説明

免疫賦活性オリゴヌクレオチド

本発明は、免疫賦活性オリゴヌクレオチド、および免疫賦活性オリゴヌクレオチドを使用して、抗原特異的免疫応答を誘発する方法に関する。本発明は、さらに、免疫賦活性オリゴヌクレオチドおよび抗原を含み、薬学的に許容できる担体を含むワクチンにも関する。本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の改変された連結を含む。
【図1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫賦活性オリゴヌクレオチドと、免疫賦活性オリゴヌクレオチドを使用して、抗原特異的免疫応答を誘発する方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
細菌DNAには、脊椎動物DNAにはない、B細胞およびナチュラルキラー細胞を活性化する免疫賦活作用がある(Tokunaga,T.ら、1988、Jpn.J.Cancer Res.79:682〜686;Tokunaga,T.ら、1984、JNCI 72:955〜962;Messina,J.P.ら、1991、J.Immunol.147:1759〜1764;ならびにKrieg、1998による総説:Applied Oligonucleotide Technology、C.A.SteinおよびA.M.Krieg(編)、John Wiley and Sons,Inc.、New York、N.Y.、431〜448)。現在では、細菌DNAのこれらの免疫賦活作用は、非メチル化CpGジヌクレオチドが、特定の塩基構成(CpGモチーフ)中に存在する結果であることが理解されており、これらの塩基構成は、細菌DNAにおいては一般的であるが、脊椎動物DNAにおいてはメチル化されており、過小提示されている(Kriegら、1995 Nature 374:546〜549;Krieg、1999 Biochim.Biophys.Acta 1489:107〜116)。細菌DNAのこうした免疫賦活作用を、これらのCpGモチーフを含有する合成オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)を用いて模倣することができる。そのようなCpG ODNには、ヒトおよびマウスの白血球に対する高い賦活作用があり、B細胞増殖;サイトカインおよび免疫グロブリンの分泌;ナチュラルキラー(NK)細胞の溶解活性およびIFN−.ガンマ.分泌;ならびに共刺激分子を発現させ、サイトカイン、とりわけ、Th1様T細胞応答の発生を促すのに重要であるTh1様サイトカインを分泌させるための、樹状細胞(DC)および他の抗原提示細胞の活性化を誘発する。このCpGモチーフが、メチル化されている場合、GpCに変化している場合、またはそれ以外の排除もしくは変化を受けている場合には、これらの作用が劇的に低下することから、天然のリン酸ジエステル骨格のCpG ODNの、これらの免疫賦活作用は、非常にCpG特異的である(Kriegら、1995 Nature 374:546〜549;Hartmannら、1999 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:9305〜10)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
CpGオリゴヌクレオチドの免疫賦活活性は、CpGモチーフの数、CGジヌクレオチドに隣接する配列、(1つまたは複数の)CpGモチーフの場所、およびCpGモチーフ間の間隔に依存することが以前に報告されている(Ballasら、1996、J.Immunol.157(5):1840〜5;Hartmannら、2000、J.Immunol.、164(3):1617〜24;Klinmanら、2003、Clin.Exp.Immunol.、133(2):227〜32)。3’CpGモチーフが除去されているが驚くべきことに免疫賦活活性を保持する免疫賦活性オリゴヌクレオチドを本明細書では開示する。さらに、この免疫賦活性オリゴヌクレオチドおよび抗原を含むワクチン、ならびにそのようなワクチンを使用する方法も開示する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の態様では、ヌクレオチド配列5’TCGTCGTTTTTCGGTGCTTTT3’(配列番号1)を含む免疫賦活性オリゴヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態では、この免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の改変された連結を含む。特定の実施形態では、この免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のホスホロチオエート連結を含む。特定の実施形態では、このオリゴヌクレオチドの全てのヌクレオチド間連結が、ホスホロチオエート連結である。いくつかの実施形態では、この免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの親油性の置換されているヌクレオチド類似体、およびピリミジン−プリンジヌクレオチドを含む。
【0005】
本発明の態様では、抗原と配列番号1のヌクレオチド配列を含む免疫賦活性オリゴヌクレオチドとを含み、薬学的に許容できる担体をさらに含むワクチンを提供する。いくつかの実施形態では、この免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、抗原特異的免疫応答を誘発するのに有効な量である。他の実施形態では、誘発される抗原特異的免疫応答は、Th1免疫応答である。いくつかの実施形態では、この抗原は、微生物抗原、自己抗原または習慣性物質(addictive substance)である。他の実施形態では、この細菌抗原は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)と関連があり、またはう歯を引き起こす細菌と関連がある。さらなる実施形態では、この細菌は、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカス・ソブリナス(Streptococcus sobrinus)、ストレプトコッカス・サンギス(Streptococcus sanguis)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、またはアクチノミセス・ビスコーサス(Actinomyces viscosus)である。他の実施形態では、この細菌抗原は、歯周疾患を引き起こす細菌と関連がある。さらなる実施形態では、この細菌は、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、またはアクチノバチルス・アクチノミセタムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)である。いくつかの実施形態では、このウイルス抗原は、呼吸器多核体ウイルス(Respiratory Syncytial virus)(RSV)、単純ヘルペスウイルス1(Herpes Simplex virus1)、単純ヘルペスウイルス2(Herpes Simplex virus2)、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)−1(HIV−1)またはHIV−2と関連がある。他の実施形態では、この寄生生物抗原は、マラリアを引き起こす寄生生物と関連がある。いくつかの実施形態では、この自己抗原は、腫瘍抗原、アルツハイマー病と関連がある抗原、ヒト抗体に対する抗原、またはヒト内因性レトロウイルスエレメントから発現される抗原である。さらなる実施形態では、この腫瘍抗原は、HER2、MAGE、NY−ESO、PSA、CEA、またはEGFRの変異型である。他の実施形態では、この抗原は、アルツハイマー病と関連があり、そうした抗原は、タウまたはβ−アミロイドである。いくつかの実施形態では、この抗原はIgEである。いくつかの実施形態では、この抗原は、担体にコンジュゲートさせたニコチンハプテンである。さらなる実施形態では、このニコチンハプテンをコンジュゲートさせた担体は、ジフテリア毒素(DT)である。他の実施形態では、この抗原は、ペプチド、組換えタンパク質、精製タンパク質、死滅させた全病原体、弱毒化生ウイルスもしくはウイルスベクター、弱毒化生細菌もしくは細菌ベクター、多糖、ハプテンであり、またはプラスミドDNAによってコードされている。
【0006】
いくつかの実施形態では、この抗原を、担体にコンジュゲートさせる。さらなる実施形態では、この担体は、ジフテリア毒素(DT)である。他の実施形態では、この担体は、ウイルス様粒子である。さらなる実施形態では、このウイルス様粒子は、RNAファージQ−β、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、またはB型肝炎コア抗原(HBcAg)である。いくつかの実施形態では、このワクチンは、1つまたは複数のアジュバントをさらに含む。さらなる実施形態では、このアジュバントは、TLR9ではないToll様受容体(TLR)に対するアゴニストである。他の実施形態では、このアゴニストは、TLR3に対するアゴニストである。さらなる実施形態では、このTLR3アゴニストは、安定化ポリI:Cである。いくつかの実施形態では、このアゴニストは、TLR4に対するアゴニストである。さらなる実施形態では、このTLR4アゴニストは、リポ多糖(LPS)の誘導体である。その上さらなる実施形態では、このLPS誘導体は、MPLまたはGLAである。他の実施形態では、このアゴニストは、TLR5に対するアゴニストである。さらなる実施形態では、このTLR5アゴニストは、フラジェリンである。いくつかの実施形態では、このアゴニストは、TLR7またはTLR8に対するアゴニストである。さらなる実施形態では、このTLR7アゴニストまたはTLR8アゴニストは、低分子のイミダゾキノリンファミリーである。他の実施形態では、このアジュバントは、アルミニウム塩である。さらなる実施形態では、このアルミニウム塩は、水酸化アルミニウムである。いくつかの実施形態では、このアジュバントは、免疫賦活複合体(ISCOM)である。他の実施形態では、このアジュバントは、水中油型または油中水型の乳剤である。いくつかの実施形態では、このアジュバントは、リポソームである。他の実施形態では、このアジュバントは、送達系である。さらなる実施形態では、この送達系は、ナノ粒子またはマイクロ粒子である。
【0007】
いくつかの実施形態では、この免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の改変された連結を含む。さらなる実施形態では、この免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のホスホロチオエート連結を含む。特定の実施形態では、このオリゴヌクレオチドの全てのヌクレオチド間連結が、ホスホロチオエート連結である。他の実施形態では、この免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの親油性の置換されているヌクレオチド類似体、およびピリミジン−プリンジヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、このワクチンは、投与のために製剤化される。さらなる実施形態では、このワクチンは、非経口経路を介する投与のために製剤化され、この非経口経路は、筋肉内、皮下、皮内、静脈内または腹腔内である。その上さらなる実施形態では、このワクチンは、外用経路を介する投与のために製剤化され、この外用経路は、皮膚、経皮または粘膜表面である。さらなる実施形態では、この粘膜経路は、経口、鼻腔内、膣内、直腸内、頬側内または眼内である。
【0008】
本発明のいくつかの態様では、抗原特異的免疫応答を、それを必要とする対象において誘発する方法は、抗原と配列番号1のヌクレオチド配列を含む免疫賦活性オリゴヌクレオチドとを、前記対象において抗原特異的免疫応答を誘発するのに有効な量で対象に投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、この抗原は、微生物抗原、自己抗原または習慣性物質である。さらなる実施形態では、この微生物抗原は、細菌抗原、ウイルス抗原または寄生生物抗原である。他の実施形態では、この細菌抗原は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)と関連があり、またはう歯を引き起こす細菌と関連がある。さらなる実施形態では、この細菌は、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカス・ソブリナス(Streptococcus sobrinus)、ストレプトコッカス・サンギス(Streptococcus sanguis)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、またはアクチノミセス・ビスコーサス(Actinomyces viscosus)である。他の実施形態では、この細菌抗原は、歯周疾患を引き起こす細菌と関連がある。さらなる実施形態では、この細菌は、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、またはアクチノバチルス・アクチノミセタムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)である。いくつかの実施形態では、このウイルス抗原は、呼吸器多核体ウイルス(Respiratory Syncytial virus)(RSV)、単純ヘルペスウイルス1(Herpes Simplex virus1)、単純ヘルペスウイルス2(Herpes Simplex virus2)、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)−1(HIV−1)またはHIV−2と関連がある。他の実施形態では、この寄生生物抗原は、マラリアを引き起こす寄生生物と関連がある。いくつかの実施形態では、この自己抗原は、腫瘍抗原、アルツハイマー病と関連がある抗原、ヒト抗体に対する抗原、またはヒト内因性レトロウイルスエレメントから発現される抗原である。さらなる実施形態では、この腫瘍抗原は、HER2、MAGE、NY−ESO、PSA、CEA、またはEGFRの変異型である。他の実施形態では、この抗原は、アルツハイマー病と関連があり、そうした抗原は、タウまたはβ−アミロイドである。いくつかの実施形態では、この抗原はIgEである。いくつかの実施形態では、この抗原は、担体にコンジュゲートさせたニコチンハプテンである。さらなる実施形態では、このニコチンハプテンをコンジュゲートさせた担体は、ジフテリア毒素(DT)である。他の実施形態では、この抗原は、ペプチド、組換えタンパク質、精製タンパク質、死滅させた全病原体、弱毒化生ウイルスもしくはウイルスベクター、弱毒化生細菌もしくは細菌ベクター、多糖、ハプテンであるか、またはプラスミドDNAによってコードされている。
【0009】
いくつかの実施形態では、この抗原を、担体にコンジュゲートさせる。さらなる実施形態では、この担体は、ジフテリア毒素(DT)である。他の実施形態では、担体は、ウイルス様粒子である。さらなる実施形態では、このウイルス様粒子は、RNAファージQ−β、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、またはB型肝炎コア抗原(HBcAg)である。いくつかの実施形態では、このワクチンは、1つまたは複数のアジュバントをさらに含む。さらなる実施形態では、このアジュバントは、TLR9ではないToll様受容体(TLR)に対するアゴニストである。他の実施形態では、このアゴニストは、TLR3に対するアゴニストである。さらなる実施形態では、このTLR3アゴニストは、安定化ポリI:Cである。いくつかの実施形態では、このアゴニストは、TLR4に対するアゴニストである。さらなる実施形態では、このTLR4アゴニストは、リポ多糖(LPS)の誘導体である。その上さらなる実施形態では、このLPS誘導体は、MPLまたはGLAである。他の実施形態では、このアゴニストは、TLR5に対するアゴニストである。さらなる実施形態では、このTLR5アゴニストは、フラジェリンである。いくつかの実施形態では、このアゴニストは、TLR7またはTLR8に対するアゴニストである。さらなる実施形態では、このTLR7アゴニストまたはTLR8アゴニストは、低分子のイミダゾキノリンファミリーである。他の実施形態では、このアジュバントは、アルミニウム塩である。さらなる実施形態では、このアルミニウム塩は、水酸化アルミニウムである。いくつかの実施形態では、このアジュバントは、免疫賦活複合体(ISCOM)である。他の実施形態では、このアジュバントは、水中油型または油中水型の乳剤である。いくつかの実施形態では、このアジュバントは、リポソームである。他の実施形態では、このアジュバントは、送達系である。さらなる実施形態では、この送達系は、ナノ粒子またはマイクロ粒子である。
【0010】
いくつかの実施形態では、この免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の改変された連結を含む。さらなる実施形態では、この免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のホスホロチオエート連結を含む。特定の実施形態では、このオリゴヌクレオチドの全てのヌクレオチド間連結が、ホスホロチオエート連結である。他の実施形態では、この免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの親油性の置換されているヌクレオチド類似体、およびピリミジン−プリンジヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、この抗原および/または免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、投与のために製剤化される。さらなる実施形態では、この抗原および/または免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、非経口経路を介する投与のために製剤化され、この非経口経路は、筋肉内、皮下、皮内、静脈内または腹腔内である。その上さらなる実施形態では、この抗原および/または免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、外用経路を介する投与のために製剤化され、この外用経路は、皮膚、経皮または粘膜表面である。さらなる実施形態では、この粘膜経路は、経口、鼻腔内、膣内、直腸内、頬側内または眼内である。いくつかの実施形態では、この抗原およびこの免疫賦活性オリゴヌクレオチドを、同じ、類似のまたは異なる経路を介して投与する。他の実施形態では、この抗原およびこの免疫賦活性オリゴヌクレオチドを、併せて、同時にまたは別個に投与する。さらなる実施形態では、この抗原およびこの免疫賦活性オリゴヌクレオチドを相互に24時間以内に投与する。いくつかの実施形態では、この対象は、獣医用薬によって治療される種である。他の実施形態では、この対象は、非げっ歯類対象である。いくつかの実施形態では、この対象はヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0011】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヌクレオチド配列
5’TCGTCGTTTTTCGGTGCTTTT3’(配列番号1)
を含む免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項2】
1つまたは複数の改変された連結を含む、請求項1に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項3】
1つまたは複数のホスホロチオエート連結を含む、請求項2に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項4】
少なくとも1つの親油性の置換されているヌクレオチド類似体、およびピリミジン−プリンジヌクレオチドを含む、請求項1に記載の免疫賦活性オリゴヌクレオチド。
【請求項5】
抗原と配列番号1のヌクレオチド配列を含む免疫賦活性オリゴヌクレオチドとを含み、薬学的に許容できる担体をさらに含むワクチン。
【請求項6】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドが、抗原特異的免疫応答を誘発するのに有効な量である、請求項5に記載のワクチン。
【請求項7】
誘発される抗原特異的免疫応答が、Th1免疫応答である、請求項6に記載のワクチン。
【請求項8】
抗原が、微生物抗原、自己抗原または習慣性物質である、請求項5に記載のワクチン。
【請求項9】
微生物抗原が、細菌抗原、ウイルス抗原または寄生生物抗原である、請求項8に記載のワクチン。
【請求項10】
a)細菌抗原が、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、う歯を引き起こす細菌、または歯周疾患を引き起こす細菌と関連がある;
b)ウイルス抗原が、呼吸器多核体ウイルス(Respiratory Syncytial virus)(RSV)、単純ヘルペスウイルス1(Herpes Simplex virus1)、単純ヘルペスウイルス2(Herpes Simplex virus2)、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)−1(HIV−1)もしくはHIV−2と関連がある、または
c)寄生生物抗原が、マラリアを引き起こす寄生生物と関連がある、
請求項9に記載のワクチン。
【請求項11】
a)う歯を引き起こす細菌が、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカス・ソブリナス(Streptococcus sobrinus)、ストレプトコッカス・サンギス(Streptococcus sanguis)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、またはアクチノミセス・ビスコーサス(Actinomyces viscosus)である;または
b)歯周疾患を引き起こす細菌が、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)またはアクチノバチルス・アクチノミセタムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)である、
請求項10に記載のワクチン。
【請求項12】
自己抗原が、腫瘍抗原、アルツハイマー病と関連がある抗原、ヒト抗体に対する抗原、ヒト内因性レトロウイルスエレメントから発現される抗原、または担体にコンジュゲートさせたニコチンハプテンである、請求項8に記載のワクチン。
【請求項13】
a)腫瘍抗原が、HER2、MAGE、NY−ESO、PSA、CEA、またはEGFRの変異型である;
b)アルツハイマー病と関連がある抗原が、タウまたはβ−アミロイドである;
c)抗原がIgEである;または
d)ニコチンハプテンをコンジュゲートさせた担体が、ジフテリア毒素(DT)である、
請求項12に記載のワクチン。
【請求項14】
抗原が、ペプチド、組換えタンパク質、精製タンパク質、死滅させた全病原体、弱毒化生ウイルスもしくはウイルスベクター、弱毒化生細菌もしくは細菌ベクター、多糖、ハプテンである、またはプラスミドDNAによってコードされている、請求項5に記載のワクチン。
【請求項15】
抗原を、担体にコンジュゲートさせた、請求項5に記載のワクチン。
【請求項16】
担体が、ジフテリア毒素(DT)またはウイルス様粒子であり、ウイルス様粒子が、RNAファージQ−β、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、またはB型肝炎コア抗原(HBcAg)である、請求項15に記載のワクチン。
【請求項17】
1つまたは複数のアジュバントをさらに含む、請求項5に記載のワクチン。
【請求項18】
アジュバントが、TLR9ではないToll様受容体(TLR)に対するアゴニストである、請求項17に記載のワクチン。
【請求項19】
アゴニストが、TLR3、TLR4、TLR5、TLR7またはTLR8に対するアゴニストである、請求項18に記載のワクチン。
【請求項20】
a)TLR3アゴニストが、安定化ポリI:Cである;
b)TLR4アゴニストが、リポ多糖(LPS)の誘導体である;
c)TLR5アゴニストが、フラジェリンである;または
d)TLR7アゴニストまたはTLR8アゴニストが、低分子のイミダゾキノリンファミリーである、
請求項19に記載のワクチン。
【請求項21】
LPS誘導体が、MPLまたはGLAである、請求項20に記載のワクチン。
【請求項22】
アジュバントが、アルミニウム塩、免疫賦活複合体(ISCOM)、水中油型もしくは油中水型の乳剤、リポソーム、または送達系である、請求項17に記載のワクチン。
【請求項23】
a)アルミニウム塩が、水酸化アルミニウムである;または
b)送達系が、ナノ粒子またはマイクロ粒子である、
請求項22に記載のワクチン。
【請求項24】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドが、1つまたは複数の改変された連結を含む、請求項5に記載のワクチン。
【請求項25】
a)免疫賦活性オリゴヌクレオチドが、1つまたは複数のホスホロチオエート連結を含む;または
b)免疫賦活性オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの親油性の置換されているヌクレオチド類似体、およびピリミジン−プリンジヌクレオチドを含む、
請求項24に記載のワクチン。
【請求項26】
投与のために製剤化される、請求項5に記載のワクチン。
【請求項27】
a)ワクチンが、非経口経路を介する投与のために製剤化され、前記非経口経路が、筋肉内、皮下、皮内、静脈内または腹腔内である;または
b)ワクチンが、外用経路を介する投与のために製剤化され、前記外用経路が、皮膚、経皮または粘膜表面である、
請求項5に記載のワクチン。
【請求項28】
粘膜経路が、経口、鼻腔内、膣内、直腸内、頬側内または眼内である、請求項27に記載のワクチン。
【請求項29】
抗原特異的免疫応答を、それを必要とする対象において誘発する方法であって、
抗原と配列番号1のヌクレオチド配列を含む免疫賦活性オリゴヌクレオチドとを、前記対象において抗原特異的免疫応答を誘発するのに有効な量で対象に投与するステップ
を含む方法。
【請求項30】
抗原が、微生物抗原、自己抗原または習慣性物質である、請求項29に記載の方法。

【図1】マウスにおける、液性免疫応答の増大を示すグラフである。成体(6〜8週齢;n=10/gp)マウスを、1μgのHBsAg(左パネル)または20μgのOVA(右パネル)を用いて、アジュバントなしで、あるいはCPG24555、CPG10103もしくはCPG7909(10μg)または非CpG対照ODN2137(10μg;OVAの場合のみ)と組み合わせて免疫化した。最後の追加免疫の2週間後(HBsAgの場合)または1週間後(OVAの場合)に得られた血漿を、抗原に特異的な全IgGレベル、IgG1レベルおよびIgG2a/cレベル(抗HBsまたは抗OVA)について、アッセイした。各バーは、全IgGについての幾何平均(±SEM)力価を示す。力価を、カットオフ値を0.05とし、非免疫血漿の吸光度値の2倍の吸光度値を生じる最も高い希釈度と定義した。各バーの上の数字は、抗原に特異的なIgG2a(または2c)/IgG1の比を示す。
【図2】マウスにおいて誘発した液性免疫応答性を示すグラフである。成体(6〜8週齢;n=10/gp)マウスを、1μgのHBsAg(左パネル)または20μgのOVA(右パネル)を用いて、アジュバントなしで、あるいはCPG24555、CPG10103もしくはCPG7909(10μg)または非CpG対照ODN2137(10μg;OVAの場合のみ)と組み合わせて免疫化した。最後の追加免疫の2週間後(HBsAgの場合)または1週間後(OVAの場合)に得られた血漿を、HBsAg(抗HBs)またはOVA(抗OVA)に対するIgG1レベル(透明のバー)およびIgG2aレベルまたはIgG2cレベル(黒色のバー)についてアッセイした。各バーは、群(n=10)全体についてのELISAエンドポイントの希釈度の力価の幾何平均(±SEM)を示す。力価を、カットオフ値を0.05とし、非免疫血漿の吸光度値の2倍の吸光度値を生じる最も高い希釈度と定義した。
【図3】マウスにおいて誘発した細胞傷害性Tリンパ球応答を示すグラフである。成体(6〜8週齢;n=5/gp)マウスを、1μgのHBsAg(左パネル)または20μgのOVA(右パネル)を用いて、アジュバントなしで、あるいはCPG24555、CPG10103もしくはCPG7909(10μg)または非CpG対照ODN2137(10μg;OVAの場合のみ)と組み合わせて免疫化した。最後の追加免疫の2週間後(HBsAgの場合)または1週間後(OVAの場合)に得られた脾細胞を、抗原特異的CTL応答について、標準的な51Cr放出アッセイを使用してアッセイした。
【図4】TLR9欠損マウスにおける、非CpG媒介型のCTL応答の増大を示すグラフである。TLR9欠損成体(6〜8週齢;n=5gp)マウスを、20μgのOVAを用いて、アジュバントなしで、あるいはCPG24555、CPG10103もしくはCPG7909(10μg)または非CpG対照ODN2137(10μg)と組み合わせて免疫化した。最後の追加免疫の1週間後に得られた脾細胞を、OVA特異的CTL応答について、標準的な51Cr放出アッセイを使用してアッセイした。
【図5】OVA特異的CD8T細胞について、野生型の場合とTLR9欠損マウスの場合とを比較したグラフである。野生型およびTLR9欠損の成体(6〜8週齢;n=5/gp)マウスを、20μgのOVAを用いて、アジュバントなしで、あるいはCPG24555、CPG10103もしくはCPG7909(10μg)または非CpG対照ODN2137(10μg)と組み合わせて免疫化した。最後の追加免疫の1週間後に得られた脾細胞を、OVA特異的CD8T細胞について、MHCクラスI H−2Kb−SIINFEKLテトラマーを使用してアッセイした。
【図6】マウスにおける、抗原特異的IFN−gの分泌を示すグラフである。成体(6〜8週齢;n=5/gp)マウスを、1μgのHBsAg(左パネル)または20μgのOVA(右パネル)を用いて、アジュバントなしで、あるいはCPG24555、CPG10103もしくはCPG7909(10μg)または非CpG対照ODN2137(10μg;OVAの場合のみ)と組み合わせて免疫化した。最後の追加免疫の2週間後(HBsAgの場合)または1週間後(OVAの場合)に得られた脾細胞を、図に示す関連抗原を用いて72時間賦活し、培養物上清を、IFN−γについてELISAによりアッセイした。
【図7】TLR9欠損マウスにおける、非CpG媒介型の抗原特異的IFN−g分泌の増大を示すグラフである。TLR9欠損成体(6〜8週齢;n=5/gp)マウスを、20μgのOVAを用いて、アジュバントなしで、あるいはCPG24555、CPG10103もしくはCPG7909(10μg)または非CpG対照ODN2137(10μg)と組み合わせて免疫化した。最後の追加免疫の1週間後に得られた脾細胞を、0、0.5および1mg/mlの濃度のOVAを用いて72時間賦活し、培養物上清を、IFN−γについてELISAによりアッセイした。
【図8】マウスにおける抗原特異的複数サイトカイン分泌型T細胞集団を示すグラフである。成体(6〜8週齢;n=5/gp)マウスを、1μgのHBsAgを用いて、抗原を、単独で、またはCPG24555、CPG10103もしくはCPG7909(10μg)と組み合わせて免疫化した。追加免疫の2週間後に得られた脾細胞を、HBsAg抗原(CD4の場合)またはHBsクラスIペプチド(CD8の場合)を用いて再賦活し、IFN−γ、TNF−αおよび/またはIL−2を分泌するCD4T細胞集団(パネルA)およびCD8T細胞集団(パネルB)を、フローサイトメトリーを使用して定量化した。
【図9A】ヒトPBMCにおける自然免疫を示す表である。ヒトPBMC(5×10/ml)を、各種の濃度のCPG10103、CPG24555または非CpG対照ODN22881と共に24または48時間インキュベートした。細胞上清を収集し、サイトカイン/ケモカインの分泌について、市販のELISAキットを使用してアッセイした。IFN−α、MCP−1およびIP−10の分泌を示す表である。
【図9B】ヒトPBMCにおける自然免疫を示す表である。ヒトPBMC(5×10/ml)を、各種の濃度のCPG10103、CPG24555または非CpG対照ODN22881と共に24または48時間インキュベートした。細胞上清を収集し、サイトカイン/ケモカインの分泌について、市販のELISAキットを使用してアッセイした。IL−6、IL−10およびIL−2Rの分泌を示す表である。
【図10A】BALB/cマウスのin vivoにおける自然免疫を示すグラフである。BALB/cマウス(n=5/群)に、PBS(プラセボ対照)、CPG24555、CPG10103または非CpG対照ODN2137を100μgの用量レベルで皮下注射した。動物を、注射の3時間後に出血させ、IP−10について市販のELISAを使用して、血漿をアッセイした。
【図10B】BALB/cマウスのin vivoにおける自然免疫を示すグラフである。BALB/cマウス(n=5/群)に、PBS(プラセボ対照)、CPG24555、CPG10103または非CpG対照ODN2137を100μgの用量レベルで皮下注射した。動物を、注射の3時間後に出血させ、IL−12について市販のELISAを使用して、血漿をアッセイした。
【図10C】BALB/cマウスのin vivoにおける自然免疫を示すグラフである。BALB/cマウス(n=5/群)に、PBS(プラセボ対照)、CPG24555、CPG10103または非CpG対照ODN2137を100μgの用量レベルで皮下注射した。動物を、注射の3時間後に出血させ、IL−6について市販のELISAを使用して、血漿をアッセイした。
【図11A】BALB/cマウスのin vivoにおける液性免疫を示すグラフである。BALB/cマウスを、HBsAg(1μg)±CPG24555またはCPG10103(10μg)を用いて筋肉内免疫化した。これらのマウスを、第0および14日(HBsAg)に免疫化した。追加免疫の2週間後にエンドポイントELISAにより測定したHBsAgに特異的な全IgG力価を示すグラフである。
【図11B】BALB/cマウスのin vivoにおける液性免疫を示すグラフである。BALB/cマウスを、OVA(20μg)±CPG24555またはCPG10103(10μg)を用いて筋肉内免疫化した。これらのマウスを、第0、7および21日(OVA)に免疫化した。最後の追加免疫の1週間後のOVAに特異的な全IgG力価を示すグラフである。
【図11C】BALB/cマウスのin vivoにおける液性免疫を示すグラフである。BALB/cマウスを、インフルエンザA型HA、Texas1/77、H3N2由来(1μg)+ミョウバン(25μgのAl3+)、±CPG24555またはCPG10103(10μg)を用いて筋肉内免疫化した。これらのマウスを、第0日のみ(HA)免疫化した。免疫化後の種々の時間にエンドポイントELISAにより測定したHAに特異的な全IgGの動態を示すグラフである。
【図12A】BALB/cマウスにおけるT細胞応答を示すグラフである。BALB/cマウスに、10μgのCPG ODN2455、CPG10103または非CpG対照ODN2137と併用してまたは併用せずにHBsAg(1μg)を筋肉内注射した。これらのマウスには、第0および14日に注射した。追加免疫の2週間後に51Crの放出により測定したHBsAgに特異的なCTLを示すグラフである。
【図12B】C57bl/6マウスにおけるT細胞応答を示すグラフである。C57bl/6マウスに、OVA(20μg)を、10μgのCPG ODN2455、CPG10103または非CpG対照ODN2137と併用してまたは併用せずに筋肉内注射した。これらのマウスには、第0、7および21日に注射した。最後の追加免疫の1週間後に51Crの放出により測定したOVAに特異的なCTLを示すグラフである。
【図13A】BALB/cマウスにおけるT細胞応答を示すグラフである。BALB/cマウスに、HBsAg(1μg)を、10μgのCPG ODN2455、CPG10103または非CpG対照ODN2137と併用してまたは併用せずに筋肉内注射した。これらのマウスには、第0および14日に注射した。最後の追加免疫の2週間後に得られた脾細胞を、それぞれの抗原と共に72時間インキュベートし、培養物上清を、IFN−γについてELISAにより試験したグラフである。
【図13B】C57bl/6マウスにおけるT細胞応答を示すグラフである。C57bl/6マウスに、OVA(20μg)を、10μgのCPG ODN2455、CPG10103または非CpG対照ODN2137と併用してまたは併用せずに筋肉内注射した。これらのマウスには、第0、7および21日に注射した。最後の追加免疫の1週間後に得られた脾細胞を、それぞれの抗原と共に72時間インキュベートし、培養物上清を、IFN−γについてELISAにより試験したグラフである。
【図14】免疫化の6週間後の抗HAを示すグラフである。雌のBALB/cマウスをHA(1μg)±CpGまたは対照ODN(10μg)±ミョウバン(25μgのAl3+)を用いて、全量50μlとして免疫化した。抗HAの量を、免疫化の6週間後に測定した。
【図15】免疫化の4週間後の赤血球凝集阻害(HIA)力価を示すグラフである。これらの抗体の機能を、赤血球凝集阻害アッセイ(HIA)を使用して評価した。HIA力価を、単独でまたはミョウバンと組み合わせて増大させる能力を評価した。
【図16】HAに特異的なIFNγの分泌を示すグラフである。雌のBALB/cマウスを、HA(1μg)±CpGまたは対照ODN(10μg)±ミョウバン(25μgのAl3+)を用いて、全量50μlとして免疫化した。免疫化の6週間後に取り出した脾細胞を使用して、抗原に特異的なIFNγの分泌についてアッセイした。
【図17】非ヒト霊長類における液性応答を示すグラフである。カニクイザル(3〜5歳齢;1群当たりn=5)を、Engerix−B(10μgのHBsAg;250μgのAl3+)を用いて、単独でまたは0.5mgのCPG7909もしくはCPG24555と組み合わせて、第0、4および8週に筋肉内注射により免疫化した。動物を、定期的に出血させ、HBsAgに特異的な抗体力価を、市販のキット(MONOLISA(商標)抗HBS)を使用して測定した。
【図18】非ヒト霊長類における液性応答を示すグラフである。カニクイザル(3〜5歳齢;1群当たりn=5)を、Engerix−B(10μgのHBsAg;250μgのAl3+)を用いて、単独でまたは0.5mgのCPG7909もしくはCPG24555と組み合わせて、第0、4および8週に筋肉内注射により免疫化した。2回目の免疫化の4週間後および3回目の免疫化の2週間後に得られた血漿を、抗体のアビディティーについて、チオシアン酸ナトリウム溶出法を使用してアッセイした。
【図19A】非ヒト霊長類におけるT細胞応答を示すグラフである。カニクイザル(3〜5歳齢;1群当たりn=5)を、Engerix−B(10μgのHBsAg;250μgのAl3+)を用いて、単独でまたは0.5mgのCPG7909もしくはCPG24555と組み合わせて、第0、4および8週に筋肉内注射により免疫化した。ワクチン接種前およびワクチン接種後のいくつかの時点における末梢血単核球(PBMC)を、HBsAg特異的CD4T細胞媒介型細胞内サイトカインの分泌について、フローサイトメトリーにより試験した。IFN−γの分泌を示すグラフである。
【図19B】非ヒト霊長類におけるT細胞応答を示すグラフである。カニクイザル(3〜5歳齢;1群当たりn=5)を、Engerix−B(10μgのHBsAg;250μgのAl3+)を用いて、単独でまたは0.5mgのCPG7909もしくはCPG24555と組み合わせて、第0、4および8週に筋肉内注射により免疫化した。ワクチン接種前およびワクチン接種後のいくつかの時点における末梢血単核球(PBMC)を、HBsAg特異的CD4T細胞媒介型細胞内サイトカインの分泌について、フローサイトメトリーにより試験した。IL−2の分泌を示すグラフである。
【図19C】非ヒト霊長類におけるT細胞応答を示すグラフである。カニクイザル(3〜5歳齢;1群当たりn=5)を、Engerix−B(10μgのHBsAg;250μgのAl3+)を用いて、単独でまたは0.5mgのCPG7909もしくはCPG24555と組み合わせて、第0、4および8週に筋肉内注射により免疫化した。ワクチン接種前およびワクチン接種後のいくつかの時点における末梢血単核球(PBMC)を、HBsAg特異的CD4T細胞媒介型細胞内サイトカインの分泌について、フローサイトメトリーにより試験した。TNF−αの分泌を示すグラフである。
【図20A】T細胞応答:多機能性CD4T細胞;定量分析を示すグラフである。カニクイザル(3〜5歳齢;1群当たりn=5)を、Engerix−B(10μgのHBsAg;250μgのAl3+)を用いて、単独でまたは0.5mgのCPG7909またはCPG24555と組み合わせて、第0、4および8週に筋肉内注射により免疫化した。3回目の免疫化の2週間後の末梢血単核球(PBMC)を、1つ、2つまたは3つのサイトカインを分泌するHBsAg特異的CD4T細胞について、フローサイトメトリーにより試験した。解析したCD4T細胞100万個当たりの、1つ、2つまたは3つのサイトカインを分泌するHBsAg特異的CD4T細胞の数を示すグラフである。
【図20B】T細胞応答:多機能性CD4T細胞;定量分析を示すグラフである。カニクイザル(3〜5歳齢;1群当たりn=5)を、Engerix−B(10μgのHBsAg;250μgのAl3+)を用いて、単独でまたは0.5mgのCPG7909またはCPG24555と組み合わせて、第0、4および8週に筋肉内注射により免疫化した。3回目の免疫化の2週間後の末梢血単核球(PBMC)を、1つ、2つまたは3つのサイトカインを分泌するHBsAg特異的CD4T細胞について、フローサイトメトリーにより試験した。全HBsAg特異的CD4T細胞集団中の、単一サイトカイン産生T細胞、二重サイトカイン産生T細胞および三重サイトカイン産生T細胞の比率を示すグラフである。
【図21】T細胞応答:多機能性CD4T細胞;定性分析を示すグラフである。IL−2、IFN−γおよびTNFα、またはこれらのサイトカインの組合せを分泌する細胞の数を測定した。カニクイザル(3〜5歳齢;1群当たりn=5)を、Engerix−B(10μgのHBsAg;250μgのAl3+)を用いて、単独でまたは0.5mgのCPG7909もしくはCPG24555と組み合わせて、第0、4および8週に筋肉内注射により免疫化した。3回目の免疫化の2週間後の末梢血単核球(PBMC)を、IL−2、IFN−γおよびTNFα、またはこれらのサイトカインの組合せを分泌するHBsAg特異的CD4T細胞数について、フローサイトメトリーにより試験した。
【発明を実施するための形態】
【0012】
配列の説明
配列番号1−免疫賦活性オリゴヌクレオチドODN CPG24555のヌクレオチド配列。
配列番号2−免疫賦活性オリゴヌクレオチドCPG10103のヌクレオチド配列。
配列番号3−免疫賦活性オリゴヌクレオチドCPG7909のヌクレオチド配列。
配列番号4−非CpGオリゴヌクレオチド22881のヌクレオチド配列。
配列番号5−非CpGオリゴヌクレオチド2137のヌクレオチド配列。
【0013】
本発明の態様は、免疫賦活性オリゴヌクレオチドからのCpGモチーフの除去が、この免疫賦活性オリゴヌクレオチドの、抗原特異的免疫応答を増大させる能力に対して負の影響を及ぼさなかったという驚くべき発見に一部基づいている。また、驚くべきことには、前記CpGモチーフの除去が、異なる抗原特異的T細胞集団の生成を可能にすることも見出された。特に、前記抗原特異的T細胞集団は、より多くのIFN−ガンマ分泌型T細胞およびより多くの多機能性T細胞を含むことが見出された。
【0014】
本発明の態様では、この免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、核酸配列5’TCGTCGTTTTTCGGTGCTTTT3’(ODN CPG24555;配列番号1)を有する。配列番号1の免疫賦活性オリゴヌクレオチド核酸配列は、以前に報告された免疫賦活性オリゴヌクレオチド(ODN10103)5’TCGTCGTTTTTCGGTCGTTTT3’(配列番号2)とは、最も3’側のCGジヌクレオチドが反転していることによって異なる。CpGオリゴヌクレオチドの免疫賦活活性は、CpGモチーフの数、CGジヌクレオチドに隣接する配列、(1つまたは複数の)CpGモチーフの場所、およびCpGモチーフ間の間隔に依存することが以前から報告されていることから、これら2つの免疫賦活性オリゴヌクレオチド間の活性が類似していることには驚くべきものがある(Ballasら、1996、J.Immunol.157(5):1840〜5;Hartmannら、2000、J.Immunol.、164(3):1617〜24;Klinmanら、2003、Clin.Exp.Immunol.、133(2):227〜32)。免疫賦活性オリゴヌクレオチドCPG ODN24555(配列番号1)中の最も3’側のCGジヌクレオチドを除去しても、この免疫賦活性オリゴヌクレオチドの、抗原特異的免疫応答を増大させる能力に対しては、以前の開示から予想されるような負の影響を生じなかった。CPG ODN24555は、CPG ODN10103と比較して、類似の、場合によっては、増強された免疫賦活活性を示した。
【0015】
さらに、CPG ODN24555は、CPG ODN10103と比較して、抗原特異的T細胞の異なる集団を誘発することも見出された(図8、表1および表2を参照されたい)。特に、驚くべきことには、CPG ODN24555をアジュバントとして使用して生成させた抗原特異的T細胞集団(特に、抗原特異的CD4+T細胞集団)は、CPG ODN10103またはCPG ODN7909を使用して生成させた抗原特異的T細胞集団と比較して、より多くのIFN−ガンマ分泌型T細胞およびより多くの多機能性T細胞を含むことが見出された。
【0016】
例えば、CpG ODN10103を用いて得られた抗原特異的CD4+T細胞集団と比較して、より高い比率の、IFN−γを産生する抗原特異的CD4+T細胞が得られた。また、CPG ODN10103またはCPG ODN7909を用いて得られた抗原特異的CD4+T細胞集団と比較しても、IFN−γおよびTNF−αの両方、IFN−γおよびIL−2の両方、もしくはTNF−αおよびIL−2の両方を産生する多機能性抗原特異的CD4+T細胞が、またはさらにはIFN−γ、TNF−αおよびIL−2を分泌する三重産生細胞が、より高い比率で得られた。また、CPG ODN10103を用いて得られた抗原特異的CD8+T細胞集団と比較して、より高い比率の、TNF−αを産生する抗原特異的CD8+T細胞も得られた。また、CPG ODN10103またはCPG ODN7909を用いて得られた抗原特異的CD8+T細胞集団と比較して、IFN−γおよびIL−2の両方、TNF−αおよびIL−2の両方を産生する抗原特異的CD8+T細胞が、またはIFN−γ、TNF−αおよびIL−2を分泌する三重産生細胞さえもが、より高い比率で得られた。
【0017】
免疫原性におけるT細胞の多機能性の重要性が、最近になって浮かび上がっている。特に、ケモカイン(IFN−γ、TNF−αおよびIL−2等)の産生の観点からの抗原特異的T細胞の多機能性が、場合によっては、それらの細胞の潜在的防御力と相関することが示されており(例えば、Harari Aら、Immunol Rev.2006;211:236〜54、Makedonas GおよびBetts MR、Springer Semin Immunopathol.2006;28(3):209〜19、Precopio MLら、J Exp Med.2007 204(6):1405〜16、Xu Rら、ワクチン、2008;26(37):4819〜29を参照されたい)、こうした潜在的防御力は、単一のサイトカインのみを分泌するT細胞と比較して、それらの細胞のエフェクター機能がより良好であることに起因すると考えられている。
【0018】
好都合なことに、CPG ODN24555は、アジュバントとして使用した場合、ワクチンの状況においては重要となり得る多機能性抗原特異的T細胞集団の生成を可能にする。
【0019】
これらの免疫賦活性核酸は、二本鎖であってもまたは一本鎖であってもよい。一般に、二本鎖分子は、in vivoにおいてより安定であり、一方、一本鎖分子は、免疫活性の増加を示す。本発明のいくつかの態様では、この核酸が一本鎖であることが好ましく、他の態様では、この核酸が二本鎖であることが好ましい。
【0020】
本明細書では、用語「核酸」と「オリゴヌクレオチド」とを互換的に使用して、複数のヌクレオチド(すなわち、リン酸基、および置換されているピリミジン(例えば、シトシン(C)、チミジン(T)もしくはウラシル(U))または置換されているプリン(例えば、アデニン(A)もしくはグアニン(G))のいずれかである、交換可能な有機塩基に連結している糖(例えば、リボースまたはデオキシリボース)を含む分子)を意味する。本明細書で使用する場合、これらの用語は、オリゴデオキシリボヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチド(すなわち、リン酸を有しないポリヌクレオチド)、および任意の他の有機塩基含有ポリマーを指す。核酸分子は、現存する核酸供給源(例えば、ゲノムDNAまたはcDNA)から得ることができるが、好ましくは、合成(例えば、核酸合成によって産生された)核酸分子である。
【0021】
本発明の態様では、これらの免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、リン酸ジエステルヌクレオシド間架橋、β−D−リボース単位および/または天然のヌクレオシド塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル)が関与する、天然のRNAおよびDNAと比較した場合の種々の化学的な改変および置換を包含することができる。化学的改変の例は、当業者には既知であり、例えば、Uhlmann E.ら(1990)、Chem.Rev.90:543;「Protocols for Oligonucleotides and Analogs」、Synthesis and Properties & Synthesis and Analytical Techniques、S.Agrawal編、Humana Press、Totowa、USA 1993;Crooke,S.T.ら(1996)Annu.Rev.Pharmacol.Toxicol.36:107〜129;およびHunziker J.ら、(1995)、Mod.Synth.Methods 7:331〜417に記載されている。本発明によるオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の改変を有し得、各改変は、天然のDNAもしくはRNAから構成される同じ配列のオリゴヌクレオチドと比較して、特定のリン酸ジエステルヌクレオシド間架橋に、かつ/または特定のβ−D−リボース単位に、かつ/または特定の天然のヌクレオシド塩基の位置に位置する。
【0022】
本発明の態様では、これらのオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の改変を含むことができる。そのような改変は、a)ヌクレオシドの3’末端および/または5’末端に位置するリン酸ジエステルヌクレオシド間架橋の、改変ヌクレオシド間架橋による置換、b)ヌクレオシドの3’末端および/または5’末端に位置するリン酸ジエステル架橋の、デホスホ架橋による置換、c)糖リン酸骨格に由来する糖リン酸単位の、別の単位による置換、d)β−D−リボース単位の、改変糖単位による置換、ならびにe)天然のヌクレオシド塩基の置換から選択することができる。
【0023】
また、核酸として、置換されているプリンおよびピリミジン、例として、C−5プロピンピリミジンおよび7−デアザ−7−置換プリンの改変塩基(Wagnerら、1996、Nat.Biotechnol.14:840〜4)が挙げられる。プリンおよびピリミジンとして、これらに限定されないが、アデニン、シトシン、グアニン、チミジン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、ならびに他の天然に存在するおよび天然に存在しない核酸塩基、置換されているおよび置換されていない芳香族部分も挙げられる。他のそのような改変は当業者に周知である。
【0024】
改変塩基は、DNAおよびRNA中に典型的に見出される、天然に存在する塩基、例として、T、C、G、AおよびUとは化学的に明確に異なるが、これらの天然に存在する塩基と基本的な化学構造は共有する任意の塩基である。こうした改変ヌクレオシド塩基は、例えば、ヒポキサンチン、ジヒドロウラシル、シュードウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−アミノウラシル、5−(C〜C)−アルキルウラシル、5−(C〜C)−アルケニルウラシル、5−(C〜C)−アルキルニルウラシル、5−(ヒドロキシメチル)ウラシル、5−クロロウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヒドロキシシトシン、5−(C〜C)−アルキルシトシン、5−(C〜C)−アルケニルシトシン、5−(C〜C)−アルキルニルシトシン、5−クロロシトシン、5−フルオロシトシン、5−ブロモシトシン、N−ジメチルグアニン、2,4−ジアミノ−プリン、8−アザプリン、置換されている7−デアザプリン、好ましくは、7−デアザ−7−置換および/または7−デアザ−8−置換プリン、5−ヒドロキシメチルシトシン、N4−アルキルシトシン(例えば、N4−エチルシトシン)、5−ヒドロキシデオキシシチジン、5−ヒドロキシメチルデオキシシチジン、N4−アルキルデオキシシチジン(例えば、N4−エチルデオキシシチジン)、6−チオデオキシグアノシン、ニトロピロールのデオキシリボヌクレオシド、C5−プロピニルピリミジン、ジアミノプリン(例えば、2,6−ジアミノプリン)、イノシン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、ヒポキサンチン、または天然のヌクレオシド塩基の他の改変から選択することができる。このリストは、例示を意図し、限定するためのものであると解釈すべきではない。
【0025】
本発明のいくつかの態様では、本明細書に記載する免疫賦活性オリゴヌクレオチドのCpGジヌクレオチドは、好ましくは、メチル化されていない。非メチル化CpGモチーフは、非メチル化シトシン−グアニンジヌクレオチド配列(すなわち、3’グアノシンが続き、リン酸結合によって連結している非メチル化5’シトシン)である。他の態様では、これらのCpGモチーフは、メチル化されている。メチル化CpGモチーフは、メチル化シトシン−グアニンジヌクレオチド配列(すなわち、3’グアノシンが続き、リン酸結合によって連結しているメチル化5’シトシン)である。
【0026】
本発明のいくつかの態様では、免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、改変シトシンを含有することができる。改変シトシンは、このオリゴヌクレオチドの免疫賦活活性を損なうことなく、ピリミジン塩基を置換することができる、シトシンの天然に存在するまたは天然に存在しないピリミジン塩基の類似体である。改変シトシンとして、これらに限定されないが、5−置換シトシン(例えば、5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−クロロ−シトシン、5−ブロモ−シトシン、5−ヨード−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、5−ジフルオロメチル−シトシン、および置換されていないまたは置換されている5−アルキニル−シトシン)、6−置換シトシン、N4−置換シトシン(例えば、N4−エチル−シトシン)、5−アザ−シトシン、2−メルカプト−シトシン、イソシトシン、シュード−イソシトシン、縮合環系を有するシトシン類似体(例えば、N,N’−プロピレンシトシンまたはフェノキサジン)が挙げられる。好ましいシトシンのいくつかには、5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、およびN4−エチル−シトシンが挙げられる。本発明の別の実施形態では、こうしたシトシン塩基は、ユニバーサル塩基(universal base)(例えば、3−ニトロピロール、P−塩基)、芳香族環系(例えば、フルオロベンゼンもしくはジフルオロベンゼン)、または水素原子(dスペーサー)で置換されている。いくつかの態様では、免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、ウラシルおよび/またはその誘導体(例えば、5−フルオロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−ブロモビニル−ウラシル、4−チオ−ウラシル、5−ヒドロキシ−ウラシル、5−プロピニル−ウラシル)を含有することができる。
【0027】
本発明のいくつかの態様では、免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、改変グアニンを含有することができる。改変グアニンは、このオリゴヌクレオチドの免疫賦活活性を損なうことなく、プリン塩基を置換することができる、グアニンの天然に存在するまたは天然に存在しないプリン塩基の類似体である。改変グアニンとして、これらに限定されないが、7−デアザグアニン、7−デアザ−7−置換グアニン、ヒポキサンチン、N2−置換グアニン(例えば、N2−メチル−グアニン)、5−アミノ−3−メチル−3H,6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、プリン、インドール、アデニン、置換アデニン(例えば、N6−メチル−アデニン、8−オキソ−アデニン)、8−置換グアニン(例えば、8−ヒドロキシグアニンまたは8−ブロモグアニン)、および6−チオグアニンを挙げることができる。本発明の別の実施形態では、こうしたグアニン塩基は、ユニバーサル塩基(例えば、4−メチル−インドール、5−ニトロ−インドールもしくはK−塩基)、芳香族環系(例えば、ベンズイミダゾールもしくはジクロロ−ベンズイミダゾール、1−メチル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボン酸アミド)、または水素原子(dスペーサー)で置換されている。
【0028】
特定の態様では、これらのオリゴヌクレオチドは、改変ヌクレオチド間連結を含むことができる。これらの改変された連結は、分解に対して部分的に耐性を示すことができる(例えば、安定化されている)。「安定化核酸分子」は、in vivoにおける(例えば、エキソ−ヌクレアーゼまたはエンド−ヌクレアーゼを介する)分解に対して比較的耐性を示す核酸分子を意味するものとする。安定化は、長さまたは二次構造の機能であり得る。数十〜数百キロベース長である核酸は、in vivoにおける分解に対して比較的耐性を示す。より短い核酸の場合は、二次構造が、それらの核酸の作用を安定化および増加させることができる。ステムループ構造の形成が、核酸分子を安定化させることができる。例えば、核酸の3’末端が、上流領域に対して自己相補性を有し、その結果、折り畳まれ、ステムループ構造を形成することができる場合には、この核酸は、安定化され、より高い活性を示すことができる。
【0029】
また、核酸の安定化は、リン酸骨格の改変を介しても達成することができる。ホスホロチオエート連結を有するオリゴヌクレオチドは、いくつかの実施形態では、最大の活性をもたらし、このオリゴヌクレオチドは、細胞内のエキソ−ヌクレアーゼおよびエンド−ヌクレアーゼによる分解から保護され得る。
【0030】
in vivoにおいて使用するためには、核酸は、好ましくは、(例えば、エンド−ヌクレアーゼおよびエキソ−ヌクレアーゼを介する)分解に対して比較的耐性を示す。核酸骨格の改変が、in vivoにおいて投与した場合、核酸の活性の増強をもたらすことが実証されている。ステムループ等の二次構造は、核酸を分解に対して安定化させることができる。あるいは、核酸の安定化は、リン酸骨格の改変を介しても達成することができる。好ましい安定化核酸は、少なくとも部分的に改変されたホスホロチオエート骨格を有する。ホスホロチオエートは、ホスホロアミデート化学またはH−ホスホネート化学のいずれかを利用する自動化された技法を使用して合成することができる。アリール−ホスホネートおよびアルキル−ホスホネートは、例えば、米国特許第4,469,863号の記載に従って作製することができ;アルキルリン酸トリエステル(米国特許第5,023,243号および欧州特許第092,574号に記載されているように、この中では、帯電した酸素部分がアルキル化されている)は、市販されている試薬を使用して自動化固相合成によって調製することができる。他のDNA骨格の改変および置換を作製するための方法が記載されている(Uhlmann,E.およびPeyman,A.(1990)Chem.Rev.90:544;Goodchild,J.(1990)Bioconjugate Chem.1:165)。また、CpGモチーフを有する2’−O−メチル核酸も、エトキシ改変CpG核酸と同様に免疫活性化を引き起こす。実際に、CpGの作用を完全に無効にする骨格の改変は見出されていないが、CpGの作用は、このCを5−メチルCで置換することによって大幅に低下する。ホスホロチオエート連結を有する構築物は、最大の活性をもたらし、この核酸は、細胞内のエキソ−ヌクレアーゼおよびエンド−ヌクレアーゼによる分解から保護される。他の改変核酸として、リン酸ジエステルによる改変核酸、リン酸ジエステルとホスホロチオエート核酸との組合せ、メチルホスホネート、メチルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、p−エトキシ、およびそれらの組合せが挙げられる。これらの組合せのそれぞれ、および免疫細胞に対するそれらの特定の作用が、PCT公開特許出願第PCT/US95/01570号(WO96/02555)および第PCT/US97/19791号(WO98/18810)、ならびに2001年2月27日発行の米国特許第6,194,388B1号および2001年5月29日発行の米国特許第6,239,116B1号に、CpG核酸に関してより詳細に論じられている。これらの改変核酸は、ヌクレアーゼに対する耐性の増強、細胞取込みの増加、タンパク質結合性の増加、および/または細胞内局在化の変化に起因して、より高い賦活活性を示すことができると考えられている。
【0031】
in vivoにおいて投与するために、核酸を、標的細胞(例えば、B細胞、単核球細胞もしくはナチュラルキラー(NK)細胞)の表面に対するより高い親和結合および/または標的細胞による細胞取込みの増加をもたらす分子につなげて、「核酸送達複合体」を形成することができる。核酸は、適切な分子に当技術分野で周知の技法を使用してイオン性または共有結合性につなぐことができる。多様なカップリング剤または架橋剤、例として、プロテインA、カルボジイミドまたはN−サクシニミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)を使用することができる。あるいは、核酸を、リポソームまたはビロソーム中に周知の技法を使用して被包することもできる。
【0032】
他の安定化核酸として、これらに限定されないが、非イオン性DNA類似体、例として、アルキル−リン酸およびアリール−リン酸(この中では、帯電したホスホネート酸素が、アルキル基またはアリール基で置換されている)、リン酸ジエステル、ならびにその中で、帯電した酸素部分がアルキル化されているアルキルリン酸トリエステルが挙げられる。また、テトラエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコール等のジオールを、一方または両方の末端に含有する核酸も、ヌクレアーゼ分解に対して実質的に耐性を示すことが示されている。いくつかの実施形態では、本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの親油性の置換されているヌクレオチド類似体、および/またはピリミジン−プリンジヌクレオチドを含むことができる。
【0033】
これらのオリゴヌクレオチドは、1つまたは2つの接近しやすい5’末端を有し得る。2つのそのような5’末端を有する改変オリゴヌクレオチドを、例えば、2つのオリゴヌクレオチドを3’−3’連結を通してつなげて、1つまたは2つの接近しやすい5’末端を有するオリゴヌクレオチドを生成することによって創出することが可能である。この3’3’−連結は、リン酸ジエステル、ホスホロチオエート、または任意の他の改変ヌクレオシド間架橋であり得る。そのような連結を達成するための方法が、当技術分野では既知である。例えば、そのような連結は、Seliger,H.ら、Oligonucleotide analogs with terminal 3’−3’− and 5’−5’−internucleotidic linkages as antisense inhibitors of viral gene expression、Nucleosides & Nucleotides(1991)、10(1〜3)、469〜77、およびJiangら、Pseudo−cyclic oligonucleotides:in vitro and in vivo properties、Bioorganic & Medicinal Chemistry(1999)、7(12)、2727〜2735に記載されている。
【0034】
さらに、これら3’末端ヌクレオシド間の連結が、リン酸ジエステル、ホスホロチオエートおよび他の改変架橋ではない3’3’−連結オリゴヌクレオチドも、追加のスペーサー、例として、トリ−エチレングリコールホスフェート部分またはテトラ−エチレングリコールホスフェート部分を使用して調製することができる(Durand,M.ら、Triple−helix formation by an oligonucleotide containing one(dA)12 and two (dT)12 sequences bridged by two hexaethylene glycol chains、Biochemistry(1992)、31(38)、9197〜204、米国特許第5,658,738号、および米国特許第5,668,265号)。あるいは、非ヌクレオチドリンカーを、標準的なホスホラミダイト化学を使用して、エタンジオール、プロパンジオールから、または脱塩基デオキシリボース(dスペーサー)単位から誘導することもできる(Fontanel,Marie Laurenceら、Sterical Recognition by T4 polynucleotide kinase of non−nucleosidic moieties 5’−attached to oligonucleotides;Nucleic Acids Research(1994)、22(11)、2022〜7)。これらの非ヌクレオチドリンカーを、1回もしくは複数回組み込んでもよく、または相互に組み合わせてもよく、連結しようとするこれら2つのオリゴヌクレオチドの3’末端間の任意の望ましい距離が可能になる。
【0035】
ヌクレオシドの3’末端および/または5’末端に位置するリン酸ジエステルヌクレオシド間架橋を、改変ヌクレオシド間架橋で置換することができ、この改変ヌクレオシド間架橋は、例えば、ホスホロチオエート架橋、ホスホロジチオエート架橋、NR−ホスホロアミデート架橋、ボラノホスフェート架橋、α−ヒドロキシベンジルホスホネート架橋、リン酸−(C〜C21)−O−アルキルエステル架橋、リン酸−[(C〜C12)アリール−(C〜C21)−O−アルキル]エステル架橋、(C〜C)アルキルホスホネート架橋、および/または(C〜C12)アリールホスホネート架橋、(C〜C12)−α−ヒドロキシメチル−アリール(例えば、WO95/01363に開示されているもの)から選択され、式中、(C〜C12)アリール、(C〜C20)アリールおよび(C〜C14)アリールは、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノで置換されていてもよく、RおよびRは相互に独立して、水素、(C〜C18)−アルキル、(C〜C20)−アリール、(C〜C14)−アリール、(C〜C)−アルキル、好ましくは、水素、(C〜C)−アルキル、好ましくは、(C〜C)−アルキルおよび/またはメトキシエチルであるか、またはRとRとがそれらを担持する窒素原子と一緒になって、O、SおよびNの群からのさらなるヘテロ原子をさらに含有することができる5員または6員の複素環を形成する。
【0036】
ヌクレオシドの3’末端および/または5’末端に位置するリン酸ジエステル架橋の、デホスホ架橋(デホスホ架橋は、例えば、Uhlmann E.およびPeyman A.、「Methods in Molecular Biology」、Vol.20、「Protocols for Oligonucleotides and Analogs」、S.Agrawal編、Humana Press、Totowa 1993、Chapter 16、355ページ以降に記載されている)による置換、デホスホ架橋は、例えば、デホスホ架橋、すなわち、ホルムアセタール基、3’−チオホルムアセタール基、メチルヒドロキシルアミン基、オキシム基、メチレンジメチル−ヒドラゾ基、ジメチレンスルホン基、および/またはシリル基から選択される。
【0037】
本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、キメラ骨格を場合により有し得る。キメラ骨格は、2つ以上の型の連結を含む骨格である。一実施形態では、このキメラ骨格は、式:5’YZN3’によって表すことができる。YおよびYは、1つと10個との間のヌクレオチドを有する核酸分子である。YおよびYはそれぞれ、少なくとも1つの改変ヌクレオチド間連結を含む。これらのキメラオリゴヌクレオチドの少なくとも2つのヌクレオチドが骨格の改変を含むことから、これらの核酸は、1つの型の安定化免疫賦活性核酸の例である。
【0038】
これらのキメラのオリゴヌクレオチドに関して、YおよびYは、相互に独立しているとみなされる。このことは、YおよびYのそれぞれが、同じ分子中で、相互に異なる配列および異なる骨格の連結を有してもまたは有しなくてもよいことを意味する。いくつかの実施形態では、Yおよび/またはYは、3つと8つとの間のヌクレオチドを有する。NZNが全部で少なくとも6つのヌクレオチドを有する限り、NおよびNは、0個と5つとの間のヌクレオチドを有する核酸分子である。NZNのヌクレオチドは、リン酸ジエステル骨格を有し、改変骨格を有する核酸は含まない。Zは、免疫賦活性核酸モチーフであり、好ましくは、本明細書に列挙する免疫賦活性オリゴヌクレオチドから選択される。
【0039】
式YZNの中心のヌクレオチド(NZN)は、リン酸ジエステルヌクレオチド間連結を有し、YおよびYは、少なくとも1つの改変ヌクレオチド間連結を有するが、2つ以上の改変ヌクレオチド間連結を有してもよく、または全てが改変ヌクレオチド間連結であってもよい。好ましい実施形態では、Yおよび/またはYは、少なくとも2つ、もしくは2つと5つとの間の改変ヌクレオチド間連結を有するか、またはYが、5つの改変ヌクレオチド間連結を有し、Yが2つの改変ヌクレオチド間連結を有する。この改変ヌクレオチド間連結は、いくつかの実施形態では、ホスホロチオエートにより改変された連結、ホスホロジチオエート連結、またはp−エトキシにより改変された連結である。
【0040】
また、これらの核酸は、2’位のヒドロキシル基および5’位のリン酸基以外の低い分子量の有機基に共有結合している骨格の糖を有する核酸も含む。したがって、改変核酸は、2’−O−アルキル化リボース基を含むことができる。さらに、改変核酸は、リボースの代わりに、アラビノースまたは2’−フルオロアラビノース等の糖も含むことができる。したがって、これらの核酸は骨格組成において不均一であり、それによって、任意の可能な組合せの、一緒に連結しているポリマー単位、例として、(核酸塩基を伴うアミノ酸骨格を有する)ペプチド−核酸を含有することができる。いくつかの実施形態では、これらの核酸は、骨格組成において均一である。
【0041】
糖リン酸骨格(すなわち、糖リン酸骨格は、糖リン酸単位から構成される)に由来する糖リン酸単位(すなわち、一緒になって糖リン酸単位を形成するβ−D−リボースおよびリン酸ジエステルヌクレオシド間架橋)を、別の単位で置換することができ、その別の単位は、(例えば、Stirchak E.P.ら(1989)Nucleic Acid Res.17:6129〜41に記載されているような)「モルホリノ誘導体」オリゴマーの構築、すなわち、例えば、モルホリノ誘導体による置換、または(例えば、Nielsen P.E.ら(1994)Bioconjug.Chem.5:3〜7に記載されているような)ポリアミド核酸(「PNA」)の構築、すなわち、例えば、PNA骨格単位、例えば、2−アミノエチルグリシンによる置換に適している。このオリゴヌクレオチドは、他の炭水化物骨格の改変および置換、例として、リン酸基を伴うペプチド核酸(PHONA)、ロックド核酸(LNA)、およびアルキルリンカーまたはアミノリンカーを伴う骨格セクションをもつオリゴヌクレオチドを有することができる。このアルキルリンカーは、分枝していてもまたは分枝していなくても、置換されていてもまたは置換されていなくてもよく、掌性に純粋であってもまたはラセミ混合物であってもよい。
【0042】
β−リボース単位またはβ−D−2’デオキシリボース単位を、改変糖単位で置換することができ、この改変糖単位は、例えば、β−D−リボース、α−D−2’−デオキシリボース、L−2’−デオキシリボース、2’−F−2’−デオキシリボース、2’−F−アラビノース、2’−O−(C〜C)アルキル−リボースから選択され、好ましくは、2’−O−(C〜C)アルキル−リボースは、2’−O−メチルリボース、2’−O−(C〜C)アルケニル−リボース、2’−[O−(C〜C)アルキル−O−(C〜C)アルキル]−リボース、2’−NH−2’−デオキシリボース、β−D−キシロ−フラノース、α−アラビノフラノース、2,4−ジデオキシ−β−D−エリスロ−ヘキソ−ピラノース、(例えば、Froehler J.(1992)Am.Chem.Soc.114:8320に記載されている)炭素環、および/または(例えば、Vandendriesscheら(1993)Tetrahedron 49:7223に記載されている)鎖式糖類似体、および/または(例えば、Tarkoy M.ら(1993)Helv.Chim.Acta.76:481に記載されている)二環式糖類似体である。
【0043】
いくつかの実施形態では、この糖は、2’−O−メチルリボースであり、特に、一方または両方のヌクレオチドが、リン酸ジエステルまたはリン酸ジエステル様のヌクレオシド間連結によって連結している。
【0044】
本発明のオリゴヌクレオチドは、当技術分野で周知のいくつかの手順のうちのいずれかを使用して新規に合成することができる。例えば、b−シアノエチルホスホラミダイト法(Beaucage,S.L.およびCaruthers,M.H.、(1981)Tet.Let.22:1859);ヌクレオシドH−ホスホネート法(Gareggら、(1986)Tet.Let.27:4051〜4054;Froehlerら、(1986)Nucl.Acid Res.14:5399〜5407;Gareggら、(1986)27:4055〜4058;Gaffneyら、(1988)Tet.Let.29:2619〜2622)。これらの化学は、市販されている多様な自動化核酸合成機によって実施することができる。これらのオリゴヌクレオチドは、合成オリゴヌクレオチドと呼ばれる。あるいは、Tに富むジヌクレオチドおよび/またはTGジヌクレオチドを、プラスミド中で大規模に産生し(Sambrook T.ら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor laboratory Press、New York、1989を参照されたい)、より小さな部分に分けるかまたは全プラスミドとして投与することができる。核酸を、現存する核酸配列(例えば、ゲノムDNAもしくはcDNA)から、既知の技法、例として、制限酵素、エキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼを利用する技法を使用して調製することができる。
【0045】
本発明のある実施形態では、免疫賦活性オリゴヌクレオチドの全てのヌクレオチド間連結が、ホスホロチオエート連結である。
【0046】
ホスホロチオエート等の改変骨格は、ホスホロアミデート化学またはH−ホスホネート化学のいずれかを利用する自動化された技法を使用して合成することができる。アリール−ホスホネートおよびアルキル−ホスホネートは、例えば、米国特許第4,469,863号の記載に従って作製することができ;アルキルリン酸トリエステル(米国特許第5,023,243号に記載されているように、この中では、帯電した酸素部分がアルキル化されている)は、市販されている試薬を使用して自動化固相合成によって調製することができる。他のDNA骨格の改変および置換を作製するための方法が記載されている(例えば、Uhlmann,E.およびPeyman,A.、Chem.Rev.90:544、1990;Goodchild,J.、Bioconjugate Chem.1:165、1990)。
【0047】
こうして調製した核酸を、単離核酸と呼ぶ。「単離核酸」は一般に、構成成分から分離された核酸を指し、これらの構成成分と共に、この核酸は、細胞、核、ミトコンドリア、またはクロマチンおよび混入物とみなすことができる任意の他の構成成分から分離される。
【0048】
ある実施形態では、本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、5’TT3’からなり、は、ホスホロチオエート連結を示す。
【0049】
ある実施形態では、本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、IFN−γを分泌する抗原特異的CD4+T細胞を高い比率で誘発する。ある実施形態では、本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、IFN−γ、TNF−αおよび/またはIL−2を分泌する抗原特異的CD4+T細胞集団において、少なくとも40%、好ましくは、少なくとも45%、より好ましくは、少なくとも50%、より好ましくは、約53%の、IFN−γを分泌する抗原特異的CD4+T細胞を誘発することができる。ある実施形態では、IFN−γを分泌する抗原特異的CD4+T細胞の前記比率を、多染色性フローサイトメトリーによって決定する。そのような決定の例を、本文書の実施例1に開示する(「抗原特異的複数サイトカイン分泌型T細胞集団」の段落を参照されたい)。
【0050】
ある実施形態では、本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、IFN−γ、TNF−αおよび/またはIL−2を分泌する抗原特異的CD4+T細胞集団において、少なくとも10%、好ましくは、少なくとも15%、より好ましくは、少なくとも20%、より好ましくは、約22%の、IFN−γおよびTNF−αの両方を分泌する抗原特異的CD4+T細胞を誘発することができる。ある実施形態では、IFN−γおよびTNF−αの両方を分泌する多機能性抗原特異的CD4+T細胞の前記比率を、多染色性フローサイトメトリーによって決定する。そのような決定の例を、本文書の実施例1に開示する(「抗原特異的複数サイトカイン分泌型T細胞集団」の段落を参照されたい)。
【0051】
ある実施形態では、本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、IFN−γ、TNF−αおよび/またはIL−2を分泌する抗原特異的CD8+T細胞集団において、少なくとも30%、好ましくは、少なくとも40%、より好ましくは、少なくとも45%、より好ましくは、約47%の、IFN−γおよびTNF−αの両方を分泌する抗原特異的CD8+T細胞を誘発することができる。ある実施形態では、IFN−γおよびTNF−αの両方を分泌する多機能性抗原特異的CD8+T細胞の前記比率を、多染色性フローサイトメトリーによって決定する。そのような決定の例を、本文書の実施例1に開示する(「抗原特異的複数サイトカイン分泌型T細胞集団」の段落を参照されたい)。
【0052】
本発明の核酸を、独立型療法として使用することができる。独立型療法は、予防的または治療的に有益な結果を単一の薬剤または組成物の投与から達成することができる療法である。したがって、本明細書に開示する核酸を、感染性疾患の予防または治療において、単独で使用することができる。これは、これらの核酸が、これらの疾患の治療成果に有益である免疫応答を誘発することができるからである。本明細書で言及する方法のいくつかは、他の治療剤と組み合わせたこれらの核酸の使用に関する。
【0053】
本発明の核酸を、ワクチンにおいて使用することができる。この核酸は、ワクチンにおいて使用する場合、抗原と共に投与することができる。好ましくは、この抗原は、予防または治療しようとする障害に対して特異的である。例えば、この障害が感染性疾患である場合には、この抗原は、好ましくは、感染性生物体(例えば、細菌、ウイルス、寄生生物、真菌等)に由来し、この障害に自己抗原(例えば、腫瘍、アルツハイマー病等の神経変性障害、ヒト抗体に対する抗原、またはヒト内因性レトロウイルスエレメントから発現される抗原)が関与する場合には、この抗原は、好ましくは、この抗原と関連がある特定の障害に由来する。この障害に習慣性物質が関与する場合には、この抗原は、好ましくは、この抗原と関連がある特定の習慣性物質(例えば、ニコチンハプテン)に由来する。
【0054】
本明細書で使用する場合、用語「障害」と「疾患」とを互換的に使用する。
【0055】
ある実施形態では、本発明は、ワクチン中でアジュバントとして使用して、疾患を治療または予防するための本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドに関し、前記ワクチンは、少なくとも1つの抗原を含み、前記疾患は、多機能性抗原特異的T細胞の生成から利益を得る。
【0056】
CPG ODN24555は、CPG ODN10103を用いて得られた抗原特異的CD4+T細胞集団と比較して、より高い比率の、IFN−γを産生する抗原特異的CD4+T細胞を誘発することが見出された。また、CPG ODN10103またはCPG ODN7909を用いて得られた抗原特異的CD4+T細胞集団と比較して、IFN−γおよびTNF−αの両方、IFN−γおよびIL−2の両方、TNF−αおよびIL−2の両方を産生する多機能性抗原特異的CD4+T細胞が、またはIFN−γ、TNF−αおよびIL−2の三重産生細胞さえもがより高い比率で得られた。また、CPG ODN10103またはCPG ODN7909を用いて得られた抗原特異的CD8+T細胞集団と比較して、IFN−γおよびIL−2の両方、TNF−αおよびIL−2の両方を産生する多機能性抗原特異的CD8+T細胞が、またはIFN−γ、TNF−αおよびIL−2の三重産生細胞さえもがより高い比率で得られた。
【0057】
IFN−γ、TNF−αおよびIL−2は、多様な疾患に関与することが示されている。例えば、TNF−αは、癌に関与することが示されており、IFN−γは、ウイルス感染症等の感染性疾患に関与することが示されている。したがって、ある実施形態では、本発明は、ワクチン中でアジュバントとして使用して、癌を治療または予防するための本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドに関する。ある実施形態では、本発明は、ワクチン中でアジュバントとして使用して、癌を治療または予防するための本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドに関し、前記ワクチンは、少なくとも1つの腫瘍抗原、好ましくは、本明細書に開示する腫瘍抗原のうちのいずれかを含む。
【0058】
ある実施形態では、本発明は、ワクチン中でアジュバントとして使用して、感染性疾患を治療または予防するための本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドに関する。ある実施形態では、本発明は、ワクチン中でアジュバントとして使用して、感染性疾患を治療または予防するための本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドに関し、前記ワクチンは、少なくとも1つの微生物抗原、好ましくは、本明細書に開示する微生物抗原のうちのいずれかを含む。
【0059】
これらの免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、本発明のいくつかの態様では、感染症(すなわち、感染性疾患)、自己抗原と関連がある障害、または習慣性物質と関連がある障害の予防のための予防ワクチンとして有用である。好ましくは、予防ワクチン接種は、このワクチンが求められる状態を有すると診断されていない対象、より好ましくは、これらの状態のうちの1つを発症するリスクがあるとみなされているそれらの対象において使用する。例えば、この対象は、感染性生物体による感染症を発症するリスクがある対象、または自己抗原と関連がある障害に対して感受性である対象、または習慣性物質と関連がある障害に対して感受性である対象であり得る。
【0060】
本明細書で使用する場合、リスクがある対象は、感染症を引き起こす病原体への曝露、自己抗原と関連がある障害、または習慣性物質と関連がある障害のうちのいずれかのリスクを有する対象である。また、リスクがある対象は、そのような障害を発症する素因を有する対象も含む。いくつかの素因は、遺伝子に関する場合がある(したがって、遺伝子解析または家族歴のいずれかにより同定することができる)。いくつかの素因は環境に関する(例えば、感染性病原体、自己抗原または習慣性物質への以前の曝露)。感染症を発症するリスクがある対象の場合、そのような対象の例には、特定の型の感染性病原体が見出されているもしくは見出されたことがある地域で生活しているもしくはそうした地域へ旅行することが予測される対象があり、またはライフスタイルもしくは医学的手順を通して、感染性生物体を含有する恐れがある体液と接触することによって、その生物体に直接的もしくは間接的に曝露される対象があり得る。また、感染症を発症するリスクがある対象は、医療機関が特定の感染性生物体についてのワクチン接種を推奨する一般集団も含む。
【0061】
対象は、獣医用薬によって治療される対象、すなわち、げっ歯類または非げっ歯類の対象である。非げっ歯類対象として、これらに限定されないが、ヒト、または脊椎動物、例として、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、霊長類(例えば、サル)、および魚(水産養殖種、例えば、サケ)が挙げられる。げっ歯類対象として、これらに限定されないが、ラットおよびマウスが挙げられる。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0062】
また、これらの免疫賦活性オリゴヌクレオチドを、より短期に感染症から防御するためには、抗原なしで対象に与えることもできる。この場合、反復投与により、より長期の防御が可能になるであろう。
【0063】
感染症を有する対象は、感染性病原体に曝露されたことがあり、体内または体外排泄物中に、急性または慢性の検出可能なレベルのその病原体を有する対象である。これらの免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、治療に使用する場合、独立型としてまたは別の治療剤と組み合わせて使用することができる。例えば、免疫賦活性オリゴヌクレオチドを、抗原と共に治療に使用して、感染性病原体のレベルを低下させることまたは感染性病原体を根絶することができる、抗原特異的な全身性または粘膜の免疫応答を開始させることができる。
【0064】
本明細書で使用する場合、感染性疾患は、体内の外来微生物の存在によって発生する疾患である。病原体の侵入の主要な部位である身体の粘膜表面を防御するために、有効なワクチン戦略および治療を開発することは特に重要である。
【0065】
自己抗原と関連がある障害は、対象自体の細胞または細胞の産物の抗原であって、前記対象中で免疫応答を引き起こす抗原によって引き起こされる任意の障害である。例えば、いくつかの実施形態では、自己抗原は、腫瘍抗原、アルツハイマー病と関連がある抗原、抗体に対する抗原、またはヒト内因性レトロウイルスエレメントから発現される抗原である。腫瘍抗原は、HER2、MAGE、NYESO−1、PSA、CEA、またはEGFRの変異型であり得る。アルツハイマー病と関連がある抗原は、タウまたはβ−アミロイドであり得る。抗体に対する抗原は、ヒト抗体に対する抗原であり得、例えば、いくつかの実施形態では、この抗原はIgEである。
【0066】
いくつかの実施形態では、腫瘍抗原は、MAGE A1、MAGE A2、MAGE A3、MAGE A4、MAGE A6、MAGE A10、MAGE A12、HAGE(CT13)、BAGE、BORIS、SSX−2、LAGE−1、CAMEL(LAGE−1 選択的リーディングフレーム)、GAGE1、2、3、TRAG−3、NY−ESO−1、メラン−A/MART−1、チロシナーゼ、tyrp1(gp75)、tyrp2、gp100/pmel17、PAP、PSA、CEA、Ep−CAM、PSMA、MUC1、MUC2、HER−2、AFP、EphA2、FGF−5、htert、iCE、Livin(ML−IAP)、RAGE、RU2、サバイビン、サバイビン2B、WT1、Thomsen−Friedenreich(TF)抗原、5T4、PSCA、STEAP、TGR、アディポフィリン、AIM−2、G250、OGT、TGFaRII、CO−95(KIAA1416)、CO−94(seb4D)、CO−9(HDAC5)、CO−61(HIP1R)、CO−58(KNSL6)、CO−45、CO−42(TRIP4)、CO−41(MBD2)、Ren−32(ラミンC)、TNKL(BC−203)、CO−26(MNK1)、SDCCAG3、GA733−2、STn、CA125、EGFRvIII、BCR−abl、高親和性葉酸受容体、メソテリン、hCG、FAPアルファ、サイクリン1、トポイソメラーゼ、セルピンB5/マスピン、レグマイン、CDK4、PRAME、ADAM17、EDDR1、CDC2、複製プロテインA、CDK2、GM2、Globo H、TF(c)、Le、Tn(c)、STn(c)、GD2、GD3またはGD3Lである。
【0067】
習慣性物質と関連がある障害は、対象に習慣性物質に対する耽溺を発症させる化学物質または生物学的物質が関与する任意の障害である。例えば、いくつかの実施形態では、習慣性物質は、ニコチンまたはコカインであり得る。いくつかの実施形態では、ニコチン抗原は、担体にコンジュゲートさせたニコチンハプテンであり得る。いくつかの実施形態では、ニコチンハプテンをコンジュゲートさせる担体は、ジフテリア毒素である。
【0068】
本明細書で使用する場合、感染性疾患に関して使用する場合の用語「治療する(treat)」、「治療した(treated)」または「治療する(treating)」は、対象(感染症のリスクがある対象)の、病原体による感染症に対する耐性を増加させる、すなわち、その対象がその病原体に感染する可能性を減少させる予防的治療、および感染症と闘う、例えば、感染症を低下させるもしくは排除する、または感染症が悪化するのを阻止するための、対象(感染を経験している対象)が感染してしまった後の治療を指す。
【0069】
自己抗原と関連がある障害に関して使用する場合の用語「治療する(treat)」、「治療した(treated)」または「治療する(treating)」は、対象(自己抗原と関連がある障害のリスクがある対象)の、そのような障害の発症に対する耐性を増加させるまたはその対象が自己抗原と関連がある障害を発症する可能性を減少させる予防的治療、および障害の作用を低下させる、例えば、障害と関連がある徴候もしくは症状を低下させるもしくは排除する、またはそれらの徴候もしくは症状が悪化するのを阻止するための、対象(自己抗原と関連がある障害のリスクがある対象)がそのような障害を発症してしまったまたはそのような障害を発症する徴候もしくは症状を発症し始めてしまった後の治療を指す。
【0070】
習慣性物質と関連がある障害に関して使用する場合の用語「治療する(treat)」、「治療した(treated)」または「治療する(treating)」は、対象(習慣性物質と関連がある障害のリスクがある対象)の、そのような障害の発症に対する耐性を増加させるまたはその対象が習慣性物質と関連がある障害を発症する可能性を減少させる予防的治療、および障害の作用を低下させる、例えば、障害と関連がある徴候もしくは症状を低下させるもしくは排除する、またはそれらの徴候もしくは症状が悪化するのを阻止するための、対象(習慣性物質と関連がある障害のリスクがある対象)がそのような障害を発症してしまったまたはそのような障害を発症する徴候もしくは症状を発症し始めてしまった後の治療を指す。
【0071】
対象のまたは本明細書に記載する免疫賦活性オリゴヌクレオチドを用いた治療の結果、感染症の低下もしくは感染症の完全な無効化、自己抗原と関連がある障害と関連がある徴候/症状の低下もしくはその障害についての完全な無効化、または習慣性物質と関連がある障害と関連がある徴候/症状の低下もしくはその障害の完全な無効化が得られる。そのような治療の結果として、感染性疾患、自己抗原と関連がある障害、または習慣性物質と関連がある障害に関連するそのような症状が低下した、管理されている、または無効化した場合には、対象を治療されたとみなすことができる。また、感染性疾患の場合には、そのような治療は、対象中に存在する感染性病原体の量の低下も包含する(例えば、そのような量は、ELISA等の当業者に既知の標準的なアッセイを使用して測定することができる)。また、自己抗原と関連がある障害の場合には、そのような治療は、対象中に存在する自己抗原の量の低下または自己抗原の結果として誘発された免疫応答の低下も包含する。また、習慣性物質と関連がある障害の場合には、習慣性物質に対する耽溺と関連がある徴候/症状の低下も包含する。
【0072】
本明細書で使用する場合、「抗原」は、免疫応答を誘発することができる分子である。抗原として、これらに限定されないが、細胞、細胞抽出物、タンパク質、組換えタンパク質、精製タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、多糖、多糖コンジュゲート、ペプチドおよび非ペプチドの多糖模倣物、ならびにプラスミドDNAがコードする他の分子、ハプテン、低分子、脂質、糖脂質、炭水化物、死滅させた全病原体、ウイルスおよびウイルス抽出物、弱毒化生ウイルスもしくはウイルスベクター、弱毒化生細菌もしくは細菌ベクター、ならびに寄生生物等の多細胞生物体、ならびにアレルゲンが挙げられる。抗原という用語は、宿主免疫系が外来性であると認識する任意の型の分子を広く含む。抗原として、これらに限定されないが、微生物抗原、自己抗原および習慣性物質が挙げられる。
【0073】
いくつかの態様では、抗原を担体にコンジュゲートさせる。いくつかの実施形態では、この担体は、ジフテリア毒素またはウイルス様粒子である。いくつかの実施形態では、ウイルス様粒子は、RNAファージQ−β、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、またはB型肝炎コア抗原(HBcAg)から構成される。
【0074】
本明細書で使用する場合、「微生物抗原」は、微生物の抗原であり、それらとして、これらに限定されないが、ウイルス、細菌、寄生生物および真菌が挙げられる。いくつかの実施形態では、細菌抗原は、細菌の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)と関連がある抗原である。他の実施形態では、細菌抗原は、う歯を引き起こす細菌、例えば、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカス・ソブリナス(Streptococcus sobrinus)、ストレプトコッカス・サンギス(Streptococcus sanguis)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、またはアクチノミセス・ビスコーサス(Actinomyces viscosus)と関連がある抗原である。いくつかの実施形態では、細菌抗原は、歯周疾患を引き起こす細菌、例えば、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、またはアクチノバチルス・アクチノミセタムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)と関連がある抗原である。いくつかの実施形態では、ウイルス抗原は、呼吸器多核体ウイルス(Respiratory Syncytial virus)(RSV)、単純ヘルペスウイルス1(Herpes Simplex virus1)(HSV1)、単純ヘルペスウイルス2(Herpes Simplex virus2)(HSV2)、またはヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)−1(HIV−1)もしくはHIV−2と関連がある抗原である。いくつかの実施形態では、寄生生物抗原は、マラリアを引き起こす寄生生物と関連がある抗原である。
【0075】
そのような抗原は、未変化の微生物、ならびに天然の分離株およびそれらの断片または誘導体を含み、また、天然の微生物抗原と同一であるかもしくはそれに類似し、その微生物に特異的な免疫応答を誘発する合成化合物も含む。化合物は、天然の微生物抗原に対して(液性および/または細胞性の)免疫応答を誘発する場合、天然の微生物抗原に類似する。そのような抗原は、当技術分野では日常的に使用され、当業者には周知である。
【0076】
本発明のいくつかの態様では、対象は、抗原「に曝露される」。本明細書で使用する場合、用語「に曝露される」は、対象を抗原と接触させる能動的なステップまたはin vivoにおける対象の抗原への受動的な曝露のいずれかを指す。対象を抗原に能動的に曝露する方法は、当技術分野では周知である。一般に、抗原を、静脈内、筋肉内、経口、経皮、粘膜、鼻腔内、気管内または皮下への投与等の任意の手段によって対象に直接投与する。抗原は、局所または全身に投与することができる。この抗原およびこの免疫賦活性オリゴヌクレオチドを投与するための方法を、以下により詳細に記載する。抗原が、体内の免疫細胞への曝露のために利用可能になった場合、対象は、抗原に受動的に曝露される。対象は、例えば、外来の病原体の身体への侵入によって、抗原に受動的に曝露され得る。
【0077】
対象を抗原に受動的に曝露させる方法は、この免疫賦活性オリゴヌクレオチドの投与のタイミングに特に依存し得る。例えば、感染性疾患を発症するリスクがある対象においては、このリスクが最も高いときに、この免疫賦活性オリゴヌクレオチドを、対象に定期的に投与することができる。さらに、この免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、旅行者が、彼らが感染性病原体に曝露されるリスクがある外国へ旅行する前に、それらの旅行者に投与することもできる。また、この免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、対象が生物戦に曝露された際に全身性または粘膜の免疫応答を誘発するそうした生物戦に曝露されるリスクがある軍人または民間人に投与することもできる。
【0078】
ヒトに見出されているウイルスの例として、これらに限定されないが、レトロウイルス科(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)、例として、HIV−1(HTLV−III、LAVもしくはHTLV−III/LAV、またはHIV−IIIとも呼ばれる;およびHIV−LP等の他の分離株);ピコルナウイルス科(例えば、ポリオウイルス(polio virus)、A型肝炎ウイルス(hepatitis A virus);エンテロウイルス(enterovirus)、ヒトコクサッキーウイルス(human Coxsackie virus)、ライノウイルス(rhinovirus)、エコーウイルス(echovirus));カリシウイルス科(例えば、胃腸炎を引き起こす株);トガウイルス科(例えば、ウマ脳炎ウイルス(equine encephalitis virus)、風疹ウイルス(rubella virus));フラビウイルス科(例えば、デングウイルス(dengue virus)、脳炎ウイルス(encephalitis virus)、黄熱病ウイルス(yellow fever virus));コロナウイルス科(例えば、コロナウイルス(coronavirus));ラブドウイルス科(例えば、水疱性口内炎ウイルス(vesicular stomatitis virus)、狂犬病ウイルス(rabies virus));フィロウイルス科(例えば、エボラウイルス(ebola virus));パラミクソウイルス科(例えば、パラインフルエンザウイルス(parainfluenza virus)、流行性耳下腺炎ウイルス(mumps virus)、麻疹ウイルス(measles virus)、呼吸器多核体ウイルス(Respiratory Syncytial virus));オルソミクソウイルス科(例えば、インフルエンザウイルス(influenza virus));ブニヤウイルス科(例えば、ハンタウイルス(Hantaan virus)、ブニヤウイルス(bunyavirus)、フレボウイルス(phlebovirus)およびナイロウイルス(Nairo virus));アレナウイルス科(出血熱ウイルス(hemorrhagic fever virus));レオウイルス科(例えば、レオウイルス(reovirus)、オルビウイルス(orbivirus)およびロタウイルス(rotavirus));ビルナウイルス科;ヘパドナウイルス科(B型肝炎ウイルス(Hepatitis B virus));パルボウイルス科(パルボウイルス(parvovirus));パポバウイルス科(パピローマウイルス(papilloma virus)、ポリオーマウイルス(polyoma virus));アデノウイルス科(大部分のアデノウイルス(adenovirus));ヘルペスウイルス科(単純ヘルペスウイルス(herpes simples virus)(HSV)1および2、水痘帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus)、サイトメガロウイルス(cytometalovirus)(CMV)、ヘルペスウイルス(herpes virus));ポックスウイルス科(痘瘡ウイルス(variola virus)、ワクシニアウイルス(vaccinia virus)、ポックスウイルス(pox virus));さらにイリドウイルス科(例えば、アフリカブタ熱ウイルス(African swine fever virus));さらに未分類のウイルス(例えば、海面状脳症の病原体、デルタ肝炎の病原体(B型肝炎ウイルスの不完全サテライトと考えられている)、非A型、非B型肝炎の病原体(クラス1=内部感染性;クラス2=非経口感染性(すなわち、C型肝炎);ノーウォークウイルス(Norwalk virus)および関連のウイルス、ならびにアストロウイルス(astrovirus))が挙げられる。いくつかの実施形態では、これらのウイルスは、呼吸器多核体ウイルス(Respiratory Syncytial virus)(RSV)、単純ヘルペスウイルス1(Herpes Simplex virus1)(HSV1)、単純ヘルペスウイルス2(Herpes Simplex virus2)(HSV2)、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus)−1(HIV−1)またはHIV−2である。
【0079】
本明細書に記載する微生物抗原の多くが、ヒト障害に関連するが、また、本発明は、他の非ヒト脊椎動物の治療にも有用である。また、非ヒト脊椎動物も、本明細書に開示する免疫賦活性核酸を用いて予防または治療することができる感染症を発症することが可能である。例えば、感染性ヒト疾患の治療に加えて、本発明の方法は、動物の感染症の治療にも有用である。
【0080】
グラム陰性細菌およびグラム陽性細菌の両方が、脊椎動物においては抗原として役立つ。そのようなグラム陽性細菌として、これらに限定されないが、パスツレラ属菌種、ブドウ球菌属菌種および連鎖球菌属菌種が挙げられる。グラム陰性細菌として、これらに限定されないが、大腸菌(Escherichia coli)、シュードモナス属菌種およびサルモネラ属菌種が挙げられる。感染性細菌の具体的な例として、これらに限定されないが、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、マイコバクテリア属菌種(例えば、結核菌(M.tuberculosis)、マイコバクテリウム・アビウム(M.avium)、マイコバクテリウム・イントラセルラーレ(M.intracellulae)、カンサシ菌(M.kansasii)、マイコバクテリウム・ゴルドナエ(M.gordonae))、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、ナイセリア・ゴノレア(Neisseria gonorrhoeae)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)(A群連鎖球菌)、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)(B群連鎖球菌)、連鎖球菌属(ビリダンス群)、ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis)、ストレプトコッカス・ボビス(Streptococcus bovis)、連鎖球菌属(嫌気性菌種)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、病原性カンピロバクター属菌種、エンテロコッカス属菌種、ヘモフィルス・インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、コリネバクテリウム・ジフテリエ(Corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム属菌種、ブタ丹毒菌(Erysipelothrix rhusiopathiae)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pnuemoniae)、パスツレラ・マルトシダ(Pastueurella multocida)、バクテロイデス属菌種、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、ストレプトバチルス・モニリフォルミス(Streptobacillus moniliformis)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、トレポネーマ・ペルテニュ(Treponema pertenue)、レプトスピラ属、リケッチア属、およびアクチノマイセス・イスラエリイ(Actinomyces israelli)が挙げられる。いくつかの実施形態では、細菌は、う歯を引き起こす細菌、例えば、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカス・ソブリナス(Streptococcus sobrinus)、ストレプトコッカス・サンギス(Streptococcus sanguis)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、またはアクチノミセス・ビスコーサス(Actinomyces viscosus)である。他の実施形態では、細菌は、歯周疾患を引き起こす細菌、例えば、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、またはアクチノバチルス・アクチノミセタムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)である。
【0081】
細菌性病原体のポリペプチドとして、これらに限定されないが、フルンケル症を引き起こすエロモナス・サルモニシダ(Aeromonas salmonicida)の鉄調節外膜タンパク質(IROMP)、外膜タンパク質(OMP)およびA−タンパク質、細菌性腎臓疾患(BKD)を引き起こす細菌性腎臓病菌(Renibacterium salmoninarum)のp57タンパク質、エルシニア症の主要表面関連抗原(major surface associated antigen)(msa)、表面発現細胞毒(mpr)、表面発現ヘモリジン(ish)および鞭毛抗原;パスツレラ症の細胞外タンパク質(ECP)、IROMPおよび構造タンパク質;ビブロシス・アングイラルム(Vibrosis anguillarum)およびビブロシス・オルダリイ(V.ordalii)のOMPおよび鞭毛タンパク質;エドワルドシエロシス・イクタルリ(Edwardsiellosis ictaluri)およびエドワルドシエロシス・タルダ(E.tarda)の鞭毛タンパク質、OMPタンパク質、aroAおよびpurA;ならびにイクチオフチリウス属(Ichthyophthirius)の表面抗原;ならびにサイトファーガ・カラムナリス(Cytophaga columnaris)の構造タンパク質および調節タンパク質;ならびにリケッチアの構造タンパク質および調節タンパク質が挙げられる。
【0082】
真菌の例として、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、ブラストミセス・デルマチチジス(Blastomyces dermatitidis)、クラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)が挙げられる。他の感染性生物体(すなわち、原生生物)として、マラリア属菌種、例として、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)、卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)、三日熱マラリア(Plasmodium vivax)およびトキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)が挙げられる。血液媒介寄生生物および/または組織寄生生物として、マラリア属菌種、ネズミバベシア(Babesia microti)、多型バベシア(Babesia divergens)、熱帯リーシュマニア(Leishmania tropica)、リーシュマニア属菌種、ブラジルリーシュマニア(Leishmania braziliensis)、ドノバンリーシュマニア(Leishmania donovani)、ガンビアトリパノソーマ(Trypanosoma gambiense)およびローデシアトリパノソーマ(Trypanosoma rhodesiense)(アフリカ睡眠病)、クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)(シャーガス病)、ならびにトキソプラズマ・ゴンディ(Toxoplasma gondii)が挙げられる。いくつかの実施形態では、寄生生物は、マラリアと関連がある寄生生物である。他の医学的に関連性のある微生物が、文献に広範に記載されており、例えば、C.G.A Thomas、Medical Microbiology、Bailliere Tindall、Great Britain 1983を参照されたい。
【0083】
非ヒト脊椎動物を治療するための多くのワクチンが、Bennett,K.、Compendium of Veterinary Products、3版、North American Compendiums,Inc.、1995に開示されている。上記したように、抗原は、感染性微生物、例として、天然の供給源に由来するかまたは合成されたウイルス、寄生生物、細菌および真菌、ならびにそれらの断片を含む。ヒトおよび非ヒト脊椎動物の両方の感染性ウイルスは、レトロウイルス、RNAウイルスおよびDNAウイルスを含む。この群のレトロウイルスは、単純型レトロウイルスおよび複雑型レトロウイルスの両方を含む。これらの単純型レトロウイルスは、B型レトロウイルス、C型レトロウイルスおよびD型レトロウイルスのサブグループを含む。B型レトロウイルスの例が、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)である。これらのC型レトロウイルスは、C型A群のサブグループ(ラウス肉腫ウイルス(Rous sarcoma virus)(RSV)、トリ白血病ウイルス(avian leukemia virus)(ALV)およびトリ骨髄芽球症ウイルス(avian myeloblastosis virus)(AMV)を含む)、ならびにC型B群のサブグループ(ネコ白血病ウイルス(feline leukemia virus)(FeLV)、テナガザル白血病ウイルス(gibbon ape leukemia virus)(GALV)、脾臓壊死ウイルス(spleen necrosis virus)(SNV)、細網内皮症ウイルス(reticuloendotheliosis virus)(RV)およびサル肉腫ウイルス(simian sarcoma virus)(SSV)を含む)を含む。これらのD型レトロウイルスは、マソン・ファイザー・サルウイルス(Mason−Pfizer monkey virus)(MPMV)およびサルレトロウイルス1型(simian retrovirus type 1)(SRV−1)を含む。これらの複雑型レトロウイルスは、レンチウイルス、T細胞白血病ウイルスおよび泡沫状ウイルスのサブグループを含む。レンチウイルスは、HIV−1を含むが、また、HIV−2、SIV、ビスナウイルス(Visna virus)、ネコ免疫不全ウイルス(feline immunodeficiency virus)(FIV)およびウマ伝染性貧血ウイルス(equine infectious anemia virus)(EIAV)も含む。これらのT細胞白血病ウイルスは、HTLV−1、HTLV−II、サルT細胞白血病ウイルス(simian T−cell leukemia virus)(STLV)およびウシ白血病ウイルス(bovine leukemia virus)(BLV)を含む。これらの泡沫状ウイルスは、ヒト泡沫状ウイルス(human foamy virus)(HFV)、サル泡沫状ウイルス(simian foamy virus)(SFV)およびウシ泡沫状ウイルス(bovine foamy virus)(BFV)を含む。
【0084】
脊椎動物において抗原となる他のRNAウイルスの例として、これらに限定されないが、レオウイルス科のメンバーが挙げられ、それらは、オルトレオウイルス属(哺乳動物およびトリの両方のレトロウイルスの複数の血清型)、オルビウイルス属(ブルータングウイルス(Bluetongue virus)、ユージナンジーウイルス(Eugenangee virus)、ケメロボウイルス(Kemerovo virus)、アフリカ馬疫ウイルス(African horse sickness virus)およびコロラドダニ熱ウイルス(Colorado Tick Fever virus))、ロタウイルス属(ヒトロタウイルス(human rotavirus)、ネブラスカ仔牛下痢症ウイルス(Nebraska calf diarrhea virus)、サルロタウイルス(simian rotavirus)、ウシロタウイルス(bovine rotavirus)またはヒツジロタウイルス(ovine rotavirus)、トリロタウイルス(avian rotavirus))を含み;ピコルナウイルス科のメンバーが挙げられ、それらは、エンテロウイルス属(ポリオウイルス(poliovirus)、コクサッキーウイルスA(Coxsackie virus A)およびコクサッキーウイルスB(Coxsackie virus B)、腸管内皮細胞ヒト由来みなしごウイルス(enteric cytopathic human orphan (ECHO) virus)、A型肝炎ウイルス(hepatitis A virus)、サルエンテロイウルス(Simian enteroviruses)、マウス脳脊髄炎(ME)ウイルス(Murine encephalomyelitis virus)、ポリオウイルス・ムリス(Poliovirus muris)、ウシエンテロウイルス(Bovine enterovirus)、ブタエンテロウイルス(Porcine enterovirus))、カルジオウイルス属(脳心筋炎ウイルス(Encephalomyocarditis virus)(EMC)、メンゴウイルス(Mengovirus)、ライノウイルス属(少なくとも113個のサブタイプを含むヒトライノウイルス(Human rhinovirus);他のライノウイルス)、口蹄疫ウイルス属(口蹄疫ウイルス(Foot and Mouth disease virus)(FMDV))を含み;カリシウイルス科のメンバーが挙げられ、それらは、ブタ水疱疹ウイルス(Vesicular exanthema of swine virus)、サンミゲルアシカウイルス(San Miguel sea lion virus)、ネコピコルナウイルス(Feline picornavirus)およびノーウォークウイルス(Norwalk virus)を含み;トガウイルス科のメンバーが挙げられ、それらは、アルファウイルス属(東部ウマ脳炎ウイルス(Eastern equine encephalitis virus)、セムリキ森林ウイルス(Semliki forest virus)、シンドビスウイルス(Sindbis virus)、チクングニアウイルス(Chikungunya virus)、オニョンニョンウイルス(O’Nyong−Nyong virus)、ロスリバーウイルス(Ross river virus)、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(Venezuelan equine encephalitis virus)、西部ウマ脳炎ウイルス(Western equine encephalitis virus)、フラビウイルス属(蚊媒介黄熱病ウイルス(Mosquito borne yellow fever virus)、デングウイルス(Dengue virus)、日本脳炎ウイルス(Japanese encephalitis virus)、セントルイス脳炎ウイルス(St.Louis encephalitis virus)、マレー渓谷脳炎ウイルス(Murray Valley encephalitis virus)、西ナイルウイルス(West Nile virus)、クンジンウイルス(Kunjin virus)、中央ヨーロッパダニ媒介性ウイルス(Central European tick borne virus)、極東ダニ媒介性ウイルス(Far Eastern tick borne virus)、キャサヌール森林ウイルス(Kyasanur forest virus)、跳躍病ウイルス(Louping Ill virus)、ポワッサンウイルス(Powassan virus)、オムスク出血熱ウイルス(Omsk hemorrhagic fever virus))、ルビウイルス属(風疹ウイルス(Rubella virus))、ペスチウイルス属(粘膜病ウイルス(Mucosal disease virus)、ブタコレラウイルス(Hog cholera virus)、ボーダー病ウイルス(Border disease virus))を含み;ブニヤウイルス科のメンバーが挙げられ、それらは、ブニヤウイルス属(ブニヤムウェラウイルス(Bunyamwera virus)および関連ウイルス、カリフォルニア脳炎群ウイルス(California encephalitis group virus)、フレボウイルス属(サシチョウバエ熱ウイルス(Sandfly fever Sicilian virus)、リフトバレー熱ウイルス(Rift Valley fever virus))、ナイロウイルス属(クリミア−コンゴ出血熱ウイルス(Crimean−Congo hemorrhagic fever virus)、ナイロビ羊病ウイルス(Nairobi sheep disease virus))、ならびにウークウイルス属(ウークニエミウイルス(Uukuniemi virus)および関連ウイルス)を含み;オルソミクソウイルス科のメンバーが挙げられ、それらは、インフルエンザウイルス属(インフルエンザウイルスA型(Influenza virus type A)、多くのヒトサブタイプ;ブタインフルエンザウイルス(Swine influenza virus)およびトリインフルエンザウイルス(Avian Influenza virus)およびウマインフルエンザウイルス(Equine Influenza virus);インフルエンザB型(Influenza virus type B)(多くのヒトサブタイプ)、ならびにインフルエンザC型(Influenza virus type C)(別個の属の可能性もある))を含み;パラミクソウイルス科のメンバーが挙げられ、それらは、パラミクソウイルス属(パラインフルエンザウイルス1型(Parainfluenza virus tupe 1)、センダイウイルス(Sendai virus)、赤血球吸着ウイルス(Hemadsorption virus)、パラインフルエンザウイルス(Parainfluenza virus)2〜5型、ニューカッスル病ウイルス(Newcastle Disease Virus)、流行性耳下腺炎ウイルス(Mumps virus))、モルビリウイルス属(麻疹ウイルス(Measles virus)、亜急性硬化性全脳炎ウイルス(subacute sclerosing panencephalitis virus)、ジステンパーウイルス(distemper virus)、牛疫ウイルス(Rinderpest virus))、ニューモウイルス属(呼吸器多核体ウイルス(respiratory syncytial virus)(RSV)、ウシ呼吸器多核体ウイルス(Bovine respiratory syncytial virus)および肺炎ウイルス(Pneumonia virus))を含み;ラブドウイルス科のメンバーが挙げられ、それらは、ベジクロウイルス属(VSV)、チャンディプラウイルス(Chandipura virus)、フランダース−ハートパークウイルス(Flanders−Hart Park virus))、リッサウイルス属(狂犬病ウイルス(Rabies virus))、魚のラブドウイルス(Rhabdovirus)ならびにラブドウイルスと推定される2つのウイルス(マールブルグウイルス(Marburg virus)およびエボラウイルス(Ebola virus))を含み;アレナウイルス科のメンバーが挙げられ、それらは、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(Lymphocytic choriomeningitis virus)(LCM)、タカリベウイルス(Tacaribe virus)複合体およびラッサウイルス(Lassa virus)を含み;コロナウイルス科のメンバーが挙げられ、それらは、伝染性気管支炎ウイルス(Infectious Bronchitis Virus)(IBV)、肝炎ウイルス(Hepatitis virus)、ヒト腸コロナウイルス(Human enteric corona virus)およびネコ伝染性腹膜炎ウイルス(Feline infectious peritonitis virus)(ネココロナウイルス(Feline coronavirus))を含む。
【0085】
脊椎動物において抗原となる例示的なDNAウイルスとして、これらに限定されないが、ポックスウイルス科が挙げられ、それらは、オルソポックスウイルス属(大痘瘡ウイルス(Variola major virus)、小痘瘡ウイルス(Variola minor virus)、サル痘ワクチニアウイルス(Monkey pox Vaccinia virus)、牛痘ウイルス(Cowpox virus)、水牛痘ウイルス(Buffalopox virus)、ウサギ痘ウイルス(Rabbitpox virus)、エクトロメリアウイルス(Ectromelia virus))、レポリポックスウイルス属(粘液腫ウイルス(Myxoma virus)、線維腫ウイルス(Fibroma virus))、トリポックスウイルス属(鶏痘ウイルス(Fowlpox virus)、他のトリポックスウイルス)、カプリポックスウイルス属(羊痘ウイルス(sheeppox virus)、山羊痘ウイルス(goatpox virus))、ブタポックスウイルス属(ブタポックスウイルス(Swinepox virus))、パラポックスウイルス属(伝染性膿胞性皮膚炎ウイルス(contagious pustular dermatitis virus)、偽牛痘ウイルス(pseudocowpox virus)、ウシ丘疹性口炎ウイルス(bovine papular stomatitis virus))を含み;イリドウイルス科(アフリカブタ熱ウイルス(African swine fever virus)、カエルウイルス(Frog virus)2および3、魚のリンホシスチス病ウイルス(Lymphocystis virus))が挙げられ;ヘルペスウイルス科が挙げられ、それらは、アルファ−ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス(Herpes Simplex virus)1型および2型、水痘帯状疱疹ウイルス(Varicella−Zoster virus)、ウマ流産ウイルス(Equine abortion virus)、ウマヘルペスウイルス(Equine herpes virus)2および3、仮性狂犬病ウイルス(pseudorabies virus)、ウシ伝染性角結膜炎ウイルス(infectious bovine keratoconjunctivitis virus)、ウシ伝染性鼻気管炎ウイルス(infectious bovine rhinotracheitis virus)、ネコ鼻腔気管炎ウイルス(feline rhinotracheitis virus)、伝染性喉頭気管炎ウイルス(infectious laryngotracheitis virus));ベータ−ヘルペスウイルス(ヒトサイトメガロウイルス(Human cytomegalovirus)ならびにブタおよびサルのサイトメガロウイルス(cytomegalovirus));ガンマ−ヘルペスウイルス(エプスタイン−バーウイルス(Epstein−Barr virus)(EBV)、マレック病ウイルス(Marek’s disease virus)、サイミリヘルペス(Herpes saimiri)ウイルス(Herpes saimiri)、アテレスヘルペスウイルス(Herpesvirus atele)、ワタオウサギヘルペスウイル(Herpesvirus sylvilagus)、モルモットヘルペスウイルス(guinea pig herpes virus)、ラック腫瘍ウイルス(Lucke tumor virus))を含み;アデノウイルス科が挙げられ、それらは、マストアデノウイルス属(ヒトサブグループA、B、C、D、Eおよび未分類;サルのアデノウイルス(少なくとも23個の血清型)、伝染性イヌ肝炎ウイルス(infectious canine hepatitis virus)、ならびにウシ、ブタ、ヒツジ、カエルおよび多くの他の種のアデノウイルス)、トリアデノウイルス属(トリのアデノウイルス);さらに培養不可能なアデノウイルスを含み;パポバウイルス科が挙げられ、それらは、パピローマウイルス属(ヒトパピローマウイルス(Human papilloma virus)、ウシパピローマウイルス(bovine papilloma virus)、ショープウサギパピローマウイルス(Shope rabbit papilloma virus)、および他の種の種々の病原性パピローマウイルス)、ポリオーマウイルス属(ポリオーマウイルス、サルの空胞化病原体(SV−40)、ウサギの空胞化病原体(RKV)、Kウイルス(K virus)、BKウイルス(BK virus)、JCウイルス(JC virus)、および他の霊長類ポリオーマウイルス(polyoma virus)、例として、リンパ増殖性パピローマウイルス(Lymphotrophic papilloma virus))を含み;パルボウイルス科が挙げられ、それらは、アデノ随伴ウイルス属、パルボウイルス属(ネコ汎白血球減少症ウイルス(Feline panleukopenia virus)、ウシパルボウイルス(bovine parvovirus)、イヌパルボウイルス(canine parvovirus)、アリューシャンミンク症ウイルス(Aleutian mink disease virus)等)を含む。さらに、DNAウイルスは、上記の科にあてはまらないウイルス、例として、クールー病ウイルス(Kuru disease virus)およびクロイツフェルト−ヤコブ病ウイルス(Creutzfeldt−Jacob disease viruses)、ならびに慢性伝染性神経障害病原体(CHINAウイルス)も含むことができる。
【0086】
ある実施形態では、本発明は、抗原特異的免疫応答を誘発する方法に関し、この方法は、抗原および本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドを投与するステップを含み、IFN−γ、TNF−αおよび/またはIL−2を分泌する抗原特異的CD4+T細胞集団において、少なくとも40%、好ましくは、少なくとも45%、より好ましくは、少なくとも50%、より好ましくは、約53%の誘発された抗原特異的CD4+T細胞が、IFN−γを分泌する。ある実施形態では、IFN−γを分泌する抗原特異的CD4+T細胞の前記比率を、多染色性フローサイトメトリーによって決定する。そのような決定の例を、本文書の実施例1に開示する(「抗原特異的複数サイトカイン分泌型T細胞集団」の段落を参照されたい)。ある実施形態では、こうした抗原および免疫賦活性オリゴヌクレオチドを、前記対象において抗原特異的免疫応答を誘発するのに有効な量で投与する。ある実施形態では、この抗原は、本明細書に開示する抗原のうちのいずれかである。
【0087】
ある実施形態では、本発明は、抗原特異的免疫応答を誘発する方法に関し、この方法は、抗原および本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドを投与するステップを含み、IFN−γ、TNF−αおよび/またはIL−2を分泌する抗原特異的CD4+T細胞集団において、少なくとも10%、好ましくは、少なくとも15%、より好ましくは、少なくとも20%、より好ましくは、約22%の誘発された抗原特異的CD4+T細胞が、二重サイトカイン産生細胞であり、IFN−γおよびTNF−αの両方を優先的に分泌する。ある実施形態では、IFN−γおよびTNF−αの両方を分泌する抗原特異的CD4+T細胞の前記比率を、多染色性フローサイトメトリーによって決定する。そのような決定の例を、本文書の実施例1に開示する(「抗原特異的複数サイトカイン分泌型T細胞集団」の段落を参照されたい)。ある実施形態では、こうした抗原および免疫賦活性オリゴヌクレオチドを、前記対象において抗原特異的免疫応答を誘発するのに有効な量で投与する。ある実施形態では、この抗原は、本明細書に開示する抗原のうちのいずれかである。
【0088】
ある実施形態では、本発明は、抗原特異的免疫応答を誘発する方法に関し、この方法は、抗原および本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドを投与するステップを含み、IFN−γ、TNF−αおよび/またはIL−2を分泌する抗原特異的CD8+T細胞集団において、少なくとも30%、好ましくは、少なくとも40%、より好ましくは、少なくとも45%、より好ましくは、約47%の誘発された抗原特異的CD8+T細胞が、二重サイトカイン産生細胞であり、IFN−γおよびTNF−αの両方を優先的に分泌する。ある実施形態では、IFN−γおよびTNF−αの両方を分泌する抗原特異的CD8+T細胞の前記比率を、多染色性フローサイトメトリーによって決定する。そのような決定の例を、本文書の実施例1に開示する(「抗原特異的複数サイトカイン分泌型T細胞集団」の段落を参照されたい)。ある実施形態では、こうした抗原および免疫賦活性オリゴヌクレオチドを、前記対象において抗原特異的免疫応答を誘発するのに有効な量で投与する。ある実施形態では、この抗原は、本明細書に開示する抗原のうちのいずれかである。
【0089】
ある実施形態では、本発明は、抗原に対する免疫応答を誘発するのに使用するための本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドに関し、IFN−γ、TNF−αおよび/またはIL−2を分泌する抗原特異的CD4+T細胞集団において、少なくとも40%、好ましくは、少なくとも45%、より好ましくは、少なくとも50%、より好ましくは、約53%の誘発された抗原特異的CD4+T細胞が、IFN−γを分泌する。ある実施形態では、IFN−γを分泌する抗原特異的CD4+T細胞の前記比率を、多染色性フローサイトメトリーによって決定する。そのような決定の例を、本文書の実施例1に開示する(「抗原特異的複数サイトカイン分泌型T細胞集団」の段落を参照されたい)。ある実施形態では、この抗原は、本明細書に開示する抗原のうちのいずれかである。
【0090】
ある実施形態では、本発明は、抗原に対する免疫応答を誘発するのに使用するための本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドに関し、IFN−γ、TNF−αおよび/またはIL−2を分泌する抗原特異的CD4+T細胞集団において、少なくとも10%、好ましくは、少なくとも15%、より好ましくは、少なくとも20%、より好ましくは、約22%の誘発された抗原特異的CD4+T細胞が、二重サイトカイン産生細胞であり、IFN−γおよびTNF−αの両方を優先的に分泌する。ある実施形態では、IFN−γおよびTNF−αの両方を分泌する抗原特異的CD4+T細胞の前記比率を、多染色性フローサイトメトリーによって決定する。そのような決定の例を、本文書の実施例1に開示する(「抗原特異的複数サイトカイン分泌型T細胞集団」の段落を参照されたい)。ある実施形態では、この抗原は、本明細書に開示する抗原のうちのいずれかである。
【0091】
ある実施形態では、本発明は、抗原に対する免疫応答を誘発するのに使用するための本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドに関し、IFN−γ、TNF−αおよび/またはIL−2を分泌する抗原特異的CD8+T細胞集団において、少なくとも30%、好ましくは、少なくとも40%、より好ましくは、少なくとも45%、より好ましくは、約47%の誘発された抗原特異的CD8+T細胞が、二重サイトカイン産生細胞であり、IFN−γおよびTNF−αの両方を優先的に分泌する。ある実施形態では、IFN−γおよびTNF−αの両方を分泌する抗原特異的CD8+T細胞の前記比率を、多染色性フローサイトメトリーによって決定する。そのような決定の例を、本文書の実施例1に開示する(「抗原特異的複数サイトカイン分泌型T細胞集団」の段落を参照されたい)。ある実施形態では、この抗原は、本明細書に開示する抗原のうちのいずれかである。
【0092】
ある実施形態では、本発明は、ワクチン中でアジュバントとして使用するための本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドに関し、前記ワクチンは、抗原に対して免疫応答を誘発し、IFN−γ、TNF−αおよび/またはIL−2を分泌する抗原特異的CD4+T細胞集団において、少なくとも40%、好ましくは、少なくとも45%、より好ましくは、少なくとも50%、より好ましくは、約53%の誘発された抗原特異的CD4+T細胞が、IFN−γを分泌する。ある実施形態では、IFN−γを分泌する抗原特異的CD4+T細胞の前記比率を、多染色性フローサイトメトリーによって決定する。そのような決定の例を、本文書の実施例1に開示する(「抗原特異的複数サイトカイン分泌型T細胞集団」の段落を参照されたい)。ある実施形態では、この抗原は、本明細書に開示する抗原のうちのいずれかである。
【0093】
ある実施形態では、本発明は、ワクチン中でアジュバントとして使用するための本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドに関し、前記ワクチンは、抗原に対して免疫応答を誘発し、IFN−γ、TNF−αおよび/またはIL−2を分泌する抗原特異的CD4+T細胞集団において、少なくとも10%、好ましくは、少なくとも15%、より好ましくは、少なくとも20%、より好ましくは、約22%の誘発された抗原特異的CD4+T細胞が、二重サイトカイン産生細胞であり、IFN−γおよびTNF−αの両方を優先的に分泌する。ある実施形態では、IFN−γおよびTNF−αの両方を分泌する二重産生型抗原特異的CD4+T細胞の前記比率を、多染色性フローサイトメトリーによって決定する。そのような決定の例を、本文書の実施例1に開示する(「抗原特異的複数サイトカイン分泌型T細胞集団」の段落を参照されたい)。ある実施形態では、この抗原は、本明細書に開示する抗原のうちのいずれかである。
【0094】
ある実施形態では、本発明は、ワクチン中でアジュバントとして使用するための本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドに関し、前記ワクチンは、抗原に対して免疫応答を誘発し、IFN−γ、TNF−αおよび/またはIL−2を分泌する抗原特異的CD8+T細胞集団において、少なくとも30%、好ましくは、少なくとも40%、より好ましくは、少なくとも45%、より好ましくは、約47%の誘発された抗原特異的CD8+T細胞が、二重サイトカイン産生細胞であり、IFN−γおよびTNF−αの両方を優先的に分泌する。ある実施形態では、IFN−γおよびTNF−αの両方を分泌する二重産生型抗原特異的CD8+T細胞の前記比率を、多染色性フローサイトメトリーによって決定する。そのような決定の例を、本文書の実施例1に開示する(「抗原特異的複数サイトカイン分泌型T細胞集団」の段落を参照されたい)。ある実施形態では、この抗原は、本明細書に開示する抗原のうちのいずれかである。
【0095】
ある実施形態では、本発明は、抗原および本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドを含む、前記抗原に対する免疫応答を誘発するのに使用するためのワクチンに関し、IFN−γ、TNF−αおよび/またはIL−2を分泌する抗原特異的CD4+T細胞集団において、少なくとも40%、好ましくは、少なくとも45%、より好ましくは、少なくとも50%、より好ましくは、約53%の誘発された抗原特異的CD4+T細胞がIFN−γを分泌する。ある実施形態では、IFN−γを分泌する抗原特異的CD4+T細胞の前記比率を、多染色性フローサイトメトリーによって決定する。そのような決定の例を、本文書の実施例1に開示する(「抗原特異的複数サイトカイン分泌型T細胞集団」の段落を参照されたい)。ある実施形態では、この抗原は、本明細書に開示する抗原のうちのいずれかである。
【0096】
ある実施形態では、本発明は、抗原および本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドを含む、前記抗原に対する免疫応答を誘発するのに使用するためのワクチンに関し、IFN−γ、TNF−αおよび/またはIL−2を分泌する抗原特異的CD4+T細胞集団において、少なくとも10%、好ましくは、少なくとも15%、より好ましくは、少なくとも20%、より好ましくは、約22%の誘発された抗原特異的CD4+T細胞が、二重サイトカイン産生細胞であり、IFN−γおよびTNF−αの両方を優先的に分泌する。ある実施形態では、IFN−γおよびTNF−αの両方を分泌する抗原特異的CD4+T細胞の前記比率を、多染色性フローサイトメトリーによって決定する。そのような決定の例を、本文書の実施例1に開示する(「抗原特異的複数サイトカイン分泌型T細胞集団」の段落を参照されたい)。ある実施形態では、この抗原は、本明細書に開示する抗原のうちのいずれかである。
【0097】
ある実施形態では、本発明は、抗原および本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドを含む、前記抗原に対する免疫応答を誘発するのに使用するためのワクチンに関し、IFN−γ、TNF−αおよび/またはIL−2を分泌する抗原特異的CD8+T細胞集団において、少なくとも30%、好ましくは、少なくとも40%、より好ましくは、少なくとも45%、より好ましくは、約47%の誘発された抗原特異的CD8+T細胞が、二重サイトカイン産生細胞であり、IFN−γおよびTNF−αの両方を優先的に分泌する。ある実施形態では、IFN−γおよびTNF−αの両方を分泌する抗原特異的CD8+T細胞の前記比率を、多染色性フローサイトメトリーによって決定する。そのような決定の例を、本文書の実施例1に開示する(「抗原特異的複数サイトカイン分泌型T細胞集団」の段落を参照されたい)。ある実施形態では、この抗原は、本明細書に開示する抗原のうちのいずれかである。
【0098】
核酸分子の「有効量」という言葉は、所望の生物学的効果を実現するのに必要または十分な量を指す。例えば、障害を治療するための、少なくとも1つの非メチル化CpGを含有する核酸の有効量は、微生物感染症または腫瘍を排除するのに必要な量である。ワクチンのアジュバントとして使用するのに有効な量は、ワクチンに対する対象の免疫応答を後押しするのに有用な量であり得るであろう。感染性疾患、自己抗原と関連がある障害、または習慣性物質と関連がある障害を治療するのに「有効な量」は、抗原特異的免疫応答を誘発するの有用な量であり得る。任意の特定の適用に有効な量は、治療する疾患もしくは状態、投与する特定のCpG免疫賦活性オリゴヌクレオチド、対象のサイズ、または疾患もしくは状態の重症度等の要因に応じて変化させることができる。当業者であれば、特定のオリゴヌクレオチドの有効量を、過度の実験を必要とすることなく経験的に決定することができる。
【0099】
本発明の態様では、ワクチンは、アジュバントをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、アジュバントは、TLR9ではないToll様受容体(TLR)に対するアゴニストである。TLRに対するアゴニストは、いくつかの実施形態では、TLR3に対するアゴニスト(例えば、安定化ポリI:C)、TLR4(例えば、リポ多糖(LPS)の誘導体、例えば、MPLもしくはGLA)、TLR5(例えば、フラジェリン)、TLR7(例えば、低分子のイミダゾキノリンファミリー)、またはTLR8(例えば、低分子のイミダゾキノリンファミリー)である。いくつかの実施形態では、このアジュバントは、アルミニウム塩、例えば、水酸化アルミニウム、免疫賦活複合体(ISCOM)、水中油型もしくは油中水型の乳剤、リポソーム、または送達系、例えば、ナノ粒子もしくはマイクロ粒子である。
【0100】
CpG免疫賦活性オリゴヌクレオチドの有効量という用語は、所望の生物学的効果を実現するのに必要または十分な量を指す。例えば、抗原特異的免疫応答を誘発するための、抗原と共に投与するCpG免疫賦活性オリゴヌクレオチドの有効量は、抗原への曝露時に抗原に応答した免疫応答を誘発するのに必要な量である。本明細書に提供する教示と組み合わせて、種々の活性な免疫賦活性オリゴヌクレオチドの間から選び、効力、相対的な生物学的利用率、患者の体重、有害な副作用の重症度、および好ましい投与様式等の要因を比較検討することによって、毒性を実質的に引き起こさず、しかも、特定の対象を治療するのに有効である、効果的な予防的または治療的な処置与計画を計画することができる。任意の特定の適用に有効な量は、治療する疾患もしくは状態、投与する特定のCpG免疫賦活性オリゴヌクレオチド、対象のサイズ、または疾患もしくは状態の重症度等の要因に応じて変化させることができる。当業者であれば、特定のCpG免疫賦活性オリゴヌクレオチドおよび/または抗原および/または他の治療剤の有効量を、本開示に照らして、過度の実験を必要とすることなく経験的に決定することができる。
【0101】
本明細書に記載する化合物を局所送達するための対象への用量は典型的には、投与1回当たり約0.1μg〜50mgの範囲に及び、この用量は、適用に応じて、1日1回、週1回または月1回、およびそれらの間の任意の他の時間間隔で与えることができるであろう。より典型的には、局所用量は、投与1回当たり約10μg〜10mg、場合により約100μg〜1mgの範囲に及び、この用量を、数日または数週間の間隔を開けて2〜4回投与する。免疫賦活用量は、投与1回当たり、より典型的には1μg〜10mg、最も典型的には10μg〜1mgの範囲に及び、この用量を、1日1回または週に1回投与する。抗原特異的免疫応答を誘発する目的で、本明細書に記載する化合物を非経口送達するための対象への用量は、これらの化合物を、抗原と共に送達するが、別の治療剤と共には送達しない場合、ワクチンアジュバントまたは免疫賦活の適用のために有効な局所用量よりも、典型的には5〜10,000倍高く、より典型的には10〜1,000倍高く、最も典型的には20〜100倍高い。非経口送達する、例えば、自然免疫応答を誘発する、ADCCを増加させる、抗原特異的免疫応答を誘発するための本明細書に記載する化合物の用量は、これらのCpG免疫賦活性オリゴヌクレオチドを、他の治療剤と組み合わせてか、または特殊化した送達ビヒクル中で投与する場合、典型的には、投与1回当たり約0.1μg〜10mgの範囲に及び、この用量は、適用に応じて、1日1回、週1回または月1回、およびそれらの間の任意の他の時間間隔で与えることができるであろう。これらの目的の非経口用量は、投与1回当たり、より典型的には約10μg〜5mg、最も典型的には約100μg〜1mgの範囲に及び、この用量を、数日または数週間の間隔を開けて2〜4回投与する。しかし、いくつかの実施形態では、これらの目的のための非経口用量を、上記の典型的な用量よりも5〜10,000倍高い範囲で使用することができる。
【0102】
本明細書に記載する任意の化合物について、治療有効量を最初は、動物モデルから決定することができる。また、治療有効用量は、ヒトにおいて試験されている(例えば、ヒト臨床治験が開始されている)CpGオリゴヌクレオチドについて、および類似の薬理活性を示すことが知られている化合物、例として、他のアジュバント、例えば、ワクチン接種の目的のLTおよび他の抗原についてのヒトのデータから決定することもできる。非経口投与のためには、より高い用量が必要になる場合がある。適用する用量は、投与する化合物の相対的な生物学的利用率および効力に基づいて調節することができる。上記に記載の方法および当技術分野で周知の他の方法に基づいて、最大の有効性を達成するために用量を調節することは、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0103】
本発明の製剤を、薬学的に許容できる液剤中で投与し、これらの液剤は、薬学的に許容できる濃度の塩、緩衝剤、保存剤、適合性の担体、アジュバントを日常的に含有することができ、他の治療成分を場合により含有してもよい。
【0104】
療法において使用する場合、有効量のCpG免疫賦活性オリゴヌクレオチドを、このオリゴヌクレオチドを所望の表面に送達する任意の様式により対象に投与することができる。本発明の医薬組成物の投与は、当業者に既知の任意の手段により達成することができる。好ましい投与経路として、これらに限定されないが、非経口(例えば、筋肉内、皮下、皮内、静脈内、膀胱内もしくは腹腔内)、外用(例えば、皮膚(経皮)、粘膜)、経口、鼻腔内、膣内、直腸内、経頬、眼内、または舌下が挙げられる。
【0105】
免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、単独でまたは他の治療剤と共に、本明細書に記載する任意の経路を介して投与することができる。いくつかの好ましい実施形態では、投与は局所である。局所投与は、粘膜表面、例えば、皮膚、例として、口腔および生殖器の皮膚への外用適用を含むことができる。
【0106】
これらの免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、それらが全身に送達されることが望ましい場合には、注射、例えば、ボーラス注射、または連続注入による非経口投与のために製剤化することができる。注射のための製剤は、単位投与剤型として、例えば、アンプル中で提示しても、または複数用量容器中に、保存剤を添加して提示してもよい。これらの組成物は、懸濁剤、液剤、または油性もしくは水性のビヒクル中の乳剤等の剤型をとることができ、懸濁化剤、安定化剤および/または分散化剤等の製剤化のための薬剤を含有することができる。
【0107】
非経口投与のための医薬製剤は、水溶性の形態のこれらの免疫賦活性オリゴヌクレオチドの水性液剤を含む。さらに、これらの免疫賦活性オリゴヌクレオチドの懸濁剤も、適切な油性注射用懸濁剤として調製することができる。適切な親油の溶媒またはビヒクルは、ゴマ油等の脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリド等の合成脂肪酸エステル、あるいはリポソームを含む。水性注射用懸濁剤は、懸濁剤の粘度を増加させる物質、例として、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランを含有することができる。また、この懸濁剤は、適切な安定化剤、またはこれらの免疫賦活性オリゴヌクレオチドの溶解性を増加させて、非常に濃縮された溶液の調製を可能にする薬剤を場合により含有してもよい。
【0108】
これらの免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、それらが全身に送達されることが望ましい場合には、注射、例えば、ボーラス注射、または連続注入による非経口投与のために製剤化することができる。注射のための製剤は、単位投与剤型として、例えば、アンプル中で提示しても、または複数用量容器中に、保存剤を添加して提示してもよい。これらの組成物は、懸濁剤、液剤、または油性もしくは水性のビヒクル中の乳剤等の剤型をとることができ、懸濁化剤、安定化剤および/または分散化剤等の製剤化のための薬剤を含有することができる。
【0109】
不活性な材料を用いて、この治療剤を希釈しても、またはその体積を増加させてもよい。これらの希釈剤は、炭水化物、とりわけ、マンニトール、a−ラクトース、無水ラクトース、セルロース、スクロース、改変デキストランおよび/またはデンプンを含むことができるであろう。また、特定の無機塩も、充填剤として使用することができ、それらは、トリリン酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび/または塩化ナトリウムを含む。いくつかの市販されている希釈剤は、Fast−Flo、Emdex、STA−Rx1500、EmcompressおよびAvicellである。
【0110】
この治療剤の水性環境中への溶解を補助するために、界面活性剤を湿潤剤として添加することができるであろう。界面活性剤は、アニオン性洗剤、例として、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、および/またはジオクチルソジウムスルホネートを含むことができる。カチオン性洗剤を使用することもでき、塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゾトニウムを含むことができるであろう。この製剤中に界面活性剤として含むことができるであろう見込みのある非イオン性の洗剤のリストは、ラウロマクロゴール400、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン水素添加ヒマシ油10、50および/または60、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルベート40、60、65および/または80、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロース、ならびにカルボキシメチルセルロースである。これらの界面活性剤は、これらの免疫賦活性オリゴヌクレオチドの製剤中に、単独でまたは異なる比の混合物として存在することができるであろう。
【0111】
非経口投与のための医薬製剤は、水溶性の形態のこれらの免疫賦活性オリゴヌクレオチドの水性液剤を含む。さらに、これらの免疫賦活性オリゴヌクレオチドの懸濁剤も、適切な油性注射用懸濁剤として調製することができる。適切な親油の溶媒またはビヒクルは、ゴマ油等の脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリド等の合成脂肪酸エステル、あるいはリポソームを含む。水性注射用懸濁剤は、懸濁剤の粘度を増加させる物質、例として、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランを含有することができる。また、この懸濁剤は、適切な安定化剤、またはこれらの免疫賦活性オリゴヌクレオチドの溶解性を増加させて、非常に濃縮された溶液の調製を可能にする薬剤を場合により含有してもよい。
【0112】
あるいは、これらの免疫賦活性オリゴヌクレオチドは、使用前に、適切なビヒクル、例えば、無菌の発熱性物質を含有しない水を用いて構成するための散剤の剤型をとることもできる。
【0113】
経口投与のためには、これらの化合物(すなわち、CpG免疫賦活性オリゴヌクレオチド、抗原および他の治療剤)を、これらの免疫賦活性オリゴヌクレオチドを当技術分野で周知の薬学的に許容できる担体と組み合わせることによって容易に製剤化することができる。そのような担体によって、本発明の免疫賦活性オリゴヌクレオチドを、錠剤、丸剤、糖衣錠剤、カプセル剤、液剤、ジェル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤等として製剤化して、治療する対象に経口摂取させることが可能になる。経口使用のための薬学的調製物を、固体の賦形剤として得ることができ、得られた混合物を粉砕し、所望により適切な補助剤を添加した後に、顆粒の混合物を加工処理して、錠剤または糖衣錠剤のコアを場合により得る。適切な賦形剤は、特に、充填剤、例として、ラクトース、スクロース、マンニトールもしくはソルビトールを含めた糖;例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース調製物、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)である。所望により、崩壊剤、例として、架橋結合したポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウム等のその塩を添加することもできる。また、場合により、これらの経口製剤は、食塩水、もしくは内部の酸性状態を中和するための緩衝液、すなわち、EDTA中に製剤化してもよく、またはいずれの担体もなしで投与してもよい。
【0114】
また、上記の薬剤または製剤の経口投与剤型も企図する。これらの薬剤または製剤は、化学的に改変することができ、その結果、これらの誘導体の経口送達が効能を示す。一般に、企図する化学的改変は、少なくとも1つの部分を、この薬剤または製剤自体につなげることであり、前記部分によって、(a)タンパク質分解の阻害;および(b)胃または腸からの血流中への取込みが可能となる。また、この薬剤もしくは製剤の全体的な安定性の増加、および体内における循環時間の増加も望まれる。そのような部分の例として、ポリエチレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールとのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、およびポリプロリンが挙げられる。AbuchowskiおよびDavis、1981、「Soluble Polymer−Enzyme Adducts」、Enzymes as Drugs、HocenbergおよびRoberts編、Wiley−Interscience、New York、N.Y.、pp.367〜383;Newmarkら、1982、J.Appl.Biochem.4:185〜189。使用することができるであろう他のポリマーは、ポリ−1,3−ジオキソランおよびポリ−1,3,6−チオキソカンである。ポリエチレングリコール部分が、上記で示した薬学的使用には好ましい。
【0115】
また、本発明の医薬組成物の鼻腔内送達も企図する。鼻腔内送達によって、この治療用製品を鼻に投与した直後に、本発明の医薬組成物の血流への通過が可能になり、この製品が肺中に堆積する必要はない。経鼻送達ための製剤は、デキストランまたはシクロデキストランを用いた製剤を含む。
【0116】
鼻腔内投与のために有用な装置は、計量用量型の噴霧器がつながっている小型の硬いボトルである。一実施形態では、本発明の医薬組成物の液剤を画定された容積のチャンバー中に引き出すことによって、計量された用量が送達され、このチャンバー中の液体を圧縮して、しぶきを形成することによってエアロゾル製剤をエアロゾル化する寸法の開口を、このチャンバーは有する。このチャンバーを圧縮して、本発明の医薬組成物を投与する。特定の実施形態では、このチャンバーには、ピストンが配置されている。そのような装置は市販されている。
【0117】
あるいは、このボトルを圧迫して、しぶきを形成することによってエアロゾル製剤をエアロゾル化する寸法の開口または開口部を有するプラスチック製のスクイズボトル。この開口部は通常、このボトルの上部に見出され、この上部は一般に、このエアロゾル製剤を効率的に投与するために、先細になって、経鼻経路中に部分的にははまる。好ましくは、この薬物の測定された用量を投与するために、この経鼻吸入器は、計量された量のエアロゾル製剤を提供する。
【0118】
経頬投与のためには、これらの組成物は、従来の様式で製剤化した錠剤またはロゼンジの剤型をとることができる。
【0119】
また、これらの化合物は、直腸用または膣用の組成物、例として、坐剤または滞留浣腸剤として製剤化することもでき、これらの組成物は、例えば、カカオバター等の従来の坐剤用基剤または他のグリセリドを含有する。
【0120】
これまでに記載した製剤に加えて、また、これらの化合物は、デポー調製物としても製剤化することができる。そのような長時間作用型製剤は、適切なポリマー性もしくは疎水性の材料(例えば、許容できる油中の乳剤として)またはイオン交換樹脂を用いてか、あるいは難溶性誘導体、例えば、難溶性塩として製剤化することができる。
【0121】
また、これらの医薬組成物は、適切な固相またはゲル相の担体または賦形剤も含むことができる。そのような担体または賦形剤の例として、これらに限定されないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリエチレングリコール等のポリマーが挙げられる。
【0122】
適切な液体または固体の薬学的調製物の剤型には、例えば、吸入のための水性液剤もしくは生理食塩水、マイクロカプセル化したもの、渦巻き形のもの、微小金粒子上に被覆したもの、リポソーム中に含有させたもの、ネブライザーとしたもの、エアロゾル、皮膚内への埋込みのためのペレット、または皮膚内に擦り付けるために鋭利な物体上に乾燥させたものがある。また、これらの医薬組成物は、顆粒剤、散剤、錠剤、被覆錠剤、(マイクロ)カプセル剤、坐剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、クリーム剤、ドロップ剤、または活性化合物の持続性の放出を示す調製物も含み、それらの調製物中では、賦形剤ならびに添加剤および/または補助剤、例として、崩壊剤、結合剤、被覆剤、膨張剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、甘味剤または可溶化剤を、上記の記載に従って習慣的に使用する。これらの医薬組成物は、多様な薬物送達系中で使用するのに適している。薬物送達のための方法の短い総説としては、Langer、Science 249:1527〜1533、1990を参照されたい。
【0123】
これらのCpG免疫賦活性オリゴヌクレオチド、ならびに場合により他の治療剤および/または抗原を、それら自体(そのまま)でまたは薬学的に許容できる塩の形態をとって投与することができる。医薬中で使用する場合、これらの塩は、薬学的に許容できるべきであるが、薬学的に許容できない塩を好都合に使用して、それらの薬学的に許容できる塩を調製することができる。そのような塩として、これらに限定されないが、以下の酸から調製されたものが挙げられる:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレン−2−スルホン酸およびベンゼンスルホン酸。また、そのような塩を、アルカリ金属またはアルカリ土類の塩、例として、カルボン酸基のナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩として調製することができる。
【0124】
適切な緩衝剤は、酢酸および塩(1〜2%w/v);クエン酸および塩(1〜3%w/v);ホウ酸および塩(0.5〜2.5%w/v);ならびにリン酸および塩(0.8〜2%w/v)を含む。適切な保存剤は、塩化ベンザルコニウム(0.003〜0.03%w/v);クロロブタノール(0.3〜0.9%w/v);パラベン(0.01〜0.25%w/v)、およびチメロサール(0.004〜0.02%w/v)を含む。
【0125】
本発明の医薬組成物は、有効量のCpG免疫賦活性オリゴヌクレオチドならびに場合により抗原および/または他の治療剤を含有し、これらは、薬学的に許容できる担体中に場合により含まれる。薬学的に許容できる担体という用語は、1つまたは複数の適合性の固体または液体の充填剤、希釈剤または被包物質を意味し、これらの担体は、ヒトまたは他の脊椎動物への投与に適している。担体という用語は、天然または合成の有機または無機の成分を意味し、こうした担体と、この活性成分を組み合わせて、適用を促進する。また、これらの医薬組成物の構成成分は、本発明の化合物とも、相互にも、所望の薬学的効率を実質的に損なう相互作用がないように混合することもできる。
【0126】
本発明を、以下の実施例によってさらに例示するが、これらの実施例を、さらに限定するものであるといかなる場合も解釈してはならない。本出願全体を通して引用する(参照文献、発行済み特許、公開特許出願、および同時係属中の特許出願を含めた)参照の全ての全内容が、参照によりそれらの全体として本明細書に明確に組み込まれている。
【実施例】
【0127】
(実施例1)
B型肝炎表面抗原(HBsAg)または卵白アルブミン(OVA)をモデル抗原として使用して、筋肉内(IM)免疫化した場合の、マウスにおける抗原特異的免疫応答を増大させる能力について、免疫賦活性オリゴヌクレオチドCPG24555を、オリゴヌクレオチドCPG10103およびCPG7909と比較した。
【0128】
方法および材料
全てのODNを、凍結乾燥オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)から調製した。手短に述べると、微生物および内毒素の両方による汚染を阻止するために無菌条件下で、ODNを、内毒素を含有しないTris−EDTA緩衝液、pH8.0(OmniPur(登録商標);EM Science、Gibbstown、NJ)中に溶解させ、無菌の内毒素を含有しないリン酸緩衝溶液(PBS)、pH7.2(Sigma Chemical Company、St.Louis、MO)中に希釈した。保存液を、使用まで4℃で保管した。
【0129】
雌の野生型BALB/cマウスおよびC57Bl/6マウスを、Charles River Canada (Quebec、カナダ)から購入した。C57バックグラウンドにおけるTLR9欠損マウスを、Taconic Farmsで繁殖させ、研究のためにColey Animal Care Facilityに移動させた。マウスを、Coley Pharmaceutical Group CanadaのAnimal Care Facility中のマイクロアイソレーターケージ中で飼育した。Association for assessment and accreditation of laboratory animal care(AAALAC International)およびCanadian Council on Animal Careの助言の下、Animal Care Committee of Coley Canadaに従って、全ての研究を実施した。動物の体重は、研究開始時にはおよそ18〜20gであった。
【0130】
マウスの免疫化
B型肝炎表面抗原(HBsAg)
BALB/cマウス(n=10/群)を、左脛骨前側筋肉において、1μgのHBsAg;サブタイプad(Cliniqa、4076)を用いて、単独でまたは10μgのCPG24555、CPG10103もしくはCPG7909と組み合わせて、全量50μlとして筋肉内(IM)免疫化した。予備刺激の2週間後に、動物を、下顎下静脈を介して、ヘパリンを抗凝血薬として使用して出血させ、一次免疫化のために使用したのと同じワクチン製剤を使用して追加免疫した。追加免疫の2週間後に、動物を、心臓の穿刺により、ヘパリンを抗凝血薬として使用して出血させ、頚椎脱臼により安楽死させ、脾臓を無菌的に取り出して、抗原特異的CTL活性、IFN−γ分泌(培養物上清)、ならびに複数サイトカイン(IFN−γ、TNF−αおよびIL−2)分泌型のCD4T細胞対CD8T細胞を検出するための免疫アッセイにおいて使用した。各出血時点から得た血漿を使用して、抗原特異的な全IgGならびにIgGアイソタイプIgG1およびIgG2aを検出した。
【0131】
ニワトリ卵白アルブミン(OVA)
C57Bl/6野生型マウスおよびTLR9欠損(C57Bl/6 TLR9−/−)マウス(n=10/群)を、左脛骨前側筋肉において、20μgのOVAグレードVII(Sigma、A7641)を用いて、単独でまたは10μgのCPG24555、CPG10103、CPG7909もしくは非CpG対照ODN2137と組み合わせて、全量50μlとして筋肉内l(IM)免疫化した。一次免疫化の14および21日後に、動物を、一次免疫化のために使用したのと同じワクチン製剤を使用して追加免疫した。最後の追加免疫の7日後に、動物を、心臓の穿刺により、ヘパリンを抗凝血薬として使用して出血させ、頚椎脱臼により安楽死させ、脾臓を無菌的に取り出して、抗原特異的CTL活性、IFN−γ分泌(培養物上清)、テトラマー陽性CD8T細胞、ならびに複数サイトカイン(IFN−γ、TNF−αおよびIL−2)分泌型のCD4T細胞対CD8T細胞を検出するための免疫アッセイにおいて使用した。血漿を使用して、抗原特異的な全IgGならびにIgGアイソタイプIgG1およびIgG2cを検出した。
【0132】
免疫アッセイ
抗原特異的抗体力価の決定
HBsAg(抗HBs)または卵白アルブミン(抗OVA)に対して特異的な抗体(全IgG、IgG1およびIgG2a/c)を、検出し、エンドポイント希釈ELISAアッセイにより定量化し、このアッセイは、個々の動物由来の試料に対して三つ組みで実施した。エンドポイント力価を、カットオフ値を0.05とし、非免疫血漿の吸光度値よりも2倍高い吸光度値(OD450nm)を生じる最も高い血漿の希釈度と定義した。これらを、群の幾何平均力価(GMT)±SEMとして報告した。
【0133】
CTL応答の評価
最後の免疫化の1週間後(OVAの場合)または2週間後(HBsAgの場合)に取り出した脾臓を使用して、抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の応答をアッセイした。脾臓をホモジナイズして、10%ウシ胎仔血清(Hyclone、Logan、UT)、ペニシリン−ストレプトマイシン溶液(それぞれ、1000U/mlおよび1mg/mlの最終濃度;Invitrogen、Burlington、ON)、L−グルタミン(2mMの最終濃度;Invitrogen、Burlington、ON)および5×10−5M β−メルカプトエタノール(Invitrogen、Burlington、ON)を補ったRPMI1640(Hyclone、Logan、UT)組織培養培地中の単一細胞懸濁液とした。脾細胞懸濁液(3×10細胞/ml)中のHBsAg特異的リンパ球を、HBsAgを発現する照射したマウス細胞系(P815/S)と共にインキュベートすることによって5日間再賦活し、脾細胞懸濁液(3×10細胞/ml)中のOVA特異的リンパ球を、OVAを発現する照射したマウス細胞系(EG.7)と共に5日間インキュベートすることによって再賦活した。再賦活に続き、HBsAgまたはOVAを発現する、細胞を死滅させるリンパ球の可能性を、51Cr放出アッセイを使用することによって決定した。これらの結果を、異なるエフェクターの標的に対する比(E:T)における特異的溶解の%として提示する。
【0134】
脾細胞による抗原特異的IFN−γ分泌の評価
最後の免疫化の1週間後(OVAの場合)または2週間後(HBsAgの場合)に得られた脾細胞を使用して、抗原による再賦活に続くIFN−γ分泌を測定した。手短に述べると、脾臓細胞懸濁液を、CTLアッセイのために行ったのと同様に調製し、調節して、2%正常マウス血清(Cedarlane Laboratories、Ontario、カナダ)、ペニシリン−ストレプトマイシン溶液(それぞれ、1000U/mlおよび1mg/mlの最終濃度;Invitrogen、Burlington、ON)、L−グルタミン(2mMの最終濃度;Invitrogen、Burlington、ON)および5×10−5M β−メルカプトエタノール(Invitrogen、Burlington、ON)を補ったRPMI1640(Hyclone、Logan、UT)組織培養培地[完全RPMI1640]中に、1ml当たり5×10細胞の最終濃度とした。脾細胞懸濁液を、96ウェルのU底組織培養プレート(100μl/ウェル)上に、完全RPMI1640中で適切な濃度まで希釈した100μlの各賦活剤(該当する図の凡例上に記載)と一緒に蒔いた。コンカナバリンA(10μg/ml、Sigma)を、陽性の対照として使用し、培地を単独で用いて培養した細胞を、陰性の対照として使用した。各脾細胞試料をトリプリケートで播種し、これらの細胞を、加湿した5%COインキュベーター中、37℃で72時間インキュベートした。培養物上清を、インキュベーション期間の終わりに収集し、アッセイまで−80℃で保管した。市販されているアッセイキット(mouse IFN−γ OptEIA;BD Pharmingen、Mississauga、ON)を、製造元の指示に従って使用して、培養物上清中のIFN−γレベルをアッセイした。
【0135】
OVAテトラマー陽性CD8集団の定量化
また、上記の記載に従って得た脾細胞懸濁液を使用して、OVAテトラマー陽性CD8集団もFACSにより定量化した。個々の脾臓から得た脾細胞(2×10)を、500μlの染色用緩衝液、すなわち、1%ウシ胎仔血清(Hyclone、Logan、UT)および0.1%アジ化ナトリウム(Sigma)を含有するDPBSを含有する12×75mm試験管に移した。細胞を、1200rpmで5分間遠心分離し、上清を除去した。細胞を抗マウスCD16/CD32(Fc block)(BD Pharmingen)と共に4℃で10分間インキュベートすることによって、Fc受容体を遮断した。細胞を、染色用緩衝液を用いて洗浄し、クラス1OVA特異的(SIINFEKL)テトラマー(Beckman Coulter)を使用して4℃で20分間染色した。次いで、細胞を、染色用緩衝液を用いて再度洗浄し、抗マウスCD8a−FITC(BD Pharmingen)を用いて4℃で20分間染色した。細胞を、染色用緩衝液を用いて洗浄し、500μlの染色用緩衝液中に再懸濁し、FC500フローサイトメーター(Beckman coulter)を使用して解析した。OVA特異的CD8T細胞を、CD8aおよびテトラマーの両方について陽性である細胞として同定した。データを、CD8およびテトラマーに陽性の細胞の%として表す。
【0136】
抗原特異的複数サイトカイン分泌型T細胞集団の定量化
各群についてプールした脾細胞懸濁液を、24ウェル組織培養プレート中、2%正常マウス血清(Cedarlane Laboratories、Ontario、カナダ)、ペニシリン−ストレプトマイシン溶液(それぞれ1000U/mlおよび1mg/mlの最終濃度;Invitrogen、Burlington、ON)、L−グルタミン(2mMの最終濃度;Invitrogen、Burlington、ON)および5×10−5M β−メルカプトエタノール(Invitrogen、Burlington、ON)を補ったRPMI1640(Hyclone、Logan、UT)組織培養培地中で再賦活した。
【0137】
CD4の再賦活の場合:5×10細胞を、5μg/mlのHBsAgを含有する1mlの最終容量中で一晩賦活した。
【0138】
CD8の再賦活の場合;5×10細胞を、5μg/mlのHBsペプチド(IPQSLDSWWTSL)を含有する1mlの最終容量中で5時間賦活した。
【0139】
賦活剤を含有しない培地を、陰性の対照として使用し、一方、10ng/mlのPMA(Sigma)および1μg/mlイオノマイシン(Sigma)[インキュベーションの最後の4時間の間に添加した]を、陽性の対照として使用した。さらに、再賦活の最後の4時間の間に、Brefelden A(BD Pharmingen)およびモネンシン(BD Pharmingen)も添加して、タンパク質輸送を停止させた。
【0140】
再賦活に続き、細胞を、染色用緩衝液を用いて洗浄し、細胞を抗マウスCD16/CD32(Fc block)(BD Pharmingen)と共に4℃で10分間インキュベートすることによって、Fc受容体を遮断した。次いで、細胞を、遠心分離し、抗マウスCD4−ECD(Invitrogen)または抗マウスCD8−ECD(Invitrogen)のいずれかを5μg/ml含有する染色用緩衝液中に再懸濁し、4℃で30分間インキュベートした。細胞を、染色用緩衝液を用いて洗浄し、BD Fix/Perm Solution(BD Pharmingen)中に4℃で20分間再懸濁した。細胞を、BD Perm Wash solution(BD Pharmingen)を用いて再度洗浄し、IL−2−FITC(BD Pharmingen)、TNF−APC(BD Pharmingen)およびIFN−γ−PeCy7(BD Pharmingen)のそれぞれを5μg/ml含有する1×BD Perm Wash solution(BD Pharmingen)中に再懸濁し、遮光して室温で20分間インキュベートした。細胞を、1×BD Perm Wash solution(BD Pharmingen)を用いて洗浄し、通常の染色用緩衝液中に再懸濁し、FC500フローサイトメーター(Beckman Coulter)を使用して解析した。
【0141】
結果
液性免疫応答
試験した3つのCpG ODN(CPG24555、10103および7909)は全て、野生型マウスにおいて、HBsAgおよびOVAに特異的な全IgG力価を有意に増強した(P<0.05)。これら3つのCpG ODNの間には、マウスにおいて、HBsAgまたはOVAに特異的な全IgGを増大させるそれらの能力の観点からは、有意な差はなかった(図1)。
【0142】
TLR9欠損動物において、抗体価を増大させる、CPG24555、CPG10103およびCPG7909の能力を、OVAを使用して試験した。ワクチン接種投与計画のうちのいずれかを用いた追加免疫の1週間後に検出された全体的な抗体力価は、100未満であり、これらのCpG ODNのうちのいずれもが、ワクチンを単独でまたは非CpG ODN2137と組み合わせて使用した場合と比較して、OVAに対する抗体力価を有意に増大させることはできなかった(データ示さず)。
【0143】
マウスにおいては、IgGアイソタイプの分布が、免疫応答性の指標として広く使用され、高いIgG2aまたはIgG2cのレベルは、Th1に偏った免疫応答の指標であり、一方、高いIgG1力価は、Th2に偏った免疫応答の指標である。3つのCpG ODNの全てが、強力なTh1に偏った免疫応答を誘発するのを支援し、IgG2a/IgG1の比およびIgG2c/IgG1の比は、>1であり(図1)、IgG2a/c力価を、抗原を単独で使用した場合と比較して有意に増強した(P<0.05)(図2)。
【0144】
細胞性免疫応答:CTL応答
Th1に偏った応答を測定する機能的な方法は、抗原提示標的細胞に対するCTL活性を測定することである。図3に見られるように、試験したCpG ODNは全て、マウスにおいては、OVAに対する抗原特異的CTL応答を、抗原を単独でまたは非CPG ODN2137と組み合わせて使用した場合と比較して、有意に増強することができた(P<0.05;図3、右のパネル)。試験したこれらのCpG ODN間で、OVA特異的CTLの誘発を促す点では、6.25:1のE:T比において、CPG24555群およびCPG7909群の両方が、CPG10103投与群よりも有意に高いOVA特異的CTLを示したこと以外は、有意な差はなかった。
【0145】
HBsAgの場合、抗原を単独で使用した場合と比較して、CPG24555およびCPG10103は共に、有意に高い抗原特異的CTL応答を誘発することができたが、CPG7909はできなかった。(P<0.05;図3、左のパネル)。CPG24555とCPG10103との間には、マウスにおいてHBsAg特異的CTL応答の誘発を促すそれらの能力に有意な差はなかった。
【0146】
CpG ODNが媒介した、CTL応答の増大は、TLR9欠損マウスにおいては観察されなかった(図4)。
【0147】
抗原特異的CD8T細胞
MHCクラスI H−2Kb−SIINFEKL特異的テトラマーを使用して、OVAを用いて免疫化したマウスにおけるCD8T細胞応答を定量化した。試験したCpG ODNは全て、OVAを単独でまたは非CpG対照ODN2137と組み合わせて使用した場合と比較して、抗原特異的CD8T細胞を増強した(図5)。CPG7909は、CPG24555およびCPG10103よりも、OVA特異的CD8T細胞の誘発を促す点では優れていた(P<0.05)。CPG24555とCPG10103との間には、OVA特異的CD8T細胞を誘発するそれらの能力に有意な差はなかった(P>0.05)。
【0148】
CPGが媒介した、OVA特異的CD8T細胞の増大は、TLR9欠損マウスにおいては観察されなかった(図5)。
【0149】
抗原特異的IFN−γの分泌
また、細胞性免疫の尺度としての、抗原による賦活に応答したインターフェロンガンマ(IFN−γ)の産生も、ワクチン接種した抗原により再賦活した脾細胞の培養物上清中のサイトカインを、酵素イムノアッセイを使用して検出することによって検討した。HBsAgまたはOVAのいずれかを用いて、CPG24555またはCPG10103を使用して免疫化した動物から収集した脾細胞の培養物上清は、抗原を単独で用いて免疫化したものと比較して有意に高いレベルのIFN−γを示した。HBsAgと共に使用した場合、CPG24555は、CPG10103またはCPG7909と比較して、特異的IFN−γの分泌を促す点では有意に良好であった(図6;左のパネル)。OVAと共に使用した場合、抗原特異的IFN−γの分泌を促す点では、CPG24555は、CPG10103と同等であったが、CPG7909より優れていた(図6;右のパネル)。
【0150】
CpG ODNが媒介した、抗原特異的IFN−γの分泌の増大は、TLR9欠損動物においては観察されなかった(図7)。
【0151】
抗原特異的複数サイトカイン分泌型T細胞集団
より最近の知見によれば、T細胞によるIFN−γの産生からだけでは、抗原特異的T細胞の防御免疫応答を誘発する能力は予測されない。したがって、この研究では、我々は、抗原特異的なCD4T細胞およびCD8T細胞の、IL−2、TNF−αおよびIFN−γを産生する能力を、多染色性フローサイトメトリーを使用して評価した。
【0152】
CD4T細胞およびCD8T細胞の両方に関しては、IFN−γおよびTNF−αの分泌と比較して、比較的低いレベルのIL−2の分泌が見られた(図8)。CD4T細胞に関しては、CPG24555は、CPG10103およびCPG7909と比較して、より高いパーセントの二重サイトカイン分泌型T細胞を誘発するのを支援した(CPG24555の場合、23%、一方、CPG10103およびCPG7909の場合、それぞれ4および6%)。全体的には、非常に低いパーセントの三重サイトカイン産生型HBsAg特異的CD4T細胞が観察された(CPG24555、CPG10103およびCPG7909の場合、それぞれ2、0および1%)(図8A)。
【0153】
CD8T細胞に関しては、CPG24555およびCPG7909の両方が、CPG10103と比較して、高いレベルの二重サイトカイン分泌型T細胞を誘発するのを支援した(CPG24555およびCPG7909の場合、それぞれ48および56%、一方、CPG10103の場合、わずか19%)。CD4細胞と同様に、非常に低いパーセントの三重サイトカイン産生型HBsAg特異的CD8+T細胞が観察された(CPG24555、CPG10103およびCPG7909の場合、それぞれの1、0および0%)(図8B)。
【0154】
【表1】
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【0155】
【表2】
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【0156】
考察
CPG24555を、マウスにおいて、2つのモデル抗原、すなわち、HBsAgおよびOVAを使用した場合、抗原特異的免疫応答を増大させるその能力について、CPG10103およびCPG7909と比較するように研究を設計した。CPG24555では、最も3’側のCGジヌクレオチドが反転しており、その結果、CPG24555中ではCpGモチーフが排除されていること以外は、CPG24555とCPG10103とは、同一のヌクレオチド配列を有する。CPG7909は、ヒト臨床治験において、いくつかのワクチン抗原を用いて、アジュバント活性を示すことが証明されているBクラスのCpG ODNである。
【0157】
CPG24555中の3’CpGモチーフを排除しても、抗原特異的免疫応答を増大させるその能力に対する負の影響はなく、CPG10103と比較した場合、適応免疫応答の同等(抗体の応答、およびテトラマー染色により測定した抗原特異的CD8T細胞)またはより良好な(抗原特異的IFN−γの分泌)増大が示された。同様に、CPG24555は、抗原特異的抗体の応答およびCTL応答を増大させる点では、CPG7909と同等でもあった。CPG24555は、抗原特異的IFN−gの分泌を促す点では、CPG7909より優れていた。
【0158】
TLR9欠損マウスにおいては、適応免疫応答の増大が見られなかったことから、試験した3つのCpG ODNに関しては全て、適応免疫応答の増大は、TLR9依存性であった。
【0159】
表1に示すように、より高い比率の、IFN−γを産生する抗原特異的CD4+T細胞が、CPG24555を用いて得られた。また、より高い比率の、IFN−γ、TNF−αおよびIL−2のうちの少なくとも2つのサイトカインを産生する多機能性抗原特異的CD4+T細胞(すなわち、IFN−γおよびTNF−αの両方、IFN−γおよびIL−2の両方もしくはTNF−αおよびIL−2の両方を産生する細胞、またはIFN−γ、TNF−αおよびIL−2を分泌する三重産生細胞さえ)も得られた。
【0160】
CD8+T細胞に関しては(表2)、より高い比率の、2つのサイトカイン、特に、IFN−γおよびTNF−α、IFN−γおよびIL−2の両方を産生する多機能性抗原特異的CD8+T細胞が得られた。
【0161】
総合すると、これらの結果から、CPG24555は、CPG10103よりも、アジュバントとして使用した場合、多機能性抗原特異的T細胞集団の生成について良好であることが示されている。このことは、多機能性T細胞として、特に、ケモカイン産生(IFN−γ、TNF−αおよびIL−2等)の観点から重要であり得、多機能性T細胞は、単一のサイトカインを分泌するT細胞と比較して、より良好なエフェクター細胞であると考えられている。
【0162】
(実施例2)
CPG24555とCPG10103との比較
試験したODNのヌクレオチド配列
CPG ODN10103
5’TT3’(配列番号2)
CPG ODN24555
5’TT3’(配列番号1)
非CpG ODN22881
5’TT3’(配列番号4)
非CpG ODN2137
5’TT3’(配列番号5)
は、ホスホロチオエート連結(PS)を示す
これらの配列の下線を引いた部分は、CPG ODN10103とCPG ODN24555との間の差を示す。
ヒトの最適CpGモチーフ:GTCGTT
【0163】
ヒトPBMCにおける自然免疫
ヒトPBMC(5×10/ml)を、各種の濃度のCPG10103、CPG24555または非CpG対照ODN22881と共に、24または48時間インキュベートした。細胞上清を収集し、サイトカイン/ケモカインの分泌について、市販のELISAキットを使用してアッセイした(図9Aおよび図9B)。
【0164】
BALB/cマウスのin vivoにおける自然免疫
BALB/cマウス(n=5/群)に、PBS(プラセボ対照)、CPG24555、CPG10103または非CpG対照ODN2137を100μgの用量レベルで皮下注射した。動物を、注射の3時間後に出血させ、IP−10(図10A)およびIL−12(図10B)またはIL−6(図10C)について、市販のELISAを使用して、血漿をアッセイした。示した結果は、群の平均±平均の標準誤差である(NS=有意ではない)。
【0165】
BALB/cマウスのin vivoにおける液性免疫
BALB/cマウスに、HBsAg(1μg)を、10μgのCPG2455、CPG10103または非CpG対照ODN2137と併用してまたは併用せずに筋肉内注射した。マウスには、第0および14日に注射した。示した結果は、追加免疫の2週間後にエンドポイントELISAにより測定したHBsAgに特異的な全IgG力価である(図11A)。
【0166】
C57bl/6マウスに、OVA(20μg)を、10μgのCPG ODN2455、CPG10103または非CpG対照ODN2137と併用してまたは併用せずに筋肉内注射した。マウスには、第0、7および21日に注射した。示した結果は、追加免疫の1週間後のOVAに特異的な全IgG力価である(図11B)。
【0167】
BALB/cマウスに、インフルエンザA型HA、Texas1/77、H3N2由来(1μg)±ミョウバン(25μgのAl3+)を、10μgのCPG ODN2455、CPG10103または非CpG対照ODN2137と併用してまたは併用せずに筋肉内注射した。示した結果は、免疫化後の種々の時間にエンドポイントELISAにより測定したHAに特異的な全IgGの動態である(図11C)。
【0168】
BALB/cマウスにおけるT細胞応答
BALB/cマウスに、HBsAg(1μg)を、10μgのCPG ODN2455、CPG10103または非CpG対照ODN2137と併用してまたは併用せずに筋肉内注射した。マウスには、第0および14日に注射した。示した結果は、追加免疫の2週間後に51Crの放出により測定したHBsAgに特異的なCTLである(図12A)。
【0169】
C57bl/6マウスに、OVA(20μg)を、10μgのCPG ODN2455、CPG10103または非CpG対照ODN2137と併用してまたは併用せずに筋肉内注射した。マウスには、第0、7および21日に注射した。示した結果は、追加免疫の1週間後に51Crの放出により測定したOVAに特異的なCTLである(図12B)。
【0170】
BALB/cマウスに、HBsAg(1μg)を、10μgのCPG ODN2455、CPG10103または非CpG対照ODN2137と併用してまたは併用せずに筋肉内注射した。マウスには、第0および14日に注射した。最後の追加免疫の2週間後に得られた脾細胞を、それぞれの抗原と共に72時間インキュベートし、培養物上清を、IFN−γについてELISAにより試験した(図13A)。
【0171】
C57bl/6マウスに、OVA(20μg)を、10μgのCPG ODN2455、CPG10103または非CpG対照ODN2137と併用してまたは併用せずに筋肉内注射した。マウスには、第0、7および21日に注射した。最後の追加免疫の1週間後に得られた脾細胞を、それぞれの抗原と共に72時間インキュベートし、培養物上清を、IFN−γについてELISAにより試験した(図13B)。
【0172】
結果および考察
CPG10103中に存在する最も3’側のCGジヌクレオチドが、CPG24555中ではGCに反転し、その結果、CPG24555中ではCpGモチーフが排除されていること以外は、CPG10103とCPG24555とは、同一のヌクレオチド配列を有する。以前の報告に基づくと、隣接配列、モチーフの場所および間隔が同じであれば、CPGモチーフの数が増加すると、免疫賦活の増強がもたらされるべきである。以前の知識に基づいて、CPG24555は、CPG10103よりも、免疫賦活性が低く、ワクチンのアジュバントとしての有効性が低いであろうことが予想された。しかし、上記の結果から、CPG24555は、CPG10103と比較して、類似のまたはより高い免疫賦活性およびアジュバント活性を有する可能性があることが実証されている。
【0173】
(実施例3)
BALB/Cマウスにおける、インフルエンザ赤血球凝集素抗原(HA)に対するワクチンのアジュバントとしてのCPG10103、CPG24555およびCPG7909の比較
方法および材料
雌のBALB/cマウス(10/gp)を、インフルエンザA型赤血球凝集素抗原(HA)、Texas1/77、H3N2由来(1μg)±CpGまたは対照ODN(10mg)±ミョウバン(25mgのAl3+)を、全量50μlとして左脛骨前側(TA)筋肉中への筋肉内(IM)注射により免疫化した。マウスを、免疫化後の異なる時期に出血させて、HAに特異的な抗体応答を評価した。各群の半数の動物を、免疫化の6週間後に安楽死させて、細胞媒介型の免疫応答を評価した(CTL、HA特異的IFN−g分泌、およびT細胞サイトカイン分泌のフローサイトメトリーによる解析)。
【0174】
【表3】
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【0175】
結果および考察
免疫化の6週間後の抗HA
免疫化の6週間後に、抗HAの量を測定した。CPG24555は、CPG10103およびCPG7909より、HAに特異的なIgGを増大させる点では優れていた(図14)。
【0176】
免疫化の4週間後の赤血球凝集阻害(HIA)力価
抗体の機能を、赤血球凝集阻害アッセイ(HIA)を使用して評価した。CPG24555は、アジュバントとして単独で使用した場合、HIA力価を増大させる点では、CPG10103より優れ(p=0.009)、CPG7909とは同等であった(p=0.1)(図15)。試験した3つのCpG ODNは全て、ミョウバンと組み合わせて使用した場合、HIA力価を増大させる点では同等であった。
【0177】
HAに特異的なIFNγの分泌
IFNγの分泌濃度を測定した。CPG24555は、アジュバントとして単独で使用した場合、HAに特異的なIFN−γの分泌(細胞媒介型免疫のマーカー)を増大させる点では、CPG10103より優れていた(図16)。CPG24555は、ミョウバンと組み合わせて使用した場合、HA−特異的IFN−γ分泌を増大させる点では、CPG10103およびCPG7909より優れていた(図16)。
【0178】
(実施例4)
カニクイザルにおける、B型肝炎表面抗原(HBsAg)に対するワクチンのアジュバントとしてのCPG24555とCPG7909との比較
材料および方法
カニクイザル(3〜5歳齢;2.5〜5.5kg;n=5/gp;ただし、HBsAg+IMX群ではn=4)を、
1)Engerix−B(小児用量;10mgのHBsAg)
2)Engerix−B+CPG7909(0.5mg)
3)Engerix−B+CPG24555(0.5mg)
を用いて筋肉内免疫化した(0.6mlの右四頭筋内へのIM注射)。
【0179】
動物に、免疫処置を、3回、すなわち、第0週(予備刺激)、第4週(追加免疫1)および第8週(追加免疫2)に施した。これらの動物を、予備刺激前、予備刺激の4週間後(第4週)、追加免疫1の2週間後(第6週)、追加免疫1の4週間後(第8週)、および追加免疫2の2週間後(第10週)に出血させた。
【0180】
HBsAg特異的免疫アッセイを、以下に従って実施した。
1)抗体力価およびアビディティー
2)細胞内サイトカイン分泌(IL−2、IFN−γ、TNF−α)
3)多機能性T細胞
4)ELISPOTアッセイ:IL2、TNF−α、IFN−γ、パーフォリン
【0181】
結果および考察
液性応答
この研究では、動物が以前にB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus)に曝露された可能性があることが、ワクチン接種前に検出された高いレベルのHBsAg特異的抗体力価により明らかであった。さらに、1匹の動物は、輸送中に、血清学検査によりHBV陽性を示し、このことから、HBVに曝露された可能性が示唆された。しかし、この研究に使用した動物は全て、PCR試験により、HBV陰性であった。抗HBsAg力価が、各追加免疫に伴って増加した。Engerix−BにCpGを追加すると、Engerix−Bを単独で使用した場合と比較して、HBsAgに特異的な抗体力価が増強された(図17)。さらに、CpGの追加は、Engerix−Bを単独で使用した場合と比較して、抗体のアビディティーも増強した(図18)。CPG24555は、抗体力価およびアビディティーの両方を増強させる点では、CPG7909と同等であった。
【0182】
T細胞応答:CD4T細胞による細胞内サイトカインの分泌
Engerix−BにCpGを追加すると、CD4T細胞が、IL−2ではなく、IFN−γおよびTNF−αの分泌を媒介する頻度が増加する傾向が示された(図19A、BおよびC)。全体的には、CPG24555は、CD4媒介型サイトカインの誘発については、CPG7909と同等またはそれよりも良好であった。
【0183】
T細胞応答:多機能性CD4T細胞;定量分析
1つ、2つまたは3つのサイトカインを分泌する細胞数を、第10週(追加免疫2の2週間後)に測定した。CPG24555は、1つのサイトカインを分泌するEngerix−B特異的CD4T細胞を誘発する点では、CPG7909と同等であった。全体的には、比較的低いレベルの三重サイトカイン産生CD4T細胞が検出された。しかし、CPG24555は、CPG7909または、Engerix−B単独よりも、より高い三重サイトカイン産生CD4T細胞を誘発した(図20A)。さらに、Engerix−B+CPG24555を用いて免疫化した動物は、Engerix−B単独またはEngerix−B+CPG7909を用いて免疫化した動物と比較して、より高い比率の、三重サイトカイン産生T細胞を有した(図20B)。
【0184】
T細胞応答:多機能性CD4T細胞;定性分析
IL−2、IFN−γおよびTNFα、またはこれらのサイトカインの組合せを分泌する細胞数を測定した。CPG24555は、多機能性T細胞を誘発する点では、CPG7909と同等またはそれよりも良好であった(図21Aおよび図21B)。
【0185】
T細胞応答:CD4T細胞の多機能性
三重サイトカイン産生CD4T細胞の比率を、追加免疫2の2週間後に測定した。CPG24555を用いた場合には、CPG7909を用いた場合よりも高い比率の、三重サイトカイン産生CD4T細胞が観察された。
【0186】
結論
これらのデータに基づくと、CPG24555中の3’CpGモチーフの排除は、抗原特異的免疫応答を増大させるその能力に対して、全く負の影響を及ぼさず、CPG10103およびCPG7909と比較して、同等またはより良好な適応免疫応答の増大を示した。また、マウスにおいて、複数の抗原に関して見られたCPG24555のアジュバント活性は、形を変えて、非ヒト霊長類においても、カニクイザルのB型肝炎表面抗原に関するCPG24555の、CPG7909と同等(液性免疫)またはそれより優れた(Ag特異的多機能性T細胞の)アジュバント活性となって現れた。
【0187】
当業者であれば、日常的な実験を使用するだけで、本明細書に記載する本発明の特定の実施形態の多くの均等物を認識するか、または究明することができるであろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されるものとする。
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2012−511321(P2012−511321A)
【公表日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−540283(P2011−540283)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【国際出願番号】PCT/IB2009/055444
【国際公開番号】WO2010/067262
【国際公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(508147669)コーリー ファーマシューティカル グループ,インコーポレイテッド (24)
【Fターム(参考)】