説明

入力装置及び電子機器

【課題】マウスオーバ処理を実行可能な入力装置及び電子機器を提供する。
【解決手段】入力装置3は、オブジェクトを表示する表示部11と、表示部11に対する物体の近接又は接触に基づいて発生する静電容量を検出する検出部12と、検出部12によって検出される静電容量が第1の閾値以上且つ第2の閾値未満の場合は物体が表示部11に対して近接していると判定し、物体が表示部11に対して近接している際は表示部11に表示されるオブジェクトに対してマウスオーバ処理を可能とする制御部17と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを備える入力装置、及びその入力装置を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
入力装置には、タッチパネルを備えるものがある。そのようなタッチパネルを備える入力装置には、ユーザの指やスタイラス等の物体が近づいたり接触したりした場合に発生する静電容量の変化を検出することに基づいて、タッチパネルに対する物体の位置を検出するものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−179871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したタッチパネルを備える入力装置では、タッチパネルに表示されるオブジェクトをタッチ操作により選択する前に、マウスオーバ処理を実行させることはできなかった。これは、マウスオーバ処理を実行させるときの動作(タッチパネルに表示されるオブジェクトに物体の位置を示すカーソルを重ねる動作)と、オブジェクトの移動するときやページをスクロールさせるときのドラグ・アンド・ドロップの動作とが重複するためである。ここで、マウスオーバとは、物体又は物体の位置に応じて表示部に表示されるカーソル又はポインタをオブジェクトの上に移動すること、また、カーソル又はポインタがオブジェクトに重なると、オブジェクトに関する情報をタッチパネルに表示させたり、オブジェクトの表示を変化させたり(一例として、オブジェクトの色を変化させる)することである。
【0005】
本発明は、マウスオーバ処理を実行可能な入力装置、及びその入力装置を備える電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の入力装置は、オブジェクトを表示する表示部と、前記表示部に対する物体の近接又は接触に基づいて発生する静電容量を検出する検出部と、前記検出部によって検出される静電容量が第1の閾値以上且つ第2の閾値未満の場合は前記物体が前記表示部に対して近接していると判定し、前記物体が前記表示部に対して近接している際は前記表示部に表示されるオブジェクトに対してマウスオーバ処理を可能とする制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記制御部は、前記検出部によって検出される静電容量が第2の閾値以上の場合は前記物体が前記表示部に対して接触していると判定し、前記物体が前記表示部に対して接触しており、且つ、前記検出部の検出結果に基づいて判定した前記表示部の表示面に沿う方向における物体の位置と、オブジェクトとが重なる場合に、当該オブジェクトを選択することが好ましい。
【0008】
また、前記制御部は、前記オブジェクトを選択した状態で、前記検出部によって検出される静電容量が前記第2の閾値未満となった場合に、選択した前記オブジェクトに割り当てられた機能を実行することが好ましい。
【0009】
また、前記検出部は、静電容量を検出する場合の感度を高くした高感度モードと、静電容量を検出する場合の感度を前記高感度モードよりも低くした低感度モードとに相互に移行可能であり、前記制御部は、前記検出部によって検出される静電容量が前記第2の閾値未満となる場合に、前記検出部の感度を前記高感度モードに設定し、前記検出部によって検出される静電容量が前記第2の閾値以上となる場合に、前記検出部の感度を前記低感度モードに設定することが好ましい。
【0010】
また、前記制御部は、前記検出部によって検出される静電容量が前記第1の閾値以上の場合に、前記表示部の表示面に沿う方向における物体の頂部位置にカーソルを表示させることが好ましい。
【0011】
また、前記制御部は、前記検出部によって検出される静電容量が前記第1の閾値以上となったときから所定の時間を経過したときに、前記マウスオーバ処理を実行することが好ましい。
【0012】
また、前記制御部は、前記マウスオーバ処理を実行している際に、前記検出部の検出結果に基づいて、当該マウスオーバ処理に対応する物体とは異なる新たな物体が近接し又は接触したと判定する場合には、新たな物体に関する処理をキャンセルすることが好ましい。
【0013】
また、本発明の入力装置は、オブジェクトを表示する表示部と、前記表示部に対して物体が近接したことを検出する検出部と、前記検出部によって前記表示部に物体が近接したことを検出した場合に、前記表示部に表示されるオブジェクトに対してマウスオーバ処理を実行する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の電子機器は、上述した入力装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、マウスオーバ処理を実行可能な入力装置及び電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】電子機器の一実施形態に係る携帯電話機の外観斜視図である。
【図2】携帯電話機の機能構成を示すブロック図である。
【図3】入力装置の表示部に表示される画面の遷移図である。
【図4】入力装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。まず、本発明の電子機器の一実施形態に係る携帯電話機1の基本構造について、図1を参照しながら説明する。図1は、電子機器の一実施形態に係る携帯電話機1の外観斜視図である。
【0018】
携帯電話機1は、筺体2を備える。筺体2には、正面部に、タッチパネル10と、マイク13と、レシーバ14とが配置される。
【0019】
タッチパネル10は、表示部11と、検出部12とを備える(図2参照)。表示部11は、液晶表示パネル又は有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示パネル等の画像表示パネルを備える。検出部12は、表示部11の表面に対応して配置される。
【0020】
マイク13は、携帯電話機1のユーザが通話時に発した音声を入力するために用いられる。
レシーバ14は、携帯電話機1のユーザの通話相手が発した音声を出力するために用いられる。
【0021】
次に、図2を参照しながら、携帯電話機1の機能構成を説明する。図2は、携帯電話機1の機能構成を示すブロック図である。
【0022】
携帯電話機1は、上述した、タッチパネル10(表示部11及び検出部12)と、マイク13と、レシーバ14とを備える。また、携帯電話機1は、通信部15と、記憶部16と、制御部17とを備える。
【0023】
通信部15は、メインアンテナ(図示せず)とRF回路部(図示せず)とを備える。その通信部15は、所定の使用周波数帯で外部装置と通信を行う。具体的には、通信部15は、上記のメインアンテナによって受信した信号を復調処理し、処理後の信号を制御部17に供給する。また、通信部15は、制御部17から供給された信号を変調処理し、上記のメインアンテナを介して外部装置(基地局)に送信する。
【0024】
記憶部16は、例えば、ワーキングメモリを含み、制御部17による演算処理に利用される。また、記憶部16は、携帯電話機1の内部で動作するアプリケーションやデータベースを1又は複数記憶する。なお、記憶部16は、着脱可能な外部メモリを兼ねていてもよい。
【0025】
制御部17は、携帯電話機1の全体を制御しており、表示部11及び通信部15に対して制御を行う。
【0026】
このような携帯電話機1は、上述した幾つかの要素によって構成される入力装置3を備える。以下に、本発明の一実施形態に係る入力装置3について説明する。
【0027】
入力装置3は、表示部11と、検出部12と、制御部17とを備える。
表示部11は、オブジェクトを表示する。表示部11は、オブジェクトを1又は複数表示することが可能である。オブジェクトとは、例えばアイコン等の画像である。そのオブジェクトには、所定の機能が割り当てられている場合がある。例えば、オブジェトには、カメラ機能が割り当てられている。そのカメラ機能が割り当てられたオブジェクトについて選択及び決定がされた場合には、後述する制御部17によって、被写体の静止画又は動画を撮影するためのカメラ機能が実行される。
【0028】
検出部12は、表示部11に対して物体が近接したことを検出する。より具体的には、検出部12は、表示部11に対する物体の近接又は接触に基づいて発生する静電容量を検出する。検出部12は、静電容量式のタッチセンサである。検出部12は、表示部11に対する物体の距離に応じた静電容量を検出する。また、物体とは、ユーザの指や、スタイラス等のことである。
【0029】
制御部17は、検出部12によって表示部11に物体が近接したことを検出した場合に、表示部11に表示されるオブジェクトに対してマウスオーバ処理を実行する。より具体的には、制御部17は、検出部12によって検出される静電容量が第1の閾値以上且つ第2の閾値未満の場合は物体が表示部11に対して近接していると判定し、物体が表示部11に対して近接している際は表示部11に表示されるオブジェクトに対してマウスオーバ処理を可能とする。
【0030】
第1の閾値は、表示部11から所定の距離未満の領域に物体が位置する近接状態になっているか、又は表示部11から所定の距離以上の領域に物体が位置する非近接状態になっているかを区別するための基準となる。静電容量が第1の閾値以上、後述する第2の閾値未満の場合には、物体は、近接状態となる。一方、静電容量が第1の閾値未満の場合には、物体は、非近接状態となる。
【0031】
第2の閾値は、表示部11に物体が接触している接触状態になっているか、又は近接状態になっているかを区別するための基準となる。静電容量が第2の閾値以上の場合には、物体は、接触状態になる。一方、静電容量が第2の閾値未満の場合には、物体は、近接状態になる。
【0032】
マウスオーバとは、物体又は物体の位置に応じて表示部11に表示されるカーソル又はポインタをオブジェクトの上に移動すること、また、物体又は物体の位置に応じて表示部11に表示されるカーソルが指したオブジェクトの注釈を表示したり、オブジェクトの表示を変化させたり(一例として、オブジェクトの色を変化させる)することである。
これにより、入力装置3は、物体が近接状態になっている場合に、マウスオーバ処理を実行することが可能になる。
【0033】
また、制御部17は、検出部12によって検出される静電容量が第2の閾値以上の場合は物体が表示部11に対して接触していると判定する。さらに、制御部17は、物体が表示部11に対して接触しており、且つ、検出部12の検出結果に基づいて判定した表示部11の表示面に沿う方向における物体の位置と、オブジェクトとが重なる場合に、そのオブジェクトを選択する。
【0034】
すなわち、制御部17は、表示部11に表示されるオブジェクトに重なるように物体が接触した場合に、物体が接触されたオブジェクトを選択する。制御部17は、オブジェクトを選択した場合に、オブジェクトの表示態様を第1表示態様から第2表示態様に変更する。ここで、第1表示態様は、通常時のオブジェクトの表示態様である。また、第2表示態様は、例えば、第1表示態様とは異なる色にされ、又は第1表示態様とは異なる大きさにされたオブジェクトの表示態様である。
【0035】
これにより、入力装置3は、表示部11に表示されるオブジェクトに重なるように物体が接触した場合に、そのオブジェクトを選択することができる。また、入力装置3は、表示部11に表示されるオブジェクトに重なるように物体が接触された場合にオブジェクトを選択するので、その選択処理と、上述したマウスオーバ処理とを区別することができる。
【0036】
また、制御部17は、オブジェクトを選択した状態で、検出部12によって検出される静電容量が第2の閾値未満となった場合に、選択したオブジェクトに割り当てられた機能を実行する。すなわち、制御部17は、表示部11に表示されるオブジェクトに重なるように物体が接触したことに基づいてそのオブジェクトを選択した後、表示部11から物体が離れた場合に、その選択されたオブジェクトに割り当てられた機能を実行する。
【0037】
例えば、カメラ機能が割り当てられたオブジェクトに物体が接触し、その後、そのオブジェクトから物体が離れた場合には、そのオブジェクトが決定されたとして、制御部17は、カメラ機能を実行させる。
【0038】
これにより、入力装置3は、オブジェクトを決定することができる。また、入力装置3は、表示部11に表示されるオブジェクトに重なるように物体が接触した後、その物体がタッチパネル10から離れた場合にオブジェクトを決定するので、その決定処理と、上述したマウスオーバ処理(表示部11対して物体が近接状態から非近接状態に移行した場合)とを区別することができる。
【0039】
また、検出部12は、静電容量を検出する場合の感度を高くした高感度モードと、静電容量を検出する場合の感度を高感度モードよりも低くした低感度モードとに相互に移行可能であることが好ましい。この場合、制御部17は、検出部12によって検出される静電容量が第2の閾値未満となる場合に、検出部12の感度を高感度モードに設定し、検出部12によって検出される静電容量が第2の閾値以上となる場合に、検出部12の感度を低感度モードに設定する。
【0040】
タッチパネル10に物体が接触する場合には、検出部12は、静電容量を検出し易い。このため、タッチパネル10に物体が接触する場合には、検出部12は、低感度モードに設定される。一方、タッチパネル10に物体が接触しない場合(近接状態及び非近接状態)には、検出部12は、物体が接触状態になる場合に比べて、静電容量を検出し難い。このため、タッチパネル10に物体が接触しない場合には、検出部12は、高感度に設定される。
【0041】
以上説明したように、入力装置3は、検出部12によって検出される静電容量が第2の閾値未満となる場合に、検出部12の感度を高感度モードに設定し、検出部12によって検出される静電容量が第2の閾値以上となる場合に、検出部12の感度を低感度モードに設定する。これにより、入力装置3は、物体の状態(接触状態、近接状態又は非接触状態)に応じた感度に検出部12を設定することにより、確実に物体を検出することができる。また、入力装置3は、物体が接触状態の場合には、低感度モードに検出部12を設定することにより、消費電力を低減することができる。
【0042】
また、制御部17は、検出部12によって検出される静電容量が第1の閾値以上の場合に、表示部11の表示面に沿う方向における物体の頂部位置にカーソルを表示させることが好ましい。
【0043】
制御部17は、検出部12によって検出される静電容量に基づいて表示部11の表示面に沿う方向における物体の位置を特定する。ここで、例えば、物体がユーザの指の場合には、特定された物体の位置は、表示面に沿う方向に広がりを持つ。このため、制御部17は、特定された物体(一例として、ユーザの指)の位置に基づいて物体の輪郭を特定して、物体の頂部を決定する。例えば、制御部17は、特定された物体の輪郭が最も細くなる部分を物体の頂部として決定する。そして、制御部17は、決定された物体の頂部の位置に、カーソルを表示させる。カーソルの形状は、矢印形状等、任意の形状であってよい。カーソルの色は、任意の色であればよいが、例えば、表示部11の背景色(壁紙の色)とは異なる色(例えば、補色)であれば、ユーザがカーソルを視認し易くなる。
【0044】
以上説明したように、入力装置3は、検出部12によって検出される静電容量が第1の閾値以上の場合に、表示部11の表示面に沿う方向における物体の頂部位置にカーソルを表示させる。これにより、入力装置3は、表示部11の表示面に沿う方向における物体の位置をカーソルによってユーザにわかり易く示すことができる。
【0045】
また、制御部17は、検出部12によって検出される静電容量が第1の閾値以上となったときから所定の時間を経過したときに、マウスオーバ処理を実行することが好ましい。すなわち、制御部17は、表示部11に対して物体が非近接状態から近接状態になった場合に、マウスオーバ処理を実行するまでにタイムラグを設ける。
【0046】
例えば、時間は、計時部(図示せず)によって計時される。制御部17は、検出部12によって検出される静電容量が第1の閾値以上となったときに、計時を開始するように計時部を制御する。そして、制御部17は、計時部によって計時される時間が所定の時間を経過したときに、マウスオーバ処理を実行可能になる。
【0047】
これにより、一瞬だけ、表示部11に対して物体が非近接状態から近接状態になった場合でもマウスオーバ処理を実行すると、ユーザは、画面がわかり難くなる。入力装置3は、このような画面のわかり難さが発生することを抑えることができる。
【0048】
また、制御部17は、マウスオーバ処理を実行している際に、検出部12の検出結果に基づいて、そのマウスオーバ処理に対応する物体とは異なる新たな物体が近接し又は接触したと判定する場合には、新たな物体に関する処理をキャンセルすることが好ましい。
【0049】
すなわち、制御部17は、表示部11に対して第1の物体が近接状態又接触状態になった場合には、マウスオーバ処理又はオブジェクトの選択処理を行う。このような処理を行っている場合に、さらに、表示部11に対して第2の物体が近接状態又は接触状態になった場合には、制御部17は、第2の物体に基づくマウスオーバ処理又はオブジェクトの選択処理を実行しない。この場合、制御部17は、検出部12によって検出された第2の物体に基づく静電容量をキャンセルする。
これにより、入力装置3は、第1の物体についての処理のみを実行することができる。また、入力装置3は、第1の物体についての処理のみを行うことにより、カーソルが第1の物体、第2の物体とふらつくことを防ぐことができる。
【0050】
次に、入力装置3の動作について説明する。図3は、入力装置3の表示部11に表示される画面の遷移図である。図4は、入力装置3の動作について説明するためのフローチャートである。
【0051】
図4に示すステップST1において、制御部17は、所定の操作が行われることに基づいて、オブジェクトを表示部11に表示させる。例えば、図3(A)に示すように、制御部17は、カメラ機能が割り当てられたオブジェクト(カメラオブジェクト21a)と、種々のアプリケーションのうちいずれか1つを選択させて起動させる機能が割り当てられたオブジェクト(ツールオブジェクト21b)と、テレビ機能が割り当てられたオブジェクト(TVオブジェクト21c)と、カメラ部(図示せず)によって撮像された画像等を再生させる機能が割り当てられたオブジェクト(フォルダオブジェクト21d)と、を表示部11に表示させる。
【0052】
ステップST2において、制御部17は、検出部12によって検出される静電容量が第1の閾値以上第2の閾値未満であるか否かを判断する。静電容量が第1の閾値以上第2の閾値未満ではない場合(No)には、ステップST2の判断が再度行われる。静電容量が第1の閾値以上第2の閾値未満の場合(Yes)には、処理は、ステップST3に進む。
【0053】
ステップST3において、制御部17は、表示部11の表示面に沿う方向における物体の位置(例えば、物体の頂部位置)に対応させて、表示部11にカーソル22を表示させる。例えば、図3(B)に示すように、矢印形状のカーソル22を表示部11に表示させる。
【0054】
ステップST4において、制御部17は、マウスオーバ処理を実行可能にする。すなわち、制御部17は、表示部11の表示面に沿う方向における物体の位置と、表示部11に表示させるオブジェクトの位置(領域)とが重なる場合に、マウスオーバ処理を実行する。例えば、図3(C)に示すように、制御部17は、カーソル22とカメラオブジェクト21aが重なる場合に、カメラオブジェクト21aに割り当てられた機能の説明「写真撮影やムービーの録画ができます」を表示部11に表示させる。
【0055】
ステップST5において、制御部17は、検出部12によって検出される静電容量が第2の閾値以上になったか否かを判断する。静電容量が第2の閾値以上になっていない場合(No)には、ステップST5の判断が再度行われる。静電容量が第2の閾値以上になった場合(Yes)には、処理は、ステップST6に進む。
【0056】
ステップST6において、制御部17は、カーソル22が重なっているオブジェクトを選択する。例えば、図3(D)に示すように、制御部17は、カーソル22とカメラオブジェクト21aとが重なっている場合に、カメラオブジェクト21aを選択する。なお、図3(D)に示す場合では、制御部17は、選択したオブジェクトを選択前とは異なる色にして表示部11に表示させている。
【0057】
ステップST7において、制御部17は、検出部12によって検出される静電容量が第2の閾値未満になったか否かを判断する。静電容量が第2の閾値未満になっていない場合(No)には、ステップST7の判断が再度行われる。静電容量が第2の閾値未満の場合(Yes)には、処理は、ステップST8に進む。
【0058】
ステップST8において、制御部17は、選択されたオブジェクトを決定し、決定されたオブジェクトに割り当てられた機能を実行する。例えば、制御部17は、カメラオブジェクト21aを決定した場合にはカメラ機能を実行して、図3(E)に示すように被写体を撮像するための画面を表示部11に表示させる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態の入力装置3によれば、以下の効果が奏される。
すなわち、入力装置3は、物体が近接状態になっている場合に、マウスオーバ処理を実行することができる。
また、入力装置3は、表示部11に表示されるオブジェクトに重なるように物体が接触した場合に、そのオブジェクトを選択することができる。さらに、入力装置3は、表示部11に表示されるオブジェクトに重なるように物体が接触された場合にオブジェクトを選択するので、その選択処理と、上述したマウスオーバ処理とを区別することができる。
【0060】
また、入力装置3は、オブジェクトを決定することができる。また、入力装置3は、表示部11に表示されるオブジェクトに重なるように物体が接触した後、その物体がタッチパネル10から離れた場合にオブジェクトを決定するので、その決定処理と、上述したマウスオーバ処理(表示部11対して物体が近接状態から非近接状態に移行した場合)とを区別することができる。
【0061】
また、入力装置3は、検出部12によって検出される静電容量が第2の閾値未満となる場合に、検出部12の感度を高感度モードに設定し、検出部12によって検出される静電容量が第2の閾値以上となる場合に、検出部12の感度を低感度モードに設定する。これにより、入力装置3は、物体の状態(接触状態、近接状態又は非接触状態)に応じた感度に検出部12を設定することにより、確実に物体を検出することができる。また、入力装置3は、物体が接触状態の場合には、低感度モードに検出部12を設定することにより、消費電力を低減することができる。
【0062】
また、入力装置3は、検出部12によって検出される静電容量が第1の閾値以上の場合に、表示部11の表示面に沿う方向における物体の頂部位置にカーソルを表示させる。これにより、入力装置3は、表示部11の表示面に沿う方向における物体の位置をカーソルによってユーザにわかり易く示すことができる。
【0063】
また、上述した実施形態では、入力装置3が携帯電話機1において利用される場合を例示して説明した。しかしながら、本発明の電子機器は、この実施形態に限定されることはなく、例えば、PHS(Personal Handyphone System)やPDA(Personal Digital Assistant)やポータブルゲーム機やポータブルナビゲーションデバイス等にも適用することができる。
【0064】
また、上述した実施形態では、オブジェクトの色を選択した際に変化させたが、マウスオーバ処理を実行可能な状態で物体の位置と、表示部に表示されるオブジェクトの位置とが重なった場合に色を変化させてもよい。
【0065】
また、上述した実施形態では、検出部12を静電容量式のタッチセンサとしたが、この実施形態に限定されることなく、光学式のタッチセンサや赤外線式のタッチセンサにも適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 携帯電話機(電子機器)
3 入力装置
11 表示部
12 検出部
17 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトを表示する表示部と、
前記表示部に対する物体の近接又は接触に基づいて発生する静電容量を検出する検出部と、
前記検出部によって検出される静電容量が第1の閾値以上且つ第2の閾値未満の場合は前記物体が前記表示部に対して近接していると判定し、前記物体が前記表示部に対して近接している際は前記表示部に表示されるオブジェクトに対してマウスオーバ処理を可能とする制御部と、
を備える入力装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記検出部によって検出される静電容量が前記第2の閾値以上の場合は前記物体が前記表示部に対して接触していると判定し、
前記物体が前記表示部に対して接触しており、且つ、前記検出部の検出結果に基づいて判定した前記表示部の表示面に沿う方向における物体の位置と、オブジェクトとが重なる場合に、当該オブジェクトを選択する
請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記オブジェクトを選択した状態で、前記検出部によって検出される静電容量が前記第2の閾値未満となった場合に、選択した前記オブジェクトに割り当てられた機能を実行する
請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記検出部は、静電容量を検出する場合の感度を高くした高感度モードと、静電容量を検出する場合の感度を前記高感度モードよりも低くした低感度モードとに相互に移行可能であり、
前記制御部は、前記検出部によって検出される静電容量が前記第2の閾値未満となる場合に、前記検出部の感度を前記高感度モードに設定し、前記検出部によって検出される静電容量が前記第2の閾値以上となる場合に、前記検出部の感度を前記低感度モードに設定する
請求項1から3のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記検出部によって検出される静電容量が前記第1の閾値以上の場合に、前記表示部の表示面に沿う方向における物体の頂部位置にカーソルを表示させる
請求項1から4のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記検出部によって検出される静電容量が前記第1の閾値以上となったときから所定の時間を経過したときに、前記マウスオーバ処理を実行する
請求項1から5のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記マウスオーバ処理を実行している際に、前記検出部の検出結果に基づいて、当該マウスオーバ処理に対応する物体とは異なる新たな物体が近接し又は接触したと判定する場合には、新たな物体に関する処理をキャンセルする
請求項1から6のいずれか1項に記載の入力装置。
【請求項8】
オブジェクトを表示する表示部と、
前記表示部に対して物体が近接したことを検出する検出部と、
前記検出部によって前記表示部に物体が近接したことを検出した場合に、前記表示部に表示されるオブジェクトに対してマウスオーバ処理を実行する制御部と、
を備える入力装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載される入力装置を備える
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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