説明

入力装置及びゲーム装置

【課題】操作入力状態についての分解能を容易に向上させること。
【解決手段】圧力センサ110は、流体の圧力を検出する。ラバー部材120の頂部124は、圧力センサ110から離間して配置され、操作入力の作用により弾性変形する。ラバー部材120は、頂部124の弾性変形に伴って変形する空洞部121を圧力センサ110と頂部124との間に形成し、空洞部121内の流体の圧力を頂部124の弾性変形の程度に応じて変化させる。圧力センサ110は、空洞部121内の流体の圧力の検出結果を示す信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータにより実行されているゲームアプリケーションを操作するための入力装置、特に手持ち式の入力装置に関し、また、この入力装置を備えたゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲームアプリケーション(以下、単に「ゲーム」という)の操作に用いられる入力装置は一般に、押しボタン等の操作入力部を備えており、操作入力部によるユーザの操作入力状態(押しボタンの場合は押下状態)に応じた電気信号を生成するよう構成されている。
【0003】
図1は、従来の入力装置の第1の構成例を示す。この入力装置では、基板(図示せず)上の電気配線1の電極部1aに対して接離可能な接点部2として導電性ゴム部材がボタン3の下部に設けられている。図1(a)に示すように、ボタン3が押されず、接点部2が電極部1aから分離しているときには、電気配線1において電気信号の導通が得られない。そのため、操作入力はオフと判定される。一方、図1(b)に示すように、ボタン3が押されて、接点部2が電極部1aに接触しているときには、電気信号の導通が得られるため、操作入力はオンと判定される。すなわち、この入力装置は、操作入力状態について二段階の分解能を有しており、ボタン3が押された状態及びボタン3が押されていない状態の、2つの状態を判別可能である。
【0004】
また、多段階の分解能を有する入力装置も知られている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
図2は、多段階の分解能を有する、従来の入力装置の第2の構成例を示す。この入力装置では、ボタン3の下部に設けられた接点部2としての導電性ゴム部材と接触する電極部1bが、図2(a)に示すように櫛歯形状となっており、接点部2と接触する櫛歯数が、ボタン3を押す力の強度によって変化する。図2(b)に示すように、ボタン3が弱く押された場合には、接点部2と接触する電極部1bの範囲は狭く、接点部2と接触する櫛歯数は少ない。そのため、電気信号の導通は得られるものの接点部2と電極部1bとの間の抵抗値が高くなり、電気信号の信号レベルが低くなる。よって、操作入力はオンと判定されると共に操作入力レベルは例えば弱と判定される。一方、図2(c)に示すように、ボタン3が強く押された場合には、接点部2と接触する電極部1bの範囲は広く、接点部2と接触する櫛歯数は多い。そのため、接点部2と電極部1bとの間の抵抗値が低くなり、電気信号の信号レベルが高くなる。よって、操作入力レベルは例えば強と判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2003−512142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記第2の構成例の入力装置においては、操作入力状態についての分解能が、電極部に形成された櫛歯数に依存するため、電極部に形成する櫛歯数を増やすことで分解能の向上が可能と考えられる。
【0008】
しかしながら、例えば押しボタンの場合は指一本で操作可能なサイズとする等、操作入力部は、小サイズとすることが求められる。これに伴い、接点部と接触する電極部は、狭小な領域に形成する必要がある。そのため、実際には電極部に形成可能な櫛歯数は数個程度に限定される。すなわち、操作入力状態についての分解能は、通常は数段階程度であり、そこから飛躍的に向上させることは困難である。
【0009】
本発明の目的は、操作入力状態についての分解能を向上させることができる入力装置及びこれを備えたゲーム装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の入力装置は、
流体の圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサから離間して配置され、操作入力の作用により弾性変形する変形部材と、
前記変形部材の弾性変形に伴って変形する空間を前記圧力センサと前記変形部材との間に形成し、前記空間内の流体の圧力を前記変形部材の弾性変形の程度に応じて変化させる圧力発生部と、を有し、
前記圧力センサは、前記空間内の流体の圧力の検出結果を示す信号を出力する。
【0011】
本発明のゲーム装置は、
上記の入力装置と、
ゲームアプリケーションを実行する演算部を有するゲーム装置本体と、を有し、
前記入力装置は、前記検出結果を前記ゲーム装置本体に通知し、
前記演算部は、前記検出結果から前記ゲームアプリケーションの制御パラメータを算出し、算出された制御パラメータに基づいて前記ゲームアプリケーションを制御する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操作入力状態についての分解能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来の入力装置の第1の構成例を示す図であり、(a)はボタンが押されていない状態を示し、(b)はボタンが押された状態を示す。
【図2】従来の入力装置の第2の構成例を示す図であり、(a)はボタンが押されていない状態を示し、(b)はボタンが弱く押された状態を示し、(c)はボタンが強く押された状態を示す。
【図3】本発明の実施の形態1に係る入力装置の外観を示す図である。
【図4】図3に示す操作入力部の要部構成を示す図である。
【図5】図4に示す圧力センサを含む回路構成を示すブロック図である。
【図6】図4に示すラバー部材の外観を示す図であり、(a)は上面斜視図であり、(b)は下面斜視図であり、(c)は上面図であり、(d)は断面図である。
【図7】図4の操作入力部による操作入力を説明するための図であり、(a)はラバー部材が弱く押された状態を示し、(b)はラバー部材が強く押された状態を示す。
【図8】図5に示す各圧力センサからのデータ取得手順を示すフロー図である。
【図9】図8の手順によるデータ取得のタイミング図である。
【図10】図3の入力装置を含むゲーム装置の構成を示す図である。
【図11】図10のゲーム装置におけるゲーム制御手順を示すフロー図である。
【図12】図4の操作入力部の構成の第1の変形例を示す図であり、(a)は上面斜視図であり、(b)は下面斜視図であり、(c)は上面図であり、(d)は断面図である。
【図13】図4の操作入力部の構成の第2の変形例を示す図である。
【図14】図4の操作入力部の構成の第3の変形例を示す図であり、(a)は上面斜視図であり、(b)は下面斜視図であり、(c)は上面図であり、(d)は断面図である。
【図15】図4の操作入力部の構成の第4の変形例を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態2に係る入力装置の外観を示す図である。
【図17】図16に示す照度センサからのデータ取得の手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図3は、本発明の実施の形態1に係る入力装置の外観を示す。この入力装置100は、ゲームを実行するゲーム装置150(図10参照)においてコントローラ又はリモコンとして用いられる手持ち式の入力装置である。
【0015】
入力装置100は、筐体101の左右両側101L、101Rを両手で持ったときに左手親指で操作可能な位置に、操作入力部102A、102B、102C、102Dを備えている。また、入力装置100は、左右両側101L、101Rを両手で持ったときに右手親指で操作可能な位置に、操作入力部102E、102Fを備えている。操作入力部102A〜102Fはいずれも押しボタン式であり、これらの配置は、選択、決定及び方向指示等のための操作入力に適した配置となっている。以下の説明において、個々の操作入力部102A〜102Fを区別せずに述べる場合には、「操作入力部102」という。
【0016】
図4は、操作入力部102の要部構成を示す断面図である。
【0017】
操作入力部102は、圧力センサ110及びラバー部材120を有する。以下の説明において、操作入力部102A〜102Fにそれぞれ割り当てられている圧力センサ110を区別して述べる場合には、「圧力センサ110A〜110F」という。
【0018】
圧力センサ110は、筐体101内に保持された基板(図示せず)上に配置されている。この基板上では、図5に示すように、圧力センサ110A〜110Fが、電気配線TRを介してマイコンMC(信号処理部)に電気的に接続されている。
【0019】
圧力センサ110は、図4に示すように、基板に装着された台座111と、台座111上に固定されたセンサチップ112及び制御IC(Integrated Circuit)113と、センサチップ112及び制御IC113を覆って台座111上に固定されたカバー114と、を有する。
【0020】
センサチップ112は、MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)プロセス技術を用いて、チップ中央部のシリコンダイアフラム(以下、単に「ダイアフラム」という)112a上にゲージ抵抗等(図示せず)を形成することによって、構成されている。
【0021】
ダイアフラム112aは、台座111に形成された孔111aを介して圧力センサ110に導入される空気の圧力と、カバー114に形成された孔114aを介して圧力センサ110に導入される空気の圧力と、の差圧に反応して変形する。ここで、孔111aは、大気に連通しており、孔114aは、後述する空洞部121に連通しているため、ダイアフラム112aは、大気圧PAと空洞部121内の空気の圧力(以下「内圧」という)PIとの差圧PDに反応する。
【0022】
差圧PDに反応して変形するダイアフラム112a上のゲージ抵抗の抵抗値は、その変形により変化するため、センサチップ112は、差圧PDの変化に応じて信号レベルが変化するアナログ信号を生成することができる。このようにして、センサチップ112は、内圧PIについての検出結果として差圧PDを示すアナログ信号を生成し、これを制御IC113に出力する。
【0023】
制御IC113は、センサチップ112から入力されるアナログ信号に対して増幅及びAD(analog-digital)変換等の信号処理を行う。これにより、制御IC113は、内圧PIについての検出結果として差圧PDを示すディジタル信号(以下「データ」という)を生成し、これをマイコンMCに出力する。
【0024】
ラバー部材120は、弾性変形可能な部材であり、単体で帽子のような形状となるように中空に成形されており、圧力センサ110を覆って配置されている。
【0025】
具体的には、図4及び図6に示すように、筐体101内の基板(図示せず)上に平面状に延在する底部122からは、圧力センサ110の上方の空間を囲むように壁部123が立設されている。そして、底部122の、圧力センサ110に対応する位置には、開口部122aが形成されている。すなわち、空洞部121は、下方(基板側)に開口する形状となっている。ラバー部材120は、空洞部121の開口(つまり開口部122a)が圧力センサ110で塞がれるように配置されているため、空洞部121内の空気を圧力センサ110のカバー114の上面によって下方から閉じ込めることができる。
【0026】
また、壁部123の上端部から延在する頂部124は、空洞部121を上方から覆うように配置されているため、この頂部124によって、空洞部121内の空気を上方から閉じ込めることができる。
【0027】
頂部124は、筐体101の外部から直接押下することができるように、外部に露出されて配置されている。頂部124は、外部から指で押すと下方に撓み、指を放すと上方に戻る。
【0028】
すなわち、頂部124は、圧力センサ110から離間して配置され、操作入力の作用により弾性変形する変形部材を構成する。
【0029】
壁部123は、空洞部121が段付き形状となるように形成されており、上段側の空洞部121は幅狭(幅狭部121a)となっており、下段側の空洞部121は幅広(幅広部121b)となっている。
【0030】
幅広部121bにおいては、頂部124が外部から押されていないときに空洞部121を大気と連通させる空隙部が、幅広部121bの天面121cとカバー114の上面との間に形成される。頂部124が外部から押されると、その押圧力を受けた壁部123は弾性変形によって下方に圧縮され、天面121cを下方に移動させカバー114の上面に密着させる。これにより上記の空隙部は潰され、空洞部121の一部分、具体的には幅狭部121aが密封される。
【0031】
幅狭部121aが密封されると、以下説明するように、幅狭部121aの圧縮、そして空洞部121の内圧PIと大気圧PAとの差圧PDの発生を、可能とすることができる。換言すれば、頂部124を押下する操作入力が行われず、空洞部121が密封されないときには、これらは不可能である。そのため、操作入力の作用によらない差圧PDの発生を防ぐことができる。したがって、差圧PDが発生したときに操作入力が行われたものと認識して作動するよう構成されたゲーム装置150(図10参照)において、誤作動を防止することができる。
【0032】
頂部124が外部からさらに押されると、その押圧力を受けた頂部124は弾性変形によって下方に撓み、幅狭部121aの天面121dを下方に移動させ幅狭部121aを圧縮させる。これにより、空洞部121の内圧PIが大気圧PAに比べて高くなり、差圧PDが発生する。
【0033】
ここで、押圧力の強度が比較的低い場合、頂部124の弾性変形は小規模となり、内圧PIの上昇は小幅となるが、押圧力の強度が高い場合、頂部124の弾性変形は大規模となり、内圧PIの上昇は大幅となる。すなわち、ラバー部材120は、頂部124の弾性変形に伴って変形する空間(空洞部121)を圧力センサ110と頂部124との間に形成し、空洞部121の内圧PIを頂部124の弾性変形の程度に応じて変化させる圧力変化部を構成する。
【0034】
上記構成を有する操作入力部102において、頂部124が弱く押下されると、図7(a)に示すように、頂部124は小さく変形し、幅狭部121aを少し圧縮させるため、内圧PIは小幅に上昇する。ダイアフラム112aは、孔114aを介して導入される空気の圧力(つまり内圧PI)が、孔111aを介して導入される空気の圧力(つまり大気圧PA)よりも少しだけ高くなったことに応答して、少しだけ変形する。その結果として、制御IC113に入力されるアナログ信号には、差圧PDが低いことが示され、制御IC113からは、低い差圧PDが検出されたことを示すデータが出力される。よって、マイコンMC、又はゲーム装置本体160のCPU(Central Processing Unit)162(図10参照)では、操作入力レベルが弱であると判定することができる。
【0035】
また、頂部124が強く押下されると、図7(b)に示すように、頂部124は大きく変形し、幅狭部121aを大きく圧縮させるため、内圧PIは大幅に上昇する。ダイアフラム112aは、内圧PIが大気圧PAよりも大幅に高くなったことに応答して、大きく変形する。その結果として、制御IC113に入力されるアナログ信号には、差圧PDが高いことが示され、制御IC113からは、高い差圧PDが検出されたことを示すデータが出力される。よって、マイコンMC又はCPU162(図10参照)では、操作入力レベルが強であると判定することができる。
【0036】
一般に、ダイアフラムを用いて、流体の圧力の検出、特に特定空間内の空気圧と大気圧との差圧の検出を行う圧力センサでは、信号レベルがダイアフラムの歪みの大きさに対してリニアな特性を示すアナログ信号を得ることができる。よって、このような圧力センサにおける圧力検出の分解能は、内蔵又は外付けのADコンバータの性能つまりビット数で決まる。例えば、ADコンバータが4ビットでAD変換を行う場合は分解能は2=16段階となり、8ビットであれば2=256段階となり、12ビットであれば212=4096段階となる。このように、通常の性能を有するADコンバータを圧力センサに内蔵させ又は圧力センサと併用するだけでも、圧力検出の分解能を飛躍的に向上させることができる。したがって、本実施の形態において、このような圧力センサを圧力センサ110として採用すれば、従来に比べて、操作入力状態についての分解能を向上させることができる。
【0037】
なお、本実施の形態では、空洞部121内の空気が圧力検出の対象となっている。換言すれば、圧力検出対象の流体は空気である。空洞部121内に空気以外の気体或いは液体を導入させてその気体或いは液体を圧力検出対象とする構成を採用しても良いが、その場合は操作入力部102の構成が複雑化するため、空気を圧力検出の対象とすることが好ましい。
【0038】
また、本実施の形態では、圧力変化に応じて変形しその変形に応じて信号レベルが変化するアナログ信号を発生させるダイアフラム型の構成を圧力センサ110に適用した場合を例にとって説明しているが、他の構成を圧力センサ110に適用しても良い。例えば、感圧部の構成として、ダイアフラム型の構成に代えて静電容量型の構成を採用しても良い。
【0039】
また、本実施の形態では、大気圧PAと空洞部121の内圧PIとの差圧PDを検出しているが、空洞部121の内圧PIそのものを検出しても良い。この場合は、絶対圧センサを採用しても良い。絶対圧センサは、ダイアフラム型の場合も静電容量型の場合も、感圧部の片面側を真空密封することで形成される基準室の圧力(真空のため圧力はゼロ)と他面側の印加圧力(本実施の形態では内圧PI)との差を検出する構成を有する。なお、内圧PIは大気圧PAの変動を原因として変動し得るため、上記構成においては、大気圧PAの変動による影響を検出値から取り除く計算を行うことが好ましい。
【0040】
上記構成をそれぞれ有している操作入力部102A〜102Fに搭載されている圧力センサ110A〜110Fと、マイコンMCとの間の通信は、図8に示す手順で行われる。
【0041】
ステップS11では、マイコンMCがデータ取得命令を同時に各圧力センサ110A〜110Fに対して電気配線TRを介して送信する。ステップS12では、圧力センサ110A〜110Fの制御IC113A〜115F(図5参照)はそれぞれ、データ取得命令を受信した時点にセンサチップ112A〜112F(図5参照)において生成されたアナログ信号を、内蔵のADコンバータによってディジタル信号(データ)に変換する。そして、ステップS13では、各圧力センサ110A〜110Fは、取得されたデータをマイコンMCに送信する。なお、上記のAD変換は、外付けのADコンバータを用いて行っても良い。
【0042】
上記手順では、各圧力センサ110A〜110Fに対するデータ取得命令が同時に出されるため、マイコンMCは、図9に示すように、各圧力センサ110A〜110Fから同時にデータを取得することができる。したがって、マイコンMCがデータ取得命令を各圧力センサ110A〜110Fに対して順番に送信する場合に比べて、全圧力センサ110A〜110Fからのデータ取得にかかる時間を短縮することができ、入力装置100の操作性を向上させることができる。
【0043】
入力装置100は、図10に示すように、ゲーム装置150においてコントローラ又はリモコンとして用いられる。入力装置100は、ゲームを実行するCPU162(演算部)を備えたゲーム装置本体160に有線又は無線の伝送路170を介してデータを送信することによって、ゲームを制御することができる。例えば、ゲーム装置本体160と接続されたディスプレイ装置180に表示されているゲームの画像に対し、差圧PDを示すデータに基づく画像処理を施すことができる。
【0044】
図11は、ゲーム装置150におけるゲーム制御手順を説明するためのフロー図である。ここでは、制御対象の処理がディスプレイ装置180の表示画像に対する画像処理である場合を例にとり、ゲームがドライビングゲームである場合を例にとる。
【0045】
まず、各圧力センサ110A〜110Fが、差圧PDを示すアナログ信号を生成し(ステップS21)、AD変換によりこの信号から差圧PDを示すデータを生成する(ステップS22)。各圧力センサ110A〜110Fのデータを取得したマイコンMCは、通信モジュール(図示せず)を用いてこのデータをゲーム装置本体160に送信する(ステップS23)ことによって、差圧PDをゲーム装置本体160に通知する。
【0046】
入力装置100からのデータ受信(ステップS24)によって差圧PDの通知を受けたゲーム装置本体160において、CPU162は、差圧PDからドライビングゲームの制御パラメータを算出する(ステップS25)。この例で算出される制御パラメータは、アクセルペダル踏み込み量、ブレーキペダル踏み込み量、及びハンドル操舵角である。
【0047】
例えば、方向キーを構成する4つの操作入力部102A〜102Dに含まれる圧力センサ110A〜110Dのデータに示された差圧PDの組合せからは、ハンドル操舵角を算出することができる。また、並置された2つの操作入力部102E、102Fのうち右側の操作入力部102Fに含まれる圧力センサ110Fのデータに示された差圧PDからは、アクセルペダル踏み込み量を算出することができる。また、左側の操作入力部102Eに含まれる圧力センサ110Eのデータに示された差圧PDからは、ブレーキペダル踏み込み量を算出することができる。
【0048】
そして、CPU162は、その算出結果に基づいてベクトル演算(車両の進行方向及び走行速度)を行って車両の移動距離を算出する(ステップS26)。そして、CPU162は、その算出結果に基づく画像をディスプレイ装置180に表示させる(ステップS27)。
【0049】
このようにして、操作入力部102A〜102Fでの押圧の強度を表す差圧PDからゲームの制御パラメータを得ることができ、この制御パラメータを用いてゲームの画像処理等の制御を行うことができる。したがって、操作入力部102A〜102Fでの押圧の強度を、実行中のゲームに反映させることができる。
【0050】
以上説明したように、本実施の形態によれば、空洞部121が、操作入力の作用により弾性変形する頂部124と圧力センサ110との間に設けられており、空洞部121が頂部124の弾性変形に伴って変形し、その内圧PIが頂部124の弾性変形の程度に応じて変化する。したがって、圧力センサ110で内圧PIについての検出結果を得ることによって、操作入力状態を判定することができる。ここで、圧力センサ110は流体圧力検出用の圧力センサである。既述の通り、一般的な流体圧力検出用の圧力センサを圧力センサ110として採用することで、容易に操作入力状態についての分解能を著しく向上させることができる。操作入力状態をゲーム操作に詳細に反映させることができるため、ユーザに快適なゲーム操作の環境を提供することができる。
【0051】
また、本実施の形態では、ラバー部材120を圧力センサ110に被せることで、操作入力部102を構成している。ラバー部材120は、下方に開口する空洞部121が形成された中空部材であり、ラバー部材120の頂部124が、空洞部121を上方から覆っており、操作入力の作用により弾性変形して空洞部121の変形及び内圧PIの変化を生じさせる部材を成している。よって、空洞部121の開口が圧力センサ110によって塞がれるようにラバー部材120を圧力センサ110に被せるだけで、空洞部121が圧力センサ110と頂部124との間に配置された構成の操作入力部102を容易に形成することができる。
【0052】
なお、操作入力部102の構成は、適宜変更して実施することができる。
【0053】
例えば、図12に示すように、ラバー部材120は、方向キーを構成する4つの操作入力部102A〜102Dに含まれる圧力センサ110A〜110D全てを覆うことができるように複数の空洞部121が形成されていても良い。
【0054】
また、図13に示すように、複数の空洞部121を有する一体のラバー部材120の上面に、指で押しやすくするように隆起部125が形成されていても良い。
【0055】
また、図14に示すように、壁部123の外側面が、くびれた形状(くびれ部126)となっていても良い。この場合は、頂部124を押下するときにくびれ部126が上下方向に拡がるため、頂部124が下方に撓みやすくなる。
【0056】
また、図15に示すように、ラバー部材120にカバー130を被せるようにしても良い。この場合は、ユーザがラバー部材120の頂部124を直接押下しなくても、カバー130を押下すればその作用によりラバー部材120の頂部124を押下することができる。この場合は、ラバー部材120が外部に露出しないため、ラバー部材120を保護することができる。
【0057】
また、入力装置100が備える操作入力部102の個数は、6つより多くても良いし少なくても良い。また、操作入力部102A〜102Fの少なくともいずれかが、筐体101の上面以外の場所に設けられていても良い。
【0058】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2に係る入力装置について説明する。なお、本実施の形態の入力装置は、上記実施の形態の入力装置と基本的に同様の構成を有する。よって、本実施の形態においては、上記実施の形態で説明したものと同一の構成要素には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略し、上記実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0059】
図16に示すように、本実施の形態の入力装置200は、発光部としてのLED(Light Emitting Diode)201と、LED201に隣接して配置された照度センサ202と、から成る光学式操作入力部を有する点で、実施の形態1の入力装置100と相違する。
【0060】
図17に示すように、LED201は、マイコンMCから入力される発光制御信号に従って、筐体101の外部に向けて一定の範囲に拡散する光を発光する。この光は、所定の波長λ及び所定の輝度を有している。何らかの反射体RがLED201に近接している場合、LED201からの出射光の少なくとも一部は、この反射体Rにより反射されて照度センサ202に入射する。
【0061】
照度センサ202は、LED201からの出射光と同一の波長λを有する入射光の照度を検出して、この照度を示すディジタル信号(照度データ)を生成して、照度データをマイコンMCに送信する。
【0062】
上記構成により、例えばユーザが入力装置200を手で持ったときには、ユーザの手が反射体Rとなり、LED201からの出射光を反射して照度センサ202に入射させることができる。
【0063】
なお、上記構成においては、LED201からの出射光が直接照度センサ202に入射しないようにすることが好ましい。
【0064】
ここで、上記構成を用いた制御例を幾つか説明する。
【0065】
第1の例としては、ゲーム装置本体160の電源がオフであるときに、波長λの照度が所定レベル以上上昇したことに応答して、入力装置200からゲーム装置本体160へ、電源オンを指示する信号を送信するようにしても良い。この場合、ユーザが電源ボタンを押す動作をしなくても、ユーザが入力装置200を手に持つだけで、ゲーム装置本体160の電源を自動的にオンにすることができる。なお、この例の場合は、例えば筐体101の左右両側101L、101Rのように、ユーザが入力装置200を使用する際に手で持つ場所に、光学式操作入力部を配置することが好ましい。
【0066】
第2の例としては、入力装置200が通常の動作モードであるときに、波長λの照度が所定レベル以上上昇したことに応答して、入力装置200をスリープモードに移行させる制御をマイコンMCにおいて行うようにしても良い。この場合、入力装置200の使用を止めたユーザが入力装置200を床或いはテーブル等に置くだけで、入力装置200を自動的にスリープモードに移行させることができる。したがって、最後の操作入力から一定時間経過ときにスリープモードに移行させる従来のモード制御と異なり、一定時間経過を待機する必要性をなくすことができる。なお、この例の場合は、例えば筐体101の下部のように、ユーザが入力装置200を例えば床に置く際に床面に対向する場所に、光学式操作入力部を配置することが好ましい。
【0067】
第3の例としては、波長λの照度の変化を基に、ゲーム装置本体160のCPU162において、入力装置200と周囲の物体との距離の変化或いは入力装置200の傾きの変化を推定し、推定結果を基にゲームの制御を行うようにしても良い。この場合は、フライトゲームが実行されていると仮定すると、ユーザが自分の胸元に入力装置200を近づけたときに、飛行機の操縦桿を手前に引き寄せる動作が行われたと判断することができる。また、釣りゲームが実行されていると仮定すると、ユーザが入力装置200を寝かせた状態から立てた状態に動かしたときに、釣り竿を立てる動作が行われたと判断することができる。すなわち、飛行機操縦及び釣りにおける実際の動作に近い疑似的動作により、操作入力を行うことができる。なお、この例の場合は、あらゆる動作に対応するために、筐体101の6面全てに光学式操作入力部を配置することが好ましい。
【0068】
以上説明したように、本実施の形態によれば、筐体101上にLED201と照度センサ202とを互いに隣接させて配置し、LED201から波長λの光を出射し、照度センサ202に入射する波長λの光の照度を検出する。これにより、入力装置200と出射光を反射する外部の物体との位置関係に基づく様々な制御を行うことが可能となる。
【0069】
以上、本発明の各実施の形態について説明した。今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0070】
100、200 入力装置
101 筐体
102A〜102F 操作入力部
110、110A〜110F 圧力センサ
111 台座
111a、114a 孔
112、112A〜112F センサチップ
112a ダイアフラム
113、113A〜113F 制御IC
114 カバー
120 ラバー部材
121 空洞部
121a 幅狭部
121b 幅広部
121c、121d 天面
122 底部
122a 開口部
123 壁部
124 頂部
150 ゲーム装置
160 ゲーム装置本体
162 CPU
170 伝送路
180 ディスプレイ装置
201 LED
202 照度センサ
MC マイコン
TR 電気配線
R 反射体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサから離間して配置され、操作入力の作用により弾性変形する変形部材と、
前記変形部材の弾性変形に伴って変形する空間を前記圧力センサと前記変形部材との間に形成し、前記空間内の流体の圧力を前記変形部材の弾性変形の程度に応じて変化させる圧力発生部と、を有し、
前記圧力センサは、前記空間内の流体の圧力の検出結果を示す信号を出力する、
入力装置。
【請求項2】
前記圧力発生部は、前記空間を成す空洞部を有する中空部材であって、前記空洞部を上方から覆って配置された前記変形部材と一体に形成された中空部材から成り、
前記空洞部は、下方に開口しており、
前記中空部材は、前記空洞部の開口が前記圧力センサによって塞がれるように、前記圧力センサを覆って配置されている、
請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記空間内の流体は空気であり、
前記圧力センサは、前記空間内の空気の圧力と大気圧との差圧を検出し、
前記中空部材は、前記空間を大気と連通させる空隙部をさらに形成し、
前記空隙部は、前記操作入力の作用により潰れて前記空間を密封させる、
請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
所定の波長を有する光を外部に出射する発光部と、
前記外部から入射する前記所定の波長を有する光の照度を検出する照度センサと、をさらに有し、
前記発光部及び前記照度センサは、互いに隣接して配置されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項5】
前記信号を処理する信号処理部と、
複数の操作入力部と、を有し、
前記複数の操作入力部はそれぞれ、前記圧力センサと前記変形部材と前記圧力発生部とを有し、
前記信号処理部は、前記複数の操作入力部のそれぞれに対し、前記信号処理部への前記信号の送信を同時に行わせる制御を行う、
請求項1から4のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の入力装置と、
ゲームアプリケーションを実行する演算部を有するゲーム装置本体と、を有し、
前記入力装置は、前記検出結果を前記ゲーム装置本体に通知し、
前記演算部は、前記検出結果から前記ゲームアプリケーションの制御パラメータを算出し、算出された制御パラメータに基づいて前記ゲームアプリケーションを制御する、
ゲーム装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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