
抗原ペプチドは、例えば微生物抗原又は腫瘍抗原のような任意の好適な抗原であるか、又はその抗原から得られてよい。抗原部分の形態はタンパク質、タンパク質の抗原フラグメント、リポタンパク質、グリコタンパク質、又は特定の場合においてはポリタンパク質であってよい。
【0040】
本明細書で使用される微生物抗原は、例えば、ウイルス、細菌、寄生生物、又は菌類の抗原である。したがって、微生物抗原は天然、全長微生物タンパク質、ポリタンパク質、又は天然微生物タンパク質のフラグメントであってよい。或いは、微生物抗原は、微生物抗原に対する免疫反応(体液及び/又は細胞)を誘導する天然の微生物抗原と全く同一か実質的に同じである合成化合物であってよい。かかる抗原は当該技術分野において日常的に使用され、当業者にも周知である。
【0041】
抗原ペプチドはウイルス抗原であるか、ウイルス抗原から得られてよい。ヒト病原体に対する免疫反応を誘発することのできるウイルス抗原は、例えば、HIV−1(例えば、tat、nef、gp120、gp160、gp40、p24、gag、pol、env、vif、vpr、vpu、rev等);ヒトヘルペスウイルス(例えば、gH、gL、gM、gB、gC、gK、gE、gD、若しくはHSV1又はHSV2からのICP27、ICP47、ICP4、又はICP36等の前初期タンパク質等);サイトメガロウイルス、特にヒト(例えば、gB等);エプスタインバーウイルス(例えばgp350等);水痘帯状疱疹ウイルス(例えば、gpI、gpII、gpIII又はIE63等);肝炎Bウイルスのような肝炎ウイルス(例えば、PreS1、PreS2、肝炎B表面抗原、肝炎Bコア抗原、又はpol)、肝炎Cウイルス、又は肝炎Eウイルス;パラミクソウイルス(例えば、呼吸器合胞体ウイルス(F及びGタンパク質等)、パラインフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス);ヒトパピローマ・ウイルス(例えば、HPV6、11、16、18、egL1、L2、E1、E2、E3、E4、E5、E6、E7、E8等);フラビウイルス(例えば、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス);ライノウイルス、コロナウイルス(例えばSARS);又はインフルエンザウイルス細胞(HA、NP、NA、又はMタンパク質等);抗原フラグメント又は適切である場合には前述の任意のポリタンパク質の抗原であるか、もしくはその抗原から誘導され得る。
【0042】
抗原ペプチドとして使用するのに好適であるか、又は抗原ペプチドが得られる細菌性抗原としては、例えば、鉄制御外膜タンパク質、(IROMP)、外膜タンパク質(OMP)、若しくはせつ腫症を引き起こすアエロモナス・サルモニシダのAタンパク質;細菌性腎臓病(BKD)を引き起こすレニバクテリウムサーモニナラムのp57タンパク質;エルシニア症の主要膜関連抗原(msa)、膜発現サイトカイン(mpr)、膜発現ヘモリシン(ish)、若しくは鞭毛抗原;パスツレラ病の細胞外タンパク質(ECP)、鉄制御外膜タンパク質(IROMP)、若しくは構造タンパク質;ビブリオ・アングイラルム若しくはビブリオ・オルダリイのOMP若しくは鞭毛タンパク質;エドワジエラ・イクタルリ若しくはエドワジエラ・タルダの鞭毛タンパク質、OMPタンパク質、aroA、又はpurA;白点病の表面抗原;サイトファーガカラムナリの構造若しくは調節タンパク質;若しくはリケッチアの構造又は調節タンパク質;又は前述の任意の抗原フラグメントが挙げられる。
【0043】
抗原ペプチドとして使用するのに好適であるか、又は抗原ペプチドが得られる寄生性ペプチドとしては、例えば、白点病の表面抗原;熱帯熱マラリア原虫からの抗原(例えば、RTS又は例えばRTS、S、TRAP、MSP1、AMA1、MSP3、EBA、GLURP、RAP1、RAP2、セクエストリン、PfEMP1、Pf332、LSA1、LSA3、STARP、SALSA、PfEXP1、Pfs25、Pfs28,Pfs27/25、Pfs16、Pfs48/45、又はPfs230等の混合物)からの抗原;又はそれらの抗原フラグメントが挙げられる。
【0044】
腫瘍抗原はペプチド又はタンパク質のような、MHC分子において抗原提示細胞表面上に発現される際、免疫反応を誘発することのできる腫瘍又はガン細胞表面に関連する化合物であってよい。例えば、コーエン(Cohen)他による1994年の「ガン研究(Cancer Research)」54:1055に記載されるように、ガン細胞の粗抽出物を調製し抗原を部分的に精製することで、例えばガン細胞から腫瘍抗原を調製することができる。或いは、腫瘍抗原は、好適な宿主内の好適なベクターからの抗原を組み換え発現するか、既知の抗原をデノボ合成するかによって得られる。腫瘍抗原の例としては全長タンパク質又は全長腫瘍抗原タンパク質の免疫原性部分のみが挙げられるが、これらに限定されるものではない。かかる抗原は、組み換え又は当該技術分野において既知の任意の他の手段によって分離又は調製することができる。
【0045】
用語「腫瘍抗原」及び「ガン抗原」は同じ意味で使用することができ、ガン細胞によって異なった形で発現する抗原を表し、したがって、腫瘍特異的免疫反応を生成するのに活用され得る。腫瘍抗原の例としては、例えば、MAGE、MART−1/Melan−A、gp100、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(ADAbp)、シクロフィリンb、結腸直腸関連抗原C017−1A/GA733、癌胎児性抗原(CEA)及びその免疫原性エピトープCAP−1及びCAP−2、etv6、aml1、前立腺特異的抗原(PSA)及びその免疫原性エピトープPSA−1、PSA−2、及びPSA−3、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、T細胞受容体/CD3−ゼータ鎖、腫瘍抗原のMAGE−ファミリー(例えば、MAGE−A1、MAGE−A2、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A5、MAGE−A6、MAGE−A7、MAGE−A8、MAGE−A9、MAGE−A10、MAGE−A11、MAGE−A12、MAGE−Xp2(MAGE−B2)、MAGE−Xp3(MAGE−B3)、MAGE−Xp4(MAGE−B4)、MAGE−C1、MAGE−C2、MAGE−C3、MAGE−C4、MAGE−C5)、腫瘍抗原のGAGEファミリー(例えば、GAGE−1、GAGE−2、GAGE−3、GAGE−4、GAGE−5、GAGE−6、GAGE−7、GAGE−8、GAGE−9)、BAGE、RAGE、LAGE−1、NAG、GnT−V、MUM−1、CDK4、チロシナーゼ、p53、MUCファミリー、HER2/neu、p21ras、RCAS1、α−フェトプロテイン、E−カドヘリン、α−カテニン、β−カテニン及びγ−カテニン、p120ctn、gp100Pmel117、PRAME、NY−ESO−1、cdc27、大腸腺腫様性ポリポーシスタンパク質(APC)、フォドリン、コネキシン37、Ig−イディオタイプ、p15、gp75、GM2及びGD2ガングリオシド、ヒトパピローマ・ウイルスタンパク質のようなウイルス性生成物、腫瘍抗原のスマッドファミリー、lmp−1、p1A、EBウイルスコード化核抗原(EBNA)−1、脳グリコーゲンフォスフォリラーゼ、SSX−1、SSX−2(HOM−MEL−40)、SSX−1、SSX−4、SSX−5、SCP−1及びCT−7、及びc−erbB−2;又は前述の任意の抗原フラグメントが挙げられる。
【0046】
特定の腫瘍抗原に関連するガン又は腫瘍には、例えば、急性リンパ性白血病(etv6;aml1;シクロフィリンb)、B細胞リンパ腫(Ig−イディオタイプ)、グリオーマ(E−カドヘリン;α−カテニン;β−カテニン;γ−カテニン;p120ctn)、膀胱ガン(p21ras)、胆道癌(p21ras)、乳ガン(MUCファミリー;HER2/neu;c−erbB−2)、子宮頸ガン(p53;p21ras)、結腸ガン(p21ras;HER2/neu;c−erbB−2;MUCファミリー)、結腸直腸癌(C017−1A/GA733;APC)、絨毛腫(CEA)、上皮細胞ガン(シクロフィリンb)、胃ガン(HER2/neu;c−erbB−2;ga733糖タンパク質)、肝細胞ガン(α−フェトプロテイン)、ホジキンリンパ腫(lmp−1;EBNA−1)、肺ガン(CEA;MAGE−3;NY−ESO−1)、リンパ細胞由来白血病(シクロフィリンb)、黒色腫(p15タンパク質、gp75、腫瘍胎児抗原、GM2及びGD2ガングリオシド)、骨髄腫(MUCファミリー;p21ras)、非小細胞肺ガン(HER2/neu;c−erbB−2)、鼻咽腔ガン(lmp−1;EBNA−1)、卵巣ガン(MUCファミリー;HER2/neu;c−erbB−2)、前立腺ガン(前立腺特異抗原(PSA)及びその免疫原性エピトープPSA−1、PSA−2、及びPSA−3;PSMA;HER2/neu;c−erbB−2)、膵臓ガン(p21ras;MUCファミリー;HER2/neu;c−erbB−2;ga733糖タンパク質)、腎臓(HER2/neu;c−erbB−2)、頸部及び食道の扁平上皮細胞癌(ヒトパピローマ・ウイルスタンパク質のようなウイルス産物)、睾丸ガン(NY−ESO−1)、T細胞白血病(HTLV−1エピトープ)、及び黒色腫(Melan−A/MART−1;cdc27;MAGE−3;p21ras;gp100Pmel117)が挙げられる。
【0047】
IRM化合物と共に使用することができる他のガン抗原は、米国特許公報第US2002/0156033号に提供される。
【0048】
特定のガンにおける予防的及び/又は治療的処置の提供方法は、例えば、米国特許公報第US2003/0161797号、同第US2004/0091491号、同第US2004/0175336号、同第US2004/0192585号、及び同第US2005/0054665号に記載されている。
【0049】
免疫活性化組成物は、抗原ペプチドの実質的に均質な集団を包含するか、或いは、2つ以上の異なる抗原ペプチドを包含する。免疫活性化組成物が抗原凝集体を包含する場合、この凝集体は2つ以上の異なる抗原ペプチドを包含してよい。免疫活性化組成物は実質的にモノマーIRM/抗原複合体のみを包含する場合、この組成物はそれぞれが異なる抗原ペプチドを有する2つ以上のモノマー複合体の集団の混合物を包含してよい。
【0050】
ある場合において、単一の抗原ペプチドは抗原ペプチドのいくつかの異なる抗原部分に対して、いくつかの明確な抗原特異的免疫反応を誘導し得る。例えば、全長タンパク質はいくつかのエピトープ、つまり、それぞれが明確な抗原特異的免疫反応を誘導できる多くの異なったアミノ酸セグメントを含有し得る。結果として、単一抗原ペプチドによる実質的に均質な集団を包含している免疫活性化組成物であっても、1つ以上の抗原特異的免疫反応、つまり、1つ以上のエピトープに対する免疫反応を産生することができる。
【0051】
モノマー複合体の混合物は、2つ以上のモノマー複合体の集団を調製し、次に、そのモノマー複合体製剤を混合することで得ることができる。或いは、モノマー複合体の混合物はIRM化合物と反応するための反応溶液中に2つ以上の抗原ペプチドを提供することで得ることができる。かかる反応は、多抗原凝集体並びにそれぞれに異なる抗原ペプチドを有するモノマー複合体集団の混合物を産生することができる。
【0052】
例えば、2つ以上の既知の抗原が特定の病状に関連している際、2つ以上の異なる抗原ペプチドを包含する免疫活性化組成物が望ましい。かかる組成物は、例えば、組成物中の各抗原に対して抗原特異的免疫反応を産生することで、組成物の投与を包含する治療の有効性を増加し得る。このようにして罹患細胞は「二重標的化」され、結果として免疫系によってより認識されやすくなる及び/又はより迅速に除去され得る。
【0053】
例えば、免疫反応が免疫原性の特性を変化させることのできる標的に対して望まれる際、2つ以上の抗原ペプチドを包含する免疫活性化組成物も望ましい。例えば、特定のウイルス性病状に対して有効なワクチンを開発する1つの試みでは、ワクチンによって誘導される免疫反応がその標的を認識せず、したがって、ウイルスを認識しないようにワクチン標的であるウイルスの抗原部分を変化することができる。1つ以上の抗原ペプチドを包含する免疫活性化組成物は、ウイルス上に多抗原標的に対する免疫反応を産生できる。したがって、ワクチンの構成成分によって誘導される免疫反応がその標的を認識できないように1つの標的抗原が変化しても、他の抗原ペプチドによって産生される免疫反応はその標的を認識し、したがって、ウイルスを認識し得る。
【0054】
IRM部分は任意の好適なIRM化合物であるか、IRM化合物から得られてよい。IRM化合物は、限定はしないが、抗ウイルス及び抗腫瘍活性を包含する強力な免疫修飾活性を有し得る。特定のIRMは、サイトカインの生成及び分泌を調節する。例えば、特定のIRM化合物は、例えば、I型インターフェロン、TNF−α、IL−1、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12、MIP−1、及び/又はMCP−1のようなサイトカインの生成及び分泌を誘導する。他の例としては、特定のIRM化合物が、IL−4及びIL−5のような特定のTH2サイトカインの生成及び分泌を阻害し得る。加えて、あるIRM化合物はIL−1及びTNF(米国特許第6,518,265号)を抑制すると言われている。
【0055】
特定のIRMは有機小分子であって(例えば、タンパク質、ペプチド、核酸のような生体巨大分子とは対照的に、約1.67E−21g(1000ダルトン)未満、好ましくは8.30E−22g(500ダルトン)未満の分子量)、これらは例えば、米国特許第4,689,338号、同4,929,624号、同5,265,575号、同5,268,376号、同5,346,905号、同5,352,784号、同5,389,640号、同5,446,153号、同5,482,936号、同5,756,747号、同6,110,929号、同6,194,425号、同6,331,539号、同6,376,669号、同6,451,810号、同6,525,064号、同6,541,485号、同6,545,016号、同6,545,017号、同6,573,273号、同6,656,938号、同6,660,735号、同6,660,747号、同6,664,260号、同6,664,264号、同6,664,265号、同6,667,312号、同6,670,372号、同6,677,347号、同6,677,348号、同6,677,349号、同6,683,088号、同6,756,382号、同6,797,718号、及び同第6,818,650号、米国特許公報第2004/0091491号、同2004/0147543号、及び同2004/0176367号、及び国際公報WO2005/18551号、同WO2005/18556号、同WO2005/20999号、同WO2005/032484号、同WO2005/048933号、同WO2005/048945号、同WO2005/051317号、同WO2005/051324号、同WO2005/066169号、同WO2005/066170号、同WO2005/066172号、同WO2005/076783号、同WO2005/079195号、同WO2005/123079号、同WO2005/123080号、同WO2006/009826号、同WO2006/026760号、同WO2006/028451号、同WO2006/028545号、同WO2006/028962号、同WO2006/029115号、及び同WO2006/038923号に記載されている。
小分子IRMのさらなる実施例としては、特定のプリン誘導体(米国特許第6,376,501号及び同6,028,076号に記載のもの等)、特定のイミダゾキノリンアミド誘導体(米国特許第6,069,149号に記載のもの等)、特定のイミダゾピリジン誘導体(米国特許第6,518,265号に記載のもの等)、特定のベンゾイミダゾール誘導体(米国特許第6,387,938号に記載のもの等)、5員窒素含有複素環に融合する4−アミノピリミジンの特定の誘導体(米国特許第6,376,501号、同6,028,076号、及び同6,329,381号、及びWO02/08905号に記載されるアデニン誘導体等)、特定の3−β−D−リボフラノシルチアゾロ[4,5−d]ピリミジン誘導体(米国特許公報第2003/0199461号に記載のもの等)、及び例えば米国特許公報第2005/0136065号に記載のもののような特定の小分子免疫相乗化合物が挙げられる。
【0056】
他のIRMは、オリゴヌクレオチド配列のような生体巨大分子を包含する。あるIRMオリゴヌクレオチド配列は、シトシン−グアニンジヌクレオチド(CpG)を含有し、例えば、米国特許第6,194,388号、同6,207,646号、同6,239,116号、同6,339,068号、及び同6,406,705号に記載される。あるCpG含有オリゴヌクレオチドは、例えば、米国特許第6,426,334号及び同6,476,000号に記載のもののような合成免疫調節構造モチーフを包含し得る。他のIRMヌクレオチド配列はCpG配列を欠き、例えば、国際特許公報WO00/75304号に記載される。さらに他のIRMヌクレオチド配列は、例えば、ヘイル(Heil)他による「科学(Science)」303巻、1526〜1529頁(2004年3月5日発行)に記載されるもののようなグアノシン及びウリジン富化一本鎖RNA(ssRNA)を包含する。
他のIRMは、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート(AGP)のような生体分子を包含し、例えば、米国特許第6,113,918号、同6,303,347号、同6,525,028号、及び同6,649,172号に記載される。
本発明のある実施形態において、IRM化合物は少なくとも1つのTLRの作用物質であって、好ましくはTLR6、TLR7、又はTLR8の作用物質であり得る。ある場合において、IRMはTLR9の作用物質であってもよい。本発明のある実施形態において、IRM化合物は小分子免疫反応調製物質(例えば、約1.67E−21g(1000ダルトン)未満の分子量)であってよい。
【0057】
ある実施形態において、IRM化合物は窒素含有5員複素環に融合する2−アミノピリジン、又は窒素含有5員複素環に融合する4−アミノピリミジンを包含してよい。
本発明に使用するのに好適な特定のIRM化合物は、窒素含有5員複素環に融合する2−アミノピリジンを有する化合物を包含する。かかる化合物には、限定はしないが、例えば、アミド置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンアミン、アルコキシ置換イミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換イミダゾキノリンアミン、複素環式エーテル置換イミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンエーテル、チオエーテル置換イミダゾキノリンアミン、ヒドロキシルアミン置換イミダゾキノリンアミン、オキシム置換イミダゾキノリンアミン、6−、7−、8−、又は9−アリール、ヘテロアリール、窒素含有ヘテロシクリル、アリールオキシ又はアリールアルキレンオキシ置換イミダゾキノリンアミン、及びイミダゾキノリンジアミンのような置換イミダゾキノリンアミン類を含むイミダゾキノリンアミン類;限定はしないが、アミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アルコキシ置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、複素環式エーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンエーテル、チオエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、ヒドロキシルアミン置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、オキシム置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、及びテトラヒドロイミダゾキノリンジアミンを包含するテトラヒドロイミダゾキノリンアミン類;限定はしないが、アミド置換イミダゾピリジンアミン、スルホンアミド置換イミダゾピリジンアミン、尿素置換イミダゾピリジンアミン、アルコキシ置換イミダゾピリジンアミン、アリールエーテル置換イミダゾピリジンアミン、複素環式エーテル置換イミダゾピリジンアミン、アミドエーテル置換イミダゾピリジンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾピリジンアミン、尿素置換イミダゾピリジンエーテル、及びチオエーテル置換イミダゾピリジンアミンを包含するイミダゾピリジンアミン類;1,2−架橋イミダゾキノリンアミン;6,7融合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン;イミダゾナフチリジンアミン;テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン;オキサゾロキノリンアミン;チアゾロキノリンアミン;オキサゾロピリジンアミン;チアゾロピリジンアミン;オキサゾロナフチリジンアミン;チアゾロナフチリジンアミン;ピラゾロピリジンアミン;ピラゾロキノリンアミン;テトラヒドロピラゾロキノリンアミン;ピラゾロナフチリジンアミン;テトラヒドロピラゾロナフチリジンアミン;及び1H−イミダゾ二量体融合ピリジンアミン;キノリンアミン;テトラヒドロキノリンンアミン、ナフチリジンアミン、又はテトラヒドロナフチリジンアミン、が挙げられる。
【0058】
特定の実施形態において、IRM化合物はイミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、チアゾロナフチリジンアミン、ピラゾロピリジンアミン、ピラゾロキノリンアミン、テトラヒドロピラゾロキノリンアミン、ピラゾロナフチリジンアミン、又はテトラヒドロピラゾロナフチリジンアミンであってよい。
【0059】
特定の実施形態において、IRM化合物は、置換イミダゾキノリンアミン、テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、1,2架橋イミダゾキノリンアミン、6,7融合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、チアゾロナフチリジンアミン、ピラゾロピリジンアミン、ピラゾロキノリンアミン、テトラヒドロピラゾロキノリンアミン、ピラゾロナフチリジンアミン、又はテトラヒドロピラゾロナフチリジンアミンであってよい。
【0060】
本明細書で使用する時、置換イミダゾキノリンアミンは、アミド置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換イミダゾキノリンアミン、複素環式エーテル置換イミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンエーテル、チオエーテル置換イミダゾキノリンアミン、ヒドロキシルアミン置換イミダゾキノリンアミン、オキシム置換イミダゾキノリンアミン、6−、7−、8−、又は9−アリール、ヘテロアリール、アリールオキシ又はアリールアルキレンオキシ置換イミダゾキノリンアミン、又はイミダゾキノリンジアミンを表す。本明細書で使用する時、置換イミダゾキノリンアミンは、具体的且つ明示的に、1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン及び4−アミノ−α,α−ジメチル−2−エトキシメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノールを除外する。
【0061】
好適なIRM化合物には、上述のようなプリン誘導体、イミダゾキノリンアミド誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、アデニン誘導体、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート、及びオリゴヌクレオチド配列が挙げられる。ある実施形態において、IRM化合物が1つ以上のTLRの作用物質として特定される化合物であってよい。
【0062】
1つの特定な実施形態において、化合物の免疫反応修飾部分は、N−[6−({2−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}アミノ)−6−オキソヘキシル]−4−アジド−2−ヒドロキシベンザミドから得られる。
【0063】
他の実施形態において、化合物の免疫反応修飾部分は、N−{2−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}−6[(3−メルカプトプロパノイル)アミノ]ヘキサンアミドから得られる。
【0064】
他の実施形態において、化合物の免疫反応修飾部分は、N−{2−[2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}−6[(3−メルカプトプロパノイル)アミノ]ヘキサンアミドから得られる。
【0065】
他の態様において、本発明は被験者において抗原特異的免疫反応を誘導する方法を提供する。一般的にこの方法は、免疫細胞と免疫細胞が免疫活性化組成物の抗原に対する免疫反応を産生するのに効果的な量で部分的に精製された抗原凝集体もしくは部分的に精製されたモノマー複合体を包含する免疫活性化組成物とを接触させることを包含する。
【0066】
他の態様において、本発明は被験者における病状の治療方法を提供する。一般的にこの方法は、病状において少なくとも1つの症状又は少なくとも1つの臨床的徴候を改善するのに効果的な量で部分的に精製された抗原凝集体又は部分的に精製されたモノマー複合体を包含する免疫活性化組成物を被験者に投与することを包含する。この方法は、予防的処置、治療的処置、又は双方を提供するのに使用され得る。本明細書で使用する時、予防的処置は病状における症状又は臨床的徴候の進行及び/又は出現の任意の程度における制限を表す。本明細書で使用する時、治療的処置は、病状に関連する1つ以上の既存の症状又は臨床的徴候を改善する治療を表す。
【0067】
免疫活性化組成物は、被験者に対する投与において好適な任意の処方で提供され得る。処方における好適な型は、例えば、米国特許第5,238,944号、米国特許第5,939,090号、米国特許第6,245,776号、欧州特許EP0 394 026号、及び米国特許公報第2003/0199538号に記載されている。本化合物は、限定はしないが、溶液、懸濁液、エマルション、又は混合物の任意の形態を包含する任意の好適な形態で提供され得る。化合物は任意の製薬上許容できる賦形剤、担体、又はビヒクルと処方中で供給され得る。例えば、この処方はクリーム、軟膏、エアゾール製剤、非エアゾールスプレー、ジェル、ローション等のような従来の局所用剤形として供給されてよい。処方はさらに、限定はしないが、補助剤、脂質、油分、粘膜接着剤、皮膚浸透助剤、着色剤、香料、香味料、保湿剤、増粘剤等を包含する1つ以上の添加物を包含してもよい。最終的に、免疫活性化組成物は、徐放又は持続効果を提供するように処方つまり、支持物質に付着し、脂質膜、脂質小胞、又はリポソームに組み込まれ、又は生分解性ポリマーマトリックス内に構成される免疫活性化組成物の分子を包含することができる。
【0068】
処方は、例えば非経口でないか又は非経口のような任意の好適な方法で投与され得る。本明細書で使用する時、非経口でないというのは経口摂取を包含する消化管を通しての投与を表す。非経口は、例えば、静脈内、筋肉内、経皮的、皮下的、経粘膜的(例えば、吸入による)、又は局所的のような、消化管以外を通しての処方を表す。
【0069】
本発明を実行するのに好適な処方の化合物は、限定はしないが、免疫活性化組成物の物理的及び化学的特性、担体の特性、意図する処方計画、被験者の免疫系の状態(例えば、抑制化、低下、刺激化)、免疫活性化組成物の投与方法、処方が投与されている種を包含する当該技術分野において既知の要因によって変化する。したがって、実行可能な用途の全てにおいて有効な処方の組成物を示すのは一般的に実用的ではない。しかしながら、当業者は、かかる要因を検討することで適切な処方を容易に決定できる。
【0070】
ある実施形態において、本発明の方法は、例えば、約0.0001%〜約10%(指示がない限り、本明細書で提供される全てのパーセントは、重量/全処方に対する重量である)の処方の被験者への免疫活性化組成物の投与を包含するが、ある実施形態における免疫活性化組成物は、この範囲外の濃度において処方され得る。特定の実施形態において、この方法は、約0.01%〜約1%の免疫活性化組成物を包含する処方、例えば、約0.1%〜約0.5%の免疫活性化組成物を包含する処方の被験者への投与を包含する。
【0071】
本発明を実行するのに効果的な免疫活性化組成物の量は、抗原特異的免疫反応誘導するのに十分な量である。抗原特異的免疫反応を誘導するのに十分である免疫活性化組成物の正確な量は、限定はしないが、免疫活性化組成物の物理的及び化学的特性、担体の特性、意図する処方計画、被験者の免疫系の状態(例えば、抑制化、低下、刺激化)、抗原の固有免疫原性、IRM部分の有効性、免疫活性化組成物の投与方法、及び処方が投与されている種を包含する当該技術分野における既知の要因によって変化する。したがって、実行可能な用途の全てにおける抗原特異的免疫反応を誘導するのに有効な免疫活性化組成物の構成量を示すのは一般的に実用的ではない。しかしながら、当業者は、かかる要因を検討することで適切な量を容易に決定できる。
【0072】
ある実施形態において、本発明の方法は例えば、被験者に対して約1mg/kg〜約50mg/kgの投与量を提供するのに十分な免疫活性化組成物の投与を包含するが、ある実施形態における方法は、この範囲外の濃度の免疫活性化組成物の投与によって実行され得る。これらの実施形態のいくつかにおいて、本方法は、被験者に対して約100mg/kg〜約10mg/kgの投与量、例えば約100μg/kg〜約5mg/kgの投与量を提供するのに十分な免疫活性化組成物の投与を包含する。1つの特定の実施形態において、本方法は、被験者に対する約1mg/kg〜約2.5mg/kgの免疫活性化組成物の投与を包含する。
【0073】
或いは、投与量は治療過程の開始直前に得られた実際の体重を使用して計算することができる。このように計算された投与量において、体積表面(m2)は治療工程の開始直前にデュボイス式:m2=(体重kg0.425×身長cm0.725)×0.007184を使用して計算される。
【0074】
ある実施形態において、本発明の方法は、例えば、約0.01mg/m2〜約10mg/m2の投与量を提供するのに十分な免疫活性化組成物の投与を包含する。
投与計画は、限定はしないが、免疫活性化組成物の物理的及び化学的特性、担体の特性、投与される免疫活性化組成物の量、被験者の免疫系の状態(例えば、抑制化、低下、刺激化)、抗原の固有免疫原性、IRM部分の有効性、免疫活性化組成物の投与方法、及び処方が投与されている種を包含する当該技術分野において既知の多くの要因の少なくとも一部分によって決定する。したがって、実行可能な用途の全てにおいて使用するのに有効な投与計画を示すのは一般的に実用的ではない。しかしながら、当業者は、かかる要因を検討することで適切な投与計画を容易に決定できる。
【0075】
本発明のある実施形態において、免疫活性化組成物は、例えば1週間につき単回投与から複数回投与で投与され得る。特定の実施形態において、免疫活性化組成物は、1回(つまり単回投与)〜1日につき約1回投与され得る。1つの特定な実施形態において、免疫活性化組成物は1回投与される。他の特定の実施形態においては、免疫活性化組成物は2回投与(プライム・ブースト)される。さらに、他の特定の実施形態において、免疫活性化組成物は初期に一回投与(プライム)され、次に必要であれば規則的又は不規則な間隔で再び投与(ブースト)される。
【0076】
病状は、限定はしないが以下に挙げる免疫活性化組成物の投与によって治療され得る:
(a)例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、HSV−I、HSV−II、CMV、若しくはVZV)、ポックスウイルス(例えば、天然痘又は牛痘、若しくは伝染性軟属腫のようなオルトポックスウイルス)、ピコルナウイルス(例えば、ライノウイルス又はエンテロウイルス)、オルトミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、パラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、及び呼吸器合胞体ウイルス(RSV))、コロナウイルス(例えば、SARS)、パポバウイルス(例えば、陰部疣贅、尋常性疣贅、又は足底疣贅の原因となるようなパピローマウイルス)、肝炎ウイルス(例えば、肝炎Bウイルス)、フラビウイルス(例えば、肝炎Cウイルス若しくはデング熱ウイルス)、又はレトロウイルス(例えば、HIVのようなレンチウイルス)による感染が原因となる病状のようなウイルス性疾患;
(b)例えば、エシェリキア属、エンテロバクター属、サルモネラ属、スタフィロコッカス属、シゲラ属、リステリア属、アエロバクター属、へリコバクター属、クレブシェラ属、プロテウス属、シュードモナス属、ストレプトコッカス続属、クラミジア属、マイコプラズマ属、肺炎球菌属、ナイセリア属、クロストリジウム属、バシラス属、コリネバクテリウム属、マイコバクテリウム属、カンピロバクター属、ビブリオ属、セラチア属、プロビデンシア属、クロモバクテリウム属、ブルセラ属、エルシニア属、ヘモフィルス属、又はボルデテラ属の細菌による感染が原因となる病状のような細菌性疾患;
(c)クラミジア、限定しないがカンジタ症、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症、クリプトコックス髄膜炎を包含する真菌病、又は限定しないがマラリア、ニューモシスティス・カリニ肺炎、リーシュマニア症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症、及びトリパノソーマ感染を包含する寄生虫症のような他の感染性疾患;
(d)上皮内腫瘍、子宮頸部形成異常、光線性角化症、基底細胞ガン、扁平上皮細胞ガン、腎細胞ガン、カポジ肉腫、黒色腫、例えば乳ガン、肺ガン、及び結腸ガンのような充実性腫瘍、限定はしないが急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、B細胞リンパ腫、及びヘアリー細胞白血病、及び他のガンのような腫瘍性疾患;
(e)アトピー性皮膚炎又は湿疹、好酸球増加症、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、及びオーメン症状群のようなTH2媒介のアトピー性疾患;
(f)全身性エリテマトーデス、本態性血小板血症、多発性硬化症、円板状エリテマトーデス、円形脱毛症のような特定の自己免疫疾患;及び
(g)例えば、ケロイド形成及び他の型の瘢痕の抑制(例えば、慢性創傷を包含する創傷治癒の促進)のような創傷修復に関する疾患。
【0077】
特定の免疫活性化組成物は、免疫機能の低下した固体において特に有益となり得る。例えば、特定の免疫活性化組成物は、例えば、臓器移植患者、ガン患者及びHIV患者において細胞性免疫の抑制後に起こる日和見感染症及び腫瘍の治療に使用し得る。
【0078】
本発明の方法は、任意の好適な被験者において実施されてよい。好適な被験者としては、限定はされないが、ヒト類、非ヒト霊長類、飼鳥類、家禽、げっ歯類、犬類、猫類、馬類、豚類、羊、ヤギ類、又は牛類のような動物を包含する。
【実施例】
【0079】
以下の実施例は、単に本発明のさらなる例示的な特徴、利点、及び他の詳細を選択したものである。しかしながら、実施例が本目的を提供する際に、使用される特定の物質及び量並びに他の条件及び詳細は、本発明の範囲を過度に制限する方法で解釈されるべきではないことが明らかに理解される。
IRM化合物
実施例で使用されるIRM化合物を表1に示す。
【0080】
【表1】

【0081】
IRM2の調製:N−{2−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}−6−[(3−メルカプトプロパノイル)アミノ]ヘキサンアミド
【0082】
【化1】

【0083】
パートA
0℃においてDMF(50mL)中の6−(カルボベンジルオキシルアミノ)カプロン酸(8.49グラム(g)、32.0ミリモル(mmol))溶液にN−ヒドロキシスクシンイミド及び1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)を加えた。短時間後、その溶液をDMF(100mL)中の1−(2−アミノ−2−メチルプロピル)−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン(米国特許公報第2004/0091491号に記載するように調製し、10g、32mmolである)の0℃溶液に加えた。この混合物を室温まで温め、3日間攪拌した。この溶液を水(400mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出(3回)した。有機層を混合し、水(2倍)及びブラインで洗った。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥、ろ過及び濃縮した。組生成物をシリカゲルで3回、HPLCによって精製し(クロロホルム中でCMAによる勾配溶離)、4.90gのベンジル6−({2−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}アミノ)−6−オキソヘキシルカルバメートを白色の発泡体として提供した。
【0084】
パートB
エタノール(100mL)中のベンジル6−({2−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}アミノ)−6−オキソヘキシルカルバメート(4.90mg、8.75mmol)及び10%パラジウム炭素の混合物に新鮮な水素を数回取り込みながらパール装置で1.4×105Pa(20psi)〜2.8×105Pa(40psi)において1日間水素添加した。混合物をセライトフィルター剤を通してろ過した。ろ液を減圧下で濃縮し、次の工程に直接使用する白色発泡体を産出した。
【0085】
パートC
0℃においてジメチルホルムアミド(DMF)(50mL)中の3,3’−ジチオジプロピオン酸(920mg、4.38mmol)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)(1.42g、10.5mmol)の混合物に、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.85g、9.63mmol)を加えた。混合物を0℃で4時間攪拌した。パートBからの物質(8.75mmol)をDMF(20mL)中に溶解し、0℃まで冷却し、DMFで2回濯ぎながら(各10mL)活性化した二塩基酸の冷溶液を一度に加えた。反応物をゆっくりとオーバーナイトで室温まで温めた。0℃において、続く2日間にわたって反応物にEDCを数度にわたって加えた。反応物を数日間にわたって室温において攪拌し、次に水及び飽和含水重炭酸ナトリウムで希釈し、数回にわたって酢酸エチルで抽出した。混合した有機層を水及びブラインで洗浄し、減圧下で濃縮した。粗生成物をHPFCによって精製し、3.8gのN−{2−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}−6[(3−メルカプトプロパノイル)アミノ]ヘキサンアミドのジスルフィド二量体を得た。
【0086】
パートD
パートCからの物質(3.8g、3.7mmol)を室温でメタノール(30mL)中に溶解した。トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(1.38g、4.81mmol)を加え、次に水(3mL)及び12.5Mの水酸化ナトリウム水溶液(1.12mL、14.1mmol)を加えた。この溶液を室温で2時間攪拌し、次に0℃まで冷却した。この溶液を1Mの塩酸水溶液(約14mL)でpH6まで調整した。減圧下でメタノールを除去し、重炭酸ナトリウム水溶液を加えた。ジクロロメタンで混合物を抽出した(3回)。有機層を混合し、水及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。シリカゲル上でHPLC(クロロホルム中の0〜50%CMAによる勾配溶離)によって粗生成物を精製した。適切な画分を濃縮し、2.36gのN−{2−[4−アミノ−2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}−6[(3−メルカプトプロパノイル)アミノ]ヘキサンアミドを提供した。
【0087】
白色発泡体、MS(ESI)m/z515(M+H)+1H NMR(300MHz,CDCl3)δ8.22(dd,1H),7.80(dd,1H),7.51(ddd,1H),7.32(ddd,1H),5.96(m,1H),5.59(s,1H),5.51(br s,2H),5.06(s,2H),4.84(br s,2H),3.62(q,J=6.9Hz,2H),3.25(q,J=6.9Hz,2H),2.81(m,2H),2.50(t,J=6.9Hz,2H),1.98(m,2H),1.61−1.18(m,13H),1.24(t、J=6.9Hz,3H)。C263863S・0.5H2Oの計算値:C,59.63;H,7.51;N,16.05;S,6.12。実測値:C,59.89;H,7.66;N,16.22;S,6.25。
【0088】
IRM3の調製:N−{2−[2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}−6−[(3−メルカプトプロパノイル)アミノ]ヘキサンアミド
【0089】
【化2】

【0090】
パートA
6−[タートブトキシカルボニル)アミノ]ヘキサン酸(6.81g、29.5mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(3.98g、29.5mmol)、及び1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)(5.66g、29.5mmol)を2−[2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチルアミン(米国特許公報第2004/009149号に記載される、8.00g、26.8mmolのtert−ブチル2−[2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1イル]−1,1−ジメチルエチルカルバメートの酸介在脱保護によって調製される)の0℃の水溶液に加えた。この溶液を室温においてオーバーナイトで攪拌した。さらに、6−[tert−ブトキシカルボニル)アミノ]ヘキサン酸及びEDCを加え、溶液をさらに1時間をかけて攪拌した。重炭酸ナトリウム溶液及び酢酸エチル間で溶液を分離した。水層を酢酸エチルで抽出した(2回)。有機層を混合し、水及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーにおいて精製し、3.99gのタートブチル6−({2−[2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}アミノ)−6−オキソヘキシルカルバメートを発泡体として提供した。
【0091】
パートB
トリフルオロ酢酸(30mL)をジクロロメタン(80mL)中のtart−ブチル6−({2−[2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}アミノ)−6−オキソへキシルカルバメート(3.99g、7.82mmol)に室温でゆっくりと加えた。1.5時間後、加圧下で溶液を濃縮し、油が提供された。油を少量の水及び濃縮水酸化アンモニウム中に溶解した。生じた塩基性混合物をジクロロメタンで複数回にわたって抽出した。混合した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮し、さらに精製をせずに次の工程で使用される、3.4gの6−アミノ−N−{2−[2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4、5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}ヘキサンアミドが提供された。
【0092】
パートC
DMF(10mL)中の6−アミノ−N−{2−[2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4、5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}ヘキサンアミド(1.35g、3.28mmol)、3,3’−ジチオジプロピオン酸(0.345g、1.64mmol)、1−ヒドロキシベンゾチアゾール(0.443g、3.28mmol)、及び1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロライド(0.692g、3.61mmol)の溶液を室温においてオーバーナイトで攪拌した。溶液を減圧下で濃縮し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液及び酢酸エチル/メタノールの間に分離した。有機層を混合し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮した。組生成物をシリカゲルでHPLCによって精製し(CMAクロロホルムによる勾配溶離)、N−{2−[2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル}−6−[(3−メルカプトプロパノール)アミノ]ヘキサンアミドのジスルフィド二量体が提供された。
【0093】
パートD
N−{2−[2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1,1−ジメチルエチル}−6[(3−メルカプトプロパノイル)アミノ]ヘキサンアミド(2.14g、2.15mmol)をメタノール(20mL)に溶解した。トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(0.800g、2.79mmol)、水(2mL)、及び12.5MのNaOH(0.65mL、8.17mmol)を加えた。溶液を室温で1.5時間攪拌し。次に氷浴において冷却した。溶液を1MのHClでpH6まで調整し、生じた混合物を減圧下で濃縮しメタノールを除去した。重炭酸ナトリウム水溶液及びジクロロメタンの間で混合物を分離した。水層をジクロロメタンで数回にわたって抽出した。有機層を混合し、水及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮し、1.69gのN−{2−[2−(エトキシメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−1,1−ジメチルエチル−6−[(3−メルカプトプロパノール)アミノ]ヘキサンアミドとして提供された白色発泡体を真空下で熱してガラス状固体が提供された。
【0094】
無色ガラス状の固体。MS(ESI)m/z500(M+H)+1H NMR(300MHz,CDCl3)δ9.30(s,1H),8.52(m,1H),8.26(m,1H),7.72−7.62(m,2H),5.84(m,1H),5.59(br s,1H),5.18(br s,2H),4.91(br s,2H),3.63(m,2H),3.27(m,2H),2.81(m,2H),2.49(t、J=6.9Hz、2H),2.05(t,J=7.5Hz,2H),1.63−1.22(m,16H)。計算値C263753S:C,62.50;H,7.46;N,14.02;S,6.42。実測値:C,62.23;H,7.54;N,13.90;S,6.65。
【0095】
(実施例1)
1ミリリットル当たり10ミリグラム(mg/mL)となるようにIRM1をジメチルスルホキシド(DMSO)中に懸濁した。10mg/mLとなるようにオボアルブミン(OVA、ミズーリ州セントルイスのシグマケミカル社(Sigma Chemical Co.))をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に懸濁し、NaOHを添加してpHを10.0未満に調整した。2つのIRM1/OVA反応混合物を調製した。第一に、2ウェル組織培養皿の1つのウェル中で約4:1モルでIRM1が超過するように900マイクロリットル(μL)のオボアルブミン溶液を100μLのIRM1溶液と混合した。第二に、12ウェル組織培養プレートの1つのウェル中で約8:1モルでIRM1が超過するように800マイクロリットル(μL)のOVA溶液を100μLのIRM1溶液と混合した。プレートを氷上に載置し、IRM1/OVA混合物を含有したウェルにできるだけプレートを近づけるように長波長紫外線源をプレート上に直接載置した。混合物を15分間照射した。生じた複合体反応混合物をウェルから取り出し、PBS中に再懸濁し、最終濃度を4.5mg/mLのオボアルブミンができた。
【0096】
別に、IRMを含まないオボアルブミン溶液(900μL+100μL DMSO)に上述のように照射した。
【0097】
(実施例2)
4:1のIRM1+OVA複合混合物、8:1のIRM1+OVA複合混合物、及び実施例1のIRM1を含まないで照射したOVAをシステムゴールド(System Gold)HPLC(カリフォルニア州フルートンのベックマン・コールター社(Beckman Coulter, Inc.))で個別に稼動した。各混合物をPBS(1倍)、pH7.4のランニングバッファーを使用して1分間当たり0.5mL(mL/min)の流速でスーパーデックス200 10/300GLサイズ除去カラム(ニュージャージー州ピスカタウェイのアマシャムバイオサイエンス社(Amersham Biosciences))にかけた。1倍のPBS、pH7.4は、10倍のPBS溶液(カリフォルニア州カマリロのバイオソース社(Biosource International, Inc.)のカタログ番号#P313−300)をMill−Q精製水中に1:10で希釈して作製した。クロマトグラムにおいて記録される、1秒当たり8個のデータポイントを有する280ナノメートルの検出波長を使用してデータを収集した。画分をHPLC稼動の持続時間において1分単位で集めた。
【0098】
4:1のIRM1+OVA複合体反応の生成物のクロマトグラムを表3に示す。4:1のIRM1+OVA複合体反応の生成物のクロマトグラムを表4に示した。IRMを含まずに紫外線を照射したOVAの生成物のクロマトグラムを表2に示した。
【0099】
(実施例3)
IRM1を含むか又は含まない(±IRM)オボアルブミンの照射(+UV)又は非照射(−UV)試料を実施例1に記載のように調製した。各試料半分を実施例2に記載のようにHPLCにかけた。HPLCにかけた画分16〜20又は25〜34を一緒に集めた。全試料のOVAタンパク質の量を定量化するのにマイクロBCA蛋白測定キット(イリノイ州ロックフォードのピアスバイオテクノロジー社(Pierce Biotechnology, Inc.)のカタログ番号#23225)を使用した。マウス一匹当たり2×106ニワトリOVA特異的OT−I+/GFP+リンパ球を同種C57BL/6マウス(マサチューセッツ州ウィルミントンのチャールズリバー研究所(Charles River Laboratories))に適合移植した。
【0100】
2日後のマウスに100マイクログラム(μg)のHPLC前OVA+IRM+UV(紫外線照射されたOVA/IRM1混合物)、OVA+IRM]1−UV(UVを照射しないOVA/IRM1混合物)、又はOVA+UV(UV照射したオボアルブミン);93μgのOVA+IRM1+UV、OVA+IRM1−UV、又はOVA+UVの25〜34の収集画分;44μg16〜20の収集画分で腹腔内免疫するか;又は処理しなかった。
【0101】
免疫付与3日後、マウスを屠殺し、脾臓を摘出した。グアバPCA96(カリフォルニア州ヘイワードのグアバテクノロジー社(Guava Technologies, Inc.))を使用して、脾細胞の全数を測定した。脾細胞を、プロピジウムヨウ素(PI)標識マウス抗CD8+抗体(カリフォルニア州サンディエゴのBDバイオサイエンスファーミンゲン社(BD Biosciences Pharmingen))で染色し、PI−CD8+/GFP+リンパ球上を通過するフローサイトメトリーによってOT−I+/GFP+リンパ球の割合を測定した。OT−I+/GFP+リンパ球の全数は、全脾細胞数をOT−I+/GFP+リンパ球の割合でかけることで決定した。
【0102】
結果を図1に示す。
【0103】
(実施例4)
ボーダー、W(Border, W.)他による「臨床試験ジャーナル(Journal of Clinical Investigation)」69巻、451〜461頁(1982年)に記載の方法を使用して、カルビオケム社(Calbiochem)のBSA(カリフォルニア州サンディエゴ、カタログ番号#12657)を使用して陽イオン性ウシ血清アルブミン(cBSA)を作製した。実施例1に記載の方法を用いて10mg/mLのcBSAタンパク質溶液及び10mg/mLのIRM1溶液を混合することでIRM1+cBSA複合体を作製した。
【0104】
次に、実施例2に記載するものと同じ条件を用いて、cBSA/IRM1複合体をHPLCにかけた。IRM1+cBSA複合体反応の生成物におけるクロマトグラムを表6に示す。IRM1を含まずに紫外線を照射したcBSAの生成物のクロマトグラムを表5に示す。
【0105】
(実施例5)
4:1でIRM1の過剰モル状態で実施例1に記載の方法を用いて、IRM1及びHIV Gag41タンパク質を複合した。実施例2に記載の方法を用いて、IRM1+HIV Gag41複合混合物及びIRM1+HIV Gag41非複合混合物を生成した。非複合IRM1+HIV Gag41の生成物におけるクロマトグラムを表7に示す。IRM1+HIV Gag41複合体反応の生成物におけるクロマトグラムを表8に示す。
【0106】
(実施例6)
ニワトリ卵リゾチーム抗原の修飾:
ニワトリ卵リゾチーム(HEL;シグマ社(Sigma))をPBS中で14.8mg/mLの濃度及びpH7.4になるように調製した。NHS−PEO8−マレイミド(ピアス社(Pierce))架橋剤を5mg/mLの濃度になるようにDMSO中に溶解した。攪拌しながら所望の過剰モル超過で架橋溶液をHEL溶液にゆっくりと加え、室温で1時間インキュベートした。修飾されたHELを5mM EDTAを含有し、PBSでpH7.2に平衡化されたPD10脱塩カラムに混合物をかけることで精製した。1ミリリットルの画分を収集し、280nmの波長における吸光度を測定することで決定される修飾IgGを含有する画分を一緒に集めた。
【0107】
HELのIRMへの複合化
10mMの濃度でDMSO中にIRM2及びIRM3を溶解した。上述のように、IRMが4倍過剰モルとなるようにIRM2又はIRM3を修飾HELに加えた。上述のように、L−システインがHELの修飾に使用される架橋剤の量に対して5倍の過剰モルとなるように、L−システインを修飾HELに加えた。混合物を室温においてオーバーナイトでインキュベートした。IRM反応物をクエンチするために、500mMのL−システイン溶液(1MのTrisに溶解、pH8.0)を反応混合物に対して0.01倍(容量/容量)で加えた。実施例2に記載のように、試料をHPLCにかけた。IRM2−HEL、IRM3−HEL、及びL−cys−HELのクロマトグラムを図9〜11にそれぞれ示した。
【0108】
1mL/分の流速でカラムランニングバッファーとしてpH7.4のPBSを使用して、サイズ排除クロマトグラフィーによってIRM−HEL複合体を精製した。混合物の1ミリリットル画分を収集し、280nmで測定した。モノマー又は凝集体IRM−HEL複合体を含有する画分を集め、0.2ミクロンフィルターを通して無菌状態でろ過した。標準液として非修飾HELを用いてBCAアッセイによってIRM−HEL複合体の濃度を測定した。ろ過した複合体を、その後の生物学的検定法による試験のために4℃で保管した。
【0109】
(実施例7)
4〜6週齢のBALB/cマウスの各足蹠にHEL単独(5又は50μg)又は実施例6で生成した5μgのIRM−HEL複合体からの凝集体もしくはモノマー画分を皮下注射した。注射10日後、マウスを屠殺し、心臓穿刺によって血液を採取した。血液を室温(RT)で30分間凝固させ、4℃で261.8rad/s(2,500RPM)で遠心分離し、その後のHEL抗体検定のために−30℃で収集及び保管した。
【0110】
マウス抗HEL IgG2a抗体ELISAを血清上で実行した。96ウェルプレート(ニューヨーク州ロチェスターのヌンク(Nunc)社のヌンク(Nunc)MAXISORP)をコーティングバッファー(0.05Mの重炭酸ナトリウム、0.02%のアジ化ナトリウム、pH9.6)中0.020mg/mLのHELを100μL/ウェルとなるように、4℃においてオーバーナイトで被覆した。次に、プレートを洗浄バッファー(0.05Mの重炭酸ナトリウム、0.02%のアジ化ナトリウム、pH9.6)で洗浄し、1ウェル当たり200μLのブロッキングバッファー(0.025%の粉末ミルク、0.003MのHEPES、0.4Mの塩化ナトリウム、3.8mMのEDTA二ナトリウム)で飽和した。3回の洗浄後、ブロッキングバッファー中の100μLの血清試料10倍希釈液(1:10〜1:10,000)をプレートに加え、室温で1時間インキュベートした。次に、プレートを3回洗浄し、ブロッキングバッファーにおいて1:4000となる100μL/ウェルのホースラディシュ・ペルオキシダーゼ標識化ヤギ抗マウスIgG2a(ノースキャロライナ州ローリーのセロテック(Serotec))をプレートに加え、室温で1時間インキュベートした。プレートを2回洗浄し、100μL/ウェルのTMB基質溶液(BDバイオサイエンスファーミゲン)を加えた。室温で暗い中、約8分間プレートをインキュベートし、次に100μL/ウェルの終了溶液を加えた。570nmを参照波長として、450nmの波長下でただちにプレートを読んだ。結果を図12に示す。
【0111】
(実施例8)
パートA
25mg/mLのOVA溶液を反応バッファー中に調製した。反応バッファーは、シグマキット(Sigma Kit)PBS−1の製造説明書を用いて調製した0.15MのNaCl及び2mMのEDTAを含有する0.5MのPBS溶液であった。2つのOVA参照混合物を、OVA溶液の0.5mLアリコートを1.5mLのエッペンドルフチューブに入れ、10μLのDMSO(対照1、C1)又は10μLの37mg/mLN−エチルマレイミド(NMI;ピアス(Pierce))DMSO溶液(対照2、C2)で処理した。更なる試料混合物をOVA溶液の1.0mLアリコートを1.5mLのエッペンドルフチューブに入れ、20μLのNMI溶液で処理することで調製した。混合物を室温でゆるく攪拌しながら2〜2.5時間インキュベートした。各混合物を280nMの吸光度を使用して反応バッファーで平衡化されたPD−10脱塩カラムにかけて精製した。画分を収集し、タンパク質を含有する画分を一緒に集め、最終修飾OVAタンパク質を決定するのに集めた画分の吸光度(280nM)を記録した。対照溶液及びOVA溶液中のタンパク質の濃度は、それぞれ7.5mg/mL及び12mg/mLであった。
【0112】
パートB
0.1237Mのスルホスクシニミジル4−(N−マレイミドエチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(スルホ−SMCC;ピアス(Pierce))をDMSO中に調製した。パートAで精製したOVA溶液をアリコートし、5倍(5×)、10倍(10×)。20倍(20×)、又は60倍(60×)でスルホ−SMCCがOVAに対してモル過剰になるように混合した。混合物を室温でゆるく攪拌しながら1.5〜2時間インキュベートした。各混合物をPD−脱塩カラムにかけて精製し、タンパク質を含有する画分を集め、上述のように分析した。
【0113】
パートC
0.124MのIRM1及び0.124MのL−システイン(ピアス(Pierce))の溶液をDMSO中に調製した。パートBの精製した5倍、10倍、20倍、及び60倍溶液を、タンパク質に対してそれぞれ12倍、17倍、27倍、及び40倍のモル過剰であるIRM1と混合した。上述の精製した10倍(10倍Cys)、20倍(20倍Cys)、及び対照2を、タンパク質に対してそれぞれ17倍、27倍、及び10倍のモル過剰であるシステインと混合した。対照1の1.5mL容量を40μLのDMSOと混合した。4℃の冷凍庫に直接入れるシステインを含有する混合物を除いた全混合物を室温で45分間インキュベートした。次の日に精製するまで、全試料を4℃で維持した。各混合物をPD−脱塩カラムにかけて精製し、タンパク質を含有する画分を集め、上述のように分析した。生物学的試験を実行するまで試料を4℃で維持した。
【0114】
インビボ試験
マウス一匹当たり3×106個のニワトリオボアルブミン特異的OT−I+/GFP+リンパ球を同種C57BL/6マウス(マサチューセッツ州ウィルミントンのチャールズリバー研究所(Charles River Laboratories))に適合移植した。
24時間後、マウスの後脇腹に100μL(100μgのOVAを含有する:OVA含有試料においてBCAタンパク質検定法によって測定)の各5倍、10倍、20倍、60倍、10倍Cys、20倍Cys、対照1(C1)、対照2(C2)、OVA単体、又はPBS単体を皮下注射した。注射4日後、マウスを屠殺し、鼠径リンパ節を摘出し単個細胞浮遊液中に均質化した。グアバPCA96(カリフォルニア州ヘイワードのグアバテクノロジー社(Guava Technologies, Inc.))を使用して、リンパ節の全数を測定した。リンパ節を、プロピジウムヨウ素(PI)標識マウス抗CD8+抗体(カリフォルニア州サンディエゴのBDバイオサイエンスファーミンゲン社(BD Biosciences Pharmingen))で染色し、PI−CD8+/GFP+リンパ球上を通過するフローサイトメトリーによってOT−I+/GFP+リンパ球の割合を測定した。OT−I+/GFP+リンパ球の全数は、全リンパ節数をOT−I+/GFP+リンパ球の割合でかけることで決定した。結果を図10に示す。
【0115】
(実施例9)
牛血清アルブミン(BSA;カルビオケム(Calbiochem))をpH7.4、15mg/mLの濃度となるようにPBS中に溶解した。複合化の前にBSA二量体残留物及び凝集体を取り除くために、1mL/分の流速でカラムランニングバッファーとしてpH7.4のPBSを使用するサイズ排除クロマトグラフィーによってBSAを精製した。モノマーBSAを含有する画分を集め、複合体における出発物質(PBS中で6.38mg/mL、pH7.4)として使用した。スルホ−SMCCに対して20倍又は40倍モル過剰であって、DMSO中に10mg/mLで調製されたモノマーBSAの1mLアリコート(9.6×10−5ミリモル)を混合しながらBSAにゆっくり加えた。混合物を室温で1時間インキュベートした。
【0116】
反応の第2工程において、マレイミド活性化BSAを2つの等しいアリコートに分割し、DMSO中に10mg/mLで調製された60倍又は120倍過剰のIRM2もしくはIRM3(第1工程に使用されるスルホ−SMCCに対して3倍過剰)を活性化BSAに加えた。室温におけるオーバーナイトでのインキュベーションに続いて、NaOH中で調製された5μLの500mMのL−システイン HClを各複合体に加え、30分間未反応のマレイミドをクエンチし、次に上述のようにサイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。モノマー複合体もしくは凝集化複合体を含有する画分を集めて無菌ろ過し、BCA検定キットを使用してタンパク質濃度を測定した。非複合BSAのクロマトグラムを図14に示す。20倍及び40倍スルホ−SMCC IRM2+BSA複合体反応の生成物のクロマトグラムをそれぞれ図15及び16に示す。20倍及び40倍スルホ−SMCC IRM3+BSA複合反応の生成物のクロマトグラムをそれぞれ図17及び18に示す。
【0117】
本明細書中に引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、その全体が参考として組み込まれる。不一致である場合、定義を含む本明細書は調整されるべきである。
本発明の範囲および趣旨を逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当分野の技術者には明らかとなるであろう。例示的な実施形態及び実施例は例示のみを提供し、本発明の範囲の制限を意図しない。本発明の範囲は以下に記載する請求項にのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】紫外線照射又は非照射の光反応性IRM及び/又は抗原の混合物から収集される様々なHPLC前及びHPLC後の試料の免疫原性データを示す棒グラフ。
【図2】紫外線照射後の抗原単独におけるHPLCクロマトグラム。
【図3】紫外線照射後の光反応性IRM及び抗原の4:1モル比の混合物による反応生成物のHPLCクロマトグラム。
【図4】紫外線照射後の光反応性IRM及び抗原の8:1モル比混合物による反応生成物のHPLCクロマトグラム。
【図5】紫外線照射後の第2抗原単独におけるHPLCクロマトグラム。
【図6】紫外線照射後の光反応性IRM及び第2抗原の4:1モル比混合物による反応生成物のHPLCクロマトグラム。
【図7】第3抗原単独のHPLCクロマトグラム。
【図8】紫外線照射後の光反応性IRM及び第3抗原の4:1モル比混合物による反応生成物のHPLCクロマトグラム。
【図9】抗原及びIRM2の複合による反応生成物のHPLCクロマトグラム。
【図10】抗原及びIRM3の複合による反応生成物のHPLCクロマトグラム。
【図11】抗原及びL−システインの複合による反応生成物のHPLCクロマトグラム。
【図12】IRM−HEL複合体生成物に誘導される抗体価を示す棒グラフ。
【図13】IRM/抗原複合体による免疫化後の抗原特異的リンパ球の増加を示す棒グラフ。
【図14】抗原単独のHPLCクロマトグラム。
【図16】スルホ−SMCC及びIRM2との混合前の抗原との20:1モル比混合物による反応生成物のHPLCクロマトグラム。
【図15】スルホ−SMCC及びIRM2との混合前の抗原との40:1モル比混合物による反応生成物のHPLCクロマトグラム。
【図17】スルホ−SMCC及びIRM3との混合前の抗原との20:1モル比混合物による反応生成物のHPLCクロマトグラム。
【図18】スルホ−SMCC及びIRM3との混合前の抗原との40:1モル比混合物による反応生成物のHPLCクロマトグラム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む免疫活性化組成物:
少なくとも1つのIRM部分及び少なくとも2つの抗原ペプチドを含み、そのうちの少なくとも1つの抗原ペプチドが前記IRM部分と共有結合する、少なくとも部分的に精製された抗原凝集体を含む、前記免疫活性化組成物。
【請求項2】
前記凝集体が実質的に均質なペプチド集団を含む、請求項1に記載の免疫活性化組成物。
【請求項3】
前記凝集体が少なくとも2つの異なるペプチドを含む、請求項1に記載の免疫活性化組成物。
【請求項4】
少なくとも2つの異なるIRM/抗原複合体を含み、ここで、第1のIRM/抗原複合体はIRM部分に共有結合する第1の抗原ペプチドを含み、第2のIRM/抗原複合体はIRM部分に共有結合する第2の抗原ペプチドを含む、請求項3に記載の免疫活性化組成物。
【請求項5】
少なくとも1つの抗原ペプチドがウイルス抗原の抗原部分の少なくとも一部である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の免疫活性化組成物。
【請求項6】
前記ウイルス抗原がHIV抗原である、請求項5に記載の免疫活性化組成物。
【請求項7】
前記HIV抗原がGag41の抗原部分の少なくとも一部である、請求項6に記載の免疫活性化組成物。
【請求項8】
抗原ペプチドに共有結合する少なくとも1つのIRM部分を含む部分的に精製されたモノマーIRM/抗原複合体をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の免疫活性化組成物。
【請求項9】
重量で少なくとも10%の抗原凝集体を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の免疫活性化組成物。
【請求項10】
重量で少なくとも50%の抗原凝集体を含む、請求項9に記載の免疫活性化組成物。
【請求項11】
重量で少なくとも70%の抗原凝集体を含む、請求項10に記載の免疫活性化組成物。
【請求項12】
重量で少なくとも90%の抗原凝集体を含む、請求項11に記載の免疫活性化組成物。
【請求項13】
重量で少なくとも99%の抗原凝集体を含む、請求項12に記載の免疫活性化組成物。
【請求項14】
製薬上許容できるビヒクルをさらに含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の免疫活性化組成物。
【請求項15】
免疫活性化組成物の作製方法であって、以下のステップ:
IRM化合物及び抗原ペプチドの混合物を提供し;
少なくとも1つのIRM部分及び少なくとも2つの抗原ペプチドを含み、そのうちの少なくとも1つの抗原ペプチドがIRM部分と共有結合する抗原凝集体を前記混合物から生成し、それによって前記混合物の非凝集部分も定め;及び
前記混合物の前記非凝集部分の少なくとも一部から前記抗原凝集体の少なくとも一部を分離する、を含む、前記方法。
【請求項16】
前記混合物の前記抗原凝集体及び前記非凝集部分が高速液体クロマトグラフィーによって分離される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
抗原ペプチドに共有結合する少なくとも1つのIRM部分を含み、少なくとも部分的に精製されたモノマーIRM/抗原複合体を加えることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記分離された免疫活性化組成物が分離後に重量で少なくとも10%の抗原凝集体を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記分離された免疫活性化組成物が分離後に重量で少なくとも50%の抗原凝集体を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記分離された免疫活性化組成物が分離後に重量で少なくとも70%の抗原凝集体を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記分離された免疫活性化組成物が分離後に重量で少なくとも90%の抗原凝集体を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記分離された免疫活性化組成物が分離後に重量で少なくとも99%の抗原凝集体を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記IRM化合物及び抗原ペプチドの混合物が少なくとも2つの異なる抗原ペプチドを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記抗原凝集体が少なくとも2つの異なる抗原ペプチドを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記抗原凝集体が少なくとも2つの異なるIRM/抗原複合体を含み、ここで、第1のIRM/抗原複合体がIRM部分に共有結合する第1の抗原ペプチドを含み、第2のIRM/抗原複合体がIRM部分に共有結合する第2の抗原ペプチドを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記IRM化合物及び抗原ペプチドの混合物が実質的に均質なペプチド集団を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項27】
前記抗原凝集体が均質なペプチド集団を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項28】
抗原特異的免疫反応を誘導する方法であって、以下の:
免疫細胞と、前記免疫細胞が抗原凝集体の抗原に対して免疫反応を起こすのに有効な量の少なくとも部分的に精製された前記抗原凝集体とを接触させること、を含む前記方法。
【請求項29】
前記免疫細胞がインビトロで抗原凝集体と接触する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記免疫細胞がインビボで抗原凝集体と接触する、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
被験者における病状の治療方法であって、以下の:
IRM部分及び少なくとも2つの抗原ペプチドを含む少なくとも部分的に精製された免疫活性化凝集体を含み、そのうちの少なくとも1つの抗原ペプチドがIRM部分に共有結合する免疫活性化組成物を被験者に投与すること、ここで、前記免疫活性化組成物は病状における少なくとも1つの症状又は少なくとも1つの臨床的徴候を改善するのに有効な量で投与される、を含む、前記方法。
【請求項32】
前記免疫活性化凝集体が少なくとも2つの異なる抗原ペプチドを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記免疫活性化凝集体が少なくとも2つの異なるIRM/抗原複合体を含み、ここで、第1のIRM/抗原複合体はIRM部分に共有結合する第1の抗原ペプチドを含み、第2のIRM/抗原複合体はIRMに共有結合する第2の抗原ペプチドを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記免疫活性化組成物が抗原ペプチドに共有結合する少なくとも1つのIRM部分を含む少なくとも部分的に精製されたモノマーIRM/抗原複合体をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記病状がウイルス性の病状である、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記病状が細菌性の病状である、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記病状が腫瘍性の病状である、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
以下の:
少なくとも部分的に精製された抗原凝集体成分;及び
製薬上許容できるビヒクルを含む、ワクチン。
【請求項39】
前記抗原凝集体が少なくとも2つの異なる抗原ペプチドを含む、請求項38に記載のワクチン。
【請求項40】
前記抗原凝集体が少なくとも2つの異なるIRM/抗原複合体を含み、ここで、第1のIRM/抗原複合体はIRM部分に共有結合する第1の抗原ペプチドを含み、第2のIRM/抗原複合体はIRMに共有結合する第2の抗原ペプチドを含む、請求項39に記載のワクチン。
【請求項41】
抗原ペプチドに共有結合する少なくとも1つのIRM部分を含む、少なくとも部分的に精製されたモノマーIRM/抗原複合体をさらに含む、請求項38に記載のワクチン。
【請求項42】
少なくとも1つの抗原ペプチドがウイルス抗原の少なくとも一部分を含む、請求項38に記載のワクチン。
【請求項43】
少なくとも1つの抗原ペプチドが細菌性抗原の少なくとも一部分を含む、請求項38に記載のワクチン。
【請求項44】
少なくとも1つの抗原ペプチドが腫瘍性抗原の少なくとも一部分を含む、請求項38に記載のワクチン。
【請求項45】
以下の:
抗原ペプチドに共有結合する少なくとも1つのIRM部分を含む少なくとも部分的に精製されたモノマーIRM/抗原複合体を含む、免疫活性化組成物。
【請求項46】
実質的に均質な抗原ペプチド集団を含む、請求項45に記載の免疫活性化組成物。
【請求項47】
以下の:
第1の抗原ペプチドに共有結合する少なくとも1つのIRM部分を含む第1のIRM/抗原複合体;及び
第2の抗原ペプチドに共有結合する少なくとも1つのIRM部分を含む第2のIRM/抗原複合体、を含む請求項45に記載の免疫活性化組成物。
【請求項48】
少なくとも1つの抗原ペプチドがウイルス抗原の抗原部分の少なくとも一部である、請求項45〜47のいずれか1項に記載の免疫活性化組成物。
【請求項49】
少なくとも1つの抗原ペプチドが細菌性抗原の抗原部分の少なくとも一部である、請求項45〜47のいずれか1項に記載の免疫活性化組成物。
【請求項50】
少なくとも1つの抗原ペプチドが腫瘍性抗原の抗原部分の少なくとも一部である、請求項45〜47のいずれか1項に記載の免疫活性化組成物。
【請求項51】
重量で少なくとも40%のモノマー複合体を含む、請求項45〜47のいずれか1項に記載の免疫活性化組成物。
【請求項52】
重量で少なくとも50%のモノマー複合体を含む、請求項51に記載の免疫活性化組成物。
【請求項53】
重量で少なくとも70%のモノマー複合体を含む、請求項52に記載の免疫活性化組成物。
【請求項54】
重量で少なくとも90%の抗原凝集体を含む、請求項53に記載の免疫活性化組成物。
【請求項55】
重量で少なくとも99%の抗原凝集体を含む、請求項54に記載の免疫活性化組成物。
【請求項56】
製薬上許容できるビヒクルをさらに含む、請求項45〜47のいずれか1項に記載の免疫活性化組成物。
【請求項57】
免疫活性化組成物の作製方法であって、以下の:
IRM化合物及び抗原ペプチドの混合物を提供し;
抗原ペプチドと共有結合する少なくとも1つのIRM部分を含む抗原モノマー複合体を前記混合物から生成し、それによって前記混合物の非モノマー複合体部分も定め;及び
前記混合物の非モノマー複合体部分の少なくとも一部からモノマー複合体の少なくとも一部を分離することを含む、前記方法。
【請求項58】
前記混合物の前記モノマー複合体及び前記非モノマー複合体部分が高速液体クロマトグラフィーによって分離される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記分離後の免疫活性化組成物が重量で少なくとも40%のモノマー複合体を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記分離後の免疫活性化組成物が重量で少なくとも50%のモノマー複合体を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記分離後の免疫活性化組成物が重量で少なくとも75%のモノマー複合体を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記分離後の免疫活性化組成物が重量で少なくとも90%のモノマー複合体を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記分離後の免疫活性化組成物が重量で少なくとも99%のモノマー複合体を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記IRM化合物及び抗原ペプチドの混合物が少なくとも2つの異なる抗原ペプチドを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項65】
前記免疫活性化組成物が以下の:
第1の抗原ペプチドに共有結合する少なくとも1つのIRM部分を含む第1のIRM/抗原複合体;及び
第2の抗原ペプチドに共有結合する少なくとも1つのIRM部分を含む第2のIRM/抗原複合体を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記IRM化合物及び抗原ペプチドの混合物が実質的に均質なペプチド集団を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項67】
前記モノマー複合体が均質なペプチド集団を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項68】
少なくとも1つのIRM部分及び少なくとも2つの抗原ペプチドを含み、そのうちの少なくとも1つの抗原ペプチドが前記IRM部分と共有結合している、少なくとも部分的に精製された抗原凝集体を加えることをさらに含む、請求項57に記載の方法。
【請求項69】
以下の:
免疫細胞と、前記免疫細胞がモノマーIRM/抗原複合体の抗原に対して免疫反応を起こすのに有効な量の少なくとも部分的に精製された前記モノマーIRM/抗原複合体とを接触させること、を含む抗原特異的免疫反応を誘導する方法。
【請求項70】
前記免疫細胞がモノマーIRM/抗原複合体とインビトロで接触する、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記免疫細胞がモノマーIRM/抗原複合体とインビボで接触する、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
被験者における病状の治療方法であって、以下の:
抗原ペプチドに共有結合する少なくとも1つのIRM部分を含む少なくとも部分的に精製されたモノマーIRM/抗原複合体を含む免疫活性化組成物を被験者に投与すること、ここで、前記免疫活性化組成物が病状における少なくとも1つの症状又は少なくとも1つの臨床的徴候を改善するのに有効な量で投与される、を含む、前記方法。
【請求項73】
前記免疫活性化組成物が以下の:
第1の抗原ペプチドに共有結合する少なくとも1つのIRM部分を含む第1のIRM/抗原複合体;及び
第2の抗原ペプチドに共有結合する少なくとも1つのIRM部分を含む第2のIRM/抗原複合体を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記病状がウイルス性の病状である、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記病状が細菌性の病状である、請求項72に記載の方法。
【請求項76】
前記病状が腫瘍性の病状である、請求項72に記載の方法。
【請求項77】
以下の:
少なくとも部分的に精製されたモノマーIRM/抗原複合体成分;及び
製薬上許容できるビヒクルを含む、ワクチン。
【請求項78】
前記モノマーIRM/抗原複合体が少なくとも2つの異なる抗原ペプチドを含む、請求項77に記載のワクチン。
【請求項79】
以下の:
第1の抗原ペプチドに共有結合する少なくとも1つのIRM部分を含む第1のIRM/抗原複合体;及び
第2の抗原ペプチドに共有結合する少なくとも1つのIRM部分を含む第2のIRM/抗原複合体、を含む請求項78に記載のワクチン。
【請求項80】
少なくとも1つの抗原ペプチドがウイルス抗原の少なくとも一部分を含む、請求項77に記載のワクチン。
【請求項81】
少なくとも1つの抗原ペプチドが細菌性抗原の少なくとも一部分を含む、請求項77に記載のワクチン。
【請求項82】
少なくとも1つの抗原ペプチドが腫瘍性抗原の少なくとも一部分を含む、請求項77に記載のワクチン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2008−539252(P2008−539252A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509071(P2008−509071)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/015772
【国際公開番号】WO2006/116475
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】