説明

入退出管理システム及び入退出管理方法並びに管理装置及び管理プログラム

【課題】新たな設備投資を抑えながら、容易に入退出を管理する。
【解決手段】電子キーと通信可能な管理装置が、前記電子キーから送信される信号の正当性を照合するための照合用情報を記憶する。前記電子キーから発信される特定省電力無線に準拠した信号を受信し、該受信した信号と、前記照合用情報とを照合する。前記受信照合手段による照合結果が、合致だった場合に前記電子キーを利用する利用者が管理対象とするエリアに入退出したと判断し、現在の時刻と、入退出した旨とを紐付けて記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定のエリア内における利用者の入退出の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者の入退を管理するシステムは種々の用途に用いられている。例えば、企業内にて社員の出勤及び退勤の時刻を管理するために利用される。
【0003】
このような用途に利用する場合、一般的な技術では出勤や退勤の際、タイムカードにて出勤時刻を登録していた。また、他にも、個人管理のICカードや磁気カードにて、個人を認証し、出勤時刻を登録していた。
【0004】
出勤及び退勤を管理する技術の一例が特許文献1に記載されている。特許文献1(特に明細書段落[0021]〜[0023])に記載の技術ではカードリーダに対してIDカードに記録された情報を読み込ませる。これにより、被雇用者の出勤及び退勤の時刻がサーバに送信され、サーバにて被雇用者の勤務状態が管理可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−310486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、入退を管理する技術としては種々のものが存在したが、それぞれについて、以下に述べるような問題点が生じていた。
【0007】
まず、タイムカードを利用する技術の場合は、紙により作成されたタイムカードに時刻を打刻するだけであり個人認証の面で懸念がある。
【0008】
また、打刻したタイムカードがどの社員のものかということを読み取るわけではない。そのため、入室又は退出した個人がどの社員であるかを特定することが難しい。特定するためには管理者がタイムカードを目視する必要があり不便である。更に、紙の管理や紙上のデータの取りまとめの点で問題がある。
【0009】
また、引用文献1に記載の技術のように、個人管理のICチップカードや磁気カードを利用する技術の場合、専用カードを作る必要があり、また、カード読み取り機器も必要となる。また、出勤時間が重なった場合に混雑を緩和させるためにはカード読み取り機器は複数台必要となる。また、オフィス等の入り口が複数ある場合にも、カード読み取り機器は複数台必要となる。よって、設備面の初期投資費用が多額になってしまう。それ以外に携帯電話を使った方法も考えられるが、使用する電波領域には法的な制限が課されており安易に使用できない。
【0010】
そこで、本発明は、新たな設備投資を抑えながら、容易に入退出を管理することが可能な、入退出管理システム及び入退出管理方法並びに管理装置及び管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点によれば、電子キーと通信可能な管理装置であって、前記電子キーから送信される信号の正当性を照合するための照合用情報を記憶する第1の記憶手段と、前記電子キーから発信される特定省電力無線に準拠した信号を受信し、該受信した信号と、前記照合用情報とを照合する受信照合手段と、前記受信照合手段による照合結果が、合致だった場合に前記電子キーを利用する利用者が管理対象とするエリアに入退出したと判断し、現在の時刻と、入退出した旨とを紐付けて記憶する第2の記憶手段と、を備えることを特徴とする管理装置が提供される。
【0012】
本発明の第2の観点によれば、電子キーと、該電子キーと通信可能な管理装置と、を含む入退出管理システムであって、前記電子キーは、該電子キーが有する操作受付部に対しての、操作を継続して受けた時間、操作の受け付け回数、又は、操作を受け付けた操作受付部の種別、の何れか若しくはその組合せに応じて異なる信号を生成し、生成した該信号を特定省電力無線に準拠した信号に変換して前記管理装置に対して送信し、前記管理装置は上記本発明の第1の観点により提供される管理装置である、ことを特徴とする入退出管理システムが提供される。
【0013】
本発明の第3の観点によれば、電子キーと、該電子キーと通信可能な複数の管理装置と、を含む入退出管理システムであって、前記電子キーは、特定省電力無線に準拠した信号を前記複数の管理装置の何れかを宛先として前記複数の管理装置の何れかに対して送信し、前記複数の管理装置は上記本発明の第1の観点により提供される管理装置であり、前記電子キーからの前記信号を受信した管理装置は、該管理装置が前記宛先とされた管理装置では無い場合は、該受信した信号を他の管理装置に対して特定省電力無線に準拠して送信する、ことを特徴とする入退出管理システムが提供される。
【0014】
本発明の第4の観点によれば、電子キーと、該電子キーと通信可能な複数の管理装置と、を含む入退出管理システムであって、前記電子キーは、特定省電力無線に準拠した信号を前記複数の管理装置の何れかを宛先として前記複数の管理装置の何れかに対して送信し、前記複数の管理装置は上記本発明の第1の観点により提供される管理装置であり、前記複数の管理装置の何れかをサーバとし、前記電子キーからの前記信号を受信した該サーバとされた管理装置は該管理装置が前記宛先とされた管理装置では無い場合であっても該受信した信号に対して前記受信照合手段及び前記第2の記憶手段を動作させることを特徴とする入退出管理システムが提供される。
【0015】
本発明の第5の観点によれば、電子キーと通信可能な管理装置に組み込まれる管理プログラムであって、前記電子キーから送信される信号の正当性を照合するための照合用情報を記憶する第1の記憶手段と、前記電子キーから発信される特定省電力無線に準拠した信号を受信し、該受信した信号と、前記照合用情報とを照合する受信照合手段と、前記受信照合手段による照合結果が、合致だった場合に前記電子キーを利用する利用者が管理対象とするエリアに入退出したと判断し、現在の時刻と、入退出した旨とを紐付けて記憶する第2の記憶手段と、を備える管理装置としてコンピュータを機能させることを特徴とする管理プログラムが提供される。
【0016】
本発明の第6の観点によれば、電子キーと、該電子キーと通信可能な複数の管理装置と、を含む入退出管理システムが行う入退出管理方法であって、前記管理装置が、前記電子キーから送信される信号の正当性を照合するための照合用情報を記憶する第1の記憶ステップと、前記電子キーが、特定省電力無線に準拠した信号を前記管理装置に対して送信する送信ステップと、前記管理装置が、前記送信ステップにおいて前記電子キーから発信された特定省電力無線に準拠した信号を受信し、該受信した信号と、前記照合用情報とを照合する受信照合ステップと、前記管理装置が、前記受信照合ステップによる照合結果が、合致だった場合に前記電子キーを利用する利用者が管理対象とするエリアに入退出したと判断し、現在の時刻と、入退出した旨とを紐付けて記憶する第2の記憶ステップと、を有することを特徴とする入退出管理方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電子キーに対応した照合用暗号化情報を管理装置に入力しておき、電子キーから送信した信号について管理装置が照合を実施することから、新たな設備投資を抑えながら、容易に入退出を管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態の基本的構成を表す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の基本的動作を表すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態の基本的構成を表す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態のシステム全体の構成例を表す図である。
【図5−1】本発明の第2の実施形態の基本的動作を表すフローチャート(1/3)である。
【図5−2】本発明の第2の実施形態の基本的動作を表すフローチャート(2/3)である。
【図5−3】本発明の第2の実施形態の基本的動作を表すフローチャート(3/3)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0020】
図1を参照すると、本実施形態である勤務管理システムは、電子キー100及び管理装置200を含む。
【0021】
本実施形態は、特定小電力無線を利用した勤務管理システムである。オフィス等内にあるコンピュータやサーバに対して、キーレスエントリシステム受信機側の暗号化情報を入力することにより、電子キーによる出勤確証を行うことを可能にしている。
【0022】
電子キー100は、特定小電力無線に対応した電子キーである。電子キー100の具体例としては、例えば自動車のキーレスエントリシステムに対応した電子キーが挙げられる。ここで、キーレスエントリシステムとは機械的な鍵を使用することなく、車両の開閉部の開閉や、エンジンの始動等を可能とするシステムを指すものとする。
【0023】
本実施形態では、電子キー100はボタン101及び発信部102を含む。
【0024】
ボタン101はユーザによる操作を受け付ける。ここで受け付ける操作は、単に入力の有無だけでもよいが、入力されている時間の長さを考慮してもよい。また、ボタン101は一つであっても良いが複数であってもよい。
【0025】
発信部102はボタン101が受け付けた操作に応じて特定小電力無線に準拠した信号を発信する。ここで、特定小電力無線とは、免許を要しない無線通信方式であり、電波法に規定される無線局の免許を受けることなく利用可能である。特定小電力無線に準拠した信号は低レベルなものであり、平成23年8月3日の時点において発射される電波の強さは、空中線電力0.01W以下とするように規定されている。
【0026】
管理装置200は、入力部201、受信照合部202、制御部203、暗号化情報記憶部及びデータ記憶部205を有している。
【0027】
管理装置200は、社員の出退勤を管理するための装置である。管理装置200は、具体的にはどのような機器により実現されてもよい。汎用のサーバ装置や、パーソナルコンピュータにより実現されてもよく、本実施形態専用の装置により実現されてもよい。
【0028】
また、本発明の実施形態である管理装置200は、ハードウェアにより実現することもできるが、コンピュータを管理装置200として機能させるためのプログラムをコンピュータがコンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み込んで実行することによっても実現することができる。
【0029】
また、本発明の実施形態による管理方法は、ハードウェアにより実現することもできるが、コンピュータにその方法を実行させるためのプログラムをコンピュータがコンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み込んで実行することによっても実現することができる。
【0030】
すなわち、汎用のサーバ装置や、パーソナルコンピュータ等に本実施形態特有のプログラムを組み込み、汎用のサーバ装置や、パーソナルコンピュータ等に含まれる演算処理装置がこのプログラムに従った演算処理によりハードウェアを制御することにより管理装置200内の各部を実現することができる。
【0031】
入力部201は、利用者からの入力を受け付ける部分であり、例えばキーボード等の装置により実現される。また、入力部201を、インターネット等のネットワークを介して外部と通信可能な通信部としたり、記録媒体の読み出し部として、インターネット等や記録媒体を介して情報の入力を受け付けるようにしてもよい。入力部201が受け付ける入力情報は、電子キー100の正当性を照合するための情報であり、この情報は暗号化されているものとする。以下の説明ではこの暗号化された照合用の情報を「照合用暗号化情報」と呼ぶ。
【0032】
受信照合部202は、キーレスエントリシステムの受信機能を有している。受信照合部202は発信部102が発信した、特定小電力無線に準拠した信号を受信し、デジタル信号に復調する。更に、受信照合部202は、この復調した信号と暗号化情報記憶部204に格納されている照合用暗号化情報とを比較し、照合を行う。受信照合部202は、照合の結果を制御部203に通知する。
【0033】
制御部203は、入力部201が受け付けた照合用暗号化情報を受信照合部202を経由して受け取り、受け取った照合用暗号化情報を暗号化情報記憶部204に格納して更新するように指示する。また、制御部203は、受信照合部202での照合結果が「合致」だった場合に、社員が出勤している又は退勤したと判断する。そして、制御部203は、受信照合部202が信号を受信した時刻と、出勤又は退勤した旨と、を紐付けてデータ記憶部205に記憶させる。これにより個人の勤務管理を行うことが可能となる。なお、受信照合部202が信号を受信した時刻ではなく、制御部203が出勤している又は退勤したと判断した時刻を記憶させるようにしてもよいし、他のタイミングで測定した時刻を記憶させるようにしてもよい。
【0034】
暗号化情報記憶部204は、制御部203からの指示に従い照合用暗号化情報を格納し、記憶する。記憶している照合用暗号化情報の読み出しは、制御部203では行なわず、受信照合部202のみが呼び出し、照合を行なう。これにより、制御部203からの情報流出を防ぐことができ、照合用暗号化情報の機密性が保たれる。
【0035】
続いて、図2のフローチャートを参照して本実施形態全体の動作について説明する。今回は、社員出勤時の動作を想定して説明する。
【0036】
まず、本実施形態の利用者である社員が、会社に到着すると、電子キー100のボタン101を押下する(ステップS11)。
【0037】
発信部102はステップS11における押下に応じ、管理装置200に対して信号を送信する(ステップS12)。なお、ボタン101の押下により車のドア開閉などの反応が意図せずに生じてしまう場合も考えられる。この意図しない反応を防止するため、単に押下するのでなく、例えば所定の時間長押しした場合は、車のドア開閉に関する信号は発信せず、管理装置200に対してのみ信号を発信するようにしてもよい。すなわち、管理装置200に対してのみ信号発信と、車への信号発信とは異なる操作にて対応する。
【0038】
また、管理装置200が複数存在する場合には、複数の管理装置200のそれぞれがステップS13以降の処理を行ってしまうことも考えられる。これを防止するために、長押しの場合は、電子キー100の発信部102から特定の信号(例えば、社員自身が使用する管理装置200のIPアドレス(Internet Protocol Address))を出すようにしてもよい。そして、受信側の管理装置200が自身に割り当てられているIPアドレスと、発信部102が送信してきたIPアドレスとを比較し、一致した場合にのみステップS13以降の処理を行うようにしてもよい。
【0039】
オフィス内の管理装置200の受信照合部202は、電子キーからの信号若しくは特定信号を受信するとこの受信信号を復調する。そして、受信照合部202は、電子キー101からの会社到着を意味する信号(出勤信号)であるか照合する(ステップS13)。
【0040】
照合した結果、合致しなかった場合は(ステップS14においてNo)、動作を終了する。一方、照合した結果、合致した場合(ステップS14においてYes)は、管理装置200は社員が出勤したと判断する(ステップS15)。そして、データ記憶部205に、個人と出社時刻を記録し、保存する(ステップS16)。
【0041】
上述した本実施形態は、自動車のキーレスエントリシステムの受信機の暗号解読情報(照合用情報)を管理装置200に入力することから、電子キー101(送信側)を使用して、容易に出勤や退勤を最大10m程度の範囲内にある管装置200に知らせることが可能となるという効果を奏する。
【0042】
続いて、第1の実施形態を変形した実施形態である第2の実施形態について説明する。図3を参照すると、本実施形態は第1の実施形態の電子キー101が電子キー110に置き換わっており、また、管理装置200が管理装置210に置き換わっている点で第1の実施形態と相違する。
【0043】
電子キー110は、ボタンを複数有している点で、電子キー101と相違する。具体的には、電子キー110は、第1のボタン111、第2のボタン112及び発信部113を含む。第1のボタン111と、第2のボタン112はそれぞれ異なる信号の送信に対応する。今回の例では、第1のボタン111は出社時の信号の送信を指示するためのボタンであり、第2のボタン111は退社時の信号の送信を指示するためのボタンであるものとする。なお、ボタンの数は特に限定されるものではなく、ボタン数を3つ以上としてもよい。この場合は、例えば3つ目のボタンを自動車のドア開閉のために用いる等する。
【0044】
発信部113は、発信部102と同様に、各ボタンに応じた信号を、管理装置210に対して送信する。
【0045】
一方、管理装置210は、管理装置200に送信変換部216を更に追加している。具体的には、管理装置210は、入力部211、受信照合部212、制御部213、暗号化情報記憶部、及びデータ記憶部215及び送信変換部216を有している。
【0046】
送信変換部216は、他の管理装置210やサーバへの信号の送信を行う部分である。本実施形態では、管理装置210に、キーレスエントリシステムの送信サーバとしての機能を持たせることにより、無線LANや有線LANといったインフラ設備を使用することなく、極少量のデータ通信を使って、複数のコンピュータ間やサーバ間での勤務管理データの共有化を実現する。これにより、本実施形態では、管理可能範囲を広げることを可能としている。この点について図4に表される具体例を参照して説明する。図4を参照すると、本実施形態は、電子キー110と、サーバ210−10と、複数の管理装置210(第1の管理装置210−1〜第6の管理装置210−6)を含む。
【0047】
各管理装置210は、同等の構成及び機能を有する管理装置である。また、サーバ210−10も管理装置210と同等の構成及び機能を有するが、今回はサーバとして動作するため、説明の便宜上、管理装置210−10ではなくサーバ210−10と呼ぶ。
【0048】
このように、所定の管理装置だけではなく全ての管理装置に、送信変換部216を含ませることにより、少量のデータを10m以内であれば、有線LAN、無線LAN、Bluetoothなどのインフラを利用することなくやり取りすることができる。
【0049】
また、10mごとに管理装置210が設置されていれば、管理装置210を中継することで、送信範囲を広げることができ、自席に設置されている管理装置210から離れた場所からでも、他の管理装置210を経由させることで、自席に設置されている管理装置210の起動を行うことが可能となる。
【0050】
続いて、本実施形態の動作を図5−1、図5−2及び図5−3を参照して説明する。なお、今回の説明では、今回説明対象とする社員の自席に設置してある管理装置は、管理装置210−1であるものとする。
【0051】
まず、社員が事前に自席に設置されている管理装置210−1からサーバ210−10に対して、自分の電子キー110から出る送信データの割付を行う。
【0052】
具体的には、管理装置210−1が各ボタンに関しての割付内容をサーバ210−10に対して送信する(ステップS21)。そして、サーバ210−10が管理装置210−1から送信された内容で設定を行う(ステップS22)。
【0053】
割付は、例えば、電子キー110のようにボタンが2個ある場合、第1のボタン111は「出社」、第2のボタン112は「退社」と設定しておく。これにより、出社の場合、第1のボタン111を押せばよく、退社の場合、第2のボタン112を押せばよい。また、更に第3のボタンを設ける場合は、第3のボタンに一時外出や、出張等の割り付けを行うようにしてもよい。更に、管理装置210−1以外の他の管理装置210は照合が合致しないよう送信データにあらかじめ自席専用の情報を入れておくことが考えられる。これにより、サーバ210−10が照合をした場合に、管理装置210−1についてのみ照合が合致することとなる。
【0054】
次に、社員は電子キー110の、第1のボタン111又は第2のボタン112の何れかを押下し、これに応じた信号が発信部113より発信される(ステップS23)。第1のボタン111を押した場合は、図中の「a」へ進み、第2のボタン112を押した場合は、図中の「b」へ進む。
【0055】
まず、図中の「a」へ進んだ場合について図5−2を参照して説明する。
【0056】
サーバ210−10の受信照合部212は、発信部113が発信した、第1のボタン111に対応した信号である第1の信号を受信する(ステップS24)。
【0057】
そして、受信照合部212受信した信号を復調し、この信号が管理装置210−1についてのものであると認識する。そこで、復調した信号を送信変換部216により再度、特定小電力無線に準拠した信号へと変換する。変換後の信号は送信変換部216より管理装置210−1に対して送信される(ステップS25)。
【0058】
管理装置210−1は、ステップS25において送信された信号を受信する。ここで、管理装置210−1の受信照合部212の電源と管理装置210−1の受信照合部212以外の各部の電源とは別に設けるものとする。そして、受信照合部212の電源により受信照合部212は起動しているが、受信照合部212以外の各部は起動していない状態であるとする。この状態で信号を受信した受信照合部212は、照合を行い、照合結果が、合致であった場合は、受信照合部212以外の各部、すなわち管理装置210−1全体を起動させる処理を開始する(ステップS26)。これによって、離れた位置から、自席に設けられた管理装置210−1を起動できるため、自席に到着するころには、管理装置200−1の通常操作を可能にすることができる。例えば、管理装置200−1をパーソナルコンピュータで実現しているのであれば、自席に到着するころにはパーソナルコンピュータが起動していることとなる。
【0059】
一方、サーバ210−10の受信照合部212は受信した信号と照合用暗号化情報を照合し(ステップS27)、合致したら、データ記憶部215に個人名と出社時刻を保存する(ステップS28)。
【0060】
次に、図中の「b」へ進んだ場合について図5−3を参照して説明する。
【0061】
サーバ210−10の受信照合部212は、発信部113が発信した、第2のボタン112に対応した信号である第2の信号を受信する(ステップS29)。
【0062】
そして、受信照合部212受信した信号を復調し、この信号が管理装置210−1についてのものであると認識する。そこで、復調した信号を送信変換部216により再度、特定小電力無線に準拠した信号へと変換する。変換後の信号は送信変換部216より管理装置210−1に対して送信される(ステップS30)。
【0063】
管理装置210−1は、ステップS30において送信された信号を受信する。ここで、管理装置210−1の受信照合部212の電源と管理装置210−1の受信照合部212以外の各部の電源とは別に設けるものとする。そして、受信照合部212及び受信照合部212以外の各部のそれぞれが起動している状態であるとする。この状態で信号を受信した受信照合部212は、照合を行い、照合結果が、合致であった場合は、受信照合部212以外の各部をシャットダウン(休止)させる処理を開始する(ステップS31)。これによって、離れた位置から、自席に設けられた管理装置210−1をシャットダウンできる。例えば、管理装置200−1をパーソナルコンピュータで実現しているのであれば、電子キー110のボタンを押下するのみでパーソナルコンピュータをシャットダウンできることとなる。
【0064】
一方、サーバ210−10の受信照合部212は受信した信号と照合用暗号化情報を照合し(ステップS32)、合致したら、データ記憶部215に個人名と退社時刻を保存する(ステップS33)。
【0065】
なお、上述の説明では、管理対象とするエリアを社屋とし、会社内における出勤及び退勤の管理に適用する例について実施形態として説明したが、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、会社ではなく会員制の店舗における入店や退店の管理にも適用可能である。また、それ以外にも本発明の要旨を逸脱しない範囲内において任意の用途に適用可能である。
【0066】
また、以上に述べた各実施形態では、電子キー100及び電子キー110は、自動車のキーレスエントリシステムにおける電子キーであるとして説明したが、自動車のキーレスエントリシステムにおける電子キーに限定されず、ボタンになされた操作に応じて信号を発信する発信器であればよい。
【0067】
また、上記実施形態では、受信照合部が管理装置に組み込まれているものとして説明した。しかし、受信照合部と管理装置を別のコンピュータとして実現し、バスやUSB規格に準拠したケーブル等の手段を用いて接続するようにしてもよい。また、接続は有線接続であってもよいがその一部又は全部を無線による接続としてもよい。
【0068】
更に、上記実施形態では、プログラムが、管理装置に予め記憶されているものとして説明した。しかし、コンピュータを、管理装置の全部又は一部として動作させ、あるいは、上述の処理を実行させるためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disk(Disc))BD(Blu-ray Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータにインストールし、上述の手段として動作させ、あるいは、上述の工程を実行させてもよい。
【0069】
さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波にプログラムを重畳させて、コンピュータにダウンロード等してプログラムを実行してもよい。
【0070】
以上説明した、本発明の実施形態は、以下に記載するような効果を奏する。
【0071】
第1の効果は、電子キーを使用して、出勤等を最大10m程度の範囲内にある管理装置に容易に通知できることである。
【0072】
その理由は、電子キーに対応した照合用暗号化情報を管理装置に入力しておき、管理装置が照合を実施できるからである。
【0073】
第2の効果は、単に出勤を通知するだけでなく、退勤等を通知できることである。
【0074】
その理由は、電子キーのボタンを押す時間や回数を変えることで、長押しの場合は出勤、短く押した場合は帰宅、2回連続で短く押した場合は出勤後出張などの情報を付加した信号を送信できるからである。
【0075】
第3の効果は、電子キーのボタンが2個以上ある場合、各ボタンに固有の意味を持たせること(例えば第1のボタンは出勤、第2のボタンは退勤)が可能である。
【0076】
その理由は、予め管理装置によりボタン毎に意味の割付ができるからである。
【0077】
第4の効果は、伝達範囲を広げることが可能なことである。
【0078】
その理由は、複数の管理装置に送信機側機能を持たせ、送信機能を持った管理装置を通信可能な所定の距離ごとに配置することにより、送信信号を中継できるからである。
【0079】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0080】
(付記1) 電子キーと通信可能な管理装置であって、
前記電子キーから送信される信号の正当性を照合するための照合用情報を記憶する第1の記憶手段と、
前記電子キーから発信される特定省電力無線に準拠した信号を受信し、該受信した信号と、前記照合用情報とを照合する受信照合手段と、
前記受信照合手段による照合結果が、合致だった場合に前記電子キーを利用する利用者が管理対象とするエリアに入退出したと判断し、現在の時刻と、入退出した旨とを紐付けて記憶する第2の記憶手段と、
を備えることを特徴とする管理装置。
【0081】
(付記2) 付記1に記載の管理装置であって、
前記電子キーから第1の信号が送信されてきた場合であって、該第1の信号についての前記照合の結果が合致だった場合に前記電子キーを利用する利用者が管理対象とするエリアに入ったと判断し、現在の時刻と、入った旨とを紐付けて記憶し、
前記電子キーから第2の信号が送信されてきた場合であって、該第2の信号についての前記照合の結果が合致だった場合に前記電子キーを利用する利用者が管理対象とするエリアから出たと判断し、現在の時刻と、出た旨とを紐付けて記憶することを特徴とする管理装置。
【0082】
(付記3) 付記1又は2に記載の管理装置であって、
前記電子キーから発信される異なる内容の信号のそれぞれに、入退出に関する行動の何れかを割り付け、
受信した或る内容の信号についての前記受信照合手段による照合結果が、合致だった場合に前記電子キーを利用する利用者が前記或る内容の信号に前記割り付けられた行動を取ったと判断することを特徴とする管理装置。
【0083】
(付記4) 付記1乃至3の何れか1に記載の管理装置であって、
当該管理装置を休止状態とする場合であっても、少なくとも前記受信照合手段は起動させておき、該休止状態時に行われた該受信照合手段による前記照合結果が、合致だった場合であって前記電子キーを利用する利用者が管理対象とするエリアに入ったと判断できた場合には該休止状態を解除して当該管理装置全体を起動させることを特徴とする管理装置。
【0084】
(付記5) 付記1乃至4の何れか1に記載の管理装置であって、
前記受信照合手段による前記照合結果が、合致だった場合であって前記電子キーを利用する利用者が管理対象とするエリアから出たと判断できた場合には、当該管理装置を休止状態とすることを特徴とする管理装置。
【0085】
(付記6) 電子キーと、該電子キーと通信可能な管理装置と、を含む入退出管理システムであって、
前記電子キーは、該電子キーが有する操作受付部に対しての、操作を継続して受けた時間、操作の受け付け回数、及び、操作を受け付けた操作受付部の種別、の何れか若しくはその組合せに応じて異なる信号を生成し、生成した該信号を特定省電力無線に準拠した信号に変換して前記管理装置に対して送信し、
前記管理装置は付記1乃至5の何れか1に記載の管理装置である、
ことを特徴とする入退出管理システム。
【0086】
(付記7) 電子キーと、該電子キーと通信可能な複数の管理装置と、を含む入退出管理システムであって、
前記電子キーは、特定省電力無線に準拠した信号を前記複数の管理装置の何れかを宛先として前記複数の管理装置の何れかに対して送信し、
前記複数の管理装置は付記1乃至5の何れか1に記載の管理装置であり、
前記電子キーからの前記信号を受信した管理装置は、該管理装置が前記宛先とされた管理装置では無い場合は、該受信した信号を他の管理装置に対して特定省電力無線に準拠して送信する、
ことを特徴とする入退出管理システム。
【0087】
(付記8) 電子キーと、該電子キーと通信可能な複数の管理装置と、を含む入退出管理システムであって、
前記電子キーは、特定省電力無線に準拠した信号を前記複数の管理装置の何れかを宛先として前記複数の管理装置の何れかに対して送信し、
前記複数の管理装置は付記1乃至5の何れか1に記載の管理装置であり、
前記複数の管理装置の何れかをサーバとし、前記電子キーからの前記信号を受信した該サーバとされた管理装置は該管理装置が前記宛先とされた管理装置では無い場合であっても該受信した信号に対して前記受信照合手段及び前記第2の記憶手段を動作させることを特徴とする入退出管理システム。
【0088】
(付記9) 電子キーと通信可能な管理装置に組み込まれる管理プログラムであって、
前記電子キーから送信される信号の正当性を照合するための照合用情報を記憶する第1の記憶手段と、
前記電子キーから発信される特定省電力無線に準拠した信号を受信し、該受信した信号と、前記照合用情報とを照合する受信照合手段と、
前記受信照合手段による照合結果が、合致だった場合に前記電子キーを利用する利用者が管理対象とするエリアに入退出したと判断し、現在の時刻と、入退出した旨とを紐付けて記憶する第2の記憶手段と、
を備える管理装置としてコンピュータを機能させることを特徴とする管理プログラム。
【0089】
(付記10) 電子キーと、該電子キーと通信可能な複数の管理装置と、を含む入退出管理システムが行う入退出管理方法であって、
前記管理装置が、前記電子キーから送信される信号の正当性を照合するための照合用情報を記憶する第1の記憶ステップと、
前記電子キーが、特定省電力無線に準拠した信号を前記管理装置に対して送信する送信ステップと、
前記管理装置が、前記送信ステップにおいて前記電子キーから発信された特定省電力無線に準拠した信号を受信し、該受信した信号と、前記照合用情報とを照合する受信照合ステップと、
前記管理装置が、前記受信照合ステップによる照合結果が、合致だった場合に前記電子キーを利用する利用者が管理対象とするエリアに入退出したと判断し、現在の時刻と、入退出した旨とを紐付けて記憶する第2の記憶ステップと、
を有することを特徴とする入退出管理方法。
【符号の説明】
【0090】
100、110 電子キー
101 ボタン
102、113 発信部
111 第1のボタン
112 第2のボタン
200、210、210−1〜210−6 管理装置
210−10 サーバ
201、211 入力部
202、212 受信照合部
203、213 制御部
204、214 暗号化情報記憶部
205、215 データ記憶部
216 送信変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子キーと通信可能な管理装置であって、
前記電子キーから送信される信号の正当性を照合するための照合用情報を記憶する第1の記憶手段と、
前記電子キーから発信される特定省電力無線に準拠した信号を受信し、該受信した信号と、前記照合用情報とを照合する受信照合手段と、
前記受信照合手段による照合結果が、合致だった場合に前記電子キーを利用する利用者が管理対象とするエリアに入退出したと判断し、現在の時刻と、入退出した旨とを紐付けて記憶する第2の記憶手段と、
を備えることを特徴とする管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の管理装置であって、
前記電子キーから第1の信号が送信されてきた場合であって、該第1の信号についての前記照合の結果が合致だった場合に前記電子キーを利用する利用者が管理対象とするエリアに入ったと判断し、現在の時刻と、入った旨とを紐付けて記憶し、
前記電子キーから第2の信号が送信されてきた場合であって、該第2の信号についての前記照合の結果が合致だった場合に前記電子キーを利用する利用者が管理対象とするエリアから出たと判断し、現在の時刻と、出た旨とを紐付けて記憶することを特徴とする管理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の管理装置であって、
前記電子キーから発信される異なる内容の信号のそれぞれに、入退出に関する行動の何れかを割り付け、
受信した或る内容の信号についての前記受信照合手段による照合結果が、合致だった場合に前記電子キーを利用する利用者が前記或る内容の信号に前記割り付けられた行動を取ったと判断することを特徴とする管理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の管理装置であって、
当該管理装置を休止状態とする場合であっても、少なくとも前記受信照合手段は起動させておき、該休止状態時に行われた該受信照合手段による前記照合結果が、合致だった場合であって前記電子キーを利用する利用者が管理対象とするエリアに入ったと判断できた場合には該休止状態を解除して当該管理装置全体を起動させることを特徴とする管理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の管理装置であって、
前記受信照合手段による前記照合結果が、合致だった場合であって前記電子キーを利用する利用者が管理対象とするエリアから出たと判断できた場合には、当該管理装置を休止状態とすることを特徴とする管理装置。
【請求項6】
電子キーと、該電子キーと通信可能な管理装置と、を含む入退出管理システムであって、
前記電子キーは、該電子キーが有する操作受付部に対しての、操作を継続して受けた時間、操作の受け付け回数、及び、操作を受け付けた操作受付部の種別、の何れか若しくはその組合せに応じて異なる信号を生成し、生成した該信号を特定省電力無線に準拠した信号に変換して前記管理装置に対して送信し、
前記管理装置は請求項1乃至5の何れか1項に記載の管理装置である、
ことを特徴とする入退出管理システム。
【請求項7】
電子キーと、該電子キーと通信可能な複数の管理装置と、を含む入退出管理システムであって、
前記電子キーは、特定省電力無線に準拠した信号を前記複数の管理装置の何れかを宛先として前記複数の管理装置の何れかに対して送信し、
前記複数の管理装置は請求項1乃至5の何れか1項に記載の管理装置であり、
前記電子キーからの前記信号を受信した管理装置は、該管理装置が前記宛先とされた管理装置では無い場合は、該受信した信号を他の管理装置に対して特定省電力無線に準拠して送信する、
ことを特徴とする入退出管理システム。
【請求項8】
電子キーと、該電子キーと通信可能な複数の管理装置と、を含む入退出管理システムであって、
前記電子キーは、特定省電力無線に準拠した信号を前記複数の管理装置の何れかを宛先として前記複数の管理装置の何れかに対して送信し、
前記複数の管理装置は請求項1乃至5の何れか1項に記載の管理装置であり、
前記複数の管理装置の何れかをサーバとし、前記電子キーからの前記信号を受信した該サーバとされた管理装置は該管理装置が前記宛先とされた管理装置では無い場合であっても該受信した信号に対して前記受信照合手段及び前記第2の記憶手段を動作させることを特徴とする入退出管理システム。
【請求項9】
電子キーと通信可能な管理装置に組み込まれる管理プログラムであって、
前記電子キーから送信される信号の正当性を照合するための照合用情報を記憶する第1の記憶手段と、
前記電子キーから発信される特定省電力無線に準拠した信号を受信し、該受信した信号と、前記照合用情報とを照合する受信照合手段と、
前記受信照合手段による照合結果が、合致だった場合に前記電子キーを利用する利用者が管理対象とするエリアに入退出したと判断し、現在の時刻と、入退出した旨とを紐付けて記憶する第2の記憶手段と、
を備える管理装置としてコンピュータを機能させることを特徴とする管理プログラム。
【請求項10】
電子キーと、該電子キーと通信可能な複数の管理装置と、を含む入退出管理システムが行う入退出管理方法であって、
前記管理装置が、前記電子キーから送信される信号の正当性を照合するための照合用情報を記憶する第1の記憶ステップと、
前記電子キーが、特定省電力無線に準拠した信号を前記管理装置に対して送信する送信ステップと、
前記管理装置が、前記送信ステップにおいて前記電子キーから発信された特定省電力無線に準拠した信号を受信し、該受信した信号と、前記照合用情報とを照合する受信照合ステップと、
前記管理装置が、前記受信照合ステップによる照合結果が、合致だった場合に前記電子キーを利用する利用者が管理対象とするエリアに入退出したと判断し、現在の時刻と、入退出した旨とを紐付けて記憶する第2の記憶ステップと、
を有することを特徴とする入退出管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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