説明

入退室管理システム及び入退室管理プログラム

【課題】室からの退出を把握するための読取手段を設置することなくユーザの在室管理を行う。
【解決手段】各エリア20,30,40の入側に設置されたカードリーダ22,32,42と、各カードリーダ22,32,42から送られてくる情報を取得する情報取得部11と、情報取得部11によりユーザIDが取得された日時を、当該ユーザにおける、ユーザIDを送出したカードリーダ22,32,42が設置されたエリア20,30,40への入室日時とし、入室日時から所定時間経過するまでの間に情報取得部11が当該ユーザのユーザIDを取得しなかった場合、入室日時から所定時間経過した日時を、当該ユーザにおける当該エリアからの退室日時として当該ユーザの入退室を管理する入退室管理部12と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入退室管理システム及び入退室管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の入出室管理システムは、複数の部屋毎に、出入口の外側に入室用のカードリーダを、出入口の内側に退室用のカードリーダをそれぞれ配置し、入退室するユーザが携帯する識別カードを読み取らせることで各部屋の残人数を把握していた。ただ、このようなシステム構成では、各部屋の出入口に入室用と退室用の各カードリーダをそれぞれ設置しなければならないので設備投資の費用が高くついてしまう可能性があった。
【0003】
そこで、例えば特許文献1では、入室用のカードリーダは各部屋の出入口の外側に設置するが、退室用のカードリーダを出入口に設置しない代わりに、複数の部屋を包含した領域(例えば、棟)の出入口にカードリーダを設置し、同じ棟内の部屋間の移動、棟外への移動を検出することによって、各部屋の残人数を把握する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−73778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、複数の部屋を包含する領域からの退出を把握するためには、その領域に対しては依然として退出者の識別カードの読取手段を設置する必要があった。
【0006】
本発明は、室からの退出を把握するための読取手段を設置することなくユーザの在室管理を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る入退室管理システムは、各室の入口に設置された読取手段と、ユーザがいずれかの室に入る際に当該ユーザが携帯する識別カードを当該室に対応して設置された前記読取手段に読み取らせることによって特定される当該ユーザのユーザ識別情報を取得する取得手段と、前記取得手段によりユーザ識別情報が取得された日時を、当該ユーザにおける、ユーザ識別情報を送出した前記読取手段が設置された室への入室日時とし、入室日時から所定時間経過するまでの間に前記取得手段が当該ユーザのユーザ識別情報を取得しなかった場合、入室日時から所定時間経過した日時を、当該ユーザにおける当該室からの退室日時として、各ユーザの入退室を管理する入退室管理手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、前記入退室管理手段は、前記取得手段によりユーザ識別情報が取得された日時を、当該ユーザが入室した直前まで在室していた室からの退室日時とすることを特徴とする。
【0009】
また、ユーザが前記読取手段に識別カードを読み取らせたときに、当該読取手段が設置された室への当該ユーザの入室の許否を判定する判定手段を有し、前記入退室管理手段は、前記判定手段により当該室への入室を許可しないと判定された場合でも、当該読取手段に読み取らせた日時を、当該ユーザが在室していた室からの退室日時とすることを特徴とする。
【0010】
また、前記入退室管理手段は、いずれかの前記読取手段から送られてきた警備モード設定情報が前記取得手段により取得された場合、その取得された日時を、当該読取手段が設置された室に在室している全ユーザにおける当該室からの退室日時とすることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る入退室管理プログラムは、コンピュータを、ユーザがいずれかの室に入る際に当該ユーザが携帯する識別カードを当該室に対応して設置された読取手段に読み取らせることによって特定される当該ユーザのユーザ識別情報を取得する取得手段、前記取得手段によりユーザ識別情報が取得された日時を、当該ユーザにおける、ユーザ識別情報を送出した前記読取手段が設置された室への入室日時とし、入室日時から所定時間経過するまでの間に前記取得手段が当該ユーザのユーザ識別情報を取得しなかった場合、入室日時から所定時間経過した日時を、当該ユーザにおける当該室からの退室日時として、各ユーザの入退室を管理する入退室管理手段、として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、室からの退出を把握するための読取手段を設置することなくユーザの在室管理を行うことができる。これにより、入退室管理システムのための設備投資に必要な費用を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る入退室管理システムの一実施の形態を示したシステム構成及び入退室管理サーバのブロック構成を示した図である。
【図2】本実施の形態における入退室管理サーバを形成するサーバコンピュータのハードウェア構成図である。
【図3】本実施の形態における入退室管理情報記憶部に記憶される入退室管理情報のデータ構成例を示した図である。
【図4】本実施の形態におけるユーザ情報記憶部に記憶されるユーザ情報のデータ構成例を示した図である。
【図5】本実施の形態におけるカードリーダ情報記憶部に記憶されるカードリーダ情報のデータ構成例を示した図である。
【図6】本実施の形態における情報取得時処理を示したフローチャートである。
【図7】本実施の形態における定時処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る入退室管理システムの一実施の形態を示したシステム構成及び入退室管理サーバのブロック構成を示した図である。本実施の形態における入退室管理システムは、事業所などの施設内に設置されている。図1には、入退室管理サーバ10とコントローラ21,31,41とがネットワーク1で接続された構成が示されている。更に、図1には、入退室管理システムが入退室の管理対象とするエリアA20が示されており、そのエリアA20の入口及びエリアA内に設けられたエリアB30,エリアC40の各扉の入側には、各コントローラ21,31,41とそれぞれ接続されたカードリーダ(CR)22,32,42が設置されている。各コントローラ21,31,41は、接続されたカードリーダ22,32,42の動作制御を行う手段である。入退室管理サーバ10は、各コントローラ21,31,41を中継してカードリーダ22,32,42から送られてくる情報等に基づいて入退室の管理を行う。
【0016】
本実施の形態においては、入退室管理サーバ10が入退室の管理対象とする室の入側のみにカードリーダ22,32,42を設置する。本実施の形態におけるエリアAは、例えばある事業所であり、その通用門の入口近傍にカードリーダ22が設置されている。また、エリアB,Cは、例えばエリアA内の棟であり、各棟の扉近傍にカードリーダ32,42がそれぞれ設置されている。なお、入退室管理システムは、「室」の入退室のみならず、カードリーダ22,32,42が設置された事業所、棟における入退室をも管理する。従って、本実施の形態の場合の「室」というのは、部屋、棟、事業所など閉空間の領域であってユーザが扉等から出入りする領域のことを指している。本実施の形態では、「室」を「エリア」とも称して説明するが、エリアに入ることを「入室」、エリアから出ることを「退室」、エリア内に所在している状態を「在室」と表現する。エリアB,Cは、エリアAの中にあるので、エリアAとエリアB,Cとは包含関係又は階層関係にあると言える。ただ、ユーザがエリアB又はエリアCに在室しているときには、エリアAに在室しているとは言わない。ユーザがエリアA内にいる場合、ユーザは、エリアA、エリアB又はエリアCのいずれかに在室していることになる。本実施の形態では、エリアA及びエリアB,Cを事業所(の敷地内)及び敷地内の施設(棟)という関係を想定して説明するが、棟と棟内の各部屋でもよい。また、2階層ではなく、事業所、棟、部屋という3階層若しくはそれ以上の階層関係であってもよい。
【0017】
図2は、本実施の形態における入退室管理サーバ10を形成するサーバコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態において入退室管理サーバ10を形成するサーバコンピュータは、従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、コンピュータは、図2に示したようにCPU51、ROM52、RAM53、ハードディスクドライブ(HDD)54を接続したHDDコントローラ55、入力手段として設けられたマウス56とキーボード57、及び表示装置として設けられたディスプレイ58をそれぞれ接続する入出力コントローラ59、通信手段として設けられたネットワークコントローラ60を内部バス61に接続して構成される。
【0018】
図1に戻り、本実施の形態における入退室管理サーバ10は、情報取得部11、入退室管理部12、入退室管理情報記憶部13、ユーザ情報記憶部14及びカードリーダ情報記憶部15を有している。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については省略している。情報取得部11は、各コントローラ21,31,41を中継してカードリーダ22,32,42から送られてくる情報を取得する。施設を利用するユーザは、当該ユーザを識別する識別情報として当該ユーザのユーザIDが記録された識別カードを携帯している。そして、いずれかのエリアに入室する際には、その識別カードを当該エリアに対応させて設置されたカードリーダ22,32,42にかざすことで、識別カードに記録されたユーザIDを読み取らせる。従って、情報取得部11は、カードリーダ22,32,42から送られてくる情報としてユーザIDを取得する。また、本実施の形態におけるカードリーダ22,32,42には、エリアの最終退出者が当該エリアのカードリーダを操作して警備モードに設定することで、当該エリアへの不正侵入者を検知する機能を設けている。このように、情報取得部11は、カードリーダ22,32,42から送られてくる情報として、警備モードに設定されたことを示す警備モード設定情報を更に取得する。入退室管理部12は、カードリーダ22,32,42から送られてくる情報を取得することに基づく情報取得時処理及び後述する定時処理を行うことで各ユーザの入退室を管理する。また、ユーザがカードリーダ22,32,42に識別カードを読み取らせたときに、当該カードリーダ22,32,42が設置されたエリアへの当該ユーザの入室の許否を判定する判定手段としても機能する。入退室管理情報記憶部13、ユーザ情報記憶部14及びカードリーダ情報記憶部15は、それぞれ入退室管理情報、ユーザ情報及びカードリーダ情報を記憶する記憶手段である。各情報については追って説明する。
【0019】
入退室管理サーバ10における各構成要素11,12は、入退室管理サーバ10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU51で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各情報記憶部13,14,15は、入退室管理サーバ10に搭載されたHDD54にて実現される。もちろん、RAM53やネットワークを介してアクセス可能な他の記憶手段にて実現してもよい。
【0020】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0021】
図3は、本実施の形態における入退室管理情報記憶部13に記憶される入退室管理情報のデータ構成例を示した図である。入退室管理情報は、施設を利用するユーザのユーザ識別情報(「ユーザID」)に、当該ユーザが在室している若しくは在室していたエリアの識別情報(「エリアID」)、当該エリアに入室した日時を示す「入室日時」及び当該エリアから退室した日時を示す「退室日時」が対応付けして構成される。図3において、ユーザID“user01”のユーザのように退室日時に日時情報が設定されている場合、当該ユーザは、エリアID“A0101”のエリアからすでに退室していることを示している。また、ユーザID“user02”のユーザのように退室日時に日時情報が設定されていない場合、当該ユーザは、エリアID“A0102”のエリアに在室していることを示している。入退室管理情報は、ユーザの入退室に応じて入退室管理部12によって逐次更新される。
【0022】
図4は、本実施の形態におけるユーザ情報記憶部14に記憶されるユーザ情報のデータ構成例を示した図である。ユーザ情報は、施設を利用するユーザのユーザ識別情報(「ユーザID」)に、セキュリティ情報が対応付けして構成される。セキュリティ情報には、当該ユーザが入室できるエリアのエリアIDが設定される。もちろん、必要に応じて適宜更新できるが、ユーザ情報は、予め設定されている。なお、ユーザ情報には、氏名、所属等の個人情報が更に登録されているが、本実施の形態の説明に用いないので、図から省略した。
【0023】
図5は、本実施の形態におけるカードリーダ情報記憶部15に記憶されるカードリーダ情報のデータ構成例を示した図である。カードリーダ情報は、カードリーダを識別するカードリーダ識別情報(「CRID」)に、当該カードリーダが設置されたエリアを特定する情報としてエリア(エリアID)が設定される「設置場所」及び各カードリーダ、すなわち、各エリアの階層関係(包含関係)を示す「階層関係」が対応付けして構成される。図5に示したデータ設定例によると、CRID“CR01”,“CR02”の各カードリーダは、CRID“CR00”のカードリーダが設置されたエリアA内にあることがわかる。すなわち、「階層関係」を参照することによって各エリアの階層関係を把握できる。カードリーダ情報は、予め設定されている。なお、カードリーダ情報には、当該カードリーダが接続されたコントローラの識別情報等が更に含まれていてもよいが、本実施の形態の説明に用いないので、図から省略した。
【0024】
次に、本実施の形態における在室管理を行うための動作について説明する。本実施の形態では、在室管理を行うために各エリアへの入退室を検出することになるが、そのための処理として、入退室管理部12は、カードリーダ22,32,42から送られてくる情報をトリガとした情報取得時処理及び定時処理を実施する。図6は、本実施の形態における情報取得時処理を示したフローチャートであり、図7は、本実施の形態における定時処理を示したフローチャートである。以下、これらの図を用いて説明する。
【0025】
ユーザがいずれかのエリアに入室する際、携帯している識別カードをそのエリアの入口に設置されているカードリーダにかざすと、そのカードリーダは、そのかざされた識別カードからユーザIDを読み取り、その読み取ったユーザIDに自己のカードリーダID(CRID)を付加してコントローラへ送る。コントローラは、接続されたカードリーダから情報が送られてくると入退室管理サーバ10へ送る。
【0026】
入退室管理サーバ10において、情報取得部11がコントローラから送られてきた情報を取得すると(ステップ101)、入退室管理部12は、その情報にユーザIDが含まれているかどうかを判断する。そして、ユーザIDが含まれていた場合(ステップ102でY)、続いて、当該ユーザがカードリーダが設置されたエリアへの入室の許否を判定する。具体的には、カードリーダ情報記憶部15に登録されているカードリーダ情報を参照することによってユーザIDと共に送られてきたカードリーダIDに対応するエリアIDを特定し、続いて、ユーザ情報記憶部14に登録されているユーザ情報のセキュリティ情報を参照することによって当該ユーザが特定されたエリアIDのエリアへの入室が認められているかを調べる。すなわち、当該ユーザのセキュリティ情報に当該エリアIDが登録されていれば入室が許可されていると判断し、登録されていなければ入室が許可されていないと判断する。
【0027】
ここで、入室が許可されていると判定した場合(ステップ103でY)、入退室管理部12は、入退室管理情報における当該ユーザの退室日時に、ステップ101において情報を取得した日時を設定する(ステップ104)。この時点において、入退室管理情報における当該ユーザのエリアIDには在室していたエリアのエリアIDが、入室日時には当該エリアに入室した日時が、それぞれ後述するステップ105又はステップ107において設定されているので、このステップ104において当該ユーザの退室日時に日時を書き込むことで、入退室管理情報上、当該ユーザが当該エリアから退室したことを明確にする。なお、本実施の形態においては処理機能に含めていないが、ユーザの入退室の履歴管理を行う場合には、退室日時が書き込まれた時点で履歴を収集するのが都合良い。また、入退室管理サーバ10は、当該カードリーダに対応するコントローラに当該エリアの扉を解錠するよう指示する。
【0028】
続いて、入退室管理部12は、カードリーダ情報を参照することによってステップ101において送られてきたカードリーダIDに対応するエリアIDを特定し、入退室管理情報における当該ユーザのエリアIDに、この特定したエリアIDを設定する。また、入退室管理情報における当該ユーザの入室日時にステップ101において情報を取得した日時を設定する。
【0029】
ところで、新規のユーザの場合の入退室管理情報には、当該ユーザのユーザIDに対応させて設定するエリアID、入室日時及び退室日時共にデータが何も設定されていないかもしれないが、ステップ104に示したように、入退室管理情報における当該ユーザの退室日時には、直前に在室していたエリアにおける退室日時が設定されたままである。従って、入退室管理部12は、入退室管理情報における当該ユーザの退室日時データを削除する(ステップ105)。この退室日時データの削除により、入退室管理情報上、当該ユーザは、エリアIDにより特定されるエリアに在室していることになる。
【0030】
ユーザのいずれかのエリアへの入室を検出したということは、当該ユーザは直前に在室していたエリアから退室したということになる。従って、退室用のカードリーダを設置しなくても入退室を容易に管理することができる。ところが、ユーザがいずれかのエリアにいったん入室した後に退室したとしても、その退室後にいずれかのエリアへの入室が確認されないと、入退室管理情報上、当該ユーザは、在室中のエリアに在室したままとされてしまう。そこで、本実施の形態では、図7に示す定時処理を行うことにした。この定時処理は、所定時間毎に繰り返し実施する。
【0031】
入退室管理部12は、入退室管理情報記憶部13に登録されている入退室管理情報を参照し、いずれかのエリアに在室中のユーザを特定する。いずれかのエリアに在室中のユーザというのは、入退室管理情報において当該ユーザのエリアID及び入室日時にデータが設定されており、かつ退室日時にデータが設定されていないユーザである。在室中のユーザを特定すると、入退室管理部12は、各ユーザの入室日時と現在時刻との差を求め、その時間差を閾値として予め設定されている所定時間と比較する。そして、求めた時間差が所定時間より長い、換言すると、当該ユーザが入室してから所定時間在室した状態のままである場合(ステップ122でY)、当該ユーザは、当該エリアからすでに退室していると推定し、入退室管理情報における当該ユーザの退室日時に、現在の日時を設定する(ステップ123)。なお、この場合、いずれのエリアへの入室も確認されていないので、当該ユーザは、在室していたエリアから退室しただけでなく、システム管理下の外、本実施の形態の場合、エリアAの外まで出て行ったと推定する。例えば、エリアAに在室していたユーザは、エリアAの外へ退室したと推定する。また、エリアB,Cに在室していたユーザもエリアAの外へ退室したと推定する。
【0032】
本実施の形態においては、以上説明したように入室してから所定時間経過した場合、その所定時間を経過したときに在室中のエリアから退室したと推定する。所定時間の経過を退室と推定することは、実際の状況とは誤差が発生しているかもしれないが、このような処理を行うことで退出用のカードリーダを用いずに簡易的な在室管理を実現できる。
【0033】
更に、本実施の形態では、2つの処理を行うことでユーザの入退室の管理を行っている。1つは、図6におけるステップ106,107における処理である。すなわち、ユーザが識別カードをかざすことによって読み取られたユーザIDが送られてきた場合であって(ステップ101,102でY)、当該ユーザの入室が許可されていないと判定された場合である(ステップ103でN)。当該ユーザは、識別カードをかざして入室しようとしたエリアには入室ができないが、在室していたエリアから退室していることは明らかである。従って、入退室管理部12は、入退室管理情報における当該ユーザの退室日時に、ステップ101において情報を取得した日時を設定する(ステップ106)。続いて、入退室管理部12は、カードリーダ情報を参照することによって、在室中のエリアのエリアIDの階層関係に設定されているエリアIDを取得し、その取得したエリアIDを、入退室管理情報における当該ユーザに対応したエリアIDに設定する。このように、当該ユーザは、在室していたエリアの1つ外側のエリアに移動したとみなす。また、入退室管理情報における当該ユーザに対応した入室日時に、ステップ101において情報を取得した日時を設定する。更に、直前に在室していたエリアにおける退室日時データを削除する(ステップ107)。
【0034】
例えば、図1において、入退室管理情報上、ユーザがエリアBに在室しているときに、エリアCに対応したカードリーダ42に当該ユーザの識別カードをかざしたものの、入室が許可されなかったとする。この場合、当該ユーザは、エリアBから退室して1つ外側のエリアAに在室していることになる。本実施の形態においては、このエリアAに入室したのは、エリアCに対応したカードリーダ42に当該ユーザの識別カードをかざす直前とみなして、上記のようにエリアCに対応したカードリーダ42に当該ユーザの識別カードを読み取らせた日時を、エリアAへの入室日時と設定する。なお、本実施の形態では、ステップ101において情報を取得した日時と、カードリーダに識別カードを読み取らせた日時とは同時としている。更に、ステップ101において情報を取得した日時は現在の日時と同時としてもよい。
【0035】
もう1つは、図6におけるステップ108における処理である。すなわち、本実施の形態におけるカードリーダ22,32,42には、警備モード機能が搭載されている。警備モードは、カードリーダ22,32,42に対し所定の操作を行い、在室者がいないときに設定可能である。そして、警備モード設定中に在室者が検出されるとアラームが発生される。このように、警備モードが設定された時点では、基本的には在室者はいないはずである。
【0036】
従って、所定の操作によりいずれかのカードリーダが警備モードに設定されると、当該カードリーダは、その旨を示す情報に自己のカードリーダIDを付加してをコントローラへ送る。コントローラは、接続されたカードリーダから情報が送られてくると入退室管理サーバ10へ送る。
【0037】
入退室管理サーバ10において、情報取得部11がコントローラから送られてきた情報を取得すると(ステップ101)、入退室管理部12は、その情報にユーザIDが含まれていないことで警備モードが設定されたと判断した場合(ステップ102でN)、カードリーダ情報を参照することによって当該カードリーダIDに対応したエリアIDを特定し、その特定したエリアIDと同じエリアIDが入退室管理情報のエリアIDに設定されているユーザを特定する。更に、その特定したユーザの中から入室日時が設定されているものの退室日時が設定されていないユーザを特定する。この特定したユーザが入退室管理情報上、当該エリアに在室していることになる。従って、入退室管理部12は、入退室管理情報における特定した全ユーザの退室日時に、ステップ101において情報を取得した日時を設定する(ステップ108)。なお、この場合、全ユーザは、エリア外に退室したと推定する。すなわち、エリアB,Cに在室していたユーザは、エリアAではなくエリアAの外まで出て行ったものと推定する。
【0038】
本実施の形態においては、以上のようにして入退室管理情報を更新することで各ユーザの入退室管理を行う。そして、ある時点において、入室日時が設定されており、退室日時が設定されていないユーザをエリアID毎に集計することで、当該時点における当該エリアの在室人数を把握することができる。
【0039】
ところで、図7に示した定時処理における所定時間は、事業所、事業所内の各部署の業務上の労働特性等によって事業所単位、部署単位、あるいは個人単位で設定すればよい。従って、所定時間として、例えば、オフィスビルでは2〜3時間、工場では3〜4時間が適していると想定される。所定時間を相対的に短い時間に設定すると、実際には、入室日時から所定時間経過した日時より早く退室した場合の誤差を短くすることができる。一方、所定時間を相対的に長い時間に設定すると、実際には、入室日時から所定時間経過した日時より遅く退室した場合の誤差を短くすることができる。
【0040】
また、例えば、トイレに行くなど、エリアから退室したものの他のエリアに寄らずに戻ってくる場合、当該ユーザは、その入室のときだけに識別カードをカードリーダに読み取らせることになる。このとき、入退室管理情報上、エリアからの退室日時と、戻ってきたエリアのへの入室日時とは同じ日時が設定されることになる。このような場合は、その退室を退室として取り扱わずに継続して当該エリアに在室していたと入退室管理情報の履歴情報を更新してもよい。
【0041】
また、図7に示した定時処理では、入室時刻から所定時間経過すると、当該ユーザは、1番外側のエリア(図1におけるエリアA)外に退室したと推定するが、所定時間経過した後に退室したと推定したエリアと同じエリアに入室された場合、その退室を退室として取り扱わずに継続して当該エリアに在室していたと入退室管理情報の履歴情報を更新してもよい。また、この処理に関し、例えば、エリアBに在室していたユーザが入室してから所定時間経過するまでに当該ユーザの識別カードの読取りがなければ、当該ユーザはエリアAの外に退室したと推定するが、その後、エリアAに対応したカードリーダ22への読取りが検出されずにエリアBに対応したカードリーダ32への読取りが検出されたときには、当該ユーザはエリアAの外に退室していないことになる。従って、この場合は、ユーザがエリアBに入室してから所定時間経過するまでの間はエリアBに、所定時間経過してからカードリーダ32への読取りが検出される間での間はエリアAに、カードリーダ32への読取りが検出された以降はエリアBに、それぞれ在室していたと入退室管理情報の履歴情報を更新してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 ネットワーク、10 入退室管理サーバ、11 情報取得部、12 入退室管理部、13 入退室管理情報記憶部、14 ユーザ情報記憶部、15 カードリーダ情報記憶部、20,30,40 エリア、21,31,41 コントローラ、22,32,42 カードリーダ、51 CPU、52 ROM、53 RAM、54 ハードディスクドライブ(HDD)、55 HDDコントローラ、56 マウス、57 キーボード、58 ディスプレイ、59 入出力コントローラ、60 ネットワークコントローラ、61 内部バス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各室の入口に設置された読取手段と、
ユーザがいずれかの室に入る際に当該ユーザが携帯する識別カードを当該室に対応して設置された前記読取手段に読み取らせることによって特定される当該ユーザのユーザ識別情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によりユーザ識別情報が取得された日時を、当該ユーザにおける、ユーザ識別情報を送出した前記読取手段が設置された室への入室日時とし、入室日時から所定時間経過するまでの間に前記取得手段が当該ユーザのユーザ識別情報を取得しなかった場合、入室日時から所定時間経過した日時を、当該ユーザにおける当該室からの退室日時として、各ユーザの入退室を管理する入退室管理手段と、
を有することを特徴とする入退室管理システム。
【請求項2】
請求項1記載の入退室管理システムにおいて、
前記入退室管理手段は、前記取得手段によりユーザ識別情報が取得された日時を、当該ユーザが入室した直前まで在室していた室からの退室日時とすることを特徴とする入退室管理システム。
【請求項3】
請求項1記載の入退室管理システムにおいて、
ユーザが前記読取手段に識別カードを読み取らせたときに、当該読取手段が設置された室への当該ユーザの入室の許否を判定する判定手段を有し、
前記入退室管理手段は、前記判定手段により当該室への入室を許可しないと判定された場合でも、当該読取手段に読み取らせた日時を、当該ユーザが在室していた室からの退室日時とすることを特徴とする入退室管理システム。
【請求項4】
請求項1記載の入退室管理システムにおいて、
前記入退室管理手段は、いずれかの前記読取手段から送られてきた警備モード設定情報が前記取得手段により取得された場合、その取得された日時を、当該読取手段が設置された室に在室している全ユーザにおける当該室からの退室日時とすることを特徴とする入退室管理システム。
【請求項5】
コンピュータを、
ユーザがいずれかの室に入る際に当該ユーザが携帯する識別カードを当該室に対応して設置された読取手段に読み取らせることによって特定される当該ユーザのユーザ識別情報を取得する取得手段、
前記取得手段によりユーザ識別情報が取得された日時を、当該ユーザにおける、ユーザ識別情報を送出した前記読取手段が設置された室への入室日時とし、入室日時から所定時間経過するまでの間に前記取得手段が当該ユーザのユーザ識別情報を取得しなかった場合、入室日時から所定時間経過した日時を、当該ユーザにおける当該室からの退室日時として、各ユーザの入退室を管理する入退室管理手段、
として機能させるための入退室管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−114553(P2013−114553A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261796(P2011−261796)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】