入力装置及びキャリブレーション方法
【課題】 同時押しした複数の押圧点の各荷重を得ることが可能な入力装置及び複数点の荷重検出方法を提供することを目的としている。
【解決手段】 本発明の入力装置1は、操作面4a上に同時に押圧された複数の押圧点A,Bの各押圧点を検出可能な静電容量式タッチパネルセンサと、各押圧点A,Bの重心位置及び重心荷重を検出可能な荷重検出センサと、各押圧点の位置座標(x1,y1)、(x2,y2)、重心座標(X,Y)及び重心荷重(Z)に基づいて各押圧点A,Bでの各荷重(z1,z2)を算出可能な制御部と、を有することを特徴とする。
【解決手段】 本発明の入力装置1は、操作面4a上に同時に押圧された複数の押圧点A,Bの各押圧点を検出可能な静電容量式タッチパネルセンサと、各押圧点A,Bの重心位置及び重心荷重を検出可能な荷重検出センサと、各押圧点の位置座標(x1,y1)、(x2,y2)、重心座標(X,Y)及び重心荷重(Z)に基づいて各押圧点A,Bでの各荷重(z1,z2)を算出可能な制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器やその他の電子機器に搭載されて、指などを操作パネルに接触させて操作する入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の押圧センサを用いて操作面上の押圧点の位置座標を算出する入力装置では、押圧点算出式の補正値(係数)を経時変化等に伴って再設定できるようにユーザー等が簡単にキャリブレーションを行うことができると好ましい。
【0003】
しかしながら従来では、予め決められた荷重をかけて補正値を求めていた。このため経時変化等で補正値を変更しようとしても決められた荷重をかけることが必要になるためユーザーの負担となり、また荷重測定用の評価機を必要とし、簡単に補正値を変更できない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−149348号公報
【特許文献2】特開2010−286942号公報
【特許文献3】特開2011−96271号公報
【特許文献4】特開昭61−120230号公報
【特許文献5】特表2005−526333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、従来に比べて簡単かつ自由にキャリブレーションを行って補正値(補正係数)を変更でき、またキャリブレーションにより押圧点の検出精度を効果的に向上させることが可能な入力装置及びキャリブレーション方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における入力装置は、
操作パネルと、
前記操作パネルの操作面に対する裏面側に配置された複数の押圧センサと、
押圧点の位置座標を算出する際に使用する重回帰式の補正係数を求めるためのキャリブレーションモードを実行可能な制御部と、を有し、
前記制御部では、前記重回帰式の項数よりも数の多い前記操作面上の複数のキャリブレーション押圧点を押圧操作させ、各キャリブレーション押圧点を夫々押圧操作した際に得られる各押圧センサの各センサ出力を足して各キャリブレーション押圧点での全出力を取得し、前記各キャリブレーション押圧点での前記各センサ出力を、前記各キャリブレーション押圧点での全出力で割って各規格化出力を算出し、前記各キャリブレーション押圧点の位置座標と前記各規格化出力との出力データに基づいて、前記補正係数を算出することを特徴とするものである。
【0007】
また本発明におけるキャリブレーション方法は、
操作面に対する裏面側に複数の押圧センサが配置された操作パネルを有する入力装置の、押圧点の位置座標を算出する際に使用する重回帰式の補正係数を求めるためのキャリブレーションモード時、
前記重回帰式の項数よりも数の多い前記操作面上の各キャリブレーション押圧点を押圧操作させるステップと、
各キャリブレーション押圧点を夫々押圧操作した際に得られる各押圧センサを足して各キャリブレーション押圧点での全出力を算出し、前記各キャリブレーション押圧点での前記各センサ出力を、前記各キャリブレーション押圧点での全出力で割って各規格化出力を算出するステップと、
前記各キャリブレーション押圧点の位置座標と前記各規格化出力との出力データに基づいて、前記補正係数を算出するステップと、
を有することを特徴とするものである。
【0008】
従来では予め決められた荷重の印加が必要とされ、そのため荷重測定が必要であったが本発明ではその必要性がなく、よって従来に比べて簡単かつ自由にキャリブレーションを行うことができ、使用環境下にてキャリブレーションにより補正係数の適正化を図ることができる。よって押圧点の検出精度を向上させることができる。
【0009】
本発明では、2次以上の重回帰式を用いることが好ましい。これによりキャリブレーションを行って補正係数の適正化を行うことで、押圧点の検出精度をより効果的に向上させることができる。
【0010】
また本発明では、前記押圧センサは、前記操作面の周囲部に異なる2方向にて対向配置されており、前記対向配置された各押圧センサの各規格化出力の差分を算出し、各差分を用いて3次以上の重回帰式の前記補正係数を算出することが好ましい。各押圧センサのリニアリティ性が劣るなどして算出誤差が生じるとき、上記したように、対向配置された各押圧センサの各規格化出力の差分を用いることで前記算出誤差を小さくできる。したがってキャリブレーションを行って補正係数の適正化を行うことで、押圧点の検出精度をより効果的に向上させることができる。ただし、差分を使用するには、3次以上の重回帰式を用いる場合に限る。
【0011】
また差分を使用することで、重回帰式の項数を減らすことができ制御部に対する算出負担を軽減できる。
【0012】
なお上記において、前記押圧センサは、前記操作面の周囲部の四隅に配置され、あるいは、前記操作面の略中心を通って直交するX方向及びY方向を前記2方向として対向配置されている構成にできる。
【0013】
また本発明では、前記制御部は、前記操作面上の押圧点を前記重回帰式による多項式近似により算出する通常モードと、前記キャリブレーションモードとを切換可能に制御することが好ましい。
【0014】
また本発明では前記各規格化出力の算出は、全出力が所定範囲内に入ったとき実行されることが好ましい。これによりユーザーが簡単にキャリブレーションを行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、従来に比べて簡単かつ自由にキャリブレーションを行うことができ、使用環境下にてキャリブレーションにより補正係数の適正化を図ることができる。よって押圧点の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態における入力装置の平面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態における入力装置の部分縦断面図である。なお図2は図1に示す押圧センサ5と押圧センサ8との対角線上に沿って切断した部分縦断面図である。
【図3】図3は、本実施形態の入力装置のブロック図である。
【図4】図4は、押圧センサの説明図であり、図4(a)は部分縦断面図、図4(b)は、押圧センサを構成するセンサ基板の裏面透視図である。
【図5】図5は、本実施形態の入力装置を用いた押圧点検出方法及びキャリブレーション方法を説明するためのフローチャート図である。
【図6】図6は、2次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合のシミュレーション結果を示す。
【図7】図7は、3次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合のシミュレーション結果を示す。
【図8】図8は、4次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合のシミュレーション結果を示す。
【図9】図9は、5次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合のシミュレーション結果を示す。
【図10】図10は、1次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合のシミュレーション結果を示す。
【図11】図11は、2次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合であって比較例として示すシミュレーション結果である。
【図12】図12は、3次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合であって比較例として示すシミュレーション結果である。
【図13】図13(a)は、各センサ出力を足した全出力と、各センサ出力との関係を示すグラフであり、図13(b)は、各センサ出力を足した全出力と、出力差分(センサ出力S2−S3,S1−S4)との関係を示すグラフである。
【図14】図13は、本発明の第2実施形態における入力装置の平面図である。
【図15】比較例における補正値を算出するためのフローチャート図である。
【図16】比較例における押圧点の位置座標を算出するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態における入力装置の平面図であり、図2は、本発明の実施形態における入力装置の部分縦断面図であり、図3は、本実施形態の入力装置のブロック図であり、図4は、押圧センサの説明図であり、図4(a)は部分縦断面図、図4(b)は、押圧センサを構成するセンサ基板の裏面透視図であり、図5は、本実施形態の入力装置を用いた押圧点検出方法及びキャリブレーション方法を説明するためのフローチャート図である。
【0018】
本実施形態における入力装置1は、透明な操作パネル4と、操作パネル4の裏面4cに設けられた複数の押圧センサ5〜8とを有して構成される。操作パネル4はガラスやプラスチック等で構成される。操作パネル4の表面が操作面4aである。
【0019】
図1,図2に示すように、操作パネル4の周囲部4bの裏面4cに加飾層9を設けることで、操作パネル4を通して液晶ディスプレイ(LCD)3の表示がされ操作面4aでの操作を可能とする操作領域と、操作領域の周囲を縁取る不透明な加飾領域とに区分けできる。加飾領域では、各押圧センサ5〜8が操作面4a側から見えないようになっている。ここで図2は、図1に示す押圧センサ5と押圧センサ8との対角線上に沿って切断した部分縦断面であるとする。
【0020】
各押圧センサ5〜8は、図4に示すように、センサ基板12と、ベース基板13とを有する。センサ基板12には、変位部14と、変位部14の上面に上方に向けて突出する突起状の受圧部17が設けられる。センサ基板12とベース基板13との間には所定の空間部15が形成されており、これにより変位部14が荷重を受けると高さ方向に変位できるようになっている。図4(a)(b)に示すように、センサ基板12の裏面には、歪検出素子として複数のピエゾ抵抗素子16が設けられる。受圧部17で受けた荷重により変位部14が高さ方向に変位すると、その変位量に応じて各ピエゾ抵抗素子16の電気抵抗が変化し、各ピエゾ抵抗素子16によって構成されたブリッジ回路の中点電位が変化することで、センサ出力を得ることが出来る。図4(b)に示すように各ピエゾ抵抗素子16から引き回された配線部18が図示しないパッド部と電気的に接続されている。
【0021】
本実施形態における押圧センサ5〜8は図4に示した構成以外のものであってもよい。例えば操作面4aを押圧したときに2つの電極間の距離の変化に基づいて静電容量が変化し、この静電容量変化により荷重を検出することが可能な構成にすることも可能である。
【0022】
図1,図2に示すように、押圧センサ5〜8は、操作パネル4の裏面4c側に配置される。押圧センサ5〜8は、例えば、図5(a)に示すように、操作面4aの周囲部4bの4隅に配置される。また図2に示すように、押圧センサ5〜8を支える支持部10を備え、この支持部10と操作パネル4間が高さ方向に変形可能な接続部11により接続されている。これにより操作面4aを押圧したときに操作パネル4が下方に移動し、押圧センサ5〜8に荷重を加えることができる。接続部11は例えば両面テープである。
【0023】
なおタッチパネル1における押圧センサ5〜8の支持構造は図1に示すものに限定されない。また、タッチパネル1における押圧センサ5〜8の位置は図5(a)に示すものに限定されず、例えば、図14に示すように、操作面4aの中心Oを通って直交するX方向及びY方向の夫々にて対向する周囲部4bの位置に各押圧センサ5〜8を配置することもできる(十字配置)。この場合、押圧センサ5〜8は周囲部4bの各辺の任意の位置に配置することが可能だが、好ましくは周囲部4bの各辺の中心に近い位置に配置した方が良く、より精度の高い押圧点の位置検出を行うためには、周囲部4bの各辺の中心に押圧センサ5〜8を配置した方が良い。
【0024】
図3に示すように本実施形態の入力装置1は、操作パネル4、押圧センサ5〜8、各押圧センサ5〜8に接続される制御部(IC)2を備える。また制御部2からのデータを機器本体部の液晶ディスプレイ(LCD)3等の画像表示装置20に送信できるようになっている。前記制御部2では、入力装置1の使用時、操作面4a上を押圧操作したときの押圧点p00を算出することが出来る。
【0025】
前記制御部2では押圧点p00の位置座標(X,Y)を2次以上の重回帰式による多項式近似により算出する。
2次の重回帰式を以下に示す。
【0026】
(数式1)
X=a1+a2・S1+a3・S2+a4・S3+a5・S4+a6・S12+a7・S1・S2+a8・S1・S3+a9・S1・S4+a10・S22+a11・S2・S3+a12・S2・S4+a13・S32+a14・S3・S4+a15・S42
Y=b1+b2・S1+b3・S2+b4・S3+b5・S4+b6・S12+b7・S1・S2+b8・S1・S3+b9・S1・S4+b10・S22+b11・S2・S3+b12・S2・S4+b13・S32+b14・S3・S4+b15・S42
【0027】
数式1におけるX,Yは、数式1により算出された押圧点を示す(図1参照)。a1〜a15,b1〜b15は、補正係数である。S1〜S4は、規格化出力である。
【0028】
「規格化出力」について説明する。
操作面4a上を押圧すると、各押圧センサ5〜8からセンサ出力を得ることができる。ここで押圧センサ5のセンサ出力をs1,押圧センサ6のセンサ出力をs2,押圧センサ7のセンサ出力をs3,押圧センサ8のセンサ出力をs4とする。各押圧センサ5〜8の各センサ出力を足して全出力(s1+s2+s3+s4)を得る。そして各センサ出力s1〜s4を全出力で割ったのが「規格化出力」である。
【0029】
数式1における規格化出力S1は、s1/(s1+s2+s3+s4)であり、規格化出力S2は、s2/(s1+s2+s3+s4)であり、規格化出力S3は、s3/(s1+s2+s3+s4)であり、規格化出力S4は、s4/(s1+s2+s3+s4)である。
【0030】
まず初期設定として補正係数a1〜a15,b1〜b15の算出が行われる。補正係数の算出は、予め出荷前に行われ、また本実施形態では、ユーザー自らが補正係数の変更を行うことも可能である。本実施形態における入力装置1はキャリブレーションモードを備えており、経時変化により各押圧センサ5〜8の各感度が変化等して、押圧点の検出精度が低下したとき、各補正係数a1〜a15,b1〜b15の再設定を簡単に行うことができる。
【0031】
以下、図5のフローチャートにより、上記したキャリブレーションモードにて補正係数a1〜a15,b1〜b15の算出ステップを説明する。
【0032】
まず、図5に示すように、図3に示す制御部2では通常モードか否かを判断する(ステップST1)。通常モードとは、算出された補正係数a1〜a15,b1〜b15を備える上記した2次の回帰式を用いてユーザーが押圧した押圧点p00(図1参照)を算出するモードであり、実際の使用状態を指す。この通常モードでは押圧点p00の位置座標を検出し、その検出結果に基づいて操作面4aに表示される画面の更新・変更等が行われる。
【0033】
通常モードでないときはキャリブレーションモードに移行する。
まずキャリブレーションモードでは、図1に示すように、操作面4a上を例えば格子状に仕切り、透明な操作面4a上に各横線(X1−X2方向に平行な仮想線)と、各縦線(Y1−Y2方向に平行な仮想線)との交点をキャリブレーション押圧点p01〜p35として表示する(ステップST2)。キャリブレーション押圧点p01〜p35のX座標及びY座標は予め決まっている。例えば図3に示す静電容量式等のタッチパネル21を備える構成であれば、タッチパネル21による平面座標を利用してキャリブレーション押圧点p01〜p35を操作面4a上に表示させることも可能である。またキャリブレーション押圧点p01〜p35の数は、重回帰式の項数よりも多い。
【0034】
各キャリブレーション押圧点p01〜p35を順番にユーザーが押圧する(ステップST3)。なおユーザーでなく荷重を印加できる装置を用いて各キャリブレーション押圧点p01〜p35を順次押圧していく構成であってもよい。制御部2では、各押圧点p01〜p35を押圧したときの各押圧センサ5〜8の各センサ出力s1〜s4から上記した各規格化出力S1〜S4を求める(ステップST4)。
【0035】
そして各キャリブレーション押圧点のX,Y座標と各規格化出力とが関連付けられた出力テーブルを作成する(ステップST5)。
一例を以下に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
なお、表1に示す各センサ出力は、各押圧点p01〜p35をある一定の荷重(例えば1N)で押圧して測定したものである。ただし、以下に示すように補正係数を求めるのに必要なデータは、押圧点の位置座標と各規格化出力であり、荷重の値は考慮されない。例えば本実施形態では全出力ベースで判断され、全出力がある範囲内に入ったら正常な測定と判断し、荷重測定を必要としない。
【0038】
また表1には、各キャリブレーション押圧点のX,Y座標、及び各規格化出力のみならず各センサ出力も掲載した。表1の出力テーブルを制御部2の記憶部に保存する。
【0039】
全キャリブレーション押圧点p01〜p35での測定が完了したか否か確認後(ステップST6)、表1に示す出力テーブルに基づいて数式1の各補正係数a1〜a15,b1〜b15を算出する(ステップST7)。
なお補正係数の算出方法は以下の数式2を参照されたい。
【0040】
(数式2)
【0041】
以上により算出された各補正係数a1〜a15,b1〜b15が補正値テーブルに保存される。
【0042】
通常モードについて説明する。
図5に示すステップST1での通常モードによりユーザーが操作面4a上を押圧すと(例えば図1の押圧点p00)、図1に示す各押圧センサ5〜8から各センサ出力s1〜s4を得ることができる(ステップST8)。そして制御部8では、各センサ出力から上記した各規格化出力S1〜S4を算出する。
【0043】
図5に示すように補正値テーブルに保存された数式1の補正係数a1〜a15,b1〜b15を参照し(ステップST9)、数式1に示す2次の重回帰式による多項式近似により押圧点p00の位置座標を算出する(ステップST10)。
【0044】
そしてステップST10により算出された押圧点の座標データに基づいて液晶ディスプレイ3の画像表示処理を行う(図5のステップST11)。
【0045】
図6は、数式1に示す2次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出したときのシミュレーション結果である。
【0046】
図6に示すように実際の押圧点と算出された押圧点とは操作面の中央付近でほぼ一致することがわかった。ただし操作面の周囲部近辺での実際の押圧点と算出された押圧点とにややずれが生じることがわかった。
【0047】
本実施形態において3次以上の重回帰式を用いることで、より効果的に実際の押圧点と算出された押圧点とのずれ量を小さくできる。ただし次数が増えればそれだけ重回帰式の項数が増え、すなわち補正係数が増える。このとき補正係数を求めるには、表1の出力テーブルで示したキャリブレーション押圧点の数が補正係数の数(項数)よりも多いことが必要になる。ちなみに上記の各規格化出力を変数とした3次の重回帰式とすると項数は35となり、上記の各規格化出力を変数とした4次の重回帰式とすると項数は70となり、上記の各規格化出力を変数とした5次の重回帰式とすると項数は126となる。したがって、3次以上の重回帰式を用いる場合には図1に示すキャリブレーション押圧点p01〜p35をさらに増やすことが必要になる。
【0048】
このように項数が増えれば、補正係数を再設定するためのキャリブレーションを行う際にキャリブレーション押圧点が多すぎてユーザーの負担になり、また制御部2への算出負担が増大する。
【0049】
また図13(a)は、各センサ出力を足した全出力と、各センサ出力との関係を示すグラフであり、図13(b)は、各センサ出力を足した全出力と、差分(規格化出力S2−S3,S1−S4)との関係を示すグラフである。
【0050】
図13は図1のある押圧点を押圧し、徐々に荷重を増やしていった場合の全出力、各センサ出力、及び差分(規格化出力S2−S3,S1−S4)を求めたものである。
【0051】
図13(a)に示すように、各センサ出力s1〜s4のリニアリティが低下すると、各押圧センサ5〜8の各規格化出力が変動する。すなわち例えば図1の押圧点p01を押圧したときに押圧力(荷重)によって各押圧センサ5〜8の各規格化出力が変動するため、重回帰式による多項式近似により算出された押圧点が前記押圧力(荷重)によって変動しやすくなる。検出精度を安定させるためには図13(b)に示すように、3次以上の重回帰式を用いた際に、対角線上に位置する押圧センサ5の規格化出力S1と押圧センサ8の規格化出力S4との差分(S1−S4)、及び押圧センサ6の規格化出力S2と押圧センサ7の規格化出力S3との差分(S2−S3)を変数として使用することが好適である。これによりリニアリティの低下等に伴う算出誤差を小さくできる。ここで3次以上の重回帰式に限定したのは、上記した差分を用いて2次の重回帰式による多項式近似を行うと、各規格化出力を使用した場合(図6)と比べて、算出された押圧点が実際の押圧点から大きく外れてしまい、押圧点の検出精度が大幅に低下するためである。なお2次の重回帰式に差分を用いると検出精度が低下する点は、後で図11を用いて説明する。
【0052】
そして上記したように、各規格化出力の差分(S1−S4,S2−S3)を使用することで、3次以上の重回帰式の項数を減らすことが出来る。
【0053】
以下の数式3が、対向配置された各押圧センサ5〜8の各規格化出力の差分(S1−S4,S2−S3)を使用した3次の重回帰式である。
【0054】
(数式3)
X=a1+a2・(S1-S4)+a3・(S2-S3)+a4・(S1-S4)2+a5・(S1-S4)(S2-S3)+a6・(S2-S3)2+a7・(S1-S4)3+a8・(S1-S4)2(S2-S3)+a9・(S1-S4)(S2-S3)2+a10・(S2-S3)3
Y=b1+b2・(S1-S4)+b3・(S2-S3)+b4・(S1-S4)2+b5・(S1-S4)(S2-S4)+b6・(S2-S3)2+b7・(S1-S4)3+b8・(S1-S4)2(S2-S3)+b9・(S1-S4)(S2-S3)2+b10・(S2-S3)3
a1〜a10,b1〜b10は、補正係数である。S1〜S4は、規格化出力である。
【0055】
数式3に示すようにX座標及びY座標を求める重回帰式の各項数は10となる。補正係数は、図5のステップを用いて数式2により求めることができる。
【0056】
図7は、数式3に示す3次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出したときのシミュレーション結果である。
【0057】
図7に示すように実際の押圧点と算出された押圧点とのずれを図6に示す2次の重回帰式を用いた場合より小さくできるとわかった。なおY1−Y2方向の外側よりも内側に向うにしたがって実際の押圧点と算出された押圧点とのずれが徐々に小さくなることがわかった。
【0058】
続いて以下の数式4は、対向配置された各押圧センサ5〜8の各規格化出力の差分(S1−S4,S2−S3)を使用した4次の重回帰式である。
【0059】
(数式4)
X=a1+a2・(S1-S4)+a3・(S2-S3)+a4・(S1-S4)2+a5・(S1-S4)(S2-S3)+a6・(S2-S3)2+a7・(S1-S4)3+a8・(S1-S4)2(S2-S3)+a9・(S1-S4)(S2-S3)2+a10・(S2-S3)3+a11・(S1-S4)4+a12・(S2-S3)3(S1-S4)+a13・(S1-S4)2(S2-S3)2+a14・(S1-S4)(S2-S3)3+a15・(S2-S3)4
Y=b1+b2・(S1-S4)+b3・(S2-S3)+b4・(S1-S4)2+b5・(S1-S4)(S2-S4)+b6・(S2-S3)2+b7・(S1-S4)3+b8・(S1-S4)2(S2-S3)+b9・(S1-S4)(S2-S3)2+b10・(S2-S3)3+b11・(S1-S4)4+b12・(S1-S4)3(S2-S3)+b13・(S1-S4)2(S2-S3)2+b14・(S1-S4)(S2-S3)3+b15・(S2-S3)4
【0060】
a1〜a15,b1〜b15は、補正係数である。S1〜S4は、規格化出力である。補正係数は、図5のステップを用いて数式2により求めることができる。
数式4に示すようにX座標及びY座標を求める重回帰式の各項数は15となる。
【0061】
図8は、数式4に示す4次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出したときのシミュレーション結果である。
【0062】
図8に示すように4次の重回帰式を用いた場合、図7の3次の重回帰式を用いた場合とほぼ同じ結果が得られた。
【0063】
続いて以下の数式5は、対向配置された各押圧センサ5〜8の各規格化出力の差分(S1−S4,S2−S3)を使用した5次の重回帰式である。
【0064】
(数式5)
X=a1+a2・(S1-S4)+a3・(S2-S3)+a4・(S1-S4)2+a5・(S1-S4)(S2-S3)+a6・(S2-S3)2+a7・(S1-S4)3+a8・(S1-S4)2(S2-S3)+a9・(S1-S4)(S2-S3)2+a10・(S2-S3)3+a11・(S1-S4)4+a12・(S2-S3)3(S1-S4)+a13・(S1-S4)2(S2-S3)2+a14・(S1-S4)(S2-S3)3+a15・(S2-S3)4+a16・(S1-S4)5+a17・(S2-S3)4(S1-S4)+a18・(S1-S4)3(S2-S3)2+a19・(S1-S4)2(S2-S3)3+a20・(S1-S4)(S2-S3)4+a21・(S2-S3)5
Y=b1+b2・(S1-S4)+b3・(S2-S3)+b4・(S1-S4)2+b5・(S1-S4)(S2-S4)+b6・(S2-S3)2+b7・(S1-S4)3+b8・(S1-S4)2(S2-S3)+b9・(S1-S4)(S2-S3)2+b10・(S2-S3)3+b11・(S1-S4)4+b12・(S1-S4)3(S2-S3)+b13・(S1-S4)2(S2-S3)2+b14・(S1-S4)(S2-S3)3+b15・(S2-S3)4+b16・(S1-S4)5+b17・(S2-S3)4(S1-S4)+b18・(S1-S4)3(S2-S3)2+b19・(S1-S4)2(S2-S3)3+b20・(S1-S4)(S2-S3)4+b21・(S2-S3)5
【0065】
a1〜a21,b1〜b21は、補正係数である。S1〜S4は、規格化出力である。補正係数は、図5のステップを用いて数式2により求めることができる。
数式5に示すようにX座標及びY座標を求める重回帰式の各項数は21となる。
【0066】
図9は、数式5に示す5次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出したときのシミュレーション結果である。
【0067】
図9に示すように5次の重回帰式を用いると、算出された押圧点を実際の押圧点にほぼ一致させることができ、図6ないし図8に示す2次〜4次の重回帰式を用いた場合に比べて最も効果的に、押圧点の検出精度を向上させることができた。
【0068】
図10は、1次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合のシミュレーション結果を示す。図10は比較例である。
1次の回帰式は以下の数式6で示される。
【0069】
(数式6)
X=a+b・S1+c・S2+d・S3+e・S4
Y=f +g・S1+h・S2+i・S3+j・S4
【0070】
ここでa〜jは、補正係数である。S1〜S4は、規格化出力である。補正係数は、図5のステップを用いて数式2により求めることができる。
【0071】
図10に示すように、算出された押圧点と実際の押圧点との位置座標ずれ量を小さくできる領域が操作面の中央付近にあるが、ごく限られた範囲となっており、操作面の周囲部付近では、算出された押圧点と実際の押圧点との位置座標ずれ量が非常に大きくなることがわかった。
【0072】
図11は、各規格化出力の差分(S1−S4,S2−S3)を使用した2次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合のシミュレーション結果を示す。図11は比較例である。
【0073】
図11に示す比較例1は、押圧センサ5の規格化出力S1−押圧センサ6の規格化出力S2の差分(S1−S2)、及び押圧センサ7の規格化出力S3−押圧センサ8の規格化出力S4の差分(S3−S4)を用いて2次の重回帰式(以下の数式7)による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合である。
【0074】
(数式7)
X=a1+a2・(S1-S2)+a3・(S3-S4)+a4・(S1-S2)2+a5・(S1-S2)(S3-S4)+a6・(S3-S4)2
Y=b1+b2・(S1-S2)+b3・(S3-S4)+b4・(S1-S2)2+b5・(S1-S2)(S3-S4)+b6・(S3-S4)2
【0075】
また図11に示す比較例2は、押圧センサ5の規格化出力S1−押圧センサ7の規格化出力S3の差分(S1−S3)、及び押圧センサ6の規格化出力S2−押圧センサ8の規格化出力S4の差分(S2−S4)を用いて2次の重回帰式(以下の数式8)による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合である。
【0076】
(数式8)
X=a1+a2・(S1-S3)+a3・(S2-S4)+a4・(S1-S3)2+a5・(S1-S3)(S2-S4)+a6・(S2-S4)2
Y=b1+b2・(S1-S3)+b3・(S2-S4)+b4・(S1-S3)2+b5・(S1-S3)(S2-S4)+b6・(S2-S4)2
【0077】
また図11に示す比較例3は、押圧センサ5の規格化出力S1−押圧センサ8の規格化出力S4の差分(S1−S4)、及び押圧センサ6の規格化出力S2−押圧センサ7の規格化出力S3の差分(S2−S3)を用いて2次の重回帰式(以下の数式9)による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合である。
【0078】
(数式9)
X=a1+a2・(S1-S4)+a3・(S2-S3)+a4・(S1-S4)2+a5・(S1-S4)(S2-S3)+a6・(S2-S3)2
Y=b1+b2・(S1-S4)+b3・(S2-S3)+b4・(S1-S4)2+b5・(S1-S4)(S2-S3)+b6・(S2-S3)2
【0079】
図11に示すように比較例1〜比較例3ではいずれの場合も算出された押圧点が実際の押圧点から大幅にずれてしまい、特に算出された押圧点が実際の押圧点のような略格子状に並ばなくなった。このように、比較例1〜比較例3では、算出された押圧点と実際の押圧点との位置座標ずれが、図6のように規格化出力を用いて2次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合に比べて大きくなった。
【0080】
したがって、規格化出力の差分の使用は、3次以上の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出する場合に限定される。
【0081】
また図12(a)は、押圧センサ5の規格化出力S1−押圧センサ6の規格化出力S2の差分(S1−S2)、及び押圧センサ7の規格化出力S3−押圧センサ8の規格化出力S4の差分(S3−S4)を用いて3次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出したシミュレーション結果、図12(b)は、押圧センサ5の規格化出力S1−押圧センサ7の規格化出力S3の差分(S1−S3)、及び押圧センサ6の規格化出力S2−押圧センサ8の規格化出力S4の差分(S2−S4)を用いて3次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出したシミュレーション結果である。
【0082】
図12に示すようにいずれも算出された押圧点が実際の押圧点から大幅にずれてしまい、特に算出された押圧点が実際の押圧点のような略格子状に並ばなくなった。このように、3次以上の重回帰式にて使用する変数は、対角線上にて対向配置された押圧センサの規格化出力の差分(S1−S4,S2−S3)を用いることが必要であるとわかった(図7〜図9参照)。なお、図14のように各押圧センサ5〜8を配置した場合は、Y1−Y2方向で対向する押圧センサ5と押圧センサ8との差分(S1−S4)及びX1−X2方向で対向する押圧センサ6と押圧センサ7との差分(S2−S3)を使用する。
【0083】
本実施形態における入力装置1の特徴的部分は、キャリブレーションモードを備え、前記キャリブレーションモード時に、重回帰式の項数よりも数の多い操作面4a上の各キャリブレーション押圧点p01〜p35を押圧操作させ、各キャリブレーション押圧点p01〜p35を夫々押圧操作した際に得られる各押圧センサを足して各押圧点p01〜p35での全出力を算出し、前記各押圧点p01〜p35での各センサ出力を、前記各押圧点p01〜p35での全出力で割って各規格化出力を算出し、前記各キャリブレーション押圧点p01〜p35の位置座標と前記各規格化出力との出力データに基づいて、補正係数を算出するキャリブレーション方法、及び前記キャリブレーションモードを実行可能な制御部2を備えた点にある。
【0084】
本実施形態では、上記したように、各押圧センサ5〜8の各センサ出力を全出力で割って規格化している。これにより簡単に規格化出力を算出できる。
【0085】
そしてキャリブレーション押圧点p01〜p35の位置座標と、各規格化出力との出力データを用いて各補正係数a1〜a15,b1〜b15を求めている。このため、キャリブレーションモードにおいて、各補正係数a1〜a15,b1〜b15を算出する際、センサ出力がどれだけの荷重により得られたものか問題ではなくなる。すなわち本実施形態では補正係数を算出する際に荷重パラメータは必要ではなく荷重測定の必要がない。よってキャリブレーションの際のユーザーに対する負担を低減でき、また荷重測定装置も必要なくなる。なおキャリブレーションはユーザーが行うものでなく、専用装置などを用いて行うことができるようにしてもよい。ただしいずれにしてもどれだけの荷重で押圧したかを測定する必要性がないためキャリブレーションを簡単にできる。
【0086】
本実施形態では、各キャリブレーション押圧点p01〜p35を押圧した際の正常測定の判断基準は、例えば各キャリブレーション押圧点p01〜p35を押圧し、各押圧センサ5〜8から得られた全出力が図13に示すデータ取得範囲内に入ったら測定が正常と判断し、このとき正常と判断されたキャリブレーション押圧点の色が変化したりあるいは点滅したりするなどして、ユーザーに正常に測定が行われたことを知らせることが出来る。
【0087】
図15に示す比較例の場合、ステップST15でキャリブレーション押圧点に荷重を印加したとき、予め決められた荷重が印加されたときに初めて正常な測定と判断され、ステップST16で得られた測定結果が保存される。そしてステップST17で補正値の算出が行われるが、図16に示すように実使用の際、図5に示す本実施形態のようにキャリブレーションを行うことができない。すなわち図16に示すようにステップST18のときに、各押圧センサのセンサ出力を測定し、ステップST19では、図15のステップST17で得られた補正値を用いて、押圧点の位置座標を算出することができる。しかしながら図15,図16に示す比較例の構成では、補正値の変更に荷重パラメータが入るため荷重測定機能がないと、キャリブレーションを行うことが不可能となっている。
【0088】
これに対して本実施形態では、各センサ出力を全出力で割って規格化することで、補正値(補正係数)の算出に荷重パラメータが入らず、したがって図5のように、ユーザー等がキャリブレーションモードを選択して簡単且つ自由に補正値(補正係数)の変更を行うことが可能である。よって、経時変化により各押圧センサ5〜8の各感度が変化等して、押圧点の検出精度が低下したとき、各補正係数a1〜a15,b1〜b15の再設定を簡単に行える。
【0089】
本実施形態におけるキャリブレーションにおいては、重回帰式は1次であってもよい。1次の場合、図10に示すように、算出された押圧点と実際の押圧点とのばらつきが大きくなるが、例えばY1−Y2方向の中央におけるX1−X2方向では算出された押圧点が実際の押圧点にほぼ一致した部分もある。入力装置の使用用途等により、どの部分の押圧点の検出精度が求められるかによるため1次の重回帰式の補正係数を求めるキャリブレーションにも本実施形態を使用できる。
【0090】
ただし2次以上の重回帰式を用いることが好ましい。これによりキャリブレーションを行って補正係数の適正化を行うことで、押圧点の検出精度をより効果的に向上させることができる。
【0091】
また本実施形態では対向配置された各押圧センサの各規格化出力の差分を用いることで、各押圧センサのリニアリティ性が劣るなどして算出誤差が生じるとき、上記したように、対向配置された各押圧センサの各規格化出力の差分を用いることで前記算出誤差を小さくできる。これによりキャリブレーションを行って補正係数の適正化を行うことで、押圧点の検出精度をより効果的に向上させることができる。ただし差分を変数を用いる場合は3次以上の重回帰式に限る。
【0092】
また差分を使用することで、重回帰式の項数を減らすことができ制御部に対する算出負担を軽減できる。
【0093】
なお本実施形態では図16のステップST19ではさらに荷重の重心位置等を求める算出を行ってもよい。
【符号の説明】
【0094】
p00 押圧点(使用時)
p01〜p35 キャリブレーション押圧点
1 入力装置
2 制御部
4 操作パネル
4a 操作面
5〜8 押圧センサ
20 画像表示装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯機器やその他の電子機器に搭載されて、指などを操作パネルに接触させて操作する入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の押圧センサを用いて操作面上の押圧点の位置座標を算出する入力装置では、押圧点算出式の補正値(係数)を経時変化等に伴って再設定できるようにユーザー等が簡単にキャリブレーションを行うことができると好ましい。
【0003】
しかしながら従来では、予め決められた荷重をかけて補正値を求めていた。このため経時変化等で補正値を変更しようとしても決められた荷重をかけることが必要になるためユーザーの負担となり、また荷重測定用の評価機を必要とし、簡単に補正値を変更できない問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−149348号公報
【特許文献2】特開2010−286942号公報
【特許文献3】特開2011−96271号公報
【特許文献4】特開昭61−120230号公報
【特許文献5】特表2005−526333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、従来に比べて簡単かつ自由にキャリブレーションを行って補正値(補正係数)を変更でき、またキャリブレーションにより押圧点の検出精度を効果的に向上させることが可能な入力装置及びキャリブレーション方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における入力装置は、
操作パネルと、
前記操作パネルの操作面に対する裏面側に配置された複数の押圧センサと、
押圧点の位置座標を算出する際に使用する重回帰式の補正係数を求めるためのキャリブレーションモードを実行可能な制御部と、を有し、
前記制御部では、前記重回帰式の項数よりも数の多い前記操作面上の複数のキャリブレーション押圧点を押圧操作させ、各キャリブレーション押圧点を夫々押圧操作した際に得られる各押圧センサの各センサ出力を足して各キャリブレーション押圧点での全出力を取得し、前記各キャリブレーション押圧点での前記各センサ出力を、前記各キャリブレーション押圧点での全出力で割って各規格化出力を算出し、前記各キャリブレーション押圧点の位置座標と前記各規格化出力との出力データに基づいて、前記補正係数を算出することを特徴とするものである。
【0007】
また本発明におけるキャリブレーション方法は、
操作面に対する裏面側に複数の押圧センサが配置された操作パネルを有する入力装置の、押圧点の位置座標を算出する際に使用する重回帰式の補正係数を求めるためのキャリブレーションモード時、
前記重回帰式の項数よりも数の多い前記操作面上の各キャリブレーション押圧点を押圧操作させるステップと、
各キャリブレーション押圧点を夫々押圧操作した際に得られる各押圧センサを足して各キャリブレーション押圧点での全出力を算出し、前記各キャリブレーション押圧点での前記各センサ出力を、前記各キャリブレーション押圧点での全出力で割って各規格化出力を算出するステップと、
前記各キャリブレーション押圧点の位置座標と前記各規格化出力との出力データに基づいて、前記補正係数を算出するステップと、
を有することを特徴とするものである。
【0008】
従来では予め決められた荷重の印加が必要とされ、そのため荷重測定が必要であったが本発明ではその必要性がなく、よって従来に比べて簡単かつ自由にキャリブレーションを行うことができ、使用環境下にてキャリブレーションにより補正係数の適正化を図ることができる。よって押圧点の検出精度を向上させることができる。
【0009】
本発明では、2次以上の重回帰式を用いることが好ましい。これによりキャリブレーションを行って補正係数の適正化を行うことで、押圧点の検出精度をより効果的に向上させることができる。
【0010】
また本発明では、前記押圧センサは、前記操作面の周囲部に異なる2方向にて対向配置されており、前記対向配置された各押圧センサの各規格化出力の差分を算出し、各差分を用いて3次以上の重回帰式の前記補正係数を算出することが好ましい。各押圧センサのリニアリティ性が劣るなどして算出誤差が生じるとき、上記したように、対向配置された各押圧センサの各規格化出力の差分を用いることで前記算出誤差を小さくできる。したがってキャリブレーションを行って補正係数の適正化を行うことで、押圧点の検出精度をより効果的に向上させることができる。ただし、差分を使用するには、3次以上の重回帰式を用いる場合に限る。
【0011】
また差分を使用することで、重回帰式の項数を減らすことができ制御部に対する算出負担を軽減できる。
【0012】
なお上記において、前記押圧センサは、前記操作面の周囲部の四隅に配置され、あるいは、前記操作面の略中心を通って直交するX方向及びY方向を前記2方向として対向配置されている構成にできる。
【0013】
また本発明では、前記制御部は、前記操作面上の押圧点を前記重回帰式による多項式近似により算出する通常モードと、前記キャリブレーションモードとを切換可能に制御することが好ましい。
【0014】
また本発明では前記各規格化出力の算出は、全出力が所定範囲内に入ったとき実行されることが好ましい。これによりユーザーが簡単にキャリブレーションを行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、従来に比べて簡単かつ自由にキャリブレーションを行うことができ、使用環境下にてキャリブレーションにより補正係数の適正化を図ることができる。よって押圧点の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態における入力装置の平面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態における入力装置の部分縦断面図である。なお図2は図1に示す押圧センサ5と押圧センサ8との対角線上に沿って切断した部分縦断面図である。
【図3】図3は、本実施形態の入力装置のブロック図である。
【図4】図4は、押圧センサの説明図であり、図4(a)は部分縦断面図、図4(b)は、押圧センサを構成するセンサ基板の裏面透視図である。
【図5】図5は、本実施形態の入力装置を用いた押圧点検出方法及びキャリブレーション方法を説明するためのフローチャート図である。
【図6】図6は、2次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合のシミュレーション結果を示す。
【図7】図7は、3次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合のシミュレーション結果を示す。
【図8】図8は、4次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合のシミュレーション結果を示す。
【図9】図9は、5次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合のシミュレーション結果を示す。
【図10】図10は、1次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合のシミュレーション結果を示す。
【図11】図11は、2次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合であって比較例として示すシミュレーション結果である。
【図12】図12は、3次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合であって比較例として示すシミュレーション結果である。
【図13】図13(a)は、各センサ出力を足した全出力と、各センサ出力との関係を示すグラフであり、図13(b)は、各センサ出力を足した全出力と、出力差分(センサ出力S2−S3,S1−S4)との関係を示すグラフである。
【図14】図13は、本発明の第2実施形態における入力装置の平面図である。
【図15】比較例における補正値を算出するためのフローチャート図である。
【図16】比較例における押圧点の位置座標を算出するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態における入力装置の平面図であり、図2は、本発明の実施形態における入力装置の部分縦断面図であり、図3は、本実施形態の入力装置のブロック図であり、図4は、押圧センサの説明図であり、図4(a)は部分縦断面図、図4(b)は、押圧センサを構成するセンサ基板の裏面透視図であり、図5は、本実施形態の入力装置を用いた押圧点検出方法及びキャリブレーション方法を説明するためのフローチャート図である。
【0018】
本実施形態における入力装置1は、透明な操作パネル4と、操作パネル4の裏面4cに設けられた複数の押圧センサ5〜8とを有して構成される。操作パネル4はガラスやプラスチック等で構成される。操作パネル4の表面が操作面4aである。
【0019】
図1,図2に示すように、操作パネル4の周囲部4bの裏面4cに加飾層9を設けることで、操作パネル4を通して液晶ディスプレイ(LCD)3の表示がされ操作面4aでの操作を可能とする操作領域と、操作領域の周囲を縁取る不透明な加飾領域とに区分けできる。加飾領域では、各押圧センサ5〜8が操作面4a側から見えないようになっている。ここで図2は、図1に示す押圧センサ5と押圧センサ8との対角線上に沿って切断した部分縦断面であるとする。
【0020】
各押圧センサ5〜8は、図4に示すように、センサ基板12と、ベース基板13とを有する。センサ基板12には、変位部14と、変位部14の上面に上方に向けて突出する突起状の受圧部17が設けられる。センサ基板12とベース基板13との間には所定の空間部15が形成されており、これにより変位部14が荷重を受けると高さ方向に変位できるようになっている。図4(a)(b)に示すように、センサ基板12の裏面には、歪検出素子として複数のピエゾ抵抗素子16が設けられる。受圧部17で受けた荷重により変位部14が高さ方向に変位すると、その変位量に応じて各ピエゾ抵抗素子16の電気抵抗が変化し、各ピエゾ抵抗素子16によって構成されたブリッジ回路の中点電位が変化することで、センサ出力を得ることが出来る。図4(b)に示すように各ピエゾ抵抗素子16から引き回された配線部18が図示しないパッド部と電気的に接続されている。
【0021】
本実施形態における押圧センサ5〜8は図4に示した構成以外のものであってもよい。例えば操作面4aを押圧したときに2つの電極間の距離の変化に基づいて静電容量が変化し、この静電容量変化により荷重を検出することが可能な構成にすることも可能である。
【0022】
図1,図2に示すように、押圧センサ5〜8は、操作パネル4の裏面4c側に配置される。押圧センサ5〜8は、例えば、図5(a)に示すように、操作面4aの周囲部4bの4隅に配置される。また図2に示すように、押圧センサ5〜8を支える支持部10を備え、この支持部10と操作パネル4間が高さ方向に変形可能な接続部11により接続されている。これにより操作面4aを押圧したときに操作パネル4が下方に移動し、押圧センサ5〜8に荷重を加えることができる。接続部11は例えば両面テープである。
【0023】
なおタッチパネル1における押圧センサ5〜8の支持構造は図1に示すものに限定されない。また、タッチパネル1における押圧センサ5〜8の位置は図5(a)に示すものに限定されず、例えば、図14に示すように、操作面4aの中心Oを通って直交するX方向及びY方向の夫々にて対向する周囲部4bの位置に各押圧センサ5〜8を配置することもできる(十字配置)。この場合、押圧センサ5〜8は周囲部4bの各辺の任意の位置に配置することが可能だが、好ましくは周囲部4bの各辺の中心に近い位置に配置した方が良く、より精度の高い押圧点の位置検出を行うためには、周囲部4bの各辺の中心に押圧センサ5〜8を配置した方が良い。
【0024】
図3に示すように本実施形態の入力装置1は、操作パネル4、押圧センサ5〜8、各押圧センサ5〜8に接続される制御部(IC)2を備える。また制御部2からのデータを機器本体部の液晶ディスプレイ(LCD)3等の画像表示装置20に送信できるようになっている。前記制御部2では、入力装置1の使用時、操作面4a上を押圧操作したときの押圧点p00を算出することが出来る。
【0025】
前記制御部2では押圧点p00の位置座標(X,Y)を2次以上の重回帰式による多項式近似により算出する。
2次の重回帰式を以下に示す。
【0026】
(数式1)
X=a1+a2・S1+a3・S2+a4・S3+a5・S4+a6・S12+a7・S1・S2+a8・S1・S3+a9・S1・S4+a10・S22+a11・S2・S3+a12・S2・S4+a13・S32+a14・S3・S4+a15・S42
Y=b1+b2・S1+b3・S2+b4・S3+b5・S4+b6・S12+b7・S1・S2+b8・S1・S3+b9・S1・S4+b10・S22+b11・S2・S3+b12・S2・S4+b13・S32+b14・S3・S4+b15・S42
【0027】
数式1におけるX,Yは、数式1により算出された押圧点を示す(図1参照)。a1〜a15,b1〜b15は、補正係数である。S1〜S4は、規格化出力である。
【0028】
「規格化出力」について説明する。
操作面4a上を押圧すると、各押圧センサ5〜8からセンサ出力を得ることができる。ここで押圧センサ5のセンサ出力をs1,押圧センサ6のセンサ出力をs2,押圧センサ7のセンサ出力をs3,押圧センサ8のセンサ出力をs4とする。各押圧センサ5〜8の各センサ出力を足して全出力(s1+s2+s3+s4)を得る。そして各センサ出力s1〜s4を全出力で割ったのが「規格化出力」である。
【0029】
数式1における規格化出力S1は、s1/(s1+s2+s3+s4)であり、規格化出力S2は、s2/(s1+s2+s3+s4)であり、規格化出力S3は、s3/(s1+s2+s3+s4)であり、規格化出力S4は、s4/(s1+s2+s3+s4)である。
【0030】
まず初期設定として補正係数a1〜a15,b1〜b15の算出が行われる。補正係数の算出は、予め出荷前に行われ、また本実施形態では、ユーザー自らが補正係数の変更を行うことも可能である。本実施形態における入力装置1はキャリブレーションモードを備えており、経時変化により各押圧センサ5〜8の各感度が変化等して、押圧点の検出精度が低下したとき、各補正係数a1〜a15,b1〜b15の再設定を簡単に行うことができる。
【0031】
以下、図5のフローチャートにより、上記したキャリブレーションモードにて補正係数a1〜a15,b1〜b15の算出ステップを説明する。
【0032】
まず、図5に示すように、図3に示す制御部2では通常モードか否かを判断する(ステップST1)。通常モードとは、算出された補正係数a1〜a15,b1〜b15を備える上記した2次の回帰式を用いてユーザーが押圧した押圧点p00(図1参照)を算出するモードであり、実際の使用状態を指す。この通常モードでは押圧点p00の位置座標を検出し、その検出結果に基づいて操作面4aに表示される画面の更新・変更等が行われる。
【0033】
通常モードでないときはキャリブレーションモードに移行する。
まずキャリブレーションモードでは、図1に示すように、操作面4a上を例えば格子状に仕切り、透明な操作面4a上に各横線(X1−X2方向に平行な仮想線)と、各縦線(Y1−Y2方向に平行な仮想線)との交点をキャリブレーション押圧点p01〜p35として表示する(ステップST2)。キャリブレーション押圧点p01〜p35のX座標及びY座標は予め決まっている。例えば図3に示す静電容量式等のタッチパネル21を備える構成であれば、タッチパネル21による平面座標を利用してキャリブレーション押圧点p01〜p35を操作面4a上に表示させることも可能である。またキャリブレーション押圧点p01〜p35の数は、重回帰式の項数よりも多い。
【0034】
各キャリブレーション押圧点p01〜p35を順番にユーザーが押圧する(ステップST3)。なおユーザーでなく荷重を印加できる装置を用いて各キャリブレーション押圧点p01〜p35を順次押圧していく構成であってもよい。制御部2では、各押圧点p01〜p35を押圧したときの各押圧センサ5〜8の各センサ出力s1〜s4から上記した各規格化出力S1〜S4を求める(ステップST4)。
【0035】
そして各キャリブレーション押圧点のX,Y座標と各規格化出力とが関連付けられた出力テーブルを作成する(ステップST5)。
一例を以下に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
なお、表1に示す各センサ出力は、各押圧点p01〜p35をある一定の荷重(例えば1N)で押圧して測定したものである。ただし、以下に示すように補正係数を求めるのに必要なデータは、押圧点の位置座標と各規格化出力であり、荷重の値は考慮されない。例えば本実施形態では全出力ベースで判断され、全出力がある範囲内に入ったら正常な測定と判断し、荷重測定を必要としない。
【0038】
また表1には、各キャリブレーション押圧点のX,Y座標、及び各規格化出力のみならず各センサ出力も掲載した。表1の出力テーブルを制御部2の記憶部に保存する。
【0039】
全キャリブレーション押圧点p01〜p35での測定が完了したか否か確認後(ステップST6)、表1に示す出力テーブルに基づいて数式1の各補正係数a1〜a15,b1〜b15を算出する(ステップST7)。
なお補正係数の算出方法は以下の数式2を参照されたい。
【0040】
(数式2)
【0041】
以上により算出された各補正係数a1〜a15,b1〜b15が補正値テーブルに保存される。
【0042】
通常モードについて説明する。
図5に示すステップST1での通常モードによりユーザーが操作面4a上を押圧すと(例えば図1の押圧点p00)、図1に示す各押圧センサ5〜8から各センサ出力s1〜s4を得ることができる(ステップST8)。そして制御部8では、各センサ出力から上記した各規格化出力S1〜S4を算出する。
【0043】
図5に示すように補正値テーブルに保存された数式1の補正係数a1〜a15,b1〜b15を参照し(ステップST9)、数式1に示す2次の重回帰式による多項式近似により押圧点p00の位置座標を算出する(ステップST10)。
【0044】
そしてステップST10により算出された押圧点の座標データに基づいて液晶ディスプレイ3の画像表示処理を行う(図5のステップST11)。
【0045】
図6は、数式1に示す2次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出したときのシミュレーション結果である。
【0046】
図6に示すように実際の押圧点と算出された押圧点とは操作面の中央付近でほぼ一致することがわかった。ただし操作面の周囲部近辺での実際の押圧点と算出された押圧点とにややずれが生じることがわかった。
【0047】
本実施形態において3次以上の重回帰式を用いることで、より効果的に実際の押圧点と算出された押圧点とのずれ量を小さくできる。ただし次数が増えればそれだけ重回帰式の項数が増え、すなわち補正係数が増える。このとき補正係数を求めるには、表1の出力テーブルで示したキャリブレーション押圧点の数が補正係数の数(項数)よりも多いことが必要になる。ちなみに上記の各規格化出力を変数とした3次の重回帰式とすると項数は35となり、上記の各規格化出力を変数とした4次の重回帰式とすると項数は70となり、上記の各規格化出力を変数とした5次の重回帰式とすると項数は126となる。したがって、3次以上の重回帰式を用いる場合には図1に示すキャリブレーション押圧点p01〜p35をさらに増やすことが必要になる。
【0048】
このように項数が増えれば、補正係数を再設定するためのキャリブレーションを行う際にキャリブレーション押圧点が多すぎてユーザーの負担になり、また制御部2への算出負担が増大する。
【0049】
また図13(a)は、各センサ出力を足した全出力と、各センサ出力との関係を示すグラフであり、図13(b)は、各センサ出力を足した全出力と、差分(規格化出力S2−S3,S1−S4)との関係を示すグラフである。
【0050】
図13は図1のある押圧点を押圧し、徐々に荷重を増やしていった場合の全出力、各センサ出力、及び差分(規格化出力S2−S3,S1−S4)を求めたものである。
【0051】
図13(a)に示すように、各センサ出力s1〜s4のリニアリティが低下すると、各押圧センサ5〜8の各規格化出力が変動する。すなわち例えば図1の押圧点p01を押圧したときに押圧力(荷重)によって各押圧センサ5〜8の各規格化出力が変動するため、重回帰式による多項式近似により算出された押圧点が前記押圧力(荷重)によって変動しやすくなる。検出精度を安定させるためには図13(b)に示すように、3次以上の重回帰式を用いた際に、対角線上に位置する押圧センサ5の規格化出力S1と押圧センサ8の規格化出力S4との差分(S1−S4)、及び押圧センサ6の規格化出力S2と押圧センサ7の規格化出力S3との差分(S2−S3)を変数として使用することが好適である。これによりリニアリティの低下等に伴う算出誤差を小さくできる。ここで3次以上の重回帰式に限定したのは、上記した差分を用いて2次の重回帰式による多項式近似を行うと、各規格化出力を使用した場合(図6)と比べて、算出された押圧点が実際の押圧点から大きく外れてしまい、押圧点の検出精度が大幅に低下するためである。なお2次の重回帰式に差分を用いると検出精度が低下する点は、後で図11を用いて説明する。
【0052】
そして上記したように、各規格化出力の差分(S1−S4,S2−S3)を使用することで、3次以上の重回帰式の項数を減らすことが出来る。
【0053】
以下の数式3が、対向配置された各押圧センサ5〜8の各規格化出力の差分(S1−S4,S2−S3)を使用した3次の重回帰式である。
【0054】
(数式3)
X=a1+a2・(S1-S4)+a3・(S2-S3)+a4・(S1-S4)2+a5・(S1-S4)(S2-S3)+a6・(S2-S3)2+a7・(S1-S4)3+a8・(S1-S4)2(S2-S3)+a9・(S1-S4)(S2-S3)2+a10・(S2-S3)3
Y=b1+b2・(S1-S4)+b3・(S2-S3)+b4・(S1-S4)2+b5・(S1-S4)(S2-S4)+b6・(S2-S3)2+b7・(S1-S4)3+b8・(S1-S4)2(S2-S3)+b9・(S1-S4)(S2-S3)2+b10・(S2-S3)3
a1〜a10,b1〜b10は、補正係数である。S1〜S4は、規格化出力である。
【0055】
数式3に示すようにX座標及びY座標を求める重回帰式の各項数は10となる。補正係数は、図5のステップを用いて数式2により求めることができる。
【0056】
図7は、数式3に示す3次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出したときのシミュレーション結果である。
【0057】
図7に示すように実際の押圧点と算出された押圧点とのずれを図6に示す2次の重回帰式を用いた場合より小さくできるとわかった。なおY1−Y2方向の外側よりも内側に向うにしたがって実際の押圧点と算出された押圧点とのずれが徐々に小さくなることがわかった。
【0058】
続いて以下の数式4は、対向配置された各押圧センサ5〜8の各規格化出力の差分(S1−S4,S2−S3)を使用した4次の重回帰式である。
【0059】
(数式4)
X=a1+a2・(S1-S4)+a3・(S2-S3)+a4・(S1-S4)2+a5・(S1-S4)(S2-S3)+a6・(S2-S3)2+a7・(S1-S4)3+a8・(S1-S4)2(S2-S3)+a9・(S1-S4)(S2-S3)2+a10・(S2-S3)3+a11・(S1-S4)4+a12・(S2-S3)3(S1-S4)+a13・(S1-S4)2(S2-S3)2+a14・(S1-S4)(S2-S3)3+a15・(S2-S3)4
Y=b1+b2・(S1-S4)+b3・(S2-S3)+b4・(S1-S4)2+b5・(S1-S4)(S2-S4)+b6・(S2-S3)2+b7・(S1-S4)3+b8・(S1-S4)2(S2-S3)+b9・(S1-S4)(S2-S3)2+b10・(S2-S3)3+b11・(S1-S4)4+b12・(S1-S4)3(S2-S3)+b13・(S1-S4)2(S2-S3)2+b14・(S1-S4)(S2-S3)3+b15・(S2-S3)4
【0060】
a1〜a15,b1〜b15は、補正係数である。S1〜S4は、規格化出力である。補正係数は、図5のステップを用いて数式2により求めることができる。
数式4に示すようにX座標及びY座標を求める重回帰式の各項数は15となる。
【0061】
図8は、数式4に示す4次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出したときのシミュレーション結果である。
【0062】
図8に示すように4次の重回帰式を用いた場合、図7の3次の重回帰式を用いた場合とほぼ同じ結果が得られた。
【0063】
続いて以下の数式5は、対向配置された各押圧センサ5〜8の各規格化出力の差分(S1−S4,S2−S3)を使用した5次の重回帰式である。
【0064】
(数式5)
X=a1+a2・(S1-S4)+a3・(S2-S3)+a4・(S1-S4)2+a5・(S1-S4)(S2-S3)+a6・(S2-S3)2+a7・(S1-S4)3+a8・(S1-S4)2(S2-S3)+a9・(S1-S4)(S2-S3)2+a10・(S2-S3)3+a11・(S1-S4)4+a12・(S2-S3)3(S1-S4)+a13・(S1-S4)2(S2-S3)2+a14・(S1-S4)(S2-S3)3+a15・(S2-S3)4+a16・(S1-S4)5+a17・(S2-S3)4(S1-S4)+a18・(S1-S4)3(S2-S3)2+a19・(S1-S4)2(S2-S3)3+a20・(S1-S4)(S2-S3)4+a21・(S2-S3)5
Y=b1+b2・(S1-S4)+b3・(S2-S3)+b4・(S1-S4)2+b5・(S1-S4)(S2-S4)+b6・(S2-S3)2+b7・(S1-S4)3+b8・(S1-S4)2(S2-S3)+b9・(S1-S4)(S2-S3)2+b10・(S2-S3)3+b11・(S1-S4)4+b12・(S1-S4)3(S2-S3)+b13・(S1-S4)2(S2-S3)2+b14・(S1-S4)(S2-S3)3+b15・(S2-S3)4+b16・(S1-S4)5+b17・(S2-S3)4(S1-S4)+b18・(S1-S4)3(S2-S3)2+b19・(S1-S4)2(S2-S3)3+b20・(S1-S4)(S2-S3)4+b21・(S2-S3)5
【0065】
a1〜a21,b1〜b21は、補正係数である。S1〜S4は、規格化出力である。補正係数は、図5のステップを用いて数式2により求めることができる。
数式5に示すようにX座標及びY座標を求める重回帰式の各項数は21となる。
【0066】
図9は、数式5に示す5次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出したときのシミュレーション結果である。
【0067】
図9に示すように5次の重回帰式を用いると、算出された押圧点を実際の押圧点にほぼ一致させることができ、図6ないし図8に示す2次〜4次の重回帰式を用いた場合に比べて最も効果的に、押圧点の検出精度を向上させることができた。
【0068】
図10は、1次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合のシミュレーション結果を示す。図10は比較例である。
1次の回帰式は以下の数式6で示される。
【0069】
(数式6)
X=a+b・S1+c・S2+d・S3+e・S4
Y=f +g・S1+h・S2+i・S3+j・S4
【0070】
ここでa〜jは、補正係数である。S1〜S4は、規格化出力である。補正係数は、図5のステップを用いて数式2により求めることができる。
【0071】
図10に示すように、算出された押圧点と実際の押圧点との位置座標ずれ量を小さくできる領域が操作面の中央付近にあるが、ごく限られた範囲となっており、操作面の周囲部付近では、算出された押圧点と実際の押圧点との位置座標ずれ量が非常に大きくなることがわかった。
【0072】
図11は、各規格化出力の差分(S1−S4,S2−S3)を使用した2次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合のシミュレーション結果を示す。図11は比較例である。
【0073】
図11に示す比較例1は、押圧センサ5の規格化出力S1−押圧センサ6の規格化出力S2の差分(S1−S2)、及び押圧センサ7の規格化出力S3−押圧センサ8の規格化出力S4の差分(S3−S4)を用いて2次の重回帰式(以下の数式7)による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合である。
【0074】
(数式7)
X=a1+a2・(S1-S2)+a3・(S3-S4)+a4・(S1-S2)2+a5・(S1-S2)(S3-S4)+a6・(S3-S4)2
Y=b1+b2・(S1-S2)+b3・(S3-S4)+b4・(S1-S2)2+b5・(S1-S2)(S3-S4)+b6・(S3-S4)2
【0075】
また図11に示す比較例2は、押圧センサ5の規格化出力S1−押圧センサ7の規格化出力S3の差分(S1−S3)、及び押圧センサ6の規格化出力S2−押圧センサ8の規格化出力S4の差分(S2−S4)を用いて2次の重回帰式(以下の数式8)による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合である。
【0076】
(数式8)
X=a1+a2・(S1-S3)+a3・(S2-S4)+a4・(S1-S3)2+a5・(S1-S3)(S2-S4)+a6・(S2-S4)2
Y=b1+b2・(S1-S3)+b3・(S2-S4)+b4・(S1-S3)2+b5・(S1-S3)(S2-S4)+b6・(S2-S4)2
【0077】
また図11に示す比較例3は、押圧センサ5の規格化出力S1−押圧センサ8の規格化出力S4の差分(S1−S4)、及び押圧センサ6の規格化出力S2−押圧センサ7の規格化出力S3の差分(S2−S3)を用いて2次の重回帰式(以下の数式9)による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合である。
【0078】
(数式9)
X=a1+a2・(S1-S4)+a3・(S2-S3)+a4・(S1-S4)2+a5・(S1-S4)(S2-S3)+a6・(S2-S3)2
Y=b1+b2・(S1-S4)+b3・(S2-S3)+b4・(S1-S4)2+b5・(S1-S4)(S2-S3)+b6・(S2-S3)2
【0079】
図11に示すように比較例1〜比較例3ではいずれの場合も算出された押圧点が実際の押圧点から大幅にずれてしまい、特に算出された押圧点が実際の押圧点のような略格子状に並ばなくなった。このように、比較例1〜比較例3では、算出された押圧点と実際の押圧点との位置座標ずれが、図6のように規格化出力を用いて2次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出した場合に比べて大きくなった。
【0080】
したがって、規格化出力の差分の使用は、3次以上の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出する場合に限定される。
【0081】
また図12(a)は、押圧センサ5の規格化出力S1−押圧センサ6の規格化出力S2の差分(S1−S2)、及び押圧センサ7の規格化出力S3−押圧センサ8の規格化出力S4の差分(S3−S4)を用いて3次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出したシミュレーション結果、図12(b)は、押圧センサ5の規格化出力S1−押圧センサ7の規格化出力S3の差分(S1−S3)、及び押圧センサ6の規格化出力S2−押圧センサ8の規格化出力S4の差分(S2−S4)を用いて3次の重回帰式による多項式近似により押圧点の位置座標を算出したシミュレーション結果である。
【0082】
図12に示すようにいずれも算出された押圧点が実際の押圧点から大幅にずれてしまい、特に算出された押圧点が実際の押圧点のような略格子状に並ばなくなった。このように、3次以上の重回帰式にて使用する変数は、対角線上にて対向配置された押圧センサの規格化出力の差分(S1−S4,S2−S3)を用いることが必要であるとわかった(図7〜図9参照)。なお、図14のように各押圧センサ5〜8を配置した場合は、Y1−Y2方向で対向する押圧センサ5と押圧センサ8との差分(S1−S4)及びX1−X2方向で対向する押圧センサ6と押圧センサ7との差分(S2−S3)を使用する。
【0083】
本実施形態における入力装置1の特徴的部分は、キャリブレーションモードを備え、前記キャリブレーションモード時に、重回帰式の項数よりも数の多い操作面4a上の各キャリブレーション押圧点p01〜p35を押圧操作させ、各キャリブレーション押圧点p01〜p35を夫々押圧操作した際に得られる各押圧センサを足して各押圧点p01〜p35での全出力を算出し、前記各押圧点p01〜p35での各センサ出力を、前記各押圧点p01〜p35での全出力で割って各規格化出力を算出し、前記各キャリブレーション押圧点p01〜p35の位置座標と前記各規格化出力との出力データに基づいて、補正係数を算出するキャリブレーション方法、及び前記キャリブレーションモードを実行可能な制御部2を備えた点にある。
【0084】
本実施形態では、上記したように、各押圧センサ5〜8の各センサ出力を全出力で割って規格化している。これにより簡単に規格化出力を算出できる。
【0085】
そしてキャリブレーション押圧点p01〜p35の位置座標と、各規格化出力との出力データを用いて各補正係数a1〜a15,b1〜b15を求めている。このため、キャリブレーションモードにおいて、各補正係数a1〜a15,b1〜b15を算出する際、センサ出力がどれだけの荷重により得られたものか問題ではなくなる。すなわち本実施形態では補正係数を算出する際に荷重パラメータは必要ではなく荷重測定の必要がない。よってキャリブレーションの際のユーザーに対する負担を低減でき、また荷重測定装置も必要なくなる。なおキャリブレーションはユーザーが行うものでなく、専用装置などを用いて行うことができるようにしてもよい。ただしいずれにしてもどれだけの荷重で押圧したかを測定する必要性がないためキャリブレーションを簡単にできる。
【0086】
本実施形態では、各キャリブレーション押圧点p01〜p35を押圧した際の正常測定の判断基準は、例えば各キャリブレーション押圧点p01〜p35を押圧し、各押圧センサ5〜8から得られた全出力が図13に示すデータ取得範囲内に入ったら測定が正常と判断し、このとき正常と判断されたキャリブレーション押圧点の色が変化したりあるいは点滅したりするなどして、ユーザーに正常に測定が行われたことを知らせることが出来る。
【0087】
図15に示す比較例の場合、ステップST15でキャリブレーション押圧点に荷重を印加したとき、予め決められた荷重が印加されたときに初めて正常な測定と判断され、ステップST16で得られた測定結果が保存される。そしてステップST17で補正値の算出が行われるが、図16に示すように実使用の際、図5に示す本実施形態のようにキャリブレーションを行うことができない。すなわち図16に示すようにステップST18のときに、各押圧センサのセンサ出力を測定し、ステップST19では、図15のステップST17で得られた補正値を用いて、押圧点の位置座標を算出することができる。しかしながら図15,図16に示す比較例の構成では、補正値の変更に荷重パラメータが入るため荷重測定機能がないと、キャリブレーションを行うことが不可能となっている。
【0088】
これに対して本実施形態では、各センサ出力を全出力で割って規格化することで、補正値(補正係数)の算出に荷重パラメータが入らず、したがって図5のように、ユーザー等がキャリブレーションモードを選択して簡単且つ自由に補正値(補正係数)の変更を行うことが可能である。よって、経時変化により各押圧センサ5〜8の各感度が変化等して、押圧点の検出精度が低下したとき、各補正係数a1〜a15,b1〜b15の再設定を簡単に行える。
【0089】
本実施形態におけるキャリブレーションにおいては、重回帰式は1次であってもよい。1次の場合、図10に示すように、算出された押圧点と実際の押圧点とのばらつきが大きくなるが、例えばY1−Y2方向の中央におけるX1−X2方向では算出された押圧点が実際の押圧点にほぼ一致した部分もある。入力装置の使用用途等により、どの部分の押圧点の検出精度が求められるかによるため1次の重回帰式の補正係数を求めるキャリブレーションにも本実施形態を使用できる。
【0090】
ただし2次以上の重回帰式を用いることが好ましい。これによりキャリブレーションを行って補正係数の適正化を行うことで、押圧点の検出精度をより効果的に向上させることができる。
【0091】
また本実施形態では対向配置された各押圧センサの各規格化出力の差分を用いることで、各押圧センサのリニアリティ性が劣るなどして算出誤差が生じるとき、上記したように、対向配置された各押圧センサの各規格化出力の差分を用いることで前記算出誤差を小さくできる。これによりキャリブレーションを行って補正係数の適正化を行うことで、押圧点の検出精度をより効果的に向上させることができる。ただし差分を変数を用いる場合は3次以上の重回帰式に限る。
【0092】
また差分を使用することで、重回帰式の項数を減らすことができ制御部に対する算出負担を軽減できる。
【0093】
なお本実施形態では図16のステップST19ではさらに荷重の重心位置等を求める算出を行ってもよい。
【符号の説明】
【0094】
p00 押圧点(使用時)
p01〜p35 キャリブレーション押圧点
1 入力装置
2 制御部
4 操作パネル
4a 操作面
5〜8 押圧センサ
20 画像表示装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作パネルと、
前記操作パネルの操作面に対する裏面側に配置された複数の押圧センサと、
押圧点の位置座標を算出する際に使用する重回帰式の補正係数を求めるためのキャリブレーションモードを実行可能な制御部と、を有し、
前記制御部では、前記重回帰式の項数よりも数の多い前記操作面上の複数のキャリブレーション押圧点を押圧操作させ、各キャリブレーション押圧点を夫々押圧操作した際に得られる各押圧センサの各センサ出力を足して各キャリブレーション押圧点での全出力を取得し、前記各キャリブレーション押圧点での前記各センサ出力を、前記各キャリブレーション押圧点での全出力で割って各規格化出力を算出し、前記各キャリブレーション押圧点の位置座標と前記各規格化出力との出力データに基づいて、前記補正係数を算出することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
2次以上の重回帰式が用いられる請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記押圧センサは、前記操作面の周囲部に異なる2方向にて対向配置されており、前記対向配置された各押圧センサの各規格化出力の差分を算出し、各差分を用いて3次以上の重回帰式の前記補正係数を算出する請求項2記載の入力装置。
【請求項4】
前記押圧センサは、前記操作面の周囲部の四隅に配置され、あるいは、前記操作面の略中心を通って直交するX方向及びY方向を前記2方向として対向配置されている請求項3記載の入力装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記操作面上の押圧点を前記重回帰式による多項式近似により算出する通常モードと、前記キャリブレーションモードとを切換可能に制御する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記各規格化出力の算出は、前記全出力が所定範囲内に入ったとき実行される請求項1ないし5のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項7】
操作面に対する裏面側に複数の押圧センサが配置された操作パネルを有する入力装置の、押圧点の位置座標を算出する際に使用する重回帰式の補正係数を求めるためのキャリブレーションモード時、
前記重回帰式の項数よりも数の多い前記操作面上の各キャリブレーション押圧点を押圧操作させるステップと、
各キャリブレーション押圧点を夫々押圧操作した際に得られる各押圧センサを足して各キャリブレーション押圧点での全出力を算出し、前記各キャリブレーション押圧点での前記各センサ出力を、前記各キャリブレーション押圧点での全出力で割って各規格化出力を算出するステップと、
前記各キャリブレーション押圧点の位置座標と前記各規格化出力との出力データに基づいて、前記補正係数を算出するステップと、
を有することを特徴とする入力装置のキャリブレーション方法。
【請求項8】
2次以上の重回帰式を用いる請求項7記載の入力装置のキャリブレーション方法。
【請求項9】
前記押圧センサは、前記操作面の周囲部に異なる2方向にて対向配置されており、前記対向配置された各押圧センサの各規格化出力の差分を算出し、各差分を前記出力データとして3次以上の前記重回帰式の各補正係数を算出する請求項8記載の入力装置のキャリブレーション方法。
【請求項10】
前記制御部では、前記操作面上の押圧点を前記重回帰式による多項式近似により算出する通常モードと、前記キャリブレーションモードとを切換可能に制御する請求項7ないし9のいずれか1項に記載の入力装置のキャリブレーション方法。
【請求項11】
前記各規格化出力の算出を、前記全出力が所定範囲内に入ったとき実行する請求項7ないし10のいずれか1項に記載の入力装置のキャリブレーション方法。
【請求項1】
操作パネルと、
前記操作パネルの操作面に対する裏面側に配置された複数の押圧センサと、
押圧点の位置座標を算出する際に使用する重回帰式の補正係数を求めるためのキャリブレーションモードを実行可能な制御部と、を有し、
前記制御部では、前記重回帰式の項数よりも数の多い前記操作面上の複数のキャリブレーション押圧点を押圧操作させ、各キャリブレーション押圧点を夫々押圧操作した際に得られる各押圧センサの各センサ出力を足して各キャリブレーション押圧点での全出力を取得し、前記各キャリブレーション押圧点での前記各センサ出力を、前記各キャリブレーション押圧点での全出力で割って各規格化出力を算出し、前記各キャリブレーション押圧点の位置座標と前記各規格化出力との出力データに基づいて、前記補正係数を算出することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
2次以上の重回帰式が用いられる請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記押圧センサは、前記操作面の周囲部に異なる2方向にて対向配置されており、前記対向配置された各押圧センサの各規格化出力の差分を算出し、各差分を用いて3次以上の重回帰式の前記補正係数を算出する請求項2記載の入力装置。
【請求項4】
前記押圧センサは、前記操作面の周囲部の四隅に配置され、あるいは、前記操作面の略中心を通って直交するX方向及びY方向を前記2方向として対向配置されている請求項3記載の入力装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記操作面上の押圧点を前記重回帰式による多項式近似により算出する通常モードと、前記キャリブレーションモードとを切換可能に制御する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記各規格化出力の算出は、前記全出力が所定範囲内に入ったとき実行される請求項1ないし5のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項7】
操作面に対する裏面側に複数の押圧センサが配置された操作パネルを有する入力装置の、押圧点の位置座標を算出する際に使用する重回帰式の補正係数を求めるためのキャリブレーションモード時、
前記重回帰式の項数よりも数の多い前記操作面上の各キャリブレーション押圧点を押圧操作させるステップと、
各キャリブレーション押圧点を夫々押圧操作した際に得られる各押圧センサを足して各キャリブレーション押圧点での全出力を算出し、前記各キャリブレーション押圧点での前記各センサ出力を、前記各キャリブレーション押圧点での全出力で割って各規格化出力を算出するステップと、
前記各キャリブレーション押圧点の位置座標と前記各規格化出力との出力データに基づいて、前記補正係数を算出するステップと、
を有することを特徴とする入力装置のキャリブレーション方法。
【請求項8】
2次以上の重回帰式を用いる請求項7記載の入力装置のキャリブレーション方法。
【請求項9】
前記押圧センサは、前記操作面の周囲部に異なる2方向にて対向配置されており、前記対向配置された各押圧センサの各規格化出力の差分を算出し、各差分を前記出力データとして3次以上の前記重回帰式の各補正係数を算出する請求項8記載の入力装置のキャリブレーション方法。
【請求項10】
前記制御部では、前記操作面上の押圧点を前記重回帰式による多項式近似により算出する通常モードと、前記キャリブレーションモードとを切換可能に制御する請求項7ないし9のいずれか1項に記載の入力装置のキャリブレーション方法。
【請求項11】
前記各規格化出力の算出を、前記全出力が所定範囲内に入ったとき実行する請求項7ないし10のいずれか1項に記載の入力装置のキャリブレーション方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−97628(P2013−97628A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240679(P2011−240679)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
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