説明

入国審査システム

【課題】ウォッチリストデータベースの登録数が多い場合においても、照合の結果として、少量の類似するウォッチリスト情報が表示され、オペレータの結果確認の時間を短くすることができる入国審査迅速化システム及び方法を提供する。
【解決手段】第一の審査において、第一の生体情報を出入国審査時生体情報DB56に保管し、通常入国審査クライアント端末60はID情報ウォッチリスト情報51と生体情報ウォッチリスト52との第一の照合の結果を表示し、その後、第二の審査において、出入国審査時生体情報DB56内の第一の生体情報と、簡易入国審査クライアント端末70により取得された第二の生体情報との照合を行い、簡易入国審査クライアント端末70は第一の照合以降に追加されたウォッチリスト情報との第二の照合の結果を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入国審査を行うための情報処理技術に関する。その中でも特に、生体認証等の個人認証を利用した入国審査の迅速化を可能にするための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
空港などにおける入国審査を効率的に行うための技術が種々提案されている。例えば、特許文献1には、汎用端末から入力された旅客情報を受け取る共同制御装置と、汎用端末から又は共同制御装置が受け取った旅客情報を記憶する事前旅客情報データベースとを具備し、共同制御装置は、旅客情報が所定条件を満足するか否かを判断し、所定条件を満足する場合、旅客情報を事前旅客情報データベースに記憶させる一方、所定条件を満足しない場合、旅客情報を事前旅客情報データベースに記憶させることなく、汎用端末に不受理情報を送信する入国前審査システムが開示されている。
【0003】
また、非特許文献1のChapter4 System Architectureには、生体情報ウォッチリストデータベースを用いた個人識別システムの仕組みが開示され、この非特許文献1のChapter1 Introduction にはUnited States Visitor and Immigrant Status Indicator Technology(US-VISIT)の説明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−215999公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Privacy Impact Assessment Update for the US-VISIT Program, U.S. Department of Homeland Security, July 1st 2005. Chapter1, 4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
然るに、非特許文献1に開示された個人識別システムの仕組みでは、ウォッチリストデータベースの登録数が多い場合には照合の結果として大量の類似するウォッチリスト情報が表示され、オペレータの結果確認に多くの時間を要する場合がある。
【0007】
また、このシステムではウォッチリスト照合結果表示を含めた個人識別処理全体に時間を要する場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、例えばウォッチリストデータベースの登録数が多く、照合結果確認に手間が掛かるオペレータの確認時間を短くすることができる入国審査迅速化システム及び方法を提供することを課題とする。
【0009】
また、本発明は、ウォッチリスト照合結果表示を含めた入国審査処理全体の時間を短くすることも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明では、審査対象者の過去の入国に関し、所定の条件を満たしているかを判断し、当該条件を満たしている場合、過去の入国の際に個人識別に用いた個人情報と、当該審査対象者から取得した個人情報を照合することで、過去の入国者(審査対象者)との同一性確認を可能とするものである。
【0011】
また、本発明には、以下の態様も含まれる。第一の入国における第一の審査の際に、いわゆるウォッチリストデータベースに格納されたウォッチリスト情報と審査対象者から入力された個人情報を照合して個人識別を実施し、この個人情報を登録しておき、その後の入国の際の第二の審査において、第一の審査の際に登録された個人情報と第二の審査の際に審査対象者から入力された個人情報を照合して、審査対象者の同一性を確認可能とする。
【0012】
この態様において、本発明に係る入国審査システムは、好ましくは、
第一の端末より取得される利用者のID情報と生体情報を含む審査情報を保管する審査情報DBと、
ウォッチリスト情報を保管するウォッチリストデータベースと、
該ウォッチリストデータベースのウォッチリスト情報との照合を行う照合サーバと、
ウォッチリスト照合結果を表示する該第一の端末と、
該審査情報DB内の生体情報と、第二の端末により取得された生体情報を照合して、同一人物の生体情報であるか否かを判定する簡易審査対象者照合機能を有する個人認証サーバと、を有し、
第一の審査において、第一の生体情報を該審査情報DBに保管し、
該照合サーバは第一のウォッチリスト情報との照合を行い、
該第一の端末は該第一のウォッチリスト情報との照合結果を表示し、
その後、第二の審査において、該簡易審査対象者照合機能は、該審査情報DB内の該第一の生体情報と、該第二の端末により取得された第二の生体情報との照合を行い、
該照合サーバは該ウォッチリストデータベース内の第一のウォッチリスト情報以外の第二のウォッチリスト情報の照合を行い、
該第二の端末は該第二のウォッチリスト情報との照合結果を表示する、
ことを特徴とする。
【0013】
またさらに、本態様において、第二の審査においては、オペレータ(入国審査官)の入力に応じて、ウォッチリスト情報との照合、第二のウォッチリスト情報との照合のいずれかを選択可能とする構成も本発明に含まれる。
【0014】
以上のように、本発明は、過去の審査(第一の審査)結果を利用して、第二の審査における個人照合を含む審査処理を効率化するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、過去の審査(第一の審査)の結果を利用して、個人照合を効率化することにより、審査の手間ないし時間を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例による入国審査システムの構成例を示す図。
【図2】実施例による通常入国審査クライアント端末60および簡易入国審査クライアント端末70の構成例を示す図。
【図3】実施例におけるID情報ウォッチリスト51の例を示す図。
【図4】実施例における生体情報ウォッチリスト52の例を示す図。
【図5】実施例における出入国審査情報53の例を示す図。
【図6】実施例におけるID情報ウォッチリスト照合結果54の例を示す図。
【図7】実施例における生体情報ウォッチリスト照合結果55の例を示す図。
【図8】実施例における出入国審査時生体情報56の例を示す図。
【図9】実施例における初回入国時の通常入国審査処理シーケンスの例を示す図(その1)。
【図10】実施例における初回入国時の通常入国審査処理シーケンスの例を示す図(その2)。
【図11】実施例における初回入国時の通常入国審査処理シーケンスの例を示す図(その3)。
【図12】実施例における初回入国時の通常入国審査処理を行った後に、再度入国する場合の簡易入国審査処理シーケンスの例を示す図(その1)。
【図13】実施例における初回入国時の通常入国審査処理を行った後に、再度入国する場合の簡易入国審査処理シーケンスの例を示す図(その2)。
【図14】実施例における初回入国時の通常入国審査処理を行った後に、再度入国する場合の簡易入国審査処理シーケンスの例を示す図(その3)。
【図15】実施例における初回入国時の通常入国審査処理において通常入国審査クライアント端末60に表示する画面を示す図。
【図16】実施例における再度入国する場合の簡易入国審査処理において簡易入国審査クライアント端末70に表示する画面を示す図。
【図17】実施例の入国審査システムにおける各装置のハードウェア構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明による幾つかの実施例について詳細に説明する。
以下の説明において、「ID情報」は、パスポート番号やID(Identity)カード番号等の識別子(Identifier)情報や、パスポートやIDカードに記載されている国籍や氏名や性別や生年月日などのIdentity情報を総称するものとする。また、「ウォッチリスト」とは、U.S. Department of Homeland Securityの説明と同様に、「航空機に搭乗を拒否された個人を含むリスト」、或いは「航空機に搭乗を許可される前の付加的なセキュリティスクリーニングを受けなければならない個人を含むリスト」を称するものとする。
【0018】
また、旅客が入国する場合に入国港において入国審査官が出入国管理システムのサポートを受けながら行う審査のことを「入国審査」というものとする。
【0019】
実施例1と実施例2は、国際空港における外国人の出入国管理システムの例を示している。なお、ここでは国際空港の例を示しているが、国際海港や道路の国境ゲートにも同様にこの出入国管理システムを適用可能である。
【0020】
入国審査には「厳正性」の軸と「迅速性」の軸があるが、実施例では、「厳正性」を維持しつつ「迅速性」の効果を得るものである。
【実施例1】
【0021】
本実施例では、初回入国時に通常の入国審査処理を行い、また、ID情報と生体情報を取得、保管し、2回目以降の入国時に再度ID情報と生体情報を取得し、保管している生体情報と照合し、簡易入国審査処理を行う例を示す。
【0022】
図1は、入国審査システムの構成を示す。
入国審査システムは、データセンタ1と、通常入国審査クライアント端末60と簡易入国審査クライアント端末70が、ネットワーク9により相互に接続されて構成される。これらは、いわゆるコンピュータで実現され、それぞれの処理(後述する各機能等)をプログラムに従ってCPUの如き演算装置で実行する。
【0023】
データセンタ1は、出入国管理サーバ10と、ID情報照合サーバ20と、個人識別サーバ30と、個人認証サーバ40と、データベース(DB)50を有する。DB50は、ID情報ウォッチリスト51と、生体情報ウォッチリスト52と、出入国審査情報(Passport Control Information)53と、ID情報ウォッチリスト照合結果54と、生体情報ウォッチリスト照合結果55と、出入国審査時生体情報56の各DBを含む。
【0024】
なお、出入国審査情報53とID情報ウォッチリスト照合結果54は、両者を統合した単一のDBであってもよいし、2つの分かれたDBであってもよい。
次に、データセンタ1の構成について詳しく説明する。
【0025】
出入国管理サーバ10は、入国審査業務管理機能11を有する。入国審査業務管理機能11は、ID情報照合サーバ20や個人識別サーバ30や個人認証サーバ40の各機能やDB50の各情報を利用しながら、通常入国審査クライアント端末60や簡易入国審査クライアント端末70と連携して入国審査業務を管理(業務を実現するための情報処理を実行)する。
【0026】
ID情報照合サーバ20はID情報ウォッチリスト照合機能21を有し、このID情報ウォッチリスト照合機能21は、ID情報取得機能602により取得された特定のID情報に合致あるいは類似するデータをID情報ウォッチリスト51内のデータから検索する。あるいは、ID情報ウォッチリスト51内のある番号以降のID情報ウォッチリスト更新通し番号が付与されているデータから検索する。
【0027】
個人識別サーバ30は生体情報ウォッチリスト照合機能31を有し、この生体情報ウォッチリスト照合機能31は、指静脈&指紋&顔生体情報取得機能610により取得されたあるいは出入国審査時生体審査情報56に保管された特定の生体情報に合致する生体情報が、生体情報ウォッチリスト52のデータ内に存在するか否かを判定する。あるいは、生体情報ウォッチリスト52のある番号以降の生体情報ウォッチリスト更新通し番号が付与されているデータ内に存在するか否かを判定する。ここでは、指静脈&指紋&顔生体情報と記載したが、これらは少なくともその1つを用いる構成も本実施例に含まれる(後述のとおり)。
【0028】
個人認証サーバ40は簡易入国審査対象者照合機能41を有し、この簡易入国審査対象者照合機能41は、出入国審査時生体情報56内の生体情報と、指静脈&指紋&顔生体情報取得機能610により取得された生体情報とを照合して、同一人物の生体情報であるか否かを判定する。
【0029】
なお、簡易入国審査対象者照合機能41は、例えば指静脈&指紋&顔生体情報取得機能610で取得される、マルチモーダル(例えば、顔、指紋、指静脈などの複数種類の生体情報)を使って照合してもよい。この場合には、複数種類の生体情報のうち、環境の影響によりある種類の生体情報の取得品質が低くても、他の生体情報の取得品質が高ければ、全体としてより正確な照合、判定が可能となる。また、故意にある種類の生体情報が変造されたとしても、他の生体情報が正常に取得できれば、正確な判定が可能となる。
【0030】
なお、簡易入国審査対象者照合機能41は、例えば指静脈&指紋&顔生体情報取得機能610で取得される、いずれか一つのモーダル(例えば、顔、指紋、指静脈のいずれか)を使って照合してもよい。
【0031】
図2は、通常入国審査クライアント端末60と簡易入国審査クライアント端末70の機能構成を示す。
通常入国審査クライアント端末60と簡易入国審査クライアント端末70は、図1のように別の端末装置であってもよいし、通常入国審査クライアント端末60と簡易入国審査クライアント端末70の両方の機能を持つ同一端末であってもよい。あるいは、通常入国審査クライアント端末60と簡易入国審査クライアント端末70を包含する機能を持った端末を、通常入国審査クライアント端末60と簡易入国審査クライアント端末70の各々の用途で使っても良い。これらのことは、言い換えると、各クライアント端末について、利用できる業務アプリケーション(プログラム)を必要とする業務(審査)に応じて変更することで実現可能であるし、また、必要に応じて起動するプログラムを変えることでも実現可能である。
【0032】
通常入国審査クライアント端末60は、ID情報取得機能602と審査履歴表示機能604とID情報ウォッチリスト照合結果表示機能606と指静脈&指紋&顔生体情報取得機能610と生体情報ウォッチリスト照合結果表示機能612と入出国カード番号取得機能616と証印シール出力機能618と入国審査結果登録機能620とを有し、簡易入国審査クライアント端末70は、ID情報取得機能602と審査履歴表示機能604と差分ID情報ウォッチリスト照合結果表示機能608と指静脈&指紋&顔生体情報取得機能610と差分生体情報ウォッチリスト照合結果表示機能614と入国審査結果登録機能620とを有する。指静脈&指紋&顔生体情報取得機能610は、上述のように、少なくとも1つの生体情報を扱えればよい。
【0033】
ID情報取得機能602は、旅客が所持するパスポートやIDカードや査証や認定証などから、パスポートリーダやカードリーダやバーコードリーダなどを用いて旅客のID情報を取得する機能である。
【0034】
審査履歴表示機能604は、出入国審査情報53の中の該当する審査履歴情報を表示する機能であり、通常入国審査クライアント端末60においては図15の審査履歴ウィンドウに示すように表示、あるいは、簡易入国審査クライアント端末70においては図16の審査履歴ウィンドウに示すように表示する。
【0035】
ID情報ウォッチリスト照合結果表示機能606は、ID情報ウォッチリスト照合機能21により検索した結果を、図15のID情報ウォッチリスト照合結果ウィンドウに示すように表示する機能であり、差分ID情報ウォッチリスト照合結果表示機能608は、ID情報ウォッチリスト照合機能21により一部のデータから検索した結果を、図16の差分ID情報ウォッチリスト照合結果ウィンドウに示すように表示する機能である。
【0036】
指静脈&指紋&顔生体情報取得機能610は、例えば、顔画像を取得するカメラと、指紋や指静脈情報を取得するセンサと、カメラやセンサから取得された情報の信号処理機能から構成され、旅客から複数種類の生体情報(顔画像、指紋、指静脈)を取得する。
【0037】
なお、指静脈&指紋&顔生体情報取得機能610において指紋と指静脈情報を同時に単一のセンサで取得できると、指紋と指静脈を別の2つのセンサで取得する場合と比較して、利用者の操作が少なくてすむ。
【0038】
生体情報ウォッチリスト照合結果表示機能612は、生体情報ウォッチリスト照合機能31により照合した結果を、図15の生体情報ウォッチリスト照合結果ウィンドウに表示する機能であり、差分生体情報ウォッチリスト照合結果表示機能614は、生体情報ウォッチリスト照合機能31により一部のデータに対して照合した結果を、図16の差分生体情報ウォッチリスト照合結果ウィンドウに表示する機能である。
【0039】
入出国カード番号取得機能616は、バーコードリーダなどにより出入国カード番号を取得する機能である。
証印シール出力機能618は、証印シールを印刷するための機能である。これは、図示しない印刷機に対して、認証シールの印刷指示を送信する。
【0040】
入国審査結果登録機能620は、入国審査の結果を図5の出入国審査情報53の審査履歴534に登録する機能である。
【0041】
図3は、ID情報ウォッチリスト51の例を示す図である。
ID情報ウォッチリスト51は、旅客識別番号と、旅券番号や国籍、氏名などのID情報と、登録日時と、ID情報ウォッチリスト更新通し番号から構成され、要注意人物のID情報を保管する。なお、ID情報ウォッチリスト51は、任意のタイミングで情報が追加または削除されることで、常に情報が更新される。ID情報ウォッチリスト51に新たにデータを加える場合には、ID情報ウォッチリスト51内の最大のID情報ウォッチリスト更新通し番号(例えば図3の例で1001)に1を加えた番号を新たなデータに振る。さらに、ID情報ウォッチリスト51に既に記録されている情報を更新する場合には、ID情報ウォッチリスト51内の最大のID情報ウォッチリスト更新通し番号に1を加えた番号を更新したデータに振る。(例えば、NG_Passenger0002)の内容を更新した場合に、1002を振る。)
なお、ID情報ウォッチリスト51は、国外への退去強制の際のリストであったり、国外から入手するウォッチリストであったりする。これらは、本実施例のように同一データベース51に保管する場合もあるし、別のデータベースに保管する場合もある。別のデータベースに保管する場合には、それぞれ別々にID情報ウォッチリスト更新通し番号を振る。このID情報ウォッチリスト更新通し番号は、互いに識別できるものであれば、よいので「通し」ないし「ランダム」、「番号」ないし「(番号+)記号」などで実現できる。
【0042】
図4は、生体情報ウォッチリスト52の例を示す図である。
生体情報ウォッチリスト52は、ID情報ウォッチリスト51と同様の旅客識別番号と、生体情報(指紋情報や顔画像情報)と、登録日時と、生体情報ウォッチリスト更新通し番号から構成され、要注意人物の生体情報を保管する。なお、生体情報ウォッチリスト52は、任意のタイミングで情報が追加または削除されることで、適宜その情報が更新される。生体情報ウォッチリスト52に新たにデータを加える場合には、生体情報ウォッチリスト52内の最大の生体情報ウォッチリスト更新通し番号(例えば図4の例で2001)に1を加えた番号を新たなデータに振る。さらに、生体情報ウォッチリスト52に既に記録されている情報を更新する場合には、生体情報ウォッチリスト52内の最大の生体情報ウォッチリスト更新通し番号に1を加えた番号を更新したデータに振る。(例えば、NG_Passenger0002)の内容を更新した場合に、2002を振る。)
なお、生体情報ウォッチリスト52は、国外への退去強制の際のリストであったり、国外から入手するウォッチリストであったりする。これらは、本実施例のように同一データベース52に保管する場合もあるし、別のデータベースに保管する場合もある。別のデータベースに保管する場合には、それぞれ別々にID情報ウォッチリスト更新通し番号を振る。
【0043】
図5は、出入国審査情報53の例を示す図である。
出入国審査情報53は、旅客識別番号531と、ID情報532と、審査履歴ID533と、審査履歴534と、出入国カード番号535と、から構成される。
なお、図5に示すように、同一旅客に対して複数のレコード(5300〜5302)を記録することができ、それぞれに異なる審査履歴IDを付与する。
なお、審査履歴534に「入国不許可」を記録する場合には、その原因となったID情報ウォッチリストや生体情報ウォッチリストを特定できるようにしておくこともできる。
【0044】
図6は、ID情報ウォッチリスト照合結果54の例を示す図である。
ID情報ウォッチリスト照合結果54は、出入国審査情報53と共通の旅客識別番号541と審査履歴ID542や、さらに、ID情報ウォッチリスト審査結果543と、ID情報ウォッチリストチェック済み更新通し番号544と、を含む。
【0045】
図7は、生体情報ウォッチリスト照合結果55の例を示す図である。
生体情報ウォッチリスト照合結果55は、出入国審査情報53と共通の旅客識別番号551と審査履歴ID552や、生体情報ウォッチリスト審査結果553と、生体情報ウォッチリストチェック済み更新通し番号554と、を含む。
【0046】
なお、生体情報ウォッチリスト照合結果55における、旅客識別番号551と審査履歴ID552は、出入国審査情報53と共通であってもよいし、共通でなくてもよい。共通でない場合には、例えばの審査履歴ID552と審査履歴ID533を紐づける情報を出入国審査情報53が管理することにより対応付けをとることができる。
【0047】
図8は、出入国審査時生体情報56の例を示す図である。
出入国審査時生体情報56は、出入国審査情報53と共通の旅客識別番号561と審査履歴ID562や、審査の際に記録した生体情報(指紋、顔画像、指静脈)563と、を含む。
【0048】
図9と図10と図11は、旅客の初回入国時の入国審査処理シーケンスの一連を示す図である。
まず、図9のシーケンスを参照して、入国審査処理(その1)について説明する。
【0049】
通常入国審査クライアント端末60は、ID情報取得機能602によりID情報を取得し、出入国管理サーバ10に送信する(S100)。
【0050】
出入国管理サーバ10は、S100により得られたID情報をキーに出入国審査情報53内のID情報532を検索し、該当するデータがあった場合にはこれに対応する審査履歴534を取得し、該当するデータがない場合には、出入国審査情報53に新たに審査履歴を記録する列を追加(例えば図5の5303を追加)する(S102)。出入国管理サーバ10は、S102で取得したデータを通常入国審査クライアント端末60に送信し(S104)、通常入国審査クライアント端末60がこれを表示する(S104)。
【0051】
出入国管理サーバ10は、S100で受信したID情報及びウォッチ照合要求をID情報照合サーバ20に送信する(S108)。ID情報照合サーバ20は、受信したID情報についてID情報に合致あるいは類似するデータをID情報ウォッチリスト51内のデータから検索し、その結果を出入国管理サーバ10に応答し(S110)、出入国管理サーバ10はこれを通常入国審査クライアント端末60に送信し(S112)、通常入国審査クライアント端末60がこれを表示する(S114)。なお、S110で出入国管理サーバ10に応答し、S112で通常入国審査クライアント端末60に送信し、S114で表示する結果は、一致あるいは類似した情報の有無や、類似度の高いID情報ウォッチリスト51の情報一覧の場合がある。
【0052】
続いて、図10のシーケンスを参照して、入国審査処理(その2)について説明する。
通常入国審査クライアント端末60は、指紋と指静脈の情報を指静脈&指紋&顔生体情報取得機能610により取得し、出入国管理サーバ10に送信し(S116)、顔の情報を指静脈&指紋&顔生体情報取得機能610により取得し、出入国管理サーバ10に送信する(S118)。出入国管理サーバ10は、これを、今回の審査の旅客識別番号と審査履歴IDに対応する出入国審査時生体情報56のカラム(図8の生体情報563&5600のカラム)に記録する(S120)
通常入国審査クライアント端末60は、S116とS118で取得した指紋と顔の生体情報及びウォッチ照合要求を個人識別サーバ30に送信し(S122)、個人識別サーバ30は生体情報ウォッチリスト52の中に、受信した生体情報と一致あるいは類似した情報がないか照合し、その結果を通常入国審査クライアント端末60に応答し(S124)、通常入国審査クライアント端末60がこれを表示する(S126)。なお、通常入国審査クライアント端末60に応答する結果は、一致あるいは類似した情報の有無や、類似度の(予め定められた値より)高い生体情報ウォッチリスト52の情報一覧の場合がある。
【0053】
通常入国審査クライアント端末60のオペレータは、S126で表示された情報を元に、旅客が生体情報ウォッチリストに該当するか否かを判定し、判定結果を通常入国審査クライアント端末60に入力することが可能になる。通常入国審査クライアント端末60は、判定結果を生体情報ウォッチリスト照合結果55の今回の審査に対応する旅客識別番号と審査履歴IDに対応するカラム(例えば553&5500のカラム)に記録し、さらに、S124でチェックしたデータ中の生体情報ウォッチリストチェック済み更新通し番号の最大値をカラム(554&5500)に記録する(S128)。
【0054】
続いて、図11のシーケンスを参照して、入国審査処理(その3)について説明する。
通常入国審査クライアント端末60は入出国カード番号取得機能616より入出国カード番号を取得し出入国管理サーバ10へ送信し(S130)、出入国管理サーバ10は、出入国審査情報53の今回の審査に対応する旅客識別番号と審査履歴IDに対応する、カラム(535&5300)にこれを登録する(S132)。
【0055】
通常、入国審査クライアント端末60のオペレータは、S114で表示された情報を元に旅客がウォッチリストに該当するか否かを判定し、さらに、他の審査業務内容とも総合して入国許可を判定する。そして、通常入国審査クライアント端末60は、判定に従って入力される内容に応じて、今回の審査に対応する旅客識別番号と審査履歴IDに対応する、
(1)ID情報ウォッチリスト照合結果54のカラム(543&5400)に判定結果を記録し、
(2)ID情報ウォッチリスト照合結果54のカラム(544&5400)にS110でチェックしたデータ中のID情報ウォッチリストチェック済み更新通し番号の最大値を記録し、
(3)出入国審査情報53のカラム(534&5300)に入国許可判定結果を記録する(S134)。
【0056】
通常入国審査クライアント端末60は、証印シール出力機能618により証印シールを印刷し、処理を終える(S136)。
【0057】
図12と図13と図14は、旅客が図9から図11に示すシーケンスにより初回入国を行った後に、出国し、再度入国する場合の入国審査処理シーケンスである。
図12から図14のシーケンスは、図9から図11のシーケンスと比較して、処理全体の時間が一般に短く、入国審査処理全体の時間を短くすることができる。
【0058】
ここでは、図9、図10、図11の処理が一度以上行われ、例えば、出入国審査情報53には5300と5301が記録され、ID情報ウォッチリスト照合結果54には5400が記録され、生体情報ウォッチリスト照合結果55には5500が記録され、出入国審査時生体情報56には5600が記録されている状態であるとする。
【0059】
まず、図12のシーケンスを参照して、簡易入国審査処理(その1)を説明する。
簡易入国審査クライアント端末70は、ID情報取得機能602によりID情報を取得し、出入国管理サーバ10に送信する(S200)。
出入国管理サーバ10は、S200により得られたID情報をキーに出入国審査情報53内のID情報532を検索し、該当するデータがあった場合にはこれに対応する審査履歴534を取得し、ID情報ウォッチリスト照合結果54の該当するID情報ウォッチリストチェック済み更新通し番号544(本例では1000)を取得し、生体情報ウォッチリスト照合結果55の該当する生体情報ウォッチリストチェック済み更新通し番号554(本例では2000)を取得する(S202)。出入国管理サーバ10は、S202で取得したデータを通常入国審査クライアント端末60に送信し(S204)、通常入国審査クライアント端末60がこれを表示する(S204)。
【0060】
なお、図9のS100からS106と図12のS200からS206までの処理は同様であり、S102あるいはS202により、旅客が初回入国(検索の結果情報なし)、あるいは2回目以降の入国(検索の結果履歴情報あり)が判断できる。判断の結果、初回入国の場合には、S104以降の処理を行い、2回目以降の入国の場合にはS204以降の処理を行うこともできる。ここで、「検索の結果情報なし」を初回入国と判断している。このため、過去(ないし今回)の入国が不正な場合、初回入国と判断されることもある。
【0061】
出入国管理サーバ10は、S200で受信したID情報及びS202で受信した審査履歴に含まれるID情報ウォッチリストチェック済み更新通し番号(図5の例では1000)及びウォッチ照合要求をID情報照合サーバ20に送信する(S208)。ID情報照合サーバ20は、ID情報ウォッチリスト51内の受信したチェック済み更新通し番号より大きい番号のデータから検索しその結果を出入国管理サーバ10に応答する(S210)。出入国管理サーバ10はこれを簡易入国審査クライアント端末70へ送信し(S212)、簡易入国審査クライアント端末70はこれを表示する(S214)。
【0062】
S210の処理は、更新された(チェック済み更新通し番号より大きい番号の、すなわち差分の)ウォッチリストに制限して処理を行うため、S110の処理と比較して、一般に処理時間が短くてすむ。
【0063】
なお、S208からS214までの処理は、差分のID情報ウォッチリストの照合を行いその結果を表示しているが、簡易入国審査クライアント端末70のオペレータの選択により、S208からS214の処理に代えて、S108からS114の処理を行ってもよい。これにより、2回目以降の入国であってもオペレータの意思で差分以外のID情報を含めたウォッチリストチェックを行うことを可能とする。
【0064】
続いて、図13のシーケンスを参照して、簡易入国審査処理(その2)を説明する。
出入国管理サーバ10は、前回入国時の指紋と顔の情報(563&5600)を出入国審査時生体情報56より取得する(S216)。
【0065】
出入国管理サーバ10は、S216で取得した指紋と顔の情報及びS202で受信した審査履歴に含まれる生体情報ウォッチリストチェック済み更新通し番号(2000)及びウォッチリスト照合要求を個人識別サーバ30に送信する(S218)。個人識別サーバ30は、受信したチェック済み更新通し番号より大きい番号のデータに対し照合しその結果を出入国管理サーバ10に応答する(S220)。出入国管理サーバ10はこれを簡易入国審査クライアント端末70へ送信し(S222)、簡易入国審査クライアント端末70はこれを表示する(S224)。
【0066】
S220の処理は、更新された(チェック済み更新通し番号より大きい番号の、すなわち差分の)ウォッチリストに制限して処理を行うため、S110の処理と比較して、処理時間が短くてすむ。
【0067】
なお、S218からS224までの処理は、差分の生体情報ウォッチリストの照合を行いその結果を表示しているが、簡易入国審査クライアント端末70のオペレータの選択により、S218からS224の処理に代えて、S122からS126のような処理を行ってもよい。これにより、2回目以降の入国であってもオペレータの意思で差分以外の生体情報を含めたウォッチリストチェックを行うことを可能とする。
【0068】
簡易入国審査クライアント端末70のオペレータは、S224で表示された情報を元に、旅客が生体情報ウォッチリストに該当するか否かを判定し、判定結果を簡易入国審査クライアント端末70に入力する。この入力を受け、簡易入国審査クライアント端末70は、判定結果を生体情報ウォッチリスト照合結果55の今回の審査に対応する旅客識別番号と審査履歴IDに対応するカラム(例えば553&5501)に記録し、さらに、S220でチェックしたデータ中の生体情報ウォッチリストチェック済み更新通し番号の最大値をカラム(554&551)に記録する(S226)。
【0069】
続いて、図14のシーケンスを参照して、簡易入国審査処理(その3)を説明する。
簡易入国審査クライアント端末70は指静脈&指紋&顔生体情報取得機能610の一部の機能を使い、指静脈情報を取得し、これらを出入国管理サーバ10に送信する(S228)。
【0070】
出入国管理サーバ10は、S228において指静脈情報を取得した旅客が、出入国審査情報53に登録された旅客と同一人物か否かの判定(個人認証)を、個人認証サーバ40に要求する(S230)。なお、S230では、S200で受信したID情報とS228で受信した指静脈情報を添付して要求する。
【0071】
個人認証サーバ40は、S230で受信したID情報に一致する旅客識別番号(図4のPassenger_0001)を特定し、該当する生体情報(出入国審査時生体情報56の563&5600)を取得する。S230で受信した指静脈情報と563&5600に登録された指静脈情報とを照合し、同一人物の情報であるか否かを判定し、その結果を出入国管理サーバ10に応答する(S232)。S232では、同一人物の情報でないと判定した場合には認証NGの結果を応答し、同一人物と判定した場合には認証OKの結果を応答し、出入国管理サーバ10はこれを簡易入国審査クライアント端末70に通知し(S234)、簡易入国審査クライアント端末70はこれを表示する(S236)。
【0072】
なお、S228からS236の一連の処理は、指静脈、指紋、顔画像のいずれか、あるいはこれらの組み合わせで行うことができる。複数種類の生体情報の組み合わせ(例えば指紋と指静脈)を使って照合すると、一種類の生体情報(例えば指紋)を使った照合に比べて次のいずれかあるいは両方の効果が得られる。(1)より正確な照合が可能となる。(2)環境の影響や個人特性により、旅客の一方の生体情報(例えば指紋)の取得が困難な場合に、他方の生体情報(例えば指静脈)を使って照合することで、照合できないケースを減少させる。
【0073】
なお、なお、S228からS236の一連の処理は、指静脈、指紋、顔画像のいずれか、で行うことができる。この場合、認証精度の順に、指静脈>指紋>顔画像の順に、他人によるなり代わりを防ぐ効果が得られ、例えば指静脈情報を使うことで、入国審査の「厳正性」を維持することができる。
【0074】
なお、S228からS236の処理は本実施例のようにS226とS238の間でおこなってもよいし、S200とS220の間の任意のタイミングで行ってもよい。S226とS238の間で行うと、差分ID情報ウォッチリスト照合結果表示と、差分生体情報照合結果表示を行った後に、簡易入国審査対象者個人認証を行うことになり、簡易入国審査クライアント端末70のオペレータに審査の処理の順番(1、ウォッチリスト照合、2、個人認証)を明示的に示すことができる。
【0075】
簡易入国審査クライアント端末70のオペレータは、S236で表示された情報を元に旅客がウォッチリストに該当するか否かを判定し、さらに、他の審査業務内容とも総合して入国許可を判定し、簡易入国審査クライアント端末70より今回の審査に対応する旅客識別番号と審査履歴IDに対応する、
(1)ID情報ウォッチリスト照合結果54のカラム(543&5401)に判定結果を記録し、
(2)ID情報ウォッチリスト照合結果54のカラム(544&5401)にS210でチェックしたデータ中のID情報ウォッチリストチェック済み更新通し番号の最大値を記録し、
(3)出入国審査情報53のカラム(534&5302)に簡易入国許可判定結果を記録する(S238)。
【0076】
なお、S238の処理で簡易入国審査クライアント端末70のオペレータが「入国不許可」と判定した場合には、オペレータの指示により図9から図11の通常審査のフローを行うこともできるし、図9から図11の処理の一部を省略して(例えばS108からS114を省略して)通常審査のフローを行うこともできる。
【0077】
なお、図12から図14の処理は、図9から図11の処理と比較して一部の処理を省略しているが、省略しない場合もある。例えば、S208からS214の処理に代えて、S108からS114の処理を行ってもよいし、S216の処理に代えてS116とS118の処理を行ってもよいし、S218からS224の処理に代えてS122からS126と同様の処理を行っても良いし、S236とS238の間にS130からSS132の処理を行っても良いし、S238の後にS136の処理を行っても良い。
【0078】
図15は、図9から図11のシーケンスにおいて通常入国審査クライアント端末60に表示される画面の例を示す図である。
【0079】
通常入国審査クライアント端末60は、S106で審査履歴6004を表示し、S114で、ID情報ウォッチリスト照合結果6000を表示し、S126で生体情報ウォッチリスト照合結果6002を表示する。
【0080】
なお、図15の審査履歴6004には、最新の履歴から順に上から下に並べて表示することができる。これによりオペレータは最新の履歴を容易に確認できる。
なお、図15の審査履歴6004は表示してもよいし、しなくてもよい。
【0081】
図16は、図12から図14のシーケンスにおいて簡易入国審査クライアント端末70に表示される画面の例である。
簡易入国審査クライアント端末70は、S206で審査履歴7006を表示し、S214で、差分ID情報ウォッチリスト照合結果7000を表示し、S224で差分生体情報ウォッチリスト照合結果7002を表示する。また、S236で、S234で受信した個人認証結果通知を基に「同一人物性確認OK」部分を表示し、S206で受信した審査履歴(例えば、534&5300)を要約し、「前回審査時入国許可済み」を表示する。
【0082】
なお、図16の審査履歴7006には、最新の履歴から順に上から下に並べて表示することができる。これによりオペレータは最新の履歴を一目で確認できる。
なお、図16の審査履歴7006は表示してもよいし、しなくてもよい。
また、図16の審査履歴7006において、合わせて該当する顔画像を出入国審査時生体情報56の生体情報563より読み出し表示してもよい。これにより、審査官は顔画像と入国者の顔を比較し本人確認を行うことができ、確実な本人確認を可能とする。
【0083】
本実施例によれば、以下の効果が得られる。 第一の効果は以下の通りである。
通常審査の図9の処理における、S110では、ID情報ウォッチリストに対する照合を行っており、照合するウォッチリストの数が大きい場合には、S108に対するレスポンスタイムが長くなるが、対する簡易審査のS210の処理では、差分すなわち一部のID情報ウォッチリストに対する照合を行っており、S208のレスポンスタイムが短くなり、審査処理の迅速化に貢献する。
【0084】
第二の効果は以下の通りである。
通常審査の図10の処理における、S124では、生体情報ウォッチリストに対する照合を行っており、照合するウォッチリストの数が大きい場合には、S122に対するレスポンスタイムが長くなるが、対する簡易審査のS220の処理では、差分すなわち一部の生体情報ウォッチリストに対する照合を行っており、S218のレスポンスタイムが短くなり、審査処理の迅速化に貢献する。
【0085】
第三の効果は以下の通りである。
通常審査の図9の処理における、S114では、ID情報ウォッチリストに対する照合結果を表示しており、照合結果が大量に出た場合には、通常入国審査クライアント端末60のオペレータは長い時間をかけてこれを確認しなければならない。しかしながら、対する簡易審査の図12のS214の処理では、差分すなわち一部のID情報ウォッチリストに対する照合結果を表示しており、より少量の照合結果が表示され(図15の6000と図16の7000の比較)、簡易入国審査クライアント端末70のオペレータは短い時間でこれを確認でき、審査処理の迅速化に貢献する。さらに、簡易審査の際に前回渡航時から時間がそれほど経過していない場合には、図16の例のように表示される表示結果は少なくなることが見込まれ、頻繁に入国する人に対して審査処理の迅速化効果が大きくなる。
【0086】
第四の効果は以下の通りである。
通常審査の図10の処理における、S122では、生体情報ウォッチリストに対する照合結果を表示しており、照合結果が大量に出た場合には、通常入国審査クライアント端末60のオペレータは長い時間をかけてこれを確認しなければならない。しかしながら、対する簡易審査の図13のS224の処理では、差分すなわち一部の生体情報ウォッチリストに対する照合結果を表示しており、より少量の照合結果が表示され(図15の6002と図16の7002の比較)、簡易入国審査クライアント端末70のオペレータは短い時間でこれを確認でき、審査処理の迅速化に貢献する。さらに、簡易審査の際に前回渡航時から時間がそれほど経過していない場合には、図16の例のように表示される表示結果は少なく、頻繁に入国する人に対して審査処理の迅速化効果が大きくなる。
【0087】
第五の効果は以下の通りである。
通常審査の図10のS116で生体情報(指紋)S118で生体情報(顔)の取得を行っており時間を要する。この情報はS122からS126で利用している。しかしながら、対する簡易審査の処理では、S216においてデータベースから情報を取得するため、S116やS118の処理が必要なく、時間が短くて済む。なお、通常審査では、S116において生体情報(指静脈)を取得しており、簡易審査においても、S228においても生体情報(指静脈)を取得しており、生体情報(指静脈)について時間の短縮は見込めない。
【実施例2】
【0088】
本実施例では、実施例1における図9から図11の通常審査に代わり、登録所における登録の際や、大使館での査証発行の際や、出国の際や、在留カード発行の際に、ID情報と生体情報を取得、保管し、入国時に再度ID情報と生体情報を取得、照合して、簡易入国審査処理を行う例を示す。本願明細書では、上記のように場所に応じて実施例を分けたが、図9と12、図10と13、図11と14のように通常審査と簡易審査での照合(認証)処理の共通性を考慮したセットを1つのグループとみなしてもよい。
【0089】
本実施例では、図1と図2における通常入国審査クライアント端末60の機能を有する端末を登録所や、査証を発行する大使館や、出国審査ブースや、在留カード発行カウンターに設置する。通常入国審査クライアント端末60以外のシステム構成は図1と図2と同じである。
【0090】
図3のID情報ウォッチリスト51や図4の生体情報ウォッチリスト52も、実施例1と同じである。
図5の審査履歴には、図5の「入国許可済み」に代えて、登録所における登録の際には「登録審査済み」、大使館での査証発行の際には「査証発行審査済み」、出国の際には「出国じ審査済み」、在留カード発行の際には「在留カード発行審査済み」と記録する。
【0091】
本実施例では、図9から図11の処理を通常入国審査クライアント端末60に代えて登録所や、査証を発行する大使館や、出国審査ブースや、在留カード発行カウンターに設置した通常入国審査クライアント端末60の機能を有する端末が行う。図9から図11のS100からS128の処理を行い、その後、S134において、ID情報ウォッチリスト照合結果54に結果を登録すると同時に、出入国審査情報53の審査履歴534には登録所における登録時には「登録審査済み」、大使館での査証発行時には「査証発行審査済み」、出国時には「出国じ審査済み」、在留カード発行時には「在留カード発行審査済み」と記録する。
【0092】
本実施例においても、図9から図11の処理を行った後の入国時に、実施例1と同様の図12から図14の簡易審査フローを行う。
本実施例による効果は、実施例1の第一の効果から第五の効果と共通である。
【0093】
図17は、実施例1と実施例2における、入国審査システムを構成する装置の主なハードウェア構成を示す。
【0094】
入国審査システムの各構成装置は、CPUと記憶装置とを備える一般的な計算機を用いて実現される。さらに、各装置を構成するそれぞれの機能は、CPUが記憶装置に格納されているプログラムを実行することにより、上記計算機上に具現化される。各プログラムは、予め、上記計算機内の記憶装置に格納されていても良いし、必要なときに、入出力インタフェースと上記計算機が利用可能な媒体を介して、他の装置から上記記憶装置に導入されてもよい。媒体とは、たとえば、入出力インタフェースに着脱可能な記憶媒体、または通信媒体(すなわち有線、無線、光などのネットワーク、または当該ネットワークを伝搬する搬送波やディジタル信号)を指す。
【0095】
実施例1と2における構成装置である、出入国管理サーバ10、ID情報照合サーバ20、個人識別サーバ30、個人認証サーバ40、通常入国審査クライアント端末60、簡易入国審査クライアント端末70は、図17に示すハードウェア構成の主要な構成ユニットを有する。即ち、主なサーバは、CPU200、第1次記憶装置201、第2次記憶装置202、出力装置203、通信装置205、外部機器インタフェース20を有する。端末装置である、通常入国審査クライアント端末60、簡易入国審査クライアント端末70は、入力装置210、旅券情報リーダやIDカードリーダやバーコードリーダなどのリーダ装置211、カメラ212、指紋指静脈マルチモーダルスキャナ213を有する。
【0096】
例えば、出入国管理サーバ10の入国審査業務管理機能11と、ID情報照合サーバ20のID情報ウォッチリスト照合機能21と、個人識別サーバ30の生体情報ウォッチリスト照合機能31と、個人認証サーバ40の簡易入国審査対象者照合機能41は、第2次記憶装置202のデータを第1次記憶装置201に読み込みCPU200で計算処理を行うことで実現する。
【0097】
ID情報ウォッチリスト51と、生体情報ウォッチリスト52と、出入国審査情報53と、ID情報ウォッチリスト照合結果54と、生体情報ウォッチリスト照合結果55と、出入国審査時生体情報56と、は第2次記憶装置202にDBを保管することで実現する。
【0098】
通常入国審査クライアント端末60や簡易入国審査クライアント端末70のID情報取得機能602は、リーダ装置211で取得したデータを第1次記憶装置201に読み込み、第2次記憶装置202のデータを第1次記憶装置201に読み込み、CPU200で計算処理を行うことで実現する。
【0099】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0100】
以上の各実施例によれば、ウォッチリストデータベースの登録数が多い場合においても、照合の結果として、少量の類似するウォッチリスト情報が表示され、オペレータの結果確認の時間を短くすることができる。また、ウォッチリスト照合結果表示を含めた入国審査処理全体の時間を短くすることができる。
【符号の説明】
【0101】
1:データセンタ、10:出入国管理サーバ、20:ID情報照合サーバ、30:個人識別サーバ、40:個人認証サーバ、50:データベース(DB)、51:ID情報ウォッチリスト、52:生体情報ウォッチリスト、53:出入国審査情報、54:ID情報ウォッチリスト照合結果、55:生体情報ウォッチリスト照合結果、56:出入国審査時生体情報56

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入国審査システムであって、
第一の端末より取得される利用者を識別するID情報と当該利用者の生体情報を含む審査情報を保管する審査情報DBと、
ウォッチリスト情報を保管するウォッチリストデータベースと、
前記審査情報と該ウォッチリストデータベースのウォッチリスト情報との照合を行うことで第一の審査を可能にする照合サーバと、
ウォッチリスト照合結果を表示する該第一の端末と、
該審査情報DB内の生体情報と、第二の端末により取得された生体情報を照合して、同一人物の生体情報であるか否かを判定する簡易審査対象者照合機能を有する個人認証サーバと、
出入国業務を管理する出入国管理サーバとを有し、
出入国管理サーバは、前記第一の審査において、前記第一の端末が入力を受付けた審査対象者の第一の生体情報を該審査情報DBに保管し、
該照合サーバは、前記第一の生体情報と第一のウォッチリスト情報との照合を行い、
該第一の端末は該第一のウォッチリスト情報との照合結果を表示し、
その後、前記個人認証サーバは、第二の審査において、該審査情報DB内の該第一の生体情報と、該第二の端末により取得された第二の生体情報との照合を行うことを特徴とする入国審査システム。
【請求項2】
請求項1に記載の入国審査システムにおいて、
該照合サーバは、該ウォッチリストデータベース内の第一のウォッチリスト情報以外の第二のウォッチリスト情報の照合を行い、
該第二の端末は、該第二のウォッチリスト情報との照合結果を表示する、
ことを特徴とする入国審査システム。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載の入国審査システムであって、
該ウォッチリスト情報は、所定条件を満たす利用者を識別するID情報からなるID情報ウォッチリスト情報と前記所定条件を満たす利用者の生体情報からなる生体情報ウォッチリストから構成される
ことを特徴とする入国審査システム。
【請求項4】
入国審査システムであって、
第一の端末より取得される利用者を識別するID情報と当該利用者の生体情報を含む審査情報を保管する審査情報DBと、
ウォッチリスト情報を保管するウォッチリストデータベースと、
該ウォッチリストデータベースのウォッチリスト情報との照合を行う照合サーバと、
ウォッチリスト照合結果を表示する該第一の端末と、
該審査情報DB内の生体情報と、第二の端末により取得された生体情報を照合して、同一人物の生体情報であるか否かを判定する簡易審査対象者照合機能を有する個人認証サーバと、
出入国業務を管理する出入国管理サーバとを有し、
前記出入国管理サーバは、第一の審査において、前記審査対象者から入力された第一の生体情報と第三の生体情報を該審査情報DBに保管し、
該照合サーバは、該第三の生体情報とウォッチリスト情報との照合を行い、
該第一の端末は、該ウォッチリスト情報との照合結果を表示し、
その後、第二の審査において、前記個人認証サーバは、該審査情報DB内の該第一の生体情報と、該第二の端末により取得された第二の生体情報との照合を行い、
該照合サーバは、該第一の審査において、該審査情報DBに保管した該第三の生体情報とウォッチリスト情報の照合を行い、
該第二の端末は、ウォッチリスト情報の照合結果を表示する、
ことを特徴とする入国審査システム。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずかに記載の入国審査システムであって、
前記第一の生体情報および第二の生体情報のそれぞれには少なくとも指静脈情報が含まれる
ことを特徴とする入国審査システム。
【請求項6】
入国者に対する審査を行うための入国審査システムにおいて、
前記審査における審査対象者の過去の審査結果の有無を確認する手段と、
前記審査結果が存在する場合、当該審査結果の審査が予め定められた条件を満たすかを判断する手段と、
前記条件を満たす場合、前記審査結果の審査において利用された前記審査対象者の個人情報を特定し、
特定された前記個人情報と当該審査対象者から入力された個人情報を照合することで、当該審査対象者の同一性を判断する手段とを有することを特徴とする入国審査システム。
【請求項7】
請求項6に記載の入国審査システムにおいて、
前記個人情報は、前記審査対象者の生体情報であることを特徴とする入国審査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−20316(P2013−20316A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151366(P2011−151366)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】