説明

入力装置

【課題】簡易な構成で誤検出を抑えることができる入力装置および静電容量センサーシートを提供すること。
【解決手段】本発明の入力装置1は、検出電極5と、検出電極5を検出回路Dに接続するための配線6とが形成された静電容量センサーシート2と、厚さ方向の一方の面に設けられた平面部3bと、平面部3bよりも突出して形成された突起部3cとを有する略板状のカバー3とを備え、静電容量センサーシート2は、平面部3bに検出電極5が配置され、突起部3cによって配線6が支持されていることを特徴とする入力装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報端末機器などの電子機器に対して操作入力を行う入力装置が知られている。たとえば特許文献1には、複数の操作キーをそれぞれ押下することによって電極を導通させるスイッチ構造と、静電容量式の座標検出装置とを備えた情報端末機器が開示されている。この情報端末機器は、入力操作を行うための入力体として人の指などの導電体を用い、情報端末機器の座標検出装置に入力体を近接させることによって、座標検出装置における入力体の座標を検出するようになっている。
【0003】
特許文献1に記載された座標検出装置には、入力体を近接させる平面状の操作領域と、平面状の操作領域に対して入力体から離れるように折り曲げ角度90度で折り曲げられた配線領域とが設けられている。操作領域には、静電容量の変化を検出するための複数の検出電極が配置され、配線領域には、制御用IC(検出回路)に各検出電極を接続するための配線が配置されている。
【0004】
特許文献1に記載の座標検出装置は、入力体と配線との距離が、入力体と検出電極との距離よりも遠く離れている。これにより、配線に入力体が近接したときの検出感度を下げることができ、その結果、配線に入力体が近接した場合に、当該配線に接続された検出電極に入力体が近接したと誤って検出されることを抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4408426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の座標検出装置は、配線が形成された各配線領域を操作領域に対して90度折り曲げなければならず、製造工程が煩雑となるおそれがある。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡易な構成で誤検出を抑えることができる入力装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の入力装置は、検出電極と、前記検出電極を検出回路に接続するための配線とが形成された静電容量センサーシートと、厚さ方向の一方の面に設けられた平面部と、前記一方の面において前記平面部よりも突出して形成された突起部とを有する略板状のカバーと、を備え、前記静電容量センサーシートは、前記平面部に前記検出電極が配置され、前記突起部によって前記配線が支持されていることを特徴とする。
【0009】
また、前記配線と前記カバーとの間に空間があってもよい。
【0010】
また、前記突起部は、突出端と、前記突出端と前記平面部とを繋ぐ斜面部とを有し、前記配線は、前記斜面部に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の入力装置によれば、カバーに形成された突起部によって配線を支持するので、簡易な構成で誤検出を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(A)は本発明の一実施形態の入力装置を示す平面図、(B)は同入力装置の底面図である。
【図2】図1(A)のA−A線における断面図である。
【図3】図1(A)のB−B線における断面図である。
【図4】同入力装置におけるセンサーシートの構成を示す展開図で、(A)は表側、(B)は裏側を示す。
【図5】同センサーシートにおける検出電極の配置を説明するための説明図である。
【図6】同入力装置の変形例の構成を示す図で、(A)は平面図、(B)は(A)のC−C線における断面図である。
【図7】同入力装置の他の変形例の構成を示す断面図である。
【図8】(A)および(B)は同入力装置のさらに他の変形例の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態の入力装置1について説明する。
図1(A)は入力装置1の平面図、図1(B)は入力装置1の底面図である。図2は、図1(A)のA−A線における断面図である。
図1(A)および図1(B)に示すように、入力装置1は、略矩形板状に形成されている。入力装置1の厚さ方向から見たときの外周の一箇所には、検出回路Dに接続される接続部2aが矩形形状に張り出して形成されている。
【0014】
図1(A)および図2に示すように、入力装置1を厚さ方向から見たときの一方の面には、入力体100を接触させて入力体100による入力操作を行うための入力面3aが形成されている。入力面3aは、平坦に形成された面であり、入力面3aに沿う二次元平面における座標を入力装置1によって検出するようになっている。入力装置1に対して入力操作をする入力体100は、導体からなり、たとえば、入力装置1を操作する操作者の指や、導体からなる棒状のスタイラスペンなどを採用することができる。以下では、入力体100として人の指を用いる例で説明する。
【0015】
図3は、図1(A)のB−B線における断面図である。
図2および図3に示すように、入力装置1は、静電容量センサーシート2とカバー3とが入力装置1の厚さ方向に重ねて一体成形されている。以下、静電容量センサーシート2側を下、カバー3側を上として説明を行う。センサーシート2は、カバー3の下面に沿って折り曲げられた形状でカバー3の下面に密着している。
図4(A)は、静電容量センサーシート2を平らに延ばして表面を示す展開図である。図4(B)は、図4(A)に示す静電容量センサーシート2の裏面を示す展開図である。
図4(A)および図4(B)に示すように、静電容量センサーシート2は、絶縁性材料からなる支持基板4と、検出電極5(第一検出電極5aおよび第二検出電極5b)と、配線6(第一配線6aおよび第二配線6b)と有する。
【0016】
支持基板4は、入力装置1の厚さ方向に厚さを有する矩形板状であり、支持基板4の外周の一部は外側へ矩形形状に突出して上述の接続部2aとなっている。支持基板4は、熱可塑性樹脂、たとえばポリエチレンテレフタレートの薄板材によって形成されている。
【0017】
図3および図4(A)に示すように、第一検出電極5aは、支持基板4の厚さ方向の両面のうちカバー3側の表面に、一方向に延ばして互いに平行に揃えて複数形成されている。第一検出電極5aは3個形成されており、各第一検出電極5aは、第一検出電極5aの厚さ方向から見たときの輪郭形状が正方形状でその対角の頂点が互いに接続された複数の第一電極要素7を有する。
【0018】
本実施形態では、第一電極要素7は各第一検出電極5aあたり4個設けられている。各第一電極要素7は、各第一検出電極5aにおいて一列に並べて配置されている。互いに隣り合う第一検出電極5aは、第一電極要素7の頂点が隙間を空けて隣接するように配置されている。また、各第一検出電極5aの間には、略正方形状の隙間が空けられている。各第一検出電極5aの間の略正方形状の隙間の大きさは、後述する第二電極要素8を第二電極要素8の厚さ方向から見たときの輪郭よりも大きい。
【0019】
第一検出電極5aの材質は、導電性を有する導電性材料であればよく、たとえば銅、金、銀、アルミニウムなどの薄板あるいは金属箔、あるいは金属粒子を含有するペーストなどを採用することができる。本実施形態では、第一検出電極5aは銀ペーストからなる。
【0020】
第一配線6aは、支持基板4の厚さ方向の両面のうち第一検出電極5aが形成された側の面上に設けられており、第一検出電極5aと接続された導体パターンからなる配線である。第一配線6aの一端は各第一検出電極5aに接続され、第一配線6aの他端は複数の第一検出電極5aの外側領域を通って接続部2aの先端まで延びている。接続部2aの先端では、第一配線6aの他端はフレキシブルプリント基板(FPC)やフレキシブルフラットケーブル(FFC)用のコネクタにおける接点端子のピッチに合わせて等間隔に整列して配置されている。
【0021】
静電容量センサーシート2の面方向に沿って測った第一配線6aの線幅は、第一電極要素7の面方向の最大寸法よりも小さい。第一配線6aの材質としては、第一検出電極5aと同様の導電性材料を適宜選択して採用することができる。本実施形態では、第一配線6aは第一検出電極5aと同一の銀ペーストからなる。第一配線6aを第一検出電極5aと同一の材料で形成すると、第一配線6aと第一検出電極5aとを同一工程で一括して形成することができる。
【0022】
図2および図4(B)に示すように、第二検出電極5bは、支持基板4の厚さ方向の両面のうち第一検出電極5aが形成された面と反対側である裏面上に、各第一検出電極5aが延びる方向に対して交差する一方向に平行に揃えて複数形成されている。第二検出電極5bは3個形成されており、各第二検出電極5bは、第二検出電極5bの厚さ方向から見たときの輪郭形状が正方形状でその対角の頂点が互いに接続された複数の第二電極要素8を有する。
【0023】
第二電極要素8は各第二検出電極5bにおいて一列に並べて配置されている。本実施形態では、第二電極要素8は各第二検出電極5bあたり4個設けられている。また、互いに隣り合う第二検出電極5bは、第二電極要素8の頂点が隙間を空けて隣接するように配置されており、隣り合う第二検出電極5bの間には略正方形状の隙間が空けられている。各第二検出電極5bの間の略正方形状の隙間の大きさは、上述の第一電極要素7を第一電極要素7の厚さ方向から見たときの輪郭より大きい。
第二検出電極5bの材質は、第一検出電極5aの材質と同様に導電性材料から適宜選択することができる。
【0024】
第二配線6bは、支持基板4の厚さ方向の両面のうち第二検出電極5bが形成された側の面上に設けられており、第二検出電極5bに接続された導体パターンからなる配線である。第二配線6bの一端は各第二検出電極5bに接続され、第二配線6bの他端は複数の第二検出電極5bの外側領域を通って接続部2aの先端まで延びている。第二配線6bは、接続部2aにおいては支持基板4を挟んで第一配線6aの反対側に配置されている。接続部2aの先端において、第二配線6bの他端は第一配線6aの他端と同ピッチで等間隔に整列して配置されている。
また、静電容量センサーシート2の面方向に沿って測った第二配線6bの線幅は、第二電極要素8の最大寸法よりも小さい。第二配線6bの材質は、第一配線6aの材質と同様に導電性材料から適宜選択することができる。
【0025】
図5は、静電容量センサーシート2の厚さ方向から見たときの第一検出電極5aと第二検出電極5bとの重なり形状を説明するための説明図である。なお、図5は静電容量センサーシート2の裏面から見た状態を示したものである。
図5に示すように、第一検出電極5aと第二検出電極5bとは、静電容量センサーシート2の厚さ方向から見たときに、各第一検出電極5aの間に空けられた正方形状の隙間の中に第二検出電極5bの第二電極要素8が納まるようになっている。
【0026】
図2および図3に示すように、カバー3は、厚さd1の略板状に形成されており、厚さ方向の一方の面に設けられた平面部3bと、前記一方の面において前記平面部3bよりも突出して形成された突起部3cとを有する。本実施形態では、カバー3は、静電容量センサーシート2の上面に液状の樹脂を注入してこの樹脂を静電容量センサーシート2と一体に固化させるインサート成形によって形成されている。これにより、カバー3と静電容量センサーシート2とは密着している。支持基板4の上面に形成された第一検出電極5aの厚さは僅かであり、本実施形態では平面部3bは概ね平面状である。なお、カバー3を予め射出成形などによって成形し、粘着材や接着剤で静電容量センサーシート2とカバー3とを一体化させてもよい。
【0027】
平面部3bは、入力面3aに対して一定距離だけ離れて設けられた面である。本実施形態では、平面部3bは入力面3aと略平行な平面となっている。図1(B)に示すように、平面部3bは入力装置1の厚さ方向から見たときの輪郭形状が四角形となっており、その内側領域に第一検出電極5a(図2および図3参照)と第二検出電極5bとが配置されている。
【0028】
図1(B)、図2、および図3に示すように、突起部3cは、入力装置1を厚さ方向から見たときに平面部3bの隣り合う2辺のそれぞれに接するL字形状に形成され、平面部3bよりも下方に突出し、厚さd1よりも大きな厚さd2を有して形成されている。突起部3cの突出端3d(下端)は、入力面3aと平行な面を有し、突起部3cの側壁部3eは入力面3aに対して傾斜して形成されている。
【0029】
突起部3cの側壁部3eは、入力装置1の厚さ方向で入力面3aから下方に向かうに従って入力装置1の周縁に近づくように傾斜している。突起部3cの側壁部3eがこのように傾斜されているので、静電容量センサーシート2とカバー3とを一体化するときに静電容量センサーシート2の折り曲げ角度が鈍角となる。これにより、静電容量センサーシート2の配線6が急角度に折られて配線6が断線することを防止することができる。また、突起部3cの側壁部3eがこのように傾斜されていると、インサート成形を行う場合に、カバー3を構成する樹脂の充填不良が発生しにくくなる。
【0030】
突起部3cの側壁部3eと突出端3dとには、第一配線6aおよび第二配線6bがそれぞれ配置されている。これにより、第一配線6aは第一検出電極5aよりも下方に位置するように突起部3cによって支持され、第二配線6bは第二検出電極5bよりも下方に位置するように突起部3cによって支持されている。すなわち、入力面3aと第一配線6aとの間の最短距離の方が入力面3aと第一検出電極5aとの間の最短距離よりも長く、入力面3aと第二配線6bとの間の最短距離の方が入力面3aと第二検出電極5bとの間の最短距離よりも長い。
カバー3の材質としては、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネートなどを採用することができる。
【0031】
以上に説明した構成の入力装置1の作用について説明する。
図3に示すように、入力装置1は、接続部2aの先端に検出回路Dが接続されて用いられる。このとき、第一検出電極5aおよび第二検出電極5bはそれぞれ第一配線6aおよび第二配線6bを介して検出回路Dに電気的に接続される。たとえば自己容量方式の検出回路Dに静電容量センサーシート2を接続して用いる場合には、検出回路Dは第一検出電極5aおよび第二検出電極5bのそれぞれに繰り返し駆動信号を出力する。さらに、検出回路Dは、各第一検出電極5aおよび各第二検出電極5bにおける静電容量を繰り返し検出する。
【0032】
入力体100が第一検出電極5aおよび第二検出電極5bに近接すると、入力体100と第一検出電極5aとの間、および入力体100と第二検出電極5bとの間における静電容量が変化する。また、入力体100が配線6に近接すると、入力体100と配線6との間においても入力体100との間の距離に応じて静電容量が変化する。入力体100と配線6との間で静電容量が変化すると、第一検出電極5aあるいは第二検出電極5bと入力体100との間における静電容量の変化に対するノイズとなる。
【0033】
第一検出電極5aおよび第二検出電極5bに比べて第一配線6aおよび第二配線6bは細く形成されているので、第一配線6aおよび第二配線6bにおける検出感度は第一検出電極5aおよび第二検出電極5bにおける検出感度よりも低い。さらに、入力面3aと第一検出電極5aとの間の距離よりも入力面3aと第一配線6aとの間の距離の方が長く、且つ入力面3aと第二検出電極5bとの間の距離よりも入力面3aと第二配線6bとの間の距離の方が長く構成されているので、第一配線6aおよび第二配線6bにおける検出感度はさらに低くなっている。これにより、入力体100と配線6との間における静電容量の変化を小さくすることができ、ノイズを抑えることができる。その結果、配線6に接続された検出電極5に入力体100が近接したと誤って検出されることを抑えることができる
【0034】
以上説明したように、本実施形態の入力装置1によれば、カバー3に形成された突起部3cによって配線6を支持することで入力面3aから配線6を遠ざけることができるので、簡易な構成で誤検出を抑えることができる。
【0035】
また、カバー3において入力面3aとは反対側に突起部3cが形成されているので、入力面3aの形状の自由度が制限されることがなく、入力面3aを平滑にしたり、入力面3aに凹凸等の装飾を施したりすることができる。
【0036】
また、静電容量センサーシート2とカバー3とがインサート成形によって一体化されているので、平面部3bと突起部3cとによる段差があっても静電容量センサーシート2とカバー3とを確実に密着させることができる。このため、突起部3cによって配線6を確実に支持することができる。
さらに、これにより、カバー3から静電容量センサーシート2がはがれることを抑えることができ、カバー3と静電容量センサーシート2との間に気泡が生じることによる静電容量検出感度の変動を抑えることができる。
【0037】
また、インサート成形によって静電容量センサーシート2とカバー3とが一体化されているので、金型に静電容量センサーシート2を取り付けた後に液状の樹脂を金型に注入して樹脂を固化させるだけで、第一配線6aおよび第二配線6bを、第一検出電極5aおよび第二検出電極5bよりも入力面3aから遠ざけて配置することができ、入力装置1を容易に製造することができる。
【0038】
(変形例1)
次に、上述の実施形態で説明した入力装置1の変形例について説明する。
図6(A)および図6(B)は、本変形例の入力装置1Aの一部の構成を示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)のC−C線における断面図である。
【0039】
図6(A)および図6(B)に示すように、入力装置1Aは、第1実施形態の入力装置1と同様に略矩形板状に形成されており、静電容量センサーシート2Aとカバー3Aとが厚さ方向に重ねて構成されている。
静電容量センサーシート2Aは、薄板あるいは箔状の複数の検出電極5Aと、各検出電極5Aから引き出された配線6Aとを厚さ方向の一方の面に備える。
検出電極5Aは、センサーシート2Aの上面に、互いに離間して格子状に整列配置されている。各検出電極5Aは、各検出電極5Aと入力体100との間の静電容量の変化に基づいて個別に入力体100を検出することができるようになっている。
配線6Aは、互いに交差しないように静電容量センサーシート2Aの一方の面において各検出電極5Aの間やセンサーシート2Aの周縁部に引き回され、上述の実施形態で説明した検出回路Dに接続されるようになっている。
【0040】
カバー3Aは、平面状の平面部3bAと、一定間隔をあけて複数形成された突起部3cAとを有する。突起部3cAは、入力装置1Aの厚さ方向からみて配線6Aと重なる位置に配置されており、各検出電極5Aの間にも配置されている点で上述の突起部3cと構成が異なっている。本変形例においても、突起部3cAは平面部3bAよりも下方へ突出しており、突起部3cAの突出端3dAは入力面3aと平行な平面状になっている。
本変形例では、各検出電極5Aは平面部3bAに配置され、配線6Aは突起部3cAの側壁部3eを通じて突出端3dAに沿って配置されている。これにより、配線6Aは、突起部3cAによって支持されている。
【0041】
このような構成であっても、上述の実施形態と同様の効果を奏する。
また、本変形例では、各検出電極5Aの間に突起部3cAが設けられ、これらの突起部3cAによって配線6Aが支持されているので、配線6Aの引き回しの自由度を高めることができる。
【0042】
(変形例2)
次に、本実施形態の入力装置1の他の変形例について説明する。
図7は、本変形例の入力装置1Bの一部の構成を示す断面図であり、図6(A)に示すC−C線と同様の断面で入力装置1Bを切断して示す断面図である。
【0043】
図7に示すように、本変形例では、上述の変形例1と同様の静電容量センサーシート2Aを備え、カバー3Aに代えて、突起部3cAの突出端3dAから入力面3aに向かって陥没する凹部3fが突起部3cAにさらに形成されたカバー3Bを備える。これにより、静電容量センサーシート2Aの配線6Aと入力面3aAとの間には凹部3fによって空間が設けられている。また、静電容量センサーシート2Aにおける複数の検出電極5Aの間には凹部3fによって形成された空間が介在している。凹部3fの深さは、突起部3cAにおけるカバー3Bの厚さd2よりも小さい深さd3となっており、凹部3fの底(上端面)は、検出電極5Aとカバー3Bとの接触面と略同位置にある。
【0044】
本変形例では、入力面3aAと配線6Aとの間で凹部3fによって形成された空間は、樹脂によって形成されたカバー3Bあるいは支持基板4に比べて誘電率が低い。これにより、入力体100と配線6Aとの間における静電容量は突起部3cAが樹脂で埋められている場合と比較して小さい。その結果、配線6における静電容量の検出感度をさらに低くすることができる。
【0045】
また、隣り合う検出電極5Aの間にも空間があるので、入力体100が最も近接した検出電極5Aに隣接する他の検出電極5Aにおける検出感度を低くすることができる。これにより、入力体100が近接した検出電極5Aと、この検出電極5Aに隣接する他の検出電極5Aとの間の静電容量の変化の差を大きくすることができるので、座標検出感度を高めることができる。
なお、予め射出成形などでカバー3Bを成形し、カバー3Bを粘着材や接着剤で静電容量センサーシート2Aと一体化させて入力装置1Bを構成することもできる。
【0046】
(変形例3)
次に、上述の実施形態で説明した入力装置1のさらに他の変形例について説明する。
図8(A)および図8(B)は、本変形例の入力装置1Cの一部の構成を示す断面図である。
図8(A)に示すように、本変形例の入力装置1Cは、カバー3に代えて設けられたカバー3Cを備える点で上述の入力装置1、1A、1Bと構成が異なっている。
【0047】
本変形例のカバー3Cは、上述の実施形態で説明した平面部3bを有し、突出端3dCが平坦でなく鋭角とされた突起部3cCが平面部3bよりも下方に突出して形成されている。突起部3cCは突出端3dCと平面部3bとを繋ぐ斜面部3eCを有し、静電容量センサーシート2における配線6(第一配線6aおよび第二配線6b)は斜面部3eCに沿って配置されている。
【0048】
本変形例では、突起部3cCの斜面部3eCは平面部3bに対して傾斜して形成されており、斜面部3eCに沿って配置された配線6は、平面部3bに対して傾斜している。さらに、配線6が薄板状あるいは箔状で略一定の厚さに形成されているので、配線6は、平面部3bと突起部3cCとの間で折り曲げられた形状になっている。
このため、たとえば配線6のうち入力装置1Cの外周に沿って延びる部分において、検出電極5の厚さ方向から見たときの配線6の幅寸法Waは、支持基板4の面方向に沿う配線6の実際の幅寸法Wよりも小さい。また、配線6のうち検出電極5から入力装置1の周縁へ向かって延びる部分においては、配線6の長手寸法Laは、配線6の実際の長手寸法Lよりも小さい。これにより、入力体100と配線6とが対向する対向面積は、配線6が平面部3bと平行な面上に設けられている場合と比較して小さい。
【0049】
このように、本変形例では、配線6が平面部3bと平行な面上に設けられている場合よりも入力体100と配線6との間における静電容量が小さく、配線6が平面部3bと平行な面上に設けられている場合よりも配線6における検出感度は低く抑えられている。
【0050】
本変形例の入力装置1Cによれば、入力体100との対向面積を小さくしつつ、配線6を太くすることができるので、誤検出を抑えつつ配線抵抗を低くすることができる。
【0051】
なお、本変形例では、入力体100から遠ざかる方向へ配線6を折り曲げた形状を示したが、逆に入力体100に近づく方向へ配線6を折り曲げても上述の対向面積を小さくすることができる。
【0052】
また、本変形例では、静電容量センサーシート2は、インサート成形によってカバー3Cと一体化されていることが好ましいが、カバー3Cと一体でない場合あるいはカバー3Cを備えない場合であっても、配線6における検出感度を低下させる効果を奏することができる。
また、本変形例では突起部3cCの突出端3dCが鋭角である例を示したが、図8(B)に示すように突出端3dCが平坦であっても本変形例と同様の効果を奏する。
【0053】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
たとえば、検出電極および配線の材料は、上述の金属材料以外であってもよい。たとえば、ポリチオフェン、ポリアニリンなどを含有する透明性を有する導電性ポリマーからなる導電性材料や、あるいは酸化インジウムスズ(ITO)などの金属酸化物を含む光透過性の薄膜、あるいは金属粒子、金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブを含有した導電性インクなどを検出電極および配線の材料として採用することができる。
また、上述の各実施形態及び各変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1、1A、1B、1C 入力装置
2、2A センサーシート
2a 接続部
3、3A、3B、3C カバー
3a、3aA 入力面
3b、3bA、3bC 平面部
3c、3cA、3cC 突起部
3d、3dA、3dC 突出端
3e 側壁部
3eC 斜面部
3f 凹部
4 支持基板
5、5A 検出電極
5a 第一検出電極
5b 第二検出電極
6、6A 配線
6a 第一配線
6b 第二配線
7 第一電極要素
8 第二電極要素
D 検出回路
100 入力体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出電極と、前記検出電極を検出回路に接続するための配線とが形成された静電容量センサーシートと、
厚さ方向の一方の面に設けられた平面部と、前記一方の面において前記平面部よりも突出して形成された突起部とを有する略板状のカバーと、
を備え、
前記静電容量センサーシートは、前記平面部に前記検出電極が配置され、前記突起部によって前記配線が支持されていることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記配線と前記カバーとの間に空間があることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記突起部は、
突出端と、
前記突出端と前記平面部とを繋ぐ斜面部と、
を有し、
前記配線は、前記斜面部に形成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の入力装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−43054(P2012−43054A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181617(P2010−181617)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】