説明

免疫調整剤、空気清浄機、自動車用空気清浄機、免疫調整方法

【課題】肺胞マクロファージの貪食能を向上させると共に低コストで製造でき、吸入等により日常的に投与可能な免疫調整剤の提供。
【解決手段】食用菌類成分と、植物精油成分とを含有する免疫調整剤。食用菌類成分としては、アガリクス抽出成分が好ましく、植物精油成分としては、テルピネン−4−オールを含むことが好ましく、ティートリー油成分が用いられる。当該免疫調整剤は、液体であって、気化・噴霧化されて吸入により投与されることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、肺の免疫を活性化させる免疫調整剤、当該免疫調整剤を用いた空気清浄機、自動車用空気清浄機、免疫調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インフルエンザ等の空気感染の拡大が問題となっており、肺の免疫を日常的に活性化する必要性が高まっている。
免疫とは生体内で病原体やがん細胞を認識して殺減することにより、生体を病気から保護するシステムを言う。この免疫には非特異的な自然免疫と特異的な獲得免疫とがあり、自然免疫系では、身体に侵入する病原体を最初に非特異的に攻撃して身体を病原体の感染から守っている。
この自然免疫系を担う細胞の一つにマクロファージがある。マクロファージとは、強い貪食能のある大型細胞であって、呼吸を通じて体内に侵入する異物を貪食により除去する。またマクロファージは抗原を摂取すると、各種のサイトカインを放出し、特定のT細胞を活性化させる。またマクロファージは、食作用によって分解した異物断片を細胞表面に表出させてヘルパーT細胞に知らせる抗原提示機能も有する。マクロファージは全身の臓器組織に広く分布しているが、そのうち肺にあるマクロファージが肺胞マクロファージであり、その活性化は風邪やインフルエンザ等の空気感染予防に効果が大きいと言える。
また、これまでに喫煙が肺胞マクロファージの貪食能を低下させることが報告されており(AMERICAN JOURNAL OF RESPIRATORY CELL AND MOLECULAR BIOLOGY VOL 37 2007 p748〜P755)、喫煙による肺胞マクロファージの貪食能低下の回復も求められている。
【0003】
ここで、肺胞マクロファージを活性化させる技術としては、特許文献1及び特許文献2のように生分解性ポリマーに薬物を内包させた微粒子を肺胞マクロファージに到達させ貪食させる技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−63287号公報
【特許文献2】特開2007−284362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の微粒子薬剤を製造するのは大きなコストがかかる。また医薬品による肺の免疫活性化は医師の処方や、投与のための特別の機器、特別の方法が必要であって吸入等により日常的に投与するためには負担が大きいという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、肺胞マクロファージの貪食能を向上させると共に低コストに製造でき、吸入等により日常的に投与可能な免疫調整剤、空気清浄機、免疫調整方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明者らは、食用菌類成分と植物精油成分とを含有する免疫調整剤の投与により、肺胞マクロファージの貪食能が大きく向上するという新しい知見を得て本発明を完成させたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を解決するため、請求項1の免疫調整剤は、食用菌類成分と、植物精油成分とを含有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の免疫調整剤は、請求項1の免疫調整剤において、投与されると、肺胞マクロファージの貪食能を向上させることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の免疫調整剤は、請求項1又は請求項2に記載の免疫調整剤において、投与されると、リポポリサッカライド(LPS)が投与される場合に比べて、肺胞マクロファージの貪食能を同等またはそれ以上に活性化するとともに、肺における炎症性サイトカインの産生量がより低いことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の免疫調整剤は、請求項1乃至請求項3のいずれかの免疫調整剤において、前記植物精油成分は、テルピネン−4−オールを含むことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の免疫調整剤は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の免疫調整剤において、前記植物精油成分は、ティートリー油成分であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の免疫調整剤は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の免疫調整剤において、前記食用菌類成分は、アガリクス抽出成分であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7の免疫調整剤は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の免疫調整剤において、液体であって、気化・噴霧化されて吸入により投与されることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8の空気清浄機は、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の免疫調整剤を放出する放出機構を有する。
【0016】
また、請求項9の自動車用空気清浄機は、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の免疫調整剤を放出する放出機構を有する。
【0017】
また、請求項10の免疫調整方法は、食用菌類成分と、植物精油成分とを含有する免疫調整剤を気化・噴霧化する装置により気化・噴霧化させて、肺胞マクロファージの貪食能を向上させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、肺胞マクロファージの貪食能を向上させると共に低コストに製造でき、日常的に投与可能な免疫調整剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例及び比較例のサンプルについて説明する模式図である。
【図2】サンプルを投与したマウス肺から測定した細胞数を示すグラフである。
【図3】サンプルを投与したマウス肺から測定した貪食率を示すグラフである。
【図4】サンプルを投与したマウス肺から測定した貪食係数を示すグラフである。
【図5】サンプルを投与したマウス肺から測定したIL−6量を示すグラフである。
【図6】サンプルを投与したマウス肺から測定したTNF−α量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本実施形態の免疫調整剤は、食用菌類成分と植物精油成分とを含有する。ここで、食用菌類成分を含有するとは、食用菌類をそのままの状態あるいは乾燥・冷凍状態の食用菌類で含有することも、食用菌類から抽出された成分を含有することも含む。また植物精油成分を含有するとは、植物精油をそのまま含有することも、植物精油の一部成分のみを含有することも含む。
【0021】
本実施形態における食用菌類としては、いわゆる食用キノコ、すなわち食用菌類のうちでも食用担子菌或いは食用子のう菌といった比較的大型の子実体を形成するものが挙げられる。食用担子菌ではアガリクス、カワラタケ、シイタケ、スエヒロタケ、マイタケ、マンネンタケ(レイシ)、エノキ、エリンギ、シメジ、ブナシメジ、マッシュルーム、ナメコ等が挙げられる。食用子のう菌では、セミタケ(冬虫夏草)、セイヨウショウロ(トリュフ)等が挙げられる。
【0022】
特に、βグルカンを含有する食用菌類が望ましい。βグルカンはマクロファージを活性化する機能を有することが知られている。例えば、アガリクス、カワラタケ、シイタケ、スエヒロタケ、マイタケ、マンネンタケ等にβグルカンが含まれると報告されている(日本食品分析センター 40 βグルカンについて(2004年7月))。
また、特にβグルカンや他の栄養成分が多く含まれるとされるアガリクスが望ましい。アガリクスのβグルカン含量については、ヒメマツタケ(アガリクス)抽出物が23%、26%(重量比)、市販アガリクス製品(液体)が0.01%、0.04%(重量比)であったという報告がある(東京衛研年報「食物繊維測定法及びβグルカン特異検出試薬によるレイシ、ヒメマツタケ抽出物及び市販アガリクス製品中のβグルカン量測定」53、2002)。
なお、本明細書でアガリクスとは、マツタケ目ハラタケ科ハラタケ属に属する担子菌であるアガリカス・ブラゼイ(Agaricus blazei)を指す。和名では、カワリハラタケあるいはヒメマツタケとも呼ばれる。
【0023】
また、本実施形態の植物精油とは、植物の花、果実、枝葉、幹、樹皮などから得られる揮発性の液体である。植物精油の構成成分としては、炭化水素類、エステル類、フェノール類、テルペン類などがあるが、多くの植物精油の主成分はテルペン類で、中でも比較的低分子で揮発性のモノテルペン、セスキテルペン、及びジテルペンが主成分であることが多い。植物精油の採取法はいくつかの方法があり、原料、精油成分の種類などに適した採取方法がとられる。中でも、植物原料に水蒸気をあてて水蒸気と共に揮散してくる精油成分を冷却、凝縮して精油を得る水蒸気蒸留法が好適に使用される。また、容器中に入れた植物原料を熱水で煮沸し、出てくる水蒸気と揮発性物質を冷却・凝縮して精油を得る熱水蒸留法、植物原料をアルコールやヘキサンなどの有機溶媒と共に加熱して抽出する有機溶媒抽出法、柑橘類の果皮を圧搾して精油を得る圧搾法、不揮発性溶剤抽出法、超臨界流体抽出法が利用できる。
【0024】
植物精油として用いることが出来るものには、以下の精油(カッコ内は、植物科/抽出部位/主な抽出方法)が挙げられる。
アニスシード油(セリ科/種子/水蒸気蒸留法)、アンジェリカルート油(セリ科/根/水蒸気蒸留法)、イニュラ油(キク科/全草/水蒸気蒸留法)、イモーテル油(キク科/花/水蒸気蒸留法)、イランイラン油(バンレイシ科/花/水蒸気蒸留法)、イリス油(オリス)(アヤメ科/根/水蒸気蒸留法)、エレミ油(カンラン科/樹脂/水蒸気蒸留法)、オールスパイス油(フトモモ科/葉/水蒸気蒸留法)、オリバナム油(乳香)(カンラン科/樹脂/水蒸気蒸留法)、カボス油(ミカン科/果皮/圧搾法)、オレンジ油(ミカン科/果皮/圧搾法)、カモミール油(ジャーマン・カモミール)(キク科/花/水蒸気蒸留法)、カモミール油(ローマン・カモミール)(Roman chamomile)(キク科/花/水蒸気蒸留法)、カユプテ油(フトモモ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)、カルダモン油(ショウガ科/種子/水蒸気蒸留法)、カルバナム油(キク科/樹脂/水蒸気蒸留法)、キャロットシード油(セリ科/種子/水蒸気蒸留法)、キンモクセイ油(モクセイ科/花/溶剤抽出法[ヘキサン])、クミン油(セリ科/種子/水蒸気蒸留法)、クラリセージ油(clary sage)(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)、グレープフルーツ油(ミカン科/果皮/圧搾法)、クローブ油(丁子)(フトモモ科/つぼみ/水蒸気蒸留法)、クロモジ油(クスノキ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)、月桃油(ショウガ科/葉/水蒸気蒸留法)、コパイパ油(マメ科/樹脂/水蒸気蒸留法)、コリアンダー油(セリ科/種子/水蒸気蒸留法)、サイプレス油(イトスギ:糸杉)(ヒノキ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)、サンダルウッド油(ビャクダン:白檀)(ビャクダン科/木部/水蒸気蒸留法)、シストローズ油(ハンニチバナ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)、紫蘇油(シソ科/葉/水蒸気蒸留法)、シダーウッド油(マツ科もしくはヒノキ科/木部/水蒸気蒸留法)、シトロネラ油(イネ科/全草/水蒸気蒸留法)、シナモン油(クスノキ科/葉/水蒸気蒸留法)、ジャスミン油(モクセイ科/花/溶剤抽出法[ヘキサン]または[アルコール])、ジュニパーベリー油(ヒノキ科/果実/水蒸気蒸留法)、ジンジャー油(ショウガ科/根/水蒸気蒸留法)、ビター・オレンジ油(ミカン科/果皮/圧搾法)、スイート・オレンジ油(ミカン科/果皮/圧搾法)、スギ油(スギ科/葉または木部/水蒸気蒸留法)、スターアニス油(八角)(モクレン科/果実/水蒸気蒸留法)、スペアミント油(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)、セージ油(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)、ゼラニウム油(ニオイテンジクアオイ)(フウロウソウ科/全草/水蒸気蒸留法)、セロリシード油(セリ科/種子/水蒸気蒸留法)、セントジョーンズワート油(オトギリソウ科/花/水蒸気蒸留法)、タイム油(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)、タジェット油(キク科/花/水蒸気蒸留法)、タラゴン油(キク科/全草/水蒸気蒸留法)、タンジェリン油(ミカン科/果皮/圧搾法)、チュペローズ油(リュウゼツラン科/花/溶剤抽出法[アルコール])、ティートリー油(フトモモ科/葉/水蒸気蒸留法)、ディルシード油(セリ科/種子/水蒸気蒸留法)、ナツメグ油(ニクヅク科/実/水蒸気蒸留法)、ナルデ油(スパイクナード)(オミナエシ科/根/水蒸気蒸留法)、ネロリ油(neroli)(ミカン科/サワーオレンジの花/水蒸気蒸留法)、バイオレット・リーフ油(スミレ科/葉/溶剤抽出法[アルコール])、パイン油(マツ科/球果、葉/水蒸気蒸留法)、バジル油(シソ科/葉・花/水蒸気蒸留法)、パチュリ油(patchouli)(シソ科/葉/水蒸気蒸留法)、薄荷油(ハッカ)(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)、バニラ油(ラン科/鞘/溶剤抽出法[アルコール])、パルマローザ油(イネ科/葉/水蒸気蒸留法)、バレリアン油(オミナエシ科/根/水蒸気蒸留法)、ヒソップ油(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)、ヒノキ油(ヒノキ科/木部/水蒸気蒸留法)、ヒバ油(ヒノキ科/木部/水蒸気蒸留法)、フェンネル油(セリ科/種子/水蒸気蒸留法)、プチグレイン油(ミカン科/ビターオレンジの葉・枝/水蒸気蒸留法)、ブラックペパー油(コショウ科/果実/水蒸気蒸留法)、フランジュパニ油(プルメリア)(キョウチクトウ科/花/溶剤抽出法[アルコール])、フランキンセンス油(フランクインセンス、乳香)(カンラン科/樹脂/水蒸気蒸留法)、ブルーサイプレス油(ヒノキ科/木部/水蒸気蒸留法)、ベイ油(クスノキ科/葉/水蒸気蒸留法)、ベチバー油(vetiver)(イネ科/根/水蒸気蒸留法)、ペパーミント油(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)、ベルガモット油(ミカン科/果皮/圧搾法)、ベンゾイン油(安息香)(エゴノキ科/樹脂/溶剤抽出法[アルコール])、マートル油(フトモモ科/葉/水蒸気蒸留法)、マジョラム油(シソ科/全草/水蒸気蒸留法)、マヌカ油(フトモモ科/葉/水蒸気蒸留法)、マンダリン油(ミカン科/果皮/圧搾法)、ミモザ油(マメ科/花/溶剤抽出法[アルコール])、ミルラ油(没薬)(カンラン科/樹脂/水蒸気蒸留法)、メリッサ油(シソ科/花・葉/水蒸気蒸留法)、モミ油(マツ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)、ブルーヤロウ油(キク科/花/水蒸気蒸留法)、柚子油(ミカン科/果皮/水蒸気蒸留法または圧搾法)、ユーカリ油(フトモモ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)、ライム油(ミカン科/果皮/圧搾法)、ラバンディン油(シソ科/花・葉/水蒸気蒸留法)、ラベンサラ油(クスノキ科/葉/水蒸気蒸留法)、ラベンダー油(シソ科/花・葉/水蒸気蒸留法)、リツエアクベバ油(クスノキ科/果実/水蒸気蒸留法)、リンデン油(セイヨウボダイジュ)(シナノキ科/花・葉/水蒸気蒸留法)、レモン油(ミカン科/果皮/圧搾法)、レモングラス油(イネ科/全草/水蒸気蒸留法)、レモンバーベナ油(クマツヅラ科/葉/水蒸気蒸留法)、レモンバーム油(メリッサ)(シソ科/葉/水蒸気蒸留法)、レモンマートル油(フトモモ科/葉・枝/水蒸気蒸留法)、アルバローズ油(バラ科/白バラの花/水蒸気蒸留法)、ダマスクローズ油(ローズオットー)(バラ科/花/水蒸気蒸留法)、ローズウッド油(Aniba rosaeodora)(クスノキ科/木部/水蒸気蒸留法)、ローズマリー油(シソ科/花・葉/水蒸気蒸留法)、ロータス(蓮)油(スイレン科/花/溶剤抽出法[アルコール])、ロベージ油(セリ科/根/水蒸気蒸留法)。
【0025】
本実施形態の植物精油としては、モノテルペンアルコールを含むものが望ましい。モノテルペンアルコールの多くが抗感染作用、免疫調整作用があると言われている。以下にモノテルペンアルコールを多く含む植物精油を挙げる。カッコ内は含有するとされるモノテルペンアルコールと、その含量(重量%)である。
ティートリー油(テルピネン−4−オール45%)、スイートマジョラム油(テルピネン−4−オール36%)、ラベンダー油(テルピネン−4−オール4%、リナロール37%)、パロマローザ油(リナロール75%)、ローズウッド油(リナロール85%)、バジル油(リナロール40%)、ペパーミント油(メントール45%)、シトロネラ油(ゲラニオール25%)、ゼラニウム油(ゲラニオール20%)。
【0026】
特に、モノテルペンアルコールのうちテルピネン−4−オールを含むティートリー油、スイートマジョラム油、ラベンダー油が望ましい。
【0027】
また本実施形態の免疫調整剤は、食用菌類成分と植物精油成分とを含む液体として調整できる。外にも、食用菌類成分の粉末と植物精油とを混ぜて固形物としてもよい。よって錠剤や飲食物として経口投与によっても、注射によっても、皮膚に塗布することによっても、気化又は/及び噴霧化(以下気化・噴霧化と記載)させて吸入させることによっても投与が可能である。
特に液体を気化・噴霧化させたものが吸入投与されることが望ましい。その際は、気化・噴霧化された免疫調整剤が肺まで到達できる状態で吸入されることが望ましい。噴霧された液滴であれば、1〜5ミクロンの粒径が肺胞に到達するサイズとされ、望ましい。また、吸入投与すると、肺胞マクロファージに近いのど、鼻の粘膜に直接吸収されて、或いは肺の粘膜に直接吸収されて、肺胞マクロファージの貪食能をより効率的に活性化され、望ましい。すなわち、経口摂取で問題となるような摂取後の体内での代謝による効力の低下を防ぐことが出来る。
また、本実施形態において気化・噴霧化による免疫調整剤の吸入投与は、医療機関等におけるネブライザー機器を用いた治療によって行われるのでもよいが、一般的な家庭用、オフィスビル用或いは自動車用の加湿器や、加湿機能付きの空気清浄機、空気調和機を用いて、日常的に簡便に行われることが望ましい。そのようにすれば、健康に有害な物質を取り除き、温湿度を調整した清浄な空気中に免疫調整剤を気化・噴霧化することができるだけでなく、特別に意識することなく日常生活の中で簡便に免疫調整機能を高めることができる。
免疫調整剤を気化・噴霧化する加湿器(空気清浄機、空気調和機の加湿機能でもよい)としては、スチーム式、気化式、超音波式、圧縮式等の公知のものが使用できる。特に、超音波式、気化式、圧縮式であれば食用菌類成分及び植物精油成分への熱による影響が少ないため望ましい。
【0028】
また、本実施形態の免疫調整剤は、吸入投与されると、肺のマクロファージの貪食能を適度に高めると共に肺における炎症性サイトカインが過剰に産生されないこと、肺における好中球数が過剰に増加しないことが望ましい。
炎症性サイトカインとは生体内における様々な炎症症状を引き起こす原因因子として関与する生理活性物質であり、例えばIL−1、IL−6、TNF−α等を指す。
TNF−α(腫瘍壊死因子)は、外部因子の侵襲時に最も速やかに分泌される、最も強力な生体反応のメディエーターのひとつであり、単球やマクロファージ、T細胞から産生され、IL−1、IL−6等の他の炎症性サイトカインの産生を刺激するとされる。またIL-6は、マクロファージ等から産生され、B細胞の抗体産生細胞への分化に関与するサイトカインとして知られているが、B細胞の抗体産生に関与するだけでなく、T細胞の増殖分化を誘導する作用等、免疫系を含む生体防御系において重要な因子である。TNF−αやIL−6の過剰産生は、高サイトカイン血症、成人スタイル病、マクロファージ活性化症候群、血球貪食症候群等と強い関係があると考えられている。
また、好中球は、異物の侵入を反応したマクロファージ等により放出される遊走刺激因子に反応し、遊走刺激因子の濃い方向に遊走して集結することにより感染初期の炎症反応を引き起こすことが知られており、過剰に好中球が活性化されると組織傷害を引き起こすとされている。なお、TNF−αは、好中球を活性化する代表的な因子である。
【0029】
ここで、本実施形態の免疫調整剤は、日常的に投与可能なものと想定されている。よって、ある程度長時間吸入しても、人体に副作用がないことが望ましい。また、本実施形態の免疫調整剤は、肺胞マクロファージの最初の反応である貪食能を日常的に向上させて病原体が来た場合に備えるためのものであり、本実施形態の免疫調整剤を投与することにより実際の病原体が来た場合と同程度の量のサイトカイン産生を誘発したり、好中球を増加させたりする必要はないとも言える。このような観点から、本実施形態の免疫調整剤を吸入投与した場合、マクロファージの貪食を活性化すると共にTNF−α及びIL−6の産生を誘発する代表的な物質であるリポポリサッカライド(LPS)を投与する場合に比べて、炎症性サイトカインの産生量及び好中球数が低いことが望ましい。マクロファージの貪食能は、望ましくはLPSを投与する場合に比べて同等またはそれ以上に活性化することが望ましい。好中球数は、望ましくは、LPSを投与する場合に比べて、100分の1以下となることが望ましい。炎症性サイトカインの産生量は望ましくは、LPSを投与する場合に比べて10分の1以下となることが望ましい。
なお、LPSとは、グラム陰性菌の細胞壁外膜の構成成分であり、脂質及び多糖から構成される。このLPSを単回投与すると、マクロファージの貪食能が活性化されると共に、血中TNF−αレベルは1〜2時間後にピークに達するとされ、この早期のTNF−αレベルの上昇は、IL−1やIL−6, IL−8、IFN(interferon)などの他の炎症性サイトカインの産生を刺激するとも言われている。
【0030】
以下に本発明の具体的な実施例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
試験物質A(エス・エス・アイ社販売の「協和のアガリクス茸・仙生露エキスロイヤル」レトルトタイプ)をクリーンベンチ内で無菌的に開封した。7mlを15mlコニカルチューブに移し、塩化ナトリウム63.0mgを加えてボルテックスミキサーにより溶解した。更に試験物質S(ティートリー(学名Melaleuca alternifolia)油、水蒸気蒸留法)を加え、ボルテックスミキサーにて懸濁した。これにより、図1のA+S25サンプルが作成された。このサンプルには試験物質Sが3.6μl/ml含まれる。
なお、試験物質Aについては、アガリクス・ブラゼイ・ムリルが原材料とされている。
また試験物質Sとして用いたティートリー油の成分分析の結果を表1及び表2に示す。用いたティートリー油はプラナロム社製である。(表1の各数値は重量%)
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
表1のように、試験物質Sとして用いたティートリー油において最も含量の多い主成分はテルピネン−4−オール37.56%である。
【0034】
[実施例2]
実施例2のサンプルは図1のA+S250サンプルである。作成方法は実施例1と同様であるが、試験物質Sを実施例1の10倍の250μl加えた。このサンプルには試験物質Sが36μl/ml含まれる。
[比較例1]
比較例1のサンプルは図1の生理食塩水サンプルである。生理食塩水(0.9%w/vの塩化ナトリウム水溶液)7mlを15mlコニカルチューブに移して作成した。
[比較例2]
比較例2のサンプルは図1のAサンプルである。試験物質A7mlを実施例1と同様に15mlのコニカルチューブに移し、塩化ナトリウム63.0mgを加えてボルテックスミキサーにより溶解することにより作成した。
[比較例3]
比較例3のサンプルは図1のLPSサンプルである。大腸菌LPS(Lipopolysaccharides from Escherichia coli O111:B4、製造元Sigma)を1mg/ml含む生理食塩水溶液7mlを15mlコニカルチューブに移して作成した。
[比較例4]
比較例4のサンプルは図1のSサンプルである。生理食塩水7mlを15mlコニカルチューブに移し、試験物質Sを25μl加えてボルテックスミキサーにて懸濁することにより作成した。このサンプルには試験物質Sが3.6μl/ml含まれる。
【0035】
(サンプル投与)
上記の各種サンプルを、コンプレッサー式ネブライザー(オムロン社製、NE−C28、噴霧粒子径約5ミクロン)を用いて、健康なBALB/Cマウス(雄性、実験開始時に6〜8週令)5匹ずつに吸入投与した。
具体的には、2Lペットボトルを横倒しにし、ネブライザーの噴出口を挿入可能な孔を空ける等、一部加工してチャンバとした。マウスはマウス用の固定装置に入れ、固定装置ごとチャンバ内に入れた。サンプル7mlをネブライザーの薬液ボトルに入れ、添付の取り扱い説明書に従ってサンプルを20分間噴霧させてチャンバ内のマウスに吸入投入した。
なお、吸入投与の際にはネブライザーに備え付けの吸入マスク(小)アダプターを用いた。霧の噴出口は、マウスの顔の手前2cm程度にするようにした。
【0036】
(BALFの回収)
投与後、4時間後にBALF(気管支肺胞洗浄液)を回収した。操作は、以下の手順で行った。 マウスを頸椎脱臼で死亡させ、70%エタノールで胸部を消毒し、胸部にハサミで切れ目を入れた。皮を剥ぎ、虫ピンで、皮を固定し、気管を露出させた。その後、留置針を挿入し、タコ糸で縛った。0.1%EDTA/PBS(-)を1ml入れた注射器を刺し込み、液を静かに肺に注入した。胸部をかるくマッサージした後、静かに吸引した。注射器をはずして、ポリプロピレン製遠心チューブに液を回収した。この操作を3回繰り返した。回収したBALFの入ったチューブは直ちに、氷に浸けた。
【0037】
(細胞数の測定)
細胞数計測用に、上記の回収したBALFをチューブに30μL分注し、チュルク染色液を加え、細胞をピペッティングした後、血球計算板に移して総細胞数、肺胞マクロファージ様細胞数、好中球数を計測した。このうち、肺胞マクロファージ様細胞については、後述する免疫染色によるマクロファージの同定において同定された大型の細胞を肺胞マクロファージ様細胞とし、好中球については、細胞の核がチュルク染色で分葉ないし棹状に染色される細胞について好中球として計測した。また、これとは別に上記BALFをチューブに30μL分注し、トリパンブルー染色により細胞の生存率を計測した。生存率はいずれも65%以上であった。
なお、総細胞数の計測結果に基づいて後述する貪食活性測定のための培養の際の細胞密度を計算した。
【0038】
(BALF中の細胞回収)
BALFは遠心分離 (1,000rpm、10分、4℃)を行い、沈殿に5mlの冷RPMI 1640培地(血清フリー)を加え、遠心分離 (1,000rpm、10分、4℃)を行い、上清をデカントで捨てた。再度、細胞の洗浄操作を行い、その後、沈殿に冷RPMI1640(10%FBS、ペニシリン、ストレプトマイシン含有)培地を加えて懸濁した。
【0039】
(免疫染色によるマクロファージの同定)
回収した細胞は、2×10 cells/mlに調整し、2ウエルに各50μlずつチャンバースライドに播種した。37℃の5%COインキュベーター中で、24時間培養を行い、培養後、4%パラホルムアルデヒドPBS(−)溶液で固定を行った。固定後、PBS(−)に置換した。 R−PE標識抗F4/80抗体(anti-Mouse F4/80 R-PHYCOERYTHRIN CONJ、製造元Invitrogen )を含む3%BSA PBS(−)溶液を100μl加え、室温で15分間インキュベートした後、3%BSA PBS(−)溶液を用いてウエルを3回洗浄した。余分な液を除き、 アンチフェード試薬を1滴垂らした後に、カバーグラスで覆い、顕微鏡観察し、染色された大型細胞を肺胞マクロファージ様細胞として計測した。
【0040】
(貪食活性の測定)
回収した細胞は、2×10 cells/mlに調整し、貪食試験用として、100μlをチャンバースライドに播種した。37℃の5%COインキュベーター中で、1時間培養を行い、培養液を捨て、付着していないT、B、好中球等の細胞を除去した(以下、付着細胞をマクロファージと記載する)その後、培養液200μlを加え、さらに、FITC−ポリスチレンビーズ(FluoresbriteTM YG Calibration grade Microspheres、2.0 micron、Polysciences Inc. )を細胞数の20倍量(2×10個/mlを2μl) 添加して、16時間培養した。その後、マクロファージがはがれない程度にトリプシン処理を行い、4%パラホルムアルデヒドPBS(−)溶液で固定を行い、固定後、PBS(−)に置換して、4℃で保存した。
【0041】
4%パラホルムアルデヒド含有PBS(−)溶液で固定したマクロファージを200倍の倍率で、顕微鏡下で観察し、細胞に含まれるビーズを計測した。無作為に、視野を選択して、100個以上(100個〜150個)の細胞を観察し、ビーズの有無と、ビーズがマクロファージに認められる場合は、個数を数えた。ただし、10個以上の場合は、貪食係数を算出する際には10個として計算した。計算方法は以下の通りである。
貪食率 (%):
ビーズが認められたマクロファージ数/観察したマクロファージ数×100
貪食係数:
マクロファージ内のビーズ数/観察したマクロファージ数
【0042】
(サイトカイン含量の測定)
BALF中のTNF−α量を、Mouse TNF−α ELISA kit(製造元inbitrogen)を用いて測定した。同様にBALF中のIL−6量を、Mouse IL−6 ELISA kit(製造元inbitrogen)を用いて測定した。
【0043】
各細胞数の測定結果を図2、貪食率の測定結果を図3、貪食係数の結果を図4、IL−6の測定結果を図5、TNF−αの測定結果を図6に示す。以下では「サンプルS投与群」を、「S投与群」というように、サンプルを略して記載する。また、以下において有意差の有無の判断基準は、ネガティブコントロールである生理食塩水の数値と、各投与群の数値とで、t検定を行い、p値が0.05未満であれば有意差ありとし、それ以上であれば有意差なしと判定した。
【0044】
(細胞数の結果について)
図2のようにBALF中の肺胞マクロファージ様細胞数は、A+S25投与群(実施例1)、A+S250投与群(実施例2)、A投与群(比較例2)、LPS投与群(比較例3)、S投与群(比較例4)のいずれも生理食塩水投与群(比較例1)に対して有意な差を示さず、各投与群の平均値に大差なかった。
すなわち、各種サンプルの投与は、いずれも肺胞マクロファージ様細胞の数を大きく増加するように作用しなかった可能性が示唆された。
【0045】
一方、好中球数については、A+S25投与群(実施例1)、A+S250投与群(実施例2)、A投与群(比較例2)、S投与群(比較例4)はいずれも生理食塩水投与群(比較例1)との有意な差がみられなかったのに対し、LPS投与群(比較例3)のみが生理食塩水投与群に対して有意に増加した(p値は0.021)。LPS投与群の平均値は、生理食塩水投与群の平均値に対して281.25倍、A+S250投与群の平均値に対してはいずれも2250倍(A+S25投与群に対しても同倍)という高い伸びを示した。
よって、アガリクスエキスとティートリー油を含有した実施例1及び実施例2のサンプルを投与した場合、LPSを投与した場合に比べて好中球数の増加が大幅に低い水準に抑えられることが分かる。
【0046】
(貪食率、貪食係数の結果について)
また、図3及び図4のように、貪食率と貪食係数とも、生理食塩水投与群(比較例1)、A投与群(比較例2)及びS投与群(比較例4)、A+S25投与群(実施例1)、A+S250投与群(実施例2)の順に大きな平均値が得られた。A+S250投与群の平均値は、生理食塩水投与群の平均値に比べて貪食率で2.39倍、貪食係数で2・48倍と高い伸びを示した。
また、A+S250投与群の平均値は貪食係数ではLPS投与群(比較例3)の平均値をわずかに下回ったが、貪食率ではLPS投与群の平均値を上回った。A+S250投与群は生理食塩水投与群に対し、貪食率でp値0.0002、貪食係数でp値0.003の有意差が見られたのに対し、LPS投与群は生理食塩水投与群に対し、貪食率でp値0.126、貪食係数でp値0.081となり、明確な有意差が認められなかった。
【0047】
このように、アガリクスエキスとティートリー油をともに含有した実施例1及び実施例2のサンプルを投与した場合、アガリクスエキスを含みティートリー油を含まない比較例2のサンプル、ティートリー油を含みアガリクスエキスを含まない比較例3のサンプルを投与した場合に比べて、肺胞マクロファージの貪食能が向上することが分かる。
また、ティートリー油を実施例1の10倍量含有する実施例2のサンプルを投与した場合は、LPSを投与した場合と同様、或いはそれ以上に肺胞マクロファージの貪食能が向上することが分かる。
また、各投与群において肺胞マクロファージ数の数が大きく変化しないのに対し、A+S25、A+S250投与群では生理食塩水投与群等に比べて貪食率、貪食係数が上回ることから、実施例1及び実施例2のサンプルを投与した場合、肺胞マクロファージ1細胞当たりの貪食能が高まると考えられる。
なお、このようにアガリクスエキスとティートリー油の組合せによりマクロファージの貪食能を向上させる理由だが、アガリクス成分は肺に入り、一旦肺の内液に接してからマクロファージに取り込まれる。この肺の内液は、アガリクス等による免疫刺激作用を抑制する方向に働くと言われており、ティートリー油のアルコール成分、特に主成分であるテルピネン−4−オールがこの肺の内液の抑制作用を弱めるために結果として免疫反応を増強させたとも推定される。
【0048】
(サイトカイン測定の結果について)
また、図5に示すIL−6の測定結果では、A+S25投与群(実施例1)、A投与群(比較例2)については生理食塩水投与群(比較例1)と概ね同程度の平均値を示し、両投与群の生理食塩水投与群に対する有意差は認められなかった。また、A+S250投与群(実施例2)は生理食塩水投与群に対して1.74倍(p値0.021)、S投与群(比較例4)は生理食塩水投与群に対して1.57倍(p値0.036)という有意な差が認められたものの、生理食塩水投与群に対する伸びは2倍以下の低水準に留まっている。
これに対し、LPS投与群は、生理食塩水投与群に対して114.52倍(p値0.007)と大きく増加した。LPS投与群の平均値に対して、A+S25投与群の平均値は約117分の1、A+S250投与群の平均値は約66分の1であった。
【0049】
また図6に示すTNF−αの測定結果では、A投与群(比較例2)、S投与群(比較例4)については生理食塩水投与群(比較例1)と概ね同程度の平均値を示し、両投与群の生理食塩水投与群に対する有意差は認められなかった。また、A+S25投与群は生理食塩水投与群に対して2.50倍(p値0.044)、A+S250投与群は生理食塩水投与群に対して2.26倍(p値0.011)という有意な差が認められたものの、生理食塩水投与群に対する伸びは3倍以下の低水準に留まった。
これに対し、LPS投与群は、生理食塩水投与群に対して228.53倍(p値0.0002)と大きく増加した。A+S25投与群の平均値はLPS投与群平均値の約91分の1、A+S250投与群の平均値はLPS投与群平均値の約101分の1であった。
【0050】
このように、アガリクスエキスとティートリー油を含有する実施例1及び実施例2のサンプル投与はLPS投与と同程度に肺胞マクロファージの貪食能を向上させるにも関わらず、IL−6及びTNF−αの炎症性サイトカインの産出量についてはLPSを投与した場合に比べて大幅に低く抑えられる。
なお、図2で示したBALF中の好中球数は、LPS投与群では大きく増加した。LPS投与群でTNF−α及びIL−6が大きく増加したことと、同投与群で好中球数が大きく増加したこととは強い関連があると考えられる。一方で、上述のように実施例1及び実施例2の投与群では好中球数は生理食塩水投与群に対して有意な差が見られないことから、これら実施例のサンプル投与が、IL−6及びTNF−αの炎症性サイトカイン産生が低水準だったことが、好中球がほとんど増加しなかった原因とも考えられる。
【0051】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用菌類成分と、植物精油成分とを含有する免疫調整剤。
【請求項2】
投与されると、肺胞マクロファージの貪食能を向上させることを特徴とする請求項1の免疫調整剤。
【請求項3】
投与されると、リポポリサッカライド(LPS)が投与される場合に比べて、肺胞マクロファージの貪食能を同等またはそれ以上に活性化するとともに、肺における炎症性サイトカインの産生量がより低いことを特徴とする請求項1又は請求項2の免疫調整剤。
【請求項4】
前記植物精油成分は、テルピネン−4−オールを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の免疫調整剤。
【請求項5】
前記植物精油成分は、ティートリー油成分であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の免疫調整剤。
【請求項6】
前記食用菌類成分は、アガリクス抽出成分であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の免疫調整剤。
【請求項7】
液体であって、気化・噴霧化されて吸入により投与されることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の免疫調整剤。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の免疫調整剤を放出する放出機構を有する空気清浄機。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の免疫調整剤を放出する放出機構を有する自動車用空気清浄機。
【請求項10】
食用菌類成分と、植物精油成分とを含有する免疫調整剤を気化・噴霧化する装置により気化・噴霧化させて、肺胞マクロファージの貪食能を向上させる免疫調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−207852(P2011−207852A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−79697(P2010−79697)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】