説明

入力装置

【課題】収納時に収納が容易であり、使用時に安定して操作が可能な入力装置を提供すること
【解決手段】本発明にかかる入力装置は、端末に対し情報を入力する入力装置である。入力装置の一例であるマウス10は、空気を吸排気するためのバルブ2を有し、バルブ2を通じて内部に空気が封入されることにより膨張が可能である封入体1と、封入体1に設けられ、複数のボタン3を有する板状のパネル部4と、ユーザのボタン3の操作に応じて、端末に対し情報を入力する通信部5を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコン等の持ち運びが可能なコンピュータが広く普及している。これを背景として、持ち運びが簡便なマウス等の入力装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1においては、外装部がゴム等の素材で構成されたマウスが開示されている。ユーザがマウスを使用する場合、外装部の内側に空気を入れることで、マウス全体が膨らむ。これにより、ユーザはマウスを使用することができる。ユーザがマウスを収納する場合、外装部の内側に入れた空気をポンプによって抜くことで、マウス全体が縮み、収納が容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−202559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1におけるマウスは、ボタンがゴム等の外装部に直接設けられている。そのため、ユーザがマウスの左右ボタンのどちらかをクリックしようとして押下すると、押下した力でボタンが外装部に深く沈み込み、ユーザが安定してマウスを操作できない可能性がある。例えば、ユーザがボタンをクリックするにも、深くボタンを押しこまないとクリックができないことが考えられる。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、収納時に収納が容易であり、使用時に安定して操作が可能な入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる入力装置は、空気を吸排気するためのバルブを有し、前記バルブを通じて内部に空気が封入されることにより膨張が可能である封入体と、前記封入体に設けられ、複数のボタンを有する板状のパネル部と、ユーザの前記ボタンの操作に応じて、端末に対し情報を入力する通信部を備える、端末に対して情報を入力する入力装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、収納時に収納が容易であり、使用時に安定して操作が可能な入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態1にかかるマウスの断面図である。
【図2】実施の形態2にかかるマウスの収納時の上面図である。
【図3】実施の形態2にかかるマウスの内部構造を示す第1の図である。
【図4】実施の形態2にかかるマウスの内部構造を示す第2の図である。
【図5】実施の形態2にかかるマウスの収納時の上面図である。
【図6】実施の形態2にかかるマウスの収納時の側面図である。
【図7】実施の形態2にかかるマウスの使用時の上面図である。
【図8】実施の形態2にかかるマウスの使用時の側面図である。
【図9】実施の形態2にかかるマウスの使用時の動作を示すフローチャートである。
【図10】実施の形態2にかかるマウスの収納時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1
本実施の形態にかかる入力装置には、内部に空気を封入することで膨張及び収縮が可能な封入体に、複数のボタンを有するパネル部が設けられている。ユーザは、封入体に空気を入れて封入体を膨らませることで、入力装置を操作しやすい形状にすることができる。収納時には、ユーザは封入体から空気を抜くことで、入力装置を容易に収納することができる。
【0011】
さらに、ボタンを有するパネル部は、板状の形状をしている。そのため、ユーザがボタンを押下する動作を行っても、押下した力がパネル部全体に分散される。これにより、ボタンの押下に伴うボタンの沈み込みが抑制され、ユーザは安定して入力装置の操作ができる。
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態にかかるマウスの断面図である。マウス10は、封入体1、バルブ2、ボタン3、パネル部4、通信部5を備えている。マウス10は、PC(Personal Computer)等の端末を操作するのに用いられるポインティングデバイスである。なお、図1は、封入体1が膨張した状態のマウスの断面図を示している。
【0014】
封入体1は、バルブ2により、内部に空気を封入することができる。空気を封入した状態では、封入体1は膨張した状態にある。内部の空気が排気された状態では、封入体1は収縮した状態にある。
【0015】
なお、封入体1は、例えばその全部又は一部に伸縮可能な素材が用いられる。具体的には、シリコンゴム等のゴムが、その素材として用いられる。これにより、封入体1内部に空気が封入された場合に、封入体1が膨張した状態に変化する。
【0016】
バルブ2は、空気を吸排気するためのバルブである。封入体1が収縮した状態において、バルブ2を通じて封入体1内部に空気が吸気されることで、封入体1に空気が封入される。封入体1内に空気が封入された状態でバルブ2を閉じると、封入体1外部への排気を止めることができるため、封入体1が膨張した状態が保持される。逆に、封入体1内に空気が封入された状態でバルブ2を開くと、バルブ2を通じて封入体1内部の空気が排気されるため、封入体1が収縮する。それにより、マウス10をコンパクトな形状にすることができる。
【0017】
なお、バルブ2による空気の吸気は、マウス10の外部あるいは内部にあるポンプ等により可能である。
【0018】
ボタン3はパネル部4に設けられており、ユーザが操作することによって、通信部5を介して端末に情報を入力する。ボタン3は複数設けられており、ユーザが左右のクリック、ホイール等の操作をするのに用いる。なお、ボタン3は、パネル部4と同じ部材でもよいし、異なる部材でもよい。
【0019】
パネル部4は、封入体1の前面上部に設けられた、ボタン3を有する板状の基材である。図1では、封入体1に埋め込まれているようにパネル部4が設けられているが、封入体1の上面にパネル部4が固定されていてもよい。
【0020】
パネル部4は、ユーザが操作しやすいように、マウス10の前方に設けられるのが望ましい。一般に、ユーザは、手の平でマウスの後部を把持した状態でマウスを操作するからである。
【0021】
パネル部4は、金属、プラスチック等、一定の剛性を有する素材で構成されているのが望ましい。それにより、ユーザがボタン3を押下した時にボタン3にかかる力が、よりパネル部4全体に分散されやすい。
【0022】
なお、パネル部4の表面が面一である必要はなく、凹凸があってもよい。また、パネル部4自体が湾曲していてもよい。さらに、パネル部4の厚さは均一でなくてもよい。パネル部4の形状は、マウス10の形状等に合わせて適宜変更することが可能である。
【0023】
通信部5は、ユーザのボタン3の操作に応じて、端末に情報を入力する。通信部5は、IC(Integrated Circuit)等により構成される。図1においては、ボタン3と通信部5は配線により接続されている。ただし、ボタン3と通信部5は配線によって接続されている必要はなく、無線により接続されていてもよい。
【0024】
なお、マウス10は、有線又は無線により、通信部5から端末に情報を入力する。この端末への情報入力にかかる部分は図示を省略する。
【0025】
さらに、マウス10は、ユーザの手の動きを検出する図示しない移動量検出部を、適宜有する。移動量検出には、ボール、光学式センサ等を用いる。
【0026】
以上に示したマウス10の構成から、バルブ2を通じて封入体1内部に空気を封入することにより、マウス10の形状を、扁平な形状から、ユーザの操作に適した形状(ユーザの手に馴染む形状)にすることができる。ここで、「ユーザの操作に適した形状」とは、具体的にはマウス10の中央部が膨らむことにより、ユーザが手の平でマウス10を把持しやすいような形状である。ここで、バルブ2を閉じて、封入体1外部への空気の排気を止めることにより、封入体1を所定の形状に保ち続けることができる。ユーザが使用しない場合、バルブ2を開けることで、マウス10をコンパクトな形状にすることができる。
【0027】
さらに、ボタン3を有するパネル部4は板状の構成になっているため、ユーザがボタン3を使用する場合、ボタン操作に伴う力はパネル部4に分散される。そのため、ユーザのボタン操作に伴うボタンの沈み込みが抑制され、ユーザがマウスを安定して操作できるという効果がある。
【0028】
例えば、特許文献1にかかるマウスにおいては、前述の通り、ボタンがゴム等の封入体に直接設けられている。そのため、ユーザがボタンをクリックした場合、クリックした力が狭いボタン部に掛かるため、ボタンが封入体に深く沈み込む。それにより、ユーザが安定してマウスを操作できない可能性がある。
【0029】
例えば、ユーザがボタンをクリックする場合、深くボタンを押しこまないとクリックができなくなってしまう。言いかえれば、ボタンをクリックする際のストローク量が多くなってしまうため、ボタンの感度が悪くなる。これにより、ユーザのマウスの操作に支障が出る。
【0030】
また、封入体自体の変形によって、ユーザが安定して操作できないことも考えられる。例えば、ユーザが左のボタンをクリックした場合、左のボタン部分が封入体に埋没するため、封入体全体が右方向に変形してしまう。ユーザが右のボタンをクリックした場合は、右のボタン部分が封入体に埋没するため、封入体全体が左方向に変形してしまう。このような封入体全体の変形によっても、ユーザのマウスの操作に支障が出る。
【0031】
特に、封入体が柔らかい材質である場合、ボタンをクリックすることによって封入体が深く沈みこみやすいため、以上に説明したような操作の支障が発生しやすい。
【0032】
本発明にかかるマウス10では、ボタン3のいずれかをクリックしても、クリックによる力はパネル部4全体に分散される。パネル部は、ボタンよりも面積が大きい。そのため、クリック時にボタンが封入体に埋没する深さは、特許文献1にかかるマウスと比較して
小さい。これにより、前述のような操作の支障が起こりにくいため、ユーザは使用時に安定して操作が可能である。
【0033】
なお、本実施形態にかかる入力装置は、前述で説明したマウスに限らず、その他のマウス型の入力装置に関しても応用可能である。さらに、他の入力装置、例えばキーボードにおいても、同様の構成が可能である。この場合、キーボードにおいて、キーであるボタン3はパネル部4に設けられている。このキーボードは、前述の通り、収納時には収納が容易である。さらに、ユーザがキーを操作する場合、キーの押下時の力がパネル部4全体に伝わることにより、ボタン部分の封入体への埋没が抑制される。それにより、使用時に安定した操作ができる。
【0034】
実施の形態2
本実施形態にかかるマウスは、実施の形態1と同様、収納時に収納が容易であり、使用時に安定して操作できるという効果を奏する。さらに、パネル部は、剛性を有するマウスの底部と軸によって回動可能に連結されているため、ユーザはより安定してマウスを操作できる。
【0035】
さらに、パネル部及びボタンが面一に構成されているため、収納時にマウス上面がより平らに近くなる。そのため、マウスの収納がより容易であるという効果も生じる。
【0036】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、実施の形態1と同様の説明については、適宜省略する。
【0037】
図2は、本実施の形態にかかるマウスの収納時の上面図である。マウス10は、バルブ2、ボタン3、パネル部4、スイッチ6、底部11及び外装部12を備えているほか、内部に通信部5及びマイクロポンプ7を備えている。
【0038】
底部11及び外装部12は、実施の形態1にかかる封入体1の働きをする。
【0039】
底部11は、マウス10の底部であり、プラスチック、金属等、一定以上の剛性を有する板状部材から構成される。なお、底部11は、必ずしも板状部材から構成される必要はない。
【0040】
外装部12は、底部11の上面全体を覆っており、シリコンゴム等の伸縮可能な素材で構成される。外装部12は、マウス10を使用しない収納時には、図2の通り、マウス10の上面が略面一な状態で、マウス10の上面にコンパクトに収納されている。外装部12は、内部に空気が吸気されることにより、膨張する。これにより、実施の形態1と同様に、マウス10は膨張する。外装部12内部の空気が排気されると、外装部12は収縮する。これにより、マウス10は収縮する。
【0041】
さらに、外装部12は、一部がパネル部4と連結されており、パネル部4を保持する。なお、外装部12は、マウス10の内部に水、ほこり等が入らないような素材であることが望ましい。
【0042】
バルブ2は、空気を吸排気するためのバルブであり、マウス10内部のマイクロポンプ7と接続されている。バルブ2は、マイクロポンプ7の制御に応じて、開閉する。
【0043】
ボタン3は、パネル部4に設けられた、左右のクリック及びスクロールが可能な複数のボタンである。ユーザは、ボタン3を用いて、マウス10に接続された端末を操作する。
【0044】
パネル部4は、外装部12の上面に設けられており、プラスチック、金属等の板状部材から構成される。パネル部4には、ボタン3が設けられている。また、パネル部4は外装部12と連結されている。
【0045】
さらに、パネル部4は、前部に底部11との共通軸を有する。パネル部4は、この共通軸を軸にして、底部11と回動可能に連結されている。そのため、外装部12の膨張及び収縮に応じて、パネル部4後部の立ち上がり又は立ち下がりが変化する。なお、パネル部4の共通軸は、例えば、ヒンジにより構成されている。
【0046】
パネル部4は、板状部材であるため、マウス10の収納時においては、マウス10の上面は略面一でフラットな状態である。さらに、パネル部4は、マウス10の前部に設けられている。一般に、ユーザは、マウスを手で把持し、手の指でボタン等を操作するためである。
【0047】
パネル部4は、実施の形態1と同様、図2のように表面が略面一である必要はなく、凹凸があってもよい。また、パネル部4自体が湾曲していてもよい。さらに、パネル部4の厚さは均一でなくてもよい。
【0048】
スイッチ6は、ユーザがONまたはOFFを切り替えることにより、マウス10の大きさを変えるスイッチである。ユーザがスイッチ6をONにすると、マイクロポンプ7が吸気を開始し、外装部12が、ユーザの操作に適した形状まで膨らむ。これにより、ユーザはマウス10を快適に使用することができる。
【0049】
ユーザがスイッチ6をOFFにすると、バルブ2が開かれ、外装部12は収縮により元の収納状態に戻る。これにより、マウス10は、収納が容易な形状に変化する。以上の動作の詳細については後述する。なお、本実施形態においてスイッチ6は押しボタンスイッチであり、ユーザが指でボタンを押下することにより、スイッチ6のONまたはOFFが切り替わる。
【0050】
図3は、パネル部4の表面及びマウス10の後面における外装部12を取り外した状態のマウス10の内部構造を示す。図4は、パネル部4及び外装部12を取り外した状態のマウス10の内部構造を示す。図3、図4を用いて、マウス10の各部の説明を続ける。
【0051】
通信部5は、ボタン3、マイクロポンプ7と配線により接続されている。通信部5は、ボタン3からのユーザの操作に応じて、情報を端末に入力する。マイクロポンプ7には、端末からの電源を供給する。また、マウス10を端末に接続することにより、通信部5は端末の制御により起動する。これにより、通信部5は、情報を端末に伝達することができる。
【0052】
マイクロポンプ7は、外装部12の内部に空気を供給する小型のポンプである。マイクロポンプ7は、スイッチ6と配線等により接続され、ユーザがスイッチ6をONにすることにより、駆動して、外部の空気を吸気し、空気を外装部12内部に封入する。その際、マイクロポンプ7は、バルブ2の開閉を制御する。
【0053】
さらに、マイクロポンプ7は、通信部5を介して、端末から電源供給を受ける。
【0054】
マウス10は、その他、ユーザがマウス10を動かした際の移動量を検出するセンサを適宜底部11に備える。さらに、パネル部4は、ボタン以外にも、ホイールを有してもよい。
【0055】
図5、図6は、マウス10の収納時の上面図及び側面図である。図5及び図6において、スイッチ6はOFFであり、外装部12内部には空気が封入されていない。このため、外装部12は収縮しており、マウス10はコンパクトな形状である。
【0056】
図6の通り、マウス10の収縮時には、パネル部4は底部11と略平行の位置関係にある。このため、マウス10は板状の形状になり、収納がしやすくなる。
【0057】
さらに、パネル部4は、マウス10の上面の略前半分を占める。そのため、図6の通り、外装部12が膨らんでいない際に、マウス10の上面を略面一にすることができる。マウス10においてパネル部4が占める領域が小さい場合、ゴム等の素材でできている外装部12は、収縮した状態において、表面の凹凸ができやすい。そのため、マウス10の上面は略面一になりにくいことが考えられる。マウス10においてパネル部4が占める領域が一定以上の場合、収縮した状態において、マウス10の上面は略面一にすることができる。なお、収納時にマウス10の上面が略面一になるならば、パネル部4は上面の他の範囲を占めてもよい。
【0058】
さらに、複数のボタン3及びパネル部4は、略面一の位置関係にある。そのため、図6の通り、収納時においては、凹凸が殆ど生じないため、マウス10の収納が容易である。
【0059】
図7、図8は、マウス10の使用時の上面図及び側面図である。図7及び図8において、スイッチ6はONであり、外装部12内部に空気が封入されている。このため、外装部12は膨張し、マウス10全体が、ユーザの操作に適した形状に変化する。
【0060】
前述の通り、パネル部4は、底部11と回動可能に連結されている。そのため、ユーザが右クリックボタン又は左クリックボタンをクリックしても、パネル部4は、クリックに伴う力によって上下方向には動くが、左右方向に動くことは抑制される。これにより、ユーザは、実施の形態1に説明したマウスと比較して、さらに安定した操作ができる。さらに、パネル部4は、底部11と軸により連結されており、連結されている部分が広い。そのため、左右方向への動きがさらに抑制される。これにより、ユーザは、さらに安定したマウスの操作ができる。
【0061】
さらに、パネル部4は、底部11との共通軸を軸にして底部11と回動可能に連結されていることにより、以下のような効果も生ずる。図7、図8のようなマウス10の使用時において、外装部12が膨張すると、パネル部4の後部は外装部12の膨張に伴って上に立ち上がる。しかし、パネル部4の前部は底部11と連結したままで、下がったままである。
【0062】
ユーザは、一般に、手の平でマウスの後部を把持し、指でマウス前部にあるボタンを操作する。そのため、一般のマウスは、ユーザがそのように操作しやすいように、中央部から後部にかけて膨らみ、前部が比較的下がった形状であることが多い。本実施形態にかかるマウス10も、図7、図8の通り、前部に比較して、中央部から後部が膨らむ構成であるため、使用時にユーザが操作しやすい。
【0063】
本実施形態にかかるマウス10の動作例を、図9及び図10のフローチャートにより説明する。図9及び図10は、マウス10の使用時及び収納時の動作を示すフローチャートである。
【0064】
図9を用いて、ユーザがマウス10を収納時の状態から使用時の状態に移行させる際の、マウス10の動作について説明する。つまり、マウス10は、図5、図6に示した状態から、図7、図8に示した状態に変化する。なお、スタート時において、ユーザは、マウス10をPCに接続する。
【0065】
マウス10がPCに接続されたことにより、通信部5がONになる(ステップS1)。
これにより、ユーザは、ボタン3を操作することにより、PCに情報を入力することができる。さらに、PCから電力がマウス10に供給される。これにより、通信部5を介して、マイクロポンプ7が通電され、マイクロポンプ7がユーザのスイッチ6の操作に応じて動作可能な状態になる。
【0066】
ここで、ユーザがスイッチ6をONにするか否かにより、マウス10の動作が異なる(ステップS2)。
【0067】
ユーザがスイッチ6をONにせず、OFFのままにした場合(ステップS2のNo)、外装部12は膨らまず、マウス10は収納時の扁平な形状のままである。
【0068】
ユーザがスイッチ6をONにした場合(ステップS2のYes)、マイクロポンプ7が駆動する(ステップS3)。
【0069】
マイクロポンプ7は、まず、バルブ2を開く(ステップS4)。これにより、マイクロポンプ7は、外装部12内部と、外部との空気の出入りを可能にする。
【0070】
なお、収納時において、外装部12内部に異物が入らないように、バルブ2は閉じられている。
【0071】
次に、マイクロポンプ7は、外部から空気を吸気して、外装部12の内部に空気を封入する(ステップS5)。これにより、外装部12が膨張し(ステップS6)、マウス10の上面が膨らむ。前述の通り、外装部12の膨張に伴い、マウス10の上面における中央部から後部が上に立ち上がる。
【0072】
マイクロポンプ7は、マウス10がユーザの操作に適した形状に変化すると、吸気を停止して、外装部12内部への空気の封入を停止する(ステップS7)。空気の封入停止とほぼ同時に、マイクロポンプ7はバルブ2を閉める(ステップS8)。これにより、外装部12は膨張を停止する。また、外装部12内部の空気が外部に出ないことから、マウス10は、ユーザの操作に適した形状(ユーザの手に馴染む形状)を保持する。このとき、パネル部4は、外装部12の膨張に応じて、前部を支点にして後部が立ち上がる。そのため、マウス10は、ユーザが操作しやすい形状に変化する。
【0073】
なお、マイクロポンプ7は、以下のような制御を行って、マウス10がユーザの操作に適した形状になったことを検出する。
【0074】
例えば、マイクロポンプ7には、外装部12内部の空気圧を測定する機能が備えられている。さらに、マイクロポンプ7にはメモリーが備えられ、当該メモリーには、予め、ユーザが操作するのに適した形状における外装部12内部の空気圧が記録されている。マイクロポンプ7は、前述の空気の封入動作において、測定した空気圧とメモリーに記録された空気圧とを参照する。外装部12内部の空気圧がメモリーに記録された空気圧にほぼ一致した場合に、マイクロポンプ7はバルブ2を閉じる。これにより、マウス10を、ユーザが操作するのに適した形状にすることができる。
【0075】
あるいは、マウス10は、パネル部4と底部11との傾きを検出することが可能な傾き検出部を有してもよい。この傾き検出部は、IC等から構成され、マイクロポンプ7と接続されている。傾き検出部はメモリーを有し、当該メモリーには予め、ユーザが操作するのに適した形状になった場合の、パネル部4と底部11との傾きの値が記録されている。傾き検出部は、前述の空気の封入動作において、パネル部4と底部11との傾きが、メモリーに記録された傾きにほぼ一致した場合に、マイクロポンプ7を制御して、空気の封入を停止させる。さらに、バルブ2を閉じる制御もする。これにより、マウス10を、ユーザが操作するのに適した形状にすることができる。
【0076】
なお、ユーザが操作するのに適した形状については、予め設定された形状でもよい。あるいは、ユーザが設定することができてもよい。例えば、ユーザは、端末によって、ユーザが操作するのに適した形状を設定する。端末は、ユーザが設定したマウス10の形状における、マウス10内部の空気圧あるいはパネル部4と底部11との傾きを算出して、それをマウス10内部の前述のメモリーに記録させる。これにより、ユーザは使用時のマウス10の形状を自分で設定することができる。
【0077】
以上の動作によって、マウス10は、図7、図8のように、ユーザが操作するのに適した形状まで変形する。
【0078】
次に、図10を用いて、ユーザがマウス10を使用時の状態から、収納時の状態に移行させる際の、マウス10の動作について説明する。つまり、マウス10は、図7、図8に示した状態から、図5、図6に示した状態に変化する。スタート時において、マウス10は、外装部12が膨らんだ状態である。
【0079】
ここで、ユーザがスイッチ6をOFFにするか否かにより、マウス10の動作が異なる(ステップS11)。
【0080】
ユーザがスイッチ6をOFFにせず、ONのままにした場合(ステップS11のNo)、外装部12は膨張したままの状態である。このため、マウス10は、使用時の形状を保つ。
【0081】
ユーザがスイッチ6をOFFにした場合(ステップS11のYes)、マイクロポンプ7はバルブ2を開く(ステップS12)。これにより、外装部12内部と、外部との空気の出入りが可能になり、外装部12は収縮する(ステップS13)。パネル部4の後部は、外装部12の収縮に伴って立ち下がる。なお、マイクロポンプ7は、吸気動作をしていない。
【0082】
パネル部4の後部が立下ることにより、マウス10の上面が略面一の状態に収まる。つまり、マウス10は収納時の形状に戻る。このとき、マイクロポンプ7はバルブ2を閉める(ステップS14)。これにより、収納時において、マウス10内部に水などの異物が入らないようにすることができる。
【0083】
なお、マウス10が収納時の形状に戻ることを検出するには、前述の通り、空気圧を測定する方法、パネル部4と底部11との傾きを測定する方法等がある。例えば、空気圧を測定する場合、マウス10内部の空気圧が外部と略同じ空気圧(例えば略1気圧)まで戻った場合に、マイクロポンプ7は、マウス10が収納時の形状に戻ったことを検知する。傾きを測定する場合、傾き検出部は、パネル部4と底部11との傾きが略0になった場合に、マウス10が収納時の形状に戻ったことを検知する。
【0084】
他にも、マイクロポンプ7は、ステップS12においてバルブ2を開けたときから、バルブ2から流出する空気の流量を観測してもよい。空気の流量が所定の値になると、マイクロポンプ7は、マウス10が収納時の形状に戻ったことを検出する。それにより、マイクロポンプ7は、バルブ2を閉め、収納状態を維持する。なお、前述の所定の値は、使用時から収納時に戻るまでの空気の流量値であり、予め測定された値である。マイクロポンプ7は、空気を封入する場合に空気の流入量を観測することにより、マウスをユーザが操作しやすい形状にしてもよい。
【0085】
以上の動作によって、マウス10は、図5、図6のように、収納に適した形状まで変形する。
【0086】
本実施の形態にかかるマウス10は、使用時においては外装部12を膨張させることにより、マウス10をユーザの操作に適した形状にする事ができる。マウス10は、外装部12を収縮させることにより、容易に収納することができる。また、マウス10は、収縮した状態において、容易に持ち運ぶこともできる。
【0087】
さらに、マウス10には、複数のボタン3を有するパネル部4が設けられている。パネル部4は、剛性を有する底部11と共通軸により連結されている。そのため、ユーザがボタン3をクリックすることに伴う動きは、パネル部4が略上下方向に動く程度であり、マウス10全体が左右に動くことは殆どないと考えられる。特許文献1にかかるマウスの構造と比較すると、この効果は顕著である。
【0088】
さらに、パネル部4の前部は軸によって底部11と回動可能に連結されているため、実施の形態1にかかるマウスと比較して、ユーザがさらに安定してマウスを操作することが可能になる。この理由は前述の通りである。
【0089】
さらに、外装部12内部に空気が封入されて外装部12が膨張すると、マウス10の前部は立ち下がった状態になり、中央部から後部にかけては立ち上がった状態に変化する。そのため、マウス10は、ユーザがより操作しやすい形状にする事ができる。
【0090】
なお、パネル部4は、マウス10上面の略前半分に設けられることで、文献1にかかるマウスに比較して、収納時にマウス上面がより平らに近づく。つまり、マウス10は、文献1にかかるマウスと比較して、より収納がしやすくなる効果がある。
【0091】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。以下、実施の形態2におけるマウス10の変形例について、簡単に記載する。
【0092】
例えば、図10に示したマウス10を収縮させる制御において、スイッチがOFFに切り替えられた場合、マイクロポンプ7は、バルブ2を開くとともに、外装部12内部の空気を外部に排気する動作を行ってもよい。マウス10の形状が、図5、図6に示した収納時の形状になった場合、マイクロポンプ7は排気動作を停止し、バルブ2を閉じて、マウス10の収納状態を保持する。
【0093】
スイッチ6は、マウス10の後部ではなく、側面に設けられてもよい。スイッチ6を側面に設けることにより、ユーザがマウス10を把持した際に、スイッチ6をすぐ操作することができる。例えば、ユーザの親指は、ユーザがマウス10を把持した際にマウス10の左側面又は右側面に触れるため、側面に設けられたスイッチ6を操作することができる。マウス10の前部に設けても、同様の効果が生じる。もちろん、スイッチ6は、マウス10の底面に設けられてもよい。
【0094】
なお、端末にマウス10を接続した後、ユーザがボタン3を複合的に操作することで、マウス10が図9に示した動作をするとしてもよい。例えば、マウス10は、ユーザが全てのボタン3を同時に押すことにより、マイクロポンプ7を駆動させてもよい。あるいは、ユーザがボタン3の右ボタン、左ボタン、中央のボタンを順番に組み合わせて押すことによって、マイクロポンプ7を駆動させてもよい。
【0095】
マウス10において、スイッチ6は必ずしも必要ではなく、スイッチ6を設けなくともよい。その場合、通信部5が端末からマウス10への電源供給を検出すると、通信部5はマイクロポンプ7を駆動させ、図9と同様の処理をする。これにより、通信部5は、図7、図8のように、マウス10をユーザが好適に使用できる形状にする。ユーザが端末の電源をOFFにするか、マウス10と端末との接続を解除すると、通信部5は端末からマウスへの電源供給がなくなったことを検知し、マイクロポンプ7を制御させて、バルブを開く。これにより、外装部12が収縮し、マウス10は図5、図6に示した収納状態に変化する。通信部5が以上のような制御をすることで、マウス10の形状を変化させることもできる。
【0096】
あるいは、マウス10が端末に接続されると、端末の画面に、マウス10を使用に適した形状にさせるか否かをユーザに選択させる表示がされてもよい。ユーザは、端末を操作することで、マウス10を使用に適した形状にさせる。なお、当該表示は、通信部5に記憶されたプログラム等によって行われる。
【0097】
マウス10は、有線により端末と接続されるとしたが、無線によって端末と接続されてもよい。
【0098】
マイクロポンプ7は、端末からの電源供給により駆動するとしたが、マウス10に備えられた電池等の内部電源により駆動してもよい。
【0099】
マウス10において、パネル部4と底部11はバネで結合されていてもよい。その場合、パネル部4は、バネの弾性力により常に立ち下がろうとする。しかし、ユーザがスイッチ6をONにすると、外装部12の膨張に応じて、パネル部4は後部が立ち上がる。これにより、マウス10はユーザが操作しやすい形状に変化する。そして、バネの弾性力により、その形状が保持される。
【0100】
実施の形態2にかかるマウス10の形状は、キーボードにも応用可能である。一般に、キーボードは、前部が立ち上がり、後部が立ち下がった形状である。これは、ユーザにとってキーが見やすく、押下しやすいような形状である。そのため、実施の形態2にかかるマウス10とは逆に、キーボードにおけるパネル部4の後部を、底部11の後部と軸により回動可能に連結することによって、ユーザの操作に適した形状にすることができる。さらに、ユーザがより安定して操作することもできる。
【0101】
なお、パネル部4がキーボードの上面を占める面積を大きくするほど、ユーザがよりキーを見やすく押下しやすいほか、収納時にキーボードの上面が略面一になって収納がしやすいという効果が生じる。例えば、パネル部4がキーボードの上面の略全体を占めるように、キーボードが構成されてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 封入体
2 バルブ
3 ボタン
4 パネル部
5 通信部
6 スイッチ
7 マイクロポンプ
10 マウス
11 底部
12 外装部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末に対し情報を入力する入力装置において、
空気を吸排気するためのバルブを有し、前記バルブを通じて内部に空気が封入されることにより膨張が可能である封入体と、
前記封入体に設けられ、複数のボタンを有する板状のパネル部と、
ユーザの前記ボタンの操作に応じて、端末に対し情報を入力する通信部と、
を備える入力装置。
【請求項2】
前記封入体の底部は剛性を有しており、前記パネル部は、前記封入体の底部と回動可能に連結されている、
請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記パネル部は、前記封入体の底部と共通軸を有し、前記共通軸によって前記封入体の底部と回動可能に連結されている、
請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記パネル部は、前記封入体の前部又は後部の底部と連結されている、
請求項2又は3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記パネル部は、前記封入体が収縮した状態において、前記封入体の底部と略平行の位置関係にある、
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記パネル部及び前記複数のボタンは、略面一の位置関係にある、
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項7】
前記入力装置は、マウス型入力装置であって、前記複数のボタンは、右クリックボタンと左クリックボタンとを含む、
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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