入力装置、その製造方法及び電子機器
【課題】 組立時の配線接続工程を簡略化できるようにすると共に、部品点数を削減して装置機器を小型化できるようにする。
【解決手段】 表示面操作領域及び側面操作領域を有した筐体20と、この筐体20の表示面操作領域及び側面操作領域に取り付けられた多面操作用の入力シート80とを備え、この入力シート80は、光透過性のシート状の平坦部材に表示面タッチシート部分80dと側面タッチシート部分80a〜80cとを形成した展開入力シートが選択的に折曲げられ、筐体20の表示面操作領域に表示面タッチシート部分80dが取り付けられ、かつ、当該筐体20の側面操作領域に側面タッチシート部分80a〜80cが取り付けられた入力シート折曲げ構造を有するものである。
【解決手段】 表示面操作領域及び側面操作領域を有した筐体20と、この筐体20の表示面操作領域及び側面操作領域に取り付けられた多面操作用の入力シート80とを備え、この入力シート80は、光透過性のシート状の平坦部材に表示面タッチシート部分80dと側面タッチシート部分80a〜80cとを形成した展開入力シートが選択的に折曲げられ、筐体20の表示面操作領域に表示面タッチシート部分80dが取り付けられ、かつ、当該筐体20の側面操作領域に側面タッチシート部分80a〜80cが取り付けられた入力シート折曲げ構造を有するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め準備された入力項目選択用の表示画面の中からアイコンを選択して情報を入力する、デジタルカメラや、携帯電話機、携帯端末装置等に適用して好適な入力装置、その製造方法及び電子機器に関する。詳しくは、入力シート折曲げ構造を有する多面操作用の入力シートを備え、光透過性のシート状の平坦部材に表示面操作用のシート状の入力タッチ部材と側面操作用のシート状の入力タッチ部材とを形成した展開入力シートを選択的に折曲げて、当該筐体の表示面操作領域に表示面操作用の入力タッチ部材を取り付け、かつ、当該筐体の側面操作領域に側面操作用の入力タッチ部材を取り付けて、表示面操作用の入力タッチ部材又は側面操作用の入力タッチ部材の一部の位置に、当該多面操作用の入力シートの配線部材を集中できるようにすると共に、配線部材や配線端子等の取り付けスペースを低減できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザ(操作者)は、デジタルカメラや、携帯電話機、カムコーダ、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯用の電子機器に様々なコンテンツを取り込み、それを利用するようになってきた。これらの電子機器には入力装置が具備される。入力装置にはキーボードや、JOGダイヤル等の入力手段、表示部を合わせたタッチパネルなどが使用される場合が多い。タッチパネルには、静電容量方式や抵抗膜方式が使用されている。
【0003】
静電容量方式のタッチパネルには、入力操作面下に静電容量シートが設けられ、入力操作面において、指を触れた入力位置を検出して、指を触れた状態と、指で触れていない状態(非接触)とを判別するようになされる。抵抗膜方式のタッチパネルには、入力操作面下に抵抗調整膜が設けられ、入力操作面において、指を触れた入力位置を検出して、指を触れた状態と、指で触れていない状態(非接触)とを判別するようになされる。
【0004】
静電容量方式のタッチパネルは、静電容量シートと操作者の指の間に、筺体等の入力操作面が介在していても動作するので、防水性かつデザイン性に優れている。また、抵抗膜方式のタッチパネルと比較して、メカ的に動く部分がない等により耐久性に優れている。
【0005】
デジタルカメラや、携帯電話機、カムコーダ、PDA等の携帯用の電子機器の表示部に搭載されるタッチパネルについて、より多くの機能が搭載され、表示素子は高性能化の一途を辿ってきている。それに伴って、上述の電子機器には、ノートパソコン(以下ノートPCという)等のように、画面上のカーソルを任意に移動させ、アイコンにカーソルを合わせて決定するというような、いわゆる“カーソリング機能”が求められてきている。
【0006】
このような要求は、“選ぶ”という動作と、“決定”するという動作の2種類の入力操作を区別して検出できることが要求される。人間工学的なものの見方からすると、前者の選ぶという動作は、“なぞる”という動作、後者の決定という動作は“押し込む”という動作と直結すると考えることは容易である。
【0007】
一方、電気機器の筺体に配置されるスイッチについても、より多くの機能が搭載され、更にデザイン的な要求から、機能が増えているにもかかわらず、スイッチ数を減らす、スイッチと筺体の間の段差を減らすなどの要求が多く出てきている。また、この入力操作領域においても、スライド操作などの、前記“なぞる”という動作と、決定の意味をもつ“押し込む”という動作が同一平面上で操作できることが要求されてきている。
【0008】
これらの静電容量方式や抵抗膜方式のタッチパネルを備えた電子機器によれば、筐体内に表示手段が設けられ、その表示領域上には、静電容量シートや抵抗膜シートが設けられるが、メカニカルスイッチは、これらの静電容量シートや抵抗膜シートとは別個独立に筐体の側面に設けられている。メカニカルスイッチの一例を挙げると、例えば、筐体側面において、ドーム形状の金属板を電極パターン上に形成し、使用者がドーム上を押下することによって、ドームが変形しドーム下の電極パターンに接触することによって、電気的なスイッチングが行われる。同時に、ドーム変形時の金属板の、いわゆる“コシ”により、クリック感を発生せしめるものである。
【0009】
この種のタッチパネルを使用した電子機器に関連して特許文献1には、タッチパネルの入力方法が開示されている。この入力方法によれば、重要な項目選択の場合は、強くタッチ操作をし、単純な選択操作は軽くタッチ操作するようになされる。このようにすると、操作員の誤操作を防止できるというものである。
【0010】
特許文献2には、外部モニタとエレクトロビュファインダを備えた撮像装置が開示されている。この撮像装置によれば、エレクトロビュファインダには、タッチパネルの操作に連動して、画面内を移動するポインタと、このポインタで指示され、選択される撮影情報等の各種操作の指令を入力する操作領域とが表示される。タッチパネルの操作に基づいて撮影情報に係る各種操作の指令を入力するようになされる。このようにすると、エレクトロビュファインダ専用の操作系を設けることがないので、コストアップを防止できるというものである。
【0011】
特許文献3には、タッチパネルを備えた入力装置及び入力方法が開示されている。この入力方法によれば、入力操作時、タッチパネルで押圧指示しようとする場合に、入力しようとする入力画面の一部をユーザの指示位置を指示する表示体と共に入力ガイド情報と共に別途表示するようになされる。このようにすると、視認性を向上でき、かつ、入力ミスを防止でき、操作性を向上できるというものである。
【0012】
特許文献4には、指やペンなどにより入力可能な座標入力装置が開示されている。この座標入力装置によれば、静電容量圧力センサと表示手段とを組み合わせて入出力一体型の座標入力装置を構成するようになされる。このようにすると、専用の電子ペン等を使用せずに、また、電磁ノイズを発生することなく、指やペンなどにより入力情報を選択できるというものである。
【0013】
【特許文献1】特開平 09−022330号公報(第2頁 図3)
【特許文献2】特開2000−184241号公報(第2頁 図2)
【特許文献3】特開2004−021933号公報(第3頁 図3)
【特許文献4】特開2000−347807号公報(第3頁 図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、従来例に係るデジタルカメラや、携帯電話機、携帯端末装置等の電子機器によれば、以下のような問題がある。
【0015】
i.現在、上述の電子機器には、“なぞる”動作と“押し込む”動作とを同一平面上に実現することが求められている。しかし、従来方式では、上述の2つの動作のうち、違和感のない人間の操作において、どちらか1つの動作しか実現できていないのが現状である。因みに、ノートPCのタッチパッドなどは、ダブルクリックなどで上記2つの機能を分けているが、人間工学的な観点からは、違和感のある操作といわざるを得ない。
【0016】
ii.また、特許文献1〜特許文献3に見られるような各種方式のタッチパネルと表示部とを合わせた二次元入力機能付きの携帯端末装置によれば、表示部でアイコンを選択した際に、その選択位置において、”押し込み”操作による入力確定ができていないのが現状である。
【0017】
iii.なお、特許文献4に見られるような静電容量シートとメカニカルタクトスイッチを組み合わせて、“なぞる”動作と“押し込む”動作とを同一平面上で実現することが考えられるが、特許文献4に見られるようなメカニカルタクトスイッチを採用すると、装置が大型化するばかりか、デザイン面でのデメリットが生じてしまい、及び、“なぞり”動作時の操作感がメカニカルスイッチをなぞることになる。このため、意図しない凹凸感を感じてしまい、人間工学的に好ましくない。
【0018】
iv.また、筐体側面に取り付け可能なメカニカルスイッチによれば、オンオフ確認用に発光ダイオード(LED)を組み合わせて使用される場合がある。この種のメカニカルスイッチにおいて、LEDは押下操作軸外の基板上に配置されているので、部品取り付けスペースを多く占有するようになる。
【0019】
v.更に、静電容量シートや抵抗膜シート等とその制御用のIC基板の間、また、メカニカルスイッチと、そのIC基板の間には、フレキシブル配線シート(基板)を使用して配線される場合が多い。従って、高価なフレキシブル配線をシート基板間に3本乃至4本(条)を布設したり、これに接続される同数のコネクタを実装しなければならない。これにより、組立時の配線接続工程が複雑になったり、部品点数が多くなって、タッチパネルを使用した電子機器のコストアップにつながる。
【0020】
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、組立時の配線接続工程を簡略化できるようにすると共に、部品点数を削減して装置機器を小型化できるようにした入力装置、その製造方法及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述した課題は、第1操作領域及び第2面操作領域を有した筐体と、この筐体の第1操作領域及び第2面操作領域に取り付けられた多面操作用の入力シートとを備え、多面操作用の入力シートは、光透過性のシート状の平坦部材に第1面操作用のシート状の入力タッチ部材と第2面操作用のシート状の入力タッチ部材とを形成した展開入力シートが選択的に折曲げられ、筐体の第1操作領域に第1面操作用の入力タッチ部材が取り付けられ、かつ、当該筐体の第2面操作領域に第2面操作用の入力タッチ部材が取り付けられた入力シート折曲げ構造を有することを特徴とする入力装置によって解決される。
【0022】
本発明に係る入力装置によれば、多面操作用の入力シートが入力シート折曲げ構造を有しているので、第1面操作用の入力タッチ部材又は第2面操作用の入力タッチ部材の一部の位置に当該多面操作用の入力シートの配線部材を集中させることができる。
【0023】
本発明に係る入力装置の製造方法は、光透過性のシート状の平坦部材に第1面操作用のシート状の入力タッチ部材と第2面操作用のシート状の入力タッチ部材とを形成して多面操作用の展開入力シートを形成する工程と、展開入力シートを取り付けるための第1操作領域及び第2面操作領域を有した筐体を形成する工程と、展開入力シートを選択的に折曲げて筐体の第1操作領域に第1面操作用の入力タッチ部材を取り付け、かつ、当該筐体の第2面操作領域に第2面操作用の入力タッチ部材を取り付ける工程とを有することを特徴とするものである。
【0024】
本発明に係る入力装置の製造方法によれば、折曲げ可能な多面操作用の展開入力シートを一部品によって形成できるので、従来方式のような第1面操作用の入力タッチパネルと第2面操作用の入力タッチスイッチとを別個独立した2部品で構成する場合に比べて、製造工程数を削減することができる。
【0025】
本発明に係る電子機器は、表示手段と、この表示手段の上部に配置され、操作体の接触位置を検出して位置検出信号を出力する機能及び操作体の押圧力を検出して力検出信号を出力する機能を有した入力手段とを備えた電子機器において、入力手段は、第1操作領域及び第2面操作領域を有した筐体と、筐体の第1操作領域及び第2面操作領域に取り付けられた多面操作用の入力シートとを有し、多面操作用の入力シートは、光透過性のシート状の平坦部材に第1面操作用のシート状の入力タッチ部材と第2面操作用のシート状の入力タッチ部材とを形成した展開入力シートが選択的に折曲げられ、筐体の第1操作領域に第1面操作用の入力タッチ部材が取り付けられ、かつ、当該筐体の第2面操作領域に第2面操作用の入力タッチ部材が取り付けられた入力シート折曲げ構造を有することを特徴とするものである。
【0026】
本発明に係る電子機器によれば、本発明に係る入力装置が応用されるので、入力手段の第1面操作用の入力タッチ部材又は第2面操作用の入力タッチ部材の一部の位置に当該入力手段の位置検出信号や力検出信号等を伝送する配線部材を集中させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る入力装置によれば、入力シート折曲げ構造を有する多面操作用の入力シートを備え、この入力シートは、光透過性のシート状の平坦部材に第1面操作用のシート状の入力タッチ部材と第2面操作用のシート状の入力タッチ部材とを形成した展開入力シートが選択的に折曲げられ、当該筐体の第1操作領域に第1面操作用の入力タッチ部材が取り付けられ、かつ、当該筐体の第2面操作領域に第2面操作用の入力タッチ部材が取り付けられたものである。
【0028】
この構成によって、第1面操作用の入力タッチ部材又は第2面操作用の入力タッチ部材の一部の位置に当該多面操作用の入力シートの配線部材を集中させることができる。従って、第1面操作用の入力タッチ部材と第2面操作用の入力タッチ部材の別個独立した位置から配線部材を引き出す場合に比べて、配線部材や配線端子等の取り付けスペースを低減できるので、入力装置の小型化を図ることができる。しかも、入力装置の組立時、配線接続工程の簡略化を図ることができる。また、部品点数の削減化により入力装置のコストダウンが図れる。
【0029】
本発明に係る入力装置の製造方法によれば、光透過性のシート状の平坦部材に第1面操作用のシート状の入力タッチ部材と第2面操作用のシート状の入力タッチ部材とを形成して多面操作用の展開入力シートを形成するようになされる。
【0030】
この構成によって、折曲げ可能な多面操作用の展開入力シートを一部品によって形成できるので、従来方式のような第1面操作用の入力タッチパネルと第2面操作用の入力タッチスイッチとを別個独立した2部品で構成する場合に比べて、製造工程数を削減することができる。
【0031】
本発明に係る電子機器によれば、表示手段の上部に配置され、操作体の接触位置を検出して位置検出信号を出力する機能及び操作体の押圧力を検出して力検出信号を出力する機能を有した入力手段を備え、この入力手段には本発明に係る入力装置が応用されるものである。
【0032】
この構成によって、入力手段の第1面操作用の入力タッチ部材又は第2面操作用の入力タッチ部材の一部の位置に当該入力手段の位置検出信号や力検出信号等を伝送する配線部材を集中させることができる。従って、第1面操作用の入力タッチ部材と第2面操作用の入力タッチ部材の別個独立した位置から配線部材を引き出す場合に比べて、配線部材や配線端子等の取り付けスペースを低減できるので、電子機器の小型化を図ることができる。しかも、電子機器の組立時、配線接続工程の簡略化を図ることができる。また、部品点数の削減化により電子機器のコストダウンが図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
続いて、この発明に係る入力装置、その製造方法及び電子機器の一実施の形態について、図面を参照しながら説明をする。
【実施例1】
【0034】
図1は、本発明に係る第1の実施例としての入力装置100の構成例を示す斜視図である。
【0035】
図1に示す入力装置100は、予め準備された入力項目選択用の表示画面の中からアイコンを選択して情報を入力したり、Z方向の押圧力を検出してスイッチ動作をする装置である。入力装置100は、図示しない表示手段を組み合わせたデジタルカメラや、携帯電話機、携帯端末装置等に適用して好適である。
【0036】
入力装置100は、筐体20、接着シート50及び多面操作用の入力シート80を備えて構成される。筐体20は、第1面操作領域の一例となる表示面操作領域I及び第2面操作領域の一例となる3つの側面操作領域IIa,IIb,IIcを有している。筐体20はアクリル部材を金型射出2色成形して構成される。光透過部部分は、モニタ等の表示窓部に相当し、アクリルの無色透明性を維持している。その他は内部が見えない遮光性を維持している。
【0037】
多面操作用の入力シート80は、例えば、接着シート50を介して筐体20の表示面操作領域I及び側面操作領域IIa,IIb,IIcに取り付け(貼り付け)られる。入力シート80は、入力シート折曲げ構造を有している。この構造では、光透過性のシート状の平坦部材に、表示面操作用のシート状の入力タッチ部材(以下、表示面タッチシート部分80dという)と、側面操作用のシート状の入力タッチ部材(以下、側面タッチシート部分80a,80b,80cという)とを形成した展開入力シート80’が選択的に折曲げられ、筐体20の表示面操作領域Iに表示面タッチシート部分80dが取り付けられ、かつ、当該筐体20の側面操作領域IIa,IIb,IIcに側面タッチシート部分80a,80b,80cが取り付けられる。平坦部材には、フレキシブルな樹脂シートが使用される。
【0038】
入力シート80は、例えば、表示面タッチシート部分80dが表示面操作領域Iに位置合わせされて、筐体20の操作面内側に接合(接着)され、側面タッチシート部分80a,80b,80cが当該筐体20の側面操作領域IIa,IIb,IIcに位置合わせされて、その壁面内側に沿って接合(接着)される。側面タッチシート部分80a,80b,80c及び表示面タッチシート部分80dを有する入力タッチ部材には、静電容量入力シートが使用される。静電容量入力シートは、例えば、格子状の電極を成すITO膜と、誘電体を成すSiゴム膜から構成される。
【0039】
表示面タッチシート部分80d及び側面タッチシート部分80a,80b,80cは、展開入力シート80’の内部で電気的に接続されており、折曲げ部分には、導電パターンが設けられ、静電容量が変化しないようになされている。静電容量入力シートは、折曲げ部分を境界にして、側面タッチシート部分80a,80b,80cと、表示面タッチシート部分80dとに割り当てられる。もちろん、入力タッチ部材は、静電容量入力シートに限られることはなく、静電容量入力シートの下に図示しない抵抗調整膜を設けたものであってもよい。この抵抗調整膜で上述の平坦部材を兼用することができる。
【0040】
入力シート80には配線部材の一例となるフレキシブル配線60が接続される。フレキシブル配線60は例えば、側面タッチシート部分80aから引出され、表示面タッチシート部分80dや側面タッチシート部分80a,80b,80c等からの操作者の指等(操作体)の接触位置を検出して得られる位置検出信号を伝送したり、その押圧力を検出して得られる力検出信号を伝送するようになされる。
【0041】
図2A及びBは、多面操作用の入力シート80の展開例を示す上面図及びその正面図である。図2Aに示す入力シート80は、上部入力シート及び下部入力シートに区分して使用される。入力シート80は、図中の三角印の境界部分IIIで折曲げて使用される。この境界部分IIIで入力シート80は、上部入力シート801及び下部入力シート802が画定される。上部入力シート801には、表示面タッチシート部分80dが設けられ、図示しない表示手段のアイコン映像を透過するようになされる。
【0042】
下部入力シート802には、3つの側面タッチシート部分80a,80b,80cが設けられている。側面タッチシート部分80aは、筐体20の側面操作領域IIaに位置合わせされて、第1の操作スイッチが構成され、この操作スイッチを押圧操作することで、この部分の静電容量入力シートからオン・オフを検出するようになされる。
【0043】
側面タッチシート部分80bは、筐体20の側面操作領域IIbに位置合わせされて、第2の操作スイッチが構成され、この操作スイッチを押圧操作することで、この部分の静電容量入力シートからオン・オフを検出するようになされる。側面タッチシート部分80cは、筐体20の側面操作領域IIcに位置合わせされて、第3の操作スイッチが構成され、この操作スイッチを押圧操作することで、この部分の静電容量入力シートからオン・オフを検出するようになされる。
【0044】
図2Bは、図2Aに示した入力シート80のX1−X1矢視断面図である。この例では、静電容量入力シート上の全面に光透過性の接着シート50が設けられる。接着シート50は、その全面に設けなくてもよい。例えば、光透過部分を除く部分に接着シート50を設けてもよい。この場合は、非透明性の接着シート50’を使用することができる。
【0045】
図3A及びBは、筐体20の構成例を示す上面図及びその正面図である。図3Aに示す筐体20は、長さがL[mm]で、幅がW[mm]である。筐体20はアクリル部材を金型射出2色成形して構成される。光透過部分は、表示窓部に相当し、アクリルの無色透明性を維持している。その他の部分(非透過部分)は、内部が見えない遮光性を維持している。光透過(透明)部分には、アクリル系樹脂やポリカーボネート(PC)等が使用される。非透明部分には、ABS樹脂や、PC+ABS樹脂、PC等が使用される。
【0046】
二色成形射出金型装置によれば、例えば、射出機構が2個併設され、その一次側の射出機構に、筐体20で表示面操作領域I及び側面操作領域IIa,IIb,IIc等の光透過部分を画定する金型がセットされ、その二次側の射出機構に、筐体20で非透明部分を画定する金型がセットされる。一次側の射出ノズルが前進し、可動側型板が閉じ、光透過部分のアクリル樹脂を注入すると、一次側モールドが成形される。
【0047】
当該装置で成形が完了すると、金型(キャビティ)が開き、一次側のスプル・ランナーが金型から離れる。このとき、一次側モールドは、可動側型板(コア)に残ったままである。その後、二次側の射出機構によって、二次側の射出ノズルが前進し、可動側型板(コア)に残った一次側モールドに連続して、非透明部分を画定する金型を有した可動側型板が閉じ、非透明部分のABS樹脂を注入すると、二次側モールドが成形される。成形が完了すると、金型が開き、表示面操作領域I及び側面操作領域IIa,IIb,IIc等が画定された成型品(筐体20)が取り出される。なお、射出機構は2個に限られることはなく、3個を併設すると、3色成形された筐体20を作成できる。
【0048】
筐体20は、例えば、デジタルカメラの本体部に適用して好適である。この筐体20をデジタルカメラに適用した場合、表示窓部がモニタ表示面となるので、表示面操作領域Iが背面に位置するようになされる。
【0049】
図3Bは、図3Aに示した筐体20のY1−Y1矢視断面図である。図3Bに示す筐体20は箱状を成しており、底部には表示窓部及び側部には操作窓部が設けられている。筐体底部の反対側は開放されている。この筐体20をデジタルカメラに適用する場合、この開放側からは、図示しないレンズや回路基板、バッテリー等の実装部品が取り付けられる。
【0050】
筐体20の表示窓部及び操作窓部は、2色射出成形によって、光透過部分と非透過部分とで領域が画定されていて、実際に開口されていない。もちろん、実際に、窓部を開口してもよい。図中、白抜き部分が光透過部分であり、斜線部分が非透過部分である。この例では、図2Aに示した入力シート80が筐体内側に接着する形態で取り付けられる。
【0051】
続いて、入力装置100の製造方法について説明する。図4及び図5は、入力装置100の形成例(その1、2)を示す工程図である。
【0052】
まず、図4Aに示す多面操作用の展開入力シート(静電容量入力スイッチシート)80’を形成する。展開入力シート80’は、例えば、光透過性の樹脂シートに、表示面タッチシート部分80dと側面タッチシート部分80a,80b,80cとを形成して得る。この例では、側面タッチシート部分80aから当該多面操作用の入力シート80のフレキシブル配線60を引き出すようになされる。展開入力シート80’の裏面には、両面テープ等の接着シート50がその保護紙70と共に貼付されている。
【0053】
次に、図4Bに示す筐体20を形成する。筐体20には、展開入力シート80’を取り付けるための表示面操作領域I及び側面操作領域IIa,IIb,IIcを有している。筐体20の形成方法は、図3A及び図3Bで説明した通りである。
【0054】
次に、図4Cに示すように、展開入力シート80’を選択的に折曲げて筐体20の表示面操作領域Iに表示面タッチシート部分80dを取り付ける。例えば、展開入力シート80’の裏面から保護(剥離)紙70を剥離して、接着シート50の部分を筐体20の内側底面にローラ58を使用して押し当て圧延する。ローラ58で押さえながら接合すると、表示面操作領域Iに貼り付け力不均一による“気泡”を発生させないようにできる。
【0055】
このように、保護紙70を剥がしながら筐体内側面に展開入力シート80’を接合する。接着シート(接着剤)50には、例えば、日東電工製CS−9621を使用する。この接着シート50は、アルカリ系接着剤である。コーナーは指で押圧しながら接着するとよい。この部分は、表示面操作領域から外れるため、気泡が発生しても差し支えないので手作業が許容される。もちろん、隅押さえ処理用の機械装置を使用してもよい。これにより、表示面タッチシート部分80dを筐体20の内側底面に接合することができる。
【0056】
更に、図5Aに示すように筐体20の側面操作領域IIa,IIb,IIcに側面タッチシート部分80a,80b,80cを取り付ける。例えば、側面タッチシート部分80a,80b,80cを当該筐体20の壁面内側に沿って接合する。なお、展開入力シート80’が貼付された筐体20を必要に応じて熱処理してもよい。例えば、筐体20を60℃で20分程度熱処理する。この場合は、接着シート50に熱圧着剤を使用する場合である。熱圧着剤にはホットメルト(熱硬化剤)樹脂を使用する。この熱処理は、気泡が表示部に発生した場合に取り除くことができる。これにより、図5Bに示す入力シート折曲げ構造を有した筐体20が完成する。
【0057】
このように、本発明に係る入力装置の製造方法によれば、折曲げ可能な多面操作用の展開入力シート80’を一部品によって形成できるので、従来方式のような表示面操作用の入力タッチパネルと側面操作用の入力タッチスイッチとを別個独立した2部品で構成する場合に比べて、製造工程数を削減することができる。
【0058】
続いて、入力装置100の構成例及びその動作例について説明する。図6は、三次元入力機能付きの入力装置100の構成例を示す斜視図である。この実施例では、従来方式のXY位置検出機能に加えて、押し込む方向の力を識別又は検出できるようにしたものである。
【0059】
図6に示す入力装置100は、基板1上に抵抗調整膜2、ITO膜3(Indium Tin Oxide膜;インジュム錫酸化物)及びSiゴム膜4が積層され、入力シート80が構成される。この例で、入力装置100と液晶表示パネル等の平面表示素子を組み合わせて使用する場合は、基板1には平面表示素子の上部ガラス基板が兼用される。また、入力装置100とLED等の発光素子を組み合わせて使用する場合は、基板1には筐体20の側面操作領域IIa,IIb,IIcのモールド樹脂部分が兼用される。
【0060】
基板1上には、入力操作領域IVを有する抵抗調整膜2が設けられ、操作者の指(操作体)の接触(入力)位置を検出するようになされる。入力操作領域IVの大きさは、長さがL’[mm]程度で、幅がW’[mm]程度である。この例で、入力操作領域IVには、X方向及びY方向が規定され、また、入力操作領域IVに対する鉛直方向がZ方向と規定されている。これは、三次元入力機能付きの入力装置100を構成するためである。入力操作領域IVは、表示面タッチシート部分80dを含むシート幅がW1[mm]程度であり、側面タッチシート部分80a,80b,80cを含むシート幅がW2[mm]程度である(W’=W1+W2)。
【0061】
抵抗調整膜2上の全面には、透明導電性の膜の一例となるITO膜3が設けられ、平面(蓄積)電極を構成すると共に下部からの光を透過するように使用される。抵抗調整膜2には、引き出し線Lx1,Lx2,Ly1,Ly2が接続される。引き出し線Lx1,Lx2、Ly1,Ly2は駆動回路5に接続され、交流波信号Sacに基づいて抵抗調整膜2のX方向及びY方向で検出される電圧(以下検出電圧という)V1,V2を出力するようになされる。駆動回路5には交流波発振装置6が接続され、交流波信号Sacを供給するようになされる。
【0062】
ITO膜3上の全面には、誘電性の膜の一例となるSiゴム膜4(膨脂膜)が設けられ、下部からの光を透過すると共に、操作者の指の押下力に対応してZ方向の厚み(距離d)が変化する。Siゴム膜4は、所望の弾性率、誘電率、光学透過率(光学特性)及び厚みを有している。Siゴム膜4の弾性率は、例えば、SiO2膜の弾性率と比べると低いものである。
【0063】
この例で、ITO膜3とSiゴム膜4と操作者の指とによって静電容量(C=ε・S/d)が構成される。εはSiゴム膜4の誘電率であり、Sは操作者の指が入力面に触れている部分の面積(接触面積)であり、dはSiゴム膜4を介した操作者の指とITO膜3との間の距離である。Siゴム膜4の厚みは、操作者の指の加圧によりITO膜3との距離が変化すればよい程度である。
【0064】
この例で、Siゴム膜4等の膨脂膜を使用するようにしたのは、当該入力装置100における操作者の指の接触位置において、ITO膜3とSiゴム膜4と操作者の指とによって構成される静電容量Cに依存した電圧検出情報(レベル)をそのZ方向への押下力に対応して変化させる。この変化の結果で得られる、操作者の指によるZ方向への押下力に基づく複数種類の電圧検出情報を検出するためである。
【0065】
上述した膨脂膜は、Siゴム膜4に限定されることはなく、透明であり、弾性率が高い樹脂であれば何でもよい。膨脂膜には、例えば、厚みが0.5mm程度のSiゴム膜4を使用する。膨脂膜には、指(例えば、SR6 Siゴム)で、当該膨脂膜を垂直に加圧した場合、50gf印加時に0.1mm程度、更に、250gf印加時に0.3mm程度の変形を起こし、透過率が80%以上であるような樹脂が好ましい。
【0066】
次に、膨脂膜として使用可能な超透明ゴムの特性について説明する。膨脂膜としては、例えば、熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物から成る超透明ゴムが使用できる。この熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物又は有機過酸化物硬化型オルガノポリシロキサン組成物とすることが望ましい。
【0067】
この場合、超透明ゴムの成分である付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物は、
(I)1分子中に平均2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン100重量部、
(II)1分子中に平均2個以上のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン0.1〜50重量部、及び、
(III)適度な触媒量の付加反応触媒からなるものである。
【0068】
有機過酸化物硬化型オルガノポリシロキサン組成物は、
(i)1分子中に平均2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン100重量部及び、
(ii)適度な触媒量の有機過酸化物からなるものである。
【0069】
ここで、超透明ゴムの成分(I)の付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物の1分子中に平均2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンとしては、次の平均組成式(1)で示されるものを用いる。
【0070】
【化1】
(1)式中、R1は互いに同一又は異種の炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換一価炭素水素基であり、aは1.5〜2.8、好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.95〜2.05の範囲の正数である。
【0071】
超透明ゴムに関して上述の平均組成式(1)のR1で示されるケイ素原子に結合した非置換又は置換の一価炭素水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基トリフロロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。
【0072】
この場合、基R1の少なくとも2個はアルケニル基(特に炭素2〜8のものが好ましく、更に好ましくは2〜6である)である。なお、アルケニル基の含有量は、ケイ素原子に結合する全有機基中(即ち、前記平均組成式(1)におけるR1としての非置換又は置換の一価炭素水素基中)0.001〜20モル%、特に0.01〜10モル%とすることが好ましい。
【0073】
このアルケニル基は、分子鎖末端のケイ素原子に結合していても、両者に結合していてもよいが、組成物の硬化速度、硬化物の物性等の点から、本発明で用いるオルガノポリシロキサンは、少なくとも分子鎖末端のケイ素原子に結合したアルケニル基を含んだものであることが好ましい。
【0074】
上述のオルガノポリシロキサンの構造は、通常は、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された基本的には直鎖状構造を有するジオルガノポリシロキサンであるが、部分的には分岐状の構造、環状構造などであってもよい。このアルケニル基含有オルガノポリシロキサンの重合度(重量平均重合度)50〜20,000、好ましくは100〜2000程度のものが使用される。この平均重合度が50未満では、硬化物としてのゴム物性が不充分な場合がある。
【0075】
また、超透明ゴムの成分(II)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、次の平均組成式(2)で示され、1分子中に少なくとも2個(通常2〜200個)好ましくは、3個以上、より好ましくは3〜150個程度のケイ素原子結合水素原子(即ち、SiH基)を有することが必要である。
【0076】
【化2】
上述の平均組成式(2)の中で、R2は炭素数1〜10の置換又は非置換の一価炭素水素基であり、この基R2としては先に示した平均組成式(1)中のR1と同様の基を上げることができる。また、bは0.7〜2.1、cは0.001〜1.0で、かつb+cは0.8〜3.0を満足する正数であり、好ましくはbは1.0〜2.0、cは0.01〜1.0、b+cは1.5〜2.5である。
【0077】
上述の超透明ゴムの成分で、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上含有されるSiH基は、分子鎖末端、分子鎖途中のいずれに位置してもよく、また、この両方に位置するものであってもよい。更にまた、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網状構造のいずれであってもよいが、1分子中のケイ素原子の数(又は重合度)は通常2〜300個、好ましくは4〜150個程度の室温(25℃)で液状のものが望ましい。
【0078】
上述の平均組成式(2)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして具体的には、例えば1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ギメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキシサン・メチルハイドロジェンシロキシサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキシサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンロキサン・ジフェニルシ共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキシサン・ジフェニルシロキサン共重合体、(CH3)2HSiO 1/2単位と(CH3)3SiO 1/2単位の他にSiO2 4/2単位とからなる共重合体、(CH3)2HSiO 1/2単位とSiO 4/2単位とからなる共重合体、(CH3)2HSiO 1/2単位の他にSiO 4/2単位と(C6H5)3SiO 4/2単位とからなる共重合体などが挙げられる
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、超透明ゴムの成分(I)のオルガノポリシロキサン100重量部に対して0.1〜50重量部、特に0.3〜20重量部とすることが好ましい。
【0079】
また、超透明ゴムの成分(II)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、その成分(I)中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モルに対して、その成分(II)中のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)の量が0.5〜5モル特に0.8〜2.5モル程度となる量で配合することもできる。
【0080】
なお、超透明ゴムの成分(III)の付加反応触媒としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と1価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属触媒が挙げられる。この付加反応触媒の配合量は触媒量とすることができ、通常、白金族金属として0.5〜1000ppm、特に1〜500ppm程度とすればよい。また、超透明ゴムの成分(I)の付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物の1分子中に平均2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンとしては、超透明ゴムの成分(I)と同様のものを使用することができる。
【0081】
また、超透明ゴムの成分(ii)の有機過酸化物としては、従来公知のものを使用することができ、例えばベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド2,4−ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチルービス(2.5−t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジーt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルオキシ)ヘキサン等が挙げられる。
【0082】
有機過酸化物の配合量は、触媒量で示され、通常、超透明ゴムの成分(I)のオルガノポリシロキサン100重量部に対して0.01〜10重量部とすることができる。有機過酸化物硬化型オルガノポリシロキサン組成物は、超透明ゴムの成分(I)及び成分(ii)にて構成される。これにより、Siゴム膜4等の膨脂膜を構成することができる。
【0083】
図7A〜Cは、入力装置100のZ方向の検出原理を示す断面図である。図7Aに示す入力装置100は、基板1上に抵抗調整膜2、ITO膜3及びSiゴム膜4が順次積層され、押下スイッチとしての機構的な構成がなされている。Siゴム膜4の静止時の厚みはd1である。ここで、接地(GND)を基準にして、Siゴム膜4上に操作者の指30aを接近したとき、指30aとSiゴム膜4との間の空間に分布する静電容量は、C1で示される。ITO膜3上のSiゴム膜4を誘電体とする静電容量は、C2で示される。なお、Siゴム膜4上に接近する操作者の指30aは、等価的に抵抗R3及び静電容量C3の直列回路で示すことがきる。これを状態“A”という。
【0084】
更に、操作者の指30aをSiゴム膜4上に接近させ、そのSiゴム膜4上に軽く接触したとき、指30aとSiゴム膜4との間の静電容量C1は分布し無くなる。この入力位置に、ITO膜3とSiゴム膜4と操作者の指30aとによって静電容量C2(=ε・S1/d1)が分布される。εはSiゴム膜4の誘電率であり、S1は操作者の指30aが入力面に軽く触れている部分の面積(接触面積)であり、d1はSiゴム膜4を介した操作者の指30aとITO膜3との間の距離である。例えば、Siゴム膜4上に人指し指30aで50gf(なぞり)程度の力を加えた状態である。これを状態“B”という。
【0085】
更に、またその入力位置で、操作者はSiゴム膜4上に人指し指30aで250gf(押し込み)程度の力を加える。これを状態“C”という。このとき、ITO膜3とSiゴム膜4と操作者の指30aとによって静電容量C2’(=ε・S2/d2)が分布される。εはSiゴム膜4の誘電率であり、S2は操作者の指30aが入力面に強く押された部分の面積(接触面積;S1<S2)であり、d1はSiゴム膜4を介した操作者の指30aとITO膜3との間の距離(d1>d2)である。
【0086】
この状態“B”の静電容量C2と状態“C”の静電容量C2’との関係は、C2’>C2である。つまり、操作者の指30aが入力面に軽く触れている場合の静電容量C2に比べて、指30aを入力面に強く押した場合の静電容量C2’の方が大きくなる。この静電容量のC2→C2’の変化は、検出電圧V1、V2に現れる。この検出電圧V1、V2の変化を予め設定した閾値で判別すると、操作者の指30aのなぞり(50gf)又は押し込み(押下;250gf)をCPU等の制御系で判別できるようになる。制御系は、例えば、なぞり及び押し込みの違いをZ方向の閾値で区別するようになされる。
【0087】
図8A及びBは、入力装置100の駆動回路5及び抵抗調整膜2の構成例を示す回路図である。図8Aに示す駆動回路5によれば、X方向の検出系を注目した場合、2個のバイポーラトランジスタQ1,Q2と、4個の抵抗器R11、R13、R21、R23を有して構成される。Y方向の検出系も同様に構成されるので、その説明は割愛する。
【0088】
図8Aにおいて、抵抗器R13及びR23の各々の一端は、電源線VCCに接続される。抵抗器R13の他は、npn型のバイポーラトランジスタ(以下単にトランジスタという)Q1のコレクタに接続され、抵抗器R23の他も、npn型のバイポーラトランジスタ(以下単にトランジスタという)Q2のコレクタに接続される。各々のトランジスタQ1,Q2のベースは、交流波発振装置6に接続される。
【0089】
各々のトランジスタQ1,Q2のエミッタ間には、図8Bに示す抵抗調整膜2が接続される。図8Bにおいて、抵抗調整膜2のX方向での、“なぞり”及び“押し込み”に供されるスライド範囲は、X=0からX=MAXに至るまでである。X=0は、抵抗調整膜2の一端であり、X=MAXは、その抵抗調整膜2の他端である。
【0090】
例えば、トランジスタQ1のエミッタには、抵抗調整膜2の一方の端部の引き出し端子53及び抵抗器R11の一端が接続され、トランジスタQ2のエミッタには、抵抗調整膜2の他方の端部の引き出し端子54及び抵抗器R21の一端が接続される。抵抗器R11及びR21の各々の他端は、接地線GNDに接続される。
【0091】
トランジスタQ1のコレクタには出力端子51が接続され、検出電圧V1を出力するようになされる。トランジスタQ2のコレクタにも出力端子52が接続され、検出電圧V2を出力するようになされる。このように、駆動回路5を構成すると、状態“A”、“B”及び“C”、即ち、操作者の指30aのなぞり又は押し込みによる静電容量C2→C2’によって変化する複数の検出電圧V1,V2を得ることができる。
【0092】
図9A及びBは、駆動回路5における“なぞり”及び“押し込み”時の動作例を示す回路図である。
【0093】
図9Aに示す駆動回路5によれば、操作者の指30aによる“なぞり”状態(B状態)のときは、抵抗調整膜2がX方向で定点Ip(x=I)で分圧(分割)される。その定点Ipを基準した分割抵抗はR1、R2である。この定点Ipにおける抵抗分圧点には、図7Bに示した操作者の指30aの等価回路R3+C3に静電容量C2が直列に接続される。これにより、駆動回路5は、操作者の指30aの“なぞり”状態による静電容量C2に基づく検出電圧V1,V2を出力するようになる。
【0094】
また、その入力位置で、操作者はSiゴム膜4上を指30aで強く押し込む。このとき、図9Bに示す駆動回路5によれば、操作者の指30aによる“押し込み”状態(C状態)で、抵抗調整膜2がX方向で定点Ipで分圧されたままである。そして、この定点Ipにおける抵抗分圧点には、図7Bに示した操作者の指30aの等価回路R3+C3に静電容量C2’が直列に接続される。これにより、駆動回路5は、操作者の指30aの”押し込み”状態による静電容量C2’に基づく検出電圧V1’,V2’を出力するようになる。図中、静電容量C2’は距離d1によって容量が変化する可変コンデンサで示している。検出電圧V1,V2と検出電圧V1’,V2’との関係は、例えば、V1’>V1、V2’>V2である。
【0095】
図10は、駆動回路5によるXY位置情報の検出例を示す特性図である。図10において、縦軸は検出電圧VXであり、駆動回路5から得られる検出電圧V1,V2である。横軸は、入力位置であり、スライド範囲を示している。スライド範囲は、X=0〜X=MAXである。図中、右肩上がりの一点鎖線は、非接触(A)状態で入力位置をX=0(左側)からX=MAX(右側)に至る範囲を移動して検出した電圧である。右肩上がりの波線は、同様にして、なぞり(B)状態で入力位置をX=0からX=MAXに至る範囲をスライドして検出した電圧である。更に、右肩上がりの実線は、押し込み(C)状態で、入力位置をX=0からX=MAXに至る範囲をスライドして検出した電圧である。
【0096】
反対に、左肩上がりの一点鎖線は、非接触(A)状態で入力位置をX=MAX(右側)からX=0(左側)に至る範囲を移動して検出した電圧である。左肩上がりの波線は、同様にして、なぞり(B)状態で入力位置をX=MAXからX=0に至る範囲をスライドして検出した電圧である。更に、左肩上がりの実線は、押し込み(C)状態で、入力位置をX=MAX(左側)からX=0(右側)に至る範囲をスライドして検出した電圧である。なお、二点鎖線はZ方向の定点Ipを示す線である。
【0097】
この例では、Z方向の入力動作現象(なぞる及び押し込む)に関して、検出電圧V1(又はV2)の絶対値を読み取るようになされる。ここで、検出電圧V1及びV2に関して、定点Ipにおいて、指30aが入力面に近いが触れていないA状態(非接触状態)の検出電圧をV1A、V2Aとし、指30aが入力面に軽く触れているB状態の検出電圧をV1B、V2Bとし、指30aがB状態よりも強く押されているC状態の検出電圧をV1C、V2Cとする。C状態では、ダイナミックにSiゴム膜4がへこむ状態である。
【0098】
このような定点Ipにおいて、上述の検出電圧V1A,V2A,V1B,V2B,V1C,V2Cの間には、V1A:V2A=V1B:V2B=V1C:V2C、かつ、V1A<V1B<V1Cなる関係がある。即ち、任意の定点IpにおけるXY位置情報(二次元情報)は、V1X:V2X(X=A,B,C)により与えられる。
【0099】
図11は、定点IpにおけるZ方向の検出電圧V2Fの判別例を示す特性図である。
【0100】
この実施例では、Z方向の押下入力について、なぞりや、押し込み等の入力を区別できるようにした。例えば、指30aでSiゴム膜4上を50gfと250gfとで押下した場合に、その相違を検出できるようになった。この例では、入力位置によって閾値を変化させている。つまり、その都度、その入力位置に適した閾値を設定するようになされる。
【0101】
図11において、縦軸は検出電圧VX=V2であり、横軸は入力位置であり、左位置はX=0で右位置はX=XMAXである。従来方式では、状態A〜Cの現象が区分できなかったが、本発明方式では、その絶対値を判別できるようになったので、状態A〜Cの現象を区分できるようになった。つまり、従来方式のように抵抗調整膜2の分圧を見ながらXY位置情報を検出すると共に、本発明方式では、押下力250gfや50gf等の変化量に対する検出電圧VXの絶対値を検出するようにした。
【0102】
この例で、状態Cをこれ以上、電圧検出情報が上昇しないMAXの状態と定義する。例えば、Siゴム膜4上を1000gfで押す場合に検出電圧V2=MAXが検出される状態とする。状態CでSiゴム膜4上を押下しながらX方向を一端から他端まで(X=0〜MAX)なぞったときに、駆動回路5から出力される検出電圧V2の値をX方向の分解能数分だけ計測し、又は、それ以下の分解能刻みで検出電圧V2の値を計測する。これを関数f(x)とする。
【0103】
また、範囲0<a<1となる定数aを関数f(x)に設定して、g(x)=a・f(x)なる関数を作成する。g(x)=a・f(x)なる関数は、予め準備してROM等に格納するようになされる。この関数g(x)は、定点IpにおけるZ方向の検出電圧V2を判別する際に、閾値g(Ip)を得るために設定される閾値関数となる。例えば、関数g(x)は、力F対検出電圧V2特性が線形で、なおかつ、状態Cがf(x)=1000gfのとき、定数aを0.25とした場合に250gfとなる。
【0104】
ここで、ある入力位置(定点Ip)で、ある力Fで入力面を押下した場合において、上述の関数g(x)を使用して、その定点IpにおけるZ方向の検出電圧V2Fを判別する手順を示す。このときの検出電圧V2はV2=V2Fとする。この場合、まず、制御系は、駆動回路5から出力される検出電圧V2Fを読み込む。次に、制御系は、ROMに記述された閾値関数g(x)を参照して、定点Ipにおける閾値g(Ip)を読み出すようになされる。
【0105】
その後、定点Ipにおける検出電圧V2Fと閾値g(Ip)とを比較する。V2F>閾値g(Ip)の場合は、状態A(押し込み)フラグを立てて上位の制御系に「押し込み」を送信する。また、V2F<閾値g(Ip)の場合は、状態B(なぞり)フラグを立てて上位の制御系に「なぞり」を送信する(三次元情報)。
【0106】
表1には、X方向のスライド範囲(入力位置)X=0〜x=MAXに対する関数f(x)と関数g(x)との関係例を示している。
【0107】
【表1】
表1によれば、入力位置X=0で、関数f(x)と関数g(x)とは共に「0」である。X=1で、関数f(x)=αのとき、関数g(x)はaαである。同様にして、X=2で、関数f(x)=βのとき、関数g(x)はaβであり、X=3で、関数f(x)=γのとき、関数g(x)はaγである。
【0108】
これにより、筐体20の表示面操作領域Iで表示面タッチシート部分80dで、Z方向の押下入力について、なぞりや、押し込み等の入力を区別できるようになる。また、図5Aに示した筐体20の側面操作領域IIa,IIb,IIcで側面タッチシート部分80a,80b,80cで、Z方向の押下力によって押し込み入力を検出できるようになる。
【0109】
このように、第1の実施例としての入力装置100によれば、多面操作用の入力シート80が入力シート折曲げ構造を有しているので、表示面タッチシート部分80d又は側面タッチシート部分80a,80b,80cの一部の位置に当該多面操作用の入力シート80のフレキシブル配線60を集中させることができる。
【0110】
これにより、表示面タッチシート部分80dと側面タッチシート部分80a,80b,80cの別個独立した位置からフレキシブル配線60を引き出す場合に比べて、フレキシブル配線60やコネクタ等の取り付けスペースを低減できるので、入力装置100の小型化を図ることができる。しかも、入力装置100の組立時、配線接続工程の簡略化を図ることができる。また、部品点数の削減化により入力装置100のコストダウンが図れる。
【実施例2】
【0111】
図12は、第2の実施例としての入力装置100における操作スイッチ48の構成例を示すブロック図である。
【0112】
この実施例では、操作スイッチ48を構成する、図5Aに示した筐体20の側面操作領域IIaに位置する側面タッチシート部分80aで、Z方向の押下力によってオン・オフを検出し、かつ、オン検出時にLEDを点灯するようになされる。
【0113】
図12に示す操作スイッチ48は、側面タッチシート部分80aの操作軸方向に、スイッチオン又はオフ確認用の発光ダイオード(LED)57を備えている。側面タッチシート部分80aは、図1に示したフレキシブル配線60に相当する、図6に示した引き出し線Lx1,Lx2,Ly1,Ly2によって駆動回路5に接続される。駆動回路5にはCPU(中央演算装置)32が接続される。駆動回路5は、側面タッチシート部分80aで、Z方向の押下力によってオン・オフが検出されると、CPU32に検出電圧V1,V2を出力するようになされる。CPU32にはLEDドライバ56が接続され、LEDドライバ56には、LED57が接続される。
【0114】
図13は、操作スイッチ48の押下時の動作例を示すブロック図である。図13に示すCPU32では、操作スイッチ48が押下されると、例えば、図示しないROMに予め格納された基準電圧を参照し、駆動回路5から出力される検出電圧V1,V2と、操作スイッチ48毎に対応させた基準電圧とを比較して、現在、操作された判別対象の操作スイッチ48がオンされたことを認識する。
【0115】
CPU32は、この認識後、判別対象の操作スイッチ48下に配置されたLED57を点灯すべく、LED制御信号Sdを出力する。CPU32には、LEDドライバ56が接続され、LED制御信号Sdに基づいてハイレベル(「H」レベル)のLED点灯電圧VLをLED57に供給するようになされる。LED57は、LED点灯電圧VLに基づいて点灯する。これにより、CPU32は、操作スイッチ48のZ方向の押下力によってオン・オフを検出し、かつ、当該操作スイッチ48下のLED57を点灯することができる。
【0116】
この場合、LED57から出射された光が操作者の指30aで隠れないように、予め側面操作領域(光透過部分)IIaを指接触面積よりも広く確保できるように設計しておくとよい。このようにすると、操作者の指30aの回りからLED光がこぼれ出る神秘的な演出を得ることができる。
【0117】
このように、第2の実施例としての入力装置100によれば、従来方式のように側面タッチスイッチと別個独立した位置に発光ダイオードを備える場合に比べて、LED57の取り付けスペースを低減できるので、入力装置100の小型化を図ることができる。もちろん、静電容量方式のタッチパネルを利用することによって、抵抗膜式タッチパネルとメカニカルスイッチの2つを1つで代用し、フレキシブル配線60及びコネクタ等の部品点数を削減できるようになる。
【実施例3】
【0118】
図14は、第3の実施例としての三次元入力機能付きのデジタルカメラ200の構成例を示す断面図である。図15は、その4面操作用の入力シート80’の展開例を示す上面図である。
第3の実施例では、第1及び第2の実施例で説明した入力装置100をデジタルカメラに実装して三次元入力機能付きのデジタルカメラ200の構成し、その入力操作面において、操作者の指30a等のなぞり又は押し込みを検出して情報を入力できるようにすると共に、表示手段29に表示されたボタンアイコン等の入力を確定できるようになされる。更に、筐体側面や筐体上面等に操作スイッチ48a,48b等を備え、そのZ方向の押下力によってオン・オフを検出し、かつ、オン検出時にLED57a,57b等を点灯するようになされる。
【0119】
図14に示すデジタルカメラ200は電子機器の一例であり、被写体を撮像して映像情報を記録するようになされる。デジタルカメラ200はカメラ本体部201を備えている。カメラ本体部201は、筐体20と前面パネル21から構成される。デジタルカメラ200は、表示画面上の入力操作面を摺動接触操作及び押下操作される入力装置100を有している。
【0120】
この入力装置100には、第1及び第2の実施例で説明した三次元入力機能付きの入力装置が応用される。入力装置100は、筐体20及び4面操作用の入力シート80’を有しており、表示手段29と組み合わせて使用される。入力シート80’は、デジタルカメラ200の背面側を上部に向けたとき、表示手段29の上部に配置される。入力装置100は、操作者の指30aの入力位置を検出して位置検出信号を出力する機能及び操作者の指30aの押圧力を検出して力検出信号を出力する機能を有している。
【0121】
この例で、入力装置100は、接着シート50を介して筐体20に貼付された入力シート80’を有している。入力シート80’は、図6に示したように、X方向及びY方向を規定した入力操作領域で操作者の指30aの入力位置を検出する抵抗調整膜2と、この抵抗調整膜2上の全面に設けられて光を透過するITO膜3と、このITO膜3上の全面に設けられて光を透過すると共に、入力操作領域に対する鉛直方向をZ方向としたとき、操作者の指30aの押下力に対応してZ方向の厚みが変化するSiゴム膜4とを有する。
【0122】
また、筐体内部には、入力装置100の他にカメラ基板41が実装されている。カメラ基板41の一方の側には、制御用IC15’、レンズ26、バッテリー33’、メモリ35’、LED57a,57bが実装され、その反対側には、圧電アクチュエータ25a,25b及び表示手段29が実装されている。
【0123】
制御用IC15’は、入力装置100から得られる入力情報に基づいて画像処理やメモリ制御等を実行するものである。制御用IC15’にはCPU(中央処理装置)、ROM、アクチュエータ駆動回路、A/Dドライバ等が含まれる。レンズ26は、図示しないCCD撮像装置上で被写体を結像するように使用される。バッテリー33’は、制御用IC15’や図示しないレンズ駆動装置等に電源を供給するようになされる。メモリ35’は、撮像された映像情報を記録するようになされる。
【0124】
LED57aは、操作スイッチ48aの操作軸方向に配置され、その側面操作領域が押圧(押下)され、そのオン動作が検出されたときに点灯するように制御される。LED57bは操作スイッチ48bの操作軸方向に配置され、その側面操作領域が押圧(押下)され、そのオン動作が検出されたときに点灯するように制御される。
【0125】
操作スイッチ48a及び48bは、図12及び図13で説明したように、入力装置100の側面タッチシート部分から構成され、スイッチオン又はオフを確認するようになされる。このように操作スイッチ48a,48bを構成すると、側面タッチシート部分と、別個独立した位置に発光ダイオードを備える場合に比べて、LED57a,57bの取り付けスペースを低減できるので、デジタルカメラ200の小型化を図ることができる。
【0126】
圧電アクチュエータ25a,25bは、操作スイッチ48aや48b等が押圧され、そのオン動作が検出されたときに筐体20を振動し、操作者の指等に、スイッチが押下されたことを触覚以て提示するようになされる。表示手段29は、筐体20の表示面操作領域Iに面して配置され、被写体の撮影映像を表示すると共に、ボタンアイコン等の映像を表示するようになされる。
【0127】
上述の入力シート80’には、第1の実施例で説明した入力シート80に対して左右方向に側面タッチシート部分を延在したものが使用される。図15は、入力シート80’の展開例を示す上面図である。
【0128】
図15に示す入力シート80’は、X軸及びY軸が共に等分目盛で示されるXY座標軸上に展開した例である。ここで、筐体20の背面を表示面操作領域Iとし、その天板面が側面操作領域IIa,IIb,IIcに相当する場合であって、この例では、デジタルカメラ200を前面方向から見たとき、新たに、その右側面に側面操作領域IId,IIe,IIfが設けられ、更に、その左側面に側面操作領域IIg,IIh,IIiが設けられる。なお、側面操作領域IId,IIe,IIfは、図14に示した操作スイッチ48aが設けられる側であり、側面操作領域IIg,IIh,IIiは、同様にして、操作スイッチ48bが設けられる側である。
【0129】
図15において、入力シート80’のA領域の表示面タッチシート部分80dは、筐体20の背面の表示面操作領域Iに対応する。便宜上、A領域が4つの表示面タッチシート部分に区分され、これを領域A1〜A4とする。A領域は、XY座標系で50≦X≦120及び、10≦Y≦60の範囲に存在する。このA領域内を検索すると、領域A1〜A4を判別できるようになる。領域A1〜A4には、表示手段29からのボタンアイコン等の映像が重ね合わされる。
【0130】
入力シート80’のB領域の側面タッチシート部分は、筐体20の天板面の側面操作領域IIa,IIb,IIcに対応する。同様にして、B領域が3つの側面タッチシート部分80a〜80cに区分され、これを領域B1〜B3とする。B領域は、XY座標系で30≦X≦140及び、70≦Y≦100の範囲に存在する。このB領域内を検索すると、領域B1〜B3を判別できるようになる。領域B1〜B3には、図12に示した操作スイッチ48のオン時に、LED57からのLED光が透過するように使用される。
【0131】
入力シート80’のC領域の側面タッチシート部分は、筐体20の右側面に側面操作領域IId,IIe,IIfに対応する。同様にして、C領域が3つの側面タッチシート部分に区分され、これを領域C1〜C3とする。C領域は、XY座標系で0≦X≦30及び、0≦Y≦70の範囲に存在する。このC領域内を検索すると、領域C1〜C3を判別できるようになる。領域C1〜C3には、図14に示した操作スイッチ48aのオン時に、LED57aからのLED光が透過するように使用される。
【0132】
入力シート80’のD領域の側面タッチシート部分は、筐体20の左側面に側面操作領域IIg、IIh、IIiに対応する。同様して、D領域が3つの側面タッチシート部分に区分され、これを領域D1〜D3とする。D領域は、XY座標系で140≦X≦170及び、0≦Y≦70の範囲に存在する。このD領域内を検索すると、領域D1〜D3を判別できるようになる。領域D1〜D3には、図14に示した操作スイッチ48bのオン時に、LED57bからのLED光が透過するように使用される。
【0133】
なお、図中、三角印IIIは折曲げ部分である。A領域、B領域及びC領域の角部(隅部)及び、A領域、B領域及びD領域の角部(隅部)は、折曲げ易くするために、切り欠け状に加工されている。A領域及びB領域、A領域及びC領域、A領域及びD領域とは、折曲げ部分で各々山折りされて、筐体20に接着シート50を介して貼付される。
【0134】
この例で、4面操作用の入力シート80’は、光透過性の樹脂シートに、A領域を成す表示面タッチシート部分と、B〜D領域を成す側面タッチシート部分とを形成した展開入力シートが選択的に折曲げられ、筐体20の表示面操作領域IにA領域を含む表示面タッチシート部分が貼付され、その側面操作領域IIa,IIb,IIcにB領域を含む側面タッチシート部分が貼付され、その側面操作領域IId,IIe,IIfにC領域を含む側面タッチシート部分が貼付され、その側面操作領域IIg,IIh,IIiにD領域を含む側面タッチシート部分が貼付された入力シート折曲げ構造を有する。なお、入力シート80’のフレキシブル配線60は、C領域の側面タッチシート部分から引出される。入力手段45には、フレキシブル配線60の他に図示しない格子電極配線等の固形配線パターン(基板)が設けられている。
【0135】
次に、デジタルカメラ200の内部構成例について説明をする。図16は、三次元入力機能付きデジタルカメラ200の内部構成例を示すブロック図である。
図16に示すデジタルカメラ200は、筐体内部のカメラ基板41に各機能のブロックを実装して構成される。なお、図14に示した各部及び手段と対応する部分は、同一符号で示している。デジタルカメラ200は、制御手段15、表示手段29、電源ユニット33、カメラ34、記憶手段35及び入力手段45を有している。
【0136】
4面操作用の入力手段45は操作者30の指30aを介して少なくとも位置検出信号S1(検出電圧V1)及び入力量(押圧力F)となる押下力検出信号S2(検出電圧V2)を制御手段15に出力するようになされる。制御手段15は制御系を構成し、A/Dドライバ31、CPU32、ROM37、アクチュエータ駆動回路38及び映像&音声処理部44を有している。
【0137】
A/Dドライバ31には、入力手段45からの位置検出信号S1及び押下力検出信号S2が供給される。A/Dドライバ31ではカーソリングとアイコン選択の機能を区別するために位置検出信号S1及び押下力検出信号S2よりなるアナログ信号をデジタルデータに変換する。この他にA/Dドライバ31は、このデジタルデータを演算処理して、カーソリング入力かアイコン選択情報かを検出し、カーソリング入力かアイコン選択かを区別するフラグデータD13あるいは位置検出情報(電圧検出データ)D11又は押下力検出情報(電圧検出データ)D12をCPU32に供給するようになされる。これらの演算はCPU32内で実行してもよい。
【0138】
A/Dドライバ31にはCPU32が接続される。CPU32はシステムプログラムに基づいて当該カメラ全体を制御するようになされる。CPU32には記憶手段35が接続され、当該カメラ全体を制御するためのシステムプログラムデータが格納される。図示しないRAMはワークメモリとして使用される。CPU32は電源オンと共に、記憶手段35からシステムプログラムデータを読み出してRAMに展開し、当該システムを立ち上げてデジタルカメラ全体を制御するようになされる。
【0139】
CPU32にはROM37が接続され、当該CPU32に設定するための閾値関数が記憶されている。閾値関数は、入力手段45の入力操作領域の一端から他端に至る入力位置に関して許容最大力で連続又は所定のステップで押下した際に検出される最大検出電圧V2=MAXを取得し、ここに取得された入力操作領域の一端から他端に至る入力位置に対応する最大検出電圧V2=MAXに定数a[0<a<1]を演算して作成されたものである。
【0140】
CPU32は、三次元入力機能付きの入力手段45から得られる位置検出情報D11及び押下力検出情報D12を入力して操作者の指30aの入力位置及び押下力を判別する。CPU32は、操作者の指30aの入力位置を検出した際に得られる押下力検出情報D12と、ROM37から読み出した当該入力位置の閾値関数とを比較し、比較結果に基づいて、操作者の指30aの「なぞり」又は「押下」を判別する。
【0141】
例えば、CPU32は、押下力検出情報D12に対して一つ以上の閾値データDthを設定し、押下力検出情報D12と閾値データDthとを比較し、押下力検出情報D12が閾値データDthを越える場合は、操作者の指30aのZ方向への「押下」を判別し、押下力検出情報D12が閾値データDth以下である場合は、操作者の指30aのX方向又はY方向への「なぞり」を判別する。このようにすると、単一のアルゴリズムを追加するのみにより、現在の入力位置における操作者の指30aの押下力に対するZ方向への「押下」又はX方向又はY方向への「なぞり」を判別できるようになる。
【0142】
上述したROM37に記憶する閾値関数は、入力手段45の入力操作領域の一端から他端に至る入力位置に関して許容最大力で連続又は所定のステップで押下した際に検出される最大検出電圧V2=MAXを取得し、ここに取得された入力操作領域の一端から他端に至る入力位置に対応する最大検出電圧V2=MAXに各々が異なった定数a,b,c[0<c<b<a<1]を演算して作成されたものであってもよい。
【0143】
この例でROM37には、入力位置に対応する上限閾値関数(以下単に関数g(x)という)及び下限閾値関数(以下単に関数h(x)という)に係る閾値データDthが記憶され、CPU32は、押下力検出情報D12に対して閾値データDth=関数g(x)及び関数h(x)を設定し、押下力検出情報D12が閾値データDth関数g(x)を越える場合は、操作者の指30aのZ方向への「押下」を判別し、押下力検出情報D12が閾値データDth=関数h(x)を越え、かつ、関数g(x)以下である場合は、操作者の指30aのX方向又はY方向への「なぞり」を判別する。このようにすると、単一のアルゴリズムを追加するのみにより、現在の入力位置における操作者の指30aの押下力に対するZ方向への「押下」又はX方向又はY方向への「なぞり」を判別できるようになる。
【0144】
このように、CPU32では、許容最大力で押下された際の押下力検出情報(検出電圧値)D12に関する閾値データ(被比較情報)Dthを記憶手段35に有し、入力がなされた際に、操作者の指30aの入力位置及び、押下力検出情報D12から、閾値データDthとの比較によって、現在の入力において、押下方向(Z方向)に対するレベルを検出するようになされる。もちろん、これに限られることはなく、図19に示すような単一のアルゴリズムの追加によって、現在の入力において、押下方向に対するレベルを検出するようにしてもよい。
【0145】
なお、CPU32は、A/Dドライバ31からの位置検出情報D11、押下力検出情報D12及びフラグデータD13(以下単に入力データともいう)を受けて所定の指令データ[D]を電源ユニット33や、カメラ34、記憶手段35、映像&音声処理部44等のデバイスに供給するように制御する。
【0146】
上述のCPU32にはカメラ34が接続され、被写体を撮影して、例えば、静止画情報や動作情報等を取得するようになされる。カメラ34は図示しないCCD撮像装置や、図14に示したレンズ26を有して構成される。上述のCPU32には記憶手段35が接続され、カメラ34によって取得された静止画情報や動作情報等を記録するようになされる。記憶手段35には、入力項目選択用の表示画面を、例えば、表示手段29で三次元的に表示するための表示情報D14が記憶される。記憶手段35には、EEPROMや、ROM、RAM、メモリスティック、ハードディスク等が使用される。図14に示したメモリ35’もその一つである。
【0147】
表示手段29は、ユーザに入力操作を促すボタンやアイコンなどの画像情報を表示する。画像情報はCPU32から供給される指令[D]に基づいて表示される。表示手段29には液晶表示装置(LCD)や平面表示素子が使用される。表示手段29からの映像は、入力装置100を通して見るようになる。
【0148】
CPU32には、映像&音声処理部44が接続され、ボタンアイコンを三次元的に表示するための表示情報D14を画像処理して、デジタルの表示情報D14をアナログの表示信号Svに変換する。表示信号Svは、表示手段29に供給するようになされる。この例で、CPU32は、表示画面中のボタンアイコンを奥行方向に遠近感を有して三次元的に表示するように表示手段29を表示制御する。
【0149】
映像&音声処理部44は、デジタルの映像データをデジタル/アナログ変換して映像信号Svを出力する他に、デジタルの音声データをデジタル/アナログ変換して音声信号Soutを出力する。映像&音声処理部44にはスピーカー36が接続される。スピーカー36は、例えば、デジタルカメラ200の使用方法等の案内を拡声するようになされる。
【0150】
CPU32には、アクチュエータ駆動回路38が接続され、CPU32からの指令Dに従って、振動制御信号Sa、Sbを発生する。振動制御信号Sa,Sbは、例えば、正弦波形からなる出力波形を有している。アクチュエータ駆動回路38には、例えば、2個のアクチュエータ25a,25bが接続され、アクチュエータ駆動回路38から振動制御信号Sa,Sbが供給される。アクチュエータ25a,25bは、振動制御信号Sa,Sbを入力し、CPU32によって演算された振動パターンに基づいて操作方向に振動が移動するように入力検出面を振動する。この振動は、操作者の指等に、スイッチが押下されたことを触覚以て提示するためである。
【0151】
このように構成された入力装置100を内蔵したデジタルカメラ200は、例えば、入力項目選択用の表示画面に表示された複数のボタンアイコンの1つを押下(接触)して当該表示画面上で三次元入力機能付きの4面操作用の入力手段45をZ方向に押下するようになされる。表示手段29の表示内容は操作者の目による視覚により、スピーカー36a,36b等からの放音は、操作者の耳による聴覚により各機能を判断するようになされる。電源ユニット33は、図14に示したバッテリー33’を有しており、表示手段29、CPU32、カメラ34、記憶手段35及び入力手段45にDC電源を供給するようになされる。
【0152】
図17は、4面操作用の入力手段45における複数の閾値関数の設定例を示す特性図である。
【0153】
この実施例では、CPU32に設定するための複数の閾値関数を記憶したROM37を備え、各々閾値関数は、入力手段45の入力操作領域の一端から他端に至る入力位置に関して許容最大力で連続又は所定のステップで押下した際に検出される最大検出電圧値を取得し、ここに取得された入力操作領域の一端から他端に至る入力位置に対応する最大検出電圧値に各々が異なった定数a,b,c[0<c<b<a<1]を演算して作成されたものである。
【0154】
図17において、縦軸は検出電圧VX=V2であり、横軸は入力位置であり、左位置はX=0で右位置はX=XMAXである。
【0155】
この例でも、状態Cをこれ以上、電圧検出情報V2が上昇しないMAXの状態と定義する。例えば、Siゴム膜4上を1000gfで押す場合に検出電圧V2=MAXが検出される状態とする。状態CでSiゴム膜4上を押下しながらX方向を一端から他端まで(X=0〜MAX)なぞったときに、駆動回路5から出力される検出電圧V2の値をX方向の分解能数分だけ計測し、又は、それ以下の分解能刻みで検出電圧V2の値を計測する。これを関数f(x)とする。
【0156】
この例では、定数a,b,c[0<c<b<a<1]を関数f(x)に設定して、g(x)=a・f(x)、h(x)=b・f(x)及びi(x)=c・f(x)なる3つの関数を作成する。g(x)=a・f(x)、h(x)=b・f(x)及びi(x)=c・f(x)なる関数は、予め準備してROM37等に格納するようになされる。
【0157】
この関数g(x)、h(x)及びi(x)は、閾値データDthによって設定される。関数g(x)は、定点IpにおけるZ方向の検出電圧V2を判別する際に、閾値g(Ip)を得るために設定される閾値関数となる。例えば、関数g(x)は、力F対検出電圧V2特性が線形で、なおかつ、状態Cがf(x)=1000gfのとき、定数aを0.8とした場合に800gfとなる。
【0158】
関数h(x)は、定点IpにおけるZ方向の検出電圧V2を判別する際に、閾値h(Ip)を得るために設定される閾値関数となる。例えば、関数h(x)は、上述と同様にして、f(x)=1000gfのとき、定数bを0.55とした場合に550gfとなる。関数i(x)は、定点IpにおけるZ方向の検出電圧V2を判別する際に、閾値i(Ip)を得るために設定される閾値関数となる。例えば、関数i(x)は、上述と同様にして、f(x)=1000gfのとき、定数cを0.3とした場合に300gfとなる。
【0159】
表2には、X方向のスライド範囲(入力位置)X=0〜x=MAXに対する関数f(x)と、関数g(x)、h(x)及びi(x)との関係例を示している。
【0160】
【表2】
表2によれば、入力位置X=0で、関数f(x)、関数g(x)、関数h(x)及び関数i(x)は共に「0」である。X=1で、関数f(x)=αのとき、関数g(x)はaαであり、関数h(x)はbαであり、関数i(x)はcαである。同様にして、X=2で、関数f(x)=βのとき、関数g(x)はaβであり、関数h(x)はbβであり、関数i(x)はcβである。X=3で、関数f(x)=γのとき、関数g(x)はaγであり、関数h(x)はbγであり、関数i(x)はγβである。
【0161】
これにより、筐体20の表示面操作領域Iで表示面タッチシート部分80dで、Z方向の押下入力について、なぞりや、押し込み等の入力を区別できるようになる。また、図5Aに示した筐体20の側面操作領域IIa,IIb,IIcで側面タッチシート部分80a,80b,80cで、Z方向の押下力によって押し込み入力を検出できるようになる。
【0162】
筐体20の表示面操作領域IにA領域を含む表示面タッチシート部分で、Z方向の押下入力について、なぞりや、押し込み等の入力を区別できるようになる。また、筐体20の側面操作領域IIa,IIb,IIcのB領域を含む側面タッチシート部分で押し込み入力を検出することができ、同様にして、その側面操作領域IId,IIe,IIfのC領域を含む側面タッチシート部分で押し込み入力を検出することができ、更に、その側面操作領域IIg,IIh,IIiのD領域を含む側面タッチシート部分で押し込み入力を検出することができる。
【0163】
続いて、デジタルカメラ200の情報処理例について説明をする。図18は、デジタルカメラ200における情報処理例を示すフローチャート(メインルーチン)である。図19は、そのアプリケーションの選択例及び、図20及び図21は、そのCPU32における領域判別例(その1、2)を各々示すフローチャート(サブルーチン)である。図22は、定点Ipにおける押下状態“イ”,“ロ”,“ハ”,“ニ”の判別例を示すフローチャート(サブルーチン)である。
【0164】
この実施例では、三次元入力機能付きのデジタルカメラ200の入力操作面において、操作者の指30a等のなぞり又は押し込みを判別して情報を入力できるようにすると共に、表示手段29に表示されたボタンアイコン等の入力を確定する場合を前提とする。更に、筐体側面や筐体上面等に操作スイッチ48a,48b等を備え、そのZ方向の押下力によってオン・オフを検出し、かつ、オン検出時にLED57a,57b等を点灯するようになされる。この例で、ボタンアイコン又は操作スイッチ48,48a又は48b等の入力操作に関して、例えば、4個のアプリケーションAP1〜AP4が準備されている。
【0165】
これらを情報処理条件にして、CPU32は、図18に示すフローチャートのステップG1で電源オンを待機する。例えば、CPU32は電源オン情報を検出してシステムを起動する。電源オン情報は通常、時計機能等が稼働し、スリーピング状態にあるデジタルカメラ等の電源スイッチをオンされたときに発生する。
【0166】
そして、ステップG2に移行してCPU32は、アイコン画面を表示するように表示手段29を制御する。例えば、CPU32は、表示手段29に表示データD14を供給して表示画面に入力情報を表示する。表示画面に表示された入力情報は、入力操作面を有した入力手段45を通じて目視可能になされる。そして、ステップG3に移行してCPU32は、ボタンアイコン入力モード又はその他の処理モードに基づいて制御を分岐する。ボタンアイコン入力モードとは、ボタンアイコン選択時に入力操作面上のアイコンボタンや、筐体側面の操作スイッチ48,48a,48b等を押下する入力操作をいう。
【0167】
ボタンアイコン入力モードが設定された場合、ステップG4に移行してCPU32は、入力(X,Y)を待機する。ボタンアイコン入力モードが設定されると、アイコン、操作スイッチ48,48a又は48b等が押し込まれるので、何らかの入力(X,Y)が図1に示した駆動回路5で検出される。そして、ステップG5に移行して、4個のアプリケーションAP1〜AP4のいずれかを選択し、そのアプリケーションを実行する。
【0168】
例えば、図19に示すサブルーチンをコールして、そのステップH1でアプリケーションAP1が選択されているかを検出する。アプリケーションAP1が選択されている場合は、ステップH2に移行してアプリケーションAP1を実行する。その後、ステップG5にリターンする。
【0169】
ステップH1でアプリケーションAP1以外が選択されている場合は、ステップH3に移行してアプリケーションAP2が選択されているかを検出する。アプリケーションAP2が選択されている場合は、ステップH4に移行してアプリケーションAP2を実行する。その後、ステップG5にリターンする。
【0170】
ステップH3でアプリケーションAP1及びAP2以外が選択されている場合は、ステップH5に移行してアプリケーションAP3が選択されているかを検出する。アプリケーションAP3が選択されている場合は、ステップH6に移行してアプリケーションAP3を実行する。
【0171】
ステップH5でアプリケーションAP1,AP2及びAP3以外のアプリケーションAP4が選択されている場合は、ステップH7に移行してアプリケーションAP4を実行する。その後、ステップG5にリターンし、その後、ステップG6に移行する。ステップG6でCPU32は、アイコン、操作スイッチ48,48a又は48b等が押し込まれた領域の検出処理を実行する。
【0172】
例えば、図20に示すサブルーチンをコールして、そのステップK1で、まず、CPU32は、アイコン、操作スイッチ48,48a又は48b等が押し込まれた領域がA領域かを検出する。図15に示した例によれば、A領域は、XY座標系で50≦X≦120及び、10≦Y≦60の範囲に存在する。このA領域内を検索する。A領域が押し込まれた場合は、更に、ステップK2に移行してA1領域が押し込まれたかを検出する。A1領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。A1領域が押し込まれていない場合は、ステップK3に移行して、A2領域が押し込まれたかを検出する。A2領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。
【0173】
A2領域が押し込まれていない場合は、ステップK4に移行して、A3領域が押し込まれたかを検出する。A3領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。A3領域が押し込まれていない場合は、ステップK5に移行してA4領域が押し込まれたかを検出する。A4領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。これにより、領域A1〜A4を判別できるようになる。なお、領域A1〜A4には、表示手段29からのボタンアイコン等の映像が重ね合わされる。A1〜A4領域のいずれも押し込まれていない場合は、メインルーチンのステップG4にリターンし入力(X,Y)を待機する。
【0174】
ステップK1でA領域が押し込まれていない場合は、ステップK6に移行してB領域が押し込まれたかを検出する。B領域は、XY座標系で30≦X≦140及び、70≦Y≦100の範囲に存在する。このB領域内を検索する(図15参照)。B領域が押し込まれた場合は、更に、ステップK7に移行してB1領域が押し込まれたかを検出する。B1領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。B1領域が押し込まれていない場合は、ステップK8に移行して、B2領域が押し込まれたかを検出する。B2領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。
【0175】
B2領域が押し込まれていない場合は、ステップK9に移行して、B3領域が押し込まれたかを検出する。B3領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。これにより、領域B1〜B3を判別できるようになる。なお、領域B1〜B3には、図12に示した操作スイッチ48のオン時に、LED57からのLED光が透過する。B1〜B3領域のいずれも押し込まれていない場合は、メインルーチンのステップG4にリターンし入力(X,Y)を待機する。
【0176】
ステップK6でB領域が押し込まれていない場合は、図21に示すステップK10に移行してC領域が押し込まれたかを検出する。C領域は、XY座標系で0≦X≦30及び、0≦Y≦70の範囲に存在する。このC領域内を検索する(図15参照)。C領域が押し込まれた場合は、更に、ステップK11に移行してC1領域が押し込まれたかを検出する。C1領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。
【0177】
C1領域が押し込まれていない場合は、ステップK12に移行して、C2領域が押し込まれたかを検出する。C2領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。C2領域が押し込まれていない場合は、ステップK13に移行して、C3領域が押し込まれたかを検出する。C3領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。これにより、領域C1〜C3を判別できるようになる。なお、領域C1〜C3には、図14に示した操作スイッチ48aのオン時に、LED57aからのLED光が透過する。C1〜C3領域のいずれも押し込まれていない場合は、メインルーチンのステップG4にリターンし入力(X,Y)を待機する。
【0178】
ステップK10でC領域が押し込まれていない場合は、ステップK14に移行してD領域が押し込まれたかを検出する。D領域は、XY座標系で140≦X≦170及び、0≦Y≦70の範囲に存在する。このD領域内を検索する(図15参照)。D領域が押し込まれた場合は、更に、ステップK15に移行してD1領域が押し込まれたかを検出する。D1領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。D1領域が押し込まれていない場合は、ステップK15に移行して、D2領域が押し込まれたかを検出する。D2領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。
【0179】
D2領域が押し込まれていない場合は、ステップK16に移行して、D3領域が押し込まれたかを検出する。D3領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。これにより、領域D1〜D3を判別できるようになる。領域D1〜D3には、図14に示した操作スイッチ48bのオン時に、LED57bからのLED光が透過する。D1〜D3領域のいずれも押し込まれていない場合は、メインルーチンのステップG4にリターンし入力(X,Y)を待機する。
【0180】
上述のステップK2〜K5、K7〜K9、K11〜K13及びK14〜K16でA〜D領域のいずれかが押し込まれた場合は、ステップG6にリターンした後、ステップG7に移行して定点Ipにおける押下状態の判別処理を実行する。例えば、図17に示した4面操作用の入力手段45における複数の閾値関数の設定例において、ある位置(定点)x=Iで、ある力Fで入力面を押下した場合を想定する。
【0181】
この例では、関数f(x)と関数g(x)の間の押下状態(非接触)を(イ)とし、関数g(x)と関数h(x)の間の押下状態(なぞり#1)を(ロ)とし、関数h(x)と関数i(x)の間の押下状態(なぞり#2)を(ハ)とし、関数i(x)よりも弱い押下状態(押し込み)を(ニ)とする。このときの検出電圧V2はV2=V2Fとする。入力手段45におけるある入力位置(定点Ip)で、ある力Fで入力面を押下した場合において、ROM37に格納された閾値関数g(x)、h(x)及びi(x)を使用して、その定点IpにおけるZ方向の検出電圧V2Fを検出する場合を例に採る。
【0182】
これを検出条件にして、図17に示すフローチャートのステップST1でA/Dドライバ31は、駆動回路5から出力される検出電圧V2Fを読み込む。次に、ステップST2でCPU32は、ROM37に記述された閾値関数i(x)を参照して、定点Ipにおける閾値データDth=閾値i(Ip)を読み出すようになされる。
【0183】
その後、ステップST3でCPU32は、定点Ipにおける検出電圧V2Fと閾値i(Ip)とを比較して、検出電圧V2Fと閾値i(Ip)の大小を検出する。検出電圧V2F≦閾値i(Ip)の場合は、ステップST4に移行して、押下状態“ニ”(非接触)フラグを立てて上位の制御系に「非接触」を送信する。また、検出電圧V2F>閾値g(Ip)の場合は、ステップST5に移行して、定点Ipにおける閾値データDth=閾値h(Ip)を読み出すようになされる。
【0184】
その後、ステップST6でCPU32は、定点Ipにおける検出電圧V2Fと閾値h(Ip)とを比較して、検出電圧V2Fと閾値h(Ip)の大小を検出する。検出電圧V2F≦閾値h(Ip)の場合は、ステップST7に移行して、押下状態“ハ”(なぞり#1)フラグを立てて上位の制御系に「なぞり#1」を送信する。また、検出電圧V2F>閾値h(Ip)の場合は、ステップST8に移行して、定点Ipにおける閾値データDth=閾値g(Ip)を読み出すようになされる。
【0185】
その後、ステップST9でCPU32は、定点Ipにおける検出電圧V2Fと閾値g(Ip)とを比較して、検出電圧V2Fと閾値g(Ip)の大小を検出する。検出電圧V2F≦閾値g(Ip)の場合は、ステップST10に移行して、押下状態“ロ”(なぞり#2)フラグを立てて上位の制御系に「なぞり#2」を送信する。また、検出電圧V2F>閾値g(Ip)の場合は、ステップS11に移行して、押下状態“イ”(押し込み)フラグを立てて上位の制御系に「押し込み」を送信する(三次元情報)。その後、ステップST1に戻って上述した処理を繰り返すようになされる。
【0186】
その後、図18に示したメインルーチンのステップG7にリターンした後に、ステップG8に移行して定点Ipにおける入力を確定する。このとき、CPU32は、入力操作面で当該押下位置に表示された入力情報を確定する。そして、ステップG10に移行する。なお、ステップG3で他の処理モードが選択された場合は、ステップG9に移行して他の処理モードを実行する。
【0187】
他の処理モードには、画像再生モードや、情報転送モード等が含まれる。情報転送モードには、プリンタ装置に静止画情報を転送する操作が含まれる。ボタンアイコンには、画像再生モード選択時の再生、巻き戻し、早送り等の選択項目が含まれる。他の処理モードを実行した後は、ステップG10に移行する。ステップG10でCPU32は終了判断をする。例えば、電源オフ情報を検出して情報処理を終了する。電源オフ情報が検出されない場合は、ステップG2に戻って、メニュー等のアイコン画面を表示し、上述した処理を繰り返すようになされる。
【0188】
このように、第3の実施例としてのデジタルカメラ200によれば、本発明に係る三次元入力機能付きの入力装置100が応用され、透明な樹脂で形成される静電容量方式の4面操作用の入力手段45が表示手段29とは異なるデジタルカメラ200の筐体背面から側面に跨って、一体で形成される構造を有している。しかも、4面操作用の入力手段45の表示面タッチシート部分又は側面タッチシート部分一部の位置に当該入力手段の位置検出信号S1や力検出信号S2等を伝送するフレキシブル配線60を集中させることができる。
【0189】
従って、表示面タッチパネルと側面の操作スイッチとを別個独立した位置に配置し、その各々からフレキシブル配線を引き出す場合に比べて、フレキシブル配線60やコネクタ等の取り付けスペースを低減できるので、デジタルカメラ200の小型化を図ることができる。しかも、デジタルカメラ200の組立時、配線接続工程の簡略(簡素)化を図ることができる。また、部品点数の削減化(特にコネクタと、メカニカルスイッチ部にあったキートップの削減)によりデジタルカメラ200のコストダウンが図れる。
【0190】
本発明で実現する入力手段45の機能は、従来の静電容量方式のタッチパネルとメカニカルタクトスイッチを組み合わせにおいても実現可能である。従来方式では、メカニカルタクトスイッチの採用によって、デザイン面でメリットが出ない、及び、“なぞり”動作時の操作感がメカニカルスイッチをなぞることになるため、意図しない凹凸を感じさせてしまって、人間工学的に好ましくない状況にあった。本発明では、この状況を解決できるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0191】
この発明は、予め準備された入力項目選択用の表示画面の中からアイコンを選択して情報を入力する、デジタルカメラや、携帯電話機、携帯端末装置等に適用して極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】本発明に係る第1の実施例としての入力装置100の構成例を示す斜視図である。
【図2】(A)及び(B)は、多面操作用の入力シート80の展開例を示す上面図及びその正面図である。
【図3】(A)及び(B)は、筐体20の構成例を示す上面図及びその正面図である。
【図4】入力装置100の形成例(その1)を示す工程図である。
【図5】入力装置100の形成例(その2)を示す工程図である。
【図6】三次元入力機能付きの入力装置100の構成例を示す斜視図である。
【図7】(A)〜(C)は、入力装置100のZ方向の検出原理を示す断面図である。
【図8】(A)及び(B)は、入力装置100の駆動回路5及び抵抗調整膜2の構成例を示す回路図である。
【図9】(A)及び(B)は、駆動回路5における“なぞり”及び“押し込み”時の動作例を示す回路図である。
【図10】駆動回路5によるXY位置情報の検出例を示す特性図である。
【図11】定点IpにおけるZ方向の検出電圧V2Fの判別例を示す特性図である。
【図12】第2の実施例としての入力装置100における操作スイッチ48の構成例を示すブロック図である。
【図13】操作スイッチ48の押下時の動作例を示すブロック図である。
【図14】第3の実施例としての三次元入力機能付きのデジタルカメラ200の構成例を示す断面図である。
【図15】その4面操作用の入力シート80’の展開例を示す上面図である。
【図16】三次元入力機能付きデジタルカメラ200の内部構成例を示すブロック図である。
【図17】4面操作用の入力手段45における複数の閾値関数の設定例を示す特性図である。
【図18】デジタルカメラ200における情報処理例を示すフローチャート(メインルーチン)である。
【図19】そのアプリケーションの選択例を示すフローチャート(サブルーチン)である。
【図20】そのCPU32における領域判別例(その1)を示すフローチャート(サブルーチン)である。
【図21】そのCPU32における領域判別例(その2)を示すフローチャート(サブルーチン)である。
【図22】定点Ipにおける押下状態“イ”,“ロ”,“ハ”,“ニ”の判別例を示すフローチャート(サブルーチン)である。
【符号の説明】
【0193】
1・・・基板、2・・・抵抗調整膜、3・・・ITO膜(透明導電性の膜)、4・・・Siゴム膜(誘電性の膜)、5・・・駆動回路、6・・・交流波発振装置、9・・・SiO2膜、15・・・制御手段、20・・・筐体、21・・・前面パネル、29・・・表示手段、32・・・CPU(制御手段)、35・・・記憶手段、37・・・ROM、45・・・入力手段、48,48a,48b・・・操作スイッチ、60・・・フレキシブル配線(配線部材)、80,80’・・・入力シート、80a〜80c・・・側面タッチシート部分、80d・・・表示面タッチシート部分、100・・・入力装置、200・・・デジタルカメラ(電子機器)
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め準備された入力項目選択用の表示画面の中からアイコンを選択して情報を入力する、デジタルカメラや、携帯電話機、携帯端末装置等に適用して好適な入力装置、その製造方法及び電子機器に関する。詳しくは、入力シート折曲げ構造を有する多面操作用の入力シートを備え、光透過性のシート状の平坦部材に表示面操作用のシート状の入力タッチ部材と側面操作用のシート状の入力タッチ部材とを形成した展開入力シートを選択的に折曲げて、当該筐体の表示面操作領域に表示面操作用の入力タッチ部材を取り付け、かつ、当該筐体の側面操作領域に側面操作用の入力タッチ部材を取り付けて、表示面操作用の入力タッチ部材又は側面操作用の入力タッチ部材の一部の位置に、当該多面操作用の入力シートの配線部材を集中できるようにすると共に、配線部材や配線端子等の取り付けスペースを低減できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザ(操作者)は、デジタルカメラや、携帯電話機、カムコーダ、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯用の電子機器に様々なコンテンツを取り込み、それを利用するようになってきた。これらの電子機器には入力装置が具備される。入力装置にはキーボードや、JOGダイヤル等の入力手段、表示部を合わせたタッチパネルなどが使用される場合が多い。タッチパネルには、静電容量方式や抵抗膜方式が使用されている。
【0003】
静電容量方式のタッチパネルには、入力操作面下に静電容量シートが設けられ、入力操作面において、指を触れた入力位置を検出して、指を触れた状態と、指で触れていない状態(非接触)とを判別するようになされる。抵抗膜方式のタッチパネルには、入力操作面下に抵抗調整膜が設けられ、入力操作面において、指を触れた入力位置を検出して、指を触れた状態と、指で触れていない状態(非接触)とを判別するようになされる。
【0004】
静電容量方式のタッチパネルは、静電容量シートと操作者の指の間に、筺体等の入力操作面が介在していても動作するので、防水性かつデザイン性に優れている。また、抵抗膜方式のタッチパネルと比較して、メカ的に動く部分がない等により耐久性に優れている。
【0005】
デジタルカメラや、携帯電話機、カムコーダ、PDA等の携帯用の電子機器の表示部に搭載されるタッチパネルについて、より多くの機能が搭載され、表示素子は高性能化の一途を辿ってきている。それに伴って、上述の電子機器には、ノートパソコン(以下ノートPCという)等のように、画面上のカーソルを任意に移動させ、アイコンにカーソルを合わせて決定するというような、いわゆる“カーソリング機能”が求められてきている。
【0006】
このような要求は、“選ぶ”という動作と、“決定”するという動作の2種類の入力操作を区別して検出できることが要求される。人間工学的なものの見方からすると、前者の選ぶという動作は、“なぞる”という動作、後者の決定という動作は“押し込む”という動作と直結すると考えることは容易である。
【0007】
一方、電気機器の筺体に配置されるスイッチについても、より多くの機能が搭載され、更にデザイン的な要求から、機能が増えているにもかかわらず、スイッチ数を減らす、スイッチと筺体の間の段差を減らすなどの要求が多く出てきている。また、この入力操作領域においても、スライド操作などの、前記“なぞる”という動作と、決定の意味をもつ“押し込む”という動作が同一平面上で操作できることが要求されてきている。
【0008】
これらの静電容量方式や抵抗膜方式のタッチパネルを備えた電子機器によれば、筐体内に表示手段が設けられ、その表示領域上には、静電容量シートや抵抗膜シートが設けられるが、メカニカルスイッチは、これらの静電容量シートや抵抗膜シートとは別個独立に筐体の側面に設けられている。メカニカルスイッチの一例を挙げると、例えば、筐体側面において、ドーム形状の金属板を電極パターン上に形成し、使用者がドーム上を押下することによって、ドームが変形しドーム下の電極パターンに接触することによって、電気的なスイッチングが行われる。同時に、ドーム変形時の金属板の、いわゆる“コシ”により、クリック感を発生せしめるものである。
【0009】
この種のタッチパネルを使用した電子機器に関連して特許文献1には、タッチパネルの入力方法が開示されている。この入力方法によれば、重要な項目選択の場合は、強くタッチ操作をし、単純な選択操作は軽くタッチ操作するようになされる。このようにすると、操作員の誤操作を防止できるというものである。
【0010】
特許文献2には、外部モニタとエレクトロビュファインダを備えた撮像装置が開示されている。この撮像装置によれば、エレクトロビュファインダには、タッチパネルの操作に連動して、画面内を移動するポインタと、このポインタで指示され、選択される撮影情報等の各種操作の指令を入力する操作領域とが表示される。タッチパネルの操作に基づいて撮影情報に係る各種操作の指令を入力するようになされる。このようにすると、エレクトロビュファインダ専用の操作系を設けることがないので、コストアップを防止できるというものである。
【0011】
特許文献3には、タッチパネルを備えた入力装置及び入力方法が開示されている。この入力方法によれば、入力操作時、タッチパネルで押圧指示しようとする場合に、入力しようとする入力画面の一部をユーザの指示位置を指示する表示体と共に入力ガイド情報と共に別途表示するようになされる。このようにすると、視認性を向上でき、かつ、入力ミスを防止でき、操作性を向上できるというものである。
【0012】
特許文献4には、指やペンなどにより入力可能な座標入力装置が開示されている。この座標入力装置によれば、静電容量圧力センサと表示手段とを組み合わせて入出力一体型の座標入力装置を構成するようになされる。このようにすると、専用の電子ペン等を使用せずに、また、電磁ノイズを発生することなく、指やペンなどにより入力情報を選択できるというものである。
【0013】
【特許文献1】特開平 09−022330号公報(第2頁 図3)
【特許文献2】特開2000−184241号公報(第2頁 図2)
【特許文献3】特開2004−021933号公報(第3頁 図3)
【特許文献4】特開2000−347807号公報(第3頁 図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、従来例に係るデジタルカメラや、携帯電話機、携帯端末装置等の電子機器によれば、以下のような問題がある。
【0015】
i.現在、上述の電子機器には、“なぞる”動作と“押し込む”動作とを同一平面上に実現することが求められている。しかし、従来方式では、上述の2つの動作のうち、違和感のない人間の操作において、どちらか1つの動作しか実現できていないのが現状である。因みに、ノートPCのタッチパッドなどは、ダブルクリックなどで上記2つの機能を分けているが、人間工学的な観点からは、違和感のある操作といわざるを得ない。
【0016】
ii.また、特許文献1〜特許文献3に見られるような各種方式のタッチパネルと表示部とを合わせた二次元入力機能付きの携帯端末装置によれば、表示部でアイコンを選択した際に、その選択位置において、”押し込み”操作による入力確定ができていないのが現状である。
【0017】
iii.なお、特許文献4に見られるような静電容量シートとメカニカルタクトスイッチを組み合わせて、“なぞる”動作と“押し込む”動作とを同一平面上で実現することが考えられるが、特許文献4に見られるようなメカニカルタクトスイッチを採用すると、装置が大型化するばかりか、デザイン面でのデメリットが生じてしまい、及び、“なぞり”動作時の操作感がメカニカルスイッチをなぞることになる。このため、意図しない凹凸感を感じてしまい、人間工学的に好ましくない。
【0018】
iv.また、筐体側面に取り付け可能なメカニカルスイッチによれば、オンオフ確認用に発光ダイオード(LED)を組み合わせて使用される場合がある。この種のメカニカルスイッチにおいて、LEDは押下操作軸外の基板上に配置されているので、部品取り付けスペースを多く占有するようになる。
【0019】
v.更に、静電容量シートや抵抗膜シート等とその制御用のIC基板の間、また、メカニカルスイッチと、そのIC基板の間には、フレキシブル配線シート(基板)を使用して配線される場合が多い。従って、高価なフレキシブル配線をシート基板間に3本乃至4本(条)を布設したり、これに接続される同数のコネクタを実装しなければならない。これにより、組立時の配線接続工程が複雑になったり、部品点数が多くなって、タッチパネルを使用した電子機器のコストアップにつながる。
【0020】
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、組立時の配線接続工程を簡略化できるようにすると共に、部品点数を削減して装置機器を小型化できるようにした入力装置、その製造方法及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述した課題は、第1操作領域及び第2面操作領域を有した筐体と、この筐体の第1操作領域及び第2面操作領域に取り付けられた多面操作用の入力シートとを備え、多面操作用の入力シートは、光透過性のシート状の平坦部材に第1面操作用のシート状の入力タッチ部材と第2面操作用のシート状の入力タッチ部材とを形成した展開入力シートが選択的に折曲げられ、筐体の第1操作領域に第1面操作用の入力タッチ部材が取り付けられ、かつ、当該筐体の第2面操作領域に第2面操作用の入力タッチ部材が取り付けられた入力シート折曲げ構造を有することを特徴とする入力装置によって解決される。
【0022】
本発明に係る入力装置によれば、多面操作用の入力シートが入力シート折曲げ構造を有しているので、第1面操作用の入力タッチ部材又は第2面操作用の入力タッチ部材の一部の位置に当該多面操作用の入力シートの配線部材を集中させることができる。
【0023】
本発明に係る入力装置の製造方法は、光透過性のシート状の平坦部材に第1面操作用のシート状の入力タッチ部材と第2面操作用のシート状の入力タッチ部材とを形成して多面操作用の展開入力シートを形成する工程と、展開入力シートを取り付けるための第1操作領域及び第2面操作領域を有した筐体を形成する工程と、展開入力シートを選択的に折曲げて筐体の第1操作領域に第1面操作用の入力タッチ部材を取り付け、かつ、当該筐体の第2面操作領域に第2面操作用の入力タッチ部材を取り付ける工程とを有することを特徴とするものである。
【0024】
本発明に係る入力装置の製造方法によれば、折曲げ可能な多面操作用の展開入力シートを一部品によって形成できるので、従来方式のような第1面操作用の入力タッチパネルと第2面操作用の入力タッチスイッチとを別個独立した2部品で構成する場合に比べて、製造工程数を削減することができる。
【0025】
本発明に係る電子機器は、表示手段と、この表示手段の上部に配置され、操作体の接触位置を検出して位置検出信号を出力する機能及び操作体の押圧力を検出して力検出信号を出力する機能を有した入力手段とを備えた電子機器において、入力手段は、第1操作領域及び第2面操作領域を有した筐体と、筐体の第1操作領域及び第2面操作領域に取り付けられた多面操作用の入力シートとを有し、多面操作用の入力シートは、光透過性のシート状の平坦部材に第1面操作用のシート状の入力タッチ部材と第2面操作用のシート状の入力タッチ部材とを形成した展開入力シートが選択的に折曲げられ、筐体の第1操作領域に第1面操作用の入力タッチ部材が取り付けられ、かつ、当該筐体の第2面操作領域に第2面操作用の入力タッチ部材が取り付けられた入力シート折曲げ構造を有することを特徴とするものである。
【0026】
本発明に係る電子機器によれば、本発明に係る入力装置が応用されるので、入力手段の第1面操作用の入力タッチ部材又は第2面操作用の入力タッチ部材の一部の位置に当該入力手段の位置検出信号や力検出信号等を伝送する配線部材を集中させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る入力装置によれば、入力シート折曲げ構造を有する多面操作用の入力シートを備え、この入力シートは、光透過性のシート状の平坦部材に第1面操作用のシート状の入力タッチ部材と第2面操作用のシート状の入力タッチ部材とを形成した展開入力シートが選択的に折曲げられ、当該筐体の第1操作領域に第1面操作用の入力タッチ部材が取り付けられ、かつ、当該筐体の第2面操作領域に第2面操作用の入力タッチ部材が取り付けられたものである。
【0028】
この構成によって、第1面操作用の入力タッチ部材又は第2面操作用の入力タッチ部材の一部の位置に当該多面操作用の入力シートの配線部材を集中させることができる。従って、第1面操作用の入力タッチ部材と第2面操作用の入力タッチ部材の別個独立した位置から配線部材を引き出す場合に比べて、配線部材や配線端子等の取り付けスペースを低減できるので、入力装置の小型化を図ることができる。しかも、入力装置の組立時、配線接続工程の簡略化を図ることができる。また、部品点数の削減化により入力装置のコストダウンが図れる。
【0029】
本発明に係る入力装置の製造方法によれば、光透過性のシート状の平坦部材に第1面操作用のシート状の入力タッチ部材と第2面操作用のシート状の入力タッチ部材とを形成して多面操作用の展開入力シートを形成するようになされる。
【0030】
この構成によって、折曲げ可能な多面操作用の展開入力シートを一部品によって形成できるので、従来方式のような第1面操作用の入力タッチパネルと第2面操作用の入力タッチスイッチとを別個独立した2部品で構成する場合に比べて、製造工程数を削減することができる。
【0031】
本発明に係る電子機器によれば、表示手段の上部に配置され、操作体の接触位置を検出して位置検出信号を出力する機能及び操作体の押圧力を検出して力検出信号を出力する機能を有した入力手段を備え、この入力手段には本発明に係る入力装置が応用されるものである。
【0032】
この構成によって、入力手段の第1面操作用の入力タッチ部材又は第2面操作用の入力タッチ部材の一部の位置に当該入力手段の位置検出信号や力検出信号等を伝送する配線部材を集中させることができる。従って、第1面操作用の入力タッチ部材と第2面操作用の入力タッチ部材の別個独立した位置から配線部材を引き出す場合に比べて、配線部材や配線端子等の取り付けスペースを低減できるので、電子機器の小型化を図ることができる。しかも、電子機器の組立時、配線接続工程の簡略化を図ることができる。また、部品点数の削減化により電子機器のコストダウンが図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
続いて、この発明に係る入力装置、その製造方法及び電子機器の一実施の形態について、図面を参照しながら説明をする。
【実施例1】
【0034】
図1は、本発明に係る第1の実施例としての入力装置100の構成例を示す斜視図である。
【0035】
図1に示す入力装置100は、予め準備された入力項目選択用の表示画面の中からアイコンを選択して情報を入力したり、Z方向の押圧力を検出してスイッチ動作をする装置である。入力装置100は、図示しない表示手段を組み合わせたデジタルカメラや、携帯電話機、携帯端末装置等に適用して好適である。
【0036】
入力装置100は、筐体20、接着シート50及び多面操作用の入力シート80を備えて構成される。筐体20は、第1面操作領域の一例となる表示面操作領域I及び第2面操作領域の一例となる3つの側面操作領域IIa,IIb,IIcを有している。筐体20はアクリル部材を金型射出2色成形して構成される。光透過部部分は、モニタ等の表示窓部に相当し、アクリルの無色透明性を維持している。その他は内部が見えない遮光性を維持している。
【0037】
多面操作用の入力シート80は、例えば、接着シート50を介して筐体20の表示面操作領域I及び側面操作領域IIa,IIb,IIcに取り付け(貼り付け)られる。入力シート80は、入力シート折曲げ構造を有している。この構造では、光透過性のシート状の平坦部材に、表示面操作用のシート状の入力タッチ部材(以下、表示面タッチシート部分80dという)と、側面操作用のシート状の入力タッチ部材(以下、側面タッチシート部分80a,80b,80cという)とを形成した展開入力シート80’が選択的に折曲げられ、筐体20の表示面操作領域Iに表示面タッチシート部分80dが取り付けられ、かつ、当該筐体20の側面操作領域IIa,IIb,IIcに側面タッチシート部分80a,80b,80cが取り付けられる。平坦部材には、フレキシブルな樹脂シートが使用される。
【0038】
入力シート80は、例えば、表示面タッチシート部分80dが表示面操作領域Iに位置合わせされて、筐体20の操作面内側に接合(接着)され、側面タッチシート部分80a,80b,80cが当該筐体20の側面操作領域IIa,IIb,IIcに位置合わせされて、その壁面内側に沿って接合(接着)される。側面タッチシート部分80a,80b,80c及び表示面タッチシート部分80dを有する入力タッチ部材には、静電容量入力シートが使用される。静電容量入力シートは、例えば、格子状の電極を成すITO膜と、誘電体を成すSiゴム膜から構成される。
【0039】
表示面タッチシート部分80d及び側面タッチシート部分80a,80b,80cは、展開入力シート80’の内部で電気的に接続されており、折曲げ部分には、導電パターンが設けられ、静電容量が変化しないようになされている。静電容量入力シートは、折曲げ部分を境界にして、側面タッチシート部分80a,80b,80cと、表示面タッチシート部分80dとに割り当てられる。もちろん、入力タッチ部材は、静電容量入力シートに限られることはなく、静電容量入力シートの下に図示しない抵抗調整膜を設けたものであってもよい。この抵抗調整膜で上述の平坦部材を兼用することができる。
【0040】
入力シート80には配線部材の一例となるフレキシブル配線60が接続される。フレキシブル配線60は例えば、側面タッチシート部分80aから引出され、表示面タッチシート部分80dや側面タッチシート部分80a,80b,80c等からの操作者の指等(操作体)の接触位置を検出して得られる位置検出信号を伝送したり、その押圧力を検出して得られる力検出信号を伝送するようになされる。
【0041】
図2A及びBは、多面操作用の入力シート80の展開例を示す上面図及びその正面図である。図2Aに示す入力シート80は、上部入力シート及び下部入力シートに区分して使用される。入力シート80は、図中の三角印の境界部分IIIで折曲げて使用される。この境界部分IIIで入力シート80は、上部入力シート801及び下部入力シート802が画定される。上部入力シート801には、表示面タッチシート部分80dが設けられ、図示しない表示手段のアイコン映像を透過するようになされる。
【0042】
下部入力シート802には、3つの側面タッチシート部分80a,80b,80cが設けられている。側面タッチシート部分80aは、筐体20の側面操作領域IIaに位置合わせされて、第1の操作スイッチが構成され、この操作スイッチを押圧操作することで、この部分の静電容量入力シートからオン・オフを検出するようになされる。
【0043】
側面タッチシート部分80bは、筐体20の側面操作領域IIbに位置合わせされて、第2の操作スイッチが構成され、この操作スイッチを押圧操作することで、この部分の静電容量入力シートからオン・オフを検出するようになされる。側面タッチシート部分80cは、筐体20の側面操作領域IIcに位置合わせされて、第3の操作スイッチが構成され、この操作スイッチを押圧操作することで、この部分の静電容量入力シートからオン・オフを検出するようになされる。
【0044】
図2Bは、図2Aに示した入力シート80のX1−X1矢視断面図である。この例では、静電容量入力シート上の全面に光透過性の接着シート50が設けられる。接着シート50は、その全面に設けなくてもよい。例えば、光透過部分を除く部分に接着シート50を設けてもよい。この場合は、非透明性の接着シート50’を使用することができる。
【0045】
図3A及びBは、筐体20の構成例を示す上面図及びその正面図である。図3Aに示す筐体20は、長さがL[mm]で、幅がW[mm]である。筐体20はアクリル部材を金型射出2色成形して構成される。光透過部分は、表示窓部に相当し、アクリルの無色透明性を維持している。その他の部分(非透過部分)は、内部が見えない遮光性を維持している。光透過(透明)部分には、アクリル系樹脂やポリカーボネート(PC)等が使用される。非透明部分には、ABS樹脂や、PC+ABS樹脂、PC等が使用される。
【0046】
二色成形射出金型装置によれば、例えば、射出機構が2個併設され、その一次側の射出機構に、筐体20で表示面操作領域I及び側面操作領域IIa,IIb,IIc等の光透過部分を画定する金型がセットされ、その二次側の射出機構に、筐体20で非透明部分を画定する金型がセットされる。一次側の射出ノズルが前進し、可動側型板が閉じ、光透過部分のアクリル樹脂を注入すると、一次側モールドが成形される。
【0047】
当該装置で成形が完了すると、金型(キャビティ)が開き、一次側のスプル・ランナーが金型から離れる。このとき、一次側モールドは、可動側型板(コア)に残ったままである。その後、二次側の射出機構によって、二次側の射出ノズルが前進し、可動側型板(コア)に残った一次側モールドに連続して、非透明部分を画定する金型を有した可動側型板が閉じ、非透明部分のABS樹脂を注入すると、二次側モールドが成形される。成形が完了すると、金型が開き、表示面操作領域I及び側面操作領域IIa,IIb,IIc等が画定された成型品(筐体20)が取り出される。なお、射出機構は2個に限られることはなく、3個を併設すると、3色成形された筐体20を作成できる。
【0048】
筐体20は、例えば、デジタルカメラの本体部に適用して好適である。この筐体20をデジタルカメラに適用した場合、表示窓部がモニタ表示面となるので、表示面操作領域Iが背面に位置するようになされる。
【0049】
図3Bは、図3Aに示した筐体20のY1−Y1矢視断面図である。図3Bに示す筐体20は箱状を成しており、底部には表示窓部及び側部には操作窓部が設けられている。筐体底部の反対側は開放されている。この筐体20をデジタルカメラに適用する場合、この開放側からは、図示しないレンズや回路基板、バッテリー等の実装部品が取り付けられる。
【0050】
筐体20の表示窓部及び操作窓部は、2色射出成形によって、光透過部分と非透過部分とで領域が画定されていて、実際に開口されていない。もちろん、実際に、窓部を開口してもよい。図中、白抜き部分が光透過部分であり、斜線部分が非透過部分である。この例では、図2Aに示した入力シート80が筐体内側に接着する形態で取り付けられる。
【0051】
続いて、入力装置100の製造方法について説明する。図4及び図5は、入力装置100の形成例(その1、2)を示す工程図である。
【0052】
まず、図4Aに示す多面操作用の展開入力シート(静電容量入力スイッチシート)80’を形成する。展開入力シート80’は、例えば、光透過性の樹脂シートに、表示面タッチシート部分80dと側面タッチシート部分80a,80b,80cとを形成して得る。この例では、側面タッチシート部分80aから当該多面操作用の入力シート80のフレキシブル配線60を引き出すようになされる。展開入力シート80’の裏面には、両面テープ等の接着シート50がその保護紙70と共に貼付されている。
【0053】
次に、図4Bに示す筐体20を形成する。筐体20には、展開入力シート80’を取り付けるための表示面操作領域I及び側面操作領域IIa,IIb,IIcを有している。筐体20の形成方法は、図3A及び図3Bで説明した通りである。
【0054】
次に、図4Cに示すように、展開入力シート80’を選択的に折曲げて筐体20の表示面操作領域Iに表示面タッチシート部分80dを取り付ける。例えば、展開入力シート80’の裏面から保護(剥離)紙70を剥離して、接着シート50の部分を筐体20の内側底面にローラ58を使用して押し当て圧延する。ローラ58で押さえながら接合すると、表示面操作領域Iに貼り付け力不均一による“気泡”を発生させないようにできる。
【0055】
このように、保護紙70を剥がしながら筐体内側面に展開入力シート80’を接合する。接着シート(接着剤)50には、例えば、日東電工製CS−9621を使用する。この接着シート50は、アルカリ系接着剤である。コーナーは指で押圧しながら接着するとよい。この部分は、表示面操作領域から外れるため、気泡が発生しても差し支えないので手作業が許容される。もちろん、隅押さえ処理用の機械装置を使用してもよい。これにより、表示面タッチシート部分80dを筐体20の内側底面に接合することができる。
【0056】
更に、図5Aに示すように筐体20の側面操作領域IIa,IIb,IIcに側面タッチシート部分80a,80b,80cを取り付ける。例えば、側面タッチシート部分80a,80b,80cを当該筐体20の壁面内側に沿って接合する。なお、展開入力シート80’が貼付された筐体20を必要に応じて熱処理してもよい。例えば、筐体20を60℃で20分程度熱処理する。この場合は、接着シート50に熱圧着剤を使用する場合である。熱圧着剤にはホットメルト(熱硬化剤)樹脂を使用する。この熱処理は、気泡が表示部に発生した場合に取り除くことができる。これにより、図5Bに示す入力シート折曲げ構造を有した筐体20が完成する。
【0057】
このように、本発明に係る入力装置の製造方法によれば、折曲げ可能な多面操作用の展開入力シート80’を一部品によって形成できるので、従来方式のような表示面操作用の入力タッチパネルと側面操作用の入力タッチスイッチとを別個独立した2部品で構成する場合に比べて、製造工程数を削減することができる。
【0058】
続いて、入力装置100の構成例及びその動作例について説明する。図6は、三次元入力機能付きの入力装置100の構成例を示す斜視図である。この実施例では、従来方式のXY位置検出機能に加えて、押し込む方向の力を識別又は検出できるようにしたものである。
【0059】
図6に示す入力装置100は、基板1上に抵抗調整膜2、ITO膜3(Indium Tin Oxide膜;インジュム錫酸化物)及びSiゴム膜4が積層され、入力シート80が構成される。この例で、入力装置100と液晶表示パネル等の平面表示素子を組み合わせて使用する場合は、基板1には平面表示素子の上部ガラス基板が兼用される。また、入力装置100とLED等の発光素子を組み合わせて使用する場合は、基板1には筐体20の側面操作領域IIa,IIb,IIcのモールド樹脂部分が兼用される。
【0060】
基板1上には、入力操作領域IVを有する抵抗調整膜2が設けられ、操作者の指(操作体)の接触(入力)位置を検出するようになされる。入力操作領域IVの大きさは、長さがL’[mm]程度で、幅がW’[mm]程度である。この例で、入力操作領域IVには、X方向及びY方向が規定され、また、入力操作領域IVに対する鉛直方向がZ方向と規定されている。これは、三次元入力機能付きの入力装置100を構成するためである。入力操作領域IVは、表示面タッチシート部分80dを含むシート幅がW1[mm]程度であり、側面タッチシート部分80a,80b,80cを含むシート幅がW2[mm]程度である(W’=W1+W2)。
【0061】
抵抗調整膜2上の全面には、透明導電性の膜の一例となるITO膜3が設けられ、平面(蓄積)電極を構成すると共に下部からの光を透過するように使用される。抵抗調整膜2には、引き出し線Lx1,Lx2,Ly1,Ly2が接続される。引き出し線Lx1,Lx2、Ly1,Ly2は駆動回路5に接続され、交流波信号Sacに基づいて抵抗調整膜2のX方向及びY方向で検出される電圧(以下検出電圧という)V1,V2を出力するようになされる。駆動回路5には交流波発振装置6が接続され、交流波信号Sacを供給するようになされる。
【0062】
ITO膜3上の全面には、誘電性の膜の一例となるSiゴム膜4(膨脂膜)が設けられ、下部からの光を透過すると共に、操作者の指の押下力に対応してZ方向の厚み(距離d)が変化する。Siゴム膜4は、所望の弾性率、誘電率、光学透過率(光学特性)及び厚みを有している。Siゴム膜4の弾性率は、例えば、SiO2膜の弾性率と比べると低いものである。
【0063】
この例で、ITO膜3とSiゴム膜4と操作者の指とによって静電容量(C=ε・S/d)が構成される。εはSiゴム膜4の誘電率であり、Sは操作者の指が入力面に触れている部分の面積(接触面積)であり、dはSiゴム膜4を介した操作者の指とITO膜3との間の距離である。Siゴム膜4の厚みは、操作者の指の加圧によりITO膜3との距離が変化すればよい程度である。
【0064】
この例で、Siゴム膜4等の膨脂膜を使用するようにしたのは、当該入力装置100における操作者の指の接触位置において、ITO膜3とSiゴム膜4と操作者の指とによって構成される静電容量Cに依存した電圧検出情報(レベル)をそのZ方向への押下力に対応して変化させる。この変化の結果で得られる、操作者の指によるZ方向への押下力に基づく複数種類の電圧検出情報を検出するためである。
【0065】
上述した膨脂膜は、Siゴム膜4に限定されることはなく、透明であり、弾性率が高い樹脂であれば何でもよい。膨脂膜には、例えば、厚みが0.5mm程度のSiゴム膜4を使用する。膨脂膜には、指(例えば、SR6 Siゴム)で、当該膨脂膜を垂直に加圧した場合、50gf印加時に0.1mm程度、更に、250gf印加時に0.3mm程度の変形を起こし、透過率が80%以上であるような樹脂が好ましい。
【0066】
次に、膨脂膜として使用可能な超透明ゴムの特性について説明する。膨脂膜としては、例えば、熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物から成る超透明ゴムが使用できる。この熱硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物又は有機過酸化物硬化型オルガノポリシロキサン組成物とすることが望ましい。
【0067】
この場合、超透明ゴムの成分である付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物は、
(I)1分子中に平均2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン100重量部、
(II)1分子中に平均2個以上のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン0.1〜50重量部、及び、
(III)適度な触媒量の付加反応触媒からなるものである。
【0068】
有機過酸化物硬化型オルガノポリシロキサン組成物は、
(i)1分子中に平均2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン100重量部及び、
(ii)適度な触媒量の有機過酸化物からなるものである。
【0069】
ここで、超透明ゴムの成分(I)の付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物の1分子中に平均2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンとしては、次の平均組成式(1)で示されるものを用いる。
【0070】
【化1】
(1)式中、R1は互いに同一又は異種の炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換一価炭素水素基であり、aは1.5〜2.8、好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.95〜2.05の範囲の正数である。
【0071】
超透明ゴムに関して上述の平均組成式(1)のR1で示されるケイ素原子に結合した非置換又は置換の一価炭素水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基トリフロロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。
【0072】
この場合、基R1の少なくとも2個はアルケニル基(特に炭素2〜8のものが好ましく、更に好ましくは2〜6である)である。なお、アルケニル基の含有量は、ケイ素原子に結合する全有機基中(即ち、前記平均組成式(1)におけるR1としての非置換又は置換の一価炭素水素基中)0.001〜20モル%、特に0.01〜10モル%とすることが好ましい。
【0073】
このアルケニル基は、分子鎖末端のケイ素原子に結合していても、両者に結合していてもよいが、組成物の硬化速度、硬化物の物性等の点から、本発明で用いるオルガノポリシロキサンは、少なくとも分子鎖末端のケイ素原子に結合したアルケニル基を含んだものであることが好ましい。
【0074】
上述のオルガノポリシロキサンの構造は、通常は、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された基本的には直鎖状構造を有するジオルガノポリシロキサンであるが、部分的には分岐状の構造、環状構造などであってもよい。このアルケニル基含有オルガノポリシロキサンの重合度(重量平均重合度)50〜20,000、好ましくは100〜2000程度のものが使用される。この平均重合度が50未満では、硬化物としてのゴム物性が不充分な場合がある。
【0075】
また、超透明ゴムの成分(II)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、次の平均組成式(2)で示され、1分子中に少なくとも2個(通常2〜200個)好ましくは、3個以上、より好ましくは3〜150個程度のケイ素原子結合水素原子(即ち、SiH基)を有することが必要である。
【0076】
【化2】
上述の平均組成式(2)の中で、R2は炭素数1〜10の置換又は非置換の一価炭素水素基であり、この基R2としては先に示した平均組成式(1)中のR1と同様の基を上げることができる。また、bは0.7〜2.1、cは0.001〜1.0で、かつb+cは0.8〜3.0を満足する正数であり、好ましくはbは1.0〜2.0、cは0.01〜1.0、b+cは1.5〜2.5である。
【0077】
上述の超透明ゴムの成分で、1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上含有されるSiH基は、分子鎖末端、分子鎖途中のいずれに位置してもよく、また、この両方に位置するものであってもよい。更にまた、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網状構造のいずれであってもよいが、1分子中のケイ素原子の数(又は重合度)は通常2〜300個、好ましくは4〜150個程度の室温(25℃)で液状のものが望ましい。
【0078】
上述の平均組成式(2)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして具体的には、例えば1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ギメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキシサン・メチルハイドロジェンシロキシサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキシサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンロキサン・ジフェニルシ共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキシサン・ジフェニルシロキサン共重合体、(CH3)2HSiO 1/2単位と(CH3)3SiO 1/2単位の他にSiO2 4/2単位とからなる共重合体、(CH3)2HSiO 1/2単位とSiO 4/2単位とからなる共重合体、(CH3)2HSiO 1/2単位の他にSiO 4/2単位と(C6H5)3SiO 4/2単位とからなる共重合体などが挙げられる
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、超透明ゴムの成分(I)のオルガノポリシロキサン100重量部に対して0.1〜50重量部、特に0.3〜20重量部とすることが好ましい。
【0079】
また、超透明ゴムの成分(II)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、その成分(I)中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モルに対して、その成分(II)中のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)の量が0.5〜5モル特に0.8〜2.5モル程度となる量で配合することもできる。
【0080】
なお、超透明ゴムの成分(III)の付加反応触媒としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と1価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属触媒が挙げられる。この付加反応触媒の配合量は触媒量とすることができ、通常、白金族金属として0.5〜1000ppm、特に1〜500ppm程度とすればよい。また、超透明ゴムの成分(I)の付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物の1分子中に平均2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンとしては、超透明ゴムの成分(I)と同様のものを使用することができる。
【0081】
また、超透明ゴムの成分(ii)の有機過酸化物としては、従来公知のものを使用することができ、例えばベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド2,4−ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチルービス(2.5−t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジーt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,6−ビス(t−ブチルパーオキシカルオキシ)ヘキサン等が挙げられる。
【0082】
有機過酸化物の配合量は、触媒量で示され、通常、超透明ゴムの成分(I)のオルガノポリシロキサン100重量部に対して0.01〜10重量部とすることができる。有機過酸化物硬化型オルガノポリシロキサン組成物は、超透明ゴムの成分(I)及び成分(ii)にて構成される。これにより、Siゴム膜4等の膨脂膜を構成することができる。
【0083】
図7A〜Cは、入力装置100のZ方向の検出原理を示す断面図である。図7Aに示す入力装置100は、基板1上に抵抗調整膜2、ITO膜3及びSiゴム膜4が順次積層され、押下スイッチとしての機構的な構成がなされている。Siゴム膜4の静止時の厚みはd1である。ここで、接地(GND)を基準にして、Siゴム膜4上に操作者の指30aを接近したとき、指30aとSiゴム膜4との間の空間に分布する静電容量は、C1で示される。ITO膜3上のSiゴム膜4を誘電体とする静電容量は、C2で示される。なお、Siゴム膜4上に接近する操作者の指30aは、等価的に抵抗R3及び静電容量C3の直列回路で示すことがきる。これを状態“A”という。
【0084】
更に、操作者の指30aをSiゴム膜4上に接近させ、そのSiゴム膜4上に軽く接触したとき、指30aとSiゴム膜4との間の静電容量C1は分布し無くなる。この入力位置に、ITO膜3とSiゴム膜4と操作者の指30aとによって静電容量C2(=ε・S1/d1)が分布される。εはSiゴム膜4の誘電率であり、S1は操作者の指30aが入力面に軽く触れている部分の面積(接触面積)であり、d1はSiゴム膜4を介した操作者の指30aとITO膜3との間の距離である。例えば、Siゴム膜4上に人指し指30aで50gf(なぞり)程度の力を加えた状態である。これを状態“B”という。
【0085】
更に、またその入力位置で、操作者はSiゴム膜4上に人指し指30aで250gf(押し込み)程度の力を加える。これを状態“C”という。このとき、ITO膜3とSiゴム膜4と操作者の指30aとによって静電容量C2’(=ε・S2/d2)が分布される。εはSiゴム膜4の誘電率であり、S2は操作者の指30aが入力面に強く押された部分の面積(接触面積;S1<S2)であり、d1はSiゴム膜4を介した操作者の指30aとITO膜3との間の距離(d1>d2)である。
【0086】
この状態“B”の静電容量C2と状態“C”の静電容量C2’との関係は、C2’>C2である。つまり、操作者の指30aが入力面に軽く触れている場合の静電容量C2に比べて、指30aを入力面に強く押した場合の静電容量C2’の方が大きくなる。この静電容量のC2→C2’の変化は、検出電圧V1、V2に現れる。この検出電圧V1、V2の変化を予め設定した閾値で判別すると、操作者の指30aのなぞり(50gf)又は押し込み(押下;250gf)をCPU等の制御系で判別できるようになる。制御系は、例えば、なぞり及び押し込みの違いをZ方向の閾値で区別するようになされる。
【0087】
図8A及びBは、入力装置100の駆動回路5及び抵抗調整膜2の構成例を示す回路図である。図8Aに示す駆動回路5によれば、X方向の検出系を注目した場合、2個のバイポーラトランジスタQ1,Q2と、4個の抵抗器R11、R13、R21、R23を有して構成される。Y方向の検出系も同様に構成されるので、その説明は割愛する。
【0088】
図8Aにおいて、抵抗器R13及びR23の各々の一端は、電源線VCCに接続される。抵抗器R13の他は、npn型のバイポーラトランジスタ(以下単にトランジスタという)Q1のコレクタに接続され、抵抗器R23の他も、npn型のバイポーラトランジスタ(以下単にトランジスタという)Q2のコレクタに接続される。各々のトランジスタQ1,Q2のベースは、交流波発振装置6に接続される。
【0089】
各々のトランジスタQ1,Q2のエミッタ間には、図8Bに示す抵抗調整膜2が接続される。図8Bにおいて、抵抗調整膜2のX方向での、“なぞり”及び“押し込み”に供されるスライド範囲は、X=0からX=MAXに至るまでである。X=0は、抵抗調整膜2の一端であり、X=MAXは、その抵抗調整膜2の他端である。
【0090】
例えば、トランジスタQ1のエミッタには、抵抗調整膜2の一方の端部の引き出し端子53及び抵抗器R11の一端が接続され、トランジスタQ2のエミッタには、抵抗調整膜2の他方の端部の引き出し端子54及び抵抗器R21の一端が接続される。抵抗器R11及びR21の各々の他端は、接地線GNDに接続される。
【0091】
トランジスタQ1のコレクタには出力端子51が接続され、検出電圧V1を出力するようになされる。トランジスタQ2のコレクタにも出力端子52が接続され、検出電圧V2を出力するようになされる。このように、駆動回路5を構成すると、状態“A”、“B”及び“C”、即ち、操作者の指30aのなぞり又は押し込みによる静電容量C2→C2’によって変化する複数の検出電圧V1,V2を得ることができる。
【0092】
図9A及びBは、駆動回路5における“なぞり”及び“押し込み”時の動作例を示す回路図である。
【0093】
図9Aに示す駆動回路5によれば、操作者の指30aによる“なぞり”状態(B状態)のときは、抵抗調整膜2がX方向で定点Ip(x=I)で分圧(分割)される。その定点Ipを基準した分割抵抗はR1、R2である。この定点Ipにおける抵抗分圧点には、図7Bに示した操作者の指30aの等価回路R3+C3に静電容量C2が直列に接続される。これにより、駆動回路5は、操作者の指30aの“なぞり”状態による静電容量C2に基づく検出電圧V1,V2を出力するようになる。
【0094】
また、その入力位置で、操作者はSiゴム膜4上を指30aで強く押し込む。このとき、図9Bに示す駆動回路5によれば、操作者の指30aによる“押し込み”状態(C状態)で、抵抗調整膜2がX方向で定点Ipで分圧されたままである。そして、この定点Ipにおける抵抗分圧点には、図7Bに示した操作者の指30aの等価回路R3+C3に静電容量C2’が直列に接続される。これにより、駆動回路5は、操作者の指30aの”押し込み”状態による静電容量C2’に基づく検出電圧V1’,V2’を出力するようになる。図中、静電容量C2’は距離d1によって容量が変化する可変コンデンサで示している。検出電圧V1,V2と検出電圧V1’,V2’との関係は、例えば、V1’>V1、V2’>V2である。
【0095】
図10は、駆動回路5によるXY位置情報の検出例を示す特性図である。図10において、縦軸は検出電圧VXであり、駆動回路5から得られる検出電圧V1,V2である。横軸は、入力位置であり、スライド範囲を示している。スライド範囲は、X=0〜X=MAXである。図中、右肩上がりの一点鎖線は、非接触(A)状態で入力位置をX=0(左側)からX=MAX(右側)に至る範囲を移動して検出した電圧である。右肩上がりの波線は、同様にして、なぞり(B)状態で入力位置をX=0からX=MAXに至る範囲をスライドして検出した電圧である。更に、右肩上がりの実線は、押し込み(C)状態で、入力位置をX=0からX=MAXに至る範囲をスライドして検出した電圧である。
【0096】
反対に、左肩上がりの一点鎖線は、非接触(A)状態で入力位置をX=MAX(右側)からX=0(左側)に至る範囲を移動して検出した電圧である。左肩上がりの波線は、同様にして、なぞり(B)状態で入力位置をX=MAXからX=0に至る範囲をスライドして検出した電圧である。更に、左肩上がりの実線は、押し込み(C)状態で、入力位置をX=MAX(左側)からX=0(右側)に至る範囲をスライドして検出した電圧である。なお、二点鎖線はZ方向の定点Ipを示す線である。
【0097】
この例では、Z方向の入力動作現象(なぞる及び押し込む)に関して、検出電圧V1(又はV2)の絶対値を読み取るようになされる。ここで、検出電圧V1及びV2に関して、定点Ipにおいて、指30aが入力面に近いが触れていないA状態(非接触状態)の検出電圧をV1A、V2Aとし、指30aが入力面に軽く触れているB状態の検出電圧をV1B、V2Bとし、指30aがB状態よりも強く押されているC状態の検出電圧をV1C、V2Cとする。C状態では、ダイナミックにSiゴム膜4がへこむ状態である。
【0098】
このような定点Ipにおいて、上述の検出電圧V1A,V2A,V1B,V2B,V1C,V2Cの間には、V1A:V2A=V1B:V2B=V1C:V2C、かつ、V1A<V1B<V1Cなる関係がある。即ち、任意の定点IpにおけるXY位置情報(二次元情報)は、V1X:V2X(X=A,B,C)により与えられる。
【0099】
図11は、定点IpにおけるZ方向の検出電圧V2Fの判別例を示す特性図である。
【0100】
この実施例では、Z方向の押下入力について、なぞりや、押し込み等の入力を区別できるようにした。例えば、指30aでSiゴム膜4上を50gfと250gfとで押下した場合に、その相違を検出できるようになった。この例では、入力位置によって閾値を変化させている。つまり、その都度、その入力位置に適した閾値を設定するようになされる。
【0101】
図11において、縦軸は検出電圧VX=V2であり、横軸は入力位置であり、左位置はX=0で右位置はX=XMAXである。従来方式では、状態A〜Cの現象が区分できなかったが、本発明方式では、その絶対値を判別できるようになったので、状態A〜Cの現象を区分できるようになった。つまり、従来方式のように抵抗調整膜2の分圧を見ながらXY位置情報を検出すると共に、本発明方式では、押下力250gfや50gf等の変化量に対する検出電圧VXの絶対値を検出するようにした。
【0102】
この例で、状態Cをこれ以上、電圧検出情報が上昇しないMAXの状態と定義する。例えば、Siゴム膜4上を1000gfで押す場合に検出電圧V2=MAXが検出される状態とする。状態CでSiゴム膜4上を押下しながらX方向を一端から他端まで(X=0〜MAX)なぞったときに、駆動回路5から出力される検出電圧V2の値をX方向の分解能数分だけ計測し、又は、それ以下の分解能刻みで検出電圧V2の値を計測する。これを関数f(x)とする。
【0103】
また、範囲0<a<1となる定数aを関数f(x)に設定して、g(x)=a・f(x)なる関数を作成する。g(x)=a・f(x)なる関数は、予め準備してROM等に格納するようになされる。この関数g(x)は、定点IpにおけるZ方向の検出電圧V2を判別する際に、閾値g(Ip)を得るために設定される閾値関数となる。例えば、関数g(x)は、力F対検出電圧V2特性が線形で、なおかつ、状態Cがf(x)=1000gfのとき、定数aを0.25とした場合に250gfとなる。
【0104】
ここで、ある入力位置(定点Ip)で、ある力Fで入力面を押下した場合において、上述の関数g(x)を使用して、その定点IpにおけるZ方向の検出電圧V2Fを判別する手順を示す。このときの検出電圧V2はV2=V2Fとする。この場合、まず、制御系は、駆動回路5から出力される検出電圧V2Fを読み込む。次に、制御系は、ROMに記述された閾値関数g(x)を参照して、定点Ipにおける閾値g(Ip)を読み出すようになされる。
【0105】
その後、定点Ipにおける検出電圧V2Fと閾値g(Ip)とを比較する。V2F>閾値g(Ip)の場合は、状態A(押し込み)フラグを立てて上位の制御系に「押し込み」を送信する。また、V2F<閾値g(Ip)の場合は、状態B(なぞり)フラグを立てて上位の制御系に「なぞり」を送信する(三次元情報)。
【0106】
表1には、X方向のスライド範囲(入力位置)X=0〜x=MAXに対する関数f(x)と関数g(x)との関係例を示している。
【0107】
【表1】
表1によれば、入力位置X=0で、関数f(x)と関数g(x)とは共に「0」である。X=1で、関数f(x)=αのとき、関数g(x)はaαである。同様にして、X=2で、関数f(x)=βのとき、関数g(x)はaβであり、X=3で、関数f(x)=γのとき、関数g(x)はaγである。
【0108】
これにより、筐体20の表示面操作領域Iで表示面タッチシート部分80dで、Z方向の押下入力について、なぞりや、押し込み等の入力を区別できるようになる。また、図5Aに示した筐体20の側面操作領域IIa,IIb,IIcで側面タッチシート部分80a,80b,80cで、Z方向の押下力によって押し込み入力を検出できるようになる。
【0109】
このように、第1の実施例としての入力装置100によれば、多面操作用の入力シート80が入力シート折曲げ構造を有しているので、表示面タッチシート部分80d又は側面タッチシート部分80a,80b,80cの一部の位置に当該多面操作用の入力シート80のフレキシブル配線60を集中させることができる。
【0110】
これにより、表示面タッチシート部分80dと側面タッチシート部分80a,80b,80cの別個独立した位置からフレキシブル配線60を引き出す場合に比べて、フレキシブル配線60やコネクタ等の取り付けスペースを低減できるので、入力装置100の小型化を図ることができる。しかも、入力装置100の組立時、配線接続工程の簡略化を図ることができる。また、部品点数の削減化により入力装置100のコストダウンが図れる。
【実施例2】
【0111】
図12は、第2の実施例としての入力装置100における操作スイッチ48の構成例を示すブロック図である。
【0112】
この実施例では、操作スイッチ48を構成する、図5Aに示した筐体20の側面操作領域IIaに位置する側面タッチシート部分80aで、Z方向の押下力によってオン・オフを検出し、かつ、オン検出時にLEDを点灯するようになされる。
【0113】
図12に示す操作スイッチ48は、側面タッチシート部分80aの操作軸方向に、スイッチオン又はオフ確認用の発光ダイオード(LED)57を備えている。側面タッチシート部分80aは、図1に示したフレキシブル配線60に相当する、図6に示した引き出し線Lx1,Lx2,Ly1,Ly2によって駆動回路5に接続される。駆動回路5にはCPU(中央演算装置)32が接続される。駆動回路5は、側面タッチシート部分80aで、Z方向の押下力によってオン・オフが検出されると、CPU32に検出電圧V1,V2を出力するようになされる。CPU32にはLEDドライバ56が接続され、LEDドライバ56には、LED57が接続される。
【0114】
図13は、操作スイッチ48の押下時の動作例を示すブロック図である。図13に示すCPU32では、操作スイッチ48が押下されると、例えば、図示しないROMに予め格納された基準電圧を参照し、駆動回路5から出力される検出電圧V1,V2と、操作スイッチ48毎に対応させた基準電圧とを比較して、現在、操作された判別対象の操作スイッチ48がオンされたことを認識する。
【0115】
CPU32は、この認識後、判別対象の操作スイッチ48下に配置されたLED57を点灯すべく、LED制御信号Sdを出力する。CPU32には、LEDドライバ56が接続され、LED制御信号Sdに基づいてハイレベル(「H」レベル)のLED点灯電圧VLをLED57に供給するようになされる。LED57は、LED点灯電圧VLに基づいて点灯する。これにより、CPU32は、操作スイッチ48のZ方向の押下力によってオン・オフを検出し、かつ、当該操作スイッチ48下のLED57を点灯することができる。
【0116】
この場合、LED57から出射された光が操作者の指30aで隠れないように、予め側面操作領域(光透過部分)IIaを指接触面積よりも広く確保できるように設計しておくとよい。このようにすると、操作者の指30aの回りからLED光がこぼれ出る神秘的な演出を得ることができる。
【0117】
このように、第2の実施例としての入力装置100によれば、従来方式のように側面タッチスイッチと別個独立した位置に発光ダイオードを備える場合に比べて、LED57の取り付けスペースを低減できるので、入力装置100の小型化を図ることができる。もちろん、静電容量方式のタッチパネルを利用することによって、抵抗膜式タッチパネルとメカニカルスイッチの2つを1つで代用し、フレキシブル配線60及びコネクタ等の部品点数を削減できるようになる。
【実施例3】
【0118】
図14は、第3の実施例としての三次元入力機能付きのデジタルカメラ200の構成例を示す断面図である。図15は、その4面操作用の入力シート80’の展開例を示す上面図である。
第3の実施例では、第1及び第2の実施例で説明した入力装置100をデジタルカメラに実装して三次元入力機能付きのデジタルカメラ200の構成し、その入力操作面において、操作者の指30a等のなぞり又は押し込みを検出して情報を入力できるようにすると共に、表示手段29に表示されたボタンアイコン等の入力を確定できるようになされる。更に、筐体側面や筐体上面等に操作スイッチ48a,48b等を備え、そのZ方向の押下力によってオン・オフを検出し、かつ、オン検出時にLED57a,57b等を点灯するようになされる。
【0119】
図14に示すデジタルカメラ200は電子機器の一例であり、被写体を撮像して映像情報を記録するようになされる。デジタルカメラ200はカメラ本体部201を備えている。カメラ本体部201は、筐体20と前面パネル21から構成される。デジタルカメラ200は、表示画面上の入力操作面を摺動接触操作及び押下操作される入力装置100を有している。
【0120】
この入力装置100には、第1及び第2の実施例で説明した三次元入力機能付きの入力装置が応用される。入力装置100は、筐体20及び4面操作用の入力シート80’を有しており、表示手段29と組み合わせて使用される。入力シート80’は、デジタルカメラ200の背面側を上部に向けたとき、表示手段29の上部に配置される。入力装置100は、操作者の指30aの入力位置を検出して位置検出信号を出力する機能及び操作者の指30aの押圧力を検出して力検出信号を出力する機能を有している。
【0121】
この例で、入力装置100は、接着シート50を介して筐体20に貼付された入力シート80’を有している。入力シート80’は、図6に示したように、X方向及びY方向を規定した入力操作領域で操作者の指30aの入力位置を検出する抵抗調整膜2と、この抵抗調整膜2上の全面に設けられて光を透過するITO膜3と、このITO膜3上の全面に設けられて光を透過すると共に、入力操作領域に対する鉛直方向をZ方向としたとき、操作者の指30aの押下力に対応してZ方向の厚みが変化するSiゴム膜4とを有する。
【0122】
また、筐体内部には、入力装置100の他にカメラ基板41が実装されている。カメラ基板41の一方の側には、制御用IC15’、レンズ26、バッテリー33’、メモリ35’、LED57a,57bが実装され、その反対側には、圧電アクチュエータ25a,25b及び表示手段29が実装されている。
【0123】
制御用IC15’は、入力装置100から得られる入力情報に基づいて画像処理やメモリ制御等を実行するものである。制御用IC15’にはCPU(中央処理装置)、ROM、アクチュエータ駆動回路、A/Dドライバ等が含まれる。レンズ26は、図示しないCCD撮像装置上で被写体を結像するように使用される。バッテリー33’は、制御用IC15’や図示しないレンズ駆動装置等に電源を供給するようになされる。メモリ35’は、撮像された映像情報を記録するようになされる。
【0124】
LED57aは、操作スイッチ48aの操作軸方向に配置され、その側面操作領域が押圧(押下)され、そのオン動作が検出されたときに点灯するように制御される。LED57bは操作スイッチ48bの操作軸方向に配置され、その側面操作領域が押圧(押下)され、そのオン動作が検出されたときに点灯するように制御される。
【0125】
操作スイッチ48a及び48bは、図12及び図13で説明したように、入力装置100の側面タッチシート部分から構成され、スイッチオン又はオフを確認するようになされる。このように操作スイッチ48a,48bを構成すると、側面タッチシート部分と、別個独立した位置に発光ダイオードを備える場合に比べて、LED57a,57bの取り付けスペースを低減できるので、デジタルカメラ200の小型化を図ることができる。
【0126】
圧電アクチュエータ25a,25bは、操作スイッチ48aや48b等が押圧され、そのオン動作が検出されたときに筐体20を振動し、操作者の指等に、スイッチが押下されたことを触覚以て提示するようになされる。表示手段29は、筐体20の表示面操作領域Iに面して配置され、被写体の撮影映像を表示すると共に、ボタンアイコン等の映像を表示するようになされる。
【0127】
上述の入力シート80’には、第1の実施例で説明した入力シート80に対して左右方向に側面タッチシート部分を延在したものが使用される。図15は、入力シート80’の展開例を示す上面図である。
【0128】
図15に示す入力シート80’は、X軸及びY軸が共に等分目盛で示されるXY座標軸上に展開した例である。ここで、筐体20の背面を表示面操作領域Iとし、その天板面が側面操作領域IIa,IIb,IIcに相当する場合であって、この例では、デジタルカメラ200を前面方向から見たとき、新たに、その右側面に側面操作領域IId,IIe,IIfが設けられ、更に、その左側面に側面操作領域IIg,IIh,IIiが設けられる。なお、側面操作領域IId,IIe,IIfは、図14に示した操作スイッチ48aが設けられる側であり、側面操作領域IIg,IIh,IIiは、同様にして、操作スイッチ48bが設けられる側である。
【0129】
図15において、入力シート80’のA領域の表示面タッチシート部分80dは、筐体20の背面の表示面操作領域Iに対応する。便宜上、A領域が4つの表示面タッチシート部分に区分され、これを領域A1〜A4とする。A領域は、XY座標系で50≦X≦120及び、10≦Y≦60の範囲に存在する。このA領域内を検索すると、領域A1〜A4を判別できるようになる。領域A1〜A4には、表示手段29からのボタンアイコン等の映像が重ね合わされる。
【0130】
入力シート80’のB領域の側面タッチシート部分は、筐体20の天板面の側面操作領域IIa,IIb,IIcに対応する。同様にして、B領域が3つの側面タッチシート部分80a〜80cに区分され、これを領域B1〜B3とする。B領域は、XY座標系で30≦X≦140及び、70≦Y≦100の範囲に存在する。このB領域内を検索すると、領域B1〜B3を判別できるようになる。領域B1〜B3には、図12に示した操作スイッチ48のオン時に、LED57からのLED光が透過するように使用される。
【0131】
入力シート80’のC領域の側面タッチシート部分は、筐体20の右側面に側面操作領域IId,IIe,IIfに対応する。同様にして、C領域が3つの側面タッチシート部分に区分され、これを領域C1〜C3とする。C領域は、XY座標系で0≦X≦30及び、0≦Y≦70の範囲に存在する。このC領域内を検索すると、領域C1〜C3を判別できるようになる。領域C1〜C3には、図14に示した操作スイッチ48aのオン時に、LED57aからのLED光が透過するように使用される。
【0132】
入力シート80’のD領域の側面タッチシート部分は、筐体20の左側面に側面操作領域IIg、IIh、IIiに対応する。同様して、D領域が3つの側面タッチシート部分に区分され、これを領域D1〜D3とする。D領域は、XY座標系で140≦X≦170及び、0≦Y≦70の範囲に存在する。このD領域内を検索すると、領域D1〜D3を判別できるようになる。領域D1〜D3には、図14に示した操作スイッチ48bのオン時に、LED57bからのLED光が透過するように使用される。
【0133】
なお、図中、三角印IIIは折曲げ部分である。A領域、B領域及びC領域の角部(隅部)及び、A領域、B領域及びD領域の角部(隅部)は、折曲げ易くするために、切り欠け状に加工されている。A領域及びB領域、A領域及びC領域、A領域及びD領域とは、折曲げ部分で各々山折りされて、筐体20に接着シート50を介して貼付される。
【0134】
この例で、4面操作用の入力シート80’は、光透過性の樹脂シートに、A領域を成す表示面タッチシート部分と、B〜D領域を成す側面タッチシート部分とを形成した展開入力シートが選択的に折曲げられ、筐体20の表示面操作領域IにA領域を含む表示面タッチシート部分が貼付され、その側面操作領域IIa,IIb,IIcにB領域を含む側面タッチシート部分が貼付され、その側面操作領域IId,IIe,IIfにC領域を含む側面タッチシート部分が貼付され、その側面操作領域IIg,IIh,IIiにD領域を含む側面タッチシート部分が貼付された入力シート折曲げ構造を有する。なお、入力シート80’のフレキシブル配線60は、C領域の側面タッチシート部分から引出される。入力手段45には、フレキシブル配線60の他に図示しない格子電極配線等の固形配線パターン(基板)が設けられている。
【0135】
次に、デジタルカメラ200の内部構成例について説明をする。図16は、三次元入力機能付きデジタルカメラ200の内部構成例を示すブロック図である。
図16に示すデジタルカメラ200は、筐体内部のカメラ基板41に各機能のブロックを実装して構成される。なお、図14に示した各部及び手段と対応する部分は、同一符号で示している。デジタルカメラ200は、制御手段15、表示手段29、電源ユニット33、カメラ34、記憶手段35及び入力手段45を有している。
【0136】
4面操作用の入力手段45は操作者30の指30aを介して少なくとも位置検出信号S1(検出電圧V1)及び入力量(押圧力F)となる押下力検出信号S2(検出電圧V2)を制御手段15に出力するようになされる。制御手段15は制御系を構成し、A/Dドライバ31、CPU32、ROM37、アクチュエータ駆動回路38及び映像&音声処理部44を有している。
【0137】
A/Dドライバ31には、入力手段45からの位置検出信号S1及び押下力検出信号S2が供給される。A/Dドライバ31ではカーソリングとアイコン選択の機能を区別するために位置検出信号S1及び押下力検出信号S2よりなるアナログ信号をデジタルデータに変換する。この他にA/Dドライバ31は、このデジタルデータを演算処理して、カーソリング入力かアイコン選択情報かを検出し、カーソリング入力かアイコン選択かを区別するフラグデータD13あるいは位置検出情報(電圧検出データ)D11又は押下力検出情報(電圧検出データ)D12をCPU32に供給するようになされる。これらの演算はCPU32内で実行してもよい。
【0138】
A/Dドライバ31にはCPU32が接続される。CPU32はシステムプログラムに基づいて当該カメラ全体を制御するようになされる。CPU32には記憶手段35が接続され、当該カメラ全体を制御するためのシステムプログラムデータが格納される。図示しないRAMはワークメモリとして使用される。CPU32は電源オンと共に、記憶手段35からシステムプログラムデータを読み出してRAMに展開し、当該システムを立ち上げてデジタルカメラ全体を制御するようになされる。
【0139】
CPU32にはROM37が接続され、当該CPU32に設定するための閾値関数が記憶されている。閾値関数は、入力手段45の入力操作領域の一端から他端に至る入力位置に関して許容最大力で連続又は所定のステップで押下した際に検出される最大検出電圧V2=MAXを取得し、ここに取得された入力操作領域の一端から他端に至る入力位置に対応する最大検出電圧V2=MAXに定数a[0<a<1]を演算して作成されたものである。
【0140】
CPU32は、三次元入力機能付きの入力手段45から得られる位置検出情報D11及び押下力検出情報D12を入力して操作者の指30aの入力位置及び押下力を判別する。CPU32は、操作者の指30aの入力位置を検出した際に得られる押下力検出情報D12と、ROM37から読み出した当該入力位置の閾値関数とを比較し、比較結果に基づいて、操作者の指30aの「なぞり」又は「押下」を判別する。
【0141】
例えば、CPU32は、押下力検出情報D12に対して一つ以上の閾値データDthを設定し、押下力検出情報D12と閾値データDthとを比較し、押下力検出情報D12が閾値データDthを越える場合は、操作者の指30aのZ方向への「押下」を判別し、押下力検出情報D12が閾値データDth以下である場合は、操作者の指30aのX方向又はY方向への「なぞり」を判別する。このようにすると、単一のアルゴリズムを追加するのみにより、現在の入力位置における操作者の指30aの押下力に対するZ方向への「押下」又はX方向又はY方向への「なぞり」を判別できるようになる。
【0142】
上述したROM37に記憶する閾値関数は、入力手段45の入力操作領域の一端から他端に至る入力位置に関して許容最大力で連続又は所定のステップで押下した際に検出される最大検出電圧V2=MAXを取得し、ここに取得された入力操作領域の一端から他端に至る入力位置に対応する最大検出電圧V2=MAXに各々が異なった定数a,b,c[0<c<b<a<1]を演算して作成されたものであってもよい。
【0143】
この例でROM37には、入力位置に対応する上限閾値関数(以下単に関数g(x)という)及び下限閾値関数(以下単に関数h(x)という)に係る閾値データDthが記憶され、CPU32は、押下力検出情報D12に対して閾値データDth=関数g(x)及び関数h(x)を設定し、押下力検出情報D12が閾値データDth関数g(x)を越える場合は、操作者の指30aのZ方向への「押下」を判別し、押下力検出情報D12が閾値データDth=関数h(x)を越え、かつ、関数g(x)以下である場合は、操作者の指30aのX方向又はY方向への「なぞり」を判別する。このようにすると、単一のアルゴリズムを追加するのみにより、現在の入力位置における操作者の指30aの押下力に対するZ方向への「押下」又はX方向又はY方向への「なぞり」を判別できるようになる。
【0144】
このように、CPU32では、許容最大力で押下された際の押下力検出情報(検出電圧値)D12に関する閾値データ(被比較情報)Dthを記憶手段35に有し、入力がなされた際に、操作者の指30aの入力位置及び、押下力検出情報D12から、閾値データDthとの比較によって、現在の入力において、押下方向(Z方向)に対するレベルを検出するようになされる。もちろん、これに限られることはなく、図19に示すような単一のアルゴリズムの追加によって、現在の入力において、押下方向に対するレベルを検出するようにしてもよい。
【0145】
なお、CPU32は、A/Dドライバ31からの位置検出情報D11、押下力検出情報D12及びフラグデータD13(以下単に入力データともいう)を受けて所定の指令データ[D]を電源ユニット33や、カメラ34、記憶手段35、映像&音声処理部44等のデバイスに供給するように制御する。
【0146】
上述のCPU32にはカメラ34が接続され、被写体を撮影して、例えば、静止画情報や動作情報等を取得するようになされる。カメラ34は図示しないCCD撮像装置や、図14に示したレンズ26を有して構成される。上述のCPU32には記憶手段35が接続され、カメラ34によって取得された静止画情報や動作情報等を記録するようになされる。記憶手段35には、入力項目選択用の表示画面を、例えば、表示手段29で三次元的に表示するための表示情報D14が記憶される。記憶手段35には、EEPROMや、ROM、RAM、メモリスティック、ハードディスク等が使用される。図14に示したメモリ35’もその一つである。
【0147】
表示手段29は、ユーザに入力操作を促すボタンやアイコンなどの画像情報を表示する。画像情報はCPU32から供給される指令[D]に基づいて表示される。表示手段29には液晶表示装置(LCD)や平面表示素子が使用される。表示手段29からの映像は、入力装置100を通して見るようになる。
【0148】
CPU32には、映像&音声処理部44が接続され、ボタンアイコンを三次元的に表示するための表示情報D14を画像処理して、デジタルの表示情報D14をアナログの表示信号Svに変換する。表示信号Svは、表示手段29に供給するようになされる。この例で、CPU32は、表示画面中のボタンアイコンを奥行方向に遠近感を有して三次元的に表示するように表示手段29を表示制御する。
【0149】
映像&音声処理部44は、デジタルの映像データをデジタル/アナログ変換して映像信号Svを出力する他に、デジタルの音声データをデジタル/アナログ変換して音声信号Soutを出力する。映像&音声処理部44にはスピーカー36が接続される。スピーカー36は、例えば、デジタルカメラ200の使用方法等の案内を拡声するようになされる。
【0150】
CPU32には、アクチュエータ駆動回路38が接続され、CPU32からの指令Dに従って、振動制御信号Sa、Sbを発生する。振動制御信号Sa,Sbは、例えば、正弦波形からなる出力波形を有している。アクチュエータ駆動回路38には、例えば、2個のアクチュエータ25a,25bが接続され、アクチュエータ駆動回路38から振動制御信号Sa,Sbが供給される。アクチュエータ25a,25bは、振動制御信号Sa,Sbを入力し、CPU32によって演算された振動パターンに基づいて操作方向に振動が移動するように入力検出面を振動する。この振動は、操作者の指等に、スイッチが押下されたことを触覚以て提示するためである。
【0151】
このように構成された入力装置100を内蔵したデジタルカメラ200は、例えば、入力項目選択用の表示画面に表示された複数のボタンアイコンの1つを押下(接触)して当該表示画面上で三次元入力機能付きの4面操作用の入力手段45をZ方向に押下するようになされる。表示手段29の表示内容は操作者の目による視覚により、スピーカー36a,36b等からの放音は、操作者の耳による聴覚により各機能を判断するようになされる。電源ユニット33は、図14に示したバッテリー33’を有しており、表示手段29、CPU32、カメラ34、記憶手段35及び入力手段45にDC電源を供給するようになされる。
【0152】
図17は、4面操作用の入力手段45における複数の閾値関数の設定例を示す特性図である。
【0153】
この実施例では、CPU32に設定するための複数の閾値関数を記憶したROM37を備え、各々閾値関数は、入力手段45の入力操作領域の一端から他端に至る入力位置に関して許容最大力で連続又は所定のステップで押下した際に検出される最大検出電圧値を取得し、ここに取得された入力操作領域の一端から他端に至る入力位置に対応する最大検出電圧値に各々が異なった定数a,b,c[0<c<b<a<1]を演算して作成されたものである。
【0154】
図17において、縦軸は検出電圧VX=V2であり、横軸は入力位置であり、左位置はX=0で右位置はX=XMAXである。
【0155】
この例でも、状態Cをこれ以上、電圧検出情報V2が上昇しないMAXの状態と定義する。例えば、Siゴム膜4上を1000gfで押す場合に検出電圧V2=MAXが検出される状態とする。状態CでSiゴム膜4上を押下しながらX方向を一端から他端まで(X=0〜MAX)なぞったときに、駆動回路5から出力される検出電圧V2の値をX方向の分解能数分だけ計測し、又は、それ以下の分解能刻みで検出電圧V2の値を計測する。これを関数f(x)とする。
【0156】
この例では、定数a,b,c[0<c<b<a<1]を関数f(x)に設定して、g(x)=a・f(x)、h(x)=b・f(x)及びi(x)=c・f(x)なる3つの関数を作成する。g(x)=a・f(x)、h(x)=b・f(x)及びi(x)=c・f(x)なる関数は、予め準備してROM37等に格納するようになされる。
【0157】
この関数g(x)、h(x)及びi(x)は、閾値データDthによって設定される。関数g(x)は、定点IpにおけるZ方向の検出電圧V2を判別する際に、閾値g(Ip)を得るために設定される閾値関数となる。例えば、関数g(x)は、力F対検出電圧V2特性が線形で、なおかつ、状態Cがf(x)=1000gfのとき、定数aを0.8とした場合に800gfとなる。
【0158】
関数h(x)は、定点IpにおけるZ方向の検出電圧V2を判別する際に、閾値h(Ip)を得るために設定される閾値関数となる。例えば、関数h(x)は、上述と同様にして、f(x)=1000gfのとき、定数bを0.55とした場合に550gfとなる。関数i(x)は、定点IpにおけるZ方向の検出電圧V2を判別する際に、閾値i(Ip)を得るために設定される閾値関数となる。例えば、関数i(x)は、上述と同様にして、f(x)=1000gfのとき、定数cを0.3とした場合に300gfとなる。
【0159】
表2には、X方向のスライド範囲(入力位置)X=0〜x=MAXに対する関数f(x)と、関数g(x)、h(x)及びi(x)との関係例を示している。
【0160】
【表2】
表2によれば、入力位置X=0で、関数f(x)、関数g(x)、関数h(x)及び関数i(x)は共に「0」である。X=1で、関数f(x)=αのとき、関数g(x)はaαであり、関数h(x)はbαであり、関数i(x)はcαである。同様にして、X=2で、関数f(x)=βのとき、関数g(x)はaβであり、関数h(x)はbβであり、関数i(x)はcβである。X=3で、関数f(x)=γのとき、関数g(x)はaγであり、関数h(x)はbγであり、関数i(x)はγβである。
【0161】
これにより、筐体20の表示面操作領域Iで表示面タッチシート部分80dで、Z方向の押下入力について、なぞりや、押し込み等の入力を区別できるようになる。また、図5Aに示した筐体20の側面操作領域IIa,IIb,IIcで側面タッチシート部分80a,80b,80cで、Z方向の押下力によって押し込み入力を検出できるようになる。
【0162】
筐体20の表示面操作領域IにA領域を含む表示面タッチシート部分で、Z方向の押下入力について、なぞりや、押し込み等の入力を区別できるようになる。また、筐体20の側面操作領域IIa,IIb,IIcのB領域を含む側面タッチシート部分で押し込み入力を検出することができ、同様にして、その側面操作領域IId,IIe,IIfのC領域を含む側面タッチシート部分で押し込み入力を検出することができ、更に、その側面操作領域IIg,IIh,IIiのD領域を含む側面タッチシート部分で押し込み入力を検出することができる。
【0163】
続いて、デジタルカメラ200の情報処理例について説明をする。図18は、デジタルカメラ200における情報処理例を示すフローチャート(メインルーチン)である。図19は、そのアプリケーションの選択例及び、図20及び図21は、そのCPU32における領域判別例(その1、2)を各々示すフローチャート(サブルーチン)である。図22は、定点Ipにおける押下状態“イ”,“ロ”,“ハ”,“ニ”の判別例を示すフローチャート(サブルーチン)である。
【0164】
この実施例では、三次元入力機能付きのデジタルカメラ200の入力操作面において、操作者の指30a等のなぞり又は押し込みを判別して情報を入力できるようにすると共に、表示手段29に表示されたボタンアイコン等の入力を確定する場合を前提とする。更に、筐体側面や筐体上面等に操作スイッチ48a,48b等を備え、そのZ方向の押下力によってオン・オフを検出し、かつ、オン検出時にLED57a,57b等を点灯するようになされる。この例で、ボタンアイコン又は操作スイッチ48,48a又は48b等の入力操作に関して、例えば、4個のアプリケーションAP1〜AP4が準備されている。
【0165】
これらを情報処理条件にして、CPU32は、図18に示すフローチャートのステップG1で電源オンを待機する。例えば、CPU32は電源オン情報を検出してシステムを起動する。電源オン情報は通常、時計機能等が稼働し、スリーピング状態にあるデジタルカメラ等の電源スイッチをオンされたときに発生する。
【0166】
そして、ステップG2に移行してCPU32は、アイコン画面を表示するように表示手段29を制御する。例えば、CPU32は、表示手段29に表示データD14を供給して表示画面に入力情報を表示する。表示画面に表示された入力情報は、入力操作面を有した入力手段45を通じて目視可能になされる。そして、ステップG3に移行してCPU32は、ボタンアイコン入力モード又はその他の処理モードに基づいて制御を分岐する。ボタンアイコン入力モードとは、ボタンアイコン選択時に入力操作面上のアイコンボタンや、筐体側面の操作スイッチ48,48a,48b等を押下する入力操作をいう。
【0167】
ボタンアイコン入力モードが設定された場合、ステップG4に移行してCPU32は、入力(X,Y)を待機する。ボタンアイコン入力モードが設定されると、アイコン、操作スイッチ48,48a又は48b等が押し込まれるので、何らかの入力(X,Y)が図1に示した駆動回路5で検出される。そして、ステップG5に移行して、4個のアプリケーションAP1〜AP4のいずれかを選択し、そのアプリケーションを実行する。
【0168】
例えば、図19に示すサブルーチンをコールして、そのステップH1でアプリケーションAP1が選択されているかを検出する。アプリケーションAP1が選択されている場合は、ステップH2に移行してアプリケーションAP1を実行する。その後、ステップG5にリターンする。
【0169】
ステップH1でアプリケーションAP1以外が選択されている場合は、ステップH3に移行してアプリケーションAP2が選択されているかを検出する。アプリケーションAP2が選択されている場合は、ステップH4に移行してアプリケーションAP2を実行する。その後、ステップG5にリターンする。
【0170】
ステップH3でアプリケーションAP1及びAP2以外が選択されている場合は、ステップH5に移行してアプリケーションAP3が選択されているかを検出する。アプリケーションAP3が選択されている場合は、ステップH6に移行してアプリケーションAP3を実行する。
【0171】
ステップH5でアプリケーションAP1,AP2及びAP3以外のアプリケーションAP4が選択されている場合は、ステップH7に移行してアプリケーションAP4を実行する。その後、ステップG5にリターンし、その後、ステップG6に移行する。ステップG6でCPU32は、アイコン、操作スイッチ48,48a又は48b等が押し込まれた領域の検出処理を実行する。
【0172】
例えば、図20に示すサブルーチンをコールして、そのステップK1で、まず、CPU32は、アイコン、操作スイッチ48,48a又は48b等が押し込まれた領域がA領域かを検出する。図15に示した例によれば、A領域は、XY座標系で50≦X≦120及び、10≦Y≦60の範囲に存在する。このA領域内を検索する。A領域が押し込まれた場合は、更に、ステップK2に移行してA1領域が押し込まれたかを検出する。A1領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。A1領域が押し込まれていない場合は、ステップK3に移行して、A2領域が押し込まれたかを検出する。A2領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。
【0173】
A2領域が押し込まれていない場合は、ステップK4に移行して、A3領域が押し込まれたかを検出する。A3領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。A3領域が押し込まれていない場合は、ステップK5に移行してA4領域が押し込まれたかを検出する。A4領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。これにより、領域A1〜A4を判別できるようになる。なお、領域A1〜A4には、表示手段29からのボタンアイコン等の映像が重ね合わされる。A1〜A4領域のいずれも押し込まれていない場合は、メインルーチンのステップG4にリターンし入力(X,Y)を待機する。
【0174】
ステップK1でA領域が押し込まれていない場合は、ステップK6に移行してB領域が押し込まれたかを検出する。B領域は、XY座標系で30≦X≦140及び、70≦Y≦100の範囲に存在する。このB領域内を検索する(図15参照)。B領域が押し込まれた場合は、更に、ステップK7に移行してB1領域が押し込まれたかを検出する。B1領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。B1領域が押し込まれていない場合は、ステップK8に移行して、B2領域が押し込まれたかを検出する。B2領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。
【0175】
B2領域が押し込まれていない場合は、ステップK9に移行して、B3領域が押し込まれたかを検出する。B3領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。これにより、領域B1〜B3を判別できるようになる。なお、領域B1〜B3には、図12に示した操作スイッチ48のオン時に、LED57からのLED光が透過する。B1〜B3領域のいずれも押し込まれていない場合は、メインルーチンのステップG4にリターンし入力(X,Y)を待機する。
【0176】
ステップK6でB領域が押し込まれていない場合は、図21に示すステップK10に移行してC領域が押し込まれたかを検出する。C領域は、XY座標系で0≦X≦30及び、0≦Y≦70の範囲に存在する。このC領域内を検索する(図15参照)。C領域が押し込まれた場合は、更に、ステップK11に移行してC1領域が押し込まれたかを検出する。C1領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。
【0177】
C1領域が押し込まれていない場合は、ステップK12に移行して、C2領域が押し込まれたかを検出する。C2領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。C2領域が押し込まれていない場合は、ステップK13に移行して、C3領域が押し込まれたかを検出する。C3領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。これにより、領域C1〜C3を判別できるようになる。なお、領域C1〜C3には、図14に示した操作スイッチ48aのオン時に、LED57aからのLED光が透過する。C1〜C3領域のいずれも押し込まれていない場合は、メインルーチンのステップG4にリターンし入力(X,Y)を待機する。
【0178】
ステップK10でC領域が押し込まれていない場合は、ステップK14に移行してD領域が押し込まれたかを検出する。D領域は、XY座標系で140≦X≦170及び、0≦Y≦70の範囲に存在する。このD領域内を検索する(図15参照)。D領域が押し込まれた場合は、更に、ステップK15に移行してD1領域が押し込まれたかを検出する。D1領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。D1領域が押し込まれていない場合は、ステップK15に移行して、D2領域が押し込まれたかを検出する。D2領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。
【0179】
D2領域が押し込まれていない場合は、ステップK16に移行して、D3領域が押し込まれたかを検出する。D3領域が押し込まれた場合は、メインルーチンのステップG6にリターンする。これにより、領域D1〜D3を判別できるようになる。領域D1〜D3には、図14に示した操作スイッチ48bのオン時に、LED57bからのLED光が透過する。D1〜D3領域のいずれも押し込まれていない場合は、メインルーチンのステップG4にリターンし入力(X,Y)を待機する。
【0180】
上述のステップK2〜K5、K7〜K9、K11〜K13及びK14〜K16でA〜D領域のいずれかが押し込まれた場合は、ステップG6にリターンした後、ステップG7に移行して定点Ipにおける押下状態の判別処理を実行する。例えば、図17に示した4面操作用の入力手段45における複数の閾値関数の設定例において、ある位置(定点)x=Iで、ある力Fで入力面を押下した場合を想定する。
【0181】
この例では、関数f(x)と関数g(x)の間の押下状態(非接触)を(イ)とし、関数g(x)と関数h(x)の間の押下状態(なぞり#1)を(ロ)とし、関数h(x)と関数i(x)の間の押下状態(なぞり#2)を(ハ)とし、関数i(x)よりも弱い押下状態(押し込み)を(ニ)とする。このときの検出電圧V2はV2=V2Fとする。入力手段45におけるある入力位置(定点Ip)で、ある力Fで入力面を押下した場合において、ROM37に格納された閾値関数g(x)、h(x)及びi(x)を使用して、その定点IpにおけるZ方向の検出電圧V2Fを検出する場合を例に採る。
【0182】
これを検出条件にして、図17に示すフローチャートのステップST1でA/Dドライバ31は、駆動回路5から出力される検出電圧V2Fを読み込む。次に、ステップST2でCPU32は、ROM37に記述された閾値関数i(x)を参照して、定点Ipにおける閾値データDth=閾値i(Ip)を読み出すようになされる。
【0183】
その後、ステップST3でCPU32は、定点Ipにおける検出電圧V2Fと閾値i(Ip)とを比較して、検出電圧V2Fと閾値i(Ip)の大小を検出する。検出電圧V2F≦閾値i(Ip)の場合は、ステップST4に移行して、押下状態“ニ”(非接触)フラグを立てて上位の制御系に「非接触」を送信する。また、検出電圧V2F>閾値g(Ip)の場合は、ステップST5に移行して、定点Ipにおける閾値データDth=閾値h(Ip)を読み出すようになされる。
【0184】
その後、ステップST6でCPU32は、定点Ipにおける検出電圧V2Fと閾値h(Ip)とを比較して、検出電圧V2Fと閾値h(Ip)の大小を検出する。検出電圧V2F≦閾値h(Ip)の場合は、ステップST7に移行して、押下状態“ハ”(なぞり#1)フラグを立てて上位の制御系に「なぞり#1」を送信する。また、検出電圧V2F>閾値h(Ip)の場合は、ステップST8に移行して、定点Ipにおける閾値データDth=閾値g(Ip)を読み出すようになされる。
【0185】
その後、ステップST9でCPU32は、定点Ipにおける検出電圧V2Fと閾値g(Ip)とを比較して、検出電圧V2Fと閾値g(Ip)の大小を検出する。検出電圧V2F≦閾値g(Ip)の場合は、ステップST10に移行して、押下状態“ロ”(なぞり#2)フラグを立てて上位の制御系に「なぞり#2」を送信する。また、検出電圧V2F>閾値g(Ip)の場合は、ステップS11に移行して、押下状態“イ”(押し込み)フラグを立てて上位の制御系に「押し込み」を送信する(三次元情報)。その後、ステップST1に戻って上述した処理を繰り返すようになされる。
【0186】
その後、図18に示したメインルーチンのステップG7にリターンした後に、ステップG8に移行して定点Ipにおける入力を確定する。このとき、CPU32は、入力操作面で当該押下位置に表示された入力情報を確定する。そして、ステップG10に移行する。なお、ステップG3で他の処理モードが選択された場合は、ステップG9に移行して他の処理モードを実行する。
【0187】
他の処理モードには、画像再生モードや、情報転送モード等が含まれる。情報転送モードには、プリンタ装置に静止画情報を転送する操作が含まれる。ボタンアイコンには、画像再生モード選択時の再生、巻き戻し、早送り等の選択項目が含まれる。他の処理モードを実行した後は、ステップG10に移行する。ステップG10でCPU32は終了判断をする。例えば、電源オフ情報を検出して情報処理を終了する。電源オフ情報が検出されない場合は、ステップG2に戻って、メニュー等のアイコン画面を表示し、上述した処理を繰り返すようになされる。
【0188】
このように、第3の実施例としてのデジタルカメラ200によれば、本発明に係る三次元入力機能付きの入力装置100が応用され、透明な樹脂で形成される静電容量方式の4面操作用の入力手段45が表示手段29とは異なるデジタルカメラ200の筐体背面から側面に跨って、一体で形成される構造を有している。しかも、4面操作用の入力手段45の表示面タッチシート部分又は側面タッチシート部分一部の位置に当該入力手段の位置検出信号S1や力検出信号S2等を伝送するフレキシブル配線60を集中させることができる。
【0189】
従って、表示面タッチパネルと側面の操作スイッチとを別個独立した位置に配置し、その各々からフレキシブル配線を引き出す場合に比べて、フレキシブル配線60やコネクタ等の取り付けスペースを低減できるので、デジタルカメラ200の小型化を図ることができる。しかも、デジタルカメラ200の組立時、配線接続工程の簡略(簡素)化を図ることができる。また、部品点数の削減化(特にコネクタと、メカニカルスイッチ部にあったキートップの削減)によりデジタルカメラ200のコストダウンが図れる。
【0190】
本発明で実現する入力手段45の機能は、従来の静電容量方式のタッチパネルとメカニカルタクトスイッチを組み合わせにおいても実現可能である。従来方式では、メカニカルタクトスイッチの採用によって、デザイン面でメリットが出ない、及び、“なぞり”動作時の操作感がメカニカルスイッチをなぞることになるため、意図しない凹凸を感じさせてしまって、人間工学的に好ましくない状況にあった。本発明では、この状況を解決できるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0191】
この発明は、予め準備された入力項目選択用の表示画面の中からアイコンを選択して情報を入力する、デジタルカメラや、携帯電話機、携帯端末装置等に適用して極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】本発明に係る第1の実施例としての入力装置100の構成例を示す斜視図である。
【図2】(A)及び(B)は、多面操作用の入力シート80の展開例を示す上面図及びその正面図である。
【図3】(A)及び(B)は、筐体20の構成例を示す上面図及びその正面図である。
【図4】入力装置100の形成例(その1)を示す工程図である。
【図5】入力装置100の形成例(その2)を示す工程図である。
【図6】三次元入力機能付きの入力装置100の構成例を示す斜視図である。
【図7】(A)〜(C)は、入力装置100のZ方向の検出原理を示す断面図である。
【図8】(A)及び(B)は、入力装置100の駆動回路5及び抵抗調整膜2の構成例を示す回路図である。
【図9】(A)及び(B)は、駆動回路5における“なぞり”及び“押し込み”時の動作例を示す回路図である。
【図10】駆動回路5によるXY位置情報の検出例を示す特性図である。
【図11】定点IpにおけるZ方向の検出電圧V2Fの判別例を示す特性図である。
【図12】第2の実施例としての入力装置100における操作スイッチ48の構成例を示すブロック図である。
【図13】操作スイッチ48の押下時の動作例を示すブロック図である。
【図14】第3の実施例としての三次元入力機能付きのデジタルカメラ200の構成例を示す断面図である。
【図15】その4面操作用の入力シート80’の展開例を示す上面図である。
【図16】三次元入力機能付きデジタルカメラ200の内部構成例を示すブロック図である。
【図17】4面操作用の入力手段45における複数の閾値関数の設定例を示す特性図である。
【図18】デジタルカメラ200における情報処理例を示すフローチャート(メインルーチン)である。
【図19】そのアプリケーションの選択例を示すフローチャート(サブルーチン)である。
【図20】そのCPU32における領域判別例(その1)を示すフローチャート(サブルーチン)である。
【図21】そのCPU32における領域判別例(その2)を示すフローチャート(サブルーチン)である。
【図22】定点Ipにおける押下状態“イ”,“ロ”,“ハ”,“ニ”の判別例を示すフローチャート(サブルーチン)である。
【符号の説明】
【0193】
1・・・基板、2・・・抵抗調整膜、3・・・ITO膜(透明導電性の膜)、4・・・Siゴム膜(誘電性の膜)、5・・・駆動回路、6・・・交流波発振装置、9・・・SiO2膜、15・・・制御手段、20・・・筐体、21・・・前面パネル、29・・・表示手段、32・・・CPU(制御手段)、35・・・記憶手段、37・・・ROM、45・・・入力手段、48,48a,48b・・・操作スイッチ、60・・・フレキシブル配線(配線部材)、80,80’・・・入力シート、80a〜80c・・・側面タッチシート部分、80d・・・表示面タッチシート部分、100・・・入力装置、200・・・デジタルカメラ(電子機器)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面操作領域及び当該第1面操作領域以外の第2面操作領域を有した筐体と、
前記筐体の第1操作領域及び第2面操作領域に取り付けられた多面操作用の入力シートとを備え、
前記入力シートは、
光透過性のシート状の平坦部材に第1面操作用のシート状の入力タッチ部材と第2面操作用のシート状の入力タッチ部材とを形成した展開入力シートが選択的に折曲げられ、前記筐体の第1操作領域に第1面操作用の入力タッチ部材が取り付けられ、かつ、当該筐体の第2面操作領域に第2面操作用の入力タッチ部材が取り付けられた入力シート折曲げ構造を有することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記入力シートは、
前記第1面操作用の入力タッチ部材が前記筐体の操作面内側に接合され、前記第2面操作用の入力タッチ部材が当該筐体の壁面内側に沿って接合されて成ることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記第1面操作用の入力タッチ部材又は第2面操作用の入力タッチ部材から引出された当該多面操作用の入力シートの配線部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
前記第1面操作用の入力タッチ部材及び第2面操作用の入力タッチ部材には、静電容量入力シートが使用されることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項5】
前記第2面操作用の入力タッチ部材の操作軸方向に、スイッチオン又はオフ確認用の発光ダイオードを備えることを特徴とする請求項4に記載の入力装置。
【請求項6】
前記入力シートは、
X方向及びY方向を規定した入力操作領域で操作体の入力位置を検出する抵抗調整膜と、
前記抵抗調整膜上の全面に設けられて光を透過する透明導電性の膜と、
前記透明導電性の膜上の全面に設けられて光を透過すると共に、前記入力操作領域に対する鉛直方向をZ方向としたとき、前記操作体の押下力に対応して前記Z方向の厚みが変化する誘電性の膜とを有することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項7】
前記誘電性の膜上の全面に設けられて光を透過する絶縁性の膜を有することを特徴とする請求項6に記載の入力装置。
【請求項8】
前記誘電性の膜は、
所望の弾性率、誘電率、光学透過率及び厚みを有しており、
前記誘電性の膜の弾性率は、前記絶縁性の膜の弾性率よりも低いことを特徴とする請求項6に記載の入力装置。
【請求項9】
前記誘電性の膜には、シリコンゴムが使用されることを特徴とする請求項6に記載の入力装置。
【請求項10】
光透過性のシート状の平坦部材に第1面操作用のシート状の入力タッチ部材と第2面操作用のシート状の入力タッチ部材とを形成して多面操作用の展開入力シートを形成する工程と、
前記展開入力シートを取り付けるための第1面操作領域及び第2面操作領域を有した筐体を形成する工程と、
前記展開入力シートを選択的に折曲げて前記筐体の第1面操作領域に第1面操作用の入力タッチ部材を取り付け、かつ、当該筐体の第2面操作領域に第2面操作用の入力タッチ部材を取り付ける工程とを有することを特徴とする入力装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1面操作用の入力タッチ部材を前記筐体の操作面内側に接合し、前記第2面操作用の入力タッチ部材を当該筐体の壁面内側に沿って接合することを特徴とする請求項10に記載の入力装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1面操作用の入力タッチ部材又は第2面操作用の入力タッチ部材のいずれか一方から当該多面操作用の入力シートの配線部材を引き出すことを特徴とする請求項10に記載の入力装置の製造方法。
【請求項13】
前記第2面操作用の入力タッチ部材の操作軸方向に、スイッチオン又はオフ確認用の発光ダイオードを取り付けることを特徴とする請求項10に記載の入力装置の製造方法。
【請求項14】
表示手段と、
前記表示手段の上部に配置され、操作体の接触位置を検出して位置検出信号を出力する機能及び前記操作体の押圧力を検出して力検出信号を出力する機能を有した入力手段とを備えた電子機器において、
前記入力手段は、
第1操作領域及び第2面操作領域を有した筐体と、
前記筐体の第1操作領域及び第2面操作領域に取り付けられた多面操作用の入力シートとを有し、
前記多面操作用の入力シートは、
光透過性のシート状の平坦部材に第1面操作用のシート状の入力タッチ部材と第2面操作用のシート状の入力タッチ部材とを形成した展開入力シートが選択的に折曲げられ、前記筐体の第1操作領域に第1面操作用の入力タッチ部材が取り付けられ、かつ、当該筐体の第2面操作領域に第2面操作用の入力タッチ部材が取り付けられた入力シート折曲げ構造を有することを特徴とする電子機器。
【請求項15】
前記多面操作用の入力シートは、
前記第1面操作用の入力タッチ部材が前記筐体の操作面内側に接合され、前記第2面操作用の入力タッチ部材が当該筐体の壁面内側に沿って接合されて成ることを特徴とする請求項14に記載の電子機器。
【請求項16】
前記第1面操作用の入力タッチ部材又は第2面操作用の入力タッチ部材から引出された当該多面操作用の入力シートの配線部材を備えることを特徴とする請求項14に記載の電子機器。
【請求項17】
前記第2面操作用の入力タッチ部材の操作軸方向に、スイッチオン又はオフ確認用の発光ダイオードを備えることを特徴とする請求項16に記載の電子機器。
【請求項1】
第1面操作領域及び当該第1面操作領域以外の第2面操作領域を有した筐体と、
前記筐体の第1操作領域及び第2面操作領域に取り付けられた多面操作用の入力シートとを備え、
前記入力シートは、
光透過性のシート状の平坦部材に第1面操作用のシート状の入力タッチ部材と第2面操作用のシート状の入力タッチ部材とを形成した展開入力シートが選択的に折曲げられ、前記筐体の第1操作領域に第1面操作用の入力タッチ部材が取り付けられ、かつ、当該筐体の第2面操作領域に第2面操作用の入力タッチ部材が取り付けられた入力シート折曲げ構造を有することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記入力シートは、
前記第1面操作用の入力タッチ部材が前記筐体の操作面内側に接合され、前記第2面操作用の入力タッチ部材が当該筐体の壁面内側に沿って接合されて成ることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記第1面操作用の入力タッチ部材又は第2面操作用の入力タッチ部材から引出された当該多面操作用の入力シートの配線部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
前記第1面操作用の入力タッチ部材及び第2面操作用の入力タッチ部材には、静電容量入力シートが使用されることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項5】
前記第2面操作用の入力タッチ部材の操作軸方向に、スイッチオン又はオフ確認用の発光ダイオードを備えることを特徴とする請求項4に記載の入力装置。
【請求項6】
前記入力シートは、
X方向及びY方向を規定した入力操作領域で操作体の入力位置を検出する抵抗調整膜と、
前記抵抗調整膜上の全面に設けられて光を透過する透明導電性の膜と、
前記透明導電性の膜上の全面に設けられて光を透過すると共に、前記入力操作領域に対する鉛直方向をZ方向としたとき、前記操作体の押下力に対応して前記Z方向の厚みが変化する誘電性の膜とを有することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項7】
前記誘電性の膜上の全面に設けられて光を透過する絶縁性の膜を有することを特徴とする請求項6に記載の入力装置。
【請求項8】
前記誘電性の膜は、
所望の弾性率、誘電率、光学透過率及び厚みを有しており、
前記誘電性の膜の弾性率は、前記絶縁性の膜の弾性率よりも低いことを特徴とする請求項6に記載の入力装置。
【請求項9】
前記誘電性の膜には、シリコンゴムが使用されることを特徴とする請求項6に記載の入力装置。
【請求項10】
光透過性のシート状の平坦部材に第1面操作用のシート状の入力タッチ部材と第2面操作用のシート状の入力タッチ部材とを形成して多面操作用の展開入力シートを形成する工程と、
前記展開入力シートを取り付けるための第1面操作領域及び第2面操作領域を有した筐体を形成する工程と、
前記展開入力シートを選択的に折曲げて前記筐体の第1面操作領域に第1面操作用の入力タッチ部材を取り付け、かつ、当該筐体の第2面操作領域に第2面操作用の入力タッチ部材を取り付ける工程とを有することを特徴とする入力装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1面操作用の入力タッチ部材を前記筐体の操作面内側に接合し、前記第2面操作用の入力タッチ部材を当該筐体の壁面内側に沿って接合することを特徴とする請求項10に記載の入力装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1面操作用の入力タッチ部材又は第2面操作用の入力タッチ部材のいずれか一方から当該多面操作用の入力シートの配線部材を引き出すことを特徴とする請求項10に記載の入力装置の製造方法。
【請求項13】
前記第2面操作用の入力タッチ部材の操作軸方向に、スイッチオン又はオフ確認用の発光ダイオードを取り付けることを特徴とする請求項10に記載の入力装置の製造方法。
【請求項14】
表示手段と、
前記表示手段の上部に配置され、操作体の接触位置を検出して位置検出信号を出力する機能及び前記操作体の押圧力を検出して力検出信号を出力する機能を有した入力手段とを備えた電子機器において、
前記入力手段は、
第1操作領域及び第2面操作領域を有した筐体と、
前記筐体の第1操作領域及び第2面操作領域に取り付けられた多面操作用の入力シートとを有し、
前記多面操作用の入力シートは、
光透過性のシート状の平坦部材に第1面操作用のシート状の入力タッチ部材と第2面操作用のシート状の入力タッチ部材とを形成した展開入力シートが選択的に折曲げられ、前記筐体の第1操作領域に第1面操作用の入力タッチ部材が取り付けられ、かつ、当該筐体の第2面操作領域に第2面操作用の入力タッチ部材が取り付けられた入力シート折曲げ構造を有することを特徴とする電子機器。
【請求項15】
前記多面操作用の入力シートは、
前記第1面操作用の入力タッチ部材が前記筐体の操作面内側に接合され、前記第2面操作用の入力タッチ部材が当該筐体の壁面内側に沿って接合されて成ることを特徴とする請求項14に記載の電子機器。
【請求項16】
前記第1面操作用の入力タッチ部材又は第2面操作用の入力タッチ部材から引出された当該多面操作用の入力シートの配線部材を備えることを特徴とする請求項14に記載の電子機器。
【請求項17】
前記第2面操作用の入力タッチ部材の操作軸方向に、スイッチオン又はオフ確認用の発光ダイオードを備えることを特徴とする請求項16に記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2007−72902(P2007−72902A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−261144(P2005−261144)
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月8日(2005.9.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]