入力キーの盗撮防止構造、および自動取引装置
【課題】利用者の視認性、操作性を損なうことなく暗証番号の盗み取りを防止可能な入力キーの盗撮防止構造、および自動取引装置を提供する。
【解決手段】所定の情報を入力するためのキー部を有した装置における、キー部に対する盗撮を防止するための入力キーの盗撮防止構造であって、装置の前面に対して奥行方向に凹形状をなして形成され、前面に開口部を有したカバー部を備え、カバー部の凹形状をなして形成された空間にキー部を有し、装置の前面以外のカバー部を形成する面がキー部を囲むように、キー部が配置されている。
【解決手段】所定の情報を入力するためのキー部を有した装置における、キー部に対する盗撮を防止するための入力キーの盗撮防止構造であって、装置の前面に対して奥行方向に凹形状をなして形成され、前面に開口部を有したカバー部を備え、カバー部の凹形状をなして形成された空間にキー部を有し、装置の前面以外のカバー部を形成する面がキー部を囲むように、キー部が配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置等の装置において入力される暗証番号等の入力キーの盗撮を防止する構造、および自動取引装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動取引装置等の装置で入出金等の取引を行う場合、カードを挿入して、暗証番号を入力することで取引を行うことが出来るが、現金自動取引装置では、装置と壁の隙間を塞ぐ枠やATM(Automated teller machine)を収納したブースの天井部に盗撮カメラを取付けられ、犯罪者に暗証番号を盗み取られると、スキミングによるカード情報取得で不正に偽造したカードやカード強盗により不正に現金を引き出される可能性がある。これを解決する為、暗証番号入力キー全体を覆うカバーを設けている。このカバーの内部に利用者からの死角になる部分があり、その部分に盗撮カメラを取付けられても利用者は気付かないため、暗証番号を盗み取られる危険性がある。このため、カバー内部の表面を凸凹やR形状にして盗撮カメラの取付けを抑止する方法や、入力キー上面の壁にルーバー形状のスリットを設けて操作者からは内部のキーが確認でき、装置と壁の隙間を塞ぐ枠に取付けられた盗撮カメラからはキーを撮影できなくする方法がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−287646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、屋外設置時の装置と壁の隙間を塞ぐ枠や、ATMを収納したブースの天井部に付けられた盗撮カメラによる暗証番号の盗み取りを防止する覗き見防止カバーの、入力キーの上面を不透明な素材で完全に覆うカバー形状にすると、利用者の視認性が悪くなり、死角も増え、覗き見防止カバーの内部に盗撮カメラを取り付けられても気付かない。また、両面テープでの取付け防止の目的で覗き見防止カバーの内部の形状を凸凹やR形状にした場合でも、貼付け面を同形状にすることや、厚みのある両面テープで貼り付けられる可能性がある。
【0005】
また、覗き見防止カバー上部の壁にルーバー形状のスリットを設けた場合、操作者の目線の位置で見え方が異なることにより死角は減るが完璧ではなく、盗撮カメラが取付けられていても、操作者が気付かない場合がある。また、スリットを利用しカメラを引っ掛けて取付けられる。また、スリットを設けることで強度不足となり、イタズラにより破壊される可能性もある。
【0006】
本発明の目的は、上記に鑑みてなされたものであって、利用者の視認性、操作性を損なうことなく暗証番号の盗み取りを防止可能な入力キーの盗撮防止構造、および自動取引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる入力キーの盗撮防止構造は、所定の情報を入力するためのキー部を有した装置における、前記キー部に対する盗撮を防止するための入力キーの盗撮防止構造であって、前記装置の前面に対して奥行方向に凹形状をなして形成され、前記前面に開口部を有したカバー部を備え、前記カバー部の凹形状をなして形成された空間に前記キー部を有し、前記装置の前面以外の前記カバー部を形成する面が前記キー部を囲むように、前記キー部が配置されている、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記構造を有した自動取引装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、利用者の視認性、操作性を損なうことなく暗証番号の盗み取りを防止可能な入力キーの盗撮防止構造、および自動取引装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態にかかる自動取引装置のブロック図である。
【図2】本実施形態にかかる自動取引装置の外観構成図である。
【図3】本実施形態における覗き見防止カバー部9の実装状態図である。
【図4】本実施形態における顧客操作パネル45と覗き見防止カバー13を装置内部から見た斜視図である。
【図5】本実施形態における覗き見防止カバーへの非粘着層の範囲を示した図(矢視A)である。
【図6】本実施形態における入力装置3を中心とした側面からの断面図である。
【図7】本実施形態における入力装置上部からの断面図。(B-B)である。
【図8A】本実施形態にかかる覗き見防止カバー部9の正面からの断面図(C−C)である。
【図8B】本実施形態にかかる覗き見防止カバー部9の側面からの断面図(D-D)である。
【図9】二実施形態の覗き見防止カバー部9の正面からの断面図(C-C)である。
【図10】二実施形態の覗き見防止カバー部9の正面からの断面図(C-C)である。
【図11】本実施形態にかかる覗き見防止カバー部9の側面からの断面図(D-D)である。
【図12】覗き見防止カバー13とその内部に置く事の出来る、盗撮カメラ42を仕込んだ盗撮カメラ付カバー41の斜視図である。
【図13】覗き見防止カバー13の内部に盗撮カメラ付カバー41を置かれた場合の正面の断面図である。
【図14】本実施形態にかかる覗き見防止カバー13に光学センサを配置した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる入力キーの盗撮防止構造の実施の形態を詳細に説明する。以下では、本発明にかかる入力キーの盗撮防止構造を、金融機関システムに採用されている、例えばATM1000(Automated teller machine)のような自動取引装置に適用した場合について説明しているが、入力キーにより暗証番号等を入力する機構を有した装置であれば、これに限定されるものではない。
【0012】
図1は、本実施形態にかかる自動取引装置のブロック図である。図1に示すように、自動取引装置1は、正当な操作者(例えば、金融機関の顧客)に対して現金の出金機能又は入出金機能を有する装置であり、その構成として、装置内の各部を制御する制御部2、操作者による操作入力を行う入力装置3、現金取引のためのガイダンスを表示する表示部4、操作者のキャッシュカードを受け入れて処理するカード取引ユニット5、現金取引の結果を印字した明細票を発行する明細発行ユニット6、自動取引装置1が接続されたホストコンピュータとの通信を行う通信部7、操作者に対して紙幣を入出力する紙幣取引ユニット8を有している。
【0013】
制御部2は、上述した自動取引装置1の各部を制御すると共に、上位のホストコンピュータとの情報通信を制御する。また、ホストコンピュータを通信して操作者の暗証番号を検証する。また、自動取引装置1は、異物検知カメラ38や光学センサ39、40を有し、制御部2は、これらのカメラやセンサが入力装置3付近の異物を検知した場合に、制御部2が取り扱い中止等の制御を行なう。
【0014】
図2は、顧客側から見た場合における自動取引装置1の外観構成図である。自動取引装置1は、建物の壁面やブースに埋め込まれて設置される。図2に示すように、自動取引装置1では、省スペースや雨対策として取引科目の表示や操作ガイダンスを表示する表示部4が、装置の前面にほぼ垂直に設置される。また、暗証番号や取引に必要な入力を行う入力装置3のキー入力部の上部、左右を覆う、覗き見を防止する覗き見防止カバー9を設けている。取引科目の選択は、表示部4の左右に配置した選択キー10を操作することで行なわれる。
【0015】
カード取引ユニット5は、キャッシュカードの磁気ストライプに記憶された情報を読み取る。このカードには金融機関番号、利用者の口座番号などが記録されており、この情報は、取引対象となる口座の特定、操作者の認証などに用いられる。紙幣取扱ユニット8は、利用者に対して紙幣の授受を行う。紙幣取扱ユニット8は紙幣の入金時には、利用者が挿入した紙幣を鑑別して金種ごとに分類して装置内に保管する。また、出金時には利用者の指定した金額分の紙幣を繰り出して入金口から操作者に放出する。明細発行ユニット6は、操作者の取引に従い、支払金額、入金金額、残高等の取引内容及び取引日時を明細票に印字し排出する。
【0016】
図3は、本実施形態にかかる覗き見防止カバー部9の実装状態を説明する図である。図3に示すように、通常、暗証番号や取引に必要な情報の入力を行う入力装置3は、顧客操作パネル45の内側(奥行側)に凹ませて配置した、覗き見防止カバー部9に形成された略水平の面上に実装されている。覗き見防止カバー部9は、入力装置3の入力キー部3−1を操作者側から見て、その上方、左側方、右側方および後側方の4方面を包囲する壁を有する。
【0017】
すなわち、覗き見防止カバー部9は、自動取引装置1の前面に垂直あるいは傾斜して設けられた顧客操作パネル45を奥行側に削る等して、前面側に顧客の手を挿入するための開口部(図3に示した例では8角形の形状をしている)を有して凹形状をなした空間を形成し、その空間に入力装置3の入力キー部3−1を配置して、顧客が操作する手の周囲を包み込むようになっている。本実施形態での入力装置3の実装位置は操作者側から見て、自動取引装置1の左右両側から同じ間隔となるように、自動取引装置1の中央に配置しているが、その位置は、自動取引装置1の中央よりも前後、左右、上下のいずれの位置にあってもよい。なお、図3に示すように、覗き見防止カバー部9は、奥行方向に進むにつれて奥行側に傾斜して狭くなっているので、この部分に盗撮カメラが設置された場合であっても、死角となりにくい形状となっている。
【0018】
図4、5は、本実施形態における覗き見防止カバー部9の構成を説明する図である。図4は、顧客操作パネル45と覗き見防止カバー13を装置内部から見た斜視図であり、図5は、覗き見防止カバーへの非粘着層の範囲を示した図(矢視A)である。図4に示すように、顧客操作パネル45にはボス11を数ヶ所設け、後方からの覗き見を防止するため、あるいは自動取引装置1本体に取り付けられた枠18の側面に盗撮カメラを付けられた場合の暗証番号の盗撮を防止するためのガード16を設けている。
【0019】
すなわち、ガード16は、覗き見防止カバー部9の開口部に顧客が手を挿入した場合に、開口部と顧客の手との間の隙間を覆うものであり、板状の部材等によって構成される。このガード16は、装置内部より取り外し可能な構造としておく。覗き見防止カバー13には固定用の穴15を有するフランジ14を設け、ネジ12で顧客操作パネル45のボス11に固定する。本実施形態での顧客操作パネル45への覗き見防止カバー13の固定方法は、一体化されたボス11、フランジ14の形状にしているが、固定方法や固定箇所はいずれの方法、箇所であってもよい。
【0020】
図5に示すように、利用者側から見て、その上方、左側方、右側方、前側方および後側方の5方面(すなわち、覗き見防止カバー部9の開口部以外の凹形状をなした部分の内側の表面)の入力装置3を包囲する壁を示す斜線部には、非粘着性の高い層17を設ける。非粘着性の高い層17は、シリコン系のコーティングを施すか、非粘着性シートを貼付けても良い。シリコン系のコーティングを施す面は、予め凸凹形状にするか、粒状の鉄やシリカ等を吹き付けて基材に密着させた後、シリコン系のコーティングを施すことで接着面積が減り、更に非粘着性が向上する。これにより、入力装置3を包囲する壁に暗証番号の盗撮を目的としたカメラを両面テープ等で貼り付け様としても正しく貼り付かず、盗撮カメラは、自重や利用者の操作時に盗撮カメラに触れることによって、すぐに落下し、盗撮を防止することができる。
【0021】
また、針を突き刺すことによる盗撮カメラの取付けを防止するため、コーティングを施す面をブラシ状の構造にした後、シリコン系のコーティングを施すこととしてもよい。さらに、コーティングした面をディンプル加工した形状(あるいは、逆ピラミッド型に凹んだ形状等、内側表面に凹凸を設けた形状)とすることも可能である。この場合、紙やすり等によって摩擦係数を大きくして滑りにくくする行為に対する耐性を向上させることができ、盗撮カメラの取り付けを防止することができる。
【0022】
さらに、図4に示したように、非粘着性の高い層17を設けたガード16と覗き見防止カバー13を装置の内側から取外し可能な構造とすることで、イタズラで容易に外されることは無く、また、非粘着性の高い層17を削り取られても容易に交換が可能である。また、顧客操作パネル45と覗き見防止カバー13は、樹脂か磁石の付かない材料にすることで、磁石による盗撮カメラの取り付けも防止できる。
【0023】
図6、7は、枠に取付けられた盗撮カメラを想定した、入力装置3の実装位置を示す図である。図6は、本実施形態にかかる入力装置3を中心とした自動取引装置1の側面からみた場合の断面図であり、図7は、本実施形態にかかる入力装置3の上方からの断面図(B-B)である。
【0024】
図6に示すように、壁19に取付けられた枠18の上部先端に、入力装置3の入力キーを盗み取りする目的の盗撮カメラ20を取り付けられた場合を想定し、表示部4の下側の突出部24により盗撮カメラの撮影範囲22に入力装置3が入らない位置と、例えば、利両者の身長によって定まる利用者の目線21の範囲23(利用者が視認できる範囲)との間に入力装置3を配置し、覗き見防止カバー部9の開口寸法を決めることで、操作者の視認性を妨げることなく、盗撮カメラ20で盗撮されることもない。
【0025】
また、図7に示すように、壁19に取付けられた枠18の右側先端に、入力装置3の入力キーを盗み取りする目的の盗撮カメラ25を取り付けられた場合を想定し、覗き見防止カバー部9の開口部にガード16を設け、盗撮カメラの撮影範囲26に入らない位置(すなわち、図7に示す例では、盗撮カメラ25とガード16の左端を結んだ線分の延長方向よりも右側の位置R)に入力装置3を配置することで、盗撮カメラ25で盗撮されることはがなくなる。図7に示した本実施形態での盗撮カメラ25の想定位置は、枠18の右側先端としているが、枠18の左側先端に盗撮カメラ25が設置された場合であっても、ガード16と入力装置3の関係は、右側に盗撮カメラ25が設置された場合からみて対称となるような実装条件とすることにより、同様の効果を得ることができる。
【0026】
図8Aは、覗き見防止カバー部9の正面からの断面図(C−C)であり、図8Bは、覗き見防止カバー部9の側面からの断面図(D-D)を示す図である。図8A、8Bに示すように、覗き見防止カバー部9の内部は、盗撮カメラの両面テープ以外での取付けを想定し、例えば、突っ張り機構31により盗撮カメラが設置された場合の、その取付けを防御する。
【0027】
通常、突っ張り機構31は、バー28にネジ部となる溝29があり、つまみ30を矢印(a)方向に回転させることで、つまみ30が矢印(b)方向に移動し、覗き見防止カバー部9の左右壁にバー28とつまみ30が押し付けられることで、突っ張り機構31が設置される位置を保つことができる。このような突っ張り機構31に盗撮カメラ27を取り付けたものを盗撮防止カバー部9の内部に取り付けることを防ぐ為、図8Aに示すように、本実施形態においては、覗き見防止カバー部9の上部角に面取り面33を設けている。これにより、盗撮カメラ27を設けた突っ張り機構31を、操作者からの死角となる(c)位置に取付けようとしても、面取り33により、つまみ30とバー28が押し付ける力は下側へ逃げて取り付けることは出来ない。
【0028】
なお、盗撮防止カバー部9の垂直の壁となる(d)部には突っ張り機構31を取付けることは可能だが、側面からの断面図(D-D)の様に利用者の手32が、盗撮カメラ27を設けた突っ張り機構31と当たり、操作の妨げとなり利用者は不審物が付いていることに気付いてしまうため望ましくない。また、図8Bに示すように、覗き見防止カバー部9の内部の空間に照明ユニット36が設けられている場合には、その照明ユニット36が有する平面部に盗撮カメラ27を取り付けることが容易となるが、照明ユニット36が利用者の視界に入る部位に実装された場合には、利用者は盗撮カメラ27が取り付けられていることに付いていることに気付いてしまうため望ましくない。
【0029】
続いて、上述した実施形態の覗き見防止カバー部9の変形例について説明する。図9、10は、変形例における覗き見防止カバー部9の正面からの断面図(C-C)を示す図である。図9に示す例では、覗き見防止カバー部9の側面の上部角はR形状35にすることで、図8と同様の突っ張り機構31に対する防御ができる構成となっている。また、図10に示す例では、覗き見防止カバー部9の側面の左右の壁に、台形形状となるテーパー34を設けることにより、図8と同様の突っ張り機構31に対する防御ができる構成となっている。
【0030】
図11は、本実施形態にかかる覗き見防止カバー部9の側面からの断面図(D-D)を示す図である。図11に示す例では、覗き見防止カバー部9に、両面テープ、磁石、針、突っ張り機構等以外で、異物検知カメラ38を取付けられた場合の防御方法を示している。図11に示すように、覗き見防止カバー13の内部を撮影できる撮影範囲46となる位置に異物検知カメラ38を設置する。このような構成とすることにより、覗き見防止カバー13の利用者の死角となる天井面に盗撮カメラ37を取り付けられた場合、異物検知カメラ38が盗撮カメラ37を撮像して異物を検知した場合に、制御部2は、例えば、自動取引装置1の取引の取り扱いを停止させることにより、盗撮カメラ37による盗撮を防止することが可能となる。
【0031】
図12〜14は、上述した覗き見防止カバー部9において、その内部の非粘着性の高い層や開口部の形状によらず盗撮カメラが設置された場合に対する防御方法を示す図である。図12は、覗き見防止カバー13とその内部に設置可能な盗撮カメラ42を仕込んだ盗撮カメラ付カバー41の斜視図である。また、図13は、覗き見防止カバー13の内部に盗撮カメラ付カバー41を置かれた場合の正面の断面図である。また、図14は、覗き見防止カバー13に光学センサを配置した斜視図を示す図である。
【0032】
非粘着性の高い層や開口部の形状によらず盗撮する場合、図12に示すような覗き見防止カバー13の内部に置くことのできる大きさ、形状の盗撮カメラ付カバー41を、矢印(e)方向に移動し、覗き見防止カバー13内部に置き、盗撮カメラ付カバー41に、入力キー44を撮影できる盗撮カメラ撮影範囲43を有する盗撮カメラ42を仕込まれている。この場合、図13に示すように、その断面は、本来の覗き見防止カバーと略相似形状となっているため、利用者が気付かない違和感の無い形状で盗撮カメラによって盗撮されてしまう。これを防御する為、図13、14に示すように、光学センサ(発光)39、光学センサ(受光)40を設け、発光側の光学センサから発せられた光が受光側の光学センサに到達しない場合(すなわち、遮光された場合)に、制御部2は、盗撮カメラ付カバー41が設置されたものと判定し、自動取引装置1の取引の取り扱いを停止させることにより、盗撮カメラ37による盗撮を防止することが可能となる。
【0033】
このように、キー入力を覆う覗き見防止カバーは樹脂かアルミ等の磁石の付かない材料を使用し、装置本体の操作部パネルをへこませて形成している。また、覗き見防止カバーの入力キー側の表面全体に、ディンプル形状等による1または2以上の凹凸部分を設けたり、粒状の鉄粉やシリカ粉を噴きつけて凹凸を形成し、更にシリコンを含有した素材のコーティングを施したり、あるいは入力キー側の表面全体にシリコンを含有した素材の部材を取付けることとしてもよい。この場合、より効果的に入力キーの覗き見防止するカバーの内部への盗撮カメラの取付けを防止することができる。
【0034】
さらに、覗き見防止カバーは側面と上面を曲面でつないだ形状もしくは、側面が上に向かって狭くなるテーパーを設けた形状にし、装置本体の操作パネルに、装置内部から固定したり、装置内部には覗き見防止カバーの内部に向けて異物を検知できるセンサを設けることも可能である。
【0035】
このように、本実施の形態における入力キーの盗撮防止構造では、自動取引装置等の暗証番号等の入力キーの盗撮防止を行う場合において、利用者の視認性、操作性を損なわず、屋外設置時の装置と壁の隙間を塞ぐ枠や、ブース設置時の上部(例えば、ATMを収納したブースの天井部)に取付けられた盗撮カメラによる盗撮を防止し、入力キーの覗き見防止するカバーの内部への盗撮カメラの取付けによる盗撮を防止し、暗証番号の盗み取りを防止することが可能となる。
【0036】
本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0037】
1:自動取引装置
2:制御部
3:入力装置
3−1:入力キー部
4:表示部
5:カード取引ユニット
6:明細発行ユニット
7:通信部
8:紙幣取引ユニット
9:覗き見防止カバー部
10:選択キー
11:ボス
12:ネジ
13:覗き見防止カバー
14:フランジ
15:穴
16:ガード
17:非粘着性の高い層
18:枠
19:壁
20:盗撮カメラ
21:利用者の目線
22:盗撮カメラの撮影範囲
23:利用者が見える範囲
24:突出部
25、27、37、42:盗撮カメラ
26、43:盗撮カメラの撮影範囲
28:バー
29:ネジ部となる溝
30:つまみ
31:突っ張り機構
32:利用者の手
33:面取り面
34:テーパー
35:覗き見防止カバー部の上部角の形状
36:照明ユニット
38:異物検知カメラ
39:光学センサ(発光)
40:光学センサ(受光)
41:盗撮カメラ付カバー
44:入力キー
45:顧客操作パネル
46:撮影範囲。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置等の装置において入力される暗証番号等の入力キーの盗撮を防止する構造、および自動取引装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動取引装置等の装置で入出金等の取引を行う場合、カードを挿入して、暗証番号を入力することで取引を行うことが出来るが、現金自動取引装置では、装置と壁の隙間を塞ぐ枠やATM(Automated teller machine)を収納したブースの天井部に盗撮カメラを取付けられ、犯罪者に暗証番号を盗み取られると、スキミングによるカード情報取得で不正に偽造したカードやカード強盗により不正に現金を引き出される可能性がある。これを解決する為、暗証番号入力キー全体を覆うカバーを設けている。このカバーの内部に利用者からの死角になる部分があり、その部分に盗撮カメラを取付けられても利用者は気付かないため、暗証番号を盗み取られる危険性がある。このため、カバー内部の表面を凸凹やR形状にして盗撮カメラの取付けを抑止する方法や、入力キー上面の壁にルーバー形状のスリットを設けて操作者からは内部のキーが確認でき、装置と壁の隙間を塞ぐ枠に取付けられた盗撮カメラからはキーを撮影できなくする方法がある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−287646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、屋外設置時の装置と壁の隙間を塞ぐ枠や、ATMを収納したブースの天井部に付けられた盗撮カメラによる暗証番号の盗み取りを防止する覗き見防止カバーの、入力キーの上面を不透明な素材で完全に覆うカバー形状にすると、利用者の視認性が悪くなり、死角も増え、覗き見防止カバーの内部に盗撮カメラを取り付けられても気付かない。また、両面テープでの取付け防止の目的で覗き見防止カバーの内部の形状を凸凹やR形状にした場合でも、貼付け面を同形状にすることや、厚みのある両面テープで貼り付けられる可能性がある。
【0005】
また、覗き見防止カバー上部の壁にルーバー形状のスリットを設けた場合、操作者の目線の位置で見え方が異なることにより死角は減るが完璧ではなく、盗撮カメラが取付けられていても、操作者が気付かない場合がある。また、スリットを利用しカメラを引っ掛けて取付けられる。また、スリットを設けることで強度不足となり、イタズラにより破壊される可能性もある。
【0006】
本発明の目的は、上記に鑑みてなされたものであって、利用者の視認性、操作性を損なうことなく暗証番号の盗み取りを防止可能な入力キーの盗撮防止構造、および自動取引装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる入力キーの盗撮防止構造は、所定の情報を入力するためのキー部を有した装置における、前記キー部に対する盗撮を防止するための入力キーの盗撮防止構造であって、前記装置の前面に対して奥行方向に凹形状をなして形成され、前記前面に開口部を有したカバー部を備え、前記カバー部の凹形状をなして形成された空間に前記キー部を有し、前記装置の前面以外の前記カバー部を形成する面が前記キー部を囲むように、前記キー部が配置されている、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記構造を有した自動取引装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、利用者の視認性、操作性を損なうことなく暗証番号の盗み取りを防止可能な入力キーの盗撮防止構造、および自動取引装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態にかかる自動取引装置のブロック図である。
【図2】本実施形態にかかる自動取引装置の外観構成図である。
【図3】本実施形態における覗き見防止カバー部9の実装状態図である。
【図4】本実施形態における顧客操作パネル45と覗き見防止カバー13を装置内部から見た斜視図である。
【図5】本実施形態における覗き見防止カバーへの非粘着層の範囲を示した図(矢視A)である。
【図6】本実施形態における入力装置3を中心とした側面からの断面図である。
【図7】本実施形態における入力装置上部からの断面図。(B-B)である。
【図8A】本実施形態にかかる覗き見防止カバー部9の正面からの断面図(C−C)である。
【図8B】本実施形態にかかる覗き見防止カバー部9の側面からの断面図(D-D)である。
【図9】二実施形態の覗き見防止カバー部9の正面からの断面図(C-C)である。
【図10】二実施形態の覗き見防止カバー部9の正面からの断面図(C-C)である。
【図11】本実施形態にかかる覗き見防止カバー部9の側面からの断面図(D-D)である。
【図12】覗き見防止カバー13とその内部に置く事の出来る、盗撮カメラ42を仕込んだ盗撮カメラ付カバー41の斜視図である。
【図13】覗き見防止カバー13の内部に盗撮カメラ付カバー41を置かれた場合の正面の断面図である。
【図14】本実施形態にかかる覗き見防止カバー13に光学センサを配置した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる入力キーの盗撮防止構造の実施の形態を詳細に説明する。以下では、本発明にかかる入力キーの盗撮防止構造を、金融機関システムに採用されている、例えばATM1000(Automated teller machine)のような自動取引装置に適用した場合について説明しているが、入力キーにより暗証番号等を入力する機構を有した装置であれば、これに限定されるものではない。
【0012】
図1は、本実施形態にかかる自動取引装置のブロック図である。図1に示すように、自動取引装置1は、正当な操作者(例えば、金融機関の顧客)に対して現金の出金機能又は入出金機能を有する装置であり、その構成として、装置内の各部を制御する制御部2、操作者による操作入力を行う入力装置3、現金取引のためのガイダンスを表示する表示部4、操作者のキャッシュカードを受け入れて処理するカード取引ユニット5、現金取引の結果を印字した明細票を発行する明細発行ユニット6、自動取引装置1が接続されたホストコンピュータとの通信を行う通信部7、操作者に対して紙幣を入出力する紙幣取引ユニット8を有している。
【0013】
制御部2は、上述した自動取引装置1の各部を制御すると共に、上位のホストコンピュータとの情報通信を制御する。また、ホストコンピュータを通信して操作者の暗証番号を検証する。また、自動取引装置1は、異物検知カメラ38や光学センサ39、40を有し、制御部2は、これらのカメラやセンサが入力装置3付近の異物を検知した場合に、制御部2が取り扱い中止等の制御を行なう。
【0014】
図2は、顧客側から見た場合における自動取引装置1の外観構成図である。自動取引装置1は、建物の壁面やブースに埋め込まれて設置される。図2に示すように、自動取引装置1では、省スペースや雨対策として取引科目の表示や操作ガイダンスを表示する表示部4が、装置の前面にほぼ垂直に設置される。また、暗証番号や取引に必要な入力を行う入力装置3のキー入力部の上部、左右を覆う、覗き見を防止する覗き見防止カバー9を設けている。取引科目の選択は、表示部4の左右に配置した選択キー10を操作することで行なわれる。
【0015】
カード取引ユニット5は、キャッシュカードの磁気ストライプに記憶された情報を読み取る。このカードには金融機関番号、利用者の口座番号などが記録されており、この情報は、取引対象となる口座の特定、操作者の認証などに用いられる。紙幣取扱ユニット8は、利用者に対して紙幣の授受を行う。紙幣取扱ユニット8は紙幣の入金時には、利用者が挿入した紙幣を鑑別して金種ごとに分類して装置内に保管する。また、出金時には利用者の指定した金額分の紙幣を繰り出して入金口から操作者に放出する。明細発行ユニット6は、操作者の取引に従い、支払金額、入金金額、残高等の取引内容及び取引日時を明細票に印字し排出する。
【0016】
図3は、本実施形態にかかる覗き見防止カバー部9の実装状態を説明する図である。図3に示すように、通常、暗証番号や取引に必要な情報の入力を行う入力装置3は、顧客操作パネル45の内側(奥行側)に凹ませて配置した、覗き見防止カバー部9に形成された略水平の面上に実装されている。覗き見防止カバー部9は、入力装置3の入力キー部3−1を操作者側から見て、その上方、左側方、右側方および後側方の4方面を包囲する壁を有する。
【0017】
すなわち、覗き見防止カバー部9は、自動取引装置1の前面に垂直あるいは傾斜して設けられた顧客操作パネル45を奥行側に削る等して、前面側に顧客の手を挿入するための開口部(図3に示した例では8角形の形状をしている)を有して凹形状をなした空間を形成し、その空間に入力装置3の入力キー部3−1を配置して、顧客が操作する手の周囲を包み込むようになっている。本実施形態での入力装置3の実装位置は操作者側から見て、自動取引装置1の左右両側から同じ間隔となるように、自動取引装置1の中央に配置しているが、その位置は、自動取引装置1の中央よりも前後、左右、上下のいずれの位置にあってもよい。なお、図3に示すように、覗き見防止カバー部9は、奥行方向に進むにつれて奥行側に傾斜して狭くなっているので、この部分に盗撮カメラが設置された場合であっても、死角となりにくい形状となっている。
【0018】
図4、5は、本実施形態における覗き見防止カバー部9の構成を説明する図である。図4は、顧客操作パネル45と覗き見防止カバー13を装置内部から見た斜視図であり、図5は、覗き見防止カバーへの非粘着層の範囲を示した図(矢視A)である。図4に示すように、顧客操作パネル45にはボス11を数ヶ所設け、後方からの覗き見を防止するため、あるいは自動取引装置1本体に取り付けられた枠18の側面に盗撮カメラを付けられた場合の暗証番号の盗撮を防止するためのガード16を設けている。
【0019】
すなわち、ガード16は、覗き見防止カバー部9の開口部に顧客が手を挿入した場合に、開口部と顧客の手との間の隙間を覆うものであり、板状の部材等によって構成される。このガード16は、装置内部より取り外し可能な構造としておく。覗き見防止カバー13には固定用の穴15を有するフランジ14を設け、ネジ12で顧客操作パネル45のボス11に固定する。本実施形態での顧客操作パネル45への覗き見防止カバー13の固定方法は、一体化されたボス11、フランジ14の形状にしているが、固定方法や固定箇所はいずれの方法、箇所であってもよい。
【0020】
図5に示すように、利用者側から見て、その上方、左側方、右側方、前側方および後側方の5方面(すなわち、覗き見防止カバー部9の開口部以外の凹形状をなした部分の内側の表面)の入力装置3を包囲する壁を示す斜線部には、非粘着性の高い層17を設ける。非粘着性の高い層17は、シリコン系のコーティングを施すか、非粘着性シートを貼付けても良い。シリコン系のコーティングを施す面は、予め凸凹形状にするか、粒状の鉄やシリカ等を吹き付けて基材に密着させた後、シリコン系のコーティングを施すことで接着面積が減り、更に非粘着性が向上する。これにより、入力装置3を包囲する壁に暗証番号の盗撮を目的としたカメラを両面テープ等で貼り付け様としても正しく貼り付かず、盗撮カメラは、自重や利用者の操作時に盗撮カメラに触れることによって、すぐに落下し、盗撮を防止することができる。
【0021】
また、針を突き刺すことによる盗撮カメラの取付けを防止するため、コーティングを施す面をブラシ状の構造にした後、シリコン系のコーティングを施すこととしてもよい。さらに、コーティングした面をディンプル加工した形状(あるいは、逆ピラミッド型に凹んだ形状等、内側表面に凹凸を設けた形状)とすることも可能である。この場合、紙やすり等によって摩擦係数を大きくして滑りにくくする行為に対する耐性を向上させることができ、盗撮カメラの取り付けを防止することができる。
【0022】
さらに、図4に示したように、非粘着性の高い層17を設けたガード16と覗き見防止カバー13を装置の内側から取外し可能な構造とすることで、イタズラで容易に外されることは無く、また、非粘着性の高い層17を削り取られても容易に交換が可能である。また、顧客操作パネル45と覗き見防止カバー13は、樹脂か磁石の付かない材料にすることで、磁石による盗撮カメラの取り付けも防止できる。
【0023】
図6、7は、枠に取付けられた盗撮カメラを想定した、入力装置3の実装位置を示す図である。図6は、本実施形態にかかる入力装置3を中心とした自動取引装置1の側面からみた場合の断面図であり、図7は、本実施形態にかかる入力装置3の上方からの断面図(B-B)である。
【0024】
図6に示すように、壁19に取付けられた枠18の上部先端に、入力装置3の入力キーを盗み取りする目的の盗撮カメラ20を取り付けられた場合を想定し、表示部4の下側の突出部24により盗撮カメラの撮影範囲22に入力装置3が入らない位置と、例えば、利両者の身長によって定まる利用者の目線21の範囲23(利用者が視認できる範囲)との間に入力装置3を配置し、覗き見防止カバー部9の開口寸法を決めることで、操作者の視認性を妨げることなく、盗撮カメラ20で盗撮されることもない。
【0025】
また、図7に示すように、壁19に取付けられた枠18の右側先端に、入力装置3の入力キーを盗み取りする目的の盗撮カメラ25を取り付けられた場合を想定し、覗き見防止カバー部9の開口部にガード16を設け、盗撮カメラの撮影範囲26に入らない位置(すなわち、図7に示す例では、盗撮カメラ25とガード16の左端を結んだ線分の延長方向よりも右側の位置R)に入力装置3を配置することで、盗撮カメラ25で盗撮されることはがなくなる。図7に示した本実施形態での盗撮カメラ25の想定位置は、枠18の右側先端としているが、枠18の左側先端に盗撮カメラ25が設置された場合であっても、ガード16と入力装置3の関係は、右側に盗撮カメラ25が設置された場合からみて対称となるような実装条件とすることにより、同様の効果を得ることができる。
【0026】
図8Aは、覗き見防止カバー部9の正面からの断面図(C−C)であり、図8Bは、覗き見防止カバー部9の側面からの断面図(D-D)を示す図である。図8A、8Bに示すように、覗き見防止カバー部9の内部は、盗撮カメラの両面テープ以外での取付けを想定し、例えば、突っ張り機構31により盗撮カメラが設置された場合の、その取付けを防御する。
【0027】
通常、突っ張り機構31は、バー28にネジ部となる溝29があり、つまみ30を矢印(a)方向に回転させることで、つまみ30が矢印(b)方向に移動し、覗き見防止カバー部9の左右壁にバー28とつまみ30が押し付けられることで、突っ張り機構31が設置される位置を保つことができる。このような突っ張り機構31に盗撮カメラ27を取り付けたものを盗撮防止カバー部9の内部に取り付けることを防ぐ為、図8Aに示すように、本実施形態においては、覗き見防止カバー部9の上部角に面取り面33を設けている。これにより、盗撮カメラ27を設けた突っ張り機構31を、操作者からの死角となる(c)位置に取付けようとしても、面取り33により、つまみ30とバー28が押し付ける力は下側へ逃げて取り付けることは出来ない。
【0028】
なお、盗撮防止カバー部9の垂直の壁となる(d)部には突っ張り機構31を取付けることは可能だが、側面からの断面図(D-D)の様に利用者の手32が、盗撮カメラ27を設けた突っ張り機構31と当たり、操作の妨げとなり利用者は不審物が付いていることに気付いてしまうため望ましくない。また、図8Bに示すように、覗き見防止カバー部9の内部の空間に照明ユニット36が設けられている場合には、その照明ユニット36が有する平面部に盗撮カメラ27を取り付けることが容易となるが、照明ユニット36が利用者の視界に入る部位に実装された場合には、利用者は盗撮カメラ27が取り付けられていることに付いていることに気付いてしまうため望ましくない。
【0029】
続いて、上述した実施形態の覗き見防止カバー部9の変形例について説明する。図9、10は、変形例における覗き見防止カバー部9の正面からの断面図(C-C)を示す図である。図9に示す例では、覗き見防止カバー部9の側面の上部角はR形状35にすることで、図8と同様の突っ張り機構31に対する防御ができる構成となっている。また、図10に示す例では、覗き見防止カバー部9の側面の左右の壁に、台形形状となるテーパー34を設けることにより、図8と同様の突っ張り機構31に対する防御ができる構成となっている。
【0030】
図11は、本実施形態にかかる覗き見防止カバー部9の側面からの断面図(D-D)を示す図である。図11に示す例では、覗き見防止カバー部9に、両面テープ、磁石、針、突っ張り機構等以外で、異物検知カメラ38を取付けられた場合の防御方法を示している。図11に示すように、覗き見防止カバー13の内部を撮影できる撮影範囲46となる位置に異物検知カメラ38を設置する。このような構成とすることにより、覗き見防止カバー13の利用者の死角となる天井面に盗撮カメラ37を取り付けられた場合、異物検知カメラ38が盗撮カメラ37を撮像して異物を検知した場合に、制御部2は、例えば、自動取引装置1の取引の取り扱いを停止させることにより、盗撮カメラ37による盗撮を防止することが可能となる。
【0031】
図12〜14は、上述した覗き見防止カバー部9において、その内部の非粘着性の高い層や開口部の形状によらず盗撮カメラが設置された場合に対する防御方法を示す図である。図12は、覗き見防止カバー13とその内部に設置可能な盗撮カメラ42を仕込んだ盗撮カメラ付カバー41の斜視図である。また、図13は、覗き見防止カバー13の内部に盗撮カメラ付カバー41を置かれた場合の正面の断面図である。また、図14は、覗き見防止カバー13に光学センサを配置した斜視図を示す図である。
【0032】
非粘着性の高い層や開口部の形状によらず盗撮する場合、図12に示すような覗き見防止カバー13の内部に置くことのできる大きさ、形状の盗撮カメラ付カバー41を、矢印(e)方向に移動し、覗き見防止カバー13内部に置き、盗撮カメラ付カバー41に、入力キー44を撮影できる盗撮カメラ撮影範囲43を有する盗撮カメラ42を仕込まれている。この場合、図13に示すように、その断面は、本来の覗き見防止カバーと略相似形状となっているため、利用者が気付かない違和感の無い形状で盗撮カメラによって盗撮されてしまう。これを防御する為、図13、14に示すように、光学センサ(発光)39、光学センサ(受光)40を設け、発光側の光学センサから発せられた光が受光側の光学センサに到達しない場合(すなわち、遮光された場合)に、制御部2は、盗撮カメラ付カバー41が設置されたものと判定し、自動取引装置1の取引の取り扱いを停止させることにより、盗撮カメラ37による盗撮を防止することが可能となる。
【0033】
このように、キー入力を覆う覗き見防止カバーは樹脂かアルミ等の磁石の付かない材料を使用し、装置本体の操作部パネルをへこませて形成している。また、覗き見防止カバーの入力キー側の表面全体に、ディンプル形状等による1または2以上の凹凸部分を設けたり、粒状の鉄粉やシリカ粉を噴きつけて凹凸を形成し、更にシリコンを含有した素材のコーティングを施したり、あるいは入力キー側の表面全体にシリコンを含有した素材の部材を取付けることとしてもよい。この場合、より効果的に入力キーの覗き見防止するカバーの内部への盗撮カメラの取付けを防止することができる。
【0034】
さらに、覗き見防止カバーは側面と上面を曲面でつないだ形状もしくは、側面が上に向かって狭くなるテーパーを設けた形状にし、装置本体の操作パネルに、装置内部から固定したり、装置内部には覗き見防止カバーの内部に向けて異物を検知できるセンサを設けることも可能である。
【0035】
このように、本実施の形態における入力キーの盗撮防止構造では、自動取引装置等の暗証番号等の入力キーの盗撮防止を行う場合において、利用者の視認性、操作性を損なわず、屋外設置時の装置と壁の隙間を塞ぐ枠や、ブース設置時の上部(例えば、ATMを収納したブースの天井部)に取付けられた盗撮カメラによる盗撮を防止し、入力キーの覗き見防止するカバーの内部への盗撮カメラの取付けによる盗撮を防止し、暗証番号の盗み取りを防止することが可能となる。
【0036】
本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0037】
1:自動取引装置
2:制御部
3:入力装置
3−1:入力キー部
4:表示部
5:カード取引ユニット
6:明細発行ユニット
7:通信部
8:紙幣取引ユニット
9:覗き見防止カバー部
10:選択キー
11:ボス
12:ネジ
13:覗き見防止カバー
14:フランジ
15:穴
16:ガード
17:非粘着性の高い層
18:枠
19:壁
20:盗撮カメラ
21:利用者の目線
22:盗撮カメラの撮影範囲
23:利用者が見える範囲
24:突出部
25、27、37、42:盗撮カメラ
26、43:盗撮カメラの撮影範囲
28:バー
29:ネジ部となる溝
30:つまみ
31:突っ張り機構
32:利用者の手
33:面取り面
34:テーパー
35:覗き見防止カバー部の上部角の形状
36:照明ユニット
38:異物検知カメラ
39:光学センサ(発光)
40:光学センサ(受光)
41:盗撮カメラ付カバー
44:入力キー
45:顧客操作パネル
46:撮影範囲。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の情報を入力するためのキー部を有した装置における、前記キー部に対する盗撮を防止するための入力キーの盗撮防止構造であって、
前記装置の前面に対して奥行方向に凹形状をなして形成され、前記前面に開口部を有したカバー部を備え、前記カバー部の凹形状をなして形成された空間に前記キー部を有し、前記装置の前面以外の前記カバー部を形成する面が前記キー部を囲むように、前記キー部が配置されている、
ことを特徴とする入力キーの盗撮防止構造。
【請求項2】
前記カバー部は、奥行方向に狭くなるように傾斜した形状である、
ことを特徴とする請求項1に記載の入力キーの盗撮防止構造。
【請求項3】
前記カバー部の側面は、R形状またはテーパ形状である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の入力キーの盗撮防止構造。
【請求項4】
前記カバー部は非磁性材料で形成され、前記カバー部の内側の表面はシリコンを含有した素材の層または部材により覆われている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の入力キーの盗撮防止構造。
【請求項5】
前記カバー部の内側面の表面には、複数の凹凸部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の入力キーの盗撮防止構造。
【請求項6】
前記カバー部の開口部には、前記キー部を操作する利用者の手と前記開口部との間に生じる隙間を埋める隙間カバーが備えられている、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の入力キーの盗撮防止構造。
【請求項7】
前記装置は、利用者からの操作を受け付ける操作パネルを有し、前記カバー部は、前記装置内部から前記操作パネルに固定されている、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の入力キーの盗撮防止構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載された入力キーの盗撮防止構造を有したことを特徴とする自動取引装置。
【請求項1】
所定の情報を入力するためのキー部を有した装置における、前記キー部に対する盗撮を防止するための入力キーの盗撮防止構造であって、
前記装置の前面に対して奥行方向に凹形状をなして形成され、前記前面に開口部を有したカバー部を備え、前記カバー部の凹形状をなして形成された空間に前記キー部を有し、前記装置の前面以外の前記カバー部を形成する面が前記キー部を囲むように、前記キー部が配置されている、
ことを特徴とする入力キーの盗撮防止構造。
【請求項2】
前記カバー部は、奥行方向に狭くなるように傾斜した形状である、
ことを特徴とする請求項1に記載の入力キーの盗撮防止構造。
【請求項3】
前記カバー部の側面は、R形状またはテーパ形状である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の入力キーの盗撮防止構造。
【請求項4】
前記カバー部は非磁性材料で形成され、前記カバー部の内側の表面はシリコンを含有した素材の層または部材により覆われている、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の入力キーの盗撮防止構造。
【請求項5】
前記カバー部の内側面の表面には、複数の凹凸部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の入力キーの盗撮防止構造。
【請求項6】
前記カバー部の開口部には、前記キー部を操作する利用者の手と前記開口部との間に生じる隙間を埋める隙間カバーが備えられている、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の入力キーの盗撮防止構造。
【請求項7】
前記装置は、利用者からの操作を受け付ける操作パネルを有し、前記カバー部は、前記装置内部から前記操作パネルに固定されている、
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の入力キーの盗撮防止構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載された入力キーの盗撮防止構造を有したことを特徴とする自動取引装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−160061(P2012−160061A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19779(P2011−19779)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】
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