説明

入力装置およびプログラム

【課題】音声認識による操作の容易さを保ちつつ、さらに容易にユーザの意図に沿った操作指示の入力が可能な入力装置等を提供する。
【解決手段】ユーザが発話した「しゅくしゃく」という音声を認識し、認識語彙「しゅくしゃく」に対応する機能としてスイッチ30aに対して縮尺を広域に変更する機能、スイッチ30bに対して縮尺を詳細に変更する機能を割り当てる。ここで、スイッチ30a、30b、30c、30dの4つの入力部に対し、機能(縮尺と詳細の2つ)の数が少ない場合に、スイッチ30cに対してもスイッチ30aと同じ縮尺を広域に変更する機能を割り当て、スイッチ30dに対してもスイッチ30bと同じ縮尺を詳細に変更する機能を割り当てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の操作を音声を用いて行う入力装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機器の操作などに音声認識を用いる例が増えてきている。このような機器では音声の認識結果に応じて実行する処理を変えるなどして、認識結果に応じた機能を実現しており、例えば複雑な機器の操作を所定の認識語彙に割り当てるなどしてユーザが容易に機器を操作できるようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、音声認識で機器を操作しようとすると、誤認識が発生しやすいといった問題がある。例えば、「〜オン」「〜オフ」といった機器の機能のオンオフを切り替える操作指示を音声で与える場合、「オン」という語彙と「オフ」という語彙とは末尾の音のみが相違するだけのため、誤認識する可能性が高い。
【0004】
また、各機能毎に操作指示をするための語彙を割り当てると、機能が複雑化するにつれ、操作に必要な語彙が増え、ユーザが実現したい機能に対応する語彙が何であったかを思い出すことができず、所望の機能を実現できないといった事態が発生する。
【0005】
かといって、音声認識によらず各機能を実現させるためのスイッチ等の入力装置からの入力に応じてユーザの希望する機能を実現させようとすると、各機能に対応する多数のスイッチを設置する必要が生じ、多くの設置スペースが必要となるとともに、ユーザがどのスイッチによってどの機能が実現されるのかが分かりにくくなるといった問題があった。
【0006】
そこで本発明は、音声認識による操作の容易さを保ちつつ、さらに容易にユーザの意図に沿った操作指示の入力が可能な入力装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した問題点を解決するためになされた請求項1に記載の入力装置によれば、音声の認識結果に基づいて、実行手段の状態(例えば、地図の縮尺を調整する状態、音量の設定を行う状態等)に応じた、入力手段と機能(地図の縮小、地図の拡大等)との関係が選択される。つまり、例えばユーザが「しゅくしゃく」と発話することにより「地図の縮小」「地図の拡大」という機能が各入力手段に割り当てられる。そして、現在の実行手段の状態が表示によって報知されると共に、各入力手段が操作されることによって実行される機能も表示によって報知される。
【0008】
このように音声認識と入力との組み合わせによって、実現させるべき機能を容易に決定することができる。よって、従来のように実現可能なすべての機能に対応する入力手段を設ける必要がなくなり、入力手段を設置するための多くの設置スペースが不要になる。またユーザが、どの入力手段によってどの機能が実現されるのかが分からないといった問題を軽減することができる。
【0009】
また入力手段に対して単に機能を割り当てるだけでは、どの機能が入力手段に割り当てられたのかをユーザは知ることができない。そこで例えば機器のマニュアル等に「機能A・機能B・機能Cを入力手段によって選択可能にするためには、語彙「X」を発話して下さい」と記載することで入力手段にどの機能が割り当てられるのかをユーザに知らせることができる。しかしながら、音声認識では、ユーザが語彙「X」を発話した場合でも、うまく認識できずに他の語彙「Y」として認識してしまう場合がある。このような場合には、入力手段には異なる機能が割り当てられてしまう。この場合、語彙「X」に対応する機能が入力手段に割り当てられていると思ったままユーザが入力手段から入力を行うと、意図と異なる機能が実現されてしまう。そこで請求項1のように、音声の認識結果に基づいて割り当てられた前記入力手段からの入力に対応して実現すべき機能を報知することで、ユーザは入力によって実現される機能を知ることができ、例えばユーザは、正しい機能が割り当てられたかを確認してから、指示を入力することができる。
【0010】
このように請求項1に記載の入力装置は、従来の入力装置に比べ、ユーザの意図に沿った操作指示の入力が可能となる。なお、所定の機能を実現可能な装置は、例えば電子回路やコンピュータシステムなどとすることができる。「割り当てた機能を、前記所定の機能を実現可能な装置に実現させる」とは、例えば電子回路であれば所定の信号で実現すべき機能を通知したり、コンピュータシステムであれば機能を実現するためのプログラムに基づく処理を実行させたりすることを含む。
【0011】
また、例えば4個のボタンに2個の機能を割り当てる場合のように、入力部の数より入力部に割り当てる機能の数が少ない場合には、機能を割り当てない入力部を設けてもよいが、請求項1に示すように、複数の入力部に同一の機能を割り当てるとよい。特に請求項2に示すように、機能の表示位置と対応付けて複数の入力部に同一の機能を割り当てるとよい。このようにすれば、ユーザは報知された位置関係に基づいて、容易に操作することができ、誤操作を防止することができる。
【0012】
つまり、ユーザはどの入力部にどの機能が割り当てられているのかを表示手段を見て容易に確認することができる。例えば、上下にボタンが2つ並んでいる場合には、その並んだボタンの位置関係に対応して、上側のボタンが機能A、下側のボタンが機能Bといった図を表示したり、その旨の音声を出力する。
【0013】
また、請求項3に示すように、上述した入力手段と機能との対応関係は、ユーザが登録可能に構成するとよい。このようにすれば、さらにユーザの意図に沿った入力を容易に行うことができる。
【0014】
さらに、請求項4に示すように、こうした複数の機能を割り当て可能な汎用的な入力手段とは別の、入力に伴い特定の機能が実現される入力手段を認識可能なように報知してもよい。例えば、「温度」と音声で入力された場合には、表示装置上に温度のスイッチを表示させてもよいし、エアコンの温度の上げ下げのボタンなどを点灯させてもよい。もちろんその双方を行ってもよい。
【0015】
また、請求項5に示すように入力手段が二段階の入力が可能なものであれば、ユーザによって入力手段に対する一段階目の入力がなされた際に、実行手段によって実行される当該入力手段に対応する機能に関する情報を表示し、ユーザによって入力手段に対する二段階目の入力がなされた際に、当該入力手段に対応する機能を実行手段に実行させるようにしてもよい。例えば、入力手段が、触った場合と押した場合とを検出可能なスイッチであれば、触ったことが検出された場合に当該入力手段に割り当てられた機能に関する表示を行うようにし、押したことが検出された場合に、機能に関する処理を実行する。
【0016】
なお、請求項6に示すように、請求項1乃至5のいずれかに記載の入力装置における各手段としての機能をコンピュータシステムにて実現する場合、例えば、コンピュータシステム側で起動するプログラムとして備えることができる。このようなプログラムの場合、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、ハードディスク、ROM、RAM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、必要に応じてコンピュータシステムにロードして起動することにより用いることができ、また、ネットワークを介してロードして起動することにより用いることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明が適用された実施例について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうることは言うまでもない。
【0018】
図1は実施例のナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、車両の現在位置を検出する位置検出器21と、ユーザーからの各種指示を入力するための操作スイッチ群22と、操作スイッチ群22と同様に各種指示を入力可能なリモートコントロール端末(以下、リモコンと称す。)23aと、リモコン23aからの信号を入力するリモコンセンサ23bと、外部情報入出力装置24と、地図データや各種の情報を記録した外部記憶媒体から地図データ等を入力する地図データ入力器25と、地図表示画面やTV画面等の各種表示を行うための表示装置26と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力装置27と、各種のデータを記憶するための外部メモリ28と、ステアリングホイールの近傍に取り付けられた複数のボタンから構成された汎用スイッチ群30と、音声認識のための音声を入力するマイクを備えた音声入力装置31と、上述した位置検出器21,操作スイッチ群22,リモコン23a,外部情報入出力装置24,地図データ入力器25,外部メモリ28、汎用スイッチ群30、音声入力装置31からの入力に応じて各種処理を実行し、位置検出器21,操作スイッチ群22,リモコンセンサ23b,外部情報入出力装置24,地図データ入力器25,表示装置26,音声出力装置27,外部メモリ28、汎用スイッチ群30、音声入力装置31を制御する制御回路29とを備えている。
【0019】
また、制御回路29は、車内LAN40へデータを送信する機能及び車内LAN40からデータを受信する機能を備える。そしてこの車内LAN40には、エアコン41、オーディオ42、ボデー制御装置(ボデーECU)43等の各種の車載機器が接続されており、これら車内LAN40に接続された機器は、車内LAN40に他の機器から送信されたコマンドを受信し、そのコマンドに従った制御を行う。また、制御回路29は、これらの機器の状態を車内LAN40を介して得ることができる。
【0020】
位置検出器21は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナを介して受信し、車両の位置,方位,速度等を検出するGPS受信機21aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ21bと、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出するための距離センサ21cと、地磁気から進行方位を検出するための地磁気センサ21dとを備えている。そして、これら各センサ等21a〜21dは、各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては、上述したうちの一部のセンサで構成してもよく、またステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0021】
操作スイッチ群22としては、表示装置26と一体に構成され、表示画面上に設置されるタッチパネル及び表示装置26の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等が用いられる。なおタッチパネルと表示装置26とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式,電磁誘導方式,静電容量方式,あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、そのいずれを用いてもよい。
【0022】
外部情報入出力装置24は、図示しないラジオアンテナを介してFM放送信号を受信したり、道路近傍に配置されたVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報システム)サービス用の固定局から、電波ビーコン信号及び光ビーコン信号を受信する。この受信した情報は制御回路29へ送られて処理される。また、図示しない携帯電話と接続され、情報センターから情報を取得したり、インターネットに接続しインターネット上のサーバから情報を取得する機能を備える。
【0023】
地図データ入力器25は、位置特定の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、地図データ、マークデータを含む各種データを入力するための装置である。これらのデータの記録媒体としては、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、ハードディスクなどの磁気記憶装置やメモリカード等の他の媒体を用いても良い。
【0024】
地図データ中の道路データ(道路情報に相当する)は、交差点等の複数のノード間をリンクにより接続して地図を構成したものであって、それぞれのリンクに対し、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端と終端とのx,y座標、リンクの道路幅、および道路種別(有料道路等の道路情報を示すもの)、道路を特定するための道路ID(例えば国道○号線のような道路を特定する情報)のデータからなるリンク情報を備える。また地図データ中には、地名情報、交通情報、施設情報がその座標(x,y座標)とともに記憶されている。
【0025】
表示装置26は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ,プラズマディスプレイ,CRTなどがあるが、そのいずれを用いてもよい。表示装置26の表示画面には、位置検出器21にて検出した車両の現在位置と地図データ入力器25より入力された地図データとから特定した現在地を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種施設のマーク等の付加データとを重ねて表示することができる。また、施設のガイド等も表示できる。そして、音声出力装置27は、地図データ入力器25より入力した施設のガイドや各種案内の音声や、外部情報入出力装置24を介して取得した情報の読み上げ音声を出力することができる。
【0026】
制御回路29は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいて、位置検出器21からの各検出信号に基づき座標及び進行方向の組として車両の現在位置を算出し、地図データ入力器25を介して読み込んだ現在位置付近の地図等を表示装置26に表示する地図表示処理や、地図データ入力器25に格納された地点データに基づき、操作スイッチ群22やリモコン23a等の操作に従って目的地となる施設を選択し、現在位置から目的地までの最適な経路を自動的に求める経路計算を行って経路案内を行う経路案内処理を行う。このように自動的に最適な経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。
【0027】
また制御回路29は音声入力装置31から入力された音声信号をA/D変換し、音声データを得て、この音声データの特徴量が予め設定された認識語彙に一致するか否かを判定し、一致する場合には、認識語彙に対応する処理を実行する。制御回路29は、こうした音声の認識結果に基づいて汎用スイッチ群30に機能を割り当て、割り当てた機能を表示装置26に表示する。そして、汎用スイッチ群30からの入力を待ち、入力が検出された場合にはその内容に基づいてその機能に関する処理を実行する。この入力処理の流れを図2のフローチャートを参照して説明する。
【0028】
図2のS110では、音声入力装置31から音声の入力を行う。S120では、入力した音声の認識を行い、認識結果が、例えば「縮尺」「画面設定」のように汎用スイッチ群30に機能を割り当てるべき語彙であるか否かを判断する。そして汎用スイッチ群30に機能を割り当てるべき語彙である場合には、S130で汎用スイッチ群30に割り当てる機能を、認識語彙に対応する機能に変更する。
【0029】
そして、S140では、S130で汎用スイッチ群30に対して割り当てた機能を、その汎用スイッチ群30の各スイッチの位置関係に対応付けて表示する。汎用スイッチ群30からの入力を検出した場合には(S150:YES)、入力の検出されたスイッチに割り当てた機能を実行する(S160)。このようにして、音声認識とスイッチ操作の組み合わせによって容易に操作することができる。
【0030】
例えば、ユーザが地図表示状態で「しゅくしゃく」と発話した場合に、S110でこの音声を入力し、S120で認識する。そしてS130で、認識語彙「しゅくしゃく」に対応する機能として縮尺を拡大する機能と縮尺を縮小する機能とを、それぞれ汎用スイッチ群30へ割り当てる。すなわち汎用スイッチ群30が図3(a)右側に示すように上下に設置された2つのスイッチ30a,30bからなる場合には、例えばスイッチ30aに対して縮尺を広域に変更する機能、スイッチ30bに対して縮尺を詳細に変更する機能を割り当てる。そしてS140では、S130で割り当てた機能について、その機能の全体内容を示す情報である「縮尺」を図3(a)の機能表示52に示すように地図60(地図の内容は図示していない)に重ねて表示装置26へ表示する。さらにS140では、S130で割り当てた機能とスイッチの位置関係に対応させて、図3(a)に示すように汎用スイッチ群30の形状を模したスイッチ群表示54を地図60に重ねて表示装置26に表示し、各スイッチ30a、30bの位置関係に対応させてスイッチ表示54a,54bを地図60に重ねて表示装置26に表示する。なお、図3(a)では各スイッチ30a、30bの機能を上下の矢印で模式的に表示しているが、例えばスイッチ表示54aには「広域」、スイッチ表示54bには「詳細」といった文字を表示してもよい。また、表示した内容は音声出力装置27から音声として出力してもよい。
【0031】
このようにして、ユーザは縮尺を変更するメニューを表示させるコマンドである「しゅくしゃく」を発話した後、表示された機能表示52や、スイッチの位置関係に対応づけて表示されたスイッチ表示54a,54bを見ることで、音声の認識が正しく行われたかを確認することができる。
【0032】
さらに、図3(a)の状態で、スイッチ30aが押下されたことを検出した場合には(図2のS150:YES)、地図60の縮尺を広域に変更する処理を実行する(S160)。また、スイッチ30bが押下されたことを検出した場合には(S150:YES)、地図60の縮尺を詳細に変更する処理を実行する(S160)。
【0033】
このようにして、音声の発話と汎用スイッチの押下によって地図の縮尺を容易に変更することができる。従来のナビゲーション装置では、地図の縮尺を変更する場合には、例えば「しょうさい、しょうさい、しょうさい」と所望の縮尺になるまでコマンドを連続して発話する必要があり、こうした操作量を音声で入力するのは非常に手間がかかっていた。また従来から例えば「いちまんぶんのいちすけーる」といったように、絶対値に設定するコマンドで指定することは可能であったが、このスケールがどの程度の縮尺なのか、また、このコマンドが何であったかを覚えておくことが困難であり、結局利用されないといった問題があった。
【0034】
上述したように、音声認識によって縮尺が設定可能な状態に容易に遷移させることができ、かつ、さらにそこから汎用スイッチ群30の操作で操作量を調整可能とすることで、従来と比べ、容易かつ安全に操作量の調整を行うことができる。
【0035】
なお、このような操作量としては種々のものがあり、例えば表示装置26の明るさ、音声出力装置27・オーディオ42等の音量、エアコン41の風量や温度、ボデーECU43に接続されたパワーウィンドウの開閉量などを制御できる。そして、図3(a)のスイッチ表示54aには「広域」、スイッチ表示54bには「詳細」といった文字を表示することとし、音声認識のコマンドもこの表示に合わせて「こういき」「しょうさい」を割り当てるとよい。このようにスイッチ表示54a,54bと音声認識のコマンドとを同一の内容とすれば、ユーザは詳細なコマンドを覚える必要がなく「しゅくしゃく」と発話するだけで、次に発話すべきコマンドを知ることができる。したがって、音声でコマンドを入力することも容易にできるようになる。
【0036】
また図2のS130で汎用スイッチ群30に割り当てる機能としては、操作量を変更する機能だけでなく種々の機能を割り当てることができる。また、汎用スイッチ群30は、任意の構成とすることができる。例えば汎用スイッチ群30を図3(b)右側に示すように、スイッチ30a〜30dで構成した場合であって、ユーザからの「がめんせってい」という語彙が認識された場合には、図3(b)左側に示すように、機能全体を示す「画面設定」という機能表示52を表示し、図3(b)のように各スイッチ30a〜30dの位置関係に対応付けてその機能を示すスイッチ表示54a〜54dを表示する。そして、スイッチ30aの押下を検出した場合には3D表示に地図60の表示を変更する処理を実行し、スイッチ30bの押下を検出した場合には2D表示に地図60の表示を変更する処理を実行し、スイッチ30cの押下を検出した場合にはノースアップ表示に地図60の表示をする処理を実行し、スイッチ30dの押下を検出した場合にはヘディングアップ表示に地図60の表示を変更する処理を実行する。
【0037】
また、図3(c)に示すように、汎用スイッチ群30が4個のスイッチ30a〜30dで構成される一方、割り当てるべき機能が前述した縮尺の場合のように、スイッチ表示54aの「広域」とスイッチ表示54bの「詳細」の2つだけの場合、例えばスイッチ30aに対して縮尺を広域に変更する機能、スイッチ30bに対して縮尺を詳細に変更する機能を割り当ててもよいし、スイッチ30a及びスイッチ30cに対して縮尺を広域に変更する機能、スイッチ30b及びスイッチ30dに対して縮尺を詳細に変更する機能を割り当ててもよい。このように複数の入力部に同一の機能をその位置関係に対応させて割り当てることで誤操作を防止することができる。
【0038】
また、例えば認識語彙「じたくへかえる」を認識した場合には、図4(a)に示すように、「自宅を目的地にします」という機能表示52を表示し、「決定」と「キャンセル」の機能を汎用スイッチ群30に割り当て、その割り当てに対応付けてスイッチ表示54a,54bを行う。従来は、「じたくへかえる」という語彙が認識された場合には、予め設定された自宅地点に対する経路案内をすぐに実行していたが、このように認識結果を表示装置に表示して、汎用スイッチ群30から「決定」「キャンセル」の指示を入力するようにすることで、指示の取り消しが容易にできる。
【0039】
また、例えば認識語彙「おーでぃお」を認識した場合には、図4(b)に示すように、「オーディオの電源」という機能表示52を表示し、「ON」と「OFF」の機能を汎用スイッチ群30に割り当て、その割り当てに対応付けてスイッチ表示54a,54bを行う。従来は、「オーディオオン」「オーディオオフ」という語彙を認識し、対応する処理を実行していたが、「オン」と「オフ」は語尾の特徴量が異なるだけであり、認識が難しいにもかかわらず、オンとオフは逆の意味を持ち、一旦処理を開始すると取り消しが困難になる。しかし、このように認識結果を表示装置26に表示して、汎用スイッチ群30から「オン」「オフ」の指示を入力するようにすることで、指示を確実かつ容易に入力できる。このように取り消しが困難な処理としては、他に例えば設定の変更などがある。
【0040】
また、例えば住所を音声で入力する場合、「あいちけんかりやししょうわちょう」というユーザの発話に対する認識結果を、「愛知県刈谷市昭栄町」と誤認識した場合、表示装置26の表示は図4(c)に示すようになる。このとき「次の候補」と「決定」の機能を汎用スイッチ群30に割り当て、その割り当てに対応付けてスイッチ表示54a,54bを行う。そして例えばスイッチ30aの押下を検出した場合、次の候補である「愛知県刈谷市昭和町」を表示する。従来は、このような誤認識が発生した場合、ユーザは、自己が発話した住所が表示されるまで「つぎのこうほ」と発話して候補を表示させる必要があったが、このようにすることで汎用スイッチ群30から容易に正しい住所を入力できる。
【0041】
また、例えば電話番号を音声認識で入力する場合、ユーザの発話に対する認識結果を、図4(d)に示すように「0561751234」と表示装置26へ表示し、「消去」と「確定」の機能を汎用スイッチ群30に割り当て、その割り当てに対応付けてスイッチ表示54a,54bを行う。例えばスイッチ30aの押下を検出した場合、一番右の数字を消去し、スイッチ30cの押下を検出した場合、入力内容を確定する。このような数字や文字の入力は、従来はユーザが発話した内容と認識結果が異なる場合「いちもじさくじょ」のような語彙を認識した場合に文字の消去を行っていた。また数字や文字の認識はそもそも認識精度を高めるのが難しく誤認識しやすい。そのため、認識された内容を訂正する必要が生じる可能性が高い。このように汎用スイッチ群30に機能を割り当てその内容を表示することで、容易に数字や文字の入力ができる。
【0042】
また、表示装置26に地図60が2画面で表示されている場合に、縮尺を変更しようとする場合、従来は「みぎがめんしょうさい」のようにどちらの画面に対する指示かを修飾語を付けて指定していた。しかし、例えば2画面表示の状態で「しゅくしゃく」という音声が認識された場合に、図5(a)に示すようにスイッチ30aに対して左画面の縮尺を広域に変更する機能、スイッチ30bに対して左画面の縮尺を詳細に変更する機能を割り当て、スイッチ30cに対して右画面の縮尺を広域に変更する機能、スイッチ30dに対して右画面の縮尺を詳細に変更する機能を割り当て、各々のスイッチに対応させてスイッチ表示54a〜54dを表示させる。このようにすれば、汎用スイッチ群30から容易に所望の画面の縮尺を変更できる。このように、機能が複雑になるにつれて音声認識の認識語彙が増え、認識率が低下したり、ユーザの操作が困難になるといった問題を軽減することができる。なお汎用スイッチ群30は例えば図5(b)のように縦横3×3個のスイッチによって構成し、図5(b)に示すように機能を割り当ててもよい。
【0043】
また、図2のフローチャートに示して説明した処理を、図6に示すように変更してもよい。すなわち図2のS150に代えて、S153、S155の処理を行う。すなわち、例えばS140で汎用スイッチ群30に割り当てた機能について、その機能の全体内容を示す情報である「縮尺」を図7(a)の機能表示52に示すように表示し、S130で割り当てた機能とスイッチの位置関係に対応させて、図7(a)に示すように各スイッチ30a、30bの位置関係に対応させてスイッチ群表示54とスイッチ表示54a,54bを表示した後、図6のS153で、汎用スイッチ群30からの操作入力を待つ。そして、入力があった場合には図3のフローと同様にその入力されたスイッチに割り当てた機能を実行する。一方、S153で操作入力が所定時間T秒以上(例えば5秒以上)入力がない場合には、S155へ移行して、図7(c)に示すように汎用スイッチ群30に割り当てた機能の表示である機能表示52とスイッチ群表示54とスイッチ表示54a,54bを消去する。このようにすることで所定時間T秒以上入力がない場合に元の地図60を画面全体に表示することができる。なお、例えば、機能表示52と、スイッチ群表示54・スイッチ表示54a,54bとの消去時間に差を設け、T1秒経過した際に図7(b)に示すようにスイッチ群表示54・スイッチ表示54a,54bを消去し、さらにその時点からT2秒経過した際に図7(c)に示すように機能表示52を消去するようにしてもよい。
【0044】
また、図8に示すように図6のフローにさらにS135の処理を加えてもよい。すなわち、S130で汎用スイッチ群に機能を割り当てた後、S120での認識結果に基づいて機能を実行してから、S140で汎用スイッチ群30に割り当てた機能を表示する。例えば、「こういき」という音声が認識された場合、地図60を一段階広域にする機能を実行してから、汎用スイッチ群30に割り当てた機能を表示する。このようにすることで、すぐにユーザの希望する機能を実行することができる。また、連続して地図の表示を広域にする機能を実行させることができ、また逆に地図の表示を詳細にする機能を実行させることが容易にできる。つまり音声認識による機能の実行を実質的に取り消すことが極めて簡単にできる。音声認識では、誤認識が発生する可能性があるが、このようにすれば実行した内容も容易に取り消すことができる。
【0045】
こうした音声認識による認識結果と機能内容とその機能内容に含まれる各入力部への機能の割り当ては、制御回路29や外部メモリ28に記憶されており、この記憶された対応関係に基づいて、図2のS130で汎用スイッチ群30に機能を割り当て、S140で対応する表示を行う。そして、こうした対応関係は、ユーザがリモコン23a等から予め登録可能に構成されている。したがって、例えば図3(b)の各スイッチへの機能の割り当てを任意にユーザが設定することができる。このようにすることでさらにユーザの意図に沿った入力が可能となる。
【0046】
また、汎用スイッチ群30の各々のスイッチにランプや液晶パネル等を取り付け、各スイッチからその機能の割り当てがあった旨をランプの点灯や点滅で報知したり、液晶パネルに機能の内容を文字や記号で表示して報知してもよい。こうすることでユーザは汎用スイッチ群30を直接見ることによって入力可能か否かや各スイッチに割り当てられた機能を知ることができる。
【0047】
さらに、こうした複数の機能を割り当て可能な汎用スイッチ群30とは別の、例えば、エアコン41の温度調節ボタンのように入力に伴い特定の機能(温度調節)が実現される入力装置を認識可能なように報知してもよい。例えば、「温度」と音声で入力された場合には、表示装置26上にエアコン31の温度調整のスイッチを模した図を表示させてもよいし、エアコン41の温度調節ボタンを点灯させてもよい。もちろんその双方を行ってもよい。
【0048】
また、汎用スイッチ群30が多段階の入力が可能なものであれば、その操作段階に応じて表示状態を変化させるようにしてもよい。例えば、汎用スイッチ群30が、触った場合と押した場合とを検出可能なスイッチであれば、触ったことが検出された場合に各スイッチに割り当てられた機能に関するを表示して、押したことが検出された場合に、機能に関する処理を実行するようにする。
【0049】
また、例えば操作量を調整する機能を汎用スイッチ群30へ割り当てた場合、図9に示すように現在の操作量を表示するようにしてもよい。このようにすれば現在の操作量の設定を参照しながら汎用スイッチ群30を用いて容易に操作量を調整することができる。例えば図9のように表示すれば温度の現在値を知ることができ、調整が容易にできる。
【0050】
また、スイッチを単にオンかオフかの判断ができるだけのスイッチとし、オンオフ情報を赤外線などで、制御回路29へ送ることにより、スイッチを小さくし、ステアリングなどへの搭載性を良くすることができる。なお本実施例では、入力装置としてナビゲーション装置1を例として説明したが、例えば、その他の車載機器、家電製品、その他種々の機器として実現することができる。
【0051】
また、本発明の入力装置をリモコンとして実現し、例えば送信コードを規格化すれば、本入力装置に実行機能を有しなくても他社等のさまざまな機器を操作することができる。例えば、ステアリングなどへこうした入力装置を取り付けて各種の車載機器を操作することもできるし、汎用のリモコンとして構成して種々の機器を操作することもできる。
【0052】
なお本実施例において、音声入力装置27及び制御回路29が認識手段に相当し、汎用スイッチ群30が入力手段に相当し、スイッチ30a〜30dが入力部に相当する。また、制御回路29が制御手段に相当し、表示装置26・音声出力装置27が報知手段に相当する。汎用スイッチ群30に設けたランプや液晶パネルが入力手段側報知手段に相当し、エアコン41の温度調節ボタンが特定の機能を実現するための入力手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施例の入力装置としてのナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】入力処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】汎用スイッチ群の構成と汎用スイッチ群に割り当てた機能の表示例を示す説明図である。
【図4】汎用スイッチ群の構成と汎用スイッチ群に割り当てた機能の表示例を示す説明図である。
【図5】汎用スイッチ群の構成と汎用スイッチ群に割り当てた機能の表示例を示す説明図である。
【図6】汎用スイッチ群に割り当てた機能の表示を所定時間後に消去する場合のフローチャートである。
【図7】汎用スイッチ群に割り当てた機能の表示を消去する場合の表示例を示す説明図である。
【図8】音声認識の結果に基づいて機能を実行した後に汎用スイッチ群に割り当てた機能の表示を行う場合のフローチャートである。
【図9】汎用スイッチ群に割り当てた機能とともに現在の操作量を表示した表示例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0054】
1…ナビゲーション装置
21…位置検出器
21a…GPS受信機
21b…ジャイロスコープ
21c…距離センサ
21d…地磁気センサ
22…操作スイッチ群
23a…リモコン
23b…リモコンセンサ
24…外部情報入出力装置
25…地図データ入力器
26…表示装置
27…音声出力装置
28…外部メモリ
29…制御回路
30…汎用スイッチ群
30a,30b,30c,30d…スイッチ
31…音声入力装置
41…エアコン
42…オーディオ
52…機能表示
54…スイッチ群表示
54a,54b,54c,54d…スイッチ表示
60…地図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能を実行できると共に、実行可能な機能の種類によって複数の状態が存在する実行手段と、
音声を認識する認識手段と、
ユーザからの操作を操作信号として入力する複数の入力手段と、
前記実行手段が実行する前記機能と前記各入力手段との関係を、前記状態毎に予め定義され記憶する関係の中から前記認識手段の認識結果に基づいて選択すると共に、何れかの前記入力手段が前記操作信号を入力すると、その入力手段に対応する前記機能を前記選択した関係に基づいて特定して前記実行手段に実行させる制御手段と、
現在の前記状態を示す情報を表示すると共に、前記入力手段毎に前記機能を示す情報を表示する表示手段とを備え、
前記制御手段は、前記入力手段の数よりも前記実行手段の実行可能な機能数の方が少ない場合に、複数の入力手段に同一の機能を割り当てること
を特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記機能の表示位置と対応つけて複数の入力手段に同一の機能を割り当てること
を特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記制御手段が用いる前記予め定義された関係は、ユーザによって登録可能に構成されていること
を特徴とする請求項1または2に記載の入力装置。
【請求項4】
さらに、
前記入力手段とは別であって、ユーザからの操作を操作信号として入力すると特定の機能のみを前記実行手段に実行させるように構成された特定入力手段と、
前記特定の機能と同一の機能が実行手段によって実行可能になった際、前記特定入力手段の存在をユーザが認識可能に報知する特定入力手段側報知手段と、
を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の入力装置。
【請求項5】
前記入力手段は、二段階の入力が可能なものであり、
前記報知手段は、ユーザによって前記入力手段に対する一段階目の入力がなされた際に、前記実行手段によって実行される当該入力手段に対応する前記機能に関する情報を表示し、
前記制御手段は、ユーザによって前記入力手段に対する二段階目の入力がなされた際に、当該入力手段に対応する前記機能を前記実行手段に実行させること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の入力装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の入力装置の前記制御手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−323400(P2006−323400A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−174090(P2006−174090)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【分割の表示】特願2001−322137(P2001−322137)の分割
【原出願日】平成13年10月19日(2001.10.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】