説明

入力装置及び入力制御プログラム

【課題】複数の表示ボタンが同時に押下された場合であっても、ユーザに所望とする表示ボタンを容易に識別させる。
【解決手段】入力媒体による接触位置を検出するタッチパネルと、タッチパネルが重ねられる表示面に表示ボタンを表示する表示部とを有し、表示面に表示されている複数の表示ボタン各々に対応付けて、検出領域内に設定された複数の反応領域各々のうち、いずれかに入力媒体の接触が検出された場合、その反応領域に関連付けられた処理が実行される。入力媒体の接触が2以上の反応領域において同時に検出された場合、接触が同時に検出された反応領域各々における接触面積を算出し、接触が同時に検出された2以上の反応領域のうち、接触面積が最も大きい反応領域に対応する表示ボタンを、接触が同時に検出された他の反応領域に対応する表示ボタンと異なる態様で、他の反応領域に対応する表示ボタンとともに表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置及び入力制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、情報入力を行うタッチパネルの下に配置されたLCDに、例えばキーボード等、多数の入力ボタンが表示されており、ユーザが直接タッチパネルに触れることにより入力操作可能な入力装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、複数のキーが同時に押された場合、同時に押された複数のキーを含む画面の一部分を拡大表示することにより操作性の向上を図る入力装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−234909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の入力装置では、複数のキーが同時に押された場合、複数のキーはそれぞれ同じ態様で拡大表示されるので、ユーザに、所望のキーを瞬時に認識させることは困難である。すなわち、係る場合、ユーザが拡大表示された複数のキーの中から所望のキーを選び難くなるという問題があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、複数の表示ボタンが同時に押下された場合であっても、ユーザが所望とする表示ボタンを、ユーザに容易に識別させることができる入力装置及び入力制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の入力装置は、入力媒体により検出領域内が接触されると、その接触位置を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルが重ねられる表示面に表示情報を表示する表示部と、前記検出領域内に、前記表示面に表示されている複数の表示情報各々に対応付けて、複数の反応領域を設定する設定手段と、前記設定手段により設定された各反応領域のうち、いずれかにおいて前記入力媒体の接触が検出された場合、その反応領域に関連付けられた処理を実行する実行手段と、を有し、前記複数の反応領域と、当該複数の反応領域各々に対応する前記表示情報とが重なるように、前記表示情報を前記表示面に表示する入力装置であって、前記入力媒体の接触が2以上の反応領域において同時に検出されたか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により前記入力媒体の接触が2以上の反応領域において同時に検出されたと判断された場合、前記入力媒体の接触が同時に検出された反応領域各々における接触面積を算出する算出手段と、前記入力媒体の接触が同時に検出された2以上の反応領域のうち、前記算出手段により算出された接触面積が最も大きい反応領域に対応する表示情報を、接触が同時に検出された他の反応領域に対応する表示情報とは異なる態様で、当該他の反応領域に対応する表示情報とともに表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
ここで、入力媒体の接触が2以上の反応領域において同時に検出されたとは、所定時間において、入力媒体が2以上の反応領域に接触している状態が検出されたことを示す。すなわち、2以上の反応領域が同じタイミングで接触された場合に限らず、例えば、各反応領域における接触の検出開始時または検出終了時が異なる場合であっても、一の反応領域
における接触の検出開始時から終了時までの間に、他の反応領域における接触が検出された場合は、入力媒体の接触が2以上の反応領域において同時に検出されたことになる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の入力装置において、前記実行手段は、前記設定手段により設定された複数の反応領域のうち、前記表示制御手段により表示された表示情報に対応する反応領域に関連付けられた処理の実行を有効とし、前記表示制御手段により表示された表示情報に対応する反応領域とは異なる反応領域に関連付けられた処理の実行を抑制することを特徴とする。
【0010】
ここで、処理の実行を抑制するとは、例えば、実行手段による処理の実行を禁止する、入力媒体の接触による接触位置の検出を行わないように制御する、長押しやダブルクリック等の操作を行ったことを条件として実行手段による処理を実行する、または、長押しやダブルクリック等の操作を行ったことを条件として入力媒体による接触位置の検出を行う等、処理が実行されない、または、処理が実行され難くなるものであれば、種々の態様を採ることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の入力装置において、前記表示制御手段は、前記異なる態様で表示させた表示情報の、前記入力媒体の接触が検出されたときに表示されていた表示情報に対する変化率を、前記算出手段により算出された接触面積が大きい反応領域に対応する表示情報ほど大きくすることを特徴とする。
【0012】
ここで、異なる態様で表示させた表示情報の、入力媒体の接触が検出されたときに表示されていた表示情報に対する変化率とは、入力媒体の接触が同時に検出された状態で表示部に表示されていた表示情報に対する、その表示情報の色、大きさ、形状、または、線の太さ等における変化の割合を示す。変化率の尺度としては、表示情報の色、大きさ、形状、または、線の太さ等のうちの1つを採用してもよいし、複数を組み合わせて変化率を算出してもよい。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の入力装置において、前記表示制御手段は、前記算出手段により算出された接触面積が大きい反応領域に対応する表示情報ほど大きく表示させるように、前記入力媒体の接触が同時に検出された2以上の反応領域各々に対応する表示情報の大きさを変更して表示させることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の入力装置において、前記表示制御手段は、前記算出手段により算出された反応領域各々に対応する表示情報の大きさの比が、当該反応領域各々の接触面積の比となるように、前記入力媒体の接触が同時に検出された2以上の反応領域各々に対応する表示情報の大きさを変更することを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の入力装置において、前記表示制御手段は、前記入力媒体の接触が同時に検出された2以上の反応領域各々に対応する表示情報を、それぞれ所定の間隔をあけて表示させることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の入力制御プログラムは、入力媒体により検出領域内が接触されると、その接触位置を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルが重ねられる表示面に表示情報を表示する表示部と、前記検出領域内に、前記表示面に表示されている複数の表示情報各々に対応付けて、複数の反応領域を設定する設定手段と、前記設定手段により設定された各反応領域のうち、いずれかにおいて前記入力媒体の接触が検出された場合、その反応領域に関連付けられた処理を実行する実行手段と、を有し、前記複数の反応領域と、当該複数の反応領域各々に対応する前記表示情報とが重なるように、前記表示情報を前記表示面に表示する入力装置のコンピュータが実行可能な入力制御プログラムであって、前記コ
ンピュータに、前記入力媒体の接触が2以上の反応領域において同時に検出されたか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により前記入力媒体の接触が2以上の反応領域において同時に検出されたと判断された場合、前記入力媒体の接触が同時に検出された反応領域各々における接触面積を算出する算出手段と、前記入力媒体の接触が同時に検出された2以上の反応領域のうち、前記算出手段により算出された接触面積が最も大きい反応領域に対応する表示情報を、接触が同時に検出された他の反応領域に対応する表示情報とは異なる態様で、当該他の反応領域に対応する表示情報とともに表示させる表示制御手段と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1及び請求項7に記載の発明によれば、入力媒体の接触が同時に検出された2以上の反応領域のうち、接触面積が最も大きい反応領域に対応する表示情報が、接触が同時に検出された他の反応領域に対応する表示情報とは異なる態様で、当該他の反応領域に対応する表示情報とともに表示される。一般に、入力媒体による接触が複数の表示情報に対応する反応領域において同時に検出された場合、ユーザが押下を所望する表示情報に対応する反応領域は、他の反応領域に比べて接触面積が大きくなる。したがって、接触面積が最も大きい反応領域に対応する表示情報が、接触が同時に検出された他の反応領域に対応する表示情報と異なる態様で表示されるので、ユーザにより複数の表示情報が同時に押下された場合、すなわち、複数の表示情報に対応する反応領域が接触された場合であっても、ユーザが所望する表示情報を、ユーザに容易に識別させることができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、検出領域内に設定された複数の反応領域のうち、表示制御手段により表示された表示情報に対応する反応領域に関連付けられた処理の実行が有効とされ、その表示情報に対応する反応領域とは異なる反応領域に関連付けられた処理の実行が抑制される。これにより、同時に接触された複数の反応領域とは異なる反応領域に関連付けられた処理の実行が抑制されるので、ユーザによる誤操作を低減させることができる。例えば、検出領域内に設定された複数の反応領域のうち、表示制御手段により表示された複数の表示情報に対応する反応領域と、その表示情報に対応する反応領域とは異なる反応領域とが隣接している場合は、表示制御手段により表示された複数の表示情報に対応する反応領域と同時に、それと隣接している反応領域に接触される可能性が高いため、隣接している反応領域に関連付けられた処理の実行を抑制することがより好適となる。
【0019】
請求項3に記載の発明によれば、異なる態様で表示させた表示情報の、入力媒体の接触が検出されたときに表示されていた表示情報に対する変化率が、算出された接触面積が大きい反応領域に対応する表示情報ほど大きくなるように、接触が同時に検出された2以上の反応領域各々に対応する表示情報が変化して表示される。これにより、複数の表示情報に対応する反応領域が同時に接触された場合であっても、ユーザ所望の表示情報である可能性の高い、接触面積が大きい反応領域に対応する表示情報ほど、同時に接触された状態における当該表示情報に対して大きく変化して表示されるため、ユーザが所望する表示情報を容易に識別させることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、算出された接触面積が大きい反応領域に対応する表示情報ほど大きく表示させるように、入力媒体の接触が同時に検出された2以上の反応領域に対応する表示情報の大きさが変更される。これにより、複数の表示情報に対応する反応領域が同時に接触された場合であっても、ユーザ所望の表示情報である可能性の高い、接触面積が大きい反応領域に対応する表示情報ほど大きく表示されるため、ユーザが所望する表示情報をより容易に識別させることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、入力媒体の接触が同時に検出された反応領域各々に対応する表示情報の大きさの比が、その反応領域各々の接触面積の比となるように、表示情
報の大きさが変更される。これにより、複数の表示情報に対応する反応領域が同時に接触された場合であっても、ユーザ所望の表示情報である可能性の高い、接触面積が最も大きい反応領域に対応する表示情報は、他の反応領域に比べて大きく拡大されるため、ユーザが所望する表示情報をさらに容易に識別させることができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、入力媒体の接触が同時に検出された2以上の反応領域各々に対応する表示情報が、それぞれ所定の間隔をあけて表示される。これにより、同時に接触された2以上の反応領域各々に対応する表示情報が互いに近接しているために、例えば、ユーザが、所望しない表示情報に対応する反応領域に接触してしまうような、誤操作を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(A)は、本発明の入力装置の一実施形態であるMFPの電気的構成を示すブロック図であり、(B)は、LCDに表示される操作画面の一例を示す概略図である。
【図2】本実施形態における入力制御処理の実行例を模式的に示す説明図である。
【図3】本実施形態における入力制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態では、本発明の入力装置及び入力制御プログラムとして、多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称す)1を例に挙げて説明する。
【0025】
MFP1は、コピー機能、FAX機能、スキャン機能、及び、プリンタ機能などの各種機能を有している。MFPのユーザは、タッチパネル17(図1参照)に設定される反応領域を操作することにより、反応領域に割り当てられている処理をMFP1に実行させることができる。反応領域は、タッチパネル17の検出領域171(図1(B)参照)内に、LCD16(図1参照)の表示面161(図1(B)参照)に表示される表示ボタン(本発明の表示情報に相当)に対応付けて設定される領域である。
【0026】
<電気的構成>
本実施形態に係るMFP1の電気的構成について、図1(A)を参照して説明する。MFP1は、CPU10と、ROM11と、RAM12と、フラッシュメモリ14と、操作キー15と、LCD16(本発明の表示部に相当)と、タッチパネル17と、スキャナ20と、プリンタ21と、NCU23と、モデム24とを備える。
【0027】
CPU10、ROM11、RAM12、及び、フラッシュメモリ14は、バスライン26を介して互いに接続されている。また、操作キー15、LCD16、タッチパネル17、スキャナ20、プリンタ21、NCU23、モデム24、及び、バスライン26は、入出力ポート27を介して互いに接続されている。
【0028】
CPU10は、ROM11、RAM12、または、フラッシュメモリ14に記憶される固定値やプログラム、または、NCU23を介して送受信される各種信号に従って、MFP1が有している各機能の制御や、入出力ポート27と接続された各部を制御するものである。
【0029】
ROM11は、MFP1で実行される制御プログラム111、座標管理メモリ112等を格納する書換不能なメモリである。CPU10は、制御プログラム111に従い、図3のフローチャートに示す入力制御処理を実行する。CPU10は、後述する座標管理メモリ112に予め記憶された座標情報を用いて、表示ボタンをLCD16に表示し、各表示
ボタンに対応する反応領域をタッチパネル17に設定する。
【0030】
座標管理メモリ112は、表示面161に表示される複数の操作画面の初期状態における、複数の表示ボタン各々を示すボタン識別情報と、そのボタン識別情報に対応する表示ボタンの頂点の座標情報と、その複数の表示ボタン各々に対応する複数の反応領域各々の頂点の座標情報と、各反応領域に関連付けられた処理とを、複数の操作画面各々を示す画面識別情報に関連付けて記憶している。操作画面の初期状態とは、後述する入力制御処理により表示ボタンが拡大表示されていない状態である。ボタン識別情報及び画面識別情報は、例えば、表示ボタン及び操作画面各々に付与された番号等、複数の表示ボタン及び操作画面各々が識別可能なものであれば、種々の形態を採用することができる。なお、座標管理メモリ112は、複数の表示ボタン及び反応領域各々の大きさをそれに対応する表示ボタン及び反応領域に関連付けて記憶していてもよい。
【0031】
フラッシュメモリ14は、書換可能な不揮発性のメモリであり、例えば、コピー機能、FAX機能、スキャン機能、及び、プリンタ機能等の各種機能に関するパラメータ等が記憶されている。このフラッシュメモリ14に記憶されたデータは、MFP1の電源オフ後も保持される。操作キー15は、MFP1に指示を入力するためのハードキーである。
【0032】
LCD16は、液晶表示装置であって、タッチパネル17が重ねられる表示面161(図1(B)参照)を有し、その表示面161に画像を表示する。表示面161には、表示ボタン等により構成される操作画面が表示される。本実施形態では、複数の操作画面のうちのいずれか1つが表示面161に表示され、入力媒体による反応領域の接触に基づいて、表示面161に表示される操作画面が切り替えられる。
【0033】
タッチパネル17は、投影型静電容量方式のタッチパネルであって、その検出領域171(図1(B)参照)の全域が格子状に細かく区分けされ(図示を省略)、区分けされた単位領域毎に電極を配設している。タッチパネル17の検出領域171に、ユーザの指80(図2(A)参照)等の入力媒体が接近または接触すると、入力媒体と電極との間で静電結合が生じ、検出領域171に接触する入力媒体の接触面積に応じて、電極の静電容量変化が生じる。
【0034】
図1(B)は、LCD16の表示面161に表示される操作画面の一例を示す概略図である。図1(B)において、破線で示す矩形51〜54は、タッチパネル17の検出領域171に設定される反応領域を示し、実線で示す矩形41〜44は、各反応領域51〜54に対応する表示ボタンを示す。図1(B)において、反応領域51〜54は、説明の都合上図示したものであり、表示面161には表示されないものである。図1(B)に示す各反応領域51〜54間の境界は、それに対応する各表示ボタン41〜44間の境界からずれた位置に図示されているが、説明の都合上ずれた位置に図示したものであり、各反応領域51〜54間の境界は各表示ボタン41〜44間の境界と同位置に設定されていることとする。本実施形態では、図1(B)に示すように、各反応領域51〜54は、各表示ボタン41〜44よりやや広い範囲に設定されているが、本発明はこれに限定されず、各反応領域51〜54の大きさは、各表示ボタン41〜44と同じ範囲に設定されてもよいし、各表示ボタン41〜44よりやや狭い範囲に設定されてもよい。また、本実施形態では、各表示ボタン41〜44の全領域に、各表示ボタン41〜44に対応する反応領域51〜54が重ねられているが、本発明はこれに限定されず、各表示ボタン41〜44の少なくとも一部に、各表示ボタン41〜44に対応する反応領域51〜54が重ねられていればよい。
【0035】
タッチパネル17は、上下左右の向きを有しており、各単位領域には、それぞれ個別に、各単位領域を識別するための座標情報が付されている。タッチパネル17の表面に向か
って左上の単位領域の座標情報を(0,0)として、右方向(図1(B)に示すX方向)及び下方向(図1(B)に示すY方向)に向かって値が連続するように座標情報(X,Y)が付されている。座標情報は、タッチパネル17の右方向及び下方向に向かうほど大きくなる。タッチパネル17は、電極の静電容量変化が見られた単位領域の座標情報を、入力媒体が接触した接触位置として検出し、出力する。
【0036】
タッチパネル17は、検出領域171内に、表示面161に表示される複数の表示ボタン41〜44(図1(B)参照)各々に対応付けて、複数の反応領域51〜54が設定される(本発明の設定手段に相当)。設定された各反応領域51〜54のうちのいずれかにおいて、入力媒体の接触が検出された場合、その反応領域51〜54に関連付けられた処理が実行される(本発明の実行手段に相当)。なお、各反応領域51〜54に関連付けられた処理は、各機能の実行に必要な設定値を入力または変更する処理であってもよいし、コピーやFAX送信等のMFP1が有する各種機能を実行する処理であってもよい。
【0037】
図1(A)に戻り説明する。スキャナ20は、FAX機能、スキャン機能、または、コピー機能の実行時に原稿を読み取るためのものである。プリンタ21は、記録用紙に画像を印刷するためのものである。NCU23は、電話回線の制御を行うものである。モデム24は、ファクシミリ送信時には送信信号を電話回線での伝送に適した形態に変調し、一方、ファクシミリ受信時には電話回線から送られてきた変調信号を復調するものである。
【0038】
RAM12は、各種のデータを一時的に記憶するための書換可能な揮発性のメモリである。RAM12は、タッチパネル17により検出される、入力媒体の接触位置を記憶する。また、RAM12は、接触面積メモリ121と、拡大表示座標メモリ122とを有している。
【0039】
接触面積メモリ121は、CPU10が2以上の反応領域における入力媒体の接触を同時に検出したと判断したときに、その接触面積を記憶するメモリ領域である。接触面積メモリ121は、接触が検出された2以上の反応領域各々に対応するボタン識別情報と、各反応領域における接触面積とを、その接触が検出された際に表示面161に表示されている操作画面の画面識別情報に関連付けて記憶する。図2(A)は、入力媒体の一例であるユーザの指80が、表示ボタン43に対応する反応領域53と表示ボタン44に対応する反応領域54とを同時に押下した場合を示す図である。例えば、図2(A)の場合、接触面積メモリ121には、表示ボタン43のボタン識別情報と反応領域53における指80の接触領域83の面積とが関連付けられて、図2(A)に示す操作画面の画面識別情報と対応付けて記憶される。また、同様にして、表示ボタン44のボタン識別情報と反応領域54における指80の接触領域84の面積とが関連付けられて、図2(A)に示す操作画面の画面識別情報と対応付けて記憶される。
【0040】
拡大表示座標メモリ122は、後述する入力制御処理により拡大表示された表示ボタンのボタン識別情報と、拡大表示された表示ボタンの座標情報と、拡大表示された表示ボタンに対応する反応領域の座標情報と、その反応領域に関連付けられた処理とを関連付けて記憶するメモリ領域である。なお、拡大表示された表示ボタンのボタン識別情報とは、その表示ボタンに対応する拡大表示前の表示ボタンのボタン識別情報である。また、拡大表示された表示ボタンに対応する反応領域に関連付けられた処理とは、その表示ボタンに対応する拡大表示前の表示ボタンに対応する反応領域に関連付けられた処理である。図2(B)は、後述する入力制御処理により拡大表示された表示ボタン63、64を示す図である。例えば、図2(B)の場合、拡大表示座標メモリ122には、表示ボタン63のボタン識別情報と、表示ボタン63の座標情報と、表示ボタン63に対応する反応領域73の座標情報と、反応領域73に関連付けられた処理とが関連付けて記憶される。また、表示ボタン64のボタン識別情報と、表示ボタン64の座標情報と、表示ボタン64に対応す
る反応領域74の座標情報と、反応領域74に関連付けられた処理とが関連付けて記憶される。なお、表示ボタン63、64のボタン識別情報とは、表示ボタン43、44のボタン識別情報である。また、反応領域73、74に関連付けられた処理とは、表示ボタン43、44に対応する反応領域53、54に関連付けられた処理である。
【0041】
<実施形態の動作>
次に、本実施形態におけるMFP1の動作について説明する。
【0042】
(入力制御処理)
MFP1のCPU10により実行される入力制御処理について、図2及び図3を参照して説明する。この入力制御処理は、MFP1の主電源が投入されてから主電源が遮断されるまで繰り返し実行される。
【0043】
図1(B)及び図2(A)は、主電源が投入された際に表示される操作画面(以下、「初期操作画面」と称す)を示す図である。
【0044】
図2において、破線で示す矩形51〜54は、図1(B)と同様に、タッチパネル17の検出領域171に設定される反応領域を示し、実線で示す矩形41〜44は、各反応領域51〜54に対応する表示ボタンを示す。図2に示す反応領域51〜54は、説明の都合上図示したものであり、表示面161には表示されないものである。また、図2に示す各反応領域51〜54間の境界は、それに対応する各表示ボタン41〜44間の境界からずれた位置に図示されているが、説明の都合上ずれた位置に図示したものであり、各反応領域51〜54間の境界は各表示ボタン41〜44間の境界と同位置に設定されていることとする。
【0045】
まず、図3に示すS300において、CPU10は、座標管理メモリ112(図1(A)参照)に基づいて、複数の表示ボタン41〜44を表示面161に表示する。そして、CPU10は、座標管理メモリ112に基づいて、各表示ボタン41〜44に対応する反応領域51〜54を検出領域171に設定する(S302)。また、CPU10は、S300において、表示した複数の表示ボタン41〜44に関連付けて座標管理メモリ112に記憶されている画面識別情報をRAM12に記憶する。本実施形態では、CPU10は、S300を実行する都度、表示した表示ボタンに対応する画面識別情報をRAM12に記憶し、以前S300を実行した際にRAM12に記憶されていた画面識別情報を削除する。
【0046】
具体的に、S300及びS302において、CPU10は、初期操作画面(図1(B)参照)の画面識別情報に関連付けて、座標管理メモリ112に記憶されている表示ボタン41〜44を表示面161に表示し、その表示ボタン41〜44に関連付けて記憶されている反応領域51〜54を検出領域171に設定する。
【0047】
また、CPU10が後述するS320を実行した状態においてS300を実行する場合、すなわち、CPU10がS320の実行後にステップ処理をS300へ移行する場合、CPU10は、S320で実行された処理に基づいて表示される操作画面(図示を省略)の画面識別情報に関連付けて座標管理メモリ112に記憶されている表示ボタンを表示面161に表示し(S300)、その表示ボタンに関連付けて記憶されている反応領域を検出領域171に設定する(S302)。
【0048】
次に、CPU10は、接触があるか否か、すなわち、入力媒体による検出領域171内の接触が検出されたか否かを判断する(S304)。接触がないと判断した場合(S304:NO)、CPU10は、接触があると判断するまでS304の処理を繰り返す。一方
、接触があると判断した場合(S304:YES)、CPU10は、入力媒体による接触が検出された接触位置をRAM12に記憶する(S306)。
【0049】
本実施形態において、ユーザが表示ボタン43を押下しようとして隣接する表示ボタン44も同時に押下してしまった場合について説明する。入力媒体の一例であるユーザの指80により、図2(A)に示すように、反応領域53及び反応領域54が同時に接触されたとする。係る場合、S306において、CPU10は、接触位置として、指80が接触している接触領域83、84の座標情報をRAM12に記憶する。具体的に、CPU10は、接触領域83、84に対応する、検出領域171が区分けされた単位領域の集合の座標情報を記憶する。単位領域の集合の座標情報とは、例えば、その集合に含まれる単位領域各々の座標情報でもよいし、その集合の頂点の座標情報を記憶してもよい。
【0050】
なお、本実施形態において、ユーザの指80により反応領域53及び反応領域54が同時に接触されたとは、所定時間において、ユーザの指80が反応領域53及び反応領域54に接触している状態が検出されたことを示す。すなわち、反応領域53及び反応領域54が同じタイミングで接触された場合に限らず、例えば、各反応領域53、54における接触の検出開始時または検出終了時が異なる場合であっても、反応領域53及び反応領域54のうち、一の反応領域における接触の検出開始時から終了時までの間に、他の反応領域における接触が検出された場合は、反応領域53及び反応領域54が同時に接触されたことになる。
【0051】
S308において、CPU10は、S306で記憶した接触位置が2以上の反応領域を含むか否かを判断する。接触位置が2以上の反応領域を含まないと判断した場合(S308:NO)、CPU10はステップ処理をS320へ移行する。接触位置が2以上の反応領域を含むと判断した場合(S308:YES)、CPU10は、その接触位置に含まれる反応領域各々における接触面積を算出し、接触面積メモリ121に記憶する(S310)。具体的に、S310では、CPU10は、座標管理メモリ112に記憶されているS302で設定した反応領域51〜54の座標情報と、S306でRAM12に記憶した接触位置の座標情報とに基づいて、各反応領域51〜54の接触面積を算出する。そして、CPU10は、接触位置に含まれる反応領域各々に対応する表示ボタンのボタン識別情報と、対応する反応領域における接触面積とをそれぞれ関連付けて、S304で接触が検出された際に表示面に表示されている操作画面の画面識別情報と対応付けて接触面積メモリ121に記憶する。
【0052】
図2(A)に示すように、ユーザの指80による接触が検出された場合、S310において、CPU10は、反応領域51〜54の座標情報と接触位置の座標情報に基づいて、反応領域53における接触領域83の面積と、反応領域54における接触領域84の面積とをそれぞれ算出する。そして、CPU10は、反応領域53、54各々に対応する表示ボタン43、44の各ボタン識別情報と、算出した接触領域83、84各々の面積とをそれぞれ関連付け、これらを初期操作画面の画面識別情報に対応付けて接触面積メモリ121に記憶する。なお、本実施形態において、接触領域83、84の面積は、接触領域83、84に対応する、検出領域171が区分けされた単位領域の面積とする。
【0053】
次に、S312において、CPU10は、S310で算出した接触面積に基づいて、S306で記憶した接触位置に含まれる反応領域53、54に対応する表示ボタン43、44を拡大表示する。具体的に、まず、CPU10は、S310で算出した各反応領域53、54における接触面積の比を算出し、各反応領域53、54に対応する表示ボタン43、44の大きさの比が、算出した接触面積の比となるように、各反応領域53、54に対応する表示ボタン43、44の大きさを算出する。そして、CPU10は、算出した大きさに基づいて、各表示ボタン43、44を拡大し、表示面161の所定の位置に配置する

【0054】
本実施形態において、所定の位置、すなわち、拡大した表示ボタン63、64(図2(B)参照)を配置する位置は、拡大前の表示ボタン43と表示ボタン44との位置関係が維持された状態で、且つ、拡大した表示ボタン63、64各々の間隔が拡大前の表示ボタン43、44各々の間隔より広くなるような位置である。なお、表示ボタン43と表示ボタン44との位置関係とは、各表示ボタン43、44のX座標及びY座標各々における大小関係である。例えば、図1(B)において、表示ボタン43、44は、各表示ボタン43、44の中心位置のY座標が同一、且つ、表示ボタン43の中心位置のX座標が表示ボタン44の中心位置のX座標より小さいという位置関係にある。
【0055】
したがって、本実施形態では、拡大前の表示ボタン43、44の位置関係が維持されるため、ユーザに表示ボタン43、44に対応する拡大された表示ボタン63、64を容易に識別させることができる。また、表示ボタン63、64各々の間隔が拡大前の表示ボタン43、44各々の間隔より広いため、例えば、ユーザが押下を所望する表示ボタン44と同時にその表示領域から少しずれた位置も押下した場合であっても、ユーザによる誤操作を低減することができる。また、拡大した表示ボタン63、64各々の間隔ができるだけ広くなるよう表示面161に配置すると、ユーザによる誤操作をより確実に低減することができ、好適である。
【0056】
ここで、S312について、詳細に説明する。本実施形態において、ROM11には、表示ボタンのサイズとして、複数種類のサイズが記憶されている。CPU10は、まず、ROM11に記憶された複数種類のサイズのうち、最大のサイズを読み出し、S310で算出した接触面積が最も大きい反応領域54に対応する表示ボタン44を読み出したサイズに拡大して、表示ボタン64を作成する。CPU10は、ROM11から読み出したサイズ、すなわち、表示ボタン64の大きさに基づいて、各反応領域53、54に対応する各表示ボタン43、44の大きさの比が、算出した接触面積の比となるように、表示ボタン43の大きさを算出し、表示ボタン43を算出した大きさに拡大した表示ボタン63を作成する。そして、CPU10は、表示ボタン63と表示ボタン64との位置関係が、表示ボタン43と表示ボタン44との位置関係と同一になるように、表示ボタン63、64を表示面161に配置する。具体的に、CPU10は、各表示ボタン43、44の中心位置を各表示ボタン63、64の中心位置として、表示ボタン63、64を表示面161に配置する。
【0057】
そして、CPU10は、表示ボタン63、64の位置関係を維持した状態で、表示ボタン63と表示ボタン64との間隔が最も広くなるように、表示ボタン63、64を表示面161に配置する。CPU10は、表示ボタン63と表示ボタン64との間隔が、表示ボタン43と表示ボタン44との間隔より広いか否かを判断し、広いと判断した場合は、ステップ処理をS314へ移行する。一方、表示ボタン63と表示ボタン64との間隔が狭いと判断した場合、CPU10は、ROM11に記憶されている表示ボタンのサイズのうち、表示ボタン64に適用したサイズの次に大きいサイズを読み出し、同様の処理を行う。CPU10は、表示ボタン63と表示ボタン64との間隔が表示ボタン43と表示ボタン44との間隔より広いと判断するまで、これらの処理を繰り返す。
【0058】
S314において、CPU10は、S312で拡大表示した表示ボタン63、64に基づいて、その表示ボタン63、64に対応する反応領域73、74を設定する(図2(B)参照)。具体的に、S312で拡大表示した表示ボタン63、64各々の座標情報に基づいて、各表示ボタン63、64の表示領域に対応する検出領域171内の領域73、74を、各表示ボタンに対応する反応領域として設定する。本実施形態では、S314で設定された各反応領域73、74は、S312で拡大された各表示ボタン63、64よりや
や広い範囲に設定されることとする(図2(B)参照)。しかしながら、本発明はこれに限定されず、S314で設定される反応領域73、74は、各表示ボタン63、64と同じ範囲に設定されてもよいし、各表示ボタン63、64よりやや狭い範囲に設定されてもよい。また、CPU10は、S312で拡大した表示ボタン63、64各々のボタン識別情報と、拡大した表示ボタン63、64各々の座標情報と、S314で設定した各反応領域73、74と、反応領域73、74に関連付けられた処理とをそれぞれ関連付けて拡大表示座標メモリ122に記憶する。ここで、反応領域73、74に関連付けられた処理とは、反応領域73、74に対応する表示ボタン63、64の拡大前の表示ボタン43、44に対応する反応領域53、54に関連付けられた処理である。
【0059】
S314において、CPU10は、S312で拡大表示した表示ボタン63、64に対応する反応領域73、74に関連付けられた処理に実行を有効とし、S302で検出領域171に設定した反応領域51〜54に関連付けられた処理の実行を抑制する。本実施形態において、処理の実行を抑制するとは、例えば、処理の実行を禁止する、入力媒体の接触による接触位置の検出を行わないように制御する等、処理が実行されないようにすることを示し、処理が実行されない構成であれば、種々の形態を採用できる。
【0060】
また、S312において、CPU10は、S300で表示面161に表示した表示ボタン41〜44とS312で拡大表示された表示ボタン63、64とをそれぞれ異なる態様で表示してもよい。例えば、S300で表示面161に表示した表示ボタン41〜44を、グレーアウト(図2(B)参照)または半透明の表示とする。係る場合、反応領域51〜54に関連付けられた処理の実行が抑制されているか否かが視覚的に明らかになり、ユーザの操作性がよくなる。
【0061】
ここで、図2(A)に示すように、ユーザの指80による接触が検出された場合を例に挙げて、S312〜S314について説明する。図2(B)は、図2(A)に示すようにユーザの指80の接触が検出された場合に、入力制御処理に基づいて表示される操作画面である。S312において、CPU10は、まず、S310で算出した接触領域83、84各々の面積の比を算出する。本実施形態では、接触領域83と接触領域84の面積比は1:4であるとする。次に、CPU10は、反応領域53に対応する表示ボタン43と反応領域54に対応する表示ボタン44の大きさの比が1:4となるように、ROM11に記憶されているサイズに基づいて、表示ボタン43、44をそれぞれ拡大した表示ボタン63、64を作成する。そして、CPU10は、図2(B)に示すように、表示ボタン63と表示ボタン64とを、表示ボタン43、44と同じ位置関係で、所定の間隔をあけて表示面161に表示する。ここで、所定の間隔とは、拡大前の表示ボタン43、44各々の間隔より広い間隔である。また、CPU10は、S300で表示面161に表示した表示ボタン41〜44(図2(A)参照)をグレーアウトして表示面161に表示する。したがって、図2(B)に示す表示ボタン63と表示ボタン64は、その大きさの比が1:4となる大きさで、図2(A)において表示面161に表示されていた表示ボタン41〜44のグレーアウト表示に重ねて表示される。
【0062】
次に、S314において、CPU10は、S312で拡大表示した表示ボタン63、64各々の表示領域に対応する検出領域171内の領域73、74を、各表示ボタン63、64に対応する反応領域として設定する。そして、CPU10は、反応領域73、74にそれぞれ関連付けられた処理に実行を有効とし、S302で検出領域171に設定した反応領域51〜54にそれぞれ関連付けられた処理の実行を抑制する。
【0063】
図3に示すS316において、CPU10は、検出領域171に設定された反応領域内における入力媒体の接触が検出されたか否かを判断する。本実施形態では、S316において、CPU10は、反応領域に関連付けられた処理を有効とする、S314で設定され
た反応領域73、74内における接触が検出されたか否かを判断する。反応領域内における入力媒体の接触が検出されない場合(S316:NO)、CPU10は、S314で反応領域73、74を設定してから所定時間が経過したか否かを判断する(S318)。所定時間経過していないと判断した場合(S318:NO)、CPU10は、ステップ処理をS316へ移行する。一方、所定時間経過したと判断した場合(S318:YES)、CPU10は、ステップ処理をS300へ移行する。
【0064】
なお、CPU10がS318で所定時間経過したと判断した後にステップ処理をS300へ移行する場合、S300で記憶された画面識別情報をRAM12から読み出し、その画面識別情報に関連付けて座標管理メモリ112に記憶されている表示ボタンを表示面161に表示する(S300)。そして、その表示ボタンに関連付けて記憶されている反応領域を検出領域171に設定する(S302)。係る場合、S300では、S318において表示面161に表示されている表示ボタン63、64に対応する拡大前の表示ボタン43、44が表示面161に表示されている操作画面(図2(A)参照)が表示面161に表示される。
【0065】
反応領域内における入力媒体の接触が検出された場合(S316:YES)、CPU10は、接触が検出された反応領域に関連付けられた処理を実行し(S320)、ステップ処理をS300へ移行する。
【0066】
以上説明したように、本実施形態によれば、図2に示すように、ユーザの指80等の入力媒体の接触が同時に検出された2以上の反応領域53、54のうち、接触面積が最も大きい反応領域54に対応する表示ボタン44が、接触が同時に検出された他の反応領域53に対応する表示ボタン43とは異なる態様で、表示ボタン43とともに表示される。
【0067】
一般に、入力媒体による接触が複数の表示ボタン41〜44に対応する反応領域51〜54において同時に検出された場合、ユーザが押下を所望する表示ボタン44に対応する反応領域54は、他の反応領域51〜53に比べて接触面積が大きくなる。したがって、接触面積が最も大きい反応領域54に対応する表示ボタン44が、接触が同時に検出された他の反応領域53に対応する表示ボタン43と異なる態様で表示されるので、ユーザにより複数の表示ボタン43、44が同時に押下された場合、すなわち、複数の表示ボタン43、44に対応する反応領域53、54が接触された場合であっても、ユーザが押下を所望する表示ボタン44を、ユーザに容易に識別させることができる。
【0068】
また、接触面積が大きい反応領域に対応する表示ボタン44ほど大きく表示させるように、指80の接触が同時に検出された反応領域53、54に対応する表示ボタン43、44の大きさを変更させることが好ましい(図3に示すS312参照)。係る場合、例えば、複数の表示ボタン43、44に対応する反応領域53、54が同時に接触された場合であっても、ユーザ所望の表示ボタンである可能性の高い、接触面積が大きい反応領域54に対応する表示ボタン44ほど大きく表示されるため、拡大表示された表示ボタン63、64のうち、ユーザが押下を所望する表示ボタン64をより容易に識別させることができる。
【0069】
さらに、指80の接触が同時に検出された反応領域53、54各々に対応する表示ボタン43、44の大きさの比が、その反応領域43、44各々の接触面積の比となるように、表示ボタン43、44の大きさを変更させることがより好ましい(図3に示すS312参照)。係る場合、例えば、複数の表示ボタン43、44に対応する反応領域53、54が同時に接触された場合であっても、ユーザ所望の表示ボタンである可能性の高い、接触面積が最も大きい反応領域54に対応する表示ボタン44は、他の反応領域53に比べて大きく拡大されるため、拡大された表示ボタン63、64のうち、ユーザが押下を所望す
る表示ボタン63をさらに容易に識別させることができる。
【0070】
また、図2(B)に示すように、検出領域171内に設定された複数の反応領域51〜54、73、74のうち、図3に示すS312により拡大表示された表示ボタン63、64に対応する反応領域73、74に関連付けられた処理の実行が有効とされ、反応領域73、74とは異なる反応領域51〜54に関連付けられた処理の実行が抑制される。
【0071】
したがって、同時に接触された複数の反応領域53、54とは異なる反応領域51、52に関連付けられた処理の実行が抑制されるので、ユーザによる誤操作を低減させることができる。例えば、検出領域171内に設定された複数の反応領域51〜54、73、74のうち、図3に示すS312で拡大表示された表示ボタン63、64に対応する反応領域73、74と、反応領域73、74とは異なる反応領域51〜54とが隣接または重なって設定されている場合(図2(B)参照)、反応領域73、74と同時に、それと隣接または重なって設定されている反応領域51〜54に接触される可能性が高いため、その反応領域51〜54に関連付けられた処理の実行を抑制することがより好適となる。
【0072】
また、図2(B)に示すように、ユーザの指80の接触が同時に検出された反応領域53、54に対応する表示ボタン43、44を拡大した表示ボタン63、64は、それぞれ所定の間隔をあけて表示される(図3に示すS312参照)。したがって、同時に接触された2以上の反応領域各々に対応する表示ボタンが互いに近接しているために、例えば、ユーザが、押下を所望しない表示ボタンに対応する反応領域に接触してしまうような、誤操作を抑制することができる。
【0073】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の態様を採ることができる。
【0074】
本実施形態では、本発明の入力装置及び入力制御プログラムとしてMFP1を例にとって説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、タッチパネルを有するものであれば種々の態様を採用することができる。
【0075】
本実施形態では、図3に示すS312において、CPU10は、S304で入力媒体による接触が同時に検出された表示ボタン43、44の大きさが、表示ボタン43、44各々に対応する反応領域53、54の接触面積の面積比となるように、表示ボタン43、44を拡大した表示ボタン63、64を表示していた。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、CPU10は、S304で接触が同時に検出された表示ボタン43、44の大きさが、表示ボタン43、44各々に対応する反応領域53、54の接触面積比となるように、表示ボタン43、44のうち少なくとも1つを拡大または縮小すればよい。例えば、表示ボタン43、44のうち、表示ボタン43の大きさを変更せず、接触面積が最も大きい反応領域54に対応する表示ボタン44を、表示ボタン43と表示ボタン44との大きさの比が接触面積比となるように拡大してもよい。なお、表示ボタン43、44を縮小する場合、ユーザの操作性の低下を防ぐために、入力媒体による接触及びユーザによる表示ボタン43、44の認識が困難でない程度に、表示ボタン43、44を縮小するのが好ましい。
【0076】
また、本発明において、CPU10は、S304で入力媒体による接触が同時に検出された表示ボタン43、44の大きさが、予め設定された比に基づいて、各表示ボタン43、44に対応する反応領域53、54の接触面積が大きいものほど大きく表示するように、表示ボタン43、44のうち少なくとも1つの大きさを拡大または縮小してもよい。
【0077】
また、CPU10は、S304で入力媒体による接触が同時に検出された表示ボタン4
3、44のうち、接触面積が最も大きい反応領域54に対応する表示ボタン44を、接触が同時に検出された他の反応領域53に対応する表示ボタン43とは異なる態様で、表示ボタン43とともに表示すればよい。例えば、CPU10は、各表示ボタン43、44の大きさ、色、形状、線の太さ等を変化させて表示させればよい。各表示ボタン43、44の線の太さとは、例えば、図1(B)において、表示ボタン43、44の外形を示す線、または、表示ボタン43、44の文字列「3」、「4」の太さである。
【0078】
例えば、CPU10が、接触面積が最も大きい表示ボタン44の色を表示ボタン43の色とは異なる態様で表示する場合、表示ボタン44の色が、表示ボタン43の色に比べて明度または彩度が高い色であれば、ユーザに接触面積の最も大きい表示ボタン44を容易に認識させることができるので好適である。
【0079】
また、CPU10が、接触面積が最も大きい表示ボタン44の線の太さを表示ボタン43の線の太さとは異なる態様で表示する場合、表示ボタン44の線の太さが、表示ボタン43の線の太さに比べて太いほど、ユーザに接触面積の最も大きい表示ボタン44を容易に認識させることができるので好適である。
【0080】
一般に、接触面積が最も大きい反応領域54に対応する表示ボタン44を、接触が同時に検出された他の反応領域53に対応する表示ボタン43とは異なる態様で、その表示ボタン43とともに表示させた場合、異なる態様で表示された表示ボタン43、44は、接触が同時に検出されたときに表示されていた表示ボタン43、44に対する変化率が大きいほど、ユーザに容易に認識させることができる。よって、CPU10は、接触面積が大きい反応領域54に対応する表示ボタン44ほど、ユーザの指80の接触が同時に検出されたときに表示されていた表示ボタン44に対する変化率が大きくなるように、表示ボタン43、44を変化させて表示することが好ましい。
【0081】
したがって、本実施形態では、図3に示すS312において、拡大された表示ボタン64の、接触が同時に検出されたときに表示されていた表示ボタン44に対する大きさの変化率が、拡大された表示ボタン63の、接触が同時に検出されたときに表示されていた表示ボタン43に対する大きさの変化率より大きくなるように、表示面161に表示していた。しかしながら、本発明における表示ボタンの変化率とは、表示ボタンの大きさに限らず、表示ボタンの色の明度または彩度、表示ボタンの形状、または、表示ボタンの線の太さ等の変化の大きさでもよい。
【0082】
本実施形態では、図3に示すS312において、CPU10は、S304で接触が同時に検出された表示ボタン43、44の縦横比を固定して表示ボタン63、64を拡大していた(図2参照)。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、接触が同時に検出された表示ボタン43、44の位置関係と同じ位置関係で、拡大された表示ボタン63、64各々の面積の比がS310で算出した接触面積の比となるように配置されるものであれば、各表示ボタン63、64の縦横比が各表示ボタン43、44の縦横比と同一でなくてもよい。
【0083】
例えば、図2(A)において、ユーザが表示ボタン44を押下しようとして表示ボタン42及び表示ボタン44を同時に押下したときに、接触が同時に検出された反応領域52と反応領域54との接触面積比が1:4であったとする。係る場合、図3に示すS312において、CPU10は、表示ボタン42と表示ボタン44との位置関係を維持しつつ、表示ボタン42と表示ボタン44との大きさの比が1:4となるように、各表示ボタン42、44を拡大して表示面161に配置する。一般に、表示ボタン42、44の大きさが大きく、且つ、表示ボタン42と表示ボタン44との間隔が広いほど、ユーザによる誤操作の低減に有効である。よって、図2(A)に示すような横長の表示面161に、表示ボ
タン42、44をできるだけ大きく、且つ、各表示ボタン42、44間の間隔をできるだけ広く表示するために、CPU10は、表示ボタン42と表示ボタン44との大きさの比が1:4となるように、各表示ボタン42、44を、その横方向(図1(B)に示すX方向)に拡大して表示面161に表示することが好ましい。
【0084】
本実施形態では、図3に示すS312において、CPU10は、S300で表示面161に表示した表示ボタン41〜44とS312で拡大表示された表示ボタン63、64とを、例えば、グレーアウトや半透明の表示等、それぞれ異なる態様で表示している(図2(B)参照)。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、S300で表示面161に表示した表示ボタン41〜44とS312で拡大表示された表示ボタン63、64とを同じ態様で表示してもよい。また、S312において、CPU10は、S300で表示面161に表示した表示ボタン41〜44は表示させず、拡大表示された表示ボタン63、64のみを表示面161に表示してもよい。よって、入力媒体による接触が同時に検出された反応領域に対応する表示ボタンが視覚的に明らかになり、ユーザの操作性がよくなる。係る場合、CPU10は、S314において、拡大表示された表示ボタン63、64に対応する反応領域73、74のみを検出領域171に設定してもよい。
【0085】
本実施形態では、図3に示すS314において、CPU10が、S302で検出領域171に設定した反応領域51〜54に関連付けられた処理の実行を禁止する、または、入力媒体の接触による接触位置の検出を行わないように制御することにより、処理の実行を抑制していた。しかしながら、本発明はこれに限定されることなく、処理の実行を抑制する構成は、長押しやダブルクリック等の操作を行ったことを条件として処理の実行や接触位置の検出を行う等、処理を実行され難くする構成であれば、種々の態様を採ることができる。
【0086】
例えば、CPU10が、S302で設定した反応領域51〜54に関連付けられた処理の実行の抑制として、長押しまたはダブルクリック等の操作を行ったことを条件として、反応領域51〜54に関連付けられた処理を実行するようにした場合、CPU10はS316〜S320の処理を以下のように行うことになる。まず、CPU10は、検出領域171に設定された全ての反応領域51〜54、73、74各々における接触が検出されたか否かを判断する(S316)。そして、CPU10は、S314で設定された反応領域73、74内の接触を検出した場合、ステップ処理をS320へ移行する。一方、CPU10は、S302で設定された反応領域51〜54内の接触を検出した場合、その接触が長押しまたはダブルクリックであるか否かを判断し、その接触が長押しまたはダブルクリックであれば、ステップ処理をS320へ移行し、その接触が長押しまたはダブルクリックでなければ、ステップ処理をS318へ移行する。
【0087】
本実施形態では、図3に示すS314において、S312で拡大表示した表示ボタン63、64の表示領域に対応する検出領域171内の領域を、各表示ボタン63、64に対応する反応領域73、74として設定していた。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、S312で拡大表示した表示ボタン63、64に対応する反応領域73、74の大きさや位置を変更しなくてもよい。
【0088】
例えば、S312において、表示ボタン43、44に対する表示ボタン63、64の拡大率が小さい場合、または、表示ボタン43、44を拡大せずに色、線の太さ、形状等を変更する場合であれば、表示ボタン43、44の大きさが大きく変化しないので、対応する反応領域53、54の大きさを変更する必要性は低くなる。また、S312において、表示ボタン63、64の位置が、表示ボタン43、44が表示されていた位置から大きく移動していない場合、または、表示ボタン43、44の位置が変更されずに表示ボタン43、44の色、線の太さ、形状等が変更された場合であれば、表示ボタン43、44の位
置が大きく変化しないので、対応する反応領域53、54の位置を変更する必要性は低くなる。
【0089】
本実施形態では、図2(A)に示すように、入力媒体の一例であるユーザの指80による接触が2つの反応領域53、54において同時に検出された場合について説明した。しかしながら、本発明は、3以上の反応領域において入力媒体による接触が同時に検出されてもよい。
【0090】
なお、図3のフローチャートにおいて、S308は本発明の判断手段、S310は本発明の算出手段、S312は本発明の表示制御手段に相当する。
【符号の説明】
【0091】
1 MFP
10 CPU
11 ROM
12 RAM
14 フラッシュメモリ
16 LCD
17 タッチパネル
41〜44、63、64 表示ボタン
51〜54、73、74 反応領域
80 指
83、84 接触領域
112 座標管理メモリ
121 接触面積メモリ
122 拡大表示座標メモリ
161 表示面
171 検出領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力媒体により検出領域内が接触されると、その接触位置を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルが重ねられる表示面に表示情報を表示する表示部と、
前記検出領域内に、前記表示面に表示されている複数の表示情報各々に対応付けて、複数の反応領域を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された各反応領域のうち、いずれかにおいて前記入力媒体の接触が検出された場合、その反応領域に関連付けられた処理を実行する実行手段と、を有し、
前記複数の反応領域と、当該複数の反応領域各々に対応する前記表示情報とが重なるように、前記表示情報を前記表示面に表示する入力装置であって、
前記入力媒体の接触が2以上の反応領域において同時に検出されたか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記入力媒体の接触が2以上の反応領域において同時に検出されたと判断された場合、前記入力媒体の接触が同時に検出された反応領域各々における接触面積を算出する算出手段と、
前記入力媒体の接触が同時に検出された2以上の反応領域のうち、前記算出手段により算出された接触面積が最も大きい反応領域に対応する表示情報を、接触が同時に検出された他の反応領域に対応する表示情報とは異なる態様で、当該他の反応領域に対応する表示情報とともに表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記実行手段は、前記設定手段により設定された複数の反応領域のうち、前記表示制御手段により表示された表示情報に対応する反応領域に関連付けられた処理の実行を有効とし、前記表示制御手段により表示された表示情報に対応する反応領域とは異なる反応領域に関連付けられた処理の実行を抑制することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記異なる態様で表示させた表示情報の、前記入力媒体の接触が検出されたときに表示されていた表示情報に対する変化率を、前記算出手段により算出された接触面積が大きい反応領域に対応する表示情報ほど大きくすることを特徴とする請求項1または2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記算出手段により算出された接触面積が大きい反応領域に対応する表示情報ほど大きく表示させるように、前記入力媒体の接触が同時に検出された2以上の反応領域各々に対応する表示情報の大きさを変更して表示させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の入力装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記算出手段により算出された反応領域各々に対応する表示情報の大きさの比が、当該反応領域各々の接触面積の比となるように、前記入力媒体の接触が同時に検出された2以上の反応領域各々に対応する表示情報の大きさを変更することを特徴とする請求項4に記載の入力装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記入力媒体の接触が同時に検出された2以上の反応領域各々に対応する表示情報を、それぞれ所定の間隔をあけて表示させることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の入力装置。
【請求項7】
入力媒体により検出領域内が接触されると、その接触位置を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルが重ねられる表示面に表示情報を表示する表示部と、
前記検出領域内に、前記表示面に表示されている複数の表示情報各々に対応付けて、複数の反応領域を設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された各反応領域のうち、いずれかにおいて前記入力媒体の接触が検出された場合、その反応領域に関連付けられた処理を実行する実行手段と、を有し、
前記複数の反応領域と、当該複数の反応領域各々に対応する前記表示情報とが重なるように、前記表示情報を前記表示面に表示する入力装置のコンピュータが実行可能な入力制御プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記入力媒体の接触が2以上の反応領域において同時に検出されたか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記入力媒体の接触が2以上の反応領域において同時に検出されたと判断された場合、前記入力媒体の接触が同時に検出された反応領域各々における接触面積を算出する算出手段と、
前記入力媒体の接触が同時に検出された2以上の反応領域のうち、前記算出手段により算出された接触面積が最も大きい反応領域に対応する表示情報を、接触が同時に検出された他の反応領域に対応する表示情報とは異なる態様で、当該他の反応領域に対応する表示情報とともに表示させる表示制御手段と、
を実行させることを特徴とする入力制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−232988(P2011−232988A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103449(P2010−103449)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】