説明

入出力モジュール

【課題】従来のPLCは、ロジック入力、ロジック出力、アナログ入力、アナログ出力などの機能がそれぞれ個別のモジュールとして設計されていて、ユーザーは用途に応じてそれらのモジュールを選択実装して使用する構成となっている。このためアナログ入力とアナログ出力を2系統ずつ信号処理したい場合は、たとえば4系統の信号を処理するように構成されたアナログ入力モジュールとアナログ出力モジュールを1つずつPLCに実装することになり、各モジュールの2系統は無駄となる。モジュールの入出力機能を定義した定義データを作成することにより、用途に応じた入出力機能を有し必要最小限のハードウェアで構成可能なモジュールを提供する。
【解決手段】複数の入出力信号処理系統が設けられた入出力モジュールにおいて、前記モジュールの入出力機能を定義した定義データをメモリに格納し、用途に応じた定義データを呼び出すユーザインタフェースを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入出力モジュールに関し、詳しくは、プログラマブルロジックコントローラ(以下、PLCという)などに実装される入出力モジュールの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図2は、従来のビルディングブロック型のPLCにおけるアナログ入出力系統の一例を示すブロック図である。図2において、CPUモジュール1は、バスBを介してアナログ出力モジュール2およびアナログ入力モジュール3と接続されていて、アナログ出力モジュール2およびアナログ入力モジュール3との間で各種信号の授受を行う。
【0003】
アナログ出力モジュール2は、アナログ出力モジュール2をバスBと接続するためのバスインタフェース回路20と、CPUモジュール1から設定入力されるアナログ出力デジタル値を格納するメモリ21と、アナログ出力モジュール2の動作を制御する制御回路22と、メモリ21に格納されたアナログ出力デジタル値を複数系統のアナログ信号に変換して外部に出力するアナログ出力回路23と、外部接続端子24とで構成されている。
【0004】
アナログ入力モジュール3は、外部接続端子30から入力される複数系統のアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ入力回路31と、アナログ入力モジュール3の動作を制御する制御回路32と、アナログ入力回路31で変換されたアナログ入力デジタル値をCPUモジュール1に転送出力するために格納するメモリ33と、アナログ入力モジュール3をバスBと接続するためのバスインタフェース回路34とで構成されている。
【0005】
すなわち、従来のビルディングブロック型のPLCは、ロジック入力、ロジック出力、アナログ入力、アナログ出力などの機能がそれぞれ個別のモジュールとして設計されていて、ユーザーは用途に応じてそれらのモジュールを選択実装して使用する構成となっている。
【0006】
特許文献1には、汎用アナログ入出力モジュールとD/A変換モジュールを備えたアクチュエータコントローラの構成が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平8−95624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、図2に示す従来のアナログ入出力モジュールは、機能ごとに個別に構成されているため、たとえばアナログ入力とアナログ出力の機能が必要な場合にはPLCにそれぞれの機能を有する2種類のモジュールを実装しなければならない。具体的には、たとえばアナログ入力とアナログ出力を2系統ずつ信号処理したい場合は、たとえば4系統の信号を処理するように構成されたアナログ入力モジュールとアナログ出力モジュールを1つずつPLCに実装することになる。
【0009】
ところが、このようにPLCに4系統ずつの信号を処理できるように構成されたアナログ入力モジュールとアナログ出力モジュールを実装した場合、処理を必要とする信号は2系統ずつであることから、各モジュールには当面は使い道の無い無駄な2系統が発生することになり、各モジュールに設けられている外部接続端子がそれぞれ2系統分余って結果的にはPLCの小型化を阻む要因になっているといえる。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するものであり、その目的は、複数の入出力信号処理系統を有効に活用できる入出力モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
複数の入出力信号処理系統が設けられた入出力モジュールにおいて、
前記モジュールの機能を定義するユーザインタフェースを設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の入出力モジュールにおいて、
前記モジュールの機能は、モジュール単位または複数の入出力信号処理系統について個別に定義することを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の入出力モジュールにおいて、
前記ユーザインタフェースは、アナログ出力、アナログ入力、ON/OFFのロジック信号、パルスカウンタ、パルス出力、通信を含む機能のうち、少なくとも2つの機能を組み合わせたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
このような構成により、複数の入出力信号処理系統を有効に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】従来のアナログ入出力系統の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を示すブロック図である。図1において、CPUモジュール4は、バスBを介してアナログ入出力モジュール5と接続されていて、アナログ入出力モジュール5との間で各種信号の授受を行う。
【0017】
アナログ入出力モジュール5は、バスインタフェース回路50とユーザインタフェース51と外部接続端子52で構成されていて、ユーザインタフェース51はバスインタフェース回路50を介してバスBと接続されている。
【0018】
ユーザインタフェース51は、メモリ510と制御回路511とアナログ出力回路512とアナログ入力回路513とで構成されていて、メモリ510は制御回路511に接続され、アナログ出力回路512とアナログ入力回路513も制御回路511に接続されている。なお、アナログ出力回路512とアナログ入力回路513にはそれぞれ複数の信号処理系統が設けられていて、各信号処理系統はそれぞれ共通の外部接続端子52に接続されている。
【0019】
メモリ510には、制御回路511の制御に基づき、CPUモジュール4から設定されるアナログ入出力モジュール5の機能定義データ、アナログ出力回路512から外部に出力されるアナログ出力デジタル値、アナログ入力回路513を介して外部から取り込まれるアナログ入力デジタル値などが格納される。
【0020】
制御回路511は、メモリ510のリード/ライトを制御するとともに、メモリ510に格納されているアナログ入出力モジュール5の機能定義データにしたがって、各信号処理系統について個別にアナログ出力回路512および/またはアナログ入力回路513を有効/無効にする。
【0021】
具体的な動作を説明する。
デジタル入力アナログ出力機能を使用する場合には、制御回路511は、CPUモジュール4からバスインタフェース回路50を介してメモリ510に格納されている機能定義データのデータにしたがってアナログ出力回路512の該当する信号処理系統を有効にする。そして、メモリ510に格納されているアナログ出力デジタル値をアナログ出力回路512に送り、変換されたアナログ出力信号を所定の外部接続端子52に出力させる。
【0022】
このとき、アナログ入力回路513の該当する信号処理系統も同時に有効にしておくことで、アナログ出力信号をアナログ入力回路513で変換しメモリ510に保存して、デジタル出力値をバスインタフェース回路50を介してCPUモジュール4に伝えることもできる。
【0023】
アナログ入力デジタル出力機能を使用する場合には、制御回路511は、CPUモジュール4からバスインタフェース回路50を介してメモリ510に格納されている機能定義データのデータにしたがってアナログ出力回路512の該当する信号処理系統を無効にする。そして、出力をハイインピーダンスにすることで、外部接続端子52を外部の機器でドライブ可能とする。
【0024】
併せて、アナログ入力回路513の該当する信号処理系統を有効にすることで、外部接続端子52に印加されたアナログ入力をデジタル信号に変換し、そのデジタル出力値をメモリ510に格納する。メモリ510に格納されたデジタル出力値はバスインタフェース回路50を介してCPUモジュール4に伝える。
【0025】
図1のように構成されるアナログ入出力モジュール5によれば、複数の外部接続端子を個別にアナログ出力用またはアナログ入力用として自由に定義して使用できるので、外部接続端子を有効に使用でき、モジュールを有効に活用できる。そして、モジュールを有効に活用できることにより、PLCに実装するモジュール数を削減でき、PLCの小型化が図れる。
【0026】
なお、上記実施例では、ユーザインタフェース51がアナログ出力系統とアナログ入力系統により構成されている例について説明したが、これに限るものではなく、たとえばON/OFFのロジック信号、パルスカウンタ、パルス出力、通信機能などを組み合わせるようにしてもよい。
【0027】
また、上記実施例では、ビルディングブロック型のPLCに実装される入出力モジュールの例について説明したが、入出力モジュールの実装対象は必ずしもPLCに限るものではなく、その他のコントローラに実装してもよい。
【0028】
以上説明したように、本発明によれば、複数の入出力信号処理系統を有効に活用できる入出力モジュールが実現できる。
【符号の説明】
【0029】
4 CPUモジュール
5 アナログ入出力モジュール
50 バスインタフェース回路
51 ユーザインタフェース
510 メモリ
511 制御回路
512 アナログ出力回路
513 アナログ入力回路
52 外部接続端子
B バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入出力信号処理系統が設けられた入出力モジュールにおいて、
前記モジュールの機能を定義するユーザインタフェースを設けたことを特徴とする入出力モジュール。
【請求項2】
前記モジュールの機能は、モジュール単位または複数の入出力信号処理系統について個別に定義することを特徴とする請求項1に記載の入出力モジュール。
【請求項3】
前記ユーザインタフェースは、アナログ出力、アナログ入力、ON/OFFのロジック信号、パルスカウンタ、パルス出力、通信を含む機能のうち、少なくとも2つの機能を組み合わせたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の入出力モジュール。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−37998(P2012−37998A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175983(P2010−175983)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】