説明

免震構造体用ゴム組成物

【課題】高歪領域でもソフトニングを生じ難く、歪依存性の小さく、信頼性の高い免震作用を確実に発揮することができる免震構造体用ゴム組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】ゴム成分と樹脂成分とを含有してなる免震構造体用ゴム組成物において、ゴム成分としてジエン系ゴムを含有するとともに、樹樹脂成分としてテルペンフェノール共重合体をゴム成分100質量部に対して1〜20質量部配合することを特徴とする免震構造体用ゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高歪領域でもソフトニングを生じ難く、歪依存性の小さい免震構造体用のゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地震対策として建造物に免震構造体を取り付けることが普及してきている。この免震構造体は、一般にゴム層(ゴム板)と硬質板層(鉄板)とを10〜数十層の交互に積層した構造とされたサンドイッチ構造体であり、低・中層のビルや橋梁等の免震装置のゴム支承片として主に使用される。免震構造体の特徴は、ゴム層と硬質板層とを交互に積層することにより、鉛直方向に強靱で硬く、変形せずに荷重を支え、水平方向には柔らかさを有することとなり、地盤の激しい揺れをゆったりとした水平方向の揺れに変える性能を有する。
【0003】
上記のように免震装置体は、ビルや橋等の重量の非常に大きい構造物に用いられることが多いが、そのような免震構造体を戸建用住宅等の軽量物に用いた場合、搭載重量が小さくなるので、軟質板層を構成する弾性体の設計については、低弾性の材料を用いることにより免震構造体のばね剛性を小さくする必要がある。
【0004】
そこで、軟質板層を構成するゴムの弾性率を低下させるために、ゴム配合に通常使用されるオイルを適宜添加し、或いはカーボンブラックの配合を減量することも検討されている。しかしながら、上記の場合には、高歪領域での弾性率の低下(ソフトニング)が生じ、弾性率の歪依存性が大きくなってしまい、建築物設計者の設計を困難なものにしていた。また、ゴム組成物に配合するオイル等の添加による低弾性化に伴い、未加硫ゴムの粘度が低下していまい、工場内での作業性が悪化してしまうという問題があった。
【0005】
このため、高歪領域でもソフトニングを生じ難く、歪依存性の小さく、工場内での作業が良好であり、戸建用住宅等の軽量物に用いた場合でも信頼性の高い免震作用を発揮し得る免震構造体用のゴム材料の開発が望まれる。
【0006】
なお、本発明に関連する先行技術文献としては下記のものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−342295号公報
【特許文献2】特開2002−340089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、工場内での作業が良好であり、高歪領域でもソフトニングが生じ難く、歪依存性の小さく、信頼性の高い免震作用を発揮し得る免震構造体用ゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、免震構造体のゴム層を形成するゴム組成物を調製する場合に、基材ゴムとしてジエン系ゴムを用いるとともに、テルペンフェノール共重合体をゴム成分100質量部に対して所定量配合することにより、剪断弾性率の歪み依存性が改善され、引張り強さ,伸び等の基本物性との両立を図ることを見出し、本発明を完成したものである。
【0010】
即ち、免震ゴムを低弾性化させるとともに、高歪領域(γ≧250%)でのソフトニングの低減を図るため、オイルやカーボンブラックの添加による低弾性化ではなく、特定の樹脂を配合することによる免震用ゴムの低弾性化を試みたところ、テルペンフェノール共重合体を採用することにより上記の解決課題を改善し得たものである。なお、従来技術の一例として芳香族変性テルペン樹脂を使用したゴム組成物はあるが、テルペンフェノール共重合体を使用した本発明の免震構造体用ゴム組成物の方が、図2に示すように、高歪領域でのソフトニングを抑制でき、歪依存性の小さく、剪断弾性率の歪み依存性が大幅に改善することができる。
【0011】
従って、本発明は下記の免震構造体用ゴム組成物を提供する。
[1]ゴム成分と樹脂成分とを含有してなる免震構造体用ゴム組成物において、ゴム成分としてジエン系ゴムを含有するとともに、樹樹脂成分としてテルペンフェノール共重合体をゴム成分100質量部に対して1〜20質量部配合することを特徴とする免震構造体用ゴム組成物。
[2]テルペンフェノール共重合体の軟化点が80〜145℃である[1]記載の免震構造体用ゴム組成物。
[3]テルペンフェノール共重合体の重量平均分子量が500〜1050である[1]又は[2]記載の免震構造体用ゴム組成物。
[4]ジエン系ゴムとして、天然ゴム(NR)とポリイソプレンゴム(IR)とを併用する[1]、[2]又は[3]記載の免震構造体用ゴム組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明の免震構造体用ゴム組成物によれば、工場内での作業が良好であり、高歪領域でもソフトニングを生じ難く、歪依存性の小さく、信頼性の高い免震作用を確実に発揮することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例で作製したサンプルを示す概略斜視図である。
【図2】実施例により得られたゴムの弾性率と歪依存性との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明につき、更に詳しく説明する。
本発明の免震構造体用ゴム組成物では、ゴム成分としてジエン系ゴムが使用される。
ジエン系ゴムとしては、公知のものを用いることができ、特に制限されるものではないが、具体的には、公知の天然ゴム(NR)や、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−イソプレン共重合体、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム、イソブチレン−イソプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エポキシ化天然ゴム、アクリレートブタジエンゴム等の合成ゴム、及びこれら天然ゴム又は合成ゴムの分子鎖末端が変性されたもの等を用いることができ、これらの中から1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。本発明においては、特に、天然ゴム(NR)やイソプレンゴム(IR)を好適に用いることができる。
【0015】
ジエン系ゴムとしては、特に制限はないが、天然ゴム(NR)とポリイソプレンゴム(IR)とを併用することができ、任意の質量比での配合が可能である。
【0016】
また、上記ジエン系ゴム以外のゴムをゴム成分中に配合することもできる。このゴムとしては、アクリルゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を併用することができる。
【0017】
本発明の免震構造体用ゴム組成物に配合される樹脂としては、テルペンフェノール共重合体を必須成分として使用する。テルペンフェノール共重合体をゴム組成物に配合することにより、高歪領域(γ≧250%)でのソフトニングの低減を図ることができ、剪断弾性率の歪み依存性が改善されるとともに、引張り強さ,伸び等の基本物性との両立を図ることができる。テルペンフェノール共重合体は、通常、テルペン化合物又はテルペン誘導体とフェノール類とを共重合して得られるものである。テルペン化合物とは、主として北米や中国本土に産するアカマツ、クロマツの立木から採取した生松脂を水蒸気蒸留して得られる精油、また同樹のパルプ生産の副生物のテレビン油、或いはオレンジの皮から抽出される精油又はこれらの精油から異性化反応等により誘導された化合物であり、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、テルピネン、テルピノーレン、ミルセン、アロオシメン、オシメン等がある。また、テルペン誘導体は、例えば、テルペン化合物と無水マレイン酸、無水フマル酸のような化合物を反応させて得られるものを挙げることができる。一方、フェノール類とは、フェノール、ビスフェノール、ターシャリーブチルフェノール、その他フェノール誘導体等である。
【0018】
上記テルペンフェノール共重合体について、その軟化点は好ましくは80〜145℃であり、また、その重量平均分子量は500〜1050であることが好ましい。
【0019】
上記テルペンフェノール共重合体については、1種を単独で或いは2種以上を併用して本発明の免震構造体用ゴム組成物に配合することができ、具体的には、「YSポリスターT80」、「YSポリスターT100」、「YSポリスターT115」、「YSポリスターT125」、「YSポリスターT130」、「YSポリスターT145」(いずれもヤスハラケミカル株式会社製)等の市販品を用いることができる。
【0020】
テルペンフェノール共重合体の配合量については、上記全ゴム成分100質量部に対して、1〜20質量部、特に5〜20質量部とすることが好ましい。この場合、配合量が1質量部未満であると、上記共重合体による高歪領域でのソフトニングの低減を十分に図ることができなくなり、一方20質量部を超えると破断特性や未加硫ゴムの作業性が低下するなどの不都合を生じる場合がある。また、歪依存性及び工場内での作業性の観点から、テルペンフェノール共重合体の配合量を上記範囲とすることが好ましい。
【0021】
また、本発明の免震構造体用ゴム組成物には、本発明の効果を損なわない限り、弾性率やロス特性の調整の目的で、上記テルペンフェノール共重合体以外の他の合成樹脂を併用することができ、例えば、ジシクロペンタジエン樹脂、キシレン樹脂、脂肪族系(C5系)石油樹脂、芳香族系(C9系)石油樹脂、脂環族系石油樹脂、C5系石油樹脂とC9系石油樹脂とを共重合させたもの、ケトン樹脂及びこれらの樹脂の変性物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0022】
本発明の免震構造体用ゴム組成物には、ゴム成分と共に、上記合成樹脂の他にもゴム組成物に通常配合される公知の配合剤を配合することができる。例えば、カーボンブラック、シリカ、シランカップリング剤、加硫剤としての硫黄、加硫促進剤、加硫促進助剤、各種プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸、各種軟化剤、ワックス、老化防止剤、石油炭化水素、ロジン、クレーや炭酸カルシウム等の各種充填剤など、公知の配合剤を適量配合することができる。
【0023】
上記加硫促進剤としては、特に制限はないが、スルフェンアミド系、チウラム系、及びジチオカルバミン酸塩系等を使用することができる。
【0024】
また、これらと組み合わせて、有機過酸化物、キノンジオキシム、多官能性アクリルモノマー[例えば、トリメチロールエタントリアクリレート(TMETA)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ジペンタエリスリトールエーテルヘキサアクリレート(DPEHA)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(DPEHA)、ジメチロールプロパンジアクリレート(TMPTA)、ステアリルアクリレート(SA)等]、トリアジンチオールを用いることができる。
【0025】
硫黄系加硫剤及び加硫促進剤としては、粉末硫黄、高分散性硫黄、不溶性硫黄等で、一般にゴム用加硫剤として用いられている硫黄、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム類、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩、ピペコリルジチオカルバミン酸ピペコリン塩、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛、N−ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸第二鉄、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオカルバミン酸塩類、ブチルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、イソプロピルキサントゲン酸ナトリウム等のキサントゲン酸塩類、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(例えば、商品名「ノクセラーCZ」(大内新興化学工業社製)、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド類、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール類等を挙げることができる。これらは2種以上を併用することもできる。使用量は、ゴム成分100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜6質量部である。
【0026】
カーボンブラックの例としては、標準品種であるFT、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF(以上ゴム用ファーネス)、MTカーボンブラック(熱分解カーボン)を挙げることができる。配合量は、ゴム成分100質量部に対して、20〜70質量部であることが好ましく、25〜65質量部であることがより好ましい。カーボンブラックの他に、更にセバシン酸ジオクチル等の可塑剤を加えても良い。
【0027】
老化防止剤としては、例えばN−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(6C)やN−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(3C)、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物(RD)等が挙げられる。これらは、ゴム成分100質量部に対して0.5〜5質量部程度を用いることができる。
【0028】
また、可塑剤としては、例えば、ゴムに通常用いられるアロマティック油、ナフテニック油、パラフィン油等のプロセスオイルや、やし油等の植物油、アルキルベンゼンオイル等の合成油などが挙げられ、特にナフテニック油を用いることが好ましい。
【0029】
本発明の免震構造体用ゴム組成物は、上記各成分を公知のバンバリーミキサー、ロール、ニーダ等の混練装置を使用して混練し、製造することができる。この場合、特に制限されるものではないが、通常は、まずゴム成分、樹脂成分、充填剤、オイル等を混合して混練し、次いで加硫剤,促進剤を添加して更に混練する2段階の混練操作を行うことが好ましい。
【0030】
本発明の免震構造体用ゴム組成物は、特に制限はないが、軟質層と硬質層とが交互に積層された免震構造体における軟質層の材料として用いられることが好適である。即ち、本発明の免震構造体用ゴム組成物を加硫成形した成形体を軟質層として、軟質層と硬質層とが交互に積層された免震構造体を提供することができる。この場合、硬質層の材質としては特に限定されるものではないが、金属、セラミック、プラスチック等を用いることができ、中でも鋼板が好適に用いられる。また、上記軟質層と硬質層とが交互に積層された免震構造体の周囲は、更に軟質層と同様のゴム組成物からなる被覆層により被覆されていてもよい。
【0031】
上記免震構造体を使用する対象建造物としては、特に制限はないが、例えば、低・中層のビル、橋梁、戸建て住宅、仮設住宅、小型プラント等を挙げることができる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0033】
[実施例1〜5及び比較例1〜7]
下記、表1及び表2に示すAの各配合成分を混練し、次いでBの硫黄及び促進剤CZを配合して更に混練し、実施例1〜5及び比較例1〜7のゴム組成物を調製した。得られた各ゴム組成物を2mm厚保に圧延してゴムシートを製造し、下記物性を測定、評価した。結果を表1,2に示す。また、実施例により得られたゴムの弾性率と歪依存性との関係を表したグラフを図2に示した。
【0034】
(1)破断伸び(Eb)
JIS K 6301に準拠して、破断伸びを求めた。
(2)引張強度(Tb)
JIS K 6301に準拠して、引張強度を求めた。
(3)300%モジュラス(M 300)
JIS K 6301に準拠して求めた。
【0035】
(4)剪断弾性率(G)及び等価減衰定数(Heq)
[剪断弾性率の測定サンプルの作製]
ゴムシートを25mm×25mmの方形状に打ち抜いた1枚の方形状ゴムシートを作製し、これを25mm×60mm×厚み2.3mmの2枚の鉄板で挟んだ。即ち、図1(A)に示すように、接着剤を塗布した2枚の鉄板22の間に、方形状ゴムシート20を、断面クランク状となるように挟んだ。このように、鉄板22とこれに接するゴムシート20の面とを接着した状態で加硫を行い鉄板22とゴムシート20面との接着をした。これにより図1(B)に示す形状のサンプルを得た。
[剪断弾性率の測定]
サンプルを、バネ剛性、損失エネルギー測定装置(鷺宮製作所製、型式:EFH−26−8−10)に配置した。上述の2枚の鉄板22(図1(B)参照)に対し、ゴムシート20に対して外側及び内側方向に、周波数0.2Hzで100%→250%と剪断率を変えて剪断力を付与した。同剪断率では各3回剪断力を付与した。
そして、各剪断率において、測定値(3回)を平均し、G及びHeqを算出した。なお、「G」は、剪断弾性係数(等価バネ剛性と称されることもある)を意味し、「Heq」は等価減衰定数であり、ヒステリシスロスの大きさの指標とされる。
【0036】
なお、各表中の配合成分の詳細は、下記の通りである。
・天然ゴム(NR):「RSS#4」
・ポリイソプレンゴム(IR):「IR2200」(JSR社製)
・カーボンブラック:旭カーボン(株)のFT級カーボンブラック、商品名「アサヒサーマル」
・テルペンフェノール共重合体:ヤスハラケミカル株式会社
「YSポリスターT100」(軟化点120℃、重量平均分子量550)
「YSポリスターT145」(軟化点145℃、重量平均分子量1050)
「YSポリスターT80」(軟化点80℃、重量平均分子量500)
・芳香族変性テルペン樹脂:ヤスハラケミカル株式会社「YSレジンTO−105」
・硬化脂肪酸:「ルナック」花王ケミカル社製
・老化防止剤:「ノクラック6C」大内新興化学社製
・オイル:ナフテンオイル
・硫黄:「セイミサルファー」日本乾溜工業社製
・加硫促進剤CZ:「ノクセラーCZ」大内新興化学社製
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
表1及び表2の結果より、樹脂成分としてテルペンフェノール共重合体を使用した実施例のゴム組成物は、テルペンフェノール共重合体の使用により、高歪領域(γ≧250%)でのソフトニングの低減を十分に図ることができ、剪断弾性率の歪み依存性が改善されていることが分かる。また、引張り強さ,伸び等の基本物性も良好に維持されていることが分かる。
即ち、図2のグラフは、テルペンフェノール共重合体(T100)を使用した実施例1〜3のほか、カーボンブラックの配合量を変えた例(比較例1〜3)、芳香族変性テルペン樹脂を用いた例(比較例4,5)及びナフテンオイルの配合量を変えた例(比較例6,7)であり、実施例の方が他の例よりも、G(250%)/G(100%)の値が高く、高歪領域でのソフトニングの低減効果が大きいものであることを示している。
なお、テルペンフェノール共重合体を5phr添加した実施例1では、剪断弾性率が約10%低下しているにもかかわらず、G(250%)/G(100%)の値は比較例1と変わらない。
【符号の説明】
【0040】
20 ゴムシート
22 鉄板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分と樹脂成分とを含有してなる免震構造体用ゴム組成物において、ゴム成分としてジエン系ゴムを含有するとともに、樹樹脂成分としてテルペンフェノール共重合体をゴム成分100質量部に対して1〜20質量部配合することを特徴とする免震構造体用ゴム組成物。
【請求項2】
テルペンフェノール共重合体の軟化点が80〜145℃である請求項1記載の免震構造体用ゴム組成物。
【請求項3】
テルペンフェノール共重合体の重量平均分子量が500〜1050である請求項1又は2記載の免震構造体用ゴム組成物。
【請求項4】
ジエン系ゴムとして、天然ゴム(NR)とポリイソプレンゴム(IR)とを併用する請求項1、2又は3記載の免震構造体用ゴム組成物。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−87196(P2012−87196A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234198(P2010−234198)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】