説明

入浴補助具の取付構造および取付部材

【課題】浴槽の内側コーナーのR形状部分にも容易に取り付けることができる、入浴補助具の取付構造および取付部材を提供する。
【解決手段】水平部1a、2aと垂直部1b、2bとを備えたL字形の2つの枠構成材1、2の該水平部1a、2aを重ね合わせて、浴槽20の側壁上端部21に嵌まる門形の取付枠10と、該取付枠の両側の垂直部に設けられ前記浴槽の側壁上端部を挟持して前記取付枠を固定する締付手段と、前記取付枠に設けられた入浴補助具5とからなる。前記取付枠を構成する2つの枠構成材の水平部1a、2aは、前記重ね合わせ部をピン連結して回動可能な構成とされている。また、前記取付枠の浴槽側の垂直部1bに、浴槽の内壁へ当接する揺動自在な当接板3が設けられ、洗い場側の垂直部2bに、ねじ込み式の締付板4が設けられ、該当接板3と締付板4とで浴槽の側壁上端部を挟持して前記取付枠が固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浴室用の移乗台(入浴台)、手摺り等の入浴補助具の取付構造および取付部材の技術分野に属し、更に言えば、浴槽の内側コーナーのR形状部分(曲線形状部分)にも容易に取り付けることができる入浴補助具の取付構造および同取付構造に用いる取付部材に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者や身体障害者等の入浴に際し、浴槽への出入りや浴槽内での姿勢保持を補助するための福祉用具として、浴槽の側壁上端部へ取り付ける移乗台(入浴台)、手摺り等の入浴補助具が利用されている。例えば特許文献1、2には、浴槽用手摺りの取付構造が開示されている。
前記特許文献1には、同文献1の図1等に示したように、手摺り(5)や取手(6)が取り付けられた門形の取付枠(20)をL字形の第1、第2の取付部材(21、31)で構成し、浴槽の側壁の厚みに対応してその垂直片(22、32)間の間隔を適宜調整し、この取付枠(20)を側壁上端部に嵌合して締付手段(4)で固定する構成とすることにより、取付枠(20)等の浴槽内への突出寸法を小さくできる浴槽用手摺りの取付構造が開示されている。
前記特許文献2には、同文献2の図1等に示したように、浴槽の側壁上端部に載置する2つのアングル材(4、5)を重ねることなく向かい合わせて上面を面一(フラット)に形成することを主たる特徴とした、ガタツキを生じさせない浴槽用手摺りの取付構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−189339号公報
【特許文献2】特許第4076752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1、2に係る浴槽用手摺りの取付構造は、浴槽の側壁の内側部分(内壁)に当接する締付板(45)、又は挟持板(14)が、単なるフラットな形状であるが故に、浴槽の内側コーナーのR形状部分に取り付けることができず、浴槽の内側コーナー(角隅部)から離れた直線部分に取り付けるほかなかった。
よって、比較的小さい浴槽の場合は、浴槽の角隅部から離れた中間部分に設けた手摺り、或いは移乗台(入浴台)の入浴補助具が邪魔になり、かえって浴槽に入りづらい等、使い勝手がわるくなる問題があった。国内の浴槽(浴室)は欧米と比してまだまだ狭く、この問題は今後の高齢化社会を見据えた上でも軽視できない。
また、洗い場においても、浴槽の角隅部から離れた中間部分に設けた手摺り、或いは移乗台(入浴台)等の入浴補助具は、使用者に圧迫感を与えるほか、デッドスペースを作り易いという問題もあった。
【0005】
本発明の目的は、浴槽の内側コーナーのR形状部分にも容易に取り付けることができ、移乗台(入浴台)、手摺り等の入浴補助具を、使用者の邪魔にならない部位に位置決めできることにより、使用者にとって使い勝手がよく、浴槽ひいては浴室のスペースを有効利用できる、入浴補助具の取付構造および取付部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記背景技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る入浴補助具の取付構造は、水平部と垂直部とを備えたL字形の2つの枠構成材の該水平部を重ね合わせて、浴槽の側壁上端部に嵌まる門形の取付枠と、該取付枠の両側の垂直部に設けられ前記浴槽の側壁上端部を挟持して前記取付枠を固定する締付手段と、前記取付枠に設けられた移乗台、手摺り等の入浴補助具とからなる入浴補助具の取付構造であって、
前記取付枠を構成する2つの枠構成材の水平部は、前記重ね合わせ部をピン連結して回動可能な構成とされていること、
前記取付枠の浴槽側の垂直部に、浴槽の内壁へ当接する揺動自在な当接板が設けられ、洗い場側の垂直部に、ねじ込み式の締付板が設けられ、該当接板と締付板とで浴槽の側壁上端部を挟持して前記取付枠が固定されることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した入浴補助具の取付構造において、前記取付枠の浴槽側の垂直部に、前記揺動自在な当接板が少なくとも左右両側に設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載した入浴補助具の取付構造において、前記2つの枠構成材の水平部のいずれか一方には、取付枠の幅方向に複数のボルト通し孔が設けられ、他方には、前記ボルト通し孔を貫通する1本のボルトが立設されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載した発明は、請求項3に記載した入浴補助具の取付構造において、前記ボルト通し孔へ通したボルトに、調整つまみがねじ込まれていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載した発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載した入浴補助具の取付構造において、前記2つの枠構成材のうち、洗い場側に設ける枠構成材の水平部及び/又は垂直部の外側面に、移乗台、手摺り等の入浴補助具のフレームを固定する継手部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載した発明は、請求項1〜5のいずれか一に記載した入浴補助具の取付構造において、前記当接板及び/又は締付板には弾性パットが貼着されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載した発明に係る入浴補助具の取付部材は、水平部と垂直部とを備えたL字形の2つの枠構成材の該水平部を重ね合わせて、浴槽の側壁上端部に嵌まる門形の取付枠と、該取付枠の両側の垂直部に設けられ前記浴槽の側壁上端部を挟持して前記取付枠を固定する締付手段と、前記取付枠の外側面に設けられ、移乗台、手摺り等の入浴補助具のフレームを固定する継手部とからなる入浴補助具の取付部材であって、
前記取付枠を構成する2つの枠構成材の水平部は、前記重ね合わせ部をピン連結して回動可能な構成とされていること、
前記取付枠の浴槽側の垂直部に、浴槽の内壁へ当接する揺動自在な当接板が設けられ、洗い場側の垂直部に、該当接板とで浴槽の側壁上端部を挟持するねじ込み式の締結板が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る入浴補助具の取付構造および同取付構造に用いる取付部材によれば次の効果を奏する。
取付枠(取付部材)を構成する2つの枠構成材を互いに回動可能な構成とした上に、浴槽側に配置する枠構成材に設けた当接板を揺動自在な構成として実施することにより、該当接板を、浴槽の直線部分の内壁はもとより、浴槽の内側コーナーのR形状部分の内壁(曲面)であってもフレキシブルに当てがうことができる。よって、従来、設置することができなかった浴槽の内側コーナーのR形状部分を跨いで取付枠(取付部材)を確実に設置できる。
即ち、取付枠を、できるだけ浴槽の角隅部に近づけて設置できるので、浴槽に入りづらい等、使用者の邪魔になることもなく、合理的で使い勝手がすこぶる良い。また、使用者にとって圧迫感を与える虞を極力解消することができ、浴槽ひいては浴室の有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る入浴補助具の取付構造の使用状態を示す斜視図である。
【図2】A、Bは、本発明に係る入浴補助具の取付構造に用いる取付部材を示す斜視図である。
【図3】Aは、前記取付部材を示す正面図であり、Bは、同平面図である。なお、Bについては図示の便宜上、締付板および締付ねじを省略している。
【図4】浴槽側に配置する枠構成材に設けた当接板を示す立断面図である。
【図5】A、Bは、前記当接板の異なる実施例を示した立断面図である。
【図6】A〜Eは、浴槽の内側コーナーのR形状部分のバリエーションに対応した取り付部材の取付状態を示す平面図である。
【図7】手摺りを連結した取付部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る入浴補助具の取付構造および取付部材の実施例を図面に基づいて説明する。
図1〜図4は、本発明に係る入浴補助具の取付構造の実施例を示している。
この入浴補助具の取付構造は、水平部1a、2aと垂直部1b、2bとを備えたL字形の2つの枠構成材1、2の該水平部1a、2aを重ね合わせて、浴槽20の側壁上端部21に嵌まる門形の取付枠10と、該取付枠10の両側の垂直部1b、2bに設けられ前記浴槽20の側壁上端部21を挟持して前記取付枠10を固定する締付手段と、前記取付枠10に設けられた移乗台5(又は手摺り等の入浴補助具)とからなる。
前記取付枠10を構成する2つの枠構成材1、2の水平部1a、2aは、前記重ね合わせ部をピン連結して回動可能な構成とされている。
また、前記取付枠10の浴槽側の垂直部1bに、浴槽20の内壁へ当接する揺動自在な当接板3が設けられ、洗い場側の垂直部2bに、ねじ込み式の締付板4が設けられ、該当接板3と締付板4とで浴槽20の側壁上端部21を挟持して前記取付枠10が固定される。
【0016】
前記門形の取付枠10は、浴槽側へ配置される枠構成材1と、洗い場側へ配置される枠構成材2との組み合わせで構成される。
浴槽側へ配置される枠構成材1は、図3Aに示したように、正面方向からみてほぼ同厚(5mm程度)の、金属板を曲げ加工した水平部1aと垂直部1bとからなる横向きのL字形状で実施されている。枠構成材1の材質は、防錆効果に優れたステンレス製が好ましい。
前記水平部1aは、頂部にR加工を施した略二等辺三角形状に形成され、その垂線上の頂部近傍位置に1本のボルト6が立設されている。本実施例に係るボルト6は、前記水平部1aの所定部位に設けたねじ孔にねじ込んで立設しているが、水平部1aの上面に溶接により立設することも勿論できる。
前記垂直部1bは、下角部にR加工を施した水平方向に長い長方形状に形成され、その内壁の左右両側に当接板3、3がほぼ左右対称配置に設けられている。前記当接板3は、前記内壁に溶接等の接合手段で設けられた軸部7に、該軸部7を中心として揺動(遊動)自在に取り付けられている。本実施例では、図4に示したように、前記軸部7の先端に設けたねじ孔19に、前記当接板3の中心部に設けた貫通孔へ通したボルト8をねじ込み、該当接板3を軸部7を中心として揺動自在に取り付けている。
また、本実施例では、浴槽20の損傷防止および滑り防止のため、前記当接板3の全面に弾性パット17を貼着している。
ちなみに、前記水平部1aおよび垂直部1bの角部にR加工を施すのは、取付作業者、或いは入浴者の安全性を考慮したものである。また、本発明は浴室に適用することを考慮し、枠構成材1等の構成部材にステンレス製を採用したり、防錆塗料を塗布する等の工夫は適宜行われるところである。
【0017】
なお、本実施例に係る枠構成材1は、前記水平部1aを前記二等辺三角形状に形成して実施しているがこれに限定されず、矩形状でも同様に実施できる。もとより、矩形状よりも三角形状で実施した方が経済的であるし、全体の重量を軽くでき、取付作業の取り回しがし易くなる。
前記水平部1aの上面に立設するボルト6の取付位置も図示例に限定されないが、水平部1aの回動操作上、先端部近傍位置に設けるのが合理的である。
前記垂直部1bに設ける当接板3の使用数量も図示例の2つに限定されず、使用する垂直部1b、或いは当接板3の大きさ等に応じて1つ(図6E参照)乃至3つ以上でも実施できる。
前記当接板3を軸部7へ揺動自在に取り付ける手段も図示例に限定されず、例えば図5A、Bに示したように、当接板3と軸部7との連結部を、いずれか一方を球状凸部9aに形成し、他方を該球状凸部9aを収容する球状凹部9bに形成して実施する等、種々の公知な手法で実施することもできる。
【0018】
洗い場側へ配置される枠構成材2は、上述した枠構成材1と同様に、正面方向からみてほぼ同厚(5mm程度)の、金属板を曲げ加工した水平部2aと垂直部2bとからなる横向きのL字形状で実施されている(図3A参照)。
前記水平部2aは、角部にR加工を施した矩形状に形成され、その中心線上に沿って、前記枠構成材1に設けたボルト6を通す、取付枠10の幅調整用のボルト通し孔11が複数(図示例では2個)穿設されている。また、前記水平部2aの上面には、前記垂直部2b寄りの左右両側に、移乗台5のフレームを固定する継手部12、12がほぼ左右対称配置に設けられている。
前記垂直部2bは、下端部にR加工を施した倒立二等辺三角形状に形成され、その下端中央部にねじ孔13が設けられている。前記ねじ孔13には、先端部に締付板4が取り付けられ、頭部にハンドル15を装着した締付ねじ14がねじ込まれている。かくして、前記ハンドル15を右回転又は左回転させることにより、前記締付板4が締付ねじ14のストロークの範囲内で前進又は進退可能な構成とされる。ちなみに、本実施例に係る締付板4は、締付ねじ14の先端に設けたねじ孔に前記締付板4の中央部に設けた雄ねじをねじ込む手法で取り付けられている。また、締付板4は、上下方向だけに揺動自在な構成としても良い。これは左右方向に揺動可能であると、固定しても移乗台5が梃子となって左右にずれて動き易いからである。前記締付板4は、良好な締付作業を実現するべく、浴槽側に配置される枠構成材1に設けた当接板3と相対向する配置に設けることが好ましい。
また、本実施例では、浴槽20の損傷防止および滑り防止のため、前記締付板4の壁に接地する全面に弾性パット17を貼着している。
【0019】
なお、本実施例に係る枠構成材2は、前記水平部2aに2個のボルト通し孔11を穿設して実施しているがこれに限定されない。取付枠10の幅をフレキシブルに調整する場合は3個以上穿設して実施する。前記ボルト通し孔11の取付部位も水平部2aの中心線上に限定されない。
前記継手部12の数量及び取付部位も図示例に限定されず、1個乃至3個以上、或いは垂直部2a及び/又は垂直部2bに設ける等、当該枠構成材2に取り付ける移乗台5、或いは後述する手摺り18の構成、大きさに応じて適宜設計変更可能である。
前記垂直部2bの形状も図示例の倒立二等辺三角形状に限定されず、矩形状でも実施できる。
【0020】
次に、上述した枠構成材1、2を組み合わせてなる取付枠10を浴槽20の側壁上端部21のコーナー部へ取り付ける手順の一例について説明する。
先ず、前記枠構成材1、2にそれぞれ、上述した要領で当接板3、締付板4を取り付ける。続いて、前記枠構成材2の水平部2aに設けたボルト通し孔11へ、前記枠構成材1の水平部1aに立設したボルト6を通して両者を重ね合わせる。この際、浴槽20の側壁上端部21の幅に応じて2つのボルト通し孔11のうち好適な方を選択してボルト6を通す。ちなみに本実施例では、50mm〜110mmと80mm〜140mmの2種類の調節幅が可能なタイプとして実施している。
次に、前記ボルト通し孔11へ通したボルト6の先端部に調整つまみ16をねじ込む。この調整つまみ16は、重ね合わせた水平部1a、2a同士を離脱させず、後に所要の角度に回動させた水平部1a、2aを位置決め(ロック)するのに供される。
かくして、浴槽20の側壁上端部21へ取り付ける前に予め、前記枠構成材1、2をピン連結してなる門形の取付枠10を構成する。
【0021】
次に、前記門形の取付枠10を、上方から浴槽20の側壁上端部21のコーナー部へ嵌める。具体的には、前記枠構成材2の垂直部2bに取り付けたハンドル15を回転させ、締付板4を浴槽20の側壁上端部21へ衝突しない程度に後退させておき、取付枠10の水平部1a、2aを側壁上端部21の上面へ載置させる。
続いて、側壁上端部21へ嵌めた取付枠10を、コーナー部の所要の部位に位置決めする。この位置決め手段は、浴槽側へ配置された枠構成材1の水平部1aの角度、及び浴槽20の内側コーナーのR形状部分の内壁(曲面)へ当てがう当接板3、3の傾斜角度を微調整しつつ、該R形状部分の曲率に応じて無理のない角度で位置決めする(一例として図6A〜D参照)。取付枠10を位置決めした後は、前記調整つまみ16をしっかりねじ込み、水平部1a、2aのずり動きを防止する。
続いて、前記当接板3を前記浴槽20の内壁へ当接させた状態で、洗い場側へ配置した枠構成材2に取り付けたハンドル15を回転させ、締付ねじ14を前進させて締付板4を浴槽20の外壁へ圧着させる。そうすると、前記当接板3と締付板4とが弾性パット17、17を介して浴槽20の側壁上端部21をしっかり挟持することにより当該取付枠10が固定される。
しかる後、前記側壁上端部21にきっちり固定された取付枠10の枠構成材2に設けた継手部12を利用して移乗台5を取り付ける(図1参照)。
なお、前記取付枠10に移乗台5を取り付けた後、前記当接板3の当接状態を確認しつつ締付板4の締付具合(ガタツキ防止、ずり動き防止)を確認する等の最終チェック作業は適宜行われる。
【0022】
要するに、本発明に係る入浴補助具の取付構造は、浴槽20の側壁上端部21に固定する取付枠10、ひいては取付部材(請求項7参照)と、該取付部材の継手部12に連結される移乗台5、或いは手摺り18(図7参照)等の入浴補助具とから構成される。
移乗台5等の大掛かりな入浴補助具を設置する場合は、上記したように、取付部材を浴槽20の側壁上端部21へ固定した後に取り付けることが作業上好ましい。一方、図7に示したような手摺り18等のコンパクトな入浴補助具を設置する場合は、予め手摺り18を取付部材(取付枠10)に取り付けておき、上記した取付作業を行うと合理的である。
【0023】
したがって、本発明に係る入浴補助具の取付構造および同取付構造に用いる取付部材によれば、次の効果を奏する。
取付枠10(取付部材)を構成する2つの枠構成材1、2を互いに回動可能な構成とした上に、浴槽側に配置する枠構成材1に設けた当接板3を揺動自在な構成として実施することにより、該当接板3を、浴槽20の直線部分の内壁はもとより、浴槽の内側コーナーのR形状部分の内壁(曲面)であってもフレキシブルに当てがうことができる。よって、従来、設置することができなかった浴槽20の内側コーナーのR形状部分を跨いで取付枠10(取付部材)を確実に設置できる。
即ち、取付枠10を、できるだけ浴槽20の角隅部に近づけて設置できるので、浴槽に入りづらい等、使用者の邪魔になることもなく、合理的で使い勝手がすこぶる良い。また、使用者にとって圧迫感を与える虞を極力解消することができ、浴槽20ひいては浴室の有効利用を図ることができる。
【0024】
以上に実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
例えば、本実施例では、浴槽側に配置する枠構成材1の水平部1aにボルト6を立設し、洗い場側に配置する枠構成材2の水平部2aにボルト通し孔11を設けて実施しているがこれに限定されず、洗い場側に配置する枠構成材2の水平部2aにボルト6を立設し、浴槽側に配置する枠構成材1の水平部1aにボルト通し孔11を設けて実施することもできる。
また、前記弾性パット17は、当接板3や締付板4に設けるほか、浴槽20の側壁上端部21の上面に当接する水平部1a及び/又は水平部2aの下面に設けて実施してもよい。
さらに、本実施例では、取付枠10に継手部12を設けて実施しているが該継手部12は必須でなく、取付枠10と入浴補助具(移乗台5、手摺り18等)との連結手段をボルト止めで実施する場合は、該取付枠10の取付部位にボルト通し孔を設ける等、適宜設計変更可能である。
【符号の説明】
【0025】
1、2 枠構成材
1a、2a 水平部
1b、2b 垂直部
3 当接板
4 締付板
5 移乗台
6 ボルト
7 軸部
8 ボルト
9a 球状凸部
9b 球状凹部
10 取付枠
11 ボルト通し孔
12 継手部
13 ねじ孔
14 締付ねじ
15 ハンドル
16 調整つまみ
17 弾性パット
18 手摺り
19 ねじ孔
20 浴槽
21 側壁上端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平部と垂直部とを備えたL字形の2つの枠構成材の該水平部を重ね合わせて、浴槽の側壁上端部に嵌まる門形の取付枠と、該取付枠の両側の垂直部に設けられ前記浴槽の側壁上端部を挟持して前記取付枠を固定する締付手段と、前記取付枠に設けられた移乗台、手摺り等の入浴補助具とからなる入浴補助具の取付構造であって、
前記取付枠を構成する2つの枠構成材の水平部は、前記重ね合わせ部をピン連結して回動可能な構成とされていること、
前記取付枠の浴槽側の垂直部に、浴槽の内壁へ当接する揺動自在な当接板が設けられ、洗い場側の垂直部に、ねじ込み式の締付板が設けられ、該当接板と締付板とで浴槽の側壁上端部を挟持して前記取付枠が固定されることを特徴とする、入浴補助具の取付構造。
【請求項2】
前記取付枠の浴槽側の垂直部に、前記揺動自在な当接板が少なくとも左右両側に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載した入浴補助具の取付構造。
【請求項3】
前記2つの枠構成材の水平部のいずれか一方には、取付枠の幅方向に複数のボルト通し孔が設けられ、他方には、前記ボルト通し孔を貫通する1本のボルトが立設されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した入浴補助具の取付構造。
【請求項4】
前記ボルト通し孔へ通したボルトに、調整つまみがねじ込まれていることを特徴とする、請求項3に記載した入浴補助具の取付構造。
【請求項5】
前記2つの枠構成材のうち、洗い場側に設ける枠構成材の水平部及び/又は垂直部の外側面に、移乗台、手摺り等の入浴補助具のフレームを固定する継手部が設けられていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載した入浴補助具の取付構造。
【請求項6】
前記当接板及び/又は締付板には弾性パットが貼着されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載した入浴補助具の取付構造。
【請求項7】
水平部と垂直部とを備えたL字形の2つの枠構成材の該水平部を重ね合わせて、浴槽の側壁上端部に嵌まる門形の取付枠と、該取付枠の両側の垂直部に設けられ前記浴槽の側壁上端部を挟持して前記取付枠を固定する締付手段と、前記取付枠の外側面に設けられ、移乗台、手摺り等の入浴補助具のフレームを固定する継手部とからなる入浴補助具の取付部材であって、
前記取付枠を構成する2つの枠構成材の水平部は、前記重ね合わせ部をピン連結して回動可能な構成とされていること、
前記取付枠の浴槽側の垂直部に、浴槽の内壁へ当接する揺動自在な当接板が設けられ、洗い場側の垂直部に、該当接板とで浴槽の側壁上端部を挟持するねじ込み式の締結板が設けられていることを特徴とする、入浴補助具の取付部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−143297(P2012−143297A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2096(P2011−2096)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000245830)矢崎化工株式会社 (47)
【Fターム(参考)】