説明

免疫賦活効果を相乗的に増強した製剤

【課題】 免疫賦活効果に優れた医薬、食品、化粧料等の提供。
【解決手段】 アスコルビン酸と、他の免疫賦活物質を併用することにより、免疫賦活効果を相乗的に増強した医薬品、医薬部外品、食品、飼料または化粧料用の製剤。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、免疫賦活効果を相乗的に増強した製剤、さらに詳しくは、相乗的に増強した免疫賦活作用により、優れた免疫増強、生体機能の調節、保健強壮効果を発揮する医薬品、医薬部外品、食品、飼料、化粧料として有用な製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、免疫賦活作用を有する物質が種々知られており、アスコルビン酸も免疫賦活作用を有することが知られている(Int. J. Vitam. Nutr. Res. Suppl., 1982, 23:49-52;Am. J. Clin. Nutr., 1976, 29(7), 762-765等)。また、乳酸菌や、ニゲロオリゴ糖も、免疫賦活作用を有することが知られている(Can. J. Microbiol., 1992, 38:774-778; J. Allergy Clin. Immunol., 1998, 102:57-64; Biosci. Biotechnol. Biochem., 1999, 63:373-378等)。一方、これらの免疫賦活作用を有する物質を有効成分とする医薬品、食品等として有用な免疫増強剤や、生体機能調節剤が提案されている(特開平3−22958号、特開平9−30981号、特開平9−52834号、特開平10−167972号等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、より優れた免疫賦活作用を発揮する免疫増強剤や生体機能調節剤を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決する手段】本発明者らは、免疫賦活物質について種々研究した結果、アスコルビン酸と、他の免疫賦活物質、特に、乳酸菌やニゲロオリゴ糖を併用した場合、免疫賦活効果が相乗的に増強されることを見出した。アスコルビン酸とこれらを組み合わせた場合、免疫賦活効果が相乗的に増強されることは、未だ、報告されていない。本発明は、このような本発明者らの新規な知見に基づいて完成されたものであって、
【0005】アスコルビン酸および他の免疫賦活物質を含有してなることを特徴とする医薬品、医薬部外品、食品、飼料または化粧料用製剤、特に、他の免疫賦活物質が、乳酸菌、とりわけ、ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する菌、それらの処理物、および3−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構成単位として含有する糖類からなる群から選択される1種以上の免疫賦活物質である製剤を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において用いるアスコルビン酸は、遊離のアスコルビン酸のみならず、例えば、そのナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルのような誘導体の1種または2種以上が使用できる。その製剤への配合量は、所望の免疫賦活作用により適宜選択できるが、経口剤の場合、吸収率を考慮して、遊離のアスコルビン酸として、成人1日当り、10mg〜10g、好ましくは、50mg〜5g、さらに好ましくは、200mg〜2g摂取されるよう設定するのが望ましい。すなわち、通常、その製剤への配合量は、1日摂取量の目安が4gの錠剤の場合、製剤に対して遊離のアスコルビン酸として、0.25〜95重量%、好ましくは、1.25〜95重量%、さらに好ましくは、5〜50重量%であり、50ml程度のドリンク剤の場合、製剤に対して遊離のアスコルビン酸として、0.02〜20重量%、好ましくは、0.1〜10重量%、さらに好ましくは、0.4〜4重量%であり、500ml程度の飲料の場合、製剤に対して遊離のアスコルビン酸として、0.002〜2重量%、好ましくは、0.01〜1重量%、さらに好ましくは、0.04〜0.4重量%である。また、注射剤、輸液剤の場合は遊離のアスコルビン酸として、成人1日当り、5mg〜5g、好ましくは、25mg〜2.5g、さらに好ましくは、100mg〜1g投与されるよう設定するのが望ましい。すなわち、通常、5ml程度の注射剤の場合、製剤に対して遊離のアスコルビン酸として、0.1〜10重量%、好ましくは、0.5〜10重量%、さらに好ましくは2〜10重量%であり、500ml程度の輸液剤の場合、製剤に対して遊離のアスコルビン酸として、0.001〜1重量%、好ましくは、0.005〜0.5重量%、さらに好ましくは、0.02〜0.2重量%である。
【0007】他の免疫賦活物質としては、乳酸菌、その処理物および3−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構成単位として含有する糖類からなる群から選択される1種以上の免疫賦活物質である。乳酸菌としては、とりわけ、ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する菌、例えば、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)があげられ、具体的には、ラクトバチルス・プランタラムL−137株(Lactobacillus plantarum L-137)(平成7年11月30日より、受託番号FERM P−15317の下、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託してある)が好適に使用できる。乳酸菌の処理物としては、本発明において用いる菌により食品を発酵させてなる、菌体を含んだ発酵物をそのまま用いてもよいし、発酵物から菌体を採取し、生菌のまま、または、例えば、加熱、紫外線照射等により不活性化し、ペースト状態あるいは乾燥して用いることもできる。分離した生菌体、死菌体をさらに摩砕、破砕、酵素分解、抽出処理をし、得られた処理物を必要により加熱滅菌、乾燥して用いることもできる。これらの配合量も適宜選択できるが、経口剤の場合、吸収率を考慮して、成人1日当り、乾燥菌体として0.2mg〜1g、好ましくは、1mg〜500mg、さらに好ましくは、5mg〜200mg摂取されるよう設定するのが望ましい。すなわち、通常、その製剤への配合量は、1日摂取量の目安が4gの錠剤の場合、製剤に対して乾燥菌体として、0.005〜25重量%、好ましくは、0.025〜12.5重量%、さらに好ましくは、0.125〜5重量%であり、50ml程度のドリンク剤の場合、製剤に対して乾燥菌体として、0.0004〜2重量%、好ましくは、0.002〜1重量%、さらに好ましくは、0.01〜0.4重量%であり、500ml程度の飲料の場合、製剤に対して乾燥菌体として、0.00004〜0.2重量%、好ましくは、0.0002〜0.1重量%、さらに好ましくは、0.001〜0.04重量%である。また、注射剤、輸液剤の場合は、乾燥菌体として、成人1日当り、0.004mg〜50mg、好ましくは、0.02mg〜25mg、さらに好ましくは、0.1mg〜10mg投与されるよう設定するのが望ましい。すなわち、通常、5ml程度の注射剤の場合、製剤に対して乾燥菌体として、0.00008〜1重量%、好ましくは、0.0004〜0.5重量%、さらに好ましくは、0.002〜0.2重量%であり、500ml程度の輸液剤の場合、製剤に対して乾燥菌体として、0.0000008〜0.01重量%、好ましくは、0.000004〜0.005重量%、さらに好ましくは、0.00002〜0.002重量%である。
【0008】3−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構成単位として含有する糖類としては、例えば、ニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースおよびこれらのニゲロオリゴ糖の混合物が挙げられる。これらの配合量も適宜選択できるが、経口剤の場合、吸収率を考慮して、ニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースからなるニゲロオリゴ糖混合物として、成人1日当り、4mg〜40g、好ましくは、10mg〜10g、さらに好ましくは、50mg〜5g摂取されるよう設定するのが望ましい。すなわち、通常、その製剤への配合量は、1日摂取量の目安が4gの錠剤の場合、製剤に対してニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースからなるニゲロオリゴ糖混合物として、0.1〜95重量%、好ましくは、0.25〜95重量%、さらに好ましくは、1.25〜95重量%であり、50ml程度のドリンク剤の場合、製剤に対してニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースからなるニゲロオリゴ糖混合物として、0.008〜40重量%、好ましくは、0.02〜20重量%、さらに好ましくは、0.1〜10重量%であり、500ml程度の飲料の場合、製剤に対してニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースからなるニゲロオリゴ糖混合物として、0.0008〜8重量%、好ましくは、0.002〜2重量%、さらに好ましくは、0.01〜1重量%である。また、注射剤、輸液剤の場合はニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースからなるニゲロオリゴ糖混合物として、成人1日当り、0.4mg〜4g、好ましくは、1mg〜1g、さらに好ましくは、5mg〜500mg投与されるよう設定するのが望ましい。すなわち、通常、5ml程度の注射剤の場合、製剤に対してニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースからなるニゲロオリゴ糖混合物として、0.008〜20重量%、好ましくは、0.02〜20重量%、さらに好ましくは、0.1〜10重量%であり、500ml程度の輸液剤の場合、製剤に対してニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースからなるニゲロオリゴ糖混合物として、0.00008〜0.8重量%、好ましくは、0.0002〜0.2重量%、さらに好ましくは、0.001〜0.1重量%である。本発明においては、アスコルビン酸と上記の乳酸菌および3−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構成単位として含有する糖類とを併用してもよく、その場合の配合量も適宜選択することができるが、通常、1日摂取量の目安が4gの錠剤の場合、製剤に対して遊離のアスコルビン酸として、0.125〜50重量%、好ましくは、0.675〜50重量%、さらに好ましくは、2.5〜25重量%であり、乳酸菌の乾燥菌体として、0.0025〜12.5重量%、好ましくは、0.0125〜6.75重量%、さらに好ましくは、0.0675〜2.5重量%であり、ニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースからなるニゲロオリゴ糖混合物として、0.05〜50重量%、好ましくは、0.125〜50重量%、さらに好ましくは、0.675〜50重量%である。50ml程度のドリンク剤の場合、製剤に対して遊離のアスコルビン酸として、0.01〜10重量%、好ましくは、0.05〜5重量%、さらに好ましくは、0.2〜2重量%であり、乳酸菌の乾燥菌体として、0.0002〜1重量%、好ましくは、0.001〜0.5重量%、さらに好ましくは、0.005〜0.2重量%であり、ニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースからなるニゲロオリゴ糖混合物として、0.004〜20重量%、好ましくは、0.01〜10重量%、さらに好ましくは、0.05〜5重量%である。500ml程度の飲料の場合、製剤に対して遊離のアスコルビン酸として、0.001〜1重量%、好ましくは、0.005〜0.5重量%、さらに好ましくは、0.02〜0.2重量%であり、乳酸菌の乾燥菌体として、0.00002〜0.1重量%、好ましくは、0.0001〜0.05重量%、さらに好ましくは、0.0005〜0.02重量%であり、ニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースからなるニゲロオリゴ糖混合物として、0.0004〜4重量%、好ましくは、0.001〜1重量%、さらに好ましくは、0.005〜0.5重量%である。5ml程度の注射剤の場合、製剤に対して遊離のアスコルビン酸として、0.05〜5重量%、好ましくは、0.25〜5重量%、さらに好ましくは、1〜5重量%であり、乳酸菌の乾燥菌体として0.00004〜0.5重量%、好ましくは、0.0002〜0.25重量%、さらに好ましくは、0.001〜0.1重量%であり、ニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースからなるニゲロオリゴ糖混合物として、0.004〜10重量%、好ましくは、0.01〜10重量%、さらに好ましくは、0.05〜5重量%である。500ml程度の輸液剤の場合、製剤に対して遊離のアスコルビン酸として、0.0005〜0.5重量%、好ましくは、0.0025〜0.25重量%、さらに好ましくは、0.01〜0.1重量%であり、乳酸菌の乾燥菌体として、0.0000004〜0.005重量%、好ましくは、0.000002〜0.0025重量%、さらに好ましくは0.00001〜0.001重量%であり、ニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースからなるニゲロオリゴ糖混合物として0.00004〜0.4重量%、好ましくは、0.0001〜0.1重量%、さらに好ましくは、0.0005〜0.05重量%である。
【0009】本発明の製剤は、公知の賦形剤ないしは担体を用い、自体公知の方法に従い、例えば、経口、非経口、外用等の経路で適用できる、例えば、錠剤、顆粒、カプセル入り、粉末、クリーム、ペーストのような固体または溶液、シロップ、乳液、懸濁液のような液体の剤形の医薬品、医薬部外品、食品または化粧料用製剤とすることができる。用いる賦形剤ないしは担体としては、例えば、デキストリン、コーンスターチ、乳糖、セルロース、メチルセルロースのような固体賦形剤、水、生理食塩水、プロピレングリコール、エタノールのような液体賦形剤が挙げられる。
【0010】本発明の製剤は、経口、非経口、外用等で適用することにより、相乗的に増強された免疫賦活作用から、ウイルス、バクテリア等の微生物による感染症、例えば、経口感染によるコレラ菌、毒素原性大腸菌、赤痢菌、サルモネラ菌、ウイルス等の感染性腸炎や、気道感染によるインフルエンザ、かぜ症候群等や、口腔内感染による口内炎、歯周疾患等、また、各種悪性腫瘍、例えば、消化管や呼吸器粘膜、肝・腎等の実質臓器に発生する上皮性悪性腫瘍や、運動器や軟部組織等に発生する非上皮性悪性腫瘍の予防や治療に有効である。また、本発明の製剤はIL−12および/またはIFN−γ産生誘導作用を有し、Tヘルパー機能をTh1型に傾けるために、腫瘍により誘導される免疫抑制状態や抗癌剤治療により誘導される免疫機能低下からの回復に適しており、後天性免疫不全症候群(AIDS)の発症予防にも有効であり、リステリア菌、サルモネラ菌、結核菌、癩菌等の細胞内寄生性細菌に対しても有効であり、I型アレルギーの予防や治療に有効であり、ストレスに起因するTh1型免疫機能低下の改善に有効であり、加齢に伴う免疫機能低下の抑制等にも適しており、また、細胞内寄生性細菌のクラミジア菌に対する感染防御作用により、クラミジア菌感染との関わりが強く示唆されている動脈硬化発症に対しても予防的にはたらくなど、種々の生体機能調節、各種疾患に対する抵抗性の向上、日常の保健強壮の促進に有効である。
【0011】
【実施例】以下に試験例および実施例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
試験例1本試験例では、ラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体とアスコルビン酸を用いて、マウス脾臓細胞のインターロイキン12およびインターフェロンγ産生誘導に対するラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体とアスコルビン酸の相乗効果を検証した。マウス(BALB/c、雌、22週齡)から脾臓を摘出し、RPMI1640培地中で押し潰し、♯200メッシュに通し脾臓細胞浮遊液を得た。脾臓細胞浮遊液の細胞数を自動血球計測装置で測定した後、細胞数を5×106/mlの濃度にRPMI1640培地で調製し、96穴組織培養プレートに1穴あたり100μlを播種した。これにラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体を0.4μg/mlの濃度でRPMI1640培地に分散させた液またはRPMI1640培地をそれぞれ1穴あたり50μl加えた。さらに、RPMI1640培地(対照)またはアスコルビン酸を20、40または80μg/ml濃度でRPMI1640培地に溶解した液をそれぞれ1穴あたり50μl加え、37℃の5%炭酸ガス培養器内で7日間培養し、培養後の培養上清のインターロイキン12およびインターフェロンγをエンザイムイムノアッセイで測定した。エンザイムイムノアッセイは、ラット抗マウスインターロイキン12IgG2a抗体(Genzyme社製)またはハムスター抗マウスインターフェロンγ抗体(Genzyme社製)をホウ酸緩衝液で2μg/mlに調製した溶液を、96穴組織培養プレート1穴あたり100μl加え37℃で1夜放置しラット抗マウスインターロイキン12IgG2a抗体またはハムスター抗マウスインターフェロンγ抗体を各穴に付着させたプレートを用いて行った。培養上清を1穴あたり50μl加え室温で90分間放置し、培養上清のインターロイキン12またはインターフェロンγをプレートに付着したラット抗マウスインターロイキン12IgG2a抗体またはハムスター抗マウスインターフェロンγ抗体と結合させた。洗浄後、ラット抗マウスインターロイキン12IgG1抗体(Genzyme社製)またはラット抗マウスインターフェロンγIgG1抗体(Upstate Biotechnology社製)を加え、プレートに結合させたインターロイキン12またはインターフェロンγに結合させた。洗浄後ペルオキシダーゼで標識した抗ラットIgG1抗体を加え、プレートに結合させたラット抗マウスインターロイキン12IgG1抗体またはラット抗マウスインターフェロンγIgG1抗体に結合させた。洗浄後、過酸化水素0.006%とオルトフェニレンジアミン0.1%を含有するリン酸緩衝液を1穴あたり100μl加え、室温で40分間反応させ、反応を1.5N硫酸で停止し、マイクロプレートリーダーで吸光度492nmを測定し、リコンビナントマウスインターロイキン12またはインターフェロンγで作成した標準曲線から、培養上清中のインターロイキン12またはインターフェロンγの濃度を求めた。表1にその結果を示す。
【0012】
【表1】


【0013】表1から明らかなごとく、アスコルビン酸単独ではインターロイキン12並びにインターフェロンγの産生を誘導しなかったが、ラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体で誘導されたインターロイキン12およびインターフェロンγの産生をアスコルビン酸は有意に上昇させた。インターロイキン12およびインターフェロンγ産生誘導におけるラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体とアスコルビン酸の相乗効果が検証された。
【0014】試験例2本試験例では、ラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体とニゲロオリゴ糖とアスコルビン酸を用いて、マウス脾臓細胞のインターロイキン12およびインターフェロンγ産生誘導に対するラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体とニゲロオリゴ糖(ニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースからなるニゲロオリゴ糖の混合物)とアスコルビン酸の相乗効果を検証した。マウス(BALB/c、雌、22週齡)から脾臓を摘出し、RPMI1640培地中で押し潰し、♯200メッシュに通し脾臓細胞浮遊液を得た。脾臓細胞浮遊液の細胞数を自動血球計測装置で測定した後、細胞数を10×106/mlの濃度にRPMI1640培地で調製し、96穴組織培養プレートに1穴あたり50μlを播種した。これにラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体を0.4μg/mlの濃度で分散させ、ニゲロオリゴ糖を4μg/ml濃度で溶解したRPMI1640培地をそれぞれ1穴あたり50μl加えた。さらに、RPMI1640培地(対照)またはアスコルビン酸を20、40、80または160μg/ml濃度でRPMI1640培地に溶解した液をそれぞれ1穴あたり50μl加え、37℃の5%炭酸ガス培養器内で7日間培養し、培養後の培養上清のインターロイキン12およびインターフェロンγをエンザイムイムノアッセイで測定した。表2にその結果を示す。
【0015】
【表2】


【0016】表2から明らかなごとくラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体とニゲロオリゴ糖からなる組成物で誘導されたインターロイキン12およびインターフェロンγの産生をアスコルビン酸は有意に上昇させた。インターロイキン12およびインターフェロンγ産生誘導におけるラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥死菌体とニゲロオリゴ糖とアスコルビン酸の相乗効果が検証された。
【0017】実施例1アスコルビン酸、ニゲロースおよび乳酸菌配合の清涼飲料水下記配合に従い、ニゲロース、ラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥菌体、レモン果汁、グラニュー糖、果糖ブドウ糖液糖、精製ハチミツ、アスコルビン酸、クエン酸、レモンフレーバーに純水を500ml加え攪拌後、10分間超音波処理し懸濁溶解させ、1000mlに調整した後、65℃で10分間殺菌して清涼飲料水を得た。得られた清涼飲料水はニゲロースを約1.5%、アスコルビン酸を1%、ラクトバチルス・プランタラムL−137菌体を約0.02%含有する。
成 分 量 ニゲロース 15.0g アスコルビン酸 10.0g ラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥菌体 0.2g レモン果汁 9.4g グラニュー糖 15.4g 果糖ブドウ糖液糖 74.0g 精製ハチミツ 22.2g クエン酸 1.5g レモンフレーバー 1.6g
【0018】実施例2アスコルビン酸および乳酸菌配合の顆粒剤下記配合に従い、各成分を均一に混合し、造粒破砕後、乾燥して顆粒剤とした。
成 分 量 アスコルビン酸 60g ラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥菌体 1g 乳糖 150g 結晶セルロース 15g ブドウ糖 71g
【0019】実施例3アスコルビン酸および乳酸菌配合の錠剤実施例2で得られた顆粒剤99gにステアリン酸カルシウム1gを混合し、打錠機で圧縮整形して900mgの錠剤を得た。得られた錠剤は一錠あたり、アスコルビン酸を約180mg、ラクトバチルス・プランタラムL−137菌体を約3mg含有する。
【0020】実施例4アスコルビン酸、乳酸菌およびニゲロオリゴ糖配合の注射剤アスコルビン酸10g、ニゲロオリゴ糖(ニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースからなるニゲロオリゴ糖の混合物)2g、ラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥菌体0.05gを精製水1000mlに懸濁させ、超音波処理した後、凍結乾燥した。この凍結乾燥物を500本のバイアル瓶に分注して注射剤を得た。この注射剤1バイアルには凍結乾燥物24.1mgが含まれており、2mlの生理食塩水に容易に懸濁溶解した。
【0021】実施例5アスコルビン酸、乳酸菌およびニゲロオリゴ糖配合のカプセル剤下記の配合に従い、各成分を均一に混合し、ゼラチンカプセルに充填し、カプセル1個あたり、ニゲロオリゴ糖を100mg、アスコルビン酸50mg、ラクトバチルス・プランタラムL−137菌体を3mg含有するカプセル剤を得た。
成 分 量 ニゲロオリゴ糖 100mg アスコルビン酸 50mg ラクトバチルス・プランタラムL−137乾燥菌体 3mg コーンスターチ 30mg ステアリン酸マグネシウム 10mg

【特許請求の範囲】
【請求項1】 アスコルビン酸および他の免疫賦活物質を含有してなることを特徴とする医薬品、医薬部外品、食品、飼料または化粧料用製剤。
【請求項2】 他の免疫賦活物質が、乳酸菌またはその処理物である請求項1記載の製剤。
【請求項3】 乳酸菌が、ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する菌である請求項2記載の製剤。
【請求項4】 他の免疫賦活物質が、3−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構成単位として含有する糖類である請求項1記載の製剤。
【請求項5】 他の免疫賦活物質が、乳酸菌またはその処理物と、3−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコースを構成単位として含有する糖類である請求項1記載の製剤。
【請求項6】 乳酸菌が、ラクトバチルス(Lactobacillus)属に属する菌である請求項5記載の製剤。
【請求項7】 糖類がニゲロース、ニゲロシルグルコース、ニゲロシルマルトースからなるニゲロオリゴ糖の混合物である請求項4〜6いずれか1項記載の製剤。
【請求項8】 ラクトバチルス属に属する菌が、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)である請求項2〜7いずれか1項記載の製剤。
【請求項9】 ラクトバチルス属に属する菌が、ラクトバチルス・プランタラムL−137株(Lactobacillus plantarum L-137)である請求項8記載の製剤。
【請求項10】 免疫増強用である請求項1〜9のいずれか1項記載の製剤。
【請求項11】 IL−12および/またはIFN−γ産生誘導作用である請求項10記載の製剤。

【公開番号】特開2001−64174(P2001−64174A)
【公開日】平成13年3月13日(2001.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−235431
【出願日】平成11年8月23日(1999.8.23)
【出願人】(000238511)武田食品工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】