説明

免疫源性ペプチドの標的特異的同定方法

【課題】ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体との結合相互作用に関与する、自己タンパク質及び他のタンパク質及び分子中の領域に由来する免疫原性ペプチドを同定するための簡便な方法の提供。
【解決手段】自己タンパク質からの免疫原性ペプチドの合成方法であって、抗体結合と直接的若しくは間接的に関与する自己タンパク質中の1つ以上のペプチド配列を同定するステップと、上記1つ以上のペプチド配列を、免疫原性を有すると予想される配列を同定するためのアルゴリズムを用いて解析するステップと、上記1つ以上のペプチド配列からの全てのペプチド断片をスクリーニングするステップと、上記タンパク質断片中の免疫原性ペプチドを同定するステップを含んでなる方法。上記の抗体結合相互作用はポリクローナル性であってもよく、またモノクローナル性であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(本発明に関する権利)本発明は米国政府の支援を得てなされたものである。米国政府は本発明に関する一定の権利を有する。
【0002】
(関連出願)本特許出願は米国仮特許出願第60/714865号、発明の名称「Targeted Identification of Immunogenic Peptides」の優先権を主張し、その全開示内容を本願明細書に援用する。
【0003】
(技術分野)本発明は広義には、免疫学/免疫治療、ワクチンの発見及び開発の分野において、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体、並びにその他の特異的な結合性ペプチド/分子との結合相互作用に関与するタンパク質及び分子の領域に由来する免疫原性ペプチドの同定方法の提供に関する。本発明はまた、免疫関連の疾患を予防、抑制及び治療するためのペプチドの同定方法及び使用の提供に関する。具体的には、本発明は癌患者の臨床状態の改善をもたらす治療方法の提供に関する。
【背景技術】
【0004】
自己免疫疾患とは、免疫系による、宿主の組織への不必要かつ異常な攻撃を特徴とする。これらの疾患が進行する機構は未だ十分解明されていないものの、少なくとも抗原提示に関する詳細の幾つかは公知となっている。すなわち、抗原(自己抗原を含む)が抗原提示細胞(APC)によりプロセシングを受け、更に得られる断片が、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)によってコードされる1つの細胞表面タンパク質と相互作用するという知見である。ゆえにペプチド抗原の認識はMHC「拘束」的であると一般に言われる。MHC/抗原断片複合体がTリンパ球の表面上の相補的なT細胞受容体(TCR)と結合すると、その特定のTCRが保持されながら、T細胞のクローン又は部分集団の活性化及び増殖が生じる。T細胞は活性化した後、免疫系の他の細胞を制御する能力を有し、プロセシングされた抗原を提示し、認識された抗原のエピトープを担持する細胞又は組織を破壊する。
【0005】
抗体の標的をMHC分子及びCD4分子とする抗体療法は通常、幾つかの自己免疫疾患モデル動物においては良好な結果が得られる。しかしながら、これらの方法は特異性が低く、全体的に免疫を抑制する効果を生じさせる危険性を有する。これは、70%のT細胞がCD4標識を保持し、また全てのT細胞性応答及び大部分の抗体反応がMHC関連の抗原提示を必要とすることが理由として考えられる。
【0006】
このようなアプローチに伴う主な欠点としては、認知された治療薬が含まれない複雑な生物学的調製物の使用が必要であるということである。かかる調製においては、複雑な調製工程及び保存手段が必要(例えば無菌であること、また「ワクチン」T細胞の調製に大量の培地が必要であること)であり、またバッチ毎の再現性にも乏しい。ヒトにおける有用性を発揮させるためには、T細胞「ワクチン」の調製は、自己由来でなければならず、また個人ごとに特異的でなければならない。すなわち、患者毎にメーラーメードする必要があることを意味する。更に、かかるT細胞表面上の更なる抗原の存在により、所望のT細胞クローンに限定されない、より広範囲な、おそらく有害な免疫反応をもたらす危険性が増大する(非特許文献1)。
【0007】
したがって、標的特異的な免疫反応を可能にする特性を有する薬剤及び医薬組成物に対するニーズが存在する。これらの薬剤及び組成物は、選抜の予測可能性、調製の簡便性及び再現性、並びに投与量の正確な制御を可能にするための十分な定量可能性を有する必要がある。
【0008】
ワクチン投与を有効に行うことにより、受容者に比較的無害である一方、持続的な免疫活性を生じさせることができる。伝統的には死亡した生物体及び生物体から精製した抗原をワクチンとして用いていた。しかしながら、かかる薬剤の使用によりしばしば有害な副作用をもたらすことや、また次の侵入に対する防御が不十分であることも考えられる。病原性の生物を増殖させ、有効なワクチンをそこから調製することは元来困難であるため、多くのウィルス、細菌及び寄生虫による疾患に対する有効なワクチンは未だ存在しない。
【0009】
ペプチドワクチンの使用に関わる更なる問題点としては、ペプチドのみでは良好な免疫原とはなりえないことが殆どであることが挙げられる。ペプチド抗原に対する大部分の免疫反応がT細胞に依存する現象であることは公知である。したがって、例えばB細胞表面免疫グロブリンと結合する「担体」分子をペプチド抗原に結合させ、高い親和性のIgG反応を生じさせることを通常行う。換言すれば、ペプチド抗原に対する反応性が見られない代わりに、ヘルパーT細胞活性を誘導する他のペプチドとの結合が優先されてしまうことも多分に起こりうる。
【0010】
一般に、ヘルパーT細胞活性を誘導するペプチドは、B細胞における、抗体受容体を経由してインターナリゼーションされた未変性タンパク質の酵素分解により生じる。これらのT細胞を刺激ペプチドは更にクラスII主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子と結合した状態でB細胞表面に提示される。同様に、細胞障害性のT細胞の活性化を誘導するペプチドはアクセサリー細胞(B細胞を含む)から生じることもある。これらのペプチドは、クラスI MHC分子に結合してアクセサリー細胞の細胞表面に提示される。本発明における用語「T細胞刺激ペプチド」とは、T細胞を活性化又は刺激するあらゆるペプチドのことを意味し、ヘルパーT細胞及び/又は細胞障害性T細胞が含まれるがこれらに限定されない。
【0011】
上記ペプチドは、ワクチンの調製及び設計に対する有望なアプローチであることを意味する。しかしながら、所望の免疫反応を誘発するペプチドの調製が困難であるため、それらの実用化がこれまでなされていなかった。その理由として、天然の抗原性決定基の構造をほぼ完全に擬態するペプチドの調製が困難であるという根本的な課題の存在が挙げられる。
【0012】
タンパク質抗原のこれらの抗原性決定基又はエピトープとは、特定の免疫構成要素(例えば抗体又は免疫担当細胞)による結合部位として認識される部位を意味する。エピトープは通常、機能的(すなわち抗体又は免疫担当細胞と結合するそれらの能力)な観点のみから定義されているが、免疫学的活性のベースとなる構造的特徴という観点からも検討すべきである。
【0013】
エピトープは、連続的なものと不連続なものとに分類される。不連続エピトープは抗原全体にわたるアミノ酸配列からなり、配列の集合及びエピトープの形成は、タンパク質の3次構造又はフォールディングに依存する。対照的に、連続エピトープは完全な抗原を免疫源として調製した抗体と結合可能な抗原中に存在する線形のペプチド断片である。
【0014】
多くの抗原の中から、多くのタイプの癌における有効な血清マーカーをスクリーニングする研究がなされているが、その理由として、特異的な抗原の血清濃度が、治療前のヒトの癌の段階に応じて顕著に変化することが挙げられる。すなわち、かかる抗原と反応する免疫学的試薬を開発するのが有効である。より詳細には、タンパク質抗原のエピトープと反応する免疫学的試薬を開発するのが有効である。
【0015】
生化学及び生物物理学的な特性を使用する従来の方法では、ペプチドエピトープが存在すると予想される位置を決定することが行われている。これらの方法においては、タンパク質の1次構造の詳細なスクリーニング、並びにタンパク質の重要な折り返し、ヘリックス及び3次構造におけるフォールディングに関する探索を行う。連続エピトープの場合は、構造としては単純であるため、当該位置の決定がより容易であると考えられる。しかしながらその場合、当該部位の存在する位置、長さ及び効力を予測する能力は制限される。
【0016】
タンパク質の一次構造の特定の特徴を分析することによって連続エピトープの位置を確認し、予測することを特徴とする、他の様々な方法がこれまで用いられている。例えば、ポリペプチド鎖の短いセグメントの親水性、アクセス性及び可動性などのパラメータと、エピトープの位置とを関連させることに基づく方法である。
【0017】
アミノ酸配列を分析してタンパク質エピトープを決定する際、親水性がそのベースとして用いられ、その解析においては局所的に最も大きな親水性部位を形成する領域を探索することが行われていた。すなわち、特許文献1に記載のように、各アミノ酸に相対的な親水性値を割り当て、次に局所的な親水性を形成する部分の数値を平均化し、最も高い平均局所的親水性値を有する部分を、連続エピトープの位置とする方法である。しかしながらこの方法では、連続エピトープの最適な長さに関するいかなる情報も提供されない。同様に、特許文献2では、エピトープをドミナント及びサブドミナントに詳細に分類するランキングシステムによってエピトープの免疫源性を決定する方法を提供している。
【0018】
タンパク質配列中のアミノ酸の生化学特性を利用してデータのソーティングを行い、T細胞エピトープを探索するための、コンピュータ制御によるアルゴリズムが考案されている。これらのアルゴリズムは通常、提供されたタンパク質のアミノ酸配列中を、免疫原性ペプチドに共通に存在するとして公知の特徴を元に検索する用途に用いられている。場合によっては、それらを用いて細胞免疫反応を誘発すると予想される領域の位置をin vitroで決定することも可能である。コンピュータ制御のアルゴリズムを用いることにより、地理的隔離においても可変性の少ないエピトープを含むタンパク質領域、又は核地理的隔離において可変的となるタンパク質の領域を同定することや、あるいは個体の擬似種に対する免疫反応の進化を評価するための予備的ツールとして活用することが可能となる。
【0019】
クラスI MHC分子と結合して提示されるペプチドは、細胞質において合成された外部若しくは自己由来のタンパク質抗原から生じる。クラスII MHC分子により提示されるペプチドは通常、外来のタンパク質抗原に由来する。クラスI分子に結合するペプチド(約8〜10のアミノ酸残基)は、クラスII分子と結合するもの(8〜20超の残基)よりも通常短い。
【0020】
タンパク質抗原の範囲内におけるT細胞エピトープの同定は、伝統的に様々な方法を使用して行われてきた。これらの方法の例として、天然若しくは組換え抗原性タンパク質の全部及び断片の使用、並びに一般的に使用されている「オーバーラッピングペプチド」法の使用により、タンパク質抗原中のT細胞エピトープを同定することが挙げられ、当該方法では提供されたタンパク質の全ての配列にわたる、相互に重なり合う(オーバーラップする)ペプチドの合成が行われる。次に当該ペプチドを、in vitroにおいてT細胞による細胞障害反応又は増殖反応を刺激する能力に関して試験する。
【0021】
但しオーバーラッピングペプチド法は多大なコスト及び労力を要する。例えば、アミノ酸長nの抗原に存在する5つのアミノ酸において重複する15のアミノ酸長のペプチド(タンパク質中に存在する15量体の小サブセット)を使用するアッセイを実行する場合、(n/5)−1種類のペプチドを構築し、アッセイする必要がある。この数は、大部分のタイプの分析にとり大きな障壁となりうる。
【特許文献1】米国特許第4554101号公報
【特許文献2】米国特許第6780598号公報
【非特許文献1】Offnerら、J.Neuroimmunol.21:13−22(1989)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
したがって、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体との結合相互作用に関与する、自己タンパク質及び他のタンパク質及び分子中の領域に由来する免疫原性ペプチドを同定するための、簡便な方法に対するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、現行の方法に関連する課題及び欠点を克服し、患者の免疫反応を生じさせるツール及び方法の提供に関する。
【0024】
本発明の一実施形態は、自己タンパク質からの免疫原性ペプチドの合成方法の提供に関し、当該方法は、抗体結合と直接的若しくは間接的に関与する自己タンパク質中の1つ以上のペプチド配列を同定するステップと、上記1つ以上のペプチド配列を、免疫原性を有すると予想される配列を同定するためのアルゴリズムを用いて解析するステップと、上記1つ以上のペプチド配列からの全てのペプチド断片をスクリーニングするステップと、上記タンパク質断片中の免疫原性ペプチドを同定するステップを含んでなり、上記の抗体結合相互作用はポリクローナル性であってもよく、またモノクローナル性であってもよい。更に、患者を当該免疫原性ペプチドで処理し、免疫反応を生じさせる。
【0025】
本発明の他の実施形態は、上記の方法により同定される免疫原性ペプチドの提供に関する。
【0026】
本発明の他の実施形態は、自己タンパク質に対する免疫反応をもたらす免疫原性ペプチドの提供に関する。
【0027】
他の実施形態は、免疫系により認識されるためのエピトープを提示させて、免疫反応を生じさせる方法の提供に関し、当該方法は、未使用かつ免疫反応性を有するT細胞のプールにより認識されるタンパク質断片を同定するするステップと、上記タンパク質断片をアルゴリズムにより解析するステップと、上記タンパク質断片中に存在する、免疫原性を有する1つ以上の特異的な配列を同定するステップと、当該配列に対応する少なくとも1つの免疫原性ペプチドを合成するステップと、患者を上記免疫原性ペプチドで処理し、免疫反応を生じさせるステップを含んでなる。更に、当該タンパク質と結合する抗体を産生させる。
【0028】
本発明の他の実施形態は、上記の方法により同定された免疫原性ペプチドの提供に関する。
【0029】
本発明の他の実施形態は、上記の免疫原性ペプチドを含有するワクチンの提供に関する。
【0030】
本発明の他の実施形態は、上記の免疫原性ペプチドと反応する抗体を含有するワクチンの提供に関する。
【0031】
本発明の他の実施形態は、ワクチン処理を確認する方法の提供に関し、当該方法は、抗体をタンパク質分子に結合させて複合体を形成させるステップと、上記複合体をプロテアソームで消化させるステップと、ペプチドを含有する消化生成物を得るステップと、上記消化生成物から免疫原性ペプチド配列を同定するステップを含んでなる。
【0032】
本発明の他の実施形態は、患者特異的な治療を確認する方法の提供に関し、当該方法は、上記患者のAGIE/ABIEの既存の免疫反応性前駆体を得るステップと、上記患者から得た腫瘍細胞を培養するステップと、産生された抗体に対して反応する、培養された上記腫瘍細胞をインキュベートするステップと、上記産生された抗体の有無におけるデータセット反応を解析するステップと、上記患者に特異的な免疫原性エピトープを同定するステップを含んでなる。当該方法は、自己抗原に対して反応性である抗体を産生させること、外部抗原に対して反応性である抗体を産生させること、及び/又は上記患者に一度投与された、治療的若しくは予防的抗体を産生させることを含んでなる。
【0033】
本発明の他の実施形態は、ワクチンの治療を確認する方法の提供に関し、当該方法は、抗体を、特異的な結合活性を有するタンパク質分子と結合させ、複合体を形成させるステップと、上記複合体をプロテアソーム消化するステップと、ペプチドを含有する消化生成物を得るステップと、上記消化生成物から免疫原性ペプチド配列を同定するステップを含んでなる。
【0034】
本発明の他の実施態様及び技術的利点は、図面及び後述する本発明の詳細な説明から自明であるか、又は本発明の実施により自明になると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
免疫系、並びに自己免疫抗体の産生に関与する、内在性自己抗原及び/又は外部抗原によって生じる免疫反応が関わる複雑な疾患の治療方法は、その探索が非常に困難である。かかる疾患に関与する抗原は、外部抗原若しくは自己抗原(又はその両方)である。受動免疫のための外部抗原の投与は、血清病のような免疫複合体病をもたらすこともある。また、自己ペプチドを認識できる反応性T細胞は通常、除去又はプロセシングされ、破壊される。標準的及び構成的条件下で産生され、提示されたこれらのペプチドは、免疫反応がない場合には細胞内のタンパク質分解機構によって分解される。
【0036】
しかしながら驚くべきことに、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体との結合相互作用に関与する、自己タンパク質及び他のタンパク質及び分子の、免疫原性領域を同定するための簡便な方法を見出すに至った。この方法により新規かつユニークなエピトープを得ることが可能となり、それは結合リガンド(例えば好ましくは抗体)の存在下で提示される。これらの免疫原性領域が同定された後、当該抗原を含有するワクチン、修飾抗原、又は当該抗原若しくは当該修飾抗原と特異的に反応する抗体を調製できる。すなわち、本発明によりワクチンペプチドの探索を任意に制御することが可能となり、並びに自動腫瘍関連タンパク質に由来するユニークな免疫原性ペプチドの特異的な産生が可能となる。当該ペプチドは抗体の存在下で特異的に発現誘導することができ、それによりワクチン療法及び/又は新規な併用療法が可能となる。
【0037】
本発明は完全に本願明細書に記載されており、多くの好ましい実施形態の参照を伴う。しかしながら本発明は、それらの実施形態に限定されるものと解釈すべきでない。
【0038】
プロテアソームとは、タンパク質分解活性を有するマルチサブユニット複合体であり、タンパク質をもとに多種多様なペプチドを生じさせる。プロテアソームのタンパク質分解活性に対する特定のタンパク質の感受性は、プロテアソーム内で生じる様々な1次構造、2次構造及び3次構造、並びに翻訳後修飾に依存する。これらの活性は、タンパク質の特定の配列又は領域のみをシステムに曝露させるが、他の配列又は領域はさせない。
【0039】
本発明の一実施形態では、ユニークな又は自己腫瘍特異的な抗原から免疫原性ペプチドを発現するように癌細胞を誘導し、免疫治療に有用な抗腫瘍免疫反応を刺激する。通常、これらのペプチドは自己タンパク質からは生じない。通常プロテアソームによるアクセス及びプロセシングが可能な部位への抗体(又は他の分子)の結合により、プロテアソームによるアクセス可能性及び得られるタンパク質分解パターンが変化する。当該部位のかかる変化により、本質的に免疫原性であると考えられる新規なペプチドが得られる。なぜなら、それらはそれ以前に、免疫反応性T細胞が存在しなかったために発現されず、提示されなかったからである。
【0040】
好ましい一実施形態では、HER−2/neuのユニークな免疫原性領域を同定する。HER−2/neuは過剰発現される発癌性タンパク質である。通常免疫した患者にとり効果的な従来のワクチンストラテジーが、「自己タンパク質」(例えばHER−2/neu)では機能しない。自己タンパク質に対する許容とは、タンパク質中の主要なエピトープのみに対するものであり、タンパク質全体に対するものではないと考えられる。したがって、特異的なタンパク質断片のみ(タンパク質全体ではない)による免疫により、この種の問題が軽減される。この特異的なタンパク質断片は、配列中に存在する、抗体結合相互作用に直接関与する部位、又はその付近の領域に存在する。
【0041】
この限定的な短いペプチド配列を確認した後、当該配列をアルゴリズムを使用して解析し、機能的に活性を有すると考えられる(又は標的とする)配列若しくは領域を同定する。このセグメントをアルゴリズムで解析することにより、全部のセグメントの場合とは対照的に、ワクチン開発の候補として試験するペプチドセットの準備が容易になる。従来、コンピュータを用いた試験は全ての配列に関して行われていたため、多くの時間、費用及び労力を要していた。当該アルゴリズムは、in vitroで特徴的な免疫反応を示したアミノ酸配列に関して検索するものである。エピトープを含むことが確認されたタンパク質の領域はワクチンとして有用であると考えられる。
【0042】
次に、同定されたペプチド配列を認識する抗体を用いた腫瘍細胞の処理を行なう。腫瘍細胞中で、かつ抗体の存在下においてのみ生じる、ターンオーバーの変化、及びそれに続く新規に同定された当該ペプチドの産生がなされることにより、制御可能な特異的なターゲティング能及び活性化能が付与される。抗体ブースターを用いて、ペプチド特異的な細胞障害性T細胞反応を増加させてもよい。抗体が既に存在するケースでは、特異的な免疫反応の誘発にはペプチドの提供のみで充分である。
【0043】
新規な及びユニークなエピトープを生成する方法には、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体、受容体、リガンド、並びに抗原に対する高い親和性を有するあらゆる分子(これらに限定されない)などの、リガンドとの結合相互作用に関与するあらゆるタンパク質及び分子の領域から、免疫原性ペプチドを同定するステップが含まれる。これらの新規なエピトープは、結合するリガンドが存在する場合には抗原処理細胞に提供される。特定のケースでは、結合によりエピトープ又はエピトープの一部が保護され、すなわちそれは抗原の免疫原性部分であることを意味する。これらの免疫原性領域は新規であり、免疫系による認識を受け易いようにユニークな標的であり、疾患状態及び免疫治療(抗体ワクチンとしてそれ単独で用いてもよく、あるいは他の分子又は抗体との組み合わせで用いてもよい)において有用である。これらの抗体由来型免疫原性エピトープ(AGIE)/抗体結合型免疫原性エピトープ(ABIE)は、癌及び感染症に対する免疫反応の促進に有用である。それらはまた、免疫反応を上方制御又は下方制御することにより、抗体活性に基づく自己免疫疾患及び移植における拒絶反応を抑制することもできる。
【0044】
単鎖抗原結合ポリペプチドをはじめとするペプチドを様々な長さに調節することにより、いかなるエピトープとも特異的に相互作用し、保護し及び/又は調節することができるようになり、それにより、プロテアソーム及び免疫プロテアソームサブユニット及び複合体による抗原プロセシング機構において、様々なタンパク質分解活性を受けるときに、エピトープを特異的に保護し、及び/又はその保持及び提示が促進される。
【0045】
本発明の他の実施形態は、特異的抗体及び/又は他の分子を有する治療薬との組合せを含んでなり、当該組み合わせはペプチド配列中の同じ領域との相互作用に関与し、またユニークな細胞集団を標的とする。この技術により、特異的に処理され、提示される目的の1つ以上の免疫原性エピトープを含む特異的な長さのペプチドと結合する抗体及び/又は、抗原−結合断片Fab又はF(ab)’−断片を含んでなる新規なワクチンの開発が可能となる。
【0046】
選択された配列部位と特異的に結合できる単鎖抗体及び/又はペプチドを用いることにより、プロテアソーム及び免疫プロテアソームにおける抗原プロセシング機構において通常破壊されるタンパク質の特異的なエピトープを、細胞内及び細胞外で保護することが可能となる。それにより、これらのエピトープは癌細胞を特異的に認識するユニークなワクチンとしての新規な開発目標となる。炎症プロセスの間に放出されるHSPは、産生された後に多くの異なるペプチド配列との非共有結合的な結合を行うため、同様の活性を呈し、免疫反応を強化する。
【0047】
他の本発明の好ましい実施形態は、高い免疫原性を有するペプチドの同定方法の提供に関する。これらのペプチドは、通常の細胞タンパク質から生じる免疫反応を強化若しくは抑制のために用いるものであり、プロセシングを受けず、天然の状態で提示される。なぜなら、プロテアソーム及び免疫プロテアソーム複合体の通常の活性により、これらのエピトープは構成的に消失するからである。これらのペプチドは特異的抗体を産生するために用いられる。当該抗体はエピトープと結合し、免疫系による認識のために新規に当該エピトープを提示させる。
【0048】
好ましい例では、免疫反応性T細胞の大きなプールを用いる。それらは既に存在してもよく、又は後発的に生じてもよい。それらは上記の不活性な/天然に存在しないエピトープと反応することができる。しかしながら、これらのエピトープは通常天然には生じないため、それらのT細胞は利用されず、「不要」であると考えられている。これにより、未使用のT細胞プールを、治療用途への有効利用の道へと導くことが可能となる。再びコンピュータによるアルゴリズム解析を行う。抗体結合相互作用に関与するペプチド配列の同定後、これらのペプチドを用いて動物及び/又は患者に免疫し、当該タンパク質と結合する特異的抗体を産生させ、次の免疫認識及び反応のために、これらの新規なペプチドを生じさせる。
【0049】
本発明の他の実施態様は、1つ以上の抗体をタンパク質分子及び/又はポリペプチド領域に直接結合させ、これらの結合した及び未結合/天然の複合体を、ex vivo又はin vitroで全ての形態のプロテアソーム機構に供する方法の提供に関する。タンパク質分解又は切断による生成物を生じさせ、ペプチドの時間経過に伴う収量を観察し、それによりワクチン開発に役立てるというものである。しかしながら、細胞内でin vivoで発生すると考えられる全ての「機構及びタンパク質分解活性」を完全には表しているわけではないという点で、この方法には欠点が存在し、またそれにより用途も限定される。しかしながらかかる方法は、再現性が高く、予測可能な結果を提供するシステムにおける、プルーフオブコンセプトに有用である。例えば様々なプロテアソーム及びその組み合わせの個々の構成要素を使用し、更に質量分析によってペプチドパターンを解析することができる。結合する1つ以上の抗体の有無におけるプロテアソーム阻害剤が存在する場合及び/又は存在しない場合において生じるペプチドパターンの解析にも有用である。
【0050】
本発明の他の実施形態は、患者特異的な治療法を確認するための、上記の方法の使用の提供に関する。最適な抗体の選択は、個々の患者に既に存在する、AGIE/ABIEに対する免疫反応性前駆体に基づき、患者に対してなされる。第1に、FCS(胎児の子牛血清)又は自家組織の血清の存在下で、サイトカイン(例えばIL−2、IL−7、及びIL−15)の有無において患者及び培養組織からPBMC(末梢血単核細胞)を調製する。設定された日数の間、最適に培養及び展開させた後、当該細胞を、特異的抗体又は1つ以上の抗体の組合せの存在下及び非存在下において、プレインキュベートされた腫瘍細胞系との比較で、細胞毒性アッセイにおいて試験する。抗体の存在により特異的な反応が見られたデータセットと、個々の抗体では反応が見られなかったが組み合わせの場合には見られたときのデータセットを記録する。どのワクチンを患者に使用するかを決定する際、抗体の結合部位により予測又は定義されるエピトープ/ワクチンペプチドを試験し、微妙な反応性の解析を行う。
【0051】
本発明の他の実施形態は、細胞表面に発現されない抗原、又は常に細胞質に存在するタンパク質の部分、又は完全に細胞内/核内若しくは細胞質内のタンパク質(例えばp53、テロメラーゼなど)の同定方法の提供に関する。また、内在性タンパク質として「調節」抗体を発現させる方法の提供に関し、それにより、細胞内でこれらのタンパク質と結合し、内部におけるそれらのプロセシング及び提示を調節することが可能となる。内在性発現方法としては、ウィルス/細菌ベクターによる輸送及び発現システム、並びに組み換えDNA発現システムが挙げられる。
【0052】
本発明の他の実施形態は、抗体の「シャトリング」、又はリポソーム、ミセル、ナノ粒子などの様々な輸送システム内に封入された、単鎖抗原結合断片の提供に関する。
【0053】
γグロブリン注射と同様に、疾患の治療用に受動投与できる「保護的」若しくは「抑制的」抗体調製物、又はその組み合わせは、特定の疾患又は症状において1つ以上の腫瘍又はその組織特異抗原の特異的な組合せを認識する多クローン性調製物として、又は特異的抗体として調製する。
【0054】
周知の領域又は配列に由来する1つ以上の長い鎖長のペプチドが、目的の1つ以上の抗体によって、AGIE/ABIEの調製用に使用できるため、本発明はHLA−A2又はクラスIペプチドに限定されない。利点としては、治療する患者に関して、特異的若しくは限定されたHLAタイプ(クラスI及びII)にのみ限定される必要がない点が挙げられる。更に、クラスI及びクラスIIペプチドの大多数が、それぞれ内在性及び外生のタンパク質のプロセシングに由来するものの、既に公知となり、充分に認知されている「交差提示」により、MHC分子の両方の種類に係る全ての供給源又はペプチドの提示が可能となる。
【0055】
本発明の他の一実施形態は、本発明を用いて、AGIE/ABIEを生じさせるMAb/sを「発見」することによる、誘導可能なワクチン応答の確認方法に関する。これは、抗原からの10mer又は20merの連続的な若しくはオーバーラッピングペプチドを、癌患者及び/又は健常者に存在する最も高い前駆体T−細胞に対する反応に関してスクリーニングことによりなされる。更にこれらの「超免疫源性」ペプチドを、マウスのMAbの調製に用いる。更にこれらのMAbsを、MAbで処理された標的における、AGIE/ABIE特異的な反応を生じさせる能力に関して試験する。候補となるMAbsは更に、治療用にヒト化される。T細胞特異的な免疫反応における関与を確認するため、当該候補なFab’断片を最初に用い、抗体依存性の細胞媒介細胞毒性(ADCC)−媒介活性を純粋に除去する。
【0056】
最も保護的なAGIE/ABIEを誘発する抗体を産生させることができるペプチドを特異的に同定する他の方法としては、癌(又はエイズの場合は発症者 対 非発症者)の進行の有無における、癌リスクの大きい患者(癌の家族歴を有する、例えば肺癌に罹患した若しくはしない喫煙者、「治療」を受けた患者)からの血清サンプルをスクリーニングして、保護を受ける個人に存在するか、又は完全に回復/治癒された癌患者に存在する、特異的な公知の若しくは同定済みの腫瘍抗原(HER2/neu、前立腺特異的な抗原又はPSA、前立腺特異的な膜抗原又はPSMA、チロシナーゼ、黒色腫Agsなど)に由来するオーバーラッピングペプチドに対する抗体反応を探索する方法が挙げられる。独自に存在するか、又は「保護を受ける」個人に主に存在することが知られている特異的な抗体反応に基づいて、AGIE/ABIEを産生するMAbの生成又は「発見」に関してペプチドのターゲッティングを行う。本願明細書に全ての説明は、クラスI及びクラスIIのエピトープ及び反応に関するものである。
【0057】
好ましい実施形態では、公開されている供給源から得た抗体と、充分に解明された「既存の」対応する、CD4−ヘルパー及びCD8 CTLに特異的な反応との適当な組合せによるデータが、エイズウィルス用のワクチン及び他の免疫治療を開発するために本発明に係る方法で用いられる。www.hiv.lanl.govとして、National Institute of Allergy and Infectious Diseasesにより提供されるHIV Molecular Immunology Databaseは、総合的な定義済みHIVエピトープの最新のリストを提供する。当該ウェブサイトにはまた、中和活性と同様に、タンパク質配列に対する全ての周知のモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体の正確なエピトープ及び結合部位も含まれる。
【0058】
本発明はまた、これらの抗体の結合部位から同定されるワクチンを用いた、抗体処理による腫瘍細胞の溶解活性の強化方法の提供に関する。本発明ではまた、既に併用療法としての癌治療において臨床的に使用されている抗体が、ワクチンによる治療法の発見を促進するための新しいヒントになりうることが示唆される。
【0059】
本発明の他の実施態様及び使用は、明細書の考慮及び本願明細書に開示される本発明の実施から、当業者にとって自明である。何らかの形で本願明細書に引用される全ての特許及び刊行物、並びに米国仮特許出願第60/714865号(優先権の基礎)を含むすべての引例は、具体的かつ完全に本発明に援用される。明細書及び実施例は飽くまで典型例に過ぎず、本発明の真の技術的範囲及び技術思想は、添付の特許請求の範囲に開示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫系により認識されるためのエピトープを提示させて免疫反応を生じさせる方法であって、未使用かつ免疫反応性を有するT細胞のプールにより認識されるタンパク質断片を同定するステップと、前記タンパク質断片をアルゴリズムにより解析するステップと、前記タンパク質断片中に存在する、免疫原性を有する1つ以上の特異的な配列を同定するステップと、前記配列に対応する少なくとも1つの免疫原性ペプチドを合成するステップと、患者を前記免疫原性ペプチドで処理し、免疫反応を生じさせるステップを含んでなる方法。
【請求項2】
タンパク質と結合する抗体を産生させることを更に含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法により同定される免疫原性ペプチド。
【請求項4】
請求項3記載の免疫原性ペプチドを含有するワクチン。
【請求項5】
請求項4記載の免疫原性ペプチドと反応する抗体を含有するワクチン。
【請求項6】
ワクチン処理を確認する方法であって、抗体をタンパク質分子に結合させて複合体を形成させるステップと、前記複合体をプロテアソームで消化させるステップと、ペプチドを含有する消化生成物を得るステップと、前記消化生成物から免疫原性ペプチド配列を同定するステップを含んでなる方法。
【請求項7】
患者特異的な治療を確認する方法であって、前記患者のAGIE/ABIEの既存の免疫反応性前駆体を得るステップと、前記患者から得た腫瘍細胞を培養するステップと、産生された抗体に対して反応する、培養された前記腫瘍細胞をインキュベートするステップと、前記産生された抗体の有無におけるデータセット反応を解析するステップと、前記患者に特異的な免疫原性エピトープを同定するステップを含んでなる方法。
【請求項8】
産生された前記抗体が自己抗原に対する反応性を有する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
産生された前記抗体が外部抗原に対する反応性を有する、請求項7記載の方法。
【請求項10】
産生された前記抗体を前記患者に投与することにより、治療的若しくは予防的効果が得られる、請求項7記載の方法。
【請求項11】
ワクチンの治療を確認する方法であって、抗体を、特異的な結合活性を有するタンパク質分子と結合させ、複合体を形成させるステップと、上記複合体をプロテアソーム消化するステップと、ペプチドを含有する消化生成物を得るステップと、上記消化生成物から免疫原性ペプチド配列を同定するステップを含んでなる方法。
【請求項12】
治療的に有効な組成物であって、Her2/neu抗原の配列の一部を示し、配列番号:2(E75=KIFGSLAFL)の配列を含むペプチドを含み、更に、前記抗原の免疫原性領域に結合する抗体を含む組成物。
【請求項13】
前記ペプチドの配列は、実質的に前記抗体の結合部位の免疫原性領域内である請求項12記載の組成物。
【請求項14】
前記抗体はトラスツズマブである請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
請求項14記載の組成物を含むワクチンであって、癌治療に治療効果のあるワクチン。
【請求項16】
前記癌は乳癌である請求項15記載のワクチン。
【請求項17】
癌治療に用いられる医薬組成物であって、Her2/neu抗原の配列の一部を示すペプチドを含み、前記ペプチドは配列番号:2(E75=KIFGSLAFL)の配列を含み、更に、前記抗原の免疫原性領域に結合する抗体を含み、前記抗体はトラスツズマブである医薬組成物。
【請求項18】
患者を治療する方法であって、以下の工程(ただし工程の順序は問わない)を含む方法。
(a)治療的有効量の抗体を前記患者に投与する工程であって、前記抗体はトラスツズマブである工程、及び
(b)治療的有効量のペプチドを前記患者に投与する工程であって、前記ペプチドはHer2/neu抗原の配列の一部を示し、配列番号:2(E75=KIFGSLAFL)の配列を含む工程。
【請求項19】
前記ペプチドは、前記抗体の投与前又は投与後又は投与と同時に投与される請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記ペプチドの投与及び前記抗体の投与は、前記患者に対し相乗効果を有する請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記患者は乳癌患者である請求項20記載の方法。
【請求項22】
治療的に有効な組成物であって、Her2/neu抗原の配列の一部を示し、配列番号:17(GP2=IISAVVGIL)又は配列番号:18(GP2’=IVSAVVGIL)の配列を含むペプチドを含み、更に、前記抗原の免疫原性領域に結合する抗体を含む組成物。
【請求項23】
前記ペプチドの配列は、実質的に前記抗体の結合部位の免疫原性領域内である請求項22記載の組成物。
【請求項24】
前記抗体はトラスツズマブである請求項23記載の組成物。
【請求項25】
請求項24記載の組成物を含むワクチンであって、癌治療に治療効果のあるワクチン。
【請求項26】
前記癌は乳癌である請求項25記載のワクチン。
【請求項27】
癌治療に用いられる医薬組成物であって、Her2/neu抗原の配列の一部を示すペプチドを含み、前記ペプチドは配列番号:17(GP2=IISAVVGIL)又は配列番号:18(GP2’=IVSAVVGIL)の配列を含み、更に、前記抗原の免疫原性領域に結合する抗体を含み、前記抗体はトラスツズマブである医薬組成物。
【請求項28】
患者を治療する方法であって、以下の工程(ただし工程の順序は問わない)を含む方法。
(a)治療的有効量の抗体を前記患者に投与する工程であって、前記抗体はトラスツズマブである工程、及び
(b)治療的有効量のペプチドを前記患者に投与する工程であって、前記ペプチドはHer2/neu抗原の配列の一部を示し、配列番号:17(GP2=IISAVVGIL)又は配列番号:18(GP2’=IVSAVVGIL)の配列を含む工程。
【請求項29】
前記ペプチドは、前記抗体の投与前又は投与後又は投与と同時に投与される請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記ペプチドの投与及び前記抗体の投与は、前記患者に対し相乗効果を有する請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記患者は乳癌患者である請求項30記載の方法。

【公開番号】特開2012−72167(P2012−72167A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255687(P2011−255687)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【分割の表示】特願2008−530244(P2008−530244)の分割
【原出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(505307264)ヘンリー エム.ジャクソン ファウンデイション フォー ザ アドバンスメント オブ ミリタリー メディシン,インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】