説明

入力装置

【課題】操作者に与える触覚フィードバックを向上させる入力装置を提供する。
【解決手段】本実施の形態に係る入力装置1は、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、検出面120に対する接触を検出する検出部12と、検出面120に対する接触に基づいて振動を発生させる振動発生部16と、振動発生部16の一方端部を挟んで支持し、振動発生部16の振動を検出部12に伝達する支持部18と、振動発生部16の他方端部を挟んで支持し、振動発生部16の振動により変形すると共に振動を検出部12に伝達する弾性支持部20と、支持部18及び弾性支持部20が設けられ、支持部18を介して伝達する振動を検出部12に伝達させると共に、弾性支持部20を介して伝達する振動を検出部12に伝達させる振動伝達部14と、を備えて概略構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、使用者が接触することで情報の入出力を行うことができるタッチパネルと、使用者の接触に基づいてタッチパネルを振動させ、使用者に振動による触覚を与える振動発生手段と、を備えた入出力装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この振動発生手段は、支持フレームとタッチパネルの間に配置され、振動を発生する圧電アクチュエータと、圧電アクチュエータの一方端部と支持フレームの間に配置される第1支持部と、圧電アクチュエータの他方端部とタッチパネルの間に配置される第2支持部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−94389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の入出力装置の圧電アクチュエータは、第1支持部により、一方端部の側面が支持され、第2支持部により、当該側面の反対側の他方端部の側面が支持される構造を有するため、圧電アクチュエータの両端部が固定されて振動が阻害され、タッチパネルに振動が十分伝達しないという問題がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、操作者に与える触覚フィードバックを向上させる入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、検出面に対する接触を検出する検出部と、検出面に対する接触に基づいて振動を発生させる振動発生部と、振動発生部の一方端部を挟んで支持し、振動発生部の振動を検出部に伝達する支持部と、振動発生部の他方端部を挟んで支持し、振動発生部の振動により変形すると共に振動を検出部に伝達する弾性支持部と、支持部及び弾性支持部が設けられ、支持部を介して伝達する振動を検出部に伝達させると共に、弾性支持部を介して伝達する振動を検出部に伝達させる振動伝達部と、を備えた入力装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作者に与える触覚フィードバックを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1(a)は、第1の実施の形態に係る入力装置の上面図であり、(b)は、図1(a)のI(b)-I(b)線で切断した面を矢印方向から見た断面図であり、(c)は、振動発生部の振動の様子を示す断面図である。
【図2】図2(a)は、第1の実施の形態に係る入力装置のブロック図であり、(b)は、プッシュ操作時における静電容量と時間に関するグラフであり、(c)は、振動発生部に供給される電圧と時間に関するグラフである。
【図3】図3(a)は、第2の実施の形態に係る入力装置の上面図であり、(b)は、変形例に係る支持部の斜視図であり、(c)は、変形例に係る弾性支持部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る入力装置は、検出面に対する接触を検出する検出部と、検出面に対する接触に基づいて振動を発生させる振動発生部と、振動発生部の一方端部を挟んで支持し、振動発生部の振動を検出部に伝達する支持部と、振動発生部の他方端部を挟んで支持し、振動発生部の振動により変形すると共に振動を検出部に伝達する弾性支持部と、支持部及び弾性支持部が設けられ、支持部を介して伝達する振動を検出部に伝達させると共に、弾性支持部を介して伝達する振動を検出部に伝達させる振動伝達部と、を備える。
【0011】
[第1の実施の形態]
(入力装置1の構成)
図1(a)は、第1の実施の形態に係る入力装置の上面図であり、(b)は、図1(a)のI(b)-I(b)線で切断した面を矢印方向から見た断面図であり、(c)は、振動発生部の振動の様子を示す断面図である。図1(c)に示す点線は、振動発生部16の振動による変位を示している。なお、以下の各実施の形態に係る各図において、部品と部品との比率は、実際の比率とは異なる場合がある。
【0012】
この入力装置1は、検出部12に対する接触に反応してクリック感や操作感を操作者に認識させる、言い換えるなら、触覚フィードバックを操作者に付与するものである。
【0013】
また、本実施の形態に係る入力装置1は、例えば、接続された電子機器の操作を行うことができるものである。入力装置1は、例えば、導電性を有するペンや指による操作により、電子機器に表示されたカーソルの移動や選択、表示されたアイコンのドラッグ、ドロップ等の指示を行うことができるように構成されている。本実施の形態では、指による操作について説明する。
【0014】
本実施の形態に係る入力装置1は、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、検出面120に対する接触を検出する検出部12と、検出面120に対する接触に基づいて振動を発生させる振動発生部16と、振動発生部16の一方端部を挟んで支持し、振動発生部16の振動を検出部12に伝達する支持部18と、振動発生部16の他方端部を挟んで支持し、振動発生部16の振動により変形すると共に振動を検出部12に伝達する弾性支持部20と、支持部18及び弾性支持部20が設けられ、支持部18を介して伝達する振動を検出部12に伝達させると共に、弾性支持部20を介して伝達する振動を検出部12に伝達させる振動伝達部14と、を備えて概略構成されている。
【0015】
また、振動伝達部14は、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、支持部18及び弾性支持部20が設けられる基部140、基部140の両端部から突出して形成され、検出部12の裏面121と端部が接触する第1の凸部141及び第2の凸部142、を有する。つまり、振動伝達部14は、例えば、検出部12の裏面121に取り付けられ、入力装置1の本体10からは浮いた状態となっている。この本体10は、例えば、上部が開放された箱形状を有している。この本体10は、例えば、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、アクリロニトリル/ブダジエン/スチレン(ABS)等の合成樹脂材料、又はアルミニウム、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、或いはステンレス等の合金材料を用いて形成される。
【0016】
振動伝達部14、振動発生部16、支持部18及び弾性支持部20により、振動伝達機構100を構成している。入力装置1は、この振動伝達機構100を少なくとも1つ備えている。本実施の形態では、振動伝達機構100を1つ備える場合について説明する。
【0017】
・検出部12の構成
図2(a)は、第1の実施の形態に係る入力装置のブロック図であり、(b)は、プッシュ操作時における静電容量と時間に関するグラフであり、(c)は、振動発生部に供給される電圧と時間に関するグラフである。なお、以下では、主に、検出面120になされたプッシュ操作を一例として説明するが、これに限定されず、検出面120をなぞるような操作であるなぞり操作等においても、操作者に触覚フィードバックを与えることが可能である。
【0018】
検出部12は、例えば、操作者の体の一部(例えば、指)や専用のペンで検出面120に触れることにより、触れた検出面120上の位置(座標)を検出するタッチセンサである。操作者は、例えば、検出面120に操作を行うことにより、接続された電子機器の操作を行うことが可能となる。検出部12としては、例えば、周知の抵抗膜方式、赤外線方式、SAW方式、静電容量方式等のタッチパネルを用いることが可能である。
【0019】
本実施の形態に係る検出部12は、例えば、検出面120に指が近づくことによる、電極123及び電極124と指との距離に反比例した電流の変化を検出信号として出力する静電容量方式のタッチセンサである。
【0020】
この検出部12は、例えば、図1(b)に示すように、本体10上に設けられている。また、検出部12は、例えば、カバーレンズ122と、電極123及び電極124と、を備えて概略構成されている。
【0021】
カバーレンズ122は、例えば、PET(Polyethylene terephthalate)等の合成樹脂材料、又はガラス等を用いて、板状に形成される。
【0022】
電極123及び電極124は、例えば、検出部12の長手方向及び短手方向に細長く伸びた形状を有している。電極123及び電極124は、例えば、銅等の導電性を有する金属材料を用いて、カバーレンズ122に形成される。なお、電極123及び電極124は、例えば、複数の電極を1つの配線で接続したものであっても良い。
【0023】
電極123及び電極124は、例えば、図1(a)及び(b)に示すように、紙面の縦方向(短手方向)及び横方向(長手方向)に沿って直交するように並んでいる。本実施の形態では、図1(a)の紙面の横方向をx軸、縦方向をy軸とし、検出部12の左上を原点としている。
【0024】
x軸方向には、例えば、m個の電極123が等間隔で並んでいる。このmは、例えば、正の整数である。
【0025】
y軸方向には、例えば、n個の電極124が等間隔で並んでいる。このnは、例えば、正の整数である。
【0026】
x軸に沿って並べられた電極123は、例えば、図1(b)に示すように、y軸に沿って並べられた電極124よりも検出面120に近い層に形成されている。また、x軸に沿って並べられた電極123は、例えば、y軸に沿って並べられた電極124と電気的に絶縁されている。
【0027】
この検出部12は、例えば、図2(a)に示すように、制御部22に接続されている。制御部22は、例えば、予め定められた時間に従って、電極123及び電極124の静電容量を順番に読み出すように構成されている。制御部22は、例えば、取得した検出信号に基づいた座標値から、指が接触、または近づいた座標を算出する。この座標の算出方法は、例えば、加重平均を用いた方法等の周知の方法が用いられる。
【0028】
・振動伝達部14の構成
振動伝達部14は、例えば、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、アクリロニトリル/ブダジエン/スチレン(ABS)等の合成樹脂材料、又はアルミニウム、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、或いはステンレス等の合金材料を用いて形成される。
【0029】
振動伝達部14は、例えば、基部140、第1の凸部141及び第2の凸部142のそれぞれが四角柱形状を有する。なお、振動伝達部14は、基部140、第1の凸部141及び第2の凸部142が一体となって形成されても良いし、それぞれが別々に作製され、接着剤やねじ等で取り付けられる構造でも良い。
【0030】
この振動伝達部14は、図1(c)に矢印で示すように、振動発生部16の振動を基部140、第1の凸部141及び第2の凸部142を介して検出部12に伝達するように構成されている。
【0031】
また、振動伝達部14は、例えば、接着剤により、検出部12の裏面121に取り付けられている。接着剤としては、例えば、ウレタン系等の軟質接着剤よりも硬化した後に硬くなるアクリル系等の硬質接着剤が用いられる。なお、振動伝達部14は、例えば、粘着テープ等を用いて検出部12の裏面121に取り付けられても良く、また、ねじ等で取り付けられても良い。
【0032】
・振動発生部16の構成
振動発生部16は、検出部12になされたプッシュ操作に基づいて、圧電素子161を振動させるものである。操作者は、検出部12を介して伝達した振動を認識することで、操作が入力装置1に受け付けられたことを触感で認識することが可能となる。
【0033】
振動発生部16は、例えば、金属板160と、圧電素子161と、を備えたユニモルフ型の圧電アクチュエータである。このユニモルフ型圧電アクチュエータとは、1枚の圧電素子161だけで屈曲する構造のアクチュエータである。
【0034】
金属板160は、細長い板形状を有している。また、金属板160には、例えば、導電性を有するアルミニウム、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、或いはステンレス等の合金材料を用いて形成される。なお、金属板160は、例えば、合成樹脂等の非導電性材料を用いて形成されても良い。
【0035】
圧電素子161は、例えば、供給される電圧により、伸縮を行う。この伸縮により、金属板160が屈曲し、この屈曲によって振動が発生する構造となっている。
【0036】
圧電素子161の材料としては、例えば、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が用いられる。なお、振動発生部16は、例えば、金属板160の両面に、上記の材料を用いて形成された膜が形成される単層バイモルフ型、金属板160の一方面に、上記の材料を用いて形成された膜を積層して形成された積層ユニモルフ型、金属板160の両面に、上記の材料を用いて形成された膜を積層して形成された積層バイモルフ型、の圧電アクチュエータであっても良い。
【0037】
・支持部18の構成
支持部18は、例えば、図1(b)に示すように、第1の支持部180及び第2の支持部181を備えて概略構成されている。振動発生部16の一方端部は、例えば、この第1の支持部180及び第2の支持部181に挟まれて支持されている。第1の支持部180は、振動発生部16と接触する面の反対側の面が、検出部12の裏面121と接触する。また、第2の支持部181は、振動発生部16と接触する面の反対側の面が、振動伝達部14の基部140と接触する。
【0038】
第1の支持部180及び第2の支持部181は、例えば、四角柱形状を有する。また、第1の支持部180及び第2の支持部181は、例えば、振動発生部16の一方端部を支持すると共に、振動を検出部12及び振動伝達部14に伝達する材料を用いて形成される。また、第1の支持部180及び第2の支持部181は、例えば、振動発生部16の振動により、弾性支持部20よりも変形が少ない材料が好適に用いられる。従って、第1の支持部180及び第2の支持部181は、例えば、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ポリアミド系、アクリロニトリル/ブダジエン/スチレン(ABS)等の合成樹脂材料、又はアルミニウム、銅等の金属材料、それらを含有する合金材料、或いはステンレス等の合金材料を用いて形成される。
【0039】
また、支持部18は、例えば、接着剤により、検出部12及び振動伝達部14に取り付けられる。接着剤としては、例えば、ウレタン系等の軟質接着剤よりも硬化した後に硬くなるアクリル系等の硬質接着剤が用いられる。なお、支持部18は、例えば、粘着テープ等を用いて検出部12及び振動伝達部14に取り付けられても良く、また、ねじ等で取り付けられても良い。
【0040】
・弾性支持部20の構成
弾性支持部20は、例えば、図1(b)に示すように、第1の弾性支持部200及び第2の弾性支持部201を備えて概略構成されている。振動発生部16の他方端部は、例えば、この第1の弾性支持部200及び第2の弾性支持部201に挟まれて支持されている。第1の弾性支持部200は、振動発生部16と接触する面の反対側の面が、検出部12の裏面121と接触する。また、第2の支持部181は、振動発生部16と接触する面の反対側の面が、振動伝達部14の基部140と接触する。
【0041】
第1の弾性支持部200及び第2の弾性支持部201は、例えば、四角柱形状を有する。また、第1の弾性支持部200及び第2の弾性支持部201は、例えば、振動発生部16の他方端部を支持すると共に、振動を検出部12及び振動伝達部14に伝達し、かつ、振動に伴って弾性変形する材料を用いて形成される。第1の弾性支持部200及び第2の弾性支持部201は、例えば、スチレン・ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴム、及び天然ゴム等の弾性材料を用いて形成される。
【0042】
ここで、支持部18及び弾性支持部20が殆ど弾性変形しない材料から形成された場合、金属板160は両端部がほぼ固定されてしまうことから、その変形が阻害される。つまり、金属板160の変形が阻害されることにより、振動発生部16が生成する振動が、阻害されない場合と比べて小さくなる。また、振動発生部16の一方端部のみを支持した場合、振動発生部16は大きく振動するものの、その振動が、支持された一方端部から検出部12に伝達するのみであるので、発生した振動に比べて、検出部12に伝達する振動は小さいものとなる。さらに、支持部18及び弾性支持部20の両方を弾性変形する材料から形成した場合、振動が支持部18及び弾性支持部20の弾性変形により吸収され、検出部12に伝達し難くなる。
【0043】
そこで、本実施の形態では、弾性支持部20に弾性を持たせることにより、図1(c)に示すように、振動発生部16を支持すると共に、振動の阻害を抑制するように弾性変形を行い、かつ、振動を検出部12に伝達することが可能となる。つまり、入力装置1は、例えば、図1(c)の矢印で示すように、第1の支持部180から検出部12に伝達する振動、第2の支持部181、基部140及び第1の凸部141を介して検出部12に伝達する振動、第1の弾性支持部200から検出部12に伝達する振動、第2の弾性支持部201、基部140及び第2の凸部142から検出部12に伝達する振動を得ることができる。
【0044】
なお、弾性支持部20は、例えば、接着剤により、検出部12及び振動伝達部14に取り付けられる。接着剤としては、例えば、ウレタン系等の軟質接着剤よりも硬化した後に硬くなるアクリル系等の硬質接着剤が用いられる。なお、弾性支持部20は、例えば、粘着テープ等を用いて検出部12及び振動伝達部14に取り付けられても良く、また、ねじ等で取り付けられても良い。
【0045】
・制御部22の構成
入力装置1は、例えば、図2(a)に示すように、検出部12及び振動発生部16に接続された制御部22を備える。制御部22は、検出部12から出力された検出信号に基づいてなされた操作を判定するように構成されている。
【0046】
制御部22は、例えば、プログラムに従って、取得したデータに演算、加工等を行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等から構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部22が動作するためのプログラムと、しきい値情報220と、が格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果等を格納する記憶領域として用いられる。
【0047】
しきい値情報220は、例えば、図2(b)に示すように、第1のしきい値C及び第2のしきい値Cの情報を含んで構成される。第1のしきい値Cは、第2のしきい値Cよりも小さい値となるように設定される。
【0048】
第1のしきい値Cは、例えば、検出部12になされたタッチ操作又はタップ操作を検出するために用いられる。制御部22は、例えば、検出信号に基づく静電容量が第1のしきい値C以上となるとき、検出部12にタッチ操作又はタップ操作が行われたと判定する。また、制御部22は、例えば、検出信号に基づく静電容量が第1のしきい値Cより小さいとき、操作がなされていないと判定する。
【0049】
第2のしきい値Cは、例えば、検出部12になされたプッシュ操作を検出するために用いられる。制御部22は、例えば、検出信号に基づく静電容量が第2のしきい値C以上となるとき、検出部12にプッシュ操作が行われたと判定する。
【0050】
ここで、タッチ操作とは、例えば、指で検出面120に接触する操作を示す。タップ操作とは、予め定められた時間よりも短い時間、検出面120に接触する操作であり、予め定められた時間内に複数回繰り返すことで、回数に応じた異なる機能を実行させる操作を示す。
【0051】
また、プッシュ操作とは、例えば、指を検出面120に押し付ける操作を示す。検出部12が検出する静電容量は、指の接触面積により変化する。指の接触面積は、検出面120に指を押し付けることにより広くなるので、軽く触れた場合よりも静電容量は大きくなる。従って、制御部22は、例えば、検出部12から出力された検出信号が第2のしきい値C以上となるとき、検出部12にプッシュ操作が行われたと判定する。
【0052】
制御部22は、例えば、図2(c)に示すように、プッシュ操作が検出されると、操作者に触覚フィードバックを与えるため、振動発生部16に振動信号を出力する。具体的には、制御部22は、例えば、電圧が+Vから−Vに周期的に変化する振動信号(交流電圧)を振動発生部16に供給する。制御部22は、振動発生部16が、一例として、数百Hzで振動を行うことができるような振動信号を生成する。
【0053】
(動作)
以下では、一例として、操作者が検出面120に対してプッシュ操作を行う場合の入力装置1の動作について説明する。
【0054】
操作者の指が検出面120に触れ始めたとき(時間t)、図2(b)に示すように、指が触れた位置(座標)に関する静電容量が上昇する。制御部22は、検出信号を読み出す毎に、検出信号としきい値情報220に基づいてタッチ操作及びプッシュ操作を判定する。
【0055】
操作者が指を検出面120に押し付け、指の接触面積が広くなると、さらに、静電容量が上昇する。制御部22は、時間tにおいて静電容量が第2のしきい値C以上となると、プッシュ操作が行われたと判定し、振動信号を生成して振動発生部16に出力する。
【0056】
振動発生部16は、+Vから−Vに周期的に変化する振動信号に従って振動する。この振動に伴って、弾性支持部20側の振動発生部16は、図1(c)の紙面の上下方向に振動する。この振動により、弾性支持部20が、図1(c)の紙面上方向に変位を始めると(時間t)、第1の弾性支持部200が振動発生部16の変位に伴って、上方向に縮む弾性変形を行う。続いて、振動発生部16の変位が、上方向から下方向に切り替わると(時間t)、振動発生部16の変位に伴って、第1の弾性支持部200が元の形状に復帰すると共に、第2の弾性支持部201が下方向に縮む弾性変形を行う。続いて、振動発生部16の変位が、下方向から上方向に切り替わると(時間t)、第2の弾性支持部201が元の形状に復帰すると共に、第1の弾性支持部200が上方向に縮む弾性変形を開始する(時間t)。
【0057】
制御部22は、静電容量が第2のしきい値C以上である期間(時間t〜時間t)、振動信号の出力を行う。従って、振動発生部16は、その期間、振動信号に基づいて振動を行う。この振動は、主に、第1の支持部180を介して検出部12に伝達し、第2の支持部181、基部140及び第1の凸部141を介して検出部12に伝達し、第1の弾性支持部200を介して検出部12に伝達し、第2の弾性支持部201、基部140及び第2の凸部142を介して検出部12に伝達する。振動の伝達により、入力装置1は、操作者に触覚フィードバックを与えることができる。
【0058】
(第1の実施の形態の効果)
本実施の形態に係る入力装置1は、振動発生部16を支持部18及び弾性支持部20により支持するので、振動を効果的に検出部12に伝達することが可能となり、操作者に与える触覚フィードバックを向上させることができる。振動発生部16は、殆ど弾性変形しない材料からなる支持部で両端を支持された場合、振動が阻害され、検出部12に伝達され難くなる。しかし、本実施の形態に係る入力装置1は、振動発生部16の一方端部は支持部18で支持され、他方端部は、弾性変形を行う弾性支持部20で支持されるので、振動発生部16の振動の阻害を抑えつつ、検出部12に効果的に振動を伝達することができる。
【0059】
また、入力装置1は、第2の支持部181及び第2の弾性支持部201側に伝達する振動を、振動伝達部14を介して検出部12に伝達することができるので、振動伝達部14を持たないものよりも、効果的に検出部12に振動を伝達することが可能となり、操作者に与える触覚フィードバックを向上させることができる。
【0060】
さらに、入力装置1は、振動伝達機構100が、細長い形状となっているので、圧電素子等が円形状となる場合と比べて、小型化することができる。
【0061】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、複数の振動伝達機構が設けられている点で第1の実施の形態と異なっている。
【0062】
図3(a)は、第2の実施の形態に係る入力装置の上面図である。本実施の形態に係る入力装置1は、図3(a)に示すように、対となる振動伝達機構100が対向して配置されている。さらに、入力装置1は、対となる振動伝達機構100が、図3(a)に示す対称点を中心とした点対称となるように配置されている。言い換えるなら、対となる振動伝達機構100は、対となる振動伝達機構100の一方の支持部18と、対となる振動伝達機構100の他方の弾性支持部20と、が対向し、対となる振動伝達機構100の他方の支持部18と、対となる振動伝達機構100の一方の弾性支持部20と、が対向するように配置される。なお、対となる振動伝達機構100は、例えば、一方の支持部18と他方の弾性支持部20が対向し、他方の支持部18と他方の支持部18が対向するのであれば、点対称となる位置からずれて配置されても良い。
【0063】
本実施の形態に係る制御部22は、プッシュ操作が判定されると、対となる振動伝達機構100のそれぞれに振動信号を出力する。対となる振動伝達機構100は、それぞれに振動を発生させ、検出部12に振動を伝達する。
【0064】
(第2の実施の形態の効果)
本実施の形態に係る入力装置1は、対となる振動伝達機構100を備えているので、対となる振動伝達機構100を備えない場合と比べて、操作者に与える触覚フィードバックを、より向上させることができる。
【0065】
また、対となる振動伝達機構100は、点対称となるように配置されている。この配置により、支持部18及び弾性支持部20が点対称となるので、振動の偏りが抑制され、操作者に与える触覚フィードバックを向上させることができる。例えば、支持部18及び弾性支持部20が対向するように配置された場合、支持部18の周辺の振動の強さと、弾性支持部20の周辺の振動の強さと、に差があることから、指に伝達する振動に偏りが生じる。しかし、点対称となるように配置することにより、図3(a)に示すように、支持部18と弾性支持部20が対向するので、振動の偏りが抑制され、操作者に良好な触覚フィードバックを与えることができる。
【0066】
以下に、上記の各実施の形態に係る変形例について説明する。
【0067】
[変形例]
図3(b)は、変形例に係る支持部の斜視図であり、(c)は、変形例に係る弾性支持部の斜視図である。変形例に係る支持部18は、例えば、図3(b)に示すように、配置された際に弾性支持部20と対向する側面182に開口183が形成されている。また、変形例に係る弾性支持部20は、例えば、図3(c)に示すように、配置された際に支持部18と対向する側面202に開口203が形成されている。
【0068】
従って、変形例に係る入力装置1は、図3(b)に示すように、振動発生部16の一方端部を第1の支持部180及び第2の支持部181で挟んで支持するのではなく、振動発生部16の一方端部を支持部18の開口183に挿入して支持する構成となっている。
【0069】
また、変形例に係る入力装置1は、図3(c)に示すように、振動発生部16の他方端部を第1の弾性支持部200及び第2の弾性支持部201で挟んで支持するのではなく、振動発生部16の他方端部を弾性支持部20の開口203に挿入して支持する構成となっている。
【0070】
従って、変形例に係る入力装置1は、支持部18の開口183に振動発生部16の一方端部を挿入し、弾性支持部20の開口203に他方端部を挿入することで振動発生部16を支持するので、支持部18及び弾性支持部20が2つの部品から構成される場合と比べて、組み立てが容易となる。また、入力装置1は、部品点数が少なくなるので、製造コストを抑制することができる。
【0071】
以下に、他の変形例について説明する。
【0072】
入力装置1は、例えば、検出部12と振動伝達機構100の間に、画像を表示する表示部を備えていても良い。表示部としては、例えば、液晶モニタが好適に用いられる。また、入力装置1は、例えば、振動伝達機構100と本体10の間に表示部を備えていても良い。なお、入力装置1が表示部を備える場合、カバーレンズ122は透明であることが好ましく、また、電極123及び電極124は、ITO(スズドープ酸化インジウム:Indium Tin Oxide)等を用いて形成される透明電極であることが好ましい。
【0073】
また、入力装置1は、なぞり操作等によって、予め定められた座標に指が接触、又は近づいたときに触覚フィードバックを与えるように構成されても良い。例えば、操作者が、表示部に表示されるカーソルを操作し、そのカーソルが選択可能なアイコンと重なるとき、入力装置1は、振動を発生させて触覚フィードバックを操作者に与えるように構成されても良い。この構成を有することにより、操作者は、表示部を見ながらの操作が抑えられるので、表示部への視線移動が少なくなる。
【0074】
第2の実施の形態に係る入力装置1は、対となる振動伝達機構100が点対称となるように配置されたが、支持部18と支持部18、及び弾性支持部20と弾性支持部20と、が対向するように配置されても良い。また、振動伝達機構100は、入力装置1の長手方向(x軸方向)に沿って配置されたが、これに限定されず、短手方向(y軸方向)に沿って配置されても良い。さらに、振動伝達機構100は、入力装置1の長手方向及び短手方向のそれぞれに沿って配置されても良い。
【0075】
また、入力装置1は、例えば、入力操作を行うことができる検出面120の領域に対応させて、複数の振動伝達機構100を備えるように構成されても良い。例えば、検出面120が、キーボードに対応させてある場合、キーボードの各キーの領域に振動伝達機構100を配置しても良い。
【0076】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更等を行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1…入力装置、10…本体、12…検出部、14…振動伝達部、16…振動発生部、18…支持部、20…弾性支持部、22…制御部、100…振動伝達機構、120…検出面、121…裏面、122…カバーレンズ、123…電極、124…電極、140…基部、141…第1の凸部、142…第2の凸部、160…金属板、161…圧電素子、180…第1の支持部、181…第2の支持部、182…側面、183…開口、200…第1の弾性支持部、201…第2の弾性支持部、202…側面、203…開口、220…しきい値情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出面に対する接触を検出する検出部と、
前記検出面に対する接触に基づいて振動を発生させる振動発生部と、
前記振動発生部の一方端部を挟んで支持し、前記振動発生部の前記振動を前記検出部に伝達する支持部と、
前記振動発生部の他方端部を挟んで支持し、前記振動発生部の前記振動により弾性変形すると共に前記振動を前記検出部に伝達する弾性支持部と、
前記支持部及び前記弾性支持部が設けられ、前記支持部を介して伝達する前記振動を前記検出部に伝達させると共に、前記弾性支持部を介して伝達する前記振動を前記検出部に伝達させる振動伝達部と、
を備えた入力装置。
【請求項2】
前記振動伝達部は、前記支持部及び前記弾性支持部が設けられる基部、前記基部の両端部から突出して形成され、前記検出部と接触する第1の凸部及び第2の凸部、を有する請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記支持部、前記弾性支持部、前記振動発生部及び前記振動伝達部を備える振動伝達機構が、少なくとも1つ配置される請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記振動伝達機構は、対となる振動伝達機構が対向して配置される請求項3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記対となる振動伝達機構は、前記対となる振動伝達機構の一方の支持部と、前記対となる振動伝達機構の他方の弾性支持部と、が対向し、前記対となる振動伝達機構の他方の支持部と、前記対となる振動伝達機構の一方の弾性支持部と、が対向するように配置される請求項4に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−3754(P2013−3754A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132952(P2011−132952)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】