説明

入力デバイス

【課題】光路変換を用いることなく、枠状の光導波路の枠内を走る光の高さ位置を低くすることができる入力デバイスを提供する。
【解決手段】四角枠状の保持板7と、四角形状の入力用中空部Sを有する四角枠状の光導波路Wと、この光導波路Wの光出射用のコア2aの後端部に接続された発光素子を実装した発光モジュール5と、上記光導波路Wの光入射用のコア2bの後端部に接続された受光素子を実装した受光モジュール6とを備え、光入射用のコア2bが形成された光入射側Bの光導波路部分が、上下逆に設置され、オーバークラッド層3が下側(保持板7側)に位置している。それに伴って、受光モジュール6も上下逆になっており、光導波路Wの光入射側Bの光導波路部分に対する受光モジュール6の高さ方向の突出量が、下側(保持板7側)の方が上側(その反対側)よりも小さくなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的な位置検出手段を備えた入力デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、入力デバイスとして、複数の発光素子および受光素子を備えた光学的位置検出装置(例えば、特許文献1参照)が提案されている。このものは、四角枠状に形成され、その四角枠を構成する一対のL字状部分の一方に、発光素子を複数並設し、他方に、上記発光素子に対向する受光素子を複数並設したものとなっている。そして、その四角枠状の光学的位置検出装置は、四角形のディスプレイの周縁に沿って設置され、その四角枠内でペンを移動させることにより、文字等の情報を入力し、上記ディスプレイに表示することができるようになっている。
【0003】
すなわち、上記四角枠内では、上記複数の発光素子により、光が格子状に走った状態になっており、その四角枠内でペンを移動させると、上記発光素子からの光がペン先により遮光され、その遮光を、上記発光素子に対向する受光素子が感知することにより、上記ペン先の軌跡(文字等の入力情報)を検知するようになっている。そして、その軌跡を信号として上記ディスプレイに出力するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3682109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記光学的位置検出装置における発光素子および受光素子は、ある程度の厚みがあり、上記光学的位置検出装置は、それら発光素子および受光素子を枠状に並設していることから、その枠体が厚くなっている。そこで、上記枠体の薄型化を図るため、本出願人は、枠体に光導波路を用いた入力デバイスを提案し既に出願している(例えば、特願2011−139481号等)。
【0006】
その入力デバイスは、それを模式的に示す平面図を図7(a)に示し、それをさらに模式化した断面図〔さらなる模式化のため、発光モジュール5および受光モジュール6の位置が図7(a)と異なって図示されている〕を図7(b)に示すように、入力用中空部S0 を有する四角枠状の光導波路W0 と、この光導波路W0 に接続される発光モジュール5および受光モジュール6とを備えている。上記発光モジュール5は、発光素子が配線基板に実装されたものであり、上記受光モジュール6は、受光素子が配線基板に実装されたものである。そして、これら光導波路W0 と発光モジュール5および受光モジュール6とは、上記入力用中空部S0 を有する四角枠状の保持板70の表面に設けられているとともに、上記入力用中空部S0 を有する四角枠状の保護板80で覆われている。
【0007】
上記四角枠状の光導波路W0 は、その四角枠を構成する一対のL字状部分の一方が光出射側Aとなっており、他方が光入射側Bとなっている。すなわち、上記四角枠状の光導波路W0 は、四角枠状のアンダークラッド層1の四角枠を構成する一対のL字状部分の一方の表面に、光出射用のコア2aが複数に分岐された状態で形成され、他方の表面に、光入射用の複数のコア2bが並列状態で形成され、それらコア2a,2bを被覆した状態で、上記アンダークラッド層1の表面にオーバークラッド層3が形成されている。光出射用のコア2aの先端面と光入射用のコア2bの先端面とは、上記一対のL字状部分の内側縁(四角枠の内周縁)に位置決めされ、対向した状態になっている。さらに、上記コア2a,2bの先端面を被覆するオーバークラッド層3の先端部が、側断面形状が略1/4円弧状の曲面を有する凸状のレンズ部3aに形成されている。
【0008】
上記光導波路W0 と発光モジュール5との接続は、発光素子の発光部が光出射用のコア2aの後端部に接続された状態で行われ、上記光導波路W0 と受光モジュール6との接続は、受光素子の受光部が光入射用のコア2bの後端部に接続された状態で行われている。そして、上記発光素子の発光部からの光Hは、上記光出射用のコア2aを通り、その先端部から出射される。これにより、上記光Hは、上記四角枠状の光導波路W0 の四角枠内(入力用中空部S0 )において、格子状に走った状態となる。そして、上記光Hは、光入射用のコア2bの先端部から入射し、その光入射用のコア2bを通り、上記受光素子の受光部に到達する。
【0009】
上記受光素子は、通常、発光素子よりも大きく、そのため、受光モジュール6も、通常、発光モジュール5よりも大きくなっている。また、上記光導波路W0 は、通常、薄く形成される。これらのことから、受光モジュール6を光導波路W0 に接続した状態では、受光モジュール6が、光導波路W0 の下方(保持板70側)に突出する場合がある。その場合、図7(b)に示すように、保持板70を厚く形成し、その保持板70の、上記受光モジュール6に対応する部分に、貫通孔70bまたは凹部を形成し、その貫通孔70bまたは凹部に上記受光モジュール6の上記突出部分を挿入することにより、上記保持板70の裏面から上記受光モジュール6が突出しないようにしている。なお、この従来技術では、発光モジュール5も、光導波路W0 の下方に僅かに突出しており、その突出部分を、上記受光モジュール6と同様、保持板70に形成した貫通孔70aまたは凹部に挿入している。
【0010】
しかしながら、上記入力デバイスを、例えば、紙Kの上に載置し、上記のように光Hが格子状に走る上記入力用中空部S0 から露呈する上記紙Kの部分に、ペンPで、文字等を入力する際において、上記のように保持板70が厚く形成されていると、上記光Hが紙Kの表面から高い位置を走ることになるため、入力者が入力を止める意図で、ペン先を紙Kの表面から離したとしても、そのペン先による遮光状態が維持され、入力者の意図に反し、その紙Kの表面から離したペン先の軌跡が入力される。そのため、入力を止める際には、ペン先を紙Kの表面から大きく離す必要があり、入力が不自然になっていた。この点で改善の余地があった。
【0011】
そこで、本発明者らは、上記光Hが紙Kの表面から低い位置を走るようにすべく、図8に断面図で示すように、光入射用のコア2bの後端部を45°傾斜した反射面4bに形成し、その反射面4bの上方に対応するオーバークラッド層3の表面部分に、上記受光モジュール6を配置した入力デバイスを発明した。なお、図8に示すものは、光出射用のコア2aの後端部も45°傾斜した反射面4aに形成し、その上方に発光モジュール5を配置している。すなわち、この入力デバイスでは、発光素子の発光部から下方に発光され、光出射用のコア2aの反射面4aで横方向に反射して光路変換した後、そのコア2aを通り、その先端部から出射される。そして、その出射された光Hは、光導波路W1 の四角枠内(入力用中空部S1 )を通った後、光入射用のコア2bの先端部から入射し、その光入射用のコア2bを通り、そのコア2bの反射面4bで上方に反射して光路変換し、上記受光素子の受光部に到達する。この入力デバイスでは、受光モジュール6が光導波路W1 の上に配置されるため、受光モジュール6が光導波路W1 の下方に突出することがない。そのため、保持板7Aを薄く形成することができ、その結果、光導波路W1 の四角枠内を走る光Hの高さ位置を低くすることができる。なお、図8において、符号8Aは保護板である。
【0012】
しかしながら、このものでは、上記反射面4a,4bでの光の反射(光路変換)により、光損失が大きくなることがあり、この点で改善の余地があった。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、光路変換を用いることなく、枠状の光導波路の枠内を走る光の高さ位置を低くすることができる入力デバイスの提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するため、本発明の入力デバイスは、枠状の保持板と、この保持板の表面に枠を揃えて設けられた下記(A)の枠状の光導波路と、この光導波路の光出射用のコアの後端部に接続された発光素子と、上記光導波路の光入射用のコアの後端側に接続され、受光部がそれ自体の上部側に設けられそれ自体の下端部が上記保持板側に位置する受光素子とを備え、上記光入射用のコアが形成された光入射側の光導波路部分および上記受光素子を、上下逆さにして、上記受光部が上記受光素子の下部側に位置し、上記受光素子の下端部が上記光入射側の光導波路部分よりも上方に位置するように構成し、上記発光素子から発せられ上記光出射用のコアを経てそのコアの先端面を被覆するオーバークラッド層のレンズ部から出射し上記枠状の光導波路の枠内を走る光の、上記保持板の裏面からの高さ位置が低く設定されているという構成をとる。
(A)枠状に形成され、その枠状において互いに対向する一方の部分に、光出射用のコアが所定パターンに形成され、他方の部分に、光入射用のコアが所定パターンに形成され、上記光出射用のコアの先端面と光入射用のコアの先端面とが、上記枠状の内側縁に位置決めされて対向し、上記光出射用のコアの先端面および光入射用のコアの先端面を被覆するオーバークラッド層の先端部が、レンズ部に形成されている光導波路。
【発明の効果】
【0015】
本発明の入力デバイスでは、光入射側の光導波路部分および上記受光素子を、上下逆さにして、上記受光部が上記受光素子の下部側に位置し、上記受光素子の下端部が上記光入射側の光導波路部分よりも上方に位置するように構成している。そのため、上記受光素子が実装されてなる受光モジュールは、上記光入射側の光導波路部分の上記保持板側(下側)に突出しないか、または、上記光入射側の光導波路部分に対する上記受光モジュールの上下方向(高さ方向)の突出量が、上記保持板側(下側)の方がその反対側(上側)よりも小さくなっている。これにより、光導波路を設ける保持板を厚く形成する必要がなく、光導波路の枠内を走る光の、上記保持板の裏面からの高さ位置を低く設定することができる。しかも、光路変換を用いる必要がないため、光損失が大きくならない。そのため、本発明の入力デバイスを、例えば、紙の上に上記保持板の裏面が接するよう載置し、上記光導波路の枠内から露呈する上記紙の部分に、ペンで、文字等を入力する際において、ペン先を紙の表面に接触させると、上記光導波路の枠内を走る光をペン先が遮光し、文字等を入力することができ、一方、入力者が入力を止める意図で、ペン先を紙の表面から少し離すと、上記遮光状態から外れ、入力されないようになる。すなわち、本発明の入力デバイスでは、入力者の意図のとおりに、適正に入力することができ、自然な入力が可能となる。
【0016】
特に、上記保持板の枠状のうちの少なくとも光入射側の内周縁が、上記光導波路の枠状の内周縁よりも枠状の内側に突出している場合には、受光素子の感知に悪影響を及ぼす、上記紙の表面で反射した光が、オーバークラッド層のレンズ部に入射するのを防止することができる。その結果、高精度な入力が可能となる。
【0017】
また、上記枠状の光導波路が、枠状の保護板で覆われており、その保護板の枠状のうちの少なくとも光入射側の内周縁が、上記光導波路の枠状の内周縁よりも枠状の内側に突出している場合には、受光素子の感知に悪影響を及ぼす、光導波路の上方からの光が、オーバークラッド層のレンズ部に入射するのを防止することができる。その結果、より高精度な適正な入力が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の入力デバイスの第1の実施の形態を模式的に示し、(a)は、その平面図であり、(b)は、さらに模式的に示す断面図である。
【図2】受光モジュールの一例を模式的に示す斜視図である。
【図3】(a)〜(c)は、上記入力デバイスの作製方法の一例を模式的に示す説明図である。
【図4】(a)〜(c)は、上記図3に示す工程に続く入力デバイスの作製方法を模式的に示す説明図である。
【図5】(a)〜(b)は、上記図4に示す工程に続く入力デバイスの作製方法を模式的に示す説明図である。
【図6】本発明の入力デバイスの第2の実施の形態をより模式的に示す断面図である。
【図7】従来の入力デバイスを模式的に示し、(a)は、その平面図であり、(b)は、さらに模式的に示す断面図である。
【図8】本発明の入力デバイスの発明過程で発明された入力デバイスを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。
【0020】
図1(a)は、本発明の入力デバイスの第1の実施の形態を模式的に示す平面図であり、図1(b)は、理解を容易にするために、さらに模式化した上記入力デバイスの断面図〔さらなる模式化のため、発光モジュール5および受光モジュール6の位置が図1(a)と異なって図示されている〕である。この実施の形態の入力デバイスは、先に述べた、図7(a),(b)に示す従来の入力デバイスにおいて、光入射用のコア2bが形成された光入射側Bの光導波路部分が、上下逆に設置され、オーバークラッド層3が下側(保持板7側)に位置している。それに伴って、上記受光モジュール6も上下逆になっており、それにより、その受光モジュール6は、光導波路Wの光入射側Bの光導波路部分の下側(保持板7側)に突出しないか、または、光入射側Bの光導波路部分に対する上記受光モジュール6の高さ方向(上下方向)の突出量が、下側(保持板7側)の方が上側(その反対側)よりも小さくなっている〔なお、図1(b)では、下側に僅かに突出している状態を示している〕。そのため、光導波路Wを設ける保持板7を厚く形成する必要がなく、光導波路Wの四角枠内を走る光Hの、上記保持板7の裏面からの高さ位置を低くすることができる。なお、光導波路Wの下方に突出する上記発光モジュール5の突出部分および上記受光モジュール6の突出部分は、上記従来の入力デバイスと同様、保持板7に形成された貫通孔7a,7bまたは凹部に挿入されている。
【0021】
このような構成の入力デバイスを、例えば、紙Kの上に上記保持板7の裏面が接するよう載置し、上記光導波路Wの四角枠内から露呈する上記紙Kの部分に、ペンPで、文字等を入力する際において、ペン先を紙Kの表面に接触させると、上記光導波路の四角枠内を走る光Hをペン先が遮光し、文字等を入力することができ、一方、入力者が入力を止める意図で、ペン先を紙Kの表面から少し離すと、上記遮光状態から外れ、入力されないようになる。すなわち、上記入力デバイスでは、入力者の意図のとおりに、適正に入力することができ、自然な入力が可能となる。
【0022】
さらに、この実施の形態では、保持板7の四角枠状の内周縁および保護板8の四角枠状の内周縁が、上記光導波路Wの四角枠状の内周縁よりも四角枠状の内側に突出している。そのため、受光モジュール6の受光素子の感知に悪影響を及ぼす、紙Kの表面で反射した光が、上記保持板7の内周縁により、オーバークラッド層3のレンズ部3aに入射するのを防止することができる。また、受光モジュール6の受光素子の感知に悪影響を及ぼす、光導波路の上方からの光が、上記保護板8の内周縁により、オーバークラッド層3のレンズ部3aに入射するのを防止することができる。これらの結果、文字等の入力精度が向上する。
【0023】
より詳しく説明すると、上記光導波路Wは、帯状の光導波路部分を個別に作製し、それを四角枠状に接続したものとなっている。また、この実施の形態では、上記帯状の各光導波路部分の端縁が段部に形成されており、その段部を利用して位置決めした状態で、隣接し合う光導波路部分と光導波路部分とが接続されている。そして、上記四角枠状の光導波路Wの枠内が、四角形状の入力用中空部(窓部)Sとなっている。
【0024】
上記四角枠状に形成された上記光導波路Wは、その四角枠を構成する一対のL字状部分の一方が光出射側Aとなっており、他方が光入射側Bとなっている。光出射側Aでは、アンダークラッド層1の表面に、光出射用のコア2aが複数に分岐された状態で形成され、さらに、その光出射用のコア2aを被覆した状態でオーバークラッド層3が形成されている。光入射側Bでは、オーバークラッド層3を下側(保持板7側)に位置させた状態で、そのオーバークラッド層3の表面に、光入射用の複数のコア2bが並列状態で形成され、さらに、その光入射用のコア2bを被覆した状態でアンダークラッド層1が形成されている。そして、光出射用のコア2aの先端面と光入射用のコア2bの先端面とは、上記一対のL字状部分の内側縁(四角枠の内周縁)に位置決めされ、対向した状態に形成されている。この実施の形態では、光出射用のコア2aの先端部および光入射用のコア2bの先端部が、平面視形状が略1/2円弧状の曲面を有する凸状のレンズ部に形成され、そのレンズ部を被覆するオーバークラッド層3の先端部が、側断面形状が略1/4円弧状の曲面を有する凸状のレンズ部3aに形成されている。また、この実施の形態では、アンダークラッド層1の厚みとオーバークラッド層3の厚みが異なるため、光出射用のコア2aと光入射用のコア2bの高さ位置が異なるが、オーバークラッド層3のレンズ部3aの屈折作用により、適正な光伝送が可能になっている。なお、図1(a)では、コア2a,2bを鎖線で示しており、鎖線の太さがコア2a,2bの太さを示している。また、図1(a),(b)では、コア2a,2bの数を略して図示している。
【0025】
また、光出射用のコア2aの後端部および光入射用のコア2bの後端部は、上記四角枠状の角部の外側に位置決めされている。そして、光出射用のコア2aの後端部には、発光モジュール5が接続され、光入射用のコア2bの後端部には、受光モジュール6が接続されている。発光モジュール5は、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)等の発光素子がガラエポ基板等の配線基板に実装されてなるものであり、その発光素子の発光部が上記光出射用のコア2aの後端部に接続されている。また、上記受光モジュール6は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )センサ等の受光素子がガラエポ基板等の配線基板に実装されてなるものであり、その受光素子の受光部が上記光入射用のコア2bの後端部に接続されている。
【0026】
その接続状態の受光モジュール6は、例えば、その斜視図を図2に示すように、長方形板状の発光素子6aが長方形板状の配線基板6bの表面に実装されている。上記発光素子6aの表面の下部側には、上記光入射用のコア2b〔図1(a),(b)参照〕の後端部と接続される受光部6cが形成され、上部側には、複数の受光素子パッド6dが形成されている。上記配線基板6bの表面の上部側には、複数の配線基板パッド6eが形成されている。そして、上記発光素子6aの受光素子パッド6dと上記配線基板6bの配線基板パッド6eとが、ワイヤーボンディング6fにより電気的に接続されている。
【0027】
そして、図1(a),(b)に示すように、上記発光モジュール5および受光モジュール6が接続された光導波路Wは、上記入力用中空部Sを有する四角枠状の保持板7の表面に設けられているとともに、上記入力用中空部Sを有する四角枠状の保護板8で覆われている。このように上記入力デバイスは構成されている。
【0028】
このような構成の入力デバイスでは、上記発光モジュール5の発光素子からの光は、上記光出射用のコア2aを通り、その先端のレンズ部を経て、それを被覆するオーバークラッド層3のレンズ部3aの表面から出射される。これにより、その出射された光Hは、上記四角枠状の光導波路Wの入力用中空部S内の領域において、格子状に走った状態となる。その格子状に走る光Hは、上記光出射用のコア2aの先端のレンズ部およびそれを被覆するオーバークラッド層3のレンズ部3aの屈折作用により、発散が抑制されている。しかも、先に述べたように、上記格子状に走る光Hの、上記保持板7の裏面からの高さ位置は、低くなっている。そして、上記光Hは、光入射側Bのオーバークラッド層3のレンズ部3aを透過し、光入射用のコア2bの先端のレンズ部を経て、上記光入射用のコア2bを通り、上記受光モジュール6の受光素子に到達する。上記光入射用のコア2bに入射した光は、上記オーバークラッド層3のレンズ部3aおよび上記光入射用のコア2bの先端のレンズ部の屈折作用により、絞られて収束されている。
【0029】
そして、上記入力デバイスを用いて情報を入力する際には、例えば、先に述べたように、上記入力デバイスを紙Kの上に上記保持板7の裏面が接するよう載置し、上記のように光Hが格子状に走る上記入力用中空部Sから露呈する上記紙Kの表面部分に、ペン先を接触させた状態で、ペン先を移動させる。これにより、上記格子状に走る光Hは、上記ペン先により遮光され、その遮光が上記受光モジュール6の受光素子により感知されることにより、上記ペン先の軌跡が検知される。そのペン先の軌跡が文字,図,印等の入力情報となる。また、ペン先を紙Kの表面から離すと、上記遮光状態から外れ、入力されないようになる。このとき、格子状に走る光Hの、上記紙Kの表面からの高さ位置(上記保持板7の裏面からの高さ位置)が低くなっていることから、ペン先を紙Kの表面から少し離すと、上記遮光状態から外れ、入力されないようにすることができ、自然な入力を可能にすることができる。
【0030】
ここで、上記格子状に走る光Hの、上記保持板7の裏面からの高さ位置は、紙Kのよれの影響をなくす観点からは、0.2mm以上に設定することが好ましく、上記のように自然な入力を可能にする観点からは、1.5mm以下に設定することが好ましい。
【0031】
このような入力デバイスは、例えば、パーソナルコンピュータ(以下「パソコン」という)とともに使用される。すなわち、上記パソコンのディスプレイに資料等の情報を表示し、その表示された情報に、文字,図,印等の情報を加える場合、上記のように、上記入力デバイスの入力用中空部S内の領域で、上記文字等の情報をペンPで入力する。これにより、そのペン先の軌跡が、上記入力デバイスにより、検知されるとともに、信号として上記パソコンに無線または接続ケーブルで伝達され、上記ディスプレイに表示することができる。これにより、上記ディスプレイには、上記資料等の情報に、上記入力デバイスで入力した文字等の情報が重ね合わさった状態で表示される。
【0032】
ここで使用される上記パソコンには、上記入力デバイスの入力用中空部Sで入力した文字等を、その入力した位置に対応するディスプレイの位置に表示させるために、入力デバイスの入力用中空部S内の領域の座標を、ディスプレイの画面の座標に変換し、入力デバイスで入力した文字等をディスプレイに表示するソフトウェア(プログラム)が組み込まれている。また、上記資料等の情報は、通常、上記パソコン内のハードディスクや外部のUSBメモリ等の情報記憶媒体に予め記憶させておき、その情報記憶媒体から出力される。そして、上記ディスプレイに表示された、上記資料等の情報と上記入力デバイスで入力した文字等の情報とが重ね合わさった情報は、上記情報記憶媒体に記憶することができる。
【0033】
上記入力デバイスの他の使用方法としては、その位置検知機能を利用して、タッチパネルにおける指の触れ位置を検知する検知手段として使用することがあげられる。すなわち、四角枠状の上記入力デバイスを、タッチパネルの画面の周縁部に沿って設置して使用する。このように使用することにより、指でタッチパネルの画面に触れると、その指による遮光を受光モジュール6の受光素子が感知し、その指が触れた位置(座標)を検知することができる。
【0034】
つぎに、上記入力デバイスの作製方法の一例について説明する。この実施の形態では、四角枠状の光導波路Wの作製は、その四角枠状の各辺の帯状の光導波路部分を個別に作製し、それを四角枠状に接続することにより行われる。なお、光導波路Wの作製方法の説明に引用する図3(a)〜(c),図4(a)〜(c)は、図1(a)のX−X断面(光入射側Bの光導波路部分の断面)に相当する部分を図示している。
【0035】
まず、帯状の光導波路部分を形成するための基板10〔図3(a)参照〕を準備する。この基板10の形成材料としては、例えば、金属,樹脂,ガラス,石英,シリコン等があげられる。
【0036】
ついで、図3(a)に示すように、上記基板10の表面に、帯状のアンダークラッド層1を形成する。このアンダークラッド層1は、感光性樹脂を形成材料として、フォトリソグラフィ法により形成することができる。アンダークラッド層1の厚みは、例えば、5〜50μmの範囲内に設定される。
【0037】
つぎに、図3(b)に示すように、光出射側A〔図1(a)参照〕に相当する光導波路部分では、上記アンダークラッド層1の表面に、フォトリソグラフィ法により前記パターンの光出射用のコア2aを形成し、光入射側B〔図1(a)参照〕に相当する光導波路部分では、上記アンダークラッド層1の表面に、フォトリソグラフィ法により前記パターンの光入射用のコア2bを形成する。これら光出射用のコア2aおよび光入射用のコア2bの形成材料としては、上記アンダークラッド層1および下記オーバークラッド層3〔図4(b)参照〕の形成材料よりも屈折率が高い感光性樹脂が用いられる。なお、図3(b)は光入射側Bの断面図であるため、この図3(b)に光出射用のコア2aは図示されない。これは、下記の図4(a)〜(c)でも同様である。
【0038】
ここで、図3(c)に示すように、オーバークラッド層形成用の、透光性を有する成形型20を準備する。この成形型20には、オーバークラッド層3〔図4(b)参照〕の表面形状に対応する型面を有する凹部21が形成されている。そして、その凹部21を上にして、成形型20を成形ステージ(図示せず)の上に設置し、その凹部21に、オーバークラッド層3の形成材料である感光性樹脂3Aを充填する。
【0039】
ついで、図4(a)に示すように、上記アンダークラッド層1の表面にパターン形成した光出射用のコア2aと、上記アンダークラッド層1の表面にパターン形成した光入射用のコア2bとを、それぞれ、上記成形型20の凹部21に対して位置決めし、その状態で、上記アンダークラッド層1を上記成形型20に押圧し、上記オーバークラッド層3の形成材料である感光性樹脂3A内に、上記光出射用のコア2aと、光入射用のコア2bとを浸す。そして、この状態で、紫外線等の照射線を、上記成形型20を透して上記感光性樹脂3Aに照射し、その感光性樹脂3Aを露光する。これにより、上記感光性樹脂3Aが硬化し、光出射用のコア2aの先端部に対応するオーバークラッド層3の部分と、光入射用のコア2bの先端部に対応するオーバークラッド層3の部分とが、レンズ部3aに形成されたオーバークラッド層3が形成される。
【0040】
つぎに、図4(b)〔図4(a)とは上下を逆に図示している〕に示すように、上記成形型20〔図4(a)参照〕から、上記オーバークラッド層3を脱型する。このとき、光出射側A〔図1(a)参照〕では、上記基板10,アンダークラッド層1,光出射用のコア2aと共に脱型し、光入射側B〔図1(a)参照〕では、上記基板10,アンダークラッド層1,光入射用のコア2bと共に脱型する。
【0041】
そして、図4(c)に示すように、上記基板10〔図3(b)参照〕をアンダークラッド層1から剥離する。これにより、アンダークラッド層1,光出射用のコア2a,オーバークラッド層3からなる光出射側Aの帯状の光導波路部分、およびアンダークラッド層1,光入射用のコア2b,オーバークラッド層3からなる光入射側Bの帯状の光導波路部分を得る。
【0042】
ここで、図5(a)に平面図で示すように、入力用中空部Sを有する四角枠状の保持板7を準備する。この保持板7の形成材料としては、例えば、金属,樹脂,ガラス,石英,シリコン等があげられる。なかでも、平面性の保持に優れている点で、ステンレスが好ましい。保持板7の厚みは、例えば、0.5mm程度に設定される。
【0043】
そして、図5(b)に示すように、上記四角枠状の保持板7の表面に、上記帯状の光導波路部分を四角枠状に貼着する。このとき、光出射側Aでは、アンダークラッド層1〔図1(b)参照〕を保持板7の表面に貼着し、光入射側Bでは、オーバークラッド層3〔図1(b)参照〕を保持板7の表面に貼着する。このようにして、上記四角枠状の保持板7の表面に、四角枠状の光導波路Wを作製する。
【0044】
つぎに、図1(a)に示すように、上記発光モジュール5を光出射用のコア2aの後端部に接続し、上記受光モジュール6を光入射用のコア2bの後端部に接続する。このとき、上記発光モジュール5および受光モジュール6に対応する上記保持板7の表面部分に、図1(b)に示すように、それぞれ貫通孔7a,7bまたは凹部を形成し、その貫通孔7a,7bまたは凹部に、光導波路Wの下方に突出する上記発光モジュール5の突出部分および上記受光モジュール6の突出部分をそれぞれ挿入する。その後、上記オーバークラッド層3のレンズ部3aを除く頂面と、上記発光モジュール5および受光モジュール6とを、四角枠状の保護板8で被覆する。この保護板8の形成材料としては、例えば、樹脂,金属,ガラス,石英,シリコン等があげられる。保護板8の厚みは、例えば、金属製であれば、0.5mm程度、樹脂製であれば、0.8mm程度に設定される。このようにして、図1(a),(b)に示す入力デバイスを作製することができる。
【0045】
図6は、本発明の入力デバイスの第2の実施の形態を示す断面図である。この実施の形態の入力デバイスは、上記第1の実施の形態〔図1(a),(b)参照〕において、光出射用のコア2aが形成された光入射側Aの光導波路部分が、上下逆に設置され、それに伴って、上記発光モジュール5も上下逆になっている。それ以外の部分は、上記第1の実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0046】
この実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様、光導波路Wの四角枠内を走る光の高さ位置を低くすることができる。また、発光モジュール5の突出部分が上側に位置するため、その突出部分を挿入するための貫通孔7a〔図1(b)参照〕または凹部を保持板7に形成する必要がない。
【0047】
なお、上記各実施の形態では、保持板7の四角枠状の内周縁および保護板8の四角枠状の内周縁を、光導波路Wの四角枠状の内周縁よりも四角枠状の内側に突出させたが、上記保持板7および保護板8のいずれか一方の内周縁を、上記光導波路Wの内周縁よりも四角枠状の内側に突出させ、他方の内周縁を、上記光導波路Wの内周縁と略面一状に位置させてもよいし、上記保持板7および保護板8の両者の内周縁を、上記光導波路Wの内周縁と略面一状に位置させてもよい。また、上記各実施の形態では、保持板7および保護板8の内周縁の光出射側Aも光入射側Bも四角枠状の内側に突出させたが、光入射側Bのみ突出させるようにしてもよい。
【0048】
また、上記各実施の形態では、情報入力方法の一例として、ペン(筆記具)Pを用いて紙Kに記入する方法をあげたが、紙Kに記入する必要がなければ、ペンPに代えて、例えば、細い棒体,指等を用いて入力してもよい。
【0049】
さらに、上記各実施の形態では、入力デバイスの使用方法の一例として、パソコンとともに使用し、上記入力デバイスへの入力情報を上記パソコンのディスプレイに表示する方法をあげたが、それに代えて、上記各実施の形態におけるパソコンの機能と同様の機能を、上記入力デバイスまたは上記ディスプレイに付与し、パソコンを使用することなく、ディスプレイに表示するようにしてもよい。
【0050】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。但し、本発明は、実施例に限定されるわけではない。
【実施例】
【0051】
〔実施例1〕
〔アンダークラッド層の形成材料〕
成分A:脂環骨格を含むエポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製、EHPE3150)75重量部。
成分B:エポキシ基含有アクリル系ポリマー(日油社製、マープルーフG−0150M)25重量部。
成分C:光酸発生剤(サンアプロ社製、CPI−200K)4重量部。
これら成分A〜Cを、紫外線吸収剤(チバジャパン社製、TINUVIN479)5重量部とともに、シクロヘキサノン(溶剤)に溶解することにより、アンダークラッド層の形成材料を調製した。
【0052】
〔コアの形成材料〕
成分D:ビスフェノールA骨格を含むエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、157S70)85重量部。
成分E:ビスフェノールA骨格を含むエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、エピコート828)5重量部。
成分F:エポキシ基含有スチレン系ポリマー(日油社製、マープルーフG−0250SP)10重量部。
これら成分D〜Fと上記成分C4重量部とを、乳酸エチルに溶解することにより、コアの形成材料を調製した。
【0053】
〔オーバークラッド層の形成材料〕
成分G:脂環骨格を有するエポキシ樹脂(アデカ社製、EP4080E)100重量部。
この成分Gと上記成分C2重量部とを混合することにより、オーバークラッド層の形成材料を調製した。
【0054】
〔光導波路部分の作製〕
ステンレス製基板(厚み50μm)の表面に、上記アンダークラッド層の形成材料を塗布した後、160℃×2分間の加熱処理を行い、感光性樹脂層を形成した。ついで、上記感光性樹脂層に対し、紫外線を照射して積算光量1000mJ/cm2 の露光を行い、厚み20μmのアンダークラッド層(波長830nmにおける屈折率1.510)を形成した。
【0055】
ついで、上記アンダークラッド層の表面に、上記コアの形成材料を塗布した後、170℃×3分間の加熱処理を行い、感光性樹脂層を形成した。つぎに、フォトマスクを介して(ギャップ100μm)、紫外線を照射し、積算光量3000mJ/cm2 の露光を行った。つづいて、120℃×10分間の加熱処理を行った。その後、現像液(γ−ブチロラクトン)を用い現像することにより、未露光部分を溶解除去した後、120℃×5分間の乾燥処理を行った。これにより、光出射側では、光出射用のコア(波長830nmにおける屈折率1.570)をパターン形成し、光入射側では、光入射用のコア(波長830nmにおける屈折率1.570)をパターン形成した。光出射用のコアおよび光入射用のコアの寸法は、幅30μm×高さ(厚み)50μmとした。
【0056】
ここで、オーバークラッド層形成用の、透光性を有する成形型を準備した。この成形型には、オーバークラッド層の表面形状に対応する型面を有する凹部が形成されている。そして、その凹部を上にして、成形型を成形ステージの上に設置し、その凹部に、上記オーバークラッド層の形成材料を充填した。
【0057】
ついで、上記アンダークラッド層の表面にパターン形成した光出射用のコアと、上記アンダークラッド層の表面にパターン形成した光入射用のコアとを、上記成形型の凹部に対して位置決めし、その状態で、上記アンダークラッド層を上記成形型に押圧し、上記オーバークラッド層の形成材料内に、上記光出射用のコアと、光入射用のコアとを浸した。そして、この状態で、紫外線を、上記成形型を透して上記オーバークラッド層の形成材料に照射して積算光量8000mJ/cm2 の露光を行い、光出射用のコアの先端部に対応するオーバークラッド層の部分および光入射用のコアの先端部に対応するオーバークラッド層の部分が凸状のレンズ部に形成された、厚み(アンダークラッド層の表面からの厚み)600μmのオーバークラッド層を形成した。その凸状のレンズ部は、側断面形状が略1/4円弧状のレンズ曲面(曲率半径1.4mm)を有するものであった。
【0058】
つぎに、上記成形型から、上記オーバークラッド層を脱型した。このとき、上記基板,アンダークラッド層,コアと共に脱型した。
【0059】
そして、上記基板をアンダークラッド層から剥離した。これにより、アンダークラッド層,光出射用のコア,オーバークラッド層からなる光出射用の帯状の光導波路部分、およびアンダークラッド層,光入射用のコア,オーバークラッド層からなる光入射用の帯状の光導波路部分を得た。
【0060】
〔入力デバイスの作製〕
ついで、発光素子〔Optowell社製、SH85−2S001(VCSEL)〕が実装された発光モジュールを光出射用のコアの後端部に接続し、受光素子〔Panavision社製、LIS−500(CMOS)〕が実装された受光モジュールを光入射用のコアの後端部に接続した。そして、その接続した状態での上記発光モジュールおよび受光モジュールの、オーバークラッド層の上面からの突出量およびアンダークラッド層の下面からの突出量を測定した。その結果、上記発光モジュールは、オーバークラッド層の上面から突出せず、アンダークラッド層の下面からの突出量が400μmであった。また、上記受光モジュールは、オーバークラッド層の上面から突出せず、アンダークラッド層の下面からの突出量が900μmであった。
【0061】
ここで、四角枠状のステンレス製保持板(厚み0.5mm)を準備した。この保持板の入力用中空部は、縦30cm×横30cmの四角形とした。そして、上記保持板の表面のうち、上記入力用中空部の外側部分に、上記発光モジュールまたは受光モジュールが接続された上記帯状の光導波路部分を貼着した。このとき、光出射側では、アンダークラッド層を保持板の表面に貼着し、光入射側では、オーバークラッド層を保持板の表面に貼着した。また、上記発光モジュールに対応する上記保持板の表面部分に貫通孔を形成し、その貫通孔に、アンダークラッド層の下面から突出する上記発光モジュールの突出部分を挿入した。その後、上記オーバークラッド層のレンズ部を除く頂面と、上記発光モジュールおよび受光モジュールとを、四角枠状のステンレス製保護板(厚み0.5mm)で被覆し、入力デバイスを得た〔図1(a),(b)参照〕。
【0062】
〔実施例2〕
〔入力デバイスの作製〕
上記実施例1において、光出射側も、光入射側と同様に、オーバークラッド層を保持板の表面に貼着した(図6参照)。それ以外の部分は、上記実施例1と同様とした。
【0063】
〔比較例〕
〔入力デバイスの作製〕
上記実施例1において、光出射側も光入射側も、光導波路部分のアンダークラッド層を保持板の表面に貼着した〔図7(a),(b)参照〕。ただし、この比較例では、アンダークラッド層の下面から突出する受光モジュールの突出量が大きいため、上記保持板として、厚みが1.2mmのものを用いた。
【0064】
〔出射光の高さ位置〕
上記実施例1,2および比較例の入力デバイスにおいて、保持板の厚みは、実施例1,2が0.5mm、比較例が1.2mmであることから、光導波路の高さ位置は、実施例1,2の方が、比較例よりも、低い位置にある。すなわち、実施例1,2は、比較例と比較して、光導波路の枠内を走る光の高さ位置が低いことがわかる。
【0065】
〔入力デバイスの作動確認〕
さらに、パソコンを準備した。このパソコンには、上記実施例1,2および比較例の入力デバイスの四角枠状の光導波路の入力用中空部内の領域の座標を、ディスプレイの画面の座標に変換し、入力デバイスで入力した文字等をディスプレイに表示するソフトウェア(プログラム)が、組み込まれている。また、上記パソコンは、上記入力デバイスの無線モジュールからの電波(情報)を受信できるよう受信手段を備えており、上記パソコンと入力デバイスとを、無線で情報伝達可能に接続した。
【0066】
そして、上記実施例1,2および比較例の入力デバイスを、そのステンレス製保持板を下にして、紙の上に載置した。ついで、ペンで、上記入力用中空部内の領域から露呈する上記紙に文字を入力した。その結果、実施例1,2では、ペン先を紙の表面から少し離すと、入力が中止され、自然な入力が可能であった。これに対し、比較例では、ペン先を紙の表面から大きく離さなければ入力が中止されず、入力が不自然であった。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の入力デバイスは、ディスプレイに表示された資料等に、文字,図,印等の新たな情報を書き加えることや、タッチパネルにおける指の触れ位置を検知する検知手段に利用可能である。
【符号の説明】
【0068】
W 光導波路
B 光入射側
S 入力用中空部
2a,2b コア
3 オーバークラッド層
5 発光モジュール
6 受光モジュール
7 保持板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状の保持板と、この保持板の表面に枠を揃えて設けられた下記(A)の枠状の光導波路と、この光導波路の光出射用のコアの後端部に接続された発光素子と、上記光導波路の光入射用のコアの後端側に接続され、受光部がそれ自体の上部側に設けられそれ自体の下端部が上記保持板側に位置する受光素子とを備え、上記光入射用のコアが形成された光入射側の光導波路部分および上記受光素子を、上下逆さにして、上記受光部が上記受光素子の下部側に位置し、上記受光素子の下端部が上記光入射側の光導波路部分よりも上方に位置するように構成し、上記発光素子から発せられ上記光出射用のコアを経てそのコアの先端面を被覆するオーバークラッド層のレンズ部から出射し上記枠状の光導波路の枠内を走る光の、上記保持板の裏面からの高さ位置が低く設定されていることを特徴とする入力デバイス。
(A)枠状に形成され、その枠状において互いに対向する一方の部分に、光出射用のコアが所定パターンに形成され、他方の部分に、光入射用のコアが所定パターンに形成され、上記光出射用のコアの先端面と光入射用のコアの先端面とが、上記枠状の内側縁に位置決めされて対向し、上記光出射用のコアの先端面および光入射用のコアの先端面を被覆するオーバークラッド層の先端部が、レンズ部に形成されている光導波路。
【請求項2】
上記保持板の枠状のうちの少なくとも光入射側の内周縁が、上記光導波路の枠状の内周縁よりも枠状の内側に突出している請求項1記載の入力デバイス。
【請求項3】
上記枠状の光導波路が、枠状の保護板で覆われており、その保護板の枠状のうちの少なくとも光入射側の内周縁が、上記光導波路の枠状の内周縁よりも枠状の内側に突出している請求項1または2記載の入力デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−83749(P2013−83749A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222699(P2011−222699)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】