説明

入荷情報記録システム、入荷情報記録方法、及びプログラム

【課題】安価な設備投資で、入荷した物品のデータを迅速に記録できる入荷情報記録システムを提供する。
【解決手段】入荷情報記録システムは、入荷拠点ごとに独立して設けられるデータベース6と、入荷拠点に入荷される物品を特定する符号および該物品の数量のデータを含むバーコードBを印刷する印刷部と、入荷拠点に入荷された物品に添付されたバーコードBから、入荷拠点に入荷された物品を特定する符号および該物品の数量のデータを抽出する物品データ抽出部61と、物品データ抽出部61が抽出したデータを、物品が入荷された入荷拠点に設けられるデータベース6に記録する入荷履歴データ記録部63とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入荷した物品の情報を記録する入荷情報記録システム、入荷情報記録方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2には、出荷拠点から入荷拠点に配送される物品の情報を、バーコードから読み取るシステムが開示される。
【0003】
特許文献1では、RFIDタグ(Radio Frequency Identification tag)が添付された複数の物品が梱包体に格納され、該梱包体の表面にバーコードが添付される。RFIDタグには、該RFIDタグが添付された物品の種類や属性情報が記録される。バーコードには、梱包体に格納される各物品の種類や属性情報が記録される。RFIDタグやバーコードの情報は、物品の入出荷時に読み取られる。出荷時に読み取られた情報は、物流管理データベースの内容を更新するために使用される。入荷時に読み取られた情報は、梱包体の内容物を確認するために使用される。
【0004】
特許文献2のシステムは、出荷拠点に配置される第1情報処理端末と、入荷拠点に配置される第2情報処理端末と、ネットワークを通じて第1、第2情報処理端末に接続されるデータベースとを備える。特許文献2では、バーコードは物品の梱包体に貼付される。そして、物品の梱包時や入出荷時に、梱包体に貼付されたバーコードの情報が読み取られ、物品の梱包時に読み取られた情報は、データベースに記録される。
【0005】
第1情報処理端末は、出荷時にバーコードから読み取られた情報と、入荷拠点に関する情報等とを、ネットワークを通じてデータベースに送信する。この結果、データベースでは、バーコードの情報から特定されるレコードに、入荷拠点に関する情報等が追記される。
【0006】
第2情報処理端末は、入荷時にバーコードから読み取られた情報と、物品の入荷時刻等とを、ネットワークを通じてデータベースに送信する。この結果、データベースでは、バーコードの情報から特定されるレコードに、入荷時刻等が追記される。
【0007】
データベースに蓄積された情報は、物品の流通状態を把握するために、ネットワークを通じて第1,第2情報処理端末に読み取られる。例えば、入荷時刻が追記された物品のデータが読み取られることで、第1,第2情報処理端末の利用者は、入荷拠点に入荷された物品や、物品の入荷時刻を把握できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−160324号公報
【特許文献2】特開2006−36443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1では、入荷時にバーコード等から読み取られた情報は、梱包体の内容物を確認するために使用されるものであり、入荷された物品の情報を記録することは開示されていない。
【0010】
また、特許文献2では、出荷拠点及び入荷拠点の情報処理端末が、ネットワークを通じて共通のデータベースにアクセスして、該データベースの更新・読み取りを行うことで、以下の問題が生じ得る。
【0011】
まず、各拠点の情報処理端末がデータベースに安定してアクセスできるように、ネットワークの環境設定・保守・運用を行う必要がある。このため、高額の費用を要する。
【0012】
また、情報処理端末の位置と、データベースを構成する装置の位置との距離が大きい場合には、情報処理端末からデータベースにアクセスする通信速度が遅くなる。また入荷拠点が多く存在する場合には、各入荷拠点へ出荷される物品のデータが、データベースに記録されることで、データベースの情報が大量となる。そして、これら情報の各々に対して更新や読み取りの要求が行われる。よって、データベースの更新・読み取りを行うバッチ処理に長い時間を要する。以上のことから、特許文献2では、データベースの更新・読み取り処理が所望の時間内に完了できない虞れがある。
【0013】
また、破損等により代替品が手配された際に、代替品の出荷時や入荷時までに、代替品の情報がデータベースに記録されない場合には、バーコードの情報から特定される代替品のデータが存在しないことで、入荷時刻等をデータベースに記録することができない。
【0014】
本発明は、上記事項に鑑みてなされたものであって、その目的は、安価な設備投資で、入荷された物品のデータを迅速に記録できる入荷情報記録システム、入荷情報記録方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係る入荷情報記録システムは、データベースと、印刷部と、抽出部と、記録部とを備える。データベースは、入荷拠点ごとに独立して設けられる。印刷部は、入荷拠点に入荷される物品を特定する符号および該物品の数量のデータを含むバーコードを印刷する。抽出部は、入荷拠点に入荷された物品に添付されたバーコードから、入荷拠点に入荷された物品を特定する符号および該物品の数量のデータを抽出する。記録部は、抽出部が抽出したデータを、物品が入荷された入荷拠点に設けられるデータベースに記録する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、入荷拠点と他拠点とを接続するネットワークを介さず、入荷拠点に入荷された物品のデータをデータベースに記録することができる。このため、安価な設備投資で、入荷された物品のデータを迅速に記録することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る入荷情報記録システムの構成を示す概略図である。
【図2】出荷指示データの例を示す図である。
【図3】情報処理端末の構成を示すブロック図である。
【図4】出荷拠点の構成を示すブロック図である。
【図5】スキャナの構成を示すブロック図である。
【図6】入荷拠点の構成を示すブロック図である。
【図7】入荷履歴データを示す図である。
【図8】バーコードの印刷処理のフローチャートである。
【図9】入荷履歴データの記録処理のフローチャートである。
【図10】入荷履歴データの出力処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態では、図1に示すように、バーコードBが添付される物品が、出荷拠点Sから入荷拠点N1,N2,N3へ配送される。バーコードBは、QRコード(登録商標)、マキシコード、データマトリクス、PDF417等のバーコードや、JANコード、ITF、UCC/EAN128等であり、物品を梱包する梱包体Kに貼り付けられる。
【0019】
本実施の形態に係る入荷情報記録システム1では、出荷拠点Sにデータベース3が設けられ、入荷拠点N1,N2,N3にデータベース6が設けられる。データベース3には、出荷拠点Sから出荷される物品のデータ(以下、出荷指示データ)が記録される。
【0020】
データベース6は、入荷拠点N1,N2,N3ごとに独立して設けられる。「独立して」とは、入荷拠点N1,N2,N3ごとに物理的に異なる装置であって、それぞれが独立にネットワークに接続するポートを有することを意味する。各データベース6には、これらが設けられる入荷拠点Nに入荷される物品の名称、該物品を特定する符号および数量、および入荷拠点Nに物品が入荷された時刻が、後述の入荷履歴データ記録部63(図6参照)により記録される。例えば、入荷拠点N1のデータベース6には、入荷拠点N1に入荷される物品に関する上記の情報(物品の名称や入荷時刻等)が記録される。
【0021】
バーコードBには、入荷履歴データ記録部63がデータベース6に記録するデータのうち、入荷拠点Nで付与される情報以外のデータ全てが含まれる。入荷拠点Nで付与される情報は、物品の入荷時刻であり、バーコードBには、入荷時刻以外の情報、つまり、物品の名称、物品を特定する符号および数量が含まれる。
【0022】
入荷情報記録システム1は、出荷拠点Sにおいて、物品に添付するバーコードBを印刷する。また、入荷情報記録システム1は、入荷拠点Nに入荷された物品に添付されたバーコードBから、上記物品の名称や符号等を含むデータを抽出するとともに、該抽出したデータと入荷時刻とを関連付けた入荷履歴データを取得する。そして、入荷情報記録システム1は、入荷履歴データを、物品が入荷された入荷拠点Nに対応するデータベース6に記録する。また、入荷情報記録システム1は、データベース6に記録された入荷履歴データを読み取って出力する。以下、入荷情報記録システム1の構成を具体的に説明する。
【0023】
入荷情報記録システム1は、上述のデータベース3やデータベース6に加え、情報処理端末4と、印刷装置5と、情報処理端末7と、スキャナ8とを備える。データベース3、情報処理端末4、及び印刷装置5は、出荷拠点Sに配置される。データベース6、情報処理端末7、及びスキャナ8は、入荷拠点Nの各々に配置される。まず、出荷拠点Sに配置される構成について説明する。
【0024】
データベース3は、ハードディスク装置などの記憶装置に構成される。データベース3に記録される出荷指示データは、梱包体K毎に作成され、各出荷指示データは、一つの梱包体Kに格納される物品を示す。図2に示すように、出荷指示データは、「No.」「物品コード」「物品名」「サイズ」「数量」「金額」「出荷拠点」の項目を含む。「No.」は各出荷指示データに付与されるIDである。
【0025】
「物品コード」「物品名」「サイズ」「数量」「金額」「出荷拠点」(以下、「物品コード」〜「出荷拠点」)は、バーコードBに含められる情報である。
【0026】
「物品コード」は、上述の物品を特定する符号に相当する情報であり、梱包体Kに格納される物品の種類を示す。「物品名」は上述の物品の名称に相当する情報である。「サイズ」は物品の大きさを示す情報である。「数量」は、上述の物品の数量に相当する情報であり、梱包体Kに格納される物品の数を示す。「金額」は物品の単価を示す。「出荷拠点」は出荷拠点Sの住所(尼崎)を示す情報である。
【0027】
なお図2は、一つの梱包体に同一種類の物品が格納される場合を示すが、一つの梱包体に複数種の物品が格納されてもよい。この場合、データベース3には、上記複数種の物品の情報(「物品コード」〜「出荷拠点」)を関連付けた出荷指示データが記録される。
【0028】
図3に示すように、情報処理端末4は、制御部20と、記憶部21と、通信部22と、表示部23と、操作部24とを備える。
【0029】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)から構成されて、記憶部21に格納されるプログラムに従って、情報処理端末4の動作を制御する。
【0030】
記憶部21は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリや、RAM(Random Access Memory)から構成されて、制御部20に実行させる動作プログラムを記憶する。また、記憶部21は、制御部20のワークメモリとしても機能する。
【0031】
通信部22は、出荷拠点SのLAN(Local Area Network)に接続する網終端装置または無線通信装置、およびそれらと接続するインタフェースから構成される。通信部22は、データベース3を構成する装置や印刷装置5と、LANを介した通信を行う。
【0032】
表示部23は、CRT(Cathode Ray Tube)またはLCD(Liquid Crystal Display)などから構成されて、各種情報を表示する。操作部24は、各種情報を入力するためのキー若しくはボタン又はマウスを備える。
【0033】
図4に示すように、情報処理端末4では、出荷指示データ読取部30と、バーコード作成部31と、印刷部32とが構成される。これら各部の処理は、動作プログラムが、制御部20、記憶部21、通信部22、表示部23、操作部24を資源として用いて処理することによって実行する。
【0034】
出荷指示データ読取部30は、通信部22を介して、データベース3から出荷指示データを読み取る。
【0035】
バーコード作成部31は、出荷指示データ読取部30が読み取った出荷指示データ毎に、「物品コード」〜「出荷拠点」のデータを取得して、「物品コード」〜「出荷拠点」のデータを含むバーコードBを作成する。
【0036】
印刷部32は、出荷指示データの印刷指示や、バーコードBの印刷指示を、通信部22を介して印刷装置5に送信する。この結果、印刷装置5では、印刷部32からの印刷指示に従って、出荷指示データやバーコードBが、インクジェット方式やレーザ方式等により印刷される。出荷拠点Sの作業者は、出荷指示データの印刷物を確認して梱包箱Kに物品を収容する。また、バーコードBはシール紙Pに印刷され、作業者はシール紙Pを梱包体Kの側面に貼付する。上記梱包体への収容・シール紙Pの貼付が完了した後、物品は入荷拠点Nに向けて出荷される。
【0037】
次に、入荷拠点Nに配置される構成について説明する。
【0038】
スキャナ8は、入荷拠点Nの作業者に操作されるものであり、図5に示すように、読取部40と、制御部41と、通信部42と、操作部43とを備える。
【0039】
読取部40は、入荷拠点Nに入荷された物品に添付されたバーコードBに光を照射し、その反射光を受光して2値化データに変換する。制御部41は、読取部40が読み取った2値化データにおいて、所定のデータ数からなるセルごとに白黒(0または1)を判定して、その判定結果に基づいて、コードデータを生成する。通信部42は、入荷拠点NのLANに接続する通信装置から構成されて、LANを介してコードデータを情報処理端末7に送信する。操作部43は、例えばタッチパネルから構成される。利用者は、操作部43を操作することで各種情報を入力できる。
【0040】
情報処理端末7は、情報処理端末4(図3)と同様のハードウェア構成を備える。よって図3に、情報処理端末7に関する符号を括弧内に示し、各構成の詳細な説明を省略する。なお、情報処理端末7の通信部52は、入荷拠点NのLANに接続されて、データベース6を構成する装置やスキャナ8と、LANを介して通信を行う。
【0041】
図6に示すように、情報処理端末7では、コードデータ受信部60と、物品データ抽出部61と、入荷履歴データ取得部62と、入荷履歴データ記録部63と、入荷履歴データ読取部64と、入荷履歴データ出力部65とが構成される。これら各部の処理は、動作プログラムが、制御部50、記憶部51、通信部52、表示部53、操作部54を資源として用いて処理することによって実行する。
【0042】
コードデータ受信部60は、通信部52を介して、スキャナ8からコードデータを受信する。
【0043】
物品データ抽出部61は、コードデータを所定のルールに従って変換することで、コードデータに含まれる入荷拠点Nに入荷された物品の名称、該物品を特定する符号および数量を含むデータ(「物品コード」〜「出荷拠点」のデータ)を抽出する。
【0044】
入荷履歴データ取得部62は、物品データ抽出部61が抽出した物品のデータに、物品の入荷日時を関連付けた入荷履歴データを取得する。物品の入荷日時は、例えば、スキャナ8がバーコードBの情報を読み取った日時、或いは、情報処理端末7がスキャナ8からコードデータを受信した日時である。
【0045】
入荷履歴データ記録部63は、物品が入荷された入荷拠点Nに設けられるデータベース6以外のデータベースを参照することなく、入荷履歴データを物品が入荷された入荷拠点Nに設けられるデータベース6に通信部52を介して記録する。
【0046】
入荷履歴データ読取部64は、通信部52を介して、データベース6に記録された入荷履歴データを読み取る。
【0047】
入荷履歴データ出力部65は、入荷履歴データ読取部64が読み取った入荷履歴データを表示部53に表示する。
【0048】
データベース6は、ハードディスク装置など追加記録可能な記憶装置に構成される。図7は、データベース6に記録される入荷履歴データの例を示す。入荷履歴データは、「No.」「物品コード」「物品名」「サイズ」「数量」「金額」「出荷拠点」「入荷日時」の項目を含む。「No.」は、各入荷履歴データに付与されるIDである。「物品コード」「物品名」「サイズ」「数量」「金額」「出荷拠点」は、物品データ抽出部61が抽出した物品のデータであり、バーコードBに含まれていたものである。「入荷日時」は、入荷履歴データ取得部62が上記物品のデータ(「物品コード」〜「出荷拠点」)に関連付けた入荷日時である。
【0049】
図7は、出荷拠点S(尼崎)から出荷された物品C,Dが入荷拠点Nに入荷され、また、他の出荷拠点(東京)から出荷された物品E,Fが入荷拠点Nに入荷された場合に、データベース6に記録される入荷履歴データを示す。No.1,2の入荷履歴データは、物品C,Dが格納された梱包箱KのバーコードBの読み取り等が行われることで記録されている。No.3,4の入荷履歴データは、物品E,Fが格納された梱包箱KのバーコードBの読み取り等が行われることで記録されている。
【0050】
次に入荷情報記録システム1の動作について説明する。出荷拠点Sでは、出荷指示データの印刷処理と、バーコードBの印刷処理とが実行される。まず、出荷指示データの印刷処理について説明する。
【0051】
出荷指示データの印刷処理は、出荷拠点Sの作業者が、情報処理端末4の操作部24に所定の操作を行うことで開始される。該印刷処理では、出荷指示データ読取部30は、通信部22を介して、データベース3から出荷指示データを読み取り、印刷部32は、読み取られた出荷指示データの印刷指示を印刷装置5に送信する。印刷装置5は、印刷指示に従って、出荷指示データを印刷用紙に印刷する。
【0052】
次に、図8を参照して、バーコードBの印刷処理について説明する。図8の処理は、出荷拠点Sの作業者が、情報処理端末4の操作部24に所定の操作を行うことで開始される。
【0053】
出荷指示データ読取部30は、データベース3から出荷指示データを読み取る(ステップS101)。
【0054】
バーコード作成部31は、ステップS101で読み取られた出荷指示データのうち、印刷処理を開始する出荷指示データを選択して(ステップS102)、該選択した出荷指示データの「物品コード」〜「出荷拠点」を含むバーコードBを作成する(ステップS103)。
【0055】
印刷部32は、ステップS103で作成されたバーコードBの印刷指示を、印刷装置5に送信する(ステップS104)。
【0056】
ついで、バーコード作成部31は、バーコードBを印刷していない出荷指示データが残っているか否かを判断する(ステップS105)。
【0057】
バーコードBを印刷していない出荷指示データが残っている場合には(ステップS105でYES)、バーコード作成部31は、残りの出荷指示データの一つを選択して(ステップS106)、該選択した出荷指示データの「物品コード」〜「出荷拠点」を含むバーコードBを作成する(ステップS103)。ついで、印刷部32は、今回作成されたバーコードBの印刷指示を、印刷装置5に送信する(ステップS104)。この後、バーコード作成部31は、再び、ステップS105を実行する。
【0058】
上記ステップS106→S103→S104→S105の流れは、ステップS105でNOと判断されるまで繰り返される。各回のステップS104では、バーコードBの印刷指示が印刷装置5に送信される。
【0059】
印刷装置5は、バーコードBの印刷指示を受信するたびに(ステップS201)、印刷指示に従って、バーコードBをシール紙Pに印刷する(ステップS202)。
【0060】
次に図9を参照して、入荷拠点Nで実行される入荷履歴データの記録処理について説明する。図9の処理は、スキャナ8や情報処理端末7が実行するものであり、入荷拠点Nの作業者が、梱包箱Kの近傍で、スキャナ8の操作部43を操作することで開始される。
【0061】
スキャナ8は、梱包箱Kに貼付されたバーコードBからコードデータを読み取り(ステップS301)、該コードデータを情報処理端末7に送信する(ステップS302)。
【0062】
コードデータ受信部60は、通信部52を介して、スキャナ8からコードデータを受信する(ステップS401)
【0063】
物品データ抽出部61は、コードデータを変換して、入荷拠点Nに入荷された物品のデータ(「物品コード」〜「出荷拠点」)を抽出する(ステップS402)。
【0064】
入荷履歴データ記録部63は、ステップS402で抽出された物品のデータに、物品の入荷日時を関連付けることで、入荷履歴データを取得する(ステップS403)。
【0065】
ついで、入荷履歴データ記録部63は、通信部52を介して、入荷履歴データをデータベース6に記録する(ステップS404)。
【0066】
次に図10を参照して、入荷拠点Nで実行される入荷履歴データの出力処理について説明する。図10の処理は、情報処理端末7が実行するものであり、入荷拠点Nの作業者が操作部54を操作して、物品コードを入力することに応じて開始される。
【0067】
入荷履歴データ読取部64は、通信部52を介してデータベース6にアクセスして、データベース6に記録された入荷履歴データのうち、入力された物品コードを含む入荷履歴データを特定する(ステップS501)。例えば、物品コード「068432」が入力された場合には、図7の1行目に示される入荷履歴データが特定される。
【0068】
ついで、入荷履歴データ読取部64は、ステップS501で特定された入荷履歴データを読み取る(ステップS502)。
【0069】
ついで、入荷履歴データ出力部65は、ステップS502で読み取られた入荷履歴データを、表示部53に表示する(ステップS503)。この表示により、利用者は、入荷拠点Nに入荷された物品や、物品の入荷日時を把握することができる。
【0070】
本実施の形態によれば、入荷拠点Nに入荷される物品の名称、該物品を特定する符号および数量のデータを含むバーコードBが印刷される。そして、入荷拠点Nに入荷された物品に添付されたバーコードBから、入荷された物品の名称や符号等のデータが抽出される。さらに該抽出されたデータが、入荷拠点N1,N2,N3ごとに独立して設けられるデータベースのうち、物品が入荷された入荷拠点Nに設けられるデータベース6に記録される。以上の処理によれば、入荷拠点Nと他拠点とを接続するネットワークを介さず、入荷拠点に入荷された物品のデータをデータベース6に記録することができる。これにより、安価な設備投資で、入荷した物品のデータを迅速に記録することが可能である。
【0071】
また、データベース6には、入荷拠点Nに入荷された物品のデータのみが記録される。このため、データベース6のデータは大量にならない。よって、データベース6のデータを読み取るバッチ処理に長い時間を要せず、データベース6のデータを迅速に読み取ることが可能である。
【0072】
また、データベース6の構成装置と情報処理端末7とがいずれも入荷拠点Nに配置されることで、情報処理端末7からデータベース6にアクセスする通信速度を速くすることができる。よって、より一層迅速に、データベース6にデータを記録し、またデータベース6に記録されたデータを読み取ることが可能になる。
【0073】
また、データベース6に記録された物品のデータが読み取られて出力されることで、入荷拠点Nに入荷された物品を把握できる。
【0074】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、特許請求の範囲において種々改変することができる。
【0075】
例えば、上記実施の形態では、バーコードBが印刷されたシール紙Pが、梱包体Kに貼付されるが、バーコードBは梱包体Kに直接印刷されてもよい。
【0076】
また上記実施の形態では、情報処理端末7に物品コードが入力されて、物品コードを含む入荷履歴データを表示されるが、情報処理端末7に物品が入荷された期日が入力されて、該入荷期日を含む入荷履歴データが表示されてもよい。このようにすることで、特定の期日に入荷拠点Nに入荷された物品を把握することができる。
【0077】
また上記実施の形態では、入荷履歴データが表示部53に表示されることで、入荷履歴データが出力されるが、印刷により入荷履歴データが出力されてもよい。この場合、情報処理端末7は、図示しない印刷装置と接続されて、該印刷装置に対して入荷履歴データの印刷指示を送信する。
【0078】
また、入荷履歴データ(図7)に「入荷期日」は含まれなくてもよい。この場合でも、その他の情報(「物品コード」「物品名」「サイズ」「数量」「金額」「出荷拠点」)が出力されることで、入荷拠点Nに入荷された物品を把握することができる。なお、この場合には、は、入荷履歴データ取得部62による入荷期日の取得・関連付け(ステップS603:図9)は省略されて、入荷履歴データ記録部63は、物品データ抽出部61が抽出した物品のデータを、入荷履歴データとしてデータベース6に記録する。
【0079】
また、入荷履歴データに含まれる情報として、入荷取り扱い業者を特定する情報や、スキャナ8のIDや、入荷物品に付与される番号が、新たに追加されてもよい。これらの情報は、例えば入荷拠点Nの作業者が情報処理端末7の入力操作を行うことで、入荷拠点Nで付与されて、バーコードBから読み取られたデータに関連付けられる。
【0080】
また、バーコードBには、物品を特定する符号及び物品の数量のみを含め、物品の名称、物品の大きさを示す情報、物品の単価を示す情報、物品の出荷拠点の住所を示す情報を含めないようにしてもよい。この場合、例えば、データベース6や情報処理端末7の記憶部51には、物品を特定する符号と物品の名称等との対応関係を示す情報が記録され、情報処理端末7は、該対応関係を示す情報を用いて、バーコードBに含まれる符号に対応する物品の名称等を取得して、データベース6に記録する。
【0081】
なお、物品の名称、物品の大きさを示す情報、物品の単価を示す情報、物品の出荷拠点の住所を示す情報は、これらのうちいずれか一つ、または、これらの任意の組み合わせをバーコードBに含めることができる。
【0082】
また、バーコードBに含める情報として、物品の入荷拠点の住所を示す情報、物品の発送人や受け取り人、物品の保管条件(保管温度、保管期限、保管時の物品の向き等)、複数の梱包体が一括で配送される場合の個口数や梱包体に割り当てられる番号が新たに追加され、これらの情報がデータベース6に記録されるようにしてもよい。
【0083】
また、バーコードBに含まれる情報は、暗号化されてもよい。この場合、例えば、情報処理端末7の記憶部51或いはデータベース6には暗号鍵が記憶されて、情報処理端末7は、該暗号鍵を用いて、スキャナ8がバーコードBから読み取った情報を解読して、データベース6に記録する。
【0084】
また本発明は、物品が、集積所のような中継地点に一旦入荷されて、この後、小売店等の最終目的地に入荷される場合にも適用することができる。この場合、中継地点や最終目的拠点には、それぞれデータベース6・情報処理端末7・スキャナ8が配置されて、中継地点・最終目的地に物品が入荷されたときに、図9,図10の処理が実行される。このようにすることで、中継拠点や最終目的地に入荷された物品を把握することができる。
【0085】
また、スキャナ8に、コードデータを変換して、物品のデータ(「物品コード」〜「出荷拠点」)を抽出する機能と、該抽出した物品のデータを表示する機能とが設けられてもよい。この場合、スキャナ8が表示する物品のデータから、梱包体Kの内容物を把握することができる。
【0086】
また、本実施の形態の入荷情報記録システム1における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえばフレキシブルディスクやCD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に伝送されて記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、物品の入荷情報を記録する入荷情報記録システムに適用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 入荷情報記録システム
3,6 データベース
4,7 情報処理端末
5 印刷装置
8 スキャナ
20,41,50 制御部
21,51 記憶部
22,42,52 通信部
23,53 表示部
24,43,54 操作部
30 出荷指示データ読取部
31 バーコード作成部
32 印刷部
40 読取部
60 コードデータ受信部
61 物品データ抽出部
62 入荷履歴データ取得部
63 入荷履歴データ記録部
64 入荷履歴データ読取部
65 入荷履歴データ出力部
B バーコード
K 梱包体
N,N1,N2,N3 入荷拠点
P シール紙
S 出荷拠点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入荷拠点ごとに独立して設けられるデータベースと、
前記入荷拠点に入荷される物品を特定する符号および該物品の数量のデータを含むバーコードを印刷する印刷部と、
前記入荷拠点に入荷された物品に添付された前記バーコードから、前記入荷拠点に入荷された物品を特定する符号および該物品の数量のデータを抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出したデータを、前記物品が入荷された前記入荷拠点に設けられる前記データベースに記録する記録部と、
を備える入荷情報記録システム。
【請求項2】
前記バーコードには、前記記録部が前記データベースに記録するデータのうち、前記入荷拠点で付与される情報以外のデータが全て含まれる請求項1に記載の入荷情報記録システム。
【請求項3】
前記記録部は、前記物品が入荷された前記入荷拠点に設けられる前記データベース以外の前記データベースを参照することなく、前記抽出部が抽出したデータを、前記物品が入荷された前記入荷拠点に設けられる前記データベースに記録する請求項1または2に記載の入荷情報記録システム。
【請求項4】
前記バーコードには、前記物品の名称、該物品の大きさを示す情報、該物品の単価を示す情報、該物品の出荷拠点の住所を示す情報のうちいずれか、または、これらの組み合わせがさらに含まれる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の入荷情報記録システム。
【請求項5】
入荷拠点に入荷される物品を特定する符号および該物品の数量のデータを含むバーコードを印刷する印刷段階と、
前記入荷拠点に入荷された物品に添付された前記バーコードから、前記入荷拠点に入荷された物品を特定する符号および該物品の数量のデータを抽出する抽出段階と、
前記抽出段階で抽出されたデータを、前記入荷拠点ごとに独立して設けられるデータベースのうち、物品が入荷された前記入荷拠点に設けられる前記データベースに記録する記録段階と、
を備える入荷情報記録方法。
【請求項6】
コンピュータを、
入荷拠点に入荷される物品を特定する符号および該物品の数量のデータを含むバーコードを印刷する印刷部、
前記入荷拠点に入荷された物品に添付された前記バーコードから、前記入荷拠点に入荷された物品を特定する符号および該物品の数量のデータを抽出する抽出部、および、
前記抽出部が抽出したデータを、前記入荷拠点ごとに独立して設けられるデータベースのうち、物品が入荷された前記入荷拠点に設けられる前記データベースに記録する記録部、
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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