説明

入力装置

【課題】ユーザが有効な入力操作を簡単に理解でき、ユーザが選択可能項目の位置を意識する必要の無いユーザ操作入力装置及び、GUIの操作方法を提供する。
【解決手段】ユーザ操作入力装置10を表示部100、入力受信部111、システム制御部、映像処理部で構成し、円を描く動作を有効な入力操作とし、ユーザ12の円を描く動作を解析し、その円動作の中心座標とユーザが指し示す座標位置から円動作の回転角度を算出し、円動作の回転角度によってユーザが選択した選択可能項目を選択しGUI表示にも反映させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はユーザの指示を入力する入力装置
【背景技術】
【0002】
リモコンを介してGUIに対するユーザの操作を受け付けると同時に、GUIの動的な変化でユーザに操作結果を示すデバイスが普及している。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数の選択項目を表示画面内に円周に沿って配置して表示し、リモコンの回転操作に従い、選択項目の各々を順に表示するようにしている。
【0004】
一方、特定のジェスチャを認識する機能を有し、ジェスチャにより特定の操作を行うことができる機器が実用化され始めている。
【0005】
例えば、特許文献2には、ユーザの身体の一部を用いて入力されたジェスチャを、予めユーザ毎に登録されたジェスチャコマンドに変換している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−123158号公報
【特許文献2】特開2003−233452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1のようなGUIにおいて、リモコンの代わりに、特許文献2のようなジェスチャを用いることは容易に考えられる。
【0008】
しかしながら、入力しようとするジェスチャが実際に入力されているかどうかを示すリアルタイムなフィードバックがされないため、ユーザがジェスチャを行っても、その意図する通りに入力及びGUIの表示が変更されないと、ユーザは次にどのようなジェスチャをすればよいか判断できなくなる。
【0009】
本発明は、かかる問題を考慮した上で、ユーザのジェスチャ操作に対して適切にフィードバックを与えるとともに、ジェスチャ操作の操作性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、円状に配置された複数の項目が動いて任意の項目が選択される複数の選択項目と、該複数の選択項目と同心円状に配置されたホイール及びホイール上のハンドルとを表示する表示部と、ユーザがハンドルを回すように、手で円を描く動作を行った場合に、該動作を受信し、操作情報を生成する入力受信部と、前記入力受信部で生成された操作情報に基づいて、前記表示部で、ホイール上のハンドルを回転させるように表示させるとともに、複数の項目を回転させるように表示させる制御部と、を備える。
【0011】
また、前記表示部は、表示画面の横方向をX方向、表示画面の縦方向をY方向、表示画面の奥行き方向をZ方向とした場合に、前記複数の選択項目ならびに前記ホイール及びハンドルをXY面内、YZ面内あるいはXZ面内にあるように表示する。
【0012】
また、前記入力受信部で生成される操作情報は、ユーザが描く円のXY面内、YZ面内あるいはXZ面内の座標情報であり、前記制御部は、座標情報に基づいて、ユーザが描く円の中心座標を算出する中心座標算出部と、前記円の座標情報と前記円の中心座標に基づいて回転角度を算出する回転角度算出部とを備え、算出された円の中心座標と回転角度に基づいて、前記表示部でのハンドルの回転及び項目の回転を制御する。
【0013】
また、前記制御部は、前記表示部に、ホイール上のハンドルを所定角度以上回転させるように表示させた後に、複数の項目を1項目分だけ回転させるように表示させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザのジェスチャ操作に対して適切にフィードバックを与えることができるとともに、ジェスチャ操作の操作性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用するシステム全体の一実施例を示すブロック図である。
【図2】図1におけるユーザ操作入力装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図2におけるシステム制御部の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図1におけるユーザ操作入力装置でユーザが操作するGUIの構成の一例を示す図である。
【図5】従来一般的に行われてきたフリーカーソルでの操作方法を示す図である。
【図6】円動作の中心座標の算出方法の一例を示す概念図である。
【図7】円動作の中心座標の仮定方法の一例を示す概念図である。
【図8】本発明に掛かるユーザ操作解析処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明に掛かるユーザ操作解析処理の他の一例を示すフローチャートである。
【図10】円動作の中心座標の算出方法の他の一例を示す概念図である。
【図11】ユーザ操作入力装置でユーザが操作するGUIの構成の他の一例を示す図である。
【図12】ユーザの動作を示す概念図である。
【図13】ユーザの円を描く動作の概念図である。
【図14】ユーザの円を描く動作の概念図である。
【図15】ユーザ操作入力装置でユーザが操作するGUIの構成の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態を、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明のシステム全体を示す図である。10は、ユーザ操作を入力する入力装置である。この入力装置10は、テレビ、録画再生装置やプロジェクターなどユーザが操作を行う装置全てに適用できる。100は表示部である。表示部100内にはGUIが表示されている。12は、装置を操作するユーザであり、111は、ユーザ12の手の動きなどユーザの身体の一部の動きを検知できる入力受信部である。
【0018】
図1において、ユーザ12は手を動かし表示部100に表示されるGUIを操作し、所望の項目を動かし、選択する。例えば、テレビで視聴するチャンネルを選択したり、録画再生装置で録画されている番組から再生したい番組を選択することができる。
【0019】
なお、図1においては、入力受信部111と表示部100が入力装置に内蔵されているが、外付けであってもよい。また、手に代えて指示装置13を用いてもよい。
【0020】
ここで、図5を用いて、フリーカーソルでの操作方法を説明する。フリーカーソルとは画面上の任意の位置にカーソルを移動し操作できる機能のことである。図5では、表示部100にユーザが装置を操作するためのGUIを表示している。
【0021】
図5のGUIは、円1から円8までの選択項目101、ホイール102、ハンドル103、カーソル104、選択項目マーカー107で構成されている。
【0022】
このGUIでは、ホイール102の円周方向にハンドル103を移動させることでホイール102を回転させると同時に、その周りに円状に配置されている項目を回転させ、選択マーカー107の位置に来た項目101が選択することができる。図5では円3が選択されている。
【0023】
このフリーカーソルでの操作方法では、ユーザは、図1の指示装置13などにより、カーソル104をハンドル103の位置に移動させ、選択した状態に保持して、ハンドル104を円周方向に動かす。ここで、ユーザは、カーソル104がハンドル103の上から外れないように注意しながらカーソルを移動させる必要がある。このような操作は、PCなど操作対象とユーザの距離が近い装置と、机の上に置いたマウスなど操作の基点を固定できる指示装置13を用いた場合は比較的容易である。しかしながら、テレビなど操作対象とユーザの距離が遠い装置と、手など操作の基点を固定できないものを用いた場合には、離れた位置に表示されるカーソル104の位置に注意し、細かな操作を行わなければならならなくなる。
【0024】
次に、本発明の入力装置10の構成について図2、図3を用いて説明する。
【0025】
図2は、本発明の入力装置10の構成を示すブロック図である。100は表示部、111は入力受信部、210はシステム制御部、220は映像処理部である。
【0026】
入力受信部111は、図1に示すユーザ12が指示した操作を受信し、操作方向、操作距離に基づき、操作情報を生成し出力する。システム制御部210は、入力受信部111で生成された操作情報を用いて、ユーザ12の操作に対応してユーザ12へ操作状態をフィードバックする操作応答情報を算出し、映像処理部220を制御する。映像処理部220は、システム制御部210の制御に従いGUIの映像データを生成し、表示部110に表示できる形式にして出力する。表示部100は、映像処理部220が生成したGUIを表示する。表示部100は、入力装置10がテレビであれば、受信した放送を表示するために用いられ、ユーザ12が装置を操作する場合は、放送番組に映像処理部220が生成したGUIを重畳して表示してもよい。
【0027】
図3は、システム制御部210の構成を示すブロック図である。211は、基本制御手段、212は操作状態判定手段である。また、操作状態判定手段212は、中心座標算出手段213、回転角度算出手段214、操作状態フィードバック手段215で構成される。
【0028】
基本制御手段211は、入力受信部111から出力される操作情報を用いて、ユーザ操作の開始や終了の判断、映像処理部220で生成するGUIの選択やGUI画面の表示、非表示など、入力装置10の全体制御を行う。また、ユーザ操作をカーソルとして表示するか、しないかの設定も行う。操作状態判定手段212は、ユーザの円を描く動作を解析し、操作応答情報を算出する。中心座標算出手段213は、入力受信部111から出力される操作情報を用いて、ユーザが描く円の中心座標を算出する。回転角度算出手段214は、中心座標算出手段213で算出された中心座標と、入力受信部111から出力される操作情報の座標情報を用いて、ユーザが描く円の回転の角度を算出する。操作状態フィードバック手段215は、中心座標算出手段213で算出された中心座標と、回転角度算出手段214で算出された回転の角度を用いて、操作応答情報を算出する。
【0029】
ここで、入力装置10でユーザが操作するGUIの構成について図4を用いて説明する。
【0030】
図4は、本発明のGUIの構成の一例である。100は入力装置10の表示部である。選択項目101、ホイール102、ハンドル103、選択項目マーカー107は、ユーザが操作するGUIである。105は円動作の中心である。ホイール102とハンドル103は、ユーザ12に有効な入力操作を示すために、ユーザに操作の応答状況を表示する操作方式提示GUI108である。510は、ホイール102の中心位置である。選択項目101は、ユーザ12(図1)の操作によりユーザが選択する項目である。
【0031】
図4の例では、円形のホイール102と、ホイール102に配置したハンドル103によって、円を描くように動かす動作が有効な入力であることを示している。また、ホイール102とハンドル103は、システム制御部210(図2)の制御によって、ユーザの操作が開始されると直ちにその動きに追従した動きを表示し操作の状態をユーザにフィードバックする。カーソル104はユーザが指示した位置を表す画像である。円動作の中心105はユーザが円を描く動作をした際の軌道の中心位置を示す。カーソル104及び円動作の中心105は、システム制御部210が操作応答情報を算出するための位置情報として用いるだけで、GUIとしては表示しない。107は、選択可能項目101をユーザに示す選択項目マーカーである。
【0032】
次に、本発明の入力装置10において、連続した入力操作と、有効な入力操作をユーザに直感的に理解させる方式について詳細に説明する。
【0033】
図4において、本発明では、ユーザが連続して滑らかに選択項目を選択できるようにするために、円を描くように操作する方式を用いる。そして、有効な入力操作をユーザに直感的に理解させるために、操作方法をユーザに教える操作方式提示GUI108を選択可能項目101と一緒に表示する。操作方式提示GUI108により、ユーザはハンドル103を回すように操作すればよいことを直感的に理解できる。そして、ユーザの動作開始から動作終了までを自然にハンドル103の位置に沿った円動作に限定することができる。このため、ユーザの動作開始時から動作終了時までの動作解析を単純化することができ、ユーザの動作に応じた操作応答をリアルタイムにフィードバックしやすくなる。
【0034】
次に、本発明におけるユーザの円操作の解析処理を図8のフローチャートを用いて説明する。
【0035】
当該解析処理は、システム制御部210で行われる処理であり、円動作の中心105とカーソル104の位置情報からユーザの操作量を回転角度として求め、それを基に操作応答情報を算出しGUIにフィードバックする処理である。
【0036】
まず、ユーザが、図4のGUIを見ながら、円動作を開始する(ステップ600)。
【0037】
次に、ユーザが連続的に円動作をしているかどうかを判断する。(ステップ601)。これは、入力受信部111から得られるカーソル104の位置が連続的に変化しているかどうかで判断する。カーソル104の位置が連続的に変化している場合は、ステップ602に、カーソル104の位置が連続的に変化していない場合はステップ608に遷移する。
【0038】
ステップ602では、中心座標算出手段213で図4の円動作の中心105を算出する。
【0039】
ここで、円動作の中心の算出方法について図6を用いて説明する。
【0040】
図6で(x1,y1)、(x2,y2)、(x3,y3)、(x4,y4)は、ある一定の時間毎にカーソル104がこの並びの順で移動した座標を表している。400は、ユーザの円動作の軌道を表したカーソル104の軌道である。105は、円軌道400の中心である。
【0041】
本発明では、ユーザが円動作を行うと仮定して、ある一定の時間内に移動したカーソル104の座標の平均座標を円動作の中心105として算出する。このような算出方法によれば、演算の処理負荷は小さくなる。
【0042】
ステップ602で円動作の中心105を算出したら、ステップ603で円動作の回転角度を算出する。
【0043】
ここでは、回転角度算出手段214が、算出された円動作の中心105に対するカーソル104の回転角度を算出する。回転角度は、例えば、下記の式で求められる。
【0044】
回転角度[ラジアン] = atan(x/y) ・・・ 式1
式1でx、yは円動作の中心を原点とした場合のカーソル104の座標である。
【0045】
次に、ステップ604で、操作方式提示GUI108の操作応答情報を算出する。
【0046】
ここでは、操作状態フィードバック手段215が、カーソル104の座標、算出された円動作の中心及び算出されたカーソルの回転角度を用いて、操作応答情報を算出し、操作方式提示GUI108の回転表示に反映させる。このようにして、操作方式提示GUI108をユーザの動きと同期して表示させることができる。
【0047】
次に、ステップ605では、選択項目101の操作応答情報を算出する。
【0048】
ここでは、操作状態フィードバック手段215が、操作方式提示GUI108の回転動作に基づいて操作応答情報を算出し、選択項目101の回転表示に反映させる。
【0049】
ここで、選択項目101の回転動作を操作方式提示GUI108の回転動作と同期させる場合は、選択項目101の動き及び操作方式提示GUIの動きがともにユーザの動きを直接反映させたものとなる。
【0050】
しかし、この場合は、ユーザの意識しないような小さな動きも選択項目101の動きに反映され、意図しない選択項目の動きが生じる可能性がある。そこで、このような意図しない動きを防止するため、「あそび」を設定してもよい。
【0051】
つまり、操作方式提示GUI108の回転角度が所定の値より大きくなったら、選択項目101を1つだけ移動するように回転させる。このようにすれば、ユーザは大まかな動作で、選択項目を回転操作でき、操作性が高まる。
【0052】
次に、ユーザが操作の終了を指示したかどうかを判断する(ステップ606)。操作を終了した場合は処理を終了する(ステップ607)。まだ操作を終了しない場合はステップ601に戻り処理を継続する。
【0053】
また、ステップ601からステップ608に遷移した場合、中心座標算出手段213で仮想的に円動作の中心座標を設定する。この設定を図7を用いて説明する。
【0054】
図7は、ユーザが操作を一時的に停止したときのGUIの状態の一例を示している。109は、仮想的に定める円動作の中心である。500はユーザが操作を停止した状態におけるハンドル103から、ホイール102の中心位置510に向かう方向を示している。
【0055】
ユーザが操作を停止している場合、カーソル104の位置はほぼ動かないためカーソル104の平均座標は停止位置に収束する。従って、この場合には、ステップ602の方法で円動作の中心座標を算出すると、図7に示すように円動作の中心座標105とカーソル104の位置はほぼ同じ座標になる。そして、次に、ユーザが操作を開始しカーソル104が動き出した場合、カーソル104のわずかな移動が回転角度の大きな変化として算出されてしまう。例えば、円動作の中心座標を原点とし、カーソル104の座標(x、y)が(1,0)から(1,1)に変化した場合、式1で回転角度を算出すると、その変化量は45度である。それに対してカーソル104の座標(x、y)が(10,0)から(10,1)に変化した場合の回転角度の変化量は5.7度である。このように、ユーザの小さな動きが大きな変化として算出されると、GUIの動きがユーザの意図しないものとなってしまい操作性が非常に悪くなる。
【0056】
この問題を解決するため、本発明では、ユーザが連続動作を行っていない場合、仮想的に円動作の中心座標を定める。すなわち、ユーザが、操作方式提示GUI108により、ハンドル103を持ってホイール102を回す操作を行うと仮定し、仮想的に定める円動作の中心座標109として、停止したカーソル104からの方向を、ハンドル103からホイール102の中心510に向かう方向と同じにし、停止したカーソル104からの距離を、ホイール102とその中心位置510との間の距離と同じにした位置とする。なお、停止したカーソルからの距離については、ユーザが動きを停止する直前の円動作の中心105が分かっている場合は、その中心105までの距離としてもよい。
【0057】
次に、ユーザが操作を開始し、カーソル104が動き始めると(ステップ609のYes)、ステップ603に遷移する。カーソル104がまだ動いていない場合は、ステップ606へ遷移する。
【実施例2】
【0058】
本実施例では、ユーザ操作の解析処理のみが異なる。入力装置100の構成、および、GUIの構成は実施例1と同様である。
【0059】
以下、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0060】
まず、ユーザは操作を開始する(ステップ900)。このとき、入力装置10の表示部100には図4のようなGUIが表示されている。ユーザは、表示部100に表示されている操作方式提示GUI108を見てユーザは、円を描くように動かす操作を開始する。
【0061】
次に、中心座標算出手段213は一定時間毎にカーソルの座標を取得する。そして、最新の3点のカーソルの移動座標(x1,y1)、(x2,y2)、(x3,y3)を用いて、これらの座標が描く円の中心座標(Xc,Yc)を下記の式に基づき算出する(ステップ901)。
【0062】
G = y2*x1- y1*x2 + y3*x2 - y2*x3 + y1*x3 - y3*x1
Xc = {(x12+y12)*(y2-y3)+(x22+y22)*(y3-y1)+(x32+y32)*(y1-y2)}/(2*G)・・・ 式2
Yc = -{(x12+y12)*(x2-x3)+(x22+y22)*(x3-x1)+(x32+y32)*(x1-x2)}/(2*G)
次に、中心座標算出手段213は前記円の中心座標(Xc,Yc)と現在のカーソル104の座標との距離を算出する。該距離が所定の距離以内であれば(ステップ902:No)、中心座標算出手段213はカーソル104が図7の円軌道700に沿って移動を継続すると判断し、前記中心座標(Xc,Yc)を円動作の中心座標105とする(ステップ903)。一方、該距離が所定の距離以上であれば(ステップ902:Yes)、前記ステップ903の処理は行わず、後述するように、既に保持している円動作の中心座標105の値を継続して保持する。次に、ステップ904以降の処理を行う。ステップ904からステップ908の処理は、図8のステップ603からステップ607の処理と同等である。また、ステップ907において、ユーザが操作の終了を指示しなかった場合は、ステップ901に戻り処理を継続する。
【0063】
ここで、ステップ902がYesの場合の動作を、図10を用いて説明する。
【0064】
図10において、座標(x1,y1)、座標(x2,y2)、座標(x3,y3)、座標(x4,y4)、座標(x5,y5)は、ユーザの動作によってカーソル104が移動した座標である。そして、105は、座標(x1,y1)、座標(x2,y2)、座標(x3,y3)から算出された、これらの座標が描く円軌道700の中心である。
【0065】
ここで、カーソル104が移動した最新の3点の座標が、座標(x3,y3)、座標(x4,y4)、座標(x5,y5)であったとする。この場合、該3点のカーソル104の座標を通る円の中心座標(Xc,Yc)は802となる。
【0066】
この場合、カーソル104の移動は、大きな円軌道800に対する操作であると仮定されるため、ユーザの次の操作では、カーソル104を大きく移動されなければホイール102が回転しなくなるとともに、ユーザの操作状態を把握することが難しくなる。
【0067】
また、ユーザが、直線的な動作など、円動作とは異なる動作を行おうとした場合にもカーソル104の軌道は同様の状態となり、ユーザが意図しない動作が円操作として認識されてしまう可能性がある。
【0068】
これらの問題に対処するために、本実施例での中心座標算出手段213は中心座標802が円動作の中心座標105から所定の距離以上離れていた際は、ユーザが操作可能な座標の範囲の外に出たか、もしくは、円動作とは異なる動作を行おうとしたと判断する。そして、円動作の中心105を算出した中心座標802に更新しないで、引き続き、中心座標105の値を用いる。
【0069】
このようにして、ユーザが円を描く軌道を一時的に意図せず大きくしてしまった場合や、ユーザが意図せず円動作以外の動作を行った場合でも、これらの動作がGUIに反映されないようにすることで、ユーザは適切な円操作を行うことができる。
【実施例3】
【0070】
本実施例は、ユーザに提示する操作方式提示GUI108と選択項目101の配置を変えた例である。入力装置100の構成は実施例1と同様である。
【0071】
図11を用いて、本実施例におけるGUIの構成を説明する。100は入力装置10の表示部、101は選択項目、107は選択されている項目、108は操作方式提示GUIである。実施例1と同様に操作方式提示GUI108はホイール102とハンドル103で構成する。これらの役割は実施例1と同様である。
【0072】
本実施例では、実施例1で平面内で回転表示していた操作方式提示GUI108と選択項目101を分けて、それぞれ奥行き方向と縦方向で構成される平面内で回転するように配置している。また、選択項目は手前に表示されるものを大きくし、操作方式提示GUI108は、抽選器のような形状としている。
【0073】
このようなGUIを提示することでユーザに図12に示すような動作を行わせるように誘導できる。
【0074】
図12は図11のGUIを表示した場合のユーザの動作を表す概念図である。
【0075】
10は入力装置、100は表示部、111は入力受信部、12がユーザの腕である。
310は図11の操作方式提示GUI108の提示により、ユーザがイメージする操作ハンドルを表したものである。14は、ユーザの手の円動作を表す。
【0076】
ここで、実施例1の円動作と本実施例の円動作との違いを図13、図14を用いて説明する。図13では、本実施例の円動作を表している。図14は、実施例1の円動作を表している。図14の実施例1による円動作では、(A)のように肘を動かして大きな円を描く事もできれば、(B)のように手先だけを動かして小さな円を描くこともできる。そのため、操作するユーザによって、または、同じユーザでもその時々によって円の描かれ方が異なり、入力受信部111の処理負担が重くなる。また、ユーザの操作が操作可能な座標の範囲外に出てしまう可能性も高くなる。これに対して、図13の本実施例による円動作では、抽選器を回すような動作により、肘を支点に腕を動かす動作に限定され、ユーザが描く円の大きさが限定されるため、入力受信部111の処理負担は軽くなり、その分、操作性が高くなる。
【0077】
なお、本実施例のシステム制御部210による処理では、表示面内の横をx方向、縦をy方向、奥行きをz方向とした場合の、y方向及びz方向の座標情報を用いて円動作の中心座標、回転角度を算出する。
【実施例4】
【0078】
本実施例は、ユーザに提示する操作方式提示GUI108と選択項目101の配置を変えた別の例である。入力装置100の構成は実施例1と同様である。
【0079】
図15を用いて、本実施例におけるGUIの構成を説明する。100は入力装置10の表示部、101は選択項目、107は選択されている項目、108は操作方式提示GUIである。実施例1と同様に操作方式提示GUI108はホイール102とハンドル103で構成する。これらの役割は実施例1と同様である。
【0080】
本実施例では、実施例1で平面内で回転表示していた操作方式提示GUI108と選択項目101を分けて、それぞれ奥行き方向と横方向で構成される平面内で回転するように配置している。また、選択項目は手前に表示されるものを大きくし、操作方式提示GUI108は、抽選器を横に倒したような形状としている。
【0081】
このようなGUIを提示することでユーザに限定した動作を行わせるように誘導できる。
【0082】
本実施例においても、実施例3と同様に、肘を支点に腕を動かす動作に限定され、ユーザが描く円の大きさが限定されるため、入力受信部111の処理負担は軽くなり、その分、操作性が高くなる。
【0083】
なお、本実施例のシステム制御部210による処理では、表示面内の横をx方向、縦をy方向、奥行きをz方向とした場合の、x方向及びz方向の座標情報を用いて円動作の中心座標、回転角度を算出する。
【符号の説明】
【0084】
10 ユーザ操作入力装置
12 ユーザ
13 指示装置
100 表示部
101 選択可能項目
102 ホイール
103 ハンドル
104 カーソル
105 円動作の中心
107 選択項目マーカー
108 操作方式提示GUI
109 仮想的に定める円動作の中心
111 入力受信部
210 システム制御部
211 基本制御手段
212 操作状態判定手段
213 中心座標算出手段
214 回転角度算出手段
215 操作状態フィードバック手段
220 映像処理部
310 ユーザが操作する操作ハンドルのイメージ
400 円軌道
500 ハンドル103からホイール102の中心位置に向かう方向
510 ホイールの中心位置
700 円軌道
800 円軌道
802 円動作の中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円状に配置された複数の項目が動いて任意の項目が選択される複数の選択項目と、該複数の選択項目と同心円状に配置されたホイール及びホイール上のハンドルとを表示する表示部と、
ユーザがハンドルを回すように、手で円を描く動作を行った場合に、該動作を受信し、操作情報を生成する入力受信部と、
前記入力受信部で生成された操作情報に基づいて、前記表示部で、ホイール上のハンドルを回転させるように表示させるとともに、複数の項目を回転させるように表示させる制御部と、を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記表示部は、表示画面の横方向をX方向、表示画面の縦方向をY方向とした場合に、前記複数の選択項目ならびに前記ホイール及びハンドルをXY面内で表示することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記表示部は、表示画面の縦方向をY方向、表示画面の奥行き方向をZ方向とした場合に、前記複数の選択項目ならびに前記ホイール及びハンドルをYZ面内にあるように表示することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
前記表示部は、表示画面の横方向をX方向、表示画面の奥行き方向をZ方向とした場合に、前記複数の選択項目ならびに前記ホイール及びハンドルをXZ面内にあるように表示することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項5】
前記入力受信部で生成される操作情報は、ユーザが描く円のXY面内の座標情報であり、
前記制御部は、
座標情報に基づいて、ユーザが描く円の中心座標を算出する中心座標算出部と、
前記円の座標情報と前記円の中心座標に基づいて回転角度を算出する回転角度算出部とを備え、
算出された円の中心座標と回転角度に基づいて、前記表示部でのハンドルの回転及び項目の回転を制御することを特徴とする請求項2に記載の入力装置。
【請求項6】
前記入力受信部で生成される操作情報は、ユーザが描く円のYZ面内の座標情報であり、
前記制御部は、
座標情報に基づいて、ユーザが描く円の中心座標を算出する中心座標算出部と、
前記円の座標情報と前記円の中心座標に基づいて回転角度を算出する回転角度算出部とを備え、
算出された円の中心座標と回転角度に基づいて、前記表示部でのハンドルの回転及び項目の回転を制御することを特徴とする請求項3に記載の入力装置。
【請求項7】
前記入力受信部で生成される操作情報は、ユーザが描く円のXZ面内の座標情報であり、
前記制御部は、
座標情報に基づいて、ユーザが描く円の中心座標を算出する中心座標算出部と、
前記円の座標情報と前記円の中心座標に基づいて回転角度を算出する回転角度算出部とを備え、
算出された円の中心座標と回転角度に基づいて、前記表示部でのハンドルの回転及び項目の回転を制御することを特徴とする請求項4に記載の入力装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記表示部に、ホイール上のハンドルを所定角度以上回転させるように表示させた後に、複数の項目を1項目分だけ回転させるように表示させることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−145842(P2011−145842A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5429(P2010−5429)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】