入力装置
【課題】 解決しようとする課題は、携帯電話機や携帯端末等の携帯機器の数字と文字の入力装置として操作が簡単で、入力文字の選択確定を速やかに行うことが可能な入力装置を提供することにある。
【解決手段】
本発明の入力装置は、タッチパネル式キーボードであって、第1の信号を入力するための基本となる配列をディスプレイに表示させる制御回路部分と、基本配列キーグループのそれぞれ1つのキーに対して、第2の信号を入力するための文字データを配置した複数のキー配列をディスプレイに表示させる制御回路部分とからなる制御部と、この第1の信号が入力される基本配列と、第1の信号が入力されたときにそれぞれのキーに割り当てられた複数の展開配列とを表示させ、第1の信号及び第2の信号を入力データとする文字データ制御部を有するものである。
【解決手段】
本発明の入力装置は、タッチパネル式キーボードであって、第1の信号を入力するための基本となる配列をディスプレイに表示させる制御回路部分と、基本配列キーグループのそれぞれ1つのキーに対して、第2の信号を入力するための文字データを配置した複数のキー配列をディスプレイに表示させる制御回路部分とからなる制御部と、この第1の信号が入力される基本配列と、第1の信号が入力されたときにそれぞれのキーに割り当てられた複数の展開配列とを表示させ、第1の信号及び第2の信号を入力データとする文字データ制御部を有するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル式の携帯電話機や携帯端末等の携帯機器に文字や記号等の文字データを入力する入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機に電話番号を入力する入力装置として、1から0までの押しボタンキーボードが使用されている。また、携帯電話機による文字通信を行うため、この電話番号入力用の押しボタンに文字記号を割り当てて入力可能にしている。そもそも携帯電話機が固定電話機から発達した歴史から、電話番号の1から0までの数字及び文字や記号等を入力する押しボタンの配列は、3列4行のものが世界的に普及しており、0から1の数字とAからZ等の文字等の組合せは概ね同様の数字及び文字グループで構成されている。わが国では、図1に示すように、この数字及び文字グループに、かな文字配列を組み合わせたキーボード2を採用した携帯電話機1が大多数である。
【0003】
従来の携帯電話機のキーボードでは、文字入力方式として、いわゆる「キー連打方式」が主流である。このキー連打方式では、1つの押しボタン(以下、「キー」と同義。)に複数の文字記号を割り当てているため、唯一の文字記号を確定させるためには、アルファベット文字では1回から4回、かな文字では1回から5回、キーを押さなければならない。また、同じキーに割り当てられている文字を続けて入力するためには、方向キーで1字先送りしなければならず、煩雑さと時間を要することが欠点として指摘されている。
【0004】
この「キー連打方式」の欠点を補う発明として、例えば、特許文献1に記載のように、割り当てられている文字の順位が第5番目や第4番目に当たる場合に、別に用意された逆順キーを押すと順位が逆転し、逆1番目や逆2番目として打数を減じる工夫がされたものもあるが、入力者が常に、この文字は正順、この文字は逆順、というように瞬時の判断を要求されるものであり、むしろ、操作の複雑化を招いていて、必ずしも直感的な方法とはいえない。
【0005】
また、「キー連打方式」の欠点を克服する発明として、例えば、特許文献2に記載のように、タッチパネルキーボードにおいて、キー位置から上下左右にドラッグして文字を選択する方式がある。
【0006】
この方法は、タッチパネルに表示されているかまたはキーボードに配置された複数のキーの1個に5文字を定義し、キーの選択操作と選択した後の操作点ないし操作力の前後左右の移動方向とにより、1文字を選択可能にするというものであるが、この方法では、移動する方向の文字をその都度判断し、確定しなければならず、操作の習得に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−140814号公報
【特許文献2】特願平10−285333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来までのように、キーボードのキーが機械的スイッチとして固定されたものであればキートップの表示を変えることは複雑な技術を要するが、近年増加している、タッチパネル方式のキーパネルであればキートップの表示を変えることは容易である。タッチパネル方式とは、ディスプレイの表面に透過性の位置センサー素子で構成された回路を有するものであって、ディスプレイ画面上の任意のキーの位置を指やペンなどによりタッチすれば、位置センサーがそれを感知し、同期しているディスプレイ画面上の任意のキーの同位置を確定することによりキー操作をすることができるディスプレイとセンサーの複合体であり、主として抵抗膜方式や静電容量方式などの方法を用いて、既に携帯電話などへの応用が普及しているものである。
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、タッチパネル方式の携帯電話機や携帯端末等の携帯機器に使用するものであって、数字と文字の入力装置として既に一般的に普及している入力装置の3列4行のキートップ配列構成を変えず、しかも操作が簡単で、入力文字の選択確定を、従来の入力装置に比べはるかに直感的かつ速やかに行うことが可能な入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の入力装置は、文字データを入力するためのタッチパネル式キーボードであって、第1の信号を入力するための基本となる配列(以下、「基本配列」という。)をディスプレイに表示させる制御回路部分と、基本配列キーグループのそれぞれ1つのキーに対して、第2の信号を入力するための文字データを配置した複数のキー配列(以下、「展開配列」という。)をディスプレイに表示させる制御回路部分とからなる制御部を有する。基本配列としては、携帯電話機のキーボード配列としてこれまで最も普及しているキー配列が望ましい。基本配列のうちの1つのキーによって第1の信号がタッチ入力された際に、キータッチ面位置から指やペンなどそのまま離されればその位置のキー文字データがディスプレイに表示されるが、キータッチ面位置から指やペンなどがドラッグされれば基本配列が消え、かわりに、この第1の信号が入力されたキーに割り当てられた展開配列が表示され、さらに、その展開配列に配置された複数の文字データの中から、入力したい目的の文字を選択し、その文字のタッチパネルセンサーの位置を指などでタッチすることにより、第2の信号が入力されて目的の入力文字が確定されるが、本発明の入力装置はまた、この第1の信号が入力される基本配列と、第1の信号が入力されたときにそれぞれのキーに割り当てられた複数の展開配列とを表示させ、第1の信号及び第2の信号を入力データとする文字データ制御部を有するものである。基本配列と展開配列の関係を図1に示す。
【0011】
ここで、キーは、m行n列からなるマトリクスにそれぞれ1つずつ割り付けられた複数の文字データが、マトリクスの行または列ごとに割り当てられたものであり、制御部は、第1の信号が入力された際にマトリクスの行または列のいずれかのグループを決定し、第2の信号が入力された際にこの決定されたグループ内で列または行のいずれかを決定することにより入力データとする文字データを決定するものであることが望ましい。これにより、複数の文字データをマトリクスに割り付けて、第1の信号および第2の信号により入力する文字データを容易に管理することができる。例えば、日本語の場合、かな50音配列である。
【0012】
また、本発明の入力装置は、基本配列と展開配列がディスプレイ上の同位置に表示され、基本配列におけるキーグループのそれぞれのキー(以下、「主キー」という)の位置は、主キー毎の展開配列における各キーの位置と同位置にあることが望ましい。これにより、基本配列で配置されたキーグループと同位置に展開配列の2次選択候補の文字データもディスプレイ画面上に表示されるので、所望の文字データを入力するためのキーを容易に選択することが可能となる。
【0013】
また、展開配列は、基本配列で配置されたキーグループの主キーにそれぞれ対応して準備されているが、展開配列に配置される2次選択候補の文字データが多量に存在する場合は、主キー1要素に対しての展開配列が複数になっても差し支えない。
【0014】
展開配列は、文字データに記憶し易い順番がある場合は、視認し、記憶し易いルールに則り配置するのが望ましい。また、文字データに出現頻度や使用頻度などの優先順位がある場合には、順番を変えてその文字データを配置しても良い。その理由は、使用頻度の高い文字データを選択するのに運指範囲を小さくして入力速度を速めるためである。
【0015】
また、基本配列で配置されたキーグループとは別のキーを用いて、第2、第3、第nの基本配列を設定することができる。この、第2、第3、第nの基本配列で配置されたキーグループの主キーにもそれぞれ展開配列を設定し、それぞれ展開配列にも、それぞれ2次選択候補の文字データを配置することができる。
【発明の効果】
【0016】
(1)本発明によれば、基本配列のキーグループのいずれかキーで1次選択が行われると、そのキーに対応した展開配列として、複数の文字データを含む文字グループが決定され、次にこの文字グループのキーで2次選択が行われることにより、この文字グループ内の文字が決定され入力されるので、キー連打方式のように何度もキーを押すのではなく、基本的には1度乃至2度の簡単な操作により入力文字の選択確定を速やかに行うことが可能である。特に主キーは、キートップとして基本配列に指定された文字として、1タッチで選択確定をすることができる。
【0017】
(2)主キーのキートップに表示された文字が複数ある場合は、複数の文字のうち、最も使用頻度の高い重要文字を選んで、基本配列の主キー文字とすることもできる。このことにより、重要文字を1タッチで選択確定をすることができる。
【0018】
(3)展開配列には主キー文字又は重要文字から連想ができる関連文字又は句を、視認し、記憶し易いルールに則って、或いは、使用頻度などの優先順位を考慮して文字グループを配置すれば、より効率よく文字データを選択することができる。
【0019】
(4)基本配列は、これまで多く使われて人々が慣れた配列でよいが、もしも、ユーザーが展開配列の配列を変えたほうが使いやすいと思うときは、展開配の配列をユーザーオプションで変えることができる。例えば、左右の利き手に適した配列にしたり、デフォルトの配列に加えて空きスペースに文字データを補足したり、展開配列をさらに枝分かれさせた展開配列を作成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の構成概念を示した説明図である。
【図2】本発明の実施例の平面図である。
【図3】本発明の実施例の側面図である。
【図4】本発明の実施方法のルーチン図である。
【図5】本発明のキーボードの基本配列表示図である。(実施例1)
【図6】本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例1)
【図7】本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例1)
【図8】本発明のキーボードの基本配列表示図である。(実施例2)
【図9】本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例2)
【図10】本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例2)
【図11】本発明のキーボードの基本配列表示図である。(実施例3)
【図12】本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例3)
【図13】本発明のキーボードの基本配列表示図である。(実施例4)
【図14】本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例4)
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1の実施の形態における携帯機器としての携帯電話機は、図2、図3に示すように、携帯電話本体1に、ディスプレイ2、タッチパネルセンサー回路3、操作キー4、制御部5等から構成される入力装置を備える。本実施形態における携帯電話機では、電源がオンされ、入力画面モードになると、タッチパネルディスプレイ上に入力用キーボードとして基本配列が表示される。基本配列としては、図5や図8に示した一般的な携帯電話機のキー配列である。
【0022】
図5において、この入力装置の「かな」基本配列構成では、11個のキーにより数字、文字および記号の各データを入力可能にするため、キー10−1から10−11に、10個の数字と、少なくとも10個のかな文字及び記号を以下のように割り当てている。すなわち、1番のキー10−1に「1 あ」を、2番のキー10−2に「2 か」を、3番のキー10−3に「3 さ」を、4番のキー10−4に「4 た」を、5番のキー10−5に「5 な」を、6番のキー10−6に「6 は」を、7番のキー10−7に「7 ま」を、8番のキー10−8に「8 や」を、9番のキー10−9に「9 ら」を、0番のキー10−10に「0 わ」を、#のキー10−11に「#」を、それぞれ組み合わせて割り当てている。
【0023】
操作キー4でかなモードを指定すると、図6において、この基本配列として表示される1番から0番のキーのいずれかにタッチし、移動せずに離せば、1番では「あ」、2番では「か」、3番では「さ」、4番では「た」、5番では「な」、6番では「は」、7番では「ま」、8番では「や」、9番では「ら」、0番では「わ」が、1タッチで入力できる。また、1番から0番のキーのそれぞれには展開配列が単数又は複数割り当てられている。例えば1番のキー10−1をタッチし、黒矢印の方向すなわち、タッチ位置から周囲の任意の方向にドラッグすれば、図6のキーボードの基本配列表示6が消え、図7の1番キーの展開配列11が現れる。同様に、2番キー0−2をドラッグすれば2番キーの展開配列12が、3番キー10−3をドラッグすれば3番キーの展開配列14が、4番キー10−4をドラッグすれば4番キーの展開配列16が、5番キー10−5をドラッグすれば5番キーの展開配列18が、6番キー10−6をドラッグすれば6番キーの展開配列19が、7番キー10−7をドラッグすれば7番キーの展開配列22が、8番キー10−8をドラッグすれば8番キーの展開配列23が、9番キー10−9をドラッグすれば9番キーの展開配列24が、*キー10−10をドラッグすれば*キーの展開配列25が、0番キー10−11をドラッグすれば0番キーの展開配列26が、それぞれディスプレイ2に表示される。また、2番、3番、4番、6番キーから展開する文字データがそれぞれのキーの展開配列に入りきらないので、展開配列上のPキー(半濁音選択)やYキー(拗音選択)を操作し、さらに展開配列13.15、17、20、21などが表示される。
【0024】
例えば、「う」を入力する場合は、1番のキー10−1をドラッグして展開配列11が表示されると、文字データ「あ い う え お ぁ ぃ ぅ ぇ ぉ」が配置されているので、この中の文字「う」を選択し、タッチ入力することができる。以下、2番、3番などのキーについても同様である。ただし、6番のキー「は」行などの場合は、濁音、半濁音があり文字データが多いので、展開配列19からさらに2次の展開配列20,21を設定している。例えば、「ぴ」を入力したい場合は、展開配列19のPキー(半濁音選択)をタッチすれば展開配列20が表示され「ぴ」を確定できる。また、例えば、「ひょ」を入力したい場合は、展開配列19のYキー(拗音選択)をタッチすれば展開配列21が表示され「ひょ」を確定できる。*のキーでは、展開配列に記号データなどを配置すれば同様に入力できる。必要であれば操作キー4でかな漢字変換などを行えばよい。また、操作キーで数字モードにすれば、各々のキートップの数字を入力することができる
【0025】
また、別の実施例でいうと、図8で「英字」基本配列構成に、10個の数字と、少なくとも26文字のアルファベットと記号を以下のように割り当てている。すなわち、1番のキー50−1に「1 @(アットマーク) h」を、2番のキー50−2に「2 abc」を、3番のキー50−3に「3 def」を、4番のキー50−4に「4 ghi」を、5番のキー50−5に「5 jkl」を、6番のキー50−6に「6 mno」を、7番のキー50−7に「7 pqrs」を、8番のキー50−8に「8 tuv」を、9番のキー50−9に「9 wxyz」を、*のキー50−10に「*」を、0番のキー50−11に「0 + s」を、#のキー50−12に「# n」を、それぞれ組み合わせて割り当てている。
【0026】
操作キー4で英字モードを指定後、図9において、このキーボードの基本配列7として表示される1番から0番のキーには、アルファベット26文字と記号が表記されているが、このキーのいずれかにタッチし、移動せずに離せば、それぞれのグループで出現頻度の高い文字、h、a、e、i、l、o、r、t、y、s、nなど、図8ではアンダーラインを付けて区別したキーをそれぞれのキーの主キーとしているので、1番では「h」、2番では「a」、3番では「e」、4番では「i」、5番では「l」、6番では「o」、7番では「r」、8番では「t」、9番では「y」、0番では「s」、#では「n」が1タッチで入力できる。1番から#のキーのそれぞれには展開配列が割り当てられている。また、図9において、例えば1番のキー50−1をタッチしたまま、黒矢印の方向すなわち、タッチ位置から周囲の任意の方向にドラッグすれば、基本配列7が消え、図10の1番キーの展開配列51が現れる。同様に、2番のキー50−2をドラッグすれば2番キーの展開配列52が、3番のキー50−3をドラッグすれば3番キーの展開配列53が、4番のキー50−4をドラッグすれば4番キーの展開配列54が、5番のキー50−5をドラッグすれば5番キーの展開配列55が、6番のキー50−6をドラッグすれば6番キーの展開配列56が、7番のキー50−7をドラッグすれば7番キーの展開配列57が、8番のキー50−8をドラッグすれば8番キーの展開配列58が、9番のキー50−9をドラッグすれば9番キーの展開配列59が、*のキー50−10をドラッグすれば*キーの展開配列60が、0番のキー50−11をドラッグすれば0番キーの展開配列61が、#のキー50−12をドラッグすれば#キーの展開配列62が、それぞれディスプレイ2に表示される。
【0027】
例えば、「b」を入力する場合、2番のキー50−2をドラッグして展開配列52が表示されると、文字データ「a b c am be ce」が配置されているので、この中の文字「b」を選択することができる。文字データは、出現頻度の高い文字を主キーとして配置することが望ましい。展開配列52の場合は「a」は先頭文字であり出現頻度も高いので主キーとして効果的であるが、例えば展開配列53の場合は、先頭文字は「d」であるが、かわりに出現頻度の高い「e」を主キーとするなどである。このように設定しておけば、前述のように、高出現頻度の「h、a、e、i、l、o、r、t、y、s、n」は1タッチで入力できる。展開配列の他の文字は基本配列をドラッグして展開配列を出し、展開配列から選択してタッチして入力できる。また、*のキーは展開配列に記号データなどを配置すれば、同様に入力できる。
【0028】
本実施形態における入力装置の動作について説明すると、ルーチン図4において、入力処理の際に、制御部はキータッチの有無を判断し、タッチがあれば、主キーを識別しその座標を第1の信号として文字データ制御部へ入力され記憶する。その後、その位置でキーがタッチ面から離されれば、制御部は目的の文字データが主キーの文字であることを判断し、表示する。キーが離されずドラッグされると、制御部は目的の文字データが主キー以外の文字であることを判断し、対応する展開配列を表示する。しかして、展開配列から選択したい文字の位置をタッチすることにより2次選択を行うと、このキータッチが第2の信号として文字データ制御部へ入力される。これにより、文字データ制御部は、展開配列に表示される複数の文字データの配列に従ってこの第2の信号が入力されたキーに対応する文字データを入力データとして確定する。
【0029】
第3の実施例において、この入力装置の「ハングル」基本配列構成では、11個のキーにより数字、文字および記号の各データを入力可能にするため、図11に示すキー配列として、キー150−1〜150−11に、10個の数字と、少なくとも17個のハングル文字及び記号を以下のように割り当てている。すなわち、1番のキーに150−1を、2番のキーに150−2を、3番のキーに150−3を、4番のキーに150−4を、5番のキーに150−5を、6番のキーに150−6を、7番のキにー150−7を、8番のキーに150−8を、9番のキーに150−9を、*のキーに150−10を、0番のキーに150−11を、#のキーに「#」を、それぞれ組み合わせて割り当てている。
【0030】
操作キー4でハングルモードを指定すると、図11において、このキーボードの基本配列として表示される1番から0番のキーのいずれかにタッチし、移動せずに離せば、1番から0番までに割り当てられたハングル文字のうち、数字の次に表記する文字が、1タッチで入力できる。また、1番から0番のキーのそれぞれには展開配列が割り当てられている。例えば1番のキー150−1をタッチし、黒矢印の方向すなわち、タッチ位置から周囲の任意の方向にドラッグすれば、図11の基本配列が消え、図12の1番キーの展開配列151が現れる。同様に、2番キー150−2をドラッグすれば2番キーの展開配列152が、3番キー150−3をドラッグすれば3番キーの展開配列153が、4番キー150−4をドラッグすれば4番キーの展開配列154が、5番キー150−5をドラッグすれば5番キーの展開配列155が、6番キー150−6をドラッグすれば6番キーの展開配列156が、7番キー150−7をドラッグすれば7番キーの展開配列157が、8番キー150−8をドラッグすれば8番キーの展開配列158が、9番キー150−9をドラッグすれば9番キーの展開配列159が、*キー150−10をドラッグすれば*キーの展開配列160が、0番キー150−11をドラッグすれば0番キーの展開配列161が、それぞれディスプレイ2に表示される。
【0031】
例えば、図12の展開配列151の最上段中央の文字を入力する場合は、図11の1番のキー150−1をドラッグして展開配列151が表示されると、5個の文字データが配置されているので、この中の最上段中央の文字を選択し、タッチ入力することができる。以下、2番、3番などのキーについても同様である。*のキーでは、展開配列に記号データなどを配置すれば同様に入力できる。また、操作キーで数字モードにすれば、各々のキートップの数字を入力することができる
【0032】
また、第4の実施例では、「中国語ピンイン及び注音字母」基本配列構成として、10個の数字と、少なくとも9組のアルファベットと注音字母及び記号を、1番のキーから#のキーまで、図13においてそれぞれ順に、100−1、100−2、100−3、100−4、100−5、100−6、100−7、100−8、100−9、100−10、100−11、100−12のように割り当てられている。注音字母は主として台湾で中国語を表現するために用いられている表音記号であり、1つのキーに表記にされたアルファベットと注音字母は同じ発音記号として対応しているが、本発明においては、アルファベット単独表記、注音字母単独表記或いは、アルファベットと注音字母の併記のいずれを用いても差し支えない。
【0033】
この基本配列として表示される1番から0番のキーのいずれかにタッチし、移動せずに離せば、1番から0番までに割り当てられたアルファベット又は注音字母が、1タッチで入力できる。前述3実施例と同様に、100−1のキーは図14の展開配列104に、100−2のキーは図14の展開配列105に、と対応して、それぞれのキーにそれぞれの展開配列を有する。例えば1番のキー100−1をタッチし、黒矢印の方向すなわち、タッチ位置から周囲の任意の方向にドラッグすれば、図13の基本配列が消え、図14の1番キーの展開配列104が現れるので、その文字グループから目的の文字を選択すれば良い。
【実施例1】
【0034】
従来のキー連打方式(マルチタップ方式ともいう)が、実際に文章を入力したときに1文字当たり何打を要するかを、統計的に調べたものを下記の表1に示す。この統計は、新聞等の一般的文章の約11万字について、かな文字出現率にキー連打方式の打数を乗じ、総計した等価打鍵数である。ただし、全文章には句読点や記号なども含まれているので、この修正と、及び、キー連打方式特有の方向キー使用による修正を加え、数値を補正した。
【0035】
【表1】
【0036】
表2は、従来のキー連打方式の欠点である、多数回連打を避ける為に、かな文字データの順番を最後から逆に打つための「逆順キー」や、標準文字を小文字変える「小文字キー」などを採用した入力方法の統計的等価打鍵数である。この場合も方向キー補正と句読点補正がなされた数字を示している。
【0037】
【表2】
【0038】
表3は、新方式、つまり本発明によるかな文字入力方法での統計的等価打鍵数であり、句読点補正はされているが、本入力方法では方向キーを必要としないのでその補正は必要ない。ただし、タッチもドラッグも1ストローク、つまり1打として計算している。
【0039】
【表3】
【0040】
従来のキー連打式(マルチタップ式)では、1打から5打まで何度も打鍵する方法であった。この方法だと指数320(表1)つまり、1000文字入力するのに、3200回打鍵しなければならない。最近は、マルチタップも改良されて、逆順キーや小文字指定キーなどを持つ機種が現れている。これを採用した場合、指数240(表2)つまり、1000文字では2400回打鍵しなければならない。一方、本発明(新方式)では、指数174(表3)つまり、1000文字では1740回打鍵でよい。このように本発明によれば、従来のキー連打式(マルチタップ方式)に比べ、46%打数が少なくて済む。また、改良マルチタップ方式に比べても、28%打数が少くて入力ができる。
【実施例2】
【0041】
表4は、英字(アルファベット)についての、従来のキー連打方式と、本発明(新方式)の英字入力方式の統計的等価打鍵数を比較したものである。キー連打方式については、やはり、方向キー使用による補正がなされた数字である。
【0042】
【表4】
【0043】
本発明のアルファベットでの実施例では、フルキーボード(QWERTY)の100に比べても123で1.23倍の打数で済み、従来マルチタップ方式の214に比べ、43%打数が少なくて済むことがわかる。また、表5でも明らかなように、アルファベット文字のA、E、I、L、O、R、T、Y、H、N、Sの一般文章における出現頻度の合計は77%になり、本発明の配列構成によれば、統計的には全文章の約8割が1打で入力できることになるので、テンキーキーボードとしては極めて効率が良いことがわかる。
【0044】
【表5】
【0045】
また、欧米で広く使用されている入力方式にT9(ティーナイン)と呼ばれるものがある。この方式は例えば、「cat」と入力したいときは、2番のキー「abc」 、2番のキー「abc」、8番のキー「tuv」と続けて打ち、合計27通りの組合せの選択肢から、「cat」を選んで入力させる方法だが、このT9方式においても本発明が効果を上げていることを表6で説明する。表6では、英単語の「open」「close」「hand」「sports」の4例を挙げているが、従来のT9と本発明の配列によるT9を、それぞれの単語について計算すると、各33%、25%、11%、6%というように、文字h、s、nの1打固定による組合せの数の減少、すなわち、選択肢の減少によって、使用者の入力のし易さと速度に効果を挙げていることがわかる。
【0046】
【表6】
【実施例3】
【0047】
ハングル入力の場合を図11と図12で説明する。図11において、1番から3番までのキーは、母音のグループであり、その代表文字を表記している。また、4番から0番までのキーは、子音のグループであり、その代表文字を表記している。前述項目番号「0030」で説明したように、基本配列のキーをタッチすることで、各キーの代表文字(数字の右となりの文字が入力できる。例えば、「ナムサン(南山)」に相当するハングルを入力するには、まず基本配列で5番のキー150−5をタッチして主キーを確定する。次に1番のキー150−1をドラッグして図12の展開配列151を表示させ、最上段中央の文字を選択する。次に基本配列の0番のキーをドラッグして図12の展開配列161を表示させ上から3段目中央の文字を選択する。次に基本配列で8番のキー150−8をタッチして主キーを確定する。次に1番のキー150−1をドラッグして図12の展開配列151を表示させ、最上段中央の文字を選択する。次に基本配列で5番のキー150−5をタッチして主キーを確定する。この一連の操作により「ナムサン(南山)」に相当するハングルが入力できる。
【実施例4】
【0048】
中国語入力の場合を図13と図14で説明する。図13の配列は、主として台湾で多く用いられている注音字母配列の代表的なものである。注音字母配列は、別名bopomofo配列といい、元来中国語の発音重視の観点から非常に合理的な表示であるが、従来はキー入力方法はマルチタップもしくはフリック方式に留まっていた。キーの1番から6番までは子音のグループであり、キーの7番から0番プラス#キーまでは母音のグループである。本発明では、キートップに表示されている代表文字は前述実施例のごとく1打で入力できる。また、各グループのその他の文字は、図13の各キーに図14の展開配列が対応している。例えば1番のキー100−1をタッチし、黒矢印の方向すなわち、タッチ位置から周囲の任意の方向にドラッグすれば、図13の基本配列が消え、図14の1番キーの展開配列101が現れる。同様に、2番キー100−2をドラッグすれば2番キーの展開配列102が、3番キー100−3をドラッグすれば3番キーの展開配列103が、4番キー100−4をドラッグすれば4番キーの展開配列104が、5番キー100−5をドラッグすれば5番キーの展開配列105が、6番キー100−6をドラッグすれば6番キーの展開配列106が、7番キー150−7をドラッグすれば7番キーの展開配列107が、8番キー100−8をドラッグすれば8番キーの展開配列108が、9番キー100−9をドラッグすれば9番キーの展開配列109が、*キー100−10をドラッグすれば*キーの展開配列110が、0番キー100−11をドラッグすれば0番キーの展開配列111が、#キー100−12をドラッグすれば#キーの展開配列112が、それぞれディスプレイ2に表示される。
【0049】
例えば、「中」(ピンインで表示すると「zhong」)の字を入力するには、まず基本配列の9番キー30−9をドラッグして展開配列109を表示し、その中から「zh」を選択する。次に、基本配列の5番キー100−5をタッチして子音「zh」を決定する。次に、基本配列の9番キー100−9をドラッグし、展開配列109を表示させ、その中から母音「ong」を選択する。かくして、「zhong」が決定され、漢字変換して「中」が入力される。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の効果としては、キーを上下左右にドラッグして文字を出す、いわゆるフリック方式の利点と、2打により候補文字グループを出すページング方式の利点を活かし、特に、候補文字グループ配列を出すためのドラッグは平面上の全方向に有効なので、使用者の特別な考慮が要らないということを特長とし、また、候補文字グループを見たまま入力できるという点で、速さと習得の容易さを提供することが出来る。本発明の入力装置は、携帯電話機や携帯端末等の携帯機器に文字や記号等の文字データを入力する装置として有用である。基本的にローマ字系アルファベット文字を使用している言語は、その言語特有のアルファベット表記を使用すれば本発明を応用して入力装置を構成することができる。また、ハングルのように、独自の文字体系の言語においても本発明が応用できることは例証の通りである。
【符号の説明】
【0051】
1 携帯電話本体
2 ディスプレイ
3 タッチパネルセンサー回路
4 操作キー
5 制御部
6 キーボードの基本配列表示(実施例1)
7 キーボードの基本配列表示(実施例2)
10−1 1番のキー
10−2 2番のキー
10−3 3番のキー
10−4 4番のキー
10−5 5番のキー
10−6 6番のキー
10−7 7番のキー
10−8 8番のキー
10−9 9番のキー
10−10 *のキー
10−11 0番のキー
10−12 #のキー
11 1番キーの展開配列
12 2番キーの展開配列
13 2番キーの2次展開配列
14 3番キーの展開配列
15 3番キーの2次展開配列
16 4番キーの展開配列
17 4番キーの2次展開配列
18 5番キーの展開配列
19 6番キーの展開配列
20 6番キーの2次展開配列
21 6番キーの3次展開配列
22 7番キーの展開配列
23 8番キーの展開配列
24 9番キーの展開配列
25 *キーの展開配列
26 0番キーの展開配列
50−1 1番のキー
50−2 2番のキー
50−3 3番のキー
50−4 4番のキー
50−5 5番のキー
50−6 6番のキー
50−7 7番のキー
50−8 8番のキー
50−9 9番のキー
50−10 *のキー
50−11 0番のキー
50−11 #のキー
51 1番キーの展開配列
52 2番キーの展開配列
53 3番キーの展開配列
54 4番キーの展開配列
55 5番キーの展開配列
56 6番キーの展開配列
57 7番キーの展開配列
58 8番キーの展開配列
59 9番キーの展開配列
60 *キーの展開配列
61 0番キーの展開配列
62 #キーの展開配列
150−1 1番のキー
150−2 2番のキー
150−3 3番のキー
150−4 4番のキー
150−5 5番のキー
150−6 6番のキー
150−7 7番のキー
150−8 8番のキー
150−9 9番のキー
150−10 *のキー
150−11 0番のキー
151 1番キーの展開配列
152 2番キーの展開配列
153 3番キーの展開配列
154 4番キーの展開配列
155 5番キーの展開配列
156 6番キーの展開配列
157 7番キーの展開配列
158 8番キーの展開配列
159 9番キーの展開配列
160 *キーの展開配列
161 0番キーの展開配列
100−1 1番のキー
100−2 2番のキー
100−3 3番のキー
100−4 4番のキー
100−5 5番のキー
100−6 6番のキー
100−7 7番のキー
100−8 8番のキー
100−9 9番のキー
100−10 *のキー
100−11 0番のキー
100−12 #のキー
101 1番キーの展開配列
102 2番キーの展開配列
103 3番キーの展開配列
104 4番キーの展開配列
105 5番キーの展開配列
106 6番キーの2次展開配列
107 7番キーの展開配列
108 8番キーの展開配列
109 9番キーの展開配列
110 *キーの展開配列
111 0番キーの展開配列
112 #キーの展開配列
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル式の携帯電話機や携帯端末等の携帯機器に文字や記号等の文字データを入力する入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機に電話番号を入力する入力装置として、1から0までの押しボタンキーボードが使用されている。また、携帯電話機による文字通信を行うため、この電話番号入力用の押しボタンに文字記号を割り当てて入力可能にしている。そもそも携帯電話機が固定電話機から発達した歴史から、電話番号の1から0までの数字及び文字や記号等を入力する押しボタンの配列は、3列4行のものが世界的に普及しており、0から1の数字とAからZ等の文字等の組合せは概ね同様の数字及び文字グループで構成されている。わが国では、図1に示すように、この数字及び文字グループに、かな文字配列を組み合わせたキーボード2を採用した携帯電話機1が大多数である。
【0003】
従来の携帯電話機のキーボードでは、文字入力方式として、いわゆる「キー連打方式」が主流である。このキー連打方式では、1つの押しボタン(以下、「キー」と同義。)に複数の文字記号を割り当てているため、唯一の文字記号を確定させるためには、アルファベット文字では1回から4回、かな文字では1回から5回、キーを押さなければならない。また、同じキーに割り当てられている文字を続けて入力するためには、方向キーで1字先送りしなければならず、煩雑さと時間を要することが欠点として指摘されている。
【0004】
この「キー連打方式」の欠点を補う発明として、例えば、特許文献1に記載のように、割り当てられている文字の順位が第5番目や第4番目に当たる場合に、別に用意された逆順キーを押すと順位が逆転し、逆1番目や逆2番目として打数を減じる工夫がされたものもあるが、入力者が常に、この文字は正順、この文字は逆順、というように瞬時の判断を要求されるものであり、むしろ、操作の複雑化を招いていて、必ずしも直感的な方法とはいえない。
【0005】
また、「キー連打方式」の欠点を克服する発明として、例えば、特許文献2に記載のように、タッチパネルキーボードにおいて、キー位置から上下左右にドラッグして文字を選択する方式がある。
【0006】
この方法は、タッチパネルに表示されているかまたはキーボードに配置された複数のキーの1個に5文字を定義し、キーの選択操作と選択した後の操作点ないし操作力の前後左右の移動方向とにより、1文字を選択可能にするというものであるが、この方法では、移動する方向の文字をその都度判断し、確定しなければならず、操作の習得に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−140814号公報
【特許文献2】特願平10−285333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来までのように、キーボードのキーが機械的スイッチとして固定されたものであればキートップの表示を変えることは複雑な技術を要するが、近年増加している、タッチパネル方式のキーパネルであればキートップの表示を変えることは容易である。タッチパネル方式とは、ディスプレイの表面に透過性の位置センサー素子で構成された回路を有するものであって、ディスプレイ画面上の任意のキーの位置を指やペンなどによりタッチすれば、位置センサーがそれを感知し、同期しているディスプレイ画面上の任意のキーの同位置を確定することによりキー操作をすることができるディスプレイとセンサーの複合体であり、主として抵抗膜方式や静電容量方式などの方法を用いて、既に携帯電話などへの応用が普及しているものである。
【0009】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、タッチパネル方式の携帯電話機や携帯端末等の携帯機器に使用するものであって、数字と文字の入力装置として既に一般的に普及している入力装置の3列4行のキートップ配列構成を変えず、しかも操作が簡単で、入力文字の選択確定を、従来の入力装置に比べはるかに直感的かつ速やかに行うことが可能な入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の入力装置は、文字データを入力するためのタッチパネル式キーボードであって、第1の信号を入力するための基本となる配列(以下、「基本配列」という。)をディスプレイに表示させる制御回路部分と、基本配列キーグループのそれぞれ1つのキーに対して、第2の信号を入力するための文字データを配置した複数のキー配列(以下、「展開配列」という。)をディスプレイに表示させる制御回路部分とからなる制御部を有する。基本配列としては、携帯電話機のキーボード配列としてこれまで最も普及しているキー配列が望ましい。基本配列のうちの1つのキーによって第1の信号がタッチ入力された際に、キータッチ面位置から指やペンなどそのまま離されればその位置のキー文字データがディスプレイに表示されるが、キータッチ面位置から指やペンなどがドラッグされれば基本配列が消え、かわりに、この第1の信号が入力されたキーに割り当てられた展開配列が表示され、さらに、その展開配列に配置された複数の文字データの中から、入力したい目的の文字を選択し、その文字のタッチパネルセンサーの位置を指などでタッチすることにより、第2の信号が入力されて目的の入力文字が確定されるが、本発明の入力装置はまた、この第1の信号が入力される基本配列と、第1の信号が入力されたときにそれぞれのキーに割り当てられた複数の展開配列とを表示させ、第1の信号及び第2の信号を入力データとする文字データ制御部を有するものである。基本配列と展開配列の関係を図1に示す。
【0011】
ここで、キーは、m行n列からなるマトリクスにそれぞれ1つずつ割り付けられた複数の文字データが、マトリクスの行または列ごとに割り当てられたものであり、制御部は、第1の信号が入力された際にマトリクスの行または列のいずれかのグループを決定し、第2の信号が入力された際にこの決定されたグループ内で列または行のいずれかを決定することにより入力データとする文字データを決定するものであることが望ましい。これにより、複数の文字データをマトリクスに割り付けて、第1の信号および第2の信号により入力する文字データを容易に管理することができる。例えば、日本語の場合、かな50音配列である。
【0012】
また、本発明の入力装置は、基本配列と展開配列がディスプレイ上の同位置に表示され、基本配列におけるキーグループのそれぞれのキー(以下、「主キー」という)の位置は、主キー毎の展開配列における各キーの位置と同位置にあることが望ましい。これにより、基本配列で配置されたキーグループと同位置に展開配列の2次選択候補の文字データもディスプレイ画面上に表示されるので、所望の文字データを入力するためのキーを容易に選択することが可能となる。
【0013】
また、展開配列は、基本配列で配置されたキーグループの主キーにそれぞれ対応して準備されているが、展開配列に配置される2次選択候補の文字データが多量に存在する場合は、主キー1要素に対しての展開配列が複数になっても差し支えない。
【0014】
展開配列は、文字データに記憶し易い順番がある場合は、視認し、記憶し易いルールに則り配置するのが望ましい。また、文字データに出現頻度や使用頻度などの優先順位がある場合には、順番を変えてその文字データを配置しても良い。その理由は、使用頻度の高い文字データを選択するのに運指範囲を小さくして入力速度を速めるためである。
【0015】
また、基本配列で配置されたキーグループとは別のキーを用いて、第2、第3、第nの基本配列を設定することができる。この、第2、第3、第nの基本配列で配置されたキーグループの主キーにもそれぞれ展開配列を設定し、それぞれ展開配列にも、それぞれ2次選択候補の文字データを配置することができる。
【発明の効果】
【0016】
(1)本発明によれば、基本配列のキーグループのいずれかキーで1次選択が行われると、そのキーに対応した展開配列として、複数の文字データを含む文字グループが決定され、次にこの文字グループのキーで2次選択が行われることにより、この文字グループ内の文字が決定され入力されるので、キー連打方式のように何度もキーを押すのではなく、基本的には1度乃至2度の簡単な操作により入力文字の選択確定を速やかに行うことが可能である。特に主キーは、キートップとして基本配列に指定された文字として、1タッチで選択確定をすることができる。
【0017】
(2)主キーのキートップに表示された文字が複数ある場合は、複数の文字のうち、最も使用頻度の高い重要文字を選んで、基本配列の主キー文字とすることもできる。このことにより、重要文字を1タッチで選択確定をすることができる。
【0018】
(3)展開配列には主キー文字又は重要文字から連想ができる関連文字又は句を、視認し、記憶し易いルールに則って、或いは、使用頻度などの優先順位を考慮して文字グループを配置すれば、より効率よく文字データを選択することができる。
【0019】
(4)基本配列は、これまで多く使われて人々が慣れた配列でよいが、もしも、ユーザーが展開配列の配列を変えたほうが使いやすいと思うときは、展開配の配列をユーザーオプションで変えることができる。例えば、左右の利き手に適した配列にしたり、デフォルトの配列に加えて空きスペースに文字データを補足したり、展開配列をさらに枝分かれさせた展開配列を作成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の構成概念を示した説明図である。
【図2】本発明の実施例の平面図である。
【図3】本発明の実施例の側面図である。
【図4】本発明の実施方法のルーチン図である。
【図5】本発明のキーボードの基本配列表示図である。(実施例1)
【図6】本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例1)
【図7】本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例1)
【図8】本発明のキーボードの基本配列表示図である。(実施例2)
【図9】本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例2)
【図10】本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例2)
【図11】本発明のキーボードの基本配列表示図である。(実施例3)
【図12】本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例3)
【図13】本発明のキーボードの基本配列表示図である。(実施例4)
【図14】本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例4)
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1の実施の形態における携帯機器としての携帯電話機は、図2、図3に示すように、携帯電話本体1に、ディスプレイ2、タッチパネルセンサー回路3、操作キー4、制御部5等から構成される入力装置を備える。本実施形態における携帯電話機では、電源がオンされ、入力画面モードになると、タッチパネルディスプレイ上に入力用キーボードとして基本配列が表示される。基本配列としては、図5や図8に示した一般的な携帯電話機のキー配列である。
【0022】
図5において、この入力装置の「かな」基本配列構成では、11個のキーにより数字、文字および記号の各データを入力可能にするため、キー10−1から10−11に、10個の数字と、少なくとも10個のかな文字及び記号を以下のように割り当てている。すなわち、1番のキー10−1に「1 あ」を、2番のキー10−2に「2 か」を、3番のキー10−3に「3 さ」を、4番のキー10−4に「4 た」を、5番のキー10−5に「5 な」を、6番のキー10−6に「6 は」を、7番のキー10−7に「7 ま」を、8番のキー10−8に「8 や」を、9番のキー10−9に「9 ら」を、0番のキー10−10に「0 わ」を、#のキー10−11に「#」を、それぞれ組み合わせて割り当てている。
【0023】
操作キー4でかなモードを指定すると、図6において、この基本配列として表示される1番から0番のキーのいずれかにタッチし、移動せずに離せば、1番では「あ」、2番では「か」、3番では「さ」、4番では「た」、5番では「な」、6番では「は」、7番では「ま」、8番では「や」、9番では「ら」、0番では「わ」が、1タッチで入力できる。また、1番から0番のキーのそれぞれには展開配列が単数又は複数割り当てられている。例えば1番のキー10−1をタッチし、黒矢印の方向すなわち、タッチ位置から周囲の任意の方向にドラッグすれば、図6のキーボードの基本配列表示6が消え、図7の1番キーの展開配列11が現れる。同様に、2番キー0−2をドラッグすれば2番キーの展開配列12が、3番キー10−3をドラッグすれば3番キーの展開配列14が、4番キー10−4をドラッグすれば4番キーの展開配列16が、5番キー10−5をドラッグすれば5番キーの展開配列18が、6番キー10−6をドラッグすれば6番キーの展開配列19が、7番キー10−7をドラッグすれば7番キーの展開配列22が、8番キー10−8をドラッグすれば8番キーの展開配列23が、9番キー10−9をドラッグすれば9番キーの展開配列24が、*キー10−10をドラッグすれば*キーの展開配列25が、0番キー10−11をドラッグすれば0番キーの展開配列26が、それぞれディスプレイ2に表示される。また、2番、3番、4番、6番キーから展開する文字データがそれぞれのキーの展開配列に入りきらないので、展開配列上のPキー(半濁音選択)やYキー(拗音選択)を操作し、さらに展開配列13.15、17、20、21などが表示される。
【0024】
例えば、「う」を入力する場合は、1番のキー10−1をドラッグして展開配列11が表示されると、文字データ「あ い う え お ぁ ぃ ぅ ぇ ぉ」が配置されているので、この中の文字「う」を選択し、タッチ入力することができる。以下、2番、3番などのキーについても同様である。ただし、6番のキー「は」行などの場合は、濁音、半濁音があり文字データが多いので、展開配列19からさらに2次の展開配列20,21を設定している。例えば、「ぴ」を入力したい場合は、展開配列19のPキー(半濁音選択)をタッチすれば展開配列20が表示され「ぴ」を確定できる。また、例えば、「ひょ」を入力したい場合は、展開配列19のYキー(拗音選択)をタッチすれば展開配列21が表示され「ひょ」を確定できる。*のキーでは、展開配列に記号データなどを配置すれば同様に入力できる。必要であれば操作キー4でかな漢字変換などを行えばよい。また、操作キーで数字モードにすれば、各々のキートップの数字を入力することができる
【0025】
また、別の実施例でいうと、図8で「英字」基本配列構成に、10個の数字と、少なくとも26文字のアルファベットと記号を以下のように割り当てている。すなわち、1番のキー50−1に「1 @(アットマーク) h」を、2番のキー50−2に「2 abc」を、3番のキー50−3に「3 def」を、4番のキー50−4に「4 ghi」を、5番のキー50−5に「5 jkl」を、6番のキー50−6に「6 mno」を、7番のキー50−7に「7 pqrs」を、8番のキー50−8に「8 tuv」を、9番のキー50−9に「9 wxyz」を、*のキー50−10に「*」を、0番のキー50−11に「0 + s」を、#のキー50−12に「# n」を、それぞれ組み合わせて割り当てている。
【0026】
操作キー4で英字モードを指定後、図9において、このキーボードの基本配列7として表示される1番から0番のキーには、アルファベット26文字と記号が表記されているが、このキーのいずれかにタッチし、移動せずに離せば、それぞれのグループで出現頻度の高い文字、h、a、e、i、l、o、r、t、y、s、nなど、図8ではアンダーラインを付けて区別したキーをそれぞれのキーの主キーとしているので、1番では「h」、2番では「a」、3番では「e」、4番では「i」、5番では「l」、6番では「o」、7番では「r」、8番では「t」、9番では「y」、0番では「s」、#では「n」が1タッチで入力できる。1番から#のキーのそれぞれには展開配列が割り当てられている。また、図9において、例えば1番のキー50−1をタッチしたまま、黒矢印の方向すなわち、タッチ位置から周囲の任意の方向にドラッグすれば、基本配列7が消え、図10の1番キーの展開配列51が現れる。同様に、2番のキー50−2をドラッグすれば2番キーの展開配列52が、3番のキー50−3をドラッグすれば3番キーの展開配列53が、4番のキー50−4をドラッグすれば4番キーの展開配列54が、5番のキー50−5をドラッグすれば5番キーの展開配列55が、6番のキー50−6をドラッグすれば6番キーの展開配列56が、7番のキー50−7をドラッグすれば7番キーの展開配列57が、8番のキー50−8をドラッグすれば8番キーの展開配列58が、9番のキー50−9をドラッグすれば9番キーの展開配列59が、*のキー50−10をドラッグすれば*キーの展開配列60が、0番のキー50−11をドラッグすれば0番キーの展開配列61が、#のキー50−12をドラッグすれば#キーの展開配列62が、それぞれディスプレイ2に表示される。
【0027】
例えば、「b」を入力する場合、2番のキー50−2をドラッグして展開配列52が表示されると、文字データ「a b c am be ce」が配置されているので、この中の文字「b」を選択することができる。文字データは、出現頻度の高い文字を主キーとして配置することが望ましい。展開配列52の場合は「a」は先頭文字であり出現頻度も高いので主キーとして効果的であるが、例えば展開配列53の場合は、先頭文字は「d」であるが、かわりに出現頻度の高い「e」を主キーとするなどである。このように設定しておけば、前述のように、高出現頻度の「h、a、e、i、l、o、r、t、y、s、n」は1タッチで入力できる。展開配列の他の文字は基本配列をドラッグして展開配列を出し、展開配列から選択してタッチして入力できる。また、*のキーは展開配列に記号データなどを配置すれば、同様に入力できる。
【0028】
本実施形態における入力装置の動作について説明すると、ルーチン図4において、入力処理の際に、制御部はキータッチの有無を判断し、タッチがあれば、主キーを識別しその座標を第1の信号として文字データ制御部へ入力され記憶する。その後、その位置でキーがタッチ面から離されれば、制御部は目的の文字データが主キーの文字であることを判断し、表示する。キーが離されずドラッグされると、制御部は目的の文字データが主キー以外の文字であることを判断し、対応する展開配列を表示する。しかして、展開配列から選択したい文字の位置をタッチすることにより2次選択を行うと、このキータッチが第2の信号として文字データ制御部へ入力される。これにより、文字データ制御部は、展開配列に表示される複数の文字データの配列に従ってこの第2の信号が入力されたキーに対応する文字データを入力データとして確定する。
【0029】
第3の実施例において、この入力装置の「ハングル」基本配列構成では、11個のキーにより数字、文字および記号の各データを入力可能にするため、図11に示すキー配列として、キー150−1〜150−11に、10個の数字と、少なくとも17個のハングル文字及び記号を以下のように割り当てている。すなわち、1番のキーに150−1を、2番のキーに150−2を、3番のキーに150−3を、4番のキーに150−4を、5番のキーに150−5を、6番のキーに150−6を、7番のキにー150−7を、8番のキーに150−8を、9番のキーに150−9を、*のキーに150−10を、0番のキーに150−11を、#のキーに「#」を、それぞれ組み合わせて割り当てている。
【0030】
操作キー4でハングルモードを指定すると、図11において、このキーボードの基本配列として表示される1番から0番のキーのいずれかにタッチし、移動せずに離せば、1番から0番までに割り当てられたハングル文字のうち、数字の次に表記する文字が、1タッチで入力できる。また、1番から0番のキーのそれぞれには展開配列が割り当てられている。例えば1番のキー150−1をタッチし、黒矢印の方向すなわち、タッチ位置から周囲の任意の方向にドラッグすれば、図11の基本配列が消え、図12の1番キーの展開配列151が現れる。同様に、2番キー150−2をドラッグすれば2番キーの展開配列152が、3番キー150−3をドラッグすれば3番キーの展開配列153が、4番キー150−4をドラッグすれば4番キーの展開配列154が、5番キー150−5をドラッグすれば5番キーの展開配列155が、6番キー150−6をドラッグすれば6番キーの展開配列156が、7番キー150−7をドラッグすれば7番キーの展開配列157が、8番キー150−8をドラッグすれば8番キーの展開配列158が、9番キー150−9をドラッグすれば9番キーの展開配列159が、*キー150−10をドラッグすれば*キーの展開配列160が、0番キー150−11をドラッグすれば0番キーの展開配列161が、それぞれディスプレイ2に表示される。
【0031】
例えば、図12の展開配列151の最上段中央の文字を入力する場合は、図11の1番のキー150−1をドラッグして展開配列151が表示されると、5個の文字データが配置されているので、この中の最上段中央の文字を選択し、タッチ入力することができる。以下、2番、3番などのキーについても同様である。*のキーでは、展開配列に記号データなどを配置すれば同様に入力できる。また、操作キーで数字モードにすれば、各々のキートップの数字を入力することができる
【0032】
また、第4の実施例では、「中国語ピンイン及び注音字母」基本配列構成として、10個の数字と、少なくとも9組のアルファベットと注音字母及び記号を、1番のキーから#のキーまで、図13においてそれぞれ順に、100−1、100−2、100−3、100−4、100−5、100−6、100−7、100−8、100−9、100−10、100−11、100−12のように割り当てられている。注音字母は主として台湾で中国語を表現するために用いられている表音記号であり、1つのキーに表記にされたアルファベットと注音字母は同じ発音記号として対応しているが、本発明においては、アルファベット単独表記、注音字母単独表記或いは、アルファベットと注音字母の併記のいずれを用いても差し支えない。
【0033】
この基本配列として表示される1番から0番のキーのいずれかにタッチし、移動せずに離せば、1番から0番までに割り当てられたアルファベット又は注音字母が、1タッチで入力できる。前述3実施例と同様に、100−1のキーは図14の展開配列104に、100−2のキーは図14の展開配列105に、と対応して、それぞれのキーにそれぞれの展開配列を有する。例えば1番のキー100−1をタッチし、黒矢印の方向すなわち、タッチ位置から周囲の任意の方向にドラッグすれば、図13の基本配列が消え、図14の1番キーの展開配列104が現れるので、その文字グループから目的の文字を選択すれば良い。
【実施例1】
【0034】
従来のキー連打方式(マルチタップ方式ともいう)が、実際に文章を入力したときに1文字当たり何打を要するかを、統計的に調べたものを下記の表1に示す。この統計は、新聞等の一般的文章の約11万字について、かな文字出現率にキー連打方式の打数を乗じ、総計した等価打鍵数である。ただし、全文章には句読点や記号なども含まれているので、この修正と、及び、キー連打方式特有の方向キー使用による修正を加え、数値を補正した。
【0035】
【表1】
【0036】
表2は、従来のキー連打方式の欠点である、多数回連打を避ける為に、かな文字データの順番を最後から逆に打つための「逆順キー」や、標準文字を小文字変える「小文字キー」などを採用した入力方法の統計的等価打鍵数である。この場合も方向キー補正と句読点補正がなされた数字を示している。
【0037】
【表2】
【0038】
表3は、新方式、つまり本発明によるかな文字入力方法での統計的等価打鍵数であり、句読点補正はされているが、本入力方法では方向キーを必要としないのでその補正は必要ない。ただし、タッチもドラッグも1ストローク、つまり1打として計算している。
【0039】
【表3】
【0040】
従来のキー連打式(マルチタップ式)では、1打から5打まで何度も打鍵する方法であった。この方法だと指数320(表1)つまり、1000文字入力するのに、3200回打鍵しなければならない。最近は、マルチタップも改良されて、逆順キーや小文字指定キーなどを持つ機種が現れている。これを採用した場合、指数240(表2)つまり、1000文字では2400回打鍵しなければならない。一方、本発明(新方式)では、指数174(表3)つまり、1000文字では1740回打鍵でよい。このように本発明によれば、従来のキー連打式(マルチタップ方式)に比べ、46%打数が少なくて済む。また、改良マルチタップ方式に比べても、28%打数が少くて入力ができる。
【実施例2】
【0041】
表4は、英字(アルファベット)についての、従来のキー連打方式と、本発明(新方式)の英字入力方式の統計的等価打鍵数を比較したものである。キー連打方式については、やはり、方向キー使用による補正がなされた数字である。
【0042】
【表4】
【0043】
本発明のアルファベットでの実施例では、フルキーボード(QWERTY)の100に比べても123で1.23倍の打数で済み、従来マルチタップ方式の214に比べ、43%打数が少なくて済むことがわかる。また、表5でも明らかなように、アルファベット文字のA、E、I、L、O、R、T、Y、H、N、Sの一般文章における出現頻度の合計は77%になり、本発明の配列構成によれば、統計的には全文章の約8割が1打で入力できることになるので、テンキーキーボードとしては極めて効率が良いことがわかる。
【0044】
【表5】
【0045】
また、欧米で広く使用されている入力方式にT9(ティーナイン)と呼ばれるものがある。この方式は例えば、「cat」と入力したいときは、2番のキー「abc」 、2番のキー「abc」、8番のキー「tuv」と続けて打ち、合計27通りの組合せの選択肢から、「cat」を選んで入力させる方法だが、このT9方式においても本発明が効果を上げていることを表6で説明する。表6では、英単語の「open」「close」「hand」「sports」の4例を挙げているが、従来のT9と本発明の配列によるT9を、それぞれの単語について計算すると、各33%、25%、11%、6%というように、文字h、s、nの1打固定による組合せの数の減少、すなわち、選択肢の減少によって、使用者の入力のし易さと速度に効果を挙げていることがわかる。
【0046】
【表6】
【実施例3】
【0047】
ハングル入力の場合を図11と図12で説明する。図11において、1番から3番までのキーは、母音のグループであり、その代表文字を表記している。また、4番から0番までのキーは、子音のグループであり、その代表文字を表記している。前述項目番号「0030」で説明したように、基本配列のキーをタッチすることで、各キーの代表文字(数字の右となりの文字が入力できる。例えば、「ナムサン(南山)」に相当するハングルを入力するには、まず基本配列で5番のキー150−5をタッチして主キーを確定する。次に1番のキー150−1をドラッグして図12の展開配列151を表示させ、最上段中央の文字を選択する。次に基本配列の0番のキーをドラッグして図12の展開配列161を表示させ上から3段目中央の文字を選択する。次に基本配列で8番のキー150−8をタッチして主キーを確定する。次に1番のキー150−1をドラッグして図12の展開配列151を表示させ、最上段中央の文字を選択する。次に基本配列で5番のキー150−5をタッチして主キーを確定する。この一連の操作により「ナムサン(南山)」に相当するハングルが入力できる。
【実施例4】
【0048】
中国語入力の場合を図13と図14で説明する。図13の配列は、主として台湾で多く用いられている注音字母配列の代表的なものである。注音字母配列は、別名bopomofo配列といい、元来中国語の発音重視の観点から非常に合理的な表示であるが、従来はキー入力方法はマルチタップもしくはフリック方式に留まっていた。キーの1番から6番までは子音のグループであり、キーの7番から0番プラス#キーまでは母音のグループである。本発明では、キートップに表示されている代表文字は前述実施例のごとく1打で入力できる。また、各グループのその他の文字は、図13の各キーに図14の展開配列が対応している。例えば1番のキー100−1をタッチし、黒矢印の方向すなわち、タッチ位置から周囲の任意の方向にドラッグすれば、図13の基本配列が消え、図14の1番キーの展開配列101が現れる。同様に、2番キー100−2をドラッグすれば2番キーの展開配列102が、3番キー100−3をドラッグすれば3番キーの展開配列103が、4番キー100−4をドラッグすれば4番キーの展開配列104が、5番キー100−5をドラッグすれば5番キーの展開配列105が、6番キー100−6をドラッグすれば6番キーの展開配列106が、7番キー150−7をドラッグすれば7番キーの展開配列107が、8番キー100−8をドラッグすれば8番キーの展開配列108が、9番キー100−9をドラッグすれば9番キーの展開配列109が、*キー100−10をドラッグすれば*キーの展開配列110が、0番キー100−11をドラッグすれば0番キーの展開配列111が、#キー100−12をドラッグすれば#キーの展開配列112が、それぞれディスプレイ2に表示される。
【0049】
例えば、「中」(ピンインで表示すると「zhong」)の字を入力するには、まず基本配列の9番キー30−9をドラッグして展開配列109を表示し、その中から「zh」を選択する。次に、基本配列の5番キー100−5をタッチして子音「zh」を決定する。次に、基本配列の9番キー100−9をドラッグし、展開配列109を表示させ、その中から母音「ong」を選択する。かくして、「zhong」が決定され、漢字変換して「中」が入力される。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の効果としては、キーを上下左右にドラッグして文字を出す、いわゆるフリック方式の利点と、2打により候補文字グループを出すページング方式の利点を活かし、特に、候補文字グループ配列を出すためのドラッグは平面上の全方向に有効なので、使用者の特別な考慮が要らないということを特長とし、また、候補文字グループを見たまま入力できるという点で、速さと習得の容易さを提供することが出来る。本発明の入力装置は、携帯電話機や携帯端末等の携帯機器に文字や記号等の文字データを入力する装置として有用である。基本的にローマ字系アルファベット文字を使用している言語は、その言語特有のアルファベット表記を使用すれば本発明を応用して入力装置を構成することができる。また、ハングルのように、独自の文字体系の言語においても本発明が応用できることは例証の通りである。
【符号の説明】
【0051】
1 携帯電話本体
2 ディスプレイ
3 タッチパネルセンサー回路
4 操作キー
5 制御部
6 キーボードの基本配列表示(実施例1)
7 キーボードの基本配列表示(実施例2)
10−1 1番のキー
10−2 2番のキー
10−3 3番のキー
10−4 4番のキー
10−5 5番のキー
10−6 6番のキー
10−7 7番のキー
10−8 8番のキー
10−9 9番のキー
10−10 *のキー
10−11 0番のキー
10−12 #のキー
11 1番キーの展開配列
12 2番キーの展開配列
13 2番キーの2次展開配列
14 3番キーの展開配列
15 3番キーの2次展開配列
16 4番キーの展開配列
17 4番キーの2次展開配列
18 5番キーの展開配列
19 6番キーの展開配列
20 6番キーの2次展開配列
21 6番キーの3次展開配列
22 7番キーの展開配列
23 8番キーの展開配列
24 9番キーの展開配列
25 *キーの展開配列
26 0番キーの展開配列
50−1 1番のキー
50−2 2番のキー
50−3 3番のキー
50−4 4番のキー
50−5 5番のキー
50−6 6番のキー
50−7 7番のキー
50−8 8番のキー
50−9 9番のキー
50−10 *のキー
50−11 0番のキー
50−11 #のキー
51 1番キーの展開配列
52 2番キーの展開配列
53 3番キーの展開配列
54 4番キーの展開配列
55 5番キーの展開配列
56 6番キーの展開配列
57 7番キーの展開配列
58 8番キーの展開配列
59 9番キーの展開配列
60 *キーの展開配列
61 0番キーの展開配列
62 #キーの展開配列
150−1 1番のキー
150−2 2番のキー
150−3 3番のキー
150−4 4番のキー
150−5 5番のキー
150−6 6番のキー
150−7 7番のキー
150−8 8番のキー
150−9 9番のキー
150−10 *のキー
150−11 0番のキー
151 1番キーの展開配列
152 2番キーの展開配列
153 3番キーの展開配列
154 4番キーの展開配列
155 5番キーの展開配列
156 6番キーの展開配列
157 7番キーの展開配列
158 8番キーの展開配列
159 9番キーの展開配列
160 *キーの展開配列
161 0番キーの展開配列
100−1 1番のキー
100−2 2番のキー
100−3 3番のキー
100−4 4番のキー
100−5 5番のキー
100−6 6番のキー
100−7 7番のキー
100−8 8番のキー
100−9 9番のキー
100−10 *のキー
100−11 0番のキー
100−12 #のキー
101 1番キーの展開配列
102 2番キーの展開配列
103 3番キーの展開配列
104 4番キーの展開配列
105 5番キーの展開配列
106 6番キーの2次展開配列
107 7番キーの展開配列
108 8番キーの展開配列
109 9番キーの展開配列
110 *キーの展開配列
111 0番キーの展開配列
112 #キーの展開配列
【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字データを入力するための複数のキーであって、それぞれ1つのキーに対して複数の文字データが割り当てられた配列を表示し、配列に基づき配置されたキーグループのキーのいずれか1つによって第1の信号が入力された際に、この第1の信号が入力されたキーに割り当てられた複数の文字データをディスプレイに表示する制御部と、キーグループのキーのいずれか1つによって第1の信号が入力された後、このキーにタッチしたまま平面上の周囲のいずれかの方向にドラッグして、元のキーグループとは別の文字データが割り当てられた配列を表示し、配列位置のキーグループのキーのいずれか1つによって第2の信号が入力された際に、この第2の信号が入力されたキーに対応する文字データを入力データとする制御部とを有することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記、第1の信号が入力された後、このキーにタッチしたまま平面上の周囲のいずれかの方向にドラッグして、元のキーグループとは別の文字データが割り当てられた配列の一つのキーをタッチして、さらに別の文字データが割り当てられた配列を表示する請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記キーは、m行n列からなるマトリクスにそれぞれ1つずつ割り付けられた複数の文字データが、前記マトリクスの行または列ごとに割り当てられたものであり、前記制御部は、前記第1の信号が入力された際に前記マトリクスの行または列のいずれかのグループを決定し、前記第2の信号が入力された際にこの決定されたグループ内で列または行のいずれかを決定することにより前記入力データとする文字データを決定するものである請求項1記載の入力装置。
【請求項1】
文字データを入力するための複数のキーであって、それぞれ1つのキーに対して複数の文字データが割り当てられた配列を表示し、配列に基づき配置されたキーグループのキーのいずれか1つによって第1の信号が入力された際に、この第1の信号が入力されたキーに割り当てられた複数の文字データをディスプレイに表示する制御部と、キーグループのキーのいずれか1つによって第1の信号が入力された後、このキーにタッチしたまま平面上の周囲のいずれかの方向にドラッグして、元のキーグループとは別の文字データが割り当てられた配列を表示し、配列位置のキーグループのキーのいずれか1つによって第2の信号が入力された際に、この第2の信号が入力されたキーに対応する文字データを入力データとする制御部とを有することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記、第1の信号が入力された後、このキーにタッチしたまま平面上の周囲のいずれかの方向にドラッグして、元のキーグループとは別の文字データが割り当てられた配列の一つのキーをタッチして、さらに別の文字データが割り当てられた配列を表示する請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記キーは、m行n列からなるマトリクスにそれぞれ1つずつ割り付けられた複数の文字データが、前記マトリクスの行または列ごとに割り当てられたものであり、前記制御部は、前記第1の信号が入力された際に前記マトリクスの行または列のいずれかのグループを決定し、前記第2の信号が入力された際にこの決定されたグループ内で列または行のいずれかを決定することにより前記入力データとする文字データを決定するものである請求項1記載の入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−113100(P2011−113100A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265795(P2009−265795)
【出願日】平成21年11月22日(2009.11.22)
【出願人】(596178235)ウィズウイン株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月22日(2009.11.22)
【出願人】(596178235)ウィズウイン株式会社 (9)
【Fターム(参考)】
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