説明

入退場管理ゲート及び入退場管理方法

【課題】無線通信又は有線通信を利用した認証と、人体通信を利用した認証とを行うことが可能な入退場管理ゲートにおいて、不要な認証を禁止できるようにすること。
【解決手段】入退場管理ゲートは、認証情報を有する携帯装置と有線通信又は無線通信を行うことで、携帯装置を認証する第1の認証部と、第1の認証部による認証が行われなかった場合に、携帯装置と人体通信を行うことで、携帯装置を認証する第2の認証部と、第1又は第2の認証部が携帯装置を認証したか否かに応じて、ゲートの開閉を行う開閉部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される発明は、入退場管理ゲート及び入退場管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な場所で人の入退場が管理されている。例えば、ビル、建物、鉄道、遊園地等において、入退場が管理されている。入退場の管理方法としては、様々な方法が考えられる。例えば、認証結果にしたがってゲートの開閉を制御する入退場管理ゲートが普及している。認証は、例えば、チケットを投入すること、チケットやカードをかざすこと等により行われる。一例として、カードは、Suica(登録商標)やFelica(登録商標)のようなICカードである。
【0003】
一方、ユーザに認証行為を意識させずに認証を実現する技術として、人体通信(BAN:Body Area Network)と呼ばれる無線通信技術がある。人体通信は、人体を通信媒体とした通信であり、無線通信にも有線通信にも該当しない通信として分類される。人体通信(BAN)に関する従来の技術については、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009−540707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような現状を踏まえると、将来、人体通信(BAN)を利用する認証機能を備えた入退場管理ゲートが登場するかもしれない。この場合、既存の認証機能(チケットの投入やかざす行為等により認証を行う機能)と、人体通信を利用する認証機能とを備えた入退場管理ゲートが必要となる。すなわち、これら複数の認証機能に対応する必要がある。また、携帯電話等の認証情報を発する側も、複数の認証方式に対応する必要がある。
【0006】
各々の認証方式により入退場管理を実施する場合、両方の認証が独立に動作し、認証を二重に行ってしまうことが懸念される。特に、認証が課金サービスと連携している場合、二重課金が発生してしまうことが懸念される。
【0007】
開示される発明の課題は、無線通信又は有線通信を利用した認証と、人体通信を利用した認証とを行うことが可能な入退場管理ゲートにおいて、不要な認証を禁止できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示される発明の一形態による入退場管理ゲートは、
認証情報を有する携帯装置と有線通信又は無線通信を行うことで、前記携帯装置を認証する第1の認証部と、
前記第1の認証部による認証が行われなかった場合に、前記携帯装置と人体通信を行うことで、前記携帯装置を認証する第2の認証部と、
前記第1又は第2の認証部が前記携帯装置を認証したか否かに応じて、ゲートの開閉を行う開閉部と
を有する入退場管理ゲートである。
【発明の効果】
【0009】
開示される発明によれば、無線通信又は有線通信を利用した認証と、人体通信を利用した認証とを行うことが可能な入退場管理ゲートにおいて、不要な認証を禁止できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施例による入退場管理ゲートの概念図。
【図2】一実施例による入退場管理ゲートの機能ブロック図。
【図3】入退場管理ゲートの動作例を示すフローチャート。
【図4】入退場管理ゲートの別の動作例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
開示される発明の一形態による入退場管理ゲート(10)は、
認証情報を有する携帯装置(1)と有線通信又は無線通信を行うことで、前記携帯装置を認証する第1の認証部(2、7)と、
前記第1の認証部による認証が行われなかった場合に、前記携帯装置と人体通信を行うことで、前記携帯装置を認証する第2の認証部(4、7)と、
前記第1又は第2の認証部が前記携帯装置を認証したか否かに応じて、ゲートの開閉を行う開閉部(5)と
を有する入退場管理ゲートである。
【0012】
入退場管理ゲート(10)は、前記携帯装置(1)が所定の場所を通過したことを検出する通過検出部(3)をさらに有してもよい。
【0013】
前記第1の認証部(2、7)による認証が行われなかった場合において、前記通過検出部が前記携帯装置の通過を検出した場合、前記第2の認証部(4、7)の動作を制御する制御部(7)が、前記第2の認証部による認証を開始させてもよい。
【0014】
前記第1の認証部(2、7)による認証が行われた場合、前記第2の認証部(4、7)の動作を制御する制御部(7)は、前記第2の認証部による認証が行われることを禁止してもよい。
【0015】
開示される発明の一形態による入退場管理方法は、
認証情報を有する携帯装置(1)と有線通信又は無線通信を行うことで、前記携帯装置を認証する第1の認証が行われなかった場合に、前記携帯装置と人体通信を行うことで、前記携帯装置を認証するステップ(図3のS2→S6、図4のS2→S4)と、
前記携帯装置が認証されたか否かに応じて、ゲートの開閉を行うステップ(図3のS7、図4のS5)と
を有する入退場管理方法である。
【0016】
開示される発明によれば、有線通信又は無線通信による認証処理が行われなかった場合に、人体通信による認証処理を行うようにしたので、不要な認証を防止することができる。
【0017】
開示される発明によれば、認証情報を有する携帯装置の側でなく、入退場管理ゲートの側の構成及び動作を工夫することで、不要な認証を回避している。したがって、開示される発明は、携帯装置に変更を加えずに実現できる点で、有利である。
【実施例1】
【0018】
図1は、一実施例による入退場管理ゲートの概念図を示す。図2は、図1に示される入退場管理ゲートの機能ブロック図を示す。図1及び図2には、携帯装置1と、入退場管理ゲート10とが示されている。入退場管理ゲート10は、従来型入退場検出部2、人体通過検出部3、新型入退場検出部4、開閉機構部5、供給電力調整部6及び制御部7を有する。
【0019】
携帯装置1は、認証情報を保持する機能と、無線通信又は有線通信により認証情報を通信する機能と、人体通信により認証情報を通信する機能とを有する。携帯装置1は、例えば、ICカード、携帯電話、情報端末その他のユーザが携帯可能な適切な如何なるユーザ装置でもよい。ICカードは、例えば、Suica(登録商標)、Felica(登録商標)等でもよい。認証情報は、携帯装置1を認証するのに必要な情報であり、例えば、ICカード乗車券の場合、乗車駅、降車駅、チャージ金額、課金情報、乗車日時等の情報を含む。
【0020】
入退場管理ゲート10は、携帯装置1のユーザに対して、認証結果に応じて、ゲートを開く又は閉じたままにすることを制御する。
【0021】
従来型入退場検出部2は、携帯装置1と無線通信又は有線通信を行い、認証を行う。本説明では、「従来型」及び「新型」の表現が使用されているが、これは、便宜的なものに過ぎない。「従来型」は、携帯装置1と無線通信又は有線通信を行うのに対して、「新型」は携帯装置1と人体通信を行う。従来型入退場検出部2は、例えば、ユーザが、Suica(登録商標)やFeliCa(登録商標)等のICカードを、従来型入退場検出部2にかざし、近距離無線通信又は非接触通信を行うことで、認証が行われる。従来型入退場検出部2により、ユーザの存在が検出され、認証が行われた場合、認証結果は制御部7に通知される。例えば、携帯装置1がICカード乗車券の場合、認証情報(この場合は、乗車駅、降車駅、チャージ金額、課金情報、乗車日時等の情報)が、近距離無線通信により通信され、ユーザの通過を認めるか否かが、制御部7による制御の下で判断される。判断は、従来型入退場検出部2が行ってもよいし、制御部7が行ってもよい。認証情報が確認され、携帯装置1(すなわちユーザ)を認証するか否か(OK又はNG)が決定される。例えば、ICカード乗車券の場合、チャージ金額が不足していたことにより、認証されない場合がある。認証されない場合として、認証情報が適切でなかったことに加えて、通信感度不足の場合もあることに留意を要する。なお、認証情報の確認の際、追加的にユーザが投入した磁気シート(例えば、切符)により、携帯装置1が認証されてもよい。
【0022】
人体通過検出部3は、赤外線センサ等を利用して、ユーザの通過を検出する。検出結果は、制御部7に通知される。
【0023】
新型入退場検出部4は、携帯装置1と人体通信(BAN)を行い、認証を行う。新型入退場検出部4は、ユーザが図1の新型入退場検出部4の場所に立った場合に、ユーザの人体を通信媒体として携帯装置1と通信を行うことで、認証を行う。すなわち、新型入退場検出部4及び携帯装置1は、通信媒体である人体を介して接続され、認証のためのやり取りが行われる。新型入退場検出部4により、ユーザの存在が検出され、認証が行われた場合、認証結果は制御部7に通知される。例えば、携帯装置1がICカード乗車券の場合、認証情報(この場合は、乗車駅、降車駅、チャージ金額、課金情報、乗車日時等の情報)が、ユーザの人体を介して通信され、ユーザの通過を認めるか否かが、制御部7による制御の下で判断される。判断は、新型入退場検出部4が行ってもよいし、制御部7が行ってもよい。認証情報が確認され、携帯装置1(すなわちユーザ)を認証するか否か(OK又はNG)が決定される。例えば、ICカード乗車券の場合、チャージ金額が不足していたことにより、認証されない場合がある。認証されない場合として、認証情報が適切でなかったことに加えて、通信感度不足の場合もあることに留意を要する。
【0024】
開閉機構部5は、制御部7からの開閉の指示にしたがって、ユーザを通すようにゲートを開く又はユーザの通過を禁止するようにゲートを閉じる。ゲートは、開放された後、一定時間後(例えば、数秒後)に閉鎖されてもよい。開放後一定時間経過後にゲートを閉鎖することに代えて又は追加的に、人体通過検出部3がゲートの前後にそれぞれ設けられ、双方の人体通過検出部3によりユーザの通過が検出された場合に、ゲートが閉鎖されてもよい。
【0025】
供給電力調整部6は、制御部7からの指示にしたがって、新型入退場検出部4への電力供給を行う又は禁止する。
【0026】
制御部7は、入退場管理ゲート10内の機能要素1〜6の動作を制御する。
【0027】
図3は、入退場管理ゲートの動作例を示すフローチャートである。図1に示されるような入退場管理ゲート10が使用されるものとする。
【0028】
ステップS1において、初期設定が行われる。従来型入退場検出部2の電源はONに設定され、新型入退場検出部4の電源はOFFに設定され、開閉機構部5はゲートを閉鎖している。
【0029】
ステップS2において、従来型入退場検出部2が携帯装置1(すなわち、ユーザ)を認証したか否かが確認される。携帯装置1が認証された場合、フローはステップS3に進み、そうでなかった場合、フローはステップS4に進む。
【0030】
ステップS3では、携帯装置1が認証されたことに応じて、開閉機構部5がゲートを開放し、一定期間経過後にフローはステップS1に戻る。ステップS1では上述したように初期設定が行われ、開放されたゲートは閉鎖される。
【0031】
ステップS4では、人体通過検出部3により、ユーザが通過したか否かが判定される。通過が確認されなかった場合、フローはステップS1に戻る。通過が確認された場合、フローはステップS5に進む。
【0032】
ステップS5では、新型入退場検出部4への電源供給がONに設定される。
【0033】
ステップS6では、新型入退場検出部4が携帯装置1(すなわち、ユーザ)を認証したか否かが確認される。携帯装置1が認証された場合、フローはステップS7に進み、そうでなかった場合、フローはステップS1に戻る。
【0034】
ステップS7では、新型入退場検出部4への電源供給がOFFに設定される。また、開閉機構部5がゲートを開放する。一定期間経過後にフローはステップS1に戻る。ステップS1では上述したように初期設定が行われ、開放されたゲートは閉鎖される。新型入退場検出部4への電源供給をOFFにするタイミングは、図示されているようにステップS7のタイミングでもよいし、ステップS1に戻ったタイミングでもよい。不要な電源投入を避ける観点からは、ステップS7のタイミングでOFFにすることが望ましい。制御フローを簡潔にする観点からは、ステップS1のタイミングでOFFにしてもよい。
【0035】
図4は、入退場管理ゲートの別の動作例を示すフローチャートである。上記の動作例は、図1に示すように、移動しているユーザを認証する場合に有利である。しかしながら、ユーザがドアの前に立っている場合の認証のように、移動していないユーザを認証しなければならない場合もある。図4に示す動作例は、そのような場合の認証に相応しい。
【0036】
ステップS1において、初期設定が行われる。従来型入退場検出部2の電源はONに設定され、開閉機構部5はゲートを閉鎖している点は、図3の動作例と同じであるが、新型入退場検出部4の電源はONに設定されている点が異なる。
【0037】
ステップS2において、従来型入退場検出部2が携帯装置1(すなわち、ユーザ)を認証したか否かが確認される。携帯装置1が認証された場合、フローはステップS3に進み、そうでなかった場合、フローはステップS4に進む。
【0038】
ステップS3では、携帯装置1が認証されたことに応じて、開閉機構部5がゲートを開放する。図3の動作例とは異なり、新型入退場検出部4への電源供給をOFFにする。一定期間経過後にフローはステップS1に戻る。ステップS1では上述したように初期設定が行われ、開放されたゲートは閉鎖される。
【0039】
ステップS4では、新型入退場検出部4が携帯装置1(すなわち、ユーザ)を認証したか否かが確認される。携帯装置1が認証された場合、フローはステップS5に進み、そうでなかった場合、フローはステップS1に戻る。
【0040】
ステップS5では、開閉機構部5がゲートを開放する。一定期間経過後にフローはステップS1に戻る。ステップS1では上述したように初期設定が行われ、開放されたゲートは閉鎖される。
【0041】
以上本発明は特定の実施例を参照しながら説明されてきたが、それらは単なる例示に過ぎず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。発明の理解を促すため具体的な数値や名称を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらは単なる一例に過ぎず適切な如何なる数値や名称が使用されてもよい。説明の便宜上、本発明の実施例に係る装置は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク(HDD)、リムーバブルディスク、CD−ROM、データベース、サーバその他の適切な如何なる記憶媒体に用意されてもよい。本発明は上記実施例に限定されず、本発明の精神から逸脱することなく、様々な変形例、修正例、代替例、置換例等が本発明に包含される。
【符号の説明】
【0042】
1 携帯装置
10 入退場管理ゲート
2 従来型入退場検出部
3 人体通過検出部
4 新型入退場検出部
5 開閉機構部
6 供給電力調整部
7 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証情報を有する携帯装置と有線通信又は無線通信を行うことで、前記携帯装置を認証する第1の認証部と、
前記第1の認証部による認証が行われなかった場合に、前記携帯装置と人体通信を行うことで、前記携帯装置を認証する第2の認証部と、
前記第1又は第2の認証部が前記携帯装置を認証したか否かに応じて、ゲートの開閉を行う開閉部と
を有する入退場管理ゲート。
【請求項2】
前記携帯装置が所定の場所を通過したことを検出する通過検出部をさらに有する請求項1記載の入退場管理ゲート。
【請求項3】
前記第1の認証部による認証が行われなかった場合において、前記通過検出部が前記携帯装置の通過を検出した場合、前記第2の認証部の動作を制御する制御部が、前記第2の認証部による認証を開始させる、請求項2記載の入退場管理ゲート。
【請求項4】
前記第1の認証部による認証が行われた場合、前記第2の認証部の動作を制御する制御部は、前記第2の認証部による認証が行われることを禁止する、請求項1記載の入退場管理ゲート。
【請求項5】
認証情報を有する携帯装置と有線通信又は無線通信を行うことで、前記携帯装置を認証する第1の認証が行われなかった場合に、前記携帯装置と人体通信を行うことで、前記携帯装置を認証するステップと、
前記携帯装置が認証されたか否かに応じて、ゲートの開閉を行うステップと
を有する入退場管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−232817(P2011−232817A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100077(P2010−100077)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】