説明

入力装置

【課題】 多様な機能を備え、また、多様な使用者において操作される機器の操作性を向上させることのできる入力装置を提供する。
【解決手段】 使用者が保持しながら操作する機器に備えられ、前記機器の機能に対応する状態で配置される入力部55を表示する入力装置31であって、前記入力部55の表示に必要な表示座標を保持する記憶手部39と、前記記憶部39に保持される表示座標を読み出し、当該表示座標に対応する画面座標に前記入力部55を表示する表示部33と、前記入力部55の表示位置を任意に指示する指示座標を入力する指示入力部32と、前記指示入力部32により入力された指示座標に基づき、記憶部39に保持された対応する表示座標を更新する表示制御部とを備える入力装置により解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話や携帯型情報端末、リモコンなどのいわゆる携帯端末のように、使用者が直接手に保持しながら操作を行う機器に備えられ、特に、操作性を向上させることが可能な入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者が直接手で保持しながら操作を行う小型の機器においては、近年、携帯電話や携帯情報端末が一般的に普及している。このような携帯端末は、文章の入力のように、文字・数字・記号・絵文字などを用いた複雑な入力操作を容易に短時間に行うことができる入力装置を備えることが必須となってきている。このような容易で短時間に入力操作を行うことができる入力装置を備えた携帯端末として、例えば特許文献1に開示された携帯電話がある。
【0003】
この特許文献1に開示される発明は、手指等が触れた位置を特定することができるタッチパネルと、文字や記号などの入力を行うための仮想的なキーを表示するキー表示部とを備えた携帯電話に関するものであり、前記キー表示部に複数のキーを、所定点(携帯電話を保持する親指の付け根部分)を中心とした同心円状に配置することを特徴としている。そして、表示制御部により前記同心円状に配置されたキーを線対称状に表示を変更することで、図13および図14に示すように操作する手が左右どちらであっても片手操作による文字または記号の入力の操作性を向上させ、文章の作成を容易かつ短時間に行わせることができるとしている。
【特許文献1】特開2002−164980号公報 (第7項 図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、携帯電話や携帯情報端末などに代表され使用者が手で保持しながら操作する機器においては、電話や電子メール機能は元より、スケジュール管理、ゲーム、チャット、家電のリモコン、時計、カメラ機能など多機能化が進んでいる。この多機能化に伴い、文字や記号の入力キー等の従来のマトリクス状に配列されたキー以外にも、ポインタの移動を行う十字キーやシャッターボタンなど各機能固有のキーやボタンが必要となり、入力部にも多様性が要求されている。
【0005】
さらに、多機能な機器が不特定多数の使用者に使用されることを考慮すると、使用者の手の大きさ、指の長さなど使用者固有の特性から機器を保持する仕方も多様となり、尚且つ使用する機能によっては、片手操作もあれば両手操作もあるように使用者の操作そのものも多様となる。従って、機器の機能の多様化は、さらに使用者の操作状況の多様性も発生させ、これらの多様性に柔軟に対応しうる入力環境の出現が望まれている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1記載の携帯電話のように、複数のキーを表示部に同心円状に配置することで片手操作による文章入力の操作性を向上させ、キーの配置を線対称に反転させることで左右の持ち替えに対応するための構成では、携帯端末の機能の多様性には対応しておらず、使用者の多様性にも必ずしも対応していない。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、機器において使用者の操作を受け付ける入力部の配置を、使用者自身が任意に定めることが可能となり、多様な機能と多様な使用者において操作性を向上させることのできる入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る入力装置は、使用者が保持しながら操作する機器に備えられ、前記機器の機能に対応する状態で配置される入力部を表示する入力装置であって、前記入力部の表示に必要な表示座標を保持する記憶手段と、前記記憶手段に保持される表示座標を読み出し、当該表示座標に対応する画面座標に前記入力部を表示する表示手段と、前記入力部の表示位置を任意に指示する指示座標を入力する指示入力手段と、前記指示入力手段により入力された指示座標に基づき、記憶手段に保持された対応する表示座標を更新する表示制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
これにより、使用者の操作を受け付ける入力部を表示する位置を使用者自身が定めることが可能となる。
【0010】
また、前記指示入力手段は、前記表示手段上に設置され、接触した部分の接触座標を入力するタッチパネルを備えることとしても良い。
【0011】
これにより、入力部を表示させたい位置を表示手段上で直感的に指示することが可能となる。
【0012】
さらに、前記表示手段は、前記指示入力手段により入力される指示座標に対応する画面座標に位置確認部を表示しても良い。
【0013】
これにより、入力部の表示位置について使用者が所望する表示位置を、表示手段上に表示することが可能となり、直感的に指示した位置の確認をすることが可能となる。
【0014】
さらに、前記指示入力手段は、前記タッチパネルから入力される複数の接触座標から重心座標を求める重心取得手段を備え、当該重心座標を指示座標として入力することとしても良い。
【0015】
これにより、タッチパネルに触れる人間の意思にほぼ近い座標を指示座標として定めることが可能となる。
【0016】
さらに、前記入力装置はさらに、指示入力手段により入力される二つの指示座標から方向ベクトルを算出するベクトル算出手段を備え、前記表示制御手段は、前記方向ベクトルに基づき記憶手段に保持される表示座標を更新することとしても良い。
【0017】
これにより、入力部の表示されている位置に関係なく指示入力手段を操作することで入力部を移動させることができるため、初期状態として入力部が操作しにくい位置にあったとしても操作性良く入力部の表示位置を変更することができる。
【0018】
さらに、前記入力装置は、前記機器が有する複数の機能を選択する機能選択手段を備えることとしてもよい。
【0019】
これにより機器が備える複数の機能に対してそれぞれ入力部の変更が可能となる。
また、前記入力装置は、前記表示制御手段の表示座標の更新を制御する更新制御手段を備えても良い。
【0020】
これにより、不意に入力部の配置が変更されることを回避することが可能となる。
また、前記入力装置は、前記表示制御手段が表示座標を更新可能であることを示す報知手段を備えても良い。
【0021】
これにより、入力部の表示位置が変更可能か否かを確認することができるため、無駄な操作ミスを回避することが可能となる。
【0022】
また、前記機能選択手段、前記更新制御手段、前記報知手段の少なくともいずれか一組を兼用するものとしても良い。
【0023】
これにより、本入力装置を備える機器の小型化を図ることが可能となると共に、部品点数を減少させてコストの低減に寄与することも可能となる。
【0024】
さらに、前記表示手段は、前記機能選択手段において選択される機能を示す機能説明を表示することとしても良い。
【0025】
これにより、何の機能に対応した入力部の配置を変更中かを使用者が確認しつつ変更作業をすることができ、変更ミスを回避することができる
また、前記記憶手段はさらに、前記表示手段に表示可能領域を画定する境界特定座標と、前記入力部の表示領域を画定する相対領域座標を保持し、前記入力装置はさらに、前記指示座標と前記相対領域座標に基づき絶対領域座標を算出する絶対領域座標取得手段と、前記絶対領域座標の少なくとも一つが前記画面座標外に存在する場合は、前記絶対領域座標の全てが前記画面座標内に収まる最適表示座標を算出する最適座標取得手段を備え、前記表示制御手段は、前記最適表示座標に基づき表示座標を更新することとしても良い。
【0026】
これにより、常に入力部の全体が表示手段に表示されることとなり、入力部が一部しか表示されないために、該当する機能を実施することができないなどの不具合を回避することが可能となる。
【0027】
なお、上記目的を達成するために、本発明は、上記入力装置の特徴的な機能構成を実施する入力方法として実現したり、それらの全ての工程を含むプログラムをコンピュータ等に実行させたりすることが可能であることは、云うまでもない。また、上記入力装置を携帯端末に備えることで、上記目的を特に良く達成することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、使用者自身で入力部の配置を定めることを可能にし、多様な機能を有し、また、多様な使用者に対応した機器においても操作性を向上させることのできる入力装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施形態1にかかる入力装置を備える携帯電話を概観した正面図である。
【0030】
本実施形態にかかる携帯電話1は、本発明にかかる入力装置を備える機器としての携帯電話であり、電話機能、電子メール機能に加え、家電機器のリモコン機能、ゲーム機能を備え、また、ウェッブサイトのブラウジング機能も備えている。
【0031】
前記携帯電話1は、表示手段として液晶ディスプレイ2を備え、他に情報表示用の液晶ディスプレイ21も備えている。また、液晶ディスプレイ2は、当該液晶ディスプレイ2の表面上に指示入力手段としてのタッチパネル36が設置されている。
【0032】
また、携帯電話1の下部には、更新制御手段としてのスイッチ4が備えられている。この携帯電話1の使用においては、通常の機能を実行するモードと、それらの実行に必要な操作入力を受け付ける入力部であるところの十字キーやボタン等の表示位置を変更するモードとを当該スイッチ4をスライドさせることにより切り替える。このスイッチング動作により、後述する記憶手段に保持された対応する表示座標を更新するか否かを制御することが可能となる。
【0033】
さらに、スイッチ4は報知部としての機能も併せ持つ。すなわち、携帯電話1の使用者は、このスイッチ4の位置により、通常の機能を実行するモードなのか、入力部の表示位置を変更するモードなのかを確認することができる。
【0034】
このスイッチ4はさらに更新選択部としての機能を併せ持つ。すなわち、スイッチ4は、携帯電話1に向けて押下すると別の信号を送信し得る押し下げスイッチとしての機能も兼ね備えており、使用者は、スイッチ4を「変更」の位置にスライドさせ、さらにスイッチ4を押下することにより、携帯電話1が有する種々の機能を選択することができる。すなわち、変更モードの位置にあるスイッチ4を押下するたびに、図12に示すように、電話、電子メール、リモコン、ゲーム、ブラウジングの各モードに順に切り替えることができる。
【0035】
また、携帯電話1は、話者の音声を入力するマイクの受話口14、同じく音声を出力するスピーカのための開口部22、リモコン機能の実行に必要な赤外線通信を行う受発光部27を備えている。
【0036】
図2は、この実施の形態における機能ブロック図と、入力装置の稼働によって可能となる使用者の操作説明図とを対応付けて示す図である。
【0037】
図2に示すように、入力装置31は携帯電話1に備えられ、携帯電話1の入力関係の機能を担う装置であって、表示手段としての表示部33と、指示入力手段としての指示入力部32と、表示制御手段としての表示制御部35と、記憶手段としての記憶部39と、重心取得手段としての重心取得部51とを備え、さらに、報知手段としての報知部34と、機能選択手段としての機能選択部37と、更新制御手段としての更新制御部38とを兼ね備えた操作部52を備えている。本実施形態の場合、前記スイッチ4及び携帯電話1表面に付された文字、記号が前記操作部52として機能している。
【0038】
表示部33は、携帯電話1の入力に関する各種情報を表示する機能を備える。この各種情報とは例えば、携帯電話1の使用者の操作に対応した情報である十字キーやボタンのイメージである入力部であり、さらに、操作される機能を前記入力部と共に示される文字や記号等の情報である。また、具体的にこの表示部33は、液晶ディスプレイ2を備える。
【0039】
指示入力部32は、上記表示部33としての液晶ディスプレイ2の表面上に配置されるタッチパネル36を備え、当該タッチパネル36を使用者が触れることで接触座標が入力され、この接触座標に基づき液晶ディスプレイ2の画面座標に対応する指示座標を入力する。
【0040】
表示制御部35は、携帯電話1の内部に備えられるCPU(Central Processing Unit)に該当し、指示入力部32により入力された指示座標に基づき記憶部39に保持された対応する表示座標を更新する処理部である。
【0041】
記憶部39は、携帯電話1の内部に備えられる不揮発性RAM(Random Access Memory)に該当し、入力部の表示位置を決定するための表示座標を保持する。
【0042】
報知部34は、携帯電話1においてはスイッチ4が併有しており、携帯電話1の表面上に記載された「変更」、「通常」の文字とスイッチ4の中央表面に記載された線との相対的な関係により現在の入力装置31の状態を報知する。
【0043】
機能選択部37もまた、スイッチ4が併有しており、スイッチ4が「変更」の位置にあるとき、スイッチ4を押し込むことにより、携帯電話1の各種機能を選択することができる。また、機能選択部37としてのスイッチ4を押し込むたびに操作対象となる機能を順次切り替えて記憶部39に出力するとともに、操作対象となる機能を示す機能説明が表示部33に表示される。
【0044】
更新制御部38もまた、スイッチ4が併有しており、スイッチ4が「変更」の位置にあるときは表示制御部35の記憶部39への表示座標の更新を許可し、スイッチ4が通常の位置にあるときは前記更新を不許可とする。
【0045】
使用者による操作40は、本実施の形態における入力装置により可能となる使用者による入力部の位置を変更する操作要素を前記各処理部などに対応づけて示している。
【0046】
使用者による入力部の位置の変更は、動作モードの選択45と、動作モードの確認41と、使用者による表示位置の指定42と、使用者による表示位置の確認43と、入力部の選択44との各操作要素を含んでいる。
【0047】
使用者は、更新制御部38としてのスイッチ4(操作部52)を操作することにより、動作モードの選択45、すなわち、表示座標の更新が可能か否かを選択することができる。
【0048】
また、報知部34としてのスイッチ4(操作部52)の位置により動作モードの確認41をすることができる。
【0049】
また、機能選択部37としてのスイッチ4(操作部52)を変更の位置で押し下げることにより、入力部の選択44、すなわち、表示位置を変更したい入力部を備える機能を選択することができる。
【0050】
また、指示入力部32としてのタッチパネル36に触れることにより、使用者が所望する入力部の表示位置の指定を行う表示位置の指定42を行うことができる。
【0051】
また、表示部33としての液晶ディスプレイ2に変更後の入力部などが表示されるため、表示位置の確認43をすることができる。
【0052】
図3は、本実施の形態における入力装置の動作内容を示す図である。
本実施の形態にかかる入力装置31のスイッチ4を使用者が「変更」の位置にスライドさせることにより変更モードとなる(S301)。
【0053】
次に、表示部33は、記憶部39に記憶される所定の機能の操作に必要な入力部や各種情報を表示する文字などを表示する位置を示す表示座標を読み出す。この表示座標は各機能に対応して機能ごとに記憶部39に記憶されており、選択される各機能に対応して表示座標が読み出され、これに基づき入力部などが表示される(S302)。
【0054】
次に、指示入力部32は、使用者による表示位置の指定42の受付、すなわち、表示部33上に設置されたタッチパネル36の一部を使用者が触れることにより指示座標が入力される。そして、表示制御部35は当該指示座標に基づき記憶部39に保持される対応表示座標を更新する(S303)。
【0055】
次に、表示部33は、更新後の表示座標を読み出し該当する入力部を表示する(S304)。
【0056】
これにより、使用者が所定の入力部を表示させたい表示位置に入力部の表示位置を移動させて表示位置の変更を行うことができる。
【0057】
この時点で、使用者は、スイッチ4の状態により、表示位置を変更するモードの継続か終了かを選択することができる。すなわち、更新制御部38であるところのスイッチ4をスライドさせることにより通常の機能を実行するモード(「通常」の位置)が選択されれば、入力部の表示位置を変更するモードは終了となり(S305)、変更モードは停止する(S306)。そうでなければ、入力部の表示位置を変更するモードを継続する。
【0058】
さらに、機能選択部37であるところのスイッチ4の押し込みがなければ、引き続き同様の機能の入力部の表示領域の変更をおこなう(S307)。
【0059】
スイッチ4の押し込みがあれば、次の機能に対応する入力部が表示部33であるところの液晶ディスプレイ2に表示され、以上の変更操作が繰り返される(S308、S309)。
【0060】
図4は、上記の動作を示す携帯電話1の下部を示す図である。
同図に示す携帯電話1は、天井などに備えられる照明をON、OFFすることのできるリモコン機能を備えている。そして、同図は、携帯電話1がこのリモコン(照明)モードのときに表示部33に表示される入力部55の位置の変更を実行するときに液晶ディスプレイ2に表示された入力部(入/切スイッチ)55の状態を示すものである。
【0061】
また、液晶ディスプレイ2に「リモコン(照明)」と表示された機能説明20は、表示位置を変更しようとしている入力部55に対応する機能が表示される部分である。
【0062】
液晶ディスプレイ2の上部の変更後の入力部54内に示させるドットは、入力部の新たな表示位置を指示する位置確認部24である。
【0063】
破線の円で囲まれた初期入力部53は、当初表示された入力部55である。
実線の円で囲まれた変更後入力部54は、上記操作により変更された位置に表示された入力部55である。
【0064】
このように本実施形態にかかる入力装置31を用いると、スイッチ4を変更の位置にスライドさせ、さらに押下してリモコン(照明)機能を選択した後、使用者が当初「入/切」が表示されていた初期入力部53の対応位置にあるタッチパネル36の一部を触れ、次に「入/切」を新たに表示させたい位置に対応するタッチパネル36の一部を触れることで入力部55を容易に移動させることができ、使用者の意図によって入力部55の表示位置を変更することが可能となる。
【0065】
(指示座標の特定)
次に、指示座標の特定方法を説明する。
【0066】
指示入力部32としてタッチパネル36を用いた場合、タッチパネル36を使用者の指でタッピングする際に複数の接触座標が同時に入力されることがある。このことから、入力部の表示位置を指定する際、指示座標を厳密に入力するためには、同時に入力される上記複数の接触座標から代表となる座標を1点抽出し特定する必要がある。
【0067】
図5は、タッチパネル36をタッピングしたときの入力される接触座標を示した図である。
【0068】
図6は、タッピングされた全座標から1点を特定した場合を示す図である。
図5に示すように、タッチパネルは、手指でタッピングされた場合ある程度の広がりをもった複数の接触座標23、23…が同時に入力される。
【0069】
指示入力部32に備えられる重心取得部51は、前記指示入力部32であるタッチパネル36から入力された全接触座標23、23…に基づき重心位置としての重心座標24を算出する。そして、当該重心座標24を指示座標として特定する。
【0070】
具体的に重心座標の算出方法は、各接触座標23をX座標とY座標に分解し、X座標の平均値とY座標の平均値を重心座標24とする。
【0071】
そしてこの特定された指示座標に基づき表示座標を更新することにより、正確に入力部の表示位置を変更している。
【0072】
以上のように、本発明にかかる実施形態によれば、入力部を液晶ディスプレイ上の任意の位置に移動させることができるため、使用者の好みに応じた入力部の配置を確保することが可能となる。
【0073】
しかも、入力部の移動の指示を液晶ディスプレイ上で行えるため、直感的かつ容易に入力部を移動させることができる。
【0074】
(実施の形態2)
次に、本発明にかかる他の実施形態を説明する。指示座標の入力方法が異なる以外は前記実施形態と同じであるため、相違部分のみ説明する。
【0075】
図7は、本実施形態にかかる入力装置31の機能ブロック図である。
本実施形態にかかる入力装置31は、ベクトルによって入力部55の位置を変更するものであり、前記実施形態の機能に加えて、ベクトル算出手段としてのベクトル算出部61と、絶対領域座標取得手段としての絶対領域座標取得部62と、最適座標取得手段としての最適座標取得部63とを備える。
【0076】
ベクトル算出部61は、指示入力部32により入力される2点の指示座標からベクトル5を算出する処理部である。具体的には、図8や図9に示すように、入力部の表示位置には無関係にタッチパネル36の異なる2カ所を連続してタッピングし、最初にタッピングされた接触座標から指示座標を特定してベクトルの始点6として設定し、次にタッピングされた接触座標から特定された指示座標をベクトルの終点7として設定してベクトル5を算出する。そして、このベクトル5により定まる移動量および移動方向を用いて記憶部39から読み出す入力部の表示座標9から新しい指示座標10を算出する。この場合、初期の表示座標9を始点とし、指示座標10を終点としたベクトル11と先のベクトル5は同じベクトルとなる。
【0077】
そして、表示制御部35は前記新しい指示座標10に基づき記憶部39に保持される対応表示座標10を更新し、更新された表示座標10に基づき入力部55が新たな位置で表示される。
【0078】
これにより、初期に表示された入力部53の位置に関わりなく、使用者が操作しやすい位置で入力部の表示位置を変更することができ、操作性を向上させることができる。
【0079】
また、ベクトル算出部61は次の機能を備えていても良い。
すなわち、タッチパネル36に触れた後、指を離さずにタッチパネル36上で指を滑らせることで指示座標を次々と入力する。ベクトル算出部61は、この連続に入力される指示座標から入力順にベクトルを算出する。そして、初期の入力部53の表示座標から新しい指示座標を最初のベクトルを用いて算出し、その後算出された前記指示座標に次のベクトルを用いて新しい指示座標を次々に算出する機能である。
【0080】
そして、表示制御部35は、前記次々に算出される指示座標に基づき記憶部に保持される表示座標を次々に更新し、表示部33はこの表示座標に基づいて次々に入力部を表示する。
【0081】
これにより、あたかもタッチパネル36上の指の動きに追随するように入力部が表示されるため、入力部の位置決めを容易に行うことが可能となる。
(再変更方法)
次に。表示領域の再変更方法などを説明する。
図10は、入力部の表示位置を変更した際に、入力部が画面からはみ出る場合にそれを変更する状態を示した図である。
【0082】
前記記憶部39は、前記表示部33の表示可能領域の境界を示す境界特定座標を保持している。さらに、記憶部39は入力部の表示領域を画定する相対領域座標も保持している。
【0083】
ここで、相対領域座標とは、例えば図9に示すように、入力部55が矩形の場合はこの矩形領域の4頂点座標と当該入力部の指示座標または表示座標との相対的関係を示す座標である。また、入力部が矩形でない場合は、この入力部を全て含む矩形領域の頂点座標でも良い。
【0084】
また、境界特定座標とは、表示部33に表示可能な画面座標の外縁を示す座標であり、表示部33としての液晶ディスプレイ2が矩形である場合は、画面座標の四隅の座標がこれに該当する。
【0085】
入力装置31が備える絶対領域座標取得手段としての絶対領域座標取得部62は、指示入力部32から入力される指示座標と前記相対座標に基づき絶対領域座標を算出する。
【0086】
ここで絶対領域座標とは、該当入力部の表示座標に基づき各相対領域座標の位置を決定し、液晶ディスプレイ2の画面座標と対応づけられる座標である。
【0087】
また、最適座標取得手段としての最適座標取得部63は、前記絶対領域座標のいずれかに対応する画面座標がない場合、すなわち、絶対領域座標が画面座標内に無い場合には、全ての絶対領域座標が画面座表内に存在するような最適表示座標を算出する。具体的には図10に示す場合、絶対領域座標64の右側二つが境界特定座標65で画定される境界を越えて存在しているため、絶対領域座標64のはみ出た量(絶対領域座標64のX座標−境界特定座標65のX座標)だけ、表示座標をずらした最適表示座標(表示座標のX座標−はみ出た量)を算出する。
【0088】
図11は、入力部が画面からはみ出た場合の変更動作を示すフローチャートである。
まず、前述のようにベクトルを用いて入力部の移動量及び移動方向を入力する(S1001)。次に、前記移動量及び移動方向、初期の表示座標に基づいて指示座標を算出し、当該指示座標と相対領域座標に基づき絶対領域座標取得部が絶対領域座標を作成する(S1002)。
【0089】
前記算出された絶対領域座標の全てが画面座標内に存在している場合は(S1003:yes)、前記指示座標に基づき記憶部39に保持される表示座標が更新され、更新後の表示座標に基づき入力部が表示される(S1004)。
【0090】
一方、前記算出された絶対領域座標少なくとも一つが画面座標内に存在していない場合は(S1003:no)、最適座標取得部が、画面座標に基づき絶対領域座標のはみ出した量を算出し、このはみ出した量に基づき表示座標を補正して最適表示座標を算出する(S1005)。
【0091】
そして、表示制御部35は前記最適表示座標に基づき表示座標を更新し、当該表示座標に基づき表示部33は入力部を表示する(S1006)。
【0092】
以上によって、入力部全体が常に液晶ディスプレイ2内に表示されるため、入力部の表示の一部が欠けることによって機器の特定の機能が実施できないなどの不具合を回避することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、使用者が操作を行う入力部を備える機器に適用が可能であり、特に、携帯電話や携帯情報端末などを代表とする、使用者が直接保持しながら操作を行う小型の機器の入力装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施形態にかかる携帯電話の正面図である。
【図2】入力装置の機能構成と使用者の操作との相関を示す図である。
【図3】入力装置の動作の流れを示す図である。
【図4】入力部の位置変更を例示的に示す図である。
【図5】同時に入力された接触座標を模式的に示す図である。
【図6】算出された重心座標を模式的に示す図である。
【図7】本発明にかかる他の実施形態の機能構成を示すブロック図である。
【図8】方向ベクトルにより入力部の表示座標を更新した場合を模式的に示す図である。
【図9】方向ベクトルにより表示座標を更新したときの他の例を示す図である。
【図10】表示座標を最適表示座標に変更した場合を模式的に示す図である。
【図11】最適表示座標に変更するときの動作を示したフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態において機能選択のサイクルを示すフロー図である。
【図13】従来の実施の形態における携帯端末を右手で持ったときのキー配置の状態を示す図である。
【図14】従来の実施の形態における携帯端末を左手で持ったときのキー配置の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
1 携帯電話
2 液晶ディスプレイ
4 スイッチ
5 ベクトル
6 始点
7 終点
9 表示座標
10 指示座標
11 ベクトル
32 指示入力部
33 表示部
34 報知部
35 表示制御部
36 タッチパネル
37 機能選択部
38 更新制御部
39 記憶部
41 動作モードの確認
42 表示位置の指定
43 表示位置の確認
44 入力部の選択
45 動作モードの選択
51 重心取得部
52 操作部
53 初期入力部
54 変更後入力部
55 入力部
20 機能説明
24 位置確認部
61 ベクトル算出部
62 絶対領域座標取得部
63 最適座標取得部
64 絶対領域座標
65 境界特定座標

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が保持しながら操作する機器に備えられ、前記機器の機能に対応する状態で配置される入力部を表示する入力装置であって、
前記入力部の表示に必要な表示座標を保持する記憶手段と、
前記記憶手段に保持される表示座標を読み出し、当該表示座標に対応する画面座標に前記入力部を表示する表示手段と、
前記入力部の表示位置を任意に指示する指示座標を入力する指示入力手段と、
前記指示入力手段により入力された指示座標に基づき、記憶手段に保持された対応する表示座標を更新する表示制御手段と
を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記指示入力手段は、前記表示手段上に設置され、接触した部分の接触座標を入力するタッチパネルを備えることを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記指示入力手段により入力される指示座標に対応する画面座標に位置確認部を表示することを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項4】
前記指示入力手段はさらに、
前記タッチパネルから入力される複数の接触座標から重心座標を求める重心取得手段を備え、
当該重心座標を指示座標として入力することを特徴とする請求項2記載の入力装置。
【請求項5】
前記入力装置はさらに、指示入力手段により入力される二つの指示座標から方向ベクトルを算出するベクトル算出手段を備え、
前記表示制御手段は、前記方向ベクトルに基づき記憶手段に保持される表示座標を更新することを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項6】
前記入力装置はさらに、
前記機器が有する複数の機能を選択する機能選択手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項7】
前記入力装置はさらに、
前記表示制御手段の表示座標の更新を制御する更新制御手段を備えることを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項8】
前記入力装置はさらに、
前記表示制御手段が表示座標を更新可能であることを示す報知手段を備えることを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項9】
請求項6〜請求項8に記載の前記機能選択手段、前記更新制御手段、前記報知手段の少なくともいずれか一組を兼用する操作手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項10】
前記表示手段は、前記機能選択手段において選択される機能を示す機能説明を表示することを特徴とする請求項6記載の入力装置。
【請求項11】
前記記憶手段はさらに、
前記表示手段に表示可能領域を画定する境界特定座標と、
前記入力部の表示領域を画定する相対領域座標を保持し、
前記入力装置はさらに、
前記指示座標と前記相対領域座標に基づき絶対領域座標を算出する絶対領域座標取得手段と、
前記絶対領域座標の少なくとも一つが前記画面座標外に存在する場合は、前記絶対領域座標の全てが前記画面座標内に収まる最適表示座標を算出する最適座標取得手段を備え、
前記表示制御手段は、前記最適表示座標に基づき表示座標を更新することを特徴とする請求項1記載の入力装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の入力装置を備える携帯端末。
【請求項13】
使用者が保持しながら操作する機器に備えられ、前記機器の機能に対応する状態で配置される入力部を表示する入力装置において、
前記入力部の表示に必要な表示座標を記憶手段に保持し、
前記記憶手段に保持される表示座標を読み出し、
当該表示座標に対応する画面座標に前記入力部を表示手段により表示し、
前記入力部の表示位置を任意に指示する指示座標を指示入力手段により入力し、
前記指示入力手段により入力された指示座標に基づき、記憶手段に保持された対応する表示座標を表示制御手段が更新すること
を含むことを特徴とする入力方法。
【請求項14】
請求項13記載の入力部配置方法に含まれる行程をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−134090(P2006−134090A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−322591(P2004−322591)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】