説明

入退場認証ゲート装置及び入退場認証システム

【課題】本発明は、簡易な構成にして設置が容易であり、設置コストを低減することができ、しかも認証の信頼性も高い入退場認証ゲート装置とそのシステムの提供を目的とする。
【解決手段】枠体に形成された基台300の上部に電磁波伝達シート100が設けられ、そこで識別情報記録媒体200の識別情報が例えばRFIDにより送受信される。この識別情報は識別情報読取装置300で読み取られ、送受信装置340を介して別に設けられた管理用PC400に送信される。管理用PC400では当該識別情報を認証して認証情報をゲート装置100に送信され、該認証情報に基づいて各種装置321,322,323の出力が制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設や現場等における利用者の入退場を認証する入退場認証ゲート装置および入退場認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対向する導電体層とその間の誘電体層からなる電磁波伝達シート内に電磁場を存在させ、導電体層の間の電圧を変化させて当該電磁場を変化させたり、当該電磁場の変化によって導電体層の間の電圧を変化させて、電磁波を進行させることで、信号(例えば識別情報など)を伝達する電磁波伝達シートが開発されている(特許文献1参照)。また、下記非特許文献1において、電磁波伝達シートに関わる二次元通信の原理が紹介されている。
【0003】
そして、この電磁波伝達シートは、例えば、電磁波伝達シート上に物品を載置すると、その物品に関する信号をシート内で電磁波を介して伝達することにより、別に設けられたパソコンにてモニタ上に当該物品に関する情報を表示して、商品管理、薬品管理、あるいは書籍管理などに使用されている。
【0004】
また、例えば、電磁波伝達シート上にパソコンを載置すると、パソコンからの微弱な信号をシート内で電磁波を介して伝達することにより、LAN等の通信ネットワークに接続することなどにも使用されている。
【0005】
このように電磁波伝達シートは様々な用途に応用可能なものとして注目されている。
【0006】
ところで、施設や現場等における利用者の入退場を認証する入退場認証ゲート装置が知られている。このゲート装置は、一般に利用者の識別情報が記録されたカード状のIC記録媒体をゲート装置にかざすと、ゲート装置が該IC記録媒体から識別情報を読み取って、それを別に設けられた管理用コンピュータにて認証して、利用者の通過を許可したり、あるいは禁止したりする(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−82178号公報
【特許文献2】特開2005−350960公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】篠田裕之、「素材表面に形成する高速センサネットワーク」、計測と制御、2007年2月号、第46巻、第2号、P98-103
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のIC記録媒体を利用したゲート装置では、装置が複雑であることから設置が煩雑になり、設置コストが高騰するという問題があった。
【0010】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、簡易な構成にして設置が容易であり、設置コストを低減することができ、しかも認証の信頼性も高い入退場認証ゲート装置とそのシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記目的を達成するために、施設や現場等における利用者の入退場を認証するための入退場認証ゲート装置であって、施設や現場等の入退場口に設けられ、入退場口を通過する利用者が所有する識別情報記録媒体との間で識別情報を送受信して伝達するものであって、メッシュ状導体を有する第1導電体層と、該第1導電体層と略平行に配設される第2導電体層と、前記第1導電体層と前記第2導電体層との間に配設される誘電体層とを有し、前記第1導電体層と前記第2導電体層の間の誘電体層において、前記識別情報媒体の識別情報を電磁波を介して伝達する薄板状の電磁波伝達シートと、該電磁波伝達シートから送信されてきた識別情報を読み取る識別情報読取装置と、該識別情報読取装置により読み取られた識別情報を別に設けられた管理用コンピュータに送信する送信装置とを備えることを特徴とする。
【0012】
これによれば、本ゲート装置に電磁波伝達シートを利用することにより、本ゲート装置が簡易な構成にして設置が容易となり、設置コストを低減することができる。しかも電磁波伝達シートは所定の距離の範囲内に位置する識別情報記録媒体から確実に識別情報を読み取るため、信頼性の高い入退場の認証を行うことができる。
【0013】
また、該管理用コンピュータから送信されてきた認証情報を受信する受信装置と、視覚的または/および聴覚的に入退場の許可又は禁止を出力する出力装置と、前記受信装置により受信された認証情報に基づいて前記出力装置の出力を制御する制御装置とを備えるものとしてもよい。これにより電磁波伝達シートを利用した本ゲート装置において、入退場口における利用者の通過の許可又は禁止を行うことができる。
【0014】
また、前記電磁波伝達シートは、施設や現場等の入退場口に設置された基台に設けられるものとしてもよい。これによりいわゆる基台設置型のゲート装置を構成することができ、基台に設けられた電磁波伝達シートに識別情報記録媒体をかざすことにより入退場認証が可能となる。
【0015】
また、前記電磁波伝達シートは、施設や現場等の入退場口を通過する利用者に対して第1導電体層を対向する態様で設けらるものとしてもよい。これにより入退場口を通過する利用者の識別情報記録媒体から識別情報を読み易くなり、より効率的な入退場認証が可能となる。
【0016】
また、前記電磁波伝達シートは、離れた位置にある前記識別情報記録媒体からの識別情報を送受信する電磁波放射器が設けられるものとしてもよい。これにより入退場口の周辺の天井面や壁面など、入退場口を通過する利用者と離れた位置にも電磁波伝達シートを設置することができ、いわゆる遠隔設置型のゲート装置として省スペース化を実現することが可能となる。
【0017】
また、前記電磁波放射器は、前記電磁波伝達シートの前記第1導電体層の表面に展設される誘電体層と、該誘電体層の前記電磁波伝達シートと反対側の表面に展設される導電体層とからなるものとしてもよい。これにより入退場口の周辺の天井面や壁面など、入退場口を通過する利用者と離れた位置に電磁波伝達シートを設置した場合において、利用者の識別情報記録媒体から識別情報をより精度良く読み取ることができる。
【0018】
また、前記電磁波伝達シートは、RFIDを使用することにより前記識別情報記録媒体との間で識別情報を送受信するものとしてもよい。これにより識別情報記録媒体の価格が安くなるため、ゲート装置の設置コストをより一層低減することができる。
【0019】
また、本発明に係る入退場認証システムは、請求項1から請求項7のいずれかに記載の入退場認証ゲート装置と、該入退場認証ゲート装置にネットワークを介して接続され、あらかじめ利用者の識別情報をデータベースに記憶し、前記入退場認証ゲート装置から送信されてきた認証情報をデータベースの認証情報と照合し、データベースに利用者の識別情報が存在する場合には利用者の通過を許可する認証情報を作成し、データベースに利用者の識別情報が存在しない場合には利用者の通過を禁止する認証情報を作成し、該認証情報を前記入退場認証ゲート装置に送信する管理用コンピュータとを備えることを特徴とする。
【0020】
これによれば、本ゲート装置に電磁波伝達シートを利用することにより、本システム全体も簡易な構成にして設置が容易となり、設置コストを低減することができる。しかも電磁波伝達シートは所定の距離範囲内に位置する識別情報記録媒体から確実に識別情報を読み取るため、信頼性の高い入退場の認証を行うことができる。
【0021】
また、前記入退場認証ゲート装置が複数設けられ、前記送信装置は各入退場認証ゲート装置の識別情報読取装置から送信されてきた識別情報を前記管理用コンピュータに送信するとともに、前記受信装置は前記管理用コンピュータから送信されてきた認証情報を受信して各入退場認証ゲート装置に送信してもよい。これにより各ゲート装置からの識別情報を一台の送信装置及び受信装置で管理用コンピュータと送受信することができ、設置による通信配線の煩雑さを軽減することができ、設置コストをより一層低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、本ゲート装置に電磁波伝達シートを利用することにより、簡易な構成にして設置が容易となり、設置コストを低減することができる。しかも電磁波伝達シートは所定の距離範囲内に位置する識別情報記録媒体から確実に識別情報を読み取るため、信頼性の高い入退場の認証を行うことができる。このため設置型のゲート装置はもとより、遠隔設置型のゲート装置も設置し易くなり、施設や現場等における入退場の認証が低コストで実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】電磁波伝達シートの(a)平面図と(b)断面図である。
【図2】識別情報記録媒体の平面図である。
【図3】第1の実施形態に係る本ゲート装置の構成を示す側面図である。
【図4】図3の本ゲート装置の構成を示す平面図である。
【図5】図3の本ゲート装置の構成を示す底面図である。
【図6】図3の本ゲート装置の構成を示す背面図である。
【図7】図3の本ゲート装置の電気的構成を示す概略図である。
【図8】本システムの全体構成を示す概略図である
【図9】本システムを利用した利用者の入退場認証の流れを示すフローチャート図である。
【図10】第2の実施形態に係る本ゲート装置の(a)正面図と(b)側面図である。
【図11】電磁波伝達シートおよび電磁波放射器の側面図である。
【図12】電磁波放射器の斜視図である。
【図13】本ゲート装置の電気的構成と本システムの全体構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[実施形態1]
【0025】
次に本発明の第1の実施形態に係る入退場認証ゲート装置(以下、本ゲート装置という)と入退場認証システム(以下、本システムという)について図1〜図9を参照しつつ説明する。
【0026】
本ゲート装置300は、施設や現場等の入退場口の地面に設置される、いわゆる基台設置型のゲート装置である。本ゲート装置300は電磁波伝達シート100が設けられており、利用者は、施設や現場等の入退場口を通過するに際して、所有している例えばカード状の識別情報記録媒体200を本ゲート装置300の電磁波伝達シート100にかざすことにより入退場を認証する。入退場の認証は別に設けられた管理用PC400で行われ、入退場が認証されれば利用者の通過を許可されるが、認証されなければ利用者の通過が禁止されるようになっている。
【0027】
<電磁波伝達シート>
以下では、説明を容易にするため、電磁波の伝達に用いる周波数帯において導電体であるものを「導電体」と呼び、当該周波数帯において誘電体であるものを「誘電体」と呼ぶ。したがって、例えば直流電流に対して導体であるか半導体であるか等によって、何ら制約されるものではない。また、誘電体と導電体とは、電磁波との関係において特性により定義されるものであって、固体であるか液体であるか気体であるか等の態様を制約するものではない。
【0028】
図1は、本実施形態に係る電磁波伝達シート(以下、シートという)の概略構成を示す説明図である。図1(a)は、シート100の平面図を示し、図1(b)は、シート100のA−A’断面図を示す。
【0029】
図1(b)に示すように、シート100は、メッシュ状の第1導電体110と、これに略平行な平板状の第2導電体120とを備えており、典型的にはいわゆる通信シートと称される二次元シートである。第1導電体110は、第2導電体120に対して、図1においては上方に設けられている。図1(a)において、第1導電体110は、略正方形のメッシュ状に構成される。
【0030】
また、第1導電体110と第2導電体120との間に、誘電体層として空気を介在させた場合には、第1導電体110の略正方形の開口から第2導電体120が透けて見える。しかし、第1導電体110と第2導電体120との間に、不透明な誘電体層を介在させた場合には、第1導電体110の開口から第2導電体120は見えない。ここで、不透明な誘電体層として、例えば柔軟性のある樹脂板等を用いてもよい。
【0031】
また、誘電体層としては、例えば発泡部材のように、ある程度の強度と柔軟性と軽量性と美観とを兼ね備えた部材を用いることが好ましい。また、メッシュの繰り返し単位(メッシュ周期)は、典型的には隣合う正方形開口の中心同士の距離に等しい。
【0032】
図1(b)において、第1導電体110と第2導電体120の間に、誘電体としての狭間領域130が設けられ、第1導電体110の上方に電磁波が侵出する侵出領域140が設けられる。狭間領域130および侵出領域140はいずれも空気であってもよいが、いずれが一方もしくは両方もしくはそれらの一部分を他の誘電体としてもよく、例えば液体や土としたり真空としたりしてもよい。
【0033】
また、例えば、侵出領域140を保護シートや保護フィルムで被覆することにより、実用に耐えうる強度と、耐久性及び美観とを具備するシート100とできる。また、侵出領域140と同様に、第2導電体120の裏面側、すなわち第2導電体120の狭間領域130の反対側の面も、保護シートや保護フィルムで被覆することにより、実用に耐えうる強度と、耐久性及び美観とを具備するシート100とできる。
【0034】
また、狭間領域130において定在波が生じるのを防止するために、伝搬される電磁波の特定の周波数帯において誘電損失や抵抗損失が大きな材料を、狭間領域130に配設したり充填したりしてもよい。典型的には、いわゆる終端処理としてシート100の端部や辺縁部等において上述の処理を施すことができる。
【0035】
このような終端処理により、定在波が低減されるだけでなく、現実には有限の広さを有するシート100であっても、あたかも無限の広さに展開されているかのように、理論的な取り扱いをすることも可能となる。
【0036】
第1導電体110と第2導電体120とは、いずれも二次元的であってシート状に構成される。シート状とは、帯状、布状、紙状、箔状、板状、膜状、フィルム状、メッシュ状など、面としての広がりを持ち、厚さが薄いものを意味する。
【0037】
また、導電性インクや導電性ゴムを利用し、必要に応じて任意の模様や絵を描きながら、これらを塗装したり吹き付けたりすることによって、第1導電体110や第2導電体120を構成することができる。またこの場合に、必要に応じて任意の位置からシート100内に電磁波を注入し叉は電磁波を取り出す為に、シート100の任意の位置に、適宜くり抜き状をスルーホースや辺縁部、端部等を形成しておいてもよい。
【0038】
ここで、シート100において、第1導電体110と第2導電体120とに挟まれる狭間領域130の間を伝搬する電磁波モードに注目する。かりに第1導電体110がメッシュ状ではなく、開口がない構造であった場合には、電磁波は狭間領域130に閉じ込められる。
【0039】
一方、本実施形態で例示するように、第1導電体110はメッシュ状の構造をとり、開口をもつ。このような形状では、一定の高さまで、電磁場が染み出すようになる。この電磁場が染み出す領域が、図1に侵出領域140として概念的に示す領域である。この高さは、メッシュの周期とシートの誘電体とによって決まる。本ゲート装置の使用に際しては、この侵出領域140に識別情報記録媒体200を位置させることにより、識別情報記録媒体200の識別情報がシート100との間で送受信される。
【0040】
また、メッシュの繰返しの単位寸法(メッシュ周期)は、狭間領域130における電磁波長λより十分に短い周期とすることが好ましい。ここで、メッシュの繰り返しの単位寸法とは、典型的にはいわゆるメッシュのマス目を構成する一辺の長さとメッシュ状導体の太さとを加算した値に相当する寸法である。
【0041】
また、メッシュの繰返しの単位寸法(メッシュ周期)は、典型的には電磁波長λに対して、λ/5以下、λ/10〜λ/100、λ/100〜λ/1000などの周期を利用できるが、シート100の適用分野に応じて、適宜サイズは調整可能である。また、現実の素材を組み合わせて実験を行い、所望の電磁波の強度が得られるように、侵出領域140の高さを設定してもよい。
【0042】
また、シートの後端部には、図3に示すように、インターフェース装置150が取り付けられている。このインターフェース装置150は、シート100との間で電磁波を送受波して識別情報を受信して、ケーブルを介して後述の識別情報読取装置330に送信される。
【0043】
<識別情報記録媒体>
図2は、本実施形態にかかる識別情報記録媒体200を示す平面図である。
【0044】
この識別情報記録媒体200は、合成樹脂製の手のひらサイズのカード状に形成され、識別情報記録媒体200の裏面には識別タグ210が展設されている。この識別タグ210は、利用者を識別するための識別情報が記録され、例えばRFIDを利用したものが用いられる。
【0045】
このRFID(Radio Frequency IDentification「電波による個体識別」の略)は、識別情報を埋め込んだ識別タグ210から、電磁界や電波などを用いた近距離の無線通信によってシートとの間で識別情報を送受信するものである。
【0046】
シート100との間で送受信された識別情報はシート100内を電磁波を介して伝達されたあと、後述の識別情報読取装置330により読み取られる。
【0047】
<入退場認証ゲート装置>
図3から図6は、本ゲート装置300の構成を示す概略図である。なお、図3では、説明の便宜上、基台310内に設けられるシート100を外観から可視化した状態で図示している。
【0048】
本ゲート装置300は、施設や現場等の入退場口の地面に設置され、略矩形状の基台310を備える。
【0049】
この基台310の上部には上述のシート100が設けられている。具体的には、基台310の前端部から後部にかけて進行方向に対して徐々に上昇する態様で傾斜しており、傾斜面の略中央部には露出窓311が穿設されている。
【0050】
この露出窓311はシート100よりも周径が小さい矩形状に形成されている。そしてその露出窓311の周縁部の下面とシート100の周縁部の上面が接着されることにより、シート100の周縁部を除く上面が露出状態となされている。これにより利用者は本ゲート装置300の横側を通過するに際して、シート100の露出した部分に識別情報記録媒体200をかざすことにより識別情報が読み取られる。特に本実施形態では、基台部300の上部が傾斜しているため利用者は識別情報記録媒体200をよりかざしやすくなり便利である。
【0051】
また、基台310の平坦な後端部には、通過ランプ321と停止ランプ322が幅方向に並んで設けられている。この通過ランプ321は後述するように利用者の通過が許可された場合に点灯し、一方、停止ランプ322は利用者の通過が禁止された場合に点灯する。
【0052】
また、基台310の平坦な後端部には、さらにスピーカ323が通過ランプ321と停止ランプ322の前側に設けられている。このスピーカ323は利用者の通過が許可された場合には許可する旨の音声を出力し、一方利用者の通過が禁止された場合に禁止する旨の音声を出力する。
【0053】
なお、基台310の外部には、DIOユニット324、DC電源325、換気用ルーパー326、ACタップ327、設置架台328などの必要機器や機材がそれぞれ設けられている。
【0054】
図7は、本ゲート装置300の電気的構成を示す概略図である。
【0055】
本ゲート装置300の内部には識別情報読取装置330と制御装置350などが設けられ、本ゲート装置300の外部には送受信装置340が設けられている。
【0056】
前記識別情報読取装置330は、前記シート100(インターフェース装置150)からケーブルを介して送信されてきた識別情報を読み取るものである。この識別情報読取装置330は、読み取った識別情報に対して読取日時、ゲート番号、入退場区分などの情報を付加したあと、それを送受信装置340を介して管理用PC400に送信する。
【0057】
前記送受信装置340は、前記識別情報読取装置330により読み取られた識別情報を別に設けられた管理用PC400とホストPC500に送信する。本実施形態では、送受信装置340は無線LAN子機341と無線LANルータ342から構成され、識別情報読取装置330からケーブルを介して送信されてきた識別情報は無線LAN子機341で受信されたあと、無線LANルータ342に無線で送信され、さらに該無線LANルータ342からLANを通じて管理用PC400やホストPC500に送信される。なお、無線LAN子機341と無線LANルータ342は実際には互いに離れた位置に設けられているが、機能としては一体のものとして図7に図示している。
【0058】
また、前記送受信装置340は、管理用PC400から送信されてきた認証情報を受信する。本実施形態では、認証情報は管理用PC400からLANを通じて無線LANルータ342に受信されたあと、無線LAN子機341に無線で送信され、さらに無線LAN子機341からケーブルを通じて制御装置350に送信される。
【0059】
前記制御装置350は、前記送受信装置340に受信された認証情報に基づいて通過ランプ321、停止ランプ322およびスピーカ323の出力を制御するものである。例えば、認証情報が許可を示すものである場合、通過ランプ321を点灯させるとともに、スピーカ323では通過を許可する旨の音声を出力させる。一方、認証情報が禁止を示すものである場合、停止ランプ322を点灯させるとともに、スピーカ323では通過を禁止する旨の音声を出力させる。
【0060】
なお、本実施形態では、識別情報読取装置330、通過ランプ321、停止ランプ322、スピーカ323の各装置を基台310内に設けるものとしたが、基台310の外部に設けてもよい。ただ、これら各装置を基台310に内部に設ける方が省スペース化から鑑みて好ましい。
【0061】
また、送受信装置340は基台310の外部に設けるものとしたが、基台310の内部に設けるものとしてもよい。ただ、本ゲート装置300を複数設置する場合には、基台310の外部に設けるのが設置効率から鑑みて好ましい。
【0062】
<入退場認証システム>
図8は、本システムの構成を示す概略図である。
【0063】
本システムは、図8に示すように、複数の本ゲート装置300と、1台の管理用PC400と、1台のホストPC500とから構成され、それぞれがネットワーク(本実施形態ではLAN)を介して接続されている。
【0064】
前記管理用PC400は、主に本ゲート装置300を通過する利用者に対して通過を許可または禁止することを認証するもので、本実施形態ではパーソナルコンピュータを利用している。
【0065】
この管理用PC400は、あらかじめ利用者の識別情報をデータベース210に登録しており、本ゲート装置300から送信されてきた識別情報をデータベース410の識別情報と照合し、該識別情報がデータベース410に存在する場合には通過を許可する認証情報を作成する一方、該識別情報がデータベース410に存在しない場合には通過を禁止する認証情報を作成する。そして、認証部420により作成された認証情報は送受信部430からLANを通じて本ゲート装置300(送受信装置340)に送信される。
【0066】
なお、このとき管理用PC400のモニタ等にも認証結果を画面表示したり、別のコンピュータにさらに送信することも可能である。
【0067】
また、入場した利用者の識別情報を記録しておき、当該利用者が退場したときに送信されてきた識別情報と照合して、利用者の退場の確認してもよい。これら入退場の状況はリスト表示したり、未退場の利用者の確認を随時行うことも可能である。
【0068】
これら管理用PC400の機能については既存のシステムやデータベースにより実現することができるものである。例えば、(410)は利用者の識別情報をあらかじめ記憶するデータベースである。また、(420)は管理用PC400から送信されてきた利用者の認証情報とデータベースの認証情報を照合して、該識別情報がデータベース410に存在する場合には通過を許可する認証情報を作成する一方、該識別情報がデータベース410に存在しない場合には通過を禁止する認証情報を作成する認証部である。また(430)は管理用PC400との間において利用者の識別情報を受信したり、認証情報を送信したりする送受信部である。
【0069】
前記ホストPC500は、一般には管理用PC400の上位のコンピュータであり、管理用PC400の認証情報を保存したり、管理用PC400から認証を行う利用者の情報を要求された場合に当該利用者のリスト情報を管理用PC400に送信する。
【0070】
なお、本実施形態では、管理用PC400とホストPC500を別体に構成したが、管理用PC400とホストPC500を一体に構成してもよい。
【0071】
<利用者の入退場認証の流れ>
【0072】
次に本システムを利用した利用者の入退場認証の流れについて図9を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、「ステップ」を「S」として省略して説明することとする。
【0073】
利用者が本ゲート装置300を通過するときに、自己の識別情報記録媒体200を本ゲート装置300のシート100にかざすと、識別情報記録媒体200からの識別情報がシート100内を電磁波を介して伝達されたあと、ケーブルを介して識別情報読取装置330に読み取られる(S1)。
【0074】
そして、識別情報読取装置330により読み取られた識別情報は、さらに読取日時、ゲート番号、入退場区分などの情報を付加されたあと、送受信装置340により管理用PC400にLANを通じて送信される(S2)。
【0075】
次に、管理用PC400では、本ゲート装置300からLANを通じて送信されてきた識別情報を送受信部430により受信する(S3)。
【0076】
そして、認証部420において、送受信部430により受信された識別情報をデータベース410の識別情報と照合し、データベース410に利用者の識別情報が存在する場合には利用者の通過を許可する認証情報を作成し、データベースに利用者の識別情報が存在しない場合には利用者の通過を禁止する認証情報を作成する(S4)。
【0077】
そして、認証部420により作成された認証情報は、送受信部430により本ゲート装置300とホストPC500にLANを通じて送信される(S5)。
【0078】
次に、本ゲート装置300では、管理用PC400からLANを通じて送信されてき認証情報を送受信装置340により受信する(S6)。
【0079】
そして、制御装置350により、送受信装置340に受信された認証情報に基づいて通過ランプ321、停止ランプ322およびスピーカ323の出力を制御する。例えば、認証情報が許可を示すものである場合、通過ランプ321を点灯させるとともに、スピーカ323では通過を許可する旨の音声を出力させる。一方、認証情報が禁止を示すものである場合、停止ランプ322を点灯させるとともに、スピーカ323では通過を禁止する旨の音声を出力させる。
【0080】
また、一方でホストPC500では、管理用PC400からLANを通じて送信されてき認証情報を受信したあと(S7)、当該認証情報を適宜保存したりする(S8)。
[実施形態2]
【0081】
次に本発明の第2の実施形態に係る入退場認証ゲート装置(以下、本ゲート装置という)と入退場認証システム(以下、本システムという)について図1、図2、図10〜図13を参照しつつ説明する。
【0082】
本ゲート装置600は、施設や現場等の入退場口の天井面や壁面に設置される、いわゆる遠隔設置型のゲート装置である。本ゲート装置600は電磁波伝達シート100が設けられており、利用者は、施設や現場等の入退場口を通過するに際して、所有している例えばカード式の識別情報記録媒体200を本ゲート装置300の電磁波伝達シート100にかざすしたり、あるいは通過するだけで入退場を認証する。入退場の認証は別に設けられた管理用PC400で行われ、入退場が認証されれば利用者の通過が許可されるが、認証されなければ利用者の通過が禁止されるようになっている。
【0083】
なお、電磁波伝達シート(以下、シートという)100、識別情報記録媒体200、管理用PC400については、実施形態1に示したものと同一なので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0084】
<電磁波放射器>
本実施形態では、図10および図11に示すように、シート100の上面に電磁波放射器700が設けられている。
【0085】
この電磁波放射器700は、離れた位置にある識別情報記録媒体200からの識別情報を電磁波で送受信するものである。具体的には、電磁波放射器700は、シート100の前記第1導電体層110の表面に展設される誘電体層710と、該誘電体層710のシート100と反対側の表面に展設される導電体層720とからなる。
【0086】
誘電体層710は、薄板状に形成されており、例えば発泡部材のように、ある程度の強度と柔軟性と軽量性と美観とを兼ね備えた部材が用いられる。一方、導電体層720は、泊状に形成されており、例えばアルミニウム等の金属泊が用いられる。これら誘電体層710と導電体層720が互いに貼り合わせることにより一体の電磁波放射器700が構成される。
【0087】
而して、電磁波放射器700は、離れた位置にある識別情報記録媒体200から識別情報を電磁波で受信してシート100内に伝達させることができ、また逆にシート100内を伝達してきた識別情報を識別情報記録媒体200に電磁波で送波する。このように電磁波放射器700は電磁波をその上方に三次元的に放射させることができ、いわば電磁波の次元変換機能と変更機能とを有する。
【0088】
これにより入退場口の周辺の天井面や壁面など、入退場口を通過する利用者と離れた位置にもケーシング600(シート100)を設置した場合において、利用者の識別情報記録媒体から識別情報をより精度良く読み取ることができる。
【0089】
特にシート100に識別情報記録媒体200をかざすのではなく、利用者が入退場口を通過したときにシート100が識別情報記録媒体200から識別情報を電磁波で自動的に受信するものとした場合、電磁放射器700は識別情報の読み取りに効力を発揮する。
【0090】
なお、本実施形態では、上記構成の電磁波放射器を使用したが、その他の構成のものであってもよい。
【0091】
<入退場認証ゲート装置>
図10は、本ゲート装置600の構成を示す概略図である。なお、図10では、説明の便宜上、ケーシング610内に設けられるシート100を外観から可視化した状態(点線)で図示している。
【0092】
本ゲート装置600は、施設や現場等の入退場口の周辺の天井面や壁面に設置され、略矩形状のケーシング610を備える。
このケーシング610の表面裏側には上述のシート100が設けられている。なお、本実施形態では表面裏側に設けるものとしているが、もとより表面表側に設けるものとしてもよい。
【0093】
また、ケーシング610の表面上部には、ステータスランプ621が設けられている。このステータスランプ321は、利用者の通過が許可された場合や、通過が禁止された場合などに適宜点灯などする。
【0094】
また、ケーシングの表面下部には、スピーカ622が設けられている。このスピーカ622は、利用者の通過が許可された場合や、通過が禁止された場合などに適宜その旨の音声を出力する。
【0095】
また、シート100が施設や現場等の入退場口を通過する利用者に対して第1導電体層110を対向する態様で設けらるように、本ゲート装置600を適切な角度で配置されるのがよい。これにより入退場口を通過する利用者の識別情報記録媒体200から識別情報を読み易くなり、より効率的な入退場認証が可能となる。
【0096】
<入退場認証システム>
図12は、本ゲートの電気的構成と本システムの全体構成を示す概略図である。
本システムは、図12に示すように、1台の本ゲート装置600と、1台の識別情報読取装置640と、1台の管理用PC400とから構成され、それぞれが同軸ケーブルやLANで接続されている。
【0097】
本ゲート装置600は、識別情報読取装置630が別体に設けられ、識別情報読取装置と同軸ケーブルを介して接続されている。
【0098】
この識別情報読取装置630は、前記シート100(インターフェース装置150)からケーブルを介して送信されてきた識別情報を読み取るものである。この識別情報読取装置630は、読み取った識別情報に対して読取日時、ゲート番号、入退場区分などの情報を付加したあと、それを内部に設けれた送信装置641を介して管理用PC400に送信する。
【0099】
また、本ゲート装置600は、管理用PC400から送信されてきた認証情報を受信す受信装置642と、ステータスランプ621およびスピーカ622の出力を制御する制御装置650が設けられている。
【0100】
この制御装置650は、前記受信装置642に受信された認証情報に基づいてステータスランプ621およびスピーカ622の出力を制御する。例えば、認証情報が許可を示すものである場合、ステータスランプ621を所定の色に点灯させるとともに、スピーカ622では通過を許可する旨の音声を出力させる。一方、認証情報が禁止を示すものである場合、ステータスランプ621を所定の色に点灯させるとともに、スピーカ622では通過を禁止する旨の音声を出力させる。
【0101】
なお、上記いずれの実施形態についても、これらのものに限定されるものではなく、設置型、本ゲート装置の電気的構成、識別情報読取装置及び送受信装置の位置、ホストPCの有無など、種々に設計変更可能である。
【符号の説明】
【0102】
100・・・シート
200・・・識別情報記録媒体
210・・・識別タグ
300・・・本ゲート装置
310・・・基台
311・・・露出窓
321・・・通過ランプ
322・・・停止ランプ
323・・・スピーカ
330・・・識別情報読取装置
340・・・送受信装置
350・・・制御装置
400・・・管理用PC
410・・・データベース
420・・・認証部
430・・・送受信部
500・・・ホストPC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設や現場等における利用者の入退場を認証するための入退場認証ゲート装置であって、
施設や現場等の入退場口に設けられ、入退場口を通過する利用者が所有する識別情報記録媒体との間で識別情報を送受信して伝達するものであって、メッシュ状導体を有する第1導電体層と、該第1導電体層と略平行に配設される第2導電体層と、前記第1導電体層と前記第2導電体層との間に配設される誘電体層とを有し、前記第1導電体層と前記第2導電体層の間の誘電体層において、前記識別情報媒体の識別情報を電磁波を介して伝達する薄板状の電磁波伝達シートと、
該電磁波伝達シートから送信されてきた識別情報を読み取る識別情報読取装置と、
該識別情報読取装置により読み取られた識別情報を別に設けられた管理用コンピュータに送信する送信装置とを備えることを特徴とする入退場認証ゲート装置。
【請求項2】
該管理用コンピュータから送信されてきた認証情報を受信する受信装置と、
視覚的または/および聴覚的に入退場の許可又は禁止を出力する出力装置と、
前記受信装置により受信された認証情報に基づいて前記出力装置の出力を制御する制御装置とを備える請求項1に記載の入退場認証ゲート装置。
【請求項3】
前記電磁波伝達シートは、施設や現場等の入退場口に設置された基台に設けられる請求項1または請求項2に記載の入退場認証ゲート装置。
【請求項4】
前記電磁波伝達シートは、施設や現場等の入退場口を通過する利用者に対して第1導電体層を対向する態様で設けられている請求項1から請求項3のいずれかに記載の入退場認証ゲート装置。
【請求項5】
前記電磁波伝達シートは、離れた位置にある前記識別情報記録媒体からの識別情報を送受信する電磁波放射器が設けられている請求項1から請求項4のいずれかに記載の入退場認証ゲート装置。
【請求項6】
前記電磁波放射器は、前記電磁波伝達シートの前記第1導電体層の表面に展設される誘電体層と、該誘電体層の前記電磁波伝達シートと反対側の表面に展設される導電体層とからなる請求項5に記載の入退場認証ゲート装置。
【請求項7】
前記電磁波伝達シートは、RFIDを使用することにより前記識別情報記録媒体との間で識別情報を送受信する請求項1から請求項6のいずれかに記載の入退場認証ゲート装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の入退場認証ゲート装置と、
該入退場認証ゲート装置にネットワークを介して接続され、あらかじめ利用者の識別情報をデータベースに記憶し、前記入退場認証ゲート装置から送信されてきた認証情報をデータベースの認証情報と照合し、データベースに利用者の識別情報が存在する場合には利用者の通過を許可する認証情報を作成し、データベースに利用者の識別情報が存在しない場合には利用者の通過を禁止する認証情報を作成し、該認証情報を前記入退場認証ゲート装置に送信する管理用コンピュータとを備えることを特徴とする入退場認証システム。
【請求項9】
前記入退場認証ゲート装置が複数設けられ、前記送信装置は各入退場認証ゲート装置の識別情報読取装置から送信されてきた識別情報を前記管理用コンピュータに送信するとともに、前記受信装置は前記管理用コンピュータから送信されてきた認証情報を受信して各入退場認証ゲート装置に送信する請求項8に記載の入退場認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−118717(P2011−118717A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276110(P2009−276110)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(593001901)ミカサ商事株式会社 (4)
【出願人】(503054096)株式会社セルクロス (38)
【Fターム(参考)】