説明

入出力表示装置

【課題】垂直方向または水平方向のスクロールを個人差をなくして、操作者の意図に合致させて入力自在としたこと。
【解決手段】画像を表示したディスプレイ3に指を接触させた位置を指接触検出部91で検出し、ディスプレイ3から指の接触が断たれた位置を指接触解除検出部92で検出し、その指接触検出部91で接触を検出した位置から指接触解除検出部92で接触解除を検出した位置までの指の移動が、水平移動か、垂直移動かを水平移動距離(x2−x1)と垂直移動距離(y2−y1)の大きさの比較によって判定する。大きいと判定された水平移動距離または垂直移動距離に対して、小さいと判定された垂直移動距離または水平移動距離をずれの補正値δy、δxとして補正値記憶部95に記憶し、爾後、移動判定部94で垂直移動または水平移動と判定されたとき、水平移動距離または垂直移動距離の大きさから直角方向にずれの補正値をベクトル合成してスクロールの出力とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図または写真上の特定位置の表示が可能な入出力表示装置に関するもので、特に、フリック操作、なぞり操作により地図または写真上の位置を地図のスクロールによって特定の場所を表示するナビゲーション装置、携帯電話を含む携帯情報機器、電子ブック等の表示出力及び表示入力が可能な入出力表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置としては、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)衛星を利用し、自己の位置や移動速度をリアルタイムに求めている。この種のナビゲーション装置は、自動車等の移動体または携帯用として普及している。
このナビゲーション装置の構成形態としては、電子化された地図データに基づいてモニタ上に地図を表示し、その地図上で自己の位置を示している。また、利用者が出発地、目的地、経由地等を指定することによって、その設定されたルートに基づいて走行を案内する機能を有している。
【0003】
また、地図画像を表示可能なディスプレイに接触させた指の動作履歴により、地図画像の回転、拡大、縮小及びスクロールの少なくとも1つの操作の実行指示及び操作量を同時に入力可能な携帯情報機器が公知である。例えば、2本の指を遠ざける動作により地図画像の拡大指示及び拡大量を入力でき、2本の指を近づける動作により地図画像の縮小指示及び縮小量を入力でき、1本の指の摺動動作によりスクロールを入力でき、1本の指を軸に他の1本の指を回転させる動作により地図画像を回転指示及び回転量を入力できる特許文献1の技術が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−163031
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、特許文献1の技術は、地図画像を表示可能なディスプレイを含む携帯情報機器であって、地図画像が表示されたディスプレイに接触させた指の移動履歴を検出する指動作検出部と、前記指の移動履歴にもとづき、地図画像の回転、拡大、縮小及びスクロールの少なくとも1つの操作が入力されたと判断する操作内容判断部と、前記判断に基づき、ディスプレイに表示された地図画像に回転、拡大、縮小及びスクロールの少なくとも1つの操作を施した地図画像を生成する地図画像生成部とを含む携帯情報機器に使用され、地図画像の回転、拡大、縮小、スクロール等の機能を使い勝手のよいヒューマンインターフェースで実現している。このように、ディスプレイに表示された地図画像の回転、拡大、縮小及びスクロールの少なくとも1つの操作の実行指示のみならず、操作量をも同時に入力することができる。
【0006】
ところが、例えば、特許文献1の操作内容判断部は、指の移動履歴に基づき、地図画像の回転量、拡大量、縮小量及びスクロール量の少なくとも1つの操作量を決定し、地図画像生成部が決定された操作量に基づきディスプレイに表示された地図画像に回転、拡大、縮小及びスクロールの少なくとも1つの操作を施した地図画像を生成するものである。
しかし、通常、人には個人差があるものの、水平方向のスクロールを意図していても、スクロールをかける最初の接触点から指が離れる最終の接触点までは、右先下がりになったり、右先上がりになったりする。また、右から左方向の移動と左から右方向の移動によっては個人差がでてくる。そして、右ハンドル車のナビゲーション装置として左手で操作する場合、携帯情報機器を右手で操作する場合では、個人差が大きく出てくる。
したがって、特許文献1の操作内容判断部は、水平方向のスクロールを意図する入力であっても、地図画像に回転する制御と判断し、入力画面を所定の角度傾ける制御が実行されてしまう可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、垂直方向または水平方向のスクロールを、個人差をなくして、操作者の意図に合致させて入力自在とした入出力表示装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明にかかる入出力表示装置は、移動検出部で画像を表示したディスプレイに指を接触させ、所定の位置まで移動したことを検出する。指を接触させ、所定の指の移動が、水平移動または垂直移動かを移動距離の大きさの比較によって移動判定部で判定し、大きいと判定された移動距離に対して、小さいと判定された垂直移動距離または水平移動距離をずれの補正値として補正値記憶部に記憶する。そして、前記移動判定部で垂直移動または水平移動と判定されたとき、前記水平移動距離または前記垂直移動距離の大きさから直角方向に前記ずれの補正値をベクトル合成してスクロール位置をスクロール判定部で特定するものである。
ここで、上記移動検出部は、画像を表示したディスプレイに指を接触させ、所定の位置まで移動したことを検出するものである。所定の位置まで移動とは、フリック操作、なぞり操作により決定され、そこで接触を断ってもよいし、指の移動を停止した位置としてもよい。また、その両者のうちの1つとしてもよい。
また、上記移動判定部は、画像を表示したディスプレイに指を接触させ、所定の位置まで移動したことを検出し、指の移動が、水平移動か、垂直移動かを水平移動距離と垂直移動距離の大きさの比較によって操作者の意図と判定するものである。この比較は単純に大小関係で比較してもよいが、一方が他方の何倍かになっているときの大きさとすることもできる。また、本発明を実施する場合においては、水平移動距離、垂直移動距離に代えて移動速度とすることもできるから、本発明の実施の形態の移動距離には移動速度の概念をも含むものである。
そして、上記補正値記憶部は、前記移動判定部で大きいと判定された移動距離に対して、小さいと判定された垂直移動距離または水平移動距離を移動距離に対するずれの補正値として記憶するものであり、学習によって平均的な操作者の個性を獲得するものである。
更に、上記スクロール判定部は、前記移動判定部で垂直移動または水平移動と判定されたとき、前記水平移動距離または前記垂直移動距離の大きさから直角方向に前記ずれの補正値を合成してスクロール位置を特定するものであり、方向性を有しているからベクトル的に合成することになる。
【0009】
請求項2の発明にかかる入出力表示装置の前記移動判定部は、前記ディスプレイの所定の幅内の操作についてのみ、前記移動検出部で検出した指の移動が水平移動または垂直移動かを水平移動距離と垂直移動距離の大きさの比較によって判定する対象としたものである。
ここで、前記ディスプレイ中央の所定の幅は、人の特性に合わせて、前記ディスプレイの各辺側または中央で水平移動または垂直移動の判別を行うものであるから、精度よく使用することができる人と、できない人に分けて閾値幅を1以上用意することもできる。また、その前記ディスプレイ中央の所定の幅内の操作についてのみ対応するために、その閾値幅を小さく設定することもできる。
【0010】
請求項3の発明にかかる入出力表示装置の前記移動判定部は、前記ディスプレイの所定の角度内の操作についてのみ、前記画像を表示したディスプレイに指を接触させ、所定の位置まで移動したことを検出し、検出した指の移動が水平移動または垂直移動かを判定するものである。
ここで、前記ディスプレイの所定の角度内の操作についてのみ、前記画像を表示したディスプレイに指を接触させ、所定の位置まで移動したことを検出し、水平移動か、垂直移動かを判定すればよい。
【0011】
請求項4の発明にかかる入出力表示装置の前記移動判定部は、前記ディスプレイ中央または前記ディスプレイの4辺の内側の所定の幅内の操作についてのみ、前記移動検出部で検出した指の移動が水平移動または垂直移動かを判定するものである。
ここで、上記移動判定部は、前記ディスプレイ中央または前記ディスプレイの4辺の内側の所定の幅内の操作についてのみとし、人の記憶に残る場所としたものである。
【0012】
請求項5の発明にかかる入出力表示装置の前記補正値記憶部は、学習によって最適なずれの補正値を選択するものである。
特に、前記補正値記憶部は、大きいと判定された水平移動または垂直移動に対して、小さいと判定された垂直移動または水平移動をずれの補正値として使用するものであるから、マップを使用して、水平移動または垂直移動に対するずれの補正値として垂直移動または水平移動を格納することにより、操作者の個性に合ったずれの補正値を管理できればよい。
【0013】
請求項6の発明にかかる入出力表示装置の前記補正値記憶部のずれの補正値は、初期設定として使用者の特性に合致したずれの補正値を設定するものである。
ここで、前記補正値記憶部のずれの補正値は、操作者の個性によって決定されるから、初期設定で多くのスクロール入力を行い、それを格納し、個性を判断できるずれの補正値とすることができる。
【0014】
請求項7の発明にかかる入出力表示装置の前記移動判定部の比較は、所定以上の倍率の開きがあるか否かを判断するもので、水平移動距離と垂直移動距離の大小、水平移動速度と垂直移動速度の速い遅いの程度が、数倍以上の開きがあるときに、ずれの補正を行うものである。
【0015】
請求項8の発明にかかる入出力表示装置の前記移動判定部は、前記移動検出部の移動が地図に示された所定の道路、鉄道、河川の何れか1つと一致する場合には、所定方向以外のスクロールを可能とするものである。
ここで、前記移動検出部の移動が地図に示された所定の道路、鉄道、河川の何れか1つと一致する場合には、地図に従って道路、鉄道、河川の何れか1つに頼って目的地を特定するものであるから、この場合には、所定方向以外のスクロールを可能とするものである。
【0016】
請求項9の発明にかかる入出力表示装置の前記移動判定部は、前記移動検出部で前記指を接触させた位置の近傍に登録地が存在する場合には、所定方向以外のスクロールを可能とするものである。
ここで、前記移動検出部で前記指を接触させた位置の近傍に登録地または特定のアイコンが存在する場合、所定方向以外のスクロールを可能とするものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の入出力表示装置は、移動検出部で画像を表示したディスプレイに指を接触させ、所定の位置まで移動したことを検出する。指を接触させ、所定の位置まで移動の指の移動が、水平移動か、垂直移動かを移動距離の大きさの比較によって判定し、大きいと判定された水平移動距離または垂直移動距離に対して、小さいと判定された垂直移動距離または水平移動距離をずれの補正値として補正値記憶部に記憶しておき、爾後、前記移動判定部で垂直移動または水平移動と判定されたとき、前記水平移動距離または前記垂直移動距離の大きさから直角方向に前記ずれの補正値をベクトル合成してスクロールの入力であるか否かをスクロール判定部で特定するものである。
したがって、操作者の癖をなくし、操作者が入力しようとする水平方向または垂直方向のスクロール入力が正確に判断され、間違いのないスクロールが行える。特に、スクロールの指示距離によってスクロール位置を決定するのに好適である。また、水平方向及び垂直方向のスクロール検出の信頼性を高めることによって、例えば、表示した画像の廻転指示を正確に検出することができる。なお、微細な廻転であれば、水平方向及び垂直方向の両スクロールによって容易にスクロール指示を行うことができる。
【0018】
請求項2の発明にかかる入出力表示装置の前記移動判定部は、前記ディスプレイの所定の幅内の操作についてのみ、前記移動検出部で検出した指の移動が水平移動または垂直移動かを水平移動距離と垂直移動距離の大きさの比較によって判定する対象とするものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、前記ディスプレイの縦の中間位置及び横の中間位置の所定の幅内の操作、或いは前記ディスプレイの4辺の内側の所定の幅内の操作、或いはその他の操作を水平移動か、垂直移動かを判定するものであるから、人の特性に合わせて、水平移動または垂直移動の判別を行うことができる。
【0019】
請求項3の発明にかかる入出力表示装置の前記移動判定部は、前記ディスプレイの所定の角度内の操作についてのみ、前記画像を表示したディスプレイに指を接触させ、所定の位置まで移動したことを検出し、検出した指の移動が水平移動または垂直移動かを判定するものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、人の特性に合わせて、水平移動または垂直移動の判別を行うことができる。
【0020】
請求項4の発明にかかる入出力表示装置の前記移動判定部は、前記ディスプレイ中央または前記ディスプレイの4辺の内側の所定の幅内の操作についてのみ、前記移動検出部で検出した指の移動が水平移動または垂直移動かを判定するものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、人の記憶が容易な前記ディスプレイ中央または前記ディスプレイの4辺の内側の所定の幅内の操作についてのみ設定するものであるから、入力された内容の判別速度が速くなり、かつ、人のスクロールの意識によって各自意図的に間違いのない水平または垂直操作を行うこともできる。
【0021】
請求項5の発明にかかる入出力表示装置の前記補正値記憶部は、学習によって最適なずれの補正値を選択するものであるから、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、水平方向及び垂直方向のスクロールが操作者の個性に合ったずれの補正値を修正することにより、正確な制御ができ、しかも、ずれの補正値の管理が容易になる。
【0022】
請求項6の発明にかかる入出力表示装置の前記補正値記憶部のずれの補正値は、初期設定として使用者の特性に合致したずれの補正値を設定するものであるから、請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の効果に加えて、初期設定の際にずれの補正値を補正値記憶部に記憶させることにより、爾後の判断をずれの補正値の読み出しによって行うことから、高速処理が可能となる。
【0023】
請求項7の発明にかかる入出力表示装置の前記移動判定部の比較は、所定以上の倍率の開きがあるものであるから、請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の効果に加えて、大きな開きがあるものを誤差と解釈して、ずれの補正値として扱うことにより、水平方向及び垂直方向の移動以外の検出を効率よく行うことができる。
【0024】
請求項8の発明にかかる入出力表示装置の前記移動判定部は、前記移動検出部の移動が地図に示された所定の連続的に形成されている道路、鉄道、河川の何れか1つと一致する場合には、所定方向以外のスクロールを可能とするものであるから、請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の効果に加えて、特定の道路に沿った目的地、特定の線路に沿った駅名、橋との交差等、地図の目的となる場所の特徴から検索する場合、それを生かした検索を許容するものである。
【0025】
請求項9の発明にかかる入出力表示装置の前記移動判定部は、前記移動検出部で前記指を接触させた位置の近傍に登録地または特定のアイコンが存在する場合には、所定方向以外のスクロールを可能とするものであるから、請求項1乃至請求項8の何れか1つに記載の効果に加えて、特定の登録地、アイコンの場所の特徴から検索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は本発明の入出力表示装置をナビゲーション装置に使用した実施の形態1にかかる一部機能表現を含む全体構成を示すブロック図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1の入出力表示装置としてのナビゲーション装置のメインメニュー画面の説明図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1の入出力表示装置としてのナビゲーション装置の目的地設定画面の説明図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1の入出力表示装置としてのナビゲーション装置の「地図検索ルーチン」の前半のフローチャートである。
【図5】図5は本発明の実施の形態1の入出力表示装置としてのナビゲーション装置の「地図検索ルーチン」の後半のフローチャートである。
【図6】図6は本発明の実施の形態1の入出力表示装置としてのナビゲーション装置の地図検索画面の事例1の説明図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態1の入出力表示装置としてのナビゲーション装置の地図検索画面の事例2の説明図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態1の入出力表示装置としてのナビゲーション装置の地図検索画面の事例3の説明図である。
【図9】図9は本発明の実施の形態1の入出力表示装置としてのナビゲーション装置の地図検索画面の事例4の説明図である。
【図10】図10は本発明の入出力表示装置をナビゲーション装置に使用した実施の形態2にかかる一部機能表現を含む全体構成を示すブロック図である。
【図11】図11は本発明の実施の形態2の入出力表示装置としてのナビゲーション装置の「初期設定ルーチン」のフローチャートである。
【図12】図12は本発明の実施の形態2の入出力表示装置としてのナビゲーション装置の初期設定画面の説明図である。
【図13】図13は本発明の実施の形態2の入出力表示装置としてのナビゲーション装置の「地図検索ルーチン」の前半のフローチャートである。
【図14】図14は本発明の実施の形態2の入出力表示装置としてのナビゲーション装置の「地図検索ルーチン」の後半のフローチャートである。
【図15】図15は本発明の実施の形態2の入出力表示装置としてのナビゲーション装置の地図検索画面の事例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
【0028】
[実施の形態1]
図1は、本実施の形態1の入出力表示装置として、ナビゲーション装置に使用した事例で説明するものである。
その概略構成は、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うマイクロプロセッサからなる演算・制御部1と、操作者からの操作を受け付けるエンジンの駆動を行うイグニッションスイッチ21を含む各種キー入力、音声入力、タッチスイッチ等の操作部2と、操作者に対して操作情報、地図等の情報を表示する液晶、EL等からなるディスプレイ3と、ルート案内、交通規制情報、渋滞情報の案内に関する音声ガイダンスを行うスピーカ4と、更に、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)に至るまでの距離等を検出することが可能となるように各種センサからなる自車の現在位置を検出する現在地検出部7と、道路交通情報通信システムセンター(VICS(登録商標):Vehicle Information and Communication System)62等の情報センターとの間でネットワーク61を介して通信を行う通信部6、各種のデータが記録され、書込み、読み出しが可能な記憶容量が大きいハードディスクからなるナビ情報処理部8と、ナビゲーション機能による目的地、経由地、登録地の設定によってルート探索される目的地設定部9等から構成されている。なお、本実施の形態1のディスプレイ3は、操作部2としてのタッチスイッチを兼ねるものである。
【0029】
マイクロプロセッサからなる演算・制御部1は、全体の制御を行う演算及び制御を行うCPU11、及びCPU11が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用すると共に、ルートが探索されたときのルートデータや交通規制情報が存在するリンクID等が記憶されるRAM12、制御用プログラムの他、渋滞回避ルートへの変更をユーザに案内するルート変更案内処理プログラム等が記憶されたROM13、ROM13から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ14等の内部記憶装置や、タイマ15等を備え、RAM12、ROM13、フラッシュメモリ14等としては半導体メモリ、磁気コア等が使用され、演算及び制御を行うCPU11は、MPU等の演算機能を有するものの使用が可能である。
【0030】
ROM13には、各種のプログラムが記憶され、RAM12に各種のデータが記憶されるようになっており、また、プログラム、データ等を外部記憶装置、メモリカード等からプログラム、データ等を読み出してフラッシュメモリ14に書き込む。更に、メモリカード等を交換することによってプログラム、データ等を更新することができる。
そして、自車の現在位置を検出する現在地検出部7は、GPSセンサ71、地磁気センサ72、距離センサ73、ステアリングセンサ74、方位検出部としてのジャイロセンサ75、高度計76、更に、自車の走行速度及び走行距離を検出する車速センサ77等からなる。
【0031】
なお、本実施の形態1の入出力表示装置としてのナビゲーション装置は、ネットワーク61を介して道路交通情報通信システムセンター62から警察等の交通管制システムの情報を収集して作成した道路の渋滞等に関する情報や、交通規制情報等の道路交通情報を所定時間毎に受信することが可能に構成されている。また、この道路交通情報は、例えば、道路の渋滞等に関する道路渋滞情報、道路工事、建築工事等による交通規制情報等の道路交通情報に関する詳細情報である。該詳細情報としては、道路渋滞情報の場合、後述のVICSリンクID、渋滞の実際の長さ、渋滞解消の見込まれる時刻等であり、交通規制情報の場合、後述のVICSリンクID、道路工事、建築工事等の継続期間、通行止め、片側交互通行、車線規制等の交通規制の種類、交通規制の時間帯等である。
【0032】
また、ネットワーク61としては、例えば、無線LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系を使用することができる。そして、放送衛星によるCS放送、BS放送、地上波ディジタルテレビ放送、FM多重放送等を利用する通信系を使用することもできる。更に、高度道路交通システム(ITS)において利用されるノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)、狭域通信システム(DSRC)等の通信系を使用することもできる。
【0033】
更に、本実施の形態1の入出力表示装置としてのナビゲーション装置を構成する各構成要素について図1に基づいて具体的に説明する。
GPSセンサ71は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車の現在位置及び現在時刻を検出する。地磁気センサ72は、地磁気を測定することによって自車方位を検出する。距離センサ73は、道路上の所定位置間の距離等を検出する。ここで、距離センサ73としては、例えば、自車の車輪の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検出するが、車速センサ77の出力を積分して距離を算出してもよい。
【0034】
また、ステアリングセンサ74は自車の操舵角を検出するものである。ここで、ステアリングセンサ74としては、例えば、ステアリングホイールの回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
そして、ジャイロセンサ75は自車の旋回角を検出するものである。ここで、ジャイロセンサ75としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。また、ジャイロセンサ75によって検出された旋回角を積分することにより、自車方位を検出することができる。
【0035】
また、本実施の形態1のナビ情報処理部8、目的地設定部9としてハードディスクが使用されているが、ハードディスクの他に、フレキシブルディスク等の磁気ディスクを外部記憶装置の一部として使用することができる。また、メモリカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、ICカード等を外部記憶装置の一部として使用することもできる。なお、内部構成については、後述する。
【0036】
更に、演算・制御部1には、操作部2、ディスプレイ3、スピーカ4、通信部6の各周辺装置が電気的に接続されている。操作部2は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際や施設に関する情報の検索を行う際等に操作され、各種キー等の複数の操作スイッチから構成される。そして、演算・制御部1は、操作部2の各スイッチの操作により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。イグニッションスイッチ21はエンジンの始動及び停止を行うものである。
なお、操作部2としては、キーボード、マウス、バーコードリーダ、遠隔操作用のリモートコントロール装置、ジョイスティック、ライトペン、スタイラスペン等を使用することもできる。更に、ディスプレイ3の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0037】
ディスプレイ3には、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの探索ルート、探索ルートに沿った案内情報、後述のルート変更案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。
なお、ディスプレイ3の代わりに、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ、EL等を使用し、車両のフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することもできる。
【0038】
スピーカ4は、演算・制御部1からの指示に基づいて、探索ルートに沿った走行を案内する音声ガイダンスや、探索ルートのルート変更を案内する音声案内を出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「200m先、○○交差点を右方向です。」や「有料道路を利用するルートに変更されました。」等がある。特に、本実施の形態1においては、操作順序等のメッセージを出力する。
なお、スピーカ4より出力される音声としては、合成された音声の他に、各種効果音、予めICメモリ等に録音された各種の案内情報を出力することもできる。
【0039】
更にまた、通信部6は、情報センター、例えば、道路交通情報通信システムセンター62等から送信された渋滞情報、交通規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況等の各情報から成る道路交通情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信するビーコンレシーバである。また、通信部6は、ネットワーク61としてLAN、WAN、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系において通信を可能とするネットワーク機器である。更に、通信部6は道路交通情報通信システムセンター62からの情報の他に、ニュース、天気予報等の情報から成るFM多重情報を、FM放送局を介してFM多重放送として受信するFM受信機を備える。なお、前記ビーコンレシーバ及びFM受信機は、ユニット化されてVICSレシーバとして配設されるようになっているが、別々に配設することもできる。
【0040】
ナビ情報処理部8の交通情報DB81には、道路交通情報通信システムセンター62から受信した渋滞の実際の長さ、渋滞解消の見込まれる時刻等から構成される現況の道路の渋滞等に関する道路交通情報から作成した渋滞情報82が格納されている。また、この交通情報DB81には、道路交通情報通信システムセンター62から受信した交通規制のある道路工事、建築工事等による交通規制情報等に関する道路交通情報から作成した交通規制情報83が格納されている。
道路交通情報通信システムセンター62から受信した各道路交通情報には、種別情報、位置、渋滞区間の距離、渋滞度等の情報と共に、VICSリンクIDが含まれる。VICSリンクIDは、道路を所定の交差点毎に分割して規格化された走行案内用リンクとしてのVICSリンクに付与された識別番号である。なお、前記道路交通情報には、各VICSリンクにおける始点及び終点の座標、始点から終点までの距離等の情報も含まれている。
【0041】
なお、地図情報DB84に記憶される道路とVICSリンクとは同一ではない。即ち、一般的には、道路(リンク)の方がVICSリンクよりも細分化されている。そこで、交通情報DB81には、各道路に識別番号として付与されるリンクIDとVICSリンクIDとの間の変換テーブル(対照表)を有し、VICSリンクIDに基づいて、対応するリンクIDを特定することができるようになっている。そのため、本実施の形態1のナビゲーション装置は、道路交通情報通信システムセンター62からVICSリンクIDを受信すると、該VICSリンクIDに基づいて渋滞情報等の道路交通情報を表示すべき道路の区間を特定することができる。そして、道路交通情報通信システムセンター62から受信した現況の道路の渋滞等に関する道路交通情報のVICSリンクIDは、リンクIDに変換されて渋滞情報82として格納される。また、道路交通情報通信システムセンター62から受信した交通規制情報83等に関する道路交通情報のVICSリンクIDは、リンクIDに変換されて交通規制情報83として格納される。
【0042】
また、地図情報DB84には、本実施の形態1のナビゲーション装置の走行案内やルート探索に使用されるナビ地図情報85が格納されている。ここで、ナビ地図情報85には、ルート案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、各新設道路を特定するための新設道路情報、地図32(図6参照)を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路に関するリンクデータ、ルートを探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOI(Point of Interest)に関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。そして、地図情報DB84の内容は、地図情報配信センターから通信部6を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0043】
目的地設定部9は、ディスプレイ3の前面に設けたタッチパネルによって構成されるディスプレイ3に接触させた指を検出する指接触検出部91を有している。指接触検出部91はディスプレイ3の前面に設けたタッチパネルによって指の接触した位置A(x1,y1)を検出する。また、指接触解除検出部92は、図6に示すように、指接触検出部91によってディスプレイ3の前面のタッチパネルに接触した指をタッチパネルの表面から離れた位置B(x2,y2)を検出するもので、指接触検出部91及び指接触解除検出部92で検出した指の接触した位置A(x1,y1)と接触解除の位置B(x2,y2)は、RAM12に格納される。なお、この指の接触と接触解除は、ここでは、主に、フリック操作を前提とする1本の指の動作検出について説明するが、2本の指の検出で図または写真の拡大縮小の機能を入力するものにも適用できる。フリック操作を前提とする指接触検出部91と指接触解除検出部92によって、フリック操作を前提とする画像を表示したディスプレイ3に指を接触させながら、所定の位置まで移動したことを検出する移動検出部90Aとすることができる。
【0044】
指移動速度検出部93は、指接触検出部91で記録した位置A(x1,y1)からどれだけ指の移動があったかを指接触解除検出部92の移動位置B(x2,y2)で検出し、かつ、その移動を開始した時間の経過から指の移動速度を検出する。また、指接触検出部91で記録した位置A(x1,y1)からの動きを水平(X軸)方向と垂直(Y軸)方向に分けて検出してもよい。即ち、指接触検出部91で記録した位置A(x1,y1)から所定の距離、例えば、10mm、20mm移動する際の時間を計測し、それを速度情報として使用することもできる。なお、指移動速度検出部93は、距離のみを基準として扱う場合には、この移動速度の検出を省略することができる。逆に、移動速度のみを基準として扱う場合には、距離の検出を省略することもできる。勿論、両者を同時に使用することもできる。本実施の形態では両者の大きい値を選択するものとして説明する。
また、指の移動速度を検出し、指の移動速度がゼロになった位置で移動位置B(x2,y2)と特定することもできる。即ち、指接触検出部91で記録した位置A(x1,y1)からどれだけ指の移動があったかを検出する指接触解除検出部92は、指の移動速度がゼロになった位置をもって移動位置B(x2,y2)と特定することができる。
そして、指接触検出部91と指移動速度検出部93によって、移動位置B(x2,y2)の移動速度を検出し、その移動速度がゼロを検出することにより、なぞり操作を前提とする画像を表示したディスプレイ3に指を接触させ、所定の位置まで移動したことを検出する移動検出部90Bとすることができる。
【0045】
ここで、前述の指接触検出部91と指接触解除検出部92は、本発明の実施の形態のフリック操作における画像を表示したディスプレイ3に指を接触させ、所定の位置まで移動したことを検出する移動検出部90Aを構成する。また、前述の指接触検出部91と指移動速度検出部93は、本発明の実施の形態のなぞり操作における画像を表示したディスプレイ3に指を接触させながら、所定の位置まで移動したことを検出する移動検出部90Bを構成する。この移動検出部90Aと移動検出部90Bの構成は、本発明を実施する場合には、何れか一方を設けることによって実施できるが、両者を搭載し、ユーザにその機能を選択させることもできる。
即ち、フリック操作における指の操作は、指接触解除検出部92で指が離れる状態を検出できるが、なぞり操作においては、指が離れる状態が生じない可能性もあり、移動位置B(x2,y2)で指の移動速度がなくなったときを検出できる。
【0046】
移動判定部94は、指接触検出部91で接触を検出した位置A(x1,y1)から指接触解除検出部92で接触解除を検出した位置B(x2,y2)に至るまでの指の移動が、水平移動距離(x2−x1)が長いかまたは垂直移動距離(y2−y1)が長いかを水平移動距離(x2−x1)と垂直移動距離(y2−y1)の大きさの比較によって判定する。
または、この移動判定部94は、指接触検出部91で接触を検出した位置A(x1,y1)から指接触解除検出部92で接触解除を検出した位置B(x2,y2)に至るまでの指の移動が、水平移動方向が速いかまたは垂直移動方向が速いかを水平移動速度と垂直移動速度の速さの比較によって判定してもよい。即ち、移動判定部94としては、指の移動距離で判断してもよいし、指の移動速度で判断してもよい。
【0047】
即ち、本実施の形態1の移動判定部94は、指接触検出部91と指接触解除検出部92で検出した指の位置が移動したことを検出するもので、指接触検出部91で記録した接触位置A(x1,y1)からどれだけ指の移動があったかを、移動を終了した時間の経過とともに移動後の接触解除位置B(x2,y2)を検出する。即ち、移動判定部94は、移動検出部91で検出した指の移動について、ディスプレイ3の辺に対して水平方向の移動距離と垂直方向の移動距離の大きさを比較し、水平方向の移動距離が大きい場合は水平移動が、垂直方向の移動距離が大きい場合は垂直移動が行われたと判定するもので、連続的に接触状態が維持されているか否かで指の移動を判断する。本実施の形態1の移動判定部94の比較は、水平方向と垂直方向で何れが大きいかを比較するものであるが、本発明を実施する場合、所定以上の倍率の開きを判定すると、水平移動距離と垂直移動距離の大小、水平移動速度と垂直移動速度の速い遅いの程度が、数倍以上の開きがあるときに、ずれの補正を行うことができ、水平方向及び垂直方向の移動以外の検出を効率よく行うことができる。なお、本実施の形態1では、水平移動速度と垂直移動速度の速い遅いは、実質的に水平移動距離と垂直移動距離の大小と同じであるから、ここでは、説明の容易さから、移動距離で説明する。
【0048】
補正値記憶部95は、移動判定部94で大きいと判定された水平移動距離(x2−x1)または垂直移動距離(y2−y1)に対して、小さいと判定された垂直移動距離(y2−y1)または水平移動距離(x2−x1)を、前記大きいと判定された水平移動距離(x2−x1)または垂直移動距離(y2−y1)に対するずれの補正値δxまたはずれの補正値δyとして記憶するものである。例えば、図6の例では、接触位置A(x1,y1)から移動後の接触解除位置B(x2,y2)を検出し、水平移動距離(x2−x1)と垂直移動距離(y2−y1)を計算すると、(x2−x1)>(y2−y1)であるから水平移動距離(x2−x1)に対してずれの補正値δy=(y2−y1)として格納するものである。即ち、補正値記憶部95は、前記判定された移動方向とは異なる直角方向への移動距離を判定された移動方向に対するずれの補正値として記憶するものである。
なお、水平移動距離と垂直移動距離に対するずれの補正値δy、ずれの補正値δxは、水平移動距離及び垂直移動距離を2乃至20に区画してその範囲内で適正値を選択するように学習させるのが望ましい。
【0049】
また、指接触検出部91で接触を検出した位置A(x1,y1)から指接触解除検出部92で接触解除を検出した位置B(x2,y2)に至るまでの間の指の移動が、例えば、初期移動で表現すると、水平移動速度dx1/dtが速いかまたは垂直移動速度dy1/dtが速いかを水平移動速度dx1/dtと垂直移動速度dy1/dtの速さの比較によって判定されたとき、判定された水平移動速度dx1/dtまたは垂直移動速度dy1/dtに対する速度のずれの補正値Δxまたはずれの補正値Δyとして記憶することでも対応できる。
【0050】
スクロール判定部96は、移動判定部94で垂直移動または水平移動と判定されたとき、水平移動距離(x2−x1)または垂直移動距離(y2−y1)の大きさから直角方向にずれの補正値δxまたはずれの補正値δyをベクトル合成してディスプレイ3の上でスクロール距離を特定するものである。また、本実施の形態1では、移動判定部94で垂直移動速度dy1/dtまたは水平移動速度dx1/dtが速いと判定したとき、水平移動速度dx1/dtまたは垂直移動速度dy1/dtの方向に対して速度のずれの補正値Δxまたはずれの補正値Δyをベクトル合成してスクロール速度を判定する。そして、両者を画像のスクロール距離に置き換えて、その距離の大きい方を選択する。この選択は、水平移動速度dx1/dtまたは垂直移動速度dy1/dtが速いことは、スクロール距離を大きくすることを意図しているから、両者の大きい値を選択しているが、両者の中間値であっても、最小値であってもよい。勿論、移動距離のみを取り上げてもよい。
【0051】
スクロール出力部97は、移動判定部94で垂直移動または水平移動と判定されたとき、その垂直移動または水平移動の各々の水平移動速度dx1/dtまたは垂直移動速度dy1/dtまたは距離C(x2−y1)のうちの1以上の大きさから、ディスプレイ3に表示されている画像のスクロール距離を特定し、スクロールを行うものである。なお、本実施の形態では、ディスプレイ3の位置A,B,Cからそのディスプレイ3に表示されている画像のスクロール位置を特定するものであるが、直接、ディスプレイ3に表示されている画像からそのスクロール位置を算出してもよい。
【0052】
次に、このように構成された本実施の形態1の入出力表示装置としてのナビゲーション装置の制御について、ディスプレイ3の画面表示の図2及び図3と共に説明する。
図2は、車両のメインプログラムの実行によってディスプレイ3にメインメニュー画面が表示される。このメインメニュー画面から目的地設定30のメニューを選択することにより、図3に示す目的地設定画面が表示される。ここで地図検索31のメニューを選択すると、「地図検索」のプログラムが実行される。
【0053】
図4及び図5は、本実施の形態1の入出力表示装置としてのナビゲーション装置の「地図検索ルーチン」のフローチャートであり、車両のメインプログラムの実行中に、車両が停止しているとき、地図検索31のメニューを選択するとコールされる。
まず、車両のメインプログラムの実行中に地図検索31が選択されると、続いて、ステップS1で図3の地図検索31のタッチスイッチがオンされているかを判断し、このルーチンの処理に入る。同時に画面は図6に示すようにディスプレイ3に現在位置33の地図32に「地点登録」の地図検索モードに入っていることを示す。
なお、図6乃至図9において、詳細キー51は地図を更に細部まで拡大して示すキーであり、逆に、広域キー55は地図を更に広い範囲を示すキーであり、offキー52はこの表示ルーチンを終了して元に戻すキーである。表示変更キー53は2D表示及び3D表示を選択するキーである。地点登録キー54は、選択された場所を登録するキーである。
【0054】
ステップS2で指のタッチスイッチへの接触を判断し、タッチスイッチへの接触を判断すると、ステップS3でタッチスイッチ上の位置A(x1,y1)を読込み、ステップS4で指のタッチスイッチ上の位置A(x1,y1)をRAM12に記憶する。ステップS5で指の位置A(x1,y1)の移動がなされたか否かを判断し、指の位置A(x1,y1)の移動がなされるのを待ってステップS6に進む。指の位置A(x1,y1)の移動がなされる間で、ステップS2乃至ステップS5のルーチンの処理を行う。
【0055】
ステップS5で指の位置A(x1,y1)の移動がなされたと判断すると、ステップS6でタッチスイッチ上の位置B(x2,y2)を読込み、ステップS7で指のタッチスイッチ上の位置B(x2,y2)をRAM12に記憶する。ステップS8で指の位置A(x1,y1)から移動する指の移動速度を計算する。なお、本実施の形態1では微分値を採用しているが、単位時間当たりの移動距離、または所定の距離10、20、30mm等移動する場合の時間で速度を表すことができる。
ステップS9は移動位置B(x2,y2)で指の移動が停止したことを判断するもので、特に、なぞり操作においては、指が離れる状態が生じない可能性もあり、移動位置B(x2,y2)で指の移動速度がなくなったときを検出するものである。また、フリック操作においては、ステップS9で指接触解除検出部92によって指が離れる状態を検出する方法とすることもできる。なお、ステップS9をステップS5の次に行い、指の移動速度がなくなったとき移動位置B(x2,y2)を決定してもよい。
【0056】
ステップS10で垂直移動距離(Y軸)の移動距離(y2−y1)と水平移動距離(X軸)の移動距離(x2−x1)を計算する。ステップS11で垂直移動距離(Y軸)の移動距離(y2−y1)がずれの補正δxを行う範囲内でないとする閾値Ty未満であり、かつ、垂直移動距離(Y軸)の移動距離(x2−x1)がずれの補正δyを行う範囲内でないとする閾値Tx未満であると判断したとき、ステップS12の処理に入る。ステップS11でY軸の移動距離(y2−y1)とX軸の移動距離(x2−x1)の何れか一方でも補正を行う範囲より大きいとき、ステップS12で回避要件であるか否かを判断する。
ステップS11で垂直移動距離(Y軸)の移動距離(y2−y1)がずれの補正δxを行う範囲内の閾値Ty未満であり、かつ、垂直移動距離(Y軸)の移動距離(x2−x1)がずれの補正δyを行う範囲内の閾値Tx未満であると判断したとき、ステップS13で移動距離と移動速度の画像移動距離の大きい方を選択し、ステップS14でそれを出力する。
【0057】
この回避要件としては、移動検出部90A,90Bの移動が地図に示された所定の道路、鉄道、河川(橋)の何れか1つと一致する場合、所定方向以外のスクロールを可能とするステップS13の処理に入る。また、この回避要件は、移動検出部90A,90Bで指を接触させた位置の近傍に登録地または特定のアイコンが存在する場合には、所定方向以外のスクロールを可能とするものである。なお、この回避要件は、任意に選択すればよく、前述の例に限られるものではない。
ステップS12で回避要件が適用されるとき、ステップS13でY軸の移動距離(y2−y1)とX軸の移動距離(x2−x1)の移動距離と水平移動速度(dx1/dt)と垂直移動速度(dy1/dt)の移動速度の画像移動距離の大きい方を選択し、ステップS14でそれを出力する。勿論、ステップS12の選択は、両者の平均をとってもよいし、大きい方または小さい方の数値を選択してもよい。
【0058】
ステップS12で回避要件が適用されないとき、ステップS15でY軸の移動距離(y2−y1)とX軸の移動距離(x2−x1)の比較を行う。
ステップS15で指の移動が、水平移動距離(X軸)側が垂直移動距離(Y軸)側よりもその移動距離が大きいとき、ステップS16でX軸基準のマップにずれの補正値δyに対応してY軸の移動距離(y2−y1)を格納し、ステップS17でずれの補正値δyのマップに書き込んだY軸の移動距離(y2−y1)の平均値を算出する。この平均値は、相加平均、相乗平均当の算術平均を取ればよいが、格納したデータ数が多い場合には、それが正規分布を呈することから、確率分布から平均を求めるのが好適である。次に、ステップS18でX軸の移動距離(x2−x1)に対して、平均化したずれの補正値δyをベクトル合成して、それをステップS19で画像のスクロール距離として計算し、出力する。
【0059】
ステップS15で指の移動が、水平移動距離(X軸)側が垂直移動距離(Y軸)側よりもその移動距離が大きくないとき、ステップS20でY軸基準のマップにずれの補正値δxに対応してX軸の移動距離(x2−x1)を格納し、ステップS21でずれの補正値δxのマップに書き込んだX軸の移動距離(x2−x1)の平均値を算出する。この平均値は前述したように求めることができる。次に、ステップS22で垂直移動距離(Y軸)の移動距離(y2−y1)に対して、ずれの補正値δxをベクトル合成して、それをステップS19で画像のスクロール距離として計算し、出力する。
【0060】
本実施の形態1の入出力表示装置は、画像を表示したディスプレイ3に指を接触させ、所定の位置まで移動したことを検出するステップS1乃至ステップS9からなる移動検出部90A,90Bと、移動検出部90A,90Bの何れかによって検出した指の移動について、ディスプレイ3の辺に対して水平移動または垂直移動かを水平移動距離(x2−x1)と垂直移動距離(y2−y1)の大きさの比較によって判定するステップS15からなる移動判定部94と、指の移動が、移動判定部94で大きいと判定された水平移動距離(x2−x1)または垂直移動距離(y2−y1)に対して、小さいと判定された垂直移動距離(y2−y1)または水平移動距離(x2−x1)を、大きいと判定された水平移動距離(x2−x1)または垂直移動距離(y2−y1)に対するずれの補正値δy,δxとして記憶するステップS16及びステップS17、ステップS20及びステップS21からなる補正値記憶部95と、移動判定部94で垂直移動または水平移動と判定されたとき、水平移動距離(x2−x1)または垂直移動距離(y2−y1)の大きさから直角方向にずれの補正値δy,δxをベクトル合成してスクロール距離を特定するステップS18またはステップS22からなるスクロール判定部96、移動判定部94で垂直移動または水平移動と判定されたとき、前記垂直移動または前記水平移動の各々の距離の大きさからスクロール距離を特定するスクロール出力部97を具備するものである。
【0061】
なお、移動検出部90A,90Bは、画像を表示したディスプレイ3に指を接触させたことを検出するステップS2乃至ステップS4からなる指接触検出部91と、ディスプレイ3から指の接触が断たれたことを検出するステップS5乃至ステップS7からなる指接触解除検出部92とによってなる画像を表示したディスプレイ3に指を接触させ、所定の位置まで移動したことを検出する移動検出部90Aであり、また、画像を表示したディスプレイ3に指を接触させたことを検出するステップS2乃至ステップS4からなる指接触検出部91と、ディスプレイ3上の指の移動が停止したことを検出するステップS9からなる指移動速度検出部93によってなる画像を表示したディスプレイ3に指を接触させ、所定の位置まで移動したことを検出する移動検出部90Bである。
【0062】
本実施の形態の入出力表示装置は、例えば、フリック操作であれば、画像を表示したディスプレイ3に指を接触させた位置を指接触検出部91で検出し、ディスプレイ3から指の接触が断たれた位置を指接触解除検出部92で検出し、その指接触検出部91で接触を検出した位置から指接触解除検出部92で接触解除を検出した位置までの指の移動が、水平移動か、垂直移動かを水平移動距離(x2−x1)と垂直移動距離(y2−y1)の大きさの比較によって判定し、大きいと判定された水平移動距離(x2−x1)または垂直移動距離(y2−y1)に対して、小さいと判定された垂直移動距離(y2−y1)または水平移動距離(x2−x1)をずれの補正値δy、δxとして補正値記憶部95に記憶しておき、爾後、移動判定部94で垂直移動または水平移動と判定されたとき、水平移動距離(x2−x1)または垂直移動距離(y2−y1)の大きさから直角方向にずれの補正値δy、δxをベクトル合成してスクロールの入力であるか否かをスクロール判定部96で特定するものである。
【0063】
したがって、操作者のスクロールの癖をなくし、操作者が入力しようとする水平方向または垂直方向のスクロール入力が正確に判断され、操作者が意図しない間違いのないスクロールが行える。特に、スクロールの指示距離によってスクロール位置を決定するのに好適である。また、水平方向及び垂直方向のスクロール検出の信頼性を高めることによって、例えば、表示した画像の廻転指示等を正確に検出することができる。なお、微細な廻転であれば、水平方向及び垂直方向の両スクロールによって容易にスクロール指示を行うことができる。
【0064】
また、画像を表示したディスプレイ3に指を接触させたことを検出するステップS2乃至ステップS4からなる指接触検出部91と、ディスプレイ3上の指の移動が停止したことを検出するステップS9からなる指移動速度検出部93との構成からなる画像を表示したディスプレイ3に指を接触させ、所定の位置まで移動したことを検出する移動検出部90Bによって、なぞり操作にも対応させることができる。
即ち、本発明を実施する場合には、移動検出部90A,90Bを、画像を表示したディスプレイ3に指を接触させ、所定の位置まで移動したことを検出する手段とすれば、フリック操作となぞり操作のいずれにも使用できる。
【0065】
例えば、図6に示すように、フリック操作において、指接触検出部91で接触を検出した位置Aから指接触解除検出部92で検出した位置Bまでの移動があったとき、ずれの補正値δyのベクトルを加算することにより、水平方向の移動入力を得ることができる。また、図6に示すように、指接触検出部91で接触を検出した位置Aから指接触解除検出部92で検出した位置Bまでの移動があったとき、仮に水平の移動でなくとも、図7に示すように、ずれの補正値δyのベクトルを加算することにより、スクロール制御の個人差を補正することができる。勿論、垂直においても同様である。
【0066】
また、例えば、図8に示すように、指接触検出部91で接触を検出した位置Aから指接触解除検出部92で検出した位置Bまでの移動があったとき、位置Bの付近で急激に変化した場合でも、ずれの補正値δyのベクトルを加算することにより、スクロール制御の個人差を補正することができる。また、本実施の形態では、ステップS17及びステップS21でずれの補正値δyを平均値として計算するものであるが、学習によって確率の高いずれの補正値δy、δxを要しておき、それを選択することもできる。
図9に示す事例がその例で、学習によって確率の高いずれの補正値δy、δxを有しているので、位置Bの場合でも、ずれの補正値δyのベクトルを加算することにより、補正することができる。
【0067】
また、上記実施の形態で垂直移動距離(y2−y1)、水平移動距離(x2−x1)として用いた情報を速度情報として実施することもできる。
即ち、本実施の形態1の入出力表示装置は、フリック操作において、画像を表示したディスプレイ3に指を接触させたことを検出するステップS2乃至ステップS4からなる指接触検出部91と、ディスプレイ3から指の接触が断たれたことを検出するステップS5乃至ステップS7からなる指接触解除検出部92と、指接触検出部91で接触を検出した位置Aから指接触解除検出部92で接触解除を検出した位置Bまでの指の移動が、水平移動または垂直移動かを水平移動速度dx1/dtと垂直移動速度dy1/dtの大きさの比較によって判定するステップS8からなる移動判定部94と、移動判定部94で速いと判定された水平移動速度dx1/dt)または垂直移動速度dy1/dtに対して、小さいと判定された垂直移動速度dy1/dtまたは水平移動速度dx1/dtを、大きいと判定された水平移動速度dx1/dtまたは垂直移動速度dy1/dtに対するずれの補正値Δy,Δxとして記憶するステップS16及びステップS17、ステップS20及びステップS21からなる補正値記憶部95と、移動判定部94で垂直移動または水平移動と判定されたとき、水平移動速度dx1/dtまたは垂直移動速度dy1/dtの大きさから直角方向にずれの補正値Δy,Δxをベクトル合成してスクロール距離を特定するステップS18またはステップS22からなるスクロール判定部96と、移動判定部94で垂直移動または水平移動と判定されたとき、前記垂直移動または前記水平移動の各々の速度の速さからスクロール距離を特定するスクロール出力部97を具備する構成の発明として捉えることができる。
【0068】
フリック操作における画像を表示したディスプレイ3に指を接触させたことを検出するステップS2乃至ステップS4からなる指接触検出部91と、ディスプレイ3から指の接触が断たれたことを検出するステップS5乃至ステップS7からなる指接触解除検出部92は、なぞり操作においては、画像を表示したディスプレイ3に指を接触させたことを検出するステップS2乃至ステップS4からなる指接触検出部91と、ディスプレイ3から指の接触移動が停止したがことを検出するステップS28からなる指移動速度検出部93と置き換え、また、移動判定部94は、指接触検出部91で接触を検出した位置Aから指指移動速度検出部93で指の停止を検出した位置Bまでの指の移動が、水平移動または垂直移動かを水平移動速度dx1/dtと垂直移動速度dy1/dtの大きさの比較によって判定するもので、ステップS8で処理されることになる。
【0069】
本実施の形態1の入出力表示装置と同様に、フリック操作であれば、画像を表示したディスプレイ3に指を接触させた位置を指接触検出部91で検出し、ディスプレイ3から指の接触が断たれた位置を指接触解除検出部92で検出し、その指接触検出部91で接触を検出した位置から指接触解除検出部92で接触解除を検出した位置までの指の移動が、水平移動か、垂直移動かを水平移動速度dx1/dtと垂直移動速度dy1/dtの速さの比較によって判定し、速いと判定された水平移動速度dx1/dtまたは垂直移動速度dy1/dtに対して、小さいと判定された垂直移動速度dy1/dtまたは水平移動速度dx1/dtをずれの補正値Δy、Δxとして補正値記憶部95に記憶しておき、爾後、移動判定部94で垂直移動または水平移動と判定されたとき、水平移動速度dx1/dtまたは垂直移動速度dy1/dtの大きさから直角方向にずれの補正値Δy、Δxをベクトル合成してスクロールの入力であるか否かをスクロール判定部96で特定するものである。
したがって、垂直方向または水平方向のスクロールの個人差をなくして、操作者の意図に合致させて入力自在とすることができる。
【0070】
本実施の形態1にかかる入出力表示装置の移動判定部94は、ディスプレイ3の所定の幅内の操作についてのみ、指接触検出部91で検出した位置から指接触解除検出部92で検出した位置までの指の移動が水平移動または垂直移動かを水平移動距離(x2−x1)と垂直移動距離(y2−y1)の大きさの比較によって判定する対象とするものであるから、ディスプレイ3の縦の中間位置及び横の中間位置の所定の幅内の操作、或いはディスプレイ3の4辺の内側の所定の幅内の操作、或いはその他の操作を水平移動か、垂直移動かを判定するものであるから、人の特性に合わせて、水平移動または垂直移動の判別を行うことができる。
【0071】
具体的には、移動判定部94が、ディスプレイ3の中央またはディスプレイ3の4辺の内側の所定の幅内の操作についてのみ、指接触検出部91で検出した位置から指接触解除検出部92で検出した位置までの指の移動が水平移動または垂直移動かを水平移動距離(x2−x1)と垂直移動距離(y2−y1)の大きさの比較によって判定するものであるから、人の記憶が容易なディスプレイ3の中央またはディスプレイ3の4辺の内側の所定の幅内の操作についてのみ設定するものであるから、入力された内容の判別速度が速くなり、かつ、人のスクロールの意識によって各自意図的に間違いのない水平または垂直操作を行うこともできる。
【0072】
本実施の形態1にかかる入出力表示装置の補正値記憶部95の距離のずれの補正値δy、δx、速度のずれの補正値Δy、Δxは、初期設定として使用者の特性に合致した距離のずれの補正値δy、δx、速度のずれの補正値Δy、Δxを設定するものであるから、初期設定の際に距離のずれの補正値δy、δx、速度のずれの補正値Δy、Δxを補正値記憶部95に記憶させることにより、爾後の判断を距離のずれの補正値δy、δx、速度のずれの補正値Δy、Δxの読み出しによって行うことから、高速処理が可能となる。
また、移動判定部94の比較は、所定以上の倍率の開きがあるものであるから、大きな開きがあるものを誤差と解釈して、距離のずれの補正値δy、δx、速度のずれの補正値Δy、Δxとして扱うことにより、水平方向及び垂直方向の移動以外の検出を効率よく行うことができる。即ち、本実施の形態の比較を倍率で処理すると効果的な結果が得られる。このように、垂直移動(y2−y1)または水平移動(x2−x1)と判定されたとき、垂直移動(y2−y1)または水平移動(x2−x1)の各々の速度または距離のうちの1以上の大きさから、速度のずれの補正値Δy、Δxまたは距離のずれの補正値δy、δxを補正して、スクロール距離を特定するものである。
【0073】
[実施の形態2]
図10は本実施の形態2の入出力表示装置として、ナビゲーション装置に使用した事例で説明するものである。特に、本実施の形態2では、実施の形態1との相違点のみ説明する。
本実施の形態2の入出力表示装置は、実施の形態1の補正値記憶部95を有していない。本実施の形態2の入出力表示装置は、補正値記憶部95に代わって移動方向判別エリア部98を有している。
この移動方向判別エリア部98は、ディスプレイ3の中央に十字状に水平移動または垂直移動に所定の幅の垂直エリア3e、水平エリア3fを特定するエリア及びディスプレイ3の上辺エリア3a、下辺エリア3d、右辺エリア3c、左辺エリア3bの設定部であり、初期設定要件として設定される。
【0074】
次に、このように構成された本実施の形態2の入出力表示装置としてのナビゲーション装置の制御について説明する。図11のルーチンは、初期設定ルーチンとして、初期設定の際に行われるものである。
まず、初期化において、ステップS01で図12に示すように、準備してあるディスプレイ3の4辺、即ち、ディスプレイ3の上辺エリア3a、下辺エリア3d、右辺エリア3c、左辺エリア3bの各辺を独立させて上辺エリア3aと右辺エリア3cまたは左辺エリア3bを選択するか、または下辺エリア3dと右辺エリア3cまたは左辺エリア3bを選択するか、そして、中央に十字状に水平方向及び垂直方向の水平エリア3f、垂直エリア3eを点灯させて表示する。それによってエリア設定する個所の表示を行う。次に、ステップS02で点灯するエリア領域(上辺エリア3a、下辺エリア3d、右辺エリア3c、左辺エリア3b、垂直エリア3e、水平エリア3f)から所望のエリアを、エリア領域(上辺エリア3a、下辺エリア3d、右辺エリア3c、左辺エリア3b、垂直エリア3e、水平エリア3f)及びエリア選択キー35をタッチすることにより、エリア選択を行う。このとき、選択されたエリアは点滅となる。
【0075】
ステップS03でエリア選択した箇所の表示が、例えば、淡い黄色、淡いオレンジ色、淡い緑色等の透過性の色彩で表示され、エリア選択完了キー36の操作を行わない限り、ステップS01からステップS03、ステップS04及びステップS06で否定され、ステップS08のエリア選択のルーチンを繰り返し実行する。
次に、ステップS04でエリア幅を決定するために、設定した点滅エリアの表示を連続点灯として、幅を広くするエリア幅拡大入力キー37が押されたとき、ステップS05で1回の押圧毎に片側0.5mm広くし、また、ステップS06で幅を狭くする幅縮小入力キー38が押されたとき、ステップS07で1回の押圧毎に片側0.5mm狭くし、また、ステップS08でエリア設定完了キー36を押圧するまで、ステップS01乃至ステップS08のルーチンを繰り返し実行する。エリア設定完了キー36を押圧することにより、エリア領域(上辺エリア3a、下辺エリア3d、右辺エリア3c、左辺エリア3b、垂直エリア3e、水平エリア3f)から所望のエリアとその幅が決定され、この初期設定ルーチンを終了する。
【0076】
次に、このように構成された本実施の形態2の入出力表示装置としてのナビゲーション装置の地図検索ルーチンの制御について説明する。
図13及び図14は、本実施の形態2の入出力表示装置としてのナビゲーション装置の「地図検索ルーチン」のフローチャートであり、車両のメインプログラムの実行中に、車両が停止しているとき、地図検索31のメニューを選択するとコールされる。
まず、車両のメインプログラムの実行中に地図検索31が選択されると、続いて、ステップS21で図3の地図検索31のタッチスイッチがオンされているかを判断し、このルーチンの処理に入る。同時に画面は図15に示すようにディスプレイ3に現在位置33の地図32に「地点登録」の地図検索モードに入っていることを示す。
【0077】
ステップS22で指のタッチスイッチへの接触を判断し、タッチスイッチへの接触を判断すると、ステップS23でタッチスイッチ上の位置A(x1,y1)を読込み、ステップS24で指のタッチスイッチ上の位置A(x1,y1)をRAM12に記憶する。ステップS25で指の位置A(x1,y1)の移動がなされたか否かを判断し、指の位置A(x1,y1)の移動がなされるのを待ってステップS26に進む。指の位置A(x1,y1)の移動がなされる間で、ステップS22乃至ステップS25のルーチンの処理を行う。
【0078】
ステップS25で指の位置A(x1,y1)の移動がなされたと判断すると、ステップS26でタッチスイッチ上の位置B(x2,y2)を読込み、ステップS27で指のタッチスイッチ上の位置B(x2,y2)をRAM12に記憶する。ステップS28で指の位置A(x1,y1)から移動する指の移動速度を計算する。なお、本実施の形態2では微分値を採用しているが、単位時間当たりの移動距離、または所定の距離10〜30mm移動する場合の時間で速度を表すことができる。
次に、ステップS29で移動位置B(x2,y2)で指の移動が停止したかを判断する。特に、なぞり操作においては、指が離れる状態が生じない可能性もあり、移動位置B(x2,y2)で指の移動速度がなくなったときを検出するものである。
【0079】
ステップS30で垂直移動距離(Y軸)の移動距離(y2−y1)と水平移動距離(X軸)の移動距離(x2−x1)を計算する。次に、ステップS31で回避要件として移動検出部90A,90Bの移動が地図に示された所定の道路、鉄道、河川の何れか1つと一致する場合、所定方向以外のスクロールを可能とし、ステップS36の処理に入る。また、この回避要件は、移動検出部90A,90Bで指を接触させた位置の近傍に登録地または特定のアイコンが存在する場合には、所定方向以外のスクロールを可能とするものである。なお、この回避要件は、任意に選択すればよい。
【0080】
ステップS31で回避要件に該当しないとき、ステップS32で水平移動距離(X軸)の移動距離(x2−x1)が水平エリア3fの範囲内であるかを垂直移動距離(Y軸)の移動距離(y2−y1)で判断し、水平移動距離(X軸)の移動距離(x2−x1)が水平エリア3fの範囲内であると、ステップS33で水平移動距離(x2−x1)とステップS28で計算した水平移動速度dx1/dtの画像移動距離の大きい方を選択する。また、ステップS34で水平移動距離(X軸)の移動距離(x2−x1)が垂直エリア3fの範囲内であるかを垂直移動距離(Y軸)の移動距離(y2−y1)で判断し、垂直移動距離(Y軸)の移動距離(y2−y1)が垂直エリア3eの範囲内であると、ステップS35で垂直移動距離(y2−y1)とステップS28で計算した垂直移動速度dy1/dtの画像移動距離の大きい方を選択する。
【0081】
そして、ステップS36で垂直移動距離(Y軸)の移動距離(y2−y1)が垂直エリア3eの範囲内でないと判断し、水平移動距離(X軸)の移動距離(x2−x1)が水平エリア3fの範囲内でないと判断すると、ステップS37で垂直移動距離(y2−y1)、水平移動距離(x2−x1)と、ステップS28で計算した水平移動速度dx1/dt、垂直移動速度dy1/dtの画像移動距離の大きい方を選択する。
そして、ステップS38でステップS33またはステップS35またはステップS37の選択を画像のスクロール距離として計算し、出力する。
【0082】
このように、本実施の形態の入出力表示装置は、画像を表示したディスプレイ3に指を接触させ、所定の位置まで移動したことを検出するステップS22乃至ステップS24からなる移動検出部90Aと、ディスプレイ3の水平方向及び垂直方向にそれぞれ所定の幅のエリアを設定するステップS01乃至ステップS08からなる移動方向判別エリア部98と、移動検出部90Aによって検出した指の移動が、移動方向判別エリア部98のエリア領域(上辺エリア3a、下辺エリア3d、右辺エリア3c、左辺エリア3b、垂直エリア3e、水平エリア3f)内であるとき、水平移動または垂直移動と判定するステップS32、ステップS34、ステップS36からなる移動判定部94、即ち、移動検出部90Aで検出した指の移動が、移動方向判別エリア部98の水平方向のエリア内であるときは水平移動と判定し、移動方向判別エリア部98の垂直方向のエリア内であるときは垂直移動と判定する移動判定部94と、移動判定部94で垂直移動と判定されたときは指の垂直成分の移動距離からスクロール位置を特定し、水平移動と判定されたときは指の水平成分の移動距離からスクロール位置を特定するステップS33、ステップS35、ステップS37、ステップS38からなるスクロール出力部97とを具備するものである。
【0083】
本実施の形態にかかる入出力表示装置は、まず、ディスプレイ3に水平移動または垂直移動に所定の幅のエリア領域(上辺エリア3a、下辺エリア3d、右辺エリア3c、左辺エリア3b、垂直エリア3e、水平エリア3f)を移動方向判別エリア部98として特定しておく。フリック操作であれば、画像を表示したディスプレイ3に指を接触させた位置を指接触検出部91で検出し、ディスプレイ3から指の接触が断たれた位置を指接触解除検出部92で検出し、そして、指接触検出部91で接触を検出した位置から指接触解除検出部92で接触解除を検出した位置までの指の移動が、移動方向判別エリア部98のエリア領域(上辺エリア3a、下辺エリア3d、右辺エリア3c、左辺エリア3b、垂直エリア3e、水平エリア3f)内であるとき、その位置によって移動判定部94で水平移動または垂直移動と判定し、前記垂直移動または前記水平移動の各々の速度または距離のうちの1以上の大きさからスクロール出力部97でスクロールを行うものである。
【0084】
同様に、なぞり操作であれば、画像を表示したディスプレイ3に指を接触させた位置を指接触検出部91で検出し、ディスプレイ3から指の移動が停止された位置を指移動速度検出部93からなる移動検出部90Bで検出し、そして、指接触検出部91で接触を検出した位置から移動検出部90Bで移動停止を検出した位置までの指の移動が、移動方向判別エリア部98のエリア領域(上辺エリア3a、下辺エリア3d、右辺エリア3c、左辺エリア3b、垂直エリア3e、水平エリア3f)内であるとき、その位置によって移動判定部94で水平移動または垂直移動と判定し、前記垂直移動または前記水平移動の各々の速度または距離のうちの1以上の大きさからスクロール出力部97でスクロールを行うものである。
【0085】
したがって、移動方向判別エリア部98の水平移動または垂直移動に特定された所定の幅のエリア領域(上辺エリア3a、下辺エリア3d、右辺エリア3c、左辺エリア3b、垂直エリア3e、水平エリア3f)内で操作者が操作したときには、その地点を検出するだけで水平方向または垂直方向のスクロール入力と判定できるから、スクロール指示が正確に判断され、間違いのないスクロールが行える。特に、スクロール判断が単純化され、スクロールの高速処理が可能になる。
【0086】
本実施の形態の移動方向判別エリア部98は、ディスプレイ3の中央またはディスプレイ3の4辺の内側の所定のエリア領域(上辺エリア3a、下辺エリア3d、右辺エリア3c、左辺エリア3b、垂直エリア3e、水平エリア3f)内の操作についてのみ、指接触検出部91で検出した位置から指接触解除検出部92で検出した位置までの指の移動が水平移動または垂直移動かを判定するものであるから、人の記憶が容易なディスプレイ3の中央またはディスプレイ3の4辺の内側の所定の幅内の操作についてのみ設定するものであるから、入力された内容の判別速度が速くなり、かつ、人のスクロールの意識によって各自意図的に間違いのない水平または垂直操作を行うこともできる。
【0087】
また、移動方向判別エリア部98は、所定のエリア領域(上辺エリア3a、下辺エリア3d、右辺エリア3c、左辺エリア3b、垂直エリア3e、水平エリア3f)内を淡い色の透明色で表示するものであるから、人のスクロールの意識の向上によって各自意図的に間違いのない水平または垂直操作を行うことができる。
そして、上記実施の形態2の指接触検出部91で接触を検出した位置から指接触解除検出部92で接触解除を検出した位置までの指の移動が、移動方向判別エリア部98のエリア領域(上辺エリア3a、下辺エリア3d、右辺エリア3c、左辺エリア3b、垂直エリア3e、水平エリア3f)内であるとき、その位置によって移動判定部94で水平移動または垂直移動と判定し、前記垂直移動または前記水平移動の各々の速度または距離のうちの1以上の大きさからスクロール出力部97でスクロールを行うものである。しかし、本発明を実施する場合には、前記垂直移動または前記水平移動の各々の速度または距離またはその両者によって単一の出力を決定することができる。
【0088】
なお、本発明を実施する場合、地図または写真上の特定位置の表示が可能な入出力表示装置においては、地図または写真上の位置を地図の拡大、縮小、スクロールによって特定の場所を拡大、縮小表示する携帯電話を含む携帯情報機器、電子ブック等の表示出力及び表示入力が可能な装置に使用するものであり、入力に正確さが要求されないので、その扱いが容易である。
【0089】
また、本発明を実施する場合、画像を表示したディスプレイ3に指を接触させたことを検出する指接触検出部91と、ディスプレイ3から指の接触を断ったことを検出する指接触解除検出部92は、接触距離として扱うことができるし、移動速度としても扱うことができる。発明者らの経験則によれば、何れを選択したとしても実質的に両者に違いは殆んどないから、移動速度及び移動距離は技術的には同意語と解釈できるものである。そして、上記実施の形態では、指接触解除検出部92によって接触がなくなったときを検出しているが、フリックにおいては、指の接触移動が停止した位置を指接触解除検出部92の指の接触を断った位置となる。
したがって、本発明を実施する場合には、これらの手段に影響されるものではなく、画像を表示したディスプレイ3に指を接触させ、所定の位置まで移動したことを検出する移動検出部90Aと移動検出部90Bの何れを使用してもよい。結果的に、操作者の意図が検出できればよい。
【符号の説明】
【0090】
1 演算・制御部
3 ディスプレイ
3a 上辺エリア(エリア領域)
3b 左辺エリア(エリア領域)
3c 右辺エリア(エリア領域)
3d 下辺エリア(エリア領域)
3e 垂直エリア(エリア領域)
3f 水平エリア(エリア領域)
12 RAM
32 地図
33 現在位置
9 目的地設定部
91 指接触検出部
92 指接触解除検出部
93 指移動速度検出部
94 移動判定部
95 補正値記憶部
96 スクロール判定部
97 スクール出力部
98 移動方向判別エリア部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示したディスプレイに指を接触させ、所定の位置まで移動したことを検出する移動検出部と、
前記移動検出部で検出した指の移動について、ディスプレイの辺に対して水平方向の移動距離と垂直方向の移動距離の大きさを比較し、水平方向の移動距離が大きい場合は水平移動が、垂直方向の移動距離が大きい場合は垂直移動が行われたと判定する移動判定部と、
前記判定された移動方向とは異なる直角方向への移動距離を前記判定された移動方向に対するずれの補正値として記憶する補正値記憶部と、
前記移動判定部で判定された移動方向への移動距離垂直移動距離の大きさから直角方向に前記ずれの補正値をベクトル合成してスクロール位置を特定するスクロール判定部と
を具備することを特徴とする入出力表示装置。
【請求項2】
前記移動判定部は、前記移動検出部で検出した指の移動を、前記ディスプレイの所定の幅内の操作についてのみ、水平移動または垂直移動かを水平移動距離と垂直移動距離の大きさの比較によって判定することを特徴とする請求項1に記載の入出力表示装置。
【請求項3】
前記移動判定部は、前記ディスプレイの所定の角度内の操作についてのみ、前記画像を表示したディスプレイに指を接触させ、所定の位置まで移動したことを検出し、指の移動が水平移動または垂直移動かを判定することを特徴とする請求項1に記載の入出力表示装置。
【請求項4】
前記移動判定部は、前記ディスプレイ中央または前記ディスプレイの4辺の内側の所定の幅内の操作についてのみ、前記移動検出部で検出した指の移動が水平移動または垂直移動かを判定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の入出力表示装置。
【請求項5】
前記補正値記憶部は、学習によって最適なずれの補正値を選択することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の入出力表示装置。
【請求項6】
前記補正値記憶部のずれの補正値は、初期設定として使用者の特性に合致したずれの補正値を設定することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1つに記載の入出力表示装置。
【請求項7】
前記移動判定部の比較は、所定以上の倍率の開きがあることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の入出力表示装置。
【請求項8】
前記移動判定部は、前記移動検出部で検出した指の移動が、地図に示された所定の道路、鉄道、河川の何れか1つと一致する場合には、所定方向以外のスクロールを可能とすることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1つに記載の入出力表示装置。
【請求項9】
前記移動判定部は、前記移動検出部で検出した指の移動が、前記指を接触させた位置の近傍に登録地または特定のアイコンが存在する場合には、所定方向以外のスクロールを可能とすることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1つに記載の入出力表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−70554(P2011−70554A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222949(P2009−222949)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】