説明

免震構造

【課題】積層ゴムに生じるねじれ変形を低減する又は無くす。
【解決手段】上部連結手段20により上部板18を上部構造体14の下部に回転可能に連結し、下部連結手段24により下部板22を下部構造体12の上部に回転可能連結する。よって、積層ゴム本体16に生じるねじれ変形を低減する又は無くすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物を支持する免震構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、図14に示すように、上部フランジ502と下部フランジ504との間に高減衰積層ゴム506が設けられた積層ゴム支承500が開示されている。積層ゴム支承500のような積層ゴム支承は、ゴム層を水平方向に大きく変形させて免震性能を発揮するものであるが、このような積層ゴム支承が水平二方向へ変形する場合、積層ゴムにねじれ変形が生じ、免震性能を低下してしまうことが懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−111886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は係る事実を考慮し、積層ゴムに生じるねじれ変形を低減する又は無くすことが可能な免震構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、下部構造体上に上部構造体を免震支持する免震構造において、積層ゴム本体と、前記積層ゴム本体の上部に固定された上部板と、前記上部構造体の下部に前記上部板を回転可能且つせん断力の伝達可能に連結する上部連結手段と、前記積層ゴム本体の下部に固定された下部板と、前記下部構造体の上部に前記下部板を回転可能且つせん断力の伝達可能に連結する下部連結手段と、を有する。
【0006】
請求項1に記載の発明では、上部連結手段により、積層ゴム本体の上部に固定された上部板を、上部構造体の下部に回転可能且つせん断力の伝達可能に連結する。また、下部連結手段により、積層ゴム本体の下部に固定された下部板を、下部構造体の上部に回転可能且つせん断力の伝達可能に連結する。よって、積層ゴム本体に生じるねじれ変形を低減する又は無くすことができ、免震構造の免震性能の低下を防ぐことができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記上部連結手段は、前記上部構造体の下部に設けられた上板材と、前記上板材及び前記上部板の一方から突出し、前記上板材及び前記上部板の他方に嵌合する上部軸体と、を有し、前記下部連結手段は、前記下部構造体の上部に設けられた下板材と、前記下板材及び前記下部板の一方から突出し、前記下板材及び前記下部板の他方に嵌合する下部軸体と、を有する。
【0008】
請求項2に記載の発明では、上部構造体の下部に設けられた上板材及び上部板の一方から上部軸体が突出し、上板材及び上部板の他方に嵌合する。また、下部構造体の上部に設けられた下板材及び下部板の一方から下部軸体が突出し、下板材及び下部板の他方に嵌合する。よって、上部軸体及び下部軸体により、上板材と上部板、及び下板材と下部板との間でせん断力を確実に伝達することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記上部軸体及び前記下部軸体は、円柱体である。
請求項3に記載の発明では、上部軸体及び下部軸体を円柱体とすることにより、簡単な形状の部材で、上部軸体及び下部軸体を構成することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記上部軸体及び前記下部軸体は、球体である。
請求項4に記載の発明では、上部軸体及び下部軸体を球体とすることにより、上部構造体の下面や下部構造体の上面が斜めになった場合、上部板や下部板を滑らかに回転させることができ、積層ゴム本体に発生する局所曲げを低減する又は無くすことができる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記上部連結手段は、前記上部構造体の下部に設けられた上板材と、前記上板材に形成され前記上部板が嵌合する第1凹部と、を有し、前記下部連結手段は、前記下部構造体の上部に設けられた下板材と、前記下板材に形成され前記下部板が嵌合する第2凹部と、を有する。
【0012】
請求項5に記載の発明では、上部構造体の下部に設けられた上板材に形成された第1凹部に上部板が嵌合する。また、下部構造体の上部に設けられた下板材に形成された第2凹部に下部板が嵌合する。よって、上部板及び下部板の外周部がせん断力を受けるので、上板材と上部板、及び下板材と下部板との間で伝達されるせん断力が上部板及び下部板の局部に集中するのを避けることができる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、前記上部連結手段は、前記上部構造体の下部に設けられ前記上部板と接触する上部滑り板を有し、前記下部連結手段は、前記下部構造体の上部に設けられ前記下部板と接触する下部滑り板を有する。
【0014】
請求項6に記載の発明では、上部構造体の下部に設けられた上部滑り板に上部板が接触する。また、下部構造体の上部に設けられた下部滑り板に下部板が接触する。よって、上部滑り板と上部板、及び下部滑り板と下部板との滑り接触面の摩擦係数の設定により、免震構造にフェールセーフ機能を持たせることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上記構成としたので、積層ゴムに生じるねじれ変形を低減する又は無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る免震構造を示す正面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るねじれ変形の現象を示す説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るねじれ変形の現象を示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るねじれ変形の現象を示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る免震構造を示す正面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る免震構造を示す正面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る軸体の嵌合方法の変形例を示す説明図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る免震構造の変形例を示す正面図である。
【図9】従来の杭頭免震を示す説明図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る免震構造の応用例を示す説明図である。
【図11】本発明の実施形態に係る免震構造の変形例を示す正面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る免震構造の変形例を示す正面図である。
【図13】本発明の実施形態に係る免震構造の変形例を示す正面図である。
【図14】従来の積層ゴム支承を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1の正面図に示すように、第1の実施形態の免震構造10では、下部構造体としての基礎コンクリート12上に上部構造体としての上部建物の基礎部14を免震支持し、上部建物を免震建物としている。
免震構造10は、積層ゴム本体としての高減衰積層ゴム16、円板状に形成された上部板としての鋼製の上部フランジ18、上部連結手段20、円板状に形成された下部板としての鋼製の下部フランジ22、及び下部連結手段24を有する。また、高減衰積層ゴム16、高減衰積層ゴム16の上面に固定された上部フランジ18、及び高減衰積層ゴム16の下面に固定された下部フランジ22によって、免震装置46が構成されている。
【0018】
上部連結手段20は、基礎部14の下面に固定された鋼製の上板材26と、上部軸体としての鋼製の円柱体28とを有している。円柱体28は、上板材26の下面に形成された円柱状の凹部30と、上部フランジ18の上面に形成された円柱状の凹部32とに上下端部が回転可能に嵌合している。これにより、上板材26に、上部フランジ18が回転可能且つせん断力の伝達可能に連結されている。
【0019】
下部連結手段24は、基礎コンクリート12の上面に固定された鋼製の下板材34と、下部軸体としての鋼製の円柱体36とを有している。円柱体36は、下部フランジ22の下面に形成された円柱状の凹部40と、下板材34の上面に形成された円柱状の凹部38とに回転可能に上下端部が嵌合している。これにより、下板材34に、下部フランジ22が回転可能且つせん断力の伝達可能に連結されている。
【0020】
次に、本発明の第1の実施形態の作用及び効果について説明する。図2の正面図に示すように、円板状の高減衰ゴム層42A〜42Iと、円板状の鋼板層44A〜44Hとが交互に積層された高減衰積層ゴム16を有する免震装置46が水平二方向へ変形する場合、高減衰積層ゴム16には、せん断変形と共にねじれ変形が生じる可能性が考えられる。そして、せん断変形とねじれ変形とが相俟って、高減衰ゴム層42A〜42Iの周縁部にゴム歪みが想定以上に卓越して早期破断し、免震装置46の免震性能が低下してしまうことが懸念される。
【0021】
図3(a)には、免震装置46にねじれ変形が生じていないときの、高減衰ゴム層42B〜42Hの外縁の点P〜Pの初期位置が示され、図3(b)〜(e)には、免震装置46にねじれ変形が生じたときの、点P〜Pの相対移動角度θ(高減衰ゴム層42B〜42Hの中心に対する点P〜Pの回転角度)が一例として示されている。図3(a)では、X軸と、X軸に直交するY軸との交点を高減衰ゴム層42B〜42Hの中心としたときのY軸上に点P〜Pが位置している。
図3(b)〜(e)に示すように、高減衰ゴム層42B、42C、42D、42Eの順に相対移動角度θは徐々に大きくなり、高減衰ゴム層42Eを境にして高減衰ゴム層42E、42F、42G、42Hの順に相対移動角度θは徐々に小さくなっている。
【0022】
図2に示された矢印50は、図3(b)〜(e)の点P〜PのX方向の移動量を示したものである。矢印50の先端部をつなげた曲線52の接線54の傾きが高減衰ゴム層42A〜42Iに生じる歪みの大きさとなるので、免震装置46が右方向にせん断変形した場合、高減衰ゴム層42A〜42Iの中で接線54の傾きが最も大きくなる高減衰ゴム層42Aの歪みが最も大きくなる。
【0023】
そして、このような免震装置46のねじれ変形は、水平二方向変形によって移動する高減衰ゴム層42A〜42Iの移動方向と逆向きに働く摩擦力により作用するねじりモーメントによって生じるので、高減衰積層ゴムや鉛プラグ入り積層ゴム等のように積層ゴム本体が高い減衰性能を有する場合に、この問題が顕著になるものと考えられる。
【0024】
また、図4の正面図に示すように、高減衰積層ゴム16と滑り支承56とを組み合わせた免震装置58が基礎コンクリート12上に設置され、この免震装置58によって上部建物の基礎部14が支持されている場合、地震等により基礎コンクリート12に対して基礎部14が水平移動するときに、滑り支承56の滑り接触面60にモーメントMが作用しこれに起因した鉛直力が滑り接触面60に発生することが考えられる。そして、これに伴って滑り接触面60の面圧T、Tが不均一となり、滑り接触面60の摩擦抵抗も不均一となるので、免震装置58のねじれ変形も大きくなる可能性がある。
【0025】
これに対して、第1の実施形態の免震構造10では、上部連結手段20により、基礎部14の下部(上板材26)に、上部フランジ18が回転可能且つせん断力の伝達可能に連結され、下部連結手段24により、基礎コンクリート12の上部(下板材34)に、下部フランジ22が回転可能且つせん断力の伝達可能に連結されているので、高減衰積層ゴム16に生じるねじれ変形を低減する又は無くすことができ、免震構造10の免震性能の低下を防ぐことができる。
また、上部軸体及び下部軸体を円柱体28、36とすることにより、簡単な形状の部材で上部軸体及び下部軸体を構成することができ、上板材26と上部フランジ18、及び下板材34と下部フランジ22との間でせん断力を確実に伝達することができる。
【0026】
次に、本発明の第2の実施形態とその作用及び効果について説明する。第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。図5の正面図に示すように、第2の実施形態の免震構造62では、上部連結手段64が、基礎部14の下面に固定された鋼製の上板材66と、上板材66に形成され上部フランジ18が嵌合する第1凹部としての円板状の凹部68とを有している。
また、下部連結手段70が、基礎コンクリート12の上面に固定された鋼製の下板材72と、下板材72に形成され下部フランジ22が嵌合する第2凹部としての円板状の凹部74とを有している。
【0027】
よって、第2の実施形態の免震構造62では、上板材66と上部フランジ18、及び下板材72と下部フランジ22との間で伝達されるせん断力を、上部フランジ18及び下部フランジ22の外周部が受けるので、上部フランジ18及び下部フランジ22の局部にせん断力が集中するのを避けることができる。
【0028】
次に、本発明の第3の実施形態とその作用及び効果について説明する。第3の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。図6の正面図に示すように、第3の実施形態の免震構造76では、上部連結手段78が、高減衰積層ゴム16の上端部に固定された上部フランジ112に設けられた上部板としての円板状の滑り材80と、基礎部14の下面に固定され滑り材80の上面が摺動する(接触しながら滑り移動する)上部滑り板としての滑り板82とを有し、下部連結手段84が、高減衰積層ゴム16の下端部に固定された下部フランジ114に設けられた下部板としての円板状の滑り材86と、基礎コンクリート12の上面に固定され滑り材86の下面が摺動する(接触しながら滑り移動する)下部滑り板としての滑り板88とを有している。そして、滑り材80、86、及び高減衰積層ゴム16によって、免震装置110を構成している。
【0029】
なお、滑り材80、86、及び滑り板82、88は、滑り材80と滑り板82、及び滑り材86と滑り板88との間に所定の静止摩擦力を生じさせると共に、この静止摩擦力よりも大きな力が上部フランジ18及び下部フランジ22に作用したときに摺動し合うものであればよく、例えば、滑り材80、86を、四フッ化エチレン(PTFE)、ポリアミド、ポリエチレン等によって形成してもよいし、滑り板82、88を、ステンレス鋼板、フッ素系樹脂をコーティングした板材等としてもよい。
【0030】
よって、第3の実施形態の免震構造76は、滑り材80と滑り板82、及び滑り材86と滑り板88との滑り接触面の摩擦係数の設定により、免震構造76にフェールセーフ機能を持たせることができる。
すなわち、滑り材80と滑り板82、及び滑り材86と滑り板88との滑り接触面の摩擦係数の設定により、所定値以下のねじりモーメントが高減衰積層ゴム16に生じる場合には、滑り材80、86を回転させずに、高減衰積層ゴム16の周方向に対しても減衰性能を発揮させて、免震装置110としてのトータルの減衰性能を有効に機能させる。
そして、所定値よりも大きいねじりモーメントが高減衰積層ゴム16に生じる場合には、滑り材80、86を回転させて、高減衰積層ゴム16を構成する高減衰ゴム層42A〜42Iの破断を防ぐことができる。
滑り接触面の摩擦係数の一例としては、例えば、滑り材80と滑り板82との滑り接触面の摩擦係数μを0.15とし、滑り材86と滑り板88との滑り接触面の摩擦係数μを0.15とする構成や、滑り材80と滑り板82との滑り接触面の摩擦係数μを0.15とし、滑り材86と滑り板88との滑り接触面の摩擦係数μを0.45とする構成が挙げられる。
【0031】
以上、本発明の第1〜第3の実施形態について説明した。
なお、第1の実施形態では、上板材26の凹部30と、上部フランジ18の凹部32とに上部軸体としての円柱体28を嵌合させ、下板材34の凹部38と、下部フランジ22の凹部40とに下部軸体としての円柱体36を嵌合させた例を示したが、上部軸体は、上板材26及び上部フランジ18の一方から突出し、上板材26及び上部フランジ18の他方に嵌合していればよく、下部軸体は、下板材34及び下部フランジ22の一方から突出し、下板材34及び下部フランジ22の他方に嵌合していればよい。
【0032】
また、第1の実施形態で示した円柱体28、36は、図7(a)、(b)に示すように、凹部30、38との間に隙間90、92を有するようにして、凹部30、38に収容するようにしてもよいし、凹部32、40との間に隙間90、92を有するようにして、凹部32、40に収容するようにしてもよい。このようにすれば、円柱体28、36の製作、凹部30、32、38、40の加工、又は免震装置46の設置に求められる精度の許容範囲を大きくすることができる。
さらに、図7(c)に示すように、円柱体28、36と凹部30、38との間や、円柱体28、36と凹部32、40との間にゴムやスポンジ等の緩衝材94を設けるようにしてもよい。上板材26の下面と上部フランジ18の上面、及び下部フランジ22の下面と下板材34の上面との間には隙間116を設ける。このようにすれば、地震等の際に、上部建物の基礎部14から円柱体28、36へ作用する衝撃力を和らげることができる。
【0033】
また、第1の実施形態では、上板材26の凹部30と上部フランジ18の凹部32、及び下板材34の凹部38と下部フランジ22の凹部40とに、円柱体28、36を回転可能に嵌合した例を示したが、ベアリングを用いて円柱体28、36が滑らかに回転するようにしてもよい。
また、第1の実施形態の免震構造10において、上部フランジ18の上面と上板材26の下面、及び下部フランジ22の下面と下板材34の上面とは、接触していてもよいし、離れていてもよい。すなわち、円柱体28、36のみによって、せん断力及び軸力を伝達するようにしてもよい。
【0034】
また、第1の実施形態では、上部軸体及び下部軸体を円柱体28、36とした例を示したが、図8の正面図に示す免震構造100のように、上部軸体及び下部軸体を鋼製の球体96、98として、上部連結手段106及び下部連結手段108を構成してもよい。この場合、上部フランジ18の上面と上板材26の下面、及び下部フランジ22の下面と下板材34の上面との間に所定の隙間を有するようにする。
このようにすれば、基礎部14の下面及び基礎コンクリート12の上面が斜めになった場合においても、上板材26及び下板材34に対して、上部フランジ18及び下部フランジ22を滑らかに回転させることができ、高減衰積層ゴム16に発生する局所曲げを低減する又は無くすことができる。
例えば、図9(a)の正面図に示すように、基礎梁102を支持する高減衰積層ゴム16を杭頭部104上に設置した杭頭免震の場合、図9(b)の正面図に示すように、地震により基礎梁102が水平移動すると高減衰積層ゴム16に局所曲げが生じることが考えられるが、図10(a)の正面図に示すように、免震構造100を介して杭頭部104上に基礎梁102を支持するようにすれば、高減衰積層ゴム16に生じる局所曲げを低減する又は無くすことができる。
【0035】
また、第1〜第3の実施形態では、積層ゴム本体を高減衰積層ゴム16とした例を示したが、積層ゴム本体がどのような構成の積層ゴムであっても第1〜第3の実施形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
例えば、積層ゴム本体を、鉛プラグ入り積層ゴムや天然ゴム系積層ゴムとしてもよい。高減衰積層ゴムや鉛プラグ入り積層ゴムのように高い減衰性能を有する積層ゴムは、水平二方向変形の際に大きくねじれることが考えられるので、本発明の適用が有効である。
【0036】
また、第1〜第3の実施形態で示した上部連結手段20、64、78、106と、下部連結手段24、70、84、108との組合せを変えて用いてもよい。すなわち、16通り(=上部連結手段4種類×下部連結手段4種類)の組合せが可能である。例えば、図11の正面図に示すように、上部連結手段78と下部連結手段24とによって構成してもよいし、図12の正面図に示すように、上部連結手段78と下部連結手段108とによって構成してもよいし、図13の正面図に示すように、上部連結手段78と下部連結手段70とによって構成してもよい。
【0037】
以上、本発明の第1〜第3の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、第1〜第3の実施形態を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
10、62、76、100 免震構造
12 基礎コンクリート(下部構造体)
14 基礎部(上部構造体)
16 高減衰積層ゴム(積層ゴム本体)
18 上部フランジ(上部板)
20、64、78、106 上部連結手段
22 下部フランジ(下部板)
24、70、84、108 下部連結手段
26、66 上板材
28 円柱体(上部軸体)
34、72 下板材
36 円柱体(下部軸体)
68 凹部(第1凹部)
74 凹部(第2凹部)
80 滑り材(上部板)
82 滑り板(上部滑り板)
86 滑り材(下部板)
88 滑り板(下部滑り板)
96 球体(上部軸体)
98 球体(下部軸体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部構造体上に上部構造体を免震支持する免震構造において、
積層ゴム本体と、
前記積層ゴム本体の上部に固定された上部板と、
前記上部構造体の下部に前記上部板を回転可能且つせん断力の伝達可能に連結する上部連結手段と、
前記積層ゴム本体の下部に固定された下部板と、
前記下部構造体の上部に前記下部板を回転可能且つせん断力の伝達可能に連結する下部連結手段と、
を有する免震構造。
【請求項2】
前記上部連結手段は、
前記上部構造体の下部に設けられた上板材と、
前記上板材及び前記上部板の一方から突出し、前記上板材及び前記上部板の他方に嵌合する上部軸体と、を有し、
前記下部連結手段は、
前記下部構造体の上部に設けられた下板材と、
前記下板材及び前記下部板の一方から突出し、前記下板材及び前記下部板の他方に嵌合する下部軸体と、を有する請求項1に記載の免震構造。
【請求項3】
前記上部軸体及び前記下部軸体は、円柱体である請求項2に記載の免震構造。
【請求項4】
前記上部軸体及び前記下部軸体は、球体である請求項2に記載の免震構造。
【請求項5】
前記上部連結手段は、
前記上部構造体の下部に設けられた上板材と、
前記上板材に形成され前記上部板が嵌合する第1凹部と、を有し、
前記下部連結手段は、
前記下部構造体の上部に設けられた下板材と、
前記下板材に形成され前記下部板が嵌合する第2凹部と、を有する請求項1に記載の免震構造。
【請求項6】
前記上部連結手段は、
前記上部構造体の下部に設けられ前記上部板と接触する上部滑り板を有し、
前記下部連結手段は、
前記下部構造体の上部に設けられ前記下部板と接触する下部滑り板を有する請求項1に記載の免震構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−252516(P2011−252516A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125206(P2010−125206)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】