説明

入力装置

【課題】主に各種電子機器の操作に使用される入力装置に関し、容易で多様な操作の可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】制御手段12が磁気検出素子6からのパルス信号の時間差、またはパルス数に応じて、出力する駆動信号を変化させることによって、例えば指の移動が素早く行われ、回転操作された複数の磁石3A〜3Dの、磁気検出素子6からのパルス信号の時間差が小さく所定値以下である場合や、両方の磁石が回転しパルス信号の数が多い間等は、制御手段12が出力する駆動信号を変化させ、例えばカーソルを速く移動させる駆動信号を出力することで、指の移動する速さに応じた様々なカーソル移動が行えるため、カーソル等の操作が容易で、多様な操作が可能な入力装置を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の操作に用いられる入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やパーソナルコンピュータ等の各種電子機器の高機能化や小型化が進むに伴い、これらの操作に用いられる入力装置にも、容易で多様な操作を行えるものが求められている。
【0003】
このような従来の入力装置について、図7〜図10を用いて説明する。
【0004】
図8は従来の入力装置の断面図、図9は同斜視図であり、同図において、1は絶縁樹脂製の上ケース、2は同じく下ケース、3A〜3Dは略楕円球状の磁石で、磁石3A〜3Dには磁性の異なるN極とS極が、回転方向に所定の角度間隔で隣接して形成されている。
【0005】
そして、この磁石3A〜3Dが例えば、磁石3Aとこれに対向した磁石3Bが左右方向に、磁石3Cと3Dが磁石3Aや3Bとは直交方向の前後方向に、各々回転可能に下ケース2に装着されると共に、各々の上部が上ケース1上面から突出している。
【0006】
また、5は上下面に複数の配線パターン(図示せず)が形成された配線基板で、磁石3A〜3D下方の配線基板5上面には、垂直方向の磁気を検出するホール素子等の四つの磁気検出素子6が、磁石3A〜3Dに対向配置するように実装装着されている。
【0007】
さらに、7はマイコン等の制御手段で、複数の磁気検出素子6に接続されると共に、この磁気検出素子6や制御手段7が実装された配線基板5上面を、フィルム状のカバーシート8が覆って、入力装置が構成されている。
【0008】
そして、このように構成された入力装置が、携帯電話やパーソナルコンピュータ等の電子機器の操作部(図示せず)に、磁石3A〜3D上部を突出させて装着されると共に、制御手段7が配線パターンやリード線(図示せず)等を介して、機器の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0009】
以上の構成において、例えば機器の液晶表示素子等の表示手段(図示せず)に、氏名や曲名等の複数のメニューやカーソル(図示せず)等が表示された状態で、図7(a)の平面図に示すように、例えば指を右方向へ動かすと、これと直交方向の前後方向に回転可能な磁石3Cや3Dは回転しないが、左右方向に回転可能な磁石3Aが先ず回転し、次に磁石3Bが回転する。
【0010】
そして、例えば磁石3A下方の磁気検出素子6が、N極とS極が所定の角度間隔で隣接形成され、回転によってN極とS極が交互に変化する磁石3Aの磁気を検出し、図10(a)の波形図に示すような、パルス信号L1を出力する。
【0011】
また、磁石3B下方の磁気検出素子6からも、図10(b)に示すような、パルス信号L2が出力されるが、先ず磁石3Aが回転し、次に磁石3Bが回転操作されるため、パルス信号L1とL2は所定時間、例えば時間tだけずれた位相差のあるものとなって、これらが制御手段7に出力される。
【0012】
そして、制御手段7がこれらのパルス信号L1とL2から指の移動方向と、磁石3Aと3Bの回転角度を検出して、図10(c)に示すような、駆動信号M1を機器の電子回路に出力し、機器の表示手段に表示されたメニュー上のカーソル等が、例えば右方向へ磁石3Aと3Bの回転角度分だけ移動する。
【0013】
なお、指を左方向へ動かした場合には、上記とは逆に先ず磁石3Bが回転し、次に磁石3Aが回転操作され、図7(b)に示すように、指を前後方向へ移動した場合には、磁石3Aや3Bは回転せず、前後方向に回転可能な磁石3Cと3Dが回転し、これらの下方の磁気検出素子6から、上記と同様に位相差のあるパルス信号が制御手段7に出力され、これによって表示手段のカーソルが、例えば左方向や上下方向へ移動する。
【0014】
つまり、機器の表示手段を見ながら、指で磁石3A〜3Dを左右方向や前後方向へ回転操作することによって、表示手段に表示されたカーソル等を所定方向へ移動させて、メニューの選択等を容易に行えるように構成されているものであった。
【0015】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2009−104371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上記従来の入力装置においては、指を左右方向や前後方向へ移動して磁石3A〜3Dを回転操作した、磁石3A〜3Dの回転角度分だけの駆動信号M1が制御手段7から出力され、これによってカーソル等の移動が行われるため、メニューが多くカーソルを所定方向へ大きく移動したい場合には、指を何度も所定方向へ動かして磁石3A〜3Dを回転する必要があり、操作が煩雑で手間がかかってしまうという課題があった。
【0018】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、容易で多様な操作の可能な入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために本発明は、制御手段が磁気検出素子からのパルス信号の時間差、またはパルス数に応じて、出力する駆動信号を変化させるようにして入力装置を構成したものであり、例えば指の移動が素早く行われ、これによって回転操作された複数の磁石の、磁気検出素子からのパルス信号の時間差が小さく所定値以下である場合や、両方の磁石が回転しパルス信号の数が多い間等は、制御手段が出力する駆動信号を変化させ、例えばカーソルを速く移動させる駆動信号を出力することで、指の移動する速さに応じた様々なカーソル移動が行えるため、カーソル等の操作が容易で、多様な操作が可能な入力装置を得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0020】
以上のように本発明によれば、容易で多様な操作の可能な入力装置を実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態による入力装置の断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同部分側面図
【図4】同波形図
【図5】本発明の第2の実施の形態による波形図
【図6】同他の実施の形態による平面図
【図7】入力装置の平面図
【図8】従来の入力装置の断面図
【図9】同斜視図
【図10】同波形図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図7を用いて説明する。
【0023】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0024】
(実施の形態1)
実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1記載の発明について説明する。
【0025】
図1は本発明の第1の実施の形態による入力装置の断面図、図2は同分解斜視図であり、同図において、1はABS等の絶縁樹脂製の上ケース、2はポリアセタール等の絶縁樹脂製の下ケースで、下ケース2には複数の、例えば楕円形状の四つの開口部2Aと、これに連結された半円柱状の一対の保持部2Bが形成されると共に、上ケース1には開口部2Aよりやや小さな楕円形状の四つの開口部1Aが設けられている。
【0026】
また、3A〜3Dは略楕円球状で直径2〜3mm前後のフェライトやNd−Fe−B合金等の磁石で、図3の部分側面図に示すように、磁性の異なるN極とS極が回転方向に所定の角度間隔で、例えば60度間隔で隣接して形成されると共に、中心には円柱状に突出した一対の回転軸4が設けられている。
【0027】
そして、この複数の、例えば四つの磁石3A〜3Dが、下ケース2の保持部2Bに回転軸4が挿入されて開口部2A内に、例えば磁石3Aとこれに対向した磁石3Bが左右方向に、磁石3Cと3Dが磁石3Aや3Bとは直交方向の前後方向に、各々回転可能に装着されると共に、各々の上部が上ケース1上面から突出している。
【0028】
なお、これら四つの開口部1Aや2A、磁石3A〜3Dの間隔は、一本の指で四つの磁石3A〜3Dに同時に触れることが可能なように、各々3〜5mm前後の間隔で、指の幅以下の4〜10mm前後の寸法内に形成されている。
【0029】
また、5は紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板で、上下面には銅箔等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成されると共に、磁石3A〜3D下方の配線基板5上面には、垂直方向の磁気を検出するホール素子や、水平方向の磁気を検出するGMR素子等の、四つの磁気検出素子6が、磁石3A〜3Dに対向配置するように実装装着されている。
【0030】
なお、この磁気検出素子6は、図3に示すように、垂直方向の磁気を検出する磁気検出素子6Aと、これとは直交方向の水平方向の磁気を検出する磁気検出素子6Bが、一対となって形成されている。
【0031】
さらに、11はプッシュスイッチ等のスイッチ接点、12はマイコン等の制御手段で、スイッチ接点11が四つの磁気検出素子6中央の配線基板5上面に実装装着されると共に、このスイッチ接点11や磁気検出素子6が配線パターンを介して、制御手段12に接続されている。
【0032】
また、13はポリエチレンテレフタレート等のフィルム状のカバーシートで、このカバーシート13が配線基板5上面を覆うと共に、カバーシート13下面に印刷等によって形成された凸部13Aが、スイッチ接点11から上方へ突出した押釦部11Aに当接して、入力装置が構成されている。
【0033】
そして、このように構成された入力装置が、携帯電話やパーソナルコンピュータ等の電子機器の操作部(図示せず)に、磁石3A〜3D上部を突出させて上下動可能に装着されると共に、制御手段12が配線パターンやリード線(図示せず)等を介して、機器の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0034】
以上の構成において、例えば機器の液晶表示素子等の表示手段(図示せず)に、氏名や曲名等の複数のメニューやカーソル(図示せず)等が表示された状態で、図7(a)の平面図に示すように、例えば指を右方向へ動かすと、これと直交方向の前後方向に回転可能な磁石3Cや3Dは回転しないが、左右方向に回転可能な磁石3Aが回転軸4を中心として先ず回転し、次に磁石3Bが回転する。
【0035】
そして、例えば図3に示すように、磁石3A下方の磁気検出素子6が、N極とS極が所定の角度間隔で隣接形成され、回転によってN極とS極が交互に変化する磁石3Aの磁気を検出するが、この時、垂直方向の磁気を検出する磁気検出素子6Aは、磁石3AのN極とS極の変化した数、つまり回転角度を検出する。
【0036】
また、水平方向の磁気を検出する磁気検出素子6Bは、磁石3Aの磁気の変化がN極からS極なのか、あるいはS極からN極なのかを、つまり回転方向を検出し、図4(a)の波形図に示すような、パルス信号L1が磁気検出素子6から制御手段12に出力される。
【0037】
さらに、磁石3B下方の磁気検出素子6からも、図4(b)に示すような、パルス信号L2が出力されるが、先ず磁石3Aが回転し、次に磁石3Bが回転操作されるため、パルス信号L1とL2は所定時間、例えば時間tだけずれた位相差のあるものとなって、これらが制御手段12に出力される。
【0038】
そして、制御手段12がこれらのパルス信号L1とL2から指の移動方向と、磁石3Aと3Bの回転角度を検出して、図4(c)に示すような、駆動信号M1を機器の電子回路に出力し、機器の表示手段に表示されたメニュー上のカーソル等が、例えば右方向へ磁石3Aと3Bの回転角度分だけ移動する。
【0039】
なお、この時、例えば指の移動が素早く行われ、磁石3Aと3B下方の磁気検出素子6からのパルス信号の時間差が小さく、時間tが所定値以下である場合には、制御手段12がこれを判別し、図4(d)に示すような、磁石3Aと3B両方が回転された時間Tの間の波形が異なる、例えばカーソルを速く移動させるための駆動信号M2を機器の電子回路に出力する。
【0040】
つまり、先ず磁石3Aが回転操作された時には、制御手段12から駆動信号M1と同じ信号が出力されるが、この後、指が磁石3Aと3Bの両方に当接し、磁石3Aと3Bの両方が回転している間は駆動信号M2が出力されて、カーソルが例えば通常の2倍あるいは3倍の速さで右方向へ移動し、最後に指が磁石3Aから離れ磁石3Bのみを回転操作している状態では、駆動信号M1と同じ信号が出力され、カーソルが通常の速さで右方向へ移動する。
【0041】
すなわち、通常の速さで指を右方向へ移動し、制御手段12から駆動信号M1が出力された場合に比べ、指を速く移動し位相差の時間tが所定値以下で、駆動信号M2が出力された場合には、カーソルが例えば通常の2倍あるいは3倍の速さで右方向へ移動するようになっている。
【0042】
したがって、メニューが多くカーソルを右方向へ大きく移動したい場合にも、指を何度も左右方向へ往復移動して、磁石3Aと3Bを何度も回転する必要はなく、指を素早く1回移動し、磁石3Aと3Bを速く回転させるだけで、カーソルを大きく移動することができる。
【0043】
なお、指を左方向へ動かした場合には、上記とは逆に先ず磁石3Bが回転し、次に磁石3Aが回転操作され、図7(b)に示すように、指を前後方向へ移動した場合には、磁石3Aや3Bは回転せず、前後方向に回転可能な磁石3Cと3Dが回転し、これらの下方の磁気検出素子6から、上記と同様に位相差のあるパルス信号が制御手段12に出力され、これによって表示手段のカーソルが、例えば左方向や上下方向へ移動する。
【0044】
また、このように指を左方向あるいは前後方向へ移動した場合にも、指が速く動かされ、対向する二つの磁気検出素子6からのパルス信号の位相差の時間tが所定値以下である場合には、制御手段12から駆動信号M2が出力され、カーソルが速く大きく、メニュー上を左方向あるいは前後方向へ移動するようになっている。
【0045】
つまり、機器の表示手段を見ながら、指で磁石3A〜3Dを左右方向や前後方向へ回転操作することによって、表示手段に表示されたカーソル等を所定方向へ移動させて、メニューの選択等を行えると共に、磁気検出素子6からのパルス信号の位相差が所定値以下となるように、指を速く所定方向へ移動した場合には、カーソルが速く移動して、メニューの選択等を素早く短い時間で行えるように構成されている。
【0046】
また、このようにカーソルが所望のメニュー上に位置した状態で、磁石3A〜3Dに同時に指を当てて押圧操作すると、上ケース1と下ケース2が下方へ移動してカバーシート13が撓み、この下面の凸部13Aが押釦部11Aを押圧して、スイッチ接点11の電気的接離が行われ、これを制御手段12が検出して、例えば、メニューの確定や次メニューの表示等が行われる。
【0047】
なお、磁石3A〜3Dへの押圧力を解除すると、スイッチ接点11の弾性復帰力によって押釦部11Aが凸部13Aを押圧し、上ケース1と下ケース2が上方へ移動して、元の状態に復帰する。
【0048】
つまり、機器の表示手段を見ながら、上記のように、指の移動する速さに応じてカーソルを移動して、メニューの選択等を行うと共に、磁石3A〜3Dを押圧操作することによって、メニューの確定や次メニューの表示等を容易に行えるように構成されている。
【0049】
このように本実施の形態によれば、制御手段12が磁気検出素子6からのパルス信号の時間差に応じて、出力する駆動信号を変化させ、例えば指が通常の速さで移動し、位相差の時間tが大きな場合には駆動信号M1を、指が素早く移動し、時間差が小さな場合には駆動信号M2を出力することによって、指の移動する速さに応じた様々なカーソル移動が行えるため、カーソル等の操作が容易で、多様な操作が可能な入力装置を得ることができるものである。
【0050】
(実施の形態2)
実施の形態2を用いて、本発明の他の実施の形態について説明する。
【0051】
なお、入力装置の構成については、図1〜図3で示した実施の形態1の場合と同一であるため、説明を省略する。
【0052】
図1〜図3に示す構成において、例えば機器の液晶表示素子等の表示手段(図示せず)に、氏名や曲名等の複数のメニューやカーソル(図示せず)等が表示された状態で、図7(a)の平面図に示すように、例えば指を右方向へ動かすと、磁石3Aが先ず回転し、次に磁石3Bが回転する。
【0053】
そして、実施の形態1の場合と同様に、この磁石3Aの磁気を下方の磁気検出素子6が検出し、磁石3Aの回転方向と、図5(a)の波形図に示すような、回転角度分のパルス信号L1を制御手段12に出力する。
【0054】
また、磁石3B下方の磁気検出素子6から、図5(b)に示すような、パルス信号L1とは所定時間ずれた、位相差のあるパルス信号L2が制御手段12に出力されることも、実施の形態1の場合と同様である。
【0055】
さらに、これらのパルス信号L1とL2から制御手段12が指の移動方向と、磁石3Aと3Bの回転角度を検出するが、この時、制御手段12がパルス信号L1とL2のパルス数をカウントし、図5(c)に示すような、磁石3Aと3B両方が回転された時間Tの、パルス数が多い間は波形が大きな、例えばカーソルを速く移動させるための駆動信号M3を機器の電子回路に出力する。
【0056】
つまり、先ず磁石3Aが回転操作された時には、制御手段12から通常の駆動信号が出力されるが、この後、指が磁石3Aと3Bの両方に当接し、磁石3Aと3Bの両方が回転している間は駆動信号M3が出力されて、カーソルが例えば通常の2倍の速さで右方向へ移動し、最後に指が磁石3Aから離れ磁石3Bのみを回転操作している状態では、再び通常の駆動信号が出力され、カーソルが通常の速さで右方向へ移動する。
【0057】
すなわち、本実施の形態においては、磁石3Aと3Bの両方が回転され、制御手段12がカウントするパルス数が多い間は、カーソルが例えば通常の2倍の速さで右方向へ移動するため、指を何度も左右方向へ往復移動して、磁石3Aと3Bを何度も回転する必要はなく、指を1回移動するだけで、カーソルを大きく移動することができるようになっている。
【0058】
また、この時、例えば指の移動が素早く行われ、磁石3Aと3Bの両方が回転している間にカウントするパルス数が所定数以上である場合には、図5(d)に示すような、磁石3Bのみが回転している間もカーソルを速く、例えば通常の2倍の速さで移動させる駆動信号M4が制御手段12から出力される。
【0059】
つまり、通常の速さで指を右方向へ1回移動した場合でも、磁石3Aと3Bの両方が回転している間は、カーソルが例えば通常の2倍の速さで移動し、さらに指を速く移動した場合には、磁石3Bのみが回転している間も、カーソルが例えば通常の2倍の速さで移動するように構成されている。
【0060】
そして、指を上記とは逆の左方向や、図7(b)に示すように前後方向へ動かした場合にも、対向する二つの磁石の両方が回転している間は、同様にカーソルが例えば通常の2倍の速さで移動し、指を速く移動した場合には、後で操作された磁石のみが回転している間も、カーソルが例えば通常の2倍の速さで、メニュー上を左方向あるいは前後方向へ速く大きく移動する。
【0061】
さらに、このようにカーソルが所望のメニュー上に位置した状態で、磁石3A〜3Dに同時に指を当てて押圧操作すると、スイッチ接点11の電気的接離が行われ、これを制御手段12が検出して、例えば、メニューの確定や次メニューの表示等が行われることは、実施の形態1の場合と同様である。
【0062】
なお、以上の説明では、垂直方向の磁気を検出する磁気検出素子6Aと、水平方向の磁気を検出する磁気検出素子6Bが一対となった磁気検出素子6を、磁石3A等の下方に配置した構成について説明したが、同じ方向の磁気を検出する磁気素子が、所定の間隔で並列に配置された磁気検出素子を用い、これらの磁気素子の位置の違いによる時間のずれから、磁石3A等の回転方向と回転角度の検出を行う構成としても、本発明の実施は可能である。
【0063】
また、以上の説明では、上ケース1と下ケース2内に磁石3Aと3Bを左右方向に、磁石3Cと3Dを前後方向に、各々直交する方向に回転可能に装着した構成について説明したが、図6(a)の平面図に示すように、磁石3Aを左右方向に、磁石3Bを前後方向に各々回転可能に装着し、磁石3Cや3Dはこれらに対し傾いた、例えば45度前後傾いた斜め方向に、各々回転可能に装着した構成としてもよい。
【0064】
さらに、操作する方向が少ない場合には、四つの磁石3A〜3Dではなく、図6(b)に示すように、二つの磁石3Aと3Bを同じ方向に回転可能に装着したものや、図6(c)に示すように、これらを直交する方向に回転可能に装着したものとしてもよく、あるいは八つの磁石を様々な方向に回転可能に装着して、様々な操作方向を検出する構成としても、本発明の実施は可能である。
【0065】
また、N極とS極が所定の角度間隔で、例えば60度間隔で三つずつ隣接して形成された磁石3A等を用いた構成について説明したが、やや検出精度は劣るが、N極とS極が180度間隔で一つずつ形成されたものや、あるいは45度間隔で四つずつ形成されたものを用いて、検出精度をより高めた構成としてもよい。
【0066】
さらに、磁石3Aの形状も上述した略楕円球状のほか、略円柱状や略球状等、ある程度の円みを有し回転操作の行い易いものであれば、様々な形状において本発明の実施は可能である。
【0067】
そして、上述したように、磁石3A〜3Dを各々3〜5mm前後の間隔で、上ケース1や下ケース2に装着することによって、二つの磁石が同時に回転して、位相差のないパルス信号が出力されることを防ぐと共に、一方の磁石のみが回転して、出力されるパルス信号が一つになってしまうことを防ぎ、確実な回転方向と回転角度の検出を行えるようになっている。
【0068】
このように本実施の形態によれば、制御手段12が磁気検出素子6からのパルス信号のパルス数に応じて、出力する駆動信号を変化させ、例えば対向する二つの磁石の両方が回転している間は駆動信号M3を、あるいは指を速く移動した場合には駆動信号M4を出力することによって、指の移動する速さに応じた様々なカーソル移動が行えるため、カーソル等の操作が容易で、多様な操作が可能な入力装置を得ることができるものである。
【0069】
なお、以上の説明では、配線基板5上面にプッシュスイッチを実装して、スイッチ接点11を形成した構成について説明したが、配線基板5上面にカーボン等によって複数の固定接点を設け、この上に略ドーム状で導電金属薄板製の可動接点を載置したものや、あるいは、固定接点上方に下面に可動接点が形成されたゴム等の押釦を対向させたもの等、様々なスイッチ接点を用いた構成としても、本発明の実施は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明による入力装置は、容易で多様な操作の可能なものを実現することができるという有利な効果を有し、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【0071】
1 上ケース
1A、2A 開口部
2 下ケース
2B 保持部
3A、3B、3C、3D 磁石
4 回転軸
5 配線基板
6、6A、6B 磁気検出素子
11 スイッチ接点
11A 押釦部
12 制御手段
13 カバーシート
13A 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N極とS極が所定の角度間隔で形成された略円柱状または略球状の複数の磁石と、この複数の磁石が回転可能に装着されたケースと、上記磁石に所定の間隙を空けて対向配置された複数の磁気検出素子と、この複数の磁気検出素子からのパルス信号に応じて駆動信号を出力する制御手段からなり、上記制御手段が上記磁気検出素子からのパルス信号の時間差、またはパルス数に応じて出力する駆動信号を変化させる入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−210078(P2011−210078A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78350(P2010−78350)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】