説明

入力装置

【課題】 携帯性および収納性が良く、且つ十分な操作ストロークを確保して入力操作性を向上させることができる入力装置を提供する。
【解決手段】 互いに重なり合う複数の展開部3が要4の部分を中心にそれぞれ回転しながら扇状に折り畳み可能に展開し、この展開した複数の展開部3の各境界部分が山部5と谷部6とに交互に折り曲げられた入力本体部1と、この入力本体部1における各山部5に対応する箇所にそれぞれ設けられ、且つ各山部5に対応する箇所がそれぞれ押されて弾性変形した際にそれぞれ導通する複数の接点部2と、を備えている。従って、複数の展開部3を折り畳んで互いに重ね合わせることにより、コンパクトに携帯することができると共に、コンパクトに収納することができる。また、複数の展開部3を扇状に展開して入力操作する際に、複数の展開部3の各境界部分に位置する各山部6をそれぞれ潰れるように弾性変形させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子楽器や情報端末機(PDA:パーソナル・デジタル・アシスタント)などの電子機器に用いられる入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子楽器などの電子機器においては、特許文献1に記載されているように、入力装置として、巻回可能なフレキシブルなシートに複数の白鍵部および複数の黒鍵部を表示させ、この複数の白鍵部および複数の黒鍵部にその押圧を検出する検出部を設け、この検出部で検出した検出信号を出力するように構成されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−175077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の電子機器の入力装置では、全体がフレキシブルなシート状に形成されているので、例えば筒状の本体ケース内に巻き込んでコンパクトに携帯することができても、本体ケース内から引き出して使用する際に、複数の白鍵部および複数の黒鍵部にそれぞれ対応する箇所を押圧操作しても、その押圧操作に伴う操作ストロークがほとんど得られないため、入力操作時のタッチ感が悪く、入力操作性が悪いという問題がある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、携帯性および収納性が良く、且つ十分な操作ストロークを確保して入力操作性を向上させることができる入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、互いに重なり合う複数の展開部が要の部分を中心にそれぞれ回転しながら扇状に折り畳み可能に展開し、この展開した前記複数の展開部の各境界部分が山部と谷部とに交互に折り曲げられた入力本体部と、この入力本体部における前記各山部と前記各谷部とのいずれか一方に対応する箇所にそれぞれ設けられ、且つ前記各山部と前記各谷部との前記一方に対応する箇所がそれぞれ押されて弾性変形した際にそれぞれ導通する複数の接点部と、を備えていることを特徴とする入力装置である。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、複数の展開部を折り畳んで互いに重ね合わせることがきるので、コンパクトに携帯することができると共に、コンパクトに収納することができる。また、複数の展開部を扇状に展開して入力操作する際に、複数の展開部における各山部と各谷部との一方を押圧操作に応じてそれぞれ潰れるように弾性変形させることができる。このため、入力操作時に各山部と各谷部との潰れるような弾性変形によって十分な操作ストロークを確保することができ、これにより入力操作時のタッチ感を向上させることができるので、入力操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明を適用した入力装置の実施形態1を示し、(a)はその入力本体部を扇状に展開した状態を示した正面図、(b)はその側面図である。
【図2】図1(a)に示された入力装置のA−A矢視における要部の拡大断面図である。
【図3】図2に示された入力本体部における山部を指で上方から押した状態を示した要部の拡大断面図である。
【図4】図1(a)に示された入力本体部における接点部のスペーサ層を示した正面図である。
【図5】図1(a)に示された入力本体部における接点部の第1導電層を下側から見て示した底面図である。
【図6】図1(a)に示された入力本体部における接点部の第2導電層を示した正面図である。
【図7】図1(a)に示された入力装置のB−B矢視における要部の拡大断面図である。
【図8】図7に示された入力装置の要部を分解して示した拡大斜視図である。
【図9】図1(a)に示された入力装置の各接点部に対応する箇所に文字キーを兼ねる数字キーを表示した第1使用例を示した正面図である。
【図10】図1(a)に示された入力装置の各接点部に対応する箇所に鍵盤楽器の鍵盤部を表示した第2使用例を示した正面図である。
【図11】図1に示された実施形態1の入力装置の変形例を示し、(a)はその入力本体部を扇状に展開した状態を示した正面図、(b)はその側面図である。
【図12】この発明を適用した入力装置の実施形態2を示し、(a)はその入力本体部を扇状に展開した状態を示した正面図、(b)はその側面図である。
【図13】図12(a)に示された入力装置のC−C矢視における要部の拡大断面図である。
【図14】図13に示された入力本体部における谷部を指で上方から押した状態を示した要部の拡大断面図である。
【図15】図12(a)に示された入力本体部における接点部のスペーサ層を示した正面図である。
【図16】図12(a)に示された入力本体部における接点部の第1導電層を下側から見て示した底面図である。
【図17】図12(a)に示された入力本体部における接点部の第2導電層を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態1)
以下、図1〜図10を参照して、この発明を適用した入力装置の実施形態1について説明する。
この入力装置は、図1(a)および図1(b)に示すように、扇状に展開する入力本体部1と、この入力本体部1に設けられた複数の接点部2とを備えている。
【0010】
入力本体部1は、図1(a)に示すように、互いに重なり合う複数の展開部3が要4の部分を中心にそれぞれ回転しながら扇状に折り畳み可能に展開するように構成されている。この場合、入力本体部1は、複数の展開部3が要4の部分を中心にそれぞれ回転しながら扇状に展開した際に、図1(b)に示すように、複数の展開部3の各境界部分が山部5と谷部6とに交互に折れ曲がった状態で展開するように構成されている。
【0011】
複数の展開部3は、図2に示すように、ポリウレタン系樹脂などの屈曲可能な軟質の合成樹脂からなる表材7と、ポリウレタン系樹脂などの屈曲可能な軟質の合成樹脂からなり、且つ表材7よりも剛性が高く形成された裏材8とを備え、この表材7と裏材8とが表裏(図2では上下)に対向して重なり合い、この状態で複数の展開部3の展開方向に沿って扇状に連続して形成された構成になっている。
【0012】
この場合、複数の展開部3は、図1(a)に示すように、要4の部分と反対側に位置する一端部側(同図では右端部側)における展開方向(同図では上下方向)の長さ(幅)が、要4側に位置する他端部側(同図では左端部側)における展開方向の長さ(幅)よりも徐々に長くなる細長い三角形状にそれぞれ形成されている。
【0013】
また、この複数の展開部3が展開した際に、その展開方向における両端部に位置する各展開部3には、図1(a)および図1(b)に示すように、補強部材9、10がそれぞれ設けられている。この補強部材9、10は、それぞれABS樹脂などの硬質の合成樹脂からなり、要4の部分が円形状に形成され、これ以外は展開部3とほぼ同じ形状に形成されている。
【0014】
この場合、補強部材9、10のうち、一方の補強部材9は、図1(a)および図1(b)に示すように、複数の展開部3の展開方向における一端部(図1(b)では下端部)に位置する展開部3の表材7の上面に超音波溶着などによって固着されている。また、他方の補強部材10は、複数の展開部3の展開方向における他端部(図1(b)では上端部)に位置する展開部3の裏材8の下面に超音波溶着などによって固着されている。
【0015】
また、補強部材9、10の各円形状の要4の部分は、図1(a)に示すように、複数の展開部3が展開した状態、および複数の展開部3が折り畳まれて互いに重なり合った状態においても、表裏(図1(a)では紙面の表裏面)に対向し、その間に複数の展開部3の各端部を重ね合わせた状態で挟み付け、この状態で要4の部分の中心に設けられた連結軸4aによって互いに回転可能に連結されている。
【0016】
一方、複数の接点部2は、図1および図2に示すように、入力本体部1における各山部5に対応する箇所にそれぞれ設けられている。すなわち、この複数の接点部2は、複数の展開部3の表材7と裏材8との間にそれぞれ設けられ、入力本体部1の各山部5に対応する箇所が上方から押されて弾性変形する際に、各山部5が完全に潰れて平坦な状態になる前に、それぞれ導通するように構成されている。
【0017】
この場合、接点部2は、図2〜図4に示すように、表材7の裏面(図2では下面であり、以下では内面と言う)に設けられた第1導電層11と、裏材8の表面(図2では上面であり、以下では内面と言う)に設けられて第1導電層11に対向する第2導電層12と、第1、第2の各導電層11、12間に設けられたスペーサ層13とを備えている。
【0018】
第1、第2の各導電層11、12は、カーボン、アルミニウム、銅などの導電材料からなる導電薄膜である。スペーサ層13は、ポリエチレン系樹脂などの絶縁性を有する材料からなる絶縁フィルムであり、図4に示すように、複数の展開部3の各山部5に対応する箇所にそれぞれ開口部13aが設けられた構成になっている。
【0019】
この場合、スペーサ層13は、図2に示すように、表材7と裏材8との両方に第2導電層12を介して超音波溶着などによって固着されている。また、このスペーサ層13は、その開口部13aに対応する箇所の表材7に荷重が加わらないときに、第1導電層11と第2導電層12とが接触しない程度の厚みに形成されている。
【0020】
第1導電層11は、図2および図5に示すように、スペーサ層13の各開口部13aにそれぞれ対応する箇所に位置する表材7の内面のみに設けられている。この複数の第1導電層11には、図5に示すように、表材7の内面にパターン形成された複数の配線パターン11aの各一端部がそれぞれ接続されている。
【0021】
この複数の配線パターン11aの各他端部は、図5および図7に示すように、複数の展開部3の展開方向における一端部(図5では下端部)に位置する表材7の外面(図7では上面)に形成された複数の接続端子14にそれぞれスルーホール14aを介して電気的に接続されている。
【0022】
この複数の接続端子14は、図5に示すように、展開部3の展開方向と直交する方向である展開部3の長手方向に沿って配列された状態で、表材7の外面である上面にパターン形成されている。複数のスルーホール14aは、図7に示すように、それぞれ表材7にその上下に貫通して形成され、表材7の内面(図7では下面)に設けられた複数の配線パターン11aと表材7の外面である上面に設けられた複数の接続端子14とを、それぞれ電気的に接続するように構成されている。
【0023】
また、第2導電層12は、図6に示すように、スペーサ層13の複数の開口部13aを含むスペーサ層13のほぼ全域に対応する裏材8の内面に設けられている。この第2導電層12には、裏材8の内面にパターン形成された1本の配線パターン12aの一端部が電気的に接続されている。
【0024】
この配線パターン12aの他端部は、図6〜図8に示すように、複数の展開部3の展開方向における一端部(図6では下端部)に位置する表材7の外面である上面に形成された接続端子15にスルーホール15aを介して接続されている。この場合、スルーホール15aは、スペーサ層13および表材7を貫通して設けられ、これにより裏材8の配線パターン12aと接続端子15とを電気的に接続するように構成されている。
【0025】
また、第1、第2の各導電層11、12の各接続端子14、15は、図7および図8に示すように、インターコネクタ16を介して補強部材9内の回路基板17と電気的に接続されている。この場合、補強部材9には、図8に示すように、その下部に開放された収納凹部9aが設けられており、この収納凹部9a内には、回路基板17が配置されている。この回路基板17の下面には、複数の電極端子17aが設けられていると共に、インターフェイス用の電子回路を構成するためのチップ部品17bが設けられている。
【0026】
インターコネクタ16は、図7および図8に示すように、導電ゴム16aと絶縁ゴム16bとを交互に配列したゼブラタイプのものであり、第1、第2の各導電層11、12の各接続端子14、15と回路基板17の複数の電極端子17aとの間に介在され、その両方を電気的に接続するように構成されている。なお、回路基板17には、接続ケーブル(図示せず)が接続されている。この接続ケーブルは、入力本体部1の要4の部分から引き出されて、外部機器(図示せず)と回路基板17とを電気的に接続するように構成されている。
【0027】
ところで、複数の接点部2は、入力本体部1の各山部5に対応する箇所が上方から押されて弾性変形する際に、各山部5が完全に潰れて平坦な状態になる前に導通する必要があるため、表材7、裏材8、および各接点部2が、以下のように構成されていることが望ましい。すなわち、表材7は、ポリウレタン系樹脂で、厚みが約0.2mmで、曲げ剛性が約650kgf/cmである。裏材8は、ポリウレタン系樹脂で、厚みが約0.8mmで、曲げ剛性が約850kgf/cmである。
【0028】
また、接点部2の第1導電層11は、カーボンペーストで、厚みが約0.05mmで、曲げ剛性が約15kgf/cmである。スペーサ層13は、ポリウレタン系樹脂で、厚みが約0.3mmで、曲げ剛性が約650kgf/cmである。第2導電層12は、カーボンペーストで、厚みが約0.05mmで、曲げ剛性が約15kgf/cmである。この結果、複数の展開部3は、それぞれ全体の厚みが約1.4mmに形成されている。
【0029】
これにより、複数の接点部2に対応する箇所の各山部5は、その表材7の厚みが約0.2mmで、その曲げ剛性が約650kgf/cmであり、裏材8の厚みが約0.8mmで、その曲げ剛性が約850kgf/cmであることにより、入力本体部1の各山部5に対応する箇所が上方から押された際に、表材7が裏材8よりも容易に弾性変形し、これにより山部5が完全に潰れて平坦な状態になる前に、第1導電層11がスペーサー層13の開口部13aを通して第2導電層12に接触して導通するように構成されている。
【0030】
次に、この入力装置の作用について説明する。
入力本体部1の複数の展開部3を扇状に展開する場合には、表裏に位置する補強部材9、10を左右方向(図1(a)では上下方向)にずらしながら、要4の部分の連結軸4aを中心に複数の展開部3をそれぞれ回転させて扇状に展開する。すると、図1(a)および図1(b)に示すように、展開した複数の展開部3の各境界部分が山部5と谷部6とに交互に折り曲げられた状態で、複数の展開部3が扇状に展開される。
【0031】
そして、この扇状に展開された入力本体部1を卓上などの載置面上に配置し、この状態で各山部5のいずれかを上方から指で押すと、図3に示すように、押された箇所の山部5が潰れように弾性変形して、接点部2が導通する。すなわち、押された箇所の山部5の両側に位置する各谷部6の間隔が広がりながら、押された箇所の山部5が押し下げられるように弾性変形し、この弾性変形した山部5が完全に潰れて平坦な状態になる前に、山部5に対応する接点部2の第1導電層11と第2導電層12とがスペーサ層13の開口部13aを通して接触することにより、この接点部2が導通する。
【0032】
この場合、接点部2における裏材8は、その剛性がこれに対向する表材7の剛性よりも高く形成されていることにより、押された箇所の山部5が弾性変形した際に、その弾性変形した山部5が完全に潰れて平坦な状態になる前に、表材7が裏材8よりも大きく弾性変形する。このため、第1導電層11と第2導電層12とがスペーサ層13の開口部13aを通して接触する。
【0033】
すなわち、接点部2に対応する箇所の展開部3は、その表材7の厚みが約0.2mmで、その曲げ剛性が約650kgf/cmであり、これに対向する裏材8の厚みが約0.8mmで、その曲げ剛性が約850kgf/cmであるから、裏材8の剛性がこれに対向する表材7の剛性よりも高く形成されており、これにより山部5に対応する箇所が上方から押された際に、表材7が裏材8よりも弾性変形し易い。
【0034】
このため、入力本体部1の山部5に対応する箇所が上方から押された際に、この押された箇所の山部5の両側に位置する谷部6の間隔が広がりながら、山部5が押し下げられるように弾性変形しても、表材7が裏材8よりも容易に弾性変形するため、山部5が完全に潰れて平坦な状態になる前に、この山部5に対応する箇所の接点部2におけるスペーサ層13の開口部13aを通して第1導電層11と第2導電層12とを接触させて、その接点部2を導通させることができる。
【0035】
このときには、複数の接点部2がそれぞれ各配線パターン11a、12aによって複数の接続端子14、15にそれぞれ接続され、この接続端子14、15がインターコネクタ16によって回路基板17の各電極端子17aにそれぞれ接続されていることにより、接点部2から導通信号である電気信号をスイッチ信号として回路基板17に与え、このスイッチ信号としての電気信号を、回路基板17に接続された接続ケーブル(図示せず)を介して、外部機器(図示せず)に入力情報として与えることができる。
【0036】
この場合、例えば、図9に示すように、入力本体部1の各山部5に対応する表面に、スイッチ機能を表すための文字キーを兼ねる数字キー(0、1、2・・・9)を印刷などによって表示し、接続ケーブル(図示せず)によって例えばパーソナル・コンピュータ、携帯情報端末機、携帯電話機などの外部機器に接続すれば、入力本体部1の各接点部2から出力された電気信号を入力情報として外部機器に与えて所定の情報処理を行うことができるほか、必ずしも接続ケーブルを用いて外部機器に接続する必要はなく、例えばテレビのリモコンとしても使用することができる。
【0037】
また、例えば、図10に示すように、入力本体部1の各山部5に対応する表面に、スイッチ機能を表すための鍵盤楽器の鍵盤、つまり白鍵および黒鍵を印刷などによって表示し、接続ケーブル(図示せず)によって例えば電子鍵盤楽器の楽器本体やスピーカのアンプなどの外部機器に接続すれば、入力された情報を外部機器に与えて所定の楽音を放音させることができる。
【0038】
ところで、この入力装置を使用しない場合には、入力本体部1の複数の展開部3を扇のように折り畳んでコンパクトに携帯することができると共に、コンパクトに収納することができる。このときには、表裏に位置する補強部材9、10を互いに接近する方向にずらしながら、要4の部分の連結軸4aを中心に複数の展開部3をそれぞれ回転させて互いに重なり合うように折り畳む。すると、複数の展開部3が互いに重なり合った状態で、表裏の補強部9、10間に扇のように配置することができる。これにより、入力本体1をコンパクトに折り畳んで携帯することができると共に、コンパクトに収納することができる。
【0039】
このように、この実施形態1の入力装置によれば、互いに重なり合う複数の展開部3が要4の部分を中心にそれぞれ回転しながら扇状に折り畳み可能に展開し、この展開した複数の展開部3の各境界部分が山部5と谷部6とに交互に折り曲げられた入力本体部1と、この入力本体部1における各山部5に対応する箇所にそれぞれ設けられ、且つ各山部5に対応する箇所がそれぞれ押されて弾性変形した際にそれぞれ導通する複数の接点部2と、を備えていることにより、携帯性および収納性が良く、入力操作時における操作ストロークを確保して入力操作性を向上させることができる。
【0040】
すなわち、この入力装置では、複数の展開部3を折り畳んで互いに重ね合わせることがきるので、コンパクトに折り畳んで携帯することができる共に、コンパクトに収納することができる。また、複数の展開部3を扇状に展開して入力操作する際には、複数の展開部3の各境界部分が山部5と谷部6とに交互に折り曲げられているので、この折り曲げられた各山部6を押圧操作に応じてそれぞれ潰れるように弾性変形させることができる。このため、入力操作時に山部5の潰れるような弾性変形によって十分な操作ストロークを確保することができ、これにより入力操作性を向上させることができる。
【0041】
この場合、複数の展開部3を展開した際における各山部5の折り曲げ角度、つまり頂角を小さくすると、山部5の頂点が高くなるので、より一層、操作ストロークを長くすることができる。このため、複数の展開部3を展開した際における各山部5の折り曲げ角度を調整することにより、使用者が所望する操作ストロークを簡単に且つ容易に得ることができる。
【0042】
また、複数の接点部2は、入力本体部1の各山部5に対応する箇所が押されて潰れるように弾性変形する際に、各山部5が平坦な状態になる前に、それぞれ導通する構成であることにより、入力本体部1の各山部5に対応する箇所が押されて潰れるように弾性変形する際に、その弾性変形の途中において接点部2を確実に導通させることができ、これによりスイッチ信号としての電気信号を良好に出力することができる。
【0043】
また、入力本体部1の複数の展開部3は、屈曲可能な軟質材料からなる表材7と、屈曲可能な軟質材料からなり且つ表材7よりも剛性が高く形成された裏材8とを備え、これら表材7と裏材8とが重なり合う状態で展開方向に連続して形成されており、複数の接点部2は、表材7と裏材8との間にそれぞれ設けられていることにより、構造が簡単で、入力本体部1の薄型化を図ることができ、これにより装置全体をコンパクトに構成することができる。
【0044】
この場合、裏材8は表材7よりも剛性が高く形成されていることにより、入力本体部1の山部5に対応する箇所が上方から押された際に、この押された箇所の山部5の両側に位置する各谷部6の間隔が広がりながら、山部5が押し下がられるように弾性変形しても、表材7を裏材8よりも容易に弾性変形させることができ、これにより山部5が完全に潰れて平坦な状態になる前に、接点部2を確実に導通させることができる。
【0045】
また、接点部2は、表材7の内面である裏面に設けられた第1導電層11と、裏材8の内面である表面に設けられて第1導電層11に対向する第2導電層12と、第1、第2の各導電層11、12間に設けられて山部5に対応する箇所に開口部13aを有するスペーサ層13とを備えていることにより、接点部2の厚みを薄く形成することができ、これにより入力本体部1全体の厚みを薄く形成することができるので、入力本体部1をコンパクトに折り畳むことができるほか、複数の展開部3の展開操作および折り畳み操作を容易に行うことができる。
【0046】
この場合、複数の展開部3が展開した状態で、その展開方向における両端部に位置する展開部3に補強部材9、10がそれぞれ設けられていることにより、複数の展開部3の厚みをそれぞれ薄く形成しても、複数の展開部3を折り畳んで重ね合わせた際に、補強部材9、10によって複数の展開部3を確実に且つ良好に保護することができると共に、補強部材9、10によって複数の展開部3における展開操作および折り畳み操作を向上させることができ、より一層、展開操作および折り畳み操作を容易に行うことができる。
【0047】
また、第1、第2の各導電層11、12のうち、第1導電層11はスペーサ層13の開口部13aに対応する箇所のみに設けられており、第2導電層12は複数の開口部13aを含むスペーサ層13のほぼ全域に対応する箇所に設けられていることにより、入力本体部1の各山部5に対応する箇所が押されて潰れるように弾性変形する際に、スペーサ層13の開口部13aを通して、第1導電層11と第2導電層12とを確実に且つ良好に接触させて導通させることができる。
【0048】
さらに、この入力装置では、入力本体部1の複数の展開部3が展開した際に、その展開方向における一端部に位置する展開部3に、複数の接点部2が電気的に接続される回路基板17が設けられていることにより、この回路基板17を接続ケーブルによって外部機器と電気的に接続することができ、これにより入力本体部1から出力された電気信号を入力情報として外部機器に与えることができる。
【0049】
例えば、回路基板17を接続ケーブルによってパーソナル・コンピュータ、携帯情報端末機、携帯電話機などの外部機器に接続すれば、入力された情報を外部機器に与えて所定の情報処理を行うことができ、また回路基板17を接続ケーブルによって電子鍵盤楽器の楽器本体やスピーカのアンプなどの外部機器に接続すれば、入力された情報を外部機器に与えて所定の楽音を放音させることができる。
【0050】
この場合、複数の展開部3が展開した状態でその展開方向における両端部に位置する展開部3にそれぞれ設けられた補強部材9、10のうち、一方の補強部材9に収納凹部9aが設けられ、この収納凹部9a内に回路基板17が配置されていることにより、回路基板17を補強部材9、10によって確実に且つ良好に保護して入力本体部1に搭載することができると共に、複数の接点部2の各接続端子14、15と回路基板17の電極端子17aとをインターコネクタ16によって簡単に且つ確実に電気的に接続することができる。
【0051】
なお、上述した実施形態1では、入力本体部1の各山部5に対応する箇所にそれぞれ接点部2を1つずつ設けた場合について述べたが、これに限らず、例えば図11に示すように、入力本体部1の各山部5に対応する箇所にそれぞれ複数の接点部20を山部5の稜線に沿って設けた構成であっても良い。このように構成すれば、接点部20を増設することができるので、入力機能を大幅に増大させることができる。
【0052】
(実施形態2)
次に、図12〜図17を参照して、この発明を適用した入力装置の実施形態2についていて説明する。なお、図1〜図10に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この入力装置は、図12(a)および図12(b)に示すように、入力本体部1の各山部5と各谷部6との両方に対応する箇所に接点部25をそれぞれ設けた構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0053】
この場合、入力本体部1は、実施形態1と同様、互いに重なり合う複数の展開部3が要4の部分を中心にそれぞれ回転しながら扇状に折り畳み可能に展開するように構成されている。この場合、入力本体部1は、複数の展開部3が要4の部分を中心にそれぞれ回転しながら扇状に展開した際に、図12(b)に示すように、複数の展開部3の各境界部分が山部5と谷部6とに交互に折れ曲がった状態で展開するように構成されている。
【0054】
複数の展開部3も、図13に示すように、ポリウレタン系樹脂などの屈曲可能な軟質の合成樹脂からなる表材7と、ポリウレタン系樹脂などの屈曲可能な軟質の合成樹脂からなり、且つ表材7よりも剛性が高く形成された裏材8とを備え、この表材7と裏材8とが表裏(図13では上下)に対向して重なり合い、この状態で複数の展開部3の展開方向に沿って扇状に連続して形成された構成になっている。
【0055】
また、この複数の展開部3が展開した際に、その展開方向における両端部に位置する各展開部3には、図12(a)および図12(b)に示すように、補強部材9、10がそれぞれ設けられている。この補強部材9、10も、実施形態1と同様、それぞれABS樹脂などの硬質の合成樹脂からなり、要4の部分が円形状に形成され、これ以外は展開部3とほぼ同じ形状に形成されている。
【0056】
この補強部材9、10の各円形状の要4の部分は、図12(a)に示すように、複数の展開部3が展開した状態、および複数の展開部3が折り畳まれて互いに重なり合った状態においても、表裏(図12(a)では紙面の表裏面)に対向し、その間に複数の展開部3の各端部を重ね合わせた状態で挟み付け、この状態で要4の部分の中心に設けられた連結軸4aによって互いに回転可能に連結されている。
【0057】
一方、複数の接点部25は、図12および図13に示すように、入力本体部1における各山部5と各谷部6との両方に対応する箇所にそれぞれ設けられている。この複数の接点部25は、実施形態1と同様、複数の展開部3の表材7と裏材8との間にそれぞれ設けられ、入力本体部1の各山部5と各谷部6とに対応する箇所が上方から押されて弾性変形する際に、各山部5と各谷部6とが完全に潰れて平坦な状態になる前に、それぞれ導通するように構成されている。
【0058】
この場合にも、接点部25は、図13〜図15に示すように、表材7の裏面(図13では下面であり、以下では内面と言う)に設けられた第1導電層11と、裏材8の表面(図13では上面であり、以下では内面と言う)に設けられて第1導電層11に対向する第2導電層12と、第1、第2の各導電層11、12間に設けられたスペーサ層13とを備えている。
【0059】
第1、第2の各導電層11、12は、実施形態1と同様、カーボン、アルミニウム、銅などの導電材料からなる導電薄膜である。スペーサ層13は、ポリエチレン系樹脂などの絶縁性を有する材料からなる絶縁フィルムであり、図15に示すように、複数の展開部3の各山部5と各谷部6とに対応する箇所にそれぞれ開口部13aが設けられた構成になっている。
【0060】
この場合、スペーサ層13も、実施形態1と同様、表材7と裏材8との両方に第2導電層12を介して超音波溶着などによって固着されている。また、このスペーサ層13は、その開口部13aに対応する箇所の表材7に荷重が加わらないときに、第1導電層11と第2導電層12とが接触しない程度の厚みに形成されている。
【0061】
第1導電層11は、図12および図16に示すように、スペーサ層13の各開口部13aにそれぞれ対応する箇所に位置する表材7の内面のみに設けられている。この複数の第1導電層11には、図16に示すように、表材7の内面にパターン形成された複数の配線パターン11aの各一端部がそれぞれ接続されている。この複数の配線パターン11aの各他端部は、実施形態1と同様、複数の展開部3の展開方向における一端部(図16では下端部)に位置する表材7の外面に形成された複数の接続端子14にそれぞれスルーホール14aを介して電気的に接続されている。
【0062】
また、第2導電層12は、図17に示すように、スペーサ層13の複数の開口部13aを含むスペーサ層13のほぼ全域に対応する箇所の裏材8の内面に設けられている。この第2導電層12には、裏材8の内面にパターン形成された1本の配線パターン12aの一端部が電気的に接続されている。この配線パターン12aの他端部は、実施形態1と同様、複数の展開部3の展開方向における一端部(図17では下端部)に位置する表材7の外面である上面に形成された接続端子15にスルーホール15aを介して接続されている。
【0063】
また、第1、第2の各導電層11、12の各接続端子14、15は、実施形態1と同様、インターコネクタ16を介して補強部材9内の回路基板17と電気的に接続されている。この場合にも、補強部材9には、その下部に開放された収納凹部9aが設けられており、この収納凹部9a内には、回路基板17が配置されている。この回路基板17も、接続ケーブル(図示せず)によって外部機器(図示せず)と電気的に接続されるように構成されている。
【0064】
ところで、複数の接点部25は、入力本体部1の各山部5と各谷部6とに対応する箇所が上方から押されて弾性変形する際に、各山部5と各谷部6とが完全に潰れて平坦な状態になる前に導通する必要があるために、表材7、裏材8、および各接点部2が、実施形態1と同様に構成されていることが望ましい。すなわち、表材7は、ポリウレタン系樹脂で、厚みが約0.2mmで、曲げ剛性が約650kgf/cmである。裏材8は、ポリウレタン系樹脂で、厚みが約0.8mmで、曲げ剛性が約850kgf/cmである。
【0065】
また、接点部25の第1導電層11は、実施形態1と同様、カーボンペーストで、厚みが約0.05mmで、曲げ剛性が約15kgf/cmである。スペーサ層13は、ポリウレタン系樹脂で、厚みが約0.3mmで、曲げ剛性が約650kgf/cmである。第2導電層12は、カーボンペーストで、厚みが約0.05mmで、曲げ剛性が約15kgf/cmである。この結果、複数の展開部3は、それぞれ全体の厚みが約1.4mmに形成されている。
【0066】
これにより、複数の接点部25に対応する箇所の各展開部3における各境界部分は、その表材7の厚みが約0.2mmで、その曲げ剛性が約650kgf/cmであり、裏材8の厚みが約0.8mmで、その曲げ剛性が約850kgf/cmであることにより、入力本体部1の各山部5と各谷部6とに対応する箇所が上方から押された際に、表材7が裏材8よりも容易に弾性変形し、これにより山部5と各谷部6とが完全に潰れて平坦な状態になる前に、第1導電層11がスペーサ層13の各開口部13aを通して第2導電層12に接触して導通するように構成されている。
【0067】
次に、この入力装置の作用について説明する。
入力本体部1の複数の展開部3を扇状に展開して使用する場合には、展開された入力本体部1を卓上などの載置面上に配置し、この状態で各山部5と各谷部6とのいずれかを上方から指で押す。このとき、山部5に対応する箇所が押されたときには、実施形態1と同様に、山部5が潰れるように弾性変形し、この弾性変形した山部5が完全に潰れて平坦な状態になる前に、山部5に対応する接点部2の第1導電層11と第2導電層12とがスペーサ層13の各開口部13aを通して接触することにより、接点部25が導通する。
【0068】
また、谷部6に対応する箇所が押されたときには、図14に示すように、谷部6が押し広げられながら、潰れるように弾性変形し、この弾性変形した谷部6が完全に潰れて平坦な状態になる前に、谷部6に対応する接点部25の第1導電層11と第2導電層12とがスペーサ層13の開口部13aを通して接触することにより、接点部25が導通する。
【0069】
この場合、接点部25における裏材8は、その剛性がこれに対向する表材7の剛性よりも高く形成されていることにより、押された箇所の谷部6が押し広げられながら押し下げられるように弾性変形した際に、その弾性変形した谷部6が完全に潰れて平坦な状態になる前に、表材7が裏材8よりも大きく弾性変形する。このため、第1導電層11と第2導電層12とがスペーサ層13の開口部13aを通して接触する。
【0070】
すなわち、接点部25に対応する箇所の展開部3は、その表材7の厚みが約0.2mmで、その曲げ剛性が約650kgf/cmであり、これに対向する裏材8の厚みが約0.8mmで、その曲げ剛性が約850kgf/cmであるから、裏材8の剛性がこれに対向する表材7の剛性よりも高く形成されており、これにより谷部6に対応する箇所が上方から押された際に、表材7が裏材8よりも弾性変形し易い。
【0071】
このため、入力本体部1の谷部6に対応する箇所が上方から押された際に、この押された箇所の谷部6が押し広げられながら押し下げられるように弾性変形しても、表材7が裏材8よりも容易に弾性変形するため、谷部6が完全に潰れて平坦な状態になる前に、この谷部6に対応する箇所の接点部25におけるスペーサ層13の開口部13aを通して第1導電層11と第2導電層12とを接触させて、その接点部25を導通させることができる。
【0072】
このように、入力本体部1の山部5と谷部6とに対応する箇所が上方から押されて、接点部25が導通すると、実施形態1と同様、複数の接点部25がそれぞれ各配線パターン11a、12aによって複数の接続端子14、15に接続され、この接続端子14、15がインターコネクタ16によって回路基板17の各電極端子17aに接続されていることにより、接点部25から導通信号である電気信号をスイッチ信号として回路基板17に与え、このスイッチ信号としての電気信号を、回路基板17に接続された接続ケーブル(図示せず)を介して、外部機器(図示せず)に入力情報として与えることができる。
【0073】
このように、この実施形態2の入力装置によれば、互いに重なり合う複数の展開部3が要4の部分を中心にそれぞれ回転しながら扇状に折り畳み可能に展開し、この展開した複数の展開部3の各境界部分が山部5と谷部6とに交互に折り曲げられた入力本体部1と、この入力本体部1の各山部5と各谷部6とに対応する箇所にそれぞれ設けられ、且つ各山部5と各谷部6に対応する箇所がそれぞれ押されて弾性変形した際にそれぞれ導通する複数の接点部25と、を備えていることにより、実施形態1と同様、携帯性および収納性が良く、入力操作時における操作ストロークを確保して入力操作性を向上させることができる。
【0074】
すなわち、この入力装置においても、複数の展開部3を折り畳んで互いに重ね合わせることがきるので、コンパクトに携帯することができる共に、コンパクトに収納することができる。また、複数の展開部3を扇状に展開して入力操作する際には、複数の展開部3の各境界部分に位置する各山部5と各谷部6とを押圧操作に応じてそれぞれ潰れるように弾性変形させることができる。このため、入力操作時に各山部5と各谷部6との潰れるような弾性変形によって、十分な操作ストロークを確保することができ、これにより入力操作性を向上させることができる。
【0075】
この場合にも、複数の展開部3を展開した際における各山部5と各谷部6との折り曲げ角度、つまり山部5の頂角および谷部6の開き角度を小さくすると、山部5の頂点および谷部6間に挿入して接触する指の位置が高くなるので、より一層、操作ストロークを長くすることができる。このため、複数の展開部3を展開した際における各山部5と各谷部6との折り曲げ角度を調整することにより、使用者が所望する操作ストロークを簡単に且つ容易に得ることができる。
【0076】
また、複数の接点部2は、入力本体部1の各山部5と各谷部6とに対応する箇所が押されて潰れるように弾性変形する際に、各山部5と各谷部6とが平坦な状態になる前に、それぞれ導通する構成であることにより、入力本体部1の各山部5と各谷部6とに対応する箇所が押されて潰れるように弾性変形する際に、その弾性変形の途中において接点部25を確実に導通させることができ、これによりスイッチ信号としての電気信号を良好に出力することができる。
【0077】
また、入力本体部1の複数の展開部3も、屈曲可能な軟質材料からなる表材7と、屈曲可能な軟質材料からなり且つ表材7よりも剛性が高く形成された裏材8とを備え、これら表材7と裏材8とが重なり合う状態で展開方向に連続して形成されており、複数の接点部25は、表材7と裏材8との間にそれぞれ設けられていることにより、構造が簡単で、入力本体部1の薄型化を図ることができ、これにより装置全体をコンパクトに構成することができる。
【0078】
この場合、裏材8は表材7よりも剛性が高く形成されていることにより、入力本体部1の山部5と谷部6とに対応する箇所が上方から押された際に、この押された箇所の山部5と谷部6とが潰れるように弾性変形しても、その弾性変形の途中において表材7を裏材8よりも容易に弾性変形させることができ、これにより山部5と谷部6とが完全に潰れて平坦な状態になる前に、接点部25を確実に導通させることができる。
【0079】
また、接点部25は、実施形態1と同様、表材7の内面である裏面に設けられた第1導電層11と、裏材8の内面である表面に設けられて第1導電層11に対向する第2導電層12と、第1、第2の各導電層11、12間に設けられて山部5と谷部6とにそれぞれ対応する箇所に開口部13aを有するスペーサ層13とを備えていることにより、接点部25の厚みを薄く形成することができ、これにより入力本体部1全体の厚みを薄く形成することができるので、入力本体部1をコンパクトに折り畳むことができるほか、複数の展開部3の展開操作および折り畳み操作を容易に行うことができる。
【0080】
この場合にも、複数の展開部3が展開した状態で、その展開方向における両端部に位置する展開部3に補強部材9、10がそれぞれ設けられていることにより、複数の展開部3の厚みをそれぞれ薄く形成しても、複数の展開部3を折り畳んで重ね合わせた際に、補強部材9、10によって複数の展開部3を確実に且つ良好に保護することができると共に、補強部材9、10によって複数の展開部3における展開操作および折り畳み操作を向上させることができ、より一層、展開操作および折り畳み操作を容易に行うことができる。
【0081】
また、第1、第2の各導電層11、12のうち、第1導電層11はスペーサ層13の開口部13aに対応する箇所のみに設けられており、第2導電層12は複数の開口部13aを含むスペーサ層13のほぼ全域に対応する箇所に設けられていることにより、入力本体部1の各山部5と各谷部6とに対応する箇所が押されて潰れるように弾性変形する際に、スペーサ層13の開口部13aを通して、第1導電層11と第2導電層12とを確実に且つ良好に接触させて導通させることができる。
【0082】
さらに、この入力装置においても、入力本体部1の複数の展開部3が展開した際に、その展開方向における一端部に位置する展開部3に、複数の接点部25が電気的に接続される回路基板17が設けられていることにより、この回路基板17を接続ケーブルによって外部機器と電気的に接続することができ、これにより入力本体部1から出力された電気信号を入力情報として外部機器に与えることができる。
【0083】
例えば、回路基板17を接続ケーブルによってパーソナル・コンピュータ、携帯情報端末機、携帯電話機などの外部機器に接続すれば、実施形態1と同様、入力された情報を外部機器に与えて所定の情報処理を行うことができ、また回路基板17を接続ケーブルによって電子鍵盤楽器の楽器本体やスピーカのアンプなどの外部機器に接続すれば、実施形態1と同様、入力された情報を外部機器に与えて所定の楽音を放音させることができる。
【0084】
なお、上述した実施形態2では、入力本体部1の複数の展開部3を扇状に展開して卓上などの載置面に配置する際に、各山部5を上にし、各谷部6を下にした状態で、入力本体部1を配置して入力操作する場合について述べたが、これに限らず、例えば各山部5を下にし、各谷部6を上にした状態で、入力本体部1を卓上などの載置面に配置しても良い。このように入力本体部1を表裏反転させて配置しても、各谷部6が山部になり、各山部5が谷部になるので、上述した実施形態2と同様、良好に入力操作をすることができる。
【0085】
また、上述した実施形態2においても、入力本体部1の各山部5と各谷部6に対応する箇所にそれぞれ接点部25を1つずつ設けた場合について述べたが、これに限らず、例えば図11に示した実施形態1の変形例のように、入力本体部1の各山部5と各谷部6とに対応する箇所にそれぞれ複数の接点部25を山部5の稜線および谷部6の谷底に沿って設けた構成であっても良い。このように構成すれば、接点部25をより一層、増設することができるので、入力機能を大幅に増大させることができる。
【0086】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0087】
(付記)
請求項1に記載の発明は、互いに重なり合う複数の展開部が要の部分を中心にそれぞれ回転しながら扇状に折り畳み可能に展開し、この展開した前記複数の展開部の各境界部分が山部と谷部とに交互に折り曲げられた入力本体部と、この入力本体部における前記各山部と前記各谷部とのいずれか一方に対応する箇所にそれぞれ設けられ、且つ前記各山部と前記谷部との前記一方に対応する箇所がそれぞれ押されて弾性変形した際にそれぞれ導通する複数の接点部と、を備えていることを特徴とする入力装置である。
【0088】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の入力装置において、前記複数の接点部は、前記入力本体部における前記各山部に対応する箇所にそれぞれ設けられていることを特徴とする入力装置である。
【0089】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の入力装置において、前記複数の接点部は、前記入力本体部における前記各山部と前記各谷部との両方に対応する箇所にそれぞれ設けられていることを特徴とする入力装置である。
【0090】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の入力装置において、前記複数の接点部は、前記入力本体部における前記各山部と前記各谷部との少なくとも前記一方に対応する箇所がそれぞれ押されて潰れるように弾性変形する際に、前記各山部と前記各谷部との前記一方が平坦な状態になる前にそれぞれ導通することを特徴とする入力装置である。
【0091】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の入力装置において、前記入力本体部の前記複数の展開部は、屈曲可能な軟質材料からなる表材と、屈曲可能な軟質材料からなり且つ前記表材よりも剛性が高く形成された裏材とを備え、これら表材と裏材とが重なり合う状態で前記展開方向に連続して形成されており、前記複数の接点部は、前記表材と前記裏材との間にそれぞれ設けられていることを特徴とする入力装置である。
【0092】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の入力装置において、前記接点部は、前記表材の裏面に設けられた第1導電層と、前記裏材の表面に設けられて前記第1導電層に対向する第2導電層と、前記第1、第2の各導電層間に設けられて前記山部と前記谷部との少なくとも前記一方に対応する箇所に開口部を有するスペーサ層とを備えていることを特徴とする入力装置である。
【0093】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の入力装置において、前記第1、第2の各導電層の一方は前記スペーサ層の前記開口部に対応する箇所のみに設けられており、前記第1、第2の各導電層の他方は前記開口部を含む前記スペーサ層のほぼ全域に対応する箇所に設けられていることを特徴とする入力装置である。
【0094】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の入力装置において、前記入力本体部の前記複数の展開部が展開した際に、その展開方向における一端部に位置する前記展開部には、前記複数の接点部が電気的に接続される回路基板が設けられていることを特徴とする入力装置である。
【符号の説明】
【0095】
1 入力表示部
2、20、25 接点部
3 展開部
4 要の部分
5 山部
6 谷部
7 表材
8 裏材
9、10 補強部材
11 第1導電層
11a 配線パターン
12 第2導電層
12a 配線パターン
13 スペーサ層
13a 開口部
14、15 接続端子
16 インターコネクタ
17 回路基板
17a 電極端子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに重なり合う複数の展開部が要の部分を中心にそれぞれ回転しながら扇状に折り畳み可能に展開し、この展開した前記複数の展開部の各境界部分が山部と谷部とに交互に折り曲げられた入力本体部と、
この入力本体部における前記各山部と前記各谷部とのいずれか一方に対応する箇所にそれぞれ設けられ、且つ前記各山部と前記谷部との前記一方に対応する箇所がそれぞれ押されて弾性変形した際にそれぞれ導通する複数の接点部と、
を備えていることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力装置において、前記複数の接点部は、前記入力本体部における前記各山部に対応する箇所にそれぞれ設けられていることを特徴とする入力装置。
【請求項3】
請求項1に記載の入力装置において、前記複数の接点部は、前記入力本体部における前記各山部と前記各谷部との両方に対応する箇所にそれぞれ設けられていることを特徴とする入力装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の入力装置において、前記複数の接点部は、前記入力本体部における前記各山部と前記各谷部との少なくとも前記一方に対応する箇所がそれぞれ押されて潰れるように弾性変形する際に、前記各山部と前記各谷部との前記一方が平坦な状態になる前にそれぞれ導通することを特徴とする入力装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の入力装置において、前記入力本体部の前記複数の展開部は、屈曲可能な軟質材料からなる表材と、屈曲可能な軟質材料からなり且つ前記表材よりも剛性が高く形成された裏材とを備え、これら表材と裏材とが重なり合う状態で前記展開方向に連続して形成されており、前記複数の接点部は、前記表材と前記裏材との間にそれぞれ設けられていることを特徴とする入力装置。
【請求項6】
請求項5に記載の入力装置において、前記接点部は、前記表材の裏面に設けられた第1導電層と、前記裏材の表面に設けられて前記第1導電層に対向する第2導電層と、前記第1、第2の各導電層間に設けられて前記山部と前記谷部との少なくとも前記一方に対応する箇所に開口部を有するスペーサ層とを備えていることを特徴とする入力装置。
【請求項7】
請求項6に記載の入力装置において、前記第1、第2の各導電層の一方は前記スペーサ層の前記開口部に対応する箇所のみに設けられており、前記第1、第2の各導電層の他方は前記開口部を含む前記スペーサ層のほぼ全域に対応する箇所に設けられていることを特徴とする入力装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の入力装置において、前記入力本体部の前記複数の展開部が展開した際に、その展開方向における一端部に位置する前記展開部には、前記複数の接点部が電気的に接続される回路基板が設けられていることを特徴とする入力装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−190250(P2012−190250A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53079(P2011−53079)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】