説明

入力装置及びこれを搭載した電子機器

【課題】信頼性の向上や部品点数の削減を達成できる入力装置及びこれを搭載した電子機器を提供する。
【解決手段】ユニット本体(26)と、ユニット本体に可動自在に支持される操作部材(54)を有したスイッチ装置(40)と、操作部材に固着された磁性部材(62)と、ユニット本体に固着されており、操作部材の待機状態と操作状態との切り替えに伴う磁性部材の移動を検知する磁気センサ(34)と、操作部材の待機状態における磁性部材と磁気センサとの相対位置からスイッチ装置の種類を判定する制御手段(70)とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ装置をユーザー所望の機能に設定可能な入力装置及びこれを搭載した電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の入力装置は、例えば車室内に複数設置され、エアーコンディショニング装置、オーディオ装置やナビゲーション装置など、各種の車載機器を操作することができる。また、当該入力装置は、そのスイッチ装置がユニット本体に取り付けられており、ユーザー所望の機能に容易に設定できる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
詳しくは、スイッチ装置はコネクタを介してユニット本体に導通され、また、このユニット本体は種別判定用の抵抗器を介して制御部に導通されており、この抵抗器はスイッチ装置の種別毎に異なる抵抗値を有している。よって、ユニット本体のソケットに他のコネクタのプラグを挿し込めば、ユーザー所望の機能を備えたスイッチ装置に容易に交換できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−111399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術では、スイッチ装置の識別や、このスイッチ装置による車載機器の操作が困難になり得るとの問題がある。
なぜならば、スイッチ装置とユニット本体との間には、コネクタによる電気的な接触が必要になり、経年変化等によってユニット本体とコネクタとの接触不良が生じるからである。
【0006】
また、スイッチ装置の識別と当該スイッチ装置による機器のオン/オフ操作とを別部品で行うと、部品点数が多くなる点にも留意しなければならない。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、信頼性の向上や部品点数の削減を達成できる入力装置及びこれを搭載した電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための第1の発明は、ユニット本体と、ユニット本体に可動自在に支持される操作部材を有したスイッチ装置と、操作部材に固着された磁性部材と、ユニット本体に固着されており、操作部材の待機状態と操作状態との切り替えに伴う磁性部材の移動を検知する磁気センサと、操作部材の待機状態における磁性部材と磁気センサとの相対位置からスイッチ装置の種類を判定する制御手段とを具備する。
【0008】
第1の発明によれば、磁性部材は操作部材に固着されているのに対し、磁気センサはユニット本体に固着されており、この磁気センサは、磁性部材に非接触の状態で、操作部材の操作に伴う磁性部材の移動を検出できる。よって、スイッチ装置とユニット本体との間には従来の如くのコネクタが不要になり、接触不良が生じ難い。
【0009】
さらに、制御手段は、操作部材の待機状態における磁性部材と磁気センサとの相対位置からスイッチ装置の種類を判定しているので、従来の如くの識別用の抵抗器も不要になり、操作ユニットを確実に識別可能になる。これらの結果、入力装置の信頼性が大幅に向上する。
しかも、磁気センサはスイッチ装置の識別機能の他、操作部材の操作状態の検知機能も兼ね備えていることから、従来に比して部品点数も少なくて済む。
【0010】
第2の発明は、第1の発明の構成において、スイッチ装置はユニット本体に複数並設されており、操作部材の待機状態における磁性部材と磁気センサとの相対位置をスイッチ装置毎に異ならしめることを特徴とする。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、スイッチ装置が複数並設されていても、操作部材の待機状態における磁性部材と磁気センサとの相対位置をスイッチ装置毎に変えているので、各スイッチ装置の種類が容易に判定可能になる。
【0011】
第3の発明は、第2の発明の構成において、スイッチ装置は、ユニット本体に対して着脱可能に形成されていることを特徴とする。
第3の発明によれば、第2の発明の作用に加えてさらに、磁性部材がスイッチ装置の操作部材に配置される一方、磁気センサがユニット本体に配置され、スイッチ装置がユニット本体から取り外し可能であることから、スイッチ装置の設置場所を自在に決定できる。
【0012】
第4の発明は、第1から第3の入力装置を搭載した電子機器であることを特徴とする。
第4の発明によれば、第1から第3の発明の作用に加えてさらに、上述した入力装置を搭載すれば、ユーザーオプションに容易に対応できるし、スイッチ装置の種別信号や制御信号も確実に得られるので、電子機器の信頼性向上に寄与する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、磁気センサが磁性部材に非接触の状態で所望の信号を得ることができるため、信頼性の向上及び部品点数の削減の双方が達成可能な入力装置及びこれを搭載した電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施例の入力装置を車室内に備えた図である。
【図2】図1の入力装置の部分外観斜視図である。
【図3】図2の入力装置の部分分解斜視図である。
【図4】図2のIV−IV線から見た図1の入力装置の断面図である。
【図5】図1の入力装置における磁気センサ出力の説明図である。
【図6】図1の入力装置に関する制御ブロック図である。
【図7】他の実施例における入力装置の断面図である。
【図8】図7の入力装置に関する制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
図1には車両1の車室が示されており、シート4、具体的には運転席および助手席が車幅方向に沿って並設されている。インストルメントパネル2はシート4から見て各座席の前方に配置され、フロントガラス6は同じくシート4から見てパネル2の前方に設けられており、各座席からは車両1の進行方向を見渡すことができる。
【0016】
この運転席において、計器類8はパネル2の正面に配置され、車両1の速度、走行距離やシフト位置等を表示することができる。ハンドル10は、パネル2の下方からシート4に向けて延びた軸12の先端に回転可能に取り付けられている。また、シフトレバー14は、この軸12の周壁から助手席に向けて延びており、上下方向に移動可能である。
【0017】
エアーコンディショニング装置(電子機器)80の吹き出し口16は、運転席から助手席に亘ってパネル2の正面に配置され、この装置80の起動に伴い、空気を車室内に向けて送出する。
モニター18は、運転席と助手席との間であって当該パネル2の正面に埋設されている。このモニター18は、ナビゲーション装置(電子機器)84の起動に伴い、地図や操作メニュー等を表示することができる。
【0018】
センターコンソール20は、モニター18の下方からシート4に向けて突出しており、オーディオ装置(電子機器)82のスロット22は、このモニター18の近傍に配置され、CDやMD等を挿入できる。
ここで、本実施例では、入力デバイス(入力装置)24がコンソール20のうち、スロット22よりもシート4側の適宜位置に設けられている。
【0019】
当該デバイス24は、エアーコンディショニング装置80、オーディオ装置82やナビゲーション装置84の構成部品であり、これら各装置80,82,84の起動に伴って種々の操作が可能になる。
より詳しくは、本実施例の入力デバイス24は、図2の部分外観斜視図の他、図3の部分分解斜視図や図4の断面図にも示される如く、車幅方向に沿って延びた枡形状のベースユニット(ユニット本体)26を備えており、当該ユニット26は、その頂部分を残してコンソール20に埋設される。
【0020】
このベースユニット26は四角形状のケース載置面28を有し(図3)、本実施例では車幅方向に沿って3個のケース載置面28が並設されている(図4)。また、各載置面28には、その中央部分に貫通孔29が穿設される。各載置面28の下方には、四角形状の底面30がそれぞれ設けられており、これら各ケース載置面28と各底面30との間には空間が形成されている。
【0021】
まず、最も助手席寄りのケース載置面28、換言すれば、図1,4で見て最も左側に位置したケース載置面28について説明すると、図3に示されるように、このケース載置面28の周囲には4つのケース係合面32が形成され、操作ユニット(スイッチ装置)40がベースユニット26から着脱可能に構成されている。
【0022】
具体的には、この操作ユニット40は直方体状のケース42を有し、その4つの側面44がケース係合面32にそれぞれ当接され、ケース42の下面48がケース載置面28に当接すると、ケース42はベースユニット26に把持される。
このケース42は、その中央部分に、操作ノブ(操作部材)54を上下方向に往復自在に支持する支持孔46を有している。
【0023】
一方、この操作ノブ54は操作部56及び支持部58を有しており、この操作部56は入力デバイス24の操作者に操作可能な形状で形成される。
次に、支持部58は中実の丸棒状に形成されている。この支持部58は、操作部56の下端に連なり、ベースユニット26に向けて延設されており、この支持部58を支持孔46に挿入すると、この支持部58の一部分や操作部56がケース42の上面から車室の天井に向けて突出する。
【0024】
そして、この支持部58の外周面に形成された図示しない突起部分と、支持穴46の内周面に形成された図示しない溝部分とを係合すれば、操作ノブ54はケース42に上記往復自在に支持され、支持部58の下端の中央部分がベースユニット26の底面30に載置されたラバードーム90を押圧することができる(図4)。これに対し、これら突起部分と溝部分との係合を解けば、操作ノブ54をケース42から取り外すことができる。
【0025】
また、このケース42についても、その側面44に形成された図示しない突起部分と、ベースユニット26のケース係合面32に形成された図示しない溝部分とを係合すれば、ケース42がベースユニット26に把持され、これら突起部分と溝部分との係合を解けば、操作ユニット40全体をベースユニット26から取り外すことができる。
【0026】
次に、当該操作ユニット40に隣接する操作ユニット40aや、最も運転席寄りの操作ユニット40bについても同様に構成されており、図1,4で見て中央に位置した操作ユニット40aのケース42aはベースユニット26に対して着脱可能であるし、その操作ノブ54aもケース42aに対して着脱可能である。そして、このノブ54aはラバードーム90aを押圧することができる。
【0027】
さらに、図1,4で見て最も右側に位置した操作ユニット40bのケース42bもまたベースユニット26から着脱することができ、その操作ノブ54bもケース42bから着脱できる。そして、このノブ54bはラバードーム90bを押圧可能に構成されている。
ところで、本実施例の入力デバイス24では、操作ノブ54,54a,54bに磁性部材(例えば磁石)62,62a,62bがそれぞれ配置されている。
【0028】
具体的には、図4で見て最も左側に位置した操作ノブ54では、磁石62がその支持部58の下端のうち、ラバードーム90との当接位置よりも左側に固着されている。そして、この磁石62による磁界の大きさや方向のうち、例えば磁界の方向が、ベースユニット26に固着された第1磁気センサ34で検出される。
【0029】
より詳しくは、当該最も左側に位置した底面30には配線基板35が載置され、この配線基板35は図示しない引き回し電極やランドを有している。そして、第1磁気センサ34は配線基板35の上面の予め決められた所定位置に固着されている。図4で見た磁気センサ34と磁石62との相対距離(オフセット量)に基づいて当該磁石62を有した操作ノブ54、ひいては操作ユニット40の種別を判別するためである。
【0030】
一方、この図4で見て中央に位置した操作ノブ54aの磁石62aは、支持部58の下端のうち、ラバードーム90aとの当接位置を避けた中央側に固着されており、この磁石62aによる磁界の方向は当該中央に位置する配線基板35に固着された第2磁気センサ34aで検出されている。
この配線基板35に対する磁気センサ34aの位置は、上記の最も左側に位置した配線基板35に対する第1磁気センサ34の位置と同じ位置である。これにより、この図4で見た第2磁気センサ34aと磁石62aとのオフセット量は、上述した磁気センサ34と磁石62とのオフセット量よりも大きくなる。
【0031】
さらに、図4で見て最も右側に位置した操作ノブ54bの磁石62bは、支持部58の下端のうち、ラバードーム90bとの当接位置よりも右側に固着され、この磁石62bによる磁界の方向は当該最も右側に位置する配線基板35に固着された第3磁気センサ34bで検出される。
当該最も右側に位置した配線基板35に対する第3磁気センサ34bの位置は、上述した各基板35に対する第1磁気センサ34や第2磁気センサ34aの位置とそれぞれ同じ位置である。よって、この図4で見た第3磁気センサ34bと磁石62bとのオフセット量は、上述した磁気センサ34と磁石62とのオフセット量よりも大きくなるし、磁気センサ34aと磁石62aとのオフセット量よりも大きくなる。
【0032】
そして、これら各磁気センサ34,34a,34bは、磁石62,62a,62bとの相対距離に応じた磁力線の向きをそれぞれ検知し、操作ノブ54,54a,54b、ひいては操作ユニット40,40a,40bの種類を特定している。
詳しくは、図5に示されるような磁力線の方向と電圧との関係を利用しており、磁気センサ34,34a,34bは、磁石62,62a,62bとのオフセット量が短くなるに連れて特性カーブが直線状になり、しかも、その傾斜が緩やかになる。
【0033】
例えば、図5にて二点鎖線で示された特性カーブは、本実施例では相対距離の最も短い磁気センサ34と磁石62との組み合わせが該当し、操作ノブ54がラバードーム90を未だ押圧していない待機状態(SWオフポジション)では、第1磁気センサ34は最も高い電圧値V1を出力する。磁石62からの磁力線が、他の磁石62a,62bに比して、最も直交状態に等しい方向で磁気センサ34に向かうと、大きなローレンツ力によって電流の経路が曲げられてその経路長が長くなり、当該センサ34の抵抗値が増加するからである。
【0034】
次に、同図にて一点鎖線で示された特性カーブは、第2磁気センサ34aと磁石62aとの組み合わせが該当する。そして、その操作ノブ54aによるSWオフポジションにおいて、磁気センサ34aは、上述の電圧値V1よりもやや低い電圧値V2を出力する。
なお、これら各特性カーブはストローク量が大きくなるに連れて減少し、中点で交差した後に反転するとの性質を有している。
【0035】
続いて、同図にて実線で示された特性カーブは、相対距離の最も長い第3磁気センサ34bと磁石62bとの組み合わせが該当し、その操作ノブ54bによるSWオフポジションにおいては、磁石62bからの磁力線が、他の磁石62,62aに比して最も直交状態から離れた方向にて磁気センサ34bに向かうため、磁気センサ34bは最も低い電圧値V3を出力する。
【0036】
このように、各磁気センサ34,34a,34bは、SWオフポジションにおける磁石62,62a,62bとのオフセット量の違いに基づく磁力線の向きをそれぞれ検知しており、当該磁力線の向きに応じてそれぞれ生じた電圧の大きさから操作ユニット40,40a,40bの種類を特定する。また、これら操作ユニット40,40a,40bのオン/オフ操作は磁気センサ34,34a,34bの電圧値の変化で検知される。
【0037】
なお、これら磁気センサ34,34a,34bには、例えばGMR(Giant Magneto−Resistive)素子、AMR(Anisotropic Magneto−Resistive)素子やTMR(Tunneling Magneto−Resistive)素子の如くの電気抵抗効果素子、若しくはホール素子等の公知の磁気センサを用いることができる。
【0038】
そして、これら磁気センサ34,34a,34bは、配線基板35の回路パターンを介して制御部(制御手段)70に電気的に接続されている。
詳しくは、図6に示されるように、この制御部70は、A/Dコンバータ71、種別判定部72、操作検出部73、記憶部76及び図示しないCPU等を有している。A/Dコンバータ71には、アナログ信号が各磁気センサ34,34a,34bから入力されており、コンバータ71は、デジタル信号に変換して種別判定部72や操作検出部73に出力している。
【0039】
この種別判定部72は、SWオフポジションの磁気センサ34,34a,34bの電圧値V1,V2,V3に基づき、操作ユニット40,40a,40bの種類を特定する。
より詳しくは、例えばイグニッションキーがオフ作動からオン作動に切り替わったシステム起動時において、第1磁気センサ34が最も高い電圧値V1を出力していた場合には、種別判定部72は、記憶部76に格納されたアイデンティティ(ID)と照合し、操作ノブ54を例えばエアーコンディショニング装置80用の操作ユニット40であると識別できる。なお、その種別信号はCPU等に出力される。
【0040】
続いて、操作者が待機状態の操作ノブ54を押し下げ、ラバードーム90を押圧してクリック感が生起された操作状態に切り替わり、CPUの演算結果から電圧値V1の変化が所定の閾値を超えて電圧値V1´になった場合には、操作検出部73がエアコンON信号をエアーコンディショニング装置80に出力する。これにより、当該装置80がオン作動する。
【0041】
また、上記システム起動時にて、第2磁気センサ34aが電圧値V2を出力していた場合には、種別判定部72は、IDの照合結果から操作ノブ54aを例えばオーディオ装置82用の操作ユニット40aであると識別できる。
その後、操作者が操作ノブ54aを押し下げてラバードーム90aを押圧し、電圧値V2の変化が所定の閾値を超えて電圧値V2´になった場合には、操作検出部73がオーディオON信号をオーディオ装置82に出力するので、当該装置82がオン作動する。
【0042】
或いは、上記システム起動時に、第3磁気センサ34bが電圧値V3を出力していた場合には、種別判定部72は、操作ノブ54bを例えばナビゲーション装置84用の操作ユニット40bであると識別できる。
次いで、操作者が操作ノブ54bを押し下げてラバードーム90bを押圧し、電圧値V3の変化が所定の閾値を超えて電圧値V3´になった場合には、操作検出部73がナビON信号をナビゲーション装置84に出力するので、当該装置84がオン作動する。
【0043】
一方、これらラバードーム90,90a,90bが再び押圧されてクリック感が生起されると、各電圧値V1,V2,V3に戻り、操作検出部73がエアコンOFF信号、オーディオOFF信号やナビOFF信号をエアーコンディショニング装置80、オーディオ装置82やナビゲーション装置84にそれぞれ出力するため、当該装置80,82,84がオフ作動することになる。
【0044】
ところで、上記実施例では、各磁気センサ34,34a,34bの電圧値が操作ユニット40,40a,40bの種類特定や、そのオン/オフ操作の検知に用いられているが、当該ユニット40,40a,40bのオン/オフ操作については、さらに他の構造を利用しても良い。
詳しくは、図7,8に示された実施例では、ラバードーム90,90a,90bに替えてスイッチ素子60,60a,60bがそれぞれ載置されており、各操作ノブ54,54a,54bの下端がスイッチ素子60,60a,60bをそれぞれ押圧することができる。
【0045】
なお、磁石62,62a,62bや磁気センサ34,34a,34bの位置は上記実施例と同じであり、各センサ34,34a,34bは、SWオフポジションにおける磁石62,62a,62bとのオフセット量の違いに基づく磁力線の向きをそれぞれ検知し、当該磁力線の向きに応じてそれぞれ生じた電圧の大きさから操作ユニット40,40a,40bの種類を特定する。また、これら操作ユニット40,40a,40bのオン/オフ操作は磁気センサ34,34a,34bの電圧値の変化でも検知可能であるが、スイッチ素子60,60a,60bの押圧によってより一層確実に検知される。
【0046】
つまり、例えばシステム起動時において、第1磁気センサ34が最も高い電圧値V1を出力していた場合には、種別判定部72は操作ノブ54を例えばエアーコンディショニング装置80用の操作ユニット40であると識別でき、続いて、操作者が待機状態の操作ノブ54を押し下げ、第1スイッチ素子60を押圧した操作状態に切り替わり、電圧値V1の変化が所定の閾値を超えた場合には、操作検出部73がエアコンON信号をエアーコンディショニング装置80に出力する。これにより、当該装置80がオン作動する。
【0047】
また、上記システム起動時にて、第2磁気センサ34aが電圧値V2を出力していた場合には、種別判定部72は操作ノブ54aを例えばオーディオ装置82用の操作ユニット40aであると識別でき、その後、操作者が操作ノブ54aを押し下げて第2スイッチ素子60aを押圧し、電圧値V2の変化が所定の閾値を超えた場合には、操作検出部73がオーディオON信号をオーディオ装置82に出力するので、当該装置82がオン作動する。
【0048】
或いは、上記システム起動時に、第3磁気センサ34bが電圧値V3を出力していた場合には、種別判定部72は、操作ノブ54bを例えばナビゲーション装置84用の操作ユニット40bであると識別できる。次いで、操作者が操作ノブ54bを押し下げて第3スイッチ素子60bを押圧し、電圧値V3の変化が所定の閾値を超えた場合には、操作検出部73がナビON信号をナビゲーション装置84に出力するので、当該装置84がオン作動する。
【0049】
一方、これらスイッチ素子60,60a,60bが再び押圧されると、各電圧値V1,V2,V3に戻り、操作検出部73がエアコンOFF信号、オーディオOFF信号やナビOFF信号をエアーコンディショニング装置80、オーディオ装置82やナビゲーション装置84にそれぞれ出力するため、当該装置80,82,84がオフ作動することになる。
【0050】
以上のように、本実施例によれば、磁石62,62a,62bは操作ノブ54,54a,54bに固着されているのに対し、磁気センサ34,34a,34bはベースユニット26に固着されており、この磁気センサ34,34a,34bは、磁石62,62a,62bに非接触の状態で、操作ノブ54,54a,54bのオン/オフ操作に伴う磁石62,62a,62bの移動を検出できる。よって、操作ユニット40,40a,40bとベースユニット26との間には従来の如くのコネクタが不要になり、接触不良が生じ難い。
【0051】
さらに、種別判定部72は、操作ノブ54,54a,54bの待機状態における磁気センサ34,34a,34bの電圧値V1,V2,V3を読み取っており、磁気センサ34,34a,34bの固定位置に対する磁石62,62a,62bの移動前の位置から操作ユニット40,40a,40bの種類を判定しているので、従来の如くの識別用の抵抗器も不要になり、操作ユニットを確実に識別可能になる。
【0052】
これらの結果、入力デバイス24の信頼性が大幅に向上する。
しかも、これら磁石62,62a,62bと磁気センサ34,34a,34bとの組み合わせは操作ユニット40,40a,40bの識別機能の他、操作ノブ54,54a,54bのオン/オフ操作の検知機能も兼ね備えていることから、従来に比して部品点数も少なくて済む。
【0053】
また、操作ユニット40,40a,40bが複数並設されていても、操作ノブ54,54a,54bの待機状態における磁石62,62a,62bと磁気センサ34,34a,34bとのオフセット量を操作ユニット40,40a,40b毎に変えているので、各ユニット40,40a,40bの種類を容易に判定可能になる。
【0054】
さらに、磁石62,62a,62bが操作ノブ54,54a,54bに配置される一方、磁気センサ34,34a,34bがベースユニット26に配置され、操作ユニット40,40a,40bがベースユニット26から取り外し可能であることから、これら操作ユニット40,40a,40bの設置場所を自在に決定できる。
【0055】
さらにまた、上述した入力デバイス24を搭載すれば、ユーザーオプションに容易に対応できるし、操作ユニット40,40a,40bの種別信号や制御信号も確実に得られるので、エアーコンディショニング装置80、オーディオ装置82やナビゲーション装置84等信頼性向上に寄与する。
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば上記実施例の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせることができる。
【0056】
また、上記実施例の磁気センサ34,34a,34bはベースユニット26に設けられているが、磁石62,62a,62bを有した操作ノブ54,54a,54bがケース42,42a,42bから着脱可能である場合には、磁気センサ34,34a,34bをケース42,42a,42bに設けても良い。つまり、本発明のユニット本体は、この場合にはケースも含むことになる。
【0057】
さらに、上記実施例では可動する操作ノブ54,54a,54bに磁石62,62a,62bを配置し、可動しないベースユニット26に磁気センサ34,34a,34bを配置している。しかし、ベースユニット26への磁気センサ34,34a,34bの取り付け位置を操作ユニット40,40a,40b毎に変えれば、操作ノブ54,54a,54bへの磁石62,62a,62bの取り付け位置を同じにすることも可能である。
【0058】
さらにまた、上記実施例ではプッシュスイッチの例が示されているものの、必ずしもこの形態に限定されるものではなく、SWオフポジションにおける磁気センサ34,34a,34bと磁石62,62a,62bとの相対距離が磁気センサ34,34a,34bの出力感度に影響を及ぼす点を利用する限り、このプッシュスイッチやロッカースイッチの他、ロータリスイッチ、或いはスライドスイッチの如く種々のスイッチにも適用可能である。
【0059】
また、上記実施例では、電子機器としてエアーコンディショニング装置等の車両に搭載される車載機器に具現化した例を示している。しかしながら、本発明の電子機器は、必ずしも車載機器に限定されるものではなく、磁気センサを用いる限り、デジタルカメラ等の他の電子機器にも適用可能である。
そして、これらの場合にも上記と同様に、非接触状態で所望の信号が得られるとの効果を奏する。
【符号の説明】
【0060】
24 入力デバイス(入力装置)
26 ベースユニット(ユニット本体)
34,34a,34b 磁気センサ
40,40a,40b 操作ユニット(スイッチ装置)
42,42a,42b ケース
54,54a,54b 操作ノブ(操作部材)
62,62a,62b 磁石(磁性部材)
70 制御部(制御手段)
80 エアーコンディショニング装置(電子機器)
82 オーディオ装置(電子機器)
84 ナビゲーション装置(電子機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニット本体と、
該ユニット本体に可動自在に支持される操作部材を有したスイッチ装置と、
前記操作部材に固着された磁性部材と、
前記ユニット本体に固着されており、前記操作部材の待機状態と操作状態との切り替えに伴う前記磁性部材の移動を検知する磁気センサと、
前記操作部材の待機状態における前記磁性部材と前記磁気センサとの相対位置から前記スイッチ装置の種類を判定する制御手段と
を具備することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力装置であって、
前記スイッチ装置は前記ユニット本体に複数並設されており、前記操作部材の待機状態における前記磁性部材と前記磁気センサとの相対位置を該スイッチ装置毎に異ならしめることを特徴とする入力装置。
【請求項3】
請求項2に記載の入力装置であって、
前記スイッチ装置は、前記ユニット本体に対して着脱可能に形成されていることを特徴とする入力装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の入力装置を搭載したことを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−165535(P2010−165535A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6242(P2009−6242)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】