説明

入力装置およびこの入力装置を用いた表示入力装置

【課題】 抵抗膜が入力装置の基板の側方に形成されることを簡略な構造で防止でき、また、前記基板の反りを少なくすることができる入力装置およびその入力装置を用いた表示入力装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 下部基板3の右側面3bおよび左側面3cを、傾斜角度θを有する傾斜面とし、両側面間の幅(X1−X2方向の長さ)が下部基板3の上面3aから下面3dに向かうにしたがって徐々に小さくなる形状とする。
このようにすると、抵抗膜が右側面3bおよび左側面3cには成膜されず、両側面を傾斜面とするといった簡略な構造で、液晶ディスプレイ等からのノイズ信号が入力装置1に取り込まれて、入力装置1の正確な動作が妨げられるということを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えばタッチパネルなどの入力装置およびこの入力装置を用いた表示入力装置に係り、特に、抵抗膜が入力装置の基板の側方に形成されることを簡略な構造で防止でき、また、前記基板の反りを少なくすることができる入力装置およびこの入力装置を用いた表示入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえばタッチパネルなどの入力装置として、下記特許文献1に記載のような入力装置が提案されている。
【0003】
下記特許文献1には、図示しない液晶ディスプレイなどの画面上に配置される、図6Aに示すようなタッチパネル101が開示されている。
【0004】
図6Aは従来の入力装置の断面図、図6Bは図6Aに示す入力装置の下部電極基板上への透明電極の形成のされ方を説明する図である。
【0005】
タッチパネル101は、下面にITO(酸化インジウムスズ)等からなる透明電極102を有し、略長方形に形成された透明フィルムからなる可撓性の上部電極シート103と、上面にITO等からなる透明電極104を有し、上部電極シート103とほぼ同形に形成された透明プラスチック基板からなる下部電極基板105とを有している。上部電極シート103と下部電極基板105は、それぞれの透明電極どうしが所定の間隔を保って対向するように、その長方形の外周部に所定幅で形成された回路レジスト106で対向配置されている。
【0006】
タッチパネル101は前記液晶ディスプレイなどの画面上に配置され、その画面に表示された指示情報を透視して視認した操作者が、透視画面の指示に従って上部電極シート103上からペン等で押圧操作等をして上部電極シート103を部分的に押し下げる。そして、部分的に押し下げられた箇所に相当する上部電極シート103の透明電極と下部電極基板105の透明電極が部分的に接触し、ペン等の操作位置が検出される。
【特許文献1】特開2002−222055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記特許文献1に記載の発明では、図6Bに示すように、下部電極基板105の側方部105a,105bは、下部電極基板105の上面105cおよび下面105dに対して垂直であり、上面105cの幅と下面105dの幅とが等しい形状となっている。このため、上面105c上にITO等からなる透明電極104を真空蒸着法やスパッタリング法により形成する場合には、ITO等が側方部105a,105bに付着する。その結果、前記液晶ディスプレイ等からのノイズ信号がタッチパネル101に取り込まれ、タッチパネル101の正確な動作が妨げられる。
【0008】
また、前記液晶ディスプレイ等からのノイズ信号をタッチパネル101が取り込まないようにするためには、側方部105a,105bに絶縁処理を施さなければならない。このため、タッチパネル101自体の構造が複雑になる。
【0009】
さらに、従来、透明電極104が形成された下部電極基板105は、下部電極基板105よりも十分に大きな面積を有し、予め透明電極104が全面に形成された基板を、所定の面積となるように個々に切断されて製造されていた。このため、前記切断後、透明電極104上に、前記ペン等の操作位置を検出するための銀等の電極を形成するときに、下部電極基板105が高温にさらされるため、図6Bに矢印で示すように、下部電極基板105に反りが生じてしまう。
【0010】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、抵抗膜が入力装置の基板の側方に形成されることを簡略な構造で防止でき、また、前記基板の反りを少なくすることができる入力装置およびその入力装置を用いた表示入力装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の入力装置は、下面に抵抗膜が形成された可撓性の上部シートと、上面に抵抗膜が形成された下部基板とを有し、
前記上部シートと前記下部基板とは所定の間隔を空けて配置され、前記上部シートの操作領域上を前記下部基板方向へ押圧したときに、その押圧点の平面座標が検出される入力装置において、
前記下部基板に形成された抵抗膜上には、1対の下部電極が、前記下部基板の一方の側面から前記側面と相対向する他方の側面方向に所定の間隔を空けて設けられており、少なくとも前記一方の側面と前記他方の側面は、両側面間の幅が前記下部基板の上面から下面に向かうにしたがって徐々に小さくなるように傾斜面で形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明では、下部基板に形成された抵抗膜上には、1対の下部電極が、下部基板の一方の側面から前記側面と相対向する他方の側面方向に所定の間隔を空けて設けられており、少なくとも前記一方の側面と前記他方の側面は、両側面間の幅が下部基板の上面から下面に向かうにしたがって徐々に小さくなるように傾斜面で形成されている。このため、抵抗膜は前記傾斜面には成膜されず、液晶ディスプレイ等の表示部材からのノイズ信号が入力装置に取り込まれ、入力装置の正確な動作が妨げられるということを防止することができる。また、前記効果は、側方部に絶縁処理を施すことなく、側方部を傾斜面とすることにより発揮される。このため、入力装置自体の構造が複雑とならず、簡略な構造で入力装置の正確な動作が妨げられることを防止できる。
【0013】
上記において、前記下部基板上に形成された抵抗膜は、前記下部基板の上面に、前記下部基板の前記一方の側面と前記下部基板の上面との側縁部から、前記下部基板の前記他方の側面と前記下部基板の上面との側縁部にかけて形成されている。
【0014】
抵抗膜をこのように形成すると、下部電極を下部基板の側縁部近傍に設けることができ、操作領域を広くすることができる。
【0015】
本発明では、前記下部基板は、射出成形によって形成される。
このため、容易に前記傾斜面を形成することができる。また、成形時の熱によって基板が反ってしまうということを防止することができる。さらに、下部基板は射出成形によって所望の大きさに個々に成形されるため、抵抗膜を確実に、下部基板に均一に成膜することができる。
【0016】
本発明では、前記下部基板が、ノルボン系透明樹脂で形成されていることが好ましい。
ノルボン系透明樹脂は、光の透過率が高く、かつ下部基板内部において複屈折が起きにくい。このため、表示部材に表示された画像等が鮮明に写し出され、上方から前記画像等を確実に見ることができる。また、ノルボン系透明樹脂は、耐熱性に優れており、射出成形時の高温にも耐えることができ、下部基板の成形時の反りを少なくすることができる。さらに、ノルボン系透明樹脂は、吸湿性に劣っている。このため、吸湿される空気中の水蒸気などが少なく、吸湿による下部基板の強度変化を防止することができる。
【0017】
また本発明では、前記一方の側面と前記他方の側面は、筐体側の側壁に支持される支持面である。このため、下部基板が、両側面によって筐体の側壁に支持される。
【0018】
本発明の表示入力装置は、上記入力装置はタッチパネルであり、筐体内に前記入力装置が表示パネル上に重ねられてなる表示入力装置において、
前記下部基板の前記一方の側面と前記他方の側面は、筐体の側壁に支持され、前記下部基板の両側面に設けられた前記傾斜面の傾斜角度は、前記筐体の両側壁に設けられた傾斜面の傾斜角度と等しいものである。
【0019】
このような表示入力装置では、下部基板の両側面に設けられた傾斜面と筐体の両側壁に設けられた傾斜面との接触が容易となり、下部基板の筐体への位置決め固定が容易となる。また、傾斜面どうしが確実に接触するため、外部から埃等が、筐体内部に入り込むことを確実に防止できる。その結果、埃等による入力装置および表示部材の劣化を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の入力装置では、抵抗膜が入力装置の基板の側方に形成されることを簡略な構造で防止でき、また、前記基板の反りを少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は本発明の入力装置の断面図、図2Aは本発明の上部シートの裏面図、図2Bは下部基板の平面図、図3は図2BのIII−III線での切断断面図、図4は本発明の入力装置を筐体に位置決め固定したときの断面図、図5は本発明の下部基板が金型から形成されるときの状態を説明する図である。なお、図1においては、本発明の入力装置の内部構造を明確にするために絶縁スペーサの厚さを実際の厚さよりも厚く図示している。図4においては、入力装置の筐体への位置決め固定状態を明確にするために、筐体に設けられた傾斜面の傾斜角度を実際よりもゆるやかに示している。また、上部シートおよび下部基板に設けられる抵抗膜や電極も省略している。
【0022】
図1に示すように、本発明の入力装置1は、上部シート2と下部基板3を有しており、図4に示すように、たとえば液晶ディスプレイ等の表示パネル4および導光部材5の上方に所定の間隔を空けて、筐体6に位置決め固定される。
【0023】
上部シート2は透明なポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂から形成されて可撓性を有しており、図1に示すように、上部シート2の下面2aの全面には抵抗膜4aが所定の厚さで形成されている。抵抗膜4aは、ITO(酸化インジウムスズ)を原料としてスパッタリング法や真空蒸着法などで成膜される。抵抗膜4a上には、図2Aに示すように、Y1−Y2方向に間隔を置いて平行に形成された銀等からなる1対の上部電極21,22が形成され、上部電極21と22の間に操作領域23が形成されている。
【0024】
下部基板3は透明なプラスチック基板であり、図2Bに示すように、下部基板3の上面3aの所定の領域に、抵抗膜4aと同様にITOから形成される抵抗膜4bが所定の厚さで形成されている。抵抗膜4b上には、X1−X2方向に間隔を置いて平行に形成された銀等からなる1対の下部電極31,32が形成され、下部電極31と32の間に操作領域33が形成されている。また、操作領域33上には、複数のドットスペーサ34が形成されている。ドットスペーサ34は、使用環境などの外的要因による上部シート2の撓みで、下部基板3に誤接触が起こらないようにする等のために設けられている。ここで、下部基板3のY2側の側面を前方側面、Y1の側面を後方側面、X1側の側面を右側面、X2側の側面を左側面とする。
【0025】
図1に示すように、上部シート2は、下面2aに形成された抵抗膜4aを下部基板3に形成された抵抗膜4bに対向させ、かつ、上部電極21,22を下部電極31,32が存在しない側部に位置させて配置し、絶縁スペーサ50によって、所定の間隔を空けて下部基板3と対向するように組み合わされる。
【0026】
筐体6は射出成形により形成され、図4に示すように、側壁部6a,6bを有し、内部は中空となっている。側壁部6a,6bの先端部内面は、射出成形における成形の際に金型から離形し易くするために、傾斜角度θaを有する傾斜面6a1,6b1となっている。側壁部6a,6bは、導光部材5からの光を筐体6の内部で効率よく反射させるために、白色のABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体)から形成されている。
【0027】
本発明の下部基板3は、図1に示すように、右側面3bおよび左側面3cが、垂直方向(Z方向)に対して所定の傾斜角度θを有する傾斜面となっており、両側面間の幅(X1−X2方向の長さ)が下部基板3の上面3aから下面3dに向かうにしたがって徐々に小さくなる形状となっている。
【0028】
ここで、ITOを原料とする抵抗膜4bは、下部基板3の上面3aにスパッタリング法や真空蒸着法などで成膜される。スパッタリング法や真空蒸着法などで抵抗膜を形成するスパッタ原子および蒸着原子は、抵抗膜が形成される基板に付着すると、前記基板上を移動する。すなわち、スパッタ原子および蒸着原子は前記基板上において進行性を有している。しかし、スパッタ原子および蒸着原子は、前記基板と連続するが、前記基板と同一の平面内にはない他の平面へ回り込むといった動きをほとんど起こさない。
【0029】
本発明では、下部基板3の右側面3bおよび左側面3cが傾斜面となっているため、抵抗膜4bを上面3aに成膜する際に、抵抗膜4bを形成するスパッタ原子等が、右側面3bおよび左側面3cに回り込み、抵抗膜が右側面3bおよび左側面3cにも成膜されてしまうことがない。その結果、右側面3bおよび左側面3cの一部に抵抗膜が成膜されることによって、前記液晶ディスプレイ等からのノイズ信号が入力装置1に取り込まれ、入力装置1の正確な動作が妨げられるということを防止することができる。また、前記効果は、右側面3bおよび左側面3cに絶縁処理を施すことなく、右側面3bおよび左側面3cを傾斜面とすることにより発揮される。このため、入力装置1自体の構造が複雑とならず、簡略な構造で入力装置1の正確な動作が妨げられることを防止できる。
【0030】
また、本発明での前記傾斜面は、下部基板3の側面のうち、少なくとも下部電極31と32が対向している方向の側面に設けられる必要がある。本発明では、操作領域33を広くするために、下部電極31,32が、下部基板3の右側縁部3a1および左側縁部3a2の近傍に設けられている。ここで、右側縁部3a1は上面3aと右側面3bとの側縁部であり、左側縁部3a2は上面3aと左側面3cとの側縁部である。
【0031】
このため、抵抗膜4bは、図2Bに斜線で示すように、右側縁部3a1および左側縁部3a2にいたるまで成膜されている。その結果、少なくとも下部電極31と32が対向している方向の側面、すなわち右側面3bおよび左側面3cを傾斜面としなければならない。
【0032】
本発明では、下部基板3は、射出成形によって所望の大きさに個々に成形される。このため、容易に、傾斜面である右側面3bおよび左側面3cを形成することができる。また、ある一定の面積を有する、抵抗膜が設けられた大型基板に電極を形成し、その後、前記大型基板を切断して所望の大きさの個々の下部基板3をつくるときのように、下部電極31,32を形成する際または下部電極31,32を印刷形成した後に乾燥する際に前記大型基板が高温にさらされた場合に、熱によって前記大型基板が反ってしまうということを防止することができる。また、下部基板3は射出成形によって所望の大きさに個々に成形されるため、抵抗膜4bを確実に、下部基板3の上面3aに均一に成膜することができる。さらに、下部基板3の右側面3bおよび左側面3cは、傾斜面となっているため、図5に示すように、下部基板3の成形時に下部基板3を金型7から離形しやすくなる。その結果、反りがより少ない下部基板3を得ることができる。
【0033】
また、前記射出成形においては、Y1側またはY2側に、下部基板3のY1側またはY2側の端部の幅に沿って、線状のゲートが設けられる。そして、この線状のゲートから下部基板3の原料となる樹脂が金型7のキャビティに注入される。このため、前記樹脂が面状に均一に注入され、下部基板3が均一に成形される。その結果、下部基板3内では複屈折が起こらず、上方から前記液晶ディスプレイに表示された画像等を確実に見ることができる。
【0034】
なお、本発明の下部基板3においては、前方側面3e,後方側面3fは、図3に示すように、一方のみが、右側面3bおよび左側面3cと同様な傾斜面であってもよく、あるいは、両側面ともに傾斜面ではなく、Z軸に平行な面であってもよい。ここで、本発明の射出成形では、Y1側またはY2側に、下部基板3のY1側またはY2側の端部の幅に沿って、線状のゲートが設けられる。このため、前方側面3e,後方側面3fのうち、少なくとも一方の側面は必ずZ軸に平行な面となり、両方の側面がともに傾斜面となることはない。
【0035】
本発明では、上記のように、下部基板3は傾斜面である右側面3bおよび左側面3cを有している。このため、右側面3bと筐体6の傾斜面6a1とが接触し易くなり、同様に、左側面3cと筐体6の傾斜面6b1においても接触が容易となり、下部基板3が筐体6の側壁部6a,6bに容易に、確実に支持される。
【0036】
本発明の下部基板3は、ノルボン系透明樹脂で形成されていることが好ましい。ノルボン系透明樹脂は、光の透過率が高く、かつ下部基板3内部において複屈折が起きにくい。このため、前記液晶ディスプレイに表示された画像等が鮮明に写し出され、上方から前記画像等を確実に見ることができる。また、ノルボン系透明樹脂は、耐熱性に優れており、射出成形時の高温にも耐えることができ、下部基板3の成形時の反りを少なくすることができる。さらに、ノルボン系透明樹脂は、吸湿性に劣っている。このため、吸湿される空気中の水蒸気などが少なく、吸湿による下部基板3の強度変化を防止することができる。
【0037】
次に、本発明の下部基板3の製造方法について説明する。
まず前記射出成形によって所望の大きさの下部基板3が成形され、線状のゲートが設けられている側が切断されて、図5に示すように金型7から離型される。そして、下部基板3の上面3aにマスク層を載置し、前記マスク層および図2Bに示す斜線部分に抵抗膜4bをスパッタリング法などで成膜する。その後、前記マスク層を除去する。あるいは、始めに、上面3aのうち、図2Bに示す斜線部分に抵抗膜4bをスパッタリング法などで成膜し、必要なところにのみマスク層を載置し、抵抗膜4bが不用な部分をエッチング等で除去する。
【0038】
このように、上面3aの、図2Bに示す斜線部分に抵抗膜4bが成膜された後に、抵抗膜4b上に下部電極31,32を印刷成形し、ドットスペーサ34を形成する。
【0039】
次に、本発明の入力装置1の動作について説明する。
たとえば図示しない入力ペン等で上部シート2の操作領域23内の任意の箇所を下方へ押圧すると、まず上部シート2が下方に変形して操作領域23と33との間において、上部シート2に形成された抵抗膜4aと下部基板3に形成された抵抗膜4bが接触する。
【0040】
すると、図示しない制御部により所定の時間間隔で、電圧が上部電極21,22間と下部電極31,32間とに交互に複数回印加される。上部電極21,22間に電圧が印加されると、抵抗膜4aと抵抗膜4bとの接触点と上部電極21,22間の抵抗比から、前記入力ペン等の、操作領域23内におけるY方向の座標位置が検出される。同様に、下部電極31,32間に電圧が印加されると、前記接触点と下部電極31,32間の抵抗比から、前記入力ペン等の、操作領域23内におけるX方向の座標位置が検出される。このようにして、前記入力ペン等の、操作領域23内におけるXY平面内での座標位置が検出される。
【0041】
本発明の入力装置1はタッチパネルとして、たとえば液晶ディスプレイ等の表示パネル4に、図4に示すように一体に搭載することができ、この場合には入力装置1と表示パネル4とが組み合わされた表示入力装置10として利用される。
【0042】
表示入力装置10は、本発明の入力装置1を備えているため、ノイズ信号の影響が少なく、入力装置1からの動作が正確に伝えられる。
【0043】
また、図4に示すように、下部基板3が筐体6の側壁部6a,6bに支持されて、入力装置1が筐体6に位置決め固定される。このとき、下部基板3の右側面3bと筐体6の傾斜面6a1とが接触し、右側面3bが側壁部6aに支持され、下部基板3の左側面3cと筐体6の傾斜面6b1とが接触し、左側面3cが側壁部6bに支持される。このため、外部から埃等が、筐体6の中空となっている内部に入り込むことを防止できる。その結果、埃等による入力装置1および表示部材4の劣化を防止することができる。
【0044】
上記においては、下部基板3の右側面3bおよび左側面3cの傾斜面の傾斜角度θと、筐体6の傾斜面6a1,6b1の傾斜角度θaとが同じ大きさであることが好ましい。同じ大きさとすると、右側面3bの傾斜面と傾斜面6a1との接触および左側面3cの傾斜面と傾斜面6b1との接触がより容易となり、下部基板3の筐体6への位置決め固定がより容易となる。また、右側面3bの傾斜面と傾斜面6a1とが確実に接触し、同様に、左側面3cの傾斜面と傾斜面6b1とが確実に接触するため、筐体6は下部基板3によって塞がれた状態となり、外部から埃等が、筐体6の中空となっている内部に入り込むことをより確実に防止できる。その結果、埃等による入力装置1および表示部材4の劣化をより確実に防止することができる。
【0045】
上記のような効果を得るためには、右側面3bおよび左側面3cの傾斜面の傾斜角度θは、2°以上10°以下であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の入力装置の断面図、
【図2】図2Aは本発明の上部シートの裏面図、図2Bは下部基板の平面図、
【図3】図2BのIII−III線での切断断面図、
【図4】本発明の入力装置を筐体に位置決め固定したときの断面図、
【図5】本発明の下部基板が金型から形成されるときの状態を説明する図、
【図6】図6Aは従来の入力装置の断面図、図6Bは図6Aに示す入力装置の下部電極基板上への透明電極の形成のされ方を説明する図、
【符号の説明】
【0047】
1 入力装置
2 上部シート
3 下部基板
3b 右側面
3c 左側面
4 表示部材
4a,4b 抵抗膜
5 導光部材
6 筐体
6a,6b 側壁部
6a1,6b1 傾斜面
21,22 上部電極
31,32 下部電極
23,33 操作領域
50 絶縁スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面に抵抗膜が形成された可撓性の上部シートと、上面に抵抗膜が形成された下部基板とを有し、
前記上部シートと前記下部基板とは所定の間隔を空けて配置され、前記上部シートの操作領域上を前記下部基板方向へ押圧したときに、その押圧点の平面座標が検出される入力装置において、
前記下部基板に形成された抵抗膜上には、1対の下部電極が、前記下部基板の一方の側面から前記側面と相対向する他方の側面方向に所定の間隔を空けて設けられており、少なくとも前記一方の側面と前記他方の側面は、両側面間の幅が前記下部基板の上面から下面に向かうにしたがって徐々に小さくなるように傾斜面で形成されていることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記下部基板上に形成された抵抗膜は、前記下部基板の上面に、前記下部基板の前記一方の側面と前記下部基板の上面との側縁部から、前記下部基板の前記他方の側面と前記下部基板の上面との側縁部にかけて形成されている請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記下部基板は、射出成形によって形成される請求項1または2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記下部基板が、ノルボン系透明樹脂で形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の入力装置。
【請求項5】
前記一方の側面と前記他方の側面は、筐体側の側壁に支持される支持面である請求項1ないし4のいずれかに記載の入力装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載された入力装置はタッチパネルであり、筐体内に前記入力装置が表示パネル上に重ねられてなる表示入力装置において、
前記下部基板の前記一方の側面と前記他方の側面は、筐体の側壁に支持され、前記下部基板の両側面に設けられた前記傾斜面の傾斜角度は、前記筐体の両側壁に設けられた傾斜面の傾斜角度と等しい表示入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−4214(P2006−4214A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−180461(P2004−180461)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】