入力ペン

【課題】尾栓のネジ締め作業時に内部にある電子回路基板の接地回路を兼用するスプリングが、外筒のネジ部に引っかかることなく確実に尾栓が締め込められるペン。
【解決手段】両端部の内周面にネジが形成された外筒と、該外筒の一方の端部にはスライダーが、他方の端部にはスペーサが電子回路基板を保持する入力ペンにおいて、前記スペーサを固定係止する先端部外周に円筒状ガイドを形成した尾栓取り付けリングを尾栓と一体になし前記外筒に螺合する。

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明はペンに関し、特に外筒の内部に電子回路基板等を尾栓にて固定する入力ペンに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】従来の外筒１２の内部に電子回路基板１５を、尾栓１９にて固定する入力ペン１１は図３に示すように、外筒１２の両端の内周面にネジ１２ａ、１２ｂが刻設され、外筒１１の一方の端面には、座標信号を検出するペン先部２１が形成され、このペン先部２１を保持するスライダー１４は、外筒１２の一方の端部１２ａにねじ込まれた先金１３にて受けるようになっている。また、外筒１２の他方の端部のネジ部１２ａは、尾栓取付けリング１８と螺合されている。この尾栓取付リング１８に内方に付勢されるスペーサ１７は、前述した電子回路基板１５の他方を保持する。
【０００３】電子回路基板１５を支えるスライダー１４及びスペーサ１７が外筒１２に挿入され、スライダー１４及びスペーサ１７を保持するために尾栓１９が外筒１２に端部ネジ１２ｂとネジ締めされている。この時、電子回路基板１５を挟み込んでいるスライダー１４と、スペーサ１７は一体となって外筒１２の内部にセットされるが、電子回路基板１５が外筒１２の内部でがたつかないように、スプリング１６が尾栓取付けリング１８とスペーサ１７の間に配置されている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】如上の従来の入力ペンの構造では、スライダー１４とスペーサ１７によって保持され一体となっている電子回路基板１５を、尾栓取付けリング１８によって押さえ込むために、スペーサ１７には右方向に巻かれたスプリング１６が巻装され、スプリング１６の端のＬ字部１６ａは電子回路基板１５のグランドに半田付けにて電気的に接続されている。外筒１２から尾栓１９を取り外す時は、スプリングの座面１６ｂと尾栓取付けリング１８の端面とは滑り易い方向に力が働き、又は摩擦力が発生してもスプリング１６の外径が小さくなる方向に働くので、スプリング１６が外筒１２のネジ部１２ｂに引っかかることがなく調整等の作業をするとき電子回路基板１５等の取り外し作業がし易い。
【０００５】然し、逆に組立作業時には尾栓１９に嵌合固定されている尾栓取付けリング１８を、外筒１２の端部のネジ部１２bにねじ込む方向なのでスプリング座面１６ｂと尾栓取付けリング１８の端面との摩擦力によりスプリング１６が外側に広がろうとする力が働き、尾栓１９のねじ締め時スプリング１６が外筒１２のネジ部１２ｂにひっかっかたり、または完全に尾栓１９がねじ込めないという不具合があった。また、尾栓１９取付け作業前は、スプリング１６が自由長になっており外筒１２へ尾栓取付けリング１８をねじ込む時に、スプリング１６を圧縮するときのスプリング力の影響もあり外筒１２に対して尾栓取付けリング１８が真っ直ぐに入らず、斜めに外筒１２に入ってしまいネジ部１２ｂをつぶすという不具合もあった。
【０００６】
【課題を解決するための手段】本発明は従来の問題に鑑みなされたもので、両端部の内周面にネジが形成された外筒と、該外筒の一方の端部にはスライダーが、他方の端部にはスペーサが電子回路基板を保持する入力ペンにおいて、前記スペーサを固定係止する先端部外周に円筒状ガイドを形成した尾栓取り付けリングを尾栓と一体になし前記外筒に螺合する入力ペンを提案するものである。
【０００７】
【作用】本発明の入力ペンでは、外筒の両端のそれぞれに配置したスライダーとスペーサーとで保持される電子回路基板を、後部から保持するスペーサーに巻装される接地回路を兼用するスプリングを、このスプリングを覆うようにガイドを配置した。
【０００８】
【発明の実施の形態】本発明では、尾栓取付けリングのネジ部の先端に円筒状のガイドを設け、このガイドの内側に電子回路基板のグランドを取る役目のためと、スライダーとスペーサにより挟み込まれている電子回路基板をがたつきなくセットする役目のため付勢を与えることを兼用したスプリングが配置されることにより、尾栓取付けリングを外筒にねじ締めする時、スプリングが尾栓取付けリングとの摩擦力で外側に膨らもうとしても尾栓取付けリングのネジ部先端円周上に設けた円筒状のガイドにより外筒の内周ネジ部にスプリングは、接触せず引っかかることなく締め込み作業ができる。また、尾栓取付けリングのネジ部先端の円周上に形成された円筒状のガイドの外径と外筒の内径との隙間は摺動する程度に殆ど隙間がなく尾栓取付けリングはガタつきを起こさないので、尾栓取付けリングを外筒にねじ込むときの案内の役目をし、斜めに入ることによりネジ部をつぶすということがないようスムースな尾栓取付け作業が行える。
【０００９】
【実施例】本発明の一実施例を添付図面を参照して説明する。図１は本発明の実施例の入力ペンの要部縦断面図である。図２は図１の要部拡大図である。参照符号１は入力ペンであって、外筒２の一方の端部の内周部にネジ２ａが刻設されており、そこに先金３がねじ締めされている。外筒２の他方の端部の内周面にもネジ２ａが刻設されており、尾栓９がねじ締めされている。
【００１０】尾栓９には、ケーブル（図示せず）を屈曲から保護するためのに保護ゴム１０が挿入されている。また、尾栓９には、外筒２にねじ込めて尾栓取付けリング８が外筒２に電気的に接続が行えるように導電性の金属製でできている。尾栓取付けリング８は、合成樹脂製の尾栓９に嵌入固定できるよう、尾栓９の内周部に形成してある突起リブ９ａと係合する部分に、円周状に溝８ｂが形成されており、尾栓９と嵌入されると突起リブ９ａと溝８ｂが嵌合し緩まないよう固定される。また、尾栓取付けリング８の外筒２と嵌合する部分には、ネジ８ｃが形成されその先端部の円周には円筒状にガイド８ａが延設されている。
【００１１】外筒２内にはスライダー４とスペーサ７によって保持されている電子回路基板５が、所定の位置に設置されている。スライダー４の電子回路基板５を挟み込んでいる反対側の端面は、先金３のネジ部端面に当接している。電子回路基板５はスライダー４とスペーサ７に一体となって固定されるようにがたつきがないようスペーサ７にスプリング６が取り付けられ付勢を与えている。
【００１２】スプリング６の一方の端部はＬ字状６ａに曲がっていて、その先端は電子回路基板５のグランド（図示せず）に半田付けされていて、スプリング６の他方の端部６ｂは座巻きされており、尾栓取付けネジ８の内周側奥に座面６ｂ部を受ける段部８ｄが形成され、スプリング６の座面６ｂはこの段部８ｄで圧接するようになっている。
【００１３】スペーサ７外周に巻装されたスプリング６の螺旋状に巻かれている部分は、ちょうど尾栓取付けリング８のネジ部８ｃ先端から延びている、円筒状のガイド８ａの内側に配置されるようになており、尾栓取付けリング８の外筒２へのねじ締めでスプリング６の外径方向への膨らみによる外筒ネジ部２ｂへの接触を防止している。また、尾栓取付けリング８のネジ部８ｃの先端に円筒状に延びたガイド８ａの外径は、外筒２の内径とほんのわずかな隙間があるだけでほとんどガタがなく尾栓取付けリング８を外筒２にねじ締めするときの案内となり外筒２の軸方向に真っ直ぐにセットできる。
【００１４】
【発明の効果】本発明は如上のような構成となしたので、外筒に尾栓取付けリングをねじ締め作業においてスペーサに取り付けられたスプリングが外側に膨らんでも外筒のネジ部に引っかかることがなくセットができる。また、尾栓取付けリングのネジ部先端から円筒状に延ばしたガイドは、尾栓取付けリングを外筒にねじ締めするとき外筒軸方向に真っ直ぐセットさせる案内となり、外筒に斜めに入ることによるネジ部をつぶす防止効果も持っている。
【図面の簡単な説明】
図１入力ペンの縦断面図
図２図１の入力ペン要部縦断面図
図３従来の入力ペン縦断面図
【符号の説明】
１入力ペン
２外筒
２ａネジ部
２ｂネジ部
３先金
４スライダー
５電子回路基板
６スプリング
６ａＬ字部
６ｂ座面
７スペーサ
８尾栓取付けリング
８ａ円筒状ガイド
８ｂ溝部
８ｃネジ部
８ｄ段部
９尾栓
９ａ突起リブ
１０保護ゴム
１１入力ペン
１２外筒
１２ａネジ部
１２ｂネジ部
１３先金
１４スライダー
１５電子回路基板
１６スプリング
１６ａＬ字部
１６ｂ座面
１７スペーサ
１８尾栓取付けリング
１８ａ溝部
１９尾栓
１９ａ突起リブ
２０保護ゴム
２１先金部

【特許請求の範囲】
【請求項１】両端部の内周面にネジが形成された外筒と、該外筒の一方の端部にはスライダーが、他方の端部にはスペーサが電子回路基板を保持する入力ペンにおいて、前記スペーサを固定係止する先端部外周に円筒状ガイドを形成した尾栓取り付けリングを尾栓と一体になし前記外筒に螺合することを特徴とする入力ペン。

【図１】