説明

入室管理装置、入室管理プログラム、及び入室管理システム

【課題】携帯電話機の使用が禁止される施設への、電源がオン状態である携帯電話機の持込を容易に防止する。
【解決手段】入室管理装置40の入室許可者情報DB404は、施設への入室許可者の識別情報と、当該利用者の携帯電話機の電話番号と、を関連付けて記憶する。携帯電話発信部408は、照合端末20に入力された識別情報が入室許可者の識別情報であると入室者照合部402において判定された場合に、その識別情報に関連付けて入室許可者情報DB404に記憶された携帯電話番号に対して電話の発信を行う。この電話の発信に応じて受信される信号に基づいて、携帯電話電源状態判定部410は、電話の発信の対象の携帯電話機の電源がオフ状態であるか否かを判定する。オフ状態であると判定された場合に、電気錠制御部416は、施設の出入口の扉を施錠する電気錠30を開錠する制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入室管理装置、入室管理プログラム、及び入室管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ブレーカなどが設置される電気室、サーバが設置されるサーバ室、及び、医療機器が設置される手術室など、携帯電話機の発する電波の影響によって動作に異常が生じる可能性のある機器が設置される施設では、携帯電話機の電源をオフ状態にしておくか、あるいは、その施設に携帯電話機を持ち込まないことが求められる。
【0003】
特許文献1には、電源がオン状態である携帯型情報端末装置の持ち込みが禁止されている持込禁止室への、電源オン状態の携帯型情報端末装置の持ち込みを防止するシステムが開示されている。特許文献1に記載のシステムは、電源がオン状態であり、かつ予め定められた要求電波が受信されたときに予め定められた応答電波を発信する無線通信機能を有する携帯型情報端末装置の持込禁止室への持ち込みを防止する。特許文献1に記載のシステムでは、持込禁止室に入室する際に通過する位置に電磁シールドされた前室が設けられ、この前室には、電波の送受信を行うアンテナが設けられる。特許文献1に記載のシステムにおいて、持込禁止室への入室の可否を決定する際には、上述のアンテナを用いて上述の要求電波を送信させ、その後アンテナで受信された電波が上述の応答電波であるか否かを判定し、応答電波であると判定した場合に携帯型情報端末装置の電源をオフ状態とすることを指示する報知を行う。
【0004】
【特許文献1】特開2006−311297号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯電話機の持ち込みが禁止される施設の出入口付近において、携帯電話機の電源がオン状態である場合に発信される電波を検出することで、施設への立ち入りを望む利用者の携帯電話機の電源がオン状態であるか否かを判定する技術では、その利用者が自己の携帯電話機の電源をオフにしていたとしても、他の者の携帯電話機の電波などを検出することで、その利用者の携帯電話機の電源がオン状態であると誤って判定してしまう場合が考えられる。
【0006】
このような誤判定を防止するためには、例えば特許文献1に記載のシステムのように、施設の出入口付近に電磁シールドされた前室を設け、利用者の携帯電話機から発信される電波以外の電波の検出を防止する必要がある。
【0007】
しかしながら、電磁シールドされた前室を設ける場合、その前室のための空間を施設の出入口付近に確保しなければならない。また、電磁シールドされた前室の設置には、高額の費用が必要となる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの態様の入室管理装置は、施設への入室の可否を決定する入室管理装置であって、前記施設への入室を許可された利用者の識別情報と、当該利用者の携帯電話機の電話番号と、を関連付けて記憶した入室許可者情報記憶部と、前記施設の出入口付近に設置される照合端末に入力された識別情報を当該照合端末から取得し、取得した識別情報と前記入室許可者情報記憶部に記憶された識別情報とを照合することで、前記取得した識別情報が前記施設への入室を許可された利用者の識別情報であるか否かを判定する利用者判定部と、前記取得した識別情報が前記施設への入室を許可された利用者の識別情報であると前記利用者判定部が判定した場合に、前記取得した識別情報と関連付けて前記入室許可者情報記憶部に記憶された電話番号に対して電話の発信を行う電話発信部と、前記電話の発信に応じて返信される信号に基づいて、前記電話の発信の対象の携帯電話機の電源がオフ状態であるか否かを判定する電源判定部と、前記電話の発信の対象の携帯電話機の電源がオフ状態であると前記電源判定部が判定した場合に、前記照合端末に識別情報を入力した操作者の前記施設への入室を許可することを決定する決定部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
なお、本発明の各態様において、「携帯電話機」の用語は、PHS(Personal Handy-phone System)を含むものであるとする。
【0010】
本発明の1つの態様の入室管理装置は、前記電話の発信の対象の携帯電話機の電源がオフ状態でないと前記電源判定部が判定した場合に、前記取得した識別情報及び前記電話の発信の対象の電話番号の少なくとも一方を履歴記憶部に登録する履歴登録部、をさらに備える。
【0011】
本発明の1つの態様の入室管理装置において、前記履歴登録部は、さらに、前記取得した識別情報及び前記電話の発信の対象の電話番号の少なくとも一方に関連付けて、前記電話の発信の対象の携帯電話機の電源がオフ状態でないと前記電源判定部が判定した回数を前記履歴記憶部に登録する。
【0012】
本発明の1つの態様の入室管理装置において、前記決定部は、前記電話の発信の対象の携帯電話機の電源がオフ状態でないと前記電源判定部が判定した場合に、前記照合端末に識別情報を入力した操作者の前記施設への入室を許可しないことを決定する。
【0013】
本発明の1つの態様の入室管理プログラムは、施設への利用者の入室の可否を決定する入室管理プログラムであって、前記施設の出入口付近に設置される照合端末に入力された識別情報を当該照合端末から取得する取得ステップと、前記施設への入室を許可された利用者の識別情報と、当該利用者の携帯電話機の電話番号と、を関連付けて記憶した入室許可者情報記憶部を参照し、前記取得ステップで取得した識別情報と前記入室許可者情報記憶部に記憶された識別情報とを照合することで、前記取得した識別情報が前記施設への入室を許可された利用者の識別情報であるか否かを判定する利用者判定ステップと、前記取得した識別情報が前記施設への入室を許可された利用者の識別情報であると前記利用者判定ステップで判定された場合に、前記取得した識別情報に関連付けて前記入室許可者情報記憶部に記憶された電話番号に対して電話の発信を行う電話発信ステップと、前記電話の発信に応じて返信される信号に基づいて、前記電話の発信の対象の携帯電話機の電源がオフ状態であるか否かを判定する電源判定ステップと、前記電話の発信の対象の携帯電話機の電源がオフ状態であると前記電源判定ステップにおいて判定された場合に、前記照合端末に識別情報を入力した操作者の前記施設への入室を許可することを決定する決定ステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0014】
本発明の1つの態様の入室管理システムは、施設の出入口付近に設置される照合端末と、前記施設の出入口の扉を施錠する電気錠と、前記照合端末及び前記電気錠に接続される入室管理装置と、を備え、前記入室管理装置は、前記施設への入室を許可された利用者の識別情報と、当該利用者の携帯電話機の電話番号と、を関連付けて記憶した入室許可者情報記憶部と、前記照合端末に入力された識別情報を前記照合端末から取得し、取得した識別情報と前記入室許可者情報記憶部に記憶された識別情報とを照合することで、前記取得した識別情報が前記施設への入室を許可された利用者の識別情報であるか否かを判定する利用者判定部と、前記取得した識別情報が前記施設への入室を許可された利用者の識別情報であると前記利用者判定部が判定した場合に、前記取得した識別情報と関連付けて前記入室許可者情報記憶部に記憶された電話番号に対して電話の発信を行う電話発信部と、前記電話の発信に応じて返信される信号に基づいて、前記電話の発信の対象の携帯電話機の電源がオフ状態であるか否かを判定する電源判定部と、前記電話の発信の対象の携帯電話機の電源がオフ状態であると前記電源判定部が判定した場合に、前記照合端末に識別情報を入力した操作者の前記施設への入室を許可することを決定する決定部と、前記決定部が前記操作者の前記施設への入室を許可することを決定した場合に、前記電気錠を開錠する制御を行う制御部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、携帯電話機の使用が禁止される施設への、電源がオン状態である携帯電話機の持ち込みを容易に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の1つの実施形態の入室管理システムの構成例を示す図である。入室管理システム10は、照合端末20、電気錠30、及び入室管理装置40を備える。照合端末20と入室管理装置40とは、例えばLAN(Local Area Network)などの通信手段を介して互いに接続される。また、電気錠30は、入室管理装置40と電気的に接続され、入室管理装置40は、電気錠30の施錠又は開錠を制御する。
【0017】
照合端末20は、入力部202及び表示部204を備え、マイクロコンピュータなどによって実現される端末装置である。照合端末20は、電源がオン状態である携帯電話機の持ち込みが禁止されている施設の出入口付近に設置される。
【0018】
照合端末20は、例えば、図2に示すように、施設1の外側であって施設1の出入口の扉3の付近に設置される。施設1は、例えば電気室やサーバ室など、電源がオン状態である携帯電話機の持ち込みが禁止されている施設である。施設1の出入口の扉3は、通常時は電気錠30(図2には図示しない)によって施錠される。照合端末20の操作者5は、後述する利用者IDなどの情報を入力し、この入力に基づいて、操作者5の施設1への立ち入り(入室)の可否が決定される。
【0019】
再び図1を参照し、照合端末20の入力部202は、操作者による情報の入力を受け付けて、入力された情報を入室管理装置40に対して送信する。入力部202は、例えば、数字及び文字などの入力に用いられる一般的なキーパッド、又は、接触を検知して入力を受け付けるタッチパネルであってよい。あるいは、バーコードリーダ又はICタグリーダなどのような、電気的、電磁気的、又は光学的に読み取り可能な符号を読み取る読取装置によって入力部202を実現してもよい。
【0020】
照合端末20の表示部204は、例えば操作者に対するメッセージや電気錠30の施錠/開錠状態など、システム上の要請に応じた情報を表示する。表示部204は、例えば、液晶などを用いた一般的な表示装置であってよい。
【0021】
電気錠30は、施設1の出入口の扉3を施錠する鍵であり、外部装置からの制御信号によって施錠又は開錠することが可能な鍵である。
【0022】
入室管理装置40は、操作者が照合端末20に入力した情報に基づいて、当該操作者の施設への入室の可否を決定する。入室管理装置40は、入室者照合部402、入室許可者情報DB(データベース)404、入室許可者情報登録部406、携帯電話発信部408、携帯電話電源状態判定部410、履歴登録部412、切り忘れ履歴DB414、及び電気錠制御部416を備える。
【0023】
入室者照合部402は、照合端末20から取得した情報と、入室許可者情報DB404に登録された情報と、を照合し、操作者によって照合端末20に入力された情報が入室を許可された利用者の識別情報であるか否かを判定する。
【0024】
入室許可者情報DB404は、施設への入室を許可された利用者(以下、「入室許可者」とも呼ぶ)の識別情報と、その利用者の携帯電話番号と、を関連付けて記憶するデータベースである。図3に、入室許可者情報DB404に記憶されるデータ内容の一例を示す。
【0025】
図3を参照し、図3の例の表の1行(1レコード)の情報は、1人の入室許可者の情報に対応する。図3の例の入室許可者情報DB404には、各入室許可者の利用者IDに関連付けて、「氏名」及び「携帯電話番号」の各項目の値が登録される。利用者IDは、各入室許可者を識別するための識別情報であって、入室管理システム10内で一意な識別情報である。利用者IDは、例えば、文字又は数字を含む文字列であってよい。あるいは、利用者IDは、例えば、入室許可者の指紋情報などの生体情報であってもよい。入室管理システム10で用いられる認証方式に応じた態様の利用者IDを登録しておけばよい。なお、入室許可者情報DB404に登録される各項目のうち、利用者ID及び携帯電話番号以外の項目は、図3の例の項目に限られない。入室管理システム10の管理目的上の必要に応じた項目を登録すればよい。例えば、各利用者IDに関連付けて、その入室許可者のパスワードを登録してもよい。
【0026】
入室許可者情報登録部406は、入室許可者情報DB404への情報の登録を行う。入室許可者情報登録部406は、例えば、入室許可者に関する情報についての入室管理システム10の管理者などによる入力を受け付けて、入力された情報を入室許可者情報DB404に登録する。例えば、施設の利用を希望する利用者は、自己の携帯電話機の携帯電話番号を入室管理システム10の管理者に知らせると共に、施設の利用の許可を求める申請を行う。当該申請を行った利用者に対して施設の利用が許可される場合、当該利用者の利用者ID、当該利用者の携帯電話番号、及びその他システムの必要に応じた当該利用者の情報が入室許可者情報登録部406に入力される。入室許可者情報登録部406は、入力された情報に従って、当該利用者に対応するレコードを生成して入室許可者情報DB404に登録する。
【0027】
携帯電話発信部408は、照合端末20に操作者が入力した情報が入室許可者の利用者IDであると入室者照合部402が判定した場合に、その利用者IDと関連付けられる携帯電話番号を入室許可者情報DB404から取得し、取得した携帯電話番号に対して電話の発信を行う。
【0028】
携帯電話電源状態判定部410は、携帯電話発信部408が行った電話の発信に応じて受信される電波に基づいて、電話の発信の対象の携帯電話機mの電源がオフ状態であるかオン状態であるかを判定する。携帯電話電源状態判定部410は、例えば、携帯電話機mを呼び出し中である旨を表す電波又は携帯電話機mが通話中である旨を表す電波を受信した場合に、携帯電話機mの電源はオン状態であると判定し、携帯電話機mの位置を特定できない旨を表す電波を受信した場合に、携帯電話機mの電源はオフ状態であると判定する。
【0029】
履歴登録部412は、携帯電話電源状態判定部410において電源がオン状態であると判定された携帯電話機mに関する情報を切り忘れ履歴DB414に登録する。
【0030】
切り忘れ履歴DB414は、携帯電話電源状態判定部410において電源がオン状態であると判定された携帯電話機mに関する情報を記憶するデータベースである。図4に、切り忘れ履歴DB414に登録されるデータ内容の一例を示す。
【0031】
図4を参照し、切り忘れ履歴DB414には、各携帯電話番号に関連付けて、「利用者ID」及び「切り忘れ回数」の各項目が登録される。図4の例の表の携帯電話番号は、携帯電話電源状態判定部410において電源がオン状態であると判定された携帯電話機の電話番号である。利用者IDの項目には、対応する携帯電話番号を有する携帯電話機の利用者の利用者IDが登録される。つまり、入室許可者情報DB404において当該携帯電話番号に関連付けて登録されている利用者IDが登録されることになる。切り忘れ回数の項目には、対応する携帯電話番号の携帯電話機の電源がオン状態であると携帯電話電源状態判定部410において判定された回数が登録される。なお、切り忘れ履歴DB414には、携帯電話番号及び利用者IDの少なくとも一方を登録しておけば、他の項目は登録しなくてもよい。あるいは、図4に例示する項目以外の項目を切り忘れ履歴DB414にさらに登録してもよい。例えば、各携帯電話番号に関連付けて、その携帯電話番号の携帯電話機について電源がオン状態であると判定された日時を登録しておいてもよい。電源がオン状態であると判定された日時を登録する例では、電源がオン状態であると判定された回数が複数回である場合、その携帯電話番号に関連付けて複数の日時を登録しておいてもよいし、あるいは、それら複数の日時のうち最新のものだけを登録しておいてもよい。
【0032】
電気錠制御部416は、携帯電話電源状態判定部410において携帯電話機の電源がオフ状態であると判定された場合に、電気錠30を開錠する制御を行う。携帯電話機の電源がオフ状態であると判定された場合、電気錠制御部416は、例えば、電気錠30に対して開錠を指示する制御信号を出力し、この制御信号を電気錠30が受け取ることで、電気錠30は開錠される。また、電気錠制御部416は、電気錠30を施錠する制御を行う場合もある。電気錠30を施錠する制御を行う場合、電気錠制御部416は、例えば、電気錠30に対して施錠を指示する制御信号を出力し、この制御信号を電気錠30が受け取ることで、電気錠30は施錠される。
【0033】
なお、電気錠制御部416の機能の一部を照合端末20に実現しても良い。例えば、入室管理装置40は、照合端末20に対して、電気錠30の開錠又は施錠を指示する信号を送信し、この指示信号を受けた照合端末20が電気錠30に対して開錠又は施錠を指示する制御信号を出力してもよい。
【0034】
入室管理システム10の管理対象の施設1への入室を希望する利用者は、照合端末20の入力部202に対して、入室許可者情報DB404に登録される利用者IDの態様に応じた態様の識別情報を自己の利用者IDとして入力する。例えば、利用者IDが文字列であれば、利用者は、照合端末20の入力部202に自己の利用者IDを表す文字列を入力する。また例えば、利用者IDが指紋情報であれば、利用者は、照合端末20の入力部202に自己の指紋を読み取らせる。また、照合端末20の入力部202は、入室許可者情報DB404に登録される利用者IDの態様の識別情報の入力を受け付けるのに適した装置を用いて実現される。例えば、各入室許可者が自己の利用者IDを含むICチップを備えたICカードを所持する場合、照合端末20の入力部202は、ICチップに含まれる情報を読み取り可能なICカードリーダによって実現される。また例えば、利用者IDが指紋情報であれば、照合端末20の入力部202は、指紋認証用の一般的な指紋読み取り装置によって実現される。
【0035】
以下、図5を参照し、入室管理装置40が行う処理の手順の例を説明する。
【0036】
入室管理装置40は、照合端末20において操作者による入力を受け付けた旨を表す信号を照合端末20から受信した場合に、図5の例の手順の処理を開始する。
【0037】
まず、入室者照合部402は、照合端末20が受け付けた入力情報を取得する(ステップS10)。この入力情報には、照合端末20に対して入力を行った操作者の利用者IDが含まれる。
【0038】
次に、入室者照合部402は、入室許可者情報DB404内に登録された利用者IDと、(ステップS10で取得した入力情報に含まれる)照合端末20の操作者の利用者IDと、を照合することで、照合端末20の操作者の利用者IDが入室許可者の利用者IDであるか否かを判定する(ステップS12)。
【0039】
照合端末20の操作者の利用者IDが入室許可者の利用者IDであれば、処理はステップS12からステップS14に進み、携帯電話発信部408は、その入室許可者の利用者IDに関連付けて入室許可者情報DB404に登録された携帯電話番号を取得し、その携帯電話番号に対して電話の発信を行う。なお、ステップS14で電話の発信の対象となる携帯電話機は、照合端末20の操作者が所持している携帯電話機であるとみなされる。
【0040】
ステップS14の後、携帯電話電源状態判定部410は、携帯電話発信部408による電話発信に応じて返信される電波を受信し、受信した電波に基づいて、対象の携帯電話機の電源がオフ状態であるか否かを判定する(ステップS16)。例えば、対象の携帯電話機を呼び出し中である旨を表す電波又は対象の携帯電話機が通話中である旨を表す電波を受信した場合、携帯電話電源状態判定部410は、対象の携帯電話機の電源はオン状態であると判定する。また例えば、対象の携帯電話機の位置を特定できない旨を表す電波を受信した場合、携帯電話電源状態判定部410は、対象の携帯電話機の電源はオフ状態であると判定する。
【0041】
オフ状態であれば、電気錠制御部416は、照合端末20の操作者の施設への入室を許可することを決定し(ステップS24)、電気錠30を開錠する制御を行う(ステップS26)。
【0042】
携帯電話の電源がオフ状態でなければ、履歴登録部412は、電話発信の対象の携帯電話機に関する情報を切り忘れ履歴DB414に登録する(ステップS18)。例えば、図4の例のデータ内容を有する切り忘れ履歴DB414に情報を登録する場合、履歴登録部412は、対象の携帯電話番号に対応するレコードが切り忘れ履歴DB414にすでに登録されていれば、当該携帯電話番号のレコードにおける切り忘れ回数の項目の値を1だけ増加させる。対象の携帯電話番号に対応するレコードが切り忘れ履歴DB414に未だ登録されていなければ、履歴登録部412は、切り忘れ履歴DB414において、その携帯電話番号を含むレコードを新たに生成し、利用者IDの項目に照合端末20の操作者の利用者IDを設定し、当該レコードの切り忘れ回数の値を「1」に設定する。
【0043】
ステップS18の後、携帯電話電源状態判定部410は、ステップS14の電話発信に応じて受信される電波に基づいて、予め設定された所定時間(例えば、1〜3分の間の値に設定しておく)内に対象の携帯電話機の電源がオフ状態となったか否かを判定する(ステップS20)。
【0044】
所定時間内に携帯電話機の電源がオフ状態になったと判定されると、電気錠制御部416は、照合端末20の操作者の施設への入室を許可することを決定し、電気錠30を開錠する制御を行う(ステップS20,S24,S26)。
【0045】
照合端末20の操作者の利用者IDが入室許可者の利用者IDでないと判定された場合(ステップS12でNO)、又は、ステップS20で所定時間内に携帯電話機の電源がオフ状態にならなかったと判定された場合、電気錠制御部416は、照合端末20の操作者の施設への入室を許可しないことを決定する(ステップS22)。この場合、電気錠制御部416は、電気錠30を開錠する制御を行わないので、電気錠30は施錠されたままの状態となり、照合端末20の操作者は施設へ入室できない。
【0046】
ステップS26又はステップS22の後、入室管理装置40は、図5に例示する手順の処理を終了する。
【0047】
以上、図5を参照して説明した例の処理によると、照合端末20に入力された操作者の利用者IDが入室許可者情報DB404に登録された入室許可者の利用者IDであると判定され(ステップS12でYES)、かつ、その利用者IDに関連付けて入室許可者情報DB404に登録された携帯電話番号を有する携帯電話機(つまり、照合端末20の操作者が所持している可能性の高い携帯電話機)の電源がオフ状態であると判定された(ステップS16でYES又はステップS20でYES)場合にのみ、照合端末20の操作者の施設への入室が許可される(ステップS24)。照合端末20の操作者の利用者IDが入室許可者情報DB404に入室許可者の利用者IDとして登録されていない場合(ステップS12でNO)は、操作者の施設への入室は許可されない(ステップS22)。また、操作者の利用者IDが入室許可者の利用者IDであっても、その携帯電話機の電源がオフ状態でないと判定された場合(ステップS16でNO)、その後所定時間内に携帯電話機の電源がオフ状態になったと判定されない限りは、操作者の施設への入室は許可されない(ステップS20でNO,ステップS22)。
【0048】
図5のステップS24,S26において施設への入室を許可して電気錠30を開錠する制御を行い、図5に例示する手順の処理を終了した後、入室管理装置40の電気錠制御部416は、例えば、所定の時間が経過したときに、再び電気錠30を施錠する制御を行う。また例えば、電気錠制御部416は、図5の例の処理の終了から所定の時間経過後に電気錠30を施錠する制御を行う代わりに、扉の開閉を検出するセンサ(図示しない)からの出力信号に基づいて、電気錠30を施錠する制御を行ってもよい。例えば、入室を許可して電気錠30を開錠する制御を行った後、扉が開いたことを表す検出信号をセンサから受信し、さらにその後、扉が閉じたことを表す検出信号をセンサから受信した場合に、電気錠30を施錠する制御を行う。また、扉の開閉を検出するセンサからの出力信号を利用した制御を行う場合、入室管理装置40は、所定の時間以上、扉が開いていることを表す検出信号を受信した場合に、警告情報を出力してもよい。
【0049】
図5を参照して説明した上述の処理の例において、照合端末20の操作者の携帯電話機の電源がオン状態であると判定された場合(ステップS16でNO)に、入室管理装置40は、その携帯電話機に関する情報を切り忘れ履歴DB414に登録する(ステップS18)と共に、携帯電話機の電源をオフ状態にすることを操作者に促す警告情報を照合端末20の表示部204に表示させる処理を行ってもよい。この場合、入室管理装置40は、前述の警告情報及び警告情報の表示を指示する情報を照合端末20に対して送信する。
【0050】
なお、以上の説明では、入室者の照合処理(図5のステップS12)で、照合端末20の操作者の利用者IDが入室許可者の利用者IDであるか否かによって操作者の認証を行う。他の例では、利用者IDとパスワード(又は暗証番号)との組み合わせを用いて操作者の認証を行ってもよい。例えば、入室許可者情報DB404において、各入室許可者の利用者IDに関連付けて、その入室許可者のパスワードを登録しておき、照合端末20に入力された利用者ID及びパスワードの組が入室許可者情報DB404に登録されているか否かによってステップS12の判定を行う。また例えば、すべての入室許可者に共通のパスワードを設定しておき、照合端末20において、入室許可者の利用者IDとともに当該パスワードが入力された場合に、ステップS12でYESと判定するものとしてもよい。
【0051】
以上で説明した実施形態によると、照合端末20の操作者の携帯電話機の電源がオン状態である場合に、その携帯電話機の着信を表す呼び出し音又はその携帯電話機のバイブレータ機能による振動などによって、操作者の携帯電話の電源がオン状態であることが操作者に報知される。照合端末20の操作者にとっては、自己の携帯電話機の電源がオン状態であるまま施設への入室を試みた場合に、自己の携帯電話機に着信を受けることになる。また、操作者の携帯電話機がオフ状態であれば、その携帯電話機と入室管理装置40との間で通話が開始されることはないので、入室管理装置40からの電話発信時に通話料金が発生することはない。
【0052】
また、以上で説明した実施形態によると、入室管理システム10の管理者は、切り忘れ履歴DB414に登録された情報を参照することで、施設への入室可否決定時に頻繁に携帯電話機の電源を切り忘れている入室許可者を特定することができる。入室管理システム10の管理者は、例えば、このような入室許可者に対して注意喚起することができる。
【0053】
また、以上で説明した実施形態によると、携帯電話機への通常の電話発信によって携帯電話機の電源のオン状態又はオフ状態が判定される。よって、例えば、図2の例の施設1の出入口付近の領域7(例えば、廊下など)は、携帯電話の受信が可能な領域であればよい。したがって、以上で説明した実施形態の入室管理システム10によると、携帯電話機の使用が禁止される施設の出入口付近に電磁シールドなどを設けることなく、電源がオン状態である携帯電話機の当該施設への持ち込みを防止できる。
【0054】
以上で説明した実施形態の入室管理装置40は、典型的には、汎用のコンピュータにて上述の入室管理装置40の各部の機能又は処理内容を記述したプログラムを実行することにより実現される。コンピュータは、例えば、ハードウエアとして、図6に示すように、CPU(中央演算装置)60、メモリ(一次記憶)62、各種I/O(入出力)インタフェース64などがバス66を介して接続された回路構成を有する。また、そのバス66に対し、例えばI/Oインタフェース64経由で、キーボードやマウスなどの入力装置68、及び、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶ディスプレイなどの表示装置70が接続される。また、バス66には、I/Oインタフェース64を介して、HDD(ハードディスクドライブ)72や、CD、DVD、フラッシュメモリなどの各種規格の可搬型の不揮発性記録媒体を読み取るためのディスクドライブ74が接続される。このようなドライブ72,74は、メモリに対する外部記憶装置として機能する。実施形態の処理内容が記述されたプログラムがCDやDVDなどの記録媒体を経由して、又はネットワーク経由で、HDD72などの固定記憶装置に保存され、コンピュータにインストールされる。固定記憶装置に記憶されたプログラムがメモリ62に読み出されCPU60により実行されることにより、上述の実施形態の処理が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の1つの実施形態の入室管理システムの構成例を示す図である。
【図2】照合端末の設置位置の例を説明するための図である。
【図3】入室許可者情報DBのデータ内容の一例を示す図である。
【図4】切り忘れ履歴DBのデータ内容の一例を示す図である。
【図5】入室管理装置が行う処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】コンピュータのハードウエア構成を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
10 入室管理システム、20 照合端末、30 電気錠、40 入室管理装置、60 CPU、62 メモリ、64 I/Oインタフェース、66 バス、68 入力装置、70 表示装置、72 HDD、74 ディスクドライブ、202 入力部、204 表示部、402 入室者照合部、404 入室許可者情報DB、406 入室許可者情報登録部、408 携帯電話発信部、410 携帯電話電源状態判定部、412 履歴登録部、414 切り忘れ履歴DB、416 電気錠制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設への入室の可否を決定する入室管理装置であって、
前記施設への入室を許可された利用者の識別情報と、当該利用者の携帯電話機の電話番号と、を関連付けて記憶した入室許可者情報記憶部と、
前記施設の出入口付近に設置される照合端末に入力された識別情報を当該照合端末から取得し、取得した識別情報と前記入室許可者情報記憶部に記憶された識別情報とを照合することで、前記取得した識別情報が前記施設への入室を許可された利用者の識別情報であるか否かを判定する利用者判定部と、
前記取得した識別情報が前記施設への入室を許可された利用者の識別情報であると前記利用者判定部が判定した場合に、前記取得した識別情報と関連付けて前記入室許可者情報記憶部に記憶された電話番号に対して電話の発信を行う電話発信部と、
前記電話の発信に応じて返信される信号に基づいて、前記電話の発信の対象の携帯電話機の電源がオフ状態であるか否かを判定する電源判定部と、
前記電話の発信の対象の携帯電話機の電源がオフ状態であると前記電源判定部が判定した場合に、前記照合端末に識別情報を入力した操作者の前記施設への入室を許可することを決定する決定部と、
を備えることを特徴とする入室管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入室管理装置において、
前記電話の発信の対象の携帯電話機の電源がオフ状態でないと前記電源判定部が判定した場合に、前記取得した識別情報及び前記電話の発信の対象の電話番号の少なくとも一方を履歴記憶部に登録する履歴登録部、をさらに備えることを特徴とする入室管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の入室管理装置において、
前記履歴登録部は、さらに、前記取得した識別情報及び前記電話の発信の対象の電話番号の少なくとも一方に関連付けて、前記電話の発信の対象の携帯電話機の電源がオフ状態でないと前記電源判定部が判定した回数を前記履歴記憶部に登録することを特徴とする入室管理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の入室管理装置において、
前記決定部は、前記電話の発信の対象の携帯電話機の電源がオフ状態でないと前記電源判定部が判定した場合に、前記照合端末に識別情報を入力した操作者の前記施設への入室を許可しないことを決定することを特徴とする入室管理装置。
【請求項5】
施設への利用者の入室の可否を決定する入室管理プログラムであって、
前記施設の出入口付近に設置される照合端末に入力された識別情報を当該照合端末から取得する取得ステップと、
前記施設への入室を許可された利用者の識別情報と、当該利用者の携帯電話機の電話番号と、を関連付けて記憶した入室許可者情報記憶部を参照し、前記取得ステップで取得した識別情報と前記入室許可者情報記憶部に記憶された識別情報とを照合することで、前記取得した識別情報が前記施設への入室を許可された利用者の識別情報であるか否かを判定する利用者判定ステップと、
前記取得した識別情報が前記施設への入室を許可された利用者の識別情報であると前記利用者判定ステップで判定された場合に、前記取得した識別情報に関連付けて前記入室許可者情報記憶部に記憶された電話番号に対して電話の発信を行う電話発信ステップと、
前記電話の発信に応じて返信される信号に基づいて、前記電話の発信の対象の携帯電話機の電源がオフ状態であるか否かを判定する電源判定ステップと、
前記電話の発信の対象の携帯電話機の電源がオフ状態であると前記電源判定ステップにおいて判定された場合に、前記照合端末に識別情報を入力した操作者の前記施設への入室を許可することを決定する決定ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする入室管理プログラム。
【請求項6】
施設の出入口付近に設置される照合端末と、
前記施設の出入口の扉を施錠する電気錠と、
前記照合端末及び前記電気錠に接続される入室管理装置と、
を備え、
前記入室管理装置は、
前記施設への入室を許可された利用者の識別情報と、当該利用者の携帯電話機の電話番号と、を関連付けて記憶した入室許可者情報記憶部と、
前記照合端末に入力された識別情報を前記照合端末から取得し、取得した識別情報と前記入室許可者情報記憶部に記憶された識別情報とを照合することで、前記取得した識別情報が前記施設への入室を許可された利用者の識別情報であるか否かを判定する利用者判定部と、
前記取得した識別情報が前記施設への入室を許可された利用者の識別情報であると前記利用者判定部が判定した場合に、前記取得した識別情報と関連付けて前記入室許可者情報記憶部に記憶された電話番号に対して電話の発信を行う電話発信部と、
前記電話の発信に応じて返信される信号に基づいて、前記電話の発信の対象の携帯電話機の電源がオフ状態であるか否かを判定する電源判定部と、
前記電話の発信の対象の携帯電話機の電源がオフ状態であると前記電源判定部が判定した場合に、前記照合端末に識別情報を入力した操作者の前記施設への入室を許可することを決定する決定部と、
前記決定部が前記操作者の前記施設への入室を許可することを決定した場合に、前記電気錠を開錠する制御を行う制御部と、
を備えることを特徴とする入室管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−238063(P2009−238063A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85333(P2008−85333)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】