説明

免疫組織化学的検出のための方法および組成物

ある態様において、本発明は試料中の生物学的マーカーを検出するための方法および組成物に関する。ある態様において、生物学的マーカーは免疫学的に検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の記載)
本出願は、2003年12月1日に出願された米国仮出願第60/525,960号、および2004年5月14日に出願された米国仮出願第60/570,800号に対する優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
ある態様において、本発明は、免疫学的技術を用いる生物学的マーカーの検出に関する。ある態様において、本発明は、免疫組織化学または細胞学を用いる生物学的マーカーの検出に関する。
【0003】
(発明の背景)
生体試料または検体中の標的生物学的マーカーの検出は、この標的を、この標的に特異的に結合する分子と接触させることによって達成することができる。分子は、例えば、(例えば、インサイチュハイブリダイゼーションまたはサザンまたはノーザンブロットで用いるための)タンパク質または核酸プローブであり得る。この分子は検出可能な物質に直接的にまたは間接的に結合することができ、したがって、生体試料に含有された標的の染色および検出を可能とする。通常用いられる検出可能な物質はテキサスレッドのような染料、FITC、ならびに放射性同位体、金属粒子、および特異的基質の触媒に際して、標的生物学的マーカーの比色検出を可能とする酵素を含む(例えば、Coonsら、1941, Proc Soc Exp Biol Med 47:200; Nakane および Pierce 1966, J Histochem Cytochem 14:929参照)。生物学的マーカーの検出用の1つのシステムは、試料中の所望の標的生物学的マーカーに特異的に結合する免疫学的に誘導された分子に依存する。
【0004】
生物学的マーカーの免疫学に基づく検出は、有益には、注目する特異的生物学的マーカーに対する抗体のような免疫誘導タンパク質の特異性を利用する。典型的には、抗体は標的生物学的マーカー上の特異的エピトープを認識し、これは、この標的が、与えられた生体試料または検体内に含まれる他の生物学的マーカーから区別され、したがって、検出されるのを可能とする。酵素結合免疫検定法(ELISA)、フローサイトメトリー、ウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ(RIA)および免疫組織化学(IHC)を含めた、注目する生物学的マーカーを検出することができる多様なフォーマットが知られている(例えば、Janewayら、Immunobiology 第5版, Garland Publishing, N.Y. NY.参照)。これらの技術の全ては多様な病気および疾患の研究、ならびにその検出および診断で有用である。
【0005】
IHCは、具体的には、インサイチュにて試料または組織検体中の生物学的マーカーを検出する方法を提供する(Mokry 1996, ACTA MEDICA 39:129参照)。試料の全体的な細胞一体性はIHCにおいて維持され、したがって、注目する生物学的マーカーの存在および位置の双方の検出を可能とする。典型的には、試料はホルマリンで固定され、パラフィン包埋され、光学顕微鏡による観察のために切断して切片とする。得られたシグナルの強度は試料中の標的分子の発現のレベルと相関する。IHCを行うための初期の方法は直接的検出にのみ依存していた。直接的検出は検出可能な剤を意味し、例えば、蛍光色素が一次抗体(すなわち、標的生物学的マーカーに特異的に結合する抗体)に直接的に連結された。この方法の制限は、低レベルで発現された生物学的マーカーが弱い検出シグナルを生じることであった。この制限を克服するための試みは、一次抗体の複数コピーを、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(EPOS(登録商標))(Dakocytomation, Carpenteria, CA)のような酵素と共役したデキストランポリマーへ連結させることを含むものであった(Dakocytomationカタログ参照)。
【0006】
この問題を克服するための他の試みは、二次抗体の付加を含むものであった。検出を増幅するために、一次抗体は標識されなかった。その代わり、一次抗体に特異的に結合した検出可能な物質に連結された二次抗体の適用がこの方法に付け加えられた。二次抗体の多数コピーは一次抗体に結合することができ、したがって、シグナルを増強させる。この方法は間接的検出として知られている。
【0007】
IHCで用いられる間接的検出を利用するいくつかの製品が商業的に入手可能である。その例は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)またはアルカリ性ペルオキシダーゼ(AP)と共役高分子に連結された二次抗体を供するEnvisionTM+(Dakocytomation, Carpenteria, CA)(Dakocytomationカタログ参照)を含む。EnvisionTM Systemsのデュアル連結バージョン(EnvisionTM+)もまた、利用可能である。デュアルリンクは、2つの異なるポリマーに連結された2つの異なる二次抗体を提供し、ここに、このポリマーの各々はHRPのような酵素に共役されている。2つの二次抗体は異なる種(例えば、ウサギおよびマウス)からの抗体に特異的に結合し、したがって、一次抗体の選択において柔軟性を提供する。Powervision(登録商標)(Immunovision, Springdale, AZ)もまた、酵素と共役高分子に連結された二次抗体を用いる。非ビオチン増幅(NBA)TMキット(Zymed Laboratories Inc., South San Francisco, CA)はハプテン(フルオレセイン)に共役した二次抗体、およびハプテンに特異的に結合する三次抗体を提供し、ここで、この三次抗体はHRPに共役している。HistoFine(登録商標)(Nichirei Corp, Tokyo, Japan)は、HRPのような酵素と共役高分子に連結されたF(ab)を提供する。また、ビオチンのようなハプテンに連結された二次抗体に依存する検出システムも当該分野で知られている。このシステムにおいては、二次抗体は、HRPに共役されたアビジンまたはストレプトアビジンのようなビオチン結合パートナーと接触される。
【0008】
IHCを行うために種々の商業的製品が利用できるにもかかわらず、例えば、IHCによって、試料中に低レベルで通常は存在する生物学的マーカーの検出において、増大した感度を供する方法および組成物に対する要望が依然として存在する。増大した感度は、特に、疾患または病気が正常と比較した生物学的マーカーの発現の量の増加と関連する場合に有用であろう。
【0009】
(発明の概要)
特定の態様において、本発明は、例えば、IHCによって、試料中の生物学的マーカーを検出する公知の方法と比較してより感度の高い方法を提供する。増大した感度は染色された試料から生じたより強い検出シグナルを提供することができる。増大した感度はより少ない試薬(例えば、IHCまたは他の免疫学的ベースの検出方法を行う場合の一次抗体、二次抗体)の使用を可能とすることができ、より少ない試薬は特異的でないバックグラウンド染色の低下を供することができる。別法として、増大した感度を利用して、より速いプロトコルを行うことができる。
【0010】
いくつかの態様において、本発明は、試料中の生物学的マーカーに特異的に結合する第一の結合剤(例えば、一次抗体、核酸プローブ)、第一の結合剤に特異的に結合する第二の結合剤(例えば、二次抗体)、および第二の結合剤に特異的に結合する第三の結合剤(例えば、三次抗体)を含む、試料中の生物学的マーカーを検出するのに有用な組成物を提供する。結合剤の少なくとも1つをポリマーに連結させることができるか、あるいは結合剤それ自体は重合性であってよく、例えば、誘導体化し、重合化することができる。共役高分子は検出可能な物質と連結させることができる。いくつかの態様において、第二の結合剤および第三の結合剤の少なくとも1つは検出可能な物質、またはハプテン、または検出可能な物質およびハプテンの双方に連結させることができる。本発明は、試料と本発明の組成物とを接触させることを含む、試料中の生物学的マーカーを検出する方法を提供する。
【0011】
いくつかの態様において、本発明は、所望により検出可能な物質と共に、少なくとも一次抗体、二次抗体および三次抗体を含む組成物を提供し、ここに、この三次抗体およびこの二次抗体の少なくとも1つは検出可能な物質と共役高分子に連結されるか、あるいはそれ自体が誘導体化され、次いで、重合される。この組成物はIHCによって試料中の生物学的マーカーを検出するのに有用である。この組成物は病気または疾患に関連するマーカー、例えば、病気を有しない対象に由来する細胞または組織試料と比較して、この病気を有する対象に由来する細胞または組織試料中のより高いレベルで発現されるタンパク質を検出するのに有用である。
【0012】
特定の態様において、本発明は:
a)第一の結合剤が試料に結合し、第一の複合体を形成するように、試料を少なくとも1つの第一の結合剤と接触させ;
b)第二の複合体が形成され、ここに、少なくとも1つの第二の結合剤は所望により少なくとも1つの第一のポリマーに連結されており、あるいはポリマー骨格を付加することなく重合可能であるように、a)の第一の複合体を、少なくとも1つの第一の結合剤に特異的に結合する少なくとも1つの第二の結合剤と接触させ;
c)第三の結合剤がb)の第二の複合体に結合し、第三の複合体を形成するように、b)の第二の複合体を、
i)少なくとも1つの第三の結合剤と接触させ、ここに、この少なくとも1つの第三の結合剤は少なくとも1つの第二のポリマーに連結され、あるいはポリマー骨格の付加無くして重合可能であり、およびここに、この第三の結合剤は第二の結合剤に特異的に結合し;
ここに、少なくとも1つの検出可能な剤は、
1)少なくとも1つの第三の結合剤;
2)少なくとも1つの第二のポリマー;および
3)少なくとも1つの第三の結合剤および少なくとも1つの第二のポリマーの双方:
に連結され;次いで、
d)c)の第三の複合体を検出する;
ことを特徴とする、試料中の生物学的マーカーを検出する方法を提供する。
【0013】
特定の態様において、本発明は、
a)少なくとも1つの一次抗体が試料に結合し、第一の複合体を形成するように、試料を、マウス抗体およびウサギ抗体から選択される少なくとも1つの二次抗体と接触させ;
b)少なくとも1つの二次抗体がa)の複合体に結合し、第二の複合体を形成するように、a)の複合体を、
i)第一のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの第一の二次ヤギ抗体、この第一の二次ヤギ抗体はマウス抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み;および/または
ii)第二のデキストランポリマーに連結した少なくとも1つの第二の二次ヤギ抗体、この第二の二次ヤギ抗体はウサギ抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み:
と接触させ;
c)少なくとも1つの三次抗体がb)の第二の複合体に結合し、第三の複合体を形成するように、b)の第二の複合体を、
i)第三のデキストランポリマーに連結した少なくとも1つの三次ウサギ抗体と接触させ、この少なくとも1つの三次ウサギ抗体はヤギ抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み;
ここに、少なくとも1つのホースラディッシュペルオキシダーゼ分子が、
1)少なくとも1つの三次抗体;
2)少なくとも1つの第二のポリマー;および
3)少なくとも1つの三次抗体および少なくとも1つの二次抗体の双方:
のうちの少なくとも1つと連結され;次いで、
d)c)の第三の複合体を検出する;
ことを特徴とする、試料中の生物学的マーカーを検出する方法を提供する。
【0014】
特定の態様において、本発明は、
a)少なくとも1つの一次マウス抗体が試料に結合し、第一の複合体を形成するように、試料を少なくとも1つの一次マウス抗体と接触させ;
b)少なくとも1つのウサギ抗体がa)の複合体に結合し、第二の複合体を形成するように、a)の第一の複合体を、マウス抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含む少なくとも1つのウサギ抗体と接触させ;
c)少なくとも1つの三次抗体がb)の第二の複合体に結合し、第三の複合体を形成するように、b)の第二の複合体を、
i)デキストランポリマーに連結された少なくとも1つの三次ヤギ抗体と接触させ、この少なくとも1つの三次ヤギ抗体はウサギ抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み;
ここに、少なくとも1つのホースラディッシュペルオキシダーゼ分子が、
1)少なくとも1つの三次抗体;
2)少なくとも1つの第二のポリマー;および
3)少なくとも1つの三次抗体および少なくとも1つの第二のポリマーの双方;
のうちの少なくとも1つに連結され;次いで、
d)c)の第三の複合体を検出する;
ことを特徴とする、試料中の生物学的マーカーを検出する方法を提供する。
【0015】
特定の態様において、本発明は、
a)少なくとも1つの一次マウス抗体が試料と結合し、第一の複合体を形成するように、試料を少なくとも1つの一次マウス抗体と接触させ;
b)少なくとも1つの二次抗体がa)の複合体に結合し、第二の複合体を形成するように、a)を第一のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの二次ウサギ抗体と接触させ、この少なくとも1つの二次ウサギ抗体はマウス抗体と特異的に反応する抗原結合ドメインを含み、ここに、所望により、第一のデキストランポリマーは少なくとも1つのホースラディッシュペルオキシダーゼ分子に連結されるか、あるいは少なくとも1つの二次ウサギ抗体は少なくとも1つのホースラディッシュペルオキシダーゼ分子に連結されるか、あるいは第一のデキストランポリマーおよび少なくとも1つの二次ウサギ抗体の双方は、各々、少なくとも1つのホースラディッシュペルオキシダーゼ分子に連結され;
c)三次抗体がb)の第二の複合体に結合し、第三の複合体を形成するように、b)の第二の複合体を、
i)第二のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの第一の三次ヤギ抗体、この少なくとも1つの第一の三次ヤギ抗体はウサギ抗体と特異的に反応する抗原結合ドメインを含み;および
ii)第三のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの第二の三次ヤギ抗体、この少なくとも1つの第二の三次ヤギ抗体はマウス抗体と特異的に反応する抗原結合ドメインを含み;
と接触させ、
ここに、少なくとも1つのホースラディッシュペルオキシダーゼ分子が、
1)いずれかの少なくとも1つの三次抗体;
2)第二のデキストランポリマー;
3)第三のデキストランポリマー;
4)第二のデキストランポリマーおよび第三のデキストラン分子の双方;および
5)いずれかの少なくとも1つの三次抗体、ならびに第二のデキストラン分子および第三のデキストラン分子の双方;
のうちの少なくとも1つに連結され;次いで、
d)c)の第三の複合体を検出する;
ことを特徴とする、試料中の生物学的マーカーを検出する方法を提供する。
【0016】
特定の態様において、本発明は、
a)少なくとも1つの一次抗体が試料に結合し、第一の複合体を形成するように、試料を、マウス抗体およびウサギ抗体から選択される少なくとも1つの一次抗体と接触させ;
b)少なくとも1つの二次抗体がa)の複合体に結合し、第二の複合体を形成するように、a)の複合体を、
i)第一のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの第一の二次ヤギ抗体、この第一の二次ヤギ抗体はマウス抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み;
ii)第二のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの第二の二次ヤギ抗体、この第二の二次ヤギ抗体はウサギ抗体に特異的に結合する抗原結合ドメイン;
と接触させ、
ここに、少なくとも1つのハプテン分子が、
1)少なくとも1つの二次ヤギ抗体;
2)第一および第二のデキストラン分子の少なくとも1つ;および
3)少なくとも1つの二次ヤギ抗体、ならびに第一および第二のデキストラン分子の少なくとも1つ;
のうちの少なくとも1つに連結され;
c)三次抗体がb)の第二の複合体に結合し、第三の複合体を形成するように、b)の第二の複合体を、
i)第三のデキストランポリマーに連結されたウサギ抗体、マウス抗体、ラット抗体、ブタ抗体およびヤギ抗体から選択される少なくとも1つの三次抗体と接触させ、この少なくとも1つの三次抗体はb)の少なくとも1つのハプテン分子と特異的に反応する抗原結合ドメインを含み;
ここに、少なくとも1つのホースラディッシュペルオキシダーゼ分子が、
1)三次抗体;
2)少なくとも1つの第三のポリマー;および
3)三次抗体および少なくとも1つの第三のポリマーの双方;
のうちの少なくとも1つに連結され;および
d)c)の第三の複合体を検出する;
ことを特徴とする、試料中の生物学的マーカーを検出する方法を提供する。
【0017】
1つの態様において、本発明は、
a)少なくとも1つの一次抗体;
b)所望により第一のポリマーに連結された少なくとも1つの二次抗体、この少なくとも1つの二次抗体は一次抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み;および
c)少なくとも1つの第二のポリマーに連結された少なくとも1つの三次抗体
を含み、
ここに、検出可能な剤が、
i)少なくとも1つの三次抗体;
ii)少なくとも1つの第二のポリマー;および
iii)三次抗体および少なくとも1つの第二のポリマー;
のうちの少なくとも1つに連結されたことを特徴とする組成物を提供する。
【0018】
本発明ではまた、結合剤、例えば、後記図1A〜1Lに記載され、記載された抗体およびポリマーを含む組成物が考えられる。
【0019】
これまでの一般的記載および以下の詳細な記載の双方は例示であって、単に説明的であり、特許請求する発明を限定するものではないと理解されるべきである。
【0020】
(態様の記載)
A.定義
本明細書中で用いる場合、抗体は免疫グロブリンまたはその部分を意味し、源にかかわらず抗原−結合部位を含むいずれものポリペプチド、生産方法、および他の特徴を含む。この用語は、例えば、ポリクローナル、モノクローナル、単一特異的、多特異的、ヒト化、一本鎖、キメラ、合成、組換え、ハイブリッド、突然変異した、CDR−移植抗体を含む。抗体の一部は依然として抗原に結合できるいずれもの断片、例えば、Fab、F(ab’)2、Fv、scFvを含むことができる。抗体の起源は、生産方法にかかわらずゲノム配列によって規定される。
【0021】
本明細書中で用いる場合、生物学的マーカーとは、生体試料に存在するいずれの分子もいう。このマーカーは糖タンパク質またはリポタンパク質、リンタンパク質、メチル化タンパク質、またはタンパク質断片、例えば、ペプチドまたはポリペプチドを含めたタンパク質、核酸、例えば、DNA、RNA、脂質、糖脂質、糖、多糖、デンプンなどが挙げられる。このマーカーは生体試料の表面に発現され得、例えば、膜結合のものである。このマーカーは生体試料の内部に、すなわち、細胞膜内に、例えば、細胞質内に、核内に、細胞内区画またはオルガネラ内に含まれ得る。
【0022】
本明細書中で用いる場合、第一の結合剤とは、試料中の生物学的マーカーに特異的に結合する第一の分子、例えば、一次抗体、核酸プローブ、リガンドまたは受容体をいう。
【0023】
本明細書中で用いる場合、第二の結合剤とは、第一の結合剤に特異的に結合する第二の分子、例えば、二次抗体、MHC分子、c1q分子、少なくとも1つのロイシンジッパードメイン、fos/junなどを有する分子をいう。
【0024】
本明細書中で用いる場合、第三の結合剤とは、第二の結合剤に特異的に結合する第三の分子、例えば、三次抗体、MHC分子、c1q分子、少なくとも1つのロイシンジッパードメイン、fos/junなどを有する分子、またはハプテン分子、例えば、FITC、ビオチン、ストレプアビジン、アビジン、mycタグをいう。
【0025】
本明細書中で用いる場合、デュアル連結結合剤とは、その各々が同一またはそれ自身のポリマーに連結していない、または連結した、あるいはその各々がポリマー骨格の付加無くして誘導体化され、かつ重合された、およびその各々が、異なる第一の結合剤、例えば、一次抗体に特異的に結合する少なくとも2つの第二の結合剤をいう。デュアル連結結合剤の例は、第一のポリマー骨格に共役したヤギ抗マウス抗体を含むポリマー共役、および第一または第二のポリマー骨格に共役したヤギ抗ウサギ抗体を含むポリマー共役を含む。
【0026】
本明細書中で用いる場合、ハプテンとは、大きな分子に連結でき、かつ抗体のような第二の分子に特異的に結合することができる分子をいう。ハプテンの例としては、FITC、DNP、myc、ジゴキシゲニン、ニトロチロシンビオチン、アビジン、ストレプトアビジン(strepavidin)および、例えば、テトラメチルローダミン、テキサスレッド、ダンシル、アレキサフルオル488、BODIPY FL、ルシフェールイエローおよびアレキサフルオル405/カスケードブルーフルオロフォアに対する抗−色素抗体が挙げられる。
【0027】
本明細書中で用いる場合、一次抗体とは、生体試料内に存在する注目する生物学的マーカーに特異的に結合する抗体をいう。特定の態様において、一次抗体は重合させることができる。一次抗体はいずれの温血種、例えば、哺乳動物、鳥類からの由来のものであってもよい。
【0028】
本明細書中で用いる場合、試料とはいずれかの生体、例えば、動物、植物、細菌に由来する試料をいう。それは真核生物細胞または原核生物細胞よりなるものであってよい。それは器官に由来する組織検体よりなるものであってよい。それは細胞試料、例えば、細胞スミアよりなるものであってよい。それはウイルス粒子、またはその部分、例えば、核酸、タンパク質、ペプチドを含むこともできる。ウイルス粒子は遊離ウイルス粒子であってよく、すなわち、いずれかの他の分子と会合しておらず、あるいはそれは前述したいずれかの生体試料と会合していてもよい。
【0029】
本明細書中で用いる場合、二次抗体とは、第一の結合剤、例えば、一次抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを有する抗体をいう。
【0030】
本明細書中で用いる場合、三次抗体とは、第二の結合剤(例えば、二次抗体)に特異的に結合する抗原結合ドメイン、または第二の結合剤に連結したハプテン、または第二の結合剤と共役高分子に連結されたハプテンを有する抗体をいう。
【0031】
時々、抗体は二次および三次抗体双方として機能することができる。
【0032】
B.共役高分子
特定の態様において、本発明は、試料中の生物学的マーカーの検出で有用な組成物を提供する。この組成物は共役高分子、例えば、ポリマー骨格と共役した抗体のような結合剤を含むことができる。この組成物は重合された結合剤、例えば、ポリマー骨格の付加無くして重合された誘導体化された結合剤を含むことができる。いくつかの態様において、共役高分子は二次抗体およびポリマー、および任意に、検出可能な物質よりなることができる。検出可能な物質はこのポリマーまたはこの二次抗体、あるいはこのポリマーおよびこの二次抗体の双方に連結することができる。いくつかの態様において、共役高分子は二次抗体およびポリマー、およびハプテンを含む。このハプテンはこのポリマーまたはこの二次抗体、あるいはこのポリマーおよびこの二次抗体双方に連結することができる。特定の態様において、共役高分子は1000万ダルトン未満の分子量を有する。他の態様において、共役高分子は200万ダルトン未満の分子量を有する。
【0033】
いくつかの態様において、共役高分子は第三の結合剤、例えば、三次抗体よりなる。第三の結合剤はポリマー骨格に共役されていてよい。第三の結合剤はポリマー骨格の付加無くして誘導体化し、重合されたものであってよい。また、第三の結合剤は検出可能な物質を含むこともできる。検出可能な物質はこのポリマーまたはこの第三の結合剤、またはこのポリマーおよびこの第三の結合剤双方に連結させることができる。
【0034】
1.ポリマー類
ポリマーは可溶性分子または不溶性分子であってよい。ポリマーは、構築体の有利な特性、例えば、試料中の生物学的マーカーを検出する能力を供しつつ、タンパク質、結合体またはハプテン、生物活性化合物、および検出可能な物質の付着を容易とするいずれの分子であってもよい。好適なポリマーの例はデキストラン、カルボキシメチルデキストラン、デキストランポリアルデヒド、カルボキシメチルデキストランラクトン、およびシクロデキストリンのような多糖類;プルラン、シゾフィラン、スクレログルカン、キサンタン、ゲラン、O−エチルアミノグアラン、6−O−カルボキシメチルキチンおよびN−カルボキシメチルキトサンのようなキチン類およびキトサン類;カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、6−アミノ−6−デオキシセルロースおよびO−エチルアミンセルロースのような誘導化されたセルロース類;ヒドロキシル化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、カラギナン、アルギナート、およびアガロース;フィコールおよびカルボキシメチル化フィコールのような合成多糖類;ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリルエステル)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(エチル−コ−ビニルアセテート)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルクロロアセテート)、アミン化ポリ(ビニルアルコール)、およびそれらのコブロックポリマーを含めたビニルポリマー類;分岐したPAMAM−デンドリマーを含めた、線状、くし形の、または超分岐ポリマーおよびデンドリマーを含めたポリマー骨格を含有するポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコールまたはポリ(エチレンオキサイド−コ−プロピレンオキサイド);ポリリシン、ポリグルタミン酸、ポリウレタン、ポリ(エチレンイミン)、プルリオールを含めたポリアミノ酸;アルブミン、免疫グロブリン、およびウイルス様タンパク質(VLP)を含めたタンパク質、およびポリヌクレオチド、DNA、PNA、LNA、オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチドデンドリマー構築体を含む。また、考えられるのは、混合されたポリマー、すなわち、このポリマー類、このコ−ブロックポリマーランダムコ−ポリマー類のいずれかを含めた前述の例の1つ以上よりなるポリマー類の使用である。
【0035】
ポリマーの選択は、例えば、タンパク質構築体の適用に依存する。勿論、性能を最適化するための所望の適用に応じて、ポリマー特性を変化させることができる。これらのパラメーターの例はポリマーの長さおよびポリマーの分岐を含む。さらに、ポリマーは種々の置換基を運ぶことができる。置換基は化学的に保護し、および/または活性化することができ、ポリマーがさらに誘導体化されるのを可能とする。
【0036】
2.検出可能な物質
検出可能な物質は直接的にまたは間接的に検出することができるいずれの分子も含むことができる。直接的検出においては、1つのみの検出可能な物質、すなわち、一次検出可能物質が用いられる。したがって、直接的検出は、検出可能な物質が第二の分子の付加の必要性無くしてそれ自体で検出できることを意味する。直接的に検出することができる一次検出可能物質の例は蛍光色素および放射性物質および金属粒子を含む。対照的に、間接的検出は1つ以上のさらなる分子、すなわち、二次検出可能物質の適用を、一次検出可能物質の適用後に必要とする。したがって、検出は、一次検出可能物質への二次検出可能物質の結合の検出によって行われる。二次検出可能物質の付加を必要とする一次検出可能物質の例は酵素検出可能物質およびハプテン検出可能物質を含む。
【0037】
いくつかの態様において、検出可能物質は少なくとも1つのポリマーに共役される。このポリマーは少なくとも1つの第一の結合剤、すなわち、一次抗体に結合するであろう剤、例えば、二次抗体、MHC分子と共役することができる。ポリマーは第二の結合剤、すなわち、第二の結合剤またはハプテンを結合するであろう剤と共役させることができる。いくつかの態様において、1〜500の検出可能な物質の分子が各ポリマー分子に連結される。いくつかの態様において、検出可能な物質は酵素であって、各ポリマー分子に連結した酵素分子の数は1〜200、2〜50、2〜25である。いくつかの態様において、検出可能な物質は金粒子、色素、低分子量蛍光色素であり、各ポリマー分子に連結した検出可能な物質の数は1〜500、2〜200である。いくつかの態様において、検出可能な物質はタンパク質蛍光色素であって、各ポリマー分子に連結した検出可能な物質の数は1〜50、2〜20である。いくつかの態様において、各ポリマーに連結した検出可能な物質分子の数は1〜200、2〜50、2〜25である。いくつかの態様において、検出可能な物質はさらに好適なリンカーを介して付着することができる。多くのそのようなリンカーは当該分野で知られている。その例はポリエチレングリコールおよびポリアミドを含む。
【0038】
本発明で用いることができる検出可能物質の例には、蛍光標識、酵素標識、放射性同位体、化学ルミネセント標識、電気化学発光標識、生物ルミネセント標識、ポリマー、ポリマー粒子、金属粒子、ハプテン、抗体および色素が挙げられる。
【0039】
本発明で用いることができる蛍光標識の例は5−(および6)−カルボキシフルオレセイン、5−または6−カルボキシフルオレセイン、6−(フルオレセイン)−5−(および6)−カルボキサミドヘキサン酸、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、テトラメチルローダミン、Cy2、Cy3およびCy5のような色素、AMCA、PerCPを含めた任意により置換されていてもよいクマリン、R−フィコエリトリン(RPE)およびアロフィコエリトリン(APC)を含めたフィコビリタンパク質、テキサスレッド、プリンセトンレッド、緑色蛍光タンパク質(GFP)およびその類似体、およびR−フィコエリスリンまたはアロフィコエリスリンの共役、コートされたCdSeナノクリスタライトのような半導体材料に基づく粒子のような無機蛍光標識を含む。
【0040】
本発明で用いることができるポリマー粒子標識の例には、蛍光色素で包埋することができるポリスチレン、PMMAまたはシリカのミクロ粒子またはラテックス粒子、または色素、酵素または基質を含有するポリマーミセルまたはカプセルが挙げられる。
【0041】
本発明で用いることができる金属粒子標識の例には、銀染料によって変換することができる金粒子および被覆された金粒子が挙げられる。
【0042】
本発明で用いることができるハプテンの例にはDNP、フルオレセインイソチアシアネート(FITC)、ビオチンおよびジゴキシギニンが挙げられる。
【0043】
本発明で用いることができる酵素標識の例には、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリ性ホスファターゼ(ALPまたはAP)、ベータ−ガラクトシダーゼ(GAL)、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ベータ−N−アセチルグルコサミニダーゼ、β−グルクロニダーゼ、インベルターゼ、キサンチンオキシダーゼ、ホタルルシフェラーゼおよびグルコースオキシダーゼ(GO)が挙げられる。
【0044】
ホースラディッシュペルオキシダーゼに対する通常に使用される基質の例には、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)、ニッケルで増強されるジアミノベンジジン、3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)、ベンジジン二塩酸塩(BDHC)、Hanker−Yates試薬(HYR)、ヨードファンブルー(IB)、テトラメチルベンジジン(TMB)、4−クロロ−1−ナフトール(CN)、α−ナフトールピロミン(α−NP)、o−ジアニシジン(OD)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルホスフェート(BCIP)、ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、2−(p−ヨードフェニル)−3−p−ニトロフェニル−5−フェニルテトラゾリウムクロライド(INT)、テトラニトロブルーテトラゾリウム(TNBT)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシル−ベータ−D−ガラクトシド/フェロ−フェリシアナイド(BCIG/FF)が挙げられる。
【0045】
アルカリ性ホスファターゼに対する通常に使用される基質の例には、ナフトール−AS−B1−ホスフェート/ファストレッドTR(NABP/FR)、ナフトール−AS−MX−ホスフェート/ファストレッドTR(NAMB/FR)、ナフトール−AS−B1−ホスフェート/ファストレッドTR(NABP/FR)、ナフトール−AS−MX−ホスフェート/ファストレッドTR(NAMP/FR)、ナフトール−AS−B1−ホスフェート/ニューフクシン(NABP/NF)、ブロモクロロインドリルホスフェート/ニトロブルーテトラゾリウム(BCIP/NBT)、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−b−d−ガラクトピラノシド(BCIG)が挙げられる。
【0046】
本発明で用いることができるルミネセント標識の例には、ルミノール、イソルミノール、アクリジニウムエステル、1,2−ジオキセタンおよびピリドピリダジンが挙げられる。電気化学発光標識の例はルテニウム誘導体を含む。
【0047】
本発明で用いることができる放射性標識の例はヨウ素、コバルト、セレン、トリチウム、炭素、硫黄およびリン(Phosphorous)の放射性同位体を含む。
【0048】
検出可能物質は注目する生物学的マーカーに特異的に結合するいずれかの分子、例えば、抗体、核酸プローブ、または注目する生物学的マーカーに特異的に結合するいずれかの分子に共役高分子に連結されていてよい。
【0049】
3.結合剤
特定の態様において、本発明は3つのタイプの結合剤:第一の結合剤、第二の結合剤および第三の結合剤を提供する。第一の結合剤を用いて試料と接触させる。それは試料に含まれる注目する生物学的マーカーに特異的に結合するであろういずれかの分子よりなることができる。いくつかの態様において、第一の結合剤は抗体、すなわち、一次抗体である。当業者であれば、多数の生物学的マーカーを認識する抗体が商業的に入手可能であることを認識するであろう(例えば、DakoCytomationの一般的な製品カタログ、DakoCytomation, Carpinteria, CA参照)。また、当業者であれば、特異的抗原結合部位を持つ抗体を作成する方法が当該分野で知られていることも認識するであろう。これらの方法はセクション4にて後に記載する。いくつかの態様において、第一の結合剤は核酸プローブである。核酸プローブを作成する方法はセクション5において後に記載される。
【0050】
第二の結合剤は第一の結合剤に結合するいずれの分子であってもよい。第二の結合剤は二次抗体を含むことができる。二次抗体は、第一の結合剤、例えば、一次抗体の定常領域に特異的に結合する抗原結合ドメインを有することができる。第二の結合剤は抗体定常領域に結合することができる補体カスケードの補填的経路におけるc1qタンパク質、MHC分子、例えば、MHCクラスIおよびMHCクラスIIおよび非慣用的MHC、ロイシンジッパードメイン、例えば、fos/jun、myc、GCN4を有する分子のような細胞シグナリング経路に関与する分子、SrcまたはGrb−2のようなSH1またはSH2ドメインを有する分子のような特異的結合パートナーを有する分子を含むことができる。第二の結合剤は免疫グロブリン受容体、例えば、Fc受容体であってよい。第二の結合剤はキメラタンパク質、すなわち、2つ以上の特異的結合パートナーの特徴を組み合わせるように作成されたタンパク質よりなるものであってよく、例えば、ロイシンジッパーは抗体のFc領域に作成することができ、SH2ドメインは抗体のFc領域に発現するよう作成することができる。他の態様において、融合タンパク質は、置換された可変ドメインを持つ抗体のFc部分を含むように作成することができる(例えば、米国特許第5,843,725号参照)。
【0051】
第二の結合剤はハプテンを含むこともできる。ハプテンは第二の結合剤に連結させることができる。ハプテンは小さな分子であってよく、したがって、多数のコピーが単一の第二の結合剤分子に付着するのを可能とする。ハプテンは第三の結合剤に対する便宜な標的分子を提供する。結合した多数コピーは、増強された感度、例えば、増強されたシグナル強度を提供する。好適なハプテンの例はFITC、DNP、mycジゴキシゲニン、ニトロチロシンビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、および、例えば、テトラメチルローダミン、テキサスレッド、ダンシル、アレキサフルオル488、BODIPY FL、ルシフェールイエローおよびアレキサフルオル405/カスケードブルーフルオロフォアに対する抗−色素抗体を含む。
【0052】
第三の結合剤は第二の結合剤に結合するいずれの分子であってもよい。第三の結合剤は三次抗体を含むことができる。三次抗体は第二の結合剤、例えば、二次抗体の定常領域に特異的に結合する抗原結合ドメインを有することができる。第二の結合剤に特異的に結合する限り、第三の結合剤は第二の結合剤に対する前述した特異的結合パートナーのいずれかよりなるものであってよい。また、それはキメラタンパク質および融合タンパク質を含むことができる。
【0053】
特定の態様において、前述した結合剤と同様なさらなる第4および第5などの結合剤を含むことができる。第4および第5の結合剤は、特定の態様においては、ポリマーに連結させることができるか、あるいは重合可能なそれ自体であってよい。いくつかの態様において、第四および/または第五の結合剤は抗体よりなるものであってよい。
【0054】
4.抗体
一次抗体、二次抗体および三次抗体を含めた本発明で用いられる抗体はいずれの哺乳動物種、例えば、ラット、マウス、ヤギ、モルモット、ロバ、ウサギ、ウマ、ラマ、ラクダ、またはいずれの鳥類種、例えば、ニワトリ、アヒルに由来するものであってもよい。本明細書中で用いる際、いずれかの哺乳動物または鳥類種に由来するとは、特定の抗体をコードする核酸配列の少なくとも一部が具体的な哺乳動物、例えば、ラット、マウス、ヤギ、またはウサギ、または具体的な鳥類、例えば、ニワトリ、アヒルのゲノム配列に由来したことを意味する。抗体はいずれのイソタイプ、例えば、IgG、IgM、IgA、IgD、IgEまたはいずれかのサブクラス、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4のものであってもよい。
【0055】
特定の態様において、一次抗体は、生体試料を含む細胞によって発現された生物学的マーカーに特異的に結合することができる抗原結合領域を含有する。マーカーは細胞表面に、または細胞膜内に、すなわち、細胞の内部に、例えば、細胞質内に、核内に、小胞体内に発現され得る。いくつかの態様において、生物学的マーカーは細胞から分泌され、したがって、溶液中に、例えば、細胞培養基中で、血液または血漿中に存在する。
【0056】
特定の態様において、二次抗体は、一次抗体、例えば、一次抗体の定常領域に特異的に結合する抗原結合領域を含む。特定の態様において、二次抗体はポリマーに共役される。いくつかの態様において、ポリマーは2〜20の二次抗体に共役される。他の態様において、ポリマーは2〜10の二次抗体と共役される。
【0057】
特定の態様において、三次抗体は二次抗体、例えば、二次抗体の定常領域、二次抗体に連結されたハプテン、または二次抗体に共役高分子に特異的に結合する抗原結合領域を含有する。特定の態様において、三次抗体はポリマーに共役される。いくつかの態様において、ポリマーは1〜20の三次抗体に共役される。他の態様において、ポリマーは1〜5の三次抗体に共役される。
【0058】
本発明の方法および組成物で用いることができる抗体はモノクローナルおよびポリクローナル抗体、ファージディスプレイまたは別の技術を用いて生産されたキメラ、CDR−移植および人工的に選択された抗体を含めた作成された抗体を含む。
【0059】
抗体を生産するための種々の技術が記載されており、例えば、ここに引用して援用するKohler and Milstein, (1975) Nature 256:495; Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, (1988)(Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, NY)を参照のこと。組換え抗体分子の調製のための技術は前記文献に記載されており、また、例えば、EP 0623679; EP 0368684;およびEP 0436597にも記載されている。
【0060】
抗体は組換えによりまたは合成により生産することができる。抗体をコードする核酸をcDNAライブラリーから単離することができる。抗体をコードする核酸はファージライブラリーから単離することができる(例えば、McCaffertyら、1990, Nature 348: 552, Kangら、1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 4363; EP 0 589 877 B1参照)。抗体をコードする核酸は公知の配列の遺伝子シャフリングによって得ることができる(Markら、1992, Bio/Technol. 10: 779)。抗体をコードする核酸はインビトロ組換えによって単離することができる(Waterhouseら、1993, Nucl. Acid. Res. 21: 2265)。本発明の方法および組成物で用いる抗体はヒト化免疫グロブリンを含む(米国特許第5,585,089号、Jonesら、1986, Nature 332: 323)。
【0061】
抗体は、トキシンまたは標識、例えば、検出可能な物質のようなエフェクタータンパク質を含む改変された抗体であってよい。
【0062】
抗体は動物血清から得ることができるか、あるいはモノクローナル抗体またはその断片の場合には、細胞培養で生産することができる。組換えDNA技術を用いて、確立された手法に従って、細菌、酵母、昆虫または哺乳動物細胞培養において抗体を生産することができる。特定の態様においては、選択された細胞培養系は、好ましくは、抗体産物を分泌する。
【0063】
インビトロでのハイブリドーマ細胞または哺乳動物宿主細胞の成長は好適な培養基、例えば、所望により、哺乳動物血清、例えば、胎児ウシ血清、または微量元素および成長維持補足物を補充したダルベッコの修飾イーグル培地(DMEM)またはRPMI 1640培地で行うことができる。いくつかの態様において、正常マウス腹膜滲出物細胞、脾臓細胞、骨髄マクロファージのようなフィーダー細胞を用いて培養における細胞成長を増強させることができる。2−アミノエタノール、インスリン、トランスフェリン、低密度リポタンパク質、オレイン酸を含めた添加剤を用いて細胞成長を増強することもできる。
【0064】
細菌細胞または酵母細胞は、例えば、当該分野で知られた好適な培養基中で増殖させる。細菌培地の例はLB、NZCYM、NZYM、NZM、テリフィックブロス、SOB、SOC、2×YT、またはM9最少培地を含む(本明細書中に引用して援用する)(Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)参照)。酵母を増殖させるのに適した培地の例はYPD、YEPD、最少培地、または完全最少Dropout培地(前出)を含む。
【0065】
組換えにより生産された抗体をクローン化し、昆虫細胞で発現させることができる。昆虫細胞は、細菌または酵母発現系と比較した場合、正しく折畳まれ、かつ、生物活性抗体を得る高い可能性を提供する。昆虫細胞は無血清培地中で培養することができる。組換えバキュロウイルスを発現ベクターとして用いることができ、この構築体を用いて、Spodoptera frugiperda Sf9を含めた、多数の鱗翅目細胞系のいずれかであってよい宿主細胞系をトランスフェクトすることができる(例えば、Altmannら、(1999), Glycoconj J 1999, 16: 109 Kost and Condreay (1999), Curr Opin Biotechnol, 10: 428参照)。
【0066】
当業者であれば、本発明で用いるために、組換えにより、または他の手段によって生産された抗体は依然として抗原に結合することができるいずれの抗体断片、例えば、Fab、F(ab)2、Fv、scFvも含むことを認識するであろう。特定の態様においては、抗体、または抗体断片は、ハプテン、例えば、ペプチドを含むように組換えにより作製することができる。特定の態様において、ハプテンはmycタグであり得る。抗体または抗体断片をハプテンに含めると、結合剤、例えば、二次抗体、三次抗体、または特異的結合パターンのハプテンの引き続いての結合を容易とする。図1Jは本発明の1つの態様を示し、そこでは、mycタグを用いて生物学的マーカーを検出する。myc特異的抗体はこの態様で用いることができる。myc特異的抗体は、例えば、抗−mycクローン9E10および4A6は当該分野で知られている。
【0067】
インビトロ生産は相対的に純粋な抗体調製物を提供し、所望の抗体を多量に得るためのスケールアップを可能とする。細菌細胞、酵母、昆虫および哺乳動物細胞の培養のための技術は当該分野で知られており、例えば、エアリフト反応器における、または連続攪拌反応器における均一懸濁培養、または例えば、中空繊維、マイクロカプセルにおける、アガロースマイクロビーズまたはセラミックカートリッジ上での固定化されたまたは捕捉された細胞培養を含む。
【0068】
また、インビボにて抗体産生哺乳動物細胞を増殖させることによって、所望の抗体を多量に得ることもできる。この目的では、所望の抗体を生産することができる。ハイブリドーマ細胞を組織適合性哺乳動物、例えば、マウスに注射して、抗体産生腫瘍の成長を引き起こす。所望により、動物は、まず、鉱油のような炭化水素でプライムする。鉱油の例には、プリスタン(テトラメチルペンタデカン)が挙げられる。1〜3週間後に、それらの哺乳動物の体液から抗体を単離する。例えば、好適な骨髄腫細胞とBalb/cマウスからの抗体産生脾臓細胞との融合によって得られたハイブリドーマ細胞、所望の抗体を生産するハイブリドーマ細胞系Sp2/0に由来するトランスフェクトされた細胞を、所望により、プリスタンで予備処理されていてもよいBalb/cマウスに腹腔内注射することができ、1〜2週間後に、腹水液を動物から採取する。
【0069】
抗体の単離では、培養上清または腹水液中の抗体を、例えば、硫酸アンモニウムでの沈殿によって、ポリエチレングリコールのような吸湿性物質に対する透析によって、または選択的膜を通す濾過によって濃縮することができる。もし必要および/または所望であれば、抗体は慣用的なクロマトグラフィー方法、例えば、ゲル濾過、イオン−交換クロマトグラフィー、DEAE−セルロース上のクロマトグラフィーおよび/または免疫アフィニティクロマトグラフィー、例えば、抗体の抗原結合ドメインに特異的に結合するタンパク質を含有するカラムまたは他の固体支持体上の、またはプロテイン−Aを含有するカラムまたは固体支持体上のアフィニティクロマトグラフィーによって精製することができる。
【0070】
細胞培養上清は、所望の標的を発現する細胞の免疫蛍光染色によって、免疫ブロッティングによって、酵素免疫アッセイ、例えば、サンドイッチアッセイまたはドット−アッセイ、あるいはラジオイムノアッセイによって、所望の抗体につきスクリーニングすることができる。
【0071】
5.核酸プローブ
第一の結合剤は、インサイチュハイブリダイゼーションで用いるための、核酸プローブ、例えば、DNA分子、RNA分子を含むことができる。核酸プローブは化学的に合成することができるか、または細胞において組換えによる生産することができる(例えば、Sambrookら、(1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第二版, Cold Spring Harbor Press)。いくつかの態様において、プローブはペプチド核酸(PNA)よりなる。ペプチド核酸は、通常はDNAおよびRNAに存在するデオキシリボースまたはリボース糖骨格がペプチド骨格に置き換えられた核酸分子である。PNAを作製する方法は当該分野で知られている(本明細書で参照として引用する)(例えば、Nielson, 2001, Current Opinion in Biotechnology 12:16参照)。他の態様においては、プローブはロックされた核酸(LNA)よりなる(Sorensonら、2003, Chem. Commum. 7(17):2130)。いくつかの態様において、核酸プローブは生物学的マーカー、例えば、生体試料内に含まれる核酸分子に特異的に結合する。
【0072】
核酸プローブは、特別な態様においては、生体試料中の配列に特異的にハイブリダイズする配列を少なくとも含む。いくつかの態様において、核酸プローブは試料中の標的配列、例えば、ゲノムDNA配列またはmRNA配列のような核酸配列に、ストリンジェンシーの特別な条件下でハイブリダイズする。本明細書中で用いる際、用語「ストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーション」は、相互に有意に相補的なヌクレオチド配列が相互に結合したままであるハイブリダイゼーションおよび洗浄についての条件を記載することを意図する。この条件は、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85〜90%相補性の配列が相互に依然として結合したままであるようなものである。パーセント相補性は(本明細書で参照として引用する)Altschul ら(1997) Nucleic Acids 25:3389−3402に記載されているように決定される。
【0073】
ストリンジェンシーの具体的な条件は当該分野で知られており、(本明細書で参照として引用する)Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc.(Ausbelら、1995編)、セクション2、4および6に見出すことができる。加えて、具体的なストリンジェントな条件は(本明細書で参照として引用する)Sambrookら、(1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第二版, Cold Spring Harbor Press, 7、9および11章に記載されている。いくつかの態様においては、ハイブリダイゼーション条件は高ストリンジェンシー条件である。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の例は65〜70℃における4×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)におけるハイブリダイゼーション、または42〜50℃における4×SSC+50%ホルムアミドにおけるハイブリダイゼーション、続く、65〜70℃における1×SSCにおける1回以上の洗浄である。さらなる試薬、例えば、ブロッキング剤(BSAまたはサケ精子DNA)、洗剤(SDS)、キレート化剤(EDTA)、Ficoll、PVPなどをハイブリダイゼーションおよび/または洗浄緩衝液に加えることができる。
【0074】
いくつかの態様において、核酸プローブは、中程度にストリンジェントな条件下で試料中の標的配列にハイブリダイズする。本明細書中で用いる際、中程度のストリンジェンシーは、例えば、DNAの長さに基づいて当業者によって容易に決定できる条件を含む。例示的な条件は(本明細書で参照として引用する)Sombrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第二版 Vol. 1, pp. 1.101−104, Cold Spring Harbor Press (1989)によって記載されており、5×SSC、0.5% SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)のプレ洗浄条件、42℃における50%ホルムアミド、6×SSC(42℃における50%ホルムアミド中のシュタルク溶液のような他の同様なハイブリダイゼーション溶液)のハイブリダイゼーション条件、および60℃、0.5×SSC、0.1% SDSの洗浄条件の使用を含む。
【0075】
いくつかの態様において、核酸プローブは低ストリンジェント条件下で試料中の標的配列にハイブリダイズする。本明細書中で用いる際、低ストリンジェンシー条件は、例えば、DNAの長さに基づいて当業者によって容易に決定できる条件を含むことができる。低ストリンジェンシーは、例えば、35%ホルムアミド、5×SSC、50mMトリス−HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.1%PVP、0.1%Ficoll、1%BSA、および500μg/ml変性サケ精子DNAを含有する溶液中で40℃で6時間DNAを予備処理することを含むことができる。ハイブリダイゼーションは以下の修飾を施して同一溶液中で行われる:0.02%PVP、0.02%Ficoll、0.2%BSA、100μg/mlサケ精子DNA、10%(wt/vol)デキストラン硫酸、および5〜20×106CPMプローブを用いる。試料をハイブリダイゼーション混合物中で40℃にて18〜20時間インキュベートし、次いで、2×SSC、25mMトリス−HCl(pH7.4)、5mM EDTA、および0.1%SDSを含有する溶液中で55℃にて1.5時間洗浄する。洗浄溶液を新鮮な溶液で置き換え、60℃にてさらに1.5時間インキュベートする。
【0076】
6.ポリマーコンジュゲートを作製する方法
ポリマーコンジュゲートを形成する多くの方法が当該分野で知られており、本発明のポリマーコンジュゲートを作製するのに用いることができる。いくつかの態様において、結合剤、例えば、第一の結合剤、第二の結合剤、第三の結合剤および検出可能な物質を、所望により、ポリマー骨格に化学的に連結させることができるか、またはコンジュゲートさせることができる。いくつかの態様において、ポリマーコンジュゲートは、コンジュゲートされた二重結合へアミノ基を共有結合カップリングさせることによって形成される。ポリマーをビニルスルホンで活性化し、結合剤および検出可能物質と混合して、ポリマーコンジュゲートを形成することができる。他の態様において、アルデヒドを用いてポリマー骨格、例えば、デキストランを活性化し、次いで、これを結合剤および任意の検出可能物質と混合する。ポリマーコンジュゲートを調製する主な1つの方法は、成分を一緒にカップリングするための化学選択的カップリングスキームとよばれるものを用いることによるものであり、例えば、チオール修飾ポリマー担体または骨格へ共有結合カップリングされる前に、酵素または他の分子をチオール反応性マレイミド基で誘導体化することができる。以下に記載する他の態様は試薬それ自体がコンジュゲート、例えば、検出可能物質、結合剤を形成することを可能とする。
【0077】
いくつかの態様において、外因性ポリマー骨格は必要とされない。これらの態様において、結合剤および検出可能物質は、例えば、ビニル基で誘導体化される。重合はラジカルの添加によって起こり、その結果、ポリマーコンジュゲートを形成するためのビニル基の重合が起こる。したがって、コンジュゲートはポリビニル骨格またはポリビニルのブロックを含有するであろう。アクリル酸の活性なエステルを用いてタンパク質および他の分子を活性化することができる。フリーラジカルの発生は、誘導体化された分子を重合することができる。1を超えるビニル基を持つ小さな分子リンカーをさらに加えて、ポリマーコンジュゲートを形成するのに役立つことができる。
【0078】
いくつかの態様において、結合剤および検出可能な物質を架橋剤で誘導体化することができる。この方法の例には、グルタルジアルデヒド、ヘキサンジイソシアネート、ジメチルアピミデート、1,5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンのようなホモ二官能性架橋剤、例えば、N−ガンマ−マレイミドブチロロキシスクシンイミドエステルのようなヘテロ二官能性架橋剤、および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドのようなゼロ長架橋剤の使用が挙げられる。正しい反応条件を選択することによって、架橋剤は、例えば、検出可能物質および結合剤における種々の官能基の間にブリッジを形成して、ポリマーコンジュゲートを形成することができる。
【0079】
C.試料中の生物学的マーカーの検出方法
本発明は、試料を本発明の組成物と接触させることを含む、生体試料中の少なくとも1つの生物学的マーカーの検出方法に関する。この方法は免疫組織化学、免疫細胞化学、インサイチュハイブリダイゼーション、フローサイトメトリー、酵素免疫−アッセイ(EIA)、および酵素結合免疫−検定法(ELISA)を含めた種々の公知の検出フォーマットに検出することができる。
【0080】
多染色、すなわち、試料中のいくつかの生物学的マーカーの染色は重要である。組織化学において、対比染色および形態学的データと組み合わせたいくつかの位置決定により、調査者が、単一マーカー染色からのものよりもより価値のある情報を抽出するのを可能とする。本発明は、したがって、与えられた試料中の複数生物学的マーカー、例えば、2、3のマーカーの検出方法も提供し、したがって、複数のタンパク質、複数の遺伝子、または1つ以上のタンパク質および1つ以上の遺伝子の組合せの発現に関連するデータ、例えば、診断情報を得る方法を提供する。その例として、限定されるものではないが、HER2タンパク質およびHER2遺伝子を癌診断アッセイ、例えば、乳癌のためのアッセイにおいて同時にスクリーニングすることができる。もう1つの非限定的例は、例えば、頸癌を検出するための3つのマーカーについてのスクリーニングを含むことができる。このマーカーは、ヒトパピローマウイルスについての、Ki67/mib−1、ならびにマーカー、例えば、タンパク質または核酸と共に、細胞増殖マーカー、p16(INK4a)を含むことができる。もう1つの非限定的例は、前立腺癌に関連する複数マーカーについてのスクリーニングを含む。これらのマーカーはAMACR P504S、高分子量サイトケラチン(HMW−CK)、およびp63を含むことができる。マーカーのこの組合せのスクリーニングは、悪性なものから良性前立腺腫瘍を区別する方法を提供する。それは、前立腺腺癌および高グレードな上皮内新生物の検出も可能とする。
【0081】
例えば、複数マーカーを検出する場合、結合剤の間の交差反応性を最小化するのが望ましい。これは異なる種に由来する抗体を用いることによって達成することができる。そのようなシステムの例は図1Lに示され、そこでは、マウス抗体、二次ポリマーコンジュゲートヤギ抗−マウス抗体および三次ポリマーコンジュゲートウサギ抗−ヤギ抗体を用いて第一のタンパク質マーカーが検出される。検出可能物質はアルカリ性ホスファターゼである。第二のマーカー、この場合には、核酸は、ハプテン標識オリゴヌクレオチドプローブおよびポリマーコンジュゲートウサギ抗−ハプテン抗体およびポリマーコンジュゲートブタ抗−ウサギ抗体を用いて検出される。検出可能な物質はホースラディッシュペルオキシダーゼである。複数マーカーの染色は良性および悪性前立腺腫瘍を区別するのに特に有利であろう。したがって、前立腺腺癌および高グレードな前立腺上皮内新生物は複数マーカーでの染色によって同定することができる。好適なマーカーはAMACR P504S、高分子量サイトケラチン(HMW−CK)およびp63を含むことができる。
【0082】
例えば、抗体に対する二次抗体、およびハプテンの組合せを用いて異なる種の間の望まない交差反応性を最小化することができる。これは図1LおよびMに示されており、そこでは、本発明のシステムを用いてマーカーの間の望まない交差反応性は最小で、2つのマーカーが可視化されている。マウス抗体および他のマーカーはDNAマーカーに対するハプテン標識プローブによって第一のマーカーを可視化する。この図面は、さらに、本発明によるタンパク質および1つのマーカーを可視化する可能性を示す。
【0083】
蛍光色素を含めたいくつかの色素もまたハプテンとして機能できることは明らかなはずである。これはシグナルの直接的検出およびさらなる増強を共に可能とする。この増強は蛍光または色素産生染色を与えることができる。これは図1−M、SおよびTにおいて種々の組合せで示される。
【0084】
また、さらなる増幅層を加え、または1つのシグナルをもう1つのシグナルに変換するのは便利である。シグナルは、例えば、蛍光染色から色素産生染色に変化させることができよう。
【0085】
例えば、過剰な層を第一の層に加えることによって、シグナルを増強するためにコンジュゲートの組合せも考えられる。自動化された機器において、一般的な可視化システム、例えば、GARおよびGAMコンジュゲートおよびHRPを伴うEnvisionTMタイプのシステムの使用を可能とするであろう。もし標的が可視化するのが困難であるか、またはより強いシグナルが望まれるならば、第一の一般的可視化システムの頂部に1または2つ以上の層を加えることができる。これは、例えば、図1−N、R、SおよびTにおいていくつかのバージョンで示される。
【0086】
本発明のなおもう1つの態様は、いくつかの標的を認識することができる1つ以上の層の使用である。1つの態様において、同一コンジュゲートは、例えば、いくつかの標的を検出するためのいくつかの一次および二次抗体を含有することができる。もう1つの態様において、コンジュゲートは2つ以上の二次抗体を含有することができ、これは異なる層の間にブリッジを形成することができる。したがって、いくつかの態様において、コンジュゲートは成分の間の二重接着テープまたはカーペットテープとして働くことができる。例えば、これは、用いる層の数に依存して第二の結合剤または三次などであり得る。これは図1OおよびPに示されており、そこでは、1つのコンジュゲートが以下の抗体に対する二次抗体を含有し、検出可能な物質とのコンジュゲートに対する抗体を含有し、図1−OおよびPにおいては、それはAPおよびHRPである。二次抗体は検出可能な物質に対して向けることができるのは理解されるべきである。
【0087】
自動化された染色機を、複数マーカーの検出方法を提供する態様を含めた本発明の種々の態様で用いることができる。複数マーカーの検出は、しばしば、異なる検出可能物質から発散するシグナルのバランシングを必要とする、複数マーカーを検出すべき場合、したがって、異なる増殖ポテンシャルを供するのが有利であろう。1つのそのようなシステムの例は図1Kに示されており、また、後の実施例28にも記載される。この態様においては、一次、二次および三次結合剤(例えば、抗体)を用いるより感受性の検出システムが、ホース−ラディッシュペルオキシダーゼを含むポリマー、例えば、EnvisionTMに連結されたウサギ抗体および二次抗体のカクテルを用いてより感受性でないシステムに対して釣り合っている。
【0088】
生物学的マーカーは、例えば、光学顕微鏡、蛍光顕微鏡、電子顕微鏡を用いて視覚により検出することができ、そこでは、検出可能物質は、例えば、色素、コロイド状金粒子、発光試薬である。また、生物学的マーカーに結合した視覚的に検出できる物質は分光光度計を用いて検出することもできる。検出可能物質が放射性同位体である場合、検出はオートラジオグラフィーにより視覚、またはシンチレーションカウンターを用いて非−視覚的であり得る。例えば、Larsson, 1988, Immunocytochemistry: Theory and Practice, (CRC Press, Boca Raton, FL); Methods in Molecular Biology, vol. 80 1998, John D. Pound (編)(Humala Press, Totowa, NJ)。
【0089】
1.試料の調製
IHCおよびISH技術は、通常、病状の特定の形態学的インジケーターの選択的染色または生物作成学的マーカーの検出によって強調するために、顕微鏡観察、または顕微鏡写真の作成のための好適な固体支持体、例えば、スライドガラスまたは他の平面支持体上に設置された組織切片で行われる一連の処理工程を必要とする。
【0090】
したがって、例えば、IHCにおいては、試料を個体から採取し、固定し、注目する生物学的マーカーに特異的に結合する抗体に曝露する。試料加工工程は、例えば、抗原回復、一次抗体への曝露、洗浄、(好適な検出可能物質にカップリングされていてもよい)二次抗体への曝露、洗浄、および検出可能物質に連結された三次抗体への曝露が挙げられる。洗浄工程はいずれかの好適な緩衝液または溶媒、例えば、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、トリス緩衝化生理食塩水(TBS)、蒸留水で行うことができる。洗浄緩衝液は、所望により、洗剤、例えば、Tween20を含有することができる。
【0091】
一般には、2つのカテゴリーの組織学的試料:(a)一般にはアルデヒド−ベースの固定剤で固定されない新鮮な組織および/または細胞を含む調製物、および(b)固定化され包埋された組織検体、しばしば、保管された材料がある。
【0092】
1つのIHC染色手法は:組織の切断およびトリミング、固定、脱水、パラフィン浸透、薄片への切断、スライドグラスへの設置、ベーキング、脱パラフィン、再水和、抗原回復、ブロッキング工程、一次抗体の適用、洗浄、二次抗体−酵素コンジュゲートの適用洗浄、ポリマーにコンジュゲートし、酵素と連結した三次抗体の適用、発色源基質の適用、洗浄、対比染色、カバーグラスの適用および顕微鏡調査の工程を含むことができる。
【0093】
ISHにおいては、試料を個体から採取し、固定し、注目する核酸への相補的塩基対合によってハイブリダイズする核酸プローブに曝露する。生体試料は、典型的には、メッセンジャーRNAを含めた、DNAおよびRNAのような検出可能な核酸を含む。DNA/RNAレベルの検出は特定の遺伝子の発現のレベルを示すことができ、よって、これを用いて細胞、組織、器官または生物の(病状など)疾患を検出することができる。試料中の核酸は、典型的には、変性されて結合部位に曝露される。プローブは、典型的には、DNAまたはRNAのような二本鎖または一本鎖核酸であり、31P、33Pまたは32Sのような放射性標識を用いて標識され、またはジゴキシゲニン、または蛍光標識のような標識を用いて非−放射的に標識され、そのうち大多数は当該分野で知られている。ハプテン標識されたDNAプローブを用いることによって、これらは、例えば、標識に対する一次抗体を用い、さらに、二次抗体を含有するポリマーコンジュゲートを加え、さらに、三次抗体および酵素または蛍光標識を含有するポリマーコンジュゲートを加えることによって、本発明によって可視化することができる。酵素または蛍光標識は検出に必要なシグナルを発生させることができる。
【0094】
次いで、そのような技術によって検出された関連抗原または核酸の量を評価して、それが特定の予め決定された最小閾値を超えるか否かを判断し、または公知の標準と比較し、従って、診断的に重要である。次いで、必要であれば、個体に対して好適な治療を計画することができる。
【0095】
2.固定の方法
組織検体を固定し包埋する多くの方法が知られている。例えば、アルコール固定およびホルマリン固定および引き続いてのパラフィン包埋(FFPE)。
【0096】
固定剤は細胞および組織を再生可能かつ生きたように保存するのに必要である。これを達成するためには、組織ブロック、切片またはスミアを固定剤流体に浸漬し、あるいはスミアの場合には乾燥する。固定剤は細胞および組織を安定化させ、それにより、それらが加工および染色技術の激しさから保護する。
【0097】
いずれの好適な固定剤、例えば、エタノール、酢酸、ピクリン酸、2−プロパノール、3,3’−ジアミノベンジジン四塩酸塩二水和物、アセトイン(モノマーの混合物)およびダイマー、アクロレイン、クロトンアルデヒド(シス+トランス)、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、グリオキサール、二クロム酸カリウム、過マンガン酸カリウム、四酸化オスミウム、パラホルムアルデヒド、塩化第二水銀、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トリクロロ酢酸、タングステン酸も用いることができる。他の例には、ホルマリン(水性ホルムアルデヒド)および中性緩衝化ホルマリン(NBF)、グルタルアルデヒド、アクロレイン、カルボジイミド、イミデート、ベンゾエキノン、オスミウム酸および四酸化オスミウムが挙げられる。
【0098】
新鮮なバイオプシー検体、細胞学的調製物(接触調製物および血液スミアを含む)、免疫組織化学分析用の凍結された切片および組織は通常はエタノール、酢酸、メタノールおよび/またはアセトンを含めた有機溶媒中で固定される。
【0099】
3.抗原回復
固定化された組織における特異的認識を容易とするためには、検体の予備処理を通じて標的、すなわち、注目する生物学的マーカーを検索し、またはアンマスキングして、標的の大部分の反応性を増加させることがしばしば必要である。この手法は「抗原回復」、「標的検索」または「エピトープ検索」、「標的アンマスキング」または「抗原アンマスキング」という。抗原回復(抗原アンマスキング)の多大なレビューがShiら、1997, J Histochem Cytochem, 45 (3): 327に見出すことができる。
【0100】
抗原回復は、それにより特異的検出試薬との相互作用に対する標的の利用可能性を最大化する種々の方法を含む。最も一般的な技術は好適な緩衝液中でのタンパク質分解酵素(例えば、プロテイナーゼ、プロナーゼ、ペプシン、パパイン、トリプシンまたはノイラミニダーゼ)での酵素消化、または通常、EDTA、EGTA、トリス−HCl、シトレート、尿素、グリシン−HClまたはホウ酸を含有する適切にpH安定化された緩衝液中での、水浴、スチーマー、レギュラーオーブン、オートクレーブまたは圧力クッカーでのマイクロ波照射、加熱を用いる熱誘導エピトープ検索(HIER)である。洗剤をHIER緩衝液に加えて、エピトープ検索を増加させることができるか、希釈媒体および/または濯ぎ緩衝液に加えて、非特異的結合を低下させることができる。
【0101】
抗原回復緩衝液は最もしばしば水性であるが、水の沸点を超える沸点を持つ溶媒を含めた他の溶媒を含有することもできる。これは、常圧における100℃を超える組織の処理を可能とする。
【0102】
加えて、信号対雑音比は、真空または超音波の適用、または試薬のインキュベーションの前またはその間における切片の凍結および解凍を含めた異なる物理的方法によって増加させることができる。
【0103】
内因性ビオチン結合部位または内因性酵素活性(例えば、ホスファターゼ、カタラーゼまたはペルオキシダーゼ)を染色手法における工程として除去することができ、例えば、内因性ビオチンおよびペルオキシダーゼ活性は過酸化物での処理によって除去することができる。内因性ホスファターゼ活性はレバミソールでの処理によって除去することができる。内因性ホスファターゼおよびエステラーゼは加熱によって破壊することができる。
【0104】
HSA、BSA、オボアルブミン、ウシ胎児血清または他の血清のような不活性タンパク質、あるいはTween20、トリトンX−100、サポニン、Brijまたはプルロニックのような洗剤での非特異的結合部位でのブロッキングを用いることができる。また、特異的試薬の未標識および標的非特異的バージョンでの組織または細胞における非特異的結合部位のブロッキングも用いることができる。
【0105】
4.フリーフローティング技術
また、試料を調製し、フリーフローティング技術を用いて染色することもできる。この方法においては、組織切片を、好適な容器、例えば、ミクロ遠心管中で、懸濁液中の、または自由に流動する異なる試薬および洗浄緩衝液と接触させる。
【0106】
組織切片を、例えば、「釣り針様」デバイス、スパチュラまたはガラスリングを用い、染色手法の間に異なる試薬および緩衝液と共にチューブ間を移動させることができる。また、穏和なデカンテーションまたは真空吸入によって、異なる試薬および緩衝液を交換することもできる。別法として、組織切片を含む容器をCorning「Netwell」(Corning)のような特殊な染色ネットにあけ、次の染色工程のために、チューブに戻される前に組織切片を洗浄する。
【0107】
例えば、固定、抗原回復、洗浄、ブロッキング試薬でのインキュベーション、免疫特異的試薬、および着色染色の酵素触媒発色を含めた全ての工程は、組織切片が自由に浮動し、またはネット上に滞留させつつ行われる。色素の発色の後、対比染色の前に、組織切片をスライドに設置し、乾燥し、例えば、光学顕微鏡によって分析する前にカバーグラスで被覆する。
【0108】
いくつかの態様において、組織切片を、免疫特異的試薬と共に臨界的インキュベーションを行った後にスライド上に設置することができる。次いで、染色プロセスの残りを組織切片を設置したスライド上で行う。
【0109】
D.キット
本発明は、試料中の生物学的マーカーを検出するためのキットを提供する。特定の態様においては、キットは、その少なくとも一方がポリマーにコンジュゲートされるか、あるいはそれ自体重合可能である第一および第二の結合剤、および少なくとも1つの検出可能物質を供する。検出可能物質は、キットの他の成分、例えば、第一の結合剤、第二の結合剤、ポリマーの少なくとも1つに連結することができる。検出可能物質は結合剤と共に重合可能であり、例えば、誘導体化し、重合することができる。キットは、さらに、少なくとも1つの容器を含む。キットは、所望により、一次抗体および説明書を含むことができる。
【0110】
いくつかの態様において、本発明は、二次抗体、三次抗体および、所望により、一次抗体および少なくとも1つの検出可能物質を含むキットを提供する。二次抗体はポリマー骨格を加えることなく、またはポリマー骨格を加えてコンジュゲートすることができる。三次抗体はポリマー骨格を加えることなく、またはポリマー骨格を加えてコンジュゲートすることができる。
【0111】
特定の態様において、本発明は、a)第一のポリマーに所望により連結されていてもよい少なくとも1つの二次抗体;b)第二のポリマーに連結された少なくとも1つの三次抗体、およびi)少なくとも1つの三次抗体;ii)第一のポリマー;およびiii)第一のポリマーおよび三次抗体双方のうちの少なくとも1つに連結された第一の検出可能物質;c)所望により一次抗体;d)少なくとも1つの容器および、所望により、説明書を含む試料に対して免疫組織化学を実行するためのキットを提供する。このキットは、さらに、第一のポリマーに連結された第一の二次抗体および第二のポリマーに連結された第二の二次抗体、ならびにa)二次抗体;b)第二のポリマー;およびc)二次抗体および第二のポリマーの双方のうちの少なくとも1つに連結された第二の検出可能物質を含むことができる。いくつかの態様において、第一および第二の検出可能物質は異なる。いくつかの態様において、第一および第二の検出可能物質は同一である。
【0112】
いくつかの態様において、キットはa)二次抗体;b)第二のポリマー;およびc)二次抗体および第二のポリマー双方のうちの少なくとも1つに連結された少なくとも1つのハプテン分子を含む。
【実施例】
【0113】
実施例
実施例1:ポリマーコンジュゲートの調製
試料中の生物学的マーカーの検出で用いるべき抗体および検出可能物質とのコンジュゲートのために、デキストランポリマーを調製した。種々のサイズのデキストランをジビニルスルホンで活性化し、続いて、ホースラディッシュペルオキシダーゼおよび抗体にカップリングさせた。
【0114】
異なる分子サイズ(70および150kDa)のデキストラン(Pharmacosmos, Vibi,デンマーク)をLihmeおよびBoenisch(WO 93/01498)の方法に従ってジビニルスルホン(DVS,ビニルスルホン)(Sigma−Aldrich, St. Louis, MO)で活性化した。この結果、デキストランモノマーの25%が活性化された。活性化されたデキストランを使用前に2〜8℃の暗所で保存した。
【0115】
実施例2:活性化されたデキストランへの抗体のコンジュゲーション
2〜4℃の温度にて、10kDaの分子量削減を有する透析チュービングを用い、アフィニティ精製ウサギ抗マウス(RaM)抗体(Dakocytomation, Carpenteria, CA)、アフィニティ精製ヤギ抗ウサギ(GaR)免疫グロブリン(Dakocytomation, Carpenteria, CA)またはアフィニティ精製ヤギ抗マウス(GaM)免疫グロブリン(Dakocytomation, Carpenteria, CA)、またはアフィニティ精製ウサギ抗DNP Fab2免疫グロブリン(抗ジニトロフェニル,Fab2)(Dakocytomation, Carpenteria, CA)またはアフィニティ精製一次抗体マウス抗ヒトBcl−2癌タンパク質免疫グロブリン(クローン124,イソタイプ:IgG1カッパ)(Dakocytomation, Carpenteria, CA)を、0.10M NaCl緩衝液に対して一晩透析した。1リットルの緩衝液を用いた。緩衝液を3回交換した。抗体の濃度は5mlの容量中100mgであった。透析の後、活性化されたデキストランへのコンジュゲーション前に、抗体を遠心フィルター(10kDa分子量削減)で30mg/mlを超えるまで濃縮した。
【0116】
コンジュゲーションは抗体をビニルスルホン−活性化デキストランに加えることによって行った。抗体溶液を、21.25mg/mlの濃度にて、25mMカルボネート、0.10M NaCl、pH8.5中の、1.60mgデキストラン/mlの濃度のビニルスルホン−活性化デキストランの溶液に加え、30℃の水浴中で一晩(18時間)撹拌した。これは免疫グロブリンの各々について行った。Fab2抗体では、濃度はコンジュゲーション混合物中で13.70mg/mlであった。
【0117】
システイン含有緩衝液(110mMシステイン, 50mM HEPES, 0.1M NaCl, pH7.0)の1/10容量反応混合物の添加によって、デキストラン上のいずれの残存する反応性基もクエンチし、30℃にて60分間撹拌した。
【0118】
S−200ゲルSECカラム、およびpH7.0の0.1M HEPES、0.1M NaClの緩衝液(Pharmacia, Peapack, NJ)と共にHPLC(Pharmacia, Uppsala, スウェーデン国)を用いるゲル濾過によって、ポリマーコンジュゲートを未結合抗体から精製した。
【0119】
デキストラン分子当たりの抗体の数、およびコンジュゲート濃度を、コンジュゲートを含有する画分および未コンジュゲート抗体を含有する画分のUV吸収から計算した。吸収測定は280nMで測定した。
【0120】
ポリマーコンジュゲートのいくつかはさらにDNPで標識した。ポリマーコンジュゲートを、前述したように、0.10M NaCl緩衝液に対して一晩透析した。透析の後、ポリマーコンジュゲートを、Sangers試薬との反応の前に、遠心フィルター(10kDa分子量削減)で30mg/mlを超えて濃縮した。
【0121】
カップリング反応は水、ポリマーコンジュゲート、乾燥NMP(0.30g/l)に溶解させたF−DNP(Sangers試薬,2,4−ジニトロ−1−フルオロベンゼン)(Sigma, St Louis, MO)および炭酸塩緩衝液(0.80M, pH9.0)の順次の混合によって行った。エタノールアミン(合計10mM)を加えることによって停止させる前に、反応混合物(1.6gタンパク質/ml, IgG当たり10当量DNP, 25mMカルボネートおよび0.5mLの全容量)を室温にて19時間混合した。混合物を透析によって一晩精製した(1000ml, 10kDa分子量CO, 0.1M NaCl, 10mM HEPES, pH7.2)。緩衝液は3回交換した。
【0122】
コンジュゲート当たりのDNPの数、および合計コンジュゲート濃度を280nmおよび349nmにおけるUV吸光度から計算した。結果を以下に表1で示す。アジド(15mM)を微生物保存剤として全てのコンジュゲートに加えた。
【0123】
【表1】

【0124】
実施例3:HRP−IgG−デキストランコンジュゲートの調製
HRPおよびAPコンジュゲート双方の調製を以下に記載する。
【0125】
HRPコンジュゲート:
ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)(Faizyme, Cape Torn, Rep. of South Africa)およびアフィニティ精製ウサギ抗マウス(Ram)抗体(Dakocytomation, Carpenteria, CA)またはアフィニティ精製ウサギ抗ヤギ(RaG)抗体(IgG)(Dakocytomation, Carpenteria, CA)またはアフィニティ精製ブタ抗マウス免疫グロブリン(SaM)(Dakocytomation, carpenteria, CA)またはアフィニティ精製ウサギ抗DNA Fab2免疫グロブリン(抗ジニトロフェニル, Fab2)(Dakocytomation, carpenteria, CA)を、緩衝液を3回交換しつつ、2〜4℃にて、1000ml 0、10M NaClに対して一晩透析した。酵素または抗体濃度は5mlの容量中で100mgであった。透析チューブは10kDaの分子量削減を有した。透析の後、タンパク質を10kDa分子量削減を持つ遠心フィルターで60mg/mlを超えるまで濃縮した。
【0126】
コンジュゲーションは、HRPおよび抗体の活性化されたデキストランへの順次の添加によって行った。HRP溶液を25mMカルボネート、0.1M NaCl、pH9.5中のビニルスルホン活性化デキストラン(70kDa)の溶液に加えた。HRPおよびデキストランの濃度は、各々、40.0mg/mlおよび1.6mg/mlであった。混合物を30℃の水浴中で3.0時間撹拌した。抗体溶液を反応混合物に加え、30℃の水浴中で一晩(18時間)撹拌した。抗体の最終濃度は5.87mg/mlであった。デキストランおよびHRPの最終濃度は、各々、1.06mg/mlおよび26.67mg/mlであった。
【0127】
システイン−含有緩衝液(110mMシステイン, 50mM HEPES, 0.1M NaCl, pH7.0)の1/10容量反応混合物の添加によっていずれの残存する反応性基もクエンチし、30℃にて30分間撹拌した。
【0128】
S−200カラムを備えたFPLC、および0.1M HEPES, 0.1M NaCl, pH7.2の緩衝液(Pharmacia, Peapack, NJ)を用いるゲル濾過によって、コンジュゲートを未コンジュゲート抗体およびHRPから分離した。
【0129】
デキストラン分子当たりの抗体およびHRP分子の数、およびコンジュゲート濃度を、コンジュゲートを含有する画分および未コンジュゲート抗体およびHRPを含有する画分の280および403nmにおけるUV吸光度から計算した。ビオチン血清アルブミンをタンパク質安定化剤としてコンジュゲートに加えた。抗微生物剤も試料に加えた。
【0130】
APコンジュゲート:
まず、チオール基をアルカリ性ホスファターゼ(AP)に導入し、続いて、ビニルスルホン−活性化デキストラン(270kDa)へのカップリングによって、APおよび免疫グロブリンを含有するポリマーコンジュゲートを調製した。AP−デキストラン中間体を高塩濃度の免疫グロブリンとカップリングさせ、精製した。手法はEnVisionTMAPコンジュゲートを作製するための手法と同様であった。
【0131】
より詳細には、アルカリ性ホスファターゼ(RDS,スイス)を2〜8℃にて0.50Mリン酸カリウム、pH8.0に対して透析し、遠心フィルター(10kDa分子量CO)で濃縮した。次いで、30℃にて30分間混合しつつ、それをSPDP(AP当たり10当量SPDP, 10mg AP/ml, 0.50Mリン酸カリウム, pH8)と反応させた。20mMの濃度の(±)−スレオ−1,4−ジメルカプト−2,3−ブタンジオール(DTT, Clelandの試薬)(Aldrich, St Louis, MO)の添加によってジスルフィドを室温にて30分間還元した。チオール修飾APをG25カラムで精製し、280nmにおけるUV測定からタンパク質濃度を計算した。
【0132】
撹拌しつつ室温でインキュベートすることによって(3.5AP/ml,デキストラン鎖当たり20当量AP, 0.50Mリン酸カリウム, pH8.0)、修飾されたAPをビニルスルホン活性化デキストラン(270kDa)にカップリングさせた。20時間後、過剰のチオールをN−エチルマレイミド(NEM)(Aldrich, St Louis MO)(NMP中20%,合計10mM)で消滅させ、20分間混合した。反応混合物を水に対して透析し、遠心フィルターで濃縮した。AP−デキストラン結合体をSephacryl S−300カラムで精製し、再度濃縮した。タンパク質濃度を280nmにおけるUV吸光度によって測定した。
【0133】
アフィニティ精製ウサギ抗ヤギ(RaG)抗体(IgG)(DakoCytomation, Carpenteria, CA)を前述したように透析した。室温での18時間の高塩条件での反応および一定の混合(ビニルスルホンAP−デキストラン当たり30当量IgG, 2.5mg IgG/ml, 1.75Mリン酸カリウム, 10mM塩化マグネシウム, 1mM塩化亜鉛, pH7.9)によって、AP−デキストランを透析されたIgGとカップリングさせた。沈殿した結合体を遠心によって単離し、水に再懸濁し、Sephacryl S−300カラムで未結合タンパク質から精製した。
【0134】
デキストラン分子当たりの抗体およびAP分子の数、ならびに結合体濃度を画分の280におけるUV吸光度から計算した。結合体は、50mMトリス/HCl, 0.10M NaCl, 0.1mM塩化亜鉛, 1mM塩化マグネシウムおよび抗微生物剤を含有する緩衝液で希釈した。
【0135】
結合体実験の結果を以下の表2に示す。
【0136】
【表2】

【0137】
以下の実施例で用いた結合体を以下の表3に記載する。
【0138】
【表3】

【0139】
実施例4:IHC染色のための生体試料の固定
37%ホルムアルデヒドストック(Merck, Whitehouse Station, NJ)から4%ホルムアルデヒドに調製された、20mLの10mM NaH2PO4/Na2HPO4(Merck, Whitehouse Station, NJ)および0.145M NaCl (Merck, Whitehouse Station, NJ), pH7.0を用いて、ヒト組織試料を中性緩衝化ホルマリン(NBF)中で固定した。試料を室温にて排気実験室フード中で一晩(18時間)インキュベートした。
【0140】
実施例5:試料脱水およびパラフィン包埋
脱水し、パラフィン中に包埋する前に、組織試料を顕微鏡レンズクレンジングペーパー(Leica, Bannockburn, IL)中に軽く包み、マークしたプラスチックヒストカプセル(histocapsule)(Sekura, Japan)に入れた。70%エタノールとの45分間の2回、96%エタノールとの45分間の2回、99%エタノールとの45分間の2回、キシレンとの45分間の2回の順次のインキュベーションによって組織試料を脱水し、次いで、融解されたパラフィンに移した(融点56〜58℃)(Merck, Whitehouse Station, NJ)。試料を60℃にて一晩インキュベートした(12〜16時間)。パラフィン浸透試料を新鮮な温かいパラフィンに移し、さらに60分間インキュベートし、しかる後、鋳型(Sekura, Japan)中でパラフィンで包埋した。試料を冷却して、最終のパラフィンブロックを形成した。包埋された組織試料を含有する印をつけたパラフィンブロックを暗所2〜8℃で貯蔵し、しかる後、切断し、設置し、脱パラフィンし、染色した。
【0141】
実施例6:包埋された試料の切断、設置および脱パラフィン
パラフィンブロックをミクロトーム(4.0マイクロメートルに設定された0355モデルRM2065, Feather S35ナイフ)(Leica, Bannockburn, IL)に設置した。第一の数mmを切断し、捨てた。次いで、パラフィン切片を室温にて4マイクロメートル厚みの切片に切断し、集めた。パラフィン切片を45〜60℃の熱水浴上で穏和に延ばし、しかる後、集め、マーク付きの顕微鏡スライドグラス(Superfrost plus)(Fisher, Medford, MA)に設置した。次いで、スライドグラスを乾燥し、60℃のオーブン中でベーキングした。過剰の融解したパラフィンをティッシュで拭い去った。
【0142】
キシレン中で2〜5分間2回、96%エタノール中で2〜5分間2回、70%エタノール中で2〜5分間2回、およびトリス緩衝化生理食塩水(TBS)(50mMトリス−HCl, 150mM NaCl, pH7.6)(Crystal Chem Inc., Downers Grove IL)中で5分間1回インキュベートすることによって、スライドグラスを脱パラフィン化した。スライドグラス上に設置した後、組織試料を、後に記載する方法のいずれか1つを用いて抗原検索(AR)し、内因性ペルオキシダーゼ活性につきブロッキングした。
【0143】
実施例7:マイクロ波オーブンによる抗原検索
穴を開けた蓋を持つ特殊な容器中の蒸留水の中で10×希釈された抗原検索溶液pH6.0(DakoCytomation, Carpenteria, CA)にスライドグラスを浸漬することによって、スライドグラスを抗原検索した。容器をマイクロ波オーブンの中央に入れ、スライドグラスを10分間加熱した。スライドグラスを含有する容器をオーブンから取り出し、20分間、室温で冷却させた。スライドグラスをTBS中で2分間濯いだ。
【0144】
実施例8:プロテイナーゼK消化による抗原検索
製造業者の指示に従い、プロテイナーゼK(Dakocytomation, Carpenteria, CA)を用い、スライドグラスを抗原検索した。即席調製プロテイナーゼK溶液をスライドグラス上の組織試料に適用し、室温にて5分間インキュベートした。スライドグラスをTBS中で2分間洗浄した。
【0145】
実施例9:水浴インキュベーションによる抗原検索
10×希釈したpH6クエン酸塩抗原検索溶液(DakoCytomation, Carpenteria, CA)を含有するビーカーにスライドグラスを浸漬させることによって、スライドグラスを抗原検索した。97℃の水浴中でスライドグラスを20分間インキュベートした。スライドグラスを含有するビーカーを水浴から取り出し、室温で冷却させた。次いで、スライドグラスを脱イオン水中で濯いだ。
【0146】
実施例10:内因性ペルオキシダーゼブロッキングおよびゴムバリアの適用
ペルオキシダーゼブロッキング溶液(DakoCytomation, Carpenteria, CA)を用いて、全てのスライドグラスを3%過酸化水素溶液と共に5分間インキュベートして、内因性過酸化物活性を消滅させた。次いで、スライドグラスをトリス緩衝化生理食塩水(TBS)で1回5分間洗浄した。試薬の試料への良好な被覆を確実とするために、組織を持つスライドグラス上の領域を、DakoPen(DakoCytomation Carpenteria, CA)を用いてシリコンゴムバリアで取り囲んだ。スライドグラスを小さな閉じたチャンバー中のラックに移して、染色前の乾燥を回避した。
【0147】
実施例11:手動染色プロトコル
試料をSuperfrost plusスライドグラス(Fisher, Medford, MA)上で調製した。スライドグラスをTBS洗浄緩衝液中で5分間洗浄し、次いで、雰囲気温度にて一次抗体(100マイクロリットル)と共に30分間インキュベートした。具体的例に従って、濃度を希釈によって調整した。5分間洗浄後、第一の結合体を加え、雰囲気温度にて20分間インキュベートした。さらに1回の5分間の洗浄の後、第二の結合体を加え、雰囲気温度にて30分間インキュベートした。スライドグラスを洗浄緩衝液中で5分間洗浄し、続いて、製造業者の指示に従って、ジアミノベンジジン色素産生基質システム(DAB+)(DakoCytomation Carpenteria, CA)と共に10分間インキュベートした。次いで、スライドグラスを蒸留水で5分間洗浄し、ヘマトキシリン(DakoCytomation, Carpenteria, CA)で5分間対比染色し、製造業者の指示に従って、水道水中で5分間洗浄した。
【0148】
120マイクロリットルの水性設置媒体(Faramount)(DakoCytomation Carpenteria, CA)を用い、カバーグラスをスライドグラスに適用した。スライドグラスを放置して乾燥させ、硬化させ、光強度設定8を用い、10×、20×または40×倍率にて、明視野顕微鏡(Leica DM LB, Bannockburn, IL)で調べた。Olympus DP50−CU (Olympus, Melville, NY)を用いてスライドグラスをデジタル的に写真に撮り、写真の白色バックグラウンドを修整した。これは、スライドグラス上の空のスポットに対してカメラ設定を調整することによってなされる。
【0149】
細胞の大部分が唯一の強度を呈する場合には、この単一の染色強度を記録した。細胞の大部分が染色強度範囲を呈した場合には、単一強度ではなく分布を記録した。
【0150】
実施例12:自動染色プロトコル
プロトコルはDakocytomation Autostainer (Dakocytomation, Carpeteria, CA)を用いて行った。スライドグラスはSuperfrost (Fisher, Medford, MA)であった。抗原検索工程に続き、湿潤スライドグラスをAutostainer (DakoCytomation, Carpeteria, CA)のラックに設置した。このスライドグラスを雰囲気温度にて希釈された一次抗体(200マイクロリットル、30分)と共にインキュベートした。10倍希釈した洗浄緩衝液(DakoCytomation, Carpeteria, CA)をスライドグラスに穏和に流すことによってスライドグラスを洗浄し、しかる後、過剰の緩衝液を穏和な空気の流れで除去した。
【0151】
第一の結合体をスライドグラスに加え(200マイクロリットル)、室温にて30分間インキュベートし、しかる後、前述したように洗浄した。第二の結合体をスライドグラスに加え(200マイクロリットル)、室温にて30分間インキュベートし、しかる後、前述したように洗浄した。
【0152】
製造業者の指示に従って調製した200マイクロリットルのDAB+色素産生基質システム(DakoCytomation, Carpenteria, CA)を各スライドグラスに適用し、30分間インキュベートした。次いで、スライドグラスを脱イオン水中で5分間洗浄した。合計プロセス時間は2時間22分であった。
【0153】
スライドグラスをAutostainerから取り出し、ラックに入れ、製造業者の指示に従ってヘマトキシリン(DakoCytomation, Carpenteria, CA)で2分間対比染色し、次いで、脱イオン水中で5分間洗浄した。120マイクロリットルの水性設置媒体(Faramount)(DakoCytomation, Carpenteria, CA)を用いてカバーグラスをスライドグラスに適用した。スライドグラスを放置して乾燥させ、硬化させ、40×、100×および200×倍率にて、Nikon Eclipse E400 (Nikon)を用いる明視野顕微鏡で調べた。
【0154】
スライドグラスをデジタル的に写真に撮り(RTカラースポット, Diagnostic Instruments Inc.)、写真の白色バックグラウンドを修正した。
【0155】
実施例13:迅速な手動染色プロトコル
抗原検索工程に続き、雰囲気温度にて、スライドグラスを200マイクロリットルの希釈された一次抗体と共に10分間インキュベートした。10倍希釈された洗浄緩衝液(DakoCytomation, Carpenteria, CA)をスライドグラスに軽く流すことによってスライドグラスを洗浄した。過剰の緩衝液を実施例11におけるように除去した。第一の結合体をスライドグラスに加え(200マイクロリットル)、室温にて10分間インキュベートし、しかる後、前述したように洗浄した。第二の結合体をスライドグラスに加え(200マイクロリットル)、室温にて10分間インキュベートし、しかる後、前述したように洗浄した。実施例11におけるように調製されたDAB色素産生基質システムをスライドグラスに適用し、10分間インキュベートした。次いで、スライドグラスを脱イオン水中で5分間洗浄した。合計プロセス時間は染色する実施例11と比較して55分まで低下された。スライドグラスをヘマトキシリンで対比染色し、カバーグラスで被覆し、前述の実施例12におけるように評価した。
【0156】
実施例14:EnvisionTM+プラスデュアルリンク(plus Dual link)染色プロトコル
製造業者(DakoCytomation, Carpenteria, CA)の説明書に従って、EnvisionTM+を用いて染色を行った。簡単に述べれば、第一の結合体(A)の添加および引き続いての5分間の洗浄を除いては、実施例11に記載したように染色を行った。DAB染色、ヘマトキシリン(haematoxylin)対比染色、およびカバーグラスの適用は実施例11に記載されたものであった。
【0157】
実施例15:PowerVision+TM染色プロトコル
PowerVision+TM染色キット(ImmunoVision Technologies, Co., Daly City, CA)中の取扱説明書に記載されたように、染色はDAB工程まで行った。キットはプレ抗体ブロッキング、ポスト抗体ブロッキング(「ポリマー浸透促進剤」)、ポリHRP抗マウス/ウサギIgG、DAB溶液A、1×およびDAB溶液B、35×を含めた即席調製溶液よりなる。
【0158】
内因性ペルオキシダーゼのブロッキングおよび抗原検索の後、この手法は10分間のプレ抗体ブロッキング溶液とのインキュベーション、続いての、雰囲気温度における希釈された一次抗体(200マイクロリットル,30分)とのインキュベーションよりなるものであった。スライドグラスをTBSで5分間洗浄し、次いで、ポスト抗体ブロッキングと共に20分間インキュベートし、引き続いて、TBS洗浄を行った。スライドグラスを次にポリHRP抗マウス/ウサギIgGと共に30分間インキュベートし、しかる後、TBSで5分間洗浄した。
【0159】
種々のシステムを良好に比較するために、実施例11に記載されたプロトコルに従って、DAB染色、ヘマトキシリン対比染色およびカバーグラス適用を行った。
【0160】
実施例16:Ki−67タンパク質の比較染色
この実施例は、結合体No. 1、すなわちウサギ抗マウス抗体を含有するポリマーデキストラン(150kDa)結合体、続いて、セイヨウワサビペルオキシダーゼおよびヤギ抗マウスまたはヤギ抗ウサギ抗体を含有するポリマーデキストラン結合体混合物を用いる扁桃上の核マーカーKi−67クローンMIB−1タンパク質の免疫可視化、およびHRP発色体(EnvisionTM+plus)での染色を記載する。アッセイ成分を図1−Aに示す。
【0161】
この実験を、EnvisionTM+またはPowerVision+TM(ImmunoVision Technologies, Co., Daly City, CA)検出システムを用いる本発明の1つの態様での染色と比較した。用いた組織はホルマリン固定およびパラフィン包埋ブロック(FFPE)の、ヒト扁桃、結腸、乳房癌腫ならびに腎臓であった。組織切片の切断、設置および脱パラフィンは実施例6に記載されたプロトコルに従って行った。マイクロ波抗原検索および内因性(endogen)ペルオキシダーゼブロッキングは、各々、実施例7および10で前述したように行った。免疫可視化は実施例11に前述したように行った。
【0162】
要約すると、一次モノクローナル抗体はKi67クローンMIB−1(DakoCytomation, Carpenteria, CA)であった。それを適用前に0.2%BSAを含むTBSで1:200希釈した。一次抗体の適用の後に、試料を、0.2%BSAを含むTBS緩衝液で1:1000希釈されたウサギ抗マウス抗体を含む結合体No. 1と共にインキュベートした。第一の結合体の適用の後に、セイヨウワサビペルオキシダーゼおよびヤギ抗マウスまたはウサギ免疫グロブリンを含有するポリマーデキストラン結合体混合物(EnvisionTM+)(DakoCytomation, Carpenteria, CA)と共に、試料を製造業者の指示に従ってインキュベートした。
【0163】
平行して、ポリマーRaM結合体No. 1の代わりに、0.2%BSAを含有するTBS緩衝液中に1600倍希釈した未結合ウサギ抗マウス免疫グロブリン(RaM)(DakoCytomation, Carpenteria, CA)を用いて免疫可視化を行った。第二の平行実験は、各々、実施例14および15に記載されたプロトコルに従い、EnvisionTM+またはPowerVision+TM(ImmunoVision Technologies, Co., Daly City, CA)を用いて行った。
【0164】
染色は40×、100×および200×の倍率で評価した。図2A〜Dは結合体No. 1およびEnvisionTM+(A)、未結合RaMおよびEnvisionTM+(B)、EnvisionTM+(C)、またはPowerVision+TM(D)の組合せを用いるKi67染色扁桃組織の顕微鏡写真である。
【0165】
試料を盲検的に評価した(すなわち、調査者はスライドグラスを調製するのに用いる方法を知らなかった)。合計して17の微妙なレベルの染色強度を与える、4分の1グレード増分の0〜4のスケールを用いた。染色強度は、各々、4.0;3.5;3.0;および4.0のスコアであった。染色パターンおよび局在性は4つの異なる染色に対してほとんど同一であった。
【0166】
染色強度はポリマーRaM(A)およびPowerVision+TM(ImmunoVision Technologies, Co., Daly City, CA)を用いてわずかにより強くなっている。ポリマーRaMまたはモノマーRaM結合物の使用は、EnvisionTM+と比較してわずかに染色強度を増加させる。マウスIgGを用いる免疫染色は陰性対照として供した。マウス抗体は、ヒト組織には存在しない黒色アスペルギルス(Aspergilius Niger) (DakoCytomation, Carpentaria, CA)に対して生起され、テストしたシステムのいずれを用いても検出可能なシグナルをもたらさなかった。
【0167】
陰性対照は許容でき、強度において「O」のスコアであった。
【0168】
実施例17:乳房癌腫に対するサイトケラチンの比較染色
この実施例は、先の実施例16におけるのと同一の組織ブロック、連結結合体およびEnvisionTM+結合体を用いて乳房癌腫組織に対する細胞質サイトケラチンの免疫可視化を記載する。アッセイ設定もまた図1−Aに示す。
【0169】
この実験は、中央結合物としてのウサギ抗マウス、EnvisionTM+、またはPowerVision+TM(ImmunoVision Technologies, Co., Daly City, CA)検出システムを用いる染色と本発明の1つの態様を用いる染色を比較する。
【0170】
組織切片の切断、設置および脱パラフィンは実施例6に記載されたプロトコルにしたがって行った。組織の予備処理は、実施例8に記載されたようにプロテイナーゼK方法を用いて抗原検索を行った以外は実施例16と同様であった。免疫可視化は実施例11に前述したように行った。
【0171】
要約すると、一次ウサギ抗体は抗サイトケラチンクローンAE1/AE3(DakoCytomation, Carpenteria, CA)であった。適用前に、それを0.2%BSAを含むTBSに1:1000希釈した。一次抗体の適用後に、試料を、150kDaデキストランに結合し、かつ0.2%BSAを含むTBS緩衝液に1:5000希釈したウサギ抗マウス抗体を含む結合体No. 1と共にインキュベートした。結合体No. 1の適用後に、セイヨウワサビペルオキシダーゼおよびヤギ抗マウスまたはウサギ免疫グロブリンを含有するポリマーデキストラン結合体混合物(EnvisionTM+), DakoCytomation, Carpenteria, CA)と共に、試料を製造業者の指示に従ってインキュベートした。
【0172】
平行して、ポリマーRaM結合体No. 1の代わりに、0.2%BSAを含有するTBS緩衝液に1600倍希釈した未結合ウサギ抗マウス免疫グロブリン(RaM)(DakoCytomation, Carpenteria, CA)を用いて免疫可視化を行った。第二の平行実験は、各々、実施例14および15に記載されたプロトコルに従って、EnvisionTM+またはPowerVision+TM(ImmunoVision Technologies, Co., Daly City, CA)を用いて行った。
【0173】
染色は40×、100×および200×倍率にて評価した。図3A〜Dは、結合体No. 1およびEnvisionTM+(A)、未結合RaMおよびEnvisionTM+(B)、EnvisionTM+(C)、またはPowerVision+TM(ImmunoVision Technologies, Co., Daly City, CA)システム(D)の組合せを用いるサイトケラチン染色乳房癌腫組織の顕微鏡写真である。
【0174】
試料を盲検的に評価した(すなわち、調査者はスライドグラスを調製するのに用いた方法を知らなかった)。合計して染色強度の17の微妙なレベルを与える4分の1グレード増分での0〜4のスケールを用いた。染色強度は、各々、3.0;3.5;2.0および4.0のスコアとなった。染色パターンおよび局在性は4つの異なる染色でほとんど同一である。PowerVision+TM、未結合RaM結合物およびポリマーRaM結合物を用い、染色強度はこの順序で最強であった。EnvisionTM+システム単独はテストした4つのアッセイシステムで最も弱かった。マウスIgGを用いる免疫染色を陰性対照として用いた。陰性対照マウス抗体は、ヒト組織には存在しない黒色アスペルギルス(aspergiliius Niger)(DakoCytomation, Carpentaria, CA)を特異的に認識した。それは、テストしたシステムのいずれを用いても検出可能なシグナルをもたらさなかった。
【0175】
陰性対照は許容でき、強度「O」のスコアであった。
【0176】
実施例18:HRPに連結された二次抗体結合体を用いるKi−67タンパク質の比較染色
この実施例は、二次ウサギ抗マウスおよびセイヨウワサビペルオキシダーゼを含有するポリマーデキストラン(70kDa)結合体、続いて、セイヨウワサビペルオキシダーゼおよび二次ヤギ抗体を含有するポリマーデキストラン結合体混合物を含有する連結結合体No. 4、およびHRP発色体(EnvisionTM+)での染色を用いる乳房癌腫に対するKi−67タンパク質の免疫可視化を記載する。アッセイ設定は図1−Bに示される。この染色を、結合物としての未結合ウサギ抗マウス、EnvisionTM+またはPowerVision+TM(ImmunoVision Technologies, Co., Daly City, CA)染色システムを用いる染色と比較した。
【0177】
乳房癌腫組織切片の切断、設置、脱パラフィン、抗原検索、ペルオキシダーゼブロッキングおよび手動染色プロトコルは実施例16に記載された一般的手法に従って行った。
【0178】
一次モノクローナル抗体はクローンMIB−1(DakoCytomation, Carpenteria, CA)であった。適用前に、それを0.2%BSAを含むTBSに1:400希釈した。一次抗体の適用後に、試料を、ウサギ抗マウス抗体およびHRPを含有する結合体No. 4と共にインキュベートした。結合体No. 4を0.2%BSAを含むTBS緩衝液に1:1000希釈し、試料に適用した。結合体No. 4の適用後に、製造業者の指示に従って、セイヨウワサビペルオキシダーゼおよび二次ヤギ抗マウスまたはウサギ免疫グロブリンを含有するポリマーデキストラン結合体混合物(EnvisionTM+)(DakoCytomation, Carpenteria, CA)と共に試料をインキュベートした。
【0179】
平行して、ポリマーRaM−HRP結合体No. 4の代わりに、0.2%BSAを含有するTBS緩衝液中に1600倍希釈した未結合ウサギ抗マウス免疫グロブリン(RaM)(DakoCytomation, Carpenteria, CA)を用いて免疫可視化を行った。第二平行実験は、各々、実施例14および15に記載されたプロトコルに従って、EnvisionTM+またはPowerVision+TM(ImmunoVision Technologies, Co., Daly City, CA)を用いて行った。
【0180】
染色は40×、100×および200×倍率で評価した。図4A〜Dは結合体No. 4およびEnvisionTM+(A)、未結合RaMおよびEnvisionTM+(B)、EnvisionTM+(C)またはPowerVision+TM(ImmunoVision Technologies, Co., Daly City, CA)(D)の組合せを用いてのKi−67染色乳房癌腫組織の顕微鏡写真である。試料を盲検的に評価した(すなわち、調査者はスライドグラスを調製するのに用いた方法を知らなかった)。4分の1グレードの増分の0〜4のスケールを用いた。染色強度は、各々、4.0;4.0;3.5および4.0のスコアであった。染色パターンおよび局在性は4つの異なる染色でほとんど同一である。染色強度はRaM−HRP結合体(a)、未結合RaM(b)およびPowerVision+TM(ImmunoVision Technologies, Co., Daly City, CA)(d)を用いて同様である。EnvisionTM+は最も弱い染色強度を与えた。マウスIgGを用いる免疫染色は陰性対照として供し(前述)(DakoCytomation, Carpentaria, CA)、テストしたシステムのいずれを用いても検出可能なシグナルはもたらされなかった。
【0181】
実施例19:乳房組織におけるエストロゲン受容体(ER)の比較染色
この実施例は連結結合体No. 2および連結結合体No. 3、すなわち各々、二次ヤギ抗ウサギ抗体および二次ヤギ抗マウス抗体を含有するポリマーデキストラン結合体、続いて、セイヨウワサビペルオキシダーゼおよび二次ウサギ抗ヤギ抗体を含有するポリマーデキストラン結合体である、結合体No. 5の混合物、ならびにHRP発色体での染色を用いるFFPE乳房組織におけるエストロゲン受容体の免疫可視化を記載する。アッセイ設定は図1−Cに示される。2つの異なる患者からの乳房組織の4マイクロメートル切片を用いた。
【0182】
組織切片の切断、設置、脱パラフィン、水浴およびS1700(DakoCytomation, Carpenteria, CA)を用いる抗原検索、およびペルオキシダーゼブロッキングは実施例6、9および10にて前述した通りであった。免疫可視化は、実施例12に記載された自動プロトコルに従って、一般的セクションにて前述したように行った。
【0183】
エストロゲン受容体(DakoCytomation, Carpenteria, CA)を認識する一次モノクローナル抗体クローン1D5を、緩衝剤希釈液(DakoCytomation, Carpenteria, CA)中で1:2700希釈した。結合体No. 2を、各々、1:275および1:15の合計希釈にて結合体No. 3と混合した。結合体No. 5を1:30希釈した。緩衝液は実施例16におけるものと同一であった。
【0184】
平行して、実施例15において前述の方法に従って、PowerVision+TM(ImmunoVision Technologies, Co., Daly City, CA)を用いて免疫可視化を行った。一次抗体は同一希釈度で用いた。特定の抗体の代わりに、同一希釈液中において、陰性対照抗体(マウスIgG陰性対照, DakoCytomation, no. XO931)を用いて第二の実験を平行して行った。染色は20×、100×および200×倍率にてNikon顕微鏡(Nikon, Melville, NY)で評価した。
【0185】
図5A〜Dは第一のER染色乳房組織の顕微鏡写真である。ER抗体を用いる特異的染色は結合体No. 2、3および5(A)、またはPowerVision+TM(B)の組合せを用いて観察された。試料を盲検的に評価した(すなわち、調査者はスライドグラスを調製するのに用いた方法を知らなかった)。4分の1グレード増分の0〜4のスケールを用いた。染色強度は、各々、3.0および3.0のスコアであった。結合体No. 2、3および5(C)、またはPowerVision+TM(D)と組み合わせて陰性抗体対照を用いてシグナルは検出されなかった。従って、染色強度は双方について0のスコアであった。
【0186】
図5E〜Hは第二のER染色乳房組織の顕微鏡写真である。ER抗体を用いる特異的染色は、結合体No. 2、3および5(E)、またはPowerVision+TM(F)の組合せを用いて観察された。染色強度は、各々、2.0〜3.0および2.0〜3.0のスコアであった。結合体No. 2、3および5(G)、またはPowerVision+TM(H)と組み合わせて陰性対照抗体を用いてシグナルは検出されなかった。染色強度は双方について0のスコアであった。全ての顕微鏡写真は20倍倍率で撮った。
【0187】
顕微鏡写真は、全て、強い特異的染色を示し、陰性対照では染色を示さない。染色強度は、図5BおよびFにおける染色強度と比較して、図5AおよびEにおいて僅かに強かった。この強い染色強度は、EnvisionTM(DakoCytomation, Carpenteria, CA)に対するER抗体につき推奨される希釈の54倍、およびEnvisionTM+(DakoCytomation, Carpenteria, CA)に対して推奨される希釈の18倍である一次抗体の希釈で得られる。結論として、結合体No. 2、3および5を用いる染色は、PowerVision+TMと比較して特異的であって、かつ同等または僅かに強かった。
【0188】
実施例20:乳房組織におけるプロゲステロン受容体(PR)の比較染色
本実施例においては、FFPE乳房組織におけるプロゲステロン受容体を、先の実施例19におけるのと同一の結合体の混合物、すなわち、各々、二次ヤギ抗マウス抗体およびヤギ抗ウサギ抗体を含有するポリマーデキストラン結合体、続いての、セイヨウワサビペルオキシダーゼおよびウサギ抗ヤギ抗体を含有するポリマーデキストラン結合体、およびHRP発色体での染色を用いて可視的に検出した。
【0189】
組織前処理は実施例19に記載したように行った。免疫可視化は実施例12で前述したように行った。プロゲステロン受容体に対して特異的な一次モノクローナル抗体はクローンPR636(DakoCytomation, Carpenteria, CA)であった。それを緩衝剤希釈液(DakoCytomation, Carpenteria, CA)で1:2400希釈した。結合体希釈は実施例19のように、EnvisionTM(DakoCytomation, Carpenteria, CA)について推奨される希釈の54倍、およびEnvisionTM+ (DakoCytomation, Carpenteria, CA)について推奨される希釈の18倍である希釈であった。
【0190】
平行して、実施例15に前述の方法に従って、Powervision+TMを用いて免疫可視化を行った。第二の実験は、特定の抗体の代わりに、同一起源種の陰性対照抗体(NP015マウスIgG)(DakoCytomation, Carpenteria, CA)を用いて平行して行った。陰性対照は1:2400希釈した。
【0191】
図6A〜Dは第一のPR染色乳房組織の顕微鏡写真である。特異的染色は結合体No.2、3および5(A)またはPowerVision+TM(B)と組み合わせてPR抗体を用いて観察された。試料は盲検的に評価した(すなわち、調査者はスライドグラスを調製するのに用いた方法を知らなかった)。4分の1グレード増分の0〜4のスケールを用いた。染色強度は、各々、2.0〜3.5および2.0〜3.25のスコアであった。結合体No.2、3および5(C)またはPowerVision+TM(D)と共に陰性対照抗体を用いてシグナルは検出されなかった。染色強度は双方について0のスコアであった。
【0192】
図6E〜Hは第二のPR染色乳房組織の顕微鏡写真である。特異的染色は結合体No.2、3および5(E)、またはPowerVision+TM(F)と組み合わせてPR抗体を用いて観察された。試料は盲検的に評価された(すなわち、調査者はスライドグラスを調製するのに用いた方法を知らなかった)。4分の1グレード増分の0〜4のスケールを用いた。染色強度は、各々、2.0〜3.25および2.0〜3.5のスコアであった。結合体No.2、3および5(G)またはPowerVision+TM(H)と組み合わせて陰性対照抗体を用いてシグナルは検出されなかった。染色強度は双方について0のスコアであった。
【0193】
全ての顕微鏡写真は20倍倍率で撮った。顕微鏡写真は、全て、強い特異的染色を示し、陰性対照抗体を用いては染色を示さなかった。染色強度は図6BおよびEにおける染色強度と比較して、図6AおよびFではより強かった。強い染色強度は、EnvisionTM(Dakocytomation,Carpeteria、CA)について推奨される希釈の48倍、およびEnVision デュアルリンク(Dual link)+HRP(Dakocytomation, Carpeteria, CA)についての推奨される希釈の16倍である一次抗体希釈で得られた。結論として、染色強度はPowerVision+TMと比較して特異的かつより強かった。
【0194】
実施例21:2つのタンパク質の検出における検出限界
この実施例は、実施例19におけるような結合体の組合せを用いるCK20およびプロゲステロン受容体のFFPE乳房組織に対する免疫可視化についての短いプロトコルを記載する。一次抗体溶液を徹底的に希釈して、アッセイの検出限界を評価した。
【0195】
免疫可視化は実施例13で前述したように行った。サイトケラチン20(CK20)に対する一次モノクローナル抗体はクローンKs20.8マウスIgG2aカッパ(kappa)(DakoCytomation, Carpenteria, CA)であった。それを緩衝剤希釈液(DakoCytomation, Carpenteria, CA)中で1:600および1:3000で希釈した。プロゲステロン受容体に対する一次モノクローナル抗体はクローンPR636(DakoCytomation, Carpenteria, CA)であった。それを同一緩衝液中に1:200および1:1000希釈した。結合体希釈は実施例19におけるのと同様であった。一次抗体の第一のテストした希釈はEnVision(登録商標)についての推奨される希釈のほぼ5倍であり、EnVision+(登録商標)について推奨されるものに匹敵する。一次抗体の第二の希釈はEnVision(登録商標)についての推奨される希釈の25倍である。同時に、短いプロトコルおよびEnVision(登録商標)についてのインキュベーション時間は共に10分であり、他方、EnVision+(登録商標)は30分である。本実施例は、従って、シグナルに対するインキュベーション時間および一次抗体希釈の効果を示す。
【0196】
特定の抗体の代わりに、同一起源の種の陰性対照抗体(NP015マウスIgG)(DakoCytomation, Carpenteria, CA)を用いて第二の実験を平行して行った。陰性対照は1:200希釈した。図7A〜Fは染色された乳房組織の顕微鏡写真である。特異的染色は1:600希釈された(A)、1:3000希釈された(B)抗CK20抗体を用いて観察された。陰性対照は(C)に示す。染色強度は、各々、2.5;0.75および0のスコアであった。試料は盲検的に評価した(すなわち、調査者はスライドグラスを調製するのに用いられた方法を知らなかった)。
【0197】
特異的染色は1:200希釈された(D)、1:1000希釈された(E)抗PR抗体を用いて観察された。陰性対照は(F)に示される。染色強度は、各々、3.5;1.75および0のスコアであった。試料は盲検的に評価された(すなわち、調査者はスライドグラスを調製するのに用いられた方法を知らなかった)。顕微鏡写真は、全て強い特異的染色を示し、陰性対照では染色を示さなかった。染色強度は、より薄い一次抗体溶液を用いた図7BおよびEにおける染色強度と比較して、図7A およびDにおいてより強かった。結論として、より短いプロトコル、および希釈された一次抗体溶液にかかわらず、染色強度は驚く程強い。この実施例は、本発明のいくつかの態様のシグナル増強方法を用いて、より短い染色プロトコルを可能とし、依然として良好な染色強度を得る可能性を示す。
【0198】
実施例22:種々の細胞区画に位置した細胞タンパク質の比較検出
この実施例は、実施例20および21に記載されたのと同一の自動手法を用いるFFPE組織に対するいくつかの異なるタンパク質標的の免疫可視化を記載する。診断上重要な種々の標的は組織の種々の区画に位置し、マウスまたはウサギ一次抗体を用いてDAB染色によって免疫可視化された。
【0199】
組織予備処理は実施例20および21におけるように行った。実施例20および21におけるのと同一の結合体を用い、実施例12で前述したように免疫可視化を行った。種々の一次抗体は全てDakoCytomation(Dakocytomation, Carpenteria, CA)から入手し、緩衝剤希釈液(DakoCytomation, Carpenteria, CA)中に希釈した。用いた抗体は以下に記載する:
マウス抗ヒトサイトケラチン20、クローンKs20.8(マウスIgG2a,カッパ)、
ウサギ抗ヒト癌胎児性抗原(CEA)
ウサギ抗ヒトクロモグラニンA
マウス抗ヒトp53タンパク質、クローンDO−7(マウスIgG2b,カッパ)
マウス抗ヒトp63タンパク質クローン4A4(マウスIgG2a,カッパ)
マウス抗ヒト甲状腺転写因子(TTF−1)、クローン8G7G3/1、(マウスIgG1,カッパ)
ウサギ抗ヒト前立腺特異的抗原(PSA)
マウス抗ヒトCD68、マクロファージ、クローンPG−M11(マウスIgG3)
マウス抗ヒトALKタンパク質、クローンALK−1(マウスIgG3)
bcl−1とも呼ばれるマウス抗ヒトサイクリンD1、クローンDCS−6(マウスIgG2a)
マウス抗ヒトBCL6、クローンPG−B6p(マウスIgG1,カッパ)
マウス抗ヒトCD20,B細胞,クローンL26(マウスIgG2a,カッパ)
ウサギ抗ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ。
【0200】
結合体希釈は実施例19および20に記載された通りであった。アッセイ設定は「NDS−1」と呼ばれ、図1−Cに示される。平行して、実施例15に記載された方法に従って、PowerVision+TMを用いて免疫可視化を行った。第二の平行実験は特定の抗体の代わりに同一起源種陰性対照抗体(ユニバーサル陰性対照(Universal Negative Control),UNC,NP001,ウサギIgGおよびNP015マウスIgG)(DakoCytomation, Carpenteria, CA)を用いて行った。
【0201】
以下の表4は、スライドの数、一次抗体、一次抗体希釈、組織試料タイプ、用いた可視化システム、光学倍率、および得られた染色強度スコアに関して染色実験をまとめる。スライドは8−AA〜8−NDで示す。図8AA〜8NDは10または20倍倍率で撮ったDAB染色組織の顕微鏡写真である。
【0202】
【表4】

【0203】

【0204】
顕微鏡写真は、結腸上のCK20を用いる8−ACおよび扁桃上のCD68を用いる8−ICを除いて、全て強い特異的染色を示し、NDS−1設定を用いる陰性対照では染色を示さなかった。PowerVision+TMは、扁桃上のCK20を用いるスライド7−AD、扁桃上のCD68を用いる7−ID、および扁桃上のスライド7−LD、bcl−6(それらは共に許容され得ないバックグランドを与えた)を除いて、陰性対照について染色を与えなかった。PowerVision+TMは結腸上のスライド7−AB、CK20 および扁桃上のスライド7−IB、CD68に対して高い非特異的バックグラウンドを与え、他方、NDS−1可視化システムは同様の非特異的染色を示さなかった。一般に、NDS−1可視化システムにより、PowerVision+TMと同一かまたはそれよりも高い染色強度が生じた。この染色強度は結腸上のCEA、膵臓上のクロモグラニンA(Chromoganin A)、前立腺上のPSAに対して有意により強く、扁桃上のANK、HNSC上のbcl−1、胸腺上のTdTに対して僅かにより強いのに過ぎなかった。
【0205】
このCEA、クロモグラニンAおよびPSAは全てウサギ一次抗体であり、NDS−1システムは真にデュアルなリンク可視化システムであることを示し、全てのマウスおよびウサギ一次抗体に対して高い染色強度を与える。
【0206】
PowerVision+TMと比較したより強い強度は、さらに、一次抗体を希釈した場合に示される。検出は結腸上の抗CEAの1:68000希釈および前立腺組織上の抗PSAの1:120000希釈におけるNDS−1を用いて観察された。PowerVision+TMはこれらの試料においてバックグラウンドを超えて組織をほとんど染色し得なかった。
【0207】
PowerVision+TMでの扁桃上のbcl−6および結腸上のCK−20はより強い染色を与えるように見えた。これは人工物であり、一般的なバックグラウンドがNDS−1システムに対してよりも高いからである。これは、陰性対照一次抗体を用いる明らかな染色によって示される。まとめると、染色強度は、全ての種々の組織および標的に対して特異的であり、PowerVision+TMと同等に強いか、またはより強かった。バックグラウンドは、一般にはPowerVision+TMよりも低くかった。
【0208】
実施例23:アルカリ性ホスファターゼと連結した二次抗体共役を用いる、FFPE調製中の種々の標的の比較染色
この実施例は、リンク共役番号2および共役番号3の混合物を用いて種々の組織の4−マイクロメートルFFPEセクションにおける種々のタンパク質標的の免疫可視化を記載する。したがって、ポリマーデキストラン共役(共役番号6)が使用されたが、それは二次ヤギ抗ウサギ抗体および二次ヤギ抗マウス抗体をそれぞれ含有し、続くポリマーデキストラン共役は、アルカリ性ホスファターゼおよび三次ウサギ抗ヤギ抗体を含有した。結果は赤色AP発色体、フクシン+(DakoCytomation, Carpenteria, CA)での染色によって可視化された。アッセイ設定は図1−Fに示され、「Advance AP」として以下で記載される。
【0209】
染色は、HRP ChemMate/DAB(DakoCytomation, Carpenteria, CA)、AP EnvisionTM+(DakoCytomation, Carpenteria, CA)、AP LSAB+(DakoCytomation, Carpenteria, CA)、APAAP(DakoCytomation, Carpenteria, CA)またはAP PowerVision+TM(Immu番号Vision Tech番号logies, Co.,Daly City,CA)染色システムを用いる染色と比較され、全てDakoCytomation Autostainer(DakoCytomation, Carpenteria, CA)を用いて製造業者の指示に従って行われた。
【0210】
染色プロトコルは実施例12に記載されたHRPシステムと同様であった。つまり、前に記載されたように、スライドをキシレンで脱パラフィン化し、再度水和した。個々の一次抗体に対する仕様書シート推奨に従って標的回復を行った。標的回復の後に、スライドを濯ぎ、洗浄緩衝液に配置した。スライドを一次抗体または陰性対照抗体と共に室温にて30分間インキュベートした。過剰の緩衝液を除去し、スライドを3回洗浄した。スライドを、共役番号2および3のカクテル(Advance APリンク)で30分間(+/−1分)インキュベートしたが、抗体希釈緩衝液(DakoCytomation, Carpenteria, CA)(スライド当たり300μL)中、ヤギ抗ウサギおよびヤギ抗マウスデキストランポリマー(1:200および1:25希釈)をそれぞれ含有した。過剰の緩衝液を除去し、スライドを3回洗浄した。
【0211】
スライドを、AP EnvisionTM+ (DakoCytomation, Carpenteria, CA)で用いたのと同一の緩衝液に1:13.に6希釈したウサギ抗ヤギおよびアルカリ性ホスファターゼ(Advance AP酵素試薬)を含有する共役番号6でインキュベートしたが、それはBSA、安定化剤、抗微生物剤、亜鉛、マグネシウムおよびpH7.2における塩を含有している。
【0212】
共役番号6をスライド上で30分間(+/−1分)インキュベートした(スライド当たり300μL)。過剰の緩衝液を除去し、スライドを3回洗浄し、その後製造業者(DakoCytomation, Carpenteria, CA)の指示に従って、フクシン+AP発色体で10分間(+/−1分)処理した。
【0213】
全てのスライドをMayersヘマトキシリンで1分間対比染色し、その後、先の実施例におけるようにカバーグラスを設置した。
【0214】
表5において、タンパク質マーカー、細胞局在化、クローン番号、供給業者からのコード番号および種々の希釈比率をまとめる。
【0215】
【表5】

【0216】
抗原回復(HIER)前処理は、700ワットのマイクロ波オーブン中で7分間、続いて300ワットにて15分間、標的回復溶液pH9(DakoCytomation, Carpenteria, CA)中で加熱することによって行った。スライドをほぼ60℃まで冷却し、その後、さらに処理した。
【0217】
S100抗体に対し、抗原回復方法は室温での4分間のプロテイナーゼK(DakoCytomation S3020)での処理であった。
【0218】
NeoMarker (AH Diagnostics, Aarhus V,Denmark)から供給されたサイクリンD1を除いて、全ての一次抗体は、DakoCytomation(DakoCytomation, Carpenteria, CA)からであった。抗体を標準抗体希釈剤(DakoCytomation, Carpenteria, CA)で希釈した。
【0219】
免疫組織化学反応は、FFPEマルチブロックの連続セクション上で行われ、それは異なるレベルの目的の抗原をもつ、種々の正常な組織タイプおよび腫瘍を含有した。
【0220】
各マーカーについては、スライドを同時に処理し(セクション、乾燥、脱パラフィン化およびエピトープ回復)、最終的に2つのDakoCytomation Autostainers(DakoCytomation, Carpenteria, CA)で染色して、全ての検出システムについての最適な条件を確認し、異なるセクション取り扱いによる変動、すなわち、HIER等を低下させた。
【0221】
ChemMate EnVisionTM/HRPおよびEnVision/Apプロトコルの染色はAutostainer 1でそのように行い、他の方法はAutoastainer2で行った。同一の抗体溶液および試薬を双方の染色機に用いた。
【0222】
特異的およびバックグラウンド反応の双方をスコアした。各スライドを評価し、マルチブロック中の種々の組織における染色の平均に基づいてスコアを与えた。4分割グレードの増分において0〜3のスケールを用いた。スコアシステムを:染色無しまたは非常に弱い(スコア0)、弱い染色(スコア1)、中程度の染色(スコア2)および強い染色(スコア3)としてまとめた。全てのスライドは盲目的に、かつ3個体によって評価された。
【0223】
スコアは特異的染色およびバックグラウンド染色に与えられ、例えば、3/1は3の特異的染色強度および1のバックグラウンド染色を示す。いくつかの染色は非常に弱いかまたは散漫であたため、強度においてボーダーラインの1スコアとしてのスコアが与えられた。これは「(1)」によって示される。
【0224】
表6は結果のまとめを提供する。
【0225】
【表6】

【0226】

【0227】

【0228】
トライアルの1つ(番号8)は、おそらくは、実験的手法のエラーのため染色を与えなかった。
【0229】
本実験においては、Advance/AP検出システムは他のAP−システムと比較して最も感受性の高い検出システムであった。2−工程方法EnVisionTM/AP K4017と比較して、Advance APは、8〜16×一次抗体力価の差をもってしても、感度の有意な増加を提供した。Advance APシステムは7つのテストしたマーカーのすべてにおいて優れた結果を示した。特にAdvance APシステムは、サイトケラチン陽性小胞樹状細胞、およびCD45陽性ミクロ神経膠細胞等の構造/細胞を染色し得た。EnVisionTMはこれをなし得なかった。
【0230】
3−工程方法APAAP(K0670)およびLSAB+(K0678)は共に感度の点でAdvance APよりも劣っていた。より重要なことには、Advance APはウサギおよびマウス両一次抗体を可視化し得た。対照的に、APAAPは一次マウス抗体を検出し得たに過ぎなかった。
【0231】
Advance APの染色は、一般には、抗−CD45および抗−汎サイトケラチンに特異的なモノクローナルマウス抗体に対するPowerVision+と匹敵するものであった。モノクローナルマウス抗−Ki67に関して、PowerVision+はより感受性が高いのは明白であり−この設定においては、ほぼ4倍に大きいシグナル強度であった。
【0232】
ポリクローナルウサギおよびモノクローナルウサギ(SP4)を比較することによって、Advance APは、ほぼ4フォールド(fold)の感度の改良をもってPowerVision+よりも終始一貫して高い感受性であった。核抗サイクリンD1クローンSP4(ウサギ)、および細胞質マーカーは共にAdvance APで増幅された。
【0233】
Advance APを用いて、再現可能な非特異的反応は観察されなかった。場合によっては、焦点バックグラウンド反応が、例えば、垂における表面上皮および筋肉層において観察された。この現象は陰性反応でも観察された。この反応はまた、PowerVision+を用いて観察された。
【0234】
図9A〜Kは20倍倍率で撮影した、得られた染色結果の代表的な顕微鏡写真である。
【0235】
図9A、B、CおよびDは、Advance AP(A);EnVision AP(B)、LSAB AP(C)およびPowerVision AP(D)を用いる抗汎サイトケラチンAE1/AE3(1:200に希釈)染色肝臓FFPE試料の顕微鏡写真である。
【0236】
図9E、F、GおよびHは、Advance AP(E);EnVision AP (F)、LSAB AP(G)およびPowerVision AP(H)を用いる抗汎サイトケラチンクローンAE1/AE3(1:200に希釈)染色結腸腺癌FFPE試料の顕微鏡写真である。
【0237】
図9I、JおよびKは、Advance AP(I);LSAB AP(K)およびPowerVision AP(L)を用いるサイクリンD1 SP4(1:200に希釈)染色扁桃FFPE試料の顕微鏡写真である。
【0238】
結論として、本実施例で記載したシステムは、HRPおよびDABを用いるChemMate EnVision K5007に対して少なくとも類似の感度を有する。Advance APは(HMB45, Melan−A等の)内因性茶色色素によって問題を排除する。EnVision/APおよびLSAB+/APと比較して、感度の有意な増加は、偽陰性反応の危険性を低下させることによって、ほとんどの研究所にとってかなり魅力的なはずである。APAAPと比較して、Advance APは、感度を増幅すると共に、マウスおよびウサギ双方の抗体について同一システムを用いることを可能とし、これは、プロトコル設定において柔軟性を与える。
【0239】
Advance APは、マウスおよびウサギ抗体を共に増幅するが、それはPowerVision+APよりも優れており、記載されたシステムは、抗−サイクリンD1クローンSP4、抗−p504sクローン等のウサギモノクローナル抗体の次世代に対して好ましくあり得る。
【0240】
実施例24:アルカリ性ホスファターゼに連結された抗体共役を用いるインプリント試料上の標的比較染色
以下の実施例は、先の実施例23に記載されたのと同一のAP可視化システムおよび染色手法を用いた。Advance APおよびEnVision APを用いる種々のインプリント試料の染色強度を比較した。
【0241】
本実施例における双方の検出システムは発色体としてフクシン+(DakoCytomation, Carpenteria, CA)を用いた。染色は、洗浄緩衝液S3006(DakoCytomation, Carpenteria, CA)を用いてAutostainer Plus(DakoCytomation, Carpenteria, CA)で行った。
【0242】
表7は調査したマーカーのまとめ、ならびに得られた結果を提供する。
【0243】
【表7】

【0244】
番号1、2および3において、90秒間アセトン中で固定したリンパ節のインプリントを調査した。番号4、5および6において、10分間10%中性緩衝化ホルマリン(NBF)中で固定したメラノーマのインプリントを調査し、続いて、5分間、700ワット、続いて、10分間、350ワットのマイクロ波オーブン中pH6の10mMクエン酸緩衝液中でHIERを行った。
【0245】
抗体は、Novocastra(TriChem, Frederikssund, Denmark)からのマウス抗CD3以外は、全てDakocytomationからであった。全ての抗体を標準抗体希釈剤(DakoCytomation, Carpenteria, CA)中で希釈した。
【0246】
図10A〜Dは、10倍倍率で撮影した、得られた染色結果の代表的な顕微鏡写真である。
【0247】
図10AおよびBは、Advance AP(A)およびEnVisionTM AP(B)をそれぞれ用いるメラノーマ試料の抗ビメンチン染色インプリントの顕微鏡写真である。
【0248】
図10CおよびDは、Advance AP(C)およびEnVisionTM AP(D)をそれぞれ用いるリンパ節試料の抗CD3染色インプリントの顕微鏡写真である。
【0249】
陰性対照抗体はDakoCytomationコード番号S0809(DakoCytomation, Carpenteria, CA)であり、検出可能な染色を生じなかった。
【0250】
Advance APで得られた結果は、一般にはEnVisionTMAPで得られた結果よりも優れていた。反応の強度は、Advance APを用いて、より強くかつより区別されるものの双方であった。EnVisionTMAPを用いるT−細胞に対する染色CD3は実際には陰性であるが、Advance APで容易に同定された。同様な結果がメラノーマ細胞の抗−ビメンチン試料で観察された。したがって、Advance APは検出可能なシグナルを生じ、他方、EnVisionTMは生じなかった。
【0251】
強いAP−ベースのシステムは、内因性酵素ペルオキシダーゼ活性のためHRP−システムよりも好ましくあり得る。該APシステムはまた、鮮明な赤色のフクシン+/ファストレッドTRおよび核を染色する青色ヘマトキシリンのコントラストも提供する。
【0252】
実施例25:ハプテン標識二次抗体共役およびホースラディッシュペルオキシダーゼを有するポリマー抗ハプテン共役を用いる扁桃の染色
この実施例は、共役番号8(DNP標識二次ヤギ抗マウス抗体を含有するポリマーデキストラン共役)、続く共役番号7(ホースラディッシュペルオキシダーゼおよびウサギFab2抗DNP抗体を含有するポリマーデキストラン共役)、およびHRP発色体(DABプラス)による染色を用いる、FFPE試料調製における扁桃上の核マーカーBcl−2癌タンパク質の免疫可視化を記載する。アッセイ設定は図1−Gに示す。
【0253】
つまり、試料は扁桃を含めた種々の組織によるFFPEマルチブロックであった。実施例11に記載したように、試料を切断し、設置し、脱パラフィン化し、再水和した。製造業者の指示(DakoCytomation, Carpenteria, CA)に従って、トリス−EDTA pH9.0を用いてスライドを抗原回復した。手法の一般的な染色手順は実施例11に記載した通りであった。つまり、一次抗体、マウス抗Bcl−2(Dakocytomation, Carpenteria, CA)を緩衝液S2022(DakoCytomation, Carpenteria, CA)中で1:200に希釈し、200マイクロリットルを適用し、室温で30分間インキュベートした。スライドを、洗浄緩衝液中((TBS)およびTween20(Dakocytomation, Carpenteria, CA)を含有する)で2回洗浄した。DNP標識GAMポリマーを、BSAおよび抗微生物剤を含有する共役緩衝液中で1:10に希釈し、200マイクロリットルを適用し、室温にて30分間インキュベートした。スライドをS3006中で2回洗浄し、然る後、室温にて30分間共役7(上記したのと同一の共役緩衝液中で1:10に希釈した)でインキュベートした。スライドをS3006中で2回洗浄し、然る後、製造業者の指示に従ってDAB+(Dakocytomation, Carpenteria, CA)により10分間可視化した。前に記載したように、スライドを洗浄し、対比染色し、カバーグラスを載せた。
【0254】
平行して、製造業者の指示に従って、EnvisionTM (Dakocytomation, Carpenteria, CA)を用いてスライドを免疫染色した。
【0255】
図11AおよびBは、ハプテン標識GAMポリマーならびに抗DNP−HRPポリマー(A)およびEnVision(B)をそれぞれ用いて抗bcl−2染色扁桃FFPE試料を4倍倍率で撮影した顕微鏡写真である。
【0256】
染色パターンは双方のシステムで予測された通りであった。本実施例におけるシステムは検出可能なバックグラウンドを伴わないが、非常に強く、特異的かつ鮮明な染色(3+)を示した。参照システムは良くても同一の染色強度であった。
【0257】
参照システムは、長い開発の仕事に基づいた最適化されたシステムであるので、これは驚くべきことである。この実施例は、本発明のハプテンでコードされたポリマー層を用いる可能性を示す。これは、例えば、マルチ染色システムに対して、および増幅された可視化システムにおいて重要である。
【0258】
実施例26:ハプテン標識一次抗体、ポリマー抗ハプテン共役、およびホースラディッシュペルオキシダーゼと連結された抗体共役を用いるBcl−2癌タンパク質の染色
この実施例は、DNP標識マウス抗Bcl−2、ウサギ抗DNP Fab2抗体を含有するポリマーデキストラン共役(共役番号9)、続くホースラディッシュペルオキシダーゼおよびヤギ抗ウサギIgG抗体を含有するポリマーデキストラン共役(EnVisionTMK4003)(Dakocytomation, Carpenteria, CA)、およびHRP発色体(DABプラス)での染色を用いる扁桃上の核マーカーBcl−2癌タンパク質の免疫可視化を記載する。アッセイ成分は図1−Hに示される。
【0259】
アフィニティ精製一次抗体マウス抗ヒトBcl−2癌タンパク質免疫グロブリン(クローン124、イソタイプIgG1カッパ)(Dakocytomation, Carpenteria, CA)は、ポリマー共役について、実施例2に記載された方法を用いた標識されたDNPであった。該方法は平均してIgG当たり2.7DNP分子、および700 10−8Mの抗体濃度を提供した。手法染色は前の実施例25に記載したように行った。
【0260】
DNP標識抗体を1:100に希釈し、ウサギ抗DNP共役番号9を1:10に希釈した。該共役を、製造業者の指示(DakoCytomation, Carpenteria, CA)に従って用いた。
【0261】
平行して、スライドを、1:200に希釈したbcl−2(DakoCytomation, Carpenteria, CA)に対する非修飾一次抗体ならびにEnvisionTM(DakoCytomation, Carpenteria, CA)およびDAB+で染色した。
【0262】
図12AおよびBは、ハプテン標識bcl−2抗体、抗DNPポリマーおよびヤギ抗ウサギHRP共役(A)、ならびに非共役一次抗体およびEnVisionTM(DakoCytomation, Carpenteria, CA)(B)を用いる染色をそれぞれ用いる、抗bcl−2染色扁桃FFPE試料を4倍倍率で撮影した代表的な顕微鏡写真である。
【0263】
結果は、染色の予測された局所化を示したが、幾分弱かった(0.5+)。参照は予測された染色パターンでもって強く染色された(3+)。この実施例は、標識された一次抗体または試薬を用いる、本発明の可視化システムの一部としての可能性を示す。
【0264】
ハプテンでコードされた一次抗体またはプローブを用いることによって、他のIgGに対して向けられた二次または三次抗体のみを用いる立体配置よりも柔軟性を持つアッセイ立体配置を構築することが可能であろう。
【0265】
実施例27:ポリマー一次マウス抗体、マウスに対するポリマー二次共役、およびアルカリ性ホスファターゼと連結した二次抗体共役を用いるBcl−2癌タンパク質の染色
この実施例は、共役番号10(マウス抗ヒトBcl−2を含有するポリマーデキストラン共役)、続く実施例23および24に記載されたのと同一の共役カクテル、すなわち、Advance APを用いるFFPE試料における扁桃上のBcl−2癌タンパク質の手法免疫可視化を記載する。GARおよびGAMを含有するポリマー共役(共役番号2および3)、ならびにウサギ抗ヤギおよびアルカリ性ホスファターゼを含有するポリマー共役(共役番号6)を含有するカクテルを用いた。アッセイの設定は図1−Iに示す。
【0266】
用いた試料および抗原回復は実施例25に記載した通りであった。第一の共役(共役希釈剤中で1:100に希釈した共役番号10)を室温にて30分間インキュベートした。液体パーマネントレッド(Dakocytomation, Carpenteria, CA)をAP発色体として用いた以外、次の工程は実施例23に記載した通りであった。スライドをヘマトキシリン(haematoxylin)対比染色し、前に記載したようにカバーグラスを載せた。
【0267】
平行して、製造業者の指示に従って、1:200に希釈した非共役抗体(Dakocytomation, Carpenteria, CA)およびEnvisionTMAPを用いて試料を染色した。
【0268】
図13AおよびBは、抗bcl−2ポリマー共役およびAdvance AP(A)ならびにbcl−2およびEnVisionTM AP(B)をそれぞれ用いる、bcl−2染色扁桃FFPE試料を4倍倍率で撮影した代表的な顕微鏡写真である。
【0269】
染色パターンは双方のシステムについて予測された通りであった。本実施例における該システムは、検出可能なバックグラウンドを伴わないが、非常に強く、特異的かつ鮮明な染色(2.5+)を示した。参照システムは、わずかにより鋭く局所化されたように見えたが、同一またはわずかにより高い染色強度であった。
【0270】
一次抗体を含有する共役のより大きな分子量は染色効率に対して負に影響しなかったことは幾分驚くべきことである。
【0271】
実施例28:マウスおよびウサギ一次抗体カクテル、ならびにホースラディッシュペルオキシダーゼまたはアルカリ性ホスファターゼと連結されたポリマー二次共役を用いるFFPE前立腺試料の二重染色
この実施例は、本発明の共役の組合せを用いる3つのマウスおよびウサギ抗体の二重免疫可視化を記載する。ウサギ抗体を、ヤギ抗マウスデキストラン共役(番号2)ならびにウサギ抗ヤギおよびアルカリ性ホスファターゼ共役を含有する共役(番号6)の組合せで可視化した。ブタ抗マウスIgGおよびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有する共役(共役番号11)を用いて2つのマウス抗体を可視化した。アッセイ成分は図1−Kに示す。
【0272】
前に記載されたように、FFPE前立腺試料を切断し、設置し、脱パラフィン化した。標的回復溶液(Target Retrieval Solution) S2367(DakoCytomation, Carpenteria, CA)を用いて抗原回復を行った。試料を96℃の水浴中に20分間配置した。
【0273】
TBS/Tween20緩衝液(Dakocytomation, Carpenteria, CA)中での洗浄の後、スライドをデュアル内因性酵素ブロック試薬(DakoCytomation, Carpenteria, CA)で処理した。
【0274】
スライドを、Dakocytomation希釈緩衝液(DakoCytomation, Carpenteria, CA)中のウサギおよびマウスモノクローナル抗体のカクテルでインキュベートした。希釈は以下の通りであった:モノクローナルウサギ抗−ヒトP504Sクローン13H4を1:100に希釈し;モノクローナルマウス抗−ヒトp63タンパク質クローン4A4を1:150に希釈し;およびモノクローナルマウス抗−ヒトHMWサイトケラチンクローン34βE12を1:100に希釈した。これらの抗体はDalocytomation(DakoCytomation, Carpenteria, CA)から入手した。
【0275】
洗浄の後、スライドを、ブタ抗マウスおよびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有する共役番号11ならびにヤギ抗ウサギを含有する共役番号2のカクテルで処理した。洗浄の後、スライドを、ウサギ抗ヤギおよびアルカリ性ホスファターゼを含有する共役番号6でインキュベートした。
【0276】
製造業者の指示に従って、染色を、最初にDAB+(Dakocytomation, Carpenteria, CA)を適用し、次いで、液体パーマネントレッド(Dakocytomation, Carpenteria, CA)を適用することによって行った。
【0277】
スライドをヘマトキシリン(haematoxylin)(DakoCytomation, Carpenteria, CA)で対比染色し、その後、カバーグラスを載せて調べた。染色をまた、HRP試薬およびAP試薬のみでも行った。
【0278】
図14A〜Cは4倍倍率で撮影された代表的な顕微鏡写真である。示された染色前立腺FFPE試料は別々のHRP(A)、AP(B)および組み合わせた染色(C)を用いる。
【0279】
図14(A)は、腺を囲う基底細胞の実証された染色による良性前立腺過形成の特異的DAB染色を示す。
【0280】
図14(B)は、ウサギモノクローナルP504s抗体での前立腺腺癌に対するAP液体パーマネントレッド染色を示し、侵襲性癌および前立腺上皮内新形成(「PIN」)の領域における染色を示す。
【0281】
図14(C)は前立腺癌腫に対する二重染色を示す。それは、前立腺を囲う基底細胞におけるHMW CKおよびp63抗体の強い核染色ならびに細胞質染色(DAB,茶色)を示す。P504sの中程度の発現はPIN(液体パーマネントレッド)の領域で見られる。
【0282】
本実施例における新しい検出成分の組合せは、カクテルを用いるのが容易な多数の抗体の使用を示す。このシステムは単一スライドでの非常に高い感度および確実性による1を超えるマーカーの可視化および同定を可能とする。これは改良された診断テストを提供する。さらに、該実施例は他の可視化システムによる本発明の適合性を示す。
【0283】
明細書中および特許請求の範囲で用いられる成分量、反応条件などを表す全ての数字は、用語「約」によって全ての場合修飾されるとして理解されるべきである。従って、反対のことが示されない限り、明細書中および添付の特許請求の範囲に記載された数字パラメーターは近似であり、本発明によって得られることが求められる所望の特性に依存して変化し得る。少なくとも、特許請求の範囲に対して均等の原理を適用するのを制限する試みはなく、各数字パラメーターは有意なディジットの数および通常のラウンドアプローチ(rounding approach)に照らして解釈されるべきである。
【0284】
当業者に明らかなように、本発明の多くの修飾および変形がその精神および範囲を逸脱することなくなし得る。本明細書中に記載された特異的な態様は、実施例のみによって供され、いかなる方法でも限定する意図ではない。明細書および実施例は例示的のみとして考えられることを意図し、本発明の真の範囲および精神は、続く特許請求の範囲によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0285】
【図1】図1は種々の共役組合せ:(A)組織上の標的生物学的マーカー、一次抗体、ポリマーウサギ抗マウス二次抗体、およびヤギ抗マウスおよびヤギ抗ウサギ二次抗体の混合物(EnvisionTM+)(Dakocytomation, Carpenteria, CA);(B)組織上の標的生物学的マーカー、一次抗体、ウサギ抗マウス二次抗体およびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有するポリマーコンジュゲート、および抗マウスおよびホースラディッシュペルオキシダーゼ、およびヤギ抗マウス二次抗体およびホースラディッシュペルオキシダーゼの混合物(EnvisionTM+)(Dakocytomation, Carpenteria, CA);(C)組織上の標的生物学的マーカー、一次抗体、ヤギ抗マウス二次抗体およびヤギ抗ウサギ二次抗体を含有するポリマー共役、およびウサギ抗ヤギおよびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有するポリマーコンジュゲートの混合物;(D)組織上の標的生物学的マーカー、一次抗体、ウサギ抗マウス二次抗体、およびヤギ抗ウサギおよびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有するポリマー共役;(E)組織上の標的生物学的マーカー、一次抗体、ヤギ抗マウス二次抗体およびハプテン標識ヤギ抗ウサギ二次抗体を含有するハプテン標識ポリマー共役、および抗ハプテン抗体およびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有するポリマーコンジュゲートの混合物;(F)組織上の標的生物学的マーカー、一次抗体、ヤギ抗マウス二次抗体およびヤギ抗ウサギ二次抗体を含有するポリマーコンジュゲート、およびウサギ抗ヤギおよびアルカリ性ホスファターゼ(ALP)を含有するポリマーコンジュゲートの混合物;(G)組織上の標的生物学的マーカー、一次マウス抗体、ヤギ抗マウス二次抗体を含有するDNAP標識ポリマーコンジュゲート、およびウサギ抗DNP抗体およびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有するポリマーコンジュゲート;(H)組織上の標的生物学的マーカー、DNP標識マウス一次抗体、ウサギ抗DNP抗体を含有するポリマーコンジュゲート、およびヤギ抗ウサギ二次抗体およびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有するポリマーコンジュゲート;(I)組織上の標的生物学的マーカー、一次マウス抗体を含有するポリマーコンジュゲート、ヤギ抗マウス二次抗体およびヤギ抗ウサギ二次抗体を含有するポリマー共役、およびウサギ抗ヤギおよびアルカリ性ホスファターゼを含有するポリマーコンジュゲート;(J)組織上の標的生物学的マーカー、mycタグド一次抗体断片、マウス抗myc抗体を含有するポリマー共役、およびヤギ抗マウスおよびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有するポリマーコンジュゲート;(K)組織上の2つの標的生物学的マーカー、2つの一次マウス抗体によって認識された第一のもの、ブタ抗マウスおよびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有するポリマーコンジュゲート、および一次ウサギ抗体、およびヤギ抗ウサギ二次抗体を含有するポリマーコンジュゲート、およびウサギ抗ヤギおよびアルカリ性ホスファターゼを含有するポリマーコンジュゲートによって認識される第二のマーカー;(L)組織上の2つの標的生物学的マーカー、一次マウス抗体、ヤギ抗マウス二次抗体を含有するポリマー共役、およびブタ抗ヤギ二次抗体およびアルカリ性ホスファターゼを含有するポリマー共役によって認識される第一のもの、および遺伝子標的に対するハプテン標識プローブ、ウサギおよびハプテン抗体を含有するポリマー共役、およびブタ抗ウサギおよびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有するポリマーコンジュゲートによって認識される第二のマーカー;(M)組織上の2つの標的生物学的マーカー、一次マウス抗体、ヤギ抗マウス二次抗体、およびブタ抗ヤギ抗体および金粒子を含有するポリマー共役によって認識される第一のもの、および遺伝子標的に対するハプテン標識プローブ、ウサギ抗ハプテン抗体を含有するポリマー共役、および多数蛍光Fitc分子で標識されたブタ抗ウサギを含有するポリマーコンジュゲートによって認識される第二のマーカー;(N)マウスまたはウサギ一次抗体によって認識される組織上の標的生物学的マーカー、ハプテン標識ヤギ抗マウス二次抗体およびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有するポリマーコンジュゲート、およびハプテン標識ヤギ抗ウサギ二次抗体およびホースラディッシュペルオキシダーゼの混合物、および抗ハプテン抗体およびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有するポリマー共役;(O)マウス一次抗体によって認識される組織上の標的生物学的マーカー、ヤギ抗マウス二次抗体およびウサギ抗ハプテンを含有するポリマー共役、およびアルカリ性ホスファターゼを含有するハプテン標識ポリマー共役;(P)遺伝子標的に対するハプテンno.1標識プローブによって認識される組織上の標的生物学的マーカー、ハプテンno.1に対する抗体およびハプテンno.2に対する抗体を含有するポリマーコンジュゲート、ハプテンno.2およびアルカリ性ホスファターゼを含有するポリマーコンジュゲート;(Q)マウスまたはウサギ一次抗体によって認識される組織上の標的生物学的マーカー、ヤギ抗マウスおよびヤギ抗ウサギ抗体を含有するポリマーコンジュゲート、およびハプテン標識ウサギ抗ヤギ抗体の混合物、および抗ハプテン抗体およびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有するポリマーコンジュゲート;(R)マウスまたはウサギ一次抗体によって認識される組織上の標的生物学的マーカー、ヤギ抗マウス抗体およびホースラディッシュペルオキシダーゼ、およびヤギ抗ウサギ抗体およびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有するポリマー共役、およびハプテン標識ウサギ抗ヤギ二次抗体およびホースラディッシュペルオキシダーゼの混合物、および抗ハプテン抗体およびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有するポリマーコンジュゲート;(S)マウスまたはウサギ一次抗体によって認識される組織上の標的生物学的マーカー、テキサスレッド標識ヤギ抗マウス抗体およびテキサスレッド標識ヤギ抗ウサギ抗体を含有するポリマーコンジュゲート、およびハプテン標識ウサギ抗ヤギ抗体の混合物、および抗ハプテン抗体および複数テキサスレッド蛍光分子を含有するポリマーコンジュゲート;(T)組織上の2つの標的生物学的マーカー、テキサスレッド標識一次マウス抗体、ヤギ抗マウス二次抗体および複数テキサスレッド分子を含有するポリマーコンジュゲート、およびブタ抗ヤギ抗体およびグルコースオキシダーゼ酵素を含有するポリマーコンジュゲートによって認識される第一のもの、および遺伝子標的に対するFitc標識プローブ、抗ハプテン抗体および複数パシフィックブルー蛍光分子を含有するポリマーコンジュゲート、および抗パシフィックブルー抗体およびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有するポリマー共役によって認識される第二のマーカーの模式的説明を示す。
【図2】図2A〜Dは接合物1およびEnvisionTM+の組合せ(A)(Dakocytomation, Carpenteria, CA)、未接合物RaM(B)、EnvisionTM+(C)またはPowerVision+TM(Immunovision, Springdale, AZ)システム(D)を用いるKi67染色扁桃組織の顕微鏡写真である。
【図3】図3A〜Dは、接合物No. 1およびEnvisionTM+の組合せ(A)(Dakocytomation, Carpenteria, CA)、未接合物RaMおよびEnvisionTM+(Dakocytomation, Carpenteria, CA)(B)、EnvisionTM+(Dakocytomation, Carpenteria, CA)(C)、またはPowerVision+TM(Immunovision, Springdale, AZ)(D)を用いるサイトケラチン染色乳房癌腫組織の顕微鏡写真である。
【図4】図4A〜Dは、共役No. 4およびEnvisionTM+(Dakocytomation, Carpenteria, CA)の組合せ、未接合物RaMおよびEnvisionTM+(Dakocytomation, Carpenteria, CA)(B)、EnvisionTM+(Dakocytomation, Carpenteria, CA)(C)、またはPowerVision+TM(Immunovision, Springdale, AZ)(D)を用いるKi−67染色乳房癌腫組織の顕微鏡写真である。
【図5】図5A〜Dは、第一のエストロゲン受容体染色乳房組織の顕微鏡写真である:ポリマーヤギ抗ウサギおよびヤギ抗マウス二次抗体の混合物、続いて、ウサギ抗ヤギおよびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有するポリマーコンジュゲート(NDS−1)(A)、またはPowerVision+TM(Immunovision, Springdale, AZ)(B);陰性抗体対照染色はNDS−1を用いて行った(C)、またはPowerVision+TM(Immunovision, Springdale, AZ)(D)で可視化されたエストロゲン受容体抗体を用いて特異的染色を得た。図5E〜Hは第二のエストロゲン受容体染色乳房組織の顕微鏡写真である:特異的染色は、ポリマーヤギ抗ウサギおよびヤギ抗マウス二次抗体の混合物、続いて、ウサギ抗ヤギおよびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有するポリマーコンジュゲート(NDS−1)(E)、またはPowerVision+TM(Immunovision, Springdale, AZ)(F)で可視化されたエストロゲン受容体抗体を用いて得られた。陰性抗体対照染色はNDS−1(G)またはPowerVision+TM(Immunovision, Springdale, AZ)(H)を用いて行った。全ての顕微鏡写真は20倍倍率で撮影した。
【図6】図6A〜Dは、第一のプロゲステロン受容体染色乳房組織の顕微鏡写真である:特異的染色は、ポリマーヤギ抗ウサギおよびヤギ抗マウス二次抗体の混合物、続いて、ウサギ抗ヤギおよびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有するポリマーコンジュゲート(NDS−1)(A)、またはPowerVision+TM(Immunovision, Springdale,AZ)(B)、陰性抗体対照染色はNDS−1を用いて行った(C)、またはPowerVision+TM(Immunovision, Springdale, AZ)(D)で可視化されたプロゲステロン受容体抗体を用いて得られた。図6E〜Hは第二のプロゲステロン受容体染色乳房組織の顕微鏡写真である:特異的染色は、ポリマーヤギ抗ウサギおよびヤギ抗マウス二次抗体の混合物、続いての、ウサギ抗ヤギおよびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有するポリマーコンジュゲート(NDS−1)(E)、またはPowerVision+TM(Immunovision, Springdale, AZ)(F)、陰性抗体対照染色はNDS−1を用いて行った(G)、またはPowerVision+TM(Immunovision, Springdale, AZ)(H)で可視化されたプロゲステロン受容体抗体を用いて得られた。全ての顕微鏡写真は20倍倍率で撮影した。
【図7】図7A〜Fは、ポリマーヤギ抗ウサギおよびヤギ抗マウス二次抗体の混合物、続いての、速プロトコルにおけるウサギ抗ヤギおよびホースラディッシュペルオキシダーゼ(NDS−1)を含有するポリマーコンジュゲート:1:600希釈した(A)、1:3000希釈した(B)抗CK20抗体、および陰性対照(C)を用いる特異的染色;1:200希釈した(D)、1:1000希釈した(E)抗プロゲステロン受容体抗体、および陰性対照(F)を用いる特異的染色を用いる染色された乳房組織の顕微鏡写真である。
【図8】図8はCK20、CEA、クロモグラニンA、p53、P63、TTF−1、PSA、CD68、ALK−1、BCL−1、BCL−6、CD20またはTdT一次抗体、続いて、1)ポリマーヤギ抗ウサギおよびポリマーヤギ抗マウス二次抗体の混合物、続いての、ウサギ抗ヤギおよびホースラディッシュペルオキシダーゼを含有するポリマーコンジュゲート(NDS−1)または2)PowerVision+TM(Immunovision, Springdale, AZ)いずれかを用いて免疫−可視化された結腸、膵臓、前立腺、扁桃、HNSC、または胸腺組織を示す。
【図9】図9A〜Dは20倍倍率で撮影されたAdvance AP/フクシン染色FFPE組織:Advance AP(A); EnVisonTM AP(B)、LSAB AP(C)およびPowerVisionTMAP(D)を用いるサイトケラチン染色肝臓FFPE試料、Advance AP(E); EnVisionTM AP(F)、LSAB AP(G)およびPowerVisionTMAP(H)を用いるサイトケラチン(クローンAE1/AE3)染色結腸腺癌FFPE試料、およびAdvance AP(I);LSAB AP(J)およびPowerVisionTMAP(K)を用いるサイクリンD1染色扁桃FFPE試料の顕微鏡写真である。
【図10】図10A〜Dは、10倍倍率で撮影されたAdvance AP/フクシン染色メラノーマおよびリンパ節インプリント:各々、Advance AP(A)およびEnVisionTM AP(B)を用いる抗ビエンチアン染色インプリント、およびAdvance AP(C)およびEnVisionTM AP(D)を用いるリンパ節試料の抗CD3染色インプリントの顕微鏡写真である。
【図11】図11AおよびBは、各々、DNP標識GAMポリマーおよびウサギ抗DNP−HRPポリマー(A)およびEnVisionTM(B)を用いる抗bcl−2 DAB染色扁桃FFPE試料の4倍倍率下撮影された顕微鏡写真である。
【図12】図12AおよびBは、各々、DNP標識bcl−2抗体、ウサギ抗DNPポリマーおよびヤギ抗ウサギHRP共役(A)および未−共役一次抗体およびEnVisionTM(K4007)を用いる染色(B)を用いる抗bcl−2 DAB染色扁桃FFPE試料の4倍倍率で撮影された顕微鏡写真である。
【図13】図13AおよびBは、各々、抗bcl−2ポリマー共役およびAdvance AP(A)およびbcl−2およびEnVisionTM AP(B)を用いるbcl−2液体パーマネントレッド染色扁桃FFPE試料の4倍倍率で撮影された顕微鏡写真である。
【図14】図14A〜Cは、ウサギ抗−ヒトP504S、マウス抗−ヒトP63タンパク質およびマウス抗−ヒトHMWサイトケラチン、およびブタ抗マウスHRP、ヤギ抗ウサギポリマーおよびウサギ抗APの組合せのカクテル:別々のHRP/DAB染色(A)、AP/液体パーマネントレッド染色(B)および組み合わせられた染色(C)を用いる前立腺FFPE試料に対する二重染色実験の顕微鏡写真である。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】

【図1E】

【図1F】

【図1G】

【図1H】

【図1I】

【図1J】

【図1K】

【図1L】

【図1M】

【図1N】

【図1O】

【図1P】

【図1Q】

【図1R】

【図1S】

【図1T】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図2D】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図3D】

【図4A】

【図4B】

【図4C】

【図4D】

【図5A】

【図5B】

【図5C】

【図5D】

【図5E】

【図5F】

【図5G】

【図5H】

【図6A】

【図6B】

【図6C】

【図6D】

【図6E】

【図6F】

【図6G】

【図6H】

【図7A】

【図7B】

【図7C】

【図7D】

【図7E】

【図7F】

【図8AA】

【図8AB】

【図8AC】

【図8AD】

【図8BA】

【図8BB】

【図8BC】

【図8BD】

【図8BE】

【図8BF】

【図8CA】

【図8CB】

【図8CC】

【図8CD】

【図8DA】

【図8DB】

【図8DC】

【図8DD】

【図8EA】

【図8EB】

【図8EC】

【図8ED】

【図8FA】

【図8FB】

【図8FC】

【図8FD】

【図8GA】

【図8GB】

【図8GC】

【図8GD】

【図8HA】

【図8HB】

【図8HC】

【図8HD】

【図8HE】

【図8HF】

【図8IA】

【図8IB】

【図8IC】

【図8ID】

【図8JA】

【図8JB】

【図8JC】

【図8JD】

【図8KA】

【図8KB】

【図8KC】

【図8KD】

【図8LA】

【図8LB】

【図8LC】

【図8LD】

【図8MA】

【図8MB】

【図8MC】

【図8MD】

【図8NA】

【図8NB】

【図8NC】

【図8ND】

【図9A】

【図9B】

【図9C】

【図9D】

【図9E】

【図9F】

【図9G】

【図9H】

【図9I】

【図9J】

【図9K】

【図10A】

【図10B】

【図10C】

【図10D】

【図11A】

【図11B】

【図12A】

【図12B】

【図13A】

【図13B】

【図14A】

【図14B】

【図14C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の順序において:
a.第一の結合剤が試料に結合し、第一の複合体を形成するように、試料を少なくとも1つの第一の結合剤と接触させる工程;
b.第二の複合体が形成され、ここで、少なくとも1つの第二の結合剤は任意に少なくとも1つの第一のポリマーに連結されるか、またはポリマー骨格を付加することなく重合可能であるように、a)の第一の複合体を、第一の結合剤に特異的に結合する少なくとも1つの第二の結合剤と接触させる工程;
c.ここで、第三の結合剤が少なくとも1つの第二のポリマーに連結されるか、またはポリマー骨格を付加することなく重合可能であり、ここで、少なくとも1つの第三の結合剤が第二の結合剤に特異的に結合する、b)の第二の複合体を少なくとも1つの第三の結合と接触させる工程;
d.ここで、少なくとも1つの検出可能剤が、
i.第三の結合剤;
ii.少なくとも1つの第二のポリマー;および
iii.第三の結合剤および少なくとも1つの第二のポリマーの両方、ここで、第三の結合剤がb)の第二の複合体と結合し、第三の複合体を形成する;ならびに
iv. c)の第三の複合体を検出する工程
を含む、試料中の生物学的マーカーを検出する方法。
【請求項2】
少なくとも1つの第一の結合剤が、一次抗体または核酸プローブから選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの第二の結合剤が、デュアル連結結合剤である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの第二の結合剤が、二次抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの第二の結合剤が、fos、jun、MHC、C1q、免疫グロブリン受容体、およびロイシンジッパードメインを有する任意の分子から選択される、少なくとも1つの分子である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの第二の結合剤が、さらに抗体のFc領域を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
MHC分子が、MHCクラスIおよびMHCクラスII、ならびに非従来MHCから選択される、請求項5記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの第三の結合剤が、三次抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの第三の結合剤が、fos、jun、MHC、C1q、免疫グロブリン受容体、およびロイシンジッパードメインを有する任意の分子から選択される、少なくとも1つの分子である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの第三の結合剤が、さらに抗体のFc領域を含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
MHC分子が、MHCIおよびMHCIIから選択される、請求項9記載の方法。
【請求項12】
一次抗体が、任意の哺乳類種または鳥類種由来である、請求項2記載の方法。
【請求項13】
哺乳類種が、ラット、マウス、ブタ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、モルモット、ロバ、ラマ、ラクダおよびウマから選択される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
二次抗体が、一次抗体の由来となる哺乳類種を除いて、任意の哺乳類種由来である、請求項4記載の方法。
【請求項15】
哺乳類種が、ラット、マウス、ブタ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、モルモット、ロバ、ラマ、ラクダおよびウマから選択される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
三次抗体が、一次抗体および二次抗体の由来となる哺乳類種を除く任意の哺乳類種由来である、請求項8記載の方法。
【請求項17】
哺乳類種が、ラット、マウス、ブタ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、モルモット、ロバ、ラマ、ラクダおよびウマから選択される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
試料が組織試料である、請求項1記載の方法。
【請求項19】
試料が細胞試料である、請求項1記載の方法。
【請求項20】
試料が哺乳類の試料である、請求項1記載の方法。
【請求項21】
哺乳類の試料がヒト試料である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
第一の結合剤が、試料中の生物学的マーカーと結合する、請求項1記載の方法。
【請求項23】
試料中のタンパク質が、疾患を有しない被験体から得られる細胞と比較して、疾患を有する被験体から得られる細胞中で、より高いかまたはより低いレベルで発現する、請求項22記載の方法。
【請求項24】
試料が、固体支持体上に提供される、請求項1記載の方法。
【請求項25】
固体支持体が、顕微鏡のスライド、顕微鏡の下で観察し得る固体支持体、および顕微鏡写真を作製するために使用され得る固体支持体から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つの第二の結合剤が、少なくとも1つの第一のポリマーに連結されるか、またはポリマー骨格を付加することなく重合可能である、請求項1記載の方法。
【請求項27】
少なくとも1つの二次抗体が、2つの異なるポリマーに連結された2つの異なる二次抗体を含む少なくとも1つの第二のポリマーに連結され、2つの二次抗体の各々が、異なる哺乳類起源由来の一次抗体に特異的に結合する抗原結合性ドメインを含む、請求項4記載の方法。
【請求項28】
異なる哺乳類起源が、ラット、マウス、ブタ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、モルモット、ロバおよびウマから選択される、請求項27記載の方法。
【請求項29】
少なくとも1つの
a.第一のポリマー;
b.少なくとも1つの第二の結合剤;ならびに
c.第一のポリマーおよび少なくとも1つの第二の結合剤の両方
に連結された少なくとも1つの第二の検出可能剤をさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項30】
第一および第二の検出可能剤が、同一の薬剤である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
第一および第二の検出可能剤が、異なる薬剤である、請求項29記載の方法。
【請求項32】
第一および第二の検出可能剤が、蛍光標識、酵素標識、放射性同位体、化学ルミネセント標識、生物ルミネセント標識、ポリマー、金属粒子、ハプテン、抗体、および色素から選択される、請求項29記載の方法。
【請求項33】
検出可能剤が、5−(および6)−カルボキシフルオレセイン、5−または6−カルボキシフルオレセイン、6−(フルオレセイン)−5−(および6)−カルボキサミドヘキサン酸、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、テトラメチルローダミン、Cy2、Cy3、Cy5、AMCA、PerCP、R−フィコエリトリン(RPE)、アロフィコエリトリン(APC)、テキサスレッド、プリンセトンレッド、緑色蛍光タンパク質(GFP)、コートされたCdSeナノクリスタライト、DNP、ビオチン、ジゴキシジニン、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリ性ホスファターゼ(AP)、ベータ-ガラクトシダーゼ(GAL)、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、β-N-アセチル-グルコサミニダーゼ、β-グルクロニダーゼ、インベルターゼ、キサンチンオキシダーゼ、ホタルルシフェラーゼ、グルコースオキシダーゼ(GO)、ルミノール、イソルミノール、アクリジニウムエステル、1,2-ジオキセタンおよびピリドピリダジン、および水素、炭素、硫黄、ヨウ素、コバルト、セレン、トリチウム、およびリンの放射性同位元素から選択される、請求項32記載の方法。
【請求項34】
少なくとも1つの第一の結合剤、第二の結合剤、および第三の結合剤が抗体である、請求項1記載の方法。
【請求項35】
抗体が、モノクローナル抗体である、請求項34記載の方法。
【請求項36】
2つの第二の結合剤(ここで第二の結合剤のそれぞれが、少なくとも1つの分離したポリマーに個々に連結されるか、またはポリマー骨格を付加することなく重合可能である)をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項37】
三次抗体が、ハプテンと結合する、請求項8記載の方法。
【請求項38】
ハプテンが、FITC、DNP、ジゴキシゲニン、ニトロチロシンビオチン、アビジン、ストレプアビジン、および抗‐色素抗体から選択される、請求項37記載の方法。
【請求項39】
少なくとも1つの第1のポリマーおよび第2のポリマーが、デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、デキストランポリアルデヒド、カルボキシメチルデキストランラクトン、およびシクロデキストリンを含む多糖類;プルラン、シゾフィラン、スクレログルカン、キサンタン、ゲラン、O−エチルアミノグアラン、6−O−カルボキシメチルキチン、N−カルボキシメチルキトサンを含むキチン、キトサン類;カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、6−アミノ−6−デオキシセルロースおよびO−エチルアミンセルロースを含む誘導化されたセルロース類;ヒドロキシル化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、カラギナン、アルギナート、およびアガロース;フィコールおよびカルボキシメチル化フィコールを含む合成多糖類;ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリルエステル)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(エチル−コ−ビニルアセテート)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルクロロアセテート)、アミン化ポリ(ビニルアルコール)、およびそれらのコブロックポリマーを含むビニルポリマー類;直鎖状、くし形の、または分岐したデンドリマーを含むポリマー骨格を含有するポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコールまたはポリ(エチレンオキサイド−コ−プロピレンオキサイド);ポリリシン、ポリグルタミン酸、ポリウレタン、ポリ(エチレンイミン)、プルリオールを含むポリアミノ酸;アルブミン、免疫グロブリン、およびウイルス様タンパク質(VLP)を含むタンパク質;ならびにポリヌクレオチド、DNA、PNA、LNA、オリゴヌクレオチド、およびオリゴヌクレオチドデンドリマー構築体から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項40】
ポリマーが、以下の:デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、デキストランポリアルデヒド、カルボキシメチルデキストランラクトン、およびシクロデキストリンを含む多糖類;プルラン、シゾフィラン、スクレログルカン、キサンタン、ゲラン、O−エチルアミノグアラン、6−O−カルボキシメチルキチン、N−カルボキシメチルキトサンを含むキチン、キトサン類;カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、6−アミノ−6−デオキシセルロースおよびO−エチルアミンセルロースを含む誘導化されたセルロース類;ヒドロキシル化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、カラギナン、アルギナート、およびアガロース;フィコールおよびカルボキシメチル化フィコールを含む合成多糖類;ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリルエステル)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(エチル−コ−ビニルアセテート)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルクロロアセテート)、アミン化ポリ(ビニルアルコール)、およびそれらのコブロックポリマーを含むビニルポリマー類;直鎖状、くし形の、またはStarBurstTMデンドリマーを含むポリマー骨格を含有するポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコールまたはポリ(エチレンオキサイド−コ−プロピレンオキサイド);ポリリシン、ポリグルタミン酸、ポリウレタン、ポリ(エチレンイミン)、プルリオールを含むポリアミノ酸;アルブミン、免疫グロブリン、およびウイルス様タンパク質(VLP)を含むタンパク質;ならびにポリヌクレオチド、DNA、PNA、LNA、オリゴヌクレオチド、およびオリゴヌクレオチドデンドリマー構築体の2つ以上から成る混合ポリマーである、請求項39記載の方法。
【請求項41】
少なくとも1つの第一のポリマーおよび第二のポリマーが、デキストランから構成される、請求項1記載の方法。
【請求項42】
a.少なくとも1つの一次抗体が試料に結合し、第一の複合体を形成するように、試料を、マウス抗体およびウサギ抗体から選択される少なくとも1つの一次抗体と接触させ;
b.少なくとも1つの二次抗体がa)の複合体に結合し、第二の複合体を形成するように、a)の複合体を、
i.第一のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの第一の二次ヤギ抗体、該この少なくとも1つの第一の二次ヤギ抗体はマウス抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み;および
ii.第二のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの第二の二次ヤギ抗体、該少なくとも1つの第二の二次ヤギ抗体はウサギ抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含む;
と接触させ、
c.三次抗体がb)の第二の複合体に結合し、第三の複合体を形成するように、b)の第二の複合体を、
i.第三のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの第3のウサギ抗体、該少なくとも1つの第三のウサギ抗体は、ヤギ抗体と特異的に反応する抗原結合ドメインを含み;ここで、少なくとも1つのホースラディッシュペルオキシダーゼ分子が、
1.三次抗体;
2.少なくとも1つの第二のポリマー;および
3.三次抗体および少なくとも1つの第二のポリマーの両方;
のうちの少なくとも1つに連結され;ならびに
d.c)の第三の複合体を検出する;
ことを含む、試料中の生物学的マーカーを検出する方法。
【請求項43】
a.少なくとも1つの一次マウス抗体が試料に結合し、第一の複合体を形成するように、試料を少なくとも1つの一次マウス抗体と接触させ;
b.少なくとも1つのウサギ抗体がa)の複合体に結合し、第二の複合体を形成するように、a)の第一の複合体を、マウス抗体と特異的に反応する抗原結合ドメインを含む少なくとも1つのウサギ抗体と接触させ;
c.三次抗体がb)の第二の複合体に結合し、第三の複合体を形成するように、b)の第二の複合体を、
i.デキストランポリマーに連結された少なくとも1つの三次ヤギ抗体と接触させ、該少なくとも1つの三次ヤギ抗体はウサギ抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み;ここで、少なくとも1つのホースラディッシュペルオキシダーゼ分子が、
1.三次抗体;
2.少なくとも1つの第二のポリマー;および
3.三次抗体および少なくとも1つの第二のポリマーの両方;
のうちの少なくとも1つに連結され;ならびに
d.c)の第三の複合体を検出する;
ことを含む、試料中の生物学的マーカーを検出する方法。
【請求項44】
a.少なくとも1つの一次マウス抗体が試料と結合し、第一の複合体を形成するように、試料を少なくとも1つの一次マウス抗体と接触させ;
b.少なくとも1つの二次抗体がa)の複合体に結合し、第二の複合体を形成するように、a)の複合体を第一のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの二次ウサギ抗体と接触させ、該少なくとも1つの二次ウサギ抗体はマウス抗体と特異的に反応する抗原結合ドメインを含み;
c.三次抗体がb)の第二の複合体に結合し、第三の複合体を形成するように、b)の第二の複合体を、
i.第二のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの第一の三次ヤギ抗体、該少なくとも1つの第一の三次ヤギ抗体はウサギ抗体と特異的に反応する抗原結合ドメインを含み;および
ii.第三のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの第二の三次ヤギ抗体と接触させ、該少なくとも1つの第二の三次ヤギ抗体はマウス抗体と特異的に反応する抗原結合ドメインを含み;、ここで、少なくとも1つのホースラディッシュペルオキシダーゼ分子が、
1.任意の三次抗体;
2.少なくとも1つの第二のデキストランポリマー;
3.少なくとも1つの第三のデキストランポリマー;
4.少なくとも1つの第二のデキストラン分子および少なくとも1つの第三のデキストラン分子の両方;および
5.任意の三次抗体、ならびに少なくとも1つの第二のデキストラン分子および少なくとも1つの第三のデキストラン分子の両方;
のうちの少なくとも1つに連結され;ならびに
d.c)の第三の複合体を検出する;
ことを含む、試料中の生物学的マーカーを検出する方法。
【請求項45】
a.第一の二次ウサギ抗体;または
b.第一のデキストランポリマー;または
c.第一の二次ウサギ抗体および第一のデキストランポリマーの両方
に連結された少なくとも1つのホースラディッシュペルオキシダーゼ分子をさらに含む、請求項43記載の方法。
【請求項46】
a.少なくとも1つの一次抗体が試料に結合し、第一の複合体を形成するように、試料を、マウス抗体およびウサギ抗体から選択される少なくとも1つの一次抗体と接触させ;
b.少なくとも1つの二次抗体がa)の複合体に結合し、第二の複合体を形成するように、a)の複合体を、
i.第一のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの第一の二次ヤギ抗体、該第一の二次ヤギ抗体はマウス抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み;
ii.第二のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの第二の二次ヤギ抗体、該第二の二次ヤギ抗体はウサギ抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み;および
iii.1.二次ヤギ抗体;
2.デキストラン分子;ならびに
3.二次ヤギ抗体、および少なくとも1つのデキストラン分子;
のうちの少なくとも1つに連結された少なくとも1つのハプテン分子と接触させ;
c.三次抗体がb)の第二の複合体に結合し、第三の複合体を形成するように、b)の第二の複合体を、
i.ウサギ抗体、マウス抗体、ラット抗体、ブタ抗体およびヤギ抗体から選択される、第三のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの三次抗体と接触させ、該少なくとも1つの三次抗体はb)の少なくとも1つのハプテン分子と特異的に結合する抗原結合ドメインを含み;ここで、少なくとも1つのホースラディッシュペルオキシダーゼ分子が、
1.三次抗体;
2.少なくとも1つの第二のポリマー;および
3.三次抗体および少なくとも1つの第二のポリマーの両方;
のうちの少なくとも1つに連結され;ならびに
d.c)の第三の複合体を検出する;
ことを含む、試料中の生物学的マーカーを検出する方法。
【請求項47】
a.少なくとも1つの第1の結合剤に特異的に結合する少なくとも1つの第二の結合剤、ここで、少なくとも1つの第二の結合剤は、少なくとも1つの第一のポリマーに任意に連結されるか、またはポリマー骨格の付加無しで任意に重合され;
b.特異的に少なくとも第二の結合剤に結合された少なくとも1つの第三の結合剤、ここで、少なくとも1つの第三の結合剤は、少なくとも1つの第二のポリマーに任意に連結されるか、またはポリマー骨格の付加無しで任意に重合され;
ここで、検出可能な物質が、
i.少なくとも1つの第三の結合剤および任意に少なくとも1つの第二の結合剤;
ii.少なくとも1つの第二のポリマーおよび任意に少なくとも1つの第一のポリマー;および
iii.少なくとも1つの第三の結合剤および少なくとも1つの第二のポリマーならびに任意の少なくとも1つの第二の結合剤および少なくとも1つの第1のポリマーの両方;
のうちの少なくとも1つに連結されたことを含む組成物。
【請求項48】
試料中の生物マーカーに特異的に結合する少なくとも1つの第一の結合剤をさらに含み、ここで少なくとも1つの第一の結合剤が、任意にポリマーに連結されるか、またはポリマー骨格を付加することなく任意に重合可能である、請求項47記載の組成物。
【請求項49】
少なくとも1つの第一の結合剤が、一次抗体または核酸プローブから選択される、請求項48記載の組成物。
【請求項50】
少なくとも1つの第二の結合剤が、二次抗体である、請求項47記載の組成物。
【請求項51】
少なくとも1つの結合剤が、fos、jun、MHC、C1q、免疫グロブリン受容体、およびロイシンジッパードメインを有する任意の分子から選択される少なくとも1つの分子である、請求項47記載の組成物。
【請求項52】
免疫グロブリン受容体が、Fc受容体である、請求項51記載の組成物。
【請求項53】
MHC分子が、MHCクラスIおよびMHCクラスII、ならびに非従来MHCから選択される、請求項51記載の組成物。
【請求項54】
少なくとも1つの結合剤が、デュアル連結結合剤である、請求項47記載の組成物。
【請求項55】
少なくとも1つの第三の結合剤が、三次抗体である、請求項47記載の組成物。
【請求項56】
一次抗体が、任意の哺乳類種または鳥類種由来である、請求項49記載の組成物。
【請求項57】
哺乳類種が、ラット、マウス、ブタ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、モルモット、ロバ、ラマ、ラクダおよびウマから選択される、請求項56記載の組成物。
【請求項58】
鳥類種が、ニワトリおよびアヒルから選択される、請求項56記載の組成物。
【請求項59】
二次抗体が、一次抗体の由来となる哺乳類種または鳥類種を除いて、任意の哺乳類種または鳥類種由来である、請求項50記載の組成物。
【請求項60】
哺乳類種が、ラット、マウス、ブタ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、モルモット、ロバ、ラマ、ラクダおよびウマから選択される、請求項59記載の組成物。
【請求項61】
鳥類種が、ニワトリおよびアヒルから選択される、請求項59記載の組成物。
【請求項62】
三次抗体が、一次抗体および二次抗体の由来となる哺乳類種または鳥類種を除いて、任意の哺乳類種または鳥類種由来である、請求項55記載の組成物。
【請求項63】
哺乳類種が、ラット、マウス、ブタ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、モルモット、ロバ、ラマ、ラクダおよびウマから選択される、請求項62記載の組成物。
【請求項64】
鳥類種が、ニワトリおよびアヒルから選択される、請求項62記載の組成物。
【請求項65】
少なくとも1つの第二の結合剤が、少なくとも1つの第一のポリマーもしくは少なくとも1つの第二のポリマーに連結されるか、またはポリマー骨格を付加することなく重合可能である、請求項47記載の組成物。
【請求項66】
2つの異なる二次抗体を含み、2つの二次抗体のそれぞれが、異なる抗体に特異的に結合する抗原結合性ドメインを含む、請求項50記載の組成物。
【請求項67】
少なくとも1つの第二の検出可能物質が
a.第一のポリマー;
b.少なくとも1つの第二の結合剤;ならびに
c.第一のポリマーおよび少なくとも1つの第二の結合剤の両方
のうちの少なくとも1つに連結されることをさらに含む、請求項47記載の組成物。
【請求項68】
第一および第二の検出可能物質が、同一の物質である、請求項67記載の組成物。
【請求項69】
第一および第二の検出可能物質が、異なる物質である、請求項67記載の組成物。
【請求項70】
第一および第二の検出可能物質が、蛍光標識、酵素標識、放射性同位体、化学ルミネセント標識、生物ルミネセント標識、ポリマー、金属粒子、ハプテン、抗体、および色素から選択される、請求項47記載の組成物。
【請求項71】
検出可能物質が、5−(および6)−カルボキシフルオレセイン、5−または6−カルボキシフルオレセイン、6−(フルオレセイン)−5−(および6)−カルボキサミドヘキサン酸、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、テトラメチルローダミン、Cy2、Cy3、Cy5、AMCA、PerCP、R−フィコエリトリン(RPE)、アロフィコエリトリン(APC)、テキサスレッド、プリンストンレッド、緑色蛍光タンパク質(GFP)、コートされたCdSeナノクリスタライト、DNP、ビオチン、ジゴキシジニン、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリ性ホスファターゼ(AP)、ベータ-ガラクトシダーゼ(GAL)、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、ベータ-N-アセチル-グルコサミニダーゼ、β-グルクロニダーゼ、インベルターゼ、キサンチンオキシダーゼ、ホタルルシフェラーゼ、グルコースオキシダーゼ(GO)、ルミノール、イソルミノール、アクリジニウムエステル、1,2-ジオキセタンおよびピリドピリダジン、ならびに水素、炭素、硫黄、ヨウ素、コバルト、セレン、トリチウム、およびリンの放射性同位元素から選択される、請求項47記載の組成物。
【請求項72】
少なくとも1つの一次抗体、二次抗体、または三次抗体が、モノクローナル抗体である、請求項48記載の組成物。
【請求項73】
少なくとも1つの一次抗体、二次抗体、および三次抗体が、IgGである、請求項72記載の組成物。
【請求項74】
第一の二次抗体および第二の二次抗体を含み、ここでそれぞれの抗体が、同一のポリマーに連結されるか、もしくは少なくとも1つの分離したポリマーに個々に連結されるか、またはポリマー骨格を付加することなく重合可能である、請求項50記載の組成物。
【請求項75】
第一のポリマーおよび第二のポリマーが、デキストランから構成される、請求項64記載の組成物。
【請求項76】
第1および第2のポリマーが、デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、デキストランポリアルデヒド、カルボキシメチルデキストランラクトン、およびシクロデキストリンを含む多糖類;プルラン、シゾフィラン、スクレログルカン、キサンタン、ゲラン、O−エチルアミノグアラン、6−O−カルボキシメチルキチン、N−カルボキシメチルキトサンを含むキチン、キトサン類;カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、6−アミノ−6−デオキシセルロースおよびO−エチルアミンセルロースを含む誘導化されたセルロース類;ヒドロキシル化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、カラギナン、アルギナート、およびアガロース;フィコールおよびカルボキシメチル化フィコールを含む合成多糖類;ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリルエステル)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(エチル−コ−ビニルアセテート)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルクロロアセテート)、アミン化ポリ(ビニルアルコール)、およびそれらのコブロックポリマーを含むビニルポリマー類;直鎖状、くし形の、または分岐したデンドリマーを含むポリマー骨格を含有するポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコールまたはポリ(エチレンオキサイド−コ−プロピレンオキサイド);ポリリシン、ポリグルタミン酸、ポリウレタン、ポリ(エチレンイミン)、プルリオールを含むポリアミノ酸;アルブミン、免疫グロブリン、およびウイルス様タンパク質(VLP)を含むタンパク質;ならびにポリヌクレオチド、DNA、PNA、LNA、オリゴヌクレオチド、およびオリゴヌクレオチドデンドリマー構築体からそれぞれ選択される、請求項64記載の組成物。
【請求項77】
少なくとも1つの第1および第2のポリマーが、以下の:デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、デキストランポリアルデヒド、カルボキシメチルデキストランラクトン、およびシクロデキストリンを含む多糖類;プルラン、シゾフィラン、スクレログルカン、キサンタン、ゲラン、O−エチルアミノグアラン、6−O−カルボキシメチルキチン、N−カルボキシメチルキトサンを含むキチン、キトサン類;カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、6−アミノ−6−デオキシセルロースおよびO−エチルアミンセルロースを含む誘導化されたセルロース類;ヒドロキシル化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、カラギナン、アルギナート、およびアガロース;フィコールおよびカルボキシメチル化フィコールを含む合成多糖類;ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリルエステル)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(マレイン酸)、ポリ(無水マレイン酸)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(エチル−コ−ビニルアセテート)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルクロロアセテート)、アミン化ポリ(ビニルアルコール)、およびそれらのコブロックポリマーを含むビニルポリマー類;直鎖状、くし形の、または分岐したデンドリマーを含むポリマー骨格を含有するポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコールまたはポリ(エチレンオキサイド−コ−プロピレンオキサイド);ポリリシン、ポリグルタミン酸、ポリウレタン、ポリ(エチレンイミン)、プルリオールを含むポリアミノ酸;アルブミン、免疫グロブリン、およびウイルス様タンパク質(VLP)を含むタンパク質;ならびにポリヌクレオチド、DNA、PNA、LNA、オリゴヌクレオチド、およびオリゴヌクレオチドデンドリマー構築体の少なくとも2つから成る混合ポリマーである、請求項64記載の組成物。
【請求項78】
a.マウス抗体およびウサギ抗体から選択される、少なくとも1つの一次抗体;
b.第一のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの第一の二次ヤギ抗体、該少なくとも1つの第一の二次ヤギ抗体はマウス抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み;
c.第二のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの第二の二次ヤギ抗体、該少なくとも1つの第二の二次ヤギ抗体はウサギ抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み;
d.第三のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの三次ウサギ抗体、該少なくとも1つの三次ウサギ抗体はウサギ抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、少なくとも1つのホースラディッシュペルオキシダーゼ分子が、
i.少なくとも1つの三次ウサギ抗体;
ii.第三のデキストランポリマー;ならびに
iii.少なくとも1つの三次ウサギ抗体および第三のデキストランポリマーの両方;
のうちの少なくとも1つに連結される;
を含む組成物。
【請求項79】
a.少なくとも1つの一次マウス抗体;
b.マウス抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含む少なくとも1つの二次ウサギ抗体;
c.デキストランポリマーに連結された少なくとも1つの三次ヤギ抗体、該少なくとも1つの三次ヤギ抗体はウサギ抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み、ここで、少なくとも1つのホースラディッシュペルオキシダーゼ分子が、
i.少なくとも1つの三次ヤギ抗体;
ii.デキストランポリマー;ならびに
iii.少なくとも1つの三次ヤギ抗体および第一のデキストランポリマーの両方;
のうちの少なくとも1つに連結される;
を含む組成物。
【請求項80】
a.少なくとも1つの一次マウス抗体;
b.第一のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの二次ウサギ抗体、該少なくとも1つの二次ウサギ抗体はマウス抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み;
c.第二のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの第一の三次ヤギ抗体、該少なくとも1つの第一の三次ヤギ抗体はウサギ抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み;
d.第三のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの第二の三次ヤギ抗体、該少なくとも1つの第二の三次ヤギ抗体はマウス抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み;ここで、少なくとも1つのホースラディッシュペルオキシダーゼ分子が、
i.任意の少なくとも1つの三次抗体;
ii.少なくとも1つの第二のデキストランポリマー;
iii.少なくとも1つの第三のデキストランポリマー;ならびに
iv.少なくとも1つの第二のデキストラン分子および少なくとも1つの第三のデキストランポリマーの両方;
のうちの少なくとも1つに連結される;
を含む組成物。
【請求項81】
a.少なくとも1つの第一の二次ウサギ抗体;または
b.第一のデキストランポリマー;または
c.少なくとも1つの第一の二次ウサギ抗体および第一のデキストランポリマーの両方
に連結された少なくとも1つのホースラディッシュペルオキシダーゼ分子をさらに含む、請求項68記載の組成物。
【請求項82】
a.マウス抗体およびウサギ抗体から選択される、少なくとも1つの一次抗体;
b.第一のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの第一の二次ヤギ抗体、該第一の二次ヤギ抗体はマウス抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み;
c.第二のデキストランポリマーに連結された少なくとも1つの第二の二次ヤギ抗体、該第二の二次ヤギ抗体はウサギ抗体に特異的に結合する抗原結合ドメインを含み;および
d. i.少なくとも1つの第一の二次ヤギ抗体;
ii.第一のデキストランポリマー;ならびに
iii.少なくとも1つの第一の二次ヤギ抗体および第一のデキストランポリマーの両方;
のうちの少なくとも1つに連結される、少なくとも1つのハプテン分子;
e. i.少なくとも1つの第二の二次ヤギ抗体;
ii.第二のデキストランポリマー;ならびに
iii.少なくとも1つの第二の二次ヤギ抗体および第二のデキストランポリマーの両方;
のうちの少なくとも1つに連結される、少なくとも1つのハプテン分子;および
f.ウサギ抗体、マウス抗体、ヤギ抗体、ブタ抗体、およびラット抗体から選択され、第三のデキストランポリマーに連結される、少なくとも1つの三次抗体、該少なくとも1つの三次抗体は少なくとも1つのハプテン分子と特異的に反応する抗原結合ドメインを含み、ここで、少なくとも1つのホースラディッシュペルオキシダーゼ分子が、
i.少なくとも1つの三次抗体;
ii.第三のデキストランポリマー;ならびに
iii.少なくとも1つの三次抗体および第三のデキストランポリマーの両方;
のうちの少なくとも1つに連結される;
を含む組成物。
【請求項83】
a.任意に、試料中の生物マーカーに特異的に結合する第一の結合剤;
b.第一の結合剤に特異的に結合する第二の結合剤、ここで、第二の結合剤はポリマーに任意に接合されるか、またはポリマー骨格の付加無しで重合される;
c.第二の結合剤に特異的に結合する第三の結合剤、ここで、第三の結合剤はポリマーに接合されるか、またはポリマー骨格の付加無しで重合される;
d.a)b)およびc)の少なくとも1つと連結される、少なくとも1つの検出可能な物質、ならびに
e.少なくとも1つの容器
を含む、試料中の生物学的マーカーを検出するキット。
【請求項84】
a.任意に第一のポリマーに連結されるか、またはポリマー骨格の付加無しで重合された少なくとも1つの二次抗体;
b.第二のポリマーに連結されるか、またはポリマー骨格の付加無しで重合された少なくとも1つの三次抗体、およびここで、第1の検出可能な薬剤は、
i.少なくとも1つの三次抗体;
ii.第一のポリマー;ならびに
iii.第一のポリマーおよび三次抗体の両方;
のうちの少なくとも1つに連結され;
c.任意の一次抗体;
d.少なくとも1つの容器
を含む、試料に対して免疫組織化学を実行するためのキット。
【請求項85】
第一のポリマーに連結された少なくとも1つの第一の二次抗体、および第二のポリマーに連結された少なくとも1つの第二の二次抗体を含む、請求項73記載のキット。
【請求項86】
a.少なくとも1つの二次抗体;
b.第二のポリマー;ならびに
c.少なくとも1つの二次抗体および第二のポリマーの両方
のうちの少なくとも1つに連結された第二の検出可能剤をさらに含む、請求項73記載のキット。
【請求項87】
第一および第二の検出可能剤が異なる、請求項75記載のキット。
【請求項88】
第一および第二の検出可能剤が同一である、請求項75記載のキット。
【請求項89】
a.少なくとも1つの二次抗体;
b.第二のポリマー;ならびに
c.少なくとも1つの二次抗体および第二のポリマーの両方
のうちの少なくとも1つに連結された少なくとも1つのハプテン分子をさらに含む、請求項73記載のキット。

【公表番号】特表2007−513334(P2007−513334A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541492(P2006−541492)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/039911
【国際公開番号】WO2005/054860
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(506006795)ダコ デンマーク アクティーゼルスカブ (10)
【Fターム(参考)】