説明

免震構造及び免震装置

【課題】所定の地震力を超える入力があったときに、地盤を確実に液状化させ、免震効果を発揮する免震構造及び免震装置を提供する。
【解決手段】軟弱地盤12上の構造物14の周囲を取り囲んで、軟弱地盤12を囲む遮水層26が、硬質地盤18に到達している。そして、遮水層26によって囲まれた軟弱地盤12内の水圧を上昇させる加圧手段20、22、23を有している。よって、所定の地震力を超える入力があったときに、軟弱地盤12を確実に液状化させることで免震効果を発揮し、構造物14への地震入力を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤を強制的に液状化させることで免震効果を発揮する免震構造及び免震装置に関する。
【背景技術】
【0002】
埋立地や沖積の河川堆積地盤では比較的緩い砂が堆積していることが多いため、地震時に地盤が液状化して地盤の沈下や噴砂・噴水現象などが起こることがある。このような液状化の可能性のある地盤に直接基礎建物を建築すると、地震時には液状化によって地盤の支持力が喪失するので、建物の沈下や建物が傾斜するなどの被害が生じてしまう。
【0003】
このため、従来は、建物直下の地盤に対して、液状化の可能性のある地層の全てについて地盤改良などを行い、地盤の強度を増加させて建物の被害を防止する工法が採用されてきた。
【0004】
一方、液状化の可能性のある地盤や軟弱な粘性土地盤では、地震時に地盤の非線形性が顕著に現れるので、地盤のせん断ひずみが大きくなると共に減衰も大きくなる。この減衰は、地震による繰返しせん断に伴う地盤の履歴減衰であり、液状化するような地盤では発生するひずみも大きいので履歴減衰も大きくなる。
【0005】
よって、地盤の深部から入力される地震動が地表に伝わりにくくなる。つまり、地盤の液状化によって、地中部よりも地表の方が揺れにくくなるわけである。
【0006】
そして、この地盤の液状化の減衰効果により、地中部の振動加速度よりも地表の振動加速度の方が小さくなることは、阪神大震災の観測記録からも確認されている。
【0007】
そこで、地盤の液状化を利用した免震構造が提案されてきている。
【0008】
特許文献1の地盤免震構造200では、図4に示すように、硬質地盤202上の軟弱地盤204上に構造物206が設けられており、この構造物206の下方の軟弱地盤204が、未改良部分208を残すように地盤改良体210によって改良されている。
【0009】
よって、地震によって軟弱地盤204が液状化すると、履歴減衰を引き起こし、構造物206に対して免震効果を発揮することができる。
【0010】
しかし、特許文献1は、強制的に液状化を発生させるものではなく、自然に液状化するものなので、地震によって確実に液状化する確証はない。よって、液状化を想定して構造物の強度設計を行うことは難しい。
【0011】
特許文献2の免震構造212では、図5に示すように、支持地盤218上に建物216を支持する基礎杭214が設けられており、支持地盤218と建物216の間の地盤220中に、飽和した砂質土層222が形成されている。そして、開閉弁228を介して圧縮空気貯蔵タンク232に接続されている噴射管230が基礎杭214に沿って配管され、この噴射管230の噴射口234が砂質土層222と接する位置に設けられている。
【0012】
地震時には、地震計224からの信号により制御装置226が開閉弁228を開放して圧縮空気を噴射管230の噴射口234から噴射させ、この圧力で飽和した砂質土層222を強制的に液状化させて液状化層236を形成する。
【0013】
よって、この液状化層236が土の持っているせん断剛性を大幅に低減し、地盤220内を伝搬する鉛直上方への地震動を抑制することができる。
【0014】
しかし、特許文献2の砂質土層222は、透水性の小さなもので囲まれてはいないので、砂質土層222内に圧力をかけても、発生する過剰間隙水圧がすぐに消散してしまうことが危惧される。
【0015】
また、建物216は基礎杭214によって支持されているので、支持地盤218から基礎杭214に伝わったり、砂質土層222以外の地盤220から基礎杭214に伝わる地震動が建物216に伝搬してしまうことも考えられる。
【特許文献1】特開2003−20659号公報
【特許文献2】特開平6−108477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は係る事実を考慮し、所定の地震力を超える入力があったときに、地盤を確実に液状化させ、免震効果を発揮する免震構造及び免震装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1に記載の発明は、軟弱地盤上の構造物の周囲を取り囲んで、前記軟弱地盤を囲み、硬質地盤又は不透水層に到達する遮水層と、前記遮水層によって囲まれた前記軟弱地盤内の水圧を上昇させる加圧手段と、を有することを特徴としている。
【0018】
請求項1に記載の発明では、軟弱地盤上の構造物の周囲を取り囲んで、軟弱地盤を囲む遮水層が、硬質地盤又は不透水層に到達している。そして、遮水層によって囲まれた軟弱地盤内の水圧を加圧手段により上昇させる。
【0019】
これにより、所定の地震力を超える入力があったときに、構造物を支持する軟弱地盤を確実に液状化させることができ、免震効果を発揮して構造物への地震入力を低減することができる。
【0020】
また、地震力の大小を問わず、必要なときに強制的に軟弱地盤を液状化して構造物への地震入力を低減できるので、構造物の強度を落とした設計を可能とし、建設コストを削減できる。
【0021】
また、軟弱地盤は、構造物、遮水層、及び硬質地盤若しくは不透水層によって囲まれているので、液状化の際に発生する過剰間隙水圧がすぐに消散してしまうことを防ぐことができる。よって、より確実に液状化することができ、さらには液状化を早めることができる。
【0022】
請求項2に記載の発明は、前記構造物と、前記硬質地盤又は前記不透水層との間に前記軟弱地盤の層を残すように、前記構造物の地下部、又は前記構造物の基礎部が設けられている、ことを特徴としている。
【0023】
請求項2に記載の発明では、構造物に、地下部又は基礎部が設けられている。但し、この構造物の地下部又は基礎部は、構造物と硬質地盤又は不透水層との間に軟弱地盤の層を残すように設けられている。
【0024】
これにより、地下部又は基礎部を設けない場合に比べて、構造物を支持する軟弱地盤の層の厚さが小さくなる。よって、地震が止んだ後、上昇した軟弱地盤の水圧を元に戻して軟弱地盤内の過剰間隙水圧が消散したときに、必要以上に構造物が沈下することを防ぐことができる。
【0025】
請求項3に記載の発明は、前記構造物と、前記硬質地盤又は前記不透水層との間に前記軟弱地盤の層を残すように、前記軟弱地盤の地盤改良層が設けられている、ことを特徴としている。
【0026】
請求項3に記載の発明では、軟弱地盤の地盤改良層が設けられている。但し、この地盤改良層は、構造物と硬質地盤又は不透水層との間に軟弱地盤の層を残すように設けられている。
【0027】
これにより、地盤改良層を設けない場合に比べて、構造物を支持する軟弱地盤の層の厚さが小さくなる。よって、地震が止んだ後、上昇した軟弱地盤の水圧を元に戻して軟弱地盤内の過剰間隙水圧が消散したときに、必要以上に構造物が沈下することを防ぐことができる。
【0028】
請求項4に記載の発明は、前記構造物が載せられ、構造物の外へ張り出す張出部を備えた支持部と、前記張出部と前記地盤改良層との間に設けられた、鉛直振動を吸収するダンパーと、を有し、前記ダンパーが、鉛直方向に伸縮するジャッキと交換可能である、ことを特徴としている。
【0029】
請求項4に記載の発明では、支持部の上に構造物が載せられている。そして、この支持部に備えられた張出部が、構造物の外へ張り出している。また、軟弱地盤の地盤改良層と張出部の間に、鉛直振動を吸収するダンパーが設けられている。さらに、このダンパーは、鉛直方向に伸縮可能なジャッキと交換可能である。
【0030】
これにより、地震動により発生する、液状化した軟弱地盤上の構造物のロッキングが、ダンパーによって低減される。また、構造物が傾斜した場合には、ジャッキと交換し、構造物をジャッキアップすることによって構造物の傾斜を修正することができる。
【0031】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れかの免震構造に地震計が設けられ、前記地震計が地震時のP波を検知したときに、前記遮水層によって囲まれた前記軟弱地盤内の水圧を前記加圧手段により上昇させる、ことを特徴としている。
【0032】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜請求項4の何れかの免震構造に地震計が設けられている。そして、地震計が、地震時のP波を検知したときに、加圧手段を作動させ、遮水層によって囲まれた軟弱地盤内の水圧を上昇させる。
【0033】
これにより、主要動のS波が到達したときに、地盤を確実に液状化させることが可能となる。
【発明の効果】
【0034】
本発明は上記構成としたので、所定の地震力を超える入力があったときに、地盤を確実に液状化させ、免震効果を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る免震構造及び免震装置を説明する。なお、本実施形態では、RC造の集合住宅の例を説明するが、あらゆる建物への適用が可能である。
【0036】
まず、本発明の第1の実施形態の免震構造10及び免震装置11について説明する。図1には、本実施形態の免震構造10及び免震装置11が示されている。
【0037】
硬質地盤18の上層にある軟弱地盤12上に、構造物としてのRC造の集合住宅14が、直接基礎によって支持されている。また、集合住宅14の直下には、液状化を防止する地盤改良層16が形成されている。地盤改良層16と硬質地盤18の間には、軟弱地盤12Aが未改良層として残されている。
【0038】
集合住宅14の周囲を取り囲むように、遮水層としてのRC連続壁26が構築されており、このRC連続壁26の下端部は硬質地盤18に到達している。そして、このRC連続壁26によって軟弱地盤12が囲まれている。また、地下水位付近に位置する、RC連続壁26と地盤改良層16の間の軟弱地盤12は、薬液注入工法によって遮水性を有する不透水層28に改良されている。よって、軟弱地盤12は、RC連続壁26、硬質地盤18、不透水層28、地盤改良層16によって囲まれ、概ね密閉された状態で、RC連続壁26の外側の軟弱地盤32と分断されている。
【0039】
また、スタンドパイプ20が、地上から未改良の軟弱地盤12Aの層に向って略垂直に配管されている。スタンドパイプ20の下端部には噴出口20Aが、未改良の軟弱地盤12Aの層と接する位置に設けられている。また、スタンドパイプ20の上端部は、ポンプ22に接続されており、このポンプ22を作動させることによって、集合住宅14の屋上に設けられた貯水タンク23の水をスタンドパイプ20に加圧注入し、スタンドパイプ20内の水圧を上昇させ、スタンドパイプ20の先端部に設けられた噴出口20Aから加圧された水を噴出させる。また、ポンプ22とスタンドパイプ20の上端部との間には、三叉の開閉弁25が設けられており、この開閉弁25の切り替えによって、ポンプ22とスタンドパイプ20との間の接続、遮断、開放の操作を行うことができる。開閉弁25の遮断操作時には、スタンドパイプ20と地上の外気との接続も断たれるようになっており、これによってRC連続壁26によって囲まれた軟弱地盤12内の圧力を一定に保つことができる。また、開閉弁25の開放操作時には、軟弱地盤12に注入された水を開閉弁25に接続された排出管27を介して、外部に設けられた排水タンク29に排出することができる。スタンドパイプ20の上端部にはフィルター(不図示)が取り付けられており、これによって水と一緒に土砂が排出されることを防いでいる。
【0040】
また、軟弱地盤32の地表面には、地震時のP波を検知する地震計30が置かれている。地震計30は制御装置24につながれており、制御装置24は、地震計30から送られてくるP波のデータからポンプ22を作動させるか否かの判断を行い、ポンプ22のオン・オフをコントロールする。
【0041】
次に、本発明の第1の実施形態に係る免震構造10及び免震装置11の作用及び効果について説明する。
【0042】
図1に示すように、地震が発生し、地震計30がP波を検知すると、そのP波の大きさによって、制御装置24が、ポンプ22を作動させるか否かの判断を行う。
【0043】
ある値以上の大きさのP波を検知した場合には、ポンプ22を作動し、貯水タンク23の水をスタンドパイプ20に加圧注入する。そして、スタンドパイプ20内の水圧を上昇させ、スタンドパイプ20の下端部に設けられた噴出口20Aから加圧された水を噴出させる。これによって、RC連続壁26によって囲まれた軟弱地盤12内の水圧、すなわち間隙水圧が上昇し、強制的に軟弱地盤12が液状化される。液状化が完了した後、軟弱地盤12内の水圧が低下しないように、ポンプ22とスタンドパイプ20の間に設けられた開閉弁25を遮断操作した後にポンプ22を止める。
【0044】
これにより、所定の地震力を超える入力があったときに、集合住宅14を支持する軟弱地盤12を確実に液状化させることで免震効果を発揮し、集合住宅14への地震入力を低減することができる。
【0045】
また、地震力の大小を問わず、必要なときに強制的に軟弱地盤12を液状化して集合住宅14への地震入力を低減できるので、集合住宅14の強度を落とした設計を可能とし、建設コストを削減できる。
【0046】
また、軟弱地盤12は、RC連続壁26、硬質地盤18、不透水層28、地盤改良層16によって囲まれ、概ね密閉された状態になっている。よって、液状化の際に発生する過剰間隙水圧がすぐに消散してしまうことを防げるので、より確実に液状化することができ、さらには液状化を早めることができる。
【0047】
また、P波(初動)を検知した時点でポンプ22を作動させ、S波(主要動)が到達する前に液状化を開始させることができるので、軟弱地盤12の液状化が遅れて発生することを防ぐことができる。
【0048】
地震が止んだ後は、ポンプ22とスタンドパイプ20の間に設けられた開閉弁25を開放操作すると、軟弱地盤12内の上昇した圧力により、ポンプ22によって注入した分の水が自然に排水タンク29に排出され、過剰間隙水圧が消散して軟弱地盤12は元の状態に戻る。
【0049】
このように、ポンプ22によって注入した分の水が排出されるので、過剰間隙水圧が消散した後に地盤は沈下しないが、もしもポンプ22によって注入した分の水の量よりも多くの量の水を排出してしまった場合であっても、地盤改良層16を設けることによって軟弱地盤12Aの層の厚さを小さくしているので、必要以上に集合住宅14が沈下することを防ぐことができる。
【0050】
なお、地盤改良層16は、ソイルセメント系改良体、サンドコンパクションパイル工法等により締固めた砂等が考えられるが、これに限るものではなく、液状化を防止できる地盤改良材であればよい。
【0051】
また、軟弱地盤12を囲む遮水層としてRC連続壁26を示したが、遮水性を有するものであればよく、ソイルセメント壁、鋼矢板壁、鋼管矢板壁等を用いてもよい。
【0052】
また、地下水位付近に形成された不透水層28は、RC連続壁26によって囲まれた軟弱地盤12内の水圧上昇時に圧力が逃げないようし、軟弱地盤12の密閉性をより高め、効果的に水圧を上昇させるものであるが、不透水層28がなくても液状化を確実に発生させることができる。
【0053】
次に、本発明の第2の実施形態の免震構造34及び免震装置35について説明する。
【0054】
第2の実施形態は、第1の実施形態において、RC連続壁26の下端部の位置に不透水層が形成されているものである。したがって、以下の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
【0055】
図2には、本実施形態の免震構造34及び免震装置35が示されている。集合住宅14の周囲を取り囲むように、遮水層としてのRC連続壁26が構築されており、このRC連続壁26の下端部は不透水層36に達している。そして、このRC連続壁26によって軟弱地盤12が囲まれている。不透水層36は、地上から不透水層36に到達するように略垂直に配管された注入孔38によって地上から薬液を注入し、軟弱地盤12を改良することにより形成されている。また、地下水位付近に位置するRC連続壁26と地盤改良層16の間の軟弱地盤12も、薬液注入工法によって遮水性を有する不透水層28に改良されている。よって、軟弱地盤12は、RC連続壁26、不透水層36、不透水層28、地盤改良層16によって囲まれ、概ね密閉された状態で、RC連続壁26の外側の軟弱地盤32と分断されている。
【0056】
次に、本発明の第2の実施形態に係る免震構造34及び免震装置35の作用及び効果について説明する。
【0057】
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができ、また図2に示すように、深い位置に硬質地盤18が形成され、集合住宅14の下方の軟弱地盤層が厚い場合においても、不透水層36を形成することにより、地盤改良層16の厚さを大きくしなくても液状化させる軟弱地盤12Aの層厚を小さくできる。
【0058】
これにより、地震が止んだ後に、もしもポンプ22によって注入した分の水の量よりも多くの量の水を排出してしまった場合であっても、不透水層36及び地盤改良層16を設けることによって軟弱地盤12Aの層の厚さを小さくしているので、必要以上に集合住宅14が沈下することを防ぐことができる。
【0059】
次に、本発明の第3の実施形態の免震構造40及び免震装置41について説明する。
【0060】
第3の実施形態は、第1の実施形態において、集合住宅14が載る支持部が設けられたものである。したがって、以下の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
【0061】
図3には、本実施形態の免震構造40及び免震装置41が示されている。集合住宅14が、支持部としての高剛性を有する1階の梁44上に載せられている。梁44の両端は集合住宅14の外側に張り出す張出部42を備えている。そして、張出部42と地盤改良層16上面との間に鉛直振動を吸収する油圧ダンパー46が設けられている。また、この油圧ダンパー46は、鉛直方向に伸縮する油圧ジャッキ(不図示)と交換可能になっている。
【0062】
次に、本発明の第3の実施形態に係る免震構造40及び免震装置41の作用及び効果について説明する。
【0063】
第3の実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また図3に示すように、地震動により、液状化した軟弱地盤12上の集合住宅14がロッキングを起こすような場合においては、油圧ダンパー46が鉛直振動を減衰するので、集合住宅14のロッキングを低減することができる。
【0064】
軟弱地盤12の液状化によって、集合住宅14が傾斜した場合には、軟弱地盤12の支持力が回復した後に油圧ダンパー46を外して、油圧ジャッキと交換する。そして、地盤改良層16を反力にして油圧ジャッキをジャッキアップさせ、集合住宅14の傾斜を修正することができる。
【0065】
なお、ダンパーとして、油圧ダンパー46を示したが、鉛直振動を減衰できるものであればよく、金属系ダンパー、粘弾性系ダンパー、防振ゴム等を用いてもよい。
【0066】
また、ジャッキとして、油圧ジャッキを示したが、集合住宅14を持ち上げて高さ調整ができるものであればよい。
【0067】
なお、第1〜第3の実施形態では、集合住宅14の直下に地盤改良層16を形成することによって軟弱地盤12Aの層の厚さを小さくし、必要以上に集合住宅14が沈下することを防ぐ例を示したが、集合住宅14に設けられた地下部や基礎部の根入れ量によって、軟弱地盤12Aの層の厚さを調整してもよいし、もともと軟弱地盤12の厚さが小さい場合には、地盤改良層16を形成しなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1実施形態に係る免震構造及び免震装置を示す説明図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る免震構造及び免震装置を示す説明図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る免震構造及び免震装置を示す説明図である。
【図4】従来の地盤免震構造を示す概略図である。
【図5】従来の免震構造を示す概略図である。
【符号の説明】
【0069】
10 免震構造
11 免震装置
12 軟弱地盤
14 集合住宅(構造物)
16 地盤改良層
18 硬質地盤
20 スタンドパイプ(加圧手段)
22 ポンプ(加圧手段)
23 貯水タンク(加圧手段)
26 RC連続壁(遮水層)
30 地震計
34 免震構造
35 免震装置
36 不透水層
40 免震構造
41 免震装置
42 張出部
44 梁(支持部)
46 油圧ダンパー(ダンパー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟弱地盤上の構造物の周囲を取り囲んで、前記軟弱地盤を囲み、硬質地盤又は不透水層に到達する遮水層と、
前記遮水層によって囲まれた前記軟弱地盤内の水圧を上昇させる加圧手段と、
を有することを特徴とする免震構造。
【請求項2】
前記構造物と、前記硬質地盤又は前記不透水層との間に前記軟弱地盤の層を残すように、前記構造物の地下部、又は前記構造物の基礎部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震構造。
【請求項3】
前記構造物と、前記硬質地盤又は前記不透水層との間に前記軟弱地盤の層を残すように、前記軟弱地盤の地盤改良層が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の免震構造。
【請求項4】
前記構造物が載せられ、構造物の外へ張り出す張出部を備えた支持部と、
前記張出部と前記地盤改良層との間に設けられた、鉛直振動を吸収するダンパーと、
を有し、
前記ダンパーが、鉛直方向に伸縮するジャッキと交換可能である、
ことを特徴とする請求項3に記載の免震構造。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れかの免震構造に地震計が設けられ、
前記地震計が地震時のP波を検知したときに、
前記遮水層によって囲まれた前記軟弱地盤内の水圧を前記加圧手段により上昇させる、
ことを特徴とする免震装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−247165(P2007−247165A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68640(P2006−68640)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】