説明

入力装置

【課題】運転者がステアリングホイールから手を放さずに車載装置を複雑に操作できるようにする。
【解決手段】入力装置3は、ナビゲーション装置4などの車載装置の操作に用いられ、第1タッチパッド1を備える。第1タッチパッド1はステアリングホイール10の裏面に設けられており、ナビゲーション装置4に検出面における指の接触位置に関する信号を出力している。第1タッチパッド1の検出面には、ステアリングホイールを握った状態における指の可動範囲が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置の操作に用いられる入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ステアリングホイールから手を放さずに車載装置の操作を行うために、ホイール部を握った状態で親指の届く範囲にスイッチを設けたステアリングホイールが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−161025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の車載装置の高機能化に伴って、車載装置の入力操作が複雑になってきている。しかし特許文献1に記載の技術では、設定可能なスイッチの種類や数に限りがあるため、こうした複雑な入力操作に十分に対応することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、車両に搭載された車載装置の操作に用いられる入力装置であって、指の接触を検出する検出面を有し検出面における指の接触位置に応じた信号を出力する第1のタッチパッドを備え、第1のタッチパッドは車両のステアリングホイールの裏面に設けられ、第1のタッチパッドの検出面にはステアリングホイールを握った状態における指の可動範囲が含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ステアリングホイールから手を放さずに車載装置の複雑な操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施の形態による入力装置が設けられたステアリングホイールの斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態による入力装置のブロック構成図である。
【図3】本発明の一実施の形態により操作される車載装置の操作画面例である。
【図4】本発明の一実施の形態による入力装置の操作姿勢である。
【図5】本発明の一実施の形態による入力装置の第1の操作例を説明するための図である。
【図6】本発明の一実施の形態により操作される車載装置の操作画面例である。
【図7】本発明の一実施の形態による入力装置の第2の操作例を説明するための図である。
【図8】本発明の一実施の形態により操作される車載装置の操作画面例である。
【図9】本発明の一実施の形態による入力装置の第3の操作例を説明するための図である。
【図10】本発明の一実施の形態により操作される車載装置の操作画面例である。
【図11】本発明の一実施の形態による入力装置の第4の操作例を説明するための図である。
【図12】本発明の一実施の形態による入力装置の第4の操作例を説明するための図である。
【図13】本発明の一実施の形態による入力装置の第4の操作例を説明するための図である。
【図14】本発明の一実施の形態による入力装置の第5の操作例を説明するための図である。
【図15】入力装置のブロック構成図の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の一実施の形態による入力装置が設けられたステアリングホイールの斜視図である。図1(a)の斜視図はステアリングホイール10の裏面側を図示しており、図1(b)の斜視図はステアリングホイール10の表面側を図示している。ステアリングホイール10は、裏面側から車両のステアリングシャフトに取り付けられている。
【0009】
ステアリングホイール10は、リム部11と、車両のステアリングシャフトに取り付けられるセンターボス12と、リム部11とセンターボス12とを連結する左スポーク部13aおよび右スポーク部13bとを備えている。
【0010】
図1(a)に図示するように、右スポーク部13bの裏面側には、第1タッチパッド1が設けられている。図1(a)では隠れているが、第1タッチパッド1は左スポーク部13aの裏面側にも設けられている。第1タッチパッド1は、予めステアリングホイール10の部品として組み込まれていても良いし、後付けで設置されてもよい。
【0011】
第1タッチパッド1は、指の接触位置を検出する検出面を有する。第1タッチパッド1の検出面は、運転手がステアリングホイール10を握ったときの指(親指を除く)の可動範囲を含むように配置されている。たとえば、左スポーク部13a(右スポーク部13b)の裏面側に設けられた第1タッチパッド1は、左スポーク部13a(右スポーク部13b)の裏面側のうちリム部11の内周側面11aからセンターボス12側へ所定距離(たとえば、120mm)の範囲を検出面内に含むように配置されている。
【0012】
図1(b)に図示するように、右スポーク部13bの表面側には、第2タッチパッド2が設けられている。第2タッチパッド2は、左スポーク部13aの表面側にも設けられている。第2タッチパッド2は、予めステアリングホイール10の部品として組み込まれていても良いし、後付けで設置されてもよい。
【0013】
第2タッチパッド2は、指の接触位置を検出する検出面を有する。第2タッチパッド2の検出面は、運転手がステアリングホイール10を握ったときの親指の可動範囲を含むように配置されている。たとえば、左スポーク部13a(右スポーク部13b)の表面側に設けられた第2タッチパッド2は、左スポーク部13a(右スポーク部13b)の表面側のうちリム部11の内周側面11aからセンターボス12側へ所定距離(たとえば、120mm)の範囲を検出面内に含むように配置されている。
【0014】
第1タッチパッド1および第2タッチパッド2は、ナビゲーション装置、カーオーディオ、カーラジオ、カーテレビなど車載装置に接続されている。運転手の指が第1タッチパッド1や第2タッチパッド2の検出面に接触すると、その接触位置に対応した信号が車載装置へ送信される。
【0015】
図1(a)および図1(b)では、第1タッチパッド1および第2タッチパッド2は、ステアリングホイール10と異なる色で図示されているが、ステアリングホイール10と同一色であってもよい。また、第1タッチパッド1および第2タッチパッド2の形状は、図1の形状に限定しない。
【0016】
図2は、本発明の一実施の形態による入力装置のブロック構成図である。図2に例示する入力装置3は、第1タッチパッド1を二つと、第2タッチパッド2を二つ備える。入力装置3に備わる二つの第1タッチパッド1および二つの第2タッチパッド2は、それぞれナビゲーション装置4に接続されている。ナビゲーション装置4は、カーオーディオ機能とナビゲーション機能とを有し、運転手が入力装置3を介して行った操作に対応して動作する。
【0017】
ナビゲーション装置4は、表示部40と、スピーカ41と、制御部42と、記憶部43とを備える。表示部40は、液晶式の表示モニタなどであって、各種操作画面や道路地図などが表示される。スピーカ41は、音声案内や楽曲を再生する。
【0018】
制御部42は、CPUやRAM、ROMなどを備える。制御部42は、入力装置3に備わる二つの第1タッチパッド1および二つの第2タッチパッド2からの入力信号に基づいて、ステアリングホイール10を握った両手の指の軌跡を検出する。そして、制御部42が検出した指の動きに対応する動作をナビゲーション装置4が行うようにナビゲーション装置4の各部を制御する。
【0019】
記憶部43は、ハードディスクや、フラッシュメモリ、メモリカードなどの不揮発性の記録媒体である。記憶部43には、道路地図を表示部40に表示するための地図データや、スピーカ41から再生する音声案内や楽曲の音声データ、運転手が行ったナビゲーション装置4の設定情報などが記憶されている。
【0020】
制御部42のROMや、記憶部43には、ナビゲーション装置1を制御するための制御プログラムが記憶されている。制御部42は、RAM等を作業領域として用いてナビゲーション装置4の各種動作を実行する。
【0021】
入力装置3を利用したナビゲーション装置4の操作例について、図を用いて説明する。図3は、ナビゲーション装置4の表示部40に表示される操作画面の一例である。図3に例示される操作画面100は、ナビゲーション装置4が案内する案内経路の目的地を住所に基づいて探索するための画面である。操作画面100には、住所リスト101と地名入力ボタン102と地図表示ボタン103とが表示されている。また、操作画面100には、カーソル110が表示されている。
【0022】
図3では、住所リスト101には、五十音順に都道府県名が表示されている。住所リスト101は、その左端にスクロールバー111を有する。地名入力ボタン102は、運転手が住所を手入力する際に選択するボタンであり、住所リスト101の右側に表示されている。地図表示ボタン103は、カーソル110が表示されている項目の地図を表示部40に表示するためのボタンである。
【0023】
図4は、ステアリングホイール10のリム部11を両手で握った様子を図示している。図4では、リム部11を握った両手の親指が第2タッチパッド2の検出面に接触している。また、図示されていないが、ステアリングホイール10の裏面側では両手の指が第1タッチパッド1の検出面に接触している。図2の制御部42は、第1タッチパッド1や第2タッチパッド2の検出面に接触した各指の軌跡に基づいて、たとえば図3に図示されたカーソル110の移動や、住所リスト101のスクロール、住所リスト101の各項目や地名入力ボタン102、地図表示ボタン103の選択などの操作を行うことができる。
【0024】
(第1の操作例)
入力装置3の第1の操作例について説明する。図5(a)、図5(b)、および図5(c)は、第1の操作例を行う右手RH1を図示した図である。図5(a)は、右手RH1の正面図である。図5(b)および図5(c)は、右手RH1の上面図である。右手RH1は、ステアリングホイール10を握っているが、図5(a)ではステアリングホイール10の裏面側の指を明示するためにステアリングホイール10と第1タッチパッド1と第2タッチパッド2とを省略している。
【0025】
図5(b)および図5(c)に図示するように、右手RH1の親指F1は第1タッチパッド1の検出面に接触している。そして、右手RH1の人差し指F2は第2タッチパッド2の検出面に接触している。運転手が図5(b)の右手RH1の人差し指F2を第1タッチパッド1の検出面に接触させながら右方向にスライドさせると、たとえば図5(c)の状態となる。
【0026】
表示部40に図3の操作画面100が表示されているときに、図5(b)から図5(c)へのスライド操作が行われると、図3では住所リスト101の上に表示されていたカーソル110が図6に図示するように地名入力ボタン102(住所リスト101の右側に表示されている)に移動する。逆に図5(c)から図5(b)へ左方向にスライドする操作が行われると、地名入力ボタン102から住所リスト101へカーソル110が移動する。
【0027】
制御部42は、人差し指F2が図5(b)の位置から図5(c)の位置までスライドしたときの、第1タッチパッド1の検出面上の軌跡を検出する。そして、制御部42は、ROM等に記憶された制御プログラムに基づいて、検出した人差し指F2が右方向(左方向)にスライドした軌跡に対応する動作を行うように、ナビゲーション装置4を制御する(たとえば、カーソル110を右方向(左方向)に移動させる)。
【0028】
(第2の操作例)
入力装置3の第2の操作例について図7を用いて説明する。図7の右手RH2は、図4のようにステアリングホイール10(図7では不図示)を握った状態の手の形を示している。図7では、ステアリングホイール10の表裏面の手を明確に図示するため、ステアリングホイール10や入力装置3を図示していない。図7の右手RH2では、人差し指F2に加えて中指F3が第1タッチパッド1(図7では不図示)の検出面に接触している点が図5(a)の右手RH1と異なる。
【0029】
図7のブロック矢印A1は、右手RH2の人差し指F2と中指F3とを下方向にスライドさせる操作を表している。表示部40に図3の操作画面100が表示されているときに、運転手が右手RH2の人差し指F2と中指F3とを、第1タッチパッド1の検出面に接触させながら、ブロック矢印A1に沿って下方向にスライドさせると、たとえば住所リスト101が下方向にスクロールする。なお、右手RH2の人差し指F2と中指F3とを、第1タッチパッド1の検出面に接触させながら、ブロック矢印A1とは逆方向に上方向にスライドさせると、たとえば住所リスト101が上方向にスクロールする。
【0030】
図8は、住所リスト101が下方向にスクロールした操作画面300を示す。図8の操作画面300の住所リスト101では、図3の操作画面100において住所リスト101の表示範囲の最下段に表示されている「石川県」がスクロールしたことによって最上段に表示されている。
【0031】
制御部42は、右手RH2の人差し指F2と中指F3が図7の位置から下方向(上方向)にスライドしたときの、第1タッチパッド1の検出面上の軌跡を検出する。そして、制御部42は、ROM等に記憶された制御プログラムに基づいて、検出した人差し指F2と中指F3が下方向(上方向)にスライドした軌跡に対応する動作を行うように、ナビゲーション装置4を制御する(たとえば、住所リスト101をスクロールさせる)。なお、スクロール操作のためにスライドさせる指は、人差し指F2と中指F3のペアだけに限定しない。たとえば、人差し指F2のみ、中指F3のみ、あるいは人差し指F2および中指F3以外の1本以上の指の組み合わせをスライドさせることによりスクロール操作が行われることにしてもよい。
【0032】
制御部42は、運転手が指を左右方向にスライドしたとき、第1の操作例が行われたことを検出し、第1の操作例に対応したナビゲーション装置4の動作(たとえば、カーソル110の移動)を行う。また、運転手が指を上下方向にスライドしたとき、第2の操作例が行われたことを検出し、第2の操作例に対応したナビゲーション装置4の動作(たとえば、住所リスト101のスクロール)を行う。
【0033】
(第3の操作例)
入力装置3の第3の操作例について図9を用いて説明する。図9は、図7の右手RH2の人差し指F2と中指F3とが離れるように、第1タッチパッド1(図9では不図示)に接触したまま右手RH2の人差し指F2と中指F3とをスライドさせた状態を示している。制御部42は、このようなタッチパッドの検出面上の複数の指が離れるようにスライドする操作を、ピンチアウト操作またはピンチオープン操作として判断する。一方、図9の右手RH2の人差し指F2と中指F3とが近づくように、第1タッチパッド1(図9では不図示)に接触したまま人差し指F2と中指F3とをスライドさせたとき、制御部42はピンチイン操作またはピンチクローズ操作が行われたものとして判断する。
【0034】
制御部42は、ピンチアウト操作が行われたと判断すると、表示部40に表示された道路地図の拡大表示や、住所リスト101の展開、スピーカ41の大音量化などを行う。一方、制御部42は、ピンチイン操作が行われたと判断すると、表示部40に表示された道路地図の縮小表示や、住所リスト101の折たたみ、スピーカ41の音量低下のなどを行う。
【0035】
図10の操作画面300は、図8においてカーソル110が表示されていた住所リスト101の項目「石川県」がピンチアウト操作により展開され、「石川県」の市町村名が五十音順に表示された状態を示している。操作画面300の住所リスト301では、カーソル110が「石川県」の市町村名上に表示されている。
【0036】
制御部42は、単一のタッチパッド(第1タッチパッド1または第2タッチパッド2)に接触する複数の指の軌跡を個別に検出し、単一のタッチパッド上をスライドする複数の指の軌跡に対応するナビゲーション装置4の動作を行うことができる。
【0037】
(第4の操作例)
入力装置3の第4の操作例について図11、図12、および図13を用いて説明する。第4の操作例では、制御部42は、複数のタッチパッドに接触する複数の指の軌跡を個別に検出し、複数のタッチパッド上をスライドする複数の指の軌跡に対応するナビゲーション装置4の動作を行う。
【0038】
図11(a)および11(b)では、ステアリングホイール10を握った両手の親指を、左右の第2タッチパッド2の検出面にそれぞれ接触させながらスライドさせている。図11(a)では両手の親指が近づくようにスライドされており、図11(b)では両手の親指が離れるようにスライドされている。
【0039】
制御部42は、ステアリングホイール10の表面の左右にある第2タッチパッド2から両手の親指の軌跡を検出し、図11(a)のように両手の親指同士が近づいたことを検出すると、ピンチイン操作が行われたものと判断する。一方、制御部42は、図11(b)のように両手の親指同士が離れたことを検出すると、ピンチアウト操作が行われたものと判断する。
【0040】
ステアリングホイール10の裏面の左右にある第1タッチパッド1に両手の人差し指をそれぞれ接触させながらスライドさせて図11(a)と同様に両手の人差し指を近づけたときにも、制御部42はピンチイン操作が行われたものと判断することにしてもよい。また、ステアリングホイール10の裏面の左右にある第1タッチパッド1に両手の人差し指をそれぞれ接触させながらスライドさせて図11(b)と同様に両手の人差し指を離したとき、制御部42はピンチアウト操作が行われたものと判断するものとしてもよい。
【0041】
図12では、ステアリングホイール10の第2タッチパッド2に接触した右手RH3の親指F1が下方向にスライドし、当該第2タッチパッド2と右スポーク部13bを挟んだ位置にある第1タッチパッド1に接触した右手RH3の人差し指F2が上方向にスライドしている。制御部42は、このような操作が行われたときにもピンチアウト操作が行われたものと判断してもよい。また、ステアリングホイール10の第2タッチパッド2に接触した右手RH3の親指F1が上方向にスライドし、当該第2タッチパッド2と右スポーク部13bを挟んだ位置にある第1タッチパッド1に接触した右手RH3の人差し指F2が下方向にスライドしたとき、制御部42はピンチイン操作が行われたものと判断してもよい。
【0042】
図13は、図5(b)の状態から右手RH1の親指F1と人差し指F2とを共に右方向にスライドした状態を示す。制御部42は、第2タッチパッド2から右手RH1の親指F1が右方向にスライドした軌跡が検出され、且つ第1タッチパッド1から人差し指F2が右方向にスライドした軌跡が検出された場合、図5(b)の状態から図13の状態になる操作が行われたと判断する。このときたとえば、ナビゲーション装置4のカーオーディオ機能で音声を再生していた場合は、再生中の楽曲をお気に入りのコンテンツとして登録する動作を行ってもよい。お気に入りのコンテンツに関する情報は、記憶部43に個人情報として記憶される。
【0043】
(第5の操作例)
入力装置3の第5の操作例について図14を用いて説明する。図14には、ステアリングホイール10を握った右手RH4の親指で第2タッチパッド2の検出面を素早くたたく動作が図示されている。表示部40に図3の操作画面100などが表示部40に表示されているとき、運転手が図13に図示したタップ操作を行うと、カーソル110が表示されている項目が選択される。制御部42は、第2タッチパッド2に親指が接触している時間が所定時間よりも短いとき、タップ操作が行われたと判断する。制御部42は、第1タッチパッド1に指が接触している時間が短いときにタップ操作が行われたと判断してもよい。制御部42は、入力装置3に含まれる各タッチパッドに連続して接触する時間に基づいても、ナビゲーション装置4の動作を制御する。
【0044】
以上で説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
本実施の形態による入力装置3は、ナビゲーション装置4などの車載装置の操作に用いられ、第1タッチパッド1を備える。第1タッチパッド1はステアリングホイール10の裏面に設けられており、ナビゲーション装置4の制御部42に指の検出位置に関する信号を出力している。第1タッチパッド1の検出面には、ステアリングホイールを握った状態における指の可動範囲が含まれる。これにより、運転者はステアリングホイールから手を放さずに車載装置の複雑な操作を行うことができる。
【0045】
以上で説明した実施の形態は、以下のように変形して実施できる。
(変形例1)図5、図7、図9、図12、図13、および図14を用いて説明した各操作と同様の操作を、ステアリングホイール10を握った左手で行った場合や両手で行った場合にも、制御部42はステアリングホイール10を握った右手で行った場合と同様の判断を行い、車載装置(ナビゲーション装置4など)の動作を制御することにしてもよい。なお、右手で行った場合と左手で行った場合とで、スライド方向を左右反転させてもよい。また、右手で行った場合と左手で行った場合と両手で行った場合とで、車載装置(ナビゲーション装置4など)に異なる動作を行わせてもよい。
【0046】
(変形例2)ステアリングホイール10の表面に有する第2タッチパッド2は、図11や、図13、図14などの操作に用いる十字ボタンやレバー、ジョグダイアルなどのスイッチでもよい。
【0047】
(変形例3)制御部42は、第1タッチパッド1や第2タッチパッド2の検出面のうち、ステアリングホイール10を握った手に近い領域を操作した場合と遠い領域を操作した場合とで異なる動作を行うように車載装置(ナビゲーション装置4など)を制御してもよい。
【0048】
(変形例4)入力装置3は、個人認証用の入力装置としても利用できる。すなわち、記憶部43に入力装置3を用いた所定の操作の組み合わせを記憶させておき、車載装置(ナビゲーション装置4など)の個人設定を記憶部43から読み出すための鍵とすることができる。車載装置の個人設定には、ドライビングポジション、車両の冷房の強さ、ナビゲーション装置の登録地などを含む。
【0049】
(変形例5)入力装置3に含まれる第1タッチパッド1や第2タッチパッド2の個数は、2個に限定しない。右手用のタッチパッドのみを備えていてもよいし、左手用のタッチパッドのみを備えていてもよい。さらに、ステアリングホイール10の表面や裏面に3個以上のタッチパッドを備えていても良い。
【0050】
(変形例6)本発明の一実施の形態による入力装置は、第1タッチパッド1や第2タッチパッド2を介した指の軌跡を検出し、ナビゲーション装置4などの車載装置の動作を外部から制御する外部制御部をさらに備えていてもよい。このような形態は、第1タッチパッド1や第2タッチパッド2をステアリングホイール10に後付けする入力装置を、車載装置のオプションとして追加するときに好適である。図15は、そのような外部制御部5を備える入力装置のブロック構成図である。外部制御装置5は、二つの第1タッチパッド1と二つの第2タッチパッド2とに接続され、第1タッチパッド1や第2タッチパッド2を介した指の軌跡を検出し、ナビゲーション装置4の制御部42と通信を行い、ナビゲーション装置4の動作を外部から制御する。外部制御装置5は、上述の操作例すべてに対応することができる。
【0051】
(変形例7)第1タッチパッド1および第2タッチパッド2は、タッチパッドと表示モニタとが組み合わせられたタッチパネルでもよい。表示モニタには、たとえば(変形例3)で説明したステアリングホイール10を握った手に近い領域と遠い領域との間の境界線などが表示される。
【0052】
上記の実施の形態および変形例は、発明の特徴が損なわれない限り、組み合わせて実行してよい。また、上記の実施の形態や変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【符号の説明】
【0053】
1 第1タッチパッド
2 第2タッチパッド
3 入力装置
5 外部制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載装置の操作に用いられる入力装置であって、
指の接触を検出する検出面を有し前記検出面における前記指の接触位置に応じた信号を出力する第1のタッチパッドを備え、
前記第1のタッチパッドは前記車両のステアリングホイールの裏面に設けられ、
前記第1のタッチパッドの検出面には前記ステアリングホイールを握った状態における指の可動範囲が含まれることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力装置において、
前記第1のタッチパッドを複数備え、
複数の前記第1のタッチパッドのうちの少なくとも一つには、前記ステアリングホイールを握った状態における左手の指の可動範囲が含まれ、
複数の前記第1のタッチパッドのうちの少なくとも一つには、前記ステアリングホイールを握った状態における右手の指の可動範囲が含まれることを特徴とする入力装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の入力装置において、
指の接触を検出する検出面を有し前記検出面における前記指の接触位置に応じた信号を出力する第2のタッチパッドをさらに備え、
前記第2のタッチパッドはステアリングホイールの表面に設けられ、
前記第2のタッチパッドの検出面には前記ステアリングホイールを握った状態における親指の可動範囲が含まれることを特徴とする入力装置。
【請求項4】
請求項3に記載の入力装置において、
前記第2のタッチパッドを複数備え、
複数の前記第2のタッチパッドのうちの少なくとも一つには、前記ステアリングホイールを握った状態における左手の親指の可動範囲が含まれ、
複数の前記第2のタッチパッドのうちの少なくとも一つには、前記ステアリングホイールを握った状態における右手の親指の可動範囲が含まれることを特徴とする入力装置。
【請求項5】
請求項4に記載の入力装置において、
前記第1のタッチパッドおよび前記第2のタッチパッドのいずれかまたは両方から出力される信号に基づいて、前記第1のタッチパッドに接触する指および前記第2のタッチパッドに接触する親指のいずれかまたは両方がスライドした軌跡を検出し、検出された軌跡に対応した動作をするように前記車載装置を制御する制御手段をさらに備えることを特徴とする入力装置。
【請求項6】
請求項5に記載の入力装置において、
前記制御手段は、前記第1のタッチパッドに接触する指および前記第2のタッチパッドに接触する親指のいずれかまたは両方のスライド方向に対応した動作をするように前記車載装置を制御することを特徴とする入力装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の入力装置において、
前記制御手段は、前記第1のタッチパッドに接触する指および前記第2のタッチパッドに接触する親指のうちの複数の指がスライドした軌跡をそれぞれ検出し、検出された複数の指の軌跡の組み合わせに対応した動作をするように前記車載装置を制御することを特徴とする入力装置。
【請求項8】
請求項7に記載の入力装置において、
前記制御手段は、
一つの前記第1のタッチパッドに接触した2本の指と、二つの前記第1のタッチパッドの各々に1本ずつ接触した2本の指と、一つの前記第2のタッチパッドに接触した親指と一つの前記第1のタッチパッドに接触しており当該親指を有する手の当該親指以外の指からなる2本の指と、二つの前記第2のタッチパッドの各々に1本ずつ接触した両手の親指とのいずれかが離れるようにスライドしたときピンチアウト操作が行われたと判断し、
一つの前記第1のタッチパッドに接触した2本の指と、二つの前記第1のタッチパッドの各々に1本ずつ接触した2本の指と、一つの前記第2のタッチパッドに接触した親指と一つの前記第1のタッチパッドに接触しており当該親指を有する手の当該親指以外の指からなる2本の指と、二つの前記第2のタッチパッドの各々に1本ずつ接触した両手の親指とのいずれかが近づくようにスライドしたときピンチイン操作が行われたものとして判断することを特徴とする入力装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の入力装置において、
スイッチ部をさらに備え、
前記スイッチ部は前記ステアリングホイールの表面のうち、前記ステアリングホイールを握った状態における親指の可動範囲内に設けられることを特徴とする入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−95289(P2013−95289A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240331(P2011−240331)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】