説明

入浴用手袋

【課題】 入浴に使う一般的なタオルを、片手の不自由な人や、手の握力の弱い人が、自分で身体を洗えるように、又、入浴介護をする介助者も、両手の使える元気な人も、誰もが容易に使うことのできる入浴用手袋を提供する。
【解決手段】 肌触りの良い生地を用いたミトン形手袋の、頭部に開口部を設け、四本指を入れる方の人差し指と中指の間で両面の生地を止め縫いし、手袋口より若干離した位置にゴム紐を取り付け手袋口にフリルを形成した入浴用手袋とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病気やケガで片手の不自由な人や、高齢で手の握力が弱い人、入浴介護をする介助者などが使う入浴用手袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、入浴には一般的にタオルを使うが、病気やケガで片手が不自由な人が、タオルを絞ることも石けんを付けて身体を洗うことも充分にはできないので、介助者に洗ってもらわなければならない。
高齢者の入浴介護をするとき、介助者がタオルを一定の方法でたたむように手に巻き付け親指で固定しながら洗うが、耳や足の指の間など細部は洗いにくのでタオルを広げて洗うなど、その都度使い分けている。介護を受けている人を、とっさに支えなければならない時タオルを手に巻いていると動きが制約され、しっかり支えることができないので危険なことになる。その作業効率の悪さと安全への対処として、介護施設では軍手を用いているが、水に濡れた五本指の軍手はなかなか外しにくく、片手の不自由な人が軍手を用いるには脱着がさらに難しいなどがある。
なお、先願として介護入浴用手袋(特許文献1)入浴用手袋(特許文献2)がある。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−192360号
【特許文献2】実開平6−36488号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来より、次のような問題点があった。
(イ)入浴に使う濡れたタオルは、片手の不自由な人や、手の握力の弱い人が扱うには長 さが手に余り扱いにくい。
(ロ)体力の弱った人はタオルを絞ることも、身体を洗うことも充分にはできにくいので 、介護施設では入浴介護のとき、軍手をタオルがわりに使うようになり、手の動き が制約される問題はなくなり細部まで洗うことができるが、濡れた五本指の軍手は ピッタリ肌に密着して外しにくい。あわてて裏返しに外してしまうと、元に戻すの も手間がかかる。
(ハ)片手の不自由な人にも、介助をする人にも、両手の使える元気な人も、誰もが使え る入浴用手袋がない。
(ニ)先願は二件とも五本指の手袋を用いての発明であり、形も、目的も本発明の入浴用 手袋とは異なっている。
本発明は以上の問題点を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
肌触りの良い生地を用いたミトン形の手袋の、頭部に開口部を設け、四本指を入れる方の人差し指と中指の間で両面の生地を止め縫いする。手袋口より若干離した位置にゴム紐を取り付け手袋口にフリルを形成した入浴用手袋とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の入浴用手袋は、両面が対になっており左右どちらの手が不自由でも、利き手が右左どちらの人でも使うことができる。
入浴用手袋に手を入れ、軽く握ると数カ所に設けた開口部(2)(3)から水と空気が抜けやすくなっている為、タオル地など厚めの生地を用いている場合は特に水の表面張力を弱め絞りやすい状態になる。石けんを握って手の平で回し付け、手を広げてなでるように細部まで洗うことができるので、片手を使える人は自分の身体の約8割を洗うことが容易になる。
手の握力の弱い人もタオルを握り持ちつづける継続的な力は必要ないので、身体を洗うことはできなくても本発明の入浴用手袋を使えば、顔、耳くらいは自分で洗うことができる。
石けんを洗い流すには、手から外さなくても開口部(2)(3)より入る水を、生地を通して抜けるようにすれば石けんは洗い流せる。外すには指先部分を足などで挟み手を引けば簡単に外せる。
手からはずした入浴用手袋は、片手で充分握り込むことのできる大きさであり、水をしっかり絞ることができる。
手の平の面にだけ石けんを付ければ充分洗うことができるので、タオルを使う時より石けんの無駄がなくなる。
片手の不自由な人が使える本発明の入浴用手袋は、介助者にも使い勝手が良く、脱着が容易で作業効率も良く、手袋を着けていても物をつかむことができるので、介護を受ける人の安全にもつながる。
子供用サイズには、特にかわいらしさを付加した生地を用いれば子供も自分で上手に身体を洗うことができるので入浴も楽しくなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の斜視図
【図2】本発明のA−A切断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(イ)肌触りの良い生地を使い、縫い代を付けミトン形に裁断した生地(1)を2枚重ね る。
(ロ)頭部に水抜き用の開口部(2)開口部(3)を設け乍ら周りを縫い合わせる。
(ハ)手袋口(4)より若干離した位置にゴム紐通し部(5)を設け、ゴム紐(6)を通 す。
(ニ)ゴム紐(6)を通すと手袋口(4)にフリル(7)ができる。
(ホ)2枚の生地を(8)止め縫いする。
本発明は、以上の構成になっている。
本発明を使用する時、上記の入浴用手袋は両面が対仕立てになっており、裏、表の区別なく両面使うことができる。
片手の不自由な人の場合、手袋口(4)より手を入れるのを助ける為にはフリル(7)の親指側を口にくわえて固定し手袋口(4)を広げながら手を入れることができる。四本指のうち、人差し指と中指で止め縫い(8)を挟むように指を入れる。止め縫い(8)があることで生地が手から離れ過ぎず、手を握ると開口部(2)(3)から空気が抜け、生地が肌に着くことで、生地に含まれている水の表面張力が弱まり、水が抜けやすくなる。手の甲側の生地(1)も引っ張られて水を絞ることができる。
生地についてはタオル、ワッフル、スウェットなど主に綿の厚めの生地を用い、特にタオル地の場合、生地を織るときから縫い代部分は平織りにしておけば、裁断もしやすく縫い上がりもスッキリして乾燥も早くなる。
更に、入浴介護をする介助者が使うメリヤス生地の軍手についていえば現在手袋口(4)の位置より細いゴム紐の入ったゴム編みに形成されているが、手袋口(4)の端より1センチくらいゴム紐を編み込まず、メリヤス編みにすると手袋口(4)がフリル(7)状になり、多少外側に丸まっても手袋口(4)を持ちやすくして、手が入れやすくなる。指の部分には開口部(2)(3)と止め縫い(8)を設け、本発明の入浴用手袋の形にすれば五本指の軍手より脱着が容易で作業効率も良くなり介助者にも使いやすくなる。
【符号の説明】
【0009】
1 生地
2 開口部
3 開口部
4 手袋口
5 ゴム紐通し部
6 ゴム紐
7 フリル
8 止め縫い
9 手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌触りの良い生地を用いたミトン形手袋の、頭部に開口部を設け、四本指を入れる方の人差し指と中指の間で両面の生地を止め縫いし、手袋口より若干離した位置にゴム紐を取り付け手袋口にフリルを形成した入浴用手袋。

【図1】
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【図2】
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