説明

免疫療法と診断を目的としてピキア・パストリスにおいて“天然様”アレルゲンとして発現する組み換えDerp2

【課題】D.プテロニュシヌスの主要なアレルゲンの1つであるrDer p 2の組み換えタンパク質の製造方法、及び治療用または診断用タンパク質を含む組成物とキットを提供する。
【解決手段】組み換え2(rDer p 2)タンパク質の製造方法として、前記rDer p 2をコードする配列で、あらかじめ形質転換したピキア・パストリス酵母株を培養するステップと、そのピキア・パストリス酵母株からrDer p 2タンパク質を単離するステップを含む方法。治療用または診断用の、前記rDer p 2タンパク質を含む組成物、または、キット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組み換え2(rDer p 2)タンパク質の製造方法として、rDer p 2をコードする配列であらかじめ形質転換したピキア・パストリス酵母株を培養するステップと、そのピキア・パストリス酵母株からrDer p 2タンパク質を単離するステップを含む方法に関する。本発明は、治療用または診断用にrDer p 2タンパク質を含む組成物とキットにも関する。
【背景技術】
【0002】
室内塵ダニ(HDM)は、世界中で共通するアレルゲン供給源である。デルマトファゴイデス・プテロニュシヌスは、ヨーロッパと北アメリカに広がっているダニ種の1つである。Der p 2は、D. プテロニュシヌスの主要なアレルゲンの1つである。このタンパク質は臨床で非常に重要である。なぜならダニに対するアレルギー患者の大半は、この分子に対して大きな血清IgE力価を示すからである(Pittner他、2004年;Thomas他、2002年;Weghofer他、2008年)。
【0003】
アレルギーに苦しんでいる患者にとって最適な治療法の1つは、特異的アレルギー・ワクチン接種である。これは、問題のアレルゲンによって起こるアレルギー症状をたいていの場合に軽減または緩和する。従来の特異的アレルギー・ワクチン接種は、アレルギー性疾患の原因療法である。この方法は、基本的な免疫メカニズムに干渉し、その結果として患者の免疫状態の永続的な改善をもたらす。したがって特異的アレルギー・ワクチン接種の保護効果は、症状を治療する薬と比べて治療期間を越えて持続する。この治療を受けた患者の中には治癒する者もおり、それに加え、たいていの患者は疾患の重篤度と経験する症状の軽減を体験するか、少なくとも疾患の悪化の停止を体験する。
【0004】
組み換えアレルゲンは分子レベルで特徴がよくわかっているため、特異的アレルギー・ワクチン接種で用いられる複合生物抽出液の代わりになる。組み換えアレルゲンの生物学的特性(例えば免疫原性や安全性)は、選択する発現系に依存する。
【0005】
免疫療法で舌下経路を利用するときには、天然のコンホメーションになっていて、IgE、IgG、Tリンパ球の認識に関して免疫原性が保存されたタンパク質が好ましい(Moingeon他、2006年)。また、天然様コンホメーションになったアレルゲンは、ヒトにおいて減感作の目的で使用されてうまくいっている(Pauli他、J. Allergy Clin. Immunol.、2008年、第122巻(5)、951〜960ページ)。このような“天然様”分子が診断の目的でさらに必要とされている。
【0006】
生物抽出液に代えて、高純度で、天然のコンホメーションであり、天然のアレルゲンと比べて(IgE、IgG、Tリンパ球の認識に関して)抗原性と免疫原性の両方が保存された組み換え室内塵ダニのアレルゲンが必要とされている。
【0007】
Der p 2は、3つのジスルフィド結合を含む14.1kDaのタンパク質である。このタンパク質は、大腸菌で組み換え発現させると不溶性封入体を形成するため、変性剤を用いて可溶化した後に構造を復元せねばならない(Takai他、2005年)。それ以外に、このようにして得られた組み換えタンパク質は3つの正しいジスルフィド結合を含んでいるように見えるにもかかわらず、一連の予期しないジスルフィド結合も示す(下記の実施例2の表1)。最後に、大腸菌で発現させた組み換えDer p 2は、血清中で天然のDer p 2よりもIgEの直接的な結合が少ない(Takai他、2005年)。
【0008】
多数のジスルフィド結合を含むタンパク質では特に、天然のコンホメーションを得るために封入体からアレルゲンの構造を復元させることは難しい可能性がある。そこで酵母を代わりの発現宿主と見なすことができる。
【0009】
発芽酵母S. セレビジエにおけるDer p 2の発現が報告されている。この酵母は、天然のタンパク質と比べて免疫原性を保持した分子を産生した(Hakkaart他、1998年)。しかし保存された免疫応答性と免疫原性が、正確でない折り畳みにもかかわらずDer p 2アレルゲンで観察された(Bussieres他、2010年)。そこでこのタンパク質の天然のコンホメーションを確認するため、特にシステインのペア形成に関して詳しい構造上の特徴を明らかにすることが必要である。
【0010】
酵母P. パストリスにおけるDer p 2の発現が報告されている(Tanyaratsrisakul他、2009年)。しかしTanyaratsrisakulらが作った組み換えタンパク質は主にランダムな構造を示したため、沈殿/再変性によって構造を復元する必要があった。構造が復元されたこの組み換えタンパク質はジスルフィド結合を含んでいることがわかったが、これらの結合に元のDer p 2タンパク質と同じシステイン残基が含まれていることはわからなかった。さらに、Tanyaratsrisakulらが得たタンパク質は、元のDer p 2とは異なっていた。なぜなら疎水性キャビティが欠けていたからである。最後に、このタンパク質の免疫原性は、IgE ELISA抑制によってだけ調べられた。Der p 2は線形のエピトープを含んでいるため、この試験では変性したDer p 2タンパク質の場合でさえ反応性を示す可能性がある。
【0011】
結論として、天然の対応物と似た組み換えDer p 2タンパク質を製造しようという以前の試みは失敗し、せいぜい部分的に折り畳まれた分子が生じただけであった。
【発明の概要】
【発明の効果】
【0012】
Tanyaratsrisakulらの試みが以前にうまくいかなかったにもかかわらず、発明者は、P. パストリスにおいて、元のタンパク質と似た二次構造へと自発的に折り畳まれる組み換えDer p 2タンパク質を産生させることが可能であることを見いだした。このようにして産生された組み換えタンパク質も元のタンパク質と似たジスルフィド結合を含んでおり、IgEとTリンパ球によってよく認識される。
【0013】
製造方法
【0014】
室内塵ダニは、世界中で共通するアレルゲン供給源である。特にデルマトファゴイデス・プテロニュシヌス2(Der p 2)は、ヨーロッパと北アメリカに広がっている世界規模のダニの一種であるデルマトファゴイデス・プテロニュシヌスの主要なアレルゲンの1つである。このタンパク質は臨床で非常に重要である。なぜならダニに対するアレルギー患者の大半は、この分子に対して大きな血清IgE力価を示すからである。したがって天然のDer p 2タンパク質に似た組み換えDer p 2タンパク質を製造する方法が見いだされると、診断と治療の目的に非常に役立つであろう。
【0015】
実施例2に示してあるように、発明者は、酵母ピキア・パストリス(P. パストリス)において、天然様コンホメーションを持つ組み換えDer p 2タンパク質を産生させた。特に、組み換えタンパク質の構造を復元させるための沈殿ステップを実施することなく、天然のDer p 2に自然状態で存在する3つのジスルフィド結合を持つrDer p 2タンパク質が直接得られる。さらに、天然のDer p 2と組み換えDer p 2を10℃ずつの昇温ステップで加熱してから20℃まで冷却した後に円二色性によって評価すると、両方のタンパク質が同じ熱的安定性を示すことがわかった(実施例2)。
【0016】
成熟Der p 2(14.1kDa)の三次構造は公知であり(Mueller他、Biochemistry、1998年、第37巻、12707〜12714ページ)、アミノ酸C8とC119の間と、アミノ酸C21とC27の間と、アミノ酸C73とC78の間に位置する3つのジスルフィド結合を含んでいる。これらの結合は、アレルゲンの免疫原性にとって不可欠であると考えられている。しかしDer p 2タンパク質を組み換えで発現させようとする以前の試みは、予期しない一連のジスルフィド結合を示すタンパク質の産生に終わっていた。逆に、発明者は、実施例2に示してあるように、天然様コンホメーションを持つ組み換えDer p 2タンパク質の産生に成功した。より詳細には、天然のDer p 2に存在する3つのジスルフィド結合を有するrDer p 2タンパク質が、この組み換えタンパク質の構造を復元させるための沈殿ステップを実施することなしに直接得られる。
【0017】
そこで本発明により、天然のDer p 2に自然状態で存在する3つのジスルフィド結合(すなわち、配列ID番号1に示したアミノ酸位置を参照してアミノ酸C8とC119の間と、アミノ酸C21とC27の間と、アミノ酸C73とC78の間にある3つのジスルフィド結合)を含む組み換えデルマトファゴイデス・プテロニュシヌス2(rDer p 2)タンパク質を産生させる方法が提供される。この方法は、
a)rDer p 2をコードする配列であらかじめ形質転換したピキア・パストリス酵母株を培養するステップと、
b)ステップa)で培養したそのピキア・パストリス酵母株からrDer p 2タンパク質を単離するステップを含んでいる。
【0018】
本発明の方法によって得られるrDer p 2タンパク質の少なくとも90%、好ましくは95%、より好ましくは98%、さらに好ましくは99%、さらに好ましくは100%が、天然のDer p 2に見られる3つのシステイン結合を有することが好ましい。
【0019】
この明細書では、“天然の”Der p 2は、室内塵ダニであるデルマトファゴイデス・プテロニュシヌスによって自然に発現していて、デルマトファゴイデス・プテロニュシヌスの身体から抽出して精製することによって得られるグループIIのアレルゲンを表わす。
【0020】
天然のDer p 2は、40位、47位、127位、114位が特に異なるアイソフォームの混合物である。どの天然のDer p 2アイソフォームも同じ長さである。その結果、3つのジスルフィド結合が、システインC21とC27の間と、C73とC78の間と、C8とC119の間に常に見られる。本出願の全体を通じ、114位にアスパラギン酸を持つDer p 2 2.0101アイソフォーム(配列ID番号1)を天然のDer p 2の参照配列として用いる。
【0021】
好ましいことに、本発明の方法によって天然のコンホメーションを持つrDer p 2タンパク質を得ることができる。
【0022】
NMRによるDer p 2の三次構造は、Mueller他、Biochemistry、1998年、第37巻、12707〜12714ページに記載されている。したがってrDer p 2タンパク質は、2つの三重鎖反平行β-シートを含むことができる。シート1は、(配列ID番号1を参照して)主に残基51〜58、104〜111、118〜122を含んでおり、シート2は、主に残基15〜17、35〜44、84〜92を含んでいる。rDer p 2タンパク質は、(配列ID番号1を参照して)主に残基72〜75を有するα-ヘリックスも含むことができる。さらに、Der p 2の結晶構造は、Derewendaら(J. Mol. Biol.、2002年、第318巻、189〜197ページ)が発表しているように、このタンパク質が、(配列ID番号1を参照して)主に残基13〜17、34〜42、85〜93を有する三重鎖β-シートと、主に残基6〜8、61〜64、51〜58、104〜112、115〜122を有する五重鎖β-シートを含むことを示した。要するに、Der p 2の結晶構造は、このタンパク質が47%のβ-シートと5%のα-ヘリックスからなることを示していた。
【0023】
1つのタンパク質内のβ-シートとα-ヘリックスの割合は、例えば円二色性スペクトルを分析するためのYangのアルゴリズム(Yang, J.T.、C.S. Wu他、(1986年)、「円二色性からのタンパク質のコンホメーションの計算」、Methods Enzymol.、第130巻、208〜269ページ)を用いて“遠UV”スペクトル領域(例えば190〜250nmまたは200〜260nm)で円二色性(CD)を分析して決定することもできる。通常は、分析するサンプルのタンパク質濃度として、CD分光器のセルのパス長に応じて0.0005〜5mg/mlが可能である。β-シートとα-ヘリックスの割合は、分析するタンパク質調製物の濃度に依存して変化する可能性がある。出願人は、Jasco J-815 CD分光測光器(ジャスコ社、ブグネ、フランス国)を用い、10mMの酢酸ナトリウムと150mMのNaClを含むpH5.0の緩衝液の中で300μg/mlにて分析すると、室温では天然のDer p 2が一般に40〜60%のβ-シートと30〜40%のα-ヘリックスを含んでいることを観察した。Jasco J-815 CD分光測光器は、スペクトルを分析するためにYangのアルゴリズムを走らせる。
【0024】
この明細書では、天然のコンホメーションを持つrDer p 2タンパク質は、以下のことを特徴とする。
(i)“遠UV”スペクトル領域におけるその円二色性スペクトルは、同じ分析条件(例えば温度、タンパク質の濃度、緩衝液の組成)で天然のDer p 2の円二色性スペクトルと重ねることができる;および/または
(ii)結晶学または(例えばJasco J-815 CD分光測光器で好ましくは室温にて)円二色性によって分析したとき、40〜60%、好ましくは43〜55%、さらに好ましくは45〜50%のβ-シートからなる;および/または
(iii)結晶学によって分析したときには1〜10%、好ましくは3〜8%のα-ヘリックスからなり、(例えばJasco J-815 CD分光測光器で好ましくは室温にて)円二色性によって分析したときには30〜40%、好ましくは35〜40%のα-ヘリックスからなる;および/または
(iv)結晶学または(例えばJasco J-815 CD分光測光器で好ましくは室温にて)円二色性によって分析したとき、β-シートの割合が、同じ分析法(結晶学または円二色性)で同じ条件(例えば温度、タンパク質の濃度、緩衝液の組成(円二色性を利用する場合))にて決定した天然のDer p 2のβ-シートの割合と、20%、好ましくは15%、さらに好ましくは10%、さらに好ましくは5%よりも多くは異なっていない;および/または
(v)結晶学または(例えばJasco J-815 CD分光測光器で好ましくは室温にて)円二色性によって分析したとき、β-シートとα-ヘリックスの割合が、同じ分析法(結晶学または円二色性)で同じ条件(例えば温度、タンパク質の濃度、緩衝液の組成(円二色性を利用する場合))にて決定した天然のDer p 2のそれぞれβ-シートとα-ヘリックスの割合と、20%、好ましくは15%、さらに好ましくは10%、さらに好ましくは5%よりも多くは異なっていない。
【0025】
本発明によれば、“組み換えタンパク質”は、遺伝子操作されたDNAによって産生されたタンパク質を意味する。典型的には、望むタンパク質をコードする核酸を適切な発現ベクターに挿入することができる。“ベクター”という用語は、Der p 2をコードする核酸配列を宿主細胞に入れてその宿主細胞を形質転換し、導入された配列を発現させること(すなわち転写と翻訳)ができる媒体に関係する。発現ベクターは、一般に、プラスミド、コスミド、エピソーム、人工染色体、ファージ、ウイルス・ベクターのいずれかである。
【0026】
次に、例えば化学的形質転換などの標準的な任意の技術を利用し、このようなベクターを用いて宿主細胞を形質転換する。“形質転換”という用語は、外来性遺伝子(周辺または細胞外)、DNA配列、RNA配列いずれかを宿主細胞に導入し、導入された配列をその細胞が発現することで、導入された配列によってコードされているタンパク質を産生することに関係する。
【0027】
一実施態様によれば、本発明の枠組で用いるrDer p 2コード配列は、2.0101アイソフォームをコードしている配列である。したがってピキア・パストリス酵母株は、配列ID番号1からなるポリペプチドか、この配列を含むポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列で形質転換されている可能性がある。
【0028】
Der p 2は、2つのメチオニン残基を76位と111位に含んでいる。これらメチオニンは、Der p 2タンパク質の表面に露出しているため、酸化される可能性がある。Der p 2の他の天然の変異体では、これらメチオニンは他の残基で置換されている。特に、天然の変異体においてDer p 2の76位のメチオニンはバリンで置換することができ、111位のメチオニンは、ロイシンまたはイソロイシンで置換することができる(Piboonpocanun他、Clinical and Experimental Allergy、2006年、第36巻、510〜516ページ)。したがってより酸化しにくくて安定性が向上した突然変異体を提供するには、76位と111位のメチオニンを突然変異させるとよい。
【0029】
その結果、好ましい一実施態様では、rDer p 2をコードしている配列は、Der p 2タンパク質(特に2.0101アイソフォーム)をコードしているヌクレオチド配列である。M76がバリンで置換されていること、および/またはM111がロイシンまたはイソロイシンで置換されていることが好ましい。rDer p 2をコードしている配列は、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4のいずれかを含むか、そのいずれかからなるポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列であることがさらに好ましい。
【0030】
本発明によれば、望むDer p 2タンパク質の産生に用いる宿主細胞は、P. パストリス酵母細胞である。P. パストリスは、組み換えDNA技術を利用したタンパク質の発現で広く用いられている。P. パストリスは多数の特性を持つためこの作業に適している、P. パストリスは、増殖速度が大きいため、単純で安価な培地で増殖させることができる。また、P. パストリスは振盪フラスコまたは発酵器の中で増殖させることができる。その両方とも、小スケールと大スケールの製造の両方に適している。望むタンパク質は、サッカロミセス・セレビジエからのα接合因子の分泌信号への融合産物として産生させることができる。その場合、タンパク質はこのように分泌されることになるため、その後のタンパク質精製が容易である。
【0031】
本発明の枠組では、任意のP. パストリス株を使用することができる。
【0032】
P. パストリスのゲノムは、2つのアルコールオキシダーゼ遺伝子AOX1とAOX2を含んでいる。これら遺伝子によってP. パストリスはメタノールをエネルギー源として利用することが可能になる。AOXプロモータはメタノールによって強く誘導される。望むタンパク質の遺伝子は、AOX1プロモータの制御下になるように導入できるため、タンパク質の産生は、メタノールの添加によって誘導させることができる。
【0033】
あるいは望むタンパク質の遺伝子は、GAPプロモータなどの構成的プロモータ制御下になるように導入してもよい。
【0034】
一実施態様によれば、ピキア・パストリス酵母株は、メタノールを利用する株である。ピキア・パストリス酵母株は、X33株、GS115株、SMD1168株と、その栄養要求誘導体からなるグループの中から選択することがより好ましい。ある1つの株は、必須化合物を合成できなくする突然変異の存在が親株と異なっている場合に親株の“栄養要求誘導体”である。そのような栄養要求株は、この必須成分を合成できないため、その株の環境にこの必須成分が存在している場合にだけ増殖することができる。遺伝学では、栄養要求株をうまく用いて特定の株を選択することができる。
【0035】
一実施態様によれば、ピキア・パストリス酵母株は、組み換えDer p 2タンパク質の発現を可能にする条件下と期間で培養する。
【0036】
本発明の方法は、ピキア・パストリス酵母細胞からrDer p 2タンパク質を単離することからなるステップも含んでいる。培養物の上清または細胞抽出液からの単離は、ゲル精製、電気泳動、透析、クロマトグラフィ(例えばカラム上でのアフィニティ・クロマトグラフィ)、特異的抗体を用いた免疫アフィニティ技術といったよく知られた精製手続きによって実行できる。ステップb)におけるrDer p 2タンパク質の単離は、主として、クロマトグラフィ(例えばアフィニティ・クロマトグラフィ)の後に透析と濃縮を含むこと、またはこれらの操作からなることが好ましい。
【0037】
タンパク質は、大腸菌の中で組み換え発現させると不溶性封入体を形成する可能性があるため、その場合には変性剤を用いて可溶化した後に構造を復元せねばならない。しかし、特に多数のジスルフィド結合を有するタンパク質の場合には、封入体からアレルゲンの構造を復元させて天然のコンホメーションを得ることは難しい可能性がある。それ以外に、産生させた組み換えタンパク質は、主にランダムな構造を示すため沈殿によって構造を復元する必要がある可能性もある。
【0038】
実施例2に示してあるように、発明者は、本発明の方法により、沈殿ステップの必要なく自発的に折り畳まれて元のタンパク質と似た二次構造になる組み換えDer p 2タンパク質を産生させることが可能になった。したがって好ましい一実施態様では、本発明の方法は、rDer p 2タンパク質の沈殿をまったく含んでいない。
【0039】
組み換えDer p 2タンパク質
【0040】
本発明の方法は、構造的に正しくて生物学的に活性なDer p 2タンパク質を酵母P. パストリスの中で産生させることができるという点で注目すべきである。本発明は、本発明の方法によって得ることができる組み換えDer p 2タンパク質、または本発明の方法によって得られる組み換えDer p 2タンパク質にも関する。
【0041】
一実施態様では、本発明のrDer p 2タンパク質は、114位にアスパラギン酸を有する2.0101アイソフォームである。
【0042】
別の一実施態様では、本発明のrDer p 2タンパク質は、M76とM111の一方または両方が置換されたDer p 2タンパク質である。特に、rDer p 2タンパク質は、M76のバリンによる置換、および/またはM111のロイシンまたはイソロイシンによる置換を含むことができる。rDer p 2タンパク質は、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4のいずれかを含むか、そのいずれかからなることがさらに好ましい。
【0043】
本発明の方法によって産生させた組み換えDer p 2アレルゲンは純粋であり、天然のコンホメーションと、天然のアレルゲンと比べて保存された抗原性および免疫原性を示す。さらに、rDer p 2を用いた舌下免疫療法(SLIT)により、nDerp2で感作させた動物において、気道過剰反応が低下し、肺好酸球増加症が減り、nDerp2特異的Th2 T細胞応答が低下する(実施例2)。したがってrDer p 2を、より収率のよい特異的アレルギー・ワクチン接種で用いられる複合生物抽出液の代わりに用いることができる。したがって好ましい一実施態様では、本発明の組み換えDer p 2タンパク質は医薬組成物にされる。
【0044】
別の一実施態様では、本発明の組み換えDer p 2アレルゲンを、室内塵ダニに対するアレルギー患者の減感作に用いることができる。
【0045】
組成物
【0046】
本発明はさらに、本発明による組み換えDer p 2タンパク質と、1種類以上の生理学的に許容可能な基剤とを含む組成物に関する。
【0047】
特別な一実施態様では、本発明の組成物は、治療で用いることを想定している。例えばダニ・アレルギー反応の予防および/または治療、および/または室内塵ダニに対するアレルギー患者の減感作に使用できる。
【0048】
デルマトファゴイデス属のダニによって産生されるアレルゲンは、主として2つの免疫学的に重要なグループに入る。すなわちグループI(Der p 1、Der f 1)とグループII(Der p 2、Der f 2)である。Der p 1とDer p 2は、デルマトファゴイデス・プテロニュシヌスからの主要なヨーロッパ室内塵ダニ・アレルゲンである。Der f 1とDer f 2は、デルマトファゴイデス・ファリナエからの主要なアレルゲンである。同じグループに属するアレルゲンは構造的に相同である。現在のところ、ヨーロッパ室内塵ダニに関して少なくとも21種類の異なるアレルゲンのグループが同定されている。しかしグループIとグループIIのダニ抗原は、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎に臨床的に最も関係が深い。なぜなら80%を超える室内塵ダニ・アレルギー患者は、これら2つのアレルゲンに対して高い血清IgE力価を示すからである。
【0049】
本発明の組成物は、Der pダニおよび/またはDer fダニに対するアレルギー患者の治療および/または減感作を目的としていることが好ましく、Der p 1ダニおよび/またはDer p 2ダニおよび/またはDer f 1ダニおよび/またはDer f 2ダニに対するアレルギー患者の治療および/または減感作を目的としていることがより好ましい。
【0050】
この明細書では、“医薬組成物”という用語は、個体に投与したとき、免疫応答を誘導できる組成物、または免疫系の病的反応を予防または治療できる組成物を表わす。
【0051】
本発明の文脈では、“治療のための”、“治療する”、“治療”という用語は、免疫系の病的反応またはその症状の1つ以上の進行を逆転、または緩和、または抑制することを意味する。また、“予防するための”または“予防する”という用語は、免疫系が病的反応またはその症状の1つ以上を開始することを意味する。この明細書では、“減感作する”という用語は、ある物質または刺激に応答して進行する免疫系の病的反応またはその症状の1つ以上を軽減または除去することを意味する。
【0052】
この明細書では、“個体”という用語は、ヒトを表わすことが好ましいが、より一般に哺乳動物(囓歯類、ネコ、イヌ、霊長類)でもよい。
【0053】
適切な医薬組成物として、特に、等張性で無菌の生理溶液(リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなど、またはこれらの塩の混合物)、または場合に応じて殺菌水または生理食塩水を添加すると注射可能な溶液を構成できる乾燥組成物(特に凍結乾燥組成物)が可能である。
【0054】
“薬理学的”または“薬理学的に許容可能な”は、場合に応じて動物またはヒトに投与したときに好ましくない反応、アレルギー反応、他の不利な反応を引き起こさない分子種と組成物を表わす。
【0055】
この明細書では、“薬理学的に許容可能な基剤”に、あらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤、抗真菌剤、等張剤、吸収剤、遅延剤などが含まれる。このような媒体と薬剤を薬理学的に活性な物質のために使用することはこの分野でよく知られている。本発明の医薬組成物でそれを使用することが考えられる。
【0056】
医薬組成物を利用したアレルギー反応の予防または治療という枠組では、本発明の組成物に、従来のあらゆるワクチン接種用アジュバントを含めることができる。その中には、易熱性エンテロトキシン(LT)、コレラ毒素(CT)、コレラ毒素Bサブユニット(CTB)、ポリマー化されたリポソーム、突然変異した毒素が含まれる。
【0057】
本発明の枠組では、全身投与を含めてあらゆる投与経路が考えられる。
【0058】
口粘膜投与に関しては、アジュバントは、乳酸菌であるビフィドバクテリウム(細胞懸濁液、凍結乾燥細胞、ライセート、精製した下位成分、精製した分子いずれかの形態にしたもの)にするか、コルチコステロイドと、ビタミンD3またはその任意の代謝産物か類似体との組み合わせが好ましい。
【0059】
粘膜投与を考える場合には、アジュバントは、架橋した多糖が含まれる非液体性の親水性コアを含有する合成した粒子状ベクターであることが好ましい。したがって本発明の組み換えタンパク質は、(i)架橋した多糖が含まれる非液体性の親水性コアを含有する粒子と、(ii)本発明の組み換えDer p 2タンパク質とを含む合成した粒子状ベクターをベースとした粘膜接着性製剤にすることができる。このような製剤は、免疫寛容を誘導する上で特に有効であることがわかった。使用できる粒子は、国際特許出願PCT/IB2007/002379に記載されている。
【0060】
簡単に述べるならば、架橋した多糖は、任意の糖モノマー(グルコースが好ましい)に由来するものが可能である。多糖は、分子量が2,000〜100,000ダルトンであることが好ましく、3,000〜10,000ダルトンであることがより好ましい。好ましい多糖は、デンプン(グルコースα1〜4ポリマー)とデキストラン(細菌に由来するグルコースα1〜6ポリマー)、またはその加水分解物(例えばデキストリン、マルトデキストリン)である。
【0061】
イオン基、すなわちアニオン基(例えば硫酸塩またはカルボン酸塩)またはカチオン基(例えば第四級アンモニウム・イオン、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン)を、場合によっては、架橋した多糖(1g当たりのイオン電荷は0〜3ミリ当量が好ましく、0〜2ミリ当量がより好ましい)のコアにグラフトする。
【0062】
場合によっては、架橋した多糖コアは、少なくとも一部を両親媒性化合物の層および/または脂質化合物の層で覆う。
【0063】
粒子の直径は10nm〜5μmの範囲が可能であり、20〜200nmが好ましい。
【0064】
例えば水溶液での非経口投与に関しては、必要な場合には水溶液を適切に緩衝化し、希釈液を十分な生理食塩水またはグルコースで最初に等張化せねばならない。このような特別な水溶液は、筋肉内投与と皮下投与に特に適している。この文脈で本発明に照らして使用可能な無菌水性媒体は、当業者によく知られているであろう。
【0065】
医薬組成物は粘膜経路で投与することが好ましく、口粘膜経路で投与することがより好ましく、舌下経路で投与することが最も好ましい。そのため医薬組成物は、そのような投与経路に適した製剤にされることが好ましい。
【0066】
粘膜投与は、製剤の一部または全体が粘膜と接触するあらゆる投与法を表わす。粘膜は、身体の内腔を覆う上皮組織を表わす。粘膜面は、鼻、頬、口、膣、目、耳、肺管、尿道、消化管、直腸表面からなるグループの中から選択することができる。
【0067】
口粘膜投与は、製剤の一部または全体が患者の口腔および/または咽頭の粘膜と接触するあらゆる投与法を表わす。その中には特に、舌下投与、経舌(すなわち舌の粘膜を通じた)投与、口内投与が含まれる。
【0068】
投与量は、個別の必要性、望む効果、選択した投与経路に依存する。投与量は、レシピエントの年齢、性別、健康状態、体重と、現在の治療法(治療している場合)、治療の頻度、望む効果の性質に依存すると考えられる。各治療に必要な合計投与量は、多数回用量または1回用量にして投与することができる。いずれにせよ、投与の責任者が個々の対象にとって適切な投与量を決定することになる。
【0069】
検出/診断の用途
【0070】
本発明はさらに、診断用の組成物に関する。本発明の組み換えDer p 2タンパク質は、生体内または試験管内(例えば個体からの生物サンプル内)のDer p 2アレルゲンに対する抗体を検出するのに使用できる。
【0071】
個体は、ヒトでもよいし、ヒト以外の動物、特に人でない哺乳動物(例えば囓歯類、ネコ、イヌ、霊長類)でもよい。
【0072】
生物サンプルとして、特に、血液や血清などの体液が可能である。
【0073】
個体からの生物サンプル中に抗体が検出されるというのは、その個体が、室内塵ダニに感作されているか、室内塵ダニに対するアレルギーであることを示している可能性がある。好ましい一実施態様では、その個体は、デルマトファゴイデス属からのグループIおよび/またはグループIIのアレルゲンの中から選択した1種類以上のアレルゲンに感作されているか、アレルギーである。
【0074】
抗体として、IgM抗体、IgE抗体、IgG抗体、IgA抗体が可能である。
【0075】
当業者は、抗体を検出するのに従来から知られている適切な任意の定性法または定量法を利用できる。融合タンパク質を固相に固定化して、またはそれとは逆に融合タンパク質を流動相にして、アッセイを実行できる。利用できる典型的な方法として、ELISA、ウエスタン・ブロッティングなどがある。
【0076】
抗体の濃度が決定されると、抗体反応の定量化を時間内に繰り返し、例えば個体に適用した減感作療法の効果をモニターする。
【0077】
本発明の組み換えDer p 2タンパク質はさらに、細胞試験(例えばT細胞増殖試験、メディエータ放出試験など)にも利用できる。この組み換えタンパク質は、さまざまなタイプの細胞に曝露して測定可能な応答を誘導することができる。そのような応答として、アレルギー性エフェクター細胞(例えば好塩基球マスト細胞、好酸球)の場合には、ヒスタミンやそれ以外のメディエータ(例えばロイコトリエン、セロトニン、ECP)の放出がある。別のタイプのアッセイでは、細胞の増殖または死(例えばアポトーシス)を、例えば3Hチミジンの取り込みや、他の適切な任意のアッセイによって測定することができる。そのような細胞としてT細胞が可能である。さらに、この組み換えタンパク質は、測定可能なサイトカインや他の免疫関連物質(例えばT細胞からのもの)の放出を誘導するのに使用できる。このような細胞試験は、例えば個体から回収したPBMCで実行することができる。
【0078】
組み換えタンパク質は関係のないアレルゲンのエピトープを含んでいる可能性があるため、組み換えタンパク質を診断用スクリーニング試験のために使用し、その組み換えタンパク質の成分のうちの1つに対する個体の感作または非応答性を検出することができる。これにより、感作された患者の迅速なスクリーニングに適した診断試験を医師に提供することができる。
【0079】
したがって本発明の組み換えタンパク質は、診断(例えば生体内刺激試験)の目的にも使用できる。このような試験には、皮膚テスト(例えば皮膚を刺す試験や皮膚内試験)、鼻刺激試験、あらゆる形態の食物チャレンジ試験、気管支刺激試験が含まれる。
【0080】
本発明は、特に室内塵ダニに対するアレルギーを診断するため、この明細書に記載した組み換えDer p 2タンパク質と使用指示を含むキットにも関する。
【0081】
特に、このキットは、1種類以上の室内塵ダニ・アレルゲンをさらに含んでいてもよい。例えばこのキットは、デルマトファゴイデス属からのグループIのアレルゲン(Der p 1とDer f 1)とグループIIのアレルゲン(Der f 2)の中から選択したアレルゲンをさらに含んでいてもよい。
【0082】
しかしこのキットは、以下に示すように、他の任意の環境アレルゲンも含んでいてよい。アレルゲンは当業者によく知られている。アレルギー性疾患を誘起する一般的な環境アレルゲンは、花粉(例えば樹木、草、雑草の花粉アレルゲン)、食物、室内塵、ダニ(特にダニの糞便)、動物(例えばイヌ、ネコ、ウマ、ラット、マウスなど)の鱗屑および/または毛および/または唾液、カビ、真菌の胞子、毒に見いだされる。
【0083】
したがって、本発明のキットに存在する他のアレルゲンは、花粉からのアレルゲン、食物からのアレルゲン、室内塵からのアレルゲン、ダニからのアレルゲン、カビからのアレルゲン、毒からのアレルゲン、動物の鱗屑からのアレルゲン、動物の毛からのアレルゲン、動物の毛皮からのアレルゲン、動物の唾液からのアレルゲンのいずれかであることが好ましい。草木からの重要な花粉アレルゲンは、分類学上のブナ目、モクセイ目、マツ目、スズカケノキ科(特にカバノキ(ベトゥラ属)、ハンノキ(アルヌス属)、ハシバミ(コリュルス属)、シデ(カルピヌス属)、オリーブ(オレア属)、ヒマラヤスギ(クリュプトメリア属とユニペルス属)、スズカケノキ(プラタヌス属))に由来するもの、イネ目(特にロリウム属、プレウム属、ポア属、キュノドン属、ダクテュリス属、ホルクス属、パラリス属、セカレ属、ソルグム属の草)に由来するもの、キク目とイラクサ目(特にアンブロシア属、アルテミシア属、パリエタリア属の草)に由来するものである。他の重要な吸入アレルゲンは、デルマトファゴイデス属とエウログリュプス属の室内塵ダニ、貯蔵庫ダニ(例えばレピドグリュフュス属、グリュキュパグス属、テュロパグス属)からのもの、ゴキブリ、ユスリカ、ノミ(例えば ブラテラ属、ペリプラネタ属、キロノムス属、クテノケパリデス属)からのもの、哺乳動物(例えばネコ、イヌ、ウマ)からのもの、毒アレルゲン(その中には、刺したり噛んだりする昆虫であるハチ目の昆虫(例えばミツバチ(ミツバチ上科)、ハチ(スズメバチ上科)、アリ(アリ上科))からのものが含まれる)である。真菌からの重要な吸入アレルゲンは、特にアルテルナリア属とクラドスポリウム属に由来する。
【0084】
本発明の特別な一実施態様では、キットに存在する他のアレルゲンの選択は、以下のアレルゲンからなるグループの中から選択される:アカルス・シロ(アシブトコナダニ)からのアレルゲンである例えばAca s 13、ブロミア・トロピカリスからのアレルゲンである例えばBlo t 1、Blo t 2、Blo t 3、Blo t 4、Blo t 5、Blo t 6、Blo t 10、Blo t 11、Blo t 12、Blo t 13、Blo t 19、Blo t 21、デルマトファゴイデス・ファリナエ(コナヒョウダニ)からのアレルゲンである例えばDer f 1、Der f 2、Der f 3、Der f 6、Der f 7、Der f 10、Der f 11、Der f 13、Der f 14、Der f 15、Der f 16、Der f 17、Der f 18、Der f 22、デルマトファゴイデス・ミクロケラス(室内塵ダニ)からのアレルゲンである例えばDer m 1、デルマトファゴイデス・プテロニュシヌス(ヤケヒョウダニ)からのアレルゲンである例えばDer p 1、Der p 2、Der p 3、Der p 4、Der p 5、Der p 6、Der p 7、Der p 8、Der p 9、Der p 10、Der p 11、Der p 14、Der p 20、Der p 21、Der p 23、エウログリュプス・マユネイ(シワチリダニ)からのアレルゲンである例えばEur m 1、Eur m 2、Eur m 3、Eur m 4、Eur m 14、グリュキュパグス・ドメスティクス(イエニクダニ)からのアレルゲンである例えばGly d 2、レピドグリュプス・デストルクトール(貯蔵庫ダニ)からのアレルゲンである例えばLep d 2、Lep d 5、Lep d 7、Lep d 10、Lep d 13、テュロパグス・プトレスケンティアエ(ケナガコダニ)からのアレルゲンである例えばTyr p 2、Tyr p 10、Tyr p 13、Tyr p 24、ブラテラ・ゲルマニカ(チャバネゴキブリ)からのアレルゲンである例えばBla g 1、Bla g 2、Bla g 4、Bla g 5、Bla g 6、Bla g 7、Bla g 8、ペリプラネタ・アメリカナ(ワモンゴキブリ)からのアレルゲンである例えばPer a 1、Per a 3、Per a 6、Per a 7、Per a 9、Per a 10、ハルモニア・アクスュリディス(テントウムシ)からのアレルゲンである例えばHar a 1、Har a 2、アルカエオポタモビウス・シビリエンシス(甲殻類の種)からのアレルゲンである例えばArc s 8、アルテミア・フランキスカナ(ブラインシュリンプ)からのアレルゲンである例えばArt fr 5、カリュブディス・フェリアトゥス(カニ)からのアレルゲンである例えばCha f 1、クランゴン・クランゴン(ヨーロッパエビジャコ)からのアレルゲンである例えばCra c 1、Cra c 2、Cra c 4、Cra c 5、Cra c 6、Cra c 8、ホマルス・アメリカヌス(アメリカンロブスター)からのアレルゲンである例えばHom a 1、Hom a 3、Hom a 6、リトペナエウス・ワンナメイ(白いエビ)からのアレルゲンである例えばLit v 1、Lit v 2、Lit v 3、Lit v 4、メタペナエウス・エンシス(ヨシエビ)からのアレルゲンである例えばMet e 1、パヌリルス・スティンプソニ(トゲのあるロブスター)からのアレルゲンである例えばPan s 1、ペナエウス・アズテクス(エビ)からのアレルゲンである例えばPen a 1、ペナエウス・インディクス(インドエビ)からのアレルゲンである例えばPen i 1、ペナエウス・モノドン(ウシエビ)からのアレルゲンである例えばPen m 1、Pen m 2、ポンタスタクス・レプトダクテュルス(ハサミの狭いイセエビ)からのアレルゲンである例えばPon l 4、Pon l 7、アエデス・アエギュプティ(ネッタイシマカ)からのアレルゲンである例えばAed a 1、Aed a 2、Aed a 3、キロノムス・キイエンシス(ユスリカ)からのアレルゲンである例えばChi k 10、キロノムス・トゥンミ(ユスリカ)からのアレルゲンである例えばChi t 3、Chi t 4、Chi t 5、Chi t 7、Chi t 8、Chi t 9、Chi t 1.01、Chi t 1.02、Chi t 6.01、Chi t 6.02、Chi t 2.0101、Chi t 2.0102、フォルキポミュイア・タイワナ(ヌカカ)からのアレルゲンである例えばFor t 1、For t 2、トリアトマ・プロトラクタからのアレルゲンである例えばTria p 1、アピス・ケラナ(ニホンミツバチ)からのアレルゲンである例えばApi c 1、アピス・ドルサタ(オオミツバチ)からのアレルゲンである例えばApi d 1、アピス・メリフェラ(ヨウシュミツバチ)からのアレルゲンである例えばApi m 1、Api m 2、Api m 3、Api m 4、Api m 5、Api m 6、Api m 7、Api m 8、Api m 9、ボンブス・ペンシュルワニクス(マルハナバチ)からのアレルゲンである例えばBom p 1、Bom p 4、ボンブス・テレストリス(マルハナバチ)からのアレルゲンである例えばBom t 1、Bom t 4、ドリコウェスプラ・アレナリア(スズメバチ)からのアレルゲンである例えばDol a 5、ドリコウェスプラ・マクラタ(スズメバチ)からのアレルゲンである例えばDol m 1、Dol m 2、Dol m 5、ミュルメキア・ピロスラ(オーストラリア・ブルドッグアリ)からのアレルゲンである例えばMyr p 1、Myr p 2、Myr p 3、ポリステス・アンヌラリス(ハチ)からのアレルゲンである例えばPol a 1、Pol a 2、Pol a 5、ポリステス・ドミヌルス(地中海アシナガバチ)からのアレルゲンである例えばPol d 1、Pol d 4、Pol d 5、ポリステス・エクスクラマンス(ハチ)からのアレルゲンである例えばPol e 1、Pol e 4、Pol e 5、ポリステス・フスカトゥス(ハチ)からのアレルゲンである例えばPol f 5、ポリステス・ガリクス(ハチ)からのアレルゲンである例えばPol g 1、Pol g 5、ポリステス・メトリクス(ハチ)からのアレルゲンである例えばPol m 5、ポリビア・パウリスタ(ハチ)からのアレルゲンである例えばPoly p 1、ポリビア・スクテラリス(ハチ)からのアレルゲンである例えばPoly s 5、ソレノプシス・ゲミナタ(アカカミアリ)からのアレルゲンである例えばSol g 2、Sol g 3、Sol g 4、ソレノプシス・インウィクタ(赤い輸入カミアリ)からのアレルゲンである例えばSol i 1、Sol i 2、Sol i 3、Sol i 4、ソレノプシス・リクテリ(クロカミアリ)からのアレルゲンである例えばSol r 2、Sol r3、ソレノプシス・サエウィッシマ(ブラジルのカミアリ)からのアレルゲンである例えばSol s 2、Sol s 3、ウェスパ・クラブロ(モンスズメバチ)からのアレルゲンである例えばVesp c 1、Vesp c 5、ウェスパ・マンダリニア(オオスズメバチ)からのアレルゲンである例えばVesp m 1、Vesp m 5、ウェスプラ・フラウェピロサ(スズメバチ)からのアレルゲンである例えばVes f 5、ウェスプラ・ゲルマニカ(スズメバチ)からのアレルゲンである例えばVes g 5、ウェスプラ・マクリフロンス(スズメバチ)からのアレルゲンである例えばVes m 1、Ves m 2、Ves m 5、ウェスプラ・ペンシュルワニカ(スズメバチ)からのアレルゲンである例えばVes p 5、ウェスプラ・スクアモサ(スズメバチ)からのアレルゲンである例えばVes s 1、Ves s 5、ウェスプラ・ウィドゥア(ハチ)からのアレルゲンである例えばVes vi 5、ウェスプラ・ウルガリス(スズメバチ)からのアレルゲンである例えばVes v 1、Ves v 2、Ves v 3、Ves v 5、アルガス・レフレクス(ハトのヒメダニ)からのアレルゲンである例えばArg r 1、タウメトポエア・ピテュオカンパ(オオギョウレツムシガ)からのアレルゲンである例えばTha p 1、ピテュオカンパ(ガ)からのアレルゲンである例えばTha p 1、クテノケパリデス・フェリス・フェリス(ネコノミ)からのアレルゲンである例えばCte f 1、Cte f 2、Cte f 3、レピスマ・サッカリナ(セイヨウシミ)からのアレルゲンである例えばLep s 1、ラナ・エスクレンタ(食用ガエル)からのアレルゲンである例えばRan e 1、Ran e 2、カニス・ファミリアリス(イヌ)からのアレルゲンである例えばCan f 1、Can f 2、Can f 3、Can f 4、Can f 5、フェリス・ドメスティクス(ネコ)からのアレルゲンである例えばFel d 1、Fel d 2、Fel d 3、Fel d 4、Fel d 5w、Fel d 6w、ボス・ドメスティクス(家畜)からのアレルゲンである例えばBos d 2、Bos d 3、Bos d 4、Bos d 5、Bos d 6、Bos d 7、Bos d 8、サルディノプス・サガクス(太平洋マイワシ)からのアレルゲンである例えばSar sa 1、ガドゥス・カラリアス(バルト海タラ)からのアレルゲンである例えばGad c 1、ガルス・ドメスティクス(ニワトリ)からのアレルゲンである例えばGal d 1、Gal d 2、Gal d 3、Gal d 4、Gal d 5、オリュクトラグス・クニクルス(ウサギ)からのアレルゲンである例えばOry c 1、キフィアス・グラディウス(メカジキ)からのアレルゲンである例えばXip g 1、エクウス・カバルス(ウマ)からのアレルゲンである例えばEqu c 1、Equ c 2、Equ c 3、Equ c 4、Equ c 5、レピドルホンブス・ホイフィアゴニス(メグリム、コケビラメ、ガロ)からのアレルゲンである例えばLep w 1、ホモ・サピエンス(アレルギー性のヒト)からのアレルゲンである例えばHom s 1、Hom s 2、Hom s 3、Hom s 4、Hom s 5、カウィア・ポルケルス(モルモット)からのアレルゲンである例えばCav p 1、Cav p 2、ムス・ムスクルス(マウス)からのアレルゲンである例えばMus m 1、ラトゥス・ノルウェギウス(ラット)からのアレルゲンである例えばRat n 1、サルモ・サラール(大西洋サケ)からのアレルゲンである例えばSal s 1、デンドロネプテュア・ニッポニカ(アカトゲトサカ)からのアレルゲンである例えばDen n 1、トダロデス・パキフィクス(イカ)からのアレルゲンである例えばTod p 1、ヘリクス・アスペルサ・ブラウン(カタツムリ)からのアレルゲンである例えばHel as 1、ハリオティス・ミダエ(アワビ)からのアレルゲンである例えばHal m 1、アニサキス・シンプレクス(センチュウ)からのアレルゲンである例えばAni s 1、Ani s 2、Ani s 3、Ani s 4、Ani s 5、Ani s 6、Ani s 7、Ani s 8、Ani s 9、アスカリス・スウム(ブタカイチュウ)からのアレルゲンである例えばAsc s 1、アルテルナリア・アルテルナタ・アルテルナリア(腐朽菌)からのアレルゲンである例えばAlt a 1、Alt a 3、Alt a 4、Alt a 5、Alt a 6、Alt a 7、Alt a 8、Alt a 10、Alt a 12、Alt a 13、クラドスポリウム・クラドスポリオイデスからのアレルゲンである例えばCla c 9、クラドスポリウム・ヘルバルムからのアレルゲンである例えばCla h 2、Cla h 5、Cla h 6、Cla h 7、Cla h 8、Cla h 9、Cla h 10、Cla h 12、クルウラリア・ルナタからのアレルゲンである例えばCur l 1、Cur l 2、Cur l 3、アスペルギルス・フラウスからのアレルゲンである例えばAsp fl 13、アスペルギルス・フミガトゥスからのアレルゲンである例えばAsp f 1、Asp f 2、Asp f 3、Asp f 4、Asp f 5、Asp f 6、Asp f 7、Asp f 8、Asp f 9、Asp f 10、Asp f 11、Asp f 12、Asp f 13、Asp f 15、Asp f 16、Asp f 17、Asp f 18、Asp f 22、Asp f 23、Asp f 27、Asp f 28、Asp f 29、Asp f 34、アスペルギルス・ニゲールからのアレルゲンである例えばAsp n 14、Asp n 18、Asp n 25、アスペルギルス・オリザエからのアレルゲンである例えばAsp o 13、Asp o 21、ペニキリウム・ブレウィコンパクトゥムからのアレルゲンである例えばPen b 13、Pen b 26、ペニキリウム・クリュソゲヌムからのアレルゲンである例えばPen ch 13、Pen ch 18、Pen ch 20、Pen ch 31、Pen ch 33、ペニキリウム・キトリヌムからのアレルゲンである例えばPen c 3、Pen c 13、Pen c 19、Pen c 22、Pen c 24、Pen c 30、Pen c 32、ペニキリウム・オキサリクムからのアレルゲンである例えばPen o 18、フサリウム・クルモルムからのアレルゲンである例えばFus c 1、Fus c 2、トリコフュトン・ルブルムからのアレルゲンである例えばTri r 2、Tri r 4、トリコフュトン・トンスランスからのアレルゲンである例えばTri t 1、Tri t 4、カンディダ・アルビカンス(酵母)からのアレルゲンである例えばCand a 1、Cand a 3、カンディダ・ボイディニイ(酵母)からのアレルゲンである例えばCand b 2、エピコックム・プルプラスケンスからのアレルゲンである例えばEpi p 1、コプリヌス・コマトゥス(ササクレヒトヨタケ)からのアレルゲンである例えばCop c 1、Cop c 2、Cop c 3、Cop c 5、Cop c 7、プシロキュベ・クベンシス(シビレタケ)からのアレルゲンである例えばPsi c 1、Psi c 2、ロドトルラ・ムキラギノサ(酵母)からのアレルゲンである例えばRho m 1、Rho m 2、マラッセジア・フルフル・ピテュリアシス・ウェルシコロール(感染性媒体)からのアレルゲンである例えばMala f 2、Mala f 3、Mala f 4、マラ
ッセジア・シュンポディアリスからのアレルゲンである例えばMala s 1、Mala s 5、Mala s 6、Mala s 7、Mala s 8、Mala s 9、Mala s 10、Mala s 11、Mala s 12、Mala s 13、カマエキュパリス・オブトゥサ(ヒノキ)からのアレルゲンである例えばCha o 1、Cha o 2、クリュプトメリア・ヤポニカ(スギ)からのアレルゲンである例えばCry j 1、Cry j 2、クプレッスス・アリゾニカ(イトスギ)からのアレルゲンである例えばCup a 1、クプレッスス・センペルウィレンス(一般的なイトスギ)からのアレルゲンである例えばCup s 1、Cup s 3、ユニペルス・アスヘイ(ヒマラヤスギ)からのアレルゲンである例えばJun a 1、Jun a 2、Jun a 3、ユニペルス・オクシュケドゥルス(ケードネズ)からのアレルゲンである例えばJun o 4、ユニペルス・サビノイデス(ヒマラヤスギ)からのアレルゲンである例えばJun s 1、ユニペルス・ウィルジニアナ(エンピツビャクシン)からのアレルゲンである例えばJun v 1、Jun v 3、フォエニクス・ダクテュリフェラ(ナツメヤシ)からのアレルゲンである例えばPho d 2、アスパラグス・オフィキナリス(アスパラガス)からのアレルゲンである例えばAspa o 1、クロクス・サティウス(サフラン)からのアレルゲンである例えばCro s 1、Cro s 2、アナナス・コモスス(パイナップル)からのアレルゲンである例えばAna c 1、Ana c 2、アントキサントゥム・オドラトゥム(ハルガヤ)からのアレルゲンである例えばAnt o 1、キュノドン・ダクチュロン(ギョウギシバ)からのアレルゲンである例えばCyn d 1、Cyn d 7、Cyn d 12、Cyn d 15、Cyn d 22w、Cyn d 23、Cyn d 24、ダクテュリス・グロメラタ(カモガヤ)からのアレルゲンである例えばDac g 1、Dac g 2、Dac g 3、Dac g 4、Dac g 5、フェストゥカ・プラテンシス(ヒロハノウシノケグサ)からのアレルゲンである例えばFes p 4、ホルクス・ラナトゥス(シラゲガヤ)からのアレルゲンである例えばHol l 1、Hol l 5、ホルデウム・ウルガレ(オオムギ)からのアレルゲンである例えばHor v 1、Hor v 5、Hor v 12、Hor v 15、Hor v 16、Hor v 17、Hor v 21、ロリウム・ペレンネ(ライグラス)からのアレルゲンである例えばLol p 1、Lol p 2、Lol p 3、Lol p 4、Lol p 5、Lol p 11、オリザ・サティワ(イネ)からのアレルゲンである例えばOry s 1、Ory s 12、パスパルム・ノタトゥム(バヒアグラス)からのアレルゲンである例えばPas n 1、ファラリス・アクアティカ(クサヨシ)からのアレルゲンである例えばPha a 1、Pha a 5、フレウム・プラテンセ(オオアワガエリ)からのアレルゲンである例えばPhl p 1、Phl p 2、Phl p 4、Phl p 5、Phl p 6、Phl p 7、Phl p 11、Phl p 12、Phl p 13、ポア・プラテンシス(ナガハグサ)からのアレルゲンである例えばPoa p 1、Poa p 5、セカレ・ケレアレ(ライムギ)からのアレルゲンである例えばSec c 1、Sec c 20、ソルグム・ハレペンセ(ヒメモロコシ)からのアレルゲンである例えばSor h 1、トリティクム・アエスティウム(コムギ)からのアレルゲンである例えばTri a 12、Tri a 14、Tri a 18、Tri a 19、Tri a 25、Tri a 26、ゼア・マユス(トウモロコシ)からのアレルゲンである例えばZea m 1、Zea m 12、Zea m 14、Zea m 25、ムサ・アクミナタ(バナナ)からのアレルゲンである例えばMus a 1、ムサ x パラディシアカ(バナナ)からのアレルゲンである例えばMus xp 1、アピウム・グラウェオレンス(セロリ)からのアレルゲンである例えばApi g 1、Api g 3、Api g 4、Api g 5、ダウクス・カロタ(ニンジン)からのアレルゲンである例えばDau c 1、Dau c 4、アンブロシア・アルテミシイフォリア(ブタクサ)からのアレルゲンである例えばAmb a 1、Amb a 2、Amb a 3、Amb a 5、Amb a 6、Amb a 7、Amb a 8、Amb a 9、Amb a 10、アンブロシア・プシロスタキュア(ブタクサモドキ)からのアレルゲンである例えばAmb p 5、アンブロシア・トリフィダ(オオブタクサ)からのアレルゲンである例えばAmb t 5、アルテミシア・ウルガリス(ヨモギ)からのアレルゲンである例えばArt v 1、Art v 2、Art v 3、Art v 4、Art v 5、Art v 6、ヘリアントゥス・アンヌウス(ヒマワリ)からのアレルゲンである例えばHel a 1、Hel a 2、Hel a 3、ラクトゥカ・サティワ(レタス)からのアレルゲンである例えばLac s 1、ブラシカ・ユンケア(カラシナ)からのアレルゲンである例えばBra j 1、ブラシカ・ナプス(アブラナ)からのアレルゲンである例えばBra n 1、ブラシカ・オレラケア(キャベツ)からのアレルゲンである例えばBra o 3、ブラシカ・ラパ(カブ)からのアレルゲンである例えばBra r 1、Bra r 2、シナピス・アルバ(シロガラシ)からのアレルゲンである例えばSin a 1、Sin a 2、ベタ・ウルガリス(テンサイ)からのアレルゲンである例えばBeta v 1、Beta v 2、ケノポディウム・アルブム(アカザ)からのアレルゲンである例えばChe a 1、Che a 2、Che a 3、サルソラ・カリ(ノハラヒジキ)からのアレルゲンである例えばSal k 1、Sal k 2、ククミス・メロからのアレルゲンである例えばCuc m 1、Cuc m 2、Cuc m 3、アクティニディア・キネンシス(ゴールド・キウイフルーツ)からのアレルゲンである例えばAct c 5、Act c 8、Act c 10、アクティニディア・デリキオサ(キウイフルーツ)からのアレルゲンである例えばAct d 1、Act d 2、Act d 3、Act d 4、Act d 5、Act d 6、Act d 7、Act d 8、Act d 9、Act d 10、Act d 11、ベルトレティア・エクスケルサ(ブラジルナッツ)からのアレルゲンである例えばBer e 1、Ber e 2、アラキス・ヒュポガエ(ピーナツ)からのアレルゲンである例えばAra h 1、Ara h 2、Ara h 3、Ara h 4、Ara h 5、Ara h 6、Ara h 7、Ara h 8、Ara h 9、Ara h 10、Ara h 11、グリュキネ・マクス(ダイズ)からのアレルゲンである例えばGly m 1、Gly m 2、Gly m 3、Gly m 4、Gly m 5、Gly m 6、レンス・クリナリス(レンズマメ)からのアレルゲンである例えばLen c 1、Len c 2、ルピヌス・アングスティフォリウス(ルピナス)からのアレルゲンである例えばLup an 1、ピスム・サティウム(エンドウ)からのアレルゲンである例えばPis s 1、Pis s 2、ウィグナ・ラディアタ(ヤエナリ)からのアレルゲンである例えばVig r 1、アルヌス・グルティノサ(ハンノキ)からのアレルゲンである例えばAln g 1、Aln g 4、ベトゥラ・ウェルコサ(カバノキ)からのアレルゲンである例えばBet v 1、Bet v 2、Bet v 3、Bet v 4、Bet v 6、Bet v 7、カルピヌス・ベトゥルス(シデ)からのアレルゲンである例えばCar b 1、カスタネア・サティワ(クリ)からのアレルゲンである例えばCas s 1、Cas s 5、Cas s 8、コリュルス・アウェラナ(ハシバミ)からのアレルゲンである例えばCor a 1、Cor a 2、Cor a 8、Cor a 9、Cor a 10、Cor a 11、Cor a 12、Cor a 13、Cor a 14、ユグランス・ニグラ(クログルミ)からのアレルゲンである例えばJug n 1、Jug n 2、ユグランス・レギア・イングリッシュ(クルミ)からのアレルゲンである例えばJug r 1、Jug r 2、Jug r 3、Jug r 4、クエルクス・アルバ(ホワイトオーク)からのアレルゲンである例えばQue a 1、カタラントゥス・ロセウスからのアレルゲンである例えばCat r 1、フラクシヌス・エクスケルシオール(トネリコ)からのアレルゲンである例えばFra e 1、リグストゥルム・ウルガレ(ヨウシュイボタノキ)からのアレルゲンである例えばLig v 1、オレア・エウロペア(オリーブ)からのアレルゲンである例えばOle e 1、Ole e 2、Ole e 3、Ole e 4、Ole e 5、Ole e 6、Ole e 7、Ole e 8、Ole e 9、Ole e 10、プランタゴ・ランケオラタ(ヘラオオバコ)からのアレルゲンである例えばPla l 1、セサムム・インディクム(ゴマ)からのアレルゲンである例えばSes i 1、Ses i 2、Ses i 3、Ses i 4、Ses i 5、Ses i 6、Ses i 7、シュリンガ・ウルガリス(ライラック)からのアレルゲンである例えばSyr v 1、Syr v 3、ペルセア・アメリカナからのアレルゲンである例えばPers a 1、ヘウェア・ブラシリエンシス(パラゴムノキ、ラテックス)からのアレルゲンである例えばHev b 1、Hev b 2、Hev b 3、Hev b 4、Hev b 5、Hev b 6、Hev b 7、Hev b 8、Hev b 9、Hev b 10、Hev b 11、Hev b 12、Hev b 13、メルクリアリス・アンヌア(一年性ヤマアイ)からのアレルゲンである例えばMer a 1、リキヌス・コンムニス(ヒマ)からのアレルゲンである例えばRic c 1、プラタヌス・アケリフォリア(カエデバ)からのアレルゲンである例えばPla a 1、Pla a 2、Pla a 3、プラタヌス・オリエンタリス(スズカケノキ)からのアレルゲンである例えばPla or 1、Pla or 2、Pla or 3、フラガリア・アナナッサ(イチゴ)からのアレルゲンである例えばFra a 1、Fra a 3、Fra a 4、フムルス・ヤポニクス(カナムグラ)からのアレルゲンである例えばHum j 1、マルス・ドメスティカ(リンゴ)からのアレルゲンである例えばMal d 1、Mal d 2、Mal d 3、Mal d 4、モルス・ニグラ(クワ)からのアレルゲンである例えばMor n 3、パリエタリア・ユダイカ(ヒカゲミズ)からのアレルゲンである例えばPar j 1、Par j 2、Par j 3、Par j 4、パリエタリア・オフィキナリス(ヒカゲミズ)からのアレルゲンである例えばPar o 1、プルヌス・アルメニアカ(アプリコット)からのアレルゲンである例えばPru ar 1、Pru ar 3、プルヌス・アウィウム(セイヨウミザクラ)からのアレルゲンである例えばPru av 1、Pru av 2、Pru av 3、Pru av 4、プルヌス・ドメスティカ(セイヨウスモモ)からのアレルゲンである例えばPru d 3、プルヌス・ドゥルキス(アーモンド)からのアレルゲンである例えばPru du 4、Pru du 5、プルヌス・ペルシカ(モモ)からのアレルゲンである例えばPru p 1、Pru p 3、Pru p 4、ピュルス・コンムニス(ナシ)からのアレルゲンである例えばPyr c 1、Pyr c 3、Pyr c 4、Pyr c 5、ルブス・イダエウス(赤ラズベリー)からのアレルゲンである例えばRub i 1、Rub i 3、ジジフス・マウリティアナ(ナツメ)からのアレルゲンである例えばZiz m 1、ウィティス・ウィニフェラからのアレルゲンである例えばVit v 1、アナカルディウム・オクキデンタレ(カシュー)からのアレルゲンである例えばAna o 1、Ana o 2、Ana o 3、キトルス・リモン(レモン)からのアレルゲンである例えばCit l 3、キトルス・レティクラタ(マンダリン)からのアレルゲンである例えばCit r 3、キトルス・シネンシス(スウィートオレンジ)からのアレルゲンである例えばCit s 1、Cit s 2、Cit s 3、リッキ・キネンシス(ライチ)からのアレルゲンである例えばLit c 1、ピスタキア・ウェラ(ピスタチオ)からのアレルゲンである例えばPis v 1、Pis v 2、Pis v 3、Pis v 4、Pis v 5、カプシクム・アンヌウム(ピーマン)からのアレルゲンである例えばCap a 1w、Cap a 2、リュコペルシコン・エスクレントゥム(トマト)からのアレルゲンである例えばLyc e 1、Lyc e 2、Lyc e 3、ソラヌム・テュベロスム(ジャガイモ)からのアレルゲンである例えばSola t 1、Sola t 2、Sola t 3、Sola t 4。
【0085】
本発明のキットは、1種類以上のアレルゲン、例えば2種類、3種類、4種類、5種類、6種類、7種類、8種類、9種類、10種類、15種類、20種類、25種類、50種類、75種類、100種類までの異なるアレルゲンを含むことができる。このキットは、例えば、同じアレルギー源に由来するか、異なるアレルギー源(例えば異なる草種からの草グループ1と草グループ5のアレルゲン、または異なるダニ種からのダニ・グループ1とダニ・グループ2のアレルゲン)に由来する少なくとも2種類の異なるタイプのアレルゲンを含むことができる。
【0086】
本発明のアレルゲンは、抽出液、精製したアレルゲン、改変したアレルゲン、組み換えアレルゲン、組み換えアレルゲンの突然変異体の形態が可能である。この明細書では、アレルゲンという用語に、天然のアレルゲン(抽出したもの、精製したもの、組み換え技術で得られたもの)と、化学的処理、生物学的処理、遺伝子工学のいずれかによって改変されたアレルゲンの両方が含まれる。
【0087】
アレルゲン抽出液は、同じアレルゲンの1種類以上のアイソフォームを当然含むことができるのに対し、組み換えアレルゲンは、典型的には1つのアレルゲンの1つのアイソフォームだけを代表している。好ましい一実施態様では、アレルゲンは抽出液の形態である。別の好ましい一実施態様では、アレルゲンは組み換えアレルゲンである。さらに好ましい一実施態様では、アレルゲンは、天然の低IgE結合突然変異体、または組み換え低IgE結合突然変異体である。個々のアレルゲンが同じモル量で存在してもよいし、アレルゲンの比が、好ましくは1:20まで変化してもよい。
【0088】
特別な一実施態様では、本発明のキットに存在するアレルゲンは、天然のアレルゲンと比べて改変されている。そのようなアレルゲンは、免疫原性を犠牲にすることなくそのアレルゲン性を小さくする望みを持って改変されているため、より少ない注射回数で改善された免疫療法の結果が実現される。免疫療法用の改変されたアレルゲンは、当業者によく知られている。例えばアレルゲンをポリマー化することができる。アレルゲンは、ホルムアルデヒドで処理したアレルゲンであってもよい。これは“アレルゴイド”と呼ばれることがしばしばある。ポリエチレングリコールで改変したブタクサ抽出液も、免疫療法で使用するために提案されている。改変されたアレルゲンには、突然変異した配列を持つ組み換えアレルゲンも含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】モノクローナル抗体とIgE反応性。精製した組み換えDer p 2(rDer p 2)と天然のDer p 2(nDer p 2)について、天然のタンパク質に対するモノクローナル抗体である抗DpX(A)およびKori 221B(B)と、室内塵ダニ・アレルギー患者から得た血清から作ったIgEプール(C)を用いてウエスタン・ブロット分析を実施した。各アレルゲンについてタンパク質100ngをロードした。
【図2】好塩基球の活性化。8人のHDMアレルギー・ドナーからの好塩基球をさまざまな量の天然Der p 2(nDer p 2)または組み換えDer p 2(rDer p 2)に曝露した。CRTH2細胞でのサイトフルオロメトリーによってCD203c活性化マーカーの発現を調べた。データは、8回の独立な実験から得たCD203chigh好塩基球の割合の平均値として表わす。
【図3】円二色性分析。150mM NaClと10mM酢酸ナトリウムを含む緩衝液(pH5)に組み換えDer p 2(rDer p 2)を構成的に発現させたもの(E9590;0.36μM)またはメタノールで誘導した後のもの(E9520;0.28μM)を入れて円二色性分析を行なった。精製した天然のDer p 2(nDer p 2)(77.9μM)を含むPBS緩衝液を対照として用いた。
【図4】円二色性分光による二次構造の分析。(A)Jasco J-815 CD分光測光器(ジャスコ社、ブグネ、フランス国)を用い、ブランクの緩衝液(10mMの酢酸ナトリウム、150mMのNaCl、pH5.0)を基準として天然のDer p 2分子と組み換えDer p 2分子(300μg/ml)を円二色性によって調べた。1mmのキュベットの中で、20℃における200〜260nmの波長範囲での8回の独立したスペクトル走査を、走査速度100nm/分、バンド幅1nm、データ・ピッチ0.2nmで記録し、平均した。nDer p 2(B)とrDer p 2(C)の熱安定性を、これらタンパク質の10℃ずつの昇温ステップで加熱してから20℃まで冷却した後にCDスペクトルを測定することによって評価した。その結果であるスペクトルは、3回の走査の平均として得た。
【図5】rDer p 2を用いた舌下免疫療法(SLIT)は、nDer p 2で感作させた動物の気道過敏反応を減らす。PBSまたは50μgのrDer p 2を用いたSLITを8週間実施した後、マウスを再びアレルゲン抽出液に2日間連続で曝した。最後のチャレンジから24時間後、全身プレチスモグラフィによってメタコリンに対する気道過敏反応(AHR)を測定し、Penh指数として表わした。結果は、1つの群につきn=6匹のマウスの平均値±SEMとして表示する。**:PBSで処理した群と比べてp<0.01。ns:健康なマウスと統計的に違いがない。
【図6】rDer p 2を用いたSLITは、肺好酸球症を減らす。気管支肺胞洗浄(BAL)をサイトスピンにかけたものをメイ-グリュンヴァルト・ギームザ染色した後、示差細胞カウントを実施した。結果は、1つの群につきn=6匹のマウスの平均値±SEMとして表示する。*:PBSで処理した群と比べてp<0.05。
【図7】rDer p 2を用いたSLITは、nDer p 2特異的Th2 T細胞の応答を減らす。PBSで処理した群とrDer p 2で処理した群から肺細胞を回収し、精製した10μgのnDer p 2を用いて試験管内で72時間にわたって再度刺激した。培養物の上清に含まれるサイトカインIL-13とIL-5のレベルをサイトメトリック・ビーズ・アレイ(CBA)によって測定した。結果は、1つの群につきn=6匹のマウスの平均値±SEMとして表示する。*:PBSで処理した群と比べてp<0.05。
【図8A−B】好塩基球の活性化。10人のHDMアレルギー・ドナーからの好塩基球をさまざまな量の天然Der p 2(nDer p 2)または組み換えDer p 2(rDer p 2)に曝露した。活性化した好塩基球の割合は、CRTH2細胞でのサイトフルオロメトリーによって決定した。
【図8C−D】好塩基球の活性化。10人のHDMアレルギー・ドナーからの好塩基球をさまざまな量の天然Der p 2(nDer p 2)または組み換えDer p 2(rDer p 2)に曝露した。活性化した好塩基球の割合は、CRTH2細胞でのサイトフルオロメトリーによって決定した。
【図8E−F】好塩基球の活性化。10人のHDMアレルギー・ドナーからの好塩基球をさまざまな量の天然Der p 2(nDer p 2)または組み換えDer p 2(rDer p 2)に曝露した。活性化した好塩基球の割合は、CRTH2細胞でのサイトフルオロメトリーによって決定した。
【図8G−H】好塩基球の活性化。10人のHDMアレルギー・ドナーからの好塩基球をさまざまな量の天然Der p 2(nDer p 2)または組み換えDer p 2(rDer p 2)に曝露した。活性化した好塩基球の割合は、CRTH2細胞でのサイトフルオロメトリーによって決定した。
【図8I−J】好塩基球の活性化。10人のHDMアレルギー・ドナーからの好塩基球をさまざまな量の天然Der p 2(nDer p 2)または組み換えDer p 2(rDer p 2)に曝露した。活性化した好塩基球の割合は、CRTH2細胞でのサイトフルオロメトリーによって決定した。
【0090】
配列の簡単な説明
配列ID番号1は、Der p 2の2.0101アイソフォームの配列を示す。
配列ID番号2は、Der p 2のM76V突然変異体の配列を示す。
配列ID番号3は、Der p 2のM111L突然変異体の配列を示す。
配列ID番号4は、Der p 2のM76V-M111L突然変異体の配列を示す。
【実施例1】
【0091】
材料と方法
【0092】
P. パストリスにおけるクローニングと発現
【0093】
Der p 2.0101をコードしているDNA配列を、α因子配列シグナルがXhoI部位とNotI部位に一致しているpPICZαとpGAPZα(インヴィトロジェン社)の中でクローニングした。コンストラクトをDNAシークエンシングによってチェックした。メタノール要求性P. パストリスであるGS115酵母株またはX33酵母株の中でタンパク質を製造者(インヴィトロジェン社)の指示に従って発現させた。プラスミドpPICZα-Der p 2とpGAPZα-Der p 2を最初にそれぞれSacIまたはAvrIIで消化させ、電気穿孔によって酵母細胞の形質転換に用いた。陽性クローンをYPDゼオシン(100μg/ml)プレート上で選択し、PCRによってコンストラクトの統合を確認した。選択したクローンを緩衝化グリセロール複合培地(BMGY pH6)に接種し、OD600nmが2〜6になるまで30℃にて一晩増殖させた。次に細胞を緩衝化メタノール複合培地(BMMY pH6)に希釈して最初のOD600nmを1にし、30℃にてさらに1〜6日間増殖させた。遠心分離後に培養物の上清を回収し、使用するまで-20℃で保管した。あるいは構成的発現に関しては、細胞をYPDの中で30℃にて5〜6日間増殖させた。培養物の上清を遠心分離によって回収し、使用するまで-20℃で保管した。
【0094】
SP XLカラム(GEヘルスケア社)上での弱いアニオン交換クロマトグラフィによってDer p 2を精製した。簡単に述べるならば、上清を解凍し、10mMのNaClと10mMの酢酸ナトリウムを含む結合緩衝液(pH5)に対して透析し、20mlのCV SP XLに適用した。Der p 2は、500mMのNaClと10mMの酢酸ナトリウムを含む緩衝液(pH5)の勾配を用いて溶離させた。回収した画分をプールし、5kDaのカット-オフ膜(ミリポア社)を用いたアミコン・セルの上で濃縮した。
【0095】
SDS-PAGEとウエスタン・ブロット分析
【0096】
Nupage 4〜12%ビス-トリス・アクリルアミド・ゲルとMES緩衝液を非還元条件下で用い、SDS-PAGEによってタンパク質を分離した後、ニトロセルロース膜の上に移した。そのとき、製造者(インヴィトロジェン社)の指示に従った。見かけの分子量は、SeeBlue Plus2ラダー(インヴィトロジェン社)を用いて見積もった。膜をQentixウエスタン・ブロット信号エンハンサー(ピアス社)で処理した後、1%の無脂乳を含むTBS緩衝液(バイオラド社)を用いて非特異的部位をブロックした。0.2%の無脂乳と0.1%のトゥイーン20を補足したTBS緩衝液に特異的抗体を一晩かけて添加した。天然のDer p 2またはHDMアレルギー患者からの血清プールに向かう抗Dpx(0.2μg/ml;インドア・バイオテクノロジーズ社)とKori 221B(0.2μg/ml;スタレルジェンヌ社)マウス・モノクローナル抗体を用いて検出した(1:30)。二次抗体には、必要に応じ、HRPが共役したヒツジ抗マウスIgG(1:1000;シグマ-オールドリッチ社)、またはマウス抗ヤギ/ヒツジIgG(1:5000;シグマ-オールドリッチ社)、またはウサギ抗ヒトIgE(1:1000;ダコ社)に続けてHRPが共役したヤギ抗ウサギIgG(1:10000;カルバイオケム社)が含まれていた。スーパーシグナル・ウエスト・ピコ化学発光基質(ピアス社)とケミスマート2000 CCDカメラ(ヴィルバート・ルアマット社)を用いて検出した。
【0097】
円二色性
【0098】
Jasco-810分光測光器(ジャスコ社)でCD分析を実施した。P. パストリスの中で産生させた組み換えDer p 2(rDer p 2)分子をIEXクロマトグラフィによって精製し、150mMのNaClと10mMの酢酸ナトリウムを含む緩衝液(pH5)の中に保管した。E9250(メタノールで誘導)のバッチとE9590(構成的発現)のバッチの中のrDer p 2の濃度は、それぞれ0.28μMと0.36μMであった。天然の精製Der p 2(nDer p 2)を含むPBS緩衝液(77.9μM)をインドア・バイオテクノロジーズ社(ウォーミンスター、イギリス国)から購入した。パス長が0.1cmのセルを用い、スペクトルを、195〜250nmの範囲での10回の走査の平均値として記録した。ベース-ラインは緩衝液のスペクトルを用いて決定した。
【0099】
好塩基球活性化試験
【0100】
アレルゲン性キット(ベックマン・コールター社)を用いて好塩基球の活性化をフローサイトメトリー(FC500;ベックマン・コールター社)によって測定した(Burtin他、2009年)。簡単に述べるならば、ヘパリン処理した全血サンプルを10人のHDMアレルギー患者から取得し、さまざまな濃度の天然Der p 2と組み換えDer p 2の不在下または存在下で37℃にて15分間にわたってインキュベートした。Tリンパ球(CD3+細胞)を除去した後、抗CRTH2抗体と抗CD203c抗体で二重に染色することにより、活性化した好塩基球を検出した。PBSまたは抗IgE抗体とともにインキュベートした全血細胞をそれぞれ陰性の対照および陽性の対照として用いた。
【0101】
質量分析
【0102】
RP-RSLC-UV-MS分析
【0103】
Der p 2をHypersilGold C18(2.1×200mm、1.9μm)カラム(サーモサイエンティフィック社)に適用し、0.1%のギ酸を含む0〜100%のアセトニトリル勾配(どちらもJ.T. Bakerから)を用いて15分間かけて分離した。次にMaxis質量分析器(ブルーカー・ダルトニクス社)に溶離液を注入した。
【0104】
RP-RSLC-UV-MS/MSペプチド地図
【0105】
15mMのヨードアセトアミドを含む75mMの炭酸水素アンモニウムを用いてサンプルを30分間にわたってアルキル化した後、トリプシン(シグマ社)を含む75mMの炭酸水素アンモニウムで消化させた。そのとき比が1/25 (w/w)のトリプシン/Der p 2を用いた。37℃で16時間にわたって消化させた後、TFAを0.5%まで添加して反応を停止させた。RSLC Ultimate 3000クロマトグラフィ装置(ディオネクス社)を用い、Acquity C18(BEH130、100×2.1mm、1.7μm)カラム(ウォーターズ社)上で消化産物を分離した。0.1%ギ酸(J.T. Baker)の0〜100%勾配を用いて55分間かけてペプチド断片を溶離させた後、Maxis質量分析器(ブルーカー・ダルトニクス社)に注入した。
【実施例2】
【0106】
結果
【0107】
発明者は、一般的な室内塵ダニアレルギーに対するワクチンを開発するため、Der p 2アレルゲンを、酵母P. パストリスの中で分泌分子として、構成的に発現させるか、メタノールを用いた誘導の後に発現させた。この分子は抗Der p 2特異的モノクローナル抗体と、HDMアレルギー患者からのIgEによってよく認識される(図1)。さらに、組み換えDer p 2は、好塩基球を天然のDer p 2と同程度に活性化させることができる(図2と図8)。
【0108】
発明者はさらに、組み換え分子のコンホメーションを天然のDer p 2と比較して分析した。2つの独立なバッチに関する質量分析から計算したrDer p 2の質量は、質量の理論値とよく一致した(8ppm未満の差)。特に、すべてのシステインがジスルフィド結合に関与していることが示された。ジスルフィド結合は分子の3D構造を安定化させるためのカギとなる要素であってその分子のアレルゲン性に影響を与えるため(SmithとChapman、1996年)、発明者はLC-MS/MSによってジスルフィド結合をマッピングした。表1からわかるように、大腸菌封入体から構造が復元されたrDer p 2とは異なり、P. パストリスの中で発現したrDer p 2は、予想された3つのジスルフィド結合(Cys8-Cys119、Cys21-Cys27、Cys73-Cys78)だけを示した。
【0109】
【表1】

表1:ジスルフィド結合のマッピング
LC-MS/MSによってジスルフィド架橋を特定した。6個のシステイン残基がペアになって3つの結合となる(Cys8-Cys119、Cys21-Cys27、Cys73-Cys78)(Derewenda他、2002年;Mueller他、1997年)。大腸菌の中で生じる組み換え分子で観察された予期しない結合は、試験館内で構造を復元させている間に起こるペア形成の間違いである。
【0110】
その後、二次構造の中身を比較するため、組み換えDer p 2と天然のDer p 2で円二色性を調べた。両方の分子について得られたスペクトルは、組み換えタンパク質が天然のタンパク質と同じように折り畳まれることを示している(図3と図4)。さらに、10℃ずつの昇温ステップで加熱してから20℃まで冷却した後に円二色性によって評価すると、天然のDer p 2と組み換えDer p 2の両方とも熱安定性を示すことが見いだされた(図4)。最後に、β-シートとα-ヘリックスの割合は、Yangのアルゴリズムを用いると、表2に示してあるように天然のDer p 2と組み換えDer p 2で似ていることが見いだされた。
【0111】
【表2】

表2:天然のDer p 2と組み換えDer p 2におけるβ-シートとα-ヘリックスの割合
円二色性スペクトルを分析するためのYangのアルゴリズム(Yang, J.T.、C.S. Wu他、1986年)を利用し、天然のDer p 2と組み換えDer p 2におけるβ-シートとα-ヘリックスの割合を決定した。
【0112】
最後に、発明者は、rDer p 2がnDer p 2アレルギー・マウスを減感作させうることを示した。そのことは、nDer p 2感作動物における治療後の気道過敏応答の低下、肺好酸球症の減少、より少ないnDer p 2特異的Th2 T細胞応答によって判断される(図5〜図7)。
【0113】
まとめると、われわれの結果は、酵母P. パストリスにおけるDer p 2の組み換え発現によって保存された免疫反応性と天然様コンホメーションの両方を持ったタンパク質が生じることを示している。これらの結果は予想外である。なぜなら、天然のものと似たDer p 2分子をP. パストリスの中で産生させる試みは今日まで失敗してきており、せいぜい部分的に折り畳まれた分子が得られるだけだったからである(Tanyaratsrisakul他、2009年)。発明者は、P. パストリスにおけるrDer p 2分子の発現が免疫療法と診断の目的に適していると結論する。
【0114】
参考文献
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つのジスルフィド結合を、配列ID番号1の配列に示したアミノ酸位置を参照してそれぞれアミノ酸C8とC119の間、アミノ酸C21とC27の間、アミノ酸C73とC78の間に有する組み換えデルマトファゴイデス・プテロニュシヌス2(rDer p 2)タンパク質を産生させる方法であって、
a)rDer p 2をコードしている配列であらかじめ形質転換したピキア・パストリス酵母株を培養するステップと;
b)ステップa)で培養したそのピキア・パストリス酵母株からrDer p 2タンパク質を単離するステップを含む方法。
【請求項2】
前記rDer p 2タンパク質が天然のDer p 2と同じコンホメーションを持つ、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ピキア・パストリス酵母株の選択を、X33株、GS115株、SMD1168株と、その栄養要求誘導体からなるグループの中から行なう、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記rDer p 2コード配列が、配列ID番号1、配列ID番号2、配列ID番号3、配列ID番号4からなるグループの中から選択したアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ステップb)において前記rDer p 2タンパク質を単離する操作が、クロマトグラフィの後に透析と濃縮を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記rDer p 2タンパク質の沈殿を含まない、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
酵母株から単離された前記rDer p 2タンパク質をさらに医薬組成物にする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法に従って得られる組み換えDer p 2タンパク質。
【請求項9】
請求項8に記載の組み換えDer p 2タンパク質を含む組成物。
【請求項10】
治療用または診断用である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
請求項8に記載の組み換えDer p 2タンパク質を用いて室内塵ダニに対するアレルギー患者を減感作する方法。
【請求項12】
前記患者が、デルマトファゴイデス・プテロニュシヌスおよび/またはデルマトファゴイデス・ファリナエに対してアレルギーである、組み換えDer p 2タンパク質を用いて減感作する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記患者が、デルマトファゴイデス・プテロニュシヌス1(Der p 1)、デルマトファゴイデス・プテロニュシヌス2(Der p 2)、デルマトファゴイデス・ファリナエ1(Der f 1)、デルマトファゴイデス・ファリナエ2(Der f 2)からなるグループの中から選択した1種類以上のアレルゲンに対してアレルギーである、組み換えDer p 2タンパク質を用いて減感作する請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
a)請求項8に記載の組み換えDer p 2タンパク質と;
b)使用指示とを含む診断キット。
【請求項15】
1種類以上の追加環境アレルゲンをさらに含む、請求項14に記載のキット。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8A−B】
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【図8C−D】
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【図8E−F】
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【図8G−H】
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【図8I−J】
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【図1】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−239781(P2011−239781A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−111804(P2011−111804)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(510307635)スタラジン ソシエテ アノニム (3)
【Fターム(参考)】