説明

免震構造体用ゴム組成物

【課題】高い弾性率と高い減衰特性とを両立する免震構造体用ゴム組成物を提供する。
【解決手段】ゴム成分中、1,4−トランス結合含有量が90%以上のポリブタジエンを2質量%以上且つ50質量%未満含むことを特徴とする免震構造体用ゴム組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁用及び建造物用として好適な免震構造体用ゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にゴム組成物の配合処方においては、カーボンブラック、オイル、樹脂などの配合部数を調整することにより弾性率、ヒステリシスロスなどの特性を制御している。
ところで、免震構造体用ゴム組成物、特に橋梁用免震構造体用ゴム組成物においては高い弾性率と高い減衰特性の両方が要求されるため、カーボンブラックの増量やオイルの減量という手法では限界があった。また、弾性率を高くするためにカーボンブラックを増量すると永久圧縮歪が大きくなるという欠点もあった。
これに対し、例えば、特許文献1においては、液状ポリイソプレンゴムを配合することにより高減衰特性を付与している。
また、特許文献2においては、特定のコロイダル特性を有するカーボンブラックを適用することにより高減衰免震ゴム組成物を得ている。
しかしながら、これらの手法でも、高い弾性率と高い減衰特性の両方を満足することには限界があり、新たな解決手段が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−324777号公報
【特許文献2】特開2001−164044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような状況下で、高い弾性率と高い減衰特性とを両立する免震構造体用ゴム組成物を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記目的を達成するために免震構造体用ゴム組成物の新たな配合組成を鋭意研究した結果、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1)ゴム成分中、1,4−トランス結合含有量が90%以上のポリブタジエンを2質量%以上且つ50質量%未満含むことを特徴とする免震構造体用ゴム組成物、
(2)さらに、樹脂を含むことを特徴とする上記(1)に記載の免震構造体用ゴム組成物、及び
(3)前記樹脂が、ポリエステルポリオール樹脂、脂環式系石油樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族−芳香族共重合系樹脂、ロジン樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、及びこれらの樹脂の変性樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする上記(2)に記載の免震構造体用ゴム組成物である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、高い弾性率と高い減衰特性とを両立する免震構造体用ゴム組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ゴム組成物の剪断弾性係数測定用サンプルの構成を示す概略図であり、(A)はゴムシートを挟む状態を示し、(B)はゴムシートを接着した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の免震構造体用ゴム組成物は、ゴム成分中、1,4−トランス結合含有量が90%以上のポリブタジエン(以下、「高トランスポリブタジエン」ということがある。)を2質量%以上且つ50質量%未満含むことを特徴とする。2質量%未満では、高い弾性率と高い減衰特性との効果を得ることが困難であり、50質量%以上ではゴム組成物の破断特性が低下するからである。
なお、本発明において、1,4−トランス結合含有量は赤外分光分析によるモレロ法に従って測定される。
【0009】
本発明に用いられる1,4−トランス結合含有量が90%以上のポリブタジエンは従来から知られており、例えば、特開平9−241428には1,4−トランス結合含有量が92%、重量平均分子量が3.2×104の高トランスポリブタジエンの製造例及び1,4−トランス結合含有量が91%、重量平均分子量が14.8×104の高トランスポリブタジエンの製造例が開示されており、特開2002−69237には1,4−トランス結合含有量が92%、重量平均分子量が6.4×104の高トランスポリブタジエンの製造例が開示されている。
【0010】
本発明においては、上述の高トランスポリブタジエンに加えて、天然ゴム及び/又はジエン系合成ゴムがゴム成分として好適に用いられる。このジエン系合成ゴムとしては、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、上記以外のポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)等が挙げられる。なかでも、加硫ゴム組成物の力学特性、作業性の観点から、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム及び高トランスではないポリブタジエンゴム(例えば、1,4−シス結合含有量が高い、高シスBR)から1種以上選ばれるジエン系ゴムをゴム成分中に30質量%以上含むことが好ましく、50質量%を超えて含むことがさらに好ましい。
また、必要に応じ、ゴム成分として、エチレン−プロピレンゴム(EPR),フッ素ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等を用いても良い。
上述の高トランスポリブタジエン以外のゴム成分として、2種以上のゴムを用いても良い。
【0011】
本発明のゴム組成物には樹脂が含まれていることが好ましい。樹脂を配合することにより、減衰性をさらに高めることができる。樹脂としては、ポリエステルポリオール樹脂、脂環式系石油樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族−芳香族共重合系樹脂、ロジン樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、及びこれらの樹脂の変性樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0012】
上述の樹脂は合計で、前記ゴム成分100質量部当たり、5〜100質量部含有されていることが好ましく、5〜80質量部含有されていることがより好ましく、5〜60質量部含有されていることがさらに好ましい。5〜100質量部含有されていることで、作業性、力学物性を維持しながらマリンズ効果(繰り返し変形において弾性率が低下する現象)を低減できる。
【0013】
ポリエステルポリオール樹脂としては、日本ゼオン(株)製、商品名「ゼオファイン」が挙げられる。
脂環式系石油樹脂としては、シクロペンタジエン樹脂が挙げられ、特にジシクロペンタジエン樹脂が好適に挙げられる。ジシクロペンタジエン樹脂としては、日本ゼオン(株)製、商品名「クイントン 1325」、「クイントン 1700」、丸善石油化学(株)製、商品名「マルカレッツM M−890A」等が挙げられる。他の脂環式系石油樹脂としては、荒川化学工業(株)製、商品名「アルコン P−90」等が挙げられる。
【0014】
フェノール樹脂としては、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、例えば、荒川化学工業(株)製、商品名「タマノル 510」、住友ベークライト(株)製、商品名「スミライトレジン PR−19900」等が挙げられ、p−tert−ブチルフェノール・アセチレン樹脂、例えば、BASF社製、登録商標「コレシン」等が挙げられ、テルペン・フェノール樹脂、例えば、ヤスハラケミカル(株)製、商品名「YSポリスター」のUシリーズ、T−シリーズ、商品名「YSポリスター S145」、荒川化学工業(株)製、商品名「タマノル 803L」、「タマノル 901」等が挙げられる。
キシレン樹脂としては、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、例えば、リグナイト(株)製、商品名「リグノール R−70」等が挙げられる。
【0015】
脂肪族系石油樹脂としては、ナフサの熱分解により得られるC5留分中に含まれる1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン等のオレフィン系炭化水素や、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ブタジエン等のジオレフィン系炭化水素等を重合した樹脂が挙げられる。例えば、エクソンモービル社製、登録商標「エスコレッツ」の品番「1102」、「1202(U)」、「1205」、「1304」、「1310」、三井化学(株)製、商品名「ハイレッツ G−100X」、「ハイレッツ T−100X」、「ハイレッツ C−110X」、「ハイレッツ R−100X」、合成ポリテルペン樹脂である日本ゼオン(株)製、商品名「クイントン A100」、「クイントン B170」、「クイントン K100」等が挙げられる。
【0016】
芳香族系石油樹脂としては、ナフサの熱分解により得られ、そのC9留分中に含まれるα−メチルスチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン等のビニル置換芳香族炭化水素等を重合した樹脂が挙げられる。例えば、新日本石油精製(株)製、商品名「日石ネオポリマー L−90」、「日石ネオポリマー 120」等が挙げられる。
脂肪族−芳香族共重合系樹脂としては、エクソンモービル社製、登録商標「エスコレッツ」の品番「2101」、「2307」、三井化学(株)製、商品名「ハイレッツ T−480X」、「ハイレッツ H−180X」等が挙げられる。
【0017】
ロジン樹脂としては、生松やにを水蒸気蒸留して、テレピン油を除いた残りから得られるガムロジンや、松の切り株から水分を除き、溶剤抽出によって得られるウッドロジン等の外、各種ロジン誘導体樹脂をも包含される。ロジン誘導体樹脂としては、ロジンのペンタエリスリトール・エステル樹脂、ロジンのグリセロール・エステル樹脂、水素添加ロジン樹脂等が挙げられる。
【0018】
テルペン樹脂としては、ポリテルペン樹脂であるヤスハラケミカル(株)製、商品名「YSレジン PX−1250」、「YSレジン TO−125」、「YSレジン TR−105」、ハーキュリーズ社製、「ピコライト A115」、「ピコライト S115」等が挙げられる。
ケトン樹脂としては、荒川化学工業(株)製、商品名「ケトンレジン K−90」等が挙げられる。
【0019】
本発明のゴム組成物には補強用充填材としてカーボンブラックが含まれていることが好ましい。弾性率を高くすると共に減衰性を高めるためである。使用されるカーボンブラックの例としては、標準品種であるSAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF(以上ゴム用ファーネス),MTカーボンブラック(熱分解カーボン)を挙げることができる。
ゴム成分100質量部に対して、20〜120質量部であることが好ましく、25〜100質量部であることがより好ましく、30〜100質量部であることがさらに好ましい。
【0020】
本発明のゴム組成物には、上記成分と共に、通常のゴム組成物に配合され使用される配合剤を含有させることができる。例えば、カーボンブラック以外の各種充填材(例えば、シリカ、クレー、炭酸カルシウム等)、シランカップリング剤、加硫剤としての硫黄、加硫促進剤、加硫促進助剤、各種プロセスオイル等の軟化剤、亜鉛華、ステアリン酸、ワックス、老化防止剤などの一般的に配合される各種配合剤を挙げることができる。
【0021】
硫黄系加硫剤としては、粉末硫黄、高分散性硫黄、不溶性硫黄等が挙げられる。また、硫黄加硫系のゴム用加硫促進剤としては、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド類、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール類、ジフェニルグアニジン等のグアニジン類、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム類、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩、ピペコリルジチオカルバミン酸ピペコリン塩、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸第二鉄、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオカルバミン酸塩類、ブチルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム等のキサントゲン酸塩類等を挙げることができる。これらは併用することができる。加硫促進剤の合計使用量は、ゴム成分100質量部に対して0.3〜10.0質量部であることが好ましく、0.5〜10.0質量部であることがより好ましく、0.5〜6.0質量部がさらに好ましい。
【0022】
また、上記の加硫剤及び/又は加硫促進剤と組み合わせて、有機過酸化物、キノンジオキシム、多官能性アクリルモノマー(例えば、トリメチロールエタントリアクリレート(TMETA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ジペンタエリスリトールエーテルヘキサアクリレート(DPEHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(DPEHA)、ジメチロールプロパンジアクリレート(TMPTA)、ステアリルアクリレート(SA)等)、トリアジンチオールを用いることができる。
【0023】
老化防止剤についても公知の老化防止剤を選択し用いることができる。例えば、N−フェニル−N'−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(6PPD:6C)やN−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(IPPD:3C)、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物(RD)などが挙げられる。これらは、ゴム成分100質量部に対して0.5〜6質量部程度を用いることができる。
【0024】
本発明のゴム組成物は、シート状、直方体、長方形、多角体、円筒、球状等の種々の形状に成形可能である。シート状に成形し、これを打ち抜いて使用することも可能である。使用目的に応じて変則的な形状とすることも可能である。特に、免震構造体用のゴム組成物の場合は一般的にシート状とされる。
シート状に成形されたゴム組成物(ゴムシート)を複数積層させて、ゴム積層体による免震構造体が得られる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、ゴム組成物の硬さ(Hd)、切断時伸び(Eb)、切断時引張応力(TSb)、100%伸び引張応力(Md100)、300%伸び引張応力(Md300)、剪断弾性係数(G:剪断率100%)及び等価減衰定数(Heq100%)は、以下の方法により測定した。
【0026】
(1)硬さ(Hd)
JIS K 6253:2006に準拠して、硬さを求めた。
(2)切断時伸び(Eb)、切断時引張応力(TSb)、100%伸び引張応力(Md100)及び300%伸び引張応力(Md300)
JIS K 6251:2004に準拠して、切断時伸び、切断時引張応力、100%伸び引張応力及び300%伸び引張応力を求めた。
【0027】
(3)剪断弾性係数(G:剪断率100%)及び等価減衰係数(Heq100%)
[剪断弾性係数の測定サンプルの作製]
ゴムシートを25mm×25mmの方形状に打ち抜いた1枚の方形状ゴムシート1を作製し、これを25mm×60mm×厚み2.3mmの2枚の鉄板2で挟んだ。すなわち、図1(A)に示すように.接着剤を塗布した2枚の鉄板2の間に、ゴムシート1を、断面クランク状となるように挟んだ。このように、鉄板2とこれに接するゴムシート1の面とを接着した状態で加硫を行い、鉄板2とゴムシート1の面との接着をした。これにより図1(B)に示す形状のサンプルを得た。
[剪断弾性係数の測定]
サンプルを、バネ剛性、損失エネルギー測定装置(鷺宮製作所製、型式:EFH−26−8−10)に配置した。上述の2枚の鉄板(図1(B))をゴムシートに対して外側および内側に、周波数0.2Hzで、剪断率100%の剪断力を付与し、剪断弾性係数(G:剪断率100%)及び等価減衰係数(Heq100%)を算出した。
【0028】
製造例 高トランスポリブタジエンの製造
温度計、攪拌装置、加硫装置、注入注出口を備えたステンレス製反応装置を窒素ガスにて置換し、これに、4086gのブタジエン/ヘキサン溶液(23.7質量%ブタジエン)、25mLのヘキサンに溶解させた12.0mLのニッケルボロアシレート(0.84mol/Lヘキサン溶液:1.0mmol phgm:モノマー100gに対する添加量)、49mLのトリブチルアルミニウム(0.62mol/Lヘキサン溶液:3.0mmol phgm)、25mLのヘキサンに溶解させた2.64mLの原液のトリフェニルホスファイト(1.0mmol phgm)、25mLのヘキサンに溶解させた15.6mLのトリフルオロ酢酸(20mmol phgm)を注入した。その後、80℃にて6時間重合させ、この溶液を過剰のイソプロパノールと老化防止剤の入った容器に注入し、重合を停止し再沈した。さらに、これをろ過し、50℃にて真空乾燥し、結晶性の高トランスポリブタジエンを得た。前記の触媒モル比は(ニッケルボロアシレート/トリブチルアルミニウム/トリフェニルホスファイト/トリフルオロ酢酸)=(1/3/1/20)であった。得られた高トランスポリブタジエンの1,4−トランス結合含有量は92%、重量平均分子量3.2×104であった。
【0029】
実施例1〜5及び比較例1〜3
第1表に示す配合処方(単位はいずれも「質量部」である。)によりバンバリーミキサー内で混練し、実施例1〜5及び比較例1〜3のゴム組成物を調製した。得られたゴム組成物を、ゴム圧延用ロールを用いて2mm厚に圧延し、ゴムシートを製造した。これらのゴムシートを用い、上記の方法で、硬さ(Hd)、切断時伸び(Eb)、切断時引張応力(TSb)、100%伸び引張応力(Md100)、300%伸び引張応力(Md300)、剪断弾性係数(G:剪断率100%)及び等価減衰定数(Heq100%)を評価した。結果を第1表に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
[注]
第1表中の「破断」とは、剪断弾性係数及び等価減衰係数の測定中にサンプルが破断し、測定できなかったことを示す。
*1:乳化重合SBR:JSR(株)製、商品名「SBR#1500」
*2:高シスBR:JSR(株)製、商品名「BR 01」
*3:高トランスポリブタジエン:上記製造例で得られた高トランスポリブタジエン
*4:N220:旭カーボン(株)製、商品名「旭#80」
*5:老化防止剤6PPD、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクラック6C」
*6:ポリエステルポリオール樹脂:日本ゼオン(株)製、商品名「ゼオファイン」
*7:ジシクロペンタジエン樹脂:日本ゼオン(株)製、商品名「クイントン 1325」
*8:キシレン樹脂:リグナイト(株)製、商品名「リグノール R−70」
*9:加硫促進剤DPG:ジフェニルグアニジン、大内新興化学工業(株)製 商品名「ノクセラーD」
*10:加硫促進剤CZ:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクセラーCZ」
【0032】
第1表から明らかなように、実施例1〜5のゴム組成物は、比較例1〜3のゴム組成物と比較して、いずれも剪断弾性係数が高く、且つ等価減衰係数が大きくなり、高い弾性率と高い減衰特性とを両立し得た。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のゴム組成物およびこのゴム組成物から得られる免震構造体は、主に道路橋及び橋梁等の支承部分や、高層ビル、家屋等の建造物における免震制振構造体に効果的に使用されるとともに、実験装置等における除振装置などの用途にも好適に使用される。また、斜張橋ケーブル等の緩衝材にも好適に使用される。
【符号の説明】
【0034】
1 方形状ゴムシート
2 鉄板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分中、1,4−トランス結合含有量が90%以上のポリブタジエンを2質量%以上且つ50質量%未満含むことを特徴とする免震構造体用ゴム組成物。
【請求項2】
さらに、樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の免震構造体用ゴム組成物。
【請求項3】
前記樹脂が、ポリエステルポリオール樹脂、脂環式系石油樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族−芳香族共重合系樹脂、ロジン樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、及びこれらの樹脂の変性樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載の免震構造体用ゴム組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2010−260933(P2010−260933A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111640(P2009−111640)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】