免疫組織化学的エピトープおよび核酸配列のインサイチュ検出が向上するように酵素の触媒作用で金属を付着
本発明は、生物学的サンプルに入っている興味の持たれる免疫組織化学的エピトープまたは核酸配列をインサイチュ検出する新規な組成物および方法に向けたものであり、これは、酵素標識結合分子と前記興味の持たれるエピトープまたは配列を酸化還元に不活性な還元種および可溶金属イオンの存在下で結合させることで前記金属イオンから金属原子への還元が前記酵素がつなぎ止められている地点または付近で起こり易くすることを含んで成る。ホスファターゼと接触した時に活性化されて還元形態になることで金属イオンに還元を受けさせて不溶な金属にする新規なホスフェート誘導体である還元剤を記述する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2003年6月24日付けで出願した仮米国出願60/482,596(これの内容は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、一般に、化学の分野に関し、詳細には、酵素が媒介する反応を用いて金属原子を局部的に付着させることで免疫組織化学的エピトープおよび核酸配列をインサイチュ検出する新規な方法に向けたものである。
【背景技術】
【0003】
現代の標準では、組織染色は百年以上さかのぼる古代技術である。最近では、いろいろな種類の化学品および生物化学的染色液を組織断片に加える手順を自動化する努力が成されている。この目的で創案された装置には、Ventana Medical Instrument系列のデュアルカルーセルが基になった装置、例えば320、ES(商標)、NexES(商標)、BENCHMARK(商標)およびBENCHMARK(商標)XTなどが含まれる。そのような装置が記述されている特許には特許文献1、2、3および4(これらは全部引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)が含まれる。別の種類の自動染色装置は特許文献5および6(これらは両方とも引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に記述されているTechMate(商標)系列の染色装置である。
【0004】
組織化学ではいろいろな手作業の検出化学が長年に渡って開発されてきた。一般的には、興味の持たれる分子マーカーまたは標的を生体分子検定で同定した後、病理学者または他の医学専門家による解釈が可能なように、それを光顕微鏡で見ることができるようにする必要がある。1番目の検出段階は、抗−標的一次抗体にビオチン、ジゴキシゲニン、
フルオレセイン、または興味の持たれる生物学的標的の場所を確認する目的で用いられる他のハプテンなどによる標識を検出可能様式で付けることを伴う。次に、酵素または他のレポーター分子と結合させておいた抗−ハプテン二次抗体を用いて前記一次抗体の場所を確認する。典型的な酵素系は通常の技術者に公知であり、それにはホースラディッシュペルオキシダーゼまたはアルカリ性ホスファターゼが含まれる。その後、前記酵素が前記一次抗体−二次抗体複合体の直ぐ近隣で起こる発色性基質の沈澱に触媒作用を及ぼす。色原体、例えばニトロブルーテトラゾリウム(NBT/BCIP);四塩酸3,3’−ジアミノベンジデン(DAB);および3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)などは良く知られている。別法として、酵素と基質の相互作用によって化学発光シグナルを生じさせて、それを写真フィルムで捕捉することも可能である。
【0005】
他の標識には、二次抗体の125I標識(これは写真フィルムで検出可能である)、フルオレセインイソチオシアネート標識付き二次抗体(これは紫外光で検出可能である);125I標識付き蛋白質A(これはIgG分子のFc領域と結合することから二次抗体の代わりに使用可能である)、金標識付き二次抗体(これが二次抗体と一緒に一次抗体と結合すると赤色として直接見ることができる)、ビオチニル化二次抗体(これを当該二次抗体と一緒にインキュベートした後にビオチンと強力に結合する酵素結合アビジンと一緒にインキュベートするとシグナルが増強される、と言うのは、1個の抗体分子に多数のビオチン分子が結合し得るからである)が含まれる。典型的に用いられる酵素にはアルカリ性ホスファターゼ(「AP」)またはホースラディッシュペルオキシダーゼ(「HRP」)
が含まれる。
【0006】
免疫組織化学的検出を金属で増強させることが特許文献7(引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に教示されている。特許文献7は、生物学的サンプルに酸化触媒が存在するか否かを検出するための組成物および方法に向けたものである。その組成物は、発色性基質に酸化を触媒の存在下で2種以上の共沈還元金属と一緒に受けさせることで生じさせた沈澱物を含んで成る。強いシグナルが発生し、そのシグナルを用いて標的分子に局在する酸化触媒を検出する。標的分子は核酸、抗体または細胞表面抗原であり得る。特許文献7は、特に、酸化触媒の検出では発色性沈澱物および2種以上の金属に頼っている。酸化重合させたDABをニッケルイオンで前以て処理しておくことで前記DABを銀で増感させることが非特許文献1に教示されている。
【0007】
免疫組織化学的検出を金属で増強させる例(より最近の)には特許文献8が含まれる。特許文献8は、ゼロ酸化状態の金属を金属イオンから生じさせる方法に向けたものであり、その方法は、セシウム、周期律表の1b、2a、4aおよび8族から選択される少なくとも1種の金属の金属イオン、酸素含有酸化剤、およびヒドロキノン、ヒドロキノン誘導体または没食子酸n−プロピルの中の少なくとも1種から選択される還元剤を準備し、酸化還元酵素を準備し、前記酵素と前記金属イオンと酸化剤と還元剤を一緒にし、そして前記金属イオンの少なくともいくつかに還元を受けさせてゼロ酸化状態の金属を生じさせることを含んで成る。特に銀イオンはホースラディッシュペルオキシダーゼの近くで過酸化水素およびヒドロキノンと接触すると還元を受けて銀金属が生じることが教示されている。
【0008】
興味の持たれる免疫組織化学的エピトープおよびDNA標的を明視野光顕微鏡で可視的に同定するにより良好な生化学的技術の必要性が継続して存在する。
【特許文献1】米国特許第5595707号
【特許文献2】米国特許第5654199号
【特許文献3】米国特許第6093574号
【特許文献4】米国特許第6296809号
【特許文献5】米国特許第5355439号
【特許文献6】米国特許第5737499号
【特許文献7】米国特許第5,116,734号(Higgs他)
【特許文献8】米国特許第6,670,113号(Hainfeld)
【非特許文献1】Merchanthaler他、J.Histoch.And Cytochem.、37:10 1563−65(1989)
【発明の開示】
【0009】
(発明の要約)
本発明は、生物学的サンプルに入っている興味の持たれる免疫組織化学的エピトープまたは核酸配列をインサイチュ検出する新規な組成物および方法に向けたものであり、これは、酵素標識結合分子と前記興味の持たれるエピトープまたは配列を酸化還元に不活性な
還元種および可溶性金属イオンの存在下で結合させることで前記金属イオンから酸化状態がゼロの金属への還元に触媒作用が前記酵素がつなぎ止められている地点または付近で及ぶようにすることを含んで成る。ホスファターゼ酵素と接触した時に活性化されて還元形態になった時に金属イオンに還元を受けさせて酸化状態が0の不溶な金属粒子を生じさせる新規なホスフェート誘導体である還元剤を記述する。
【0010】
本発明は、また、以下に示す一般構造(IV)
【0011】
【化1】
【0012】
[ここで、
R1は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよく、
R2は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよく、そして
Zは、PO32−、H、α−ガラクトース、β−ガラクトース、α−グルコース、β−グルコース、エステルまたはβ−ラクタムであってもよいが、両方のZがHであることはあり得ない]
で表される化合物にも向けたものである。好適な化合物は両方のZ=ホスフェートである化合物である。
【0013】
本発明は、また、一般構造(V):
【0014】
【化2】
【0015】
[ここで、
R1は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよく、そして
Zは、PO32−、α−ガラクトース、β−ガラクトース、α−グルコース、β−グルコース、エステルまたはβ−ラクタムであってもよい]
で表される化合物にも向けたものである。特に好適な化合物はZ=ホスフェートである化合物である。
【0016】
本発明は、また、一般構造(VI):
【0017】
【化3】
【0018】
[ここで、
R1は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよく、そして
Zは、PO32−、α−ガラクトース、β−ガラクトース、α−グルコース、β−グルコース、エステルまたはβ−ラクタムであってもよい]
で表される化合物にも向けたものである。特に好適な化合物はZ=ホスフェートである化合物である。
【0019】
本発明は、また、一般構造(VII):
【0020】
【化4】
【0021】
[ここで、
R1は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよく、そして
Zは、PO32−、α−ガラクトース、β−ガラクトース、α−グルコース、β−グルコース、エステルまたはβ−ラクタムであってもよい]
で表される化合物にも向けたものである。特に好適な2種類の化合物はR1=メチルまたはCH2−(CH2−CH2−CH(CH3)−CH2)3−HおよびZ=ホスフェートである化合物である。
【0022】
本発明は、また、興味の持たれるエピトープまたはヌクレオチド配列を有する生物学的サンプルをインサイチュ染色する方法にも向けたものであり、この方法は、(a)前記組織をハプテンを有する結合分子と接触させ、(b)前記ハプテンを標識酵素と結合しているハプテン結合パートナー(hapten−binding partner)と接触させ、そして(c)前記生物学的サンプルと前記標識酵素用の基質である酸化還元に不活性な還元種を金属イオンの存在下で接触させる段階を含んで成る。
【0023】
本発明は、また、興味の持たれるエピトープまたはヌクレオチド配列を有する生物学的サンプルをインサイチュ染色する方法にも向けたものであり、この方法は、(a)前記組織をビオチニル化一次抗体と接触させ、(b)前記ビオチニル化一次抗体と結合させた前記生物学的サンプルをストレプトアビジン−アルカリ性ホスファターゼと接触させ、そして(c)前記段階(b)の生物学的サンプルとアスコルビン酸ホスフェートを銀イオンの存在下で7より高いpHで接触させる段階を含んで成る。また、銀の付着を向上させる目的で場合により金イオンによる予備処理段階を用いることも可能である。
(好適な態様の説明)
本発明は、最初に結合分子を興味の持たれるエピトープまたは配列と結合させることを通して興味の持たれる免疫組織化学的エピトープまたは核酸配列を検出する方法に向けたものである。前記結合分子に、酸化還元に不活性な還元種から還元剤への変換に触媒作用を及ぼす酵素による標識を付けておくことで、発色で検出可能な金属の還元が前記酵素がつなぎ止められている地点または付近で起こるようにする。より具体的には、本発明は、酸化還元に不活性な酵素基質1種または2種以上、即ちアスコルビン酸ホスフェートの脱燐酸化に触媒作用を及ぼし得るアルカリ性ホスファターゼおよび他の酵素、即ちグルコシダーゼ、エステラーゼ、β−ガラクトシダーゼなど(前記アスコルビン酸ホスフェートは酵素の触媒作用で脱燐酸化を受けた後に銀および/または金イオンに還元を受けさせて金属銀および/または金原子を生じさせる能力を有する極めて効率の良い還元剤になる)を標識として用いる新規な方法によるものである。前記還元は興味の持たれるエピトープまたはヌクレオチド配列の所または付近で起こることから、沈澱して来る酸化状態が0の金
属である銀/金は前記エピトープもしくは配列の近くに蓄積し、それによって、顕微鏡による診断手順で前記エピトープを目で検出する度合が大きく向上する。
【0024】
本発明は、また、この上に示した方法で用いる目的で特別に合成した新規な化合物にも向けたものである。アスコルビン酸ホスフェート(ZがPO32−である一般式Iを参照)基質が最も好適であり、これは、これの酵素であるアルカリ性ホスファターゼによって脱燐酸化を受けると結果としてアスコルビン酸塩イオン、即ち銀および金カチオンの良好な還元剤になる。一般的には、以下に示す式(I)−(VII)で表される化合物が優れた基質である。
【0025】
【化5】
【0026】
一般構造I−VIIの場合、ZはPO32−、ガラクトシル、グルコシル、エステルまたはベータ−ラクタムであってもよい。一般構造II−IVの場合、2個のZの中の一方
はまたHであってもよい。
【0027】
一般構造II−IVの場合、少なくとも1個のZはPO32−、ガラクトシル、グルコシル、エステルまたはベータ−ラクタムであるべきである。
【0028】
一般構造IIの場合、Rは、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよい。
【0029】
一般構造III−VIIの場合、R1は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよい。
【0030】
一般構造III−IVの場合、R2は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよい。
【0031】
本明細書で用いる用語は本分野の通常の技術を持つ化学者に公知である。それにも拘らず、そのような用語に与えられる範囲および本明細書および請求の範囲の明確な一定した理解が得られるようにする目的で下記の定義を示す。
【0032】
インサイチュ検出は、組織または無傷の細胞標本の中に入っている興味の持たれる生物学的特徴を見ることができるようにすることを意味する。組織は、例えば固定されてパラフィンに埋め込まれた厚みが4−8μmの組織断片、例えば通常は顕微鏡用ガラススライドの上に置かれた組織断片であり、その後、それを調製して免疫組織化学の目的で染色するか、或はオリゴヌクレオチドプローブを用いてインサイチュハイブリッド形成を行う。無傷の細胞には、シトスピン(cytospins)、ThinPreps(商標)(Cytyc,Inc.、Boxborough、MA)および染色を受けさせる目的で他の方法で調製された無傷の細胞が含まれる。インサイチュは、また、組織群が顕微鏡用ガラススライドの上に置かれた状態も指し得る。
【0033】
色原体:通常は着色している検出可能な反応生成物をもたらす酵素基質。典型的な色原体の例には、Nuclear Fast Red、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT/BCIP);四塩酸3,3’−ジアミノベンジデン(DAB);および3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)が含まれる。更に多くの色原体が知られていて、Pierce Chemical(Rockford、IL)などの如き供給業者を通して入手可能である。
【0034】
結合分子:これの相補的結合部位の近くに来た時に前記部位と結合する相補的結合部分を有する如何なる分子であってもよい。標的RNAまたはDNAとハイブリッド形成し得る配列を有するRNA/DNAオリゴマーおよび抗体が結合分子の2例である。更に別の結合対はストレプトアビジン−ビオチン対であり、これを本明細書ではまた「アフィニティーパートナー」とも呼ぶ。その結合蛋白質ストレプトアビジンはビオチンに対して固有の親和性を示す。ビオチンは解剖病理学実験室の全体に渡ってストレプトアビジンの結合パートナーとして広く用いられている。商業的に入手可能な一次抗体のほとんど全部にビオチンが標識として付いており、その結果として、ストレプトアビジン結合体を用いてその一次抗体の場所を確認することができる。本発明では、ビオチン−ストレプトアビジン結合モチーフを用いてストレプトアビジンとAPを一緒に局在させる。ビオチン標識を付けておいた二次抗体は組織の中の結合部位を標的にし、そしてストレプトアビジン−AP結合体は、ストレプトアビジンがビオチンと結合することでAPを同じ場所に運ぶ。
【0035】
キット:興味の持たれるバイオマーカーを検出するに必要な反応体を保持する2個以上の槽、容器、デバイスなどが包装されている組み合わせ。このキットには当該方法を実施するための取り扱い説明書が付いている。そのようなキットにはAP標識付き抗体、核酸、リガンドなどが入っている可能性がある。生物学的サンプルの中に入っている興味の持たれるバイオマーカーを検出するための本キットは、各容器が抗−バイオマーカー結合分子、酸化還元に不活性な還元種、前記還元種を活性にする酵素および金属イオンを保持するに適する1個以上の容器を含んで成る。
【0036】
標識酵素は、抗体、核酸または結合蛋白質、例えばストレプトアビジンなどと結合しているアルカリ性ホスファターゼまたは他の酵素であり得る。そのような標識酵素が果たす機能は、酸化還元に活性な還元種が酸化還元に不活性な還元剤前駆体からもたらされる生成に触媒作用を及ぼす機能である。他の酵素はアルファ−およびベータ−ガラクトシダーゼ、アルファ−およびベータ−グルコシダーゼ、一般的にエステラーゼおよびベータ−ラクタマーゼ、特にセファロスポリナーゼおよびペニシリナーゼであり得る。
【0037】
酸化還元に不活性な還元種は、還元種/還元剤、例えばアスコルビン酸塩またはヒドロキノンジアニオンなど[これは適切な条件下で可溶金属イオン、例えば銀(+)または金(+3)などに還元を受けさせて銀または金原子を生じさせ、その結果として、それを明視野光顕微鏡を用いて目で特定の点として見ることができるようにする]の前駆体である。本発明の好適な酸化還元に不活性な還元種はアスコルベートホスフェートであるが、本明細書では他の多くの還元種も教示する。
【0038】
銀のシグナルを増幅させる目的で使用可能な他の還元剤はヒドロキノン、アスコルビン酸、2−アミノフェノールおよび4−アミノフェノールである。それらは、更に、金属イオンに還元を受けさせて金属の酸化状態をゼロにする作用も示し、それらを典型的には前記シグナルの補足または増幅の目的で用いる。他の還元剤も本分野の通常の技術者に良く知られており、それらを本明細書で教示する還元剤の代わりに用いることも可能である。
【0039】
本明細書に開示する発明では、還元剤として完全に不活性ではあるが、アルカリ性ホスファターゼによる触媒作用によってホスフェート基が加水分解を受けた後に反応性を示すようになって金属イオンに還元を受けさせて金属の酸化状態(0)にする能力を有するようになる新規な一連のホスフェートおよびジホスフェートおよび関連誘導体を利用する。以下の構造で示す不活性な還元剤前駆体はアスコルビン酸ホスフェート、即ち特に好適な態様である。それはアルカリ性ホスファターゼの存在下で加水分解を受けて活性のある還元剤であるアスコルビン酸になり、これは金、銀および他の金属のカチオンに還元を受けさせて金属(0)にする能力を有する:
【0040】
【化6】
【0041】
更に別の新規な有機還元剤前駆体には、α−トコフェロールホスフェート、セサモールホスフェートおよびオイゲノールホスフェートが含まれ、これは一般構造V−VII[ここで、Z=PO32−、そしてRは、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよい]で示される。
【0042】
本発明でアルカリ性ホスファターゼを標識として用いかつアスコルベートホスフェートを基質として用いると下記のいくつかの利点が存在する:
(1)アルカリ性ホスファターゼは完全に発達した酵素の中の1つであり、それのKcat/Kmは1x109リットル/モル・秒の拡散律速限界に近い。
(2)アルカリホスファターゼの最適pHは9−10であり、これは当該基質の脱燐酸化によって放出されるヒドロキノンの放出速度が最大の時の還元電位に一致する。
(3)アリールおよびアルキルホスフェートおよびジホスフェートはかなり安価に合成可能である。
(4)アリールおよびアルキルホスフェートおよびジホスフェートはアルカリ性ホスファターゼの優れた基質である。
(5)アリールおよびアルキルホスフェートおよびジホスフェートは一般にかなり安定なことから長期間に渡って分解を起こさないように配合可能である。
(6)アルカリ性ホスファターゼは大部分の酵素に比べて熱および化学品による劣化に耐える非常に安定な酵素である。
(7)アルカリ性ホスファターゼはかなり小型であることから他の生物学的分子と結合させる方法が開発されている。
(8)アスコルビン酸ホスフェートはAPの優れた基質でありかつアスコルベートは非常に高い還元電位を有する、即ちそれはAg+およびAu+3に還元を定量的かつ迅速に受けさせることに加えて副生成物はデヒドロアスコルベートのみである。
【0043】
別の優れた還元剤はヒドロキノンジアニオンである。以下に示す構造は、銀カチオンの如き電子受容体の存在下でpHが9−10の時の平衡状態のヒドロキノン−ベンゾキノンの構造を示している。ヒドロキノンジアニオンが銀カチオンに還元を受けさせて不溶な金属を生じさせる責任を負っている実際の種である。pHが高いとヒドロキノンの生成が好都合になる:
【0044】
【化7】
【0045】
一般構造II−IVは、また本発明の主題でもある数種のヒドロキノン誘導体である。ヒドロキノンジホスフェート(両方のZ=ホスフェートである一般構造II)がアルカリ性ホスファターゼ酵素による脱燐酸化に好適な基質であり、これは、pHが7−11の時に脱燐酸化を受けてヒドロキノンジアニオン、即ち銀カチオン用の好適な還元剤になる。他のヒドロキノン様誘導体は一般構造III−IVで表され、ナフトヒドロキノン(III)およびアントラヒドロキノン(IV)である。それらは、示すように、アリール環内のいずれかの位置がR1およびR2で置換されていてもよくそして酸素がZで置換されていてもよい。置換基R1およびR2は、おおよそ、前記部位で反応が起こり得るがそれでも所望のpHでジアニオンが生じる能力が保持されるならば如何なる部分であってもよい。本明細書に含める有機置換基のリストは完全ではなく、妥当ないくつかの置換基には下記が含まれる:H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルおよびスルホネート。
【0046】
本発明では、以下の構造に示すように、選択した標識−基質対に応じて、いろいろな酵素標識を用いることができる。例えば、エステラーゼをモノ−およびジエステルと協力させて用いてもよい。また、基質であるモノ−およびジ−ガラクトシドおよびモノ−およびジグルコシドに脱保護を受けさせようとする場合には、また、ガラクトシダーゼおよびグルコシダーゼも使用可能である。以下に示す「Z」基には、ホスフェート、ガラクトシル、グルコシル、エステルおよびベータ−ラクタムが含まれる。好適なベータ−ラクタムはセファロスポリンである。本発明の範囲内に入る糖には、当該還元種の酸素と結合する還元末端部を有するいずれも含まれる。R基はH、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよい。
【0047】
【化8】
【0048】
最後に示した構造物、即ちC3’ベータ−ラクタム(即ちセファロスポリン)もまた酵素標識としてのベータ−ラクタマーゼと協力させて使用可能である。前記ベータ−ラクタムのR基はアルキル、アリール、即ちチオフェン、メチルまたはベンジルであってもよい。
【0049】
ガラクトシル、グルコシルおよび他の糖のヒドロキノンおよびアスコルベート誘導体が、不活性な基質の酵素代謝回転によってTWO還元剤、即ちヒドロキノンまたはアスコルベートおよび炭水化物(銀イオンに還元を受けさせて金属銀を生じさせる能力も有する還元末端部を有する)をもたらす点で特に価値がありかつ興味の持たれるものである:
【0050】
【化9】
【0051】
アルカリ性ホスファターゼに加えて、また、酸性ホスファターゼも標識として使用可能であり、この場合には、当該基質が有するホスフェート基の脱保護をpH<7で起こさせるべきである。そのような反応で放出されたアスコルビン酸はそれでもpH<7で優れた還元能力を保持している。
【0052】
銀金属が核形成部位、例えば金粒子などに付着すると言った良く知られた傾向(「金属組織学」)を利用して、金による前処理段階を設けることで、固定されているアルカリ性ホスファターゼの直ぐ隣接する領域に「種を植え付ける(seed)」ことも可能である。本明細書の実施例に示すように、SA−AP結合体をビオチニル化結合分子と結合させた後、金イオンをAuCl3の形態でアスコルベートホスフェートと一緒に付着させた。前記アスコルベートホスフェートがAPによって脱燐酸化を受けると結果として還元剤であるアスコルベートが生じ、その後、それが金イオンに還元を受けさせて金属金を生じさせる。次に、金属金が核形成部位として働くことで、銀イオンが還元を受けて銀金属になることによるシグナルが更に増幅される。
【0053】
本発明の特定の面を説明する目的で以下の実施例を含めるが、限定として解釈されるべきではない。
実施例
【実施例1】
【0054】
銀(I)にアルカリ性ホスファターゼ媒介還元を受けさせるためのホスフェート
ミクロタイタープレート(図1参照)の穴に硝酸銀を一定分量(50mMのAgNO3を100μL)で入れた。前記銀溶液にアスコルビン酸−2−ホスフェート(穴A1、B1)、セサモールホスフェート(穴A2、B2)、ヒドロキノン−1,4−ジホスフェート(穴A3、B3)または2,2,5,7,8−ペンタメチル−6−クロマノールホスフェート(穴A4、B4)のいずれかの50mM溶液を100μL添加したが、全く反応が現れなかった。ウシの腸のアルカリ性ホスファターゼ(0.2mg/mLを5μL)を縦列Bの穴に加えると、各溶液から金属銀(0)が微細な黒色沈澱物として生じるか或は容器の壁が銀で被覆された。
A:50mMのAgNO3を100μLと50mMの基質ホスフェートを100μL
B:50mMのAgNO3を100μLと50mMの基質ホスフェートを100μLと1
00mMのトリス(pH7.0)中0.2mg/mLのウシ腸アルカリ性ホスファターゼ(Pierce Chemical、Rockford、IL)を5μL。
【実施例2】
【0055】
ニトロセルロース上のアルカリ性ホスファターゼ、硝酸銀および基質ホスフェート
ニトロセルロース紙にアルカリ性ホスファターゼ(0.2mg/mLを5μL)を加えた後、乾燥させた(図2を参照)。前記ホスフェートの各々の斑点をニトロセルロース上に0.1Mのトリス(pH9)中0.05Mの溶液5μLとして付けた。各斑点を乾燥させた後、それに0.05MのAgNO3を5μL加えた時に黒色の沈澱を観察したのはアルカリ性ホスファターゼを加えた斑点の所のみであった。
【実施例3】
【0056】
AP−SA結合体を高いpHで用いてAgのナノ粒子を扁桃腺上にオフラインで発生
Ventana Benchmark(商標)自動染色装置(Ventana Medical Systems,Inc.、Tucson、AZ)を用いて分析用スライドの調製を実施した。手作業でシグナルを発生させる目的で前記スライドを取り出した。本実施例の範囲内で用いる用語「緩衝液」は、氷酢酸(Sigma−Aldrich)を用いてpHを9にしておいた脱イオン(dI)H2O中0.1Mのトリス緩衝液[Trizmaベース(Sigma−Aldrich)]を指す。下記が前記装置で採用した手順である:パラフィン被覆組織をスライド上で75℃に4分間加熱しそしてEZPrep(商標)(Ventana、Tuscon、AZ)を体積を調整して用いて75℃で2回処理した後、液体カバースリップ(liquid cover slip)と一緒にEZPrepを体積を調整して加える。75℃で4分後にスライドを濯ぎ、そして自動脱パラフィン(automatic deparaffinization)を体積を調整して液体カバースリップと一緒に加えることで前記組織からパラフィンを76℃で4分間かけて除去した。そのスライドを40℃に冷却して3回濯いだ後、ANTI−CD20抗体(クローンL26、Ventana、Tuscon、AZ)の添加に続いて液体カバースリップそしてインキュベーションを40℃で16分間行う。そのスライドを濯いだ後、前記組織をビオチニル化万能二次抗体(Universal Secondary Antibody)(Ventana Medical Systems、パート#760−4205)で処理することで、ビオチンと抗−CD20抗体が同一場所に位置するようにした後、液体カバースリップそしてインキュベーションを40℃で8分間行う。そのスライドを2回濯いだ後、前記装置から取り出して、それらに現像を受けさせる準備が出来るまで、1Xの反応用緩衝液(Ventana、Tuscon、AZ)に入れて貯蔵した。
【0057】
そのスライドを1Xの反応用緩衝液から取り出して、緩衝液で10回濯いだ後、そのスライドに緩衝液を300μL添加することに加えてAP−SA結合体(緩衝液中0.14mg/mL、Sigma−Aldrich)を100μL添加する。そのスライドを37℃で15分間インキュベートした後、緩衝液で10回濯いだ。そのスライドを300μLの緩衝液に続いて50μLのAuCl3(Sigma−Aldrich)(緩衝液中2.5μg/mL)そして50μLのアスコルビン酸ホスフェート(Sigma−Aldrich)(緩衝液中0.1M)で処理した。そのスライドを37℃で20分間インキュベートした後、緩衝液で10回濯いだ。そのスライドを300μLの緩衝液に続いて50μLの酢酸銀(Sigma−Aldrich)(緩衝液中0.1M)そして50μLのアスコルビン酸ホスフェート溶液で処理した後、37℃で20分間インキュベートした。そのスライドを再び緩衝液で10回濯いだ後、ISH赤色対比染料(Ventana、Tuscon、AZ)を対比染料として加えた。そのスライドを前記対比染料と一緒に3分間インキュベートした後、緩衝液で濯いだ。そのスライドにエタノールとキシレンを用いた脱水を受けさせた後、カバースリップを取り付け、その後にスライドを顕微鏡で見た。
【0058】
図3に示したグレースケール写真で分かるように、正常な扁桃腺では正常なB細胞の細胞膜および細胞質領域に染色部が存在する。染色強度はEnhanced V−Red Detectionキット(Ventana、Tuscon、AZ)を用いて検出した正対照(図5)のそれに匹敵している。
【実施例4】
【0059】
AP−SA結合体を高いpHで用いてAgのナノ粒子を扁桃腺上にオンラインで発生
この実施例と実施例3の間の主な差は、実施例3ではスライドをAP−SAを用いた現像を行う前に装置から取り出したが、この実施例では染色段階の完全な自動化を示す点にある。Ventana Benchmark装置を用いて分析用スライドの調製を実施した。本実施例の範囲内で用いる用語「緩衝液」は、氷酢酸(Sigma−Aldrich)を用いてpHを9にしておいた脱イオンH2O中0.1Mのトリス緩衝液[Trizmaベース−Sigma−Aldrich]を指す。下記が前記装置で採用した手順である:パラフィン被覆組織をスライド上で75℃に4分間加熱しそしてEZPrepを体積を調整して用いて75℃で2回処理した後、液体カバースリップと一緒にEZPrepを体積を調整して加える。75℃で4分後にスライドを濯ぎ、そして自動脱パラフィンを体積を調整して液体カバースリップと一緒に加えることで前記組織からパラフィンを76℃で4分間かけて除去した。そのスライドを40℃に冷却して3回濯いだ後、ANTI−CD20抗体(クローンL26、Ventana、Tuscon、AZ)の添加に続いて液体カバースリップそしてインキュベーションを40℃で16分間行う。そのスライドを濯いだ後、前記組織をビオチニル化万能二次抗体(Ventana Medical Systems、パート#760−4205)で処理することで、ビオチンと抗−CD20抗体が同一場所に位置するようにした後、液体カバースリップそしてインキュベーションを40℃で8分間行う。そのスライドを緩衝液で2回濯いだ後、液体カバースリップを取り付けそしてAP−SA結合体(Sigma−Aldrich、緩衝液中0.14mg/mLを100μL)を加えた後、インキュベーションを70℃で16分間行う。そのスライドを緩衝液で濯ぎ、液体カバースリップを取り付けた後、AuCl3(Sigma−Aldrich)(1.25μg/mL)とアスコルビン酸ホスフェート(Sigma−Aldrich)(0.05M)を1:1で緩衝液に入れることで生じさせた溶液を100μL加えた。そのスライドを37℃で20分間インキュベートし、緩衝液で濯いだ後、液体カバースリップで覆った。そのスライドに酢酸銀(Sigma−Aldrich)(0.05M)とアスコルビン酸ホスフェート(0.05M)が1:1の溶液を全体で100μL加えた後、そのスライドを37℃で20分間インキュベートした。そのスライドを緩衝液で3回濯ぎ、洗浄剤が洗い流されるまで処理した後、それにエタノールとキシレンを用いた脱水を受けさせ、次にカバースリップを前記スライドに取り付けた後、そのスライドを顕微鏡で見た。
【0060】
図4に示したグレースケール写真で分かるように、正常な扁桃腺では正常なB細胞の細胞膜および細胞質領域に染色部が存在する。染色強度はEnhanced V−Red Detectionキット(Ventana、Tuscon、AZ)を用いて検出した正対照(図5)のそれに匹敵している。
【実施例5】
【0061】
骨格筋上の抗−デスミン
ホルマリンで固定してパラフィンに埋め込んだ骨格筋を切断した後、光顕微鏡用ガラススライドの上に置いた。Ventana Medical SystemのBenchMarkスライド染色装置を用いて断片からパラフィンを除去した。その断片をBenchMarkの上に置いたままプロテアーゼ1(Ventana)で4分間処理した。次に、断片を抗−デスミン(Ventana、カタログ番号760−2513)モノクローナル抗体と一緒にして37℃で16分間インキュベートした。前記装置上で反応用緩衝液を用
いた洗浄を行った後、ウサギ抗−マウス抗体を37℃で8分間インキュベートした。次に、断片を反応用緩衝液で濯いだ後、マウス抗−ウサギ抗体と一緒にして37℃で8分間インキュベートした(Amplification Kit、Ventana、カタログ番号760−080)。次に、その断片を反応用緩衝液で濯いだ後、ビオチニル化二次抗体であるビオチニル化万能二次抗体(Ventana Medical Systems、パート#760−4205)の混合物と一緒にして37℃で8分間インキュベートした。その断片を濯いだ後、ストレプトアビジン−アルカリ性ホスファターゼの溶液(Enhanced SA−/Alk Phos/VRed Ventana、カタログ番号253−2181)を37℃で16分間インキュベートした。次に、その断片をBenchMarkスライド染色装置から取り出した。次に、そのスライドを脱イオンH2Oで洗浄した後、2.5μg/mlの水素テトラブロモ金酸塩(III)水化物(Aldrich、カタログ番号44,212)(500μl)と一緒にして37℃で4分間インキュベートした。その溶液を脱イオンH2Oで濯いだ後、各断片に0.5Mのトリス緩衝液(pH9.0)中50mMのAgNO3(Sigma #S−0139)を250μlおよびPVA(平均分子量70,000から100,000、Sigma #P−1763)が5%入っている0.5MのDEA緩衝液(pH10.0)中100mMのアスコルビン酸ホスフェート(Sigma A−8960)を250μl加えた。そのスライドを37℃で20分間インキュベートした。そのスライドを脱イオンH2Oで濯いだ後、対比染色無しにカバースリップで覆った。結果を図6に示す。
【実施例6】
【0062】
脳上の抗−S100
ホルマリンで固定してパラフィンに埋め込んだ脳組織を切断した後、光顕微鏡用ガラススライドの上に置いた。VentanaのBenchMarkスライド染色装置を用いて断片からパラフィンを除去した。次に、断片を抗−S100ポリクローナル抗体(Ventana、カタログ番号760−2523)と一緒にして37℃で16分間インキュベートした。次に、その断片を反応用緩衝液で濯いだ後、ビオチニル化二次抗体であるビオチニル化万能二次抗体(Ventana Medical Systems、パート#760−4205)の混合物と一緒にして37℃で8分間インキュベートした。その断片を濯いだ後、ストレプトアビジン−アルカリ性ホスファターゼの溶液(Enhanced SA−/Alk Phos/VRed Ventana、カタログ番号253−2181)を37℃で16分間インキュベートした。次に、その断片をBenchMarkスライド染色装置から取り出した。次に、そのスライドを脱イオンH2Oで洗浄した後、2.5μg/mlの水素テトラブロモ金酸塩(III)水化物(Aldrich、カタログ番号44,212)(500μl)と一緒にして37℃で4分間インキュベートした。その溶液を脱イオンH2Oで濯いだ後、各断片に0.5Mのトリス緩衝液(pH9.0)中50mMのAgNO3(Sigma #S−0139)を250μlおよびPVA(平均分子量70,000から100,000、Sigma #P−1763)が5%入っている0.5MのDEA緩衝液(pH10.0)中100mMのアスコルビン酸ホスフェート(Sigma A−8960)を250μl加えた。そのスライドを37℃で20分間インキュベートした。そのスライドにNuclear Fast Redによる対比染色を受けさせた後、カバースリップで覆った。結果を図7に示す。
【実施例7】
【0063】
脳上のウサギ負対照
ホルマリンで固定してパラフィンに埋め込んだ脳を切断した後、光顕微鏡用ガラススライドの上に置いた。VentanaのBenchMarkスライド染色装置を用いて断片からパラフィンを除去した。次に、断片をウサギ負対照(Ventana、カタログ番号760−2023)と一緒にして37℃で16分間インキュベートした。次に、その断片を反応用緩衝液で濯いだ後、ビオチニル化二次抗体であるビオチニル化万能二次抗体(V
entana Medical Systems、パート#760−4205)の混合物と一緒にして37℃で8分間インキュベートした。その断片を濯いだ後、ストレプトアビジン−アルカリ性ホスファターゼの溶液(Enhanced SA−/Alk Phos/VRed Ventana、カタログ番号253−2181)を37℃で16分間インキュベートした。次に、その断片をBenchMarkスライド染色装置から取り出した。次に、そのスライドを脱イオンH2Oで洗浄した後、2.5μg/mlの水素テトラブロモ金酸塩(III)水化物(Aldrich、カタログ番号44,212)(500μl)と一緒にして37℃で4分間インキュベートした。その溶液を脱イオンH2Oで濯いだ後、各断片に0.5Mのトリス緩衝液(pH9.0)中50mMのAgNO3(Sigma #S−0139)を250μlおよびPVA(平均分子量70,000から100,000、Sigma #P−1763)が5%入っている0.5MのDEA緩衝液(pH10.0)中100mMのアスコルビン酸ホスフェート(Sigma A−8960)を250μl加えた。そのスライドを37℃で20分間インキュベートした。そのスライドにNuclear Fast Redによる対比染色を受けさせた後、カバースリップで覆った。結果を図8に示す。
【0064】
図7には灰−黒色染色が観察されたが、これを図8には灰−黒色染色が観察されないことと比較することによって、図7に示されている染色パターンは抗原に特異的であることが分かる、と言うのは、図8は負のウサギ対照を用いて実施した時の図であるからである。図9は、抗−S100を用いて脳組織に関して実施したケースと同じではあるが、VentanaのEnhanced V−Red Detection Kitを用いて検出した図である。染色パターンは図7に見られるそれと同じであることが観察されるであろう。
【実施例8】
【0065】
非酵素的増幅を用いた骨格筋上の抗−デスミン
この実施例では、銀シグナルの化学的増幅を用いることで元々の銀付着量をアスコルベートによる還元の関数として増加させることができることを示す。ホルマリンで固定してパラフィンに埋め込んだ骨格筋を切断した後、光顕微鏡用ガラススライドの上に置いた。VentanaのBenchMarkスライド染色装置を用いて断片からパラフィンを除去した。その断片をBenchMarkの上に置いたままプロテアーゼ1(Ventana)で4分間処理した。次に、断片を抗−デスミン(Ventana、カタログ番号760−2513)モノクローナル抗体と一緒にして37℃で16分間インキュベートした。前記装置上で反応用緩衝液を用いた洗浄を行った後、ウサギ抗−マウス抗体を37℃で8分間インキュベートした。次に、断片を反応用緩衝液で濯いだ後、マウス抗−ウサギ抗体と一緒にして37℃で8分間インキュベートした(Amplification Kit、Ventana、カタログ番号760−080)。次に、その断片を反応用緩衝液で濯いだ後、ビオチニル化二次抗体であるビオチニル化万能二次抗体(Ventana Medical Systems、パート#760−4205)の混合物と一緒にして37℃で8分間インキュベートした。その断片を濯いだ後、ストレプトアビジン−アルカリ性ホスファターゼの溶液(Enhanced SA−/Alk Phos/VRed Ventana、カタログ番号253−2181)を37℃で16分間インキュベートした。次に、その断片をBenchMarkスライド染色装置から取り出した。次に、そのスライドを脱イオンH2Oで洗浄した後、2.5μg/mlの水素テトラブロモ金酸塩(III)水化物(Aldrich、カタログ番号44,212)(500μl)と一緒にして37℃で4分間インキュベートした。その溶液を脱イオンH2Oで濯いだ後、各断片に0.5Mのトリス緩衝液(pH9.0)中50mMのAgNO3(Sigma #S−0139)を250μlおよびPVA(平均分子量70,000から100,000、Sigma #P−1763)が5%入っている0.5MのDEA緩衝液(pH10.0)中100mMのアスコルビン酸ホスフェート(Sigma A−8960)を250μl加えた
。そのスライドを37℃で20分間インキュベートした。そのスライドを脱イオンH2Oで濯いだ。次に、それを0.1Mのクエン酸緩衝液(pH3.8)中25mMの4−メチルアミノフェノール(Aldrich #129720)と12mMのAgNO3溶液に入れて37℃で10分間インキュベートすることでシグナルを増幅させた。図10に、増幅させたシグナルを非酵素的増幅を受けさせていない実施例9(図11)のそれと比較して示す。
【実施例9】
【0066】
非酵素的増幅を用いた骨格筋上の抗−デスミン
ホルマリンで固定してパラフィンに埋め込んだ骨格筋を切断した後、光顕微鏡用ガラススライドの上に置いた。Ventana Medical SystemsのBenchMarkスライド染色装置を用いて断片からパラフィンを除去した。その断片をBenchMarkの上に置いたままプロテアーゼ1で4分間処理した。次に、断片を抗−デスミンモノクローナル抗体と一緒にして37℃で16分間インキュベートした。前記装置上で反応用緩衝液を用いた洗浄を行った後、ウサギ抗−マウス抗体を37℃で8分間インキュベートした。次に、断片を反応用緩衝液で濯いだ後、マウス抗−ウサギ抗体と一緒にして37℃で8分間インキュベートした。次に、その断片を反応用緩衝液で濯いだ後、ビオチニル化二次抗体の混合物と一緒にしてインキュベートした。その断片を濯いだ後、ストレプトアビジン−アルカリ性ホスファターゼの溶液を16分間インキュベートした。次に、その断片をBenchMark自動スライド染色装置から取り出した。次に、そのスライドを脱イオンH2Oで洗浄した後、2.5μg/mlの水素テトラブロモ金酸塩(III)水化物(500μl)と一緒にして37℃で4分間インキュベートした。その溶液を脱イオンH2Oで濯いだ後、各断片に0.5Mのトリス緩衝液(pH9.0)中50mMのAgNO3を250μlおよびPVA(平均分子量70,000から100,000)が5%入っている0.5MのDEA緩衝液(pH10.0)中100mMのアスコルビン酸ホスフェートを250μl加えた。そのスライドを37℃で10分間インキュベートした。そのスライドを脱イオンH2Oで濯いだ。図11に、増幅無しシグナルを実施例8(図10)のそれと比較して示す。
【実施例10】
【0067】
ヒドロキノン−1,4−ジホスフェートの合成
ヒドロキノンと2当量のオキシ塩化燐と2当量の無水ピリジンを無水トルエン(0.1Mになるように)に入れて30分間反応させた。その混合物を更に30分間還流させた後、周囲温度になるまで冷却した。ケイソウ土の詰め物に通す濾過で塩化ピリジニウムを除去した後、少量の乾燥トルエンで濯いだ。その濾液に濃縮を真空下40℃で受けさせた後、その残留物に炭酸アンモニウム水溶液による加水分解をpHが7になるまで受けさせた。その生成物をフラッシュC18シリカゲル使用逆相分離で精製することで所望の生成物を得て、それをMS、1Hおよび13C−NMRで確認した。
【実施例11】
【0068】
アントラヒドロキノン−1,4−ジホスフェートおよびナフトヒドロキノン−1,4−ジホスフェートの合成
アントラヒドロキノンまたはナフトヒドロキノンを出発材料として用いる以外は実施例10の手順を実施する。
【実施例12】
【0069】
基質であるホスフェートの一般的合成:セサモールホスフェートの合成
乾燥させておいた500mlの丸底フラスコに窒素雰囲気下でPOCl3(89.5ミリモル)を移した。200mLの乾燥ジクロロメタンにセサモール(35.8ミリモル、1当量)とトリエチルアミン(71.7ミリモル)を入れることで生じさせた溶液を前記
POCl3溶液に4時間かけて滴下した。撹拌を周囲温度で一晩行った後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去した。その残留物を100mLのジクロロメタンに溶解させた後、セライトに通す濾過で塩を除去した。その生成物に100mLの飽和炭酸アンモニウムによるクエンチを受けさせる(quenching)ことで分離を起こさせて生成物を水の中に入り込ませた。その有機層を廃棄した後、ロータリーエバポレーターを用いて水相を乾燥させることで所望ホスフェートを8.2グラム(90%の収率)得た。生成物の同定をMSで立証し、そしてHPLCを214nmで用いた分析で生成物の純度は99%を超えることが分かった。
【実施例13】
【0070】
基質であるホスフェートの一般的合成:オイゲノールホスフェートおよびPMCPホスフェート合成
オイゲノールまたはPMCP(2,2,5,7,8−ペンタメチル−6−クロマノール)を出発材料として用いる以外は実施例12の手順を繰り返す。
【0071】
本発明の方法および組成物は多様な態様の形態で取り入れ可能であるが、本明細書に説明かつ記述したのはそれの中の少しのみであることは理解されるであろう。本発明の精神からも必須特徴からも逸脱しない限り本発明は他の具体的形態で具体化可能である。記述した態様はあらゆる面で単に説明として解釈されるべきであり、制限として解釈されるべきではない。従って、この上に行った説明ではなく添付請求の範囲で本発明の範囲を示す。本請求の範囲の意味および相当物の範囲内に入るあらゆる変形は本発明の範囲内に含まれるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、4個の穴が2つの縦列に配列している8個のミクロタイター穴の写真である。縦列Aは、100mMのトリス(pH9.0)に50mMの硝酸銀が100μLと50mMのホスフェート基質が100μL入っている対照縦列である。縦列Bに入っている成分も同じではあるが、これには、100mMのトリス(pH7.0)中0.2mg/mLのウシ腸アルカリ性ホスファターゼ(Pierce)が5μL添加されている。縦列Bは、アルカリ性ホスファターゼの媒介で還元基質が放出され(即ちアスコルビン酸−2−ホスフェートからアスコルビン酸)そして放出された還元基質によって硝酸銀から銀金属粒子への還元が付随して起こる作用を示している。
【図2】図2は、100mMのトリス(pH7.0)中0.2mg/mLのウシ腸アルカリ性ホスファターゼ(Pierce)を5μLと100mMのトリス(pH9.0)中50mMのホスフェート(実施例1で得た)溶液を5μLと50mMの硝酸銀を5μL用いて処理したニトロセルロース紙上の4斑点の写真である。アスコルビン酸−2−ホスフェート(AAP)、セサモールホスフェート(SP)、ヒドロキノン−1,4−ジホスフェート(HQP)、2,2,5,7,8−ペンタメチル−6−クロマノールホスフェート(PMCP)。
【図3】図3は、AP−SA結合体、金前処理そしてアスコルビン酸ホスフェート(AAP)使用銀還元を用いて染色した正常な扁桃腺組織のグレースケール顕微鏡写真である。
【図4】図4は、AP−SA結合体、金前処理そしてAAP使用銀還元を用いて染色した正常な扁桃腺組織のグレースケール顕微鏡写真(ただ1つの差は銀シグナルをオンラインで完全に生じさせた点のみである)である。
【図5】図5は、図3−4のための正対照のグレースケール顕微鏡写真である。
【図6】図6は、金前処理、AAPおよびAgNO3を用いてインキュベーションを20分間行うことで検出した骨格筋上の抗−デスミン抗体の顕微鏡写真である。
【図7】図7は、金前処理、AAPおよびAgNO3を用いてインキュベーションを20分間行うことで検出した脳上の抗−S100の顕微鏡写真である。
【図8】図8は、金前処理、AAPおよびAgNO3を用いてインキュベーションを20分間行うことで検出した脳上のウサギ負対照の顕微鏡写真である。
【図9】図9は、Ventana VRed検出を用いた脳組織上の抗−S100抗体の顕微鏡写真である。
【図10】図10は、金前処理、AAPおよびAgNO3を用いてインキュベーションを10分間行いそして4−メチルアミノフェノール増幅を10分間行った時の骨格筋上の抗−デスミン抗体の顕微鏡写真である。
【図11】図11は、非酵素的増幅を全く行なわない時の骨格筋上の抗−デスミン抗体の顕微鏡写真である。増幅段階を設けない以外は図9に示した条件と同じ。
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2003年6月24日付けで出願した仮米国出願60/482,596(これの内容は引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、一般に、化学の分野に関し、詳細には、酵素が媒介する反応を用いて金属原子を局部的に付着させることで免疫組織化学的エピトープおよび核酸配列をインサイチュ検出する新規な方法に向けたものである。
【背景技術】
【0003】
現代の標準では、組織染色は百年以上さかのぼる古代技術である。最近では、いろいろな種類の化学品および生物化学的染色液を組織断片に加える手順を自動化する努力が成されている。この目的で創案された装置には、Ventana Medical Instrument系列のデュアルカルーセルが基になった装置、例えば320、ES(商標)、NexES(商標)、BENCHMARK(商標)およびBENCHMARK(商標)XTなどが含まれる。そのような装置が記述されている特許には特許文献1、2、3および4(これらは全部引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)が含まれる。別の種類の自動染色装置は特許文献5および6(これらは両方とも引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に記述されているTechMate(商標)系列の染色装置である。
【0004】
組織化学ではいろいろな手作業の検出化学が長年に渡って開発されてきた。一般的には、興味の持たれる分子マーカーまたは標的を生体分子検定で同定した後、病理学者または他の医学専門家による解釈が可能なように、それを光顕微鏡で見ることができるようにする必要がある。1番目の検出段階は、抗−標的一次抗体にビオチン、ジゴキシゲニン、
フルオレセイン、または興味の持たれる生物学的標的の場所を確認する目的で用いられる他のハプテンなどによる標識を検出可能様式で付けることを伴う。次に、酵素または他のレポーター分子と結合させておいた抗−ハプテン二次抗体を用いて前記一次抗体の場所を確認する。典型的な酵素系は通常の技術者に公知であり、それにはホースラディッシュペルオキシダーゼまたはアルカリ性ホスファターゼが含まれる。その後、前記酵素が前記一次抗体−二次抗体複合体の直ぐ近隣で起こる発色性基質の沈澱に触媒作用を及ぼす。色原体、例えばニトロブルーテトラゾリウム(NBT/BCIP);四塩酸3,3’−ジアミノベンジデン(DAB);および3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)などは良く知られている。別法として、酵素と基質の相互作用によって化学発光シグナルを生じさせて、それを写真フィルムで捕捉することも可能である。
【0005】
他の標識には、二次抗体の125I標識(これは写真フィルムで検出可能である)、フルオレセインイソチオシアネート標識付き二次抗体(これは紫外光で検出可能である);125I標識付き蛋白質A(これはIgG分子のFc領域と結合することから二次抗体の代わりに使用可能である)、金標識付き二次抗体(これが二次抗体と一緒に一次抗体と結合すると赤色として直接見ることができる)、ビオチニル化二次抗体(これを当該二次抗体と一緒にインキュベートした後にビオチンと強力に結合する酵素結合アビジンと一緒にインキュベートするとシグナルが増強される、と言うのは、1個の抗体分子に多数のビオチン分子が結合し得るからである)が含まれる。典型的に用いられる酵素にはアルカリ性ホスファターゼ(「AP」)またはホースラディッシュペルオキシダーゼ(「HRP」)
が含まれる。
【0006】
免疫組織化学的検出を金属で増強させることが特許文献7(引用することによって全体が本明細書に組み入れられる)に教示されている。特許文献7は、生物学的サンプルに酸化触媒が存在するか否かを検出するための組成物および方法に向けたものである。その組成物は、発色性基質に酸化を触媒の存在下で2種以上の共沈還元金属と一緒に受けさせることで生じさせた沈澱物を含んで成る。強いシグナルが発生し、そのシグナルを用いて標的分子に局在する酸化触媒を検出する。標的分子は核酸、抗体または細胞表面抗原であり得る。特許文献7は、特に、酸化触媒の検出では発色性沈澱物および2種以上の金属に頼っている。酸化重合させたDABをニッケルイオンで前以て処理しておくことで前記DABを銀で増感させることが非特許文献1に教示されている。
【0007】
免疫組織化学的検出を金属で増強させる例(より最近の)には特許文献8が含まれる。特許文献8は、ゼロ酸化状態の金属を金属イオンから生じさせる方法に向けたものであり、その方法は、セシウム、周期律表の1b、2a、4aおよび8族から選択される少なくとも1種の金属の金属イオン、酸素含有酸化剤、およびヒドロキノン、ヒドロキノン誘導体または没食子酸n−プロピルの中の少なくとも1種から選択される還元剤を準備し、酸化還元酵素を準備し、前記酵素と前記金属イオンと酸化剤と還元剤を一緒にし、そして前記金属イオンの少なくともいくつかに還元を受けさせてゼロ酸化状態の金属を生じさせることを含んで成る。特に銀イオンはホースラディッシュペルオキシダーゼの近くで過酸化水素およびヒドロキノンと接触すると還元を受けて銀金属が生じることが教示されている。
【0008】
興味の持たれる免疫組織化学的エピトープおよびDNA標的を明視野光顕微鏡で可視的に同定するにより良好な生化学的技術の必要性が継続して存在する。
【特許文献1】米国特許第5595707号
【特許文献2】米国特許第5654199号
【特許文献3】米国特許第6093574号
【特許文献4】米国特許第6296809号
【特許文献5】米国特許第5355439号
【特許文献6】米国特許第5737499号
【特許文献7】米国特許第5,116,734号(Higgs他)
【特許文献8】米国特許第6,670,113号(Hainfeld)
【非特許文献1】Merchanthaler他、J.Histoch.And Cytochem.、37:10 1563−65(1989)
【発明の開示】
【0009】
(発明の要約)
本発明は、生物学的サンプルに入っている興味の持たれる免疫組織化学的エピトープまたは核酸配列をインサイチュ検出する新規な組成物および方法に向けたものであり、これは、酵素標識結合分子と前記興味の持たれるエピトープまたは配列を酸化還元に不活性な
還元種および可溶性金属イオンの存在下で結合させることで前記金属イオンから酸化状態がゼロの金属への還元に触媒作用が前記酵素がつなぎ止められている地点または付近で及ぶようにすることを含んで成る。ホスファターゼ酵素と接触した時に活性化されて還元形態になった時に金属イオンに還元を受けさせて酸化状態が0の不溶な金属粒子を生じさせる新規なホスフェート誘導体である還元剤を記述する。
【0010】
本発明は、また、以下に示す一般構造(IV)
【0011】
【化1】
【0012】
[ここで、
R1は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよく、
R2は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよく、そして
Zは、PO32−、H、α−ガラクトース、β−ガラクトース、α−グルコース、β−グルコース、エステルまたはβ−ラクタムであってもよいが、両方のZがHであることはあり得ない]
で表される化合物にも向けたものである。好適な化合物は両方のZ=ホスフェートである化合物である。
【0013】
本発明は、また、一般構造(V):
【0014】
【化2】
【0015】
[ここで、
R1は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよく、そして
Zは、PO32−、α−ガラクトース、β−ガラクトース、α−グルコース、β−グルコース、エステルまたはβ−ラクタムであってもよい]
で表される化合物にも向けたものである。特に好適な化合物はZ=ホスフェートである化合物である。
【0016】
本発明は、また、一般構造(VI):
【0017】
【化3】
【0018】
[ここで、
R1は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよく、そして
Zは、PO32−、α−ガラクトース、β−ガラクトース、α−グルコース、β−グルコース、エステルまたはβ−ラクタムであってもよい]
で表される化合物にも向けたものである。特に好適な化合物はZ=ホスフェートである化合物である。
【0019】
本発明は、また、一般構造(VII):
【0020】
【化4】
【0021】
[ここで、
R1は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよく、そして
Zは、PO32−、α−ガラクトース、β−ガラクトース、α−グルコース、β−グルコース、エステルまたはβ−ラクタムであってもよい]
で表される化合物にも向けたものである。特に好適な2種類の化合物はR1=メチルまたはCH2−(CH2−CH2−CH(CH3)−CH2)3−HおよびZ=ホスフェートである化合物である。
【0022】
本発明は、また、興味の持たれるエピトープまたはヌクレオチド配列を有する生物学的サンプルをインサイチュ染色する方法にも向けたものであり、この方法は、(a)前記組織をハプテンを有する結合分子と接触させ、(b)前記ハプテンを標識酵素と結合しているハプテン結合パートナー(hapten−binding partner)と接触させ、そして(c)前記生物学的サンプルと前記標識酵素用の基質である酸化還元に不活性な還元種を金属イオンの存在下で接触させる段階を含んで成る。
【0023】
本発明は、また、興味の持たれるエピトープまたはヌクレオチド配列を有する生物学的サンプルをインサイチュ染色する方法にも向けたものであり、この方法は、(a)前記組織をビオチニル化一次抗体と接触させ、(b)前記ビオチニル化一次抗体と結合させた前記生物学的サンプルをストレプトアビジン−アルカリ性ホスファターゼと接触させ、そして(c)前記段階(b)の生物学的サンプルとアスコルビン酸ホスフェートを銀イオンの存在下で7より高いpHで接触させる段階を含んで成る。また、銀の付着を向上させる目的で場合により金イオンによる予備処理段階を用いることも可能である。
(好適な態様の説明)
本発明は、最初に結合分子を興味の持たれるエピトープまたは配列と結合させることを通して興味の持たれる免疫組織化学的エピトープまたは核酸配列を検出する方法に向けたものである。前記結合分子に、酸化還元に不活性な還元種から還元剤への変換に触媒作用を及ぼす酵素による標識を付けておくことで、発色で検出可能な金属の還元が前記酵素がつなぎ止められている地点または付近で起こるようにする。より具体的には、本発明は、酸化還元に不活性な酵素基質1種または2種以上、即ちアスコルビン酸ホスフェートの脱燐酸化に触媒作用を及ぼし得るアルカリ性ホスファターゼおよび他の酵素、即ちグルコシダーゼ、エステラーゼ、β−ガラクトシダーゼなど(前記アスコルビン酸ホスフェートは酵素の触媒作用で脱燐酸化を受けた後に銀および/または金イオンに還元を受けさせて金属銀および/または金原子を生じさせる能力を有する極めて効率の良い還元剤になる)を標識として用いる新規な方法によるものである。前記還元は興味の持たれるエピトープまたはヌクレオチド配列の所または付近で起こることから、沈澱して来る酸化状態が0の金
属である銀/金は前記エピトープもしくは配列の近くに蓄積し、それによって、顕微鏡による診断手順で前記エピトープを目で検出する度合が大きく向上する。
【0024】
本発明は、また、この上に示した方法で用いる目的で特別に合成した新規な化合物にも向けたものである。アスコルビン酸ホスフェート(ZがPO32−である一般式Iを参照)基質が最も好適であり、これは、これの酵素であるアルカリ性ホスファターゼによって脱燐酸化を受けると結果としてアスコルビン酸塩イオン、即ち銀および金カチオンの良好な還元剤になる。一般的には、以下に示す式(I)−(VII)で表される化合物が優れた基質である。
【0025】
【化5】
【0026】
一般構造I−VIIの場合、ZはPO32−、ガラクトシル、グルコシル、エステルまたはベータ−ラクタムであってもよい。一般構造II−IVの場合、2個のZの中の一方
はまたHであってもよい。
【0027】
一般構造II−IVの場合、少なくとも1個のZはPO32−、ガラクトシル、グルコシル、エステルまたはベータ−ラクタムであるべきである。
【0028】
一般構造IIの場合、Rは、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよい。
【0029】
一般構造III−VIIの場合、R1は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよい。
【0030】
一般構造III−IVの場合、R2は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよい。
【0031】
本明細書で用いる用語は本分野の通常の技術を持つ化学者に公知である。それにも拘らず、そのような用語に与えられる範囲および本明細書および請求の範囲の明確な一定した理解が得られるようにする目的で下記の定義を示す。
【0032】
インサイチュ検出は、組織または無傷の細胞標本の中に入っている興味の持たれる生物学的特徴を見ることができるようにすることを意味する。組織は、例えば固定されてパラフィンに埋め込まれた厚みが4−8μmの組織断片、例えば通常は顕微鏡用ガラススライドの上に置かれた組織断片であり、その後、それを調製して免疫組織化学の目的で染色するか、或はオリゴヌクレオチドプローブを用いてインサイチュハイブリッド形成を行う。無傷の細胞には、シトスピン(cytospins)、ThinPreps(商標)(Cytyc,Inc.、Boxborough、MA)および染色を受けさせる目的で他の方法で調製された無傷の細胞が含まれる。インサイチュは、また、組織群が顕微鏡用ガラススライドの上に置かれた状態も指し得る。
【0033】
色原体:通常は着色している検出可能な反応生成物をもたらす酵素基質。典型的な色原体の例には、Nuclear Fast Red、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT/BCIP);四塩酸3,3’−ジアミノベンジデン(DAB);および3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)が含まれる。更に多くの色原体が知られていて、Pierce Chemical(Rockford、IL)などの如き供給業者を通して入手可能である。
【0034】
結合分子:これの相補的結合部位の近くに来た時に前記部位と結合する相補的結合部分を有する如何なる分子であってもよい。標的RNAまたはDNAとハイブリッド形成し得る配列を有するRNA/DNAオリゴマーおよび抗体が結合分子の2例である。更に別の結合対はストレプトアビジン−ビオチン対であり、これを本明細書ではまた「アフィニティーパートナー」とも呼ぶ。その結合蛋白質ストレプトアビジンはビオチンに対して固有の親和性を示す。ビオチンは解剖病理学実験室の全体に渡ってストレプトアビジンの結合パートナーとして広く用いられている。商業的に入手可能な一次抗体のほとんど全部にビオチンが標識として付いており、その結果として、ストレプトアビジン結合体を用いてその一次抗体の場所を確認することができる。本発明では、ビオチン−ストレプトアビジン結合モチーフを用いてストレプトアビジンとAPを一緒に局在させる。ビオチン標識を付けておいた二次抗体は組織の中の結合部位を標的にし、そしてストレプトアビジン−AP結合体は、ストレプトアビジンがビオチンと結合することでAPを同じ場所に運ぶ。
【0035】
キット:興味の持たれるバイオマーカーを検出するに必要な反応体を保持する2個以上の槽、容器、デバイスなどが包装されている組み合わせ。このキットには当該方法を実施するための取り扱い説明書が付いている。そのようなキットにはAP標識付き抗体、核酸、リガンドなどが入っている可能性がある。生物学的サンプルの中に入っている興味の持たれるバイオマーカーを検出するための本キットは、各容器が抗−バイオマーカー結合分子、酸化還元に不活性な還元種、前記還元種を活性にする酵素および金属イオンを保持するに適する1個以上の容器を含んで成る。
【0036】
標識酵素は、抗体、核酸または結合蛋白質、例えばストレプトアビジンなどと結合しているアルカリ性ホスファターゼまたは他の酵素であり得る。そのような標識酵素が果たす機能は、酸化還元に活性な還元種が酸化還元に不活性な還元剤前駆体からもたらされる生成に触媒作用を及ぼす機能である。他の酵素はアルファ−およびベータ−ガラクトシダーゼ、アルファ−およびベータ−グルコシダーゼ、一般的にエステラーゼおよびベータ−ラクタマーゼ、特にセファロスポリナーゼおよびペニシリナーゼであり得る。
【0037】
酸化還元に不活性な還元種は、還元種/還元剤、例えばアスコルビン酸塩またはヒドロキノンジアニオンなど[これは適切な条件下で可溶金属イオン、例えば銀(+)または金(+3)などに還元を受けさせて銀または金原子を生じさせ、その結果として、それを明視野光顕微鏡を用いて目で特定の点として見ることができるようにする]の前駆体である。本発明の好適な酸化還元に不活性な還元種はアスコルベートホスフェートであるが、本明細書では他の多くの還元種も教示する。
【0038】
銀のシグナルを増幅させる目的で使用可能な他の還元剤はヒドロキノン、アスコルビン酸、2−アミノフェノールおよび4−アミノフェノールである。それらは、更に、金属イオンに還元を受けさせて金属の酸化状態をゼロにする作用も示し、それらを典型的には前記シグナルの補足または増幅の目的で用いる。他の還元剤も本分野の通常の技術者に良く知られており、それらを本明細書で教示する還元剤の代わりに用いることも可能である。
【0039】
本明細書に開示する発明では、還元剤として完全に不活性ではあるが、アルカリ性ホスファターゼによる触媒作用によってホスフェート基が加水分解を受けた後に反応性を示すようになって金属イオンに還元を受けさせて金属の酸化状態(0)にする能力を有するようになる新規な一連のホスフェートおよびジホスフェートおよび関連誘導体を利用する。以下の構造で示す不活性な還元剤前駆体はアスコルビン酸ホスフェート、即ち特に好適な態様である。それはアルカリ性ホスファターゼの存在下で加水分解を受けて活性のある還元剤であるアスコルビン酸になり、これは金、銀および他の金属のカチオンに還元を受けさせて金属(0)にする能力を有する:
【0040】
【化6】
【0041】
更に別の新規な有機還元剤前駆体には、α−トコフェロールホスフェート、セサモールホスフェートおよびオイゲノールホスフェートが含まれ、これは一般構造V−VII[ここで、Z=PO32−、そしてRは、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよい]で示される。
【0042】
本発明でアルカリ性ホスファターゼを標識として用いかつアスコルベートホスフェートを基質として用いると下記のいくつかの利点が存在する:
(1)アルカリ性ホスファターゼは完全に発達した酵素の中の1つであり、それのKcat/Kmは1x109リットル/モル・秒の拡散律速限界に近い。
(2)アルカリホスファターゼの最適pHは9−10であり、これは当該基質の脱燐酸化によって放出されるヒドロキノンの放出速度が最大の時の還元電位に一致する。
(3)アリールおよびアルキルホスフェートおよびジホスフェートはかなり安価に合成可能である。
(4)アリールおよびアルキルホスフェートおよびジホスフェートはアルカリ性ホスファターゼの優れた基質である。
(5)アリールおよびアルキルホスフェートおよびジホスフェートは一般にかなり安定なことから長期間に渡って分解を起こさないように配合可能である。
(6)アルカリ性ホスファターゼは大部分の酵素に比べて熱および化学品による劣化に耐える非常に安定な酵素である。
(7)アルカリ性ホスファターゼはかなり小型であることから他の生物学的分子と結合させる方法が開発されている。
(8)アスコルビン酸ホスフェートはAPの優れた基質でありかつアスコルベートは非常に高い還元電位を有する、即ちそれはAg+およびAu+3に還元を定量的かつ迅速に受けさせることに加えて副生成物はデヒドロアスコルベートのみである。
【0043】
別の優れた還元剤はヒドロキノンジアニオンである。以下に示す構造は、銀カチオンの如き電子受容体の存在下でpHが9−10の時の平衡状態のヒドロキノン−ベンゾキノンの構造を示している。ヒドロキノンジアニオンが銀カチオンに還元を受けさせて不溶な金属を生じさせる責任を負っている実際の種である。pHが高いとヒドロキノンの生成が好都合になる:
【0044】
【化7】
【0045】
一般構造II−IVは、また本発明の主題でもある数種のヒドロキノン誘導体である。ヒドロキノンジホスフェート(両方のZ=ホスフェートである一般構造II)がアルカリ性ホスファターゼ酵素による脱燐酸化に好適な基質であり、これは、pHが7−11の時に脱燐酸化を受けてヒドロキノンジアニオン、即ち銀カチオン用の好適な還元剤になる。他のヒドロキノン様誘導体は一般構造III−IVで表され、ナフトヒドロキノン(III)およびアントラヒドロキノン(IV)である。それらは、示すように、アリール環内のいずれかの位置がR1およびR2で置換されていてもよくそして酸素がZで置換されていてもよい。置換基R1およびR2は、おおよそ、前記部位で反応が起こり得るがそれでも所望のpHでジアニオンが生じる能力が保持されるならば如何なる部分であってもよい。本明細書に含める有機置換基のリストは完全ではなく、妥当ないくつかの置換基には下記が含まれる:H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルおよびスルホネート。
【0046】
本発明では、以下の構造に示すように、選択した標識−基質対に応じて、いろいろな酵素標識を用いることができる。例えば、エステラーゼをモノ−およびジエステルと協力させて用いてもよい。また、基質であるモノ−およびジ−ガラクトシドおよびモノ−およびジグルコシドに脱保護を受けさせようとする場合には、また、ガラクトシダーゼおよびグルコシダーゼも使用可能である。以下に示す「Z」基には、ホスフェート、ガラクトシル、グルコシル、エステルおよびベータ−ラクタムが含まれる。好適なベータ−ラクタムはセファロスポリンである。本発明の範囲内に入る糖には、当該還元種の酸素と結合する還元末端部を有するいずれも含まれる。R基はH、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよい。
【0047】
【化8】
【0048】
最後に示した構造物、即ちC3’ベータ−ラクタム(即ちセファロスポリン)もまた酵素標識としてのベータ−ラクタマーゼと協力させて使用可能である。前記ベータ−ラクタムのR基はアルキル、アリール、即ちチオフェン、メチルまたはベンジルであってもよい。
【0049】
ガラクトシル、グルコシルおよび他の糖のヒドロキノンおよびアスコルベート誘導体が、不活性な基質の酵素代謝回転によってTWO還元剤、即ちヒドロキノンまたはアスコルベートおよび炭水化物(銀イオンに還元を受けさせて金属銀を生じさせる能力も有する還元末端部を有する)をもたらす点で特に価値がありかつ興味の持たれるものである:
【0050】
【化9】
【0051】
アルカリ性ホスファターゼに加えて、また、酸性ホスファターゼも標識として使用可能であり、この場合には、当該基質が有するホスフェート基の脱保護をpH<7で起こさせるべきである。そのような反応で放出されたアスコルビン酸はそれでもpH<7で優れた還元能力を保持している。
【0052】
銀金属が核形成部位、例えば金粒子などに付着すると言った良く知られた傾向(「金属組織学」)を利用して、金による前処理段階を設けることで、固定されているアルカリ性ホスファターゼの直ぐ隣接する領域に「種を植え付ける(seed)」ことも可能である。本明細書の実施例に示すように、SA−AP結合体をビオチニル化結合分子と結合させた後、金イオンをAuCl3の形態でアスコルベートホスフェートと一緒に付着させた。前記アスコルベートホスフェートがAPによって脱燐酸化を受けると結果として還元剤であるアスコルベートが生じ、その後、それが金イオンに還元を受けさせて金属金を生じさせる。次に、金属金が核形成部位として働くことで、銀イオンが還元を受けて銀金属になることによるシグナルが更に増幅される。
【0053】
本発明の特定の面を説明する目的で以下の実施例を含めるが、限定として解釈されるべきではない。
実施例
【実施例1】
【0054】
銀(I)にアルカリ性ホスファターゼ媒介還元を受けさせるためのホスフェート
ミクロタイタープレート(図1参照)の穴に硝酸銀を一定分量(50mMのAgNO3を100μL)で入れた。前記銀溶液にアスコルビン酸−2−ホスフェート(穴A1、B1)、セサモールホスフェート(穴A2、B2)、ヒドロキノン−1,4−ジホスフェート(穴A3、B3)または2,2,5,7,8−ペンタメチル−6−クロマノールホスフェート(穴A4、B4)のいずれかの50mM溶液を100μL添加したが、全く反応が現れなかった。ウシの腸のアルカリ性ホスファターゼ(0.2mg/mLを5μL)を縦列Bの穴に加えると、各溶液から金属銀(0)が微細な黒色沈澱物として生じるか或は容器の壁が銀で被覆された。
A:50mMのAgNO3を100μLと50mMの基質ホスフェートを100μL
B:50mMのAgNO3を100μLと50mMの基質ホスフェートを100μLと1
00mMのトリス(pH7.0)中0.2mg/mLのウシ腸アルカリ性ホスファターゼ(Pierce Chemical、Rockford、IL)を5μL。
【実施例2】
【0055】
ニトロセルロース上のアルカリ性ホスファターゼ、硝酸銀および基質ホスフェート
ニトロセルロース紙にアルカリ性ホスファターゼ(0.2mg/mLを5μL)を加えた後、乾燥させた(図2を参照)。前記ホスフェートの各々の斑点をニトロセルロース上に0.1Mのトリス(pH9)中0.05Mの溶液5μLとして付けた。各斑点を乾燥させた後、それに0.05MのAgNO3を5μL加えた時に黒色の沈澱を観察したのはアルカリ性ホスファターゼを加えた斑点の所のみであった。
【実施例3】
【0056】
AP−SA結合体を高いpHで用いてAgのナノ粒子を扁桃腺上にオフラインで発生
Ventana Benchmark(商標)自動染色装置(Ventana Medical Systems,Inc.、Tucson、AZ)を用いて分析用スライドの調製を実施した。手作業でシグナルを発生させる目的で前記スライドを取り出した。本実施例の範囲内で用いる用語「緩衝液」は、氷酢酸(Sigma−Aldrich)を用いてpHを9にしておいた脱イオン(dI)H2O中0.1Mのトリス緩衝液[Trizmaベース(Sigma−Aldrich)]を指す。下記が前記装置で採用した手順である:パラフィン被覆組織をスライド上で75℃に4分間加熱しそしてEZPrep(商標)(Ventana、Tuscon、AZ)を体積を調整して用いて75℃で2回処理した後、液体カバースリップ(liquid cover slip)と一緒にEZPrepを体積を調整して加える。75℃で4分後にスライドを濯ぎ、そして自動脱パラフィン(automatic deparaffinization)を体積を調整して液体カバースリップと一緒に加えることで前記組織からパラフィンを76℃で4分間かけて除去した。そのスライドを40℃に冷却して3回濯いだ後、ANTI−CD20抗体(クローンL26、Ventana、Tuscon、AZ)の添加に続いて液体カバースリップそしてインキュベーションを40℃で16分間行う。そのスライドを濯いだ後、前記組織をビオチニル化万能二次抗体(Universal Secondary Antibody)(Ventana Medical Systems、パート#760−4205)で処理することで、ビオチンと抗−CD20抗体が同一場所に位置するようにした後、液体カバースリップそしてインキュベーションを40℃で8分間行う。そのスライドを2回濯いだ後、前記装置から取り出して、それらに現像を受けさせる準備が出来るまで、1Xの反応用緩衝液(Ventana、Tuscon、AZ)に入れて貯蔵した。
【0057】
そのスライドを1Xの反応用緩衝液から取り出して、緩衝液で10回濯いだ後、そのスライドに緩衝液を300μL添加することに加えてAP−SA結合体(緩衝液中0.14mg/mL、Sigma−Aldrich)を100μL添加する。そのスライドを37℃で15分間インキュベートした後、緩衝液で10回濯いだ。そのスライドを300μLの緩衝液に続いて50μLのAuCl3(Sigma−Aldrich)(緩衝液中2.5μg/mL)そして50μLのアスコルビン酸ホスフェート(Sigma−Aldrich)(緩衝液中0.1M)で処理した。そのスライドを37℃で20分間インキュベートした後、緩衝液で10回濯いだ。そのスライドを300μLの緩衝液に続いて50μLの酢酸銀(Sigma−Aldrich)(緩衝液中0.1M)そして50μLのアスコルビン酸ホスフェート溶液で処理した後、37℃で20分間インキュベートした。そのスライドを再び緩衝液で10回濯いだ後、ISH赤色対比染料(Ventana、Tuscon、AZ)を対比染料として加えた。そのスライドを前記対比染料と一緒に3分間インキュベートした後、緩衝液で濯いだ。そのスライドにエタノールとキシレンを用いた脱水を受けさせた後、カバースリップを取り付け、その後にスライドを顕微鏡で見た。
【0058】
図3に示したグレースケール写真で分かるように、正常な扁桃腺では正常なB細胞の細胞膜および細胞質領域に染色部が存在する。染色強度はEnhanced V−Red Detectionキット(Ventana、Tuscon、AZ)を用いて検出した正対照(図5)のそれに匹敵している。
【実施例4】
【0059】
AP−SA結合体を高いpHで用いてAgのナノ粒子を扁桃腺上にオンラインで発生
この実施例と実施例3の間の主な差は、実施例3ではスライドをAP−SAを用いた現像を行う前に装置から取り出したが、この実施例では染色段階の完全な自動化を示す点にある。Ventana Benchmark装置を用いて分析用スライドの調製を実施した。本実施例の範囲内で用いる用語「緩衝液」は、氷酢酸(Sigma−Aldrich)を用いてpHを9にしておいた脱イオンH2O中0.1Mのトリス緩衝液[Trizmaベース−Sigma−Aldrich]を指す。下記が前記装置で採用した手順である:パラフィン被覆組織をスライド上で75℃に4分間加熱しそしてEZPrepを体積を調整して用いて75℃で2回処理した後、液体カバースリップと一緒にEZPrepを体積を調整して加える。75℃で4分後にスライドを濯ぎ、そして自動脱パラフィンを体積を調整して液体カバースリップと一緒に加えることで前記組織からパラフィンを76℃で4分間かけて除去した。そのスライドを40℃に冷却して3回濯いだ後、ANTI−CD20抗体(クローンL26、Ventana、Tuscon、AZ)の添加に続いて液体カバースリップそしてインキュベーションを40℃で16分間行う。そのスライドを濯いだ後、前記組織をビオチニル化万能二次抗体(Ventana Medical Systems、パート#760−4205)で処理することで、ビオチンと抗−CD20抗体が同一場所に位置するようにした後、液体カバースリップそしてインキュベーションを40℃で8分間行う。そのスライドを緩衝液で2回濯いだ後、液体カバースリップを取り付けそしてAP−SA結合体(Sigma−Aldrich、緩衝液中0.14mg/mLを100μL)を加えた後、インキュベーションを70℃で16分間行う。そのスライドを緩衝液で濯ぎ、液体カバースリップを取り付けた後、AuCl3(Sigma−Aldrich)(1.25μg/mL)とアスコルビン酸ホスフェート(Sigma−Aldrich)(0.05M)を1:1で緩衝液に入れることで生じさせた溶液を100μL加えた。そのスライドを37℃で20分間インキュベートし、緩衝液で濯いだ後、液体カバースリップで覆った。そのスライドに酢酸銀(Sigma−Aldrich)(0.05M)とアスコルビン酸ホスフェート(0.05M)が1:1の溶液を全体で100μL加えた後、そのスライドを37℃で20分間インキュベートした。そのスライドを緩衝液で3回濯ぎ、洗浄剤が洗い流されるまで処理した後、それにエタノールとキシレンを用いた脱水を受けさせ、次にカバースリップを前記スライドに取り付けた後、そのスライドを顕微鏡で見た。
【0060】
図4に示したグレースケール写真で分かるように、正常な扁桃腺では正常なB細胞の細胞膜および細胞質領域に染色部が存在する。染色強度はEnhanced V−Red Detectionキット(Ventana、Tuscon、AZ)を用いて検出した正対照(図5)のそれに匹敵している。
【実施例5】
【0061】
骨格筋上の抗−デスミン
ホルマリンで固定してパラフィンに埋め込んだ骨格筋を切断した後、光顕微鏡用ガラススライドの上に置いた。Ventana Medical SystemのBenchMarkスライド染色装置を用いて断片からパラフィンを除去した。その断片をBenchMarkの上に置いたままプロテアーゼ1(Ventana)で4分間処理した。次に、断片を抗−デスミン(Ventana、カタログ番号760−2513)モノクローナル抗体と一緒にして37℃で16分間インキュベートした。前記装置上で反応用緩衝液を用
いた洗浄を行った後、ウサギ抗−マウス抗体を37℃で8分間インキュベートした。次に、断片を反応用緩衝液で濯いだ後、マウス抗−ウサギ抗体と一緒にして37℃で8分間インキュベートした(Amplification Kit、Ventana、カタログ番号760−080)。次に、その断片を反応用緩衝液で濯いだ後、ビオチニル化二次抗体であるビオチニル化万能二次抗体(Ventana Medical Systems、パート#760−4205)の混合物と一緒にして37℃で8分間インキュベートした。その断片を濯いだ後、ストレプトアビジン−アルカリ性ホスファターゼの溶液(Enhanced SA−/Alk Phos/VRed Ventana、カタログ番号253−2181)を37℃で16分間インキュベートした。次に、その断片をBenchMarkスライド染色装置から取り出した。次に、そのスライドを脱イオンH2Oで洗浄した後、2.5μg/mlの水素テトラブロモ金酸塩(III)水化物(Aldrich、カタログ番号44,212)(500μl)と一緒にして37℃で4分間インキュベートした。その溶液を脱イオンH2Oで濯いだ後、各断片に0.5Mのトリス緩衝液(pH9.0)中50mMのAgNO3(Sigma #S−0139)を250μlおよびPVA(平均分子量70,000から100,000、Sigma #P−1763)が5%入っている0.5MのDEA緩衝液(pH10.0)中100mMのアスコルビン酸ホスフェート(Sigma A−8960)を250μl加えた。そのスライドを37℃で20分間インキュベートした。そのスライドを脱イオンH2Oで濯いだ後、対比染色無しにカバースリップで覆った。結果を図6に示す。
【実施例6】
【0062】
脳上の抗−S100
ホルマリンで固定してパラフィンに埋め込んだ脳組織を切断した後、光顕微鏡用ガラススライドの上に置いた。VentanaのBenchMarkスライド染色装置を用いて断片からパラフィンを除去した。次に、断片を抗−S100ポリクローナル抗体(Ventana、カタログ番号760−2523)と一緒にして37℃で16分間インキュベートした。次に、その断片を反応用緩衝液で濯いだ後、ビオチニル化二次抗体であるビオチニル化万能二次抗体(Ventana Medical Systems、パート#760−4205)の混合物と一緒にして37℃で8分間インキュベートした。その断片を濯いだ後、ストレプトアビジン−アルカリ性ホスファターゼの溶液(Enhanced SA−/Alk Phos/VRed Ventana、カタログ番号253−2181)を37℃で16分間インキュベートした。次に、その断片をBenchMarkスライド染色装置から取り出した。次に、そのスライドを脱イオンH2Oで洗浄した後、2.5μg/mlの水素テトラブロモ金酸塩(III)水化物(Aldrich、カタログ番号44,212)(500μl)と一緒にして37℃で4分間インキュベートした。その溶液を脱イオンH2Oで濯いだ後、各断片に0.5Mのトリス緩衝液(pH9.0)中50mMのAgNO3(Sigma #S−0139)を250μlおよびPVA(平均分子量70,000から100,000、Sigma #P−1763)が5%入っている0.5MのDEA緩衝液(pH10.0)中100mMのアスコルビン酸ホスフェート(Sigma A−8960)を250μl加えた。そのスライドを37℃で20分間インキュベートした。そのスライドにNuclear Fast Redによる対比染色を受けさせた後、カバースリップで覆った。結果を図7に示す。
【実施例7】
【0063】
脳上のウサギ負対照
ホルマリンで固定してパラフィンに埋め込んだ脳を切断した後、光顕微鏡用ガラススライドの上に置いた。VentanaのBenchMarkスライド染色装置を用いて断片からパラフィンを除去した。次に、断片をウサギ負対照(Ventana、カタログ番号760−2023)と一緒にして37℃で16分間インキュベートした。次に、その断片を反応用緩衝液で濯いだ後、ビオチニル化二次抗体であるビオチニル化万能二次抗体(V
entana Medical Systems、パート#760−4205)の混合物と一緒にして37℃で8分間インキュベートした。その断片を濯いだ後、ストレプトアビジン−アルカリ性ホスファターゼの溶液(Enhanced SA−/Alk Phos/VRed Ventana、カタログ番号253−2181)を37℃で16分間インキュベートした。次に、その断片をBenchMarkスライド染色装置から取り出した。次に、そのスライドを脱イオンH2Oで洗浄した後、2.5μg/mlの水素テトラブロモ金酸塩(III)水化物(Aldrich、カタログ番号44,212)(500μl)と一緒にして37℃で4分間インキュベートした。その溶液を脱イオンH2Oで濯いだ後、各断片に0.5Mのトリス緩衝液(pH9.0)中50mMのAgNO3(Sigma #S−0139)を250μlおよびPVA(平均分子量70,000から100,000、Sigma #P−1763)が5%入っている0.5MのDEA緩衝液(pH10.0)中100mMのアスコルビン酸ホスフェート(Sigma A−8960)を250μl加えた。そのスライドを37℃で20分間インキュベートした。そのスライドにNuclear Fast Redによる対比染色を受けさせた後、カバースリップで覆った。結果を図8に示す。
【0064】
図7には灰−黒色染色が観察されたが、これを図8には灰−黒色染色が観察されないことと比較することによって、図7に示されている染色パターンは抗原に特異的であることが分かる、と言うのは、図8は負のウサギ対照を用いて実施した時の図であるからである。図9は、抗−S100を用いて脳組織に関して実施したケースと同じではあるが、VentanaのEnhanced V−Red Detection Kitを用いて検出した図である。染色パターンは図7に見られるそれと同じであることが観察されるであろう。
【実施例8】
【0065】
非酵素的増幅を用いた骨格筋上の抗−デスミン
この実施例では、銀シグナルの化学的増幅を用いることで元々の銀付着量をアスコルベートによる還元の関数として増加させることができることを示す。ホルマリンで固定してパラフィンに埋め込んだ骨格筋を切断した後、光顕微鏡用ガラススライドの上に置いた。VentanaのBenchMarkスライド染色装置を用いて断片からパラフィンを除去した。その断片をBenchMarkの上に置いたままプロテアーゼ1(Ventana)で4分間処理した。次に、断片を抗−デスミン(Ventana、カタログ番号760−2513)モノクローナル抗体と一緒にして37℃で16分間インキュベートした。前記装置上で反応用緩衝液を用いた洗浄を行った後、ウサギ抗−マウス抗体を37℃で8分間インキュベートした。次に、断片を反応用緩衝液で濯いだ後、マウス抗−ウサギ抗体と一緒にして37℃で8分間インキュベートした(Amplification Kit、Ventana、カタログ番号760−080)。次に、その断片を反応用緩衝液で濯いだ後、ビオチニル化二次抗体であるビオチニル化万能二次抗体(Ventana Medical Systems、パート#760−4205)の混合物と一緒にして37℃で8分間インキュベートした。その断片を濯いだ後、ストレプトアビジン−アルカリ性ホスファターゼの溶液(Enhanced SA−/Alk Phos/VRed Ventana、カタログ番号253−2181)を37℃で16分間インキュベートした。次に、その断片をBenchMarkスライド染色装置から取り出した。次に、そのスライドを脱イオンH2Oで洗浄した後、2.5μg/mlの水素テトラブロモ金酸塩(III)水化物(Aldrich、カタログ番号44,212)(500μl)と一緒にして37℃で4分間インキュベートした。その溶液を脱イオンH2Oで濯いだ後、各断片に0.5Mのトリス緩衝液(pH9.0)中50mMのAgNO3(Sigma #S−0139)を250μlおよびPVA(平均分子量70,000から100,000、Sigma #P−1763)が5%入っている0.5MのDEA緩衝液(pH10.0)中100mMのアスコルビン酸ホスフェート(Sigma A−8960)を250μl加えた
。そのスライドを37℃で20分間インキュベートした。そのスライドを脱イオンH2Oで濯いだ。次に、それを0.1Mのクエン酸緩衝液(pH3.8)中25mMの4−メチルアミノフェノール(Aldrich #129720)と12mMのAgNO3溶液に入れて37℃で10分間インキュベートすることでシグナルを増幅させた。図10に、増幅させたシグナルを非酵素的増幅を受けさせていない実施例9(図11)のそれと比較して示す。
【実施例9】
【0066】
非酵素的増幅を用いた骨格筋上の抗−デスミン
ホルマリンで固定してパラフィンに埋め込んだ骨格筋を切断した後、光顕微鏡用ガラススライドの上に置いた。Ventana Medical SystemsのBenchMarkスライド染色装置を用いて断片からパラフィンを除去した。その断片をBenchMarkの上に置いたままプロテアーゼ1で4分間処理した。次に、断片を抗−デスミンモノクローナル抗体と一緒にして37℃で16分間インキュベートした。前記装置上で反応用緩衝液を用いた洗浄を行った後、ウサギ抗−マウス抗体を37℃で8分間インキュベートした。次に、断片を反応用緩衝液で濯いだ後、マウス抗−ウサギ抗体と一緒にして37℃で8分間インキュベートした。次に、その断片を反応用緩衝液で濯いだ後、ビオチニル化二次抗体の混合物と一緒にしてインキュベートした。その断片を濯いだ後、ストレプトアビジン−アルカリ性ホスファターゼの溶液を16分間インキュベートした。次に、その断片をBenchMark自動スライド染色装置から取り出した。次に、そのスライドを脱イオンH2Oで洗浄した後、2.5μg/mlの水素テトラブロモ金酸塩(III)水化物(500μl)と一緒にして37℃で4分間インキュベートした。その溶液を脱イオンH2Oで濯いだ後、各断片に0.5Mのトリス緩衝液(pH9.0)中50mMのAgNO3を250μlおよびPVA(平均分子量70,000から100,000)が5%入っている0.5MのDEA緩衝液(pH10.0)中100mMのアスコルビン酸ホスフェートを250μl加えた。そのスライドを37℃で10分間インキュベートした。そのスライドを脱イオンH2Oで濯いだ。図11に、増幅無しシグナルを実施例8(図10)のそれと比較して示す。
【実施例10】
【0067】
ヒドロキノン−1,4−ジホスフェートの合成
ヒドロキノンと2当量のオキシ塩化燐と2当量の無水ピリジンを無水トルエン(0.1Mになるように)に入れて30分間反応させた。その混合物を更に30分間還流させた後、周囲温度になるまで冷却した。ケイソウ土の詰め物に通す濾過で塩化ピリジニウムを除去した後、少量の乾燥トルエンで濯いだ。その濾液に濃縮を真空下40℃で受けさせた後、その残留物に炭酸アンモニウム水溶液による加水分解をpHが7になるまで受けさせた。その生成物をフラッシュC18シリカゲル使用逆相分離で精製することで所望の生成物を得て、それをMS、1Hおよび13C−NMRで確認した。
【実施例11】
【0068】
アントラヒドロキノン−1,4−ジホスフェートおよびナフトヒドロキノン−1,4−ジホスフェートの合成
アントラヒドロキノンまたはナフトヒドロキノンを出発材料として用いる以外は実施例10の手順を実施する。
【実施例12】
【0069】
基質であるホスフェートの一般的合成:セサモールホスフェートの合成
乾燥させておいた500mlの丸底フラスコに窒素雰囲気下でPOCl3(89.5ミリモル)を移した。200mLの乾燥ジクロロメタンにセサモール(35.8ミリモル、1当量)とトリエチルアミン(71.7ミリモル)を入れることで生じさせた溶液を前記
POCl3溶液に4時間かけて滴下した。撹拌を周囲温度で一晩行った後、ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去した。その残留物を100mLのジクロロメタンに溶解させた後、セライトに通す濾過で塩を除去した。その生成物に100mLの飽和炭酸アンモニウムによるクエンチを受けさせる(quenching)ことで分離を起こさせて生成物を水の中に入り込ませた。その有機層を廃棄した後、ロータリーエバポレーターを用いて水相を乾燥させることで所望ホスフェートを8.2グラム(90%の収率)得た。生成物の同定をMSで立証し、そしてHPLCを214nmで用いた分析で生成物の純度は99%を超えることが分かった。
【実施例13】
【0070】
基質であるホスフェートの一般的合成:オイゲノールホスフェートおよびPMCPホスフェート合成
オイゲノールまたはPMCP(2,2,5,7,8−ペンタメチル−6−クロマノール)を出発材料として用いる以外は実施例12の手順を繰り返す。
【0071】
本発明の方法および組成物は多様な態様の形態で取り入れ可能であるが、本明細書に説明かつ記述したのはそれの中の少しのみであることは理解されるであろう。本発明の精神からも必須特徴からも逸脱しない限り本発明は他の具体的形態で具体化可能である。記述した態様はあらゆる面で単に説明として解釈されるべきであり、制限として解釈されるべきではない。従って、この上に行った説明ではなく添付請求の範囲で本発明の範囲を示す。本請求の範囲の意味および相当物の範囲内に入るあらゆる変形は本発明の範囲内に含まれるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、4個の穴が2つの縦列に配列している8個のミクロタイター穴の写真である。縦列Aは、100mMのトリス(pH9.0)に50mMの硝酸銀が100μLと50mMのホスフェート基質が100μL入っている対照縦列である。縦列Bに入っている成分も同じではあるが、これには、100mMのトリス(pH7.0)中0.2mg/mLのウシ腸アルカリ性ホスファターゼ(Pierce)が5μL添加されている。縦列Bは、アルカリ性ホスファターゼの媒介で還元基質が放出され(即ちアスコルビン酸−2−ホスフェートからアスコルビン酸)そして放出された還元基質によって硝酸銀から銀金属粒子への還元が付随して起こる作用を示している。
【図2】図2は、100mMのトリス(pH7.0)中0.2mg/mLのウシ腸アルカリ性ホスファターゼ(Pierce)を5μLと100mMのトリス(pH9.0)中50mMのホスフェート(実施例1で得た)溶液を5μLと50mMの硝酸銀を5μL用いて処理したニトロセルロース紙上の4斑点の写真である。アスコルビン酸−2−ホスフェート(AAP)、セサモールホスフェート(SP)、ヒドロキノン−1,4−ジホスフェート(HQP)、2,2,5,7,8−ペンタメチル−6−クロマノールホスフェート(PMCP)。
【図3】図3は、AP−SA結合体、金前処理そしてアスコルビン酸ホスフェート(AAP)使用銀還元を用いて染色した正常な扁桃腺組織のグレースケール顕微鏡写真である。
【図4】図4は、AP−SA結合体、金前処理そしてAAP使用銀還元を用いて染色した正常な扁桃腺組織のグレースケール顕微鏡写真(ただ1つの差は銀シグナルをオンラインで完全に生じさせた点のみである)である。
【図5】図5は、図3−4のための正対照のグレースケール顕微鏡写真である。
【図6】図6は、金前処理、AAPおよびAgNO3を用いてインキュベーションを20分間行うことで検出した骨格筋上の抗−デスミン抗体の顕微鏡写真である。
【図7】図7は、金前処理、AAPおよびAgNO3を用いてインキュベーションを20分間行うことで検出した脳上の抗−S100の顕微鏡写真である。
【図8】図8は、金前処理、AAPおよびAgNO3を用いてインキュベーションを20分間行うことで検出した脳上のウサギ負対照の顕微鏡写真である。
【図9】図9は、Ventana VRed検出を用いた脳組織上の抗−S100抗体の顕微鏡写真である。
【図10】図10は、金前処理、AAPおよびAgNO3を用いてインキュベーションを10分間行いそして4−メチルアミノフェノール増幅を10分間行った時の骨格筋上の抗−デスミン抗体の顕微鏡写真である。
【図11】図11は、非酵素的増幅を全く行なわない時の骨格筋上の抗−デスミン抗体の顕微鏡写真である。増幅段階を設けない以外は図9に示した条件と同じ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的サンプルに入っている興味の持たれる免疫組織化学的エピトープまたは核酸配列をインサイチュ検出する方法であって、酵素標識結合分子と前記興味の持たれるエピトープまたは配列を酸化還元に不活性な還元種および可溶性金属イオンの存在下で結合させることで前記金属イオンから金属原子への還元が前記酵素がつなぎ止められている地点または付近で起こり易くすることを含んで成る方法。
【請求項2】
前記酵素標識結合分子が抗体を含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記酵素標識結合分子がアビジンまたはストレプトアビジンを含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記酵素標識結合分子がヌクレオチド配列を含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記酸化還元に不活性な還元種が前記酵素標識結合分子用の基質である請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記酵素がアルカリ性ホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、アルファ−およびベータ−ガラクトシダーゼ、アルファ−およびベータ−グルコシダーゼ、一般的にエステラーゼおよびベータ−ラクタマーゼから成る群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記酵素がアルカリ性ホスファターゼでありそして前記基質がアスコルビン酸ホスフェートである請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記酵素がアルカリ性ホスファターゼでありそして前記基質がヒドロキノンホスフェート誘導体である請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記酸化還元に不活性な還元種がヒドロキノンモノ−およびジ−ホスフェート、ナフトヒドロキノンモノ−およびジ−ホスフェートおよびアントラヒドロキノンモノ−およびジ−ホスフェートまたはこれらの誘導体から成る群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記酸化還元に不活性な還元種がセサモールホスフェート、オイゲノールホスフェートおよびアルファ−トコフェロールホスフェートまたはこれらの誘導体から成る群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記金属が銀および金から成る群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項12】
以下に示す一般構造(IV)
【化1】
[ここで、
R1は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよく、
R2は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよく、そして
Zは、PO32−、H、α−ガラクトース、β−ガラクトース、α−グルコース、β−グルコース、エステルまたはβ−ラクタムであってもよいが、両方のZがHであることはあり得ない]
で表される化合物。
【請求項13】
両方のZがPO32−である請求項12記載の化合物。
【請求項14】
一般構造(V):
【化2】
[ここで、
R1は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよく、そして
Zは、PO32−、α−ガラクトース、β−ガラクトース、α−グルコース、β−グルコース、エステルまたはβ−ラクタムであってもよい]
で表される化合物。
【請求項15】
一般構造(VI):
【化3】
[ここで、
R1は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよく、そして
Zは、PO32−、α−ガラクトース、β−ガラクトース、α−グルコース、β−グルコース、エステルまたはβ−ラクタムであってもよい]
で表される化合物。
【請求項16】
一般構造(VII):
【化4】
[ここで、
R1は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよく、そして
Zは、PO32−、α−ガラクトース、β−ガラクトース、α−グルコース、β−グルコース、エステルまたはβ−ラクタムであってもよい]
で表される化合物。
【請求項17】
R1がCH2−(CH2−CH2−CH(CH3)−CH2)3−Hである請求項16記載の化合物。
【請求項18】
生物学的サンプルに入っている興味の持たれるバイオマーカーを検出するためのキット
であって、各容器が抗−バイオマーカー結合分子、酸化還元に不活性な還元種、前記還元種を活性にする酵素および金属イオンを保持するに適する、1個以上の容器を含んで成るキット。
【請求項19】
前記抗−バイオマーカー結合分子が抗体である請求項18記載のキット。
【請求項20】
前記抗体にハプテン標識が付いている請求項19記載のキット。
【請求項21】
前記抗−バイオマーカー結合分子がオリゴヌクレオチド配列である請求項18記載のキット。
【請求項22】
前記オリゴヌクレオチド配列にハプテン標識が付いている請求項21記載のキット。
【請求項23】
前記酵素標識がホスファターゼである請求項18記載のキット。
【請求項24】
前記酸化還元に不活性な還元種がアスコルビン酸ホスフェートである請求項18記載の化合物。
【請求項25】
興味の持たれるエピトープまたはヌクレオチド配列を有する生物学的サンプルをインサイチュ染色する方法であって、
(a)前記組織をハプテンを有する結合分子と接触させ、
(b)前記ハプテンを標識酵素と結合しているハプテン結合パートナーと接触させ、そして
(c)前記生物学的サンプルと前記標識酵素用の基質である酸化還元に不活性な還元種を金属イオンの存在下で接触させる、
段階を含んで成る方法。
【請求項26】
前記結合分子が抗体、ヌクレオチド配列およびアフィニティーパートナーから成る群から選択される請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記ハプテンがフルオレセイン、ビオチン、ジゴキシゲニンおよびジニトロフェノールから成る群から選択される請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記酵素標識がホスファターゼである請求項25記載の方法。
【請求項29】
前記金属が銀および金から成る群から選択される請求項25記載の方法。
【請求項30】
銀金属の還元に先立って前記生物学的サンプルを金で前以て処理しておく段階を実施する請求項25記載の方法。
【請求項31】
前記酸化還元に不活性が還元種をヒドロキノンモノ−および/またはジ−ホスフェート、ナフトヒドロキノンモノ−および/またはジ−ホスフェート、アントラヒドロキノンモノ−および/またはジ−ホスフェート、セサモールホスフェート、オイゲノールホスフェートおよびアルファ−トコフェロールホスフェートまたはこれらの誘導体から成る群から選択される請求項25記載の方法。
【請求項32】
興味の持たれるエピトープまたはヌクレオチド配列を有する生物学的サンプルをインサイチュ染色する方法であって、
(a)前記組織をビオチニル化一次抗体と接触させ、
(b)前記ビオチニル化一次抗体と結合させた前記生物学的サンプルをストレプトアビジ
ン−アルカリ性ホスファターゼと接触させ、そして
(c)前記段階(b)の生物学的サンプルとアスコルビン酸ホスフェートを銀イオンの存在下で7より高いpHで接触させる、
段階を含んで成る方法。
【請求項33】
前記Zがホスフェートである請求項14記載の化合物。
【請求項34】
前記Zがホスフェートである請求項15記載の化合物。
【請求項35】
前記Zがホスフェートでありそして前記R1がメチルである請求項16記載の化合物。
【請求項36】
銀金属の還元に先立って前記生物学的サンプルを金で前以て処理しておく段階を実施する請求項1記載の方法。
【請求項1】
生物学的サンプルに入っている興味の持たれる免疫組織化学的エピトープまたは核酸配列をインサイチュ検出する方法であって、酵素標識結合分子と前記興味の持たれるエピトープまたは配列を酸化還元に不活性な還元種および可溶性金属イオンの存在下で結合させることで前記金属イオンから金属原子への還元が前記酵素がつなぎ止められている地点または付近で起こり易くすることを含んで成る方法。
【請求項2】
前記酵素標識結合分子が抗体を含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記酵素標識結合分子がアビジンまたはストレプトアビジンを含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記酵素標識結合分子がヌクレオチド配列を含んで成る請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記酸化還元に不活性な還元種が前記酵素標識結合分子用の基質である請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記酵素がアルカリ性ホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、アルファ−およびベータ−ガラクトシダーゼ、アルファ−およびベータ−グルコシダーゼ、一般的にエステラーゼおよびベータ−ラクタマーゼから成る群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記酵素がアルカリ性ホスファターゼでありそして前記基質がアスコルビン酸ホスフェートである請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記酵素がアルカリ性ホスファターゼでありそして前記基質がヒドロキノンホスフェート誘導体である請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記酸化還元に不活性な還元種がヒドロキノンモノ−およびジ−ホスフェート、ナフトヒドロキノンモノ−およびジ−ホスフェートおよびアントラヒドロキノンモノ−およびジ−ホスフェートまたはこれらの誘導体から成る群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記酸化還元に不活性な還元種がセサモールホスフェート、オイゲノールホスフェートおよびアルファ−トコフェロールホスフェートまたはこれらの誘導体から成る群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記金属が銀および金から成る群から選択される請求項1記載の方法。
【請求項12】
以下に示す一般構造(IV)
【化1】
[ここで、
R1は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよく、
R2は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよく、そして
Zは、PO32−、H、α−ガラクトース、β−ガラクトース、α−グルコース、β−グルコース、エステルまたはβ−ラクタムであってもよいが、両方のZがHであることはあり得ない]
で表される化合物。
【請求項13】
両方のZがPO32−である請求項12記載の化合物。
【請求項14】
一般構造(V):
【化2】
[ここで、
R1は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよく、そして
Zは、PO32−、α−ガラクトース、β−ガラクトース、α−グルコース、β−グルコース、エステルまたはβ−ラクタムであってもよい]
で表される化合物。
【請求項15】
一般構造(VI):
【化3】
[ここで、
R1は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよく、そして
Zは、PO32−、α−ガラクトース、β−ガラクトース、α−グルコース、β−グルコース、エステルまたはβ−ラクタムであってもよい]
で表される化合物。
【請求項16】
一般構造(VII):
【化4】
[ここで、
R1は、H、アルキル、アリール、カルボキシル、カルボキシアルキル、NH2、(CH2)n−COOH−、ニトロ、エーテル、チオエーテルまたはスルホネートであってもよく、そして
Zは、PO32−、α−ガラクトース、β−ガラクトース、α−グルコース、β−グルコース、エステルまたはβ−ラクタムであってもよい]
で表される化合物。
【請求項17】
R1がCH2−(CH2−CH2−CH(CH3)−CH2)3−Hである請求項16記載の化合物。
【請求項18】
生物学的サンプルに入っている興味の持たれるバイオマーカーを検出するためのキット
であって、各容器が抗−バイオマーカー結合分子、酸化還元に不活性な還元種、前記還元種を活性にする酵素および金属イオンを保持するに適する、1個以上の容器を含んで成るキット。
【請求項19】
前記抗−バイオマーカー結合分子が抗体である請求項18記載のキット。
【請求項20】
前記抗体にハプテン標識が付いている請求項19記載のキット。
【請求項21】
前記抗−バイオマーカー結合分子がオリゴヌクレオチド配列である請求項18記載のキット。
【請求項22】
前記オリゴヌクレオチド配列にハプテン標識が付いている請求項21記載のキット。
【請求項23】
前記酵素標識がホスファターゼである請求項18記載のキット。
【請求項24】
前記酸化還元に不活性な還元種がアスコルビン酸ホスフェートである請求項18記載の化合物。
【請求項25】
興味の持たれるエピトープまたはヌクレオチド配列を有する生物学的サンプルをインサイチュ染色する方法であって、
(a)前記組織をハプテンを有する結合分子と接触させ、
(b)前記ハプテンを標識酵素と結合しているハプテン結合パートナーと接触させ、そして
(c)前記生物学的サンプルと前記標識酵素用の基質である酸化還元に不活性な還元種を金属イオンの存在下で接触させる、
段階を含んで成る方法。
【請求項26】
前記結合分子が抗体、ヌクレオチド配列およびアフィニティーパートナーから成る群から選択される請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記ハプテンがフルオレセイン、ビオチン、ジゴキシゲニンおよびジニトロフェノールから成る群から選択される請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記酵素標識がホスファターゼである請求項25記載の方法。
【請求項29】
前記金属が銀および金から成る群から選択される請求項25記載の方法。
【請求項30】
銀金属の還元に先立って前記生物学的サンプルを金で前以て処理しておく段階を実施する請求項25記載の方法。
【請求項31】
前記酸化還元に不活性が還元種をヒドロキノンモノ−および/またはジ−ホスフェート、ナフトヒドロキノンモノ−および/またはジ−ホスフェート、アントラヒドロキノンモノ−および/またはジ−ホスフェート、セサモールホスフェート、オイゲノールホスフェートおよびアルファ−トコフェロールホスフェートまたはこれらの誘導体から成る群から選択される請求項25記載の方法。
【請求項32】
興味の持たれるエピトープまたはヌクレオチド配列を有する生物学的サンプルをインサイチュ染色する方法であって、
(a)前記組織をビオチニル化一次抗体と接触させ、
(b)前記ビオチニル化一次抗体と結合させた前記生物学的サンプルをストレプトアビジ
ン−アルカリ性ホスファターゼと接触させ、そして
(c)前記段階(b)の生物学的サンプルとアスコルビン酸ホスフェートを銀イオンの存在下で7より高いpHで接触させる、
段階を含んで成る方法。
【請求項33】
前記Zがホスフェートである請求項14記載の化合物。
【請求項34】
前記Zがホスフェートである請求項15記載の化合物。
【請求項35】
前記Zがホスフェートでありそして前記R1がメチルである請求項16記載の化合物。
【請求項36】
銀金属の還元に先立って前記生物学的サンプルを金で前以て処理しておく段階を実施する請求項1記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−528986(P2007−528986A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517725(P2006−517725)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/020700
【国際公開番号】WO2005/003777
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(599075070)ベンタナ・メデイカル・システムズ・インコーポレーテツド (31)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/020700
【国際公開番号】WO2005/003777
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(599075070)ベンタナ・メデイカル・システムズ・インコーポレーテツド (31)
【Fターム(参考)】
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