説明

入力装置

【課題】主に各種電子機器の操作に使用される入力装置に関し、押圧力を反映することで高速な操作が可能なものを提供することを目的とする。
【解決手段】トラックボール50などの操作方向を検出する方向入力部を押圧すると、感圧抵抗体51が押圧力を受け、感圧抵抗体51の抵抗が前記方向入力部の押圧力に対応して変化するよう入力装置60を構成したもので、押圧力を反映した高速な操作が可能な入力装置60を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に各種電子機器の操作に用いられる入力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の携帯用の電子機器、あるいはカーナビゲーションシステムやオーディオシステムなどの車両に搭載された電子機器の高機能化や多様化が進むに伴い、これらの操作に用いられる入力装置には、高速に操作が可能でかつ使いやすいものが求められている。
【0003】
このような従来の入力装置について、図7を用いて説明する。
【0004】
なお、構成を判り易くするために、図面は部分的に寸法を拡大して表わしている。
【0005】
同図は従来の入力装置の断面図であり、プッシュスイッチ10は、配線基板1に形成された環状基板電極2および中央基板電極3と、可動電極4と、絶縁シート5を備える。
【0006】
ここで、配線基板1はガラスエポキシ基板や紙フェノール基板などのリジッド基板で上下面に配線(図示せず)が配置されている。また、環状基板電極2は配線基板1の上面に環状に形成され、中央基板電極3は環状基板電極2の内側に形成されている。そして、可動電極4は外周が環状基板電極2に接し、上方に突出したドーム状の電極である。また、可動電極4の中央は中央基板電極3に対向し、中央基板電極3と可動電極4が接離可能に構成されている。また、絶縁シート5は、可動電極4を覆うように配置されている。
【0007】
つまり、プッシュスイッチ10は、可動電極4が中央基板電極3に接離することによって、中央基板電極3と環状基板電極2の電気的な導通が切り替わるスイッチである。
【0008】
また、トラックボール20は、ボール11と、ローラ12、13と、板バネ14と、上カバー15と、下カバー16を備えている。ここで、ボール11は、樹脂などを材料とする。また、ローラ12、13は外面に凹凸を備えた円柱状で、それぞれボール11の左右に配置される。下カバー16は、ローラ12、13を下方から支持する。また、下カバー16に一端が固定された板バネ14は、その他端となる突出部14Aでボール11を下方から支えている。
【0009】
また、上カバー15は、上面に円孔15Aを備え、円孔15Aからボール11の上部を露出させている。また、円孔15Aから上面を露出させた状態でボール11が左右に移動可能となっている。
【0010】
そして、トラックボール20は、ボール11の下方を可動電極4に対向させて、配線基板1上に配置される。また、トラックボール20の上カバー15の上面外縁を、板状の接続板21で覆って従来の入力装置25が構成されている。
【0011】
このように構成された入力装置25は、例えば携帯電話などの電子機器の操作面に、ボール11の上部を露出させて配置される。そして、入力装置25から延出した配線ケーブルが電子機器のマイコン等の機器制御回路(図示せず)に接続されて、機器制御回路がローラ12、13の回転およびプッシュスイッチ10の環状基板電極2と中央基板電極3の間の電気的接離を検出するものとなっていた。
【0012】
そして、例えば入力装置25は、電子機器の液晶ディスプレイ(図示せず)に表示されたポインタなどを所望の方向に移動させる場合などに用いられる。ここで、例えばポインタを左に動かす場合には、ボール11を若干、左に移動させながら、ボール11を矢印Aの方向に回転させる。すると、ボール11に接したローラ12が矢印Bの方向に回転し、機器制御回路がローラ12の回転を検出し、ポインタを左方向に移動させる。一方、ボール11を若干、右に移動させながら回転させると、機器制御回路がローラ13の回転を検出し、ポインタを右方向に移動させる。
【0013】
さらに、液晶ディスプレイに表示された複数のメニュー表示などのうち、一つを選択あるいは確定する場合には、操作者は、ポインタをメニュー表示の一つに重なるよう移動操作し、ボール11を押圧操作する。ボール11を押圧操作すると、板バネ14が撓み、突出部14Aで可動電極4を押圧する。可動電極4に加える押圧力が、所定の強さを超えると可動電極4が窪み、環状基板電極2と中央基板電極3が電気的に導通する。そして、機器制御回路は、プッシュスイッチ10がONしたことを検出し、ポインタの表示位置にあるメニュー表示を確定する。
【0014】
つまり、従来の入力装置25では、トラックボール20のボール11の下方にプッシュスイッチ10を配置することで、ボール11に対し、回転操作および押圧操作を行うと、携帯電話などに表示されたポインタの移動やメニュー表示の確定が行われるものとなっていた。すなわち、ボール11の操作で、複数の処理を行い、高速に操作が可能なものとなっていた。
【0015】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1〜7が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2002−373055号公報
【特許文献2】特開2009−104371号公報
【特許文献3】特開2009−217669号公報
【特許文献4】特開2009−259024号公報
【特許文献5】特開2009−123198号公報
【特許文献6】特開2010−217947号公報
【特許文献7】国際公開第09/113243号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、近年、電子機器の高機能化や多様化が進む中、より高速に操作が可能なものが求められてきている。ここで、従来の入力装置25では、例えばポインタの移動速度などを自由に可変させるには構造的に難しく、より速く所望の操作を行うのが困難であった。
【0018】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、押圧力を反映することで高速な操作が可能な入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために本発明は、以下の構成を有するものである。
【0020】
本発明の請求項1記載の発明は、操作方向を検出する方向入力部を押圧すると、感圧抵抗体が押圧力を受け、感圧抵抗体の抵抗が前記方向入力部の押圧力に対応して変化するよう入力装置を構成したもので、押圧力を反映した高速な操作が可能な入力装置を得ることができるという作用を有する。
【0021】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、感圧抵抗体の下方に配置された可動電極をさらに備えたもので、所定の押圧力を超えた際に、節度感を操作者が感じることで、安定した操作ができるという作用を有する。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、可動電極を下側に突出したドーム状とし、可動電極の下方に押圧体をさらに備えたもので、可動電極と基板電極の間の感圧抵抗体を安定して押圧しうるという作用を有する。
【0023】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、方向入力部に配線基板を備え、配線基板には方向検出回路と基板電極を備えたもので、方向入力部に基板電極を一体化することで生産性の良い入力装置を得ることができるという作用を有する。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項3記載の発明において、配線基板をフレキシブルプリント配線板とし、フレキシブルプリント配線板は、方向検出回路と基板電極の間で折りたたまれ、方向検出回路と基板電極の間に金属板を備えることにより、複雑な回路構成がフレキシブルプリント配線板を用いて容易に実現し得ると共に、基板電極に対する押圧力を金属板で安定して受けることができるという作用を有する。
【0025】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明において、方向入力部としてトラックボールを用いているので、従来の入力装置と同様の操作を維持しつつ、新たに押圧力を反映させた高速な操作を実現できるという作用を有する。
【発明の効果】
【0026】
以上のように本発明によれば、押圧力を反映することで高速な操作が可能な入力装置を実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態による入力装置の断面図
【図2】同入力装置の分解斜視図
【図3】同入力装置の要部斜視図
【図4】同入力装置の動作状態を示す断面図
【図5】同入力装置の要部の回路図
【図6】同入力装置の動作状態を示す要部断面図
【図7】従来の入力装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図6を用いて説明する。
【0029】
なお、これらの図面は構成を判り易くするために、部分的に寸法を拡大して表している。
【0030】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による入力装置の断面図、図2は同分解斜視図である。まず、同図を用いて、トラックボール50の構成について説明する。
【0031】
ここで、トラックボール50は、フレキシブルプリント配線板31、磁界検出回路32、制御回路33、外部コネクタ34、金属板36、磁石37、筐体38、スペーサ39、収納板40、ボール41、上カバー44を備える。
【0032】
なお、トラックボール50は、自転可能なボール41を使用する位置入力装置で、特許請求の範囲に記載した方向入力部の一例である。
【0033】
まず、フレキシブルプリント配線板31は、磁界検出回路32が配置された磁界検出回路基板部31Aと、制御回路33や外部コネクタ34が配置された制御回路基板部31Bと、電極基板部31Cを備える。ここで、制御回路基板部31Bは磁界検出回路基板部31Aから左方向に延出し、電極基板部31Cは磁界検出回路基板部31Aから延出し磁界検出回路基板部31Aの下方に折りたたまれている。なお、フレキシブルプリント配線板31は、柔軟性が有る絶縁基板を用いたプリント配線板で、特許請求の範囲に記載した配線基板の一例である。
【0034】
そして、磁界検出回路32はホール効果素子を組み込んだ集積回路などの半導体素子を備えた回路で、磁界検出回路32の上方の磁束の変化を検出する。
【0035】
また、制御回路33はマイコン等の半導体素子を備えた回路で、フレキシブルプリント配線板31に形成された配線を経由して、磁界検出回路32および外部コネクタ34に電気的に接続されている。
【0036】
なお、フレキシブルプリント配線板31は、特許請求の範囲に記載した配線基板の一例で、磁界検出回路32は、特許請求の範囲に記載した方向検出回路の一例である。
【0037】
また、図3の要部斜視図は、電極基板部31Cを下方から示したものであり、同図において、電極基板部31Cの中央には、半円弧状の二つの外周基板電極35A、35Bと、それらの間に円形の中央基板電極35Cが配置されている。
【0038】
なお、外周基板電極35A、35B、中央基板電極35Cは特許請求の範囲に記載した基板電極の一例である。
【0039】
そして、外周基板電極35A、35Bおよび中央基板電極35Cは、フレキシブルプリント配線板31に形成された配線を経由して、制御回路33あるいは外部コネクタ34に電気的に接続されている。
【0040】
また、金属板36は、磁界検出回路基板部31Aと電極基板部31Cの間に挟まれた、ステンレス鋼、鉄などを材料とする金属板である。ここで、金属板36は、磁界検出回路基板部31Aと電極基板部31Cとの間の平板部36Aと、上側に折り曲げられた四つの固定部36Bから構成されている。
【0041】
つまり、フレキシブルプリント配線板31は、磁界検出回路32と、外周基板電極35A、35Bおよび中央基板電極35Cとの間で折りたたまれ、平板部36Aを挟んで外周基板電極35A、35Bおよび中央基板電極35Cが下側に、磁界検出回路32が上側に配置される。これにより、磁界検出回路32を配置したフレキシブルプリント配線板31に外周基板電極35A、35Bおよび中央基板電極35Cが一体化した構成となっている。
【0042】
また、磁石37は、中央に円孔37Aを備えた円筒状の磁石で、側壁に対して並行な磁束が生じるように例えば上面をN極、下面をS極に着磁されている。
【0043】
そして、筐体38は、中央に円孔38Aを備えた方形柱状で、四方の側面に突起38Bを、上面に四つの円柱状の突起38Cを備えている。
【0044】
また、スペーサ39は、中央に円孔39Aを備えた板状で、突起38Cに対応する位置に円孔39Bを備える。
【0045】
また、収納板40は、ボール41を収納する窪み40Aを中央に備え、窪み40Aの周囲の突起38Cに対応する位置に円孔40Bを備える。
【0046】
さらに、ボール41は、内部に磁性体42を備え、磁性体42を非磁性体である樹脂43で包んで形成される。ここで、磁性体42は外面に複数の突起42Aを備えている。
【0047】
また、上カバー44は、中央に円孔44Aを備え、円孔44Aの周囲の突起38Cに対応する位置に円孔44Bを備える。
【0048】
そして、トラックボール50を組み立てる際には、磁石37を筐体38の円孔38A内に収納すると共に、磁界検出回路32を円孔37Aの下面中央に位置させる。また、金属板36の固定部36Bを筐体38の突起38Bに組合せ、筐体38に金属板36を固定する。
【0049】
次に、収納板40の窪み40Aにボール41を全方向に回動可能に収納すると共に、窪み40Aを、スペーサ39の円孔39Aに挿入する。また、筐体38の突起38Cを、スペーサ39の円孔39B、収納板40の円孔40B、上カバー44の円孔44Bに挿入し、トラックボール50となる。
【0050】
次に、入力装置60の構成について説明する。
【0051】
ここで、入力装置60は、トラックボール50と、感圧抵抗体51と、可動電極52と、カバーシート53と、押圧体54を備えている。
【0052】
また、感圧抵抗体51はシート状の感圧抵抗体で、上面に細かな凹凸51Aを備える。この凹凸51Aは、外周基板電極35A、35B及び中央基板電極35Cと対向している。
【0053】
そして、感圧抵抗体51が外周基板電極35A、35Bに対し押圧されると、凹凸51Aが潰れ、外周基板電極35A、35Bと感圧抵抗体51との間の接触面積が増える。これにより、外周基板電極35A、35Bの間の抵抗値が低下するよう構成されている。
【0054】
また、可動電極52は下方に突出したドーム状の導電金属板で、可動電極52の中央が感圧抵抗体51を介して中央基板電極35Cと対向すると共に、可動電極52の外縁は、外周基板電極35A、35Bの下方で感圧抵抗体51と接触している。
【0055】
そして、カバーシート53は、上面に接着層(図示せず)を備えた樹脂性のシートで、下方から可動電極52と感圧抵抗体51を、フレキシブルプリント配線板31の電極基板部31Cに固定している。
【0056】
また、押圧体54は、円柱状で、樹脂などで形成されている。この押圧体54は、可動電極52の中央下方に配置されている。
【0057】
このように構成された入力装置60が、例えば携帯電話などの電子機器の操作面に、ボール41の上部を露出させて配置される。そして、入力装置60の外部コネクタ34には、電子機器の回路基板(図示せず)から配線が接続され、電子機器のマイコン等の機器制御回路(図示せず)に接続される。
【0058】
そして、例えば入力装置60は、電子機器の液晶ディスプレイ(図示せず)に複数のメニュー表示と、メニュー表示の一つを選択するポインタが表示された状態で、ポインタを移動させる場合などに用いられる。
【0059】
ここで、例えばポインタを左に移動させる場合には、図4の断面図で示すように、ボール41を矢印Cの方向に回転させる。すると、ボール41に内蔵された磁性体42が同様に矢印Cの方向に移動する。
【0060】
ここで、磁界検出回路32は、磁石37で生じ磁性体42を経由して磁石37に戻る磁束のうち、磁界検出回路32を通過する量を検出している。
【0061】
そして、ボール41が回転すると、磁性体42が回転し、それにつれ突起42Aが回転する。磁束は突起42Aを経由する量が若干多くなる性質があり、ボール41が回転すると、磁界検出回路32で検出する磁束の量が変化する。これにより磁界検出回路32の出力が変化し、磁界検出回路32に接続された制御回路33がボール41の回転方向を判定する。
【0062】
すなわち、ボール41を回転させると、これにより生じる磁束の変化を、磁界検出回路32が検出し、磁界検出回路32の出力信号からボール41の回転方向を制御回路33が判定する。
【0063】
つまり、ボール41をいずれの方向に回転させても、回転方向を制御回路33が判定することが可能となっている。これにより、操作者は所望の方向に電子機器の液晶ディスプレイに表示されたポインタを移動することができる。
【0064】
次に、操作者がボール41を押圧しながら回転した際の、液晶ディスプレイの表示について説明する。
【0065】
ここで、操作者がボール41を押圧しながら回転すると、ポインタの移動速度が押圧力を反映した速度で変化し、操作者の操作意図を反映した速度で、高速に操作を行うことができる。
【0066】
そして、ポインタを所望のメニュー表示に移動させた時点で、所定の押圧力を超えた強さで押圧すると、可動電極52が反転し所定の節度感が発生すると共に、選択したメニュー表示が確定する。ここで、所定の押圧力を超えた際に、節度感を操作者が感じるので、安定して入力装置60を操作しうる。
【0067】
このように、操作者がボール41を押圧した際に生じる電気的変化を、図5の回路図と、図6の要部断面図を用いて説明する。
【0068】
まず、図5は入力装置60においてボール41の押圧に関する要部の回路図である。ここで、外周基板電極35Aが、外部コネクタ34を介して電子機器の電源電位Vcに接続している。
【0069】
また、外周基板電極35Bが、制御回路33のアナログ入力端子P1に接続されると共に、フレキシブルプリント配線板31に配置された抵抗値R1の抵抗素子71と外部コネクタ34を介して電子機器のグランド電位V0に接続している。
【0070】
さらに、中央基板電極35Cが、制御回路33のデジタル入力端子P2に接続されると共に、フレキシブルプリント配線板31に配置された抵抗値R1の抵抗素子72と外部コネクタ34を介して電子機器のグランド電位V0に接続している。
【0071】
また、抵抗値R1は1kΩ〜100kΩ、抵抗値R2は1Ω〜1kΩが好適で、ここで、抵抗値R1と抵抗値R2を選定する際は、抵抗値R1は抵抗値R2よりも大きくする。
【0072】
また、外周基板電極35A、35Bおよび中央基板電極35C上に配置される感圧抵抗体51を、外周基板電極35Aと外周基板電極35Bの間は抵抗値Rabの可変抵抗、外周基板電極35Aと中央基板電極35Cの間は抵抗値Racの可変抵抗として等価的に示している。
【0073】
なお、抵抗値Rab、抵抗値Racは感圧抵抗体51が押圧されていない状態で、1kΩ〜100kΩとなるよう感圧抵抗体51を構成する抵抗体の面抵抗を選定するのが好ましい。また、抵抗値Racは抵抗値R2に対し十分大きく設定し、感圧抵抗体51が押圧されていない状態で制御回路33が中央基板電極35Cの電位がグランド電位V0近傍のLOと判定するようにする。
【0074】
次に、図6の要部断面図も図5と共に用い説明するが、図6(a)は感圧抵抗体51が押圧されていない状態の断面図で、同図(b)は感圧抵抗体51が押圧された状態の断面図である。
【0075】
ここで、感圧抵抗体51が押圧されていない同図(a)の状態では、制御回路33のアナログ入力端子P1には、電源電位Vcとグランド電位V0の間を、抵抗値Rabと抵抗値R0で分圧した電位が入力される。
【0076】
また、抵抗値Racは抵抗値R2に対し十分大きいので、デジタル入力端子P2の電位は、制御回路33がLO判定する電位となる。
【0077】
このとき、制御回路33がアナログ入力端子P1に入力された電位とデジタル入力端子P2の電位を反映した出力信号を、外部コネクタ34を介して電子機器の機器制御回路に送り、機器制御回路は、例えば液晶ディスプレイに表示されたポインタを初期速度で移動させる。
【0078】
一方、感圧抵抗体51が押圧された同図(b)の状態では、抵抗値Rabは低下しゼロに近くなるので、制御回路33のアナログ入力端子P1に入力される電位が上昇し、電源電位Vcに近くなる。
【0079】
また、中央基板電極35C下方では感圧抵抗体51は押圧されていないので、抵抗値Racは抵抗値R2に対し十分大きいままである。つまり、デジタル入力端子P2の電位は、制御回路33がLO判定する電位が維持される。
【0080】
ここで、可動電極52は、外周基板電極35A、35Bと、押圧体54の間で外周基板電極35A、35B側のトラックボール50から押圧力が加えられるよう配置されている。このように構成することによって、外周基板電極35A、35Bの下方の感圧抵抗体51に対する押圧力を部分的な偏りを抑制して加えることが出来るため、操作の再現性が高い入力装置60が実現される。
【0081】
また、押圧体54を備えることにより、トラックボール50が例えば斜めに押圧された場合でも、安定して感圧抵抗体51を押圧しうる。
【0082】
このとき、制御回路33がアナログ入力端子P1に入力された電位とデジタル入力端子P2の電位を反映した出力信号を、外部コネクタ34を介して電子機器の機器制御回路に送る。ここで、機器制御回路は、アナログ入力端子P1に入力された電位により、ポインタの移動速度を制御しており、ボール41に対する押圧力を反映した速度でポインタを移動させる。
【0083】
さらに図6(b)の状態の後、操作者がボール41に加える押圧力を所定の強さを超えて強くすると、節度感と共に可動電極52の中央部近傍が凹み、可動電極52の中央部近傍が中央基板電極35C下方の感圧抵抗体51を押圧する。それにより、抵抗値Racがゼロに近くなり、デジタル入力端子P2の電位は、制御回路33がHI判定する電位に変化する。
【0084】
このとき、制御回路33がデジタル入力端子P2の電位を反映した出力信号を、外部コネクタ34を介して電子機器の機器制御回路に送る。ここで、機器制御回路は、ポインタの移動により選択されたメニュー表示を確定する。
【0085】
なお、前記の説明では、方向入力部としてトラックボール50を例にとり説明したが、本発明は、これに限定されるものでなく、方向入力部として、検出対象での光の反射の有無などから操作方向を検出する光学式のセンサ、電気容量の変化から操作方向を検出する静電式のセンサ、ローラや歯車などを用いて機械的に操作方向を検出する機械式のセンサでも良い。また方向入力部をトラックボールとした場合でも、磁気式のものだけでなく、光学式、静電式、機械式、いずれのものでも良い。
【0086】
また、前記の説明ではフレキシブルプリント配線板31を用いるものとして説明したが、配線基板はフレキシブルプリント配線板31に限定されるものではなく、ガラスエポキシ基板や紙フェノール基板などのリジッド基板を用いても良い。なお、リジッド基板を用いた場合は、上面に磁界検出回路32、下面に外周基板電極35A、35Bおよび中央基板電極35Cを設けて、一枚のリジッド基板で構成することもできる。
【0087】
また、前記の説明では、感圧抵抗体51は外周基板電極35A、35Bおよび中央基板電極35Cの下方にあるものとして説明したが、少なくとも外周基板電極35A、35Bの一つの下方にあれば本発明の実施は可能である。
【0088】
このように本実施の形態によれば、トラックボール50などの操作方向を検出する方向入力部を押圧すると、感圧抵抗体51が押圧力を受け、感圧抵抗体51の抵抗が方向入力部の押圧力に対応して変化するよう入力装置60を構成したもので、押圧力を反映した高速な操作が可能な入力装置60を得ることができる。
【0089】
また、感圧抵抗体51の下方に配置された可動電極52をさらに備えたもので、所定の押圧力を超えた際に、節度感を操作者が感じることで、安定した操作ができるという作用を有する。
【0090】
また、可動電極52を下側に突出したドーム状とし、可動電極52の下方に押圧体54をさらに備えたもので、可動電極52と外周基板電極35A、35B及び中央基板電極35Cなどの基板電極の間にある感圧抵抗体51を、方向入力部が例えば斜めに押圧された場合でも、安定して押圧しうる。
【0091】
また、方向入力部に配線基板を備え、配線基板には磁界検出回路32などの方向検出回路と外周基板電極35A、35B及び中央基板電極35Cなどの基板電極を備えたもので、方向入力部に基板電極を一体化することで生産性の良い入力装置を得ることができる。
【0092】
さらに、配線基板をフレキシブルプリント配線板31とし、フレキシブルプリント配線板31は、方向検出回路と基板電極の間で折りたたまれ、方向検出回路と基板電極の間に金属板36を備えることにより、複雑な回路構成がフレキシブルプリント配線板31を用いて容易に実現し得ると共に、基板電極に対する押圧力を金属板36で安定して受けることができる。
【0093】
そして、方向入力部としてトラックボール50を用いているので、従来の入力装置25と同様の操作を維持しつつ、新たに押圧力を反映させた高速な操作を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明による入力装置は、容易に多様な操作の可能なものを実現することができるという有利な効果を有し、主に各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【0095】
31 フレキシブルプリント配線板
32 磁界検出回路
33 制御回路
34 外部コネクタ
35A、35B 外周基板電極
35C 中央基板電極
36 金属板
36A 平板部
36B 固定部
37 磁石
37A、38A、39A、39B、40B、44A、44B 円孔
38 筐体
38B、38C、42A 突起
39 スペーサ
40 収納板
40A 窪み
41 ボール
42 磁性体
43 樹脂
44 上カバー
50 トラックボール
51 感圧抵抗体
51A 凹凸
52 可動電極
53 カバーシート
54 押圧体
60 入力装置
71、72 抵抗素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作方向を検出する方向入力部と、前記方向入力部の下方あるいは下面に配置された基板電極と、前記基板電極の下方に配置された感圧抵抗体と、前記感圧抵抗体の下方に配置された可動電極とを備え、前記方向入力部を押圧すると、前記感圧抵抗体が押圧力を受け、前記感圧抵抗体の抵抗が前記方向入力部の押圧力に対応して変化する入力装置。
【請求項2】
前記感圧抵抗体の下方に配置された可動電極をさらに備えた請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記可動電極は下側に突出したドーム状で、前記可動電極の下方に押圧体をさらに備えた請求項2記載の入力装置。
【請求項4】
前記方向入力部は、配線基板を備え、前記配線基板には方向検出回路と前記基板電極を備えた請求項1記載の入力装置。
【請求項5】
前記配線基板はフレキシブルプリント配線板で、前記フレキシブルプリント配線板は、前記方向検出回路と前記基板電極の間で折りたたまれ、前記方向検出回路と前記基板電極の間に金属板を備えた請求項3記載の入力装置。
【請求項6】
前記方向入力部はトラックボールである請求項1記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−221012(P2012−221012A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83306(P2011−83306)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】