説明

入力装置

【課題】押下部を照明でき、且つ容易に製造できる入力装置を提供すること。
【解決手段】センサーシート5と、押下入力部と、照明部と、を備え、押下入力部に設けられたキートップ19は互いに隙間を有して配置され、センサーシート5は、光透過性を有し、第一方向へ延びる第一電極15と、光透過性を有し、第一方向と交差する方向へ延びる第二電極16と、第一電極15と第二電極16との間に設けられているとともに第一電極15と第二電極16とにそれぞれ固定され、少なくとも一部が光透過性を有する層状の基材14と、第一電極15と電気的に接続され、キートップ19とライトガイド3との間であって基材14の厚さ方向から見たときに複数のキートップ19の隙間と重なる位置に配置された第三電極17と、を有し、第三電極17は、第一電極15よりも光透過性が低く、且つ第一電極15よりも電気抵抗が低い材質からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作を入力するために電子機器に設けられた入力装置が知られている。このような入力装置の例として、たとえば特許文献1には、最外層に配置されたキー部材(押下部)と、キー部材の裏面に配置された座標入力手段と、座標入力手段の裏面に配置された光源とを具備する入力装置が開示されている。また、特許文献1には、座標入力手段として、離間した一対の電極を複数備え、指が接近した際の電極間の電界変化によって生じた電極間の静電容量変化を検知して座標入力する静電容量式センサが用いられることが記載されている。この特許文献1に記載の入力装置によれば、光源が発する光によって押下部を照明することができ、且つ座標入力手段によって座標入力をすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−107091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の入力装置では、押下部を照明する光を押下部へ導くために、光源が発した光を押下部の背面に導く通路として機能する貫通孔を設ける必要がある。このため、座標入力を検出するための検出手段に貫通孔を開ける工程が煩雑であるという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は押下部を照明でき、且つ容易に製造できる入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の入力装置は、入力体が近づくことによって前記入力体の位置情報が入力される位置情報入力部と、前記入力体によって表面が押下される複数の押下部と前記押下部によって押圧される接点部とを有する押下入力部と、前記押下部を裏面から照明する照明部と、を備える入力装置であって、前記複数の押下部は互いに隙間を有して配置され、前記位置情報入力部は、光透過性を有し、第一方向へ延びる第一電極と、光透過性を有し、前記第一方向と交差する方向へ延びる第二電極と、前記第一電極と前記第二電極との間に設けられているとともに前記第一電極と前記第二電極とにそれぞれ固定され、少なくとも一部が光透過性を有する層状の絶縁体と、前記第一電極と電気的に接続され、前記押下部と前記照明部との間であって前記絶縁体の厚さ方向から見たときに前記複数の押下部の隙間と重なる位置に配置された第三電極と、を有し、前記第三電極は、前記第一電極よりも光透過性が低く、且つ前記第一電極よりも電気抵抗が低い材質からなる。
【0007】
また、前記第一電極および前記第二電極は層状に形成され、前記第三電極は前記第一電極に積層された層状に形成されていることが好ましい。
【0008】
また、前記照明部は、光源が発する光を伝送して前記押下部へ照射する層状のライトガイドを備えることが好ましい。
【0009】
また、本発明の入力装置は、前記第二電極と電気的に接続され、前記押下部と前記照明部との間であって前記絶縁体の厚さ方向から見たときに前記複数の押下部の隙間と重なる位置に配置された第四電極をさらに備え、前記第四電極は、前記第二電極よりも光透過性が低く、且つ前記第二電極よりも電気抵抗が低い材質からなることが好ましい。
【0010】
また、前記第一電極および前記第二電極は層状に形成され、前記第三電極は前記第一電極に積層された層状に形成され、前記第四電極は前記第二電極に積層された層状に形成されていることが好ましい。
【0011】
前記照明部は、光源が発する光を伝送して前記押下部へ照射する層状のライトガイドを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の入力装置によれば、光透過性を有する第一電極に、第一電極よりも電気抵抗が低い第三電極が電気的に接続されているので、押下部を照明するための光の通路として第一電極を用いることができる。このため、光を透過させるための貫通孔を設ける必要が無く容易に製造される。さらに、第一電極よりも光透過性が低い第三電極が複数の押下部の隙間に配置されているので、複数の押下部の隙間から漏れる光の量を低減して複数の押下部を照明できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態の入力装置を示す斜視図である。
【図2】同入力装置を示す分解斜視図である。
【図3】(A)は同入力装置を一部破断して示す平面図、(B)は(A)の裏面図、(C)は(A)のA−A線における断面図、(D)は(A)のB−B線における断面図である。
【図4】同入力装置の使用時の動作を説明するための動作説明図である。
【図5】同入力装置の変形例1の構成を示す断面図である。
【図6】同入力装置の変形例2の構成を示す図で、(A)は平面図、(B)は(A)のC−C線における断面図、(C)は(A)のD−D線における断面図である。
【図7】(A)は同入力装置の変形例3の構成を示す断面図、(B)は(A)のE−E線における断面図である。
【図8】(A)は同入力装置の変形例4の構成を示す断面図、(B)は(A)のF−F線における断面図である。
【図9】変形例4の入力装置の製造工程を示す工程説明図である。
【図10】(A)は、同入力装置の変形例5の構成を示す模式的な平面図、(B)は(A)のG−G線における断面図である。
【図11】(A)は、同入力装置の変形例6の構成を示す平面図、(B)は、(A)のH−H線における断面図、(C)は(B)のI−I線における断面図、(D)は、(B)のJ−J線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態の入力装置1について説明する。図1は、本実施形態の入力装置1を示す斜視図である。また、図2は、入力装置1を示す分解斜視図である。また、図3は(A)は入力装置1を一部破断して示す平面図である。また、図3(B)は図3(A)の裏面図である。また、図3(C)は図3(A)のA−A線における断面図である。また、図3(D)は図3(A)のB−B線における断面図である。また、図4は、入力装置1の使用時の動作を説明するための動作説明図である。
【0015】
図1に示すように、入力装置1は、基板2と、ライトガイド3と、プランジャーシート4と、センサーシート(位置情報入力部)5と、キーシート6とがこの順に積層されて構成されている。以下、キーシート6がある側が表側、基板2がある側が裏側であるとして説明する。
【0016】
図2に示すように、基板2は、板状に形成されている。基板2の表面には複数の接点部7が設けられている。接点部7は、三行三列の格子状に計9箇所に配置されている。
【0017】
各接点部7は、基板2の表面に形成された接点端子部8と、基板2の板厚方向から見たときに接点端子部8と重なる位置に配置された複数のメタルドーム9とを有する。
【0018】
接点端子部8は、同心状であって互いに離間した一対の検出端子8a、8bを有している。検出端子8aは円板状であり、検出端子8bは検出端子8aを囲む環状である。また接点端子部8は、図示しない導通検出回路と電気的に接続できるようになっており、一対の検出端子8a、8bが導通すると導通検出回路によって接点部7への入力が検出されるようになっている。
【0019】
メタルドーム9は、検出端子8bに接触して設けられた外周部9aと、基板2からキーシート6へ向かって凸となる丸天井部9bとを有する。メタルドーム9の材質は金属である。メタルドーム9は、丸天井部9bの中央部を裏側へ向かって押圧することで丸天井部9bが基板2へ向かって凸となる反転形状となり、丸天井部9bの中央部への押圧を解除することで元の形状に戻るようになっている。また、メタルドーム9は、反転形状になっているときに、丸天井部9bが検出端子8aに接触し、一対の検出端子8a、8bを導通させることができるようになっている。
【0020】
ライトガイド3は、板状に形成され、プランジャーシート4とセンサーシート5との間にそれぞれ空気層を介在させて設けられている。本実施形態では、ライトガイド3とプランジャーシート4との間、及びライトガイド3とセンサーシート5との間には、空気層の厚さを規定するスペーサが設けられている。ライトガイド3の両面は、空気層との境界面において光が反射するようになっている。
【0021】
ライトガイド3の材質としては、光学特性に優れた材料を用いることが好ましい。たとえば、光透過性が高い材質として、ポリカーボネート、アクリル、ウレタン、シリコーンゴムなどが挙げられる。
なお、ライトガイド3は、図示しないが、板厚方向の中間部に設けられた光透過性を有するコア層と、コア層の両面に設けられ、コア層よりも屈折率が低く光透過性を有する反射層とを備えるものであってもよい。
【0022】
また、ライトガイド3には、ライトガイド3へ入射する光を発するLED光源10が接続されている。
ライトガイド3の表側の反射層3Aには、ライトガイド3の内部を通じてLED光源10から伝送された光が出射される出射部11が形成されている。出射部11は、ライトガイド3の厚さ方向から見て、後述するキートップ19と重なる位置に配置されている。出射部11のそれぞれにおける出射光量は均一にされている。
ライトガイド3とLED光源10とによって、照明部が構成されている。
【0023】
プランジャーシート4は、板状に形成され、裏側に複数のプランジャー13が形成されている。プランジャーシート4の材質は、可撓性を有する樹脂材料である。
プランジャー13は、プランジャーシート4の裏側からメタルドーム9へ向かって突出されている。プランジャー13は、裏側に向かうにしたがって縮径された円錐台形状に形成されている。プランジャー13の突出端は、ライトガイド3を挟んでメタルドーム9の丸天井部9bに対向している。
【0024】
図3(C)および図3(D)に示すように、センサーシート5は、基材14と、第一電極15と、第二電極16と、第三電極17と、第四電極18とを備える。
【0025】
基材14は、絶縁性を有し、且つ光透過性を有する。基材14は、板状に形成されている。基材14の材質は、ポリエチレンテレフタレートである。
【0026】
第一電極15は、基材14の表面に一定間隔おきに4つ設けられている。4つの第一電極15は、互いに平行に延びて基材14の表面に積層されている。第一電極15は、光透過性を有する。また、本実施形態では、第一電極15は柔軟性を有し、耐屈曲性を有している。第一電極15の材質は、光透過性を有する導電性ポリマーであり、本実施形態では、第一電極15は、ポリチオフェン系導電性高分子塗料である信越ポリマー製SEPLEGYDA(登録商標)からなる。
【0027】
図3(B)に示すように、第二電極16は、基材14の裏面に間を空けて2つ設けられている。図3(B)および図3(C)に示すように、2つの第二電極16は、基材14の板厚方向から見たときに第一電極15と直交する方向に延びて、基材14の裏面に積層されている。第二電極16の材質は、第一電極15と同様にSEPLEGYDA(登録商標)である。第二電極16は、第一電極15よりも幅広に形成されている。
第一電極15と第二電極16とは、静電容量の変化を検出する図示しない静電容量検出回路にそれぞれ接続されている。
【0028】
第三電極17は、第一電極15の表面に積層され、第一電極15と電気的に接続されている。また、第三電極17は、第一電極15と平行に延びている。第三電極17は、第一電極15よりも電気抵抗が低く、光透過性が低い材料からなる。本実施形態では、第三電極17の材質は、銀粒子を含有する導電性銀ペーストである。このため、本実施形態では、第三電極17は、遮光性を有する。
【0029】
第四電極18は、第二電極16の裏面に第二電極16と平行に延びて積層され、第二電極16と電気的に接続されている。第四電極18は、第二電極16の幅方向の端部のそれぞれに設けられており、第二電極16の1つあたり2つ設けられている。第四電極18は、第三電極17と同様に導電性銀ペーストによって形成されている。このため、第四電極18は、第二電極16よりも電気抵抗が低く、光透過性が低い。本実施形態では、第四電極18は、遮光性を有する。
センサーシート5に設けられた第三電極17と第四電極18は、基材14の厚さ方向から見たときに直交している。このため、第三電極17と第四電極18とによって、基材14の厚さ方向から見たときに、基材14、第一電極15、および第二電極16よりも光透過性が低い格子状の遮光部が形成されている。
【0030】
図3(C)および図3(D)に示すように、キーシート6は、センサーシート5の表面に積層されている。キーシート6の形状は板状であり、キーシート6の裏面と第三電極17の表面とは接触している。キーシート6の材質は、ポリエチレンテレフタレートである。キーシート6には、複数のキートップ19が設けられている。
【0031】
図3(A)に示すように、キートップ19は、キーシート6の表面に三行三列の格子状に9個配置されている。9個のキートップ19は互いに隙間を有して配置されている。キートップ19は、光透過性を有する材料によって形成されている。図示していないが、キートップ19には、数字や文字などを含む模様が設けられている。図3(C)および図3(D)に示すように、キートップ19は、ライトガイド3から出射された光によって裏面から照明されるようになっている。
【0032】
図2に示すように、キーシート6におけるキートップ19の配置位置は、入力装置1が組み立てられた状態で基材14の厚さ方向から見たときに、接点部7に重なる位置とされている。さらに、図3(C)および図3(D)に示すように、第三電極17および第四電極18とキートップ19との位置関係は、入力装置1が組み立てられた状態で基材14の厚さ方向から見たときに、複数のキートップ19の隙間と重なる位置に第三電極17および第四電極18が配置される位置関係になっている。
【0033】
また、図3(D)に示すように、入力装置1を基材14の厚さ方向の断面で見たときに、キートップ19は、基材14の面方向における第三電極17の端17Aおよび第四電極18の端18Aがキートップ19の外周よりも内側へ入り込んだ位置関係となるように配置されている。
【0034】
図2に示すように、基板2に設けられた接点部7と、キーシート6に設けられたキートップ19とによって押下入力部が構成されている。
【0035】
以上に説明した構成の入力装置1の使用時の動作について説明する。
入力装置1の使用時には、LED光源10を発光させる。すると、LED光源10が発する光はライトガイド3へ入射され、ライトガイド3の内部を通じて出射部11まで伝送されて出射部11から出射される。出射部11から出射された光は、キーシート6側へ照射される。このとき、第三電極17および第四電極18によって光が遮られるため、キーシート6において、キートップ19には光が照射され、キーシート6のうちキートップ19の隙間部分(図3(A)にd1、d2で示す領域)には光が照射されない。
これにより、ライトガイド3を通じてLED光源10から照射された光によってキートップ19が照明される。
【0036】
次に、センサーシート(位置情報入力部)5において位置情報が入力される作用について説明する。
第一電極15および第三電極17は、操作者の指(入力体)が近接すると指との間の静電容量が変化する。すなわち、第一電極15および第三電極17と指との間には、第一のキャパシタが構成されている。
また、第二電極16および第四電極18は、指が近接すると、第一のキャパシタとは独立して指との間の静電容量が変化する。すなわち、第二電極16および第四電極18と指との間には、第二のキャパシタが構成されている。
【0037】
図4に示すように、入力装置1を操作する操作者は、キーシート6のキートップ19の表面に指Fを接触させ、複数のキートップ19の表面が存する面に沿って指Fをスライドさせる。
これにより、センサーシート5へ指が近づくことによってセンサーシート5に対する指の位置を示す位置情報が入力装置1に入力される。
図3(C)および図3(D)に示すように、第一のキャパシタと第二のキャパシタとは、入力装置1をセンサーシート5の厚さ方向から見たときに互いに直交する格子状に構成されているので、第一のキャパシタと第二のキャパシタとの静電容量の変化によって、センサーシート5の面方向における指の座標を静電容量検出回路に検出させることができる。
【0038】
次に、押下入力部の作用について説明する。
キートップ19は、指によって表面が裏面側へ押下される。すると、キートップ19が押下された力はセンサーシート5を介してプランジャーシート4に伝わる。これにより、プランジャーシート4に設けられたプランジャー13によってライトガイド3が押圧され、ライトガイド3によってメタルドーム9が押圧される。すると、メタルドーム9の丸天井部9bが湾曲する。
【0039】
メタルドーム9が湾曲されると、メタルドーム9の丸天井部9bは反転形状になり、基板2の表面に設けられた一対の検出端子8a、8bを導通させる。これにより、キートップ19が押下されたことを一対の検出端子8a、8bに接続された導通検出回路に検出させることができる。
【0040】
また、メタルドーム9の丸天井部9bが反転するときの衝撃はライトガイド3、プランジャーシート4およびセンサーシート5を介してキートップ19へと伝わる。さらにこの衝撃はキートップ19から指へ伝わる。これにより、キートップ19を押下した指にクリック感が伝わる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態の入力装置1によれば、光透過性を有する第一電極15に、第一電極15よりも電気抵抗が低い第三電極17が電気的に接続され、光透過性を有する第二電極16に、第二電極16よりも電気抵抗が低い第四電極18が電気的に接続されているので、センサーシート5においてLED光源10からキートップ19へ光を導くための貫通孔が不要となり、入力装置1を容易に形成できる。
また、センサーシート5に貫通孔を形成する必要がないので、第一電極15、第二電極16、第三電極17、及び第四電極18を配置する自由度が高く、センサーシート5の感度の偏りを好適に抑制できる。
また、センサーシート5に貫通孔が形成されていないので、センサーシート5を通じて基板2へ水が進入するのを抑制でき、入力装置1の防水性をより高めることができる。
【0042】
さらに、第一電極15よりも光透過性が低い第三電極17と、第二電極16よりも光透過性が低い第四電極18とが複数のキートップ19の隙間に配置されているので、キートップ19の隙間から漏れる光の量を低減してキートップ19を照明できる。
【0043】
また、第一電極15よりも電気抵抗が低い第三電極17が第一電極15に積層されているので、第一電極15の表面抵抗よりも第一電極15と第三電極17との積層体の表面抵抗を低くすることができる。
【0044】
また、LED光源10に接続されたライトガイド3によって、LED光源10から出射された光を各キートップ19へ均等に配光することができる。
【0045】
また、入力装置1を基材14の厚さ方向の断面で見たときに、基材14の面方向における第三電極17および第四電極18がキートップ19の外周よりも内側へ入り込んだ位置関係となるようにキートップ19が配置されているので、キーシート6においてキートップ19が設けられていない部分から光が漏れることを軽減できる。
【0046】
(変形例1)
以下では、本実施形態の変形例1の入力装置20について図5を参照して説明する。図5は、本変形例の入力装置20を図3(A)のB−B線と同様の断面線で断面視した斜視図である。
図5に示すように、本変形例の入力装置20では、ライトガイド3の位置が上述の入力装置1におけるライトガイド3の位置と異なり、ライトガイド3は、プランジャーシート4とセンサーシート5との間に配置されている。
【0047】
このような構成であっても、上述と同様の効果を奏する。
さらに、本変形例の入力装置20によれば、プランジャー13とメタルドーム9との間にライトガイド3が挟まれた上述の入力装置1における構成と比較して、よりキートップ19に近い位置にライトガイド3が配置されているので、同じ消費エネルギーでより明るくキートップ19を照明することができる。
【0048】
(変形例2)
以下では、本実施形態の変形例2の入力装置30について図6(A)ないし図6(C)を参照して説明する。図6は、本変形例の入力装置30の構成を示す図で、(A)は平面図、(B)は(A)のC−C線における断面図、(C)は(A)のD−D線における断面図である。
図6(A)ないし図6(C)に示すように、本変形例の入力装置30では、ライトガイド3に代えて、プランジャー13および出射部11が形成されたライトガイド23を備え、LED光源10は基板2の表面に設けられている点で上述の入力装置1と構成が異なっている。
本変形例では、図6(B)に示すように、LED光源10から出射された光は、ライトガイド23に入射し、ライトガイド23の面方向に伝送される。さらに、図6(C)に示すように、ライトガイド23の面方向に伝送された光は、ライトガイド23の表面の出射部11から出射され、センサーシート5を介してキートップ19の裏面に照射される。
【0049】
このような構成であっても、上述の入力装置1と同様の効果を奏する。
さらに、本変形例の入力装置30によれば、ライトガイド23が、プランジャーシート4とライトガイド3との機能をともに備えているので、入力装置30をより薄く構成することができる。
また、LED光源10が基板2の表面に配置されているので、メタルドーム9とプランジャー13を収容するための空間にLED光源10を収めることができ、空間を有効利用できるため、入力装置30を小型化することができる。
【0050】
(変形例3)
以下では、本実施形態の変形例3の入力装置40について図1および図7を参照して説明する。図7(A)は、本変形例の入力装置40におけるセンサーシートを示す断面図、図7(B)は図7(A)のE−E線における断面図である。
図7(A)に示すように、本変形例の入力装置40では、センサーシート5に代えてセンサーシート25を備える点で上述の入力装置1と構成が異なっている。
センサーシート25は、基材14と、第二電極16と、第四電極18と、絶縁層26と、第一電極15、第三電極17とがこの順に積層されている。
絶縁層26は、図7(B)に示すように、基材14と第一電極15との間を埋めるように充填された層である。本変形例では、絶縁層26は、アクリル樹脂からなる粘着材料によって構成されている。
【0051】
このような構成であっても、上述の入力装置1と同様の効果を奏する。
また、本変形例で説明したセンサーシート25は、基材14の片面に第二電極16と、第四電極18と、絶縁層26と、第一電極15と、第三電極17とを順次積層することで形成できるので、センサーシート25を容易に形成できるという効果を奏する。
【0052】
(変形例4)
以下では、本実施形態の変形例4の入力装置について図8(A)、図8(B)、および図9を参照して説明する。図8(A)は、本変形例の入力装置におけるセンサーシート27を示す断面図、図8(B)は図8(A)のF−F線における断面図である。また、図9は、本変形例の入力装置におけるセンサーシート27の製造工程を示す工程説明図である。
図8(A)に示すように、本変形例の入力装置では、センサーシート5に代えてセンサーシート27を備える点で上述の入力装置と構成が異なっている。
センサーシート27は、基材14と、第二電極16と、第四電極18と、絶縁層28と、第三電極17と、第一電極15と、基材29とがこの順に積層されている。
絶縁層28は、図8(A)および図8(B)に示すように、基材14と基材29との間を埋めるように充填された層である。絶縁層28は、エポキシ系接着剤によって構成されている。
基材29は、基材14と同様の材質からなる板状部材である。
【0053】
図9に示すように、本変形例のセンサーシート27を製造する工程は、まず、基材14と第二電極16と第四電極18とが一体に組み付けられた下側部材31と、第三電極17と第一電極15と基材29とが一体に組み付けられた上側部材32とを形成する。続いて、第三電極17と第四電極18とが向かい合うように下側部材31と上側部材32とを対向配置して、下側部材31にエポキシ系接着剤を塗布して上側部材32を下側部材31に押し付ける。
下側部材31と上側部材32との間に充填されたエポキシ系接着剤は硬化し、下側部材31と上側部材32とが固定される。このとき、第三電極17と第四電極18との間は、エポキシ系接着剤が硬化した層によって絶縁されている。
【0054】
このような構成であっても、上述の入力装置と同様の効果を奏する。
また、接着剤を用いて上側部材32を下側部材31に接着するので、センサーシート27を容易に形成することができる。
【0055】
(変形例5)
次に、本実施形態の変形例5の入力装置60について図10を参照して説明する。
図10(A)は、本変形例の入力装置60におけるセンサーシート35の構成を模式的に示す平面図である。また、図10(B)は図10(A)のG−G線における模式的な断面図である。
【0056】
図10(A)及び図10(B)に示すように、本変形例におけるセンサーシート35は、第一電極15に代えて設けられた第一電極36と、第二電極16に代えて設けられた第二電極37と、第三電極に代えて設けられた第三電極38と、第四電極18に代えて設けられた第四電極39と、を備える点で上述の第1実施形態と構成が異なっている。
【0057】
第一電極36は、互いに平行に延びて複数設けられている。また、第一電極36は、厚さ方向から見たときの輪郭形状が正方形状に形成された光透過性を有する複数の電極要素36Aを有し、電極要素36Aの対角が互いに接続されて一続きに並べられた形状とされている。
【0058】
第二電極37は、基材14を挟んで第一電極36の反対側の面上に形成されている。第二電極37は、厚さ方向から見たときに第一電極36と直交する方向に延びて複数設けられ、第一電極36の隙間に電極要素36Aと同様に正方形状に形成されて互いに接続された電極要素37Aが配置されている。
【0059】
第三電極38は、第一電極36と平行に延びて第一電極36の一部に積層されて設けられ、センサーシート35の厚さ方向から見たときに複数のキートップ19の隙間に配置される。第三電極38は、上述の第1実施形態で説明した第三電極17と同様の材質によって構成されており、第一電極36よりも電気抵抗が低く、遮光性を有する。
【0060】
第四電極39は、第二電極38と平行に延びて第二電極37に一部に積層されて設けられ、センサーシート35の厚さ方向から見たときに複数のキートップ19の隙間に配置されている。
【0061】
このような構成であっても、図10(B)に示すように、第三電極38および第四電極39によって、キートップ19の隙間は遮光されているので、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0062】
(変形例6)
次に、本実施形態の変形例6の入力装置70について図11を参照して説明する。
図11(A)は、本変形例の入力装置70の平面図である。また、図11(B)は、図11(A)のH−H線における断面図である。また、図11(C)は、図11(B)のI−I線における断面図である。また、図11(D)は、図11(B)のJ−J線における断面図である。
【0063】
図11(A)に示すように、本変形例では、第1実施形態で説明した入力装置1におけるキートップ19に代えて、形状が互いに異なるキートップ(キートップ81−1、81−2、81−3、81−4、81−5)を含む9個のキートップ81が形成されたキーシート80を備える。また、センサーシート5に代えて、センサーシート90備える。
【0064】
図11(B)及び図11(C)に示すように、センサーシート90は、第1実施形態で説明した第一電極15および第三電極17と形状が異なる第一電極91および第三電極93を有する。
さらに、図11(B)及び図11(D)に示すように、センサーシート90は、第1実施形態で説明した第二電極16および第四電極18と形状が異なる第二電極92および第四電極94を有する。
【0065】
本変形例では、第三電極93および第四電極94は屈曲されて形成されており、入力装置70を厚さ方向から見たときにキートップ81−1、81−2、81−3、81−4、81−5の隙間に位置する。
本変形例では、人の指がキートップ81の表面に接触されることによるセンサーシート90における位置情報は、センサーシート90に接続された静電容量検出回路において検出値が補正演算されることによって算出される。
【0066】
このような構成であると、形状が互いに異なっていたり、配置間隔が等間隔でないキートップを複数備えるキーシートにおいても複数のキートップの隙間から光が漏れることを抑制できる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
たとえば、上述の実施形態で説明したキートップは、互いに隣接して設けられていてもよい、この場合、互いに隣接して設けられたキートップの間で光が透過可能な空間が本発明における隙間である。また、複数のキートップが一体成形されたものであって塗装や段差などによる区画分けによって複数のキートップが分けられている場合においては、複数のキートップの境界が本発明における隙間である。
【0068】
また、上述の実施形態では、基材の材質はポリエチレンテレフタレートである例を示したが、基材の材質はこれに限られるものではない。例えば、基材の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリル、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリアリレート、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどが挙げられる。また、基材は、基材の厚さ方向から見たときにキートップと重なる位置が光透過性を有していればよく、一部が遮光性を有するものであってもよい。
【0069】
また、上述の実施形態では、第一電極および第二電極は信越ポリマー製SEPLEGYDA(登録商標)である例を示したが、第一電極および第二電極は光透過性を有する導電材料であればSEPLEGYDA(登録商標)に限られるものではない。例えば、ITO(酸化インジウムスズ)、およびITOをバインダ中に分散させたITOインク、ITO薄膜、あるいは金、銅、アルミニウム、錫等の金属薄膜からなる例えばメッシュによって第一電極および第二電極を構成することもできる。また、第一電極と第二電極とが異なる材料によって構成されていても構わない。
【0070】
また、上述の実施形態では、第一電極と第二電極とは互いに直交して配置されている例を示したが、第一電極と第二電極と互いに交差する位置関係にあればよく、必ずしも互いに直交している必要は無い。
【0071】
また、上述の実施形態では、第三電極および第四電極の材料として導電性銀ペーストを採用した例を説明したが、第三電極および第四電極の材料は銀ペーストに限られるものではない。たとえば、第三電極および第四電極の材料としては、銅箔、銀箔などの金属箔、あるいは導電性カーボンなどを採用することもでき、これらの材料によってメッシュを構成してもよい。また、第三電極と第四電極とは異なる材料によって構成されていても構わない。
【0072】
また、上述の実施形態は、第三電極と第四電極とはそれぞれ第一電極と第二電極とに沿って一続きに延びて形成されている例を示したが、第三電極および第四電極の形状はこれに限られるものではない。たとえば、第三電極あるいは第四電極が破線状に配置されていてもよく、この場合でも上述の実施形態で説明した入力装置と同様の効果を奏することができる。
【0073】
また、第三電極および第四電極は、キートップの隙間以外の位置に配置することもできる。すなわち、第三電極および第四電極は、ライトガイドから照射される光を遮光する必要がある適宜の位置に配置することができる。
【0074】
また、上述の実施形態では、入力体として人の指を用いる例を採用したが、これに限らず、導電性を有するものであれば適宜のものを入力体として採用することができる。また、キートップの表面を押下して押下入力部へ入力するだけであれば、入力体が導電性を有するものでなくても構わない。
【0075】
また、ライトガイドに設けられた出射部の構成としては、例えば、ライトガイドの表面に厚さ方向に窪んで形成されたディンプルパターン、ライトガイドの表面に厚さ方向に突出して形成された凸パターン、あるいはライトガイドの表面に印刷などによって設けられ光を拡散する白色のドットパターンなどを挙げることができる。
また、上述の実施形態及び変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【符号の説明】
【0076】
1、20、30、40、50、60、70 入力装置
3、23 ライトガイド(照明部)
5、25、27、35、90 センサーシート(位置情報入力部)
6、80 キーシート
7 接点部
10 LED光源(照明部)
19 キートップ(押下部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力体が近づくことによって前記入力体の位置情報が入力される位置情報入力部と、
前記入力体によって表面が押下される複数の押下部と前記押下部によって押圧される接点部とを有する押下入力部と、
前記押下部を裏面から照明する照明部と、
を備える入力装置であって、
前記複数の押下部は互いに隙間を有して配置され、
前記位置情報入力部は、
光透過性を有し、第一方向へ延びる第一電極と、
光透過性を有し、前記第一方向と交差する方向へ延びる第二電極と、
前記第一電極と前記第二電極との間に設けられているとともに前記第一電極と前記第二電極とにそれぞれ固定され、少なくとも一部が光透過性を有する層状の絶縁体と、
前記第一電極と電気的に接続され、前記押下部と前記照明部との間であって前記絶縁体の厚さ方向から見たときに前記複数の押下部の隙間と重なる位置に配置された第三電極と、
を有し、
前記第三電極は、前記第一電極よりも光透過性が低く、且つ前記第一電極よりも電気抵抗が低い材質からなる
入力装置。
【請求項2】
前記第一電極および前記第二電極は層状に形成され、
前記第三電極は前記第一電極に積層された層状に形成されている請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記照明部は、光源が発する光を伝送して前記押下部へ照射する層状のライトガイドを備える、
請求項1または2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記第二電極と電気的に接続され、前記押下部と前記照明部との間であって前記絶縁体の厚さ方向から見たときに前記複数の押下部の隙間と重なる位置に配置された第四電極をさらに備え、
前記第四電極は、前記第二電極よりも光透過性が低く、且つ前記第二電極よりも電気抵抗が低い材質からなる
請求項1に記載の入力装置。
【請求項5】
前記第一電極および前記第二電極は層状に形成され、
前記第三電極は前記第一電極に積層された層状に形成され、
前記第四電極は前記第二電極に積層された層状に形成されている
請求項4に記載の入力装置。
【請求項6】
前記照明部は、光源が発する光を伝送して前記押下部へ照射する層状のライトガイドを備える、
請求項4または5に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−198125(P2011−198125A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−64977(P2010−64977)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】